生ゴミ処理装置
【課題】 移動する気泡によってフィルタに付着している異物を除去することができる湿式の生ゴミ処理装置を提供する。
【解決手段】 柱状の水中ポンプ６１は、水中ポンプ６１の側面下部に開口し、処理水を吸入する吸入口６１ａと、吸入口６１ａを覆い、吸入される処理水を濾過するフィルタ６１３とを備え、円環状の気泡発生器７が、水中ポンプ６１の下側に、水中ポンプ６１の周方向に沿って配されている。気泡発生器７が発生した気泡８，８，…は、水中ポンプ６１の表面に沿って上昇し、この場合、フィルタ６１３に付着している生ゴミを除去する。
【解決手段】 柱状の水中ポンプ６１は、水中ポンプ６１の側面下部に開口し、処理水を吸入する吸入口６１ａと、吸入口６１ａを覆い、吸入される処理水を濾過するフィルタ６１３とを備え、円環状の気泡発生器７が、水中ポンプ６１の下側に、水中ポンプ６１の周方向に沿って配されている。気泡発生器７が発生した気泡８，８，…は、水中ポンプ６１の表面に沿って上昇し、この場合、フィルタ６１３に付着している生ゴミを除去する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、水槽の水に投入された生ゴミを微生物によって分解処理する湿式の生ゴミ処理装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来の湿式の生ゴミ処理装置は、水槽の水に微生物を混入させて、生ゴミを分解処理するための処理水となし、この処理水の中に生ゴミを投入して攪拌翼で攪拌することによって、微生物に生ゴミを分解させる（特許文献１参照）。
【０００３】
このような生ゴミ処理装置では、好気性の微生物が処理水中の溶存酸素を消費して生ゴミを分解処理するため、酸素を含む新たな水を水槽へ大量に供給する必要があった。この水としては、一般に水道水が用いられるため、生ゴミを分解処理するために水道コストが増大し、生ゴミ処理装置のランニングコストが増大するという問題があった。
【０００４】
この問題を解決するために、生ゴミ処理装置外部の空気（外気）を処理水中に吹き込む生ゴミ処理装置が提案されている。このような生ゴミ処理装置は、吹き込まれた外気が処理水に溶解することによって処理水中の溶存酸素濃度が上昇するため、新たな水道水を水槽へ大量に供給する必要がなく、水道コストが減少し、生ゴミ処理装置のランニングコストが減少する（特許文献２参照）。
【０００５】
ところで、特許文献２に開示されているような生ゴミ処理装置は、水槽内の処理水を循環させて攪拌するために、水槽下部の処理水を循環パイプへ吸入し、水槽上部で吐出する。
【特許文献１】特開２００２−３３６８３０号公報
【特許文献２】特開２０００−３５４８９８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、特許文献２に開示されているような生ゴミ処理装置は、生ゴミが混入されている処理水を吸入するため循環パイプが生ゴミによってパイプ詰まりを起こすことがあった。また、パイプ詰まりを防止すべく、処理水の吸入口に、処理水を濾過するフィルタを設ける場合、生ゴミによってフィルタが目詰まりを起こすことがあった。パイプ詰まり又はフィルタ詰まりが生じた場合、処理水の循環が阻害されるため、特許文献２に開示されているような生ゴミ処理装置を用いる場合は、循環パイプ又はフィルタの清掃、フィルタの取り替え等のメンテナンスが頻繁に必要となり、生ゴミ処理装置の保守作業者にとって不便であるという問題があった。
【０００７】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、水槽の水を吸入及び吐出する水中ポンプの表面に沿って移動する気泡を発生させる気泡発生部を備えることにより、移動する気泡によって水中ポンプ表面に開口する吸入口近傍の生ゴミを除去することができる生ゴミ処理装置を提供することを目的とする。
【０００８】
本発明の他の目的は、水中ポンプ表面に開口する吸入口を覆うフィルタと前記気泡発生部とを備えることにより、移動する気泡によってフィルタに付着している生ゴミを除去することができ、水中ポンプ内への生ゴミの侵入を防止しつつ水を吸入及び吐出することができる生ゴミ処理装置を提供することにある。
【０００９】
本発明の他の目的は、柱状の水中ポンプの周方向に沿って配された気泡発生部を備えることにより、移動する気泡によって水中ポンプ側面に開口する吸入口近傍の生ゴミを除去することができる生ゴミ処理装置を提供することにある。
【００１０】
本発明の他の目的は、水中ポンプの下側に配された気泡発生部を備えることにより、気泡の浮力を利用して水中ポンプ表面に開口する吸入口近傍の生ゴミを除去することができる生ゴミ処理装置を提供することにある。
【００１１】
本発明の更に他の目的は、水中ポンプの作動停止中に作動する気泡発生部を備えることにより、水の吸入及び吐出が停止している間に、水中ポンプ表面に開口する吸入口近傍の生ゴミを効率良く除去することができる生ゴミ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
本発明に係る生ゴミ処理装置は、微生物が混入された水を収容する水槽と、該水槽に収容された水を吸入口から吸入し、吸入した水を吐出して、前記水槽に収容された水を攪拌する水中ポンプと、前記水の中に気泡を発生させる気泡発生部とを備え、前記水槽に投入された生ゴミを前記微生物によって分解処理する生ゴミ処理装置において、前記気泡発生部は、発生した気泡が前記水中ポンプの表面に沿って移動するよう気泡を発生させるように構成してあることを特徴とする。
【００１３】
本発明に係る生ゴミ処理装置は、前記水中ポンプは、前記吸入口を覆い、該吸入口へ吸入される水を濾過するフィルタを備えることを特徴とする。
【００１４】
本発明に係る生ゴミ処理装置は、前記水中ポンプは柱状をなし、軸方向を略鉛直方向に配され、前記吸入口は前記水中ポンプの側面に開口し、前記気泡発生部は、前記水中ポンプの周方向に沿って配されていることを特徴とする。
【００１５】
本発明に係る生ゴミ処理装置は、前記気泡発生部は、前記水中ポンプの下側に配されていることを特徴とする。
【００１６】
本発明に係る生ゴミ処理装置は、前記水中ポンプは作動及び作動停止を切り換えるようにしてあり、前記気泡発生部は前記水中ポンプの作動停止中に作動するようにしてあることを特徴とする。
【００１７】
本発明にあっては、気泡発生部が発生させた気泡が水中ポンプの表面に沿って移動する。水中ポンプが水を吸入する吸入口は、水中ポンプの表面に開口しているため、吸入口近傍の異物（例えば吸入口周縁に付着している生ゴミ）が、気泡と衝突して、又は、気泡に付着して吸入口近傍から除去される。吸入口近傍から除去された異物は、吸入口内へ侵入し難い。
【００１８】
本発明にあっては、水中ポンプが、水中ポンプ表面に開口している吸入口から、フィルタを介して水を吸入し、吐出する。吸入される水はフィルタによって濾過されるため、水中ポンプが水中の異物を吸入することはない。また、水中の異物がフィルタに付着した場合でも、気泡発生部が発生させた気泡が水中ポンプの表面に沿って移動するため、フィルタに付着している異物は、気泡と衝突して、又は、気泡に付着してフィルタから除去される。付着していた異物が除去されたフィルタは、水の吸入を妨げない。
【００１９】
本発明にあっては、気泡発生部が、環状の気泡発生器、又は環状に並置された複数の気泡発生器等を用いてなる。このような気泡発生部は、柱状の水中ポンプの周方向に沿って配されることによって、水中ポンプの側面、又は側面の仮想的な延長面を囲繞する。気泡発生部が発生させた気泡は水中ポンプの側面に沿って移動し、水中ポンプの側面に開口している吸入口近傍の異物（例えば吸入口を覆うフィルタに付着している生ゴミ）が、気泡と衝突して、又は、気泡に付着して吸入口近傍から除去される。
【００２０】
本発明にあっては、気泡発生部が水中ポンプの下側で気泡を発生させ、発生した気泡が、気泡自身の浮力によって、水中ポンプの表面に沿って上方へ移動するため、吸入口近傍の異物が、気泡と衝突して、又は、気泡に付着して吸入口近傍から除去される。また、気泡の上方への移動に伴って、吸入口近傍から除去された異物も上方へ移動する。
【００２１】
本発明にあっては、水中ポンプが作動している場合、吸入口から水が吸入されるため、水中の異物は吸入口周縁又は吸入口を覆うフィルタに吸い付けられるようにして付着する。このため、気泡発生部が発生させた気泡が水中ポンプの表面に沿って移動したときでも、吸入口周縁又はフィルタに付着している異物を除去することが困難である。
【００２２】
これに対して、水中ポンプが作動停止している場合、吸入口から水が吸入されないため、吸入口周縁又は吸入口を覆うフィルタに付着している異物は静止している。このため、気泡発生部が発生させた気泡が水中ポンプの表面に沿って移動したとき、吸入口周縁又はフィルタに付着している異物が容易に除去される。
【発明の効果】
【００２３】
本発明の生ゴミ処理装置によれば、気泡発生部が発生させ、水中ポンプの表面に沿って移動する気泡が、水中ポンプの表面に開口している吸入口の近傍の異物を除去することができる。このため、例えば吸入口周縁に付着している異物を除去することができ、異物の付着によって吸入口が詰まることを防止することができる。
【００２４】
このような気泡発生部は、水槽の水に酸素を供給するための気泡発生部と兼用することができるため、水中ポンプの清掃のために、新たな機器を追加する必要がなく、生ゴミ処理装置を低コストで製造することができる。また、生ゴミ処理装置の保守作業者が水中ポンプを頻繁に清掃する必要がないため、保守作業者の利便性を向上させることができる。
【００２５】
本発明の生ゴミ処理装置によれば、気泡発生部が発生させ、水中ポンプの表面に沿って移動する気泡が、フィルタに付着している異物を除去することができる。このため、異物によってフィルタが目詰まりを起こして水の吸入が阻害されること、ひいては水の攪拌が阻害されることを防止することができる。また、気泡発生部が発生させた気泡が自動的にフィルタを清掃するため、保守作業者がフィルタの清掃又は取り替えを頻繁に行なう必要がなく、保守作業者の利便性を向上させることができる。
【００２６】
本発明の生ゴミ処理装置によれば、気泡発生部が発生させ、水中ポンプの側面に沿って移動する気泡が、水中ポンプの側面に開口している吸入口近傍の異物を除去することができる。このため、例えば吸入口周縁又は吸入口を覆うフィルタに付着している異物を除去することができ、異物の付着によって吸入口又はフィルタが詰まることを防止することができる。
【００２７】
