説明

生体情報検出体及びベッド装置

【課題】誤検出を少なくできる生体情報検出体を提供することを解決すべき課題とする。
【解決手段】圧力による歪みを検出する検出部10と、圧力検出方向Kからの圧力により弾性変形可能な圧力伝達部材11とを有し、検出部10及び圧力伝達部材11は、閾値である所定圧力値以上で検出部10及び圧力伝達部材11の間が接触する大きさSの不感空間Pを介している。生体がいない場合、小さな振動が加えられても、検出部10と圧力伝達部材11との間に不感空間Pが存在し、検出部10には圧力が伝達されず検出部10から信号が出力されない。生体が上に乗る場合などの所定圧力値以上が圧力伝達部材11に印加されると、不感空間Pが無くなるまで弾性変形し、検出部10に接触し高感度になる。圧力伝達部材11が検出部10に接触しない場合でも、外部から大きな振動が印加されると検出部10が変形して歪む。結果、検出部10はその歪みに応じて信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用状態に応じて感度が変化する生体情報検出体及びその生体情報検出体を採用したベッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体情報を検知するために、圧力検出部を有する就寝時モニタ装置が開示されている(特許文献1)。この就寝時モニタ装置は「就寝時の呼吸、心拍、及び体動等の生体反応を検知するセンシング部は、一組のプレート(4、5)と感圧センサ(6)とを具備し、ベッド上に敷かれたマットとベッドとの間で就寝者の頭部の下方に配置される。一組のプレート(4、5)は、それぞれ略三角形に形成された上プレート(4)と下プレート(5)であり、両プレート(4、5)の一辺同士がヒンジ(10)により連結され、そのヒンジ(10)を支点として回動可能に設けられている。また、上プレート(4)の回動端部には、下プレート(5)側に向かってゴム突起(11)が取り付けられている。感圧センサ(6)は、下プレート(5)の回動端部(角部)で、上プレート(4)に取り付けられたゴム突起(11)と相対する位置に設置され、上プレート(4)に掛かる就寝者の体重(主に頭部の重さ)がゴム突起(11)を介して加わる。」ものである。特許文献1の請求項5には感圧手段として在床判定値よりも低い圧力に対し不感帯を有している装置が開示されている。
【特許文献1】特開2001−401号公報(請求項1、5など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、呼吸や心拍のような生体による振動は微小であるため、生体情報を検出するセンサは非常に高感度であることが要求される。そのため、ベッド上に物を投げたり、ベッド表面をさすったりというように、ベッドに小さい振動が加えられたときも、センサが大きな信号を出力してしまい、誤検出の原因となってしまう。そのため生体による信号と区別しようとすると複雑なロジックを追加する必要がある。
【0004】
また、微小振動である生体情報の検知に測定回路を最適化すると、ベッド上での大きな体動があったときにはセンサ信号が測定範囲を超えてしまうため、体動の大きさまでは判断できない。また、特許文献1のように、感圧センサに不感帯を設けることによっては不感帯を超える圧力の印加が為されないうちは全く圧力を検知することができなくなる。
【0005】
本発明は上記実情に鑑み完成したものであり、誤検出を少なくできる生体情報検出体及びその生体情報検出体を用い確実に生体情報を検出することが可能なベッド装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する請求項1に係る生体情報検出体の特徴は、印加された圧力により生じる歪みを検出する検出部と、検出対象からの圧力が印加される方向である圧力検出方向から印加される圧力により前記検出部を押圧する方向に弾性変形可能な圧力伝達部材とを有し、
前記検出部及び前記圧力伝達部材は、測定できる圧力の閾値として任意に設定できる所定圧力値以上の圧力が前記圧力検出方向から前記圧力伝達部材に印加したときに前記検出部及び前記圧力伝達部材の間が接触する大きさに形成された前記圧力検出方向における隙間である不感空間を介して配設されることにある。
