生体情報検出装置
【課題】小さな設置面積のセンサを用いた場合にも、十分な感知範囲を確保でき、コストを抑制しつつ、被験者の生体情報を確実に検出することが可能な生体情報検出装置を提供する
【解決手段】睡眠計1のセンサ部2は、センサ2Aと、当該センサ2Aに交差して複数配置された補助部材2Bとを備え、センサ2Aを、被験者の体の幅方向と略平行にした状態で、マットレスM上で臥位(横臥位、仰臥位および腹臥位を含む)にある被験者の被験部位の下側になるように配置される。センサ部2のセンサ2Aは、補助部材2Bを介して感知した振動およびセンサ2Aが感知した振動を電圧の変化として第1外部接続端子501および第2外部接続端子502から出力する。電圧測定部11は、第1外部接続端子501および第2外部接続端子502間の電圧を測定する。検出部7は、電圧測定部11が測定した電圧に基づいて、被験者の生体情報を検出する。
【解決手段】睡眠計1のセンサ部2は、センサ2Aと、当該センサ2Aに交差して複数配置された補助部材2Bとを備え、センサ2Aを、被験者の体の幅方向と略平行にした状態で、マットレスM上で臥位(横臥位、仰臥位および腹臥位を含む)にある被験者の被験部位の下側になるように配置される。センサ部2のセンサ2Aは、補助部材2Bを介して感知した振動およびセンサ2Aが感知した振動を電圧の変化として第1外部接続端子501および第2外部接続端子502から出力する。電圧測定部11は、第1外部接続端子501および第2外部接続端子502間の電圧を測定する。検出部7は、電圧測定部11が測定した電圧に基づいて、被験者の生体情報を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臥位における被験者の生体情報を検出することが可能な生体情報検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
介護施設や病院などにおいて、夜間における老人の離床検知や、就寝中における被験者の生体情報を検出するためのベッド用センサが用いられている。例えば、特許文献1には、その図3に、寝具の下側にシート状の生体振動センサを設置して、寝具からの離床を検知する装置が開示されている。また、特許文献2には、その図1に示されるように、ベッド上の、被験者の胸部を覆う面積にシート状のセンサを設置して生体の呼吸数や心拍数を計測する装置が開示されている。
【特許文献1】特開2008−93395号公報
【特許文献2】米国特許出願公開2007/0276202号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来型のベッド用センサは高価なため、より安価なセンサに対する要求がある。すなわち、従来型のセンサは、特に価格面において、一般家庭で購入して使用するには不向きであった。しかしながら、コストを削減するために、設置面積がより小さなセンサを用いると、センサの感知範囲が限られてしまい、十分な測定結果が得られないという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、より小さな設置面積のセンサを用いた場合にも、十分な感知範囲を確保でき、コストを抑制しつつ、被験者の生体情報を確実に検出することが可能な生体情報検出装置を提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、臥位における被験者の生体情報を検出することが可能な生体情報検出装置であって、一方の端部に第1外部接続端子および第2外部接続端子を有し、前記被験者の被験部位の下側に配置された短冊状のセンサであって、前記被験者の生体の状態に応じて生じる、前記被験部位の振動を、電圧の変化として出力することが可能なセンサと、前記センサと交差するように配置された補助部材と、前記第1外部接続端子および第2外部接続端子に接続され、前記第1外部接続端子および第2外部接続端子間の電圧を測定する電圧測定手段と、前記電圧測定手段が測定した電圧の測定値に基づいて、前記生体の状態に関する情報を、前記生体情報として検出する生体情報検出手段と、を有する生体情報検出装置を提供する。