また、軸方向を略鉛直方向に配して用いる柱状の水中ポンプ、及び環状の気泡発生器又は環状に並置された複数の気泡発生器等を用いてなる気泡発生部は簡単に準備（容易に製造、安価に購入等）することができるため、生ゴミ処理装置を低コストで製造することができる。
【００２８】
本発明の生ゴミ処理装置によれば、気泡発生部が水中ポンプの下側で発生させ、水中ポンプの表面に沿って移動する気泡が、水中ポンプの表面に開口している吸入口近傍の異物を除去することができる。この場合、気泡の上方への移動に伴って、吸入口近傍から除去された異物も上方へ移動するため、除去された異物が、例えば吸入口周縁又は吸入口を覆うフィルタに再付着することを抑制することができる。また、気泡は、気泡自身の浮力によって付勢され、自動的に水中ポンプの表面に沿って移動するため、例えば、水中ポンプの側方又は上方に配された気泡発生部が大量の電力を消費して空気を水中へ噴射することなく、吸入口近傍の異物を容易に除去することができる。即ち、生ゴミ処理装置を低コストで使用することができる。
【００２９】
本発明の生ゴミ処理装置によれば、水中ポンプが作動停止している間に気泡発生部が発生させ、水中ポンプの表面に沿って移動する気泡が、吸入口近傍に静止している異物を効率良く除去することができる。また、水中ポンプと気泡発生部とが同時的に作動しないため、水中ポンプ及び気泡発生部の動力エネルギ（例えば電力）の無駄な消費を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００３０】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【００３１】
図１は、本発明に係る業務用の湿式の生ゴミ処理装置の模式的正面図であり、図２は、同じく模式的側面図である。図３は、生ゴミ処理装置が備える水中ポンプ６１（６２）及び気泡発生器７の構成を示す部分断面拡大斜視図である。図中２は、縦長の円筒形状の処理槽であり、処理槽２は地面に設置してある。また、処理槽２近傍の地面に、生ゴミ処理装置を操作するための操作盤１が設置してあり、処理槽２の上方に、直方体状の貯水槽３が設置してある。
【００３２】
処理槽２は、図示しない適宜の断熱構造を有する側面２ａ、下面２ｂ及び上面２ｃを備え、側面２ａには、処理槽２内へ水道水４を供給するための給水口４６が、後述するオーバーフロー水位より約５０ｍｍ上側に開口している。また、処理槽２には、微生物が着床する多孔質の発泡樹脂製の多数の基材５０，５０，…と、水道水４に微生物を混入させてなる処理水５とが収容してある。
【００３３】
処理槽２の上面２ｃ外側の中央部及び外周近傍の一部夫々には直方体状のケーシング２６，２７が配してある。ケーシング２７内には、微生物を含む液体からなる処理剤２５０を収容する処理剤タンク２５が配置してある。処理剤タンク２５内に収容された処理剤２５０は、ケーシング２６内に配置された処理剤ポンプ２８によって汲み出されて処理槽２内へ注入され、注入された処理剤２５０は処理水５に混入されて、処理水５の微生物の濃度を上昇させる。処理水５に混入された処理剤２５０に含まれる微生物は、処理水５中に浮遊し、基材５０，５０，…に着床する。
【００３４】
また、処理槽２の上面２ｃには、外周近傍の他部に、外部から処理槽２内へ生ゴミを投入するための投入口２４と、投入口２４を開閉する蓋２４１とが設けられ、蓋２４１には、外部から処理槽２内を視認するための覗き窓２４２が設けられている。生ゴミ処理装置の使用者（又は保守作業者）は、例えば生ゴミ処理装置の作動中は、覗き窓２４２を介して処理槽２内を視認する。投入口２４には、蓋２４１の開放を検出した場合に蓋開放信号を操作盤１へ送信する図示しない蓋開閉センサが取り付けてあり、蓋開閉センサが蓋２４１の開放を検出した場合、生ゴミ処理装置が作動しないか、作動停止するように構成してある。
【００３５】
処理槽２には、処理水５、基材５０，５０，…及び／又は投入された生ゴミを攪拌するために、処理槽２の径方向中心部に設置された攪拌翼２１と、攪拌翼２１の両側に設置された水中ポンプ６１，６２が収容されている。
【００３６】
攪拌翼２１は、処理槽２の軸方向（略鉛直方向）に配された円柱状の回転軸２１１の周面に設けられた螺旋状の板であり、回転軸２１１は、一端が、処理槽２の下面２ｂ内側の中央部に配された軸受け２１２に回転可能に支持され、他端が、ケーシング２６内に設置されたモータ２１３の図示しない出力軸に連結してある。モータ２１３が作動した場合、出力軸の回転が伝達された回転軸２１１の回転に伴って攪拌翼２１が回転し、このため処理水５が周方向に回転して、処理水５、基材５０，５０，…及び投入された生ゴミが攪拌される。
【００３７】
水中ポンプ６１，６２は、略同じ構成であるため、以下では主に水中ポンプ６１に関して説明する。水中ポンプ６１は縦長の円柱状であり、円柱状の水中ポンプ６１の軸方向（水中ポンプ６１の図示しないポンプ軸の軸方向）を略鉛直方向に配されて、下面２ｂ内側に備えられた短小な円柱状の台座６１２の上面中央部に設置されている。水中ポンプ６１の下部近傍の側面には、処理水５を吸入する吸入口６１ａが開口し、また、吸入口６１ａへ吸入される処理水５を濾過する網状のフィルタ６１３が吸入口６１ａを覆って取り付けてある。フィルタ６１３は処理水５中の基材５０，５０，…及び生ゴミを通過させない。このため、例えば処理水５の吸入時に、フィルタ６１３が濾し取った生ゴミがフィルタ６１３に吸い付けられることによって、フィルタ６１３に生ゴミが付着する。
【００３８】
水中ポンプ６１の上端からは、その先端開口が下面２ｂに対向する倒立Ｊ字状の循環パイプ６１１が上方へ延設されており、吸入口６１ａから吸入された処理水５は、循環パイプ６１１の基端へ移動し、循環パイプ６１１に沿って上昇して、循環パイプ６１１先端の開口から、下方へ向けて吐出される。つまり、水中ポンプ６１は、処理水５を上下方向に循環させて処理水５を攪拌する。本実施の形態の水中ポンプ６１は、後述する水中ポンプ作動時間の間（例えば５０秒間）の作動、及び、水中ポンプ停止時間の間（例えば１０秒間）の作動停止を、水中ポンプオン時間の間（例えば５分間）繰り返す間欠運転と、エアポンプオン時間の間（例えば１５分間）の連続的な作動停止（間欠運転停止）とを交互に行なう。
【００３９】
ここで、水中ポンプ６１が備える循環パイプ６１１の先端開口は、処理槽２のオーバーフロー水位近傍に配され、水中ポンプ６２が備える循環パイプ６２１の先端開口は、オーバーフロー水位の略中央位置に配されている。
【００４０】
処理槽２には、水中ポンプ６１，６２夫々に対応して、処理水５中に気泡８，８，…を発生させる気泡発生器７，７が収容してある。水中ポンプ６１と気泡発生器７との位置関係及び作用は、水中ポンプ６２と気泡発生器７との位置関係及び作用と略同様であるため、以下では水中ポンプ６１と気泡発生器７との位置関係及び作用について説明する。
【００４１】
気泡発生器７は、台座６１２の周面に固定された円環状のパイプ７０を備える。つまり、気泡発生器７は、水中ポンプ６１の下側に配され、水中ポンプ６１の周方向に沿う円環状である。パイプ７０の上側周面には複数の開口７ａ，７ａ，…が設けられ、各開口７ａを、微細な網目のフィルタ７１で覆っている。フィルタ７１は、開口７ａから噴出される気泡を微細な気泡にする機能と、パイプ７０内への生ゴミの侵入を防止する機能とを担う。
【００４２】
パイプ７０には、その中途に電磁給気弁７２を有する空気供給管７３の一端が連結してあり、空気供給管７３の他端は、ケーシング２６内部に配されたエアポンプ７４に連結してある。エアポンプ７４は、水中ポンプ６１の作動停止中に、空気供給管７３を介して、処理槽２外部の空気（外気）をパイプ７０へ供給し、パイプ７０へ供給された外気は、フィルタ７１，７１，…を通過して微細な気泡８，８，…となり、開口７ａ，７ａ，…から処理水５へ供給される。
【００４３】
開口７ａ，７ａ，…から処理水５へ供給された気泡８，８，…は、浮力によって処理水５中を上昇し、その際、フィルタ６１３を含む水中ポンプ６１表面を上方へ移動する。気泡発生器７による気泡８，８，…の発生中は、水中ポンプ６１が作動停止しているため、吸入口６１ａから処理水５が吸入されず、フィルタ６１３に濾し取られた生ゴミは、フィルタ６１３に付着した状態で静止している。このため、フィルタ６１３に付着している生ゴミは、気泡８，８，…と衝突し、また、気泡８，８，…に付着して、フィルタ６１３から容易に除去され、更に、気泡８，８，…の上昇に伴って、除去された生ゴミも上昇する。
【００４４】
ところで、水中ポンプ６１の作動中は、吸入口６１ａから処理水５が吸入されるため、フィルタ６１３に濾し取られた生ゴミは、フィルタ６１３に吸い付けられている。このため、フィルタ６１３に付着している生ゴミを除去することは困難である。つまり、水中ポンプ６１の作動停止中に気泡発生器７を発生させる本実施の形態においては、気泡８，８，…によってフィルタ６１３の付着物が効率良く除去される。
【００４５】
気泡８，８，…は酸素を含み、気泡８，８，…に含まれている酸素の一部は、気泡８，８，…の上昇中に処理水５に溶解して、処理水５の溶存酸素濃度を上昇させる。本実施の形態では、気泡発生器７からの気泡８，８，…発生中は、水中ポンプ６１，６２を作動停止させておくが、攪拌翼２１は作動させておく。この結果、攪拌翼２１によって処理水５が攪拌されて、気泡８，８，…に含まれている酸素の処理水５への溶解が促進される。ただし、攪拌翼２１による処理水５の攪拌によって、気泡８，８，…の水中ポンプ６１表面に沿った上昇が阻害されることはない。
【００４６】
処理槽２の側面２ａには、処理水５の水位が所定の水位（オーバーフロー水位）より上昇した場合に、過剰な処理水５を外部へ排水するオーバーフロー開口２３０が形成されている。オーバーフロー開口２３０の下端はオーバーフロー水位に位置し、また、オーバーフロー開口２３０には、未処理の生ゴミがオーバーフローによって外部へ排出されることを防止する排水濾過網２３１が取り付けられている。排水濾過網２３１を通過してオーバーフロー開口２３０から排出された処理水５は、側面２ａ外側に設けられたオーバーフロー槽２３へ移動し、オーバーフロー槽２３下部に接続された排水管２３２から、トラップ２３３を介して、図示しない浄化槽又は下水道へ排水される。
【００４７】
オーバーフロー槽２３上部には、オーバーフロー槽２３側から排水濾過網２３１へシャワー水を噴射するシャワー開口４７が設けられる。シャワー開口４７は、その中途にシャワーポンプ４３が配されたシャワー給水管４４に接続されており、シャワーポンプ４３は、シャワー給水管４４を介して、水道水４をシャワー開口４７へ供給し、シャワー開口４７から噴射されたシャワー水は、排水濾過網２３１に付着した生ゴミを処理槽２内部側へ除去して、オーバーフロー時の排水が円滑に行われるようにする。