【0007】
上記課題を解決する請求項2に係る生体情報検出体の特徴は、請求項1において、前記圧力伝達部材は、前記検出部が内面に付設され、前記圧力検出方向に対して垂直方向に軸方向を向けた筒状部材であることにある。
【0008】
上記課題を解決する請求項3に係る生体情報検出体の特徴は、請求項1において、前記圧力伝達部材は、一方の対向面に前記検出部が付設され、前記圧力検出方向に厚み方向を向けて並設した一対のフィルムシートと、前記一対のフィルムシートの間に介設され前記不感空間を形成するスペーサとを備えることにある。
【0009】
上記課題を解決する請求項4に係る生体情報検出体の特徴は、請求項1〜3の何れか1項において、前記検出部は薄膜状の圧電素子から形成したことにある。。
【0010】
上記課題を解決する請求項5に係るベッド装置の特徴は、生体が横たわるためのマットレス本体と、
請求項1〜4の何れか1項に記載の生体情報検出体を複数個、前記マットレスの水平広がり方向に散点状に配設した生体情報検出体アレイと、
前記複数の生体情報検出体のそれぞれが検出した圧力変動を処理する生体情報算出手段と、
を有し、
前記所定圧力値は前記生体が前記マットレス本体上に横たわるときに印加される圧力値以下に設定されることにある。
【0011】
上記課題を解決する請求項6に係るベッド装置の特徴は、請求項5において、前記生体情報算出手段は複数の前記生体情報検出体のうち、
生体が位置し前記所定圧力値以上の圧力が印加された一部の生体情報検出体により心拍及び/又は呼吸を検出し、
生体が位置せず前記所定圧力値未満の圧力が印加された残部の生体情報検出体により大きな体動を検出することにある。
【0012】
上記課題を解決する請求項7に係るベッド装置の特徴は、請求項5又は6において、前記生体情報算出手段は複数の前記生体情報検出体のうち所定圧力値以上の圧力値を検出した部位に前記生体が位置するものと判定する位置算出手段を備えることにある。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成した請求項1に係る生体情報検出体においては、以上の構成をもつことから以下の作用効果が発揮される。ベッドなどの生体情報検出体を適用した対象において、人などの生体がいない場合、軽く触れるなどのようにその対象を介して生体情報検出体に小さな振動が加えられても、検出部と圧力伝達部材との間に不感空間が存在し、検出部には圧力が伝達されないことから検出部から信号が出力されなくなる。
【0014】
それに対して生体が上に乗る場合などの想定された所定圧力値以上の圧力が圧力伝達部材に印加されると、圧力伝達部材は不感空間が無くなるまで弾性変形して、圧力伝達部材が検出部に接触するようになる。その結果、圧力はそのまま検出部に伝達されることとなるため、生体が発する僅かな圧力変化(心拍、呼吸などによる)についても高感度に検出できるようになる。従って、心拍や呼吸などにより発生する振動と軽く触れるなどして発生した振動とを容易に区別可能である。また、寝返りなどの体動についても不感空間が無くなることが検出部に圧力伝達部材が接触した際の信号から判別可能である。つまり、圧力伝達部材に印加される大きさが所定圧力値に至るまでは大きな入力を測定可能であり、所定圧力値以上になるときには小さな入力を測定可能である。
【0015】
ここで、特許文献1においても不感帯を有する感圧手段を採用する構成が開示されているが、本発明においては検出部として不感帯を有さない歪みセンサを採用することから、大きな外力が印加されておらず不感空間が残存しているために圧力伝達部材が検出部に接触していない場合であっても、飛び跳ねなど外部から大きな振動が印加されることにより僅かではあるが振動が検出部に伝達しその振動により検出部が歪むことになる。その結果、検出部はその歪みに応じて信号を出力することになる。
【0016】