【0006】
ここで、「交差する」とは、被験者の振動が、補助部材から短冊状のセンサに伝わるように交差している(補助部材と短冊状のセンサとの少なくとも一部が上下で重なる)ことを示す。よって、補助部材と短冊状のセンサが直接接触していなくても、例えば、薄い部材が両者の間に介挿されていてもよい。また、被験部位の振動を生じさせる生体の状態とは、例えば、被験者の呼吸や脈拍、体動などを含む。
本発明の生体情報検出装置によれは、短冊状のセンサと、このセンサと交差する補助部材とを有するので、従来と比較して、設置面積が縮小されたセンサを用いた場合にも、補助部材を介して被験者の生体情報を感知することが可能となり、コストを削減しつつ、確実に、被験者の生体情報を検出することが可能となる。
【0007】
本発明の好ましい態様において、前記センサは、多孔性ポリプロピレンのシートで形成されたセンサ層と、当該センサ層の一方の面と面接触する第1電極層と、前記センサ層の他方の面と面接触する第2電極層とを有し、前記センサの前記一方の端部は、前記第1電極層と前記センサ層とが引き出された第1リード部と、前記第2電極層が引き出された第2リード部と、前記第1リード部および前記第2リード部を覆う絶縁性部材とをさらに有し、前記第1外部接続端子は、前記第1リード部に形成された孔部と当該孔部をカシメ加工したカシメ加工部とを有し、前記第2外部接続端子は、前記第2リード部に形成された孔部と当該孔部をカシメ加工したカシメ加工部とを有する。
【0008】
前記センサのセンサ層が多孔性ポリプロピレンのシートで構成されている場合がある。多孔性ポリプロピレンのシートは、その内部に無数の空洞が形成されて、この空洞に電荷が蓄えられており、シートに圧力がかかると、その圧力に比例した電荷が移動して電圧を出力する高感度のセンサである。しかしながら、このシートは端部の加工に対して強固でない。本発明の生体情報検出装置によれば、各第1外部接続端子および第2外部接続端子は、第1リード部と第2リード部を絶縁性部材で保護した後に孔部を形成し当該孔部をカシメ加工したカシメ加工部を有していることにより、各第1外部接続端子および第2外部接続端子の強度が確保される。その結果、接続の信頼性が向上する。
【0009】
上記第1電極層としては、実施形態に例示したシグナル電極層があり、上記第2電極層としては、同じく実施形態に例示したアース電極層がある。このアース電極層は、基準電位を定めるためのものであり、基準電位層と呼ばれるものであってもよい。また、センサは、第1電極層、第2電極層およびセンサ層に加え、電磁妨害や静電気放電を防ぐためのシールド電極層(またはアース電極層)およびポリエステルフィルム等を含んでいてもよい。絶縁性部材の例としては、セロテープ(登録商標)、ポリエステルテープ、テフロン(登録商標)テープおよびポリイミドテープなどを含むが、絶縁性部材の強度や、被接着部材とテープとの接着力の相性等を考慮して適宜選択される。
【0010】
好ましくは、本発明の生体情報検出装置は、前記短冊状のセンサを複数備え、前記複数のセンサの複数の第1外部接続端子は互いに並列接続され、複数の第2外部接続端子は互いに並列接続されるようにしてもよい。この態様によれば、複数のセンサのいずれかが断線した場合にも、残りのセンサから出力される電圧に基づいて生体情報を検出することが可能である。
【0011】
本発明の好ましい態様において、前記補助部材は、1または複数の短冊状の部材であることが好ましい。本態様によれば、1または複数の短冊状の補助部材をセンサに交差させて配置するので、コストを抑制しつつ、センサが感知する範囲を拡大することが可能となる。なお、「交差する」とは、直角に交差する場合と、非直角に交差する場合とを含む。
さらに、好ましくは、生体情報検出装置が、互いに平行な前記短冊状のセンサを複数備えており、前記補助部材は、前記1または複数の短冊状の部材の各々が、前記複数のセンサのうち、少なくとも2つのセンサを通るように配置されるようにするとよい。複数の短冊状のセンサを平行に配置して用いた場合には、測定範囲が不連続となってしまうが、本態様によれば、補助部材が、複数のセンサのうち少なくとも2つのセンサを通るので、補助部材により測定範囲を連続とすることが可能となる。
