生体データの分類、可視化並びに探索の方法及び装置
本発明は、少なくとも3つの細胞クラスの集合への各々の検出された細胞の識別的な分類及び計数のための少なくとも4つの物理的パラメータ(n>3)を測定する生体液分析用自動機械において使用される方法と、更にその可視化とに関する。前記方法によれば、必要に応じて、以下のもの:m−タプルへの複数のn−タプルの数学的変換(m<n、各変換は、平均統計学的特性を有する生体液についての細胞クラスを複合m次元空間の別々の領域内に配置することを可能にする);少なくとも2つの細胞クラスへの識別及び再分類のためのフィルタ;及び3次元の空間、2次元の面又は1次元の軸の別々の領域内への平均統計学的特性を有する生体液の細胞クラスを可視化するための3−タプル、2−タプル又は1−タプルへの複数のn−タプルの少なくとも1つの変換、が記憶され、実施される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体液体の分析の一般的分野に関し、より具体的、生体液体の分析用自動化装置の分野に関する。
より正確には、本発明は、生体液体の分析装置からのもの等の加工データによる列挙及び識別によって細胞集団を分類する方法を提供する。かかる方法は、自動分析装置において使用されることが意図される。
【背景技術】
【0002】
細胞規模又は細胞より小さい規模で多数の構造を分析することの可能性は、薬物研究のためであるにせよ、診断道具としてのものであるにせよ、基礎研究にとってかなりの関心事である。多数の生体細胞の系統分析は、生物に統計量を介して利用可能であること、即ち、1つ以上の細胞の性質が多数の細胞で研究されることを意味する。
【0003】
フローサイトメトリーは、細胞が数百又は数千の細胞の試料で一つずつ研究されることから、細胞集団の統計学的研究に適合する手法である。
より一般には「分子プローブ」として知られる染料又は蛍光剤を導入することによって一般に実施される適切な細胞調製によって、それらの細胞に関する情報は、生物学者に利用可能となる。特に、これは、細胞内含量、例えば、DNA、RNA、タンパク質、イオン種又はヘモグロビンの含量の決定に関する。表面抗原原理に基づく抗体及び発光団に関連する分子プローブの使用は、細胞膜の表面上に位置する特定の機能が明らかにされ得ることを意味する。
【0004】
フローサイトメトリーの原理は、以下の通りである。分析すべき顕微鏡対象物が、液体経路に沿って光ビーム(一般にレーザ)の集束点に輸送される。検出器は、光と粒子との間の相互作用信号を回収するために特定の観察軸に沿って配置される。
【0005】
入射レーザビームの軸の近くに配置される第1検出器は、小角度で回折を測定するが、一般に、それは、低空間周波数に対して、即ち粒子の体積及びその屈折率に対して感度があるように寸法が決められる。その粒子と相互作用しなかった直接的なレーザビームは、マスクによってブロックされる。
【0006】
他の検出器は、入射ビームの軸に対して90°で配置され得る。検出される光は、蛍光又は回折光に対応する1つ以上の分光成分に分析される。
また、当業者に周知である電子ゲート原理を使用する抵抗率の測定等の電気測定も行われる。その手法は、例えば非特許文献1に詳述されている。
【0007】
原則として、電子ゲートは、各生体細胞を、非常に小さいオリフィスに通過させることにある。定電流は、粒子がオリフィスを通過することによって誘起される電気抵抗の変化によって調節される強さで、オリフィスを通過する。その信号は、細胞の体積にほぼ比例する。特許文献1によれば、電子ゲートに交流を供給することも可能である。
【0008】
血液分析器はまた、測定細胞を通過する粒子の吸光度を測定するための光チャネルを含む。
血液分析器の目的は、例えば、血液試料中に存在する各種細胞を計数し、それらの細胞を区別し、従って全試料に対する細胞の各クラスの割合を決定できることである。
【0009】
大多数の場合において、全血に対して作動し、且つ細胞集団の列挙及び区別のための細
胞計数器からの測定値の解釈は、2次元の行列の形におけるグラフィック表示を必要とする。
【0010】
このために、表示される集団は、光学的若しくは電気的のいずれか又は両方である2つの物理的パラメータによって識別される。具体的には、HORIBA ABX機器(5DIFF分析)における白血球亜集団の標準的表示であるLMNE行列で、使用される2つの測定値は吸光度及び抵抗率である。行列がLMNE行列と呼ばれる理由は、それが、一般に血液中に存在するリンパ球、単球、好中球及び好酸球、即ち白血球の集団の区別及び列挙を可能にするためである。
【0011】
かかる表示は、大部分の白血球集団が可視化され得ることを意味するが、このグラフィック可視化は、分析器から得られる2つの物理的パラメータを考慮するだけである。
新世代の分析器では、例えば、順方向散乱(FSC)としても知られる小角回折、側方散乱(SSC)としても知られる90°の拡散、FL1で示される試薬としてのチアゾールオレンジによる蛍光経路、最後に、RESで示される抵抗率等の、より多くの物理的パラメータを得ることが可能である。例えば、試薬として蛍光色素によって標識された抗体による他の蛍光を想定することも可能である。
【0012】
現在、1個の細胞又は粒子につき3つ以上の変数を測定する場合、2次元スクリーン上における視覚化は、2つの変数を選択することにより従来行われている。従って、それは、かかる2つの変数の平面に直交する投影を作成することからなる。
【0013】
しかし、観察される要素と利用可能な測定値とによって、かかる直角投影は必ずしも要素のクラスの視覚化及び自動識別に適切であるとは限らない。
Abbottによって出願された特許文献2は、データの3次元空間への投影を提案しており、これはヘモグロビンの濃度、成熟度、試料の赤血球の形状を決定するためのMieのモデルに基づくものである。
【0014】
Becton Dickinson & Coの特許文献3は、集団を区別するために密度に基づいて2次元のヒストグラムを生成する。
Sysmex Corpの特許文献4には、区別すべき細胞の特性の分散及び共分散に基づく行列の使用が記載されている。前記処理は、分類を行うために2次元のヒストグラムを用いる。
【0015】
Dako Cytomationの特許文献5には、線形データ処理によって2種類の粒子をリアルタイムに選別することが記載されている。
従って、上述の文献のいずれにも、1個の細胞につき利用可能な大量のデータを処理することができ、且つ細胞の少なくとも3つのクラスへの自動分類を実施することが可能な方法又は装置は記載されていない。更に、前記文献のいずれにも、それらの細胞の区別及び列挙による、試料中に存在する細胞クラスの全ての単一スクリーン上の視覚化を生じ得る処理は記載されていない。また、記載されている方法を、例えば、特定の細胞クラスの一定の異常細胞を単離するために使用することもできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第4791355号
【特許文献2】米国特許第6630990号“Optical method and apparatus for red blood cell differentiation on a cell−by−cell basis,and simultaneous analysis of white blood cell differentiation”
【特許文献3】米国特許第6944338号“System for identifying clusters in scatter plots using smoothed polygons with optimal boundaries”
【特許文献4】米国特許第6662117号“Particle analyzer and particle classifying method”
【特許文献5】国際特許出願第WO2006/015056号 “ENHANCING FLOW CYTOMETRY DISCRIMINATION WITH GEOMETRIC TRANSFORMATION”
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Volker Kachelによる論文:“Electrical Resistance Pulse Sizing:Coulter Sizing”in Flow Cytometry and Sorting,Second Edition,1990,Wiley−Liss,Inc Editor,p45−80
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従って、本発明の主な目的は、自動化生体液体分析機械の使用方法であって、前記液体中における細胞を検出することができ、且つ各々の検出された細胞について測定された少なくとも4つの物理的パラメータを含むn−タプル(n>3)を決定することができる方法を提案することによってかかる短所を克服することであり、前記方法は、識別及び列挙によって、細胞クラスの少なくとも1つの集合への分類を実施することと、更にそれらを表示することとの両方のために意図され、前記分類及び表示は、有利には、病理学的徴候の検出に適合させられ、且つ以下のステップ:
a)最初に、複数のn−タプルをm−タプル(m<n)に変換するための複数の数学的変換Tを記憶するステップであって、各変換を、所定の集合の細胞クラスの中のn−タプルの要素の特定の分類と関連づけ、且つ前記細胞クラスを構成する細胞についての統計学的知識の関数として決定し、平均統計学的特性を示す生体液体の細胞クラスがm次元複合空間の異なるゾーン内に配置されることを可能にし、複数の記憶された変換が、有利には、病状を示す際に使用のための特定の識別に適切である細胞クラスの各種配置を得ることを可能にする、ステップ;
b)最初に、少なくとも2つの細胞クラスへの識別及び再分類のための複数のフィルタを記憶して、少なくとも2つの細胞クラスからのm−タプルがm次元複合空間において区別されることを可能にするステップ;
c)最初に、表示のために、正常な生体液体の細胞クラスを構成する細胞についての統計学的知識の関数として決定される3−タプル、2−タプル又は1−タプルへの複数のn−タプルの少なくとも1つの変換を記憶するステップであって、平均統計学的特性を示す生体液体の細胞クラスが3次元の空間又は2次元の面又は1次元の軸の異なるゾーン内に配置されることを可能にする、ステップ;
d)生体液体の分析の結果として複数のn−タプルを受信するステップ;
e)受信されたn−タプルに第1の任意の分類を関連づけるステップ;
f)それらのクラスの関数としてn−タプルの部分集合を選択するステップ;
g)m−タプルへの変換Tを選択し、それを、選択されたn−タプルに適用するステップ;
h)識別フィルタを選択し、それをm−タプルに適用するステップであって、n−タプルのクラスを更新することを含むステップ;
i)n−タプルの部分集合及び/又はその異なる変換及び/又はその異なるフィルタを選択することによってステップf)、g)及びh)を反復するステップであって、各反復が、識別アルゴリズムにおけるステップを定義し、前記アルゴリズムが、変換及びフィルタ
の一連の適用によって定義され、前記系列が、有利には所望の徴候の関数として適合させられる、ステップ;
j)n−タプルの部分集合を、それらのクラスの関数としてのm−タプルとして表示されるように選択するステップ;
k)特定の表示タグをn−タプルに、それらのクラスの関数として適用するステップ;
l)選択されたn−タプルに、3−タプル、2−タプル又は1−タプルへの変換を適用するステップ;及び
m)スクリーン上、又は他のディスプレイ媒体上に、3−タプル、2−タプル又は1−タプルへの変換の結果を表示するステップであって、各区別された細胞クラスが、タグを有する動的な2次元、3次元又は1次元の点の雲によって示される、ステップ
を含む。
【課題を解決するための手段】
【0019】
「ディスプレイ媒体」という用語は、それが装置の構成要素であるか、それから遠隔にあるかどうかにかかわりなく、コンピュータスクリーン、紙媒体又は他の視覚的表示手段を意味する。
【0020】
「タグ」という用語は、異なるクラス又は細胞クラスに対応するn−タプルを視覚的に分離することができる色、アイコン又は他の図式の(グラフィックの)要素を意味する。「動的3D空間」という用語は、幾つかの角度からスクリーン上においてそれを観察することができるように回転させることが可能なスクリーン上に、従って2次元において表示される3D空間を意味する。
【0021】
