説明

生ごみ堆肥化容器

生ごみ堆肥化容器(1)は、有機廃棄物が置かれる内部空間(4)を格納する少なくとも一連の、プラスチック製の側板(2)で形成されている本体を備える。少なくとも側板(2)が、基本的にプラスチック及び他の廃棄物から構成される材料の加圧成形によって得られる。プラスチックは、紙、ダンボール、布、PET、アルミニウム等の選択的に回収された廃棄物から生じたものでよい。優れた技術的特徴を有しコストが低く、環境に優しいリサイクルされた及びリサイクル可能な材料を利用する生ごみ堆肥化容器(1)が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機廃棄物を後に肥料として利用するためにリサイクルする生ごみ堆肥化容器に関するものである。本発明の生ごみ堆肥化容器は、有機廃棄物が供給される内部空間を画定する少なくとも一連の、プラスチック材料製の側板で形成されている本体を備えている。
【背景技術】
【0002】
堆肥化は、本明細書に定義されているように、有機廃棄物(堆肥)のリサイクルの実施を指すものである。堆肥とは、腐敗させ、生物学的に変質させた有機物の混合物(むいた皮、野菜のくず、割った卵の皮、ティーバッグ、コーヒーの残りかすなどの生ごみ; 草木、ハーブ、芝生等)である。
【0003】
堆肥化は従って、一般的な人口肥料の代わりに(あるいは補完的に)、果樹園、庭園等で使用できる肥料を得るために、有機物を土に帰すことである。
【0004】
生ごみ堆肥化容器を使用して堆肥化を実施することは公知である。生ごみ堆肥化容器を使用することにより、床の上に山ができてしまう不便さを回避し、便利で簡単で衛生的な方法で有機廃棄物をリサイクルすることが可能となる。標準的な生ごみ堆肥化容器は、堆肥(有機物)が保存される内部空間を画定する側板により形成された本体を含む。側板には、内部空間に収容された有機物の通気が可能となる穴又は開口部が開いている。通常、生ごみ堆肥化容器の本体には底がなく、堆肥が常に地面の上にあるため、自然の微生物が生ごみ堆肥化容器の内部に収容された堆肥と接触することができ、野菜からの過剰な水分の排水が可能となる。生ごみ堆肥化容器の本体は、内部空間を閉じる蓋を含むことができる。
【0005】
これまで知られている生ごみ堆肥化容器は金属製であり、更に一般には例えば注入PE等のリサイクルされたプラスチックからできている。しかし、前記生ごみ堆肥化容器は、材料のコスト及び成形のコストのため、成形に関してはそれぞれ異なる生ごみ堆肥化容器を作成するのに異なる射出成形技術を要するため、大きな資本を必要とする。
【発明の開示】
【0006】
本発明は、上述したように、有機廃棄物が置かれる内部空間を画定する少なくとも一連のプラスチック製の側板で形成される本体を備える生ごみ堆肥化容器を提供する。本発明の生ごみ堆肥化容器の本体を画定する少なくともこれらの側板は、基本的にプラスチック及び他の廃棄物、特に、例えば都市で選択的に回収される廃棄物等の廃棄物から得られるプラスチックで基本的に構成される材料の加圧成形によって得られる。
【0007】
好ましくは、少なくとも側板を形成しているプラスチックの80−95%がポリオレフィンで、5−20%が紙、ダンボール、布、PET、アルミニウムのうちから選択される少なくとも1つの要素で構成され、上記要素は、例えば都市で選択的に回収された廃棄物等の廃棄物から得たものである。
【0008】
好ましい構成においては、前記プラスチックの85−90%がポリオレフィンで、10−15%が紙、ダンボール、布、PET、アルミニウム(例えばテトラ・ブリック包装から得られた)のうちから選択される少なくとも1つの要素で構成されている。
【0009】
ポリオレフィンは、(例えばボトルキャップから得られる)ポリプロピレン、(例えば袋から得られる)ポリエチレン又は(例えば洗剤のボトルから得られる)高密度ポリエチレン(HDPE)を含んでいてもよい。
【0010】
生ごみ堆肥化容器の本体のこれら側板は、例えば好きなように上向き又は下向きに配置できる等のリバーシブルであってもよい。これにより、製造用の産業プロセスが簡略化されるばかりでなく、成形コストも削減できる。この特徴により、ユーザーが新しいものを購入せずに、堆肥の最大容量を拡大することができる。これには、幾つかの独立した部品を入手して、元の生ごみ堆肥化容器の部品と組み合わせるだけが必要となる。
