説明

生体情報取得システム

【課題】生体情報取得装置の起動及び停止に係る切り替えを確実に行わせることが可能な生体情報取得システムを提供する。
【解決手段】本発明の生体情報取得システムは、生体情報取得装置と、生体情報取得装置の長軸方向を垂直方向として配置することが可能な起動制御信号出力装置とを有し、生体情報取得装置は、電磁界を遮断する電源部と、電源部に近接して配置された起動制御信号受信部と、起動制御信号の受信に伴って駆動電力の供給状態を切り替える電力供給制御部とを有し、起動制御信号出力装置は、起動制御信号を送信する起動制御信号送信部と、生体情報取得装置が起動制御信号出力装置に配置された際に、相互に異なる平面上に起動制御信号送信部と起動制御信号受信部とが位置し、かつ、電源部に比べて起動制御信号送信部に近接した位置に起動制御信号受信部が位置するように位置決めを行う位置決め部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報取得システムに関し、特に、生体内の情報を取得可能な生体情報取得システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療分野における内視鏡は、生体内部の観察等の用途において従来用いられている。そして、前述した内視鏡の種類の1つとして、被検者が嚥下することにより体腔内に配置され、蠕動運動に伴って該体腔内を移動しつつ被写体の像を撮像し、撮像した該被写体の像を撮像信号として外部に無線伝送可能なカプセル型内視鏡が近年提案されている。
【0003】
そして、前述したカプセル型内視鏡と略同様の構成を有するものとしては、例えば、特許文献1に開示されているようなものがある。
【0004】
具体的には、特許文献1には、カプセル型内視鏡の外部から交流磁界を照射することにより、該カプセル型内視鏡の起動及び停止に係る切り替えを行うことが可能な構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的なカプセル型内視鏡によれば、被検者が嚥下可能な程度に容積が限られる関係上、例えばボタン型電池のような、小型な内蔵電源を有して構成されることが多い。
【0006】
一方、特許文献1に開示されたような構成のカプセル型内視鏡によれば、被検者が嚥下可能な程度に容積が限られる関係上、外部からの磁界を受信する受信アンテナと、内蔵電源(電源部)とを互いに近接して配置せざるを得ない。
【0007】
そのため、特許文献1に開示されたような構成のカプセル型内視鏡において、内蔵電源が交流磁界を遮断する構成を備えている場合には、受信アンテナにおいて受信される磁界の強度が低下してしまうことにより、外部から交流磁界を照射してもカプセル型内視鏡の起動状態が切り替わらない、という現象が発生してしまう場合がある。特に、例えばボタン型電池を内蔵電源(電源部)として用いた場合には、ボタン型電池の外装材が金属であることから、前述の現象が発生し易くなると考えられる。しかし、特許文献1には、このようなことに関して何ら言及されていない。
【0008】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、生体情報取得装置の起動状態を切り替えるための信号を受信するアンテナと、該信号を遮断する物体とが互いに近接して配置された場合であっても、該生体情報取得装置の起動及び停止に係る切り替えを確実に行わせることが可能な生体情報取得システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の生体情報取得システムは、生体内部の情報を取得する生体情報取得部を備えた生体情報取得装置と、前記生体情報取得装置の長軸方向を垂直方向として配置することが可能な構成を備え、前記生体情報取得装置を起動または停止させるための起動制御信号を送信する起動制御信号出力装置と、を有する生体情報取得システムであって、前記生体情報取得装置は、前記生体情報取得部を駆動するための駆動電力を供給可能であるとともに、電磁界を遮断する構成を備えた電源部と、前記電源部に近接して配置された起動制御信号受信部と、前記起動制御信号受信部において前記起動制御信号が受信された際に、前記電源部から前記生体情報取得部への前記駆動電力の供給状態を切り替える電力供給制御部と、を有し、前記起動制御信号出力装置は、前記起動制御信号を送信する1または複数の起動制御信号送信部と、前記生体情報取得装置が前記起動制御信号出力装置に配置された際に、前記長軸方向に垂直な相互に異なる平面上に前記起動制御信号送信部と前記起動制御信号受信部とが位置し、かつ、前記電源部に比べて前記起動制御信号送信部に近接した位置に前記起動制御信号受信部が位置するように位置決めを行う位置決め部と、を有する。