ステップf)〜h)の反復は、「分類」アルゴリズムのマルチステップシーケンスに対応し、これらのステップの各々は、検討対象のクラスの集合に関し、少なくとも2つのクラスへの観察要素の識別及び再分類のための複合空間及びフィルタを定義する少なくとも1つの変換を含む。アルゴリズムの各ステップ(区別すべき細胞クラスの各ペアについて1つ)は、対応するn−タプルの形において各選択粒子のクラスを更新する。
【0022】
本発明の方法は、分析器において測定される物理的パラメータ、例えば以下のパラメータ:FSC、SSC、FL1、RESの全てを組み込むことによってより厳密な識別結果を提供する。特に、従来、前記補償は、所定の蛍光の強度から他の蛍光の影響を差し引くことを可能にする。従来、これは、蛍光のためにだけ使用される。
【0023】
本発明の方法は、関心の対象である集団のより良好な識別を得るために、信号率が引き出されるか、又はアルゴリズム的に加えられることを可能にする。特に、この特性は、形態学的測定値(SSC、FSC、RES等)の結果に適用され得る。
【0024】
本発明は、2次元の行列の形における白血球の部分母集団のより良好な表示を可能にする。2次元の表示に加えて、本発明は、細胞、核及び細胞原形質を、それらを細胞クラスに分類することが可能であるために、細胞集団の全てが互いに異なるという保証によってそれらの成熟とそれらの物理学的性質との関数として同定し;更に、重複する現象は、特に病状がない場合に小さい。これにより、当業者による解釈が容易になる。
【0025】
本発明の方法によって、n入力変数は、m次元複合空間を作成するために融合される。次いで、この空間において、必要な場合、適切な回転を実施した後、示すべきもののために適切な2次元の投影を生成することが可能である。次いで、とりわけズーム機能又はオフセット機能を使用して関心の対象のゾーンを成形することが可能である。複合空間及び成形は、投影における視覚化、又は分類により影響される要素のクラスの自動区別に適合させられる。識別は、ヒストグラムにおけるピーク及び谷を調べることによって実施され
得る。
【0026】
本発明の方法は、白血球の自動分類用アルゴリズムを開発することを既に可能にしており、例えばリンパ球の幾つかの亜集団の検出に鑑みて、全ての白血球クラスのための、又は一定の細胞の特徴のための高性能の視覚化手段を提供した。
【0027】
本発明は、上で定義された分散/共分散行列に基づいた、関係する細胞クラスの物理的パラメータに関する統計量を使用する。記憶された変換は、線形又は非線形である。
本発明の特定の特徴によれば、物理的パラメータは、値RES、FSC、FL1及びSSCである。
【0028】
「値」という用語は、RES、FSC、FL1又はSSCチャネル上のパルスの最大高さを意味する。
有利な本発明の特徴に従って、線形又は非線形であってよい関数変換Tn→mが適用されるが、それは、以下の:
F:Rn→Rm
X→Y(yi=fi(X)、0<i≦m)
[式中、xは、xi(X1…Xn)でも示される最初のn次元測定ベクトルであり、yは、正規化m次元複合ベクトル空間における要素yi(Y1…Ym)を示す画像ベクトルである]ようにn次元測定ベクトル(n≧3)をm次元複合ベクトル(m<n)に変換することにある。
【0029】
有利には、関数fiは
fi(X)=(Ai.X+bi)/(Ci.X+di)
[式中、Ai(それぞれCi)は、m行及びn列を含む行列A(それぞれC)のi番目の行であり、bi(それぞれdi)は、m次元ベクトルB(それぞれD)のi番目の要素である]の形である。
【0030】
従って、前記変換は、これらの2つの行列A及びC並びにこれらの2つのベクトルB及びDを特徴とする。行列Cがゼロであり、且つDの要素の全てがゼロでない場合、その状態は線形である。
【0031】
この特徴は、行列A及びC並びにベクトルB及びDにおける因子の全てが、正常生体液体において観察される細胞クラスについての統計学的知識を用いて決定されるならば、各種の細胞クラスが複合空間における異なるゾーンに分散されることが確保されることを意味する。
【0032】
従って、m次元空間における変換は、正常血液が存在する場合、各種の細胞クラスの点の雲が異なるゾーンに位置するようなものである。従って、例えば病状の間に生物学的液体組成が正常でなくなるやいなや、異なる及び/又は定義されたゾーンへの分布は起こらず、生物学的疾患を強調することができることは、容易に理解され得る。
【0033】
本発明の特定の特徴に従って、1つの特定の変換の適用後に1つの特定のフィルタの適用により、識別を改良するために反復され得る。
特に、かかる反復は、前記反復された変換以外の基準に従って1回以上の識別を行うことを可能にする他の異なる変換により、有利には実施される。
【0034】
本発明の有利な特徴に従って、使用される変換の系列は、病状を発現する所定の集合の細胞クラスの特定の分類と関連づけられ、前記系列は、前記細胞クラスを構成する細胞についての統計学的知識の関数として決定され、病状の平均統計学的特性を有する生体液体
の細胞クラスがm次元複合空間の異なるゾーン内に配置されることを可能にし、「病状」の変換は、正常生体液体が、特定の病状を有する生体液体から区別され得ることを意味する。
【0035】
本発明の特定の特徴に従って、ステップf)及びg)において使用される変換及び2次元又は3次元空間における変換の系列は、細胞クラスが成熟度によって分類されるようなものである。
【0036】
これは、スクリーンを一見した際に細胞の異常分解の存在又は生体液体中に存在する細胞の成熟度の異常に気づくことができることを意味する。
本発明はまた、識別及び列挙によって3つの細胞クラスの少なくとも1つの集合に分類するための装置をも提供するものであって、前記装置が、前記液体中における細胞を検出することができ、且つ各々の検出された細胞についての少なくとも4つの物理的パラメータ(n>3)を含むn−タプルを決定することが可能な自動化生体液体分析機械に接続するためのものであって、前記装置は、
・メモリであって、
○複数のn−タプルをm−タプルに変換する(m<n)ための複数の数学的変換Tであって、所定の集合の細胞クラスの特定の分類と関連づけられ、且つ前記細胞クラスを構成する細胞についての統計学的知識の関数として決定される各変換が、平均統計学的特性を示す生体液体の細胞クラスがm次元複合空間の異なるゾーン内に配置されることを可能にする、数学的変換T;
○所定の集合の各細胞クラスのm−タプルがm次元複合空間において区別されることを可能にする複数の識別フィルタ;
○正常な生体液体の細胞クラスを構成する細胞についての統計学的知識の関数として決定される3−タプル、2−タプル又は1−タプルへの複数のn−タプルの少なくとも1つの変換であって、平均統計学的特性を示す生体液体の細胞クラスが3次元の空間又は2次元の面又は1次元の軸の異なるゾーン内に配置されることを可能にする変換;
を記憶するためのメモリと;
・生体液体の分析から得られた複数のn−タプルを受信するための手段と;
・各n−タプルに第1の任意の分類を関連づけるための手段と;
・それらのクラスの関数としてn−タプルの部分集合を選択するための手段と;
・複数の変換から少なくとも1つの変換Tを選択し、複数の識別フィルタから少なくとも1つの識別フィルタを選択するための手段と;
・選択されたn−タプルに少なくとも選択された変換Tと識別フィルタとを適用するためのデータプロセッサ手段と;
・それらのクラスの関数としてm−タプルに特定のタグを関連づけるためのデータプロセッサ手段と;
・複数のn−タプルの変換を3−タプル、2−タプル又は1−タプルに適用するためのデータプロセッサ手段と;
・スクリーン上に3−タプル、2−タプル又は1−タプルへの変換の結果を表示するための手段と
を含む。
【0037】
好ましい実施形態によれば、本発明の方法の各種ステップは、コンピュータプログラムの命令によって決定される。
その結果、本発明はまた、情報媒体上のコンピュータプログラムをも提供するものであって、前記プログラムは、コンピュータ、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)等のプロセッシングハードウェア、又は他の種類のプログラム可能な電子機器において実行され得、前記プログラムは、本発明の方法のステップを実行するために適合された命令を含む。
【0038】
プログラムは、任意のプログラム言語を使用してよく、ソースコード、機械コード、又はソースコードと機械コードとの間のコードの中間物の形、例えば、部分的にコンパイルされた形、又は他の所望の形であってよい。
【0039】
本発明はまた、上記の通りのコンピュータプログラムのための命令を含むコンピュータ可読のデータ媒体をも提供する。
前記データ媒体は、プログラムを記憶することが可能な任意の構成要素又は装置であってよい。一例として、前記媒体は、記憶手段、例えば、リードオンリーメモリ(ROM)、例えばコンパクトディスク(CD)、又は場合により再書き込み可能であってよいデジタルビデオディスク(DVD)等、又は超小形電子回路ROM、又は磁気記録手段、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク又は不揮発性メモリ(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USBキー等)等のフラッシュメモリ)を含んでよい。
【0040】
更に、情報担体は、無線又は他の手段によって電気ケーブル又は光ケーブルを介して送ることができる電気信号や光学信号等の伝送媒体であってよい。本発明のプログラムは、特にインターネット型ネットワークを通じてダウンロードされ得る。
【0041】
或いは、前記データ媒体は、プログラムが組み込まれる集積回路であってよく、前記回路は、当該の方法を実行するために、又は当該の方法を実行する際に使用されるために適合させられる。
【0042】
本発明の他の特徴及び利点は、実施形態を示すが、事実上いかなる形であれ限定的ではない添付の図面を参照して、以下で為される記載から明らかとなる。前記図面においては、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の装置の略図。
【図2】(a)−(c)正常血液について本発明の方法を使用して得られた結果を示す。
【図3】区画の形をした、図2bの集団の予想位置を示す。
【図4】(a)−(j)正常血液(4a)及び病的血液(4b〜4j)について本発明の方法を使用して得られた結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、本発明を実施するための装置の略図である。この装置は、1個の検出細胞xiにつきn個の物理的パラメータX1〜Xn(n>3)を決定するために使用され得る生体液体分析器1からのデータを受信する受信手段9を含む。これらのn個のパラメータは、n−タプル又は測定ベクトルxi(X1…Xn)を定義する。
【0045】
上記分析器は、有利にはフローサイトメータであり、少なくとも4つのパラメータ、例えば、即ち、下記のX1=FSCで示される小角回折、X2=SSCで示される90°の拡散、X3=FL1で示される少なくとも1つの蛍光経路、およびX4=RESで示される抵抗率を供給する。記載される特定の例において、細胞内の核酸と結合するチアゾールオレンジが、有核細胞(この例においては特に白血球)を示すために使用される。
【0046】
任意のクラス属性手段10の中において、これらのパラメータについての知識は、任意のクラスがn−タプルの各々に帰属し得ることを示す。しかし、使用される変換が、各n−タプルに関連づけられたクラスCiを修正しないことから、我々は、m次元空間へのn次元空間の変換について以下で言及し、n−タプルについての言及を継続する。
【0047】
記載される例において、前記装置は、ステップCsiにおいて使用される入力クラスと称されるクラスの部分集合に属するn−タプルの群を選択するための手段11を含む。
前記装置は、受信データxi(X1…Xn,Csi)の集合が、厳密にn個未満の複数の次元を有する空間への変換Tによって変換されることを可能にするソフトウェア要素を記憶するメモリ18を含み、提供される例において、ステップCdiは、出力細胞クラスの部分集合を区別するためにフィルタAを利用する。
【0048】
前記装置はまた、m次元空間における組み合わせへのn次元空間におけるデータの組み合わせの変換Tn→mを選択するための手段12をも含む。本発明によれば、各変換は、所定の集合の細胞クラスの1つ以上の特定の分類と関連づけられ得、これらの細胞クラスに対応する細胞集団を構成する細胞についての統計学的知識の関数として決定され得る。