従って、信号処理を行う手段として特に煩雑なロジックを採用しなくても、心拍などの微弱振動、寝返りなどによる体動、飛び跳ね等による大きな振動などを区別して検出することが可能になる。特に、請求項4に記載した発明のように、検出部は薄膜状の圧電素子から形成することにより、小さな外力であっても検出部を大きく変形できると共に、圧力伝達により検出部から出力される信号が歪みの大きさの微分値となる。従って、高感度に外部からの入力を測定可能である。
【0017】
上記のように構成した請求項2に係る生体情報検出体においては、簡単に製造することができる。請求項3についても同様に簡単に製造可能である。
【0018】
上記のように構成した請求項5に係るベッド装置においては、上述した生体情報検出体を複数個・散点状に配置したことによって、ベッドの各部位において生体情報を高精度で検出できる。特に請求項6のように構成することにより、幅広い範囲の大きさをもつ生体情報を感度良く検出することができる。更に、請求項6のように構成することにより、それぞれ配置された生体情報検出体が検知した生体情報に基づき生体が存在する位置を検出することも可能になる。特に、生体情報検出体に直接的に乗っていない場合であっても大きな振動(ベッド装置に載るなど)を印加した場合に検出することが可能であるため、より高い精度で生体の位置情報を検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(生体情報検出体)
以下、本発明の生体情報検出体について実施形態に基づき詳細に説明する。本実施形態の生体情報検出体は検出部と圧力伝達部材とを有する。検出部は歪みを検出する歪みセンサである。歪みセンサとしては特に限定しないが、圧電素子から形成されることが望ましい。また、厚み方向に圧力が印加される薄膜状とすることが望ましい。
【0020】
圧力伝達部材は検出対象から印加される圧力により弾性変形する部材である。弾性変形した圧力伝達部材は検出部を押圧する。検出部を押圧するように変形するのは少なくとも検出対象から圧力が印加される方向(圧力検出方向)から圧力が印加された場合である。圧力伝達部材及び検出部は圧力検出方向における隙間である不感空間を介して配設される。圧力伝達部材は圧力検出方向における不感空間の大きさだけ弾性変形しないと検出部に接することができず、不感空間の大きさだけ外部からの圧力変化を検出部から遮断する。不感空間の大きさは本実施形態の生体情報検出体が測定できる圧力の閾値として任意に設定できる所定圧力値により決定される。圧力伝達部材と検出部とが接触するまでに所定圧力値以上の圧力が圧力検出方向から圧力伝達部材に印加されたときに検出部及び圧力伝達部材の間が接触する大きさに形成される。不感空間は圧力伝達部材及び検出部の間の少なくとも一部に存在することでも十分である。例えば、圧力伝達部材が薄膜状の検出部を厚み方向から挟持するようにして圧力を伝達する形態である場合において、検出部の一面側と圧力伝達部材との間に不感空間を設け、他面側はそのまま圧力伝達部材に固着する形態を採用することもできる。また、一面側に不感空間を設ける場合でも検出部の一面の全部にわたり不感空間を介して圧力伝達部材を配することは必須ではなく、一部が接触するような形態を採用することもできる。
【0021】
圧力伝達部材の形状としては特に限定しないが、筒状、平板状などが挙げられる。筒状の形態としては圧力検出方向に対して垂直方向に平たく扁平した形態が挙げられる。筒状の形態を採用した圧力伝達部材は軸方向が圧力検出方向に対して垂直方向に配されている。検出部は筒状の形態の内面に付設される。検出部は圧力検出方向に厚み方向をもつ薄膜状の形態が好適である。圧力伝達部材と検出部の一面側との間には圧力検出方向に不感空間を介している。平板状の形態としては、一対のフィルムシートを挙げることができる。一対のフィルムシートの一方の対向面に検出部の一面側にて付設される。検出部の他面側と他方のフィルムシートとの間には不感空間が介される。一対のフィルムシートの間には検出部の厚みと不感空間の大きさに相当する間隔を形成するような厚みをもつスペーサが介される。スペーサとしては検出部を取り囲むことが可能な環状の部材が例示できる。
【0022】
(ベッド装置)
