説明

生体分子の結合可能なナノ粒子およびその製造方法

【課題】ナノ粒子の水溶化および生体分子との反応性基の導入のために表面修飾が必要となるが、ナノ粒子のコアへの表面修飾リガンドを結合させることにより、発光強度が著しく低下することが課題となっていた。本発明は、発光強度を保持しつつ水溶化されたナノ粒子を提供することを目的とする。
【解決手段】周期表第11属元素及び周期表第13族元素を含む硫化物若しくは酸化物を成分とするナノ粒子であって、ナノ粒子表面に生体分子に対し結合能を有する反応性基を有することを特徴とするナノ粒子、亜鉛、周期表第11属元素及び周期表第13族元素を含む硫化物若しくは酸化物を成分とするナノ粒子であって、ナノ粒子表面に生体分子に対し結合能を有する反応性基を有することを特徴とするナノ粒子、および前記ナノ粒子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体分子の結合可能かつ水溶化されたナノ粒子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バイオテクノロジーやナノテクノロジーをはじめとする技術の進歩により、物質間の相互作用を検出する様々な技術(以下、「センシング技術」という)が開発・実用化されている。このセンシング技術を用いれば、体内に存在する、または体内で生成される極微量の物質を高感度に検出することができる。これにより、人の健康状態の診断・予測、創薬、その他の分野において、広範囲に活用することができる。センシング技術の検出対象となる標的物質としては、ゲノムDNA、RNAなどの核酸、タンパク質、ペプチド、糖、脂質、ホルモンなどが挙げられる。現在、蛍光色素などの標識体を調べたい検体物質に直接結合して、その検体物質と基板上の固定化物質との相互作用の有無を、その蛍光シグナルから判断する手法が主流となっている。
【0003】
例えば、核酸を検出する手段として、多数のプローブ核酸を基材に固定したDNAチップが知られている。検体から抽出し標識化した核酸若しくはその複製物を、プローブ核酸に反応させ、ハイブリダイゼーションさせて基材上に固定化する。基材上の標識のシグナルを検出して、物質間の相互作用の有無を検出する。または、非標識のままの核酸若しくはその複製物をハイブリダイゼーションさせて基材上に固定化後に、化学反応などで核酸に結合させてシグナルを検出する方法もある。
【0004】
また、タンパク質を検出する場合には、タンパク質−タンパク質相互作用、核酸−タンパク質相互作用を用いて、基材上に固定化する。これにより、特定のタンパク質をセンシングすることができる。
【0005】
現在、一般的に標識体としては有機化合物からなる蛍光色素が用いられているが、微量な検体を用いた場合、検出感度が不足したり、またシグナルが弱くノイズとの明確な判別が困難であったりする問題があった。
【0006】
この課題を克服するために、高輝度かつ安定性の高い半導体ナノ粒子を生体分子検出の標識体に用いる試みが盛んに行なわれてきている(例えば特許文献1)。半導体ナノ粒子(以降、「ナノ粒子」と略記することがある。)とは、ナノメートルオーダーの半導体からなる粒子で、バンドギャップエネルギーに相当する蛍光を発する。無機半導体であるため有機色素と比較し安定であることなど高い蛍光特性を有することが知られている。また、粒子が小さくなるにつれて材料中の電子の状態が変わって、より短い波長の光を吸収したり放出したりする量子サイズ効果という現象により、粒子径を変化させることにより様々な波長の発光を得ることが可能となる。
【0007】
半導体ナノ粒子は有機相中で合成されることが多く、多くのナノ粒子は疎水性を有する。生体分子の相互作用の検出用標識体として用いるためには、半導体ナノ粒子を水溶化すること、および表面に生体分子と結合可能な官能基の導入が必要となる。
【0008】
ナノ粒子表面を親水性の高いリガンドで被覆することより、ナノ粒子の水溶化が可能となるが、ナノ粒子の核(コア)表面に吸着する化合物によっては蛍光が消光してしまうことがあり、この消光を抑制するためにナノ粒子のコアをZnSやZnOなどで被覆した構造(コアシェル構造)にすることが行なわれている。しかし、このコアシェル構造にすることにより、核酸やタンパク質と比較してナノ粒子の粒径が非常に大きくなり、これらを検出する際の標識体としては好ましくない。
【0009】
この半導体ナノ粒子として非常に高輝度な特性を有するカドミウム(Cd)系ナノ粒子(CdSe、CdTeなど)が代表として挙げられ、最も一般的に用いられている。しかし、毒性が高いことが実用化に向けて大きな障害になっている。そこで近年、低毒性の半導体ナノ粒子が開発されるようになった。低毒性ナノ粒子の例として、亜鉛、周期表第11属元素および周期表第13族元素を含む硫化物若しくは酸化物からなり、常温で発光を生じるナノ粒子が知られている(特許文献2および3)。
【0010】
【特許文献1】国際公開第00/017642号パンフレット
【特許文献2】国際公開第06/009124号パンフレット
【特許文献3】国際公開第07/026746号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ナノ粒子の水溶化および生体分子との反応性基の導入のために表面修飾が必要となるが、ナノ粒子のコアへの表面修飾リガンドを結合させることにより、発光強度が著しく低下することが課題となっていた。本発明は、発光強度を保持しつつ水溶化されたナノ粒子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討をした結果、低毒性のナノ粒子を用い、その核の表面に反応する官能基、および生体分子と反応する官能基を有する両親媒性化合物をリガンドとして用いることにより、発光能を保持しつつ、生体分子との反応性基を有するナノ粒子の水溶化が可能となることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、以下のとおりである。
【0013】
すなわち、本発明は、以下の〔1〕〜〔15〕を提供するものである。
〔1〕 亜鉛、周期表第11族元素および周期表第13族元素を含む硫化物もしくは酸化物を成分とするか、又は周期表第11族元素及び周期表第13族を含む硫化物もしくは酸化物を成分とするナノ粒子であり、該ナノ粒子の表面に、
一般式(1)
(R1−X)p−(Y)q−(OCH2CH2m−R2
