説明

生体信号・生体情報による音楽データ・画像データへの変換及び同データ配信システム

【課題】広く流通している携帯電話などの携帯端末を用いて、使用者にできる限り新たな負担を発生させない、生体信号・生体情報から生成する音楽や画像の配信システムの提供を課題とする。
【解決手段】生体信号採取装置と携帯端末との通信手段として赤外線通信などの既存のインターフェースを用い、さらに送信するデータも既存のデータ形式を用いることで、従来から使用されているデータフローをそのまま用い、生体信号・生体情報から生成する音楽・画像配信サービスを実現した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体信号・生体情報を元に音楽信号・画像信号を生成し、配信するシステムについてである。
【背景技術】
【0002】
生体信号を採取し、音楽信号に変換する技術は、特許第3863553号にて発明されており、この特許を使ったサービスも開始されている。その手法は、脈波形を採取する装置とパーソナルコンピュータ、サーバーで構成されており、脈波形を採取する装置とパーソナルコンピュータはUSBインターフェースで接続され、同パーソナルコンピュータはインターネット回線でサーバーに接続されている。
脈波形採取装置で採取した脈波形データはパーソナルコンピュータにUSB接続で送信され、パーソナルコンピュータは同脈波形データをインターネット回線でサーバーに送信する。
サーバーは同受信データをもとに音楽信号を生成し、音楽信号をパ−ソナルコンピュータに送信され、パーソネルコンピュータは同音楽信号をコンパクトディスクにコピーし、顧客に配布されるというものである。
【0003】
前記の脈波形を採取する装置は、パーソナルコンピュータに取得データをUSB接続で送信しているが、携帯電話を左記パーソナルコンピュータの代わりに利用すれば機器コストの低下及び簡便性の向上につながるが、携帯電話のUSB接続は接続インターフェースが通信キャリアや携帯電話機種によりプロトコル及び物理的コネクター形状がまちまちであり、携帯電話を左記パーソナルコンピュータの代用とすることは容易ではなかった。
【0004】
このような問題に対し、本発明では、従来から利用されているデータフォーマットに生体信号・生体情報データを載せることで、特別なインターフェースを利用せずに、機器間およびサーバー間との通信を実現することにより、誰でもが簡便に利用できるシステムを実現している。
【特許文献1】特許第3863553号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、携帯電話などを経由して、生体信号・生体情報を採取し、サーバーに送信し音楽データ・画像データに変換し、再び携帯電話やパーソナルコンピュータに音楽・画像を返信し、携帯電話やパーソナルコンピュータにて音楽・画像を視聴するためのものである。しかし、携帯電話と外部装置とのインターフェースが、通信キャリアや携帯電話機種ごとにまちまちであり、すべての携帯電話に対応することが困難であった。
【0006】
また、従前も携帯電話の赤外線通信機能を使用することができたが、特殊なデータを受け取るには、周辺機器とのデータのやり取りに携帯キャリア及び携帯電話機種ごとに異なる専用のアプリケーションソフトを作成する必要があり、なおかつユーザーは、携帯Webサイト等からその専用ソフトをダウンロードする必要があり、サービスを行う側も使用するユーザー側も煩雑な手続きが必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、生体信号・生体情報を音声信号や画像データに変換し、汎用性の高い既存データとして通信することで、配信者および使用者にとって簡便に利用できるようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、携帯電話など広く流通している既存の装置を利用し、特別なインターフェースあるいはソフトウェアを追加せずに、生体信号・生体情報を伝送できる利点がある。また、生体信号・生体情報採取装置を携帯電話などの携帯端末とつなげることで、信号採取から生体信号・生体情報を基にした音楽や画像を視聴することまで、簡単な操作で可能となる利点がある。
また、本件システム利用料の支払・徴収に関しては、携帯電話の課金サービスを利用することにより、支払い・徴収の煩雑さが解消される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の1実施形態の生体信号である脈波形採取装置とその生体信号を音楽に変換し配信するシステム(以下、「生体音楽配信システム」と称す)について、図1に基づいて説明する。システム構成は、脈波形採取装置と携帯電話、そして生体信号を音楽信号に変換するサーバーコンピュータ、及び携帯電話とサーバーを接続するインターネット網から構成される。脈波形採取装置にてサンプリングされた脈波形信号は、画像ファイル内に埋め込まれ、赤外線通信により携帯電話に送信される。さらに携帯電話から、インターネット網を通し、サーバーコンピュータに送信され、画像ファイルから脈波形信号を取り出し、音楽信号に変換される。その音楽信号は、再びインターネット網を通し携帯電話に送信され、携帯電話にて返信された音楽を再生する。
