説明

生ゴミ処理機

【課題】 加熱槽の底面や内周側面に生ゴミの層が形成されるのを防止して、加熱効率の悪化を防ぐ。
【解決手段】 加熱槽2内で生ゴミを撹拌する撹拌羽根3を備えた生ゴミ処理機1において、上記撹拌羽根3に加熱槽2の底面11の生ゴミの堆積物を掻き取る底面スクレーパ31と加熱槽2の内周側面12の生ゴミの堆積物を掻き取る側面スクレーパ32とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生ゴミを加熱槽に投入して撹拌して減容させる生ゴミ処理機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】生ゴミ処理機は、飲食店や家庭等において厨房から出る水分の多い生ゴミ(野菜クズ、残飯等)を加熱しつつ撹拌して減容処理するためのものである。
【0003】生ゴミ処理機は、生ゴミを加熱・撹拌して乾燥させる加熱槽と、その加熱槽内の生ゴミを撹拌する撹拌羽根と、加熱槽内の雰囲気ガスをブロアによって吸引して循環させる循環路と、その循環路内のブロワの上流側に設けられ雰囲気ガスを冷却して雰囲気ガス内の蒸気を凝縮させるコンデンサと、そのコンデンサとブロワ間に設けられ気体と凝縮された液体とを重力分離する気液分離槽とを備えている。
【0004】上記生ゴミ処理機によって、加熱槽内で生ゴミを加熱しながら撹拌して乾燥・減容させると共に、発生した雰囲気ガスを吸引してその内の蒸気を凝縮させて消臭した後に再度加熱槽内に送入するようになっている。
【0005】撹拌羽根は、加熱槽の底部中央に突設された回転軸に取り付けられており、その回転によって、生ゴミを撹拌して破砕するようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、加熱槽に投入される生ゴミは、撹拌羽根を回転させるモータの正転・逆転を繰り返し行うことによって、効率的に撹拌・破砕されることが分かっている。
【0007】この場合、撹拌羽根は加熱槽の底面及び内周側面と一定の間隔を明けて、その隙間に貝殻や割り箸等を含んだ生ゴミの処理物を挟み込んで積極的に破砕するようになっている。
【0008】しかしながら、上述の撹拌羽根では、隙間部分で生ゴミが加熱槽の底面や内周側面に付着して圧縮され固くなってしまう。そのため、加熱槽の底面や内周側面に生ゴミの堆積層が形成され、加熱ヒータからの熱伝達が著しく阻害され、加熱効率が悪化するという問題があった。
【0009】そこで本発明は、上記問題を解決すべく案出されたものであって、その目的は、加熱槽の底面や内周側面に生ゴミの堆積層が形成されるのを防止して、加熱効率の悪化を防ぐことができる生ゴミ処理機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決すべく本発明は、加熱槽内で生ゴミを撹拌する撹拌羽根を備えた生ゴミ処理機において、上記撹拌羽根に加熱槽の底面の生ゴミの堆積物を掻き取る底面スクレーパと加熱槽の内周側面の生ゴミの堆積物を掻き取る側面スクレーパとを設けたものである。
【0011】上記構成によれば、底面スクレーパ及び側面スクレーパによって、加熱槽の底面や内周側面に付着する生ゴミを掻き取ることができるので、生ゴミの堆積層が形成されるのを防止でき、生ゴミへ直接的に熱伝達が行われ、加熱効率の悪化を防ぐことができる。
【0012】そして、上記撹拌羽根が、加熱槽の底部中央に突設された回転軸に加熱槽の底面に対してほぼ直角或いは鈍角となるように2枚等角度で取り付けられ、一方の撹拌羽根の底部に上記底面スクレーパが設けられ、他方の撹拌羽根の外周側端部に上記側面スクレーパが設けられたものが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。
【0014】図1は本発明に係る生ゴミ処理機の実施の形態を示した全体構成図、図2は撹拌羽根を示した平面図、図3は撹拌羽根を示した側面図である。