ベッド装置は生体が横たわるためのマットレスと前述した本実施形態の生体情報検出体を複数個組み合わせた生体情報検出アレイと生体情報算出手段とを有する。マットレスはその少なくとも一部が軟質部材から構成されており、その軟質部材の内部乃至表面に生体情報検出アレイが配設される。生体情報検出アレイはマットレスの広がり方向に複数の検出部が散点状に配設されることにより構成されている。生体情報検出体を複数個配設することにより、生体が位置し、所定圧力値以上の圧力が印加された生体情報検出体により微細な振動である心拍や呼吸を検出し、生体が位置せず所定圧力値未満の圧力しか印加されていないその他の生体情報検出体により大きな振動である寝返りやベッド上への飛び乗りなどの大きな体動を検出することができる。更に、マットレスの幅方向に生体情報検出体を並べて配設することで生体の幅方向での移動などを含む情報を得ることができる。特に胸部近傍に配することで心拍、呼吸などの重要な情報を得ることができる。生体情報算出手段は、それぞれの検出部による検出結果を解析することでマットレス上における生体の様子を更に詳細に検出する手段であり、コンピュータ上のロジックなどにより実現できる。例えば、生体がマットレスの端部に近づき落下しそうになっていることなどを検出できる。生体の位置は生体情報検出アレイが備える複数の生体情報検出体のうち、所定圧力値以上の圧力が印加されているものが位置する部位にあるものと推測する方法がある。
【0023】
以下、本実施形態の生体情報検出体及びベッド装置について図を用いて更に詳細に説明する。
【0024】
(実施形態1)
図1に示すように、本実施形態の生体情報検出体1は、検出部10と圧力伝達部材11とを有する。圧力伝達部材11は樹脂などの弾性体から形成されており、圧力検出方向Kに対して垂直方向に平たく扁平した筒状の形態をもつ。この圧力伝達部材11は軸方向が圧力検出方向Kに対して垂直方向になっている。このような圧力伝達部材11は内面に検出部10が付設される。検出部10は圧力検出方向Kに厚み方向をもつ薄膜状の形態である。
【0025】
圧力伝達部材11と検出部10との間は圧力検出方向Kにおける大きさSをもつ不感空間Pを介している(図1(a))。圧力検出方向Kから外力F(所定圧力値以上の大きさをもつ場合)が印加されることにより不感空間Pが無くなるほどに変形し、検出部10は圧力伝達部材11によって厚み方向から押圧されることとなる(図1(b))。印加される圧力が所定圧力値未満である場合には圧力伝達部材11の変形が少なくなり、不感空間Pが残ることにより圧力伝達部材11から検出部10に向けての圧力の直接的な伝達は為されない。所定圧力値未満の圧力しか印加されていない場合であっても検出部10自身は不感帯をもつものではないために大きな振動であれば検出部10に振動が伝達されることにより(図1(a)における下方からのみ振動が伝達する)、検出可能である。その結果、心拍などの小さな振動から大きな体動における大きな振動までの広い範囲の大きさをもつ振動を1つのセンサにより検出することができる。
【0026】
所定圧力値の大きさは不感空間Pの大きさS、圧力伝達部材11を形成する材料・厚み・軸方向の長さなどを変化させることにより任意に調節できる。この形態の圧力伝達部材11は単純な押し出し成形などにより形成可能であり簡単に製造することができる。
【0027】
(実施形態2)
図2に示すように、本実施形態の生体情報検出体2は、検出部20と圧力伝達部材21とを有する。圧力伝達部材21は樹脂などの弾性体から形成されており、圧力伝達部材は一対の円板状のフィルムシート21、22とその間に配設されたスペーサ23とを備える。一対のフィルムシート21、22は圧力検出方向Kに厚み方向を向けて並設される。一対のフィルムシート21、22のうち、一方のフィルムシート22の対向面に検出部20の一面側が付設される。
【0028】
検出部20の他面側と他方のフィルムシート22との間には不感空間P(圧力検出方向Kにおける大きさがS)が設けられる。この不感空間Pの大きさはスペーサ23の厚みにより調節可能である。スペーサ23の形状は円環状である。検出部20は圧力検出方向Kに厚み方向をもつ薄膜状の形態である。圧力検出方向Kから外力F(所定圧力値以上の大きさをもつ)が印加されることによりフィルムシート21(及び/又は22)は不感空間Pが無くなるほどに中央部が撓み、検出部20はのフィルムシート21、22によって厚み方向から押圧されることとなる(図2(b))。