【００４８】
処理槽２の側面２ａ内側には、水位検出部（オーバーフロースイッチ）２２が設けられている。水位検出部２２は、処理水５の水面に浮遊する浮玉２２ａを有し、浮玉２２ａの上下方向の位置がオーバーフロー水位以上である場合に、水位超過信号を操作盤１へ送信する。このような水位検出部２２は、例えば排水濾過網２３１に生ゴミが付着して目詰まりを起こすことによって、処理水５の水位がオーバーフロー水位以上に上昇した場合に、処理水５の水位の過剰な上昇を検出して、水位超過信号を操作盤１へ送信する。水位超過信号を受信した操作盤１は、後述するように処理槽２への給水を停止する。
【００４９】
処理槽２の側面２ａの一部には、処理槽２内部の点検、清掃等のために、人間が進入可能な点検口２９と、点検口２９を開閉する扉２９１とが設けてある。生ゴミ処理装置の保守作業者は、点検口２９を通過して処理槽２内部へ侵入し、フィルタ６１３，６２３の清掃又は取り替えを行なう。点検口２９には、扉２９１の開放を検出した場合に扉開放信号を操作盤１へ送信する図示しない扉開閉センサが取り付けてあり、扉開閉センサが扉２９１の開放を検出した場合、生ゴミ処理装置が作動しないか、作動停止するように構成してある。
【００５０】
貯水槽３は、水道水４を貯留するタンク（シスターン）であり、側面上部に入水管３１、下面に出水管３２、側面中央部にオーバーフロー管３３が夫々開口している。入水管３１は、図示しない止水弁を介して上水道又は受水槽に接続されており、上水道又は受水槽から水道水４が入水管３１を通過して貯水槽３へ供給される。
【００５１】
入水管３１の貯水槽３側開口には、浮玉３４ａの上下動によって貯水槽３に対する給水と給水の停止とを行なうボールタップ３４が設けられている。浮玉３４ａの位置がオーバーフロー管３３の開口位置より下側である場合はボールタップ３４が開いて入水管３１から貯水槽３へ水道水４が供給され、また、浮玉３４ａの位置がオーバーフロー管３３の開口位置以上である場合はボールタップ３４が閉じて入水管３１から貯水槽３への水道水４の供給が停止される。貯水槽３に貯留された水道水４の水位がオーバーフロー管３３の開口位置以上に上昇した場合、水道水４はオーバーフロー管３３を通過して図示しない浄化槽又は下水道へ排水される。以下では、貯水槽３には、オーバーフロー管３３の開口位置に略等しい水位の水道水４が常に貯留されているものとする。
【００５２】
貯水槽３の出水管３２は、ストレーナ４０を介して、その中途に第１電磁給水弁４１を有する給水管４５に接続され、給水管４５は処理槽２の給水口４６に接続されている。給水管４５は、ストレーナ４０と第１電磁給水弁４１との間からシャワー給水管４４が分岐しており、シャワー給水管４４の中途、更に詳細にはシャワー給水管４４及び給水管４５の分岐点とシャワーポンプ４３との間に、第２電磁給水弁４２を有する。
【００５３】
図４は、操作盤１の構成を示すブロック図であり、図５は、生ゴミ処理装置が備える各種ポンプ、電磁給水弁等に関する制御信号を、操作盤１のＣＰＵ１０が出力するタイミングを示すタイミングチャートである。
【００５４】
操作盤１は、バス又は信号線を介して電気的に相互に接続されたＣＰＵ１０、ＲＯＭ１１、ＲＡＭ１２、タイマ１３、操作部１４及びＩ／Ｆ（インタフェース）部１５を備える。ＣＰＵ１０は、ＲＡＭ１２を作業領域として用い、ＲＯＭ１１に記憶された制御プログラム及びデータに従って装置各部を制御し、各種処理を実行する。また、ＣＰＵ１０は、タイマ１３を用いて経過時間を計時する。更に、ＣＰＵ１０は、Ｉ／Ｆ部１５を介して、モータ２１３、各電磁給水弁４１，４２等へ、これらを作動又は開放させる制御信号を送信し、水位検出部２２から送信された水位超過信号、前記蓋開閉センサから送信された蓋開放信号、及び前記扉開閉センサから送信された扉開放信号を受信する。
【００５５】
操作部１４は、図示しない表示部を見ながら使用者が生ゴミ処理装置を操作するための各種ファンクションキーを備える。使用者は操作部１４を操作して、生ゴミ処理装置を作動させるための各種パラメータ（後述する水中ポンプオン時間、微生物添加時間等）を生ゴミ処理装置に入力し、入力されたパラメータは、ＣＰＵ１０が各種処理を実行する際に用いるデータとしてＲＡＭ１２に記憶される。なお、操作盤１にＥＥＰＲＯＭを備えておき、操作部１４を介して入力されたパラメータを、ＲＡＭ１２の代わりにＥＥＲＯＭに記憶させる構成でもよい。
【００５６】
モータ２１３、処理剤ポンプ２８、シャワーポンプ４３、水中ポンプ６１，６２及びエアポンプ７４夫々は、制御信号を受信した場合に作動を開始し、制御信号の受信が継続されている間は継続して作動し、制御信号が受信されなくなった場合に作動停止し、制御信号が受信されるまで作動停止を継続する。また、各電磁給水弁４１，４２及び電磁給気弁７２夫々は、制御信号を受信した場合に開いて給水管４５、シャワー給水管４４及び空気供給管７３の中途を開放し、制御信号の受信が継続されている間は開放を継続し、制御信号が受信されなくなった場合に閉じて前記中途を閉鎖し、制御信号が受信されるまで閉鎖を継続する。
【００５７】
使用者は、生ゴミ処理装置の運転開始に先立って、操作盤１の操作部１４を用い、各種パラメータを設定する。例えば使用者は、生ゴミ処理の１サイクルの運転時間を２０分間とし、水中ポンプ６１，６２が間欠運転を行ないエアポンプ７４が作動停止する水中ポンプオン時間を５分間、水中ポンプ６１，６２が作動停止しエアポンプ７４が作動するエアポンプオン時間を１５分間として設定する。また、使用者は、処理剤ポンプ２８の作動を開始するタイミングを示す微生物添加時間を６時間として設定し、処理剤ポンプ２８が作動する処理剤ポンプ作動時間を２０秒間として設定する。更に、第１電磁給水弁４１を開く給水弁開放時間を３０秒間として設定する。
【００５８】
更にまた、使用者は、水中ポンプオン時間の間に間欠的に水中ポンプ６１，６２が作動する水中ポンプ作動時間を５０秒間とし、水中ポンプ作動時間の経過後に水中ポンプ６１，６２が作動停止する水中ポンプ停止時間を１０秒間として設定する。即ち、１サイクルにおける水中ポンプ６１，６２の間欠運転時には、５０秒間の水中ポンプ６１，６２作動と１０秒間の水中ポンプ６１，６２作動停止とが５回ずつ交互に繰り返され、しかも、エアポンプ７４が作動停止している。また、水中ポンプ６１，６２の間欠運転停止時には、エアポンプ７４が１５分間連続的に作動し、しかも、水中ポンプ６１，６２が作動停止している。
【００５９】
なお、本実施の形態においては水中ポンプ６１，６２（エアポンプ７４）の作動開始とエアポンプ７４（水中ポンプ６１，６２）の作動停止とが同時的に行なわれるようにしてあるが、これに限るものではない。例えば、水中ポンプ６１，６２（エアポンプ７４）の作動停止後、適宜の時間を経てからエアポンプ７４（水中ポンプ６１，６２）の作動を開始してもよい。
【００６０】
各種パラメータの設定後、使用者は、操作部１４を用いて生ゴミ処理装置に処理水５を準備するよう命令する。操作部１４を介して処理水準備命令が入力された場合、ＣＰＵ１０は、第１電磁給水弁４１、第２電磁給水弁４２、及びシャワーポンプ４３夫々へ制御信号を送信する。この場合、第１電磁給水弁４１が開き、貯水槽３の水道水４は、出水管３２、ストレーナ４０、及び給水管４５を通過して、給水口４６を介し、処理槽２へ給水される。また、第２電磁給水弁４２が開き、貯水槽３の水道水４は、給水管４５及びシャワー給水管４４を通過し、シャワーポンプ４３によって加圧されて、シャワー開口４７から排水濾過網２３１へ噴出し、排水濾過網２３１に付着している生ゴミを処理槽２内へ排除する。
【００６１】
処理槽２には、予め基材５０，５０，…が収容してある。処理槽２へ水道水４が供給され、処理槽２の水位がオーバーフロー水位以上に達した場合、浮玉２２ａの上下方向の位置がオーバーフロー水位以上に達し、このため水位検出部２２は水位超過信号を操作盤１へ送信する。水位超過信号を受信したＣＰＵ１０は、第１電磁給水弁４１への制御信号の送信を停止する。この場合、第１電磁給水弁４１が閉じ、処理槽２への水道水４の供給が停止する。
【００６２】
また、前記蓋開放信号又は前記扉開放信号を受信したＣＰＵ１０は、各部への制御信号の送信を実行せず、更に、送信中の制御信号の送信を停止する。この場合、各電磁給水弁４１，４２及び電磁給気弁７２が閉じ、各ポンプ２８，４３，６１，６２，７４及びモータ２１３が作動停止する。つまり、蓋２４１又は扉２９１が開放されている場合、生ゴミ処理装置は、処理槽２への水道水４の供給、処理剤２５０の注入、生ゴミの分解処理等を行なわない。
【００６３】
なお、第２電磁給水弁４２も適宜に開閉を切り換えるようにしてよい。ただし、第２電磁給水弁４２を閉じる場合は、シャワーポンプ４３を作動停止させる必要がある。
【００６４】
使用者は、蓋２４１を開放して投入口２４から処理槽２内へ生ゴミを投入し、蓋２４１を閉鎖してから、操作部１４を用いて生ゴミ処理装置に生ゴミ処理をスタートさせる。操作部１４を介してゴミ処理スタート命令が入力された場合、ＣＰＵ１０は、処理剤ポンプ２８へ制御信号を処理剤ポンプ作動時間（２０秒間）だけ送信してから制御信号の送信を停止する。この場合、処理剤ポンプ２８は２０秒間作動し、処理剤タンク２５内の処理剤２５０を処理槽２へ、所定量（例えば２０ｃｃ）注入する。処理剤２５０が注入された処理槽２内の水道水４は、処理剤２５０に含まれた微生物が混入されて処理水５となる。
【００６５】
ＣＰＵ１０は、処理剤ポンプ２８へ制御信号を微生物添加時間（６時間）の経過後に再び送信する。即ち、処理剤２５０は６時間毎に２０ｃｃずつ処理水５に追加される。このようにして、処理水５には適宜の時間間隔で新たな微生物が添加されるため、例えば処理水５のオーバーフローによって処理槽２内の微生物が減少した場合でも、処理剤２５０の注入によって新たな微生物が添加され、生ゴミ処理能力が維持される。
【００６６】
処理剤ポンプ２８への制御信号の送信開始と同時的に、ＣＰＵ１０は、モータ２１３への制御信号の送信を開始し、例えば使用者が操作部１４を介して生ゴミ処理停止命令を入力するまで制御信号の送信を継続する。この場合、モータ２１３は継続して作動し、このため攪拌翼２１が回転して、処理水５及び生ゴミを攪拌し続ける。
【００６７】
図６は、ＣＰＵ１０が実行する水中ポンプ及びエアポンプ運転処理の手順を示すフローチャートである。水中ポンプ及びエアポンプ運転処理は、操作部１４を介してゴミ処理スタート命令が入力された場合に実行される。
【００６８】