【0015】まず、図1によって、本発明に係る生ゴミ処理機の全体の構成を説明する。図示するように、上記生ゴミ処理機1には、生ゴミを加熱して乾燥させる加熱槽2が設けられている。この加熱槽2には、その内部の雰囲気ガスAを吸引して循環させて再度加熱槽2内に戻すブロワ6を有する循環路7が、臭気が外部に漏れるのを防ぐために密閉状態で設けられている。
【0016】この循環路7のブロワ6の上流側には、上記雰囲気ガスAを冷却して雰囲気ガスA内の蒸気を凝縮させるコンデンサ8が設けられており、このコンデンサ8と上記ブロワ6との間には、気体Gと凝縮された液体Wとを重力分離する気液分離槽9が設けられている。
【0017】加熱槽2には、有底筒体状に形成された容器15を覆うように、その側面及び底面に加熱ヒータ16が設けられている。また、容器15の上部開口には蓋体17が設けられ、生ゴミを投入した後はこの蓋体17を閉じることにより加熱槽2内を密閉状態に保つようになっている。
【0018】容器15の内方には、投入された生ゴミを撹拌・破砕するための撹拌羽根3が設けられている。撹拌羽根3は、加熱槽2の底部に突設された回転軸4に取り付けられている。また、加熱槽2の下部には、回転軸4及び撹拌羽根3を回転させるためのモータ11が備えられている。
【0019】加熱槽2の上部には、その内部の雰囲気ガスAの出口となる開口部18が形成されており、この開口部18には循環路7の一部を構成する吸引管19が接続されている。
【0020】循環路7内のコンデンサ8は、蛇行して形成された配管21に板状の放熱フィン22が設けられて成っており、その側面には冷却ファン23が設けられ、その吸引空気Cによって、加熱槽2から吸引された雰囲気ガスAが冷却されるようになっている。
【0021】なお、冷却ファン23は、吸引空気Cではなく圧送空気によってコンデンサ8を冷却するものであってもよい。さらに、コンデンサ8の冷却方法は空冷式に限らず、水冷式として構成することも考えられる。
【0022】気液分離槽9は、密閉された箱状に形成されており、その側面上部にはコンデンサ8によって冷却された雰囲気ガスAが流入するガス流入口24が形成され、上部には気体Gを流出させる気体流出口25が形成され、底部には凝縮された液体Wを下方に排出する液体排出口26が形成されている。なお、液体排出口26から排出された液体Wは、気液分離槽9の下部に設けられたタンク27に一旦溜められて、順次機外に排出される。
【0023】そして、気液分離槽9の下流側となる気体流出口25の上部には、ブロワ6が設けられている。このブロワ6の下流側には循環路7の一部を構成する送入管28が設けられており、送入管28は、加熱槽2の側面に形成された気体Gの入口となる開口部29に接続されている。
【0024】本発明は、撹拌羽根3に加熱槽2の底面11の生ゴミの堆積物を掻き取る底面スクレーパ31と加熱槽2の内周側面12の生ゴミの堆積物を掻き取る側面スクレーパ32とを設けたことを特徴とする。
【0025】撹拌羽根3は、加熱槽2の軸心の位置に沿って底部中央に突設された回転軸4に、加熱槽2の底面11に対してほぼ直角或いは鈍角となるように取り付けられている。本実施の形態においては、撹拌羽根3は加熱槽2の底面11に対して直角となっている。この撹拌羽根3は、回転軸4に対して放射状に2枚、等角度(180°ピッチ)で取り付けられている。
【0026】また、撹拌羽根3は、回転軸4にブラケット34を介してボルト35によって固定されていると共に、撹拌羽根3の正転方向(図中矢印にて示す)に対して、外周側が後方になるように傾斜して平板状に形成されている。
【0027】一方の撹拌羽根3(図中右側)は、その底部が加熱槽2の底面11に対して、加工精度上の最小隙間を明けるところまで延出しており、その下端に底面スクレーパ31が設けられている。
【0028】この撹拌羽根3の外周側端部は、加熱槽2の内周側面12と所定間隔を隔てており、その隙間13で貝殻や割り箸等を含んだ生ゴミを挟み込んで破砕するようになっている。