【0010】
本発明の生体情報取得システムは、生体内部の情報を取得する生体情報取得部を備えた生体情報取得装置と、前記生体情報取得装置の長軸方向を垂直方向として配置することが可能な構成を備え、前記生体情報取得装置を起動または停止させるための起動制御信号を送信する起動制御信号出力装置と、を有する生体情報取得システムであって、前記生体情報取得装置は、前記生体情報取得部を駆動するための駆動電力を供給可能であるとともに、電磁界を遮断する構成を備えた電源部と、前記電源部に近接して配置された起動制御信号受信部と、前記起動制御信号受信部において前記起動制御信号が受信された際に、前記電源部から前記生体情報取得部への前記駆動電力の供給状態を切り替える電力供給制御部と、を有し、前記起動制御信号出力装置は、前記起動制御信号を送信する2つの起動制御信号送信部と、前記生体情報取得装置が前記起動制御信号出力装置に配置された際に、前記長軸方向に垂直な相互に異なる平面上に第1の前記起動制御信号送信部と第2の前記起動制御信号送信部と前記起動制御信号受信部とが位置し、かつ、第1の前記起動制御信号送信部及び第2の前記起動制御信号送信部の間に前記起動制御信号受信部が位置するように位置決めを行う位置決め部と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明における生体情報取得システムによれば、生体情報取得装置の起動状態を切り替えるための信号を受信するアンテナと、該信号を遮断する物体とが互いに近接して配置された場合であっても、該生体情報取得装置の起動及び停止に係る切り替えを確実に行わせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例に係る生体情報取得システムの外観構成の一例を示す図。
【図2】カプセル型内視鏡の構成を模式的に示す図。
【図3】カプセル型内視鏡の具体的な回路構成の一例を示す図。
【図4】磁界発生装置の具体的な回路構成の一例を示す図。
【図5】磁界発生装置の断面構造を説明するための図。
【図6】本発明の実施例に係る生体情報取得システムにおいて、磁界発生装置にカプセル型内視鏡が配置された場合の要部の位置関係を説明するための図。
【図7】本発明の実施例の第1の変形例に係る生体情報取得システムにおいて、磁界発生装置にカプセル型内視鏡が配置された場合の要部の位置関係を説明するための図。
【図8】本発明の実施例の第2の変形例に係る生体情報取得システムにおいて、磁界発生装置にカプセル型内視鏡が配置された場合の要部の位置関係を説明するための図。
【図9】本発明の実施例の第3の変形例に係る生体情報取得システムにおいて、磁界発生装置にカプセル型内視鏡が配置された場合の要部の位置関係を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明を行う。
【0014】
図1から図9は、本発明の実施例に係るものである。
【0015】
本実施例の生体情報取得システム1は、図1に示すように、生体内部に配置可能な寸法及び形状等を有して構成されたカプセル型内視鏡10と、カプセル型内視鏡10に対して交流磁界による起動制御信号を送信する磁界発生装置20と、を有している。
【0016】
磁界発生装置20の筐体25には、カプセル型内視鏡10の長軸方向を垂直方向として挿入配置して固定することが可能な穴である凹部21と、凹部21に配置されたカプセル型内視鏡10に対する起動制御信号の送信開始及び送信停止を切り替えることが可能なスイッチ22と、が設けられている。
【0017】
次に、生体情報取得装置としてのカプセル型内視鏡10の具体的な構成例について説明する。
【0018】
カプセル型内視鏡10は、図2に示すように、照明部11、撮像部12、無線伝送部13、電池14、及び、磁界検出部15を、細長のカプセル形状に形成された筐体16の内部に有して構成されている。
【0019】
