説明

生体アミンの分析方法

【課題】従来難しかった生体アミンのリアルタイム(その場)分析と高感度化を実現することができる、高感度であり、かつ応答性に優れた生体アミンの分析方法を提供すること。
【解決手段】生体アミン(カテコールアミンまたはインドールアミン)にアミンオキシダーゼ(チラミンオキシダーゼ)を作用させ、生成した過酸化水素を化学発光法により検出することを含む、生体アミンの分析方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体アミンの分析方法に関する。特に本発明は、アミンオキシダーゼを利用した生体アミンの分析方法に関する。本発明の方法は、アミンオキシダーゼ、例えば、チラミンオキシダーゼを用いて、カテコールアミン等の生体アミンを迅速簡便にしかも高感度に酵素化学発光検出する方法である。この方法は、例えば、カテコールアミン分泌能を持つ細胞の刺激応答性の観察評価にも応用できる。さらに本発明は、上記分析法を利用した被験物質の細胞に対する影響を試験する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チロシナーゼやラクトペルオキシダーゼなど、カテコール環を酸化する酵素を用いたカテコールアミンの酵素化学発光検出は従来すでに行われていた[非特許文献1および2]。
【0003】
ところで、特表2003−507710号公報(特許文献1)に、カテコールアミンのような神経伝達物質放出を変調することが可能な化合物の識別方法が記載されている。さらに、この公報中に、カテコールアミンに対するモノアミンオキシダーゼの作用は、ルミノールを用いて検出できた、過酸化水素を生成する(CadetおよびBrannock、1998)(非特許文献3)との記載がある。非特許文献3は、組織 (脳など)中でアミンオキシダーゼによってカテコールアミン(ドーパミンなど)やインドールアミン(セロトニンなど)が酸化分解されて過酸化水素の生成が行われていることを開示する。
【0004】
さらに、脳内におけるモノアミンオキシダーゼによる過酸化水素の生成を検討した文献として、非特許文献3で引用されているCohen(1987)(非特許文献4)やSpina(1988) (非特許文献5)がある。また、組織中のモノアミンオキシダーゼ自体の活性測定、機能検討あるいはモノアミンオキシダーゼによるカテコールアミンの酸化分解に伴う組織中での過酸化水素の発生の検討は、例えば、Kunduzovaら(2002)( 非特許文献6)により行われていた。
【非特許文献1】B. Li, Z. Zhang, Y. Jin, Biosensors and Bioelectronics, 17, 585-589 (2002).
【非特許文献2】M. Israel, M. Tomasi, J. Neurosci. Methods, 91, 101-107 (1999).
【非特許文献3】Jean Lud Cadet and Christie Brannock, Neurochem. Int. 32 (1998) 17-131
【非特許文献4】Cohen G., Adv Neurol. 1987;45:119-25.
【非特許文献5】Spina MB, Cohen G., Basic Life Sci. 1988;49:1011-4.
【非特許文献6】Kunduzova ORら,Eur J Pharmacol. 2002 Jul 19; 448(2-3):225-30.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1、2および特許文献1に記載のように、生体内物質として重要な生体アミンの酵素発光検出法は、以前より報告されていた。しかし、いずれも十分な感度を有していなかった。
【0006】
また、非特許文献3〜6に記載のように、脳内等におけるモノアミンオキシダーゼによる過酸化水素の生成の検討は行われていた。しかし、カテコールアミンの高感度検出を目的とするものではなく、カテコールアミン等の生体アミンの高感度計測法についての記載はない。
【0007】
そこで本発明の目的は、従来難しかった生体アミンのリアルタイム(その場)分析と高感度化を実現することができる、高感度であり、かつ応答性に優れた生体アミンの分析方法を提供することにある。
【0008】
本発明では、従来難しかった生体アミンのリアルタイム(その場)分析と高感度化を実現するため、生体アミンの酸化能の極めて高い酵素(アミンオキシダーゼ)を検索して利用することを考案し、期待した成果を得ることに成功した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以下の通りである。
[請求項1]生体アミンにアミンオキシダーゼを作用させ、生成した過酸化水素を化学発光法により検出することを含む、生体アミンの分析方法。
[請求項2]生体アミンがカテコールアミンまたはインドールアミンである請求項1に記載の方法。
[請求項3]カテコールアミンが、ドーパミン、ノルアドレナリン、またはアドレナリンである請求項2に記載の方法。