【0049】
「特定の分類」という用語は、検出細胞が分類される細胞クラスの任意の集合を意味する。これらの分類は、分析の目的の関数として異なる。
単純な血液分析の間、第1の目的は、分析された血液の組成が正常範囲内であるかどうかを見分けることである。本発明は、正常血液について区別すべき細胞クラスを分離することによってこの情報へのアクセスを提供することが可能であり、それはまた、スクリーン上に表示される際にそれらを視覚化することを可能にする。
【0050】
別の目的は、病的血液の典型的な特徴を確認することである。特定の病状のためのかかる血液の典型的な要素は、統計学的方法において知られ、関連づけられた変換Tn→mは、スクリーン上に表示される際に対応する細胞クラスを分離することを可能にする。更に、得られた計算は、研究下の血液の病的条件に関する結果を提供することができる。
【0051】
従って、各変換は、平均統計学的特性を示す生体液体の所望の特定の分類の細胞クラスがm次元複合空間の異なるゾーンに配置され得ることを意味する。
プロセッサ手段13は、m次元空間におけるデータ集合yi(Y1…Ym)を生成するために、データ集合xi(X1…Xn)において、選択された変換Tn→mを実行する。
【0052】
この関数変換Tn→mは、線形又は非線形であり、関数変換:
F:Rn→Rm
x→y(yi=fi(X1…Xn)、0<i≦m)
[式中、xは、xi(X1…Xn)でも示される最初のn次元測定ベクトルであり、yは、正規化m次元複合ベクトル空間における要素yi(Y1…Ym)を示す画像ベクトルである]によって、n次元測定ベクトル(n>3)をm次元複合ベクトル(<n)に変換することにある。
【0053】
有利には、関数fiは、
fi(x)=(Ai.x+bi)/(Ci.x+di)
[式中、Ai(それぞれCi)は、m行及びn列を含む行列A(それぞれC)のi番目の行であり、bi(それぞれdi)は、次元mを有するベクトルB(それぞれD)のi番目の要素である]の形である。
【0054】
従って、前記変換は、2つの行列A及びC並びに2つのベクトルB及びDを特徴とする。行列Cがゼロであり、且つDの要素の全てがゼロでない場合、その状態は線形である。
他の種類の記憶された変換は、有利には、同じ細胞に関連づけられた2つのパラメータを乗算することを可能にし、前記目的は、前記目的を達成するために必要な最低値に複合空間の次元数mを減少させることである。
【0055】
従って、区別すべき細胞クラスは、互いに別の複数の組み合わせの形でm次元空間において配置される。
次いで、識別フィルタを選択するための手段14は、進行中のステップのためのフィルタAを選択することができる。各ステップが、選択フィルタ−クラスの部分集合−、変換、及び複合空間におけるm−タプルをクラスの部分集合に再分類する識別フィルタによって定義されることを理解するべきである。前記選択は、手動であってよく、使用者によって実施されてよく、又は前もってプログラムされてよく、従って自動であってよい。次いで、プロセッサ手段15において、これらのフィルタAが、幾つかの異なる集団の細胞の間の最高の識別を可能にする組み合わせを観察するために使用される。次いで、m次元空間において一定の回数の細胞識別を実施する。各ステップについて、フィルタの選択を、事前に実行された変換Tn→mの選択と関連づける。同じ変換によって1つ以上のフィルタを使用してよい。同様に、2つの異なる変換の後に同じフィルタを使用してよい。
【0056】
同じフィルタ及び変換が、選択された異なるn−タプルの部分集合に作用してもよい。
n−タプル(又は1つのクラスがn−タプルと適切に関連づけられてからのn+1−タプル)の部分集合の選択、変換の選択及び適用、並びに1つ以上(複数の)フィルタの選択及び適用によって形成された集合は、本発明により使用される識別アルゴリズムにおけるステップを構成する。各々がn−タプル、変換、及び少なくとも1つのフィルタの選択を用いるステップの集合は、終了時に細胞の全てが区別すべきクラスの内の1つと関連づけられる適切な識別アルゴリズムを構成する。
【0057】
好都合には、集団補正ステップを反復する原理が実施され得る。第1の最初の分類は、所定のゾーンを選択するための手法によって実施される。
例証を示す例において、各ステップは、次元m=1を有する空間への各測定ベクトルの変換を使用し;次いで、各測定ベクトルを単一の値に減少させる。次いで、クラスの部分集合のための識別用フィルタが適用される。選択されたベクトルの部分集合に属する最初の分類を有するベクトルだけが検討される。
【0058】
好都合には、分離又は再分類の境界は、事前に設定され、従って、事前に確立された統計学的基準を使用してヒストグラムによって記憶されるか、又は決定される。
各種のステップにおいて、適切な変換、フィルタ及びクラス結果が使用されるが、これらの操作は、共に本発明において定義される通りの識別アルゴリズムを定義する。
【0059】
当該のアルゴリズムのステップが適用されると、制御モジュール16は、意図されたステップの全てが実施されたかどうかを確認する。これがそうでない場合、別のアルゴリズムステップが実行される。これがそうである場合、n−タプルの集合がプロセッサ手段17に送られる。
【0060】
識別によって実施される分類は、区別すべき各細胞クラスCkに、図式による異なる区別COLk、例えば点の色又は点の形状を関連づける。これは、n次元空間における点集合xi(X1…Xn,COLk)に対応するm次元空間における点集合yi(Y1…Ym,COLk)を生成する。
【0061】
最後に、これらのプロセッサ手段17は、点集合xi(X1…Xn,COLk)を2次元空間又は3次元空間における複合ベクトル集合Ei(Z1、Z2,COLk)に変更するために変換Tn→1、Tn→2又はTn→3を適用する。次いで、結果は、色付きの平面又は3次元の組み合わせへの細胞クラスの分布である。変換Tn→1、Tn→2又はTn→3は、生体液体が正常血液の平均特性を有する場合、点の雲が、1次元についてヒストグラムを示すためにチャネル密度を利用することが可能である平面方法におけるか、又は動的3D空間を用いるかのいずれかによって点Ei(Z1、Z2,COLk)が表示手
段19上に表示される際にほとんど又は全く重複部分を有さないようなものである。これは、一般に使用される直交2次元投影による場合ではない。
【0062】
m次元空間への変換、その後の2次元空間への変換は、回答すべき質問:例えば、血液は正常か?又は血液は所定の病状か?等を顧慮して選択されるため、スクリーン上のこの2次元表示は、使用者が非常に速やかに情報を得ることを可能にする。
【0063】
本発明の本質的な点は、本発明の装置のメモリにおいて本発明に従って記憶される複数の変換が、想定される各質問に対してより適切な行列を生成することを可能にするということである。
【0064】
一般に、本発明において、本発明による4つの物理的パラメータX1、X2、X3、X4の2次元表示を得るために3つのステップが必要である。
任意のクラスとの従来の関連づけに加えて、第1ステップ1は、X1、X2、X3及びX4の測定値の関数としての座標Y1、Y2及びY3、並びに測定構成及び取得システムの較正に依存する3つの定数を、各細胞について得るために、各細胞に関連づけられたn−タプルを構成する測定データX1、X2、X3、X4の変換を適用することにある。
【0065】
次に、第2ステップ2において、フィルタが適用され、表示すべきクラスに属する点の部分集合が選択される。
第3ステップは、n−タプルの変換を、1、2又は3次元空間、ここでは表示のための2次元空間に適用することにある。次いで、これらの点の各々について、ここで示されたEi、2つの座標Z1及びZ2が、例えば分類によって決定されるクラスCkに対応する色COLkを有する各細胞に関連づけられる。
【0066】
図2は、2次元空間におけるかかる変換の結果の3つの例を示すが、これは、細胞クラスが分析要件の関数として具体的に視覚化され得ることを意味する。図2Aは、これらの表示の内の1つであって、以下に記載される。図2Bは、細胞系の成熟状態の選択的視覚化のための別の変換に対応するものであって、以下においても記載される。図2Cは、リンパ球系の病状、特に慢性リンパ性白血病(CLL)の選択的視覚化を示す。
【0067】
本発明の一実施形態において、前記利用可能な変換が、有利には、連続的に同じ点集合xi(X1…Xn)において使用される。
従って、第1変換は、基本的質問:血液は正常か否か?に対して回答することが可能である。
【0068】
点の雲が別々のものではないと使用者が観察する場合、技術的課題又は病状がある可能性がある。同時に、使用者は、各細胞クラスの細胞の列挙、並びにそれらの相対比率にアクセスする。
【0069】
更に、例えば異なる色で染色された細胞クラスが、得られた最終的表示において重複する場合であっても、血液に関する決定に至ることが可能である。前記分類は、2Dにおいて表示されるものでない空間において、異なる変換を使用して実施された。従って、細胞集団が視覚化平面において相互に投影される場合であっても、前記分離は正確であり得る。
【0070】
興味深いことには、表示を単純化するため又は一定の特定の特性を示すために分析と密接な関係がない一定の細胞クラスをマスクすることを決めることが可能である。
このような状況下で、又は比率若しくは列挙の値が正常でない場合、又は特定の警報が上記のアルゴリズムによって起動された場合、前記方法は、例えば特定の病状又は患者の
特定の年齢に対応する特定の分類に関連づけられた変換によって再開され得る。
【0071】
新規の変換は、用いられる第1変換のために適切なものと同様であってよい、又は異なってよいm次元空間における点集合を生成する。特定の分類に対応するこの変換において、更に詳細に見るべき細胞の集団は同様であるか、又は更に一般的にいえば、それらは第1変換の間に分類されるものとは異なる。
【0072】
前記変換は、結果の最高の可能な表示が、所望の情報へのアクセスを提供することにとって好ましい角度から得られることを可能にする線形計算及び/又は非線形計算を含む。この角度は、取得された生データから示される病状に関連づけられる。
【0073】
本発明はまた、対話型検査手段を使用することもできる。
従って、上で示されるように、次元m=3を有する複合空間における変換が使用される。変換Tn→m及びフィルタ部分集合は、例えば、細胞系、病状の系統又は他のものの観察に適合させられる。
【0074】
次いで、亜変種における投影によって異形を観察するために、及び/又は測定ベクトルを再分類するために、回転、アフィン変換等を含む従来の3D幾何学的要素を2次変換として用いることができる。変換Tn→mが線形である場合、新規の変換T’を生成するために、これらの2次変換を1次変換Tn→mと集計することが容易である。
【0075】
従って、本実施形態において、4つの物理的測定値は、4つの物理的パラメータ:X1、X2、X3、X4(それぞれ、小角回折、90°の拡散、試薬としてのチアゾールオレンジによる蛍光経路、及び抵抗率に対応する)の形で血液分析器から得られる。
【0076】
各細胞について利用可能な測定値がパラメータX1、X2、X3、X4である4D測定空間を複合2D空間に変更するために使用され得る、図2Aに示される通りのかかる変換の例は、以下の式:
Y1=C11.X1+C12.X2+C13.X3+C14.X4+C15
Y2=C21.X1+C22.X2+C23.X3+C24.X4+C25
によって定義される。
【0077】
この変換は、正常血液の集団の全てを視覚化することを可能にし、多くのリンパ球系の病状を検出することを可能にする。定数C1i及びC2iは、分析器の特性、特に光学台の特性の関数として定義される。
【0078】
例としては,C11=0.1431,C12=0.1496,C13=−0.8895,C14=−0.1261,C15=4155,C21=−0.3713,C22=0.0279,C23=−0.0877,C24=0.7925及びC25=682.8である。
【0079】
図5は、上で開示される通りの変換により正常型血液及び病的血液において観察される各種集団を、2次元の面の形で示す。
本発明によって、好塩基球を含む5つの白血球集団を視覚化することが可能になる。これらの図に示される表示の種類は、病的又は非病的血液試料の関数として、本発明による各種白血球集団の配置についての知識を与える例である。
【0080】
図4Aは、正常血液に対応する。図4Bは、毛様細胞性白血病を示す血液に対応する。図4Cは、骨髄腫を示す血液に対応する。図4Dは、セザリー症候群を示す血液に対応する。図4E及び4Fは、ALL(急性リンパ性白血病)型のB2白血球の白血病を示す血