筐体16の撮像部12側の端部16Aは、透明材料を用いてドーム形状に形成されている。また、筐体16の中央の円筒部16Bは、遮光性材料を用いて形成されている。さらに、筐体16の撮像部12と反対側の端部16Cは、遮光性材料を用いてドーム形状に形成されている。
【0020】
一方、カプセル型内視鏡10は、例えば図3に示すように、生体内部の被写体を照明する照明部11と、照明部11により照明された被写体を結像する図示しない対物光学系と、該対物光学系により結像された被写体を撮像して撮像信号を出力する撮像素子等を備えた撮像部12と、撮像部12から出力される撮像信号を無線信号に変換して外部へ出力する無線伝送部13と、を具備する生体情報取得部17を内蔵している。
【0021】
さらに、カプセル型内視鏡10は、例えば図3に示すように、磁界検出部15からの出力信号が入力される2分周回路18と、2分周回路18からの出力信号に応じて電池14から生体情報取得部17を構成する各部への電力供給状態を切り替えるスイッチ部19と、を内蔵している。
【0022】
電池14は、生体情報取得部17の駆動に用いられる電力を供給可能な構成を有している。また、電池14は、例えば金属等の外装材を用いて構成されており、すなわち、電磁界を遮断する構成を備えている。なお、本実施例においては、電池14がボタン電池である場合を例に挙げて説明を進めるものとする。
【0023】
磁界検出部15は、例えば図3に示すように、受信アンテナ部35と、受信アンテナ部35からの出力信号を整流して2分周回路18へ出力する整流回路36と、を有して構成されている。
【0024】
受信アンテナ部35は、二次側コイル35A及び二次側コンデンサ35Bを具備する共振回路として構成されている。なお、前記共振回路の共振周波数は、磁界発生装置20からの起動制御信号の周波数と同じになるように予め調整されている。なお、本実施例においては、二次側コイル35Aが、カプセル型内視鏡10の電池14に近接した位置に配置され、カプセル型内視鏡10の長軸方向に対して垂直な平面上にコイル面が設けられた、ドーナツ形状の平面コイルである場合を例に挙げて説明を進めるものとする。
【0025】
2分周回路18は、例えばD型フリップフロップ回路により構成され、入力された電気信号を2分周してスイッチ部19へ出力する。
【0026】
スイッチ部19は、例えば、ソースが電池14に接続され、ゲートが2分周回路18の出力端側に接続され、ドレインが生体情報取得部17の各部に接続されたPチャネル型FETにより構成されている。
【0027】
以上に述べたカプセル型内視鏡10の構成によれば、外部からの交流磁界による起動制御信号が受信アンテナ部35において受信されると、電磁誘導作用に伴う交流電流が二次側コイル35Aに発生する。そして、受信アンテナ部35が受電した起動制御信号に応じた交流電流は、整流回路36により整流された後、直流の電気信号として2分周回路18へ供給される。
【0028】
ここで、スイッチ部19がオフしていると仮定した場合、磁界検出部15における交流磁界の検出(受電)に伴い、2分周回路18の入力端側のノードN1のレベルが受電電圧レベルになる。その後、ノードN1のレベルが2分周回路18の閾値を超えると、2分周回路18の出力端側のノードN2が接地電圧レベルへ遷移し、スイッチ部19がオフからオンへ切り替わる。そして、スイッチ部19がオフからオンへ切り替わることに伴い、電池14から生体情報取得部17への電力供給が開始される。
【0029】
また、スイッチ部19がオンしていると仮定した場合、磁界検出部15における交流磁界の検出(受電)に伴い、2分周回路18の入力端側のノードN1のレベルが受電電圧レベルになる。その後、ノードN1のレベルが2分周回路18の閾値を超えると、2分周回路18の出力端側のノードN2が電源電圧レベルへ遷移し、スイッチ部19がオンからオフへ切り替わる。そして、スイッチ部19がオンからオフへ切り替わることに伴い、電池14から生体情報取得部17への電力供給が停止される。
【0030】
すなわち、以上に述べたカプセル型内視鏡10の構成によれば、磁界検出部15において一回磁界が検出される毎に、スイッチ部19のオンオフが切り替えられる。また、2分周回路18は、スイッチ部19の状態保持部として機能する。なお、2分周回路18は、D型フリップフロップ回路により構成されるものに限らず、入力信号を2分周できる回路であれば、T型フリップフロップ回路等より構成されるものであってもよい。