【0012】
さらに、好ましくは、前記1または複数の短冊状の補助部材の各々は第1シートおよび第2シートを有し、前記第1シートおよび前記第2シートは、前記交差した部分において、前記センサを上下に挟むように前記センサに固着されるようにするとよい。補助部材を、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)シートのような折り曲げ可能な素材で形成する場合には、木材や金属などの剛性が高い補助部材と比較して、感知した振動がセンサに伝わりづらい。本態様によれば、センサを上下で挟むように補助部材を配置した構成としたので、1枚のシートで補助部材を構成する場合と比較して、補助部材の振動がセンサに伝わり易い。
【0013】
さらに、好ましくは、前記第1シートは前記センサの上面側に配置され、前記第2シートは前記センサの下面側に配置され、前記第1シートは、前記センサおよび前記第2シートとは逆方向に突き出した湾曲部分を有するようにしてもよい。本態様によれば、さらに、センサを上下で挟んだ2枚のシートにうち、センサの上面側に配置された第1シートがセンサと逆方向に突き出した湾曲部分を有する構成としたので、センサの上面方向から、補助部材に対して与えられる振動が、より効果的にセンサに伝わることが可能となる。さらに、好ましくは、前記第1シートには、複数個の前記湾曲部分があり、当該複数個の湾曲部分間の各谷部分は、前記センサまたは前記第2シートに固着されるようにしてもよい。この場合、湾曲部分を複数とすることにより、補助部材に対して与えられた振動の伝達がさらに効率的となる。
【0014】
さらに、前記1または複数の短冊状の補助部材の各々は、前記複数個の湾曲部分のうち、隣り合う少なくとも2つの湾曲部分の各頂部を通る第3シートを有し、前記第3シートが前記各頂部に固着されるようにしてもよい。この場合には、第3シートに対して与えられた振動が、第3シートに接する第2シートの湾曲部分の各頂部を介して第2シートに伝達され、さらには第1シートに伝達されてセンサに到達するので、第1シートと、複数の湾曲部分を有する第2シートのみで補助部材を構成する場合と比較して、さらに、効率的に振動を伝達することが可能となる。
【0015】
本発明の別の好適な態様において、前記補助部材は、上面部と下面部を有し、当該下面部に突起部を配した板状の部材であり、前記突起部が前記センサと重なるように配置される。本態様においては、広い面積を有する板状の部材を補助部材として用いるとともに、補助部材の下面部に突起部を配し、その突起部がセンサと重なるように配置する構成としたので、コストを抑制しつつ、感知範囲を大面積とすることができるとともに、補助部材に対して与えられた振動が、突起部を介してより効果的にセンサに伝達される。板状の部材の例としては、金属板、木材板などを含む。突起部は、センサと交差する方向に、補助部材の端から端まで形成された尾根状であっても良いし、部分的に形成されていてもよい。また、センサと重なる部分のみが突き出た形状であってもよい。また、突起部は、補助部材と同じ部材で形成されてもよいし、異なる部材で形成されて補助部材に固着されてもよい。
【0016】
本発明のさらに別の好適な態様において、前記補助部材は、山部と谷部を備えた波形板であり、前記補助部材と前記センサは、前記補助部材の前記谷部と前記センサと重なるように配置される。本態様においては、補助部材として波形の板を用いて、波形の谷部がセンサと重なるように配置される。よって、コストを抑制しつつ、感知範囲を大面積とすることができるとともに、補助部材に対して与えられた振動が、波形板の谷部を介してより効果的にセンサに伝達される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<実施形態>
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る睡眠計の設置時の外観斜視図であり、図2は、同睡眠計の電気的構成を示すブロック図である。