液に対応する。図4Gは、バーキットALL/B3 ALL白血病を示す血液に対応する。図4Hは、T ALLを示す血液に対応する。図4Iは、AML(急性骨髄性白血病)の白血病を示す血液に対応する。図4Jは,CLL(慢性リンパ性白血病)の病状を示す血液に対応する。
【0081】
他の例において、かかる変換の結果は、図2Bに示されるもの等の表示である。
従って、提案される例において、因子についての値は、
【0082】
【数1】
である。
【0083】
第2ステップ2は、この例における回転角が、(2048、2048、2048)に位置する中心について130°、51°及び209°であるような平行移動を含む図式による変換と回転行列(オイラー行列)とから成る。
【0084】
従って、以下の式が得られる。
Y’1=[0.1161*(Y1−2048)−0.91899*(Y2−2048)−0.37677(Y3−2048)]+2048
Y’2=[−0.92118*(Y1−2048)−0.24152*(Y2−2048)+0.30510(Y3−2048)]+2048
Y’3=[−0.37138*(Y1−2048)+0.31163*(Y2−2048)−0.87461(Y3−2048)]+2048
第3ステップ3は、
Y”1=Y’1*3−10500
Y”2=Y’2
のように、4096×4096のグラフィック表示における細胞の系統の視覚化を最適化するために図式による適合から成る。
【0085】
従って、ステップの集合が統合される最終式は、
Y(1=540.6*(4095−X1)/(1+X3)−275.7*(4095−X2)/(1+X4)−113.04*(4095−X1)/(1+X2)+2892;及び
Y(2=−1429*(4095−X1)/(1+X3)−24.15*(4095−X
2)/(1+X4)+30.51*(4095−X1)/(1+X2)+3805
である。
【0086】
X及びYが、0〜4095の範囲内にあることが示されるために、飽和限界:
X<0の場合、X=0
X>4095の場合、X=4095
Y<0の場合、Y=0
Y>4095の場合、Y=4095
を加えることができる。
【0087】
この行列形式において得られる細胞クラスの表示は、全血試料中に存在する白血球部分母集団の全てを一度に考察することを可能にする。前記部分母集団は、可視であり、且つ十分に分離され、異常血液を除いて各種集団の間に少しの重複部分しかない。図2Bにおいて得られた表示において、横座標軸及び縦座標軸は、明確な方向を有さない。対照的に、行列における集団の配置は大きい。
【0088】
上で示される式によって、細胞クラスの2次元空間上の位置は、最も未成熟な細胞により開始し、成熟細胞がそれに続いて垂直(縦座標軸)に順序づけられ;水平方向(横軸)において、それは、単核構造を有する細胞と多核構造を有するものとに分かれる。
【0089】
この表示は、幹細胞から開始する血液細胞についての分類樹形図に似ている。それによって、医師又は生物学者は、各種の白血球亜集団の、より簡単で且つより直接的な解釈を行うことが可能になる。
【0090】
図3は、上記の2次元の行列において観察されると考えられる白血球の各種集団を配置することが可能な異なるゾーンの図示である。スクリーン上に集団が存在するか、又はそうでないかは、正常又は異常/病的と分析される血液に依存する。
【0091】
最後に、種々の実施形態が本発明の原理の範囲内において包含されることに注意するべきである。特に、本発明は、組み合わせの集合の形で白血球集団の種々の形式の表示にアクセスすることができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体液体の分析の一般的分野に関し、より具体的、生体液体の分析用自動化装置の分野に関する。
より正確には、本発明は、生体液体の分析装置からのもの等の加工データによる列挙及び識別によって細胞集団を分類する方法を提供する。かかる方法は、自動分析装置において使用されることが意図される。
【背景技術】
【0002】
細胞規模又は細胞より小さい規模で多数の構造を分析することの可能性は、薬物研究のためであるにせよ、診断道具としてのものであるにせよ、基礎研究にとってかなりの関心事である。多数の生体細胞の系統分析は、生物に統計量を介して利用可能であること、即ち、1つ以上の細胞の性質が多数の細胞で研究されることを意味する。
【0003】
フローサイトメトリーは、細胞が数百又は数千の細胞の試料で一つずつ研究されることから、細胞集団の統計学的研究に適合する手法である。
より一般には「分子プローブ」として知られる染料又は蛍光剤を導入することによって一般に実施される適切な細胞調製によって、それらの細胞に関する情報は、生物学者に利用可能となる。特に、これは、細胞内含量、例えば、DNA、RNA、タンパク質、イオン種又はヘモグロビンの含量の決定に関する。表面抗原原理に基づく抗体及び発光団に関連する分子プローブの使用は、細胞膜の表面上に位置する特定の機能が明らかにされ得ることを意味する。
【0004】
フローサイトメトリーの原理は、以下の通りである。分析すべき顕微鏡対象物が、液体経路に沿って光ビーム(一般にレーザ)の集束点に輸送される。検出器は、光と粒子との間の相互作用信号を回収するために特定の観察軸に沿って配置される。
【0005】
入射レーザビームの軸の近くに配置される第1検出器は、小角度で回折を測定するが、一般に、それは、低空間周波数に対して、即ち粒子の体積及びその屈折率に対して感度があるように寸法が決められる。その粒子と相互作用しなかった直接的なレーザビームは、マスクによってブロックされる。
【0006】
他の検出器は、入射ビームの軸に対して90°で配置され得る。検出される光は、蛍光又は回折光に対応する1つ以上の分光成分に分析される。
また、当業者に周知である電子ゲート原理を使用する抵抗率の測定等の電気測定も行われる。その手法は、例えば非特許文献1に詳述されている。
【0007】
原則として、電子ゲートは、各生体細胞を、非常に小さいオリフィスに通過させることにある。定電流は、粒子がオリフィスを通過することによって誘起される電気抵抗の変化によって調節される強さで、オリフィスを通過する。その信号は、細胞の体積にほぼ比例する。特許文献1によれば、電子ゲートに交流を供給することも可能である。
【0008】
血液分析器はまた、測定細胞を通過する粒子の吸光度を測定するための光チャネルを含む。
血液分析器の目的は、例えば、血液試料中に存在する各種細胞を計数し、それらの細胞を区別し、従って全試料に対する細胞の各クラスの割合を決定できることである。
【0009】
大多数の場合において、全血に対して作動し、且つ細胞集団の列挙及び区別のための細
胞計数器からの測定値の解釈は、2次元の行列の形におけるグラフィック表示を必要とする。
【0010】
このために、表示される集団は、光学的若しくは電気的のいずれか又は両方である2つの物理的パラメータによって識別される。具体的には、HORIBA ABX機器(5DIFF分析)における白血球亜集団の標準的表示であるLMNE行列で、使用される2つの測定値は吸光度及び抵抗率である。行列がLMNE行列と呼ばれる理由は、それが、一般に血液中に存在するリンパ球、単球、好中球及び好酸球、即ち白血球の集団の区別及び列挙を可能にするためである。
【0011】
かかる表示は、大部分の白血球集団が可視化され得ることを意味するが、このグラフィック可視化は、分析器から得られる2つの物理的パラメータを考慮するだけである。
新世代の分析器では、例えば、順方向散乱(FSC)としても知られる小角回折、側方散乱(SSC)としても知られる90°の拡散、FL1で示される試薬としてのチアゾールオレンジによる蛍光経路、最後に、RESで示される抵抗率等の、より多くの物理的パラメータを得ることが可能である。例えば、試薬として蛍光色素によって標識された抗体による他の蛍光を想定することも可能である。
【0012】
現在、1個の細胞又は粒子につき3つ以上の変数を測定する場合、2次元スクリーン上における視覚化は、2つの変数を選択することにより従来行われている。従って、それは、かかる2つの変数の平面に直交する投影を作成することからなる。
【0013】
しかし、観察される要素と利用可能な測定値とによって、かかる直角投影は必ずしも要素のクラスの視覚化及び自動識別に適切であるとは限らない。
Abbottによって出願された特許文献2は、データの3次元空間への投影を提案しており、これはヘモグロビンの濃度、成熟度、試料の赤血球の形状を決定するためのMieのモデルに基づくものである。
【0014】
Becton Dickinson & Coの特許文献3は、集団を区別するために密度に基づいて2次元のヒストグラムを生成する。
Sysmex Corpの特許文献4には、区別すべき細胞の特性の分散及び共分散に基づく行列の使用が記載されている。前記処理は、分類を行うために2次元のヒストグラムを用いる。
【0015】
Dako Cytomationの特許文献5には、線形データ処理によって2種類の粒子をリアルタイムに選別することが記載されている。
従って、上述の文献のいずれにも、1個の細胞につき利用可能な大量のデータを処理することができ、且つ細胞の少なくとも3つのクラスへの自動分類を実施することが可能な方法又は装置は記載されていない。更に、前記文献のいずれにも、それらの細胞の区別及び列挙による、試料中に存在する細胞クラスの全ての単一スクリーン上の視覚化を生じ得る処理は記載されていない。また、記載されている方法を、例えば、特定の細胞クラスの一定の異常細胞を単離するために使用することもできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第4791355号
【特許文献2】米国特許第6630990号“Optical method and apparatus for red blood cell differentiation on a cell−by−cell basis,and simultaneous analysis of white blood cell differentiation”
【特許文献3】米国特許第6944338号“System for identifying clusters in scatter plots using smoothed polygons with optimal boundaries”
【特許文献4】米国特許第6662117号“Particle analyzer and particle classifying method”
【特許文献5】国際特許出願第WO2006/015056号 “ENHANCING FLOW CYTOMETRY DISCRIMINATION WITH GEOMETRIC TRANSFORMATION”
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Volker Kachelによる論文:“Electrical Resistance Pulse Sizing:Coulter Sizing”in Flow Cytometry and Sorting,Second Edition,1990,Wiley−Liss,Inc Editor,p45−80
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従って、本発明の主な目的は、自動化生体液体分析機械の使用方法であって、前記液体中における細胞を検出することができ、且つ各々の検出された細胞について測定された少なくとも4つの物理的パラメータを含むn−タプル(n>3)を決定することができる方法を提案することによってかかる短所を克服することであり、前記方法は、識別及び列挙によって、細胞クラスの少なくとも1つの集合への分類を実施することと、更にそれらを表示することとの両方のために意図され、前記分類及び表示は、有利には、病理学的徴候の検出に適合させられ、且つ以下のステップ:
a)最初に、複数のn−タプルをm−タプル(m<n)に変換するための複数の数学的変換Tを記憶するステップであって、各変換を、所定の集合の細胞クラスの中のn−タプルの要素の特定の分類と関連づけ、且つ前記細胞クラスを構成する細胞についての統計学的知識の関数として決定し、平均統計学的特性を示す生体液体の細胞クラスがm次元複合空間の異なるゾーン内に配置されることを可能にし、複数の記憶された変換が、有利には、病状を示す際に使用のための特定の識別に適切である細胞クラスの各種配置を得ることを可能にする、ステップ;