【0011】
側板は、生ごみ堆肥化容器の所望の高さに従って、数列に配置できる。少なくともある側板は、生ごみ堆肥化容器の内側へのアクセスを更に向上させ、組立体を更に分離しやすくするために、相互にヒンジで連結させることができる。このために、側板の側端につめが設けられており、組立位置において側板のつめが別の隣接した側板のつめの上に配置され、生ごみ堆肥化容器の本体の隣接している側板をヒンジ結合するために、バー又はロッドが各つめの内部空間を貫通している。
【0012】
生ごみ堆肥化容器の本体は、生ごみ堆肥化容器の本体の上部の内部側面に圧入されているか、あるいは生ごみ堆肥化容器の本体の上部にヒンジで連結されている(前記プラスチック材料から作られる)上蓋を更に含む。
【0013】
本発明の生ごみ堆肥化容器を画定している部品、側板及び上蓋の製造工程は、都市でのリサイクル用のプラスチック廃棄物の回収から始まる。プラスチック廃棄物は、製造ラインに導入する前に、細かく切断され上述した好ましい割合で混合される。
【0014】
この製造工程においては、プラスチックが加熱手段を通過することによりプラスチックの温度が170℃にまで上がり、プラスチックが溶けて均一な練り物となる。この段階でプラスチックは成形可能な状態にあり、これは適量のプラスチックを適切な金型に入れ100トン単位で加圧成形により可能である。すでに成形された部品は次に金型から取り外され、得られたプラスチック部品の特性(厚さ、重量等)を点検し、要求品質の要求を満たさない部品をはねる品質管理工程を通過する。不良品と判断された部品はもう一度細かく切断され、プラスチックは生ごみ堆肥化容器の他の部品として再利用される。
【0015】
技術的に優れた特徴及びコストの低い生ごみ堆肥化容器は、このように、有機物の、リサイクルされた及びリサイクル可能な材料を使用して得ることができる。
【0016】
本発明の生ごみ堆肥化容器の他の物品、利点及び特徴は、本発明の好ましい実施形態の説明から明らかとなる。この説明は、非限定的な例を通して与えられ、本明細書に添付の図に示されている。
【0017】
生ごみ堆肥化容器の実施形態の一例を、全体を参照番号1で表示し、本明細書に添付の図に示す。
【0018】
図示した生ごみ堆肥化容器1は、基本的に四角い基盤を有するほぼ角錐台形の本体で形成されている。しかし生ごみ堆肥化容器1の形状は、必要に応じてそれとは異なっていてもよい。上述した例においては、この形状は、各々が台形であるプラスチック製の側板2の形によって決まる。
【0019】
図の生ごみ堆肥化容器1の例では、本体が4連の前記側板2及び上蓋3によって画定されている。上蓋3は、適切なヒンジ3aを介して、生ごみ堆肥化容器1の本体の上部にヒンジで連結されている。
【0020】
各一連の側板2は、底板と上板を含む。一連の側板2は、生ごみ堆肥化容器の内部4に要求されるリサイクル容量によって変わる、生ごみ堆肥化容器1に要求される高さにしたがって、所望の数にしてよい。
【0021】
生ごみ堆肥化容器1の本体には底部基盤がない。したがって堆肥(図示しない)が常に地面の上にあり、自然の微生物が生ごみ堆肥化容器1の内部に収容された堆肥と接触するため、更に野菜からの過剰な水分の排水が可能となる。
【0022】
図示された実施形態では、生ごみ堆肥化容器の本体の側板2がリバーシブルであり、好きなように上向き又は下向きに配置することができる。図5に示す例においては、3つの本体で形成された生ごみ堆肥化容器1を示し、生ごみ堆肥化容器1の中央モジュールは、隣接する終端モジュールの側板2に対して逆の位置にある側板2を有する。したがって、生ごみ堆肥化容器1の容量を、新しい容量のより大きな生ごみ堆肥化容器1と交換することなく、増やすことができる。
【0023】
各側板2はその側端部5につめ6が取り付けられている。組み立てられた状態では、側板6のつめは隣接する側板2のつめ6の上に配置されている。つめ6は、内部空間を画定し、この内部空間をバー(図示しない)が貫通して側板2を相互にヒンジ結合させることができる。
【0024】
図に示すように、各側板2は堆肥の通気を可能にする一組のほぼ平行で水平な溝7を有し、これにより堆肥形成の通気プロセスを促進すると共に、臭気を抑えることができる。これらの通気溝7は、図3の断面図に示すように、各側板2の内部に形成されるリブ8に対応して配置されている。
【0025】