(式中、R1は含窒素官能基または含硫黄官能基を、R2は核酸及びタンパク等の生体分子に対し結合能を有する反応性基を含む官能基を、Xはへテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を、Yは2価の連結基をそれぞれ示す。pは1または2、qは0または1、mは1〜6の整数をそれぞれ示す。)
で表される化合物1を含むナノ粒子。
〔2〕 一般式(1)のR1がメルカプト基、ジチオカルボキシル基、およびアミノ基からなる群の少なくとも一つを含む置換基である〔1〕に記載のナノ粒子。
〔3〕 一般式(1)のR2がカルボキシル基、カルボキシル基誘導体、ビオチニル基及びビオチニル基を含む官能基からなる群の少なくとも一つを含む置換基である〔1〕または〔2〕のいずれかに記載のナノ粒子。
〔4〕 一般式(1)のXがアミド結合を有してもよい飽和脂肪族炭化水素基である〔1〕から〔3〕のいずれかに記載のナノ粒子。
〔5〕 一般式(1)のXが−(CH211−か、または−(CH210−CONH−(CH22−である〔1〕から〔3〕のいずれかに記載のナノ粒子。
〔6〕 一般式(1)のmが3〜6である〔1〕から〔4〕のいずれかに記載のナノ粒子。
〔7〕 前記周期表第13族元素はインジウムである〔1〕から〔6〕のいずれかに記載のナノ粒子。
〔8〕 前記周期表第11族元素は銀である〔1〕から〔7〕のいずれかに記載のナノ粒子。
〔9〕 前記ナノ粒子の表面に、
一般式(2)
3−(CH2)n−R4
(式中、Rは含窒素官能基または含硫黄官能基を、Rはイオン性官能基を、nは1〜11の整数をそれぞれ示す。)
で表される化合物2を含む〔1〕から〔8〕のいずれかに記載のナノ粒子。
〔10〕 一般式(2)におけるRがメルカプト基、ピリジルチオ基、ジチオカルボキシル基、およびアミノ基からなる群の少なくとも一項から選択される〔1〕から〔9〕のいずれかに記載のナノ粒子。
〔11〕 一般式(2)におけるnが2もしくは3、R4がSO3またはN(CH33である〔1〕から〔10〕のいずれかに記載のナノ粒子。
〔12〕 亜鉛、周期表第11族元素および周期表第13族元素を含む硫化物もしくは酸化物を成分とするか、又は周期表第11属元素および周期表第13族元素を含む硫化物若しくは酸化物を成分とするナノ粒子に、
一般式(1)
(R1−X)p−(Y)q−(OCH2CH2)m−R2
(式中、R1は含窒素官能基または含硫黄官能基を、R2は核酸及びタンパク等の生体分子に対し結合能を有する反応性基を含む官能基を、Xはへテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を、Yは2価の連結基をそれぞれ示す。pは1または2、qは0または1、mは1〜6の整数をそれぞれ示す。)
で表される化合物1を反応させる工程を含むナノ粒子の製造方法。
〔13〕 〔12〕に記載のナノ粒子の製造方法においてさらに、
一般式(2)
3−(CH2)n−R4
(式中、Rは含窒素官能基または含硫黄官能基を、Rはイオン性官能基を、nは1〜10の整数をそれぞれ示す。)で表される化合物2を反応させる工程、
を含むナノ粒子の製造方法。
〔14〕 一般式(2)のnが2または3、R4がSO3またはN(CH33+である〔13〕に記載のナノ粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
周期表第11属元素および周期表第13族元素を含む硫化物若しくは酸化物を成分とするナノ粒子若しくは亜鉛、周期表第11属元素および周期表第13族元素を含む硫化物若しくは酸化物を成分とするナノ粒子を用い、このナノ粒子の核に、生体分子と反応可能な官能基を有する表面修飾リガンドを反応させることにより、発光能を保持しつつ、ナノ粒子の水溶化および生体分子と反応可能な官能基の導入が可能となる。さらに、ナノ粒子表面に親水性の高い官能基を共存させることにより、ナノ粒子の水溶性をより向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための好適な形態について説明する。
【0016】
[ナノ粒子の作製]
本発明のナノ粒子の核となるナノ粒子は、周期表第11族元素および周期表第13族元素を含む硫化物若しくは酸化物を成分とするナノ粒子、または、亜鉛、周期表第11族元素および周期表第13族元素を含む硫化物若しくは酸化物を成分とする。
【0017】
周期表第11属元素としては特に限定されるものではないが、銅(Cu),銀(Ag),金(Au)が挙げられ、このうちCu,Agが好ましくAgが特に好ましい。周期表第13族元素としては、特に限定されるものではないが、ガリウム(Ga),インジウム(In),タリウム(Tl)が挙げられ、このうちGa,Inが好ましくInが特に好ましい。
【0018】
本発明において、周期表第11属元素及び周期表第13族元素を含む硫化物若しくは酸化物を成分とするナノ粒子としては、インジウム、銀の硫化物を成分とするナノ粒子(InAgSナノ粒子)が好ましい。亜鉛、周期表第11属元素及び周期表第13族元素を含む硫化物を成分とするナノ粒子としては、亜鉛、インジウム、銀の硫化物を成分とするナノ粒子(ZnInAgSナノ粒子)が好ましい。尚、硫化物を成分とするナノ粒子の場合も、本発明の効果を損なわない程度において、同元素の酸化物が微量または少量含まれていてもよい。また、本発明のナノ粒子には、本発明の効果を損なわない程度において、核となるナノ粒子の原料及び製造段階で混入する可能性がある微量または少量の不純物、例えば金属元素に対する配位子の分解生成物等の成分が含まれていてもよい。
【0019】
上記の周期表第11族元素および周期表第13族元素を含む硫化物若しくは酸化物を成分とするナノ粒子、および該ナノ粒子においてさらに亜鉛を成分とするナノ粒子の作製は、それぞれの族に属する複数の種類の元素の原料塩と、硫黄を配位元素とする配位子もしくは酸素を配位元素とする配位子とを混合する方法によることができる。または亜鉛およびそれぞれの族に属する複数の種類の元素の原料塩と、硫黄を配位元素とする配位子もしくは酸素を配位元素とする配位子とを混合することにより錯体とし、該錯体を加熱することにより熱分解生成物とし、該熱分解生成物を脂溶性化合物と共に加熱することによっても製造が可能であり、これにより脂溶性化合物で被覆されたナノ粒子として得ることができる。
【0020】
