説明

生体に対する負荷を評価する方法

【課題】一単位領域から、複数の試験単位を作製する方法を提供し、それを用いた化学的または物理的負荷の評価方法を提供する。
【解決手段】前記評価方法は、(1)一単位領域の細胞塊を、2以上の試験単位を提供可能なように加工する工程、(2)元の一単位領域から新たな培養領域に移動した細胞塊および/または元の一単位領域に残した細胞塊で2以上の試験単位を提供する工程、(3)前記工程(2)により提供された各試験単位において細胞塊に化学的または物理的負荷を暴露させ、その影響を分析する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体に対する各種の負荷を評価する方法、化学的負荷による影響、例えば、被検物質の薬効または毒性、あるいは、物理的負荷による影響を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体に対する各種の負荷、例えば、生体に対する物質の薬効、毒性を検出するために、従来の動物を用いた試験系との代替を目的として、器官培養や細胞培養を使用したインビトロの試験方法が使用されている。
例えば、直接眼に投与する点眼薬や、誤って眼に入る洗顔剤、洗髪剤、化粧品等の香粧品の眼に対する毒性を検出するためには、ウサギの結膜嚢に被検物質を入れるドレイズ眼刺激性試験が行われているが、本発明者は、インビトロに三次元的に再構築されたウサギ培養角膜上皮細胞を応用した試験方法を開発し、眼刺激性の検出に成功している(非特許文献1〜4)。また、単層に培養した細胞に被検物質を暴露する試験方法も周知である。
更に、生体内と同様に再構築された培養細胞では、単層に培養した細胞より高感度に検出することができることが期待されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Biol Pharm Bull 2009;32:807-12.
【非特許文献2】Toxicol In Vitro 2009;23:555-60.
【非特許文献3】J Oleo Sci 2009;58:437-42.
【非特許文献4】Yakugaku Zasshi 2009;129:1113-20.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、培養細胞を使用したインビトロ試験方法では、試験に供する細胞の品質がウェル(培養単位)間で異なるという課題がある。また、1培養単位が1試験単位となるため1試験において、試験単位を増やし精度を向上させたり、多種類の被検物質の試験を一時におこなうことができないという課題もある。培養細胞でより生体に近い試験を行うためには組織由来の培養細胞を用いてインビトロにおいて生体を模した組織を再構築する。この方法には時間と手間がかかり、一時に多数の培養単位を作製することができず、おのずから多数の試験単位を提供することができない。
従って、本発明の課題は、1培養単位等の一単位領域から、複数の試験単位を提供可能にすることにあり、更に、それを用いた各種負荷の評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
[1](1)一単位領域の細胞塊を、2以上の試験単位を提供可能なように加工する工程(以下、加工工程と称する)、
(2)元の一単位領域から新たな培養領域に移動した細胞塊および/または元の一単位領域に残した細胞塊で2以上の試験単位を提供する工程(以下、試験単位提供工程と称する)、
(3)前記工程(2)により提供された各試験単位において細胞塊に化学的または物理的負荷を暴露させ、その影響を検出する工程(以下、試験工程と称する)
を含む、前記負荷の評価方法、
[2]前記加工および移動として、一単位領域の細胞塊に切開を入れ、新たな培養領域に移動した細胞塊の全部または一部で、および/または、元の領域に残した細胞塊の全部または一部で、2以上の試験単位を提供する、[1]の方法、
[3]前記加工および移動として、移動可能な1以上の基材を一単位領域の全面または一部に予め配置した状態で細胞を培養し、前記基材の全部または一部を移動するか、あるいは、移動させることなく、新たな培養領域に移動した細胞塊の全部または一部で、および/または、元の領域に残した細胞塊の全部または一部で、2以上の試験単位を提供する、[1]の方法、
[4]移動可能な基材を一単位領域の全面に配置する、[3]の方法、
[5]移動可能な基材を一単位領域の一部に配置する、[3]の方法、
[6]移動可能な基材として、細胞培養可能な基材のみを使用する、[3]〜[5]のいずれかの方法、
[7]移動可能な基材として、細胞培養困難な基材のみを使用する、[3]〜[5]のいずれかの方法、
[8]移動可能な基材として、細胞培養可能な基材および細胞培養困難な基材を併用する、[3]〜[5]のいずれかの方法、
[9]移動可能な基材の全部を移動する、[3]〜[8]のいずれかの方法、
[10]移動可能な基材の一部を移動する、[3]〜[8]のいずれかの方法、
[11]移動可能な基材を移動させない、[3]〜[8]のいずれかの方法、
[12]一単位領域の全面が細胞培養可能である、[3]〜[11]のいずれかの方法、
[13]一単位領域の全面が細胞培養困難である、[3]〜[11]のいずれかの方法、
[14]一単位領域の一部が細胞培養可能で、残りが細胞培養困難である、[3]〜[11]のいずれかの方法、
[15]前記試験単位が、新たな培養領域に移動した細胞塊のみから提供される、[1]〜[14]のいずれかの方法、
[16]前記試験単位が、一単位領域に残した細胞塊のみから提供される、[1]〜[14]の方法、
[17]前記試験単位が、新たな培養領域に移動した細胞塊、および、一単位領域に残した細胞塊から提供される、[1]〜[14]のいずれかの方法、
[18]前記細胞塊が、生体組織由来の不死化されていない細胞である、[1]〜[17]のいずれかの方法、
[19]前記細胞塊が、不死化された培養細胞である、[1]〜[17]のいずれかの方法、
[20]前記細胞塊が角膜由来である、[1]〜[19]のいずれかの方法、
[21]前記細胞塊が角膜上皮由来である、[1]〜[19]のいずれかの方法、
[22]化学的または物理的負荷への暴露後の評価を、部分細胞塊からの細胞伸展で分析する、[1]〜[21]のいずれかの方法、
に関する。
なお、本発明では前記加工工程と試験単位提供工程を、この順に実施することもできるし、あるいは、前記加工工程と試験単位提供工程を同時に並行して実施することもできる。すなわち、一単位領域における細胞塊の加工を全て完了させた後に、次の移動を実施することもできるし、あるいは、一単位領域における細胞塊の加工と同時に移動することにより、両工程を同時並行で実施することもできる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、一単位領域から複数の試験単位を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一単位領域の細胞塊を、2以上の試験単位を提供可能なように、放射状に分割可能にした状態を模式的に示す説明図である。
【図2】一単位領域の細胞塊を、2以上の試験単位を提供可能なように、格子状に分割可能にした状態を模式的に示す説明図である。
【図3】一単位領域の細胞塊を、2以上の試験単位を提供可能なように、縞状に分割可能にした状態を模式的に示す説明図である。
【図4】一単位領域の細胞塊を、2以上の試験単位を提供可能なように、海島型(sea-island type)(島部分が同心円状に配置)に分割可能にした状態を模式的に示す説明図である。