【実施例1】
【0010】
図1は、システム全体の流れを示すものであり、100は脈波形採取装置、106は携帯電話、112はサーバーコンピュータ、150はインターネット網である。100の脈波形採取装置では、101の赤外線発光部・受光部を指先などにつけて反射強度を計測する。102の脈波形計測では、約30秒の間、500Hzのサンプリングレートで反射強度を計測し8ビットのデータとして取り込み、反射強度変化データを計測し、これを脈波形データとする。103は、ユーザーに計測開始から終了までを知らせるインディケータであり、この間ユーザーが指先を静止することを要求するものである。104は、102で採取した脈波形データを画像ファイル内のヘッダー部に挿入、ないし脈波形データから画像ファイルを作成し、脈波形データ入り画像ファイルを生成する。105の赤外線通信にて、106の携帯電話に脈波形データ入り画像ファイルを送信する。106の携帯電話では、107で受信した脈波形データ入り画像ファイルを108で150のインターネット網を通しサーバーコンピュータに送信する。112のサーバーコンピュータでは、106の携帯電話より送信された脈波形データ入り画像ファイルを受信し、114にて脈波形データ入り画像ファイルから脈波形データを取り出す。そして、115においてこの脈波形データを使って音楽データを生成し、116にてこの音楽データを106の携帯電話に150のインターネット網で送信ないしは、106携帯電話からダウンロード可能な状態にする。106の携帯電話では、サーバーコンピュータにて生成された音楽データを受信し、106の携帯電話に内蔵する110の音楽データプレーヤーにて演奏し111のヘッドフォンないし内臓のスピーカにてユーザーが音楽を鑑賞する。
また、本件システム利用料の支払・徴収に関しては、携帯電話の課金サービスを利用することにより、支払い・徴収の煩雑さが解消される。
【0011】
図2は、脈波形採取装置であり、120は赤外線発光部であり、ここから赤外線が照射される。121は受光部であり120から照射された赤外線が指の血液で反射し、その反射光を受光するセンサー部である。受光した光は、125のAD変換部を経由し8ビットのデジタル信号にする。124は、CPUであり、赤外光のON/OFF制御を行い、121の受光部のセンサーの出力を読み出しを行い、123のLEDを計測中点燈させる。脈波形の計測は、500Hzで8ビットのデータとして読み出しを行い、これを30秒ほどの間継続し、脈波形信号としてメモリに保存する。メモリに保存した脈波形データを、画像ファイルのヘッダー部にバイナリデータとして埋め込み、もしくは画像データに変換し122の赤外線通信を使って画像データとして携帯電話に送信する。
【実施例2】
【0012】
図3は、システム全体の流れを示すものであり、100は脈波形採取装置、106は携帯電話、112はサーバーコンピュータ、133は公衆電話回線網である。100の脈拍採取装置では、101の赤外線発光部・受光部を指先などにつけて反射強度を計測する。102の脈拍計測では、30秒の間、500Hzのサンプリングレートで反射強度を計測し8ビットのデータとして取り込み、これを脈波形データとする。103は、ユーザーに計測開始から終了までを知らせるインディケータであり、この間ユーザーが指先を静止することを要求するものである。130は、8ビット500Hzの脈波形信号を音声帯域に変換するものである。131のスピーカーにて、132の携帯電話のマイクを通し106の携帯電話に音声として脈波形データを送信する。106の携帯電話では、通常の音声通話と同様に、133の携帯電話回線を通しサーバーコンピュータに音声信号として送信する。112のサーバーコンピュータでは、106の携帯電話より送信された脈波形データ入り音声信号を、135にて音声信号から脈波形データへ変換を行う。そして、115においてこの脈波形データを使って音楽データを生成し、116にてこの音楽データを133の電話回線を利用して106の携帯電話に送信する。106の携帯電話では、サーバーコンピュータにて生成された音楽データを受信し、106の携帯電話に内蔵する110の音楽データプレーヤーにて演奏し111のヘッドフォンにてユーザーが音楽を鑑賞する。
【0013】
図4は、脈拍採取装置であり、120は赤外光発光部であり、ここから赤外光が照射される。121は受光部であり120から照射された赤外光が指で反射しその反射光を受光するセンサー部である。受光した光は、125のAD変換部を経由し8ビットのデジタル信号にする。124は、CPUであり、赤外光のON/OFF制御を行い、121の受光部のセンサーの出力を読み出しを行い、123のLEDを計測中点燈させる。脈拍の計測は、500Hzで8ビットのデータとして読み出しを行い、これを30秒ほどの間継続し、脈拍信号としてメモリに保存する。126は、スピーカーであり、携帯電話の132のマイク部分に音響的に結合接続し、脈波形採取装置から携帯電話へ音声信号として通信を行うものである。メモリに保存した脈波形データを、音声帯域である2KHzの周波数にのせ、音声信号として前記マイクを経由し携帯電話に送信する。