b)最初に、少なくとも2つの細胞クラスへの識別及び再分類のための複数のフィルタを記憶して、少なくとも2つの細胞クラスからのm−タプルがm次元複合空間において区別されることを可能にするステップ;
c)最初に、表示のために、正常な生体液体の細胞クラスを構成する細胞についての統計学的知識の関数として決定される3−タプル、2−タプル又は1−タプルへの複数のn−タプルの少なくとも1つの変換を記憶するステップであって、平均統計学的特性を示す生体液体の細胞クラスが3次元の空間又は2次元の面又は1次元の軸の異なるゾーン内に配置されることを可能にする、ステップ;
d)生体液体の分析の結果として複数のn−タプルを受信するステップ;
e)受信されたn−タプルに第1の任意の分類を関連づけるステップ;
f)それらのクラスの関数としてn−タプルの部分集合を選択するステップ;
g)m−タプルへの変換Tを選択し、それを、選択されたn−タプルに適用するステップ;
h)識別フィルタを選択し、それをm−タプルに適用するステップであって、n−タプルのクラスを更新することを含むステップ;
i)n−タプルの部分集合及び/又はその異なる変換及び/又はその異なるフィルタを選択することによってステップf)、g)及びh)を反復するステップであって、各反復が、識別アルゴリズムにおけるステップを定義し、前記アルゴリズムが、変換及びフィルタ
の一連の適用によって定義され、前記系列が、有利には所望の徴候の関数として適合させられる、ステップ;
j)n−タプルの部分集合を、それらのクラスの関数としてのm−タプルとして表示されるように選択するステップ;
k)特定の表示タグをn−タプルに、それらのクラスの関数として適用するステップ;
l)選択されたn−タプルに、3−タプル、2−タプル又は1−タプルへの変換を適用するステップ;及び
m)スクリーン上、又は他のディスプレイ媒体上に、3−タプル、2−タプル又は1−タプルへの変換の結果を表示するステップであって、各区別された細胞クラスが、タグを有する動的な2次元、3次元又は1次元の点の雲によって示される、ステップ
を含む。
【課題を解決するための手段】
【0019】
「ディスプレイ媒体」という用語は、それが装置の構成要素であるか、それから遠隔にあるかどうかにかかわりなく、コンピュータスクリーン、紙媒体又は他の視覚的表示手段を意味する。
【0020】
「タグ」という用語は、異なるクラス又は細胞クラスに対応するn−タプルを視覚的に分離することができる色、アイコン又は他の図式の(グラフィックの)要素を意味する。「動的3D空間」という用語は、幾つかの角度からスクリーン上においてそれを観察することができるように回転させることが可能なスクリーン上に、従って2次元において表示される3D空間を意味する。
【0021】
ステップf)〜h)の反復は、「分類」アルゴリズムのマルチステップシーケンスに対応し、これらのステップの各々は、検討対象のクラスの集合に関し、少なくとも2つのクラスへの観察要素の識別及び再分類のための複合空間及びフィルタを定義する少なくとも1つの変換を含む。アルゴリズムの各ステップ(区別すべき細胞クラスの各ペアについて1つ)は、対応するn−タプルの形において各選択粒子のクラスを更新する。
【0022】
本発明の方法は、分析器において測定される物理的パラメータ、例えば以下のパラメータ:FSC、SSC、FL1、RESの全てを組み込むことによってより厳密な識別結果を提供する。特に、従来、前記補償は、所定の蛍光の強度から他の蛍光の影響を差し引くことを可能にする。従来、これは、蛍光のためにだけ使用される。
【0023】
本発明の方法は、関心の対象である集団のより良好な識別を得るために、信号率が引き出されるか、又はアルゴリズム的に加えられることを可能にする。特に、この特性は、形態学的測定値(SSC、FSC、RES等)の結果に適用され得る。
【0024】
本発明は、2次元の行列の形における白血球の部分母集団のより良好な表示を可能にする。2次元の表示に加えて、本発明は、細胞、核及び細胞原形質を、それらを細胞クラスに分類することが可能であるために、細胞集団の全てが互いに異なるという保証によってそれらの成熟とそれらの物理学的性質との関数として同定し;更に、重複する現象は、特に病状がない場合に小さい。これにより、当業者による解釈が容易になる。
【0025】
本発明の方法によって、n入力変数は、m次元複合空間を作成するために融合される。次いで、この空間において、必要な場合、適切な回転を実施した後、示すべきもののために適切な2次元の投影を生成することが可能である。次いで、とりわけズーム機能又はオフセット機能を使用して関心の対象のゾーンを成形することが可能である。複合空間及び成形は、投影における視覚化、又は分類により影響される要素のクラスの自動区別に適合させられる。識別は、ヒストグラムにおけるピーク及び谷を調べることによって実施され
得る。
【0026】
本発明の方法は、白血球の自動分類用アルゴリズムを開発することを既に可能にしており、例えばリンパ球の幾つかの亜集団の検出に鑑みて、全ての白血球クラスのための、又は一定の細胞の特徴のための高性能の視覚化手段を提供した。
【0027】
本発明は、上で定義された分散/共分散行列に基づいた、関係する細胞クラスの物理的パラメータに関する統計量を使用する。記憶された変換は、線形又は非線形である。
本発明の特定の特徴によれば、物理的パラメータは、値RES、FSC、FL1及びSSCである。
【0028】
「値」という用語は、RES、FSC、FL1又はSSCチャネル上のパルスの最大高さを意味する。
有利な本発明の特徴に従って、線形又は非線形であってよい関数変換Tn→mが適用されるが、それは、以下の:
F:Rn→Rm
X→Y(yi=fi(X)、0<i≦m)
[式中、xは、xi(X1…Xn)でも示される最初のn次元測定ベクトルであり、yは、正規化m次元複合ベクトル空間における要素yi(Y1…Ym)を示す画像ベクトルである]ようにn次元測定ベクトル(n≧3)をm次元複合ベクトル(m<n)に変換することにある。
【0029】
有利には、関数fiは
fi(X)=(Ai.X+bi)/(Ci.X+di)
[式中、Ai(それぞれCi)は、m行及びn列を含む行列A(それぞれC)のi番目の行であり、bi(それぞれdi)は、m次元ベクトルB(それぞれD)のi番目の要素である]の形である。
【0030】
従って、前記変換は、これらの2つの行列A及びC並びにこれらの2つのベクトルB及びDを特徴とする。行列Cがゼロであり、且つDの要素の全てがゼロでない場合、その状態は線形である。
【0031】
この特徴は、行列A及びC並びにベクトルB及びDにおける因子の全てが、正常生体液体において観察される細胞クラスについての統計学的知識を用いて決定されるならば、各種の細胞クラスが複合空間における異なるゾーンに分散されることが確保されることを意味する。
【0032】
従って、m次元空間における変換は、正常血液が存在する場合、各種の細胞クラスの点の雲が異なるゾーンに位置するようなものである。従って、例えば病状の間に生物学的液体組成が正常でなくなるやいなや、異なる及び/又は定義されたゾーンへの分布は起こらず、生物学的疾患を強調することができることは、容易に理解され得る。
【0033】
本発明の特定の特徴に従って、1つの特定の変換の適用後に1つの特定のフィルタの適用により、識別を改良するために反復され得る。
特に、かかる反復は、前記反復された変換以外の基準に従って1回以上の識別を行うことを可能にする他の異なる変換により、有利には実施される。
【0034】
本発明の有利な特徴に従って、使用される変換の系列は、病状を発現する所定の集合の細胞クラスの特定の分類と関連づけられ、前記系列は、前記細胞クラスを構成する細胞についての統計学的知識の関数として決定され、病状の平均統計学的特性を有する生体液体
の細胞クラスがm次元複合空間の異なるゾーン内に配置されることを可能にし、「病状」の変換は、正常生体液体が、特定の病状を有する生体液体から区別され得ることを意味する。
【0035】
本発明の特定の特徴に従って、ステップf)及びg)において使用される変換及び2次元又は3次元空間における変換の系列は、細胞クラスが成熟度によって分類されるようなものである。
【0036】
これは、スクリーンを一見した際に細胞の異常分解の存在又は生体液体中に存在する細胞の成熟度の異常に気づくことができることを意味する。
本発明はまた、識別及び列挙によって3つの細胞クラスの少なくとも1つの集合に分類するための装置をも提供するものであって、前記装置が、前記液体中における細胞を検出することができ、且つ各々の検出された細胞についての少なくとも4つの物理的パラメータ(n>3)を含むn−タプルを決定することが可能な自動化生体液体分析機械に接続するためのものであって、前記装置は、
・メモリであって、
○複数のn−タプルをm−タプルに変換する(m<n)ための複数の数学的変換Tであって、所定の集合の細胞クラスの特定の分類と関連づけられ、且つ前記細胞クラスを構成する細胞についての統計学的知識の関数として決定される各変換が、平均統計学的特性を示す生体液体の細胞クラスがm次元複合空間の異なるゾーン内に配置されることを可能にする、数学的変換T;
○所定の集合の各細胞クラスのm−タプルがm次元複合空間において区別されることを可能にする複数の識別フィルタ;
○正常な生体液体の細胞クラスを構成する細胞についての統計学的知識の関数として決定される3−タプル、2−タプル又は1−タプルへの複数のn−タプルの少なくとも1つの変換であって、平均統計学的特性を示す生体液体の細胞クラスが3次元の空間又は2次元の面又は1次元の軸の異なるゾーン内に配置されることを可能にする変換;
を記憶するためのメモリと;
・生体液体の分析から得られた複数のn−タプルを受信するための手段と;
・各n−タプルに第1の任意の分類を関連づけるための手段と;
・それらのクラスの関数としてn−タプルの部分集合を選択するための手段と;
・複数の変換から少なくとも1つの変換Tを選択し、複数の識別フィルタから少なくとも1つの識別フィルタを選択するための手段と;
・選択されたn−タプルに少なくとも選択された変換Tと識別フィルタとを適用するためのデータプロセッサ手段と;
・それらのクラスの関数としてm−タプルに特定のタグを関連づけるためのデータプロセッサ手段と;
・複数のn−タプルの変換を3−タプル、2−タプル又は1−タプルに適用するためのデータプロセッサ手段と;
・スクリーン上に3−タプル、2−タプル又は1−タプルへの変換の結果を表示するための手段と
を含む。
【0037】
好ましい実施形態によれば、本発明の方法の各種ステップは、コンピュータプログラムの命令によって決定される。
その結果、本発明はまた、情報媒体上のコンピュータプログラムをも提供するものであって、前記プログラムは、コンピュータ、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)等のプロセッシングハードウェア、又は他の種類のプログラム可能な電子機器において実行され得、前記プログラムは、本発明の方法のステップを実行するために適合された命令を含む。
【0038】
プログラムは、任意のプログラム言語を使用してよく、ソースコード、機械コード、又はソースコードと機械コードとの間のコードの中間物の形、例えば、部分的にコンパイルされた形、又は他の所望の形であってよい。
【0039】
本発明はまた、上記の通りのコンピュータプログラムのための命令を含むコンピュータ可読のデータ媒体をも提供する。
前記データ媒体は、プログラムを記憶することが可能な任意の構成要素又は装置であってよい。一例として、前記媒体は、記憶手段、例えば、リードオンリーメモリ(ROM)、例えばコンパクトディスク(CD)、又は場合により再書き込み可能であってよいデジタルビデオディスク(DVD)等、又は超小形電子回路ROM、又は磁気記録手段、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク又は不揮発性メモリ(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USBキー等)等のフラッシュメモリ)を含んでよい。
【0040】
更に、情報担体は、無線又は他の手段によって電気ケーブル又は光ケーブルを介して送ることができる電気信号や光学信号等の伝送媒体であってよい。本発明のプログラムは、特にインターネット型ネットワークを通じてダウンロードされ得る。
【0041】
或いは、前記データ媒体は、プログラムが組み込まれる集積回路であってよく、前記回路は、当該の方法を実行するために、又は当該の方法を実行する際に使用されるために適合させられる。
【0042】