錯体を熱分解する条件としては、使用する元素により異なるが、通常100〜300℃の範囲で行い、150〜200℃の範囲で行なうことが好ましい。また、反応時間は反応温度により異なるが、1〜60分の範囲で設定することが好ましい。
【0021】
さらに、熱分解生成物を脂溶性化合物と共に加熱する際の条件としては、使用する元素により異なるが、150〜200℃の範囲で行うことが好ましい。また、反応時間は反応温度により異なるが、1〜60分の範囲で設定することが好ましい。
【0022】
本ナノ粒子のサイズについては、量子サイズ効果が現れることを考慮し、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、生体分子との反応を考慮すると20nm以下が更に好ましい。
【0023】
脂溶性化合物としては、前記硫化物もしくは酸化物を成分とする粒子表面に結合可能であればよい。そのときの結合様式は特に限定されるものではないが、例えば共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合、ファンデルワールス結合などが挙げられる。脂溶性化合物の具体例としては、例えば炭素数4〜20の炭化水素基を有する含硫黄化合物、炭素数4〜20の炭化水素基を有する含窒素化合物、炭素数4〜20の炭化水素基を有する含酸素化合物などが挙げられる。炭化水素基としては、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基などの飽和脂肪族炭化水素基;オレイル基などの不飽和脂肪族炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの脂環式炭化水素基;フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、ナフチルメチル基などの芳香族炭化水素基などが挙げられる。これらのうち飽和脂肪族炭化水素基や不飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。含窒素化合物としてはアミン類やアミド類が挙げられ、含硫黄化合物としてはメルカプト基、アルキルジチオ基等のジスルフィド結合を有する基、アルキルチオ基等のスルフィド結合を有する基、ピリジルチオ基、ジチオカルボキシル基などが挙げられ、含酸素化合物としては脂肪酸類などが挙げられる。例えばブチルアミンやヘキシルアミンなどのアルキルアミンや、オレイルアミンなどのアルケニルアミンが好ましい。
【0024】
硫黄を配位元素とする配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、2,4−ペンタンジチオンなどのβ−ジチオン類;1,2−ビス(トリフルオロメチル)エチレン−1,2−ジチオールなどのジチオール類;ジエチルジチオカルバミド酸塩などが挙げられる。酸素を配位元素とする配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、アセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトンなどのβ−ジケトン類;トロポロンなどが挙げられる。
【0025】
[表面修飾リガンド]
本発明における表面修飾リガンドとは、ナノ粒子の表面を修飾するリガンドを意味し、代表的なものとして、生体分子との反応性基を有する両親媒性リガンドと水溶性向上のためのリガンドを指す。本発明においては、ナノ粒子に対し生体分子と反応可能な官能基を有する表面修飾リガンドを反応させることにより、ナノ粒子の発光能を保持しつつ、その水溶化および生体分子と反応可能な官能基の導入が可能となる。更に、これに加えて水溶性向上のためのリガンドを導入することにより、水溶化をより向上させることが可能となる。
【0026】
(生体分子との反応性基を有する両親媒性リガンド)
生体分子との反応性基を有する両親媒性リガンドとしては、
一般式(1)
(R1−X)p−(Y)q−(OCH2CH2m−R2
で表される化合物1を挙げることができる。
【0027】
一般式(1)において、R1は含窒素官能基または含硫黄官能基を示す。これらの官能基は、ナノ粒子表面との反応が可能であり、リガンドを粒子表面に安定に結合する役割を有すると推測される。
1の含窒素官能基としては例えば窒素原子を含む官能基であればよく、例えばアミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基等が挙げられる。含硫黄官能基としては硫黄を含む官能基であればよく、例えばメルカプト基、ジスルフィド結合を有する基、スルフィド結合を有する基、ピリジルチオ基、ジチオカルボキシル基、などが挙げられる。この中で粒子への安定性を考慮すると含硫黄官能基が好ましく用いられる。
1の好ましい例としては、メルカプト基、アルキルジチオ基、アルキルチオ基、ピリジルチオ基、ジチオカルボキシル基、アミノ基を挙げることができ、このうちメルカプト基が特に好ましい。
【0028】
また、一般式(1)中、Xはヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を示す。ナノ粒子の表面は脂溶性化合物で安定に被覆されることから、表面修飾リガンド中には脂溶性基が存在することが望ましい。この脂溶性基としては、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基などが挙げられ、中でも飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。Xとして含んでいてもよいヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子が挙げられるが、窒素原子及び酸素原子が最も好ましい。ヘテロ原子はアミド結合(−CO−NH−)として含まれることが好ましく、アミド結合の数は0または1つであることが好ましい。このようなXとしては、アミド結合を0または1つ含む飽和脂肪族炭化水素基が挙げられる。炭化水素基の炭素数は通常は1〜24であり、好ましくは1〜18であり、より好ましくは6〜15である。
好ましいXとしては、−(CH22−、−(CH26−、−(CH211−、−(CH210−CONH−(CH23−を挙げることができる。
【0029】
一般式(1)中のYは、2価の連結基を示す。連結基としては、エーテル結合及び芳香環を有する炭化水素基が好ましい。
【0030】
Yの代表的な例は以下の一般式(Y−1)である。
【化1】