【0029】底面スクレーパ31は、その断面が加熱槽2の底面11と平行な底辺を有すると共に回転方向に沿って斜辺が傾斜する三角形状に形成されており、その両端の角部で、底面11に付着する生ゴミを掻き取るようになっている。
【0030】また、底面スクレーパ31は、撹拌羽根3に設けられた生ゴミの逃し窓5の下枠を構成している。逃し窓5は、撹拌羽根3の基端側に形成されており、先端側には壁部36が形成され、生ゴミを加熱槽2の内周側面12との隙間13まで移動させるようになっている。
【0031】他方の撹拌羽根3(図中左側)は、その外周側端部が加熱槽2の内周側面12に対して、加工精度上の最小隙間を明けるところまで延出しており、その先端に側面スクレーパ32が設けられている。
【0032】この撹拌羽根3の底部は、加熱槽2の底面11と所定間隔を隔てており、その隙間13で貝殻や割り箸等を含んだ生ゴミを挟み込んで破砕するようになっている。
【0033】側面スクレーパ32は、その断面が加熱槽2の内周側面12と平行な底辺を有すると共に回転方向に沿って斜辺が傾斜する三角形状に形成されており、その両端の角部で、内周側面12に付着する生ゴミを掻き取るようになっている。
【0034】また、側面スクレーパ32は、撹拌羽根3に設けられた生ゴミの逃し窓5の外側枠を構成している。逃し窓5は、撹拌羽根3の基端部から先端部まで延出して形成されており、その中央には中間柱33が設けられ、逃し窓5が分割されている。
【0035】この撹拌羽根3の底面11からの高さh1 は、加熱槽2内の生ゴミが均一な流動状態となったときに占める高さよりも高く(例えば2倍)なるように設定されている。上述の底面スクレーパ31が設けられた撹拌羽根3の高さh2 は、側面スクレーパ32が設けられた撹拌羽根3と同程度の高さに設定されている。なお、図2において、撹拌羽根3は、回転軸4の高さの略半分になっているが、もっと高いものであってもよい。
【0036】また、撹拌羽根3は、上記実施の形態においては、外周側が回転方向の後方になるように傾斜して形成されているが、回転方向に対して直角に配置されるものであってもよい。さらに、外周側が回転方向の後方になるように湾曲したものであってもよい。
【0037】次に、本発明に係る生ゴミ処理機の作用を説明する。
【0038】生ゴミは、水きりを行った後、加熱槽2に投入され、撹拌羽根3の回転により撹拌されつつ破砕され、加熱ヒータ16の熱により熱せられ、徐々にその水分が蒸発することにより重量及び容量が減ぜられることになる。
【0039】なお、加熱槽2内で発生する雰囲気ガスAは、コンデンサ8を通過することで凝縮した液体Wと気体Gとに分離される。この液体Wには臭気成分が溶かし込まれるので、分離された気体Gは臭気成分が減少させられる。
【0040】気体Gはブロワ6によって送入管28を通過して再度加熱槽2内に戻され、循環することとなる。一方、臭気成分を含んだ液体Wは気液分離槽9で下方に流され、タンク27に一旦溜められた後、順次排出される。
【0041】本発明によれば、撹拌羽根3に加熱槽2の底面11の生ゴミの堆積物を掻き取る底面スクレーパ31と加熱槽2の内周側面12の生ゴミの堆積物を掻き取る側面スクレーパ32とを設けたことによって、撹拌羽根3が回転するだけで、加熱槽2の底面11や内周側面12に付着しようとする生ゴミを掻き取ることができる。すなわち、底面スクレーパ31及び側面スクレーパ32の角部が底面11及び内周側面12に沿って移動して生ゴミを剥がすこととなる。
【0042】従って、加熱槽2内に生ゴミの堆積層が形成されるのを防止でき、加熱槽2に生ゴミが直接接するので、熱が逃げることなくその伝達が行われることとなり、加熱効率の悪化を防ぐことができる。
【0043】また、加熱槽2の底部中央に突設された回転軸4に加熱槽2の底面11に対してほぼ直角或いは鈍角となるように、撹拌羽根3を2枚等角度で取り付け、一方の撹拌羽根3の底部に底面スクレーパ31を設け、他方の撹拌羽根3の外周側端部に側面スクレーパ32を設けたことによって、回転軸4にかかるモーメントを釣り合わせることができる。