【図5】一単位領域の細胞塊を、2以上の試験単位を提供可能なように、海島型(sea-island type)(島部分が格子状に配置)に分割可能にした状態を模式的に示す説明図である。
【図6】分割され移動してきた円盤状の島側の細胞塊が試験単位として提供された試験工程におけるBAK曝露試験開始から3日目の、円盤状の細胞塊の縁からの細胞伸展の様子を示す顕微鏡写真である。
【図7】BAK曝露試験における分割され移動してきた円盤状の島側の細胞塊が試験単位として提供された試験工程における細胞塊の縁からの細胞伸展距離の経時変化を示すグラフである。
【図8】BAK曝露試験における分割され円盤状の島側の細胞塊の移動後に残した海側の細胞塊が試験単位として提供された試験工程における細胞塊の円形の穴の縁からの細胞伸展距離の経時変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の特徴は、一単位領域の細胞塊を、2以上の試験単位を提供可能になるように加工し、(a)これらの細胞塊の全部または一部を移動し、新たな培養領域に移動した細胞塊を利用することにより、および/または、(b)これらの細胞塊の全部または一部を移動した後の、あるいは、移動することなく、元の一単位領域(以下、単に、元の領域と称することがある)に残した細胞塊を利用することにより、2以上の試験単位を提供することにある。本発明方法では、これらの試験単位に所望の負荷を曝露させることにより、前記負荷の評価を行うことができる。なお、本発明方法では、新たな培養領域に移動した細胞塊のみを利用して、もしくは、元の領域に残した細胞塊のみを利用して、試験工程を実施することもできるし、又は、これらの両方を利用して試験工程を実施することもできる。
【0009】
本発明方法を適用することのできる細胞塊は、2以上の試験単位を提供可能なように加工しても培養可能な細胞塊を得られる細胞群である限り、特に限定されるものではなく、例えば、動物、植物、昆虫の生体器官、あるいは、生体組織、あるいは、生体組織由来の不死化されていない細胞または不死化された細胞などの培養細胞によって構成される細胞群を挙げることができる。前記生体器官もしくは生体組織、または前記培養細胞の由来としては、例えば、生体器官としては視覚器の眼が挙げられる。眼であれば、その器官を構成する生体組織としては、例えば、角膜、強膜、結膜、虹彩、毛様体、脈絡膜、網膜、水晶体、硝子体が挙げられ、また、角膜であればさらに細かく、例えば、角膜上皮、ボーマン層、角膜実質、デスメ膜、角膜内皮を由来として挙げることができる。
【0010】
細胞塊として生体器官または生体組織を用いる場合には、生体器官または生体組織から加工して得られる細胞塊を、新たな培養領域に移すことにより、試験単位とすることができる。この場合、器官または組織が一単位領域の細胞塊に該当する。また、前記器官または組織から取得した細胞塊を加工用容器に移し、以下の加工を実施することもできる。この場合、1つの加工用容器中の細胞塊が一単位領域の細胞塊に該当する。また、器官または組織から取得した細胞塊を、一度、培養容器に移して培養することにより、生体由来の不死化されていない細胞としても使用することもできる。
【0011】
細胞塊として、生体由来の不死化されていない細胞または不死化された細胞などから構成される細胞群を用いる場合には、単層もしくは重層、または生体を模倣するように再構築された状態の任意の培養された細胞を使用することができる。これらの培養された細胞は、各細胞に適した培養条件を適宜選択することにより、加工することができる状態まで維持あるいは増殖させた後、以下の加工に供することができる。この場合、1つの培養容器中の培養細胞が一単位領域の細胞塊に該当する。
【0012】
本発明方法における加工工程および試験単位提供工程は、一単位領域の細胞塊から、新たな培養領域または元の領域に、併せて2以上の試験単位を提供できる限り、特に限定されるものではないが、例えば、移動可能な基材を用いる操作により、あるいは、細胞塊を直接切開することにより、実施できる。
以下、移動可能な基材を用いる態様について説明し、続いて、切開による態様について説明する。
【0013】
移動可能な基材を用いる態様では、基材を配置する一単位領域に関して、(A)その全面に配置するか、あるいは、(B)その一部に配置するかによって、2つの態様に大別することができる。
また、一単位領域に配置する前記基材に関して、(a)細胞培養可能な基材のみを使用するか、(b)細胞培養困難な基材のみを使用するか、あるいは、(c)細胞培養可能な基材と細胞培養困難な基材とを併用するかによって、3つの態様に大別することができる。
また、一単位領域の培養面の状態(特に、基材を配置した際に基材に覆われずに露出する領域、あるいは、基材を配置した際に基材に覆われる基材直下の領域)に関して、(1)細胞培養可能な領域のみからなるか、(2)細胞培養困難な領域からなるか、あるいは、(3)細胞培養可能な部分領域と細胞培養困難な部分領域とからなるかによって、3つの態様に大別することができる。
また、細胞培養後の基材の移動に関して、(i)基材を移動するか、あるいは、(ii)基材を移動しないかによって、2つの態様に大別することができる。
【0014】
移動可能な基材を一単位領域の全面に配置する態様(A)としては、例えば、
(A−a−i)細胞培養可能で移動可能な1以上の基材を、一単位領域の全面に予め配置した状態で細胞を培養し、前記基材の全部または一部を移動し、新たな培養領域に移動した細胞塊の全部または一部で、および/または、元の領域に残した細胞塊の全部または一部で、2以上の試験単位を提供する態様;
(A−c−i)細胞培養可能で移動可能な1以上の基材と、細胞培養困難で移動可能な1以上の基材とを、一単位領域の全面に予め配置した状態で細胞を培養し、前記基材の全部または一部を移動し、新たな培養領域に移動した細胞塊の全部または一部で、および/または、元の領域に残した細胞塊の全部または一部で、2以上の試験単位を提供する態様;
(A−c−ii)細胞培養可能で移動可能な1以上の基材と、細胞培養困難で移動可能な1以上の基材とを、一単位領域の全面に予め配置した状態で細胞を培養し、前記基材を移動することなく、元の領域に残した細胞塊の全部または一部で、2以上の試験単位を提供する態様;
を挙げることができる。
【0015】
移動可能な基材を一単位領域の一部に配置する態様(B)であって、且つ、前記基材として細胞培養可能な基材のみを使用する態様(a)としては、例えば、
(B−a−1−i)細胞培養可能で移動可能な1以上の基材を、細胞培養可能な一単位領域の一部に予め配置した状態で細胞を培養し、前記基材の全部または一部を移動し、新たな培養領域に移動した細胞塊の全部または一部で、および/または、元の領域に残した細胞塊の全部または一部で、2以上の試験単位を提供する態様;
(B−a−2−i)細胞培養可能で移動可能な1以上の基材を、細胞培養困難な一単位領域の一部に予め配置した状態で細胞を培養し、前記基材の全部または一部を移動し、新たな培養領域に移動した細胞塊の全部または一部で、および/または、元の領域に残した細胞塊の全部または一部で、2以上の試験単位を提供する態様;
(B−a−2−ii)細胞培養可能で移動可能な1以上の基材を、細胞培養困難な一単位領域の一部に予め配置した状態で細胞を培養し、前記基材を移動することなく、元の領域に残した細胞塊の全部または一部で、2以上の試験単位を提供する態様;
(B−a−3−i)細胞培養可能で移動可能な1以上の基材を、細胞培養可能な部分領域と細胞培養困難な部分領域とからなる一単位領域の一部に予め配置した状態で細胞を培養し、前記基材の全部または一部を移動し、新たな培養領域に移動した細胞塊の全部または一部で、および/または、元の領域に残した細胞塊の全部または一部で、2以上の試験単位を提供する態様;