生ごみ堆肥化容器1の側板2はプラスチック材料製である。この材料の特徴は、基本的にプラスチック及び他の廃棄物、特に都市で回収されたプラスチックから構成される材料を加圧成形する工程によって得られることである。このプラスチックは、85−90%が(例えばボトルキャップから得られる)ポリプロピレン、(例えば袋から得られる)ポリエチレン又は(例えば洗剤のボトルから得られる)高密度ポリエチレン(HDPE)を含むポリオレフィンで構成され、10−15%が紙、ダンボール、布、PET、アルミニウム(例えばテトラ・ブリック包装から得られた)で構成される。これらの要素は、都市で回収された廃棄物である。上蓋3もこの材料でできていてもよい。
【0026】
本発明を、本発明の好ましい実施形態を参照しながら本明細書において説明し、添付の図によって示したが、本発明の生ごみ堆肥化容器は、記述された請求項によって規定された保護範囲を逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】側板及び上蓋が閉鎖状態にある、一実施形態の斜視図である。
【図2】上蓋が部分的に開放され、生ごみ堆肥化容器の内部にアクセス可能な状態である、図1の生ごみ堆肥化容器の実施形態の斜視図である。
【図3】本発明による生ごみ堆肥化容器の本体の側板の1つの正面図である。
【図4】図3のラインAA’に沿って切り取った、本発明による生ごみ堆肥化容器の本体の側板の1つの側面の断面図である。
【図5】3つの連結したモジュラー本体を配置することにより形成される、本発明による生ごみ堆肥化容器の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機廃棄物が供給される内部空間(4)を画定する少なくとも一連の、プラスチック材料製の側板(2)で形成されている本体を備える生ごみ堆肥化容器(1)であって、少なくとも側板(2)が、基本的にプラスチック及び他の廃棄物から構成される材料の加圧成形によって得られることを特徴とする、生ごみ堆肥化容器(1)。
【請求項2】
少なくとも前記側板(2)が、選択的に収集された廃棄物に由来するプラスチックから主に構成される材料の加圧成形によって得られる、請求項1に記載の生ごみ堆肥化容器(1)。
【請求項3】
前記プラスチックの80−95%がポリオレフィンで、5−20%が紙、ダンボール、布、PET、アルミニウムのうちから選択される少なくとも1つの要素で構成されており、上記要素が都市で選択的に回収された廃棄物等の廃棄物に由来する、請求項1又は2に記載の生ごみ堆肥化容器(1)。
【請求項4】
前記プラスチックの80−95%がポリオレフィンで、10−15%が紙、ダンボール、布、PET、アルミニウムのうちから選択される少なくとも1つの要素から構成される、請求項1又は2に記載の生ごみ堆肥化容器(1)。
【請求項5】
前記ポリオレフィンが、ポリプロピレン、ポリエチレン及びHDPEの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の生ごみ堆肥化容器(1)。
【請求項6】
前記側板(2)がリバーシブルであり、例えば上向き又は下向きに配置できる、請求項1又は2に記載の生ごみ堆肥化容器(1)。
【請求項7】
前記本体が更に上蓋(3)を含む、請求項1又は2に記載の生ごみ堆肥化容器(1)。
【請求項8】
前記上蓋(3)が、生ごみ堆肥化容器(1)の本体の上部に圧入されている、請求項7に記載の生ごみ堆肥化容器(1)。
【請求項9】
前記上蓋(3)が、生ごみ堆肥化容器(1)の本体の上部にヒンジにより連結されている、請求項7に記載の生ごみ堆肥化容器(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−530216(P2009−530216A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558836(P2008−558836)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際出願番号】PCT/ES2007/070053
【国際公開番号】WO2007/104821
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(508278376)
【Fターム(参考)】