【0031】
一般式(Y−1)中のr1は1〜10の整数を示し、1〜5であることが好ましく、1であることが最も好ましい。一般式(Y−1)中のr2は0〜10の整数を示し、0〜5であることが好ましく、0または1であることが最も好ましい。一般式(Y−1)中のR5は炭化水素基を示し、飽和脂肪族炭化水素基(直鎖炭化水素基)が好ましく、−C(CH32−が最も好ましい。
【0032】
Yの最も好ましい具体例を、下記の式(Y−2)と(Y−3)に示す。
【化2】

【化3】

【0033】
一般式(1)中、pは1または2の整数を示す。また、qは0または1の整数を示す。pが1のときはqは0であることが好ましく、pが2のときはqが1であることが好ましい。
【0034】
さらに、この表面修飾リガンド中には、エチレングリコール基(OCH2CH2)が含まれる。エチレングリコール基は親水性基としてナノ粒子の水溶化のために役立つと推測される。なお、エチレングリコール基は、スルホン酸およびスルホン酸塩、カルボキシル基やカルボン酸塩、四級アミンや四級アミン塩などへの置き換えが可能である。
一般式(1)中mは上記エチレングリコール基の繰り返し数を示すが、このmは1〜6の整数である。好ましくは3〜6の整数である。
【0035】
一般式(1)中のR2は生体分子に対し結合能を有する反応基を含む官能基を示す。生体分子の定義については後述するとおりである。生体分子に対し結合能を有する反応基としては特に限定されるものではないが、カルボキシル基、カルボキシル基を含む官能基やカルボキシル基の誘導体を含む官能基等のカルボキシル基誘導体、アミノ基、アミノ基誘導体、ビオチニル基、ビオチニル基を含む官能基などが挙げられる。この中で生体分子との反応性を考慮すると、カルボキシル基、カルボキシル基誘導体、ビオチニル基、ビオチニル基誘導体が好ましい。R2に生体分子に対し結合能を有する反応基を含む官能基以外の基が含まれていてもよく、例えば、アミド結合、酸素原子、炭化水素鎖などを挙げることができる。
【0036】
2の具体例として、カルボキシル基を含む官能基としては、−OCH2COOHを挙げることができる。カルボキシル基の誘導体を含む官能基としては、スクシンイミドエステルを含む官能基、すなわち式(R2−1)
【化4】