図1および図2に示されるように、睡眠計1は、ベッドBに横たわった被験者の生体情報の変化に応じた電圧の変化を出力するためのセンサ部2と、センサ部2に接続され、センサ部2の出力結果に基づいて、被験者の生体情報を検出し、睡眠段階の判定を行う制御ボックス3とを有する。
【0018】
制御ボックス3は、その上面部に、睡眠段階の判定結果の表示やガイダンス表示などを行う表示部4と、電源のオン/オフまたは測定開始/終了などの操作を行なう操作部5とを備える。さらに、制御ボックス3は、センサ部2からリード線600を介して出力された電圧を測定する電圧測定部(電圧測定手段)11と、測定した電圧に基づいて被験者の生体情報(呼吸信号、脈拍信号および体動信号)を検出する検出部(生体情報検出手段)7と、検出部7による検出結果に基づいて睡眠段階判定のための各種判定を行なう判定部8、検出部7による検出結果を記憶するとともに、睡眠段階判定ための各種条件式や判定結果を記憶しておく記憶部9と、睡眠計1に電力を供給する電源10と、これら各部を制御するCPU6とを有する。CPU6は、当該睡眠計1を制御する制御部と時間を計測する計時部とを内部に備える。判定部8は、例えば、覚醒段階、深睡眠段階、浅睡眠段階およびREM睡眠段階の4段階の睡眠段階を判定する。
【0019】
センサ部2は、センサ2Aと、当該センサ2Aに交差して複数配置された補助部材2Bとを備え、センサ2Aを、被験者の体の幅方向と略平行にした状態で、マットレスM上で臥位(横臥位、仰臥位および腹臥位を含む)にある被験者の被験部位の下側になるように配置される。本実施形態では、センサ2Aとして、フィンランドの国立技術開発センターによって開発された超高感度感圧センサを利用したEMFI(Electromechanical Film)センサ(フィンランドEMFiT社製)を用いる。図示の例では、センサ部2はマットレスMの上側に配置されているが、マットレスMが所定の厚みを超えない範囲であれば(すなわち、マットレスMの厚みがセンサの検出精度を損なわない範囲内であれば)、センサ部2をマットレスMの下側に配置することができる。センサ2Aは、幅が約25mmのリボン状のEMFIセンサをベッドの幅方向の長さ(この場合、900mm)に切断した短冊状のセンサである。
【0020】
図3にセンサ2Aの断面図を示す。図3に示されるように、センサ2Aは、多孔性ポリプロピレンのシートを使用したセンサ層21の両側を導電性フィルム22および23で挟むことにより形成されている。各導電性フィルム22および23は、ポリエステルフィルムの片面に導電性ペーストを塗布し、塗布面がセンサ層21と面接触するように張り合わされたものである。ポリエステルフィルムとしては、例えば、厚さ75ミクロンのPET(Polyethylene terephthalate)を用いることができる。また、導電性ペーストとしては、厚さ9ミクロンのアルミ箔を用いることができる。また、センサ層21に使用される多孔性ポリプロピレンのシートとしては、例えば、厚さ65ミクロンのものがある。
【0021】
多孔性ポリプロピレンのシートは、その内部に、電荷を捕獲した無数の空洞(気泡)を形成している。このシートに圧力が加わると、その力に比例した電荷の移動が生じ、シートを挟む導電性フィルム間に電位差が発生する。よって、導電性フィルム22および23に塗布された導電性ペーストは、各々電極層として機能する。本実施形態では、導電性フィルム22に塗布された導電性ペーストは、基準電位を定めるアース電極層22A(第2電極層)として機能し、導電性フィルム23に塗布された導電性ペーストは、圧力により変化した電位を示すシグナル電極層23A(第1電極層)として機能する。
さらに、図3に示されるように、センサ2Aには、導電性フィルム23の図中上側に、別の導電性フィルム24が張り合わされ、その導電性ペーストの塗布面が導電性フィルム23と面接触する。導電性フィルム24の導電性ペーストは、電磁妨害や静電気放電を防ぐためのシールド電極24Aとして機能する。
以上の構成において、センサ2Aは、被験者の状態、すなわち、被験者の呼吸、脈拍や体動によって生じる振動を圧力の変化として感知し、電圧として出力することが可能である。