[請求項4]インドールアミンがセロトニン、またはメラトニンである請求項2に記載の方法。
[請求項5]生体アミンを含有する試料にアミンオキシダーゼを作用させる請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
[請求項6]生体アミンを含有する試料から放出される生体アミンにアミンオキシダーゼを作用させる請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
[請求項7]生体アミンを含有する試料が、生物試料である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
[請求項8]生物試料が細胞、組織、または個体である請求項7に記載の方法。
[請求項9]アミンオキシダーゼがチラミンオキシダーゼである請求項1〜8のいずれか1項に記載の記載方法。
[請求項10]化学発光法が、発光基質としてルミノール、ルシゲニン、またはロフィンを用いる請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
[請求項11]発光基質としてルミノールを用いる化学発光法において、触媒として、ヘム酵素、ヘムタンパク質、低分子のヘミンおよび金属錯体から成る群から選ばれる少なくとも1種を用いる請求項10に記載の方法。
[請求項12]ヘム酵素が、HRP(西洋ワサビ ペルオキシダーゼ)、ARP(微生物(Arthromyces ramosus)由来ペルオキシダーゼ)またはカタラーゼであり、ヘムタンパク質がヘモグロビン、ミオグロビン、またはシトクロムcであり、低分子のヘミンがプロトヘム(ペルオキシダーゼやヘモグロビンの補欠分子族部分)であり、金属錯体が鉄錯体、オスミウム錯体またはルテニウム錯体である請求項11に記載の方法。
[請求項13]化学発光法が、シュウ酸誘導体と蛍光物質を用いる方法である請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
[請求項14]過酸化水素の量を定量することで、生体アミンを定量する請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
[請求項15] 被験物質を細胞に作用させ、前記被験物質を作用させることで生じる前記細胞から放出される生体アミン量の変化を請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法を用いて測定する、被験物質の細胞に対する影響を試験する方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の方法によれば、HPLC分析など既存の生体アミンの分析法に比べて分離操作を要せず、極めて簡単に、しかも高感度に生体アミンの計測ができる。特に本発明によれば、(1)生体アミンの代表であるドーパミンの未処理での簡便計測を実現できる、(2)ドーパミンを10nMという高感度で計測できる。本発明の分析方法の感度は、従来法より2桁程度良い。
【0011】
さらに本発明によれば、本発明の方法を用いることで、被験物質の細胞に対する影響を試験することもできる。
【0012】
さらに、発展性として、本発明の分析方法の利用により神経細胞などからの生体アミンのリアルタイム観測ができる。本発明の方法は、これからの脳神経科学をはじめとするライフサイエンス研究に役立つと期待される。今後、単一細胞レベルでの作用薬物のスクリーニングや細胞応答に及ぼす薬品、食品添加物、環境汚染物質等様々な化学物質の影響評価を行う細胞チップに新規に応用できると期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の生体アミンの分析方法は、生体アミンにアミンオキシダーゼを作用させ、生成した過酸化水素を化学発光法により検出することを含む。
【0014】
本発明において、生体アミンとは、生体に含まれる各種のアミン化合物を意味し、より具体的には、カテコールアミンおよびインドールアミンを挙げることができる。さらに、カテコールアミンとして、ドーパミン、ノルアドレナリンおよびアドレナリンを挙げることができる。また、インドールアミンとしては、例えば、セロトニン、メラトニン等を挙げることができる。
【0015】
本発明の方法においては、アミンオキシダーゼは、生体アミンを含有する試料にそのまま作用させることができる。あるいは、試料から放出される生体アミンにアミンオキシダーゼを作用させることもできる。生体アミンを含有する試料は、特に前処理することなく、上記アミンオキシダーゼの作用に供することができるが、例えば、試料に粉砕、破壊、薬物投与、酵素(リゾチーム等)投与、界面活性剤投与、加熱、光(電磁波)照射、超音波照射、磁場照射等の前処理を施した後に上記アミンオキシダーゼの作用に供することもできる。
【0016】