を挙げることができる。また、ビオチニル基を含む官能基としては、式(R2−2)
【化5】

(ビオチニルアミノ基)を挙げることができる。
【0037】
以上説明したような、生体分子との反応性基を有する両親媒性リガンドとしては、下記の式(1−1)〜(1−6)で表されるものを挙げることができる。
【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【0038】
(水溶性向上のためのリガンド;水溶化リガンド)
水溶性向上のためのリガンドとしては、
一般式(2)
3−(CH2n−R4
で表される化合物2を挙げることができる。
【0039】
一般式(2)において、R3はナノ粒子表面との反応可能な官能基であることが好ましく、例えば含窒素官能基または含硫黄官能基が挙げられる。含窒素官能基としては、アミド基、イミド基等が挙げられる。この中で粒子への安定性を考慮すると含硫黄官能基が好ましく用いられる。含硫黄官能基としてはメルカプト基、ジスルフィド基、スルフィド基、ピリジルスルフィド基、ジチオカルボキシル基、などが挙げられる。このうちメルカプト基が好ましい
【0040】
また一般式(2)において、R4はイオン性官能基を示す。イオン性官能基としては、特に制限はないが、構造中にイオン対を有し、水中にて電離する構造であればよい。親水性の高い官能基が望ましく、スルホン酸およびスルホン酸塩、カルボキシル基やカルボン酸塩、四級アミン、四級アミン塩などが挙げられる。これらの中でスルホン酸塩、四級アミン、四級アミン塩が好ましく、スルホン酸塩が特に好ましい。
一般式(2)において、nは1〜18の整数を示し、1〜10であることが好ましく、2または3であることが特に好ましい。
【0041】
以上説明したような、水溶化リガンドとしては、下記の式(2−1)で表されるメルカプトエタンスルホン酸および式(2−2)で表されるメルカプトプロパンスルホン酸を挙げることができる。
式(2−1):メルカプトエタンスルホン酸(MES)
HS−(CH22−SO3Na+
式(2−2):メルカプトプロパンスルホン酸(MPS)
HS−(CH23−SO3Na+
【0042】
[ナノ粒子表面への表面修飾リガンドの導入]
表面修飾リガンドのナノ粒子への導入方法は、特に限定はないが、ナノ粒子作製時に表面修飾リガンドを添加しても良いし、前記した錯体の熱分解精製物や他の脂溶性化合物と共に加熱しても良い。また、ナノ粒子作製後に表面修飾リガンドと混合し、表面に結合している脂溶性化合物と表面置換により導入しても良い。例えば図1の工程(A)に示すように生体分子との反応性基を有する両親媒性リガンドとナノ粒子を混合・攪拌することにより、ナノ粒子表面へ置換反応により該リガンドを導入することが可能となる。次いで図1の工程(B)に示すように、水溶化向上リガンドを添加・攪拌することによりナノ粒子の水溶性が向上することが可能となる。生体分子との反応性基を有する両親媒性リガンドと水溶化リガンドは逐次反応で導入しても良いし、これらを予め混合した溶液を用いて反応させ、工程(A)と(B)を同時に行うものであっても良い。逐次反応の場合、好ましい形態としては、あらかじめ存在しているナノ粒子表面の脂溶性化合物が示す粒子表面への親和性と比べて、表面修飾リガンドが有する親和性が弱いか同程度の場合は、大過剰に加えればよい。あらかじめ存在している脂溶性化合物が示す粒子表面への親和性よりも、表面修飾リガンドが有する親和性が強い方がよい。
【0043】
[生体分子のナノ粒子への結合]
本発明のナノ粒子には、生体分子を結合させることができる。生体分子としては、ゲノムDNA、RNA等の核酸、タンパク質、ペプチド、糖、脂質、ホルモンなどを挙げることができ、このうち代表的なものは核酸、タンパク質である。
【0044】