【0022】
上述したように、センサ2Aは、幅25mm×長さ900mmの短冊状の部材の長手方向を、被験者の体の横幅方向と略平行に配置して使用するが、このような幅の細いセンサ2Aでは、センサ2Aの感知範囲が限られてしまう。そこで、本実施形態では、複数の短冊状の補助部材2Bを、センサ2Aに交差させて配置することにより、被験者に生じる振動を、補助部材を介して広範囲で受け取り、センサ2Aに伝達可能な構成としている。すなわち、補助部材2Bの使用により感知範囲を確保し、被験者の生体情報を確実に検出することを可能としつつ、小さな設置面積のセンサを用いることによりコストの削減を実現している。
【0023】
各補助部材2Bは、例えば、PETシートで形成された短冊状の部材であり、センサ2Aに交差するとともに、その交差部分で接着剤によりセンサ2Aに接合されている。各補助部材2Bは、被験者の生体情報の変化に応じた振動に応じて振動し、その振動はセンサ2Aによって圧力の変化として感知される。接合方法としては、接着剤のほかに、両面粘着テープや溶着(例えば、超音波溶着)などがある。超音波接着は、被接合部材を、微細な超音波振動と加圧力により瞬時に融解して接合するので、きれいな仕上がりが実現される。
【0024】
なお、図示の例では、複数の補助部材2Bがほぼ平行に等間隔で配置され、センサ2Aと直交している態様を示したが、この態様に限られない。すなわち、複数の補助部材が互いに交差する態様であってもよい。また、複数の補助部材2Bの粗密は、図示の態様に限定されない。例えば、被験者が仰向けに寝た場合に、ベッドBの長手方向における中心線に近いほど補助部材2Bを密に配置し、ベッドBの両脇に向かって次第に疎となるように配置する構成としてもよい。
【0025】
図4は、図1に領域Eで示すセンサ2Aの端部の拡大斜視図である。図3および図4から理解されるように、センサ2Aを形成する複数の層のうち、導電性フィルム22を第1層201、センサ層21および導電性フィルム23を第2層202、導電性フィルム24を第3層203としたとき、センサ2Aの一方の端部は、第2層202が引き出された第1リード部301と、第1層201および第3層203とが引き出された第2リード部302とを有する。第1リード部301には第1外部接続端子501がプラス端子として形成され、第2リード部302には第2外部接続端子502がマイナス端子として形成され、各端子からリード線600(601,602)が延びて、制御ボックス3の電圧測定部11に接続される。
【0026】
センサ2Aの端部においては、各リード線601,602を各第1外部接続端子501および第2外部接続端子502に半田加工して接続するため、センサ2Aを形成する各層が半田の熱に耐えられるようにカシメ加工する必要がある。ところが、第2層202に含まれる上述のセンサ層21は、多孔性ポリプロピレンのシートで形成されているため、カシメ加工に対して強固でなく、カシメ加工した部分が剥離してしまう。そこで、本実施形態では、まず、図5の(A)に示すように第1リード部301および第2リード部302を形成した後に、図5の(B)に示すように、第1リード部301および第2リード部302を含む端部全体を絶縁性部材400で覆う。絶縁性部材400としては、例えば、セロテープ、ポリエステルテープ、テフロンテープおよびポリイミドテープなどを含むが、絶縁性部材400の強度や、被接着部材とテープとの接着力の相性等を考慮して適宜選択される。
【0027】
図5の(C)に示されるように、第1リード部301には絶縁性部材400の上から穿孔した孔部501aが形成され、第2リード部302には絶縁性部材400の上から穿孔した孔部502aが形成され、さらに、各孔部501a,502aに各ハトメラグ501c,502cを嵌挿してカシメ加工したカシメ加工部501b,502bが設けられる。すなわち、第1リード部301には、第1外部接続端子501として、孔部501aおよびカシメ加工部501bが形成され、第2リード部302には、第2外部接続端子502として、孔部502aおよびカシメ加工部502bが形成される。各孔部501a,502aの直径は2〜3mmであることが望ましい。
