生ゴミ処理用袋状体および生ゴミ処理方法
【課題】生ゴミ投入口の形状が速やかに且つ安定して保持されることによって、生ゴミの投入作業に係る効率や安全性が向上される、新規な構造の生ゴミ処理用袋状体を提供する。
【解決手段】不透水性で通気性を有する素材で形成された筒状体12に対して、手作業で塑性変形可能な環状保持体16が筒状体12の両側開口部14a,14bにそれぞれ装着されており、筒状体12の一方の開口部14aを閉塞せしめて内部に生ゴミ処理基材24を収容せしめた状態下で他方の開口部14bを環状保持体16で開口状態に維持させて生ゴミ投入口とすることができるようにし、筒状体12の全体を天地反転させて使用可能とした。
【解決手段】不透水性で通気性を有する素材で形成された筒状体12に対して、手作業で塑性変形可能な環状保持体16が筒状体12の両側開口部14a,14bにそれぞれ装着されており、筒状体12の一方の開口部14aを閉塞せしめて内部に生ゴミ処理基材24を収容せしめた状態下で他方の開口部14bを環状保持体16で開口状態に維持させて生ゴミ投入口とすることができるようにし、筒状体12の全体を天地反転させて使用可能とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ゴミを微生物で分解処理する技術に係り、特に生ゴミの微生物による分解処理を一般家庭等においても容易に行うことの出来る新規な構造の生ゴミ処理用袋状体および新規な生ゴミ処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、家庭等で排出される生ゴミを処理する方法の一種として、土中の好気性微生物を利用し、或いは好気性微生物が付着した生ゴミ処理基材を生ゴミに混合することによって、かかる好気性微生物で生ゴミを発酵分解処理することが知られている。
【0003】
具体的に、生ゴミを発酵分解処理するには、例えば、生ゴミ処理基材を混ぜた生ゴミを屋外に置いて発酵させる手段がある。しかし、生ゴミを単に屋外に置いておくだけでは、悪臭が漂って虫の発生原因の元となるだけでなく、風雨に晒されて条件が変化することにより目的とする発酵分解処理の効率が低下し易い等という問題があった。
【0004】
かかる問題に対処するために、例えば、特許文献1(特開平08−53203号公報)に記載されているように、下方に開口した逆向きの袋体で用い、地上に堆積させた生ゴミに対してこの袋体を上方から被せて覆うことにより、悪臭の拡散を抑えつつ堆肥化を図ることも考えられる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の袋状体は、単に、地上に堆積させた生ゴミの表面だけを覆うに過ぎない。それ故、切り返し等の混合作業が出来ず、微生物による生ゴミの分解効率が悪いという問題があった。
【0006】
また、特許文献2(特開2003−335595号公報)に記載されているように、生ゴミと微生物付着基材とを予め混合したものを通気性の袋体に入れて閉じ、この袋体の内部で発酵分解処理させることも考えられる。このように、袋体に入れたままで発酵分解処理させることにより、袋体を天地反転させたり転動させることにより、地上での切り返しに類似の効果を得ることが可能となって、良好な作業効率のもとで切り返しによる分割効率の向上が図られ得ると記載されている。
【0007】
ところが、これら特許文献1,2に記載されている如き従来構造の袋体は、何れも、所定量の生ゴミを収容状態で密封し、微生物分解が完了するまで開放しないでおくものに過ぎない。従って、例えば毎日少量ずつ発生する家庭内生ゴミ等への対応が極めて困難である。かかる家庭用生ゴミ等のように毎日発生する生ゴミの処理に対応しようとすると、たとえ微生物による生ゴミの発酵分解が10日で完了するとしても10個の袋体を並べて順次に使用して行くことが必要となってしまって現実的でない。
【0008】
なお、引用文献1に記載の袋体は、下側の開口部に加えて、上側にも閉塞可能な開口部を備えているが、この上側の開口部は単に樹脂製の市販の生ゴミ保持筒体を抜き取るためのものに過ぎない。また、引用文献2に記載の袋体も、下側の開口部に加えて、上側にも閉塞可能な開口部を備えているが、この上側の開口部は単に注水や通気を行って湿度等の内部環境を調節するためのものに過ぎない。
【0009】
【特許文献1】特開平08−53203号公報
【特許文献2】特開2003−335595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、(i)家庭用生ゴミ等のように少しずつ連続的に発生する生ゴミを順次に投入して処理することが容易に実施可能とされると共に、(ii)家庭用生ゴミ等のように少しずつ連続的に発生する生ゴミを効率的に処理することが出来る、新規な構造の生ゴミ処理用袋状体および新規な生ゴミ処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意な組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0012】
すなわち、本発明の特徴とするところは、不透水性で通気性を有するシート状の素材で形成された筒状体に対して、手作業で塑性変形可能な環状保持体が筒状体の両側開口部にそれぞれ装着されており、筒状体の一方の開口部を閉塞せしめて内部に生ゴミ処理基材を収容せしめた状態下で他方の開口部を環状保持体で開口状態に維持させて生ゴミ投入口とすることができるようにした生ゴミ処理用袋状体にある。
【0013】
このような本発明に従う構造とされた生ゴミ処理用袋状体においては、環状保持体が、手作業で塑性変形可能である程度に、形状の保持機能をもっている。この形状保持機能を利用して、筒状体の両側開口部を、それぞれ開口状態または閉塞状態に簡単に維持することが出来る。
【0014】
これにより、例えば、筒状体の一方の開口部に装着された環状保持体を変形させることで筒状体の一方の開口部を閉じることによって、筒状体の底部を形成して有底の袋状体を構成することが出来る。そして、かかる有底の袋状体において、他方の開口部では、そこに装着された環状保持体を環状に広げることで他方の開口部を生ゴミ投入口として開いた状態に保持せしめ、この投入口から生ゴミ処理基材や生ゴミを投入することが出来る。また、生ゴミ投入口も、環状保持体を変形させることで、速やかに閉塞状態とすると共に、かかる閉塞状態に保持させることも可能である。
【0015】
なお、かかる筒状態の両側の開口部における閉塞状態は、かかる環状保持体の塑性変形によるだけでなく、それに加えて、後述するように、別途準備した紐等を袋状体の開口部付近に巻き付けて縛ること等によって、一層強固に且つ確実に実現可能である。
【0016】
また、かかる筒状体は、その天地方向を逆にすると共に、筒状体の一方の開口部を開き、且つ他方の開口部を閉じることによって、生ゴミ投入口と底部の位置を筒状体の両側で相互に代えて、生ゴミ等を筒状体の一方の側から投入することも可能となる。即ち、本構造によれば、生ゴミ投入口と底部を、生ゴミの処理態様や袋状体の使用条件等に応じて袋状体の両側で交代させることが出来るのである。
【0017】
また、筒状体の開口部の形状安定性に基づき、例えば、作業員が片手で環状保持体や開口縁部等を持ちながら、もう片方の手で生ゴミを投入することも出来る。要するに、環状保持体が形状保持機能をもっていることから、作業者はこの環状保持体を持つことで、袋状体の開口部を持ち上げて筒状体の開口部を一方ので筒状に保持せしめて維持することが出来るのであり、かかる開口保持状態下で、他方の手で生ゴミを袋状体に投入することが可能となるのである。これによって、袋状体の外への生ゴミのこぼれ出しを防止つつ、生ゴミの袋状体への投入作業を一人でも簡単に行うことも出来る。
【0018】
さらに、袋状体としてシート状のものを採用したことにより、環状保持体の装着部位を除いた部分では、良好な柔軟性が確保され得る。それ故、生ゴミや生ゴミ処理基材の投入量等に対応して任意に変形することとなる。これにより、生ゴミや生ゴミ処理基材が効率良く即ちコンパクトに収容され得る。また、袋状体を使用しない時には、袋状体を小さく畳むことが出来ることに加え、塑性変形可能な環状保持体の形状保持機能を利用して、袋状体を小さく畳んだ状態に保持することも容易に出来る。それ故、特別な形状保持具を別途採用しなくとも袋状体を小さく畳んだ状態に保持することが出来て、持ち運び等の取扱いが容易となり、収納も効率的に出来ると共に、流通コストも抑えられる。尤も、必要に応じてバンドや紐,ケース等の形状保持具を併せて採用し、袋状体をより小さく折り畳んだ状態に保持させることも可能である。
【0019】
また、筒状体が通気性で且つ不透水性を有するシート材で形成されていることから、筒状体の内部の湿度や温度が略一定に保たれて、好気性条件に適した環境が保護される。その結果、好気性微生物による生ゴミの発酵分解処理が効率良く実現され得る。
【0020】
また、本発明に係る生ゴミ処理用袋状体では、筒状体の両側開口部に巻き付けられることにより、筒状体の軸方向で環状保持体よりも内側を絞って閉塞させる一対の締付紐を設けた構造が、採用されても良い。このような構造によれば、筒状体の開口部の閉塞状態が一層安定する。また、袋状体を使用する迄の収納や流通の状態では、小さく折り畳んだ袋状体をかかる締付紐で縛っておくことで、袋状体を折り畳み状態に保持せしめるようにしても良い。
【0021】
また、本発明に係る生ゴミ処理用袋状体では、筒状体が、建築用のハウスラップを用いて形成されている構造が、採用されても良い。ハウスラップは、省エネルギーの意識向上等に伴う研究開発によってその性能が近年飛躍的に向上しており、特に高度な不透水性又は防水性や通気性、耐熱性等が実現されており、建築用資材として大量に経済的に供給されてきている。このような建築用資材であるハウスラップを、全く技術分野の異なる生ゴミ処理技術に係る本発明において別用途として利用することにより、本発明の実用化が極めて効率的に実現可能となるのである。
【0022】
すなわち、ハウスラップでは、不透水性(防水性)や通気性、耐熱性等に優れていることによって、それを用いた袋状体の内部では、湿度や温度等の好気性条件が安定して保持されることに加え、ハウスラップが高強度な素材で形成されていることにより袋状体の耐久性や強度が十分に確保される。特にハウスラップの断熱性を利用すると、微生物の発酵熱による温度が袋状体の内部で好適に保持されることとなり、袋状体を冬の外気に晒しても目的とする発酵分解処理が効率的に行われる。要するに、本態様では、ハウスラップが生ゴミ処理用袋状体の素材に適していることを見出した点に大きな技術的特徴を有するのであり、それによって、不透水性や通気性、耐熱性、耐久性等の物性に優れた生ゴミ処理用袋状体が、簡単に且つ低コストで実現可能となるのである。
【0023】
また、本発明に係る生ゴミ処理用袋状体では、筒状体の表面において、開口部よりも本体側に所定距離だけ離れた位置で周方向に延びる目視可能なラインを表示した構造が、採用されても良い。このような構造によれば、例えばラインを生ゴミ収容制限ラインとして用い、生ゴミを袋状体の底部からラインまで投入可能とすることによって、使用時の目安となって使用者に安心感を与えることが出来ると共に、使用条件の均一化を図ることにより、目的とする生ゴミの分解処理をより安定して発揮せしめることが可能となる。また、例えばラインを前述の締付紐の固定用ラインとして用いることによって、筒状部の開口部の締付紐による閉塞状態の確実性の向上を図ったり、締付紐の使用を促したりする効果も期待できる。
【0024】
さらに、本発明の生ゴミ処理用袋状体においては、生ゴミ処理用袋状体の筒状体に対して開口部から差し入れて生ゴミ処理基材をかき混ぜることの出来る攪拌具を、組み合わせて販売し、利用するようにしても良い。
【0025】
このような攪拌具を組み合わせてセットとした生ゴミ処理用袋状体においては、攪拌具を装備させることで使用者に対して生ゴミ処理基材及び生ゴミの攪拌行為を促すことが出来ると共に、かかる攪拌を容易に且つ効率的に行わしめることが可能となる。そして、生ゴミや生ゴミ処理基材がかき混ぜられることにより、袋状体に投入した生ゴミと処理基材が効率的に混合されることとなり、生ゴミの分解処理効率の向上等が発揮され得る。
【0026】
特に、本発明では、袋状体の開口部に環状保持体が装着されていることにより、上記攪拌具等による内部攪拌を容易に行うことが出来るという特別の効果も発揮し得る。即ち、攪拌具等で内部攪拌を行うに際しても、袋状体の開口部の形状安定性が環状保持体によって確保されていることから、袋状体の一部が下方に垂れ下がってそこから基材や生ゴミが外部にこぼれ落ちるようなこともない。
【0027】
さらに、攪拌具等を袋状体の上部開口から差し入れて、その柄の部分だけを袋状体の上部開口から外部に突出させた状態で、環状保持体を塑性変形させて袋状体の上部開口を閉塞させることも出来る。そのような閉口状態で攪拌具等を回動操作等することにより、袋状体に収容された基材や生ゴミの上部開口からのこぼれ出しを略完全に防止しつつ、基材や生ゴミを充分に攪拌することが可能となるのである。
【0028】