【0029】
印加される圧力が所定圧力値未満である場合にはフィルムシート21(及び/又は22)の変形が少なくなり、不感空間Pが残ることによりフィルムシート21、22から検出部20に向けての圧力の直接的な伝達は為されない。所定圧力値の大きさは不感空間Pの大きさS、フィルムシート21、22を形成する材料・厚み、スペーサ23の内径などを変化させることにより任意に調節できる。
【0030】
なお、フィルムシート21、22のうち、フィルムシート22については省略することができる。フィルムシート22を省略する場合には任意の基台(ベッド装置の基部や、椅子の骨格など)に検出部を付設することで同様の効果を発揮させることができる。
【0031】
(実施形態3)
図3に示すように、本実施形態の生体情報検出体3は、実施形態2の生体情報検出体における検出部30の他面側に検出部30と同程度の直径をもつ圧力伝達部材の1つとしてのフィルムシート34を備え、そのフィルムシート34の厚みだけスペーサ33の厚みを増している形態をもつ。フィルムシート34を備えることにより所定圧力値を変化させることなく生体情報検出体3の厚みを大きくすることができたり、検出部30の耐久性を向上させたりすることができる。
【0032】
(実施形態4)
(構成)
図4に示すように、本実施形態のベッド装置Bは生体情報検出アレイ40とマットレス本体50とを有する。生体情報検出アレイ40は実施形態1の生体情報検出体1(所定圧力値として本ベッド装置B上に使用者Hが横たわったときの圧力を設定する)を長手方向2個×幅方向3個(計6個)並べ、それぞれの圧力伝動部材11の厚み方向(圧力検出方向K)の両側からウレタンフォーム製のクッション41及び42により挟持する。クッション41及び42の間は接着剤により固定する。複数の生体情報検出体1のそれぞれから信号線15が延び、それぞれの生体情報検出体1から検出した信号を伝送する。
【0033】
信号線15は6つまとめて集合信号線16となり、コネクタ17、集合信号線18を介して信号処理手段60を通じて生体情報算出手段70に伝送される。クッション41及び42により挟持された信号線15もクッション41及び42に固定される。クッション41及び42の更に外側を布などにより構成されるシート部材43により包み込み、周辺部を熱融着させて生体情報検出アレイ50を形成する(図5)。シート部材43には保持部材44が固定される。保持部材44は面ファスナーである。
【0034】
この生体情報検出アレイ40はマットレス本体50内に配設される(図4)。マットレス本体50は中央部上方に横たわることが想定される使用者Hが概ね入る程度の大きさの凹部が形成されたマットレス本体部51と、その凹部に隙間無く嵌め込み可能なマットレス表面部52と、保持部材44に対応する面ファスナーから形成されマットレス本体部41の長手方向に延び凹部の表面に付設された保持部材53とを有する。生体情報検出アレイ40は保持部材53に保持部材44を固定して配設される。生体情報検出アレイ40はベッド装置Bの幅方向にその長手方向を向けて配置される。生体情報検出アレイ40はベッド装置Bにおいて使用者Hの心臓、肺、肩が位置する部分に配置される。
【0035】
(作用効果)
以上の構成を有することから本実施形態のベッド装置は以下の作用効果を発揮する。すなわち、使用者の心臓などに近接した位置に配設されているため、使用者が発する生体情報を高感度に検出することができる。特に、生体情報検出アレイ40に採用された生体情報検出体1は所定圧力値以上の圧力が印加された状態とそうでない状態との間で振動を検出する感度が変化するため、精密な生体情報の取得が実現できる。具体的には、生体情報検出体1上に使用者Hが位置し所定圧力値以上の圧力が印加された状態では生体情報検出の感度が向上するため、小さな入力である心拍などの生体情報を高感度に取得することができる。反対に、生体情報検出体1上に使用者Hが位置しない場合には、その生体情報検出体1の感度は低下するため、マットレス表面部52の表面をさするなどの行為を行っても検出されず結果としてノイズの低下につながる。使用者Hが上におらず感度が低下している場合であっても、大きな体動などがあれば生体情報検出体1が備える検出部10には振動が僅かに伝達され検出されることになる。