【0031】
続いて、磁界発生装置20の具体的な構成例について説明する。
【0032】
磁界発生装置20は、図4に示すように、交流磁界による起動制御信号を発生する磁界発生部42と、磁界発生部42を駆動する磁界発生制御部49と、電源部41と、スイッチ22と、を有して構成されている。
【0033】
磁界発生部42は、一次側コイル44及び一次側コンデンサ43を具備する共振回路として構成されている。なお、本実施例においては、一次側コイル44が、例えば図5に示すように、筐体25の内部における凹部21の周囲に配置され、凹部21に挿入配置されたカプセル型内視鏡10の長軸方向に対して垂直な平面上にコイル面が設けられた、ドーナツ形状の平面コイルである場合を例に挙げて説明を進めるものとする。
【0034】
磁界発生制御部49は、発振器45と、発振器45からの信号を所定の周波数に変換する等の処理を行うタイミング生成部46と、該所定の周波数の信号により磁界発生部42を駆動するドライバ47と、を有している。なお、本実施例において、前記所定の周波数は、受信アンテナ部35の共振回路の共振周波数と同じ周波数であるとする。
【0035】
スイッチ22は、操作者の操作に応じて電源部41から磁界発生制御部49への電力供給状態を切り替えることが可能な、例えば押しボタンスイッチとして構成されている。
【0036】
すなわち、以上に述べた磁界発生装置20の構成によれば、操作者の操作によりスイッチ22がオフからオンへ切り替えられることに伴い、電源部41から磁界発生制御部49への電力の供給が開始され、磁界発生部42の一次側コイル44における所定の周波数の交流磁界の発生(起動制御信号の送信)が開始される。また、以上に述べた磁界発生装置20の構成によれば、操作者の操作によりスイッチ22がオンからオフへ切り替えられることに伴い、電源部41から磁界発生制御部49への電力の供給が停止され、磁界発生部42の一次側コイル44における所定の周波数の交流磁界の発生(起動制御信号の送信)が停止される。
【0037】
次に、本実施例の作用について説明を行う。
【0038】
まず、ユーザは、図示しないパッケージ等からカプセル型内視鏡10を取り出した後、カプセル型内視鏡10を磁界発生装置20の凹部21に挿入配置する。これにより、磁界発生装置20におけるカプセル型内視鏡10の配置状態が、例えば図6に示すように、カプセル型内視鏡10の長軸方向を垂直方向とした状態として固定される。
【0039】
そして、磁界発生装置20におけるカプセル型内視鏡10の配置状態が固定されるに伴い、磁界発生装置20の一次側コイル44と、カプセル型内視鏡10の二次側コイル35Aとの位置関係が決定する。すなわち、磁界発生装置20の凹部21は、磁界発生装置20の一次側コイル44と、カプセル型内視鏡10の二次側コイル35Aとの位置決めを行う位置決め部としての機能を有している。
【0040】
ここで、カプセル型内視鏡10に内蔵された電池14及び二次側コイル35Aが、例えば図6に示すような位置関係を備えて配置されている場合について考える。
【0041】
このような場合においては、図6に示すように、凹部21に挿入配置されたカプセル型内視鏡10の二次側コイル35Aが、磁界発生装置20の一次側コイル44の上方に配置される。そして、このような配置により、二次側コイル35Aのコイル面と一次側コイル44のコイル面とが平行な位置関係になる。換言すると、一次側コイル44のコイル面と二次側コイル35Aのコイル面とが、カプセル型内視鏡10の長軸方向に垂直な相互に異なる平面上に位置するような位置関係となる。
【0042】
また、前述のような場合においては、図6に示すように、凹部21に挿入配置されたカプセル型内視鏡10の電池14が、二次側コイル35Aに比べて一次側コイル44からさらに上方に離れた位置に配置される。
【0043】
一方、ユーザは、カプセル型内視鏡10を磁界発生装置20の凹部21に挿入配置した後、スイッチ22をオフからオンへ切り替えることにより、一次側コイル44から交流磁界を発生させる。
【0044】