ＣＰＵ１０は、タイマ１３を用いて、生ゴミ処理の１サイクル２０分間の計時を開始する（Ｓ１１）。ゴミ処理スタート命令が入力された直後においては、Ｓ１１の処理は処理剤ポンプ２８への制御信号の送信開始と同時的に実行される。
【００６９】
また、ＣＰＵ１０は、水中ポンプ６１，６２の間欠運転を開始する（Ｓ１２）。水中ポンプ６１，６２の間欠運転を開始したＣＰＵ１０は、まず、水中ポンプ６１，６２へ制御信号を水中ポンプ作動時間（５０秒間）継続して送信し、次に、水中ポンプ制御信号の送信を、水中ポンプ停止時間（１０秒間）停止することを、水中ポンプオン時間（５分間）繰り返し実行する。
【００７０】
ＣＰＵ１０は、タイマ１３が計時した経過時間が水中ポンプ６１，６２のオン時間（水中ポンプオン時間）以上であるか否かを判定し（Ｓ１３）、経過時間が水中ポンプ６１，６２のオン時間未満である場合（Ｓ１３でＮＯ）、水中ポンプ６１，６２の間欠運転を継続する。タイマ１３が計時した経過時間が水中ポンプ６１，６２のオン時間以上である場合（Ｓ１３でＹＥＳ）、水中ポンプ６１，６２のオン時間が経過したため、ＣＰＵ１０は、水中ポンプ６１，６２の間欠運転を終了する（Ｓ１４）。具体的には、水中ポンプ６１，６２への制御信号の送信を停止し、再びＳ１２の処理を実行するまで水中ポンプ６１，６２へ制御信号を送信しない。
【００７１】
Ｓ１４の処理の直後、ＣＰＵ１０は、エアポンプ７４の作動を開始させる（Ｓ１５）。更に詳細には、ＣＰＵ１０は、エアポンプ７４及び電磁給気弁７２への制御信号の送信を開始する。
【００７２】
ＣＰＵ１０は、タイマ１３が計時した経過時間から水中ポンプ６１，６２のオン時間を減算して、エアポンプ７４の作動開始からの経過時間（以下、作動時間という）を算出し（Ｓ１６）、算出した作動時間がエアポンプ７４のオン時間（エアポンプオン時間）以上であるか否かを判定する（Ｓ１７）。作動時間がエアポンプ７４のオン時間未満である場合（Ｓ１７でＮＯ）、ＣＰＵ１０はエアポンプ７４への制御信号の送出を継続することによってエアポンプ７４の作動を継続させ、処理をＳ１６へ戻す。作動時間がエアポンプ７４のオン時間以上である場合（Ｓ１７でＹＥＳ）、エアポンプ７４のオン時間が経過したため、ＣＰＵ１０は、エアポンプ７４の作動を終了する（Ｓ１８）。具体的には、エアポンプ７４及び電磁給気弁７２への制御信号の送信を停止し、再びＳ１５の処理を実行するまでエアポンプ７４及び電磁給気弁７２へ制御信号を送信しない。
【００７３】
最後に、ＣＰＵ１０はタイマ１３を用いた１サイクルの計時を終了し（Ｓ１９）、処理をＳ１１へ戻す。
【００７４】
以上のようにしてＣＰＵ１０は、２０分毎に水中ポンプ及びエアポンプ運転処理を繰り返し実行する。
【００７５】
ところで、水中ポンプ６１，６２の間欠運転中に、ＣＰＵ１０は、第１電磁給水弁４１への制御信号の送信を適宜の時間間隔で開始し、給水弁開放時間（３０秒間）だけ送信を継続してから、送信を停止する。このため、適宜の時間間隔で第１電磁給水弁４１が開いて給水口４６から処理槽２へ所定量の水道水４が供給され、再び第１電磁給水弁４１が閉じて水道水４の供給が停止される。このような水道水４の供給は、例えば、１サイクルにおける水中ポンプ６１，６２の２回目の作動開始及び４回目の作動開始夫々と同時的に実行される。
【００７６】
水中ポンプ６１，６２の間欠運転中に供給される水道水４は、処理槽２内の処理水５の水位、及び処理水５中の微生物の濃度を一定に保つべく供給されており、処理水５の溶存酸素濃度の上昇を主な目的としていない。このため、供給される水道水４の量は少量である。
【００７７】
水中ポンプ６１，６２の間欠運転停止中、即ちエアポンプ７４の作動中は、水道水４の供給は行われない。
【００７８】
処理水５は、図示しない加熱装置によって、及び／又は、微生物が生ゴミを分解処理する場合に発生する熱を利用して、微生物が最も活性化する約３５℃の水温に維持される。この状態で、処理水５に含まれている微生物は、処理水５中の溶存酸素を消費しつつ、処理水５と共に攪拌翼２１によって攪拌されている生ゴミを水と二酸化炭素とに分解する。生ゴミが分解処理されて生じた水と二酸化炭素とは、例えば、処理水５と共に排水濾過網２３１を通過してオーバーフロー開口２３０から排水される。
【００７９】
以上のような生ゴミ処理装置は、処理槽２に生ゴミが投入され、処理槽２に収容される処理水５には微生物が混入され、微生物は、処理水５中の酸素を消費しつつ、処理槽２に投入された生ゴミを分解処理することができるため、可燃ゴミの量が減少して、昨今、社会問題となっているゴミの減少に貢献することができる。また、水中ポンプ６１，６２が処理水５を吸入し吐出することによって、更に、攪拌翼２１が回転することによって、処理槽２内で、生ゴミ、微生物、及び酸素を含む処理水５が攪拌され、微生物による生ゴミの分解処理を促進することができる。
【００８０】
また、生ゴミ処理装置は、気泡発生器７，７によって処理水５中に吹き込まれた外気に含まれる新たな酸素が処理水５に溶解することによって処理水５中の溶存酸素濃度が上昇するため、好気性の微生物が処理水５中の溶存酸素を消費した場合でも、溶存酸素濃度を上昇させるために新たな水道水４を処理槽２へ大量に供給する必要がない。この結果、生ゴミ処理装置は水道コストを減少させることができ、ひいては生ゴミ処理装置のランニングコストを減少させることができる。
【００８１】
また、水中ポンプ６１，６２が作動停止している間に気泡発生器７，７が水中ポンプ６１，６２の下側で発生させ、水中ポンプ６１，６２の表面に沿って移動する気泡８，８，…が、フィルタ６１３，６２３に付着している生ゴミを効率良く除去することができる。このため、生ゴミによってフィルタ６１３，６２３が目詰まりを起こして処理水５の吸入が阻害されること、ひいては水中ポンプ６１，６２による処理水５の攪拌が阻害されることを防止することができる。この場合、気泡８，８，…の上方への移動に伴って、フィルタ６１３，６２３から除去された生ゴミも上方へ移動して、分解処理されるため、除去された生ゴミがフィルタ６１３，６２３に再付着することを抑制することができる。
【００８２】
更に、水中ポンプ６１，６２と気泡発生器７，７とが同時的に作動しないため、水中ポンプ６１，６２及びエアポンプ７４の電力の無駄な消費を防止することができ、ひいては生ゴミ処理装置のランニングコストを減少させることができる。
【００８３】
更にまた、気泡８，８，…は、気泡８，８，…自身の浮力によって付勢され、自動的に水中ポンプ６１，６２の表面に沿って移動するため、気泡８，８，…が水中ポンプ６１，６２の表面に沿って移動するように例えば電力を用いて気泡８，８，…を付勢する必要がない。即ち、生ゴミ処理装置を低コストで使用することができる。
【００８４】
また、気泡発生器７，７が発生させた気泡８，８，…が自動的にフィルタ６１３，６２３を清掃するため、保守作業者がフィルタ６１３，６２３の清掃又は取り替えを頻繁に行なう必要がなく、保守作業者の利便性を向上させることができる。
【００８５】
つまり、処理水５に酸素を供給するための気泡発生器７，７を用いてフィルタ６１３，６２３に付着している生ゴミを除去することができるため、フィルタ６１３，６２３の自動清掃のために、新たな機器を追加する必要がない。更に、水中ポンプ６１，６２、及び気泡発生器７，７は単純な形状であるため、簡単に準備（容易に製造、安価に購入等）することができる。以上のことから、生ゴミ処理装置を低コストで製造することができる。
【００８６】
なお、生ゴミ処理装置は、本実施の形態の構成に限定されるものではなく、例えば、家庭用の生ゴミ処理装置でもよい。また、気泡発生器７の形状は環状に限定されず、また、パイプ７０に開口７ａ，７ａ，…が形成してある構成に限定されない。例えば、気泡発生器７は、一直線状又は環状の母管から同一方向に突出する複数の枝管が並設されたエアヘッダを用いて構成されてもよい。
【００８７】
また、水中ポンプ６１の吸入口６１ａは側面下部に開口している構成に限定されない。しかしながら、例えば、底面に開口している場合は、気泡８，８，…によって除去された生ゴミが気泡８，８，…と共に浮上して再びフィルタ６１３に付着することがあり、また、上部に開口している場合は、吸入口６１ａの開口位置より下側の処理水５を吸入し難くなり、処理水５の全体的な循環が阻害されることがあるため、側面下部に開口していることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【００８８】
【図１】本発明に係る生ゴミ処理装置の模式的正面図である。
【図２】本発明に係る生ゴミ処理装置の模式的側面図である。
【図３】本発明に係る生ゴミ処理装置が備える水中ポンプ及び気泡発生器の構成を示す部分断面拡大斜視図である。
【図４】本発明に係る生ゴミ処理装置が備える操作盤の構成を示すブロック図である。
【図５】本発明に係る生ゴミ処理装置が備える各種ポンプ、電磁給水弁等に関する制御信号の出力のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図６】本発明に係る生ゴミ処理装置の水中ポンプ及びエアポンプ運転処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【００８９】
１０ ＣＰＵ
２ 処理槽（水槽）
５ 処理水（微生物が混入された水）
６１，６２ 水中ポンプ
６１３，６２３ フィルタ
６１ａ，６２ａ 吸入口
７ 気泡発生器（気泡発生部）
８ 気泡
【技術分野】
【０００１】
本発明は、水槽の水に投入された生ゴミを微生物によって分解処理する湿式の生ゴミ処理装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来の湿式の生ゴミ処理装置は、水槽の水に微生物を混入させて、生ゴミを分解処理するための処理水となし、この処理水の中に生ゴミを投入して攪拌翼で攪拌することによって、微生物に生ゴミを分解させる（特許文献１参照）。
【０００３】
このような生ゴミ処理装置では、好気性の微生物が処理水中の溶存酸素を消費して生ゴミを分解処理するため、酸素を含む新たな水を水槽へ大量に供給する必要があった。この水としては、一般に水道水が用いられるため、生ゴミを分解処理するために水道コストが増大し、生ゴミ処理装置のランニングコストが増大するという問題があった。
【０００４】
この問題を解決するために、生ゴミ処理装置外部の空気（外気）を処理水中に吹き込む生ゴミ処理装置が提案されている。このような生ゴミ処理装置は、吹き込まれた外気が処理水に溶解することによって処理水中の溶存酸素濃度が上昇するため、新たな水道水を水槽へ大量に供給する必要がなく、水道コストが減少し、生ゴミ処理装置のランニングコストが減少する（特許文献２参照）。
【０００５】