生体アミンを含有する試料は、生物試料であることができ、生物試料としては、例えば、細胞、組織、および個体であることができる。例えば、細胞としては(実験)動物(魚類や昆虫も含む)の神経系や内分泌系組織より採取した初代培養細胞や株化培養細胞、植物体から採取した培養細胞、および培養が容易な微生物細胞などが挙げられる。組織としては、(実験)動物の脳や内分泌器官の切片、あるいは植物体の組織切片等が挙げられる。また個体としては、生死の状態に関わらず種々の動物および植物体が含まれる。
【0017】
本発明において用いられるアミンオキシダーゼは、生体アミンを酸化して過酸化水素を生成する反応を触媒する酵素であれば制限なく利用でき、例えば、チラミンオキシダーゼ、モノアミンオキシダーゼ、チラミナーゼ、アドレナリンオキシダーゼ、ジアミンオキシダーゼ、ヒスタミナーゼ等を挙げることができる。チラミンオキシダーゼは、特にドーパミンに対する比活性が高く、ドーパミンの分析に特に有効であることから好ましい。また、チラミンオキシダーゼは、ドーパミン以外のカテコールアミンであるノルアドレナリンおよびアドレナリンに対しても良好な比活性を有し、また、セロトニン等のインドールアミンに対しても良好な比活性を有するという点でも好ましい。
【0018】
本発明においては、アミンオキシダーゼの作用により生成した過酸化水素を化学発光法により検出する。過酸化水素の検出に用いる化学発光法は、公知の方法をそのまま利用できる。化学発光法としては、例えば、発光基質としてルミノール、ルシゲニン、またはロフィンを用いる方法を挙げることができる。さらに、発光基質としてルミノールを用いる化学発光法においては、触媒として、ヘム酵素、ヘムタンパク質、低分子のヘミンおよび金属錯体から成る群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。ヘム酵素としては、例えば、HRP(西洋ワサビ ペルオキシダーゼ(Horse Radish Peroxidase))、ARP(微生物(Arthromyces ramosus)由来ペルオキシダーゼ)およびカタラーゼ等を挙げることができる。ヘムタンパク質としては、例えば、ヘモグロビン、ミオグロビンおよびシトクロムc等を挙げることができる。低分子のヘミンとしては、例えば、プロトヘム(ペルオキシダーゼやヘモグロビンの補欠分子族部分)等を挙げることができる、金属錯体としては、例えば、鉄錯体、オスミウム錯体またはルテニウム錯体等を挙げることができる。
【0019】
また、前記化学発光法としては、シュウ酸誘導体と蛍光物質を用いる方法を挙げることもできる。シュウ酸誘導体としては、例えば、シュウ酸クロライド、ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)オキザレート、ビス(2,4-ジニトロフェニル)オキザレート、ビス[4-ニトロ-2-(3,6,9-トリオキサデシロキシカルボニル)フェニル]オキザレート、ビス[2,3,6-トリクロロ-4-(ブトキシカルボニル)フェニル]オキザレートを挙げることができる。また、蛍光物質としては、例えば、アントラセン、ペリレン、ルブレン、ローダミンB,ローズベンガル、ピレン誘導体、7-ニトロベンゾフラザン誘導体、フルオレセイン、リボフラビン等を挙げることができる。
【0020】
本発明の方法においては、過酸化水素の量を定量することで、生体アミンを定量する。本発明の方法におけるアミンオキシダーゼの使用量は、分析に要求される感度等を考慮して適宜決定されるが、例えば、30 fmol(1nMで30μL)〜30 pmol(1μMで30μL)のカテコールアミン(ドーパミン)当たり、1 ng(0.1 mg/mLを10μL)〜150 ng(5 mg/mLを30 μL)の範囲とすることが適当である。
【0021】
また、化学発光法で使用する発光基質、触媒、シュウ酸誘導体、蛍光物質等の使用量は、使用される試薬の種類や分析に要求される感度等を考慮して適宜決定される。
【0022】
本発明の方法は、多数の試料を並行して分析する方法に特に有効であり、例えば、マルチマイクロウェルプレートの各マイクロウェルにおいて本発明の方法を実施することで、多数の試料を並行して分析することができる。具体的には、96ウェルプレートの各マイクロウェルに、例えば、ルミノール溶液、ペルオキシダーゼ溶液、チラミンオキシダーゼ溶液および緩衝溶液を適当な濃度になるよう適量取り、発光検出型プレートリーダーにセットし、オートインジェクターを用いてウェルに生体アミンを含む試料、または生体アミンを含む試料から抽出した生体アミンを含む溶液をインジェクションし、その際の発光を経時観測し、そのピーク強度を計測することで、生体アミンを検出、定量することができる。
【0023】
本発明は、被験物質の細胞に対する影響を試験する方法を包含する。この方法は、被験物質を細胞に作用させ、前記被験物質を作用させることで生じる前記細胞から放出される生体アミン量の変化を前記本発明の方法を用いて測定することを含む。本発明の試験方法において、被験物質および細胞は、試験の目的に応じて適宜決定することができる。
【0024】