(B−a−3−ii)細胞培養可能で移動可能な1以上の基材を、細胞培養可能な部分領域と細胞培養困難な部分領域とからなる一単位領域の一部に予め配置した状態で細胞を培養し、前記基材を移動することなく、元の領域に残した細胞塊の全部または一部で、2以上の試験単位を提供する態様;
を挙げることができる。
【0016】
移動可能な基材を一単位領域の一部に配置する態様(B)であって、且つ、前記基材として細胞培養困難な基材のみを使用する態様(b)としては、例えば、
(B−b−1−i)細胞培養困難で移動可能な1以上の基材を、細胞培養可能な一単位領域の一部に予め配置した状態で細胞を培養し、前記基材の全部または一部を移動し、元の領域に残した細胞塊の全部または一部で、2以上の試験単位を提供する態様;
(B−b−1−ii)細胞培養困難で移動可能な1以上の基材を、細胞培養可能な一単位領域の一部に予め配置した状態で細胞を培養し、前記基材を移動することなく、元の領域に残した細胞塊の全部または一部で、2以上の試験単位を提供する態様;
(B−b−3−i)細胞培養困難で移動可能な1以上の基材を、細胞培養可能な部分領域と細胞培養困難な部分領域とからなる一単位領域の一部に、少なくとも細胞培養可能な部分領域の一部が露出するように、予め配置した状態で細胞を培養し、前記基材の全部または一部を移動し、元の領域に残した細胞塊の全部または一部で、2以上の試験単位を提供する態様;
(B−b−3−ii)細胞培養困難で移動可能な1以上の基材を、細胞培養可能な部分領域と細胞培養困難な部分領域とからなる一単位領域の一部に、少なくとも細胞培養可能な部分領域の一部が露出するように、予め配置した状態で細胞を培養し、前記基材を移動することなく、元の領域に残した細胞塊の全部または一部で、2以上の試験単位を提供する態様;
を挙げることができる。
【0017】
移動可能な基材を一単位領域の一部に配置する態様(B)であって、且つ、前記基材として細胞培養可能な基材と細胞培養困難な基材とを併用する態様(c)としては、例えば、
(B−c−1−i)細胞培養可能で移動可能な1以上の基材と、細胞培養困難で移動可能な1以上の基材とを、細胞培養可能な一単位領域の一部に予め配置した状態で細胞を培養し、前記基材の全部または一部を移動し、新たな培養領域に移動した細胞塊の全部または一部で、および/または、元の領域に残した細胞塊の全部または一部で、2以上の試験単位を提供する態様;
(B−c−1−ii)細胞培養可能で移動可能な1以上の基材と、細胞培養困難で移動可能な1以上の基材とを、細胞培養可能な一単位領域の一部に予め配置した状態で細胞を培養し、前記基材を移動することなく、元の領域に残した細胞塊の全部または一部で、2以上の試験単位を提供する態様;
(B−c−2−i)細胞培養可能で移動可能な1以上の基材と、細胞培養困難で移動可能な1以上の基材とを、細胞培養困難な一単位領域の一部に予め配置した状態で細胞を培養し、前記基材の全部または一部を移動し、新たな培養領域に移動した細胞塊の全部または一部で、および/または、元の領域に残した細胞塊の全部または一部で、2以上の試験単位を提供する態様;
(B−c−2−ii)細胞培養可能で移動可能な1以上の基材と、細胞培養困難で移動可能な1以上の基材とを、細胞培養困難な一単位領域の一部に予め配置した状態で細胞を培養し、前記基材を移動することなく、元の領域に残した細胞塊の全部または一部で、2以上の試験単位を提供する態様;
(B−c−3−i)細胞培養可能で移動可能な1以上の基材と、細胞培養困難で移動可能な1以上の基材とを、細胞培養可能な部分領域と細胞培養困難な部分領域とからなる一単位領域の一部に予め配置した状態で細胞を培養し、前記基材の全部または一部を移動し、新たな培養領域に移動した細胞塊の全部または一部で、および/または、元の領域に残した細胞塊の全部または一部で、2以上の試験単位を提供する態様;
(B−c−3−ii)細胞培養可能で移動可能な1以上の基材と、細胞培養困難で移動可能な1以上の基材とを、細胞培養可能な部分領域と細胞培養困難な部分領域とからなる一単位領域の一部に予め配置した状態で細胞を培養し、前記基材を移動することなく、元の領域に残した細胞塊の全部または一部で、2以上の試験単位を提供する態様;
を挙げることができる。
【0018】
以下、移動可能な基材を用いるこれらの態様について、図1〜図5に沿って、更に説明する。
図1〜図5は、一単位領域の細胞塊を、2以上の試験単位を提供可能なように種々のパターンに分割可能にした状態を模式的に示す説明図である。なお、これらのパターンは、移動可能な基材を用いる態様に限定されるものではなく、例えば、切開による態様を含め、本発明方法全般に適用可能である。
【0019】
図1〜図3に示す白色で示す部分1と黒色で示す部分2に細胞が培養されている場合、白色、黒色に関わらず、任意の位置の、任意の数の細胞塊を移動し、その他の細胞塊を残すこともできる。例えば、白色で示す部分1の細胞塊を移動し、黒色で示す部分2の細胞塊を元の領域に残すこともできるし、その逆に、黒色で示す部分2の細胞塊を移動し、白色で示す部分1の細胞塊を元の領域に残すこともできる。移動した細胞塊および残した細胞塊のいずれでも試験単位を提供することができる。
【0020】
図1〜図3において、移動可能な基材を一単位領域の全面に配置し、前記基材が細胞培養可能な基材である場合〔前記態様(A−a−i)〕、白色で示す部分1と、黒色で示す部分2の両方に基材を配置した状態で細胞を培養した後、前記基材の全部または一部を移動し、移動した細胞塊、および/または、元に残した細胞塊で試験単位を提供することができる。例えば、白色および黒色で示す部分の移動可能な基材を移動することができるし、あるいは、白色で示す部分の移動可能な基材を移動し、黒色で示す部分の移動可能な基材を残すことができるし、あるいは、黒色で示す部分の移動可能な基材を移動し、白色で示す部分の移動可能な基材を残すことができる。移動した細胞塊で試験単位を提供できるし、残した細胞塊でも試験単位を提供できる。移動可能な基材が移動した跡の部分が培養可能であれば、残した細胞塊で細胞伸展を評価する試験単位を提供できる。
【0021】
図1〜図3において、細胞培養可能で移動可能な基材と、細胞培養困難で移動可能な基材とを併用し、一単位領域の全面に配置する場合〔前記態様(A−c−i)または(A−c−ii)〕、任意の位置に細胞を培養した後、前記基材の全部または一部を移動し、移動した細胞塊、および/または、元に残した細胞塊で試験単位を提供することもできるし、あるいは、基材を移動することなく、元に残した細胞塊で試験単位を提供することもできる。例えば、白色で示す部分1と黒色で示す部分2に、それぞれ、細胞培養可能な基材と細胞培養困難な基材を配置した場合、白色で示す部分に細胞が培養され、そのままの状態で一単位領域上に試験単位を提供できるし、あるいは、白色で示す部分の移動可能な基材の全部または一部を移動し、移動した細胞塊で試験単位を提供することができるし、あるいは、黒色で示す部分の細胞培養困難で移動可能な基材の全部または一部を移動し、残した白色で示す部分の細胞塊で試験単位を提供できる。移動可能な基材が移動した跡の部分が培養可能であれば、黒色で示す部分の細胞培養困難で移動可能な基材を移動し、残した白色で示す部分の細胞塊で細胞伸展を評価する試験単位を提供できる。
【0022】