また、本発明に係る生ゴミ処理用袋状体によれば、袋状体の両側に開口部が設けられており、任意の一方の開口部を閉塞状態に保持せしめて下方に位置させることで底部を構成すると共に、上方に位置せしめた他方の開口部を開閉可能な投入口とすることが出来る。しかも、袋状体の両側開口部は、開状態と閉状態を繰り返して発現させることが出来ることから、天地を返すことで、交互に底部と投入口として両側開口部を利用することが可能である。そして、開口部から底部に向けて半分以下の領域だけを利用して生ゴミの投入と攪拌による発酵分解処理を行うこととし、少量ずつの投入を数日間に亘って行ったあと、袋状体を天地返しして、他方の開口部から底部に向けて半分の領域だけを利用して生ゴミの投入と攪拌による発酵分解処理を行うといった態様で、天地返しを適当な周期で繰り返して利用することが出来る。
【0029】
このような利用方法によれば、生ゴミ処理基材に対して投入された生ゴミの量が飽和状態に近くなったり、異臭が発生したりする時期において、その生ゴミ投入領域を最底部に容易に且つ効率的に移動させることが出来、その後、天地反転させた開口部側の未使用の基材部分或いは生ゴミ分解処理が完了した領域の基材部分を利用して、新たな投入生ゴミと接触させて分解処理を行わせることが可能となる。それ故、生ゴミの発酵分解処理が、効率良く実現されると共に、開口部を開口させた際の異臭の放散も抑えることが可能となる。しかも、例えば攪拌具を用いて基材を攪拌するに際しても、生ゴミを投入した上部だけを攪拌し、少なくとも深さ方向の半分よりも底部側までを攪拌する必要がなくなることから、たとえ深底の袋状体を採用する場合でも、天地反転操作で収容基材の全体を有効に利用しつつ、攪拌操作の作業労力の軽減が図られる。
【0030】
なお、本構造では、攪拌具の長さ寸法が、筒状体の開口部から底部に至る軸方向長さの2/3以下とされていることが望ましい。これにより、筒状体の開口部から底部までを一度に攪拌することが防止されて、前述の如く一方の開口部から底部に至らない部分までを攪拌すると共に、袋状体を天地返しして、他方の開口部から底部に至らない部分までを攪拌する態様が有利に実現可能となる。
【0031】
更にまた、生ゴミ処理方法に関する本発明の特徴とするところは、前述の本発明に係る生ゴミ処理用袋状体を用いて、該生ゴミ処理用袋状体における筒状体の一方の開口部を閉塞して一方の開口部を下にして置いておき、置いた状態で筒状体の上側の他方の開口部を環状保持体で開口状態に維持することで生ゴミ投入口として他方の開口部の開口状態で生ゴミを投入してから環状保持体を塑性変形させて閉塞状態に維持する作業を適数回繰り返し、その後、それら両側開口部を閉塞した状態で袋状体の天地方向を逆にして他方の開口部を下にして置いておき、置いた状態で筒状体の上側の一方の開口部を環状保持体で開口状態に維持することで生ゴミ投入口として一方の開口部の開口状態で生ゴミを投入してから環状保持体を塑性変形させて閉塞状態に維持する作業を適数回繰り返し、更に、これら一方の開口部と他方の開口部をそれぞれ生ゴミ投入口として生ゴミを投入する作業を適数回繰り返す生ゴミの処理方法にある。
【0032】
本発明に従う生ゴミの処理方法によれば、適当な周期で袋状体を天地返しすることによって、前述の如く、深さ方向の開口部から所定深さ領域を交互に所定期間毎に生ゴミ投入領域とすると共に、深さ方向の底部から所定深さ領域を交互に所定期間毎に生ゴミ発酵分解処理領域とすることが出来る。それ故、天地反転操作で収容基材の全体を有効に活用して効率的な生ゴミ分解処理を実現せしめつつ、攪拌操作の作業労力の軽減が図られ得るのである。
【0033】
また、本発明に係る生ゴミの処理方法では、生ゴミの投入に際して、生ゴミ投入口から2/3以下の深さの範囲内で攪拌する方法が、採用されても良い。このような方法によれば、一方の開口部から底部に至らない部分までを攪拌すると共に、袋状体を天地返しして、他方の開口部から底部に至らない部分までを攪拌する態様が好適に採用される。より好適には、生ゴミ投入口とされた上側の開口部から深さ方向に半分以下の領域で、攪拌操作するようにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について説明する。先ず、図1には、本発明の生ゴミ処理用袋状体に係る第一の実施形態としての処理袋10が示されている。この処理袋10は、筒状体12を含んで構成されている。
【0035】
より詳細には、筒状体12は、薄肉の略円筒形状を有している。特に本実施形態では、筒状体12の素材として建築用のハウスラップが用いられている。ハウスラップには、例えば、デュポン株式会社製のタイベック(商品名)や東洋紡績株式会社製のエクーレ(商品名)、旭化成せんい株式会社製のエルタス(商品名)、東レ株式会社製のアクスター(商品名)等が採用される。かかるハウスラップは、0.5〜10ミクロン程度のポリエチレンからなる極細長繊維の多数に高熱を加えることでそれら多数の極細長繊維を結合させてなる不織布とされており、防水性や通気性、耐熱性、耐久性等に優れている。それによって、ハウスラップからなる筒状体12には、防水性や通気性、耐熱性、耐久性等が十分に備わっている。また、ハウスラップが薄肉の不織布からなることにより、筒状体12が変形容易な柔軟性を備えている。このようなハウスラップを用いて円筒形状の筒状体12を形成するには、例えば、薄肉の矩形状を有するハウスラップを幅方向に湾曲させて幅方向両端部分を相互に重ね合わせて縫合することにより実現される。
【0036】
また、筒状体12の両側開口部14a,14bの周縁部には、環状保持体としての口金16がそれぞれ設けられている。口金16は、銅線等の細い線条の金属材からなる針金が周方向に連続して延びた環状を呈していると共に、手作業で塑性変形可能な程度の塑性を有している。この口金16が筒状体12に装着されない状態下、筒状体12の各開口部14の端縁部よりも本体側に位置して、筒状体12の内周面に沿って配されると共に、筒状体12における各開口部14の端縁部から口金16を配した部分が筒状体12の内側に向かって折り曲げられて、端縁部が口金16よりも本体側の内周面に重ね合わせられて縫い糸18で縫合される。これにより、筒状体12の開口部14の端部側には、全周に亘って連続して延びる環状の隙間が形成されることとなり、かかる環状の隙間内に口金16が収容配置されることで、口金16が筒状体12に装着されている。この口金16の塑性変形に基づいて、筒状体12の両側開口部14a,14bを、手作業で任意の形状に塑性変形することが出来る。本実施形態では、これら一対の口金16,16と筒状体12を含んで処理袋10が構成されている。
【0037】
それによって、例えば、図2にも示されているように、筒状体12における一方(図2中、上)の開口部14a側の口金16を大径の円環形状を呈するように塑性変形させることによって、筒状体12の一方の開口部14aが、大きな円形状を呈するように開口状態が維持される。
【0038】
また、筒状体12の他方(図2中、下)の開口部14bが、口金16の塑性変形により閉塞状態が維持されている。具体的に、例えば、筒状体12の他方の開口部14bの縁部において、中心軸を挟んだ一幅方向で対向位置せしめられる二箇所を折り曲げて、縁部の内側が重なり合うように口金16を塑性変形させると共に、開口部14の重なり合った縁部が略直線状に延びる方向で複数回折り畳むように口金16を塑性変形させたり、或いは渦巻き状に湾曲するように塑性変形させたりすることで、筒状体12の他方の開口部14bが、絞り込まれるようにして閉塞状態が維持される。このように筒状体12の他方の開口部14bが閉塞されることによって、筒状体12の底部が形成されることとなり、筒状体12の一方の開口部14aから後述する生ゴミや生ゴミ処理基材を投入して、筒状体12内に堆積することが可能となる。このことからも明らかなように、図2に示される形態では、筒状体12の一方の開口部14aが、口金16で開口状態に維持されて、生ゴミ投入口とされている。
【0039】
また、本実施形態に係る筒状体12では、形状や大きさが同じ両側開口部14a,14bに同一構造の口金16が設けられることにより、両端部分が対称的な構造とされている。それ故、例えば、図2に示される形態とは逆に、筒状体12の一方の開口部14aを口金16の塑性変形で閉塞状態に維持すると共に、他方の開口部14bを口金16の塑性変形で開口状態に維持することも勿論可能である。
【0040】
また、例えば、図3にも示されているように、筒状体12の一方(図3中、上)の開口部14a側の口金16も他方(図3中、下)の開口部14b側の口金16と同様に塑性変形させて、一方の開口部14aを閉塞状態に維持させることによって、筒状体12の両側開口部14a,14bを閉塞し、筒状体12の内部を密閉状態に保持することが可能となる。
【0041】
さらに、本実施形態に係る処理袋10は、例えば図4にも示されているように、小さく畳むことも可能である。即ち、図4に示される形態では、図1に示されるように筒状体12の両側開口部14a,14bが開口している形態から、一対の口金16,16を筒状体12で簀巻き状に巻いて、巻物の長手方向に一回又は複数回折り畳むことに伴い、各口金16が折り畳むように塑性変形される。これら口金16,16の塑性変形を利用して、処理袋10を小さく畳んだ形状が維持される。
【0042】
このような構造とされた処理袋10は、図5に示される如き生ゴミ処理セット20の一部を構成する。生ゴミ処理セット20は、上述の処理袋10と攪拌具22と生ゴミ処理基材24を含んで構成されている。
【0043】
攪拌具22は、細長のロッド形状を有する一対の棒材からなり、硬質の金属材や合成樹脂材、木材等の硬質材を用いて形成されている。特に本実施形態では、攪拌具22の一方の端部から他方の端部に至る軸方向長さ:lが、筒状部12の一方の開口部14aから他方の開口部14bに至る軸方向長さ:Lの2/3倍よりも小さくされており、l≦2/3とされている。
【0044】
生ゴミ処理基材24には、例えば、豚や牛、鶏等の家畜の糞尿に、わらや籾殻、おが粉(おが屑)等を混合した公知のものが採用されるが、好ましくは、本出願人が先に出願した特開2005−186000号の明細書や図面に示される如き糞尿処理基材が用いられる。即ち、本実施形態に係る生ゴミ処理基材24は、木材を破砕して得られた木材破砕物と、樹皮を破砕して得られた樹皮破砕物と、曝気処理した豚及び/又は牛の糞尿を含んで構成されており、特に木材破砕物と樹皮破砕物の少なくとも一方が、細長比が2〜20の細長形状を有している。この曝気処理した豚及び/又は牛の糞尿には、有用な好気性微生物が含まれている。また、細長比は、各破砕物における最大長さ寸法を最大幅寸法で割った値をいう。更に、上記木材の破砕物には、生木を破砕した生木粉砕物が含まれていることが望ましい。また、前記樹皮粉砕物は、その体積が、木材破砕物及び樹皮破砕物を含む木質破砕物の全体積の1/3以上とすることが望ましい。これにより、生ゴミ処理能力の更なる向上が図られ得る。
【0045】
かかる生ゴミ処理基材24は、生ゴミ処理セット20の一部として処理袋10や攪拌具22と共に販売される際に、例えば図示しない通気性を有するケースに入れられることも可能であるが、図5にも示されるように、生ゴミ処理基材24を収容する容器として、両側開口部14a,14bが閉塞せしめられた密閉状の処理袋10を利用することが好ましい。それによって、好気性微生物に必要な酸素を確保するための通気性を有するケースを特別に用意する必要がなくなる。特に本実施形態では、両側開口部14a,14bが閉塞せしめられた処理袋10の容積に対して、1/10〜1/2倍の体積の生ゴミ処理基材24が収容配置されている。
【0046】
次に、上述の如き生ゴミ処理セット20を用いて生ゴミを発酵分解処理する処理方法の一具体例について説明するが、本発明は、かかる具体例に限定されるものでない。
【0047】
先ず、図2,6にも示されているように、処理袋10の筒状体12を、一方の開口部14aが開口し、且つ他方の開口部14bが閉じた形態に保持せしめ、筒状体12の閉じられた他方の開口部14b側を下にして、地面26に載置する。ここで、口金16の塑性変形に伴い小さく絞られた筒状体12の他方の開口部14bの端部の剛性が、口金16が装着されていることで筒状体12の開口部14の周りの剛性よりも大きくされていることに基づいて、筒状体12の他方の開口部14b側が地面に載置されることに伴い、他方の開口部14b側の端部が、その閉塞状態を保ったまま筒状体12の内側にめり込むように変形せしめられる。
【0048】
また、本実施形態では、目的とする生ゴミ28の処理に際して、適量の生ゴミ処理基材24がすぐに使える状態で筒状体12内に収容配置されているため、処理袋10を上述の如き形態で地面26に載置することで、生ゴミ28を処理袋10にすぐに投入出来る状態となっているが、必要に応じて、生ゴミ28を投入する前に、生ゴミ処理基材24の全体を攪拌具22等でならしたり、生ゴミ処理基材24の量を適当に増減しても良い。
【0049】