ところで、特許文献２に開示されているような生ゴミ処理装置は、水槽内の処理水を循環させて攪拌するために、水槽下部の処理水を循環パイプへ吸入し、水槽上部で吐出する。
【特許文献１】特開２００２−３３６８３０号公報
【特許文献２】特開２０００−３５４８９８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、特許文献２に開示されているような生ゴミ処理装置は、生ゴミが混入されている処理水を吸入するため循環パイプが生ゴミによってパイプ詰まりを起こすことがあった。また、パイプ詰まりを防止すべく、処理水の吸入口に、処理水を濾過するフィルタを設ける場合、生ゴミによってフィルタが目詰まりを起こすことがあった。パイプ詰まり又はフィルタ詰まりが生じた場合、処理水の循環が阻害されるため、特許文献２に開示されているような生ゴミ処理装置を用いる場合は、循環パイプ又はフィルタの清掃、フィルタの取り替え等のメンテナンスが頻繁に必要となり、生ゴミ処理装置の保守作業者にとって不便であるという問題があった。
【０００７】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、水槽の水を吸入及び吐出する水中ポンプの表面に沿って移動する気泡を発生させる気泡発生部を備えることにより、移動する気泡によって水中ポンプ表面に開口する吸入口近傍の生ゴミを除去することができる生ゴミ処理装置を提供することを目的とする。
【０００８】
本発明の他の目的は、水中ポンプ表面に開口する吸入口を覆うフィルタと前記気泡発生部とを備えることにより、移動する気泡によってフィルタに付着している生ゴミを除去することができ、水中ポンプ内への生ゴミの侵入を防止しつつ水を吸入及び吐出することができる生ゴミ処理装置を提供することにある。
【０００９】
本発明の他の目的は、柱状の水中ポンプの周方向に沿って配された気泡発生部を備えることにより、移動する気泡によって水中ポンプ側面に開口する吸入口近傍の生ゴミを除去することができる生ゴミ処理装置を提供することにある。
【００１０】
本発明の他の目的は、水中ポンプの下側に配された気泡発生部を備えることにより、気泡の浮力を利用して水中ポンプ表面に開口する吸入口近傍の生ゴミを除去することができる生ゴミ処理装置を提供することにある。
【００１１】
本発明の更に他の目的は、水中ポンプの作動停止中に作動する気泡発生部を備えることにより、水の吸入及び吐出が停止している間に、水中ポンプ表面に開口する吸入口近傍の生ゴミを効率良く除去することができる生ゴミ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
本発明に係る生ゴミ処理装置は、微生物が混入された水を収容する水槽と、該水槽に収容された水を吸入口から吸入し、吸入した水を吐出して、前記水槽に収容された水を攪拌する水中ポンプと、前記水の中に気泡を発生させる気泡発生部とを備え、前記水槽に投入された生ゴミを前記微生物によって分解処理する生ゴミ処理装置において、前記気泡発生部は、発生した気泡が前記水中ポンプの表面に沿って移動するよう気泡を発生させるように構成してあることを特徴とする。
【００１３】
本発明に係る生ゴミ処理装置は、前記水中ポンプは、前記吸入口を覆い、該吸入口へ吸入される水を濾過するフィルタを備えることを特徴とする。
【００１４】
本発明に係る生ゴミ処理装置は、前記水中ポンプは柱状をなし、軸方向を略鉛直方向に配され、前記吸入口は前記水中ポンプの側面に開口し、前記気泡発生部は、前記水中ポンプの周方向に沿って配されていることを特徴とする。
【００１５】
本発明に係る生ゴミ処理装置は、前記気泡発生部は、前記水中ポンプの下側に配されていることを特徴とする。
【００１６】
本発明に係る生ゴミ処理装置は、前記水中ポンプは作動及び作動停止を切り換えるようにしてあり、前記気泡発生部は前記水中ポンプの作動停止中に作動するようにしてあることを特徴とする。
【００１７】
本発明にあっては、気泡発生部が発生させた気泡が水中ポンプの表面に沿って移動する。水中ポンプが水を吸入する吸入口は、水中ポンプの表面に開口しているため、吸入口近傍の異物（例えば吸入口周縁に付着している生ゴミ）が、気泡と衝突して、又は、気泡に付着して吸入口近傍から除去される。吸入口近傍から除去された異物は、吸入口内へ侵入し難い。
【００１８】
本発明にあっては、水中ポンプが、水中ポンプ表面に開口している吸入口から、フィルタを介して水を吸入し、吐出する。吸入される水はフィルタによって濾過されるため、水中ポンプが水中の異物を吸入することはない。また、水中の異物がフィルタに付着した場合でも、気泡発生部が発生させた気泡が水中ポンプの表面に沿って移動するため、フィルタに付着している異物は、気泡と衝突して、又は、気泡に付着してフィルタから除去される。付着していた異物が除去されたフィルタは、水の吸入を妨げない。
【００１９】
本発明にあっては、気泡発生部が、環状の気泡発生器、又は環状に並置された複数の気泡発生器等を用いてなる。このような気泡発生部は、柱状の水中ポンプの周方向に沿って配されることによって、水中ポンプの側面、又は側面の仮想的な延長面を囲繞する。気泡発生部が発生させた気泡は水中ポンプの側面に沿って移動し、水中ポンプの側面に開口している吸入口近傍の異物（例えば吸入口を覆うフィルタに付着している生ゴミ）が、気泡と衝突して、又は、気泡に付着して吸入口近傍から除去される。
【００２０】
本発明にあっては、気泡発生部が水中ポンプの下側で気泡を発生させ、発生した気泡が、気泡自身の浮力によって、水中ポンプの表面に沿って上方へ移動するため、吸入口近傍の異物が、気泡と衝突して、又は、気泡に付着して吸入口近傍から除去される。また、気泡の上方への移動に伴って、吸入口近傍から除去された異物も上方へ移動する。
【００２１】
本発明にあっては、水中ポンプが作動している場合、吸入口から水が吸入されるため、水中の異物は吸入口周縁又は吸入口を覆うフィルタに吸い付けられるようにして付着する。このため、気泡発生部が発生させた気泡が水中ポンプの表面に沿って移動したときでも、吸入口周縁又はフィルタに付着している異物を除去することが困難である。
【００２２】
これに対して、水中ポンプが作動停止している場合、吸入口から水が吸入されないため、吸入口周縁又は吸入口を覆うフィルタに付着している異物は静止している。このため、気泡発生部が発生させた気泡が水中ポンプの表面に沿って移動したとき、吸入口周縁又はフィルタに付着している異物が容易に除去される。
【発明の効果】
【００２３】
本発明の生ゴミ処理装置によれば、気泡発生部が発生させ、水中ポンプの表面に沿って移動する気泡が、水中ポンプの表面に開口している吸入口の近傍の異物を除去することができる。このため、例えば吸入口周縁に付着している異物を除去することができ、異物の付着によって吸入口が詰まることを防止することができる。
【００２４】
このような気泡発生部は、水槽の水に酸素を供給するための気泡発生部と兼用することができるため、水中ポンプの清掃のために、新たな機器を追加する必要がなく、生ゴミ処理装置を低コストで製造することができる。また、生ゴミ処理装置の保守作業者が水中ポンプを頻繁に清掃する必要がないため、保守作業者の利便性を向上させることができる。
【００２５】
本発明の生ゴミ処理装置によれば、気泡発生部が発生させ、水中ポンプの表面に沿って移動する気泡が、フィルタに付着している異物を除去することができる。このため、異物によってフィルタが目詰まりを起こして水の吸入が阻害されること、ひいては水の攪拌が阻害されることを防止することができる。また、気泡発生部が発生させた気泡が自動的にフィルタを清掃するため、保守作業者がフィルタの清掃又は取り替えを頻繁に行なう必要がなく、保守作業者の利便性を向上させることができる。
【００２６】
本発明の生ゴミ処理装置によれば、気泡発生部が発生させ、水中ポンプの側面に沿って移動する気泡が、水中ポンプの側面に開口している吸入口近傍の異物を除去することができる。このため、例えば吸入口周縁又は吸入口を覆うフィルタに付着している異物を除去することができ、異物の付着によって吸入口又はフィルタが詰まることを防止することができる。
【００２７】
また、軸方向を略鉛直方向に配して用いる柱状の水中ポンプ、及び環状の気泡発生器又は環状に並置された複数の気泡発生器等を用いてなる気泡発生部は簡単に準備（容易に製造、安価に購入等）することができるため、生ゴミ処理装置を低コストで製造することができる。
【００２８】
本発明の生ゴミ処理装置によれば、気泡発生部が水中ポンプの下側で発生させ、水中ポンプの表面に沿って移動する気泡が、水中ポンプの表面に開口している吸入口近傍の異物を除去することができる。この場合、気泡の上方への移動に伴って、吸入口近傍から除去された異物も上方へ移動するため、除去された異物が、例えば吸入口周縁又は吸入口を覆うフィルタに再付着することを抑制することができる。また、気泡は、気泡自身の浮力によって付勢され、自動的に水中ポンプの表面に沿って移動するため、例えば、水中ポンプの側方又は上方に配された気泡発生部が大量の電力を消費して空気を水中へ噴射することなく、吸入口近傍の異物を容易に除去することができる。即ち、生ゴミ処理装置を低コストで使用することができる。
【００２９】
本発明の生ゴミ処理装置によれば、水中ポンプが作動停止している間に気泡発生部が発生させ、水中ポンプの表面に沿って移動する気泡が、吸入口近傍に静止している異物を効率良く除去することができる。また、水中ポンプと気泡発生部とが同時的に作動しないため、水中ポンプ及び気泡発生部の動力エネルギ（例えば電力）の無駄な消費を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００３０】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【００３１】
図１は、本発明に係る業務用の湿式の生ゴミ処理装置の模式的正面図であり、図２は、同じく模式的側面図である。図３は、生ゴミ処理装置が備える水中ポンプ６１（６２）及び気泡発生器７の構成を示す部分断面拡大斜視図である。図中２は、縦長の円筒形状の処理槽であり、処理槽２は地面に設置してある。また、処理槽２近傍の地面に、生ゴミ処理装置を操作するための操作盤１が設置してあり、処理槽２の上方に、直方体状の貯水槽３が設置してある。
【００３２】
処理槽２は、図示しない適宜の断熱構造を有する側面２ａ、下面２ｂ及び上面２ｃを備え、側面２ａには、処理槽２内へ水道水４を供給するための給水口４６が、後述するオーバーフロー水位より約５０ｍｍ上側に開口している。また、処理槽２には、微生物が着床する多孔質の発泡樹脂製の多数の基材５０，５０，…と、水道水４に微生物を混入させてなる処理水５とが収容してある。