図1〜図3において、移動可能な基材を一単位領域の一部に配置し、前記基材が細胞培養可能な基材である場合〔前記態様(B−a)〕であって、例えば、白色で示す部分1に細胞培養可能で移動可能な基材を配置し、黒色で示す移動可能な基材以外の部分2が細胞培養困難である場合〔前記態様(B−a−2−i)または(B−a−2−ii)〕、白色で示す部分に細胞が培養され、そのまま試験単位を提供できるし、あるいは、移動可能な基材の全部または一部を移動し、移動した細胞塊、および/または、残した細胞塊で試験単位を提供できる。
一方、白色で示す部分に細胞培養可能で移動可能な基材を配置し、黒色で示す移動可能な基材以外の部分が培養可能である場合〔前記態様(B−a−1−i)〕には、白色で示す部分に加え、黒色で示す部分にも細胞が培養され、移動可能な基材の全部または一部を移動し、移動した細胞塊、および/または、残した細胞塊で試験単位を提供できる。黒色で示す移動可能な基材以外の部分および移動可能な基材が移動した跡の部分が培養可能であれば、残した細胞塊で細胞伸展を評価する試験単位を提供できる。
【0023】
図1〜図3において、移動可能な基材を一単位領域の一部に配置し、前記基材が細胞培養困難な基材である場合〔前記態様(B−b)〕であって、例えば、白色で示す部分1に細胞培養困難で移動可能な基材を配置し、黒色で示す移動可能な基材以外の部分2が細胞培養可能である場合〔前記態様(B−b−1−i)または(B−b−1−ii)〕、黒色で示す部分に細胞が培養され、試験単位を提供できるし、移動可能な基材の全部または一部を移動し、残した細胞塊で試験単位を提供できる。黒色で示す移動可能な基材以外の部分および移動可能な基材が移動した跡の部分が細胞培養可能であれば、移動可能な基材の全部または一部を移動し、残した細胞塊で細胞伸展を評価する試験単位を提供できる。
【0024】
図1〜図3において、細胞培養可能で移動可能な基材と、細胞培養困難で移動可能な基材とを併用し、一単位領域の一部に配置する場合〔前記態様(B−c)〕であって、例えば、図の上側半分の白色で示す部分1に細胞培養可能で移動可能な基材を配置し、上側半分の黒色で示す部分2に細胞培養困難で移動可能な基材を配置した場合、上側半分の部分を、前記、一単位領域の全面に細胞培養可能および細胞困難な移動可能な基材を配置した場合と同様に考えることができる。白色で示す部分に細胞が培養され、そのままの状態で試験単位を提供できるし、あるいは、白色で示す部分の移動可能な基材の全部または一部を移動し、移動した細胞塊で試験単位を提供することができるし、あるいは、黒色で示す部分の細胞培養困難で移動可能な基材の全部または一部を移動し、残した白色で示す部分の細胞塊で試験単位を提供できる。移動可能な基材が移動した跡の部分が培養可能であれば、黒色で示す部分の細胞培養困難で移動可能な基材を移動し、残した白色で示す部分の細胞塊で細胞伸展を評価する試験単位を提供できる。移動可能な基材以外の部分である下側半分および基材が移動した跡の部分が細胞培養可能であれば、下側半分の部分にも細胞が培養され、下側半分の部分に接する移動可能な基材の全部または一部を移動し、残した細胞塊で細胞伸展を評価する試験単位を提供できる。
【0025】
図4および図5は、一単位領域の細胞塊を、2以上の試験単位を提供可能なように、海島型(sea-island type)に分割可能にした状態を模式的に示す説明図である。
図4または図5に示す白色で示す部分1と黒色で示す部分2に細胞が培養されている場合、白色、黒色に関わらず、任意の位置の、任意の数の細胞塊を移動し、その他の細胞塊を残すこともできる。例えば、白色で示す部分1の細胞塊を移動し、黒色で示す部分2の細胞塊を元の領域に残すこともできるし、その逆に、黒色で示す部分2の細胞塊を移動し、白色で示す部分1の細胞塊を元の領域に残すこともできる。移動した細胞塊および残した細胞塊のいずれでも試験単位を提供することができる。
【0026】
図4または図5において、移動可能な基材を一単位領域の全面に配置し、前記基材が細胞培養可能な基材である場合〔前記態様(A−a−i)〕、白色で示す部分1と、黒色で示す部分2の両方に基材を配置した状態で細胞を培養した後、前記基材の全部または一部を移動し、移動した細胞塊、および/または、元に残した細胞塊で試験単位を提供することができる。例えば、白色および黒色で示す部分の移動可能な基材を移動することができるし、あるいは、白色で示す海側の移動可能な基材を移動し、黒色で示す島側の移動可能な基材を残すことができるし、あるいは、黒色で示す島側の移動可能な基材を移動し、白色で示す海側の移動可能な基材を残すことができる。移動した細胞塊で試験単位を提供できるし、残した細胞塊でも試験単位を提供できる。移動可能な基材が移動した跡の部分が培養可能であれば、残した細胞塊で細胞伸展を評価する試験単位を提供できる。
【0027】
図4または図5において、細胞培養可能で移動可能な基材と、細胞培養困難で移動可能な基材とを併用し、一単位領域の全面に配置する場合〔前記態様(A−c−i)または(A−c−ii)〕、任意の位置に細胞を培養した後、前記基材の全部または一部を移動し、移動した細胞塊、および/または、元に残した細胞塊で試験単位を提供することができるし、あるいは、基材を移動することなく、元に残された細胞塊で試験単位を提供することもできる。
例えば、白色で示す海側の部分1と黒色で示す島側の部分2に、それぞれ、細胞培養可能な基材と細胞培養困難な基材を配置した場合、白色で示す海側に細胞が培養され、白色で示す海側の細胞培養可能で移動可能な基材を移動し、移動した細胞塊で試験単位を提供できるし、あるいは、黒色で示す島側の細胞培養困難で移動可能な基材の全部または一部を移動し、残した白色で示す海側の細胞塊で試験単位を提供できる。移動可能な基材が移動した跡の部分が培養可能であれば、黒色で示す部分の細胞培養困難で移動可能な基材の全部または一部を移動し、残した白色で示す海側の細胞塊で細胞伸展を評価する試験単位を提供できる。
逆に、白色で示す海側と黒色で示す島側に、それぞれ、細胞培養困難な基材と細胞培養可能で移動可能な基材を配置した場合、黒色で示す島側に細胞が培養され、そのままの状態で試験単位を提供できるし、あるいは、黒色で示す島側の細胞培養可能な移動可能な基材の全部または一部を移動し、移動した細胞塊、および/または。残した細胞塊で試験単位を提供できるし、あるいは、白色で示す海側の細胞培養困難で移動可能な基材を移動し、残した黒色で示す島側の細胞塊で試験単位を提供できる。移動可能な基材が移動した跡の部分が培養可能であれば、白色で示す海側の細胞培養困難で移動可能な基材を移動し、残した黒色で示す島側の細胞塊で細胞伸展を評価する試験単位を提供できる。
【0028】
図4または図5において、移動可能な基材を一単位領域の一部に配置し、前記基材が細胞培養可能な基材である場合〔前記態様(B−a)〕であって、例えば、白色で示す海側の部分1に細胞培養可能で移動可能な基材を配置し、黒色で示す島側の移動可能な基材以外の部分2が細胞培養困難である場合〔前記態様(B−a−2−i)または(B−a−2−ii)〕、白色で示す海側に細胞が培養され、白色で示す海側の移動可能な基材を移動し、移動した細胞塊で試験単位を提供できる。
一方、黒色で示す移動可能な基材以外の部分が細胞培養可能である場合〔前記態様(B−a−1−i)〕、黒色で示す部分にも細胞が培養され、白色で示す海側の移動可能な基材を移動し、白色で示す海側の移動した細胞塊、および/または、残した黒色で示す島側の細胞塊で試験単位を提供できる。黒色で示す移動可能な基材以外の部分および移動可能な基材が移動した跡の部分が培養可能であれば、白色で示す海側の移動可能な基材を移動し、残した黒色で示す島側の細胞塊で細胞伸展を評価する試験単位を提供できる。
【0029】