前記本発明の分析方法を利用することにより、例えば、神経細胞などからの微量の生体アミンの生成量の観測ができ、しかもこの観測はリアルタイムに行うことも可能である。したがって、この方法は、脳神経科学をはじめとするライフサイエンス研究に役立つと期待される。また、単一細胞レベルでの作用薬物のスクリーニングや細胞応答に及ぼす薬品、食品添加物、環境汚染物質等様々な化学物質の影響評価にも利用できる。
【0025】
例えば、細胞として神経細胞を用い、一方、被験物質として神経細胞に対する刺激物質を用いることで、この刺激物質の神経細胞への影響を試験、評価できる。また、細胞を代え、被験物質として薬品、食品添加物、環境汚染物質を用いることで、これら化学物質の影響評価も可能である。
【実施例】
【0026】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0027】
実施例1
<各種酵素のドーパミン酸化活性の測定>
光路長1cmのポリスチレンキュベットに、10mM フェノール溶液 0.3ml、5mM 4-アミノアンチピリン溶液0.3ml、それぞれの濃度のドーパミン溶液(10μM〜200μM)0.3ml、0.1Mリン酸バッファー(pH7.0、pH7.4) 1.8mlを入れた。このキュベットにそれぞれの酵素溶液を0.03ml添加し、軽く振りまぜて速やかに吸光度計にセットし、吸光度の経時変化を500nMで5分間測定した。この際の吸光度の上昇速度から各濃度における活性を算出し、その濃度依存性の解析より、比活性やKm値を算出した。結果を下記表に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
表1に示す結果から、チラミンオキシダーゼがドーパミンに対して、高い比活性を示すことが分かる。
【0030】
実施例2
<ドーパミンの酵素的酸化反応によって検出できる発光強度の検討>
96ウェルプレートのそれぞれのウェルに、以下の試薬を入れ、発光検出型プレートリーダーにセットした。
0.1 M リン酸緩衝液 180 μl
0.1 mM ルミノール溶液 30 μl
0.025 mg/ml ペルオキシダーゼ溶液 30 μl
0.1 mg/ml チラミンオキシダーゼ溶液 30 μl
次いで、オートインジェクターを用いてウェルに種々の濃度(終濃度1nM〜1000nM)でドーパミン/緩衝液溶液を30μlをインジェクションし、その際の発光を経時観測し、そのピーク強度を計測した。結果を図1および2に示す。
【0031】
図1に示す結果から、チラミンオキシダーゼを用いる本発明の方法は、蛍光発光が短時間で得られ、迅速分析およびリアルタイム分析に使用できることを示唆する。さらに図2に示す結果から、チラミンオキシダーゼを用いる本発明の方法は、ペルオキシダーゼを用いる従来法に比べて、格段に高い感度を有することが分かる。
【0032】
実施例3
<アセチルコリン刺激に伴うPC12細胞からのドーパミン放出の酵素発光検出の検討>
<懸濁系での実験例>
96wellプレートのそれぞれのwellに、Locke's溶液 80 μl、1 mM ルミノール溶液30 μl、0.25 mg/ml ペルオキシダーゼ溶液30 μl、2 mg/ml チラミンオキシダーゼ溶液30 μl、PC12細胞溶液(wellあたり1×10の6 乗cells)100 μlを入れた。このウェルプレートを発光検出型プレートリーダー(BMG LABTECH社製FLUOstarOPTIMA)にセットし、測定開始20秒後にLocke's溶液、あるいはアセチルコリン溶液(終濃度100 μM)をオートインジェクターで30μlインジェクションし、発光強度の経時変化を観測した。その結果、PC12細胞を用いてACh刺激を行った結果、刺激による発光がリアルタイムに観測できた。
【0033】
<接着系での実験例>
アセチルコリン投与によりドーパミンを脱顆粒放出する神経モデル細胞として良く用いられるPC12細胞を96wellプレートに播き、一晩接着後、培地をLocke's溶液で二回洗浄した。次いですぐそれぞれのウェルにLocke's溶液 180 μl、1 mM ルミノール溶液30 μl、0.25 mg/ml ペルオキシダーゼ溶液30 μl、2 mg/ml チラミンオキシダーゼ溶液30 μlを入れた。このウェルプレートを発光検出型プレートリーダー(BMG LABTECH社製 FLUOstarOPTIMA)にセットし、測定開始30秒後にLocke's溶液、あるいはアセチルコリン溶液(終濃度100 μM)をオートインジェクターで30μlインジェクションし、発光強度の経時変化を観測した。結果を図3に示す。
【0034】
図3に示すように、PC12細胞を一晩接着させた系でアセチルコン刺激をおこなったときも、リアルタイムにACh刺激を観察することができた。尚、溶かしている溶液であるロックス溶液では少ししか上がらず、AChと大きな差が観察された(図省略)。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の方法によれば、血液中、尿中、および脳などの組織液中の生体アミンを分離操作に付することなく、しかも高感度に計測することが可能である。したがって、ライフサイエンス研究および医療計測、あるいは農・水産物などの食品分析等に極めて役立つと期待される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】ドーパミンの酵素発光検出法の原理およびドーパミンの発光検出パターン。