【００３３】
処理槽２の上面２ｃ外側の中央部及び外周近傍の一部夫々には直方体状のケーシング２６，２７が配してある。ケーシング２７内には、微生物を含む液体からなる処理剤２５０を収容する処理剤タンク２５が配置してある。処理剤タンク２５内に収容された処理剤２５０は、ケーシング２６内に配置された処理剤ポンプ２８によって汲み出されて処理槽２内へ注入され、注入された処理剤２５０は処理水５に混入されて、処理水５の微生物の濃度を上昇させる。処理水５に混入された処理剤２５０に含まれる微生物は、処理水５中に浮遊し、基材５０，５０，…に着床する。
【００３４】
また、処理槽２の上面２ｃには、外周近傍の他部に、外部から処理槽２内へ生ゴミを投入するための投入口２４と、投入口２４を開閉する蓋２４１とが設けられ、蓋２４１には、外部から処理槽２内を視認するための覗き窓２４２が設けられている。生ゴミ処理装置の使用者（又は保守作業者）は、例えば生ゴミ処理装置の作動中は、覗き窓２４２を介して処理槽２内を視認する。投入口２４には、蓋２４１の開放を検出した場合に蓋開放信号を操作盤１へ送信する図示しない蓋開閉センサが取り付けてあり、蓋開閉センサが蓋２４１の開放を検出した場合、生ゴミ処理装置が作動しないか、作動停止するように構成してある。
【００３５】
処理槽２には、処理水５、基材５０，５０，…及び／又は投入された生ゴミを攪拌するために、処理槽２の径方向中心部に設置された攪拌翼２１と、攪拌翼２１の両側に設置された水中ポンプ６１，６２が収容されている。
【００３６】
攪拌翼２１は、処理槽２の軸方向（略鉛直方向）に配された円柱状の回転軸２１１の周面に設けられた螺旋状の板であり、回転軸２１１は、一端が、処理槽２の下面２ｂ内側の中央部に配された軸受け２１２に回転可能に支持され、他端が、ケーシング２６内に設置されたモータ２１３の図示しない出力軸に連結してある。モータ２１３が作動した場合、出力軸の回転が伝達された回転軸２１１の回転に伴って攪拌翼２１が回転し、このため処理水５が周方向に回転して、処理水５、基材５０，５０，…及び投入された生ゴミが攪拌される。
【００３７】
水中ポンプ６１，６２は、略同じ構成であるため、以下では主に水中ポンプ６１に関して説明する。水中ポンプ６１は縦長の円柱状であり、円柱状の水中ポンプ６１の軸方向（水中ポンプ６１の図示しないポンプ軸の軸方向）を略鉛直方向に配されて、下面２ｂ内側に備えられた短小な円柱状の台座６１２の上面中央部に設置されている。水中ポンプ６１の下部近傍の側面には、処理水５を吸入する吸入口６１ａが開口し、また、吸入口６１ａへ吸入される処理水５を濾過する網状のフィルタ６１３が吸入口６１ａを覆って取り付けてある。フィルタ６１３は処理水５中の基材５０，５０，…及び生ゴミを通過させない。このため、例えば処理水５の吸入時に、フィルタ６１３が濾し取った生ゴミがフィルタ６１３に吸い付けられることによって、フィルタ６１３に生ゴミが付着する。
【００３８】
水中ポンプ６１の上端からは、その先端開口が下面２ｂに対向する倒立Ｊ字状の循環パイプ６１１が上方へ延設されており、吸入口６１ａから吸入された処理水５は、循環パイプ６１１の基端へ移動し、循環パイプ６１１に沿って上昇して、循環パイプ６１１先端の開口から、下方へ向けて吐出される。つまり、水中ポンプ６１は、処理水５を上下方向に循環させて処理水５を攪拌する。本実施の形態の水中ポンプ６１は、後述する水中ポンプ作動時間の間（例えば５０秒間）の作動、及び、水中ポンプ停止時間の間（例えば１０秒間）の作動停止を、水中ポンプオン時間の間（例えば５分間）繰り返す間欠運転と、エアポンプオン時間の間（例えば１５分間）の連続的な作動停止（間欠運転停止）とを交互に行なう。
【００３９】
ここで、水中ポンプ６１が備える循環パイプ６１１の先端開口は、処理槽２のオーバーフロー水位近傍に配され、水中ポンプ６２が備える循環パイプ６２１の先端開口は、オーバーフロー水位の略中央位置に配されている。
【００４０】
処理槽２には、水中ポンプ６１，６２夫々に対応して、処理水５中に気泡８，８，…を発生させる気泡発生器７，７が収容してある。水中ポンプ６１と気泡発生器７との位置関係及び作用は、水中ポンプ６２と気泡発生器７との位置関係及び作用と略同様であるため、以下では水中ポンプ６１と気泡発生器７との位置関係及び作用について説明する。
【００４１】
気泡発生器７は、台座６１２の周面に固定された円環状のパイプ７０を備える。つまり、気泡発生器７は、水中ポンプ６１の下側に配され、水中ポンプ６１の周方向に沿う円環状である。パイプ７０の上側周面には複数の開口７ａ，７ａ，…が設けられ、各開口７ａを、微細な網目のフィルタ７１で覆っている。フィルタ７１は、開口７ａから噴出される気泡を微細な気泡にする機能と、パイプ７０内への生ゴミの侵入を防止する機能とを担う。
【００４２】
パイプ７０には、その中途に電磁給気弁７２を有する空気供給管７３の一端が連結してあり、空気供給管７３の他端は、ケーシング２６内部に配されたエアポンプ７４に連結してある。エアポンプ７４は、水中ポンプ６１の作動停止中に、空気供給管７３を介して、処理槽２外部の空気（外気）をパイプ７０へ供給し、パイプ７０へ供給された外気は、フィルタ７１，７１，…を通過して微細な気泡８，８，…となり、開口７ａ，７ａ，…から処理水５へ供給される。
【００４３】
開口７ａ，７ａ，…から処理水５へ供給された気泡８，８，…は、浮力によって処理水５中を上昇し、その際、フィルタ６１３を含む水中ポンプ６１表面を上方へ移動する。気泡発生器７による気泡８，８，…の発生中は、水中ポンプ６１が作動停止しているため、吸入口６１ａから処理水５が吸入されず、フィルタ６１３に濾し取られた生ゴミは、フィルタ６１３に付着した状態で静止している。このため、フィルタ６１３に付着している生ゴミは、気泡８，８，…と衝突し、また、気泡８，８，…に付着して、フィルタ６１３から容易に除去され、更に、気泡８，８，…の上昇に伴って、除去された生ゴミも上昇する。
【００４４】
ところで、水中ポンプ６１の作動中は、吸入口６１ａから処理水５が吸入されるため、フィルタ６１３に濾し取られた生ゴミは、フィルタ６１３に吸い付けられている。このため、フィルタ６１３に付着している生ゴミを除去することは困難である。つまり、水中ポンプ６１の作動停止中に気泡発生器７を発生させる本実施の形態においては、気泡８，８，…によってフィルタ６１３の付着物が効率良く除去される。
【００４５】
気泡８，８，…は酸素を含み、気泡８，８，…に含まれている酸素の一部は、気泡８，８，…の上昇中に処理水５に溶解して、処理水５の溶存酸素濃度を上昇させる。本実施の形態では、気泡発生器７からの気泡８，８，…発生中は、水中ポンプ６１，６２を作動停止させておくが、攪拌翼２１は作動させておく。この結果、攪拌翼２１によって処理水５が攪拌されて、気泡８，８，…に含まれている酸素の処理水５への溶解が促進される。ただし、攪拌翼２１による処理水５の攪拌によって、気泡８，８，…の水中ポンプ６１表面に沿った上昇が阻害されることはない。
【００４６】
処理槽２の側面２ａには、処理水５の水位が所定の水位（オーバーフロー水位）より上昇した場合に、過剰な処理水５を外部へ排水するオーバーフロー開口２３０が形成されている。オーバーフロー開口２３０の下端はオーバーフロー水位に位置し、また、オーバーフロー開口２３０には、未処理の生ゴミがオーバーフローによって外部へ排出されることを防止する排水濾過網２３１が取り付けられている。排水濾過網２３１を通過してオーバーフロー開口２３０から排出された処理水５は、側面２ａ外側に設けられたオーバーフロー槽２３へ移動し、オーバーフロー槽２３下部に接続された排水管２３２から、トラップ２３３を介して、図示しない浄化槽又は下水道へ排水される。
【００４７】
オーバーフロー槽２３上部には、オーバーフロー槽２３側から排水濾過網２３１へシャワー水を噴射するシャワー開口４７が設けられる。シャワー開口４７は、その中途にシャワーポンプ４３が配されたシャワー給水管４４に接続されており、シャワーポンプ４３は、シャワー給水管４４を介して、水道水４をシャワー開口４７へ供給し、シャワー開口４７から噴射されたシャワー水は、排水濾過網２３１に付着した生ゴミを処理槽２内部側へ除去して、オーバーフロー時の排水が円滑に行われるようにする。
【００４８】
処理槽２の側面２ａ内側には、水位検出部（オーバーフロースイッチ）２２が設けられている。水位検出部２２は、処理水５の水面に浮遊する浮玉２２ａを有し、浮玉２２ａの上下方向の位置がオーバーフロー水位以上である場合に、水位超過信号を操作盤１へ送信する。このような水位検出部２２は、例えば排水濾過網２３１に生ゴミが付着して目詰まりを起こすことによって、処理水５の水位がオーバーフロー水位以上に上昇した場合に、処理水５の水位の過剰な上昇を検出して、水位超過信号を操作盤１へ送信する。水位超過信号を受信した操作盤１は、後述するように処理槽２への給水を停止する。
【００４９】
処理槽２の側面２ａの一部には、処理槽２内部の点検、清掃等のために、人間が進入可能な点検口２９と、点検口２９を開閉する扉２９１とが設けてある。生ゴミ処理装置の保守作業者は、点検口２９を通過して処理槽２内部へ侵入し、フィルタ６１３，６２３の清掃又は取り替えを行なう。点検口２９には、扉２９１の開放を検出した場合に扉開放信号を操作盤１へ送信する図示しない扉開閉センサが取り付けてあり、扉開閉センサが扉２９１の開放を検出した場合、生ゴミ処理装置が作動しないか、作動停止するように構成してある。
【００５０】
貯水槽３は、水道水４を貯留するタンク（シスターン）であり、側面上部に入水管３１、下面に出水管３２、側面中央部にオーバーフロー管３３が夫々開口している。入水管３１は、図示しない止水弁を介して上水道又は受水槽に接続されており、上水道又は受水槽から水道水４が入水管３１を通過して貯水槽３へ供給される。
【００５１】
入水管３１の貯水槽３側開口には、浮玉３４ａの上下動によって貯水槽３に対する給水と給水の停止とを行なうボールタップ３４が設けられている。浮玉３４ａの位置がオーバーフロー管３３の開口位置より下側である場合はボールタップ３４が開いて入水管３１から貯水槽３へ水道水４が供給され、また、浮玉３４ａの位置がオーバーフロー管３３の開口位置以上である場合はボールタップ３４が閉じて入水管３１から貯水槽３への水道水４の供給が停止される。貯水槽３に貯留された水道水４の水位がオーバーフロー管３３の開口位置以上に上昇した場合、水道水４はオーバーフロー管３３を通過して図示しない浄化槽又は下水道へ排水される。以下では、貯水槽３には、オーバーフロー管３３の開口位置に略等しい水位の水道水４が常に貯留されているものとする。