本発明の他の特徴及び利点は、実施形態を示すが、事実上いかなる形であれ限定的ではない添付の図面を参照して、以下で為される記載から明らかとなる。前記図面においては、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の装置の略図。
【図2】(a)−(c)正常血液について本発明の方法を使用して得られた結果を示す。
【図3】区画の形をした、図2bの集団の予想位置を示す。
【図4】(a)−(j)正常血液(4a)及び病的血液(4b〜4j)について本発明の方法を使用して得られた結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、本発明を実施するための装置の略図である。この装置は、1個の検出細胞xiにつきn個の物理的パラメータX1〜Xn(n>3)を決定するために使用され得る生体液体分析器1からのデータを受信する受信手段9を含む。これらのn個のパラメータは、n−タプル又は測定ベクトルxi(X1…Xn)を定義する。
【0045】
上記分析器は、有利にはフローサイトメータであり、少なくとも4つのパラメータ、例えば、即ち、下記のX1=FSCで示される小角回折、X2=SSCで示される90°の拡散、X3=FL1で示される少なくとも1つの蛍光経路、およびX4=RESで示される抵抗率を供給する。記載される特定の例において、細胞内の核酸と結合するチアゾールオレンジが、有核細胞(この例においては特に白血球)を示すために使用される。
【0046】
任意のクラス属性手段10の中において、これらのパラメータについての知識は、任意のクラスがn−タプルの各々に帰属し得ることを示す。しかし、使用される変換が、各n−タプルに関連づけられたクラスCiを修正しないことから、我々は、m次元空間へのn次元空間の変換について以下で言及し、n−タプルについての言及を継続する。
【0047】
記載される例において、前記装置は、ステップCsiにおいて使用される入力クラスと称されるクラスの部分集合に属するn−タプルの群を選択するための手段11を含む。
前記装置は、受信データxi(X1…Xn,Csi)の集合が、厳密にn個未満の複数の次元を有する空間への変換Tによって変換されることを可能にするソフトウェア要素を記憶するメモリ18を含み、提供される例において、ステップCdiは、出力細胞クラスの部分集合を区別するためにフィルタAを利用する。
【0048】
前記装置はまた、m次元空間における組み合わせへのn次元空間におけるデータの組み合わせの変換Tn→mを選択するための手段12をも含む。本発明によれば、各変換は、所定の集合の細胞クラスの1つ以上の特定の分類と関連づけられ得、これらの細胞クラスに対応する細胞集団を構成する細胞についての統計学的知識の関数として決定され得る。
【0049】
「特定の分類」という用語は、検出細胞が分類される細胞クラスの任意の集合を意味する。これらの分類は、分析の目的の関数として異なる。
単純な血液分析の間、第1の目的は、分析された血液の組成が正常範囲内であるかどうかを見分けることである。本発明は、正常血液について区別すべき細胞クラスを分離することによってこの情報へのアクセスを提供することが可能であり、それはまた、スクリーン上に表示される際にそれらを視覚化することを可能にする。
【0050】
別の目的は、病的血液の典型的な特徴を確認することである。特定の病状のためのかかる血液の典型的な要素は、統計学的方法において知られ、関連づけられた変換Tn→mは、スクリーン上に表示される際に対応する細胞クラスを分離することを可能にする。更に、得られた計算は、研究下の血液の病的条件に関する結果を提供することができる。
【0051】
従って、各変換は、平均統計学的特性を示す生体液体の所望の特定の分類の細胞クラスがm次元複合空間の異なるゾーンに配置され得ることを意味する。
プロセッサ手段13は、m次元空間におけるデータ集合yi(Y1…Ym)を生成するために、データ集合xi(X1…Xn)において、選択された変換Tn→mを実行する。
【0052】
この関数変換Tn→mは、線形又は非線形であり、関数変換:
F:Rn→Rm
x→y(yi=fi(X1…Xn)、0<i≦m)
[式中、xは、xi(X1…Xn)でも示される最初のn次元測定ベクトルであり、yは、正規化m次元複合ベクトル空間における要素yi(Y1…Ym)を示す画像ベクトルである]によって、n次元測定ベクトル(n>3)をm次元複合ベクトル(<n)に変換することにある。
【0053】
有利には、関数fiは、
fi(x)=(Ai.x+bi)/(Ci.x+di)
[式中、Ai(それぞれCi)は、m行及びn列を含む行列A(それぞれC)のi番目の行であり、bi(それぞれdi)は、次元mを有するベクトルB(それぞれD)のi番目の要素である]の形である。
【0054】
従って、前記変換は、2つの行列A及びC並びに2つのベクトルB及びDを特徴とする。行列Cがゼロであり、且つDの要素の全てがゼロでない場合、その状態は線形である。
他の種類の記憶された変換は、有利には、同じ細胞に関連づけられた2つのパラメータを乗算することを可能にし、前記目的は、前記目的を達成するために必要な最低値に複合空間の次元数mを減少させることである。
【0055】
従って、区別すべき細胞クラスは、互いに別の複数の組み合わせの形でm次元空間において配置される。
次いで、識別フィルタを選択するための手段14は、進行中のステップのためのフィルタAを選択することができる。各ステップが、選択フィルタ−クラスの部分集合−、変換、及び複合空間におけるm−タプルをクラスの部分集合に再分類する識別フィルタによって定義されることを理解するべきである。前記選択は、手動であってよく、使用者によって実施されてよく、又は前もってプログラムされてよく、従って自動であってよい。次いで、プロセッサ手段15において、これらのフィルタAが、幾つかの異なる集団の細胞の間の最高の識別を可能にする組み合わせを観察するために使用される。次いで、m次元空間において一定の回数の細胞識別を実施する。各ステップについて、フィルタの選択を、事前に実行された変換Tn→mの選択と関連づける。同じ変換によって1つ以上のフィルタを使用してよい。同様に、2つの異なる変換の後に同じフィルタを使用してよい。
【0056】
同じフィルタ及び変換が、選択された異なるn−タプルの部分集合に作用してもよい。
n−タプル(又は1つのクラスがn−タプルと適切に関連づけられてからのn+1−タプル)の部分集合の選択、変換の選択及び適用、並びに1つ以上(複数の)フィルタの選択及び適用によって形成された集合は、本発明により使用される識別アルゴリズムにおけるステップを構成する。各々がn−タプル、変換、及び少なくとも1つのフィルタの選択を用いるステップの集合は、終了時に細胞の全てが区別すべきクラスの内の1つと関連づけられる適切な識別アルゴリズムを構成する。
【0057】
好都合には、集団補正ステップを反復する原理が実施され得る。第1の最初の分類は、所定のゾーンを選択するための手法によって実施される。
例証を示す例において、各ステップは、次元m=1を有する空間への各測定ベクトルの変換を使用し;次いで、各測定ベクトルを単一の値に減少させる。次いで、クラスの部分集合のための識別用フィルタが適用される。選択されたベクトルの部分集合に属する最初の分類を有するベクトルだけが検討される。
【0058】
好都合には、分離又は再分類の境界は、事前に設定され、従って、事前に確立された統計学的基準を使用してヒストグラムによって記憶されるか、又は決定される。
各種のステップにおいて、適切な変換、フィルタ及びクラス結果が使用されるが、これらの操作は、共に本発明において定義される通りの識別アルゴリズムを定義する。
【0059】
当該のアルゴリズムのステップが適用されると、制御モジュール16は、意図されたステップの全てが実施されたかどうかを確認する。これがそうでない場合、別のアルゴリズムステップが実行される。これがそうである場合、n−タプルの集合がプロセッサ手段17に送られる。
【0060】
識別によって実施される分類は、区別すべき各細胞クラスCkに、図式による異なる区別COLk、例えば点の色又は点の形状を関連づける。これは、n次元空間における点集合xi(X1…Xn,COLk)に対応するm次元空間における点集合yi(Y1…Ym,COLk)を生成する。
【0061】
最後に、これらのプロセッサ手段17は、点集合xi(X1…Xn,COLk)を2次元空間又は3次元空間における複合ベクトル集合Ei(Z1、Z2,COLk)に変更するために変換Tn→1、Tn→2又はTn→3を適用する。次いで、結果は、色付きの平面又は3次元の組み合わせへの細胞クラスの分布である。変換Tn→1、Tn→2又はTn→3は、生体液体が正常血液の平均特性を有する場合、点の雲が、1次元についてヒストグラムを示すためにチャネル密度を利用することが可能である平面方法におけるか、又は動的3D空間を用いるかのいずれかによって点Ei(Z1、Z2,COLk)が表示手
段19上に表示される際にほとんど又は全く重複部分を有さないようなものである。これは、一般に使用される直交2次元投影による場合ではない。
【0062】
m次元空間への変換、その後の2次元空間への変換は、回答すべき質問:例えば、血液は正常か?又は血液は所定の病状か?等を顧慮して選択されるため、スクリーン上のこの2次元表示は、使用者が非常に速やかに情報を得ることを可能にする。
【0063】
本発明の本質的な点は、本発明の装置のメモリにおいて本発明に従って記憶される複数の変換が、想定される各質問に対してより適切な行列を生成することを可能にするということである。
【0064】
一般に、本発明において、本発明による4つの物理的パラメータX1、X2、X3、X4の2次元表示を得るために3つのステップが必要である。
任意のクラスとの従来の関連づけに加えて、第1ステップ1は、X1、X2、X3及びX4の測定値の関数としての座標Y1、Y2及びY3、並びに測定構成及び取得システムの較正に依存する3つの定数を、各細胞について得るために、各細胞に関連づけられたn−タプルを構成する測定データX1、X2、X3、X4の変換を適用することにある。
【0065】
次に、第2ステップ2において、フィルタが適用され、表示すべきクラスに属する点の部分集合が選択される。
第3ステップは、n−タプルの変換を、1、2又は3次元空間、ここでは表示のための2次元空間に適用することにある。次いで、これらの点の各々について、ここで示されたEi、2つの座標Z1及びZ2が、例えば分類によって決定されるクラスCkに対応する色COLkを有する各細胞に関連づけられる。
【0066】
図2は、2次元空間におけるかかる変換の結果の3つの例を示すが、これは、細胞クラスが分析要件の関数として具体的に視覚化され得ることを意味する。図2Aは、これらの表示の内の1つであって、以下に記載される。図2Bは、細胞系の成熟状態の選択的視覚化のための別の変換に対応するものであって、以下においても記載される。図2Cは、リンパ球系の病状、特に慢性リンパ性白血病(CLL)の選択的視覚化を示す。
【0067】
本発明の一実施形態において、前記利用可能な変換が、有利には、連続的に同じ点集合xi(X1…Xn)において使用される。
従って、第1変換は、基本的質問:血液は正常か否か?に対して回答することが可能である。
【0068】
点の雲が別々のものではないと使用者が観察する場合、技術的課題又は病状がある可能性がある。同時に、使用者は、各細胞クラスの細胞の列挙、並びにそれらの相対比率にアクセスする。
【0069】
更に、例えば異なる色で染色された細胞クラスが、得られた最終的表示において重複する場合であっても、血液に関する決定に至ることが可能である。前記分類は、2Dにおいて表示されるものでない空間において、異なる変換を使用して実施された。従って、細胞集団が視覚化平面において相互に投影される場合であっても、前記分離は正確であり得る。
【0070】
興味深いことには、表示を単純化するため又は一定の特定の特性を示すために分析と密接な関係がない一定の細胞クラスをマスクすることを決めることが可能である。
このような状況下で、又は比率若しくは列挙の値が正常でない場合、又は特定の警報が上記のアルゴリズムによって起動された場合、前記方法は、例えば特定の病状又は患者の
特定の年齢に対応する特定の分類に関連づけられた変換によって再開され得る。
【0071】
新規の変換は、用いられる第1変換のために適切なものと同様であってよい、又は異なってよいm次元空間における点集合を生成する。特定の分類に対応するこの変換において、更に詳細に見るべき細胞の集団は同様であるか、又は更に一般的にいえば、それらは第1変換の間に分類されるものとは異なる。
【0072】