このように、第1リード部301および第2リード部302を絶縁性部材400で覆った後に、孔部501a,502aを形成し、カシメ加工を施す構成としたので、カシメ加工よるセンサ層21の破損を防止することが可能となる。
【0028】
以上説明したように、本実施形態のセンサ部2を備えた睡眠計1によれば、短冊状のセンサ2Aと、センサ2Aと交差するように配置された複数の補助部材2Bとを有するので、従来のようにシート状のセンサを用いる場合と比較してコストを削減しつつ、被験者の生体情報を検出することが可能である。よって、一般家庭においても睡眠計を利用できる可能性が拡大し、ユーザの利便性が向上する。
【0029】
さらに、センサ2Aの端部においては、第1リード部301および第2リード部302を形成し、これらを絶縁性部材400で覆い、第1外部接続端子501および第2外部接続端子502は、各第1リード部301および第2リード部302に形成した各孔部501aおよび502aと、各孔部をカシメ加工した各カシメ加工部501bおよび502bを有するので、カシメ加工に対して強固でないセンサ層21を破損することなく、各外部接続端子を形成することが可能となる。また、この本実施形態による端部の加工を施すことにより、使用中に、端部が破損して断線する可能性が縮小する。
【0030】
<変形例>
変形例1:
上記実施形態では、第1外部接続端子501および第2外部接続端子502が電圧測定部11に直接接続される態様について説明したが、第1外部接続端子501および第2外部接続端子502の直後に増幅器を配置して、センサ部2の出力を増幅した後に引き回すようにしてもよい。この場合には、センサ部2の出力信号が微小振幅であっても、良好なSN比を得ることができる。
【0031】
上記実施形態では、検出部7が検出した生体情報に基づいて睡眠段階の判定を行う判定部8を有する睡眠計について説明したが、判定部8が行う判定を離床判定に限定した離床報知計としてもよい。その場合には、音声出力部を設け、被験者が離床したときにアラームを鳴動させて、被験者が離床したことを周囲に報知してもよい。また、制御ボックス3に出力インターフェイスを設けることにより、検出した生体情報のデータをパーソナルコンピュータや携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)等の外部機器に対して出力し、判定部8による判定を外部機器に実行させる態様としてもよい。出力インターフェイスの例としては、制御ボックス3と外部機器とを有線で接続するための接続端子や、赤外線通信によりデータを出力する赤外線通信ポートなどの無線通信手段等を含む。
【0032】
変形例2:
上記実施形態では、図1に示されるように、センサ部2は、1本の短冊状のセンサ2Aと複数の短冊状の補助部材2Bとから構成されていたが、この態様に限られない。例えば、補助部材2Bは複数でもなくともよい。すなわち、補助部材2Bは単数でも複数でもよい。また、補助部材の形状は、短冊状に限られず、楕円または四角形のシート状でもよいし、それ以外の形状でもよい。
また、測定部位を広範囲とするために、コストが過大とならない範囲内において、短冊状のセンサ2Aを複数配置する構成としてもよい。図6および図7に、短冊状のセンサ2Aを複数配置したセンサ部2について例示する。
図6は、2本のセンサ2Aを並列接続して平行に配置し、複数の短冊状の補助部材2Bを配置した例を示す。この例においては、各補助部材2Bが、2本のセンサ2Aの両方を通るように配置されている。図7は、3本のセンサ2Aを並列接続して平行に配置し、複数の短冊状の補助部材2Bを配置した例を示す。この例においては、各補助部材2Bが、3本のセンサ2Aの全てを通るように配置されている。複数の短冊状のセンサ2Aを用いた場合には、測定範囲が不連続となってしまうが、補助部材2Bが複数のセンサ2Aの全てを通るように配置することにより、測定範囲を連続とすることが可能となる。なお、図6においては、各補助部材2Bの短辺側の両端が、各センサ2Aの長辺側の外側の各端に一致しているが、図7に示すように、センサ2Aの長辺側の外側の端からはみ出すように配置してもよい。また、図7においては、補助部材2Bは、3本のセンサ2Aの全てを通るように配置されているが、少なくとも2本のセンサ2Aを通る構成としてもよい。
