説明

生ゴミ処理装置

【課題】処理室内の生ゴミの深部にまで紫外線が行き渡り、光触媒による有機物分解が効率よく行われる生ゴミ処理装置を提供する。
【解決手段】ケーシング1内に透明な粒体2が収容されている。天蓋7を開け、生ゴミを入れると共に、粒体2が不足するときには粒体を加える。天蓋7を閉めた後、UVLED9を点灯し、撹拌機3及び排気ファン4を作動させる。UVLED9からの紫外線は、ケーシング1内の生ゴミ及び粒体2の上面に照射され、その一部は粒体2を通って隣接する粒体2にも入る。このため、紫外線がケーシング1内の全体に行き渡るようになり、ケーシング1内の全体において光触媒作用により有機物が効率よく分解される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線透過性を有し、且つ光触媒を保持した粒体を用いた生ゴミ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
処理室内面に光触媒コーティングを施してなり、この処理室内に収容した生ゴミに対し紫外線を照射することにより、生ゴミを分解したり堆肥化したりすることが特開2003−335591号に記載されている。
【0003】
特開2003−305437号には、処理すべき生ゴミに光触媒パウダーを添加し、この生ゴミを生ゴミ処理装置内で紫外線照射しながら処理することが記載されている。
【特許文献1】特開2003−335591号
【特許文献2】特開2003−305437号
【特許文献3】特開2005−21496号
【特許文献4】特開2001−112855号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、処理室内の生ゴミの深部にまで紫外線が行き渡り、光触媒による有機物分解が効率よく行われる生ゴミ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の生ゴミ処理装置は、生ゴミ処理室内に紫外線を照射する紫外線照射手段を備えた生ゴミ処理装置において、少なくとも一部が紫外線透過性を有し、且つ光触媒を保持した粒体を生ゴミ処理室内に収容してなることを特徴とするものである。
【0006】
なお、生ゴミは、家庭から排出される調理屑に限らず、農作物の廃棄物や動物の排泄物等であってもよい。
【0007】
請求項2の生ゴミ処理装置は、請求項1において、前記紫外線照射手段として、紫外線発光体と、該紫外線発光体に給電する圧電素子と、該圧電素子に打撃を与える打撃体とが前記粒体内に設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の生ゴミ処理装置にあっては、処理室内に照射された紫外線の一部が、紫外線透過性を有した粒体を透過するので、処理室内の生ゴミの深部にまで到達する。この粒体が光触媒を保持しているので、生ゴミの深部においても光触媒作用による生ゴミの分解等の処理が効率よく行われる。
【0009】
請求項2の生ゴミ処理装置によると、粒体が転動したときに圧電素子が打撃体によって打撃されて起電力を発生させ、この電力によって紫外線発光体が発光する。これにより、十分な量の紫外線を生ゴミの深部にまで供給し、処理効率をきわめて効率よく行うことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。図1は実施の形態に係る生ゴミ処理装置の断面図である。
【0011】
上開容器状のケーシング1内にガラス等の紫外線透過性を有した粒体2が収容されている。なお、ケーシング1内に収容した粒子のすべての粒体が紫外線透過性を有していてもよく、一部の粒体は紫外線透過性を有していなくてもよい。紫外線透過性を有する粒体は、粒子全体がガラス等の紫外線透過材料より成っていてもよく、一部は紫外線透過性を有しない材料より成ってもよい。この粒体2の表面に酸化チタン等の光触媒のコーティングが施されている。この粒体2の平均粒径は3〜30mm程度が好適である。
【0012】
この粒体2及び生ゴミを撹拌するために撹拌機3が設置されている。この撹拌機3は、モータ3aと、該モータ3aに連結された回転軸3bと、該回転軸3bから放射方向に設けられた撹拌翼3cとを有する。
【0013】
ケーシング1の上部には排気ファン4及び排気口5が設けられており、この排気口5内に活性炭フィルタ等の脱臭エレメント6が設置されている。ケーシング1の頂部に天蓋7がヒンジ8によって開閉自在に取り付けられている。この天蓋7の下面に紫外線光源としてUVLED9が設けられている。
【0014】
ケーシング1の下部には、処理物の取り出し用の開口10と、該開口10を開閉するための蓋11が設けられている。図示はしないが、ケーシング1内を加熱するためのヒータを設けてもよい。
【0015】