前記変換は、結果の最高の可能な表示が、所望の情報へのアクセスを提供することにとって好ましい角度から得られることを可能にする線形計算及び/又は非線形計算を含む。この角度は、取得された生データから示される病状に関連づけられる。
【0073】
本発明はまた、対話型検査手段を使用することもできる。
従って、上で示されるように、次元m=3を有する複合空間における変換が使用される。変換Tn→m及びフィルタ部分集合は、例えば、細胞系、病状の系統又は他のものの観察に適合させられる。
【0074】
次いで、亜変種における投影によって異形を観察するために、及び/又は測定ベクトルを再分類するために、回転、アフィン変換等を含む従来の3D幾何学的要素を2次変換として用いることができる。変換Tn→mが線形である場合、新規の変換T’を生成するために、これらの2次変換を1次変換Tn→mと集計することが容易である。
【0075】
従って、本実施形態において、4つの物理的測定値は、4つの物理的パラメータ:X1、X2、X3、X4(それぞれ、小角回折、90°の拡散、試薬としてのチアゾールオレンジによる蛍光経路、及び抵抗率に対応する)の形で血液分析器から得られる。
【0076】
各細胞について利用可能な測定値がパラメータX1、X2、X3、X4である4D測定空間を複合2D空間に変更するために使用され得る、図2Aに示される通りのかかる変換の例は、以下の式:
Y1=C11.X1+C12.X2+C13.X3+C14.X4+C15
Y2=C21.X1+C22.X2+C23.X3+C24.X4+C25
によって定義される。
【0077】
この変換は、正常血液の集団の全てを視覚化することを可能にし、多くのリンパ球系の病状を検出することを可能にする。定数C1i及びC2iは、分析器の特性、特に光学台の特性の関数として定義される。
【0078】
例としては,C11=0.1431,C12=0.1496,C13=−0.8895,C14=−0.1261,C15=4155,C21=−0.3713,C22=0.0279,C23=−0.0877,C24=0.7925及びC25=682.8である。
【0079】
図5は、上で開示される通りの変換により正常型血液及び病的血液において観察される各種集団を、2次元の面の形で示す。
本発明によって、好塩基球を含む5つの白血球集団を視覚化することが可能になる。これらの図に示される表示の種類は、病的又は非病的血液試料の関数として、本発明による各種白血球集団の配置についての知識を与える例である。
【0080】
図4Aは、正常血液に対応する。図4Bは、毛様細胞性白血病を示す血液に対応する。図4Cは、骨髄腫を示す血液に対応する。図4Dは、セザリー症候群を示す血液に対応する。図4E及び4Fは、ALL(急性リンパ性白血病)型のB2白血球の白血病を示す血
液に対応する。図4Gは、バーキットALL/B3 ALL白血病を示す血液に対応する。図4Hは、T ALLを示す血液に対応する。図4Iは、AML(急性骨髄性白血病)の白血病を示す血液に対応する。図4Jは,CLL(慢性リンパ性白血病)の病状を示す血液に対応する。
【0081】
他の例において、かかる変換の結果は、図2Bに示されるもの等の表示である。
従って、提案される例において、因子についての値は、
【0082】
【数1】
である。
【0083】
第2ステップ2は、この例における回転角が、(2048、2048、2048)に位置する中心について130°、51°及び209°であるような平行移動を含む図式による変換と回転行列(オイラー行列)とから成る。
【0084】
従って、以下の式が得られる。
Y’1=[0.1161*(Y1−2048)−0.91899*(Y2−2048)−0.37677(Y3−2048)]+2048
Y’2=[−0.92118*(Y1−2048)−0.24152*(Y2−2048)+0.30510(Y3−2048)]+2048
Y’3=[−0.37138*(Y1−2048)+0.31163*(Y2−2048)−0.87461(Y3−2048)]+2048
第3ステップ3は、
Y”1=Y’1*3−10500
Y”2=Y’2
のように、4096×4096のグラフィック表示における細胞の系統の視覚化を最適化するために図式による適合から成る。
【0085】
従って、ステップの集合が統合される最終式は、
Y(1=540.6*(4095−X1)/(1+X3)−275.7*(4095−X2)/(1+X4)−113.04*(4095−X1)/(1+X2)+2892;及び
Y(2=−1429*(4095−X1)/(1+X3)−24.15*(4095−X
2)/(1+X4)+30.51*(4095−X1)/(1+X2)+3805
である。
【0086】
X及びYが、0〜4095の範囲内にあることが示されるために、飽和限界:
X<0の場合、X=0
X>4095の場合、X=4095
Y<0の場合、Y=0
Y>4095の場合、Y=4095
を加えることができる。
【0087】
この行列形式において得られる細胞クラスの表示は、全血試料中に存在する白血球部分母集団の全てを一度に考察することを可能にする。前記部分母集団は、可視であり、且つ十分に分離され、異常血液を除いて各種集団の間に少しの重複部分しかない。図2Bにおいて得られた表示において、横座標軸及び縦座標軸は、明確な方向を有さない。対照的に、行列における集団の配置は大きい。
【0088】
上で示される式によって、細胞クラスの2次元空間上の位置は、最も未成熟な細胞により開始し、成熟細胞がそれに続いて垂直(縦座標軸)に順序づけられ;水平方向(横軸)において、それは、単核構造を有する細胞と多核構造を有するものとに分かれる。
【0089】
この表示は、幹細胞から開始する血液細胞についての分類樹形図に似ている。それによって、医師又は生物学者は、各種の白血球亜集団の、より簡単で且つより直接的な解釈を行うことが可能になる。
【0090】
図3は、上記の2次元の行列において観察されると考えられる白血球の各種集団を配置することが可能な異なるゾーンの図示である。スクリーン上に集団が存在するか、又はそうでないかは、正常又は異常/病的と分析される血液に依存する。
【0091】
最後に、種々の実施形態が本発明の原理の範囲内において包含されることに注意するべきである。特に、本発明は、組み合わせの集合の形で白血球集団の種々の形式の表示にアクセスすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動化生体液体分析機械の使用方法であって、前記液体中の細胞を検出することができ、且つ各々の検出された細胞について測定された少なくとも4つの物理的パラメータを含むn−タプル(xi(X1…Xn,Ci))(n>3)を決定することができる方法において、該方法は、識別及び列挙によって、少なくとも3つの細胞クラス(Ci)の集合への分類を実施することと、更にそれらを表示することとの両方を意図しており、且つ以下のステップ:
a)最初に、複数のn−タプルをm−タプル(yi(Y1…Ym,Cj))(m<n)に変換するための複数の数学的変換(Tn→m)を記憶するステップであって、各変換が、所定の集合の細胞クラス(Cdi)の中のn−タプルの要素の特定の分類と関連づけられ、且つ前記細胞クラスを構成する細胞についての統計学的知識の関数として決定され、平均統計学的特性を示す生体液体の細胞クラス(Cdi)がm次元複合空間の異なるゾーン内に配置されることを可能にする、ステップ;
b)最初に、少なくとも2つの細胞クラス(Cd1,Cd2)への識別及び再分類のための複数のフィルタ(A)を記憶して、少なくとも2つの細胞クラスからのm−タプルが前記m次元複合空間において区別されることを可能にするステップ;
c)最初に、表示のために、正常な生体液体の細胞クラスを構成する細胞についての統計学的知識の関数として決定された3−タプル、2−タプル又は1−タプルへの複数のn−タプル(xi(X1…Xn,Ci))の少なくとも1つの変換(T→1、2、3)を記憶するステップであって、平均統計学的特性を示す生体液体の細胞クラス(Cdi)が3次元の空間又は2次元の面又は1次元の軸の異なるゾーン内に配置されることを可能にする、ステップ;
d)生体液体の分析の結果として複数のn−タプル(xi(X1…Xn,Ci))を受信するステップ;
e)受信されたn−タプルに第1の任意の分類(Csi)を関連づけるステップ;
f)それらのクラス(Csi)の関数としてn−タプルの部分集合を選択するステップ;
g)m−タプルへの変換(Tn→m)を選択し、それを、選択されたn−タプルに適用するステップ;
h)識別フィルタ(A)を選択し、それをm−タプルに適用するステップであって、n−タプルのクラス(Cdi)を更新することを含むステップ;
i)n−タプルの部分集合(Csi)、その異なる変換、及びその異なるフィルタのうちの少なくとも一つを選択することによって前記ステップf)、g)及びh)を反復するステップであって、各反復が、識別アルゴリズムにおけるステップを定義し、前記アルゴリズムが、変換及びフィルタの一連の適用によって定義される、ステップ;
j)n−タプルの部分集合を、それらのクラスの関数としてのm−タプルとして表示されるように選択するステップ;
k)特定の表示タグ(COLk)をn−タプルに、それらのクラス(Ck)の関数として適用するステップ;
l)選択されたn−タプルに、3−タプル又は2−タプル又は1−タプルへの変換(Tn→1、2、3)を適用するステップ;及び
m)スクリーン(18)上、又は他のディスプレイ媒体上に、3−タプル又は2−タプルへの変換の結果を表示するステップであって、各区別された細胞クラスが、タグを有する動的な2次元又は3次元の点の雲によって示される、ステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記物理的パラメータが、RES、FSC、FL1及びSSCであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
2−タプルへの前記n−タプルの変換が各細胞に関連し、複合ベクトルが、Y1=C11.FSC+C12.SSC+C13.FL1+C14.RES+C15及びY2=C21.FSC+C22.SSC+C23.FL1+C24.RES+C25の形であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記識別アルゴリズムの少なくとも一定のステップが、前記識別を改良するために反復されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、m−タプルへの複数のn−タプル(m<n)の「病状」という用語の変換を記憶するステップを含み、前記変換は、病状を示す所定の集合の細胞クラスの特定の分類に関連づけられ、且つ前記細胞クラスを構成する細胞についての統計学的知識の関数として決定され、前記病状の平均統計学的特性を示す生体液体の細胞クラスが、m次元複合空間の異なるゾーン内に配置されることを可能にし、前記病状変換が、特定の病状を有する生体液体から正常な生体液体を分離することを可能にすることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
2−タプルへの前記n−タプルの変換が、前記病状の平均統計学的特性を示す生体液体の細胞クラスを、複合2次元空間の異なるゾーン内に配置することを可能にすることを特徴とする、請求項1〜5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
2次元空間への前記変換が、前記細胞クラスが成熟度によって分類される変換であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
3−タプルへの前記n−タプルの変換が、前記病状の平均統計学的特性を示す生体液体の細胞クラスを、前記表示上の動的な複合3次元空間の異なるゾーン内に配置することを可能にする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
識別及び列挙によって少なくとも3つの細胞クラスの集合に分類するための装置であって、前記液体中における細胞を検出することができ、且つ各々の検出された細胞について測定された少なくとも4つの物理的パラメータ(n>3)を含むn−タプルを決定することが可能な自動化生体液体分析機械に接続される装置において、
・ メモリであって、
○複数のn−タプルをm−タプルに変換する(m<n)ための複数の数学的変換であって、各変換が、所定の集合の細胞クラスの特定の分類と関連づけられ、且つ前記細胞クラスを構成する細胞についての統計学的知識の関数として決定され、平均統計学的特性を示す生体液体の細胞クラスがm次元複合空間の異なるゾーン内に配置されることを可能にする、変換;