逆に、黒色で示す島側に細胞培養可能で移動可能な基材を配置し、白色で示す海側の移動可能な基材以外の部分が細胞培養困難である場合〔前記態様(B−a−2−i)または(B−a−2−ii)〕、黒色で示す島側に細胞が培養され、そのままの状態で試験単位を提供できるし、あるいは、黒色で示す島側の移動可能な基材の全部または一部を移動し、移動した細胞塊、および/または、残した細胞塊で試験単位を提供できる。
一方、白色で示す海側の移動可能な基材以外の部分が培養可能である場合〔前記態様(B−a−1−i)〕、白色で示す部分にも細胞が培養され、黒色で示す島側の移動可能な基材の全部または一部を移動し、黒色で示す島側の移動した細胞塊、および/または、残した白色で示す海側の細胞塊で試験単位を提供できる。白色で示す海側の移動可能な基材以外の部分および移動可能な基材が移動した跡の部分が培養可能であれば、黒色で示す島側の移動可能な基材の全部または一部を移動し、残した白色で示す海側の細胞塊で細胞伸展を評価する試験単位を提供できる。
【0030】
図4または図5において、移動可能な基材を一単位領域の一部に配置し、前記基材が細胞培養困難な基材である場合〔前記態様(B−b)〕であって、例えば、白色で示す海側の部分1に細胞培養困難で移動可能な基材を配置し、黒色で示す島側の移動可能な基材以外の部分2が細胞培養可能である場合〔前記態様(B−b−1−i)または(B−b−1−ii)〕、黒色で示す島側に細胞が培養され、そのままの状態で試験単位を提供できるし、あるいは、白色で示す海側の細胞培養困難で移動可能な基材を移動し、残した細胞塊で試験単位を提供できる。黒色で示す島側の移動可能な基材以外の部分および移動可能な基材が移動した跡の部分が細胞培養可能である場合、海側の細胞培養困難で移動可能な基材を移動し、残した細胞塊で細胞伸展を評価する試験単位を提供できる。
【0031】
逆に、黒色で示す島側に細胞培養困難で移動可能な基材を配置し、白色で示す海側の移動可能な基材以外の部分が細胞培養可能である場合〔前記態様(B−b−1−i)または(B−b−1−ii)〕、白色で示す海側に細胞が培養され、白色で示す海側の移動可能な基材以外の部分および移動可能な基材が移動した跡の部分が細胞培養可能であれば、黒色で示す島側の細胞培養困難で移動可能な基材の全部または一部を移動し、残した細胞塊で試験単位を提供できるし、その際、細胞伸展を評価する試験単位も提供できる。
【0032】
一単位領域の部分に細胞培養可能で移動可能な基材と細胞培養困難で移動可能な基材を配置した場合〔前記態様(B−c−1−i)または(B−c−1−ii)または(B−c−2−i)または(B−c−2−ii)〕、例えば、図の9つの黒色で示す島側の部分に移動可能な基材を配置する際に、5つの部分に細胞培養可能な基材を配置し、他の4つの部分に細胞培養困難な基材を配置した場合、細胞培養可能で移動可能な基材を配置した部分を、前記、一単位領域の部分に細胞培養可能で移動可能な基材を配置した場合と同様に考えることができるし、細胞培養困難な基材を配置した部分を、前記、一単位領域の部分に細胞培養困難で移動可能な基材を配置した場合と同様に考えることができる。移動した細胞塊および/または残した細胞塊で試験単位を提供できる。移動可能な基材以外の部分および/または移動可能な基材が移動した跡の部分が細胞培養可能または細胞培養困難である状態を使い分けることで、移動可能な基材の全部または一部を移動し、移動したおよび/または残した細胞塊で試験単位を提供できる。
【0033】
本発明方法では、細胞培養可能で移動可能な基材としては、細胞培養が可能であればいかなるもの、あるいは加工されたものも使用することができる。細胞培養可能なものでは、例えば、非生体構成物質、あるいは動物、植物、昆虫の生体構成物質、生体由来組織を使用することができる。非生体構成物質では、例えば、ガラス、プラスチック、ポリマー、金属を使用することができる。生体構成物質では、例えば、糖質、脂質、アミノ酸、ペプチドやタンパク質、糖脂質、糖タンパク質を使用することができる。生体構成物質では、特に細胞外マトリックス成分であるコラーゲン、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、テネイシン、エンタクチン、エラスチン、フィブリリン、セルロース、キチン、キトサンを使用することができる。前記生体由来組織では、動物では、例えば、羊膜、デスメ膜、水晶体嚢、あるいは皮膚を挙げることができる。細胞培養困難なものでもその表面を、前記、細胞培養可能な非生体構成物質、生体構成物質、生体由来組織でコートしたものを使用できる。上記物質で移動可能な基材としての性能を持っていないものは、移動可能な基材としての性能を持つように加工した後に使用できる。
【0034】
本発明方法では、細胞培養困難で移動可能な基材としては、細胞培養が困難であればいかなるもの、あるいは加工されたものも使用することができる。細胞培養可能なものでもその表面を細胞培養困難なものでコートしたものを使用できる。細胞培養困難にする方法として一単位領域との、例えば、高さ、温度を変えることで物理的に細胞が伸展してくることができないようなものも使用できる。
【0035】
本発明方法では、一単位領域を提供する培養面としては、全面が細胞培養可能なもの、あるいは、全面が細胞培養困難なもの、あるいは、一部が細胞培養可能で残りの部分が細胞培養困難なものを使用することができる。
細胞培養可能な培養面には細胞培養が可能であればいかなるもの、あるいは加工されたものも使用することができる。細胞培養可能なものでは、例えば、非生体構成物質、あるいは動物、植物、昆虫の生体構成物質、生体由来組織を使用することができる。非生体構成物質では、例えば、ガラス、プラスチック、ポリマー、金属を使用することができる。生体構成物質では、例えば、糖質、脂質、アミノ酸、ペプチドやタンパク質、糖脂質、糖タンパク質を使用することができる。生体構成物質では、特に細胞外マトリックス成分であるコラーゲン、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、テネイシン、エンタクチン、エラスチン、フィブリリン、セルロース、キチン、キトサンを使用することができる。前記生体由来組織としては、動物では、例えば、羊膜、デスメ膜、水晶体嚢、あるいは皮膚を挙げることができる。細胞培養困難なものでもその表面を、前記、細胞培養可能な非生体構成物質、生体構成物質、生体由来組織でコートしたものを使用できる。上記のもので培養容器として加工可能なものは、培養容器として使用できるし、あるいは、培養容器として加工困難なものは、培養容器の培養面に使用されるように加工した後に使用できる。
【0036】
本発明方法では、一単位領域を提供する細胞培養困難な培養面としては、細胞培養が困難であればいかなるもの、あるいは加工されたものも使用することができる。細胞培養可能なものでもその表面を細胞培養困難なものでコートしたものを使用できる。上記のもので培養容器として加工可能なものは、培養容器として使用できるし、あるいは、培養容器として加工困難なものは、培養容器の培養面に使用されるように加工した後に使用できる。
【0037】
本発明方法では、一単位領域を提供する一部が細胞培養可能で残りの部分が細胞培養困難な培養面としては、一部が細胞培養可能で残りの部分が細胞培養困難であればいかなるもの、あるいは加工されたものも使用することができる。細胞培養可能なものでもその表面の一部を細胞培養困難なものでコートしたものを使用できるし、あるいは、細胞培養困難なものでもその表面の一部を細胞培養可能なものでコートしたものを使用できる。上記のもので培養容器として加工可能なものは、培養容器として使用できるし、あるいは、培養容器として加工困難なものは、培養容器の培養面に使用されるように加工した後に使用できる。