そして、図6中、上方に向かって開口する生ゴミ投入口としての筒状体12の一方の開口部14a側から生ゴミ28を投入し、必要に応じて、一方の開口部14a側から手作業で攪拌具22を差し入れてかき混ぜることで、生ゴミ28と生ゴミ処理基材24を混合する。この攪拌作業は、生ゴミ28が生ゴミ処理基材24に対して多かったり、発酵分解処理の遅い生ゴミ28が含まれている場合等に有効である。特に本実施形態では、生ゴミ投入口としての一方の開口部14aから2/3以下の深さまでを攪拌する。ここで、生ゴミ処理基材24の底部側に向かう下半分が一方の開口部14aから2/3以上の深さに位置せしめられている。その結果、処理袋10内に収容される生ゴミ処理基材24の一方の開口部14a側に向かう上半分と生ゴミ28が混ざり合うように攪拌せしめる一方、生ゴミ処理基材24の底部側に向かう下半分を攪拌しないようにしている。
【0050】
なお、生ゴミ28を投入して生ゴミ処理基材24を攪拌するに際しては、筒状体12の開口部から半分の深さ領域の全体までも攪拌する必要はなく、投入した生ゴミ28が生ゴミ処理基材24が覆われて隠れる程度に攪拌するだけでも充分である。また、生ゴミ28を毎日少量ずつ投入して連日使用するような場合では、生ゴミ28が、次第に開口部側に向けて積層されるように、例えば投入初日は深さ方向の略半分まで攪拌して、投入された生ゴミ28を深さ方向の略半分の位置に埋没させると共に、日を追うごとに生ゴミ28の埋没位置を開口部側の浅い領域に設定するように、攪拌深さを調節することも有効である。このような使用方法では、次第に深い処から生ゴミ28が分解されて行くし、また古い生ゴミ28が攪拌で表面に出て異臭を放つことも出来るだけ抑えることが可能となる。
【0051】
また、生ゴミ28を投入して生ゴミ28と生ゴミ処理基材24を混合した後には、図7にも示されるように、筒状体12の一方の開口部14aも他方の開口部14bと同様に、口金16の塑性変形により閉塞状態が維持されるようになっている。これにより、密閉された処理袋10のなかで生ゴミ28の発酵分解処理を行う。ここで、発酵分解作用が早い生ゴミ28は、新たな生ゴミ28を投入する前に分解して消滅するが、発酵分解作用が遅い生ゴミ28は、新たな生ゴミ28と共に発酵分解される。
【0052】
新たな生ゴミ28や生ゴミ処理基材24を投入するには、筒状体12の一方の開口部14a側の口金16を塑性変形せしめて一方の開口部14aを開口状態に維持せしめ、再び一方の開口部14aから投入する。更に、生ゴミ処理基材24の一方の開口部14a側に向かう上半分と生ゴミ28が混ざり合うように攪拌具22で攪拌せしめ、必要に応じて、過去に投入した発酵分解途中の生ゴミ28とも混ざり合うように攪拌せしめる。その後、筒状体12の一方の開口部14aを口金16の塑性変形により閉塞して、処理袋10の中で新たな生ゴミ28の発酵分解処理を行う。
【0053】
而して、図6に示される如き一方の開口部14aの開口状態で、生ゴミ28を投入すると共に、攪拌具22で生ゴミ処理基材24の上半分を攪拌する作業と、図7に示される如き生ゴミ28を投入した後に、一方の開口部14aを閉塞状態に維持する作業を適数回繰り返す。
【0054】
上述の作業を適数回繰り返すことで、所定の期間(例えば、最初に生ゴミ28を投入した日から約二週間)が経過した後、図8にも示されているように、処理袋10の両側開口部14a,14bを閉塞した状態で処理袋10の天地方向を逆にして、一方の開口部14a側を下にして、地面16に載置する。これに伴い、処理袋10内に収容配置された生ゴミ28や生ゴミ処理基材24の多くも、その天地方向が逆となり、処理袋10内で生ゴミ28および生ゴミ処理基材24の上半分に位置せしめられていた部分が下半分に位置せしめられて一方の開口部14a側の底部に載置されると共に、生ゴミ処理基材24の下半分に位置せしめられていた部分が上半分に位置せしめられる。そこで、本実施形態では、生ゴミ28と生ゴミ処理基材24の攪拌が上半分で行われていたことから、この天地返しによって、攪拌していない略未使用状態の生ゴミ処理基材24が他方の開口部14b側に位置せしめられる一方、生ゴミ28と攪拌された生ゴミ処理基材24が処理袋10の底部側に位置せしめられる。
【0055】
そして、図9にも示されているように、他方の開口部14b側の口金16を塑性変形して他方の開口部14bを開口状態に維持することで、生ゴミ投入口とする。この他方の開口部14bから新たに生ゴミ28を投入し、必要に応じて、他方の開口部14b側から手作業で攪拌具22を差し入れてかき混ぜることで、生ゴミ28と生ゴミ処理基材24を混合する。ここでの攪拌作業も、前述の天地返しをする前の攪拌作業と同様に、処理袋10内に収容される生ゴミ処理基材24の他方の開口部14b側に向かう上半分と生ゴミ28が混ざり合うように攪拌せしめる一方、生ゴミ処理基材24の底部側に向かう下半分を攪拌しないようにしている。即ち、天地返しをする前に、生ゴミ28と共に攪拌して使用されていた生ゴミ処理基材24を、処理袋10の底部側で攪拌処理せずに静置する一方、天地返しをする前に略未使用状態だった生ゴミ処理基材24を、此度の天地返しによって生ゴミ24と混合する。
【0056】
而して、図9に示される如き他方の開口部14bの開口状態で、生ゴミ28を投入すると共に、攪拌具22で生ゴミ処理基材24の上半分を攪拌する作業と、図7に示される作業と同様に、生ゴミ28を投入した後に、他方の開口部14bを閉塞状態に維持する作業を適数回繰り返す。これらの作業を適数回繰り返すことで、所定の期間(例えば、処理袋10の天地返しをして生ゴミ28を投入した日から約二週間)が経過した後、図8に示される作業と同様に、処理袋10の両側開口部14a,14bを閉塞した状態で処理袋10の天地方向を逆にして、再び他方の開口部14b側を下にして地面16に載置すると共に、一方の開口部14aを開いて生ゴミ投入口として使用する。而して、図6に示される如き一方の開口部14aの開口状態で、生ゴミ28を投入すると共に、攪拌具22で生ゴミ処理基材24の上半分を攪拌する作業と、図7に示される如き生ゴミ28を投入した後に、一方の開口部14aを閉塞状態に維持する作業を適数回繰り返す。
【0057】
生ゴミ28と共に攪拌された生ゴミ処理基材24は、生ゴミ28を発酵分解して消滅させた後にも、微生物が有効に生息することから、再び生ゴミ処理基材24として繰り返し使用することが可能である。しかし、使用し続けると、使用条件や環境の変化等によって微生物の数が減る場合も考えられることから、使用済みの生ゴミ処理基材24の一部または全部を、所定の期間(例えば、三ヶ月や半年)毎に取り出して、代わりに新品の生ゴミ処理基材24を投入しても良い。この使用済みの生ゴミ処理基材24は、堆肥として利用することが出来、不要であれば可燃ごみとして処理することも可能である。
【0058】
すなわち、本実施形態に係る生ゴミの処理方法によれば、所定の期間毎に処理袋10の天地方向を逆にして、処理袋10における一方の開口部14aと他方の開口部14bをそれぞれ生ゴミ投入口として生ゴミ28を投入する作業を適数回繰り返すと共に、天地方向で上側半分の生ゴミ処理基材24だけを攪拌する。その結果、生ゴミ28と混合していない新しい生ゴミ処理基材24や、生ゴミ28と混合して生ゴミ28を発酵分解処理した後に処理袋10内で養生された生ゴミ処理基材24を、生ゴミ28と効率良く接触させることが出来、多くの好気性微生物が付着された生ゴミ処理基材24の発酵分解作用により、比較的に短期間で生ゴミ28の発酵分解処理が実現され得る。
【0059】
そこにおいて、上述の如き構造とされた処理袋10では、両側開口部14a,14bに口金16が装着されて、両側開口部14a,14bが口金16により任意の形状に塑性変形可能とされている。これにより、生ゴミ28等の投入に際して生ゴミ投入口となる開口部14a(14b)を大きく開口した状態に維持せしめて、処理袋10を片手で保持し、且つもう片方の手で生ゴミ28や生ゴミ処理基材24を処理袋10に投入したり、或いは攪拌具22を差し入れてかき混ぜることが出来る。なお、生ゴミ28や生ゴミ処理基材24の収容状態で筒状体12が自立可能な素材で形成されている場合には、処理袋10を手で保持せずに、開口状態を維持した開口部14から生ゴミ28等を投入することも可能である。
【0060】
また、攪拌具22で生ゴミ処理基材28を攪拌する際に、処理袋10の開口部14が口金16の塑性変形によって大きく開いた状態に保持されていることから、処理袋10の内側で攪拌具22を動かすスペースが大きく確保されることとなり、所望の攪拌処理が実現される。
【0061】
しかも、口金16の装着による開口部14の形状安定性に基づいて、例えば、攪拌具22が処理袋10の筒状体12に触れた程度の小さな外力では、開口部14の変形が抑えられることから、攪拌作業の安全が図られる。
【0062】
それ故、本実施形態に係る処理袋10を備えた生ゴミ処理セット20によれば、生ゴミ28の発酵分解処理を効率良く且つ安全に行うことが出来る。
【0063】
また、特に上述の生ゴミ処理セット20においては、攪拌具22の軸方向長さ:lが処理袋10の軸方向長さ:Lの2/3以下とされていることにより、攪拌具22を用いた生ゴミ処理基材24の攪拌作業に際して、生ゴミ投入口14a(14b)から2/3よりも深い底部付近の攪拌がされ難くなっている。換言すれば、攪拌具22の軸方向長さ:lが処理袋10の軸方向長さ:Lに比して小さくされていることから、処理袋10の生ゴミ投入口から底部までの攪拌がされ難くなっている一方、生ゴミ投入口に近い側の攪拌がされ易くなっている。その結果、処理袋10内に収容される生ゴミ処理基材24の生ゴミ投入口14側に向かう上半分と生ゴミ28との攪拌が少ない労力で実現されることに加え、生ゴミ処理基材24の底部側に向かう下半分の攪拌が抑えられることによって、処理袋10を天地返しした際に生ゴミ28と新たに混合する処理基材として下半分の生ゴミ処理基材24をとっておくことが出来る。
【0064】
ところで、本実施形態に係る処理袋10の特徴は、不透水性で通気性を有する筒状体12の両側開口部14a,14bに対して、手作業で塑性変形可能な口金16,16がそれぞれ装着されており、筒状体12の一方の開口部14a(14b)を閉塞して内部に生ゴミ処理基材24を収容させた状態下で他方の開口部14b(14a)を口金16で開口状態に維持させて生ゴミ投入口とすることができることにある。従って、処理袋10で処理される物質には、必ずしも生ゴミ28だけに限定されるものでなく、かかる生ゴミ28の他、生ゴミ投入口から処理袋10に投入されて、処理袋10内で生ゴミ処理基材24に付着した好気性微生物により発酵分解処理される各種の有機系廃棄物が採用可能である。
【0065】
具体的に、例えば、生ゴミ28に代えて、ペット等の動物糞を処理袋10内で分解処理しても良い。このような動物糞の分解処理に際しては、例えば、前述の生ゴミ28の処理方法と同様に、動物糞を生ゴミ投入口から投入して攪拌具22を用いて生ゴミ処理基材24と攪拌した後に、新たな動物糞を投入して攪拌する作業を適数回繰り返し、動物糞の投入量にかかわらず所定の期間を経たら処理袋10の天地返しを行って、処理袋10の底部であった開口部を開いて生ゴミ投入口とし、天地返しを行う前の投入、攪拌作業を同様に適数回繰り返すことで、新旧の動物糞を継続的に処理袋10内で分解処理させることも可能である。かかる態様において、生ゴミ処理基材24は、必要に応じて処理袋10に投入される。
【0066】
また、動物糞を分解処理する別の方法として、例えば、動物糞を生ゴミ投入口から投入して生ゴミ処理基材24に載置したら、かかる動物糞が隠れて見えなくなる程度に生ゴミ投入口から生ゴミ処理基材24を投入し、またその生ゴミ処理基材24に載置した新たな動物糞を上から覆い隠すように生ゴミ処理基材24を投入することで、各動物糞が天地方向で生ゴミ処理基材24に挟まれるようにして、処理袋10内で動物糞と生ゴミ処理基材24を積層状に収容することも可能である。そして、処理袋10の底部から動物糞と生ゴミ処理基材24の積層物をためていき、処理袋10の半分程の深さになったら処理袋10を反転(天地返し)させて、底部であった開口部を開いて生ゴミ投入口とし、また動物糞と生ゴミ処理基材24を積層状に投入しても良い。このような動物糞の処理方法では、天地返しを利用して、処理袋10の底部にあった初日に投入したものが開口部側に位置せしめられ、且つ一番新しく投入した開口部側にあったものが底部側に位置せしめられることから、新しく投入した動物糞の悪臭を有利に抑えることが出来る。また、多少掻き混ぜても、新しい糞が上に露出することが抑えられることに加え、動物糞が生ゴミ処理基材24を挟んで積層状に収容されていることから、更なる悪臭防止効果が図られ得る。
【0067】
なお、動物糞の処理物や使用済みの生ゴミ処理基材24は、堆肥として利用することが出来、不要であれば可燃ごみとして処理することも可能である。また、動物糞が生ゴミ処理基材24で挟まれることから、攪拌作業を省略または必要最小限にしても良い。また、上述の如き積層方法による動物糞の処理方法は、同様に、前述の生ゴミの処理方法にも適用可能であり有効である。
【0068】