○少なくとも2つの細胞クラスのm−タプルがm次元複合空間において区別されることを可能にする、少なくとも2つの細胞クラスへの識別及び再分類のための複数のフィルタ;
○表示のための、正常な生体液体の細胞クラスを構成する細胞についての統計学的知識の関数として決定される3−タプル、2−タプル又は1−タプルへの複数のn−タプルの少なくとも1つの変換であって、平均統計学的特性を示す生体液体の細胞クラスが3次元の空間又は2次元の面又は1次元の軸の異なるゾーン内に配置されることを可能にする変換;
を記憶するためのメモリと;
・生体液体の分析から得られた複数のn−タプルを受信するための手段と;
・各n−タプルに第1の任意の分類を関連づけるための手段と;
・それらのクラスの関数としてn−タプルの部分集合を選択するための手段と;
・複数の変換から少なくとも1つの変換を選択し、複数の識別フィルタから少なくとも
1つの識別フィルタを選択するための手段と;
・選択されたn−タプルに少なくとも選択された変換と識別フィルタとを適用し、前記適用を反復するためのデータプロセッサ手段と;
・それらのクラスの関数として、m−タプルと表示すべきn−タプルの部分集合を選択するための手段と;
・それらのクラスの関数としてm−タプルに特定のタグを関連づけるためのデータプロセッサ手段と;
・複数のn−タプルの変換を3−タプル、2−タプル又は1−タプルに適用するためのデータプロセッサ手段と;
・スクリーン上に3−タプル、2−タプル又は1−タプルへの変換の結果を表示するための手段と
を含む、装置。
【請求項10】
コンピュータ、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)等のプロセッシングハードウェア、又は他の種類のプログラム可能な電子機器によって使用することが意図されるコンピュータプログラムであって、前記プログラムがコンピュータによって実行される場合に請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法の前記ステップを実行するための命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法の前記ステップを実行するための命令を含むコンピュータプログラムが記録されたコンピュータ可読記録媒体。
【請求項1】
自動化生体液体分析機械の使用方法であって、前記液体中の細胞を検出することができ、且つ各々の検出された細胞について測定された少なくとも4つの物理的パラメータを含むn−タプル(xi(X1…Xn,Ci))(n>3)を決定することができる方法において、該方法は、識別及び列挙によって、少なくとも3つの細胞クラス(Ci)の集合への分類を実施することと、更にそれらを表示することとの両方を意図しており、且つ以下のステップ:
a)最初に、複数のn−タプルをm−タプル(yi(Y1…Ym,Cj))(m<n)に変換するための複数の数学的変換(Tn→m)を記憶するステップであって、各変換が、所定の集合の細胞クラス(Cdi)の中のn−タプルの要素の特定の分類と関連づけられ、且つ前記細胞クラスを構成する細胞についての統計学的知識の関数として決定され、平均統計学的特性を示す生体液体の細胞クラス(Cdi)がm次元複合空間の異なるゾーン内に配置されることを可能にする、ステップ;
b)最初に、少なくとも2つの細胞クラス(Cd1,Cd2)への識別及び再分類のための複数のフィルタ(A)を記憶して、少なくとも2つの細胞クラスからのm−タプルが前記m次元複合空間において区別されることを可能にするステップ;
c)最初に、表示のために、正常な生体液体の細胞クラスを構成する細胞についての統計学的知識の関数として決定された3−タプル、2−タプル又は1−タプルへの複数のn−タプル(xi(X1…Xn,Ci))の少なくとも1つの変換(T→1、2、3)を記憶するステップであって、平均統計学的特性を示す生体液体の細胞クラス(Cdi)が3次元の空間又は2次元の面又は1次元の軸の異なるゾーン内に配置されることを可能にする、ステップ;
d)生体液体の分析の結果として複数のn−タプル(xi(X1…Xn,Ci))を受信するステップ;
e)受信されたn−タプルに第1の任意の分類(Csi)を関連づけるステップ;
f)それらのクラス(Csi)の関数としてn−タプルの部分集合を選択するステップ;
g)m−タプルへの変換(Tn→m)を選択し、それを、選択されたn−タプルに適用するステップ;
h)識別フィルタ(A)を選択し、それをm−タプルに適用するステップであって、n−タプルのクラス(Cdi)を更新することを含むステップ;
i)n−タプルの部分集合(Csi)、その異なる変換、及びその異なるフィルタのうちの少なくとも一つを選択することによって前記ステップf)、g)及びh)を反復するステップであって、各反復が、識別アルゴリズムにおけるステップを定義し、前記アルゴリズムが、変換及びフィルタの一連の適用によって定義される、ステップ;
j)n−タプルの部分集合を、それらのクラスの関数としてのm−タプルとして表示されるように選択するステップ;
k)特定の表示タグ(COLk)をn−タプルに、それらのクラス(Ck)の関数として適用するステップ;
l)選択されたn−タプルに、3−タプル又は2−タプル又は1−タプルへの変換(Tn→1、2、3)を適用するステップ;及び
m)スクリーン(18)上、又は他のディスプレイ媒体上に、3−タプル又は2−タプルへの変換の結果を表示するステップであって、各区別された細胞クラスが、タグを有する動的な2次元又は3次元の点の雲によって示される、ステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記物理的パラメータが、RES、FSC、FL1及びSSCであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
2−タプルへの前記n−タプルの変換が各細胞に関連し、複合ベクトルが、Y1=C11.FSC+C12.SSC+C13.FL1+C14.RES+C15及びY2=C21.FSC+C22.SSC+C23.FL1+C24.RES+C25の形であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記識別アルゴリズムの少なくとも一定のステップが、前記識別を改良するために反復されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、m−タプルへの複数のn−タプル(m<n)の「病状」という用語の変換を記憶するステップを含み、前記変換は、病状を示す所定の集合の細胞クラスの特定の分類に関連づけられ、且つ前記細胞クラスを構成する細胞についての統計学的知識の関数として決定され、前記病状の平均統計学的特性を示す生体液体の細胞クラスが、m次元複合空間の異なるゾーン内に配置されることを可能にし、前記病状変換が、特定の病状を有する生体液体から正常な生体液体を分離することを可能にすることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
2−タプルへの前記n−タプルの変換が、前記病状の平均統計学的特性を示す生体液体の細胞クラスを、複合2次元空間の異なるゾーン内に配置することを可能にすることを特徴とする、請求項1〜5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
2次元空間への前記変換が、前記細胞クラスが成熟度によって分類される変換であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
3−タプルへの前記n−タプルの変換が、前記病状の平均統計学的特性を示す生体液体の細胞クラスを、前記表示上の動的な複合3次元空間の異なるゾーン内に配置することを可能にする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
識別及び列挙によって少なくとも3つの細胞クラスの集合に分類するための装置であって、前記液体中における細胞を検出することができ、且つ各々の検出された細胞について測定された少なくとも4つの物理的パラメータ(n>3)を含むn−タプルを決定することが可能な自動化生体液体分析機械に接続される装置において、
・ メモリであって、
○複数のn−タプルをm−タプルに変換する(m<n)ための複数の数学的変換であって、各変換が、所定の集合の細胞クラスの特定の分類と関連づけられ、且つ前記細胞クラスを構成する細胞についての統計学的知識の関数として決定され、平均統計学的特性を示す生体液体の細胞クラスがm次元複合空間の異なるゾーン内に配置されることを可能にする、変換;
○少なくとも2つの細胞クラスのm−タプルがm次元複合空間において区別されることを可能にする、少なくとも2つの細胞クラスへの識別及び再分類のための複数のフィルタ;
○表示のための、正常な生体液体の細胞クラスを構成する細胞についての統計学的知識の関数として決定される3−タプル、2−タプル又は1−タプルへの複数のn−タプルの少なくとも1つの変換であって、平均統計学的特性を示す生体液体の細胞クラスが3次元の空間又は2次元の面又は1次元の軸の異なるゾーン内に配置されることを可能にする変換;
を記憶するためのメモリと;
・生体液体の分析から得られた複数のn−タプルを受信するための手段と;
・各n−タプルに第1の任意の分類を関連づけるための手段と;
・それらのクラスの関数としてn−タプルの部分集合を選択するための手段と;
・複数の変換から少なくとも1つの変換を選択し、複数の識別フィルタから少なくとも
1つの識別フィルタを選択するための手段と;
・選択されたn−タプルに少なくとも選択された変換と識別フィルタとを適用し、前記適用を反復するためのデータプロセッサ手段と;
・それらのクラスの関数として、m−タプルと表示すべきn−タプルの部分集合を選択するための手段と;
・それらのクラスの関数としてm−タプルに特定のタグを関連づけるためのデータプロセッサ手段と;
・複数のn−タプルの変換を3−タプル、2−タプル又は1−タプルに適用するためのデータプロセッサ手段と;
・スクリーン上に3−タプル、2−タプル又は1−タプルへの変換の結果を表示するための手段と
を含む、装置。
【請求項10】
コンピュータ、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)等のプロセッシングハードウェア、又は他の種類のプログラム可能な電子機器によって使用することが意図されるコンピュータプログラムであって、前記プログラムがコンピュータによって実行される場合に請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法の前記ステップを実行するための命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法の前記ステップを実行するための命令を含むコンピュータプログラムが記録されたコンピュータ可読記録媒体。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図4H】
【図4I】
【図4J】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図4H】
【図4I】
【図4J】
【公表番号】特表2012−502266(P2012−502266A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525592(P2011−525592)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051559
【国際公開番号】WO2010/026328
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(508000537)
【氏名又は名称原語表記】HORIBA ABX SAS
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051559
【国際公開番号】WO2010/026328
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(508000537)
【氏名又は名称原語表記】HORIBA ABX SAS
【Fターム(参考)】
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