【0038】
一単位領域を提供する培養面が移動可能な基材としての性能を持つ場合、培養面を移動可能な基材として使用することができる。例えば、トランスウェルを用いた共培養をおこなう場合、培養面であるトランスウェルのメンブレンを移動可能な基材としてその上に培養した細胞塊とともに移動することができる。2以上の試験単位を提供できるように加工する工程として、移動前に細胞塊に培養面とともに切開を入れることができるし、あるいは、移動と同時に細胞塊に培養面とともに切開を入れることができるし、あるいは、移動後に細胞塊に培養面とともに切開を入れることができる。
【0039】
本発明方法では、細胞培養を行う場合に、加工工程に用いる細胞塊を準備するための細胞培養であるか、あるいは、試験単位提供工程での細胞培養であるか、あるいは、試験工程での細胞培養であるかを問わず、培養基質の使用は任意であるが、培養基質を使用する場合には、例えば、動物、植物、昆虫の生体由来組織をそのまま利用することもできるし、あるいは、抽出精製品あるいは合成品を使用することもできる。前記生体由来組織としては、動物では、例えば、羊膜、デスメ膜、水晶体嚢、あるいは皮膚を挙げることができる。抽出精製品あるいは合成品としては、例えば、細胞外マトリックス成分であるコラーゲン、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、テネイシン、エンタクチン、エラスチン、フィブリリン、セルロース、キチン、キトサンを挙げることができ、培養基材にコートすることで、あるいは、加工した状態、例えば、ゲル、またはシートの状態で使用することができるが、これに限定されるものではない。前記生体由来組織を使用する場合は、組織自身が基材としての性能を持つものは基材としても使用することができる。抽出精製品や合成品を使用する場合は、基材としての性能を持つように加工したものは基材としても使用することができる。
【0040】
細胞培養可能であるか否かを問わず、前記移動可能な基材の形状は任意に選択することができ、平面であれば、例えば、円形、矩形、扇形、ドーナツ形、星形を含む多角形、長尺形を挙げることができる。立体であれば、例えば、円柱、直方体、三角柱、断面が星形を含む多角柱、球を半割した形状を挙げることができる。
【0041】
移動可能な基材は、培養前に、予め分離された、あるいは分離しやすいように加工された状態の連続する複数の基材として配置することもできるし、あるいは、分離を予定するものの分離されていない状態の基材として配置し、移動の前に一単位領域で分離することもできるし、あるいは、移動と同時に分離することもできるし、あるいは、移動後に分離することもできる。
【0042】
移動可能な基材として、細胞培養可能なものを使用する場合には、移動した細胞塊は基材とともに試験単位を提供できるし、あるいは、基材を細胞塊から外して試験単位を提供することもできる。この細胞塊と基材との分離は任意の時期に行うことができ、例えば、移動の前に一単位領域で行うこともできるし、あるいは、移動と同時に行うこともできるし、移動後に行うこともできる。
【0043】
移動可能な基材、および、移動可能な基材として使用できる一単位領域を提供する培養面、および、移動可能な基材として使用できる培養基質は、いずれかだけでも使用できるし、いかなる組み合わせでも使用できる。例えば、移動可能な基材として使用できる一単位領域を提供する培養面容器、および、移動可能な基材として使用できる培養基質を使用した場合には、培養した細胞塊を、移動可能な基材として使用できる一単位領域を提供する培養面、および、移動可能な基材として使用できる培養基質とともに移動することもできるし、あるいは、移動可能な基材として使用できる培養基質とともに移動することもできる。
【0044】
本発明方法において切開を用いて細胞塊を分割する場合には、例えば、生検用トレパンやナイフを用いて細胞塊を切開した後に細胞塊を移動する方法を挙げることができる。
生検用トレパンを用いて円形に切開した後に移動する場合、1つの細胞塊から、1以上の切除された細胞塊と、後に残る1以上の穴があいた細胞塊とが得られる。例えば、単層あるいは重層、または生体を模倣するように再構築された細胞塊を使用し、生検用トレパンで円形に切開をおこなった場合には、例えば、図4又は図5に示すように、1単位領域である1培養単位の細胞塊から、新たな培養領域に移動した黒色で示す複数の円盤状の細胞塊(図4又は5における2)と、元の容器に残した蜂の巣状に複数の円形の穴が空いた白色で示す細胞塊(図4又は5における1)とが得られる。生検用トレパンを用いる態様は、円盤状の細胞塊を移動し、穴の空いた細胞塊を残す態様であるが、本発明方法では、逆に、穴の空いた細胞塊を移動し、円盤状の細胞塊を残すこともできる。
【0045】
切開を用いた分割の形状としては、特に限定されるものではないが、例えば、円形、矩形、扇形、長尺形、ドーナッツ型、星形を含む多角形を挙げることができる。また、分割し移動したもののサイズとしては、一単位領域の面積より小さいサイズで、適宜設定することができるが、その形状が円形である場合、例えば、市販のトレパンの直径として0.5mm〜8.0mmで実施することができるが、これに限定されるものではない。
【0046】
本発明方法においては、加工として移動可能な基材を用いるか、切開を用いるかを問わず、元の単位領域から細胞塊を新たな培養領域に移動して利用する場合には、新たな培養領域に移動し、そのまますぐに試験を実施することもできるし、あるいは、適当な安定期間もしくは培養期間を経過した後、次の試験を実施することもできる。
【0047】
新たな培養領域への移動は、1培養領域(例えば、1容器、1ウェル)あたり細胞塊1つを移動することもできるし、1培養領域(例えば、1容器、1ウェル)に複数の細胞塊を移動することもできる。
本発明方法においては、同一の単位領域、すなわち同じ培養単位(例えば、ウェル)内で培養された均一な細胞を用いることにより、あるいは、1培養単位の中でも必ずしも均一性がない場合には、均一な細胞塊のみを選択することにより、試験単位間の品質が均一になり、精度の高い比較試験を行うことが期待できる。
【0048】
本発明方法では、細胞塊の形状は最初に加工された後のままのもの、あるいは、さらに加工されたもので、試験単位を提供することができる。細胞塊を元の領域に残す場合には、元の領域内で移動せずにそのままの状態で試験単位を提供することもできるし、あるいは、元の領域内で配置を変更した状態で試験単位を提供することもできる。新たな培養領域に移動する場合も、元の培養領域に残す場合も、そのまますぐに試験工程に移ることもできるし、あるいは、適当な安定期間もしくは培養期間を設けることもできる。
【0049】
本発明方法における試験工程では、加工により得られた細胞塊の縁から、細胞培養可能な場合、細胞伸展が観察される。本発明方法では、細胞伸展を利用して、例えば、各種の化学的負荷または物理的負荷に試験単位として得られた細胞塊を曝露することにより、これらの負荷の評価を行うことができる。例えば、化学的負荷では、被検物質不在下と、被検物質存在下での細胞伸展の距離や面積を比較することにより、前記被検物質の薬効または毒性を検出することができる。また、物理的負荷においても、化学的負荷と同様に、細胞伸展の距離や面積を比較することにより、各物理的負荷の影響を検出することができる。
【0050】
本発明方法における試験工程では、細胞伸展以外にも、細胞の状態を分析することのできる各種の評価指標、例えば、細胞数、細胞形態、細胞活性、細胞の物質の取り込み量、細胞の物質の排泄量、mRNAの転写量、酵素活性や顕微鏡で検出されるタンパク質の発現、機能の発現を利用することができる。多種多様な化学的負荷や物理的負荷、および、使用する細胞の種類に応じて、適宜、評価系を選択することができる。