図6に示すように挿入配置されたカプセル型内視鏡10に対し、磁界発生装置20の一次側コイル44から交流磁界が発せられると、該交流磁界の一部が電池14により遮られる。その一方で、図6に示すようにカプセル型内視鏡10が挿入配置されると、電池14に比べて一次側コイル44に近接した位置に二次側コイル35Aが配置されるため、二次側コイル35Aにおいて検出される磁界成分については、電池14による電磁界の遮断の影響をほぼ受けない。
【0045】
そして、磁界発生装置20の一次側コイル44から発せられた交流磁界がカプセル型内視鏡10の二次側コイル35Aにおいて検出されると、スイッチ部19がオフからオンへ切り替わることにより、電池14から生体情報取得部17への電力供給が開始され、カプセル型内視鏡10が起動する。
【0046】
なお、以上に述べたような、スイッチ部19をオフからオンに切り替えてカプセル型内視鏡10を起動させる際の手順及び動作等は、スイッチ部19をオンからオフに切り替えてカプセル型内視鏡10を停止させる際の手順及び動作等として略同様に適用できる。
【0047】
以上に述べたように、本実施例によれば、磁界発生装置20から発せられる交流磁界(起動制御信号)を検出(受信)する二次側コイル35Aと、電磁界を遮断する構成を備えた電池14とが互いに近接して配置された場合であっても、カプセル型内視鏡10の起動及び停止に係る切り替えを確実に行わせることができる。
【0048】
ところで、以上に述べた実施例によれば、前述の効果と略同一の効果を得ることが可能な種々の変形例が考えられる。そのため、以降においては、このような種々の変形例についての説明を行う。なお、以降においては、説明の簡単のため、既に述べたものと同じ構成要素等に関する詳細な説明を適宜省略する。
【0049】
本実施例における第1の変形例に係る生体情報取得システム1Aは、図7に示すように、電池14と二次側コイル35Aとの位置関係が上下逆転したカプセル型内視鏡10Aと、磁界発生装置20Aと、を有している。
【0050】
磁界発生装置20Aは、磁界発生装置20における凹部21の代わりに、筐体25に凹部21Aを設けて構成されている。また、凹部21Aは、磁界発生装置20の凹部21に比べ、筐体25の垂直方向に向かって深い位置に底面が形成された穴として形成されている。
【0051】
そのため、カプセル型内視鏡10Aが磁界発生装置20Aの凹部21Aに挿入配置されると、図7に示すように、一次側コイル44の下方に二次側コイル35Aが配置され、二次側コイル35Aに比べて一次側コイル44からさらに下方に離れた位置に電池14が配置され、二次側コイル35Aのコイル面と一次側コイル44のコイル面とが平行な位置関係になる。換言すると、一次側コイル44のコイル面と二次側コイル35Aのコイル面とが、カプセル型内視鏡10の長軸方向に垂直な相互に異なる平面上に位置するような位置関係となる。
【0052】
そして、カプセル型内視鏡10Aが磁界発生装置20Aの凹部21Aに挿入配置された場合であっても、電池14に比べて一次側コイル44に近接した位置に二次側コイル35Aが配置されるため、二次側コイル35Aにおいて検出される磁界成分については、電池14による電磁界の遮断の影響をほぼ受けない。
【0053】
以上に述べたように、本実施例の第1の変形例によれば、磁界発生装置20Aから発せられる交流磁界(起動制御信号)を検出(受信)する二次側コイル35Aと、電磁界を遮断する構成を備えた電池14とが互いに近接して配置された場合であっても、カプセル型内視鏡10Aの起動及び停止に係る切り替えを確実に行わせることができる。
【0054】
本実施例における第2の変形例に係る生体情報取得システム1Bは、図8に示すように、カプセル型内視鏡10と、磁界発生装置20Bと、を有している。
【0055】
磁界発生装置20Bは、磁界発生装置20における一次側コイル44の代わりに、一次側コイル44A及び44Bを設けて構成されている。
【0056】
一次側コイル44A及び44Bは、筐体25の内部における凹部21の近傍であって、凹部21を挟んで対称となる位置に1つずつ配置されている。また、一次側コイル44A及び44Bは、凹部21に挿入配置されたカプセル型内視鏡10の長軸方向に対して垂直な同一の平面上にコイル面が設けられた、ドーナツ形状の平面コイルとして構成されている。なお、本変形例の一次側コイル44A及び44Bは、それぞれ同じ方向に電流が流れるように駆動されるものとする。
【0057】