また、本実施形態に係る処理袋10を、例えば災害時の簡易トイレとして使用することも可能である。具体的に、例えば庭や野原、山中等に穴を掘り、そこに処理袋10を設置する。処理袋10の上部開口を口金16で開口状態に維持して用を足す。用を足したら、糞尿を攪拌具22等で攪拌せしめたり、或いは前述の積層方法による動物糞の処理方法と同様に、糞尿を覆い隠すように生ゴミ処理基材24を投入し、またその上から用を足して生ゴミ処理基材24を投入することで、糞尿と生ゴミ処理基材24を積層状態にする。それによって、人の糞尿も処理袋10内で分解処理せしめることが出来る。その際、処理袋10が底部側の開口が閉塞せしめられた袋状体とされていることから、適当な時期で処理袋10を穴から取り出して、糞尿の処理物や使用済みの処理基材24を処理することが容易となる。更に、本実施形態に係る処理袋10は、両側端部が開閉可能とされていることから、前述の生ゴミやペット等の動物糞の処理方法と同様に、適当な期間で処理袋10を反転させて使用すれば、生ゴミ処理基材24を殆ど捨てることなく効率的に且つ長期間に亘って、人糞を分解処理することが可能となるのである。
【0069】
あるいは、簡易的に、木製の台や箱等を作って本実施形態に係る処理袋10を下方に設置して、簡易トイレを構成することも可能である。このような構造とすることで、可搬式のトイレを容易に且つ安価に、軽量に製造することが出来る。また、処理基材24を入れた処理袋10は、トイレ躯体と別途に搬送することが出来る。また、タンク式の従来の簡易トイレに比して、分解処理する基材24を備えていることから、廃棄物の量が激減することに加え、悪臭の対策効果も有利となる。
【0070】
次に、図10,11には、本発明の生ゴミ処理用袋状体に係る第二の実施形態としての処理袋30が示されている。以下の説明において、前記第一の実施形態と実質的に同一の構造とされた部材および部位については、第一の実施形態と同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0071】
詳細には、筒状体12の外周面において、開口部14よりも本体側(図10,11では、上から下)に所定距離だけ離れた位置で周方向に連続して延びる目視可能なライン32が表示されている。本実施形態では、開口部14とライン32の離隔距離が比較的に短くされていることによって、ライン32が筒状体12の開口部14付近に設けられている。
【0072】
このようなライン32を備えた筒状体12においては、例えば、第一の実施形態と同様に、筒状体12の開口部14の縁部において、中心軸を挟んだ一幅方向で対向位置せしめられる二箇所を折り曲げて、縁部の内側が重なり合うように口金16を塑性変形させると共に、開口部14の重なり合った縁部が略直線状に延びる方向で複数回折り畳むように口金16を塑性変形させたり、或いは渦巻き状に湾曲するように塑性変形させたりすることで、筒状体12の開口部14が、絞り込まれるようにして閉塞状態が維持される。
【0073】
このように筒状体12の開口部14が閉塞される際に、開口部14付近の筒状体12が絞られるように変形されることに伴い、開口部14付近に設けられたライン32が、周方向で小さく折り畳まれているが、周方向に連続して延びる形態は保持されている。このライン32を目印として、締付紐34がライン32に沿って配されて、周方向で結び付けられている。即ち、筒状体12の中央側(本体側)と開口部14の間において、開口部側に偏倚した部分が、締付紐34で縛られている。この締付紐34は、合成樹脂製乃至は天然樹脂製のロープ材等で形成されており、好ましくは耐久性があって且つ耐食性の高い素材で形成される。かかる締付紐34は、例えば第一の実施形態に示される生ゴミ処理セット20の一部を構成して、処理袋30(10)や攪拌具22、生ゴミ処理基材24等と共に販売されても良いし、或いは生ゴミ処理セット20のオプション品として単独で売られても良い。
【0074】
本実施形態に従う構造とされた処理袋30においては、前記第一の実施形態と同様に、開口部14に装着された口金16の塑性変形を利用して、開口部14が任意の形状に塑性変形可能とされていることから、生ゴミ28の投入や攪拌具22のかき混ぜに際して、開口部14を大きく開いた状態に保持したり、或いは開口部14を密閉状に閉じた状態に保持することが可能となって、生ゴミ28を発酵分解処理する際の作業効率が向上され得る。
【0075】
しかも、本実施形態では、開口部14の閉塞状態下、筒状体12の開口部14付近が締付紐34で縛られていることで、開口部14の閉塞状態が容易に解除され難くなっている。それ故、開口部14が一層安定して閉塞状態に保持されて、処理袋30の取り扱い性が一層向上され得る。
【0076】
また、特に本実施形態では、締付紐34の筒状部12での締付け位置を表示するライン32が設けられていることから、締付紐34が筒状部12の本体側に必要以上に寄ることに起因して処理袋30における生ゴミ28の収容スペースを著しく制限したり、締付紐34が筒状部12の開口部14側に必要以上に寄ることに起因して締付紐34が筒状体12に安定して締付けられ難くなったりすることが防止され得る。
【0077】
次に、図12,13には、本発明の生ゴミ処理用袋状体に係る第三の実施形態としての処理袋40が示されている。
【0078】
詳細には、本実施形態に係る筒状体12が、両側開口部14の開口状態で略矩形筒状を有しており、この開口部14の内周面に沿って口金16が装着されることにいより、本実施形態に係る口金16が、略矩形環状を有している。
【0079】
筒状体12の中心軸を挟んだ一方向で対向位置せしめられた一方の壁部の外周面には、筒状体12の開口部14よりも所定距離だけ離れた位置において、複数(本実施形態では、一対)の固定バンド42が設けられている。固定バンド42は、筒状部12と同じ素材で形成されて、筒状部12の軸方向に延びる変形容易な帯状を呈しており、その一方の端部が筒状部12の本体側に固定されていると共に、筒状体12の開口部14側に向かう他方の端部には、ボタン止め部44が設けられている。
【0080】
筒状体12において固定バンド42が設けられたのと反対側の他方の壁部の外周面には、筒状体12の開口部14よりも所定距離だけ離れた位置において、固定バンド42のボタン止め具44に対応する形状及び数(本実施形態では、一対)のボタン受け具46が固設されている。
【0081】
このような筒状体12の開口部14を閉塞するには、固定バンド42やボタン止め具46が設けられた壁部の対向方向に直交する方向(図12中、左右)で対向位置せしめられた壁部の上端に位置せしめられる口金16を、その長手方向の略中央部分から筒状体12の内側に向かって折り曲げるように塑性変形させると共に、固定バンド42やボタン受け具46が設けられた壁部の開口端部の内周面を互いに重ね合わせるように口金16を塑性変形させる。これにより口金16を折り畳むように塑性変形させる。そして、折り畳んだ口金16を筒状体12の開口部14側から本体側に向かって筒状体12で簀巻き状に巻くと共に、筒状体12の外周面に設けられた固定用バンド42の先端部分の各ボタン止め具44を各ボタン受け具46に係止させる。
【0082】
これにより、筒状体12の開口部14が、口金16の塑性変形により閉塞状態に維持されていると共に、簀巻き状に変形せしめられた筒状体12の開口部14の形状が、ボタン止め具44とボタン受け具46の係止作用により保持されている。
【0083】
本実施形態に従う構造とされた処理袋40においては、前記第一の実施形態や第二の実施形態と同様に、開口部14に装着された口金16の塑性変形を利用して、開口部14が任意の形状に塑性変形可能とされていることから、生ゴミ28の投入や攪拌具22のかき混ぜに際して、開口部14を大きく開いた状態に保持したり、或いは開口部14を密閉状に閉じた状態に保持することが可能となって、生ゴミ28を発酵分解処理する際の作業効率が向上され得る。
【0084】
特に本実施形態に示されるように、矩形筒状を有する筒状体12に対しても口金16の塑性変形によって、開口部14の開口状態や閉塞状態を任意に設定することが出来る。
【0085】
また、本実施形態では、簀巻き状に変形せしめられて筒状体12の開口部14が閉じられるようになっていると共に、筒状体12の簀巻き形状がボタン止め具44とボタン受け具46の係止作用により保持されていることから、開口部14の閉塞状態が一層確実となり、処理袋40の取り扱い性の更なる向上が図られ得る。
【0086】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これら実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能であり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0087】
例えば、処理袋10,20,40や攪拌具22、生ゴミ処理基材24等における形状や大きさ、構造等は例示の如きものに限定されない。
【0088】
前記第二の実施形態に示されていたライン32や締付紐34、前記第三の実施形態に示されていたボタン止め具44を備えた固定用バンド42やボタン受け具46等は、必須の構成要件でない。
【0089】
前記第二の実施形態に示されていたラインを、例えば生ゴミ投入口から投入せしめられる生ゴミ乃至は生ゴミ処理基材の上限を示す、収容制限ラインとして、筒状体の内周面または外周面に設けることも可能である。
【0090】
また、前記実施形態では、口金16が周方向に連続して延びていたが、周方向で複数に分断された状態で、筒状体に装着されるようにしても良い。
【0091】
さらに、前記実施形態では、口金16が筒状体12の各開口部14に一つ設けられていたが、各開口部に複数条設けられていても良い。この複数条に設けられる形態には、例えば、周方向に連続して延びる環状の口金が筒状体の軸方向に複数配設されていたり、一つの口金が筒状体を螺旋状に巻いている形態等を含む。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第一の実施形態としての処理袋の斜視説明図。
【図2】図1に示された処理袋の下側開口部を閉じた状態を示す斜視説明図。
【図3】図1に示された処理袋の上下開口部を閉じた状態を示す斜視説明図。
【図4】図1に示された処理袋の一収納状態を示す斜視説明図。
【図5】図1に示された処理袋の利用状態を説明するための斜視説明図。
【図6】図1に示された処理袋を用いた生ゴミの処理方法の一工程を示す斜視説明図。
【図7】図1に示された処理袋を用いた生ゴミの処理方法の図6と異なる一工程を示す斜視説明図。
【図8】図1に示された処理袋を用いた生ゴミの処理方法の図6,7と異なる一工程を示す斜視説明図。
【図9】図1に示された処理袋を用いた生ゴミの処理方法の図6〜8と異なる一工程を示す斜視説明図。
【図10】本発明の第二の実施形態としての処理袋の要部を示す斜視説明図。
【図11】図10に示された処理袋の上側開口部を閉じた状態を示す斜視説明図。
【図12】本発明の第三の実施形態としての処理袋の要部を示す斜視説明図。
【図13】図12に示された処理袋の上側開口部を閉じた状態を示す斜視説明図。
【符号の説明】
【0093】
10:処理袋、12:筒状体、14a:一方の開口部、14b:他方の開口部、16:口金、24:生ゴミ処理基材
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ゴミを微生物で分解処理する技術に係り、特に生ゴミの微生物による分解処理を一般家庭等においても容易に行うことの出来る新規な構造の生ゴミ処理用袋状体および新規な生ゴミ処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、家庭等で排出される生ゴミを処理する方法の一種として、土中の好気性微生物を利用し、或いは好気性微生物が付着した生ゴミ処理基材を生ゴミに混合することによって、かかる好気性微生物で生ゴミを発酵分解処理することが知られている。
【0003】
具体的に、生ゴミを発酵分解処理するには、例えば、生ゴミ処理基材を混ぜた生ゴミを屋外に置いて発酵させる手段がある。しかし、生ゴミを単に屋外に置いておくだけでは、悪臭が漂って虫の発生原因の元となるだけでなく、風雨に晒されて条件が変化することにより目的とする発酵分解処理の効率が低下し易い等という問題があった。
【0004】
かかる問題に対処するために、例えば、特許文献1(特開平08−53203号公報)に記載されているように、下方に開口した逆向きの袋体で用い、地上に堆積させた生ゴミに対してこの袋体を上方から被せて覆うことにより、悪臭の拡散を抑えつつ堆肥化を図ることも考えられる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の袋状体は、単に、地上に堆積させた生ゴミの表面だけを覆うに過ぎない。それ故、切り返し等の混合作業が出来ず、微生物による生ゴミの分解効率が悪いという問題があった。
【0006】
また、特許文献2(特開2003−335595号公報)に記載されているように、生ゴミと微生物付着基材とを予め混合したものを通気性の袋体に入れて閉じ、この袋体の内部で発酵分解処理させることも考えられる。このように、袋体に入れたままで発酵分解処理させることにより、袋体を天地反転させたり転動させることにより、地上での切り返しに類似の効果を得ることが可能となって、良好な作業効率のもとで切り返しによる分割効率の向上が図られ得ると記載されている。
【0007】