【0051】
また、細胞塊へ負荷を曝露させる方法も、評価系に応じて、適宜決定することができる。例えば、化学的負荷では、被検物質の曝露時の様態については、液体、気体、固体あるいはこれらの中間体から任意の様体を選択することができる。暴露は被検物質だけでも、あるいは、培養液に混ぜて行うこともできる。物理的負荷としては、例えば、切開、切除、摩擦、圧迫、温度、圧力、振動、電磁波、放射線、重力を挙げることができる。
負荷への曝露は任意の時間と回数を選択することができる。例えば、短期間の曝露を1日1回、あるいは、間隔をおいて複数回行うこともできるし、あるいは、長期間の暴露を同様に行うこともできる。
【0052】
加工工程に続く試験単位提供工程あるいは試験工程から、細胞塊が培養される培養環境を変更することもできる。培養環境の変更項目としては、例えば、培養容器、培養形態、培養液の量、培養液組成、二酸化炭素濃度、温度、湿度、圧力、振動、電磁波、放射線、重力が挙げられる。実施例において試験工程では加工工程以前と同じくカルチャーインサートを用いた共培養、そして細胞表面を空気に暴露するエアリフト培養を行っているが、共培養ではない通常の培養方法や培養液を細胞塊が十分に浸るように満たす培養方法での試験も可能である。培養液組成の変更項目としては、例えば、塩、金属、色素、血清、細胞の活性や増殖に正あるいは負として作用する物質が挙げられる。培養環境は必ずしも細胞にとって良いものである必要はない。培養環境が悪い場合、暴露する負荷の影響を検出しやすくすることもできるし、あるいは通常の培養下では検出できない影響を検出できる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0054】
《実施例1》
(1)ブタ角膜上皮細胞の取得
ブタ眼球は、東京芝浦臓器株式会社(東京都港区港南2−7−19 東京都中央卸売市場食肉市場内)から購入した。眼球から角膜を分離し、約5mmの組織に細切し、コラーゲンのゲル(ブタ由来、TypeI;新田ゼラチン(株))上で、5%牛胎児血清および10ng/mL EGFを添加したDMEM/F12培地(以下、培地と称する)で培養した。組織片から増殖し、ゲル上に伸展した角膜上皮由来と考えられる細胞を、酵素処理により分離・回収し、細胞凍結保存液セルバンカー(日本全薬工業)に浮遊させて−80℃で凍結保存した。
【0055】
(2)角膜上皮細胞シートの作製
凍結保存されていたブタ角膜上皮細胞を解凍し、5×10個/mLとなるように培地に浮遊した。その1mLを、6ウェルプレート用カルチャーインサート(コーニング社、以下、インサートと称する)2枚の底面に基材としても使用可能な基質として配置されたコラーゲンのゲル上に播種した。インサート外に同じ培地を1mL添加して培養を開始した。開始翌日からインサート内1mL、インサート外2mLの培地になるように調整し、3T3細胞をフィーダーとしてインサート外に培養した。
【0056】
培養開始から約1週間で細胞はインサート内で単層、全面に伸展増殖するまで培養された。続いて、更に1週間の培養で細胞の重層化が行われた。位相差顕微鏡で重層化の進行を確認した後、生体内と同様な機能を有する細胞シートを得るために、インサート内のみ培地を除去することにより、細胞表面を空気暴露するエアリフト(Air−Lift)培養を3日間行った。この培養方法は角膜上皮細胞の培養において一般的な方法である(Koizumi, N., N. J. Fullwood, et al. (2000). "Cultivation of corneal epithelial cells on intact and denuded human amniotic membrane." Invest Ophthalmol Vis Sci 41(9): 2506-2513.)。
【0057】
(3)試験用ウェルの作製(分離移動した細胞塊を用いる方法)
重層化された細胞に培養容器であるインサート由来のメンブレンと共に、直径4mmのトレパンで切開を入れ、円盤状の、インサート由来のメンブレンを伴う細胞塊を、一単位領域であるインサート1枚あたり9枚、2枚のインサートから計18試験単位を取得した。
本実施例では、コラーゲンのゲルをインサート底面に配置して培養した後、トレパンでインサート由来のメンブレンまで切開を入れ、円盤状の細胞塊を取得したが、例えば、図4又は図5に示すように予め分離された、または分離しやすいように加工されたコラーゲンのゲルをインサート底面に配置して培養した後、コラーゲンのゲルをインサートから取り外すことにより、円盤状の細胞塊を取得することもできる。分離前にインサートからコラーゲンのゲルを取り外した後に切開を入れ分離することもできる。
分離した円盤状の各細胞塊から、移動に用いたインサート由来のメンブレンを外した後、新たな6ウェル用カルチャーインサート内に用意されたコラーゲンのゲル上に、1ウェルあたり6枚ずつ載置し、インサート内外に培地のない状態で1時間静置して、3ウェルの試験用ウェルとした。
【0058】
(4)試験用ウェルの作製(移動後に残した細胞塊を用いる方法)
前記実施例1(3)で円盤状の細胞塊が分離された後には、蜂の巣のように9箇所の穴が空いた細胞塊2つが残った。1つあたり3箇所の穴が空いた細胞塊を取得するため、9箇所の穴が空いた1つの細胞塊を3つに切り分け、計6つの3箇所の穴を有する細胞塊を得た。それぞれの細胞塊から、インサート由来のメンブレンを外した後、新たな6ウェル用カルチャーインサート内に用意されたコラーゲンのゲル上に1ウェルあたり2枚ずつ配置し、インサート内外に培地のない状態で1時間静置して、試験用ウェル(計3ウェル)を作製した。
【0059】
(5)暴露試験
被検物質としては、点眼薬に防腐剤として添加され角膜上皮細胞に対する細胞毒性(Burgalassi, S., P. Chetoni, et al. (2001). "Cytotoxicity of potential ocular permeation enhancers evaluated on rabbit and human corneal epithelial cell lines." Toxicology letters 122(1): 1-8.;Huhtala, A., M. Mannerstrom, et al. (2002). "Comparison of an immortalized human corneal epithelial cell line and rabbit corneal epithelial cell culture in cytotoxicity testing." Journal of ocular pharmacology and therapeutics : the official journal of the Association for Ocular Pharmacology and Therapeutics 18(2): 163-175.)が報告されている塩化ベンザルコニウム(和光純薬株式会社;以下、BAKと称する)を使用した。
BAKをPBS(pH7.2;GIBCO)に1%(w/v)となるように溶解した後、0.45μmのフィルターで濾過した。得られた1%溶液をPBSで希釈することにより、10−2%BAK含有PBS、10−4%BAK含有PBSを調製し、BAKを含有しないPBSと共に以下の曝露試験に使用した。
【0060】