【0033】
また、図6および図7に示すように、複数のセンサ2Aを配置する場合には、各センサ2Aから電圧測定部11まで至る配線は、並列接続とする。具体的には、複数のセンサ2Aの複数の第1外部接続端子501を互いに並列接続とし、複数の第2外部接続端子502を互いに並列接続とする。このように接続することにより、複数のセンサ2Aのいずれかが断線した場合にも、残りのセンサから出力される電圧に基づいて生体情報を検出することが可能となる。
【0034】
変形例3:
上記実施形態および変形例では、各補助部材2Bが1枚のシートである場合について説明したが、複数枚のシートを重ねて用いてもよい。図8〜10に本変形例に係るセンサ部2における、センサ2Aと補助部材2Bの配置例を示す。なお、これらの図においては、補助部材2Bの長手を図中横方向として図示したが、ベッドBに設置した場合には、補助部材2BがベッドBの長手方向に延び、2本のセンサ2AとがベッドBの横幅方向になるように設置される。
図8は、第1シート2b1および第2シート2b2を有する補助部材2Bでセンサ2Aを上下に挟むように配置した例を示す。詳細には、第1シート2b1はセンサ2Aの上側に配置されて両者の交差部分は接着剤により接合され、第2シート2b2はセンサ2Aの下側に配置されて両者の交差部分は接着剤により接合されている。この構成において、センサ2Aの上面側(第1シート2b1が配置された側)から補助部材2Bに対して所定の大きさの圧力Pが加えられたときに、センサ2Aと各シートの接合部分が、各シートの撓みの中心方向に向けて引かれる張力はシート2枚分なので、1枚のシートから成る補助部材に同じ圧力Pを加えた場合と比較して増加する。よって、本態様によれば、補助部材2Bにかかる圧力(被験者の振動から生じる圧力)を、より効率的に、センサ2Aに伝達することが可能となる。
【0035】
図9に、図8に示した第1シート2b1に湾曲部分を形成した変形例について示す。具体的には、図8と同様の構成において、第2シート2b2よりも長尺の部材を第1シート2b1として使用し、第1シート2b1が、センサ2Aおよび第2シート2b2とは逆方向に突き出した湾曲部分wを有するように構成する。また、各第1シート2b1および第2シート2b2は、センサ2Aとの交差部分において接着剤により接合されている。この構成においては、補助部材2Bに対してセンサ2Aの上面部方向から上記圧力Pが加えられて、第1シート2b1の湾曲部分wが押し込まれたときに、第2シート2b2がセンサ2Aを引っ張る張力は、図8のように、単に第1シート2b1および第2シート2b2を2枚重ねた補助部材に同じ圧力Pを加えた場合と比較して、大きくなる。よって、第1シート2b1および第2シート2b2を単に2枚重ねた場合よりも、さらに、効率的に、圧力(被験者の振動から生じる圧力)を伝達することが可能となる。なお、図示の例では、湾曲部分wを1つだけ有する態様について説明したが、複数の湾曲部分を備えるようにしてもよい。複数の湾曲部分の間の谷部分は、各々、センサ2Aまたは第2シート2b2に接着剤で接合される。この場合には、湾曲部分wを1つだけ有する場合よりも、広い範囲において受けた圧力について、より効率的な伝達が可能となる。
【0036】