ところが、これら特許文献1,2に記載されている如き従来構造の袋体は、何れも、所定量の生ゴミを収容状態で密封し、微生物分解が完了するまで開放しないでおくものに過ぎない。従って、例えば毎日少量ずつ発生する家庭内生ゴミ等への対応が極めて困難である。かかる家庭用生ゴミ等のように毎日発生する生ゴミの処理に対応しようとすると、たとえ微生物による生ゴミの発酵分解が10日で完了するとしても10個の袋体を並べて順次に使用して行くことが必要となってしまって現実的でない。
【0008】
なお、引用文献1に記載の袋体は、下側の開口部に加えて、上側にも閉塞可能な開口部を備えているが、この上側の開口部は単に樹脂製の市販の生ゴミ保持筒体を抜き取るためのものに過ぎない。また、引用文献2に記載の袋体も、下側の開口部に加えて、上側にも閉塞可能な開口部を備えているが、この上側の開口部は単に注水や通気を行って湿度等の内部環境を調節するためのものに過ぎない。
【0009】
【特許文献1】特開平08−53203号公報
【特許文献2】特開2003−335595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、(i)家庭用生ゴミ等のように少しずつ連続的に発生する生ゴミを順次に投入して処理することが容易に実施可能とされると共に、(ii)家庭用生ゴミ等のように少しずつ連続的に発生する生ゴミを効率的に処理することが出来る、新規な構造の生ゴミ処理用袋状体および新規な生ゴミ処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意な組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0012】
すなわち、本発明の特徴とするところは、不透水性で通気性を有するシート状の素材で形成された筒状体に対して、手作業で塑性変形可能な環状保持体が筒状体の両側開口部にそれぞれ装着されており、筒状体の一方の開口部を閉塞せしめて内部に生ゴミ処理基材を収容せしめた状態下で他方の開口部を環状保持体で開口状態に維持させて生ゴミ投入口とすることができるようにした生ゴミ処理用袋状体にある。
【0013】
このような本発明に従う構造とされた生ゴミ処理用袋状体においては、環状保持体が、手作業で塑性変形可能である程度に、形状の保持機能をもっている。この形状保持機能を利用して、筒状体の両側開口部を、それぞれ開口状態または閉塞状態に簡単に維持することが出来る。
【0014】
これにより、例えば、筒状体の一方の開口部に装着された環状保持体を変形させることで筒状体の一方の開口部を閉じることによって、筒状体の底部を形成して有底の袋状体を構成することが出来る。そして、かかる有底の袋状体において、他方の開口部では、そこに装着された環状保持体を環状に広げることで他方の開口部を生ゴミ投入口として開いた状態に保持せしめ、この投入口から生ゴミ処理基材や生ゴミを投入することが出来る。また、生ゴミ投入口も、環状保持体を変形させることで、速やかに閉塞状態とすると共に、かかる閉塞状態に保持させることも可能である。
【0015】
なお、かかる筒状態の両側の開口部における閉塞状態は、かかる環状保持体の塑性変形によるだけでなく、それに加えて、後述するように、別途準備した紐等を袋状体の開口部付近に巻き付けて縛ること等によって、一層強固に且つ確実に実現可能である。
【0016】
また、かかる筒状体は、その天地方向を逆にすると共に、筒状体の一方の開口部を開き、且つ他方の開口部を閉じることによって、生ゴミ投入口と底部の位置を筒状体の両側で相互に代えて、生ゴミ等を筒状体の一方の側から投入することも可能となる。即ち、本構造によれば、生ゴミ投入口と底部を、生ゴミの処理態様や袋状体の使用条件等に応じて袋状体の両側で交代させることが出来るのである。
【0017】
また、筒状体の開口部の形状安定性に基づき、例えば、作業員が片手で環状保持体や開口縁部等を持ちながら、もう片方の手で生ゴミを投入することも出来る。要するに、環状保持体が形状保持機能をもっていることから、作業者はこの環状保持体を持つことで、袋状体の開口部を持ち上げて筒状体の開口部を一方ので筒状に保持せしめて維持することが出来るのであり、かかる開口保持状態下で、他方の手で生ゴミを袋状体に投入することが可能となるのである。これによって、袋状体の外への生ゴミのこぼれ出しを防止つつ、生ゴミの袋状体への投入作業を一人でも簡単に行うことも出来る。
【0018】
さらに、袋状体としてシート状のものを採用したことにより、環状保持体の装着部位を除いた部分では、良好な柔軟性が確保され得る。それ故、生ゴミや生ゴミ処理基材の投入量等に対応して任意に変形することとなる。これにより、生ゴミや生ゴミ処理基材が効率良く即ちコンパクトに収容され得る。また、袋状体を使用しない時には、袋状体を小さく畳むことが出来ることに加え、塑性変形可能な環状保持体の形状保持機能を利用して、袋状体を小さく畳んだ状態に保持することも容易に出来る。それ故、特別な形状保持具を別途採用しなくとも袋状体を小さく畳んだ状態に保持することが出来て、持ち運び等の取扱いが容易となり、収納も効率的に出来ると共に、流通コストも抑えられる。尤も、必要に応じてバンドや紐,ケース等の形状保持具を併せて採用し、袋状体をより小さく折り畳んだ状態に保持させることも可能である。
【0019】
また、筒状体が通気性で且つ不透水性を有するシート材で形成されていることから、筒状体の内部の湿度や温度が略一定に保たれて、好気性条件に適した環境が保護される。その結果、好気性微生物による生ゴミの発酵分解処理が効率良く実現され得る。
【0020】
また、本発明に係る生ゴミ処理用袋状体では、筒状体の両側開口部に巻き付けられることにより、筒状体の軸方向で環状保持体よりも内側を絞って閉塞させる一対の締付紐を設けた構造が、採用されても良い。このような構造によれば、筒状体の開口部の閉塞状態が一層安定する。また、袋状体を使用する迄の収納や流通の状態では、小さく折り畳んだ袋状体をかかる締付紐で縛っておくことで、袋状体を折り畳み状態に保持せしめるようにしても良い。
【0021】
また、本発明に係る生ゴミ処理用袋状体では、筒状体が、建築用のハウスラップを用いて形成されている構造が、採用されても良い。ハウスラップは、省エネルギーの意識向上等に伴う研究開発によってその性能が近年飛躍的に向上しており、特に高度な不透水性又は防水性や通気性、耐熱性等が実現されており、建築用資材として大量に経済的に供給されてきている。このような建築用資材であるハウスラップを、全く技術分野の異なる生ゴミ処理技術に係る本発明において別用途として利用することにより、本発明の実用化が極めて効率的に実現可能となるのである。
【0022】
すなわち、ハウスラップでは、不透水性(防水性)や通気性、耐熱性等に優れていることによって、それを用いた袋状体の内部では、湿度や温度等の好気性条件が安定して保持されることに加え、ハウスラップが高強度な素材で形成されていることにより袋状体の耐久性や強度が十分に確保される。特にハウスラップの断熱性を利用すると、微生物の発酵熱による温度が袋状体の内部で好適に保持されることとなり、袋状体を冬の外気に晒しても目的とする発酵分解処理が効率的に行われる。要するに、本態様では、ハウスラップが生ゴミ処理用袋状体の素材に適していることを見出した点に大きな技術的特徴を有するのであり、それによって、不透水性や通気性、耐熱性、耐久性等の物性に優れた生ゴミ処理用袋状体が、簡単に且つ低コストで実現可能となるのである。
【0023】
また、本発明に係る生ゴミ処理用袋状体では、筒状体の表面において、開口部よりも本体側に所定距離だけ離れた位置で周方向に延びる目視可能なラインを表示した構造が、採用されても良い。このような構造によれば、例えばラインを生ゴミ収容制限ラインとして用い、生ゴミを袋状体の底部からラインまで投入可能とすることによって、使用時の目安となって使用者に安心感を与えることが出来ると共に、使用条件の均一化を図ることにより、目的とする生ゴミの分解処理をより安定して発揮せしめることが可能となる。また、例えばラインを前述の締付紐の固定用ラインとして用いることによって、筒状部の開口部の締付紐による閉塞状態の確実性の向上を図ったり、締付紐の使用を促したりする効果も期待できる。
【0024】
さらに、本発明の生ゴミ処理用袋状体においては、生ゴミ処理用袋状体の筒状体に対して開口部から差し入れて生ゴミ処理基材をかき混ぜることの出来る攪拌具を、組み合わせて販売し、利用するようにしても良い。
【0025】
このような攪拌具を組み合わせてセットとした生ゴミ処理用袋状体においては、攪拌具を装備させることで使用者に対して生ゴミ処理基材及び生ゴミの攪拌行為を促すことが出来ると共に、かかる攪拌を容易に且つ効率的に行わしめることが可能となる。そして、生ゴミや生ゴミ処理基材がかき混ぜられることにより、袋状体に投入した生ゴミと処理基材が効率的に混合されることとなり、生ゴミの分解処理効率の向上等が発揮され得る。
【0026】
特に、本発明では、袋状体の開口部に環状保持体が装着されていることにより、上記攪拌具等による内部攪拌を容易に行うことが出来るという特別の効果も発揮し得る。即ち、攪拌具等で内部攪拌を行うに際しても、袋状体の開口部の形状安定性が環状保持体によって確保されていることから、袋状体の一部が下方に垂れ下がってそこから基材や生ゴミが外部にこぼれ落ちるようなこともない。
【0027】
さらに、攪拌具等を袋状体の上部開口から差し入れて、その柄の部分だけを袋状体の上部開口から外部に突出させた状態で、環状保持体を塑性変形させて袋状体の上部開口を閉塞させることも出来る。そのような閉口状態で攪拌具等を回動操作等することにより、袋状体に収容された基材や生ゴミの上部開口からのこぼれ出しを略完全に防止しつつ、基材や生ゴミを充分に攪拌することが可能となるのである。
【0028】
また、本発明に係る生ゴミ処理用袋状体によれば、袋状体の両側に開口部が設けられており、任意の一方の開口部を閉塞状態に保持せしめて下方に位置させることで底部を構成すると共に、上方に位置せしめた他方の開口部を開閉可能な投入口とすることが出来る。しかも、袋状体の両側開口部は、開状態と閉状態を繰り返して発現させることが出来ることから、天地を返すことで、交互に底部と投入口として両側開口部を利用することが可能である。そして、開口部から底部に向けて半分以下の領域だけを利用して生ゴミの投入と攪拌による発酵分解処理を行うこととし、少量ずつの投入を数日間に亘って行ったあと、袋状体を天地返しして、他方の開口部から底部に向けて半分の領域だけを利用して生ゴミの投入と攪拌による発酵分解処理を行うといった態様で、天地返しを適当な周期で繰り返して利用することが出来る。
【0029】
このような利用方法によれば、生ゴミ処理基材に対して投入された生ゴミの量が飽和状態に近くなったり、異臭が発生したりする時期において、その生ゴミ投入領域を最底部に容易に且つ効率的に移動させることが出来、その後、天地反転させた開口部側の未使用の基材部分或いは生ゴミ分解処理が完了した領域の基材部分を利用して、新たな投入生ゴミと接触させて分解処理を行わせることが可能となる。それ故、生ゴミの発酵分解処理が、効率良く実現されると共に、開口部を開口させた際の異臭の放散も抑えることが可能となる。しかも、例えば攪拌具を用いて基材を攪拌するに際しても、生ゴミを投入した上部だけを攪拌し、少なくとも深さ方向の半分よりも底部側までを攪拌する必要がなくなることから、たとえ深底の袋状体を採用する場合でも、天地反転操作で収容基材の全体を有効に利用しつつ、攪拌操作の作業労力の軽減が図られる。
【0030】
なお、本構造では、攪拌具の長さ寸法が、筒状体の開口部から底部に至る軸方向長さの2/3以下とされていることが望ましい。これにより、筒状体の開口部から底部までを一度に攪拌することが防止されて、前述の如く一方の開口部から底部に至らない部分までを攪拌すると共に、袋状体を天地返しして、他方の開口部から底部に至らない部分までを攪拌する態様が有利に実現可能となる。
【0031】
更にまた、生ゴミ処理方法に関する本発明の特徴とするところは、前述の本発明に係る生ゴミ処理用袋状体を用いて、該生ゴミ処理用袋状体における筒状体の一方の開口部を閉塞して一方の開口部を下にして置いておき、置いた状態で筒状体の上側の他方の開口部を環状保持体で開口状態に維持することで生ゴミ投入口として他方の開口部の開口状態で生ゴミを投入してから環状保持体を塑性変形させて閉塞状態に維持する作業を適数回繰り返し、その後、それら両側開口部を閉塞した状態で袋状体の天地方向を逆にして他方の開口部を下にして置いておき、置いた状態で筒状体の上側の一方の開口部を環状保持体で開口状態に維持することで生ゴミ投入口として一方の開口部の開口状態で生ゴミを投入してから環状保持体を塑性変形させて閉塞状態に維持する作業を適数回繰り返し、更に、これら一方の開口部と他方の開口部をそれぞれ生ゴミ投入口として生ゴミを投入する作業を適数回繰り返す生ゴミの処理方法にある。
【0032】
本発明に従う生ゴミの処理方法によれば、適当な周期で袋状体を天地返しすることによって、前述の如く、深さ方向の開口部から所定深さ領域を交互に所定期間毎に生ゴミ投入領域とすると共に、深さ方向の底部から所定深さ領域を交互に所定期間毎に生ゴミ発酵分解処理領域とすることが出来る。それ故、天地反転操作で収容基材の全体を有効に活用して効率的な生ゴミ分解処理を実現せしめつつ、攪拌操作の作業労力の軽減が図られ得るのである。