生体分子が核酸の場合、核酸の一部に反応性基を導入し、その反応性基とナノ粒子の官能基を反応させることにより核酸への結合が可能となる。例えば、末端アミノ基を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いポリメラーゼチェインリアクション(PCR)反応を行なうことにより、末端アミノ基を有する二本鎖核酸が作製可能である。この核酸の末端アミノ基とナノ粒子に導入したカルボキシル基と縮合反応をさせることにより、核酸へのナノ粒子の結合が可能となる。この縮合反応の縮合剤としては、特に制限はないが、ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−エチル−5−フェニルイソオキサゾリウム−3’−スルホナートなどの様々な縮合剤が用いられている。これらの中でも、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)は、毒性が少ないことや、反応系からの除去が比較的容易なことから、アミン基とカルボキシル基との縮合反応にはもっとも有効な縮合剤の1つである。
【0045】
また生体分子がタンパク質の場合、タンパク質中のリジン残基のアミノ基とナノ粒子中のカルボキシル基と縮合反応させることにより、ナノ粒子とタンパク質を結合することが可能となる。
【0046】
またカルボキシル基誘導体に含まれる、活性エステルをナノ粒子に導入した場合、縮合剤なしでアミノ基と縮合反応を行なうことができる。この活性エステルの例としては、N−ヒドロキシスクシンイミド、p−ニトロフェニル、ペンタフルオロフェニル、およびN−ヒドロキシベンゾトリアゾリルなどが挙げられる。
さらにビオチニル基を有するナノ粒子を用いた場合、アビジン−ビオチン相互作用によりアビジン分子への固定化が可能となる。また、アビジンは1分子に4つ結合部位をもつため、例えば、ビオチニル基を導入した核酸に、まずアビジンを結合させ、さらに、ビオチニル基を有するナノ粒子をアビジンの未結合部位に作用させることにより、核酸をナノ粒子で標識することが可能となる。
【実施例】
【0047】
以下本発明を詳細に説明するため実施例を挙げるが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0048】
実施例1
(InAgSナノ粒子の調製)
内径16mmの試験管にジチオカルバメイト(1.126g)、硝酸銀(0.2124g)と硝酸インジウム三水和物(0.4436g)を純水に加え、30℃に温め、30分間マイクロ攪拌子で攪拌した。攪拌後、卓上小型遠心器(KUBOTA2420、Kubota社製)により、回転速度2500rpmで遠心分離し上澄みを除去、純水で洗浄し、この遠心分離と純水洗浄の操作を4回繰り返した。その後、メタノールで洗浄し遠心分離で上澄みを除去する操作を2回繰り返し、沈殿物をデシケータで一晩乾燥し、金属錯体を得た。次いでこの金属錯体粉末を50mg取り、18mm長の試験管に入れ、セプタムキャップで栓をし、試験管内をアルゴンで三回置換した。この試験管をオイルバスにより180℃で3分間加熱した。次いで、この試験管に液体のオレイルアミンを3ml加え、アルゴン置換した。この試験管をオイルバスにより180℃で3分間加熱し30分間放冷した。得られた懸濁液を遠心分離にかけて上澄みを回収し、0.22μmのメンブレンフィルターでろ過した。ろ液に3mlのメタノールを加え溶液を懸濁させ、遠心分離後に上澄みを回収し、メタノールで洗浄の工程を3回繰り返した。その後、1mlのクロロホルムを加えナノ粒子を溶解させた。
【0049】
(ナノ粒子への表面修飾リガンドの導入)
6種類の表面修飾リガンド、モノチオールアルカンエチレングリコール(末端カルボキシル化SPT0012a;リガンド1、末端スクシンイミド化SPT0012c;リガンド2、末端ビオチン化SPT0012d;リガンド3、いずれも米国センソパステクノロジー社製)、ジチオールリジッドロッドモノディスパースエチレングリコール(末端カルボキシル化ベンゼン環1つSPT0014;リガンド4、米国センソパステクノロジー社製)、短鎖アルカンエチレングリコール(Thiol−dPEG4TM−acid;リガンド5、クウォンタバイオデザイン社製)、ジチオールリジッドロッドモノディスパースエチレングリコール(末端カルボキシル化ベンゼン環1つSPT0015;リガンド6、米国センソパステクノロジー社製)のそれぞれについて、クロロホルム溶液(濃度200μM)を調製した(各リガンドの構造は表1参照)。6つのサンプル瓶と、それぞれナノ粒子のクロロホルム溶液200μlに、上記6種類のリガンド溶液100μlをそれぞれ加え、マイクロ攪拌子で16時間攪拌した。
【0050】
【表1】