【００５２】
貯水槽３の出水管３２は、ストレーナ４０を介して、その中途に第１電磁給水弁４１を有する給水管４５に接続され、給水管４５は処理槽２の給水口４６に接続されている。給水管４５は、ストレーナ４０と第１電磁給水弁４１との間からシャワー給水管４４が分岐しており、シャワー給水管４４の中途、更に詳細にはシャワー給水管４４及び給水管４５の分岐点とシャワーポンプ４３との間に、第２電磁給水弁４２を有する。
【００５３】
図４は、操作盤１の構成を示すブロック図であり、図５は、生ゴミ処理装置が備える各種ポンプ、電磁給水弁等に関する制御信号を、操作盤１のＣＰＵ１０が出力するタイミングを示すタイミングチャートである。
【００５４】
操作盤１は、バス又は信号線を介して電気的に相互に接続されたＣＰＵ１０、ＲＯＭ１１、ＲＡＭ１２、タイマ１３、操作部１４及びＩ／Ｆ（インタフェース）部１５を備える。ＣＰＵ１０は、ＲＡＭ１２を作業領域として用い、ＲＯＭ１１に記憶された制御プログラム及びデータに従って装置各部を制御し、各種処理を実行する。また、ＣＰＵ１０は、タイマ１３を用いて経過時間を計時する。更に、ＣＰＵ１０は、Ｉ／Ｆ部１５を介して、モータ２１３、各電磁給水弁４１，４２等へ、これらを作動又は開放させる制御信号を送信し、水位検出部２２から送信された水位超過信号、前記蓋開閉センサから送信された蓋開放信号、及び前記扉開閉センサから送信された扉開放信号を受信する。
【００５５】
操作部１４は、図示しない表示部を見ながら使用者が生ゴミ処理装置を操作するための各種ファンクションキーを備える。使用者は操作部１４を操作して、生ゴミ処理装置を作動させるための各種パラメータ（後述する水中ポンプオン時間、微生物添加時間等）を生ゴミ処理装置に入力し、入力されたパラメータは、ＣＰＵ１０が各種処理を実行する際に用いるデータとしてＲＡＭ１２に記憶される。なお、操作盤１にＥＥＰＲＯＭを備えておき、操作部１４を介して入力されたパラメータを、ＲＡＭ１２の代わりにＥＥＲＯＭに記憶させる構成でもよい。
【００５６】
モータ２１３、処理剤ポンプ２８、シャワーポンプ４３、水中ポンプ６１，６２及びエアポンプ７４夫々は、制御信号を受信した場合に作動を開始し、制御信号の受信が継続されている間は継続して作動し、制御信号が受信されなくなった場合に作動停止し、制御信号が受信されるまで作動停止を継続する。また、各電磁給水弁４１，４２及び電磁給気弁７２夫々は、制御信号を受信した場合に開いて給水管４５、シャワー給水管４４及び空気供給管７３の中途を開放し、制御信号の受信が継続されている間は開放を継続し、制御信号が受信されなくなった場合に閉じて前記中途を閉鎖し、制御信号が受信されるまで閉鎖を継続する。
【００５７】
使用者は、生ゴミ処理装置の運転開始に先立って、操作盤１の操作部１４を用い、各種パラメータを設定する。例えば使用者は、生ゴミ処理の１サイクルの運転時間を２０分間とし、水中ポンプ６１，６２が間欠運転を行ないエアポンプ７４が作動停止する水中ポンプオン時間を５分間、水中ポンプ６１，６２が作動停止しエアポンプ７４が作動するエアポンプオン時間を１５分間として設定する。また、使用者は、処理剤ポンプ２８の作動を開始するタイミングを示す微生物添加時間を６時間として設定し、処理剤ポンプ２８が作動する処理剤ポンプ作動時間を２０秒間として設定する。更に、第１電磁給水弁４１を開く給水弁開放時間を３０秒間として設定する。
【００５８】
更にまた、使用者は、水中ポンプオン時間の間に間欠的に水中ポンプ６１，６２が作動する水中ポンプ作動時間を５０秒間とし、水中ポンプ作動時間の経過後に水中ポンプ６１，６２が作動停止する水中ポンプ停止時間を１０秒間として設定する。即ち、１サイクルにおける水中ポンプ６１，６２の間欠運転時には、５０秒間の水中ポンプ６１，６２作動と１０秒間の水中ポンプ６１，６２作動停止とが５回ずつ交互に繰り返され、しかも、エアポンプ７４が作動停止している。また、水中ポンプ６１，６２の間欠運転停止時には、エアポンプ７４が１５分間連続的に作動し、しかも、水中ポンプ６１，６２が作動停止している。
【００５９】
なお、本実施の形態においては水中ポンプ６１，６２（エアポンプ７４）の作動開始とエアポンプ７４（水中ポンプ６１，６２）の作動停止とが同時的に行なわれるようにしてあるが、これに限るものではない。例えば、水中ポンプ６１，６２（エアポンプ７４）の作動停止後、適宜の時間を経てからエアポンプ７４（水中ポンプ６１，６２）の作動を開始してもよい。
【００６０】
各種パラメータの設定後、使用者は、操作部１４を用いて生ゴミ処理装置に処理水５を準備するよう命令する。操作部１４を介して処理水準備命令が入力された場合、ＣＰＵ１０は、第１電磁給水弁４１、第２電磁給水弁４２、及びシャワーポンプ４３夫々へ制御信号を送信する。この場合、第１電磁給水弁４１が開き、貯水槽３の水道水４は、出水管３２、ストレーナ４０、及び給水管４５を通過して、給水口４６を介し、処理槽２へ給水される。また、第２電磁給水弁４２が開き、貯水槽３の水道水４は、給水管４５及びシャワー給水管４４を通過し、シャワーポンプ４３によって加圧されて、シャワー開口４７から排水濾過網２３１へ噴出し、排水濾過網２３１に付着している生ゴミを処理槽２内へ排除する。
【００６１】
処理槽２には、予め基材５０，５０，…が収容してある。処理槽２へ水道水４が供給され、処理槽２の水位がオーバーフロー水位以上に達した場合、浮玉２２ａの上下方向の位置がオーバーフロー水位以上に達し、このため水位検出部２２は水位超過信号を操作盤１へ送信する。水位超過信号を受信したＣＰＵ１０は、第１電磁給水弁４１への制御信号の送信を停止する。この場合、第１電磁給水弁４１が閉じ、処理槽２への水道水４の供給が停止する。
【００６２】
また、前記蓋開放信号又は前記扉開放信号を受信したＣＰＵ１０は、各部への制御信号の送信を実行せず、更に、送信中の制御信号の送信を停止する。この場合、各電磁給水弁４１，４２及び電磁給気弁７２が閉じ、各ポンプ２８，４３，６１，６２，７４及びモータ２１３が作動停止する。つまり、蓋２４１又は扉２９１が開放されている場合、生ゴミ処理装置は、処理槽２への水道水４の供給、処理剤２５０の注入、生ゴミの分解処理等を行なわない。
【００６３】
なお、第２電磁給水弁４２も適宜に開閉を切り換えるようにしてよい。ただし、第２電磁給水弁４２を閉じる場合は、シャワーポンプ４３を作動停止させる必要がある。
【００６４】
使用者は、蓋２４１を開放して投入口２４から処理槽２内へ生ゴミを投入し、蓋２４１を閉鎖してから、操作部１４を用いて生ゴミ処理装置に生ゴミ処理をスタートさせる。操作部１４を介してゴミ処理スタート命令が入力された場合、ＣＰＵ１０は、処理剤ポンプ２８へ制御信号を処理剤ポンプ作動時間（２０秒間）だけ送信してから制御信号の送信を停止する。この場合、処理剤ポンプ２８は２０秒間作動し、処理剤タンク２５内の処理剤２５０を処理槽２へ、所定量（例えば２０ｃｃ）注入する。処理剤２５０が注入された処理槽２内の水道水４は、処理剤２５０に含まれた微生物が混入されて処理水５となる。
【００６５】
ＣＰＵ１０は、処理剤ポンプ２８へ制御信号を微生物添加時間（６時間）の経過後に再び送信する。即ち、処理剤２５０は６時間毎に２０ｃｃずつ処理水５に追加される。このようにして、処理水５には適宜の時間間隔で新たな微生物が添加されるため、例えば処理水５のオーバーフローによって処理槽２内の微生物が減少した場合でも、処理剤２５０の注入によって新たな微生物が添加され、生ゴミ処理能力が維持される。
【００６６】
処理剤ポンプ２８への制御信号の送信開始と同時的に、ＣＰＵ１０は、モータ２１３への制御信号の送信を開始し、例えば使用者が操作部１４を介して生ゴミ処理停止命令を入力するまで制御信号の送信を継続する。この場合、モータ２１３は継続して作動し、このため攪拌翼２１が回転して、処理水５及び生ゴミを攪拌し続ける。
【００６７】
図６は、ＣＰＵ１０が実行する水中ポンプ及びエアポンプ運転処理の手順を示すフローチャートである。水中ポンプ及びエアポンプ運転処理は、操作部１４を介してゴミ処理スタート命令が入力された場合に実行される。
【００６８】
ＣＰＵ１０は、タイマ１３を用いて、生ゴミ処理の１サイクル２０分間の計時を開始する（Ｓ１１）。ゴミ処理スタート命令が入力された直後においては、Ｓ１１の処理は処理剤ポンプ２８への制御信号の送信開始と同時的に実行される。
【００６９】
また、ＣＰＵ１０は、水中ポンプ６１，６２の間欠運転を開始する（Ｓ１２）。水中ポンプ６１，６２の間欠運転を開始したＣＰＵ１０は、まず、水中ポンプ６１，６２へ制御信号を水中ポンプ作動時間（５０秒間）継続して送信し、次に、水中ポンプ制御信号の送信を、水中ポンプ停止時間（１０秒間）停止することを、水中ポンプオン時間（５分間）繰り返し実行する。
【００７０】
ＣＰＵ１０は、タイマ１３が計時した経過時間が水中ポンプ６１，６２のオン時間（水中ポンプオン時間）以上であるか否かを判定し（Ｓ１３）、経過時間が水中ポンプ６１，６２のオン時間未満である場合（Ｓ１３でＮＯ）、水中ポンプ６１，６２の間欠運転を継続する。タイマ１３が計時した経過時間が水中ポンプ６１，６２のオン時間以上である場合（Ｓ１３でＹＥＳ）、水中ポンプ６１，６２のオン時間が経過したため、ＣＰＵ１０は、水中ポンプ６１，６２の間欠運転を終了する（Ｓ１４）。具体的には、水中ポンプ６１，６２への制御信号の送信を停止し、再びＳ１２の処理を実行するまで水中ポンプ６１，６２へ制御信号を送信しない。
【００７１】
Ｓ１４の処理の直後、ＣＰＵ１０は、エアポンプ７４の作動を開始させる（Ｓ１５）。更に詳細には、ＣＰＵ１０は、エアポンプ７４及び電磁給気弁７２への制御信号の送信を開始する。
【００７２】
ＣＰＵ１０は、タイマ１３が計時した経過時間から水中ポンプ６１，６２のオン時間を減算して、エアポンプ７４の作動開始からの経過時間（以下、作動時間という）を算出し（Ｓ１６）、算出した作動時間がエアポンプ７４のオン時間（エアポンプオン時間）以上であるか否かを判定する（Ｓ１７）。作動時間がエアポンプ７４のオン時間未満である場合（Ｓ１７でＮＯ）、ＣＰＵ１０はエアポンプ７４への制御信号の送出を継続することによってエアポンプ７４の作動を継続させ、処理をＳ１６へ戻す。作動時間がエアポンプ７４のオン時間以上である場合（Ｓ１７でＹＥＳ）、エアポンプ７４のオン時間が経過したため、ＣＰＵ１０は、エアポンプ７４の作動を終了する（Ｓ１８）。具体的には、エアポンプ７４及び電磁給気弁７２への制御信号の送信を停止し、再びＳ１５の処理を実行するまでエアポンプ７４及び電磁給気弁７２へ制御信号を送信しない。
【００７３】
最後に、ＣＰＵ１０はタイマ１３を用いた１サイクルの計時を終了し（Ｓ１９）、処理をＳ１１へ戻す。
【００７４】