【0033】
また、本発明に係る生ゴミの処理方法では、生ゴミの投入に際して、生ゴミ投入口から2/3以下の深さの範囲内で攪拌する方法が、採用されても良い。このような方法によれば、一方の開口部から底部に至らない部分までを攪拌すると共に、袋状体を天地返しして、他方の開口部から底部に至らない部分までを攪拌する態様が好適に採用される。より好適には、生ゴミ投入口とされた上側の開口部から深さ方向に半分以下の領域で、攪拌操作するようにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について説明する。先ず、図1には、本発明の生ゴミ処理用袋状体に係る第一の実施形態としての処理袋10が示されている。この処理袋10は、筒状体12を含んで構成されている。
【0035】
より詳細には、筒状体12は、薄肉の略円筒形状を有している。特に本実施形態では、筒状体12の素材として建築用のハウスラップが用いられている。ハウスラップには、例えば、デュポン株式会社製のタイベック(商品名)や東洋紡績株式会社製のエクーレ(商品名)、旭化成せんい株式会社製のエルタス(商品名)、東レ株式会社製のアクスター(商品名)等が採用される。かかるハウスラップは、0.5〜10ミクロン程度のポリエチレンからなる極細長繊維の多数に高熱を加えることでそれら多数の極細長繊維を結合させてなる不織布とされており、防水性や通気性、耐熱性、耐久性等に優れている。それによって、ハウスラップからなる筒状体12には、防水性や通気性、耐熱性、耐久性等が十分に備わっている。また、ハウスラップが薄肉の不織布からなることにより、筒状体12が変形容易な柔軟性を備えている。このようなハウスラップを用いて円筒形状の筒状体12を形成するには、例えば、薄肉の矩形状を有するハウスラップを幅方向に湾曲させて幅方向両端部分を相互に重ね合わせて縫合することにより実現される。
【0036】
また、筒状体12の両側開口部14a,14bの周縁部には、環状保持体としての口金16がそれぞれ設けられている。口金16は、銅線等の細い線条の金属材からなる針金が周方向に連続して延びた環状を呈していると共に、手作業で塑性変形可能な程度の塑性を有している。この口金16が筒状体12に装着されない状態下、筒状体12の各開口部14の端縁部よりも本体側に位置して、筒状体12の内周面に沿って配されると共に、筒状体12における各開口部14の端縁部から口金16を配した部分が筒状体12の内側に向かって折り曲げられて、端縁部が口金16よりも本体側の内周面に重ね合わせられて縫い糸18で縫合される。これにより、筒状体12の開口部14の端部側には、全周に亘って連続して延びる環状の隙間が形成されることとなり、かかる環状の隙間内に口金16が収容配置されることで、口金16が筒状体12に装着されている。この口金16の塑性変形に基づいて、筒状体12の両側開口部14a,14bを、手作業で任意の形状に塑性変形することが出来る。本実施形態では、これら一対の口金16,16と筒状体12を含んで処理袋10が構成されている。
【0037】
それによって、例えば、図2にも示されているように、筒状体12における一方(図2中、上)の開口部14a側の口金16を大径の円環形状を呈するように塑性変形させることによって、筒状体12の一方の開口部14aが、大きな円形状を呈するように開口状態が維持される。
【0038】
また、筒状体12の他方(図2中、下)の開口部14bが、口金16の塑性変形により閉塞状態が維持されている。具体的に、例えば、筒状体12の他方の開口部14bの縁部において、中心軸を挟んだ一幅方向で対向位置せしめられる二箇所を折り曲げて、縁部の内側が重なり合うように口金16を塑性変形させると共に、開口部14の重なり合った縁部が略直線状に延びる方向で複数回折り畳むように口金16を塑性変形させたり、或いは渦巻き状に湾曲するように塑性変形させたりすることで、筒状体12の他方の開口部14bが、絞り込まれるようにして閉塞状態が維持される。このように筒状体12の他方の開口部14bが閉塞されることによって、筒状体12の底部が形成されることとなり、筒状体12の一方の開口部14aから後述する生ゴミや生ゴミ処理基材を投入して、筒状体12内に堆積することが可能となる。このことからも明らかなように、図2に示される形態では、筒状体12の一方の開口部14aが、口金16で開口状態に維持されて、生ゴミ投入口とされている。
【0039】
また、本実施形態に係る筒状体12では、形状や大きさが同じ両側開口部14a,14bに同一構造の口金16が設けられることにより、両端部分が対称的な構造とされている。それ故、例えば、図2に示される形態とは逆に、筒状体12の一方の開口部14aを口金16の塑性変形で閉塞状態に維持すると共に、他方の開口部14bを口金16の塑性変形で開口状態に維持することも勿論可能である。
【0040】
また、例えば、図3にも示されているように、筒状体12の一方(図3中、上)の開口部14a側の口金16も他方(図3中、下)の開口部14b側の口金16と同様に塑性変形させて、一方の開口部14aを閉塞状態に維持させることによって、筒状体12の両側開口部14a,14bを閉塞し、筒状体12の内部を密閉状態に保持することが可能となる。
【0041】
さらに、本実施形態に係る処理袋10は、例えば図4にも示されているように、小さく畳むことも可能である。即ち、図4に示される形態では、図1に示されるように筒状体12の両側開口部14a,14bが開口している形態から、一対の口金16,16を筒状体12で簀巻き状に巻いて、巻物の長手方向に一回又は複数回折り畳むことに伴い、各口金16が折り畳むように塑性変形される。これら口金16,16の塑性変形を利用して、処理袋10を小さく畳んだ形状が維持される。
【0042】
このような構造とされた処理袋10は、図5に示される如き生ゴミ処理セット20の一部を構成する。生ゴミ処理セット20は、上述の処理袋10と攪拌具22と生ゴミ処理基材24を含んで構成されている。
【0043】
攪拌具22は、細長のロッド形状を有する一対の棒材からなり、硬質の金属材や合成樹脂材、木材等の硬質材を用いて形成されている。特に本実施形態では、攪拌具22の一方の端部から他方の端部に至る軸方向長さ:lが、筒状部12の一方の開口部14aから他方の開口部14bに至る軸方向長さ:Lの2/3倍よりも小さくされており、l≦2/3とされている。
【0044】
生ゴミ処理基材24には、例えば、豚や牛、鶏等の家畜の糞尿に、わらや籾殻、おが粉(おが屑)等を混合した公知のものが採用されるが、好ましくは、本出願人が先に出願した特開2005−186000号の明細書や図面に示される如き糞尿処理基材が用いられる。即ち、本実施形態に係る生ゴミ処理基材24は、木材を破砕して得られた木材破砕物と、樹皮を破砕して得られた樹皮破砕物と、曝気処理した豚及び/又は牛の糞尿を含んで構成されており、特に木材破砕物と樹皮破砕物の少なくとも一方が、細長比が2〜20の細長形状を有している。この曝気処理した豚及び/又は牛の糞尿には、有用な好気性微生物が含まれている。また、細長比は、各破砕物における最大長さ寸法を最大幅寸法で割った値をいう。更に、上記木材の破砕物には、生木を破砕した生木粉砕物が含まれていることが望ましい。また、前記樹皮粉砕物は、その体積が、木材破砕物及び樹皮破砕物を含む木質破砕物の全体積の1/3以上とすることが望ましい。これにより、生ゴミ処理能力の更なる向上が図られ得る。
【0045】
かかる生ゴミ処理基材24は、生ゴミ処理セット20の一部として処理袋10や攪拌具22と共に販売される際に、例えば図示しない通気性を有するケースに入れられることも可能であるが、図5にも示されるように、生ゴミ処理基材24を収容する容器として、両側開口部14a,14bが閉塞せしめられた密閉状の処理袋10を利用することが好ましい。それによって、好気性微生物に必要な酸素を確保するための通気性を有するケースを特別に用意する必要がなくなる。特に本実施形態では、両側開口部14a,14bが閉塞せしめられた処理袋10の容積に対して、1/10〜1/2倍の体積の生ゴミ処理基材24が収容配置されている。
【0046】
次に、上述の如き生ゴミ処理セット20を用いて生ゴミを発酵分解処理する処理方法の一具体例について説明するが、本発明は、かかる具体例に限定されるものでない。
【0047】
先ず、図2,6にも示されているように、処理袋10の筒状体12を、一方の開口部14aが開口し、且つ他方の開口部14bが閉じた形態に保持せしめ、筒状体12の閉じられた他方の開口部14b側を下にして、地面26に載置する。ここで、口金16の塑性変形に伴い小さく絞られた筒状体12の他方の開口部14bの端部の剛性が、口金16が装着されていることで筒状体12の開口部14の周りの剛性よりも大きくされていることに基づいて、筒状体12の他方の開口部14b側が地面に載置されることに伴い、他方の開口部14b側の端部が、その閉塞状態を保ったまま筒状体12の内側にめり込むように変形せしめられる。
【0048】
また、本実施形態では、目的とする生ゴミ28の処理に際して、適量の生ゴミ処理基材24がすぐに使える状態で筒状体12内に収容配置されているため、処理袋10を上述の如き形態で地面26に載置することで、生ゴミ28を処理袋10にすぐに投入出来る状態となっているが、必要に応じて、生ゴミ28を投入する前に、生ゴミ処理基材24の全体を攪拌具22等でならしたり、生ゴミ処理基材24の量を適当に増減しても良い。
【0049】
そして、図6中、上方に向かって開口する生ゴミ投入口としての筒状体12の一方の開口部14a側から生ゴミ28を投入し、必要に応じて、一方の開口部14a側から手作業で攪拌具22を差し入れてかき混ぜることで、生ゴミ28と生ゴミ処理基材24を混合する。この攪拌作業は、生ゴミ28が生ゴミ処理基材24に対して多かったり、発酵分解処理の遅い生ゴミ28が含まれている場合等に有効である。特に本実施形態では、生ゴミ投入口としての一方の開口部14aから2/3以下の深さまでを攪拌する。ここで、生ゴミ処理基材24の底部側に向かう下半分が一方の開口部14aから2/3以上の深さに位置せしめられている。その結果、処理袋10内に収容される生ゴミ処理基材24の一方の開口部14a側に向かう上半分と生ゴミ28が混ざり合うように攪拌せしめる一方、生ゴミ処理基材24の底部側に向かう下半分を攪拌しないようにしている。
【0050】
なお、生ゴミ28を投入して生ゴミ処理基材24を攪拌するに際しては、筒状体12の開口部から半分の深さ領域の全体までも攪拌する必要はなく、投入した生ゴミ28が生ゴミ処理基材24が覆われて隠れる程度に攪拌するだけでも充分である。また、生ゴミ28を毎日少量ずつ投入して連日使用するような場合では、生ゴミ28が、次第に開口部側に向けて積層されるように、例えば投入初日は深さ方向の略半分まで攪拌して、投入された生ゴミ28を深さ方向の略半分の位置に埋没させると共に、日を追うごとに生ゴミ28の埋没位置を開口部側の浅い領域に設定するように、攪拌深さを調節することも有効である。このような使用方法では、次第に深い処から生ゴミ28が分解されて行くし、また古い生ゴミ28が攪拌で表面に出て異臭を放つことも出来るだけ抑えることが可能となる。
【0051】
また、生ゴミ28を投入して生ゴミ28と生ゴミ処理基材24を混合した後には、図7にも示されるように、筒状体12の一方の開口部14aも他方の開口部14bと同様に、口金16の塑性変形により閉塞状態が維持されるようになっている。これにより、密閉された処理袋10のなかで生ゴミ28の発酵分解処理を行う。ここで、発酵分解作用が早い生ゴミ28は、新たな生ゴミ28を投入する前に分解して消滅するが、発酵分解作用が遅い生ゴミ28は、新たな生ゴミ28と共に発酵分解される。
【0052】
新たな生ゴミ28や生ゴミ処理基材24を投入するには、筒状体12の一方の開口部14a側の口金16を塑性変形せしめて一方の開口部14aを開口状態に維持せしめ、再び一方の開口部14aから投入する。更に、生ゴミ処理基材24の一方の開口部14a側に向かう上半分と生ゴミ28が混ざり合うように攪拌具22で攪拌せしめ、必要に応じて、過去に投入した発酵分解途中の生ゴミ28とも混ざり合うように攪拌せしめる。その後、筒状体12の一方の開口部14aを口金16の塑性変形により閉塞して、処理袋10の中で新たな生ゴミ28の発酵分解処理を行う。
【0053】
而して、図6に示される如き一方の開口部14aの開口状態で、生ゴミ28を投入すると共に、攪拌具22で生ゴミ処理基材24の上半分を攪拌する作業と、図7に示される如き生ゴミ28を投入した後に、一方の開口部14aを閉塞状態に維持する作業を適数回繰り返す。
【0054】