【0051】
次いで、400μlのプロパノール、400μlの純水を加え、16時間攪拌した。その後、反応液をエッペンチューブに移し、遠心分離を12000rpm、12分間行い、上澄みを除去し、クロロホルムで残渣を洗浄し、2000μlの純水に溶解させた。
【0052】
(水溶化ナノ粒子の吸光度測定)
ナノ粒子の水溶化を確認するため、ナノ粒子水溶液の光吸収を測定した。測定は紫外・可視分光光度計(UV−1650PC、島津製作所製)を用い、光路長1cmのセルを用いて行なった。波長543nmにおける吸光度を測定した結果を表2に示す。6種類のリガンド1〜6すべてにおいて、ナノ粒子に起因する波長543nmの吸収が観察されたことから、6種類すべてにおいて、ナノ粒子は水溶化が可能であることが示された。
【0053】
【表2】

【0054】
(ナノ粒子への水溶化リガンドの導入)
6種類のリガンド1から6の導入されたナノ粒子を、上記と同様の手順で作製した。次いで、400μlのプロパノール、400μlの1Mメルカプトエタンスルホン酸ナトリウム塩(MES、東京化成社製、MESの構造は表3参照)水溶液を加え、16時間攪拌した。その後、反応液をエッペンチューブに移し、卓上遠心器(CFM−200、IWAKI社製)を用い、回転数12000rpmで遠心分離を12分間行い、上澄みを除去し、クロロホルムで残渣を洗浄し、2000μlの純水に溶解させた。これらナノ粒子の水溶液を紫外・可視分光光度計により、波長543nmにおける吸光度を測定した。その結果を表4に示す。
【0055】
【表3】

【0056】
【表4】

【0057】
この結果、表4から明らかな通り6種類のリガンドすべてにおいて、MESでさらに表面修飾することにより、水溶化ナノ粒子に起因する波長543nmの吸光度が増加した。このことから、ナノ粒子に対し、生体分子との反応性基を有する両親媒性リガンドによる修飾に加え、さらに水溶化リガンドによる修飾を行うことにより、水溶性が向上することが分かる。
【0058】
(ナノ粒子水溶液の蛍光強度測定)
水溶化したナノ粒子の発光能を確認するために、水溶液中のナノ粒子の発光強度の測定を行なった。測定は蛍光分光測定装置(FluoroMax−3、Horiba社製)を用い、4mm角のセルを用いて行なった。スリット幅は3nm、励起波長は543nmとし、波長750nmの蛍光強度(発光強度)を測定した。表5に上記リガンド1から6で表面修飾後のナノ粒子水溶液を用いて蛍光測定を行なった際の、750nmの波長の蛍光強度を示す。ここから、いずれの水溶化ナノ粒子も発光能を有していることが示された。また、表6にリガンド1から6で表面修飾およびMESで表面処理後の750nmの波長の蛍光強度を示す。これらの結果から、生体分子との反応性基を有する両親媒性リガンドで表面修飾すると、発光能を保持できること、さらに水溶化リガンドで表面処理後も発光能を保持していることが示された。
【0059】
【表5】

【0060】
【表6】

【0061】
実施例2
(ZnInAgSナノ粒子の調製)
内径16mmの試験管にジチオカルバメイト(1.126g)、硝酸亜鉛六水和物(0.104g)、硝酸銀(0.1826g)と硝酸インジウム三水和物(0.3815g)を用いて、実施例1と同様の手順でナノ粒子の調製を行ない、1mlのナノ粒子のクロロホルム溶液を得た。
【0062】
(ナノ粒子への表面修飾リガンドの導入)
ZnInAgSナノ粒子のクロロホルム溶液を用いて実施例1と同様の手順で、ナノ粒子表面へのリガンド1〜6の導入および純水への水溶化を行なった。さらに水溶化リガンドMES導入によるナノ粒子の水溶化後、実施例1と同様の手順で、リガンド1〜6で表面修飾後のナノ粒子の水溶液、および、リガンド1〜6およびMESで表面修飾後のナノ粒子水溶液の波長543nmの吸光度および波長700nmの発光強度の測定を行なった。吸光度および発光強度の結果をそれぞれ表2および表5に示す。ここからZnInAgSナノ粒子を用いた場合においても、リガンド1〜6すべてにおいて、発光能を保持したままでの水溶化が可能であることが示された。さらに、リガンド1〜6で表面修飾および水溶化リガンドで表面処理後、ナノ粒子を純水へ溶解した水溶液の波長543nmの吸光度を表4に、波長700nmの蛍光強度を表6に示す。これらの結果から、生体分子との反応性基を有する両親媒性リガンドで表面修飾すると、発光能を保持しつつ水溶化できること、さらに水溶化リガンドで表面修飾後も発光能を保持したままでさらに水溶化が可能であり、かつ、水溶化リガンドで表面修飾することにより、ナノ粒子の水溶化効率が向上していることが示された。
【0063】
実施例3
水溶化向上リガンドとしてメルカプトプロパンスルホン酸(MPS、東京化成社製、表3参照)を用いた。5.346gのMPSを30mlの純水に溶解した。
【0064】
実施例2と同様の手順でZnAgInSナノ粒子作製およびリガンド1の導入を行なった。次いで、400μlのプロパノール、400μlの1MのMPS水溶液を加え16時間攪拌した。その後、反応液をエッペンチューブに移し、遠心分離を12000rpm、12分間行い、上澄みを除去し、クロロホルムで残渣を洗浄し、2000μlの純水に溶解させた。その後このナノ粒子水溶液の波長543nmの吸光度および波長543nmで励起時の700nmの発光強度を表7に示す。ここから水溶化リガンドとしてMESを用いたときとほぼ同等の吸光度および発光強度が得られた。(表4および表6との比較)
【0065】
【表7】