【0014】
以上、本発明について2つの実施形態を例示したが、本発明は係る実施形態に限定されるものでなく、以下に示すように、変更が可能である。
【0015】
すなわち、前記本実施形態では、画像ファイルとして脈波形データを脈波形採取装置から携帯電話およびサーバーコンピュータに送信するものを示したが、これに限定されるものでなく、脈波形採取装置にディスプレイ取り付け、脈波形のグラフや二次元コードを表示し、その画像をカメラ付き携帯電話のカメラで撮影し、その画像をサーバーコンピュータに送信し、サーバーコンピュータにて、そのグラフや二次元コードの画像を解析し、脈波形データを復元することも可能である。また、脈波形採取装置に音声出力端子を取り付け、音声電気信号として携帯電話に伝送し、携帯電話のマイク端子により受信しサーバーコンピュータに送信し、サーバーコンピュータにて音声信号から脈波形データを復元することによりサーバーに脈波形データを送信することも可能である。
また、採取データのサーバーへの送信方法をインターネット網を利用し、サーバーにて作成された音楽データの受信は公衆電話回線を利用することも可能であり、其の逆の組み合わせも可能である。
また、採取データの携帯電話への送信手段・送信媒体としては、赤外線通信(実施例1)、音響的通信(実施例2)以外にも、ブルーツース通信を利用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態を示す赤外線通信を使った生体データからの音楽データ生成システムの説明図である。(実施例1)
【図2】生体データである脈拍採取装置の説明図である。(実施例1)
【図3】本発明の実施形態を示す音声信号を使った生体データからの音楽データ生成システムの説明図である。(実施例2)
【図4】生体データである脈拍採取装置の説明図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0017】
100 脈波形採取装置
106 携帯電話
112 サーバーコンピュータ
120 赤外線発光部
121 赤外線受光部
122 赤外線通信
123 LED計測インディケータ
124 CPU
125 AD変換部
126 マイク
133 公衆電話回線網
150 インターネット網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物の生体信号・生体情報(脈拍、脈波形、脳派、心拍、心電波形、呼吸、血圧、血液検査数値、身長、体重、指紋、皮膚状態、毛髪情報など)を計測する手段と、その信号に変換を行い、コンピュータや携帯電話などにデータを送信することを特徴とする、生体信号・生体情報採取装置。
【請求項2】
請求項1において、前記生体信号・生体情報を、デジタル信号に変換し、そのデジタル信号を画像ファイル内に格納、もしくは、画像ファイルに変換し、その画像ファイルをコンピュータや携帯電話などへ送信することで生体信号・生体情報を送信することを特徴とする、生体信号・生体情報採取装置。
【請求項3】
請求項1において、表示装置を具備し、その表示装置に生体信号・生体情報をグラフ化・二次元コード化し表示する手段を持ち、その表示装置をコンピュータや携帯電話などに具備しているカメラで撮影することで、前記生体信号・生体情報を、送信することを特徴とする、生体信号・生体情報採取装置。
【請求項4】
請求項1において、スピーカーを具備し、前記生体信号・生体情報を、公衆通信回線網の伝送帯域音声信号に変換し、コンピュータや携帯電話に具備しているマイクで、発信された音を録音することにより、生体信号・生体情報を送信することを特徴とする、生体信号・生体情報採取装置。
【請求項5】

請求項1において、前記生体信号・生体情報に周波数変換を行い、公衆電話回線網の伝送音声周波数帯域への信号に変換し、コンピュータや携帯電話のマイク端子を通し、音声信号として生体信号・生体情報を送信することを特徴とする、生体信号・生体情報採取装置。
【請求項6】
請求項5において、前記生体信号・生体情報から音声信号に変換された信号を、携帯電話の音声帯域を通してサーバーコンピュータに送信し、サーバーコンピュータ側で受信した音声信号から生体信号・生体情報を復元させることを特徴とする生体信号・生体情報送信システム。
【請求項7】
生体信号・生体情報採取装置より無線通信によりコンピュータや携帯電話などに採取した生体信号・生体情報を送信し、さらに受信したデータをサーバーコンピュータに送信する手段を持ち、サーバー側でこの生体信号を音楽信号・画像信号に変換する手段をもち、変換した音楽信号・画像信号を前記コンピュータや携帯電話に返送することを特徴とする、生体信号・生体情報よる音楽データ・画像データ配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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