上述の作業を適数回繰り返すことで、所定の期間(例えば、最初に生ゴミ28を投入した日から約二週間)が経過した後、図8にも示されているように、処理袋10の両側開口部14a,14bを閉塞した状態で処理袋10の天地方向を逆にして、一方の開口部14a側を下にして、地面16に載置する。これに伴い、処理袋10内に収容配置された生ゴミ28や生ゴミ処理基材24の多くも、その天地方向が逆となり、処理袋10内で生ゴミ28および生ゴミ処理基材24の上半分に位置せしめられていた部分が下半分に位置せしめられて一方の開口部14a側の底部に載置されると共に、生ゴミ処理基材24の下半分に位置せしめられていた部分が上半分に位置せしめられる。そこで、本実施形態では、生ゴミ28と生ゴミ処理基材24の攪拌が上半分で行われていたことから、この天地返しによって、攪拌していない略未使用状態の生ゴミ処理基材24が他方の開口部14b側に位置せしめられる一方、生ゴミ28と攪拌された生ゴミ処理基材24が処理袋10の底部側に位置せしめられる。
【0055】
そして、図9にも示されているように、他方の開口部14b側の口金16を塑性変形して他方の開口部14bを開口状態に維持することで、生ゴミ投入口とする。この他方の開口部14bから新たに生ゴミ28を投入し、必要に応じて、他方の開口部14b側から手作業で攪拌具22を差し入れてかき混ぜることで、生ゴミ28と生ゴミ処理基材24を混合する。ここでの攪拌作業も、前述の天地返しをする前の攪拌作業と同様に、処理袋10内に収容される生ゴミ処理基材24の他方の開口部14b側に向かう上半分と生ゴミ28が混ざり合うように攪拌せしめる一方、生ゴミ処理基材24の底部側に向かう下半分を攪拌しないようにしている。即ち、天地返しをする前に、生ゴミ28と共に攪拌して使用されていた生ゴミ処理基材24を、処理袋10の底部側で攪拌処理せずに静置する一方、天地返しをする前に略未使用状態だった生ゴミ処理基材24を、此度の天地返しによって生ゴミ24と混合する。
【0056】
而して、図9に示される如き他方の開口部14bの開口状態で、生ゴミ28を投入すると共に、攪拌具22で生ゴミ処理基材24の上半分を攪拌する作業と、図7に示される作業と同様に、生ゴミ28を投入した後に、他方の開口部14bを閉塞状態に維持する作業を適数回繰り返す。これらの作業を適数回繰り返すことで、所定の期間(例えば、処理袋10の天地返しをして生ゴミ28を投入した日から約二週間)が経過した後、図8に示される作業と同様に、処理袋10の両側開口部14a,14bを閉塞した状態で処理袋10の天地方向を逆にして、再び他方の開口部14b側を下にして地面16に載置すると共に、一方の開口部14aを開いて生ゴミ投入口として使用する。而して、図6に示される如き一方の開口部14aの開口状態で、生ゴミ28を投入すると共に、攪拌具22で生ゴミ処理基材24の上半分を攪拌する作業と、図7に示される如き生ゴミ28を投入した後に、一方の開口部14aを閉塞状態に維持する作業を適数回繰り返す。
【0057】
生ゴミ28と共に攪拌された生ゴミ処理基材24は、生ゴミ28を発酵分解して消滅させた後にも、微生物が有効に生息することから、再び生ゴミ処理基材24として繰り返し使用することが可能である。しかし、使用し続けると、使用条件や環境の変化等によって微生物の数が減る場合も考えられることから、使用済みの生ゴミ処理基材24の一部または全部を、所定の期間(例えば、三ヶ月や半年)毎に取り出して、代わりに新品の生ゴミ処理基材24を投入しても良い。この使用済みの生ゴミ処理基材24は、堆肥として利用することが出来、不要であれば可燃ごみとして処理することも可能である。
【0058】
すなわち、本実施形態に係る生ゴミの処理方法によれば、所定の期間毎に処理袋10の天地方向を逆にして、処理袋10における一方の開口部14aと他方の開口部14bをそれぞれ生ゴミ投入口として生ゴミ28を投入する作業を適数回繰り返すと共に、天地方向で上側半分の生ゴミ処理基材24だけを攪拌する。その結果、生ゴミ28と混合していない新しい生ゴミ処理基材24や、生ゴミ28と混合して生ゴミ28を発酵分解処理した後に処理袋10内で養生された生ゴミ処理基材24を、生ゴミ28と効率良く接触させることが出来、多くの好気性微生物が付着された生ゴミ処理基材24の発酵分解作用により、比較的に短期間で生ゴミ28の発酵分解処理が実現され得る。
【0059】
そこにおいて、上述の如き構造とされた処理袋10では、両側開口部14a,14bに口金16が装着されて、両側開口部14a,14bが口金16により任意の形状に塑性変形可能とされている。これにより、生ゴミ28等の投入に際して生ゴミ投入口となる開口部14a(14b)を大きく開口した状態に維持せしめて、処理袋10を片手で保持し、且つもう片方の手で生ゴミ28や生ゴミ処理基材24を処理袋10に投入したり、或いは攪拌具22を差し入れてかき混ぜることが出来る。なお、生ゴミ28や生ゴミ処理基材24の収容状態で筒状体12が自立可能な素材で形成されている場合には、処理袋10を手で保持せずに、開口状態を維持した開口部14から生ゴミ28等を投入することも可能である。
【0060】
また、攪拌具22で生ゴミ処理基材28を攪拌する際に、処理袋10の開口部14が口金16の塑性変形によって大きく開いた状態に保持されていることから、処理袋10の内側で攪拌具22を動かすスペースが大きく確保されることとなり、所望の攪拌処理が実現される。
【0061】
しかも、口金16の装着による開口部14の形状安定性に基づいて、例えば、攪拌具22が処理袋10の筒状体12に触れた程度の小さな外力では、開口部14の変形が抑えられることから、攪拌作業の安全が図られる。
【0062】
それ故、本実施形態に係る処理袋10を備えた生ゴミ処理セット20によれば、生ゴミ28の発酵分解処理を効率良く且つ安全に行うことが出来る。
【0063】
また、特に上述の生ゴミ処理セット20においては、攪拌具22の軸方向長さ:lが処理袋10の軸方向長さ:Lの2/3以下とされていることにより、攪拌具22を用いた生ゴミ処理基材24の攪拌作業に際して、生ゴミ投入口14a(14b)から2/3よりも深い底部付近の攪拌がされ難くなっている。換言すれば、攪拌具22の軸方向長さ:lが処理袋10の軸方向長さ:Lに比して小さくされていることから、処理袋10の生ゴミ投入口から底部までの攪拌がされ難くなっている一方、生ゴミ投入口に近い側の攪拌がされ易くなっている。その結果、処理袋10内に収容される生ゴミ処理基材24の生ゴミ投入口14側に向かう上半分と生ゴミ28との攪拌が少ない労力で実現されることに加え、生ゴミ処理基材24の底部側に向かう下半分の攪拌が抑えられることによって、処理袋10を天地返しした際に生ゴミ28と新たに混合する処理基材として下半分の生ゴミ処理基材24をとっておくことが出来る。
【0064】
ところで、本実施形態に係る処理袋10の特徴は、不透水性で通気性を有する筒状体12の両側開口部14a,14bに対して、手作業で塑性変形可能な口金16,16がそれぞれ装着されており、筒状体12の一方の開口部14a(14b)を閉塞して内部に生ゴミ処理基材24を収容させた状態下で他方の開口部14b(14a)を口金16で開口状態に維持させて生ゴミ投入口とすることができることにある。従って、処理袋10で処理される物質には、必ずしも生ゴミ28だけに限定されるものでなく、かかる生ゴミ28の他、生ゴミ投入口から処理袋10に投入されて、処理袋10内で生ゴミ処理基材24に付着した好気性微生物により発酵分解処理される各種の有機系廃棄物が採用可能である。
【0065】
具体的に、例えば、生ゴミ28に代えて、ペット等の動物糞を処理袋10内で分解処理しても良い。このような動物糞の分解処理に際しては、例えば、前述の生ゴミ28の処理方法と同様に、動物糞を生ゴミ投入口から投入して攪拌具22を用いて生ゴミ処理基材24と攪拌した後に、新たな動物糞を投入して攪拌する作業を適数回繰り返し、動物糞の投入量にかかわらず所定の期間を経たら処理袋10の天地返しを行って、処理袋10の底部であった開口部を開いて生ゴミ投入口とし、天地返しを行う前の投入、攪拌作業を同様に適数回繰り返すことで、新旧の動物糞を継続的に処理袋10内で分解処理させることも可能である。かかる態様において、生ゴミ処理基材24は、必要に応じて処理袋10に投入される。
【0066】
また、動物糞を分解処理する別の方法として、例えば、動物糞を生ゴミ投入口から投入して生ゴミ処理基材24に載置したら、かかる動物糞が隠れて見えなくなる程度に生ゴミ投入口から生ゴミ処理基材24を投入し、またその生ゴミ処理基材24に載置した新たな動物糞を上から覆い隠すように生ゴミ処理基材24を投入することで、各動物糞が天地方向で生ゴミ処理基材24に挟まれるようにして、処理袋10内で動物糞と生ゴミ処理基材24を積層状に収容することも可能である。そして、処理袋10の底部から動物糞と生ゴミ処理基材24の積層物をためていき、処理袋10の半分程の深さになったら処理袋10を反転(天地返し)させて、底部であった開口部を開いて生ゴミ投入口とし、また動物糞と生ゴミ処理基材24を積層状に投入しても良い。このような動物糞の処理方法では、天地返しを利用して、処理袋10の底部にあった初日に投入したものが開口部側に位置せしめられ、且つ一番新しく投入した開口部側にあったものが底部側に位置せしめられることから、新しく投入した動物糞の悪臭を有利に抑えることが出来る。また、多少掻き混ぜても、新しい糞が上に露出することが抑えられることに加え、動物糞が生ゴミ処理基材24を挟んで積層状に収容されていることから、更なる悪臭防止効果が図られ得る。
【0067】
なお、動物糞の処理物や使用済みの生ゴミ処理基材24は、堆肥として利用することが出来、不要であれば可燃ごみとして処理することも可能である。また、動物糞が生ゴミ処理基材24で挟まれることから、攪拌作業を省略または必要最小限にしても良い。また、上述の如き積層方法による動物糞の処理方法は、同様に、前述の生ゴミの処理方法にも適用可能であり有効である。
【0068】
また、本実施形態に係る処理袋10を、例えば災害時の簡易トイレとして使用することも可能である。具体的に、例えば庭や野原、山中等に穴を掘り、そこに処理袋10を設置する。処理袋10の上部開口を口金16で開口状態に維持して用を足す。用を足したら、糞尿を攪拌具22等で攪拌せしめたり、或いは前述の積層方法による動物糞の処理方法と同様に、糞尿を覆い隠すように生ゴミ処理基材24を投入し、またその上から用を足して生ゴミ処理基材24を投入することで、糞尿と生ゴミ処理基材24を積層状態にする。それによって、人の糞尿も処理袋10内で分解処理せしめることが出来る。その際、処理袋10が底部側の開口が閉塞せしめられた袋状体とされていることから、適当な時期で処理袋10を穴から取り出して、糞尿の処理物や使用済みの処理基材24を処理することが容易となる。更に、本実施形態に係る処理袋10は、両側端部が開閉可能とされていることから、前述の生ゴミやペット等の動物糞の処理方法と同様に、適当な期間で処理袋10を反転させて使用すれば、生ゴミ処理基材24を殆ど捨てることなく効率的に且つ長期間に亘って、人糞を分解処理することが可能となるのである。
【0069】
あるいは、簡易的に、木製の台や箱等を作って本実施形態に係る処理袋10を下方に設置して、簡易トイレを構成することも可能である。このような構造とすることで、可搬式のトイレを容易に且つ安価に、軽量に製造することが出来る。また、処理基材24を入れた処理袋10は、トイレ躯体と別途に搬送することが出来る。また、タンク式の従来の簡易トイレに比して、分解処理する基材24を備えていることから、廃棄物の量が激減することに加え、悪臭の対策効果も有利となる。
【0070】
次に、図10,11には、本発明の生ゴミ処理用袋状体に係る第二の実施形態としての処理袋30が示されている。以下の説明において、前記第一の実施形態と実質的に同一の構造とされた部材および部位については、第一の実施形態と同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0071】
詳細には、筒状体12の外周面において、開口部14よりも本体側(図10,11では、上から下)に所定距離だけ離れた位置で周方向に連続して延びる目視可能なライン32が表示されている。本実施形態では、開口部14とライン32の離隔距離が比較的に短くされていることによって、ライン32が筒状体12の開口部14付近に設けられている。
【0072】
このようなライン32を備えた筒状体12においては、例えば、第一の実施形態と同様に、筒状体12の開口部14の縁部において、中心軸を挟んだ一幅方向で対向位置せしめられる二箇所を折り曲げて、縁部の内側が重なり合うように口金16を塑性変形させると共に、開口部14の重なり合った縁部が略直線状に延びる方向で複数回折り畳むように口金16を塑性変形させたり、或いは渦巻き状に湾曲するように塑性変形させたりすることで、筒状体12の開口部14が、絞り込まれるようにして閉塞状態が維持される。
【0073】
このように筒状体12の開口部14が閉塞される際に、開口部14付近の筒状体12が絞られるように変形されることに伴い、開口部14付近に設けられたライン32が、周方向で小さく折り畳まれているが、周方向に連続して延びる形態は保持されている。このライン32を目印として、締付紐34がライン32に沿って配されて、周方向で結び付けられている。即ち、筒状体12の中央側(本体側)と開口部14の間において、開口部側に偏倚した部分が、締付紐34で縛られている。この締付紐34は、合成樹脂製乃至は天然樹脂製のロープ材等で形成されており、好ましくは耐久性があって且つ耐食性の高い素材で形成される。かかる締付紐34は、例えば第一の実施形態に示される生ゴミ処理セット20の一部を構成して、処理袋30(10)や攪拌具22、生ゴミ処理基材24等と共に販売されても良いし、或いは生ゴミ処理セット20のオプション品として単独で売られても良い。