【0044】すなわち、底面スクレーパ31と側面スクレーパ32とを回転軸4を中心にして、対称に設けたことによって、生ゴミの掻取り時に発生するモーメントを左右で打ち消し相殺することができる。これによって、回転軸4のベアリング等にかかる応力を低減することができ、その長寿命化が図れる。
【0045】また、底面スクレーパ31を設けた撹拌羽根3にはその外周側端部に隙間13が設けられ、側面スクレーパ32を設けた撹拌羽根3にはその底部に隙間13が設けられているので、貝殻や割り箸等を撹拌羽根3と加熱槽2とで挟み込んで、効率的に破砕できる。
【0046】回転軸4から遠い位置で側面スクレーパ32を有する撹拌羽根3に、逃し窓5を二か所設けたことによって、撹拌羽根3の回転時に多くの生ゴミを回転方向後方に逃すことによって撹拌羽根3にかかる荷重を低減でき、かかるモーメントを小さくすることができる。
【0047】また、撹拌羽根3が回転方向の後方に傾斜しているので、底面スクレーパ31を有する撹拌羽根3においては、生ゴミは撹拌羽根3の先端側の壁部36に沿って外周側の隙間13に移動して、撹拌羽根3と加熱槽2の内周側面12とに挟まれて適宜破砕される。
【0048】さらに、撹拌羽根3の傾斜によって、生ゴミが飛び散るのを防止すると共に、撹拌抵抗を低減できる。
【0049】また、生ゴミの破砕時には、生ゴミの内野菜等の比重の小さいものが上方に逃げようとするが、撹拌羽根3の高さh1 ,h2 は、加熱槽2内の生ゴミが均一な流動状態となったときに占める高さよりも高く設定されているので、上方の生ゴミを有効に捉えることができ、破砕効率の向上が図れる。
【0050】なお、本実施の形態においては、撹拌羽根3の枚数を2枚に限定しているが、これに限られるものではなく、3枚であってもよい。但し、回転軸4にかかるモーメントを釣り合わせる点で、2枚が最適である。
【0051】また、撹拌羽根3は、加熱槽2の底面11に対してほぼ直角或いは鈍角になるように形成されたものに限られることはない。回転軸4に対してその周方向及び高さ方向に等間隔で螺旋状に設けられた撹拌羽根であっても、本発明は適用可能である。
【0052】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、底面スクレーパと側面スクレーパとによって、加熱槽の底面や内周側面に生ゴミの堆積層が形成されるのを防止して、加熱効率の悪化を防ぐことができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る生ゴミ処理機の実施の形態を示した全体構成図である。
【図2】撹拌羽根を示した平面図である。
【図3】撹拌羽根を示した側面図である。
【符号の説明】
1 生ゴミ処理機
2 加熱槽
3 撹拌羽根
11 底面
12 内周側面
31 底面スクレーパ
32 側面スクレーパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 加熱槽内で生ゴミを撹拌する撹拌羽根を備えた生ゴミ処理機において、上記撹拌羽根に加熱槽の底面の生ゴミの堆積物を掻き取る底面スクレーパと加熱槽の内周側面の生ゴミの堆積物を掻き取る側面スクレーパとを設けたことを特徴とする生ゴミ処理機。
【請求項2】 上記撹拌羽根が、加熱槽の底部中央に突設された回転軸に加熱槽の底面に対してほぼ直角或いは鈍角となるように2枚等角度で取り付けられ、一方の撹拌羽根の底部に上記底面スクレーパが設けられ、他方の撹拌羽根の外周側端部に上記側面スクレーパが設けられた請求項1記載の生ゴミ処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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