【0036】
このように、小さな振動である心拍などの生体情報から大きな振動である大きな体動まで精度良く検出することが可能である。また、生体情報検出体1がベッド装置Bの幅方向に複数個並べて配設されているため、ベッド装置B上に使用者Hがいるかどうかの検出はもちろん、それぞれの生体情報検出体1からの検出結果からベッド装置B上に使用者Hがいる位置を検出することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施形態1における生体情報検出体の(a)及び(b)断面模式図、(c)斜視図である。
【図2】実施形態2における生体情報検出体の(a)及び(b)断面模式図、(c)分解斜視図である。
【図3】実施形態3における生体情報検出体の(a)及び(b)断面模式図、(c)斜視図である。
【図4】実施形態4におけるベッド装置の(a)上面模式図、(b)断面図である。
【図5】実施形態4における生体情報検出アレイの透視上面模式図である。
【符号の説明】
【0038】
1、2、3…生体情報検出体
10、20、30…検出部 11、21、22、23、31、32、33、34…圧力伝達部材
40…生体情報検出アレイ 50…マットレス本体 51…マットレス本体部 52…マットレス表面部 60…信号処理手段 70…生体情報算出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印加された圧力により生じる歪みを検出する検出部と、検出対象からの圧力が印加される方向である圧力検出方向から印加される圧力により前記検出部を押圧する方向に弾性変形可能な圧力伝達部材とを有し、
前記検出部及び前記圧力伝達部材は、測定できる圧力の閾値として任意に設定できる所定圧力値以上の圧力が前記圧力検出方向から前記圧力伝達部材に印加したときに前記検出部及び前記圧力伝達部材の間が接触する大きさに形成された前記圧力検出方向における隙間である不感空間を介して配設されることを特徴とする生体情報検出体。
【請求項2】
前記圧力伝達部材は、前記検出部が内面に付設され、前記圧力検出方向に対して垂直方向に軸方向を向けた筒状部材である請求項1に記載の生体情報検出体。
【請求項3】
前記圧力伝達部材は、一方の対向面に前記検出部が付設され、前記圧力検出方向に厚み方向を向けて並設した一対のフィルムシートと、前記一対のフィルムシートの間に介設され前記不感空間を形成するスペーサとを備える請求項1に記載の生体情報検出体。
【請求項4】
前記検出部は薄膜状の圧電素子から形成した請求項1〜3の何れか1項に記載の生体情報検出体。
【請求項5】
生体が横たわるためのマットレス本体と、
請求項1〜4の何れか1項に記載の生体情報検出体を複数個、前記マットレスの水平広がり方向に散点状に配設した生体情報検出体アレイと、
前記複数の生体情報検出体のそれぞれが検出した圧力変動を処理する生体情報算出手段と、
を有し、
前記所定圧力値は前記生体が前記マットレス本体上に横たわるときに印加される圧力値以下に設定されることを特徴とするベッド装置。
【請求項6】
前記生体情報算出手段は複数の前記生体情報検出体のうち、
生体が位置し前記所定圧力値以上の圧力が印加された一部の生体情報検出体により心拍及び/又は呼吸を検出し、
生体が位置せず前記所定圧力値未満の圧力が印加された残部の生体情報検出体により大きな体動を検出する請求項5に記載のベッド装置。
【請求項7】
前記生体情報算出手段は複数の前記生体情報検出体のうち所定圧力値以上の圧力値を検出した部位に前記生体が位置するものと判定する位置算出手段を備える請求項5又は6に記載のベッド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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