そのため、カプセル型内視鏡10が磁界発生装置20Bの凹部21に挿入配置されると、図8に示すように、一次側コイル44の上方に二次側コイル35Aが配置され、二次側コイル35Aに比べて一次側コイル44からさらに上方に離れた位置に電池14が配置され、二次側コイル35Aのコイル面と一次側コイル44A及び44Bのコイル面とがそれぞれ平行な位置関係になる。換言すると、一次側コイル44A及び44Bのコイル面と二次側コイル35Aのコイル面とが、カプセル型内視鏡10の長軸方向に垂直な相互に異なる平面上に位置するような位置関係となる。
【0058】
そして、カプセル型内視鏡10が磁界発生装置20Bの凹部21に挿入配置された場合であっても、電池14に比べて一次側コイル44A及び44Bに近接した位置に二次側コイル35Aが配置されるため、二次側コイル35Aにおいて検出される磁界成分については、電池14による電磁界の遮断の影響をほぼ受けない。
【0059】
なお、本実施例の磁界発生装置20Bは、2つの一次側コイルを有して構成されるものに限らず、3つ以上の一次側コイルを有して構成されるものであってもよい。
【0060】
以上に述べたように、本実施例の第2の変形例によれば、磁界発生装置20Bから発せられる交流磁界(起動制御信号)を検出(受信)する二次側コイル35Aと、電磁界を遮断する構成を備えた電池14とが互いに近接して配置された場合であっても、カプセル型内視鏡10の起動及び停止に係る切り替えをより確実に行わせることができる。
【0061】
本実施例における第3の変形例に係る生体情報取得システム1Cは、図9に示すように、カプセル型内視鏡10と、磁界発生装置20Cと、を有している。
【0062】
磁界発生装置20Cは、磁界発生装置20における凹部21の代わりに凹部21Aを設け、さらに、一次側コイル44Cを有して構成されている。
【0063】
一次側コイル44Cは、筐体25の内部における凹部21Aの周囲であって、一次側コイル44から筐体25の下方へ向かって所定の距離だけ離れた位置に配置されている。また、一次側コイル44Cは、凹部21Aに挿入配置されたカプセル型内視鏡10の長軸方向に対して垂直な平面上にコイル面が設けられた、ドーナツ形状の平面コイルとして構成されている。なお、本変形例の一次側コイル44及び44Cは、それぞれ同じ方向に電流が流れるように駆動されるものとする。
【0064】
そのため、カプセル型内視鏡10が磁界発生装置20Cの凹部21Aに挿入配置されると、図9に示すように、一次側コイル44のコイル面と一次側コイル44Cのコイル面との間において、これら2つのコイル面と平行な位置関係となるように二次側コイル35Aのコイル面が配置される。換言すると、一次側コイル44のコイル面と、一次側コイル44Cのコイル面と、二次側コイル35Aのコイル面とが、カプセル型内視鏡10の長軸方向に垂直な相互に異なる平面上に位置するような位置関係となる。
【0065】
そして、カプセル型内視鏡10が磁界発生装置20Cの凹部21Aに挿入配置された場合においては、電池14に比べて一次側コイル44Cに近接した位置に二次側コイル35Aが配置されるため、二次側コイル35Aにおいて検出される磁界成分については、電池14による電磁界の遮断の影響をほぼ受けない。
【0066】
以上に述べたように、本実施例の第3の変形例によれば、磁界発生装置20Cから発せられる交流磁界(起動制御信号)を検出(受信)する二次側コイル35Aと、電磁界を遮断する構成を備えた電池14とが互いに近接して配置された場合であっても、カプセル型内視鏡10の起動及び停止に係る切り替えをより確実に行わせることができる。
【0067】
なお、以上に述べた実施例によれば、一次側コイル及び二次側コイルがいずれも平面コイルとして構成されるものに限らず、他の形状のコイル等により構成されるものであってもよい。
【0068】
本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更や応用が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0069】
1,1A,1B,1C 生体情報取得システム
10,10A カプセル型内視鏡
11 照明部
12 撮像部
13 無線伝送部
14 電池
15 磁界検出部
17 生体情報取得部
18 2分周回路
19 スイッチ部
20,20A,20B,20C 磁界発生装置
21,21A 凹部