【0074】
本実施形態に従う構造とされた処理袋30においては、前記第一の実施形態と同様に、開口部14に装着された口金16の塑性変形を利用して、開口部14が任意の形状に塑性変形可能とされていることから、生ゴミ28の投入や攪拌具22のかき混ぜに際して、開口部14を大きく開いた状態に保持したり、或いは開口部14を密閉状に閉じた状態に保持することが可能となって、生ゴミ28を発酵分解処理する際の作業効率が向上され得る。
【0075】
しかも、本実施形態では、開口部14の閉塞状態下、筒状体12の開口部14付近が締付紐34で縛られていることで、開口部14の閉塞状態が容易に解除され難くなっている。それ故、開口部14が一層安定して閉塞状態に保持されて、処理袋30の取り扱い性が一層向上され得る。
【0076】
また、特に本実施形態では、締付紐34の筒状部12での締付け位置を表示するライン32が設けられていることから、締付紐34が筒状部12の本体側に必要以上に寄ることに起因して処理袋30における生ゴミ28の収容スペースを著しく制限したり、締付紐34が筒状部12の開口部14側に必要以上に寄ることに起因して締付紐34が筒状体12に安定して締付けられ難くなったりすることが防止され得る。
【0077】
次に、図12,13には、本発明の生ゴミ処理用袋状体に係る第三の実施形態としての処理袋40が示されている。
【0078】
詳細には、本実施形態に係る筒状体12が、両側開口部14の開口状態で略矩形筒状を有しており、この開口部14の内周面に沿って口金16が装着されることにいより、本実施形態に係る口金16が、略矩形環状を有している。
【0079】
筒状体12の中心軸を挟んだ一方向で対向位置せしめられた一方の壁部の外周面には、筒状体12の開口部14よりも所定距離だけ離れた位置において、複数(本実施形態では、一対)の固定バンド42が設けられている。固定バンド42は、筒状部12と同じ素材で形成されて、筒状部12の軸方向に延びる変形容易な帯状を呈しており、その一方の端部が筒状部12の本体側に固定されていると共に、筒状体12の開口部14側に向かう他方の端部には、ボタン止め部44が設けられている。
【0080】
筒状体12において固定バンド42が設けられたのと反対側の他方の壁部の外周面には、筒状体12の開口部14よりも所定距離だけ離れた位置において、固定バンド42のボタン止め具44に対応する形状及び数(本実施形態では、一対)のボタン受け具46が固設されている。
【0081】
このような筒状体12の開口部14を閉塞するには、固定バンド42やボタン止め具46が設けられた壁部の対向方向に直交する方向(図12中、左右)で対向位置せしめられた壁部の上端に位置せしめられる口金16を、その長手方向の略中央部分から筒状体12の内側に向かって折り曲げるように塑性変形させると共に、固定バンド42やボタン受け具46が設けられた壁部の開口端部の内周面を互いに重ね合わせるように口金16を塑性変形させる。これにより口金16を折り畳むように塑性変形させる。そして、折り畳んだ口金16を筒状体12の開口部14側から本体側に向かって筒状体12で簀巻き状に巻くと共に、筒状体12の外周面に設けられた固定用バンド42の先端部分の各ボタン止め具44を各ボタン受け具46に係止させる。
【0082】
これにより、筒状体12の開口部14が、口金16の塑性変形により閉塞状態に維持されていると共に、簀巻き状に変形せしめられた筒状体12の開口部14の形状が、ボタン止め具44とボタン受け具46の係止作用により保持されている。
【0083】
本実施形態に従う構造とされた処理袋40においては、前記第一の実施形態や第二の実施形態と同様に、開口部14に装着された口金16の塑性変形を利用して、開口部14が任意の形状に塑性変形可能とされていることから、生ゴミ28の投入や攪拌具22のかき混ぜに際して、開口部14を大きく開いた状態に保持したり、或いは開口部14を密閉状に閉じた状態に保持することが可能となって、生ゴミ28を発酵分解処理する際の作業効率が向上され得る。
【0084】
特に本実施形態に示されるように、矩形筒状を有する筒状体12に対しても口金16の塑性変形によって、開口部14の開口状態や閉塞状態を任意に設定することが出来る。
【0085】
また、本実施形態では、簀巻き状に変形せしめられて筒状体12の開口部14が閉じられるようになっていると共に、筒状体12の簀巻き形状がボタン止め具44とボタン受け具46の係止作用により保持されていることから、開口部14の閉塞状態が一層確実となり、処理袋40の取り扱い性の更なる向上が図られ得る。
【0086】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これら実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能であり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0087】
例えば、処理袋10,20,40や攪拌具22、生ゴミ処理基材24等における形状や大きさ、構造等は例示の如きものに限定されない。
【0088】
前記第二の実施形態に示されていたライン32や締付紐34、前記第三の実施形態に示されていたボタン止め具44を備えた固定用バンド42やボタン受け具46等は、必須の構成要件でない。
【0089】
前記第二の実施形態に示されていたラインを、例えば生ゴミ投入口から投入せしめられる生ゴミ乃至は生ゴミ処理基材の上限を示す、収容制限ラインとして、筒状体の内周面または外周面に設けることも可能である。
【0090】
また、前記実施形態では、口金16が周方向に連続して延びていたが、周方向で複数に分断された状態で、筒状体に装着されるようにしても良い。
【0091】
さらに、前記実施形態では、口金16が筒状体12の各開口部14に一つ設けられていたが、各開口部に複数条設けられていても良い。この複数条に設けられる形態には、例えば、周方向に連続して延びる環状の口金が筒状体の軸方向に複数配設されていたり、一つの口金が筒状体を螺旋状に巻いている形態等を含む。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第一の実施形態としての処理袋の斜視説明図。
【図2】図1に示された処理袋の下側開口部を閉じた状態を示す斜視説明図。
【図3】図1に示された処理袋の上下開口部を閉じた状態を示す斜視説明図。
【図4】図1に示された処理袋の一収納状態を示す斜視説明図。
【図5】図1に示された処理袋の利用状態を説明するための斜視説明図。
【図6】図1に示された処理袋を用いた生ゴミの処理方法の一工程を示す斜視説明図。
【図7】図1に示された処理袋を用いた生ゴミの処理方法の図6と異なる一工程を示す斜視説明図。
【図8】図1に示された処理袋を用いた生ゴミの処理方法の図6,7と異なる一工程を示す斜視説明図。
【図9】図1に示された処理袋を用いた生ゴミの処理方法の図6〜8と異なる一工程を示す斜視説明図。
【図10】本発明の第二の実施形態としての処理袋の要部を示す斜視説明図。
【図11】図10に示された処理袋の上側開口部を閉じた状態を示す斜視説明図。
【図12】本発明の第三の実施形態としての処理袋の要部を示す斜視説明図。
【図13】図12に示された処理袋の上側開口部を閉じた状態を示す斜視説明図。
【符号の説明】
【0093】
10:処理袋、12:筒状体、14a:一方の開口部、14b:他方の開口部、16:口金、24:生ゴミ処理基材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不透水性で通気性を有するシート状の素材で形成された筒状体に対して、手作業で塑性変形可能な環状保持体が該筒状体の両側開口部にそれぞれ装着されており、該筒状体の一方の開口部を閉塞せしめて内部に生ゴミ処理基材を収容せしめた状態下で他方の開口部を該環状保持体で開口状態に維持させて生ゴミ投入口とすることができるようにしたことを特徴とする生ゴミ処理用袋状体。
【請求項2】
前記筒状体の両側開口部に巻き付けられることにより、該筒状体の軸方向で前記環状保持体よりも内側を絞って閉塞させる一対の締付紐を設けた請求項1に記載の生ゴミ処理用袋状体。
【請求項3】
前記筒状体が、建築用のハウスラップを用いて形成されている請求項1又は2に記載の生ゴミ処理用袋状体。
【請求項4】
前記筒状体の表面において、開口部よりも本体側に所定距離だけ離れた位置で周方向に延びる目視可能なラインを表示した請求項1乃至3の何れか一項に記載の生ゴミ処理用袋状体。
【請求項5】
前記筒状体に対して開口部から差し入れて前記生ゴミ処理基材をかき混ぜることの出来る攪拌具を組み合わせて構成されている請求項1乃至4の何れか一項に記載の生ゴミ処理用袋状体。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の生ゴミ処理用袋状体を用いて、該生ゴミ処理用袋状体における前記筒状体の一方の開口部を閉塞して該一方の開口部を下にして置いておき、置いた状態で該筒状体の上側の他方の開口部を前記環状保持体で開口状態に維持することで前記生ゴミ投入口として該他方の開口部の開口状態で生ゴミを投入してから該環状保持体を塑性変形させて閉塞状態に維持する作業を適数回繰り返し、その後、それら両側開口部を閉塞した状態で該袋状体の天地方向を逆にして該他方の開口部を下にして置いておき、置いた状態で該筒状体の上側の該一方の開口部を該環状保持体で開口状態に維持することで該生ゴミ投入口として該一方の開口部の開口状態で該生ゴミを投入してから該環状保持体を塑性変形させて閉塞状態に維持する作業を適数回繰り返し、更に、これら一方の開口部と他方の開口部をそれぞれ該生ゴミ投入口として該生ゴミを投入する作業を適数回繰り返すことを特徴とする生ゴミ処理方法。
【請求項7】
前記生ゴミの投入に際して、前記生ゴミ投入口から2/3以下の深さの範囲内で攪拌する請求項6に記載の生ゴミ処理方法。
【請求項1】
不透水性で通気性を有するシート状の素材で形成された筒状体に対して、手作業で塑性変形可能な環状保持体が該筒状体の両側開口部にそれぞれ装着されており、該筒状体の一方の開口部を閉塞せしめて内部に生ゴミ処理基材を収容せしめた状態下で他方の開口部を該環状保持体で開口状態に維持させて生ゴミ投入口とすることができるようにしたことを特徴とする生ゴミ処理用袋状体。
【請求項2】
前記筒状体の両側開口部に巻き付けられることにより、該筒状体の軸方向で前記環状保持体よりも内側を絞って閉塞させる一対の締付紐を設けた請求項1に記載の生ゴミ処理用袋状体。
【請求項3】
前記筒状体が、建築用のハウスラップを用いて形成されている請求項1又は2に記載の生ゴミ処理用袋状体。
【請求項4】
前記筒状体の表面において、開口部よりも本体側に所定距離だけ離れた位置で周方向に延びる目視可能なラインを表示した請求項1乃至3の何れか一項に記載の生ゴミ処理用袋状体。
【請求項5】
前記筒状体に対して開口部から差し入れて前記生ゴミ処理基材をかき混ぜることの出来る攪拌具を組み合わせて構成されている請求項1乃至4の何れか一項に記載の生ゴミ処理用袋状体。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の生ゴミ処理用袋状体を用いて、該生ゴミ処理用袋状体における前記筒状体の一方の開口部を閉塞して該一方の開口部を下にして置いておき、置いた状態で該筒状体の上側の他方の開口部を前記環状保持体で開口状態に維持することで前記生ゴミ投入口として該他方の開口部の開口状態で生ゴミを投入してから該環状保持体を塑性変形させて閉塞状態に維持する作業を適数回繰り返し、その後、それら両側開口部を閉塞した状態で該袋状体の天地方向を逆にして該他方の開口部を下にして置いておき、置いた状態で該筒状体の上側の該一方の開口部を該環状保持体で開口状態に維持することで該生ゴミ投入口として該一方の開口部の開口状態で該生ゴミを投入してから該環状保持体を塑性変形させて閉塞状態に維持する作業を適数回繰り返し、更に、これら一方の開口部と他方の開口部をそれぞれ該生ゴミ投入口として該生ゴミを投入する作業を適数回繰り返すことを特徴とする生ゴミ処理方法。
【請求項7】
前記生ゴミの投入に際して、前記生ゴミ投入口から2/3以下の深さの範囲内で攪拌する請求項6に記載の生ゴミ処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−112898(P2009−112898A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286290(P2007−286290)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(502240397)株式会社神志山 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(502240397)株式会社神志山 (4)
【Fターム(参考)】
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