この生ゴミ処理装置によって生ゴミを処理するには、天蓋7を開け、生ゴミを入れると共に、粒体2が不足するときには粒体を加える。次いで、天蓋7を閉めた後、UVLED9を点灯し、撹拌機3及び排気ファン4を作動させる。
【0016】
UVLED9からの紫外線は、ケーシング1内の生ゴミ及び粒体2の上面に照射され、その一部は粒体2を通って隣接する粒体2にも入る。このため、紫外線がケーシング1内の全体に行き渡るようになり、ケーシング1内の全体において光触媒作用により有機物が効率よく分解される。なお、排気ファン4により、水分がケーシング1外へ排出される。
【0017】
生ゴミの分解が十分に行われた後、UVLED9を消灯し、撹拌機3及び排気ファン4を停止し、蓋11を開け、分解物を取り出す。この際、少なくとも一部の粒体2も取り出されるので、粒体2を分離してケーシング1内に戻す。
【0018】
なお、開口10に粒体2よりも目の細かい網を取り付けておき、蓋11を開けるときに撹拌機3を作動させておき、生ゴミ分解物のみを排出させるようにしてもよい。
【0019】
上記実施の形態では光触媒を粒体2にコーティングしているが、粒体2の組成自体が光触媒を含むものであってもよい。ケーシング1の内面に光触媒のコーティングを施してもよい。
【0020】
図1では天蓋7にUVLED9を設けているが、紫外線ELや紫外線ランプなどUVLED以外の紫外線光源を用いてもよい。また、ケーシング1の少なくとも一部を透明とし、この透明部分を通してケーシング1内に紫外線光源からの紫外線を照射してもよい。この場合の紫外線光源は太陽光であってもよい。
【0021】
本発明では、ケーシング内に収容する粒子に紫外線発光機能を具備させてもよい。図3はかかる紫外線発光機能を有した粒子の一例を示す断面図である。
【0022】
この粒子30は、透明なガラスよりなる球殻31と、該球殻31内に、内側に小室を区画形成するように配置された圧電素子32と、該小室内に収容された鋼球等よりなる打撃体33と、この圧電素子32から給電されるUVLED34とを有する。
【0023】
この粒子30がケーシング1内に収容され、前記撹拌翼3cによって撹拌されると、打撃体33が圧電素子32を打撃し、圧電素子32に起電力が発生し、この起電力によってUVLED34が点灯し、紫外線が発光する。この紫外線が球殻31を通って周囲の生ゴミに照射される。
【0024】
図2は配管洗浄方法の一例を示す断面図である。
【0025】
排水用の配管20内の洗浄を行う場合、ガラス等の紫外線透過性材料よりなり、表面に光触媒コーティングされた粒体22を配管20内に供給し、紫外線ランプ、UVLED等の紫外線光源21を用いて配管20内に紫外線を照射する。
【0026】
この紫外線は、粒体22を透過し、配管20の奥にまで達するので、配管20の奥まで光触媒作用によって有機物が分解される。
【0027】
所定の時間が経過した後、配管20内に水を供給し、粒体22を押し流す。押し流された粒体22は、例えばマンホールや汚水枡(図示略)に配置した篭などによって回収される。
【0028】
この配管20としては、ディスポーザにより破砕された破砕物が流れる配管や、トイレの排水管が例示されるが、これに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施の形態に係る生ゴミ処理装置の断面図である。
【図2】実施の形態に係る配管洗浄方法の説明図である。
【図3】紫外線発光機能を有した粒子の断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 ケーシング
2,22 粒体
3 撹拌機
4 排気ファン
7 天蓋
9 UVLED
20 配管
21 紫外線光源
30 紫外線発光機能を有する粒子
32 圧電素子
33 打撃体
34 UVLED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ゴミ処理室内に紫外線を照射する紫外線照射手段を備えた生ゴミ処理装置において、
紫外線透過性を有し、且つ光触媒を保持した粒体を生ゴミ処理室内に収容してなることを特徴とする生ゴミ処理装置。
【請求項2】
請求項1において、前記紫外線照射手段として、紫外線発光体と、該紫外線発光体に給電する圧電素子と、該圧電素子に打撃を与える打撃体とが前記粒体内に設けられていることを特徴とする生ゴミ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−281161(P2006−281161A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−107627(P2005−107627)
【出願日】平成17年4月4日(2005.4.4)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】