22 スイッチ
35 受信アンテナ部
36 整流回路
41 電源部
42 磁界発生部
49 磁界発生制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】
【特許文献1】特開2009−89907号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内部の情報を取得する生体情報取得部を備えた生体情報取得装置と、前記生体情報取得装置の長軸方向を垂直方向として配置することが可能な構成を備え、前記生体情報取得装置を起動または停止させるための起動制御信号を送信する起動制御信号出力装置と、を有する生体情報取得システムであって、
前記生体情報取得装置は、
前記生体情報取得部を駆動するための駆動電力を供給可能であるとともに、電磁界を遮断する構成を備えた電源部と、
前記電源部に近接して配置された起動制御信号受信部と、
前記起動制御信号受信部において前記起動制御信号が受信された際に、前記電源部から前記生体情報取得部への前記駆動電力の供給状態を切り替える電力供給制御部と、を有し、
前記起動制御信号出力装置は、
前記起動制御信号を送信する1または複数の起動制御信号送信部と、
前記生体情報取得装置が前記起動制御信号出力装置に配置された際に、前記長軸方向に垂直な相互に異なる平面上に前記起動制御信号送信部と前記起動制御信号受信部とが位置し、かつ、前記電源部に比べて前記起動制御信号送信部に近接した位置に前記起動制御信号受信部が位置するように位置決めを行う位置決め部と、を有する
ことを特徴とする生体情報取得システム。
【請求項2】
前記位置決め部は、前記生体情報取得装置の長軸方向を垂直方向として挿入配置することが可能な凹部として形成されることを特徴とする請求項1に記載の生体情報取得システム。
【請求項3】
前記位置決め部は、前記生体情報取得装置が前記起動制御信号出力装置に配置された際に、前記起動制御信号送信部に設けられた一次側コイルのコイル面と、前記起動制御信号受信部に設けられた二次側コイルのコイル面とが平行な位置関係になるように位置決めを行うことを特徴とする請求項1に記載の生体情報取得システム。
【請求項4】
生体内部の情報を取得する生体情報取得部を備えた生体情報取得装置と、前記生体情報取得装置の長軸方向を垂直方向として配置することが可能な構成を備え、前記生体情報取得装置を起動または停止させるための起動制御信号を送信する起動制御信号出力装置と、を有する生体情報取得システムであって、
前記生体情報取得装置は、
前記生体情報取得部を駆動するための駆動電力を供給可能であるとともに、電磁界を遮断する構成を備えた電源部と、
前記電源部に近接して配置された起動制御信号受信部と、
前記起動制御信号受信部において前記起動制御信号が受信された際に、前記電源部から前記生体情報取得部への前記駆動電力の供給状態を切り替える電力供給制御部と、を有し、
前記起動制御信号出力装置は、
前記起動制御信号を送信する2つの起動制御信号送信部と、
前記生体情報取得装置が前記起動制御信号出力装置に配置された際に、前記長軸方向に垂直な相互に異なる平面上に第1の前記起動制御信号送信部と第2の前記起動制御信号送信部と前記起動制御信号受信部とが位置し、かつ、第1の前記起動制御信号送信部及び第2の前記起動制御信号送信部の間に前記起動制御信号受信部が位置するように位置決めを行う位置決め部と、を有する
ことを特徴とする生体情報取得システム。
【請求項5】
前記位置決め部は、前記生体情報取得装置の長軸方向を垂直方向として挿入配置することが可能な凹部として形成されることを特徴とする請求項4に記載の生体情報取得システム。
【請求項6】
前記位置決め部は、前記生体情報取得装置が前記起動制御信号出力装置に配置された際に、第1の前記起動制御信号送信部に設けられた一次側コイルのコイル面と、第2の前記起動制御信号送信部に設けられた一次側コイルのコイル面と、前記起動制御信号受信部に設けられた二次側コイルのコイル面と、がそれぞれ平行な位置関係になるように位置決めを行うことを特徴とする請求項4に記載の生体情報取得システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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