【図2】ドーパミンの検量線。
【図3】PC12 細胞(接着系)のACh刺激による発光検出結果。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体アミンにアミンオキシダーゼを作用させ、生成した過酸化水素を化学発光法により検出することを含む、生体アミンの分析方法。
【請求項2】
生体アミンがカテコールアミンまたはインドールアミンである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
カテコールアミンが、ドーパミン、ノルアドレナリン、またはアドレナリンである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
インドールアミンがセロトニン、またはメラトニンである請求項2に記載の方法。
【請求項5】
生体アミンを含有する試料にアミンオキシダーゼを作用させる請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
生体アミンを含有する試料から放出される生体アミンにアミンオキシダーゼを作用させる請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
生体アミンを含有する試料が、生物試料である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
生物試料が細胞、組織、または個体である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
アミンオキシダーゼがチラミンオキシダーゼである請求項1〜8のいずれか1項に記載の記載方法。
【請求項10】
化学発光法が、発光基質としてルミノール、ルシゲニン、またはロフィンを用いる請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
発光基質としてルミノールを用いる化学発光法において、触媒として、ヘム酵素、ヘムタンパク質、低分子のヘミンおよび金属錯体から成る群から選ばれる少なくとも1種を用いる請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ヘム酵素が、HRP(西洋ワサビ ペルオキシダーゼ)、ARP(微生物(Arthromyces ramosus)由来ペルオキシダーゼ)またはカタラーゼであり、ヘムタンパク質がヘモグロビン、ミオグロビン、またはシトクロムcであり、低分子のヘミンがプロトヘム(ペルオキシダーゼやヘモグロビンの補欠分子族部分)であり、金属錯体が鉄錯体、オスミウム錯体またはルテニウム錯体である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
化学発光法が、シュウ酸誘導体と蛍光物質を用いる方法である請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
過酸化水素の量を定量することで、生体アミンを定量する請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
被験物質を細胞に作用させ、前記被験物質を作用させることで生じる前記細胞から放出される生体アミン量の変化を請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法を用いて測定する、被験物質の細胞に対する影響を試験する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−280201(P2006−280201A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−100415(P2005−100415)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2004年10月15日 社団法人日本化学会バイオテクノロジー部会発行の「第8回 バイオテクノロジー部会シンポジウム講演要旨集」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年11月14日 社団法人高分子学会主催の「第53回 高分子学会北陸支部研究発表講演会」において文書をもって発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年4月1日 社団法人電気化学会発行の「電気化学会 第72回大会 講演要旨集」に発表
【出願人】(305060567)国立大学法人富山大学 (194)
【Fターム(参考)】