前記実施例1(3)で作製した円盤状の細胞塊を用いる試験用ウェル(インサート内外に培地のない状態で1時間静置したもの)と、前記実施例1(4)で作製した細胞塊を分離した後に残った穴の空いた細胞塊を用いる試験用ウェル(同上)の各々について、3T3細胞をフィーダー細胞としたエアリフト培養を開始した。24時間のエアリフト培養後、コラーゲンゲル上に配置された細胞塊を有するインサート内に、3種類の異なるBAK濃度(1:10−2%BAK含有、2:10−4%BAK含有、3:BAK不含有)のPBSのいずれかを、100μL添加し、1分間静置した。静置終了後、インサート内をPBSでよく洗浄した後、エアリフト培養を継続した。
【0061】
この曝露操作を1日3回(各操作の間隔は約4時間)実施し、計4日間実施しながら、細胞塊の縁から伸展する細胞を、1日1回、被検物質への暴露を開始する前に顕微鏡下で観察、写真撮影した。撮影された画像を元に、細胞塊の縁から伸展する細胞の距離を計測し、3群間の比較を行った。有意差の検定にはマン・ホイットニ検定を使用し、p<0.05をもって有意と判定した。
【0062】
結果を図6〜図8に示す。
図6は、円盤状の細胞塊で作製した試験用ウェルにおけるBAK曝露開始から3日目の、円盤状の細胞塊の片縁からの細胞伸展の様子を示す顕微鏡写真である。10−2%BAK、10−4%BAK、0%BAKは、それぞれ、10−2%BAK含有PBS暴露群、10−4%BAK含有PBS暴露群、0%BAK含有PBS暴露群を意味する。より良い理解のために、細胞伸展の先端部分をトレースして黒い線で示した。
図7は、穴が空いた細胞塊で作製した試験用ウェルにおける穴の縁からの細胞伸展距離の経時変化を示すグラフである。
図8は、穴の空いた細胞塊で作製した試験用ウェルにおける各穴の縁からの細胞伸展距離の経時変化を示すグラフである。
【0063】
2種類の細胞塊を用いたいずれの方法でも、10−2%BAK含有PBS暴露群では、縁からの細胞の伸展は観察期間を通して見られなかった。一方、10−4%又は0%BAK含有PBS暴露群では、細胞塊の縁からの細胞の伸展が暴露開始翌日から観察期間を通して見られた。10−4%BAK含有PBS暴露群の細胞伸展距離は、0%BAK含有PBS暴露群と各観察点において同等であった。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、生体に対する各種の負荷を評価する方法、化学的負荷、例えば、被検物質の薬効または毒性、あるいは、物理的負荷による影響の検出として利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)一単位領域の細胞塊を、2以上の試験単位を提供可能なように加工する工程、
(2)元の一単位領域から新たな培養領域に移動した細胞塊および/または元の一単位領域に残した細胞塊で2以上の試験単位を提供する工程、
(3)前記工程(2)により提供された各試験単位において細胞塊に化学的または物理的負荷を暴露させ、その影響を検出する工程
を含む、前記負荷の評価方法。
【請求項2】
前記加工および移動として、一単位領域の細胞塊に切開を入れ、新たな培養領域に移動した細胞塊の全部または一部で、および/または、元の領域に残した細胞塊の全部または一部で、2以上の試験単位を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加工および移動として、移動可能な1以上の基材を一単位領域の全面または一部に予め配置した状態で細胞を培養し、前記基材の全部または一部を移動するか、あるいは、移動させることなく、新たな培養領域に移動した細胞塊の全部または一部で、および/または、元の領域に残した細胞塊の全部または一部で、2以上の試験単位を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
移動可能な基材を一単位領域の全面に配置する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
移動可能な基材を一単位領域の一部に配置する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
移動可能な基材として、細胞培養可能な基材のみを使用する、請求項3〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
移動可能な基材として、細胞培養困難な基材のみを使用する、請求項3〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
移動可能な基材として、細胞培養可能な基材および細胞培養困難な基材を併用する、請求項3〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
移動可能な基材の全部を移動する、請求項3〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
移動可能な基材の一部を移動する、請求項3〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
移動可能な基材を移動しない、請求項3〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
一単位領域の全面が細胞培養可能である、請求項3〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
一単位領域の全面が細胞培養困難である、請求項3〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
一単位領域の一部が細胞培養可能で、残りが細胞培養困難である、請求項3〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記試験単位が、新たな培養領域に移動した細胞塊のみから提供される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記試験単位が、一単位領域に残した細胞塊のみから提供される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記試験単位が、新たな培養領域に移動した細胞塊、および、一単位領域に残した細胞塊から提供される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記細胞塊が、生体組織由来の不死化されていない細胞である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記細胞塊が、不死化された培養細胞である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記細胞塊が角膜由来である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記細胞塊が角膜上皮由来である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
化学的または物理的負荷への暴露後の評価を、細胞塊からの細胞伸展で分析する、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−55922(P2013−55922A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197442(P2011−197442)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(596136903)
【Fターム(参考)】