【0066】
比較例1
11−メルカプトウンデカン酸〔MUA〕(HS−(CH210−COOH、リガンド7、シグマ社製)0.0131gを300mlのクロロホルムに溶解し、濃度200μMとした。
【0067】
このリガンド7のクロロホルム溶液100μlに、ナノ粒子のクロロホルム溶液200μlを加え、マイクロ攪拌子で16時間攪拌した。次いで、400μlのプロパノール、400μlの純水を加え、2時間攪拌した。その後、反応液をエッペンチューブに移し、遠心分離を12000rpm、12分間行い、上澄みを除去し、クロロホルムで残渣を洗浄し、2000μlの純水に溶解させた。表8に得られたナノ粒子水溶液の波長543nmにおける吸光度を示す。
【0068】
【表8】

【0069】
ここからMUAで被覆されたナノ粒子は殆ど水溶化しないことが示された。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、表面修飾リガンドを用いたナノ粒子表面の修飾の説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜鉛、周期表第11族元素および周期表第13族元素を含む硫化物もしくは酸化物を成分とするか、又は周期表第11族元素及び周期表第13族を含む硫化物もしくは酸化物を成分とするナノ粒子であり、該ナノ粒子の表面に、
一般式(1)
(R1−X)p−(Y)q−(OCH2CH2m−R2
(式中、R1は含窒素官能基または含硫黄官能基を、R2は核酸及びタンパク等の生体分子に対し結合能を有する反応性基を含む官能基を、Xはへテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を、Yは2価の連結基をそれぞれ示す。pは1または2、qは0または1、mは1〜6の整数をそれぞれ示す。)
で表される化合物1を含むナノ粒子。
【請求項2】
一般式(1)のR1がメルカプト基、ジチオカルボキシル基、およびアミノ基からなる群の少なくとも一つを含む置換基である請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項3】
一般式(1)のR2がカルボキシル基、カルボキシル基誘導体、ビオチニル基及びビオチニル基を含む官能基からなる群の少なくとも一つを含む置換基である請求項1または2に記載のナノ粒子。
【請求項4】
一般式(1)のXがアミド結合を有してもよい飽和脂肪族炭化水素基である請求項1から3のいずれかに記載のナノ粒子。
【請求項5】
一般式(1)のXが−(CH211−か、または−(CH210−CONH−(CH22−である請求項1から3のいずれかに記載のナノ粒子。
【請求項6】
一般式(1)のmが3〜6である請求項1から4のいずれかに記載のナノ粒子。
【請求項7】
前記周期表第13族元素はインジウムである請求項1から6のいずれかに記載のナノ粒子。
【請求項8】
前記周期表第11族元素は銀である請求項1から7のいずれかに記載のナノ粒子。
【請求項9】
前記ナノ粒子の表面に、
一般式(2)
3−(CH2)n−R4
(式中、Rは含窒素官能基または含硫黄官能基を、Rはイオン性官能基を、nは1〜11の整数をそれぞれ示す。)
で表される化合物2を含む請求項1から8のいずれかに記載のナノ粒子。
【請求項10】
一般式(2)におけるR3がメルカプト基、ピリジルチオ基、ジチオカルボキシル基、およびアミノ基からなる群の少なくとも一項から選択される請求項1から9のいずれかに記載のナノ粒子。
【請求項11】
一般式(2)におけるnが2もしくは3、R4がSO3またはN(CH33である請求項1から10のいずれかに記載のナノ粒子。
【請求項12】
亜鉛、周期表第11族元素および周期表第13族元素を含む硫化物もしくは酸化物を成分とするか、又は周期表第11属元素および周期表第13族元素を含む硫化物若しくは酸化物を成分とするナノ粒子に、
一般式(1)
(R1−X)p−(Y)q−(OCH2CH2)m−R2
(式中、R1は含窒素官能基または含硫黄官能基を、R2は核酸及びタンパク等の生体分子に対し結合能を有する反応性基を含む官能基を、Xはへテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を、Yは2価の連結基をそれぞれ示す。pは1または2、qは0または1、mは1〜6の整数をそれぞれ示す。)
で表される化合物1を反応させる工程を含むナノ粒子の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載のナノ粒子の製造方法においてさらに、
一般式(2)
3−(CH2)n−R4
(式中、Rは含窒素官能基または含硫黄官能基を、R4はイオン性官能基を、nは1〜10の整数をそれぞれ示す。)で表される化合物2を反応させる工程、
を含むナノ粒子の製造方法。
【請求項14】
一般式(2)のnが2または3、R4がSO3またはN(CH33+である請求項13に記載のナノ粒子の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−216603(P2009−216603A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−61725(P2008−61725)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【Fターム(参考)】