以上のようにしてＣＰＵ１０は、２０分毎に水中ポンプ及びエアポンプ運転処理を繰り返し実行する。
【００７５】
ところで、水中ポンプ６１，６２の間欠運転中に、ＣＰＵ１０は、第１電磁給水弁４１への制御信号の送信を適宜の時間間隔で開始し、給水弁開放時間（３０秒間）だけ送信を継続してから、送信を停止する。このため、適宜の時間間隔で第１電磁給水弁４１が開いて給水口４６から処理槽２へ所定量の水道水４が供給され、再び第１電磁給水弁４１が閉じて水道水４の供給が停止される。このような水道水４の供給は、例えば、１サイクルにおける水中ポンプ６１，６２の２回目の作動開始及び４回目の作動開始夫々と同時的に実行される。
【００７６】
水中ポンプ６１，６２の間欠運転中に供給される水道水４は、処理槽２内の処理水５の水位、及び処理水５中の微生物の濃度を一定に保つべく供給されており、処理水５の溶存酸素濃度の上昇を主な目的としていない。このため、供給される水道水４の量は少量である。
【００７７】
水中ポンプ６１，６２の間欠運転停止中、即ちエアポンプ７４の作動中は、水道水４の供給は行われない。
【００７８】
処理水５は、図示しない加熱装置によって、及び／又は、微生物が生ゴミを分解処理する場合に発生する熱を利用して、微生物が最も活性化する約３５℃の水温に維持される。この状態で、処理水５に含まれている微生物は、処理水５中の溶存酸素を消費しつつ、処理水５と共に攪拌翼２１によって攪拌されている生ゴミを水と二酸化炭素とに分解する。生ゴミが分解処理されて生じた水と二酸化炭素とは、例えば、処理水５と共に排水濾過網２３１を通過してオーバーフロー開口２３０から排水される。
【００７９】
以上のような生ゴミ処理装置は、処理槽２に生ゴミが投入され、処理槽２に収容される処理水５には微生物が混入され、微生物は、処理水５中の酸素を消費しつつ、処理槽２に投入された生ゴミを分解処理することができるため、可燃ゴミの量が減少して、昨今、社会問題となっているゴミの減少に貢献することができる。また、水中ポンプ６１，６２が処理水５を吸入し吐出することによって、更に、攪拌翼２１が回転することによって、処理槽２内で、生ゴミ、微生物、及び酸素を含む処理水５が攪拌され、微生物による生ゴミの分解処理を促進することができる。
【００８０】
また、生ゴミ処理装置は、気泡発生器７，７によって処理水５中に吹き込まれた外気に含まれる新たな酸素が処理水５に溶解することによって処理水５中の溶存酸素濃度が上昇するため、好気性の微生物が処理水５中の溶存酸素を消費した場合でも、溶存酸素濃度を上昇させるために新たな水道水４を処理槽２へ大量に供給する必要がない。この結果、生ゴミ処理装置は水道コストを減少させることができ、ひいては生ゴミ処理装置のランニングコストを減少させることができる。
【００８１】
また、水中ポンプ６１，６２が作動停止している間に気泡発生器７，７が水中ポンプ６１，６２の下側で発生させ、水中ポンプ６１，６２の表面に沿って移動する気泡８，８，…が、フィルタ６１３，６２３に付着している生ゴミを効率良く除去することができる。このため、生ゴミによってフィルタ６１３，６２３が目詰まりを起こして処理水５の吸入が阻害されること、ひいては水中ポンプ６１，６２による処理水５の攪拌が阻害されることを防止することができる。この場合、気泡８，８，…の上方への移動に伴って、フィルタ６１３，６２３から除去された生ゴミも上方へ移動して、分解処理されるため、除去された生ゴミがフィルタ６１３，６２３に再付着することを抑制することができる。
【００８２】
更に、水中ポンプ６１，６２と気泡発生器７，７とが同時的に作動しないため、水中ポンプ６１，６２及びエアポンプ７４の電力の無駄な消費を防止することができ、ひいては生ゴミ処理装置のランニングコストを減少させることができる。
【００８３】
更にまた、気泡８，８，…は、気泡８，８，…自身の浮力によって付勢され、自動的に水中ポンプ６１，６２の表面に沿って移動するため、気泡８，８，…が水中ポンプ６１，６２の表面に沿って移動するように例えば電力を用いて気泡８，８，…を付勢する必要がない。即ち、生ゴミ処理装置を低コストで使用することができる。
【００８４】
また、気泡発生器７，７が発生させた気泡８，８，…が自動的にフィルタ６１３，６２３を清掃するため、保守作業者がフィルタ６１３，６２３の清掃又は取り替えを頻繁に行なう必要がなく、保守作業者の利便性を向上させることができる。
【００８５】
つまり、処理水５に酸素を供給するための気泡発生器７，７を用いてフィルタ６１３，６２３に付着している生ゴミを除去することができるため、フィルタ６１３，６２３の自動清掃のために、新たな機器を追加する必要がない。更に、水中ポンプ６１，６２、及び気泡発生器７，７は単純な形状であるため、簡単に準備（容易に製造、安価に購入等）することができる。以上のことから、生ゴミ処理装置を低コストで製造することができる。
【００８６】
なお、生ゴミ処理装置は、本実施の形態の構成に限定されるものではなく、例えば、家庭用の生ゴミ処理装置でもよい。また、気泡発生器７の形状は環状に限定されず、また、パイプ７０に開口７ａ，７ａ，…が形成してある構成に限定されない。例えば、気泡発生器７は、一直線状又は環状の母管から同一方向に突出する複数の枝管が並設されたエアヘッダを用いて構成されてもよい。
【００８７】
また、水中ポンプ６１の吸入口６１ａは側面下部に開口している構成に限定されない。しかしながら、例えば、底面に開口している場合は、気泡８，８，…によって除去された生ゴミが気泡８，８，…と共に浮上して再びフィルタ６１３に付着することがあり、また、上部に開口している場合は、吸入口６１ａの開口位置より下側の処理水５を吸入し難くなり、処理水５の全体的な循環が阻害されることがあるため、側面下部に開口していることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【００８８】
【図１】本発明に係る生ゴミ処理装置の模式的正面図である。
【図２】本発明に係る生ゴミ処理装置の模式的側面図である。
【図３】本発明に係る生ゴミ処理装置が備える水中ポンプ及び気泡発生器の構成を示す部分断面拡大斜視図である。
【図４】本発明に係る生ゴミ処理装置が備える操作盤の構成を示すブロック図である。
【図５】本発明に係る生ゴミ処理装置が備える各種ポンプ、電磁給水弁等に関する制御信号の出力のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図６】本発明に係る生ゴミ処理装置の水中ポンプ及びエアポンプ運転処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【００８９】
１０ ＣＰＵ
２ 処理槽（水槽）
５ 処理水（微生物が混入された水）
６１，６２ 水中ポンプ
６１３，６２３ フィルタ
６１ａ，６２ａ 吸入口
７ 気泡発生器（気泡発生部）
８ 気泡
【特許請求の範囲】
【請求項１】
微生物が混入された水を収容する水槽と、
該水槽に収容された水を吸入口から吸入し、吸入した水を吐出して、前記水槽に収容された水を攪拌する水中ポンプと、
前記水の中に気泡を発生させる気泡発生部と
を備え、
前記水槽に投入された生ゴミを前記微生物によって分解処理する生ゴミ処理装置において、
前記気泡発生部は、発生した気泡が前記水中ポンプの表面に沿って移動するよう気泡を発生させるように構成してあることを特徴とする生ゴミ処理装置。
【請求項２】
前記水中ポンプは、
前記吸入口を覆い、該吸入口へ吸入される水を濾過するフィルタ
を備えることを特徴とする請求項１に記載の生ゴミ処理装置。
【請求項３】
前記水中ポンプは柱状をなし、軸方向を略鉛直方向に配され、
前記吸入口は前記水中ポンプの側面に開口し、
前記気泡発生部は、前記水中ポンプの周方向に沿って配されていることを特徴とする請求項１又は２に記載の生ゴミ処理装置。
【請求項４】
前記気泡発生部は、前記水中ポンプの下側に配されていることを特徴とする請求項１乃至３の何れかひとつに記載の生ゴミ処理装置。
【請求項５】
前記水中ポンプは作動及び作動停止を切り換えるようにしてあり、
前記気泡発生部は前記水中ポンプの作動停止中に作動するようにしてあることを特徴とする請求項１乃至４の何れかひとつに記載の生ゴミ処理装置。
【請求項１】
微生物が混入された水を収容する水槽と、
該水槽に収容された水を吸入口から吸入し、吸入した水を吐出して、前記水槽に収容された水を攪拌する水中ポンプと、
前記水の中に気泡を発生させる気泡発生部と
を備え、
前記水槽に投入された生ゴミを前記微生物によって分解処理する生ゴミ処理装置において、
前記気泡発生部は、発生した気泡が前記水中ポンプの表面に沿って移動するよう気泡を発生させるように構成してあることを特徴とする生ゴミ処理装置。
【請求項２】
前記水中ポンプは、
前記吸入口を覆い、該吸入口へ吸入される水を濾過するフィルタ
を備えることを特徴とする請求項１に記載の生ゴミ処理装置。
【請求項３】
前記水中ポンプは柱状をなし、軸方向を略鉛直方向に配され、
前記吸入口は前記水中ポンプの側面に開口し、
前記気泡発生部は、前記水中ポンプの周方向に沿って配されていることを特徴とする請求項１又は２に記載の生ゴミ処理装置。
【請求項４】
前記気泡発生部は、前記水中ポンプの下側に配されていることを特徴とする請求項１乃至３の何れかひとつに記載の生ゴミ処理装置。
【請求項５】
前記水中ポンプは作動及び作動停止を切り換えるようにしてあり、
前記気泡発生部は前記水中ポンプの作動停止中に作動するようにしてあることを特徴とする請求項１乃至４の何れかひとつに記載の生ゴミ処理装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２００６−２８９２６７（Ｐ２００６−２８９２６７Ａ）
【公開日】平成１８年１０月２６日（２００６．１０．２６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−１１４００３（Ｐ２００５−１１４００３）
【出願日】平成１７年４月１１日（２００５．４．１１）
【出願人】（０００００５０４９）シャープ株式会社 (33,933)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年１０月２６日（２００６．１０．２６）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年４月１１日（２００５．４．１１）
【出願人】（０００００５０４９）シャープ株式会社 (33,933)
【Ｆターム（参考）】
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