図10は、第1シート2b1に複数の湾曲部分を形成し、さらに、第3シートを配置した変形例を示す。図10の(A)は、本変形例のセンサ部2の斜視図であり、(B)は(A)のX−X線における簡略断面図である。詳細には、図10の(A)および(B)に示されるように、本変形例では、第1シート2b1に複数の湾曲部分w1〜w4を形成し、さらに、隣り合う湾曲部分w2およびw3の各頂部を通る第3シート2b3を配置する。各湾曲部分w2およびw3と第3シート2b3との接点s1およびs2、第1シート2b1と第2シート2b2との各接点s3,s4,s5は接着剤により固定される。また、図8および図9に示した変形例と同様に、第1シート2b1とセンサ2Aとが交差する部分および第2シート2b2とセンサ2Aとが交差する部分は各々接着剤により固定される。この構成において、補助部材に対して圧力Pが与えられた場合には、当該補助部材が第3シート2b3を有することにより、第1シート2b1の湾曲部分w2およびw3が押し込まれる力が大きくなり、第2シート2b2がセンサ2Aを引っ張る張力は、図9に示す構成よりもさらに増加する。よって、この構成によれば、さらに効率的に、圧力(被験者の振動から生じる圧力)を伝達することが可能となる。
なお、図示の例では、第3シート2b3が隣り合う2つの湾曲部分の各頂部を通る構成について説明したが、第3シート2b3が3つ以上の湾曲部分の各頂部を通る構成としてもよい。
【0037】
変形例4:
上記実施形態および変形例では、補助部材2BとしてPETシートを使用する場合について説明したが、例えば、金属や木材などの、PETシートよりも硬い部材を用いてもよい。
図11に、補助部材として木材板を用いた変形例について示す。図11の(A)は、本変形例のセンサ部2の平面図であり、(B)は(A)のXI−XI線における簡略断面図である。
図11に示されるように、本変形例では、下面部に複数の尾根状の突起部cを有する板状の補助部材2Cが、その複数の突起部cがセンサ2Aと接するように配置される。本変形例によれば、上記実施形態と同様の効果が得られる。さらに、広い面積を有する板を補助部材2Cとして用いるとともに、補助部材2Cの下面部に突起部cを配し、その突起部cがセンサ2Aと重なるように配置する構成としたので、コストを過大に増加させることなく、感知範囲を拡大することができるとともに、補助部材2Cに対して与えられた振動が、突起部cを介してより効率的にセンサに伝達される。また、補助部材2Cが、PETシートよりも硬い板で形成されているので、補助部材2Cで受けた振動がセンサ2Aに対して伝達され易い。
なお、図示の例においては、突起部cは、センサと交差する方向に、補助部材の端から端まで形成された尾根状である場合について示したが、部分的に形成されていてもよい。また、センサと重なる部分のみが突き出た形状であってもよい。また、補助部材2Cとして、木材板ではなく金属板を用いてもよい。突起部は、補助部材と同じ部材で形成されてもよいし、異なる部材で形成されて補助部材に固着されてもよい。いずれの場合も、図11に示した変形例と同様の効果が得られる。
【0038】
加えて、図12に、補助部材として波形板を用いた変形例について示す。図12の(A)は、本変形例のセンサ部2の平面図であり、(B)は(A)のXII−XII線における簡略断面図である。
図12に示されるように、本変形例においては、山部tと谷部bを有する波形板が補助部材2Dとして使用され、谷部bがセンサ2Aと接するように配置される。本変形例によれば、上記実施形態と同様の効果が得られる。さらに、波形板を補助部材2Dとして用いるので、コストを過大に増加させることなく、感知範囲を大面積とすることができるとともに、補助部材2Dに対して与えられた振動が、波形板の谷部bを介して効率的にセンサに伝達される。
【0039】
その他の変形例:
上記実施形態では、短冊状のセンサ2Aの長手を被験者の体の横幅方向に略並行に配置し、補助部材2Bを被験者の体の縦方向(長手方向)に配置する態様について説明したが、逆の配置としてもよい。すなわち、センサ2Aを被験者の体の縦方向に配置し、補助部材2Bを被験者の体の横幅方向に配置してもよい。しかしながら、センサ部2が検出する生体情報のうち、例えば、体動は、被験者の体が左右に動くことが多い寝返りを含む。よって、センサ2Aの長手を被験者の体の横幅方向に略並行に配置した場合には、センサ2Aを被験者の体の縦方向に配置した場合よりも、寝返りのような体動を、より確実に検知することが可能となる。また、センサ2Aを被験者の体の縦方向に1本のみ配置した場合には、寝返りにより、被験者の体がセンサ2Aから外れてしまうことも起こり得る。これに対し、センサ2Aを被験者の体の横幅方向に配置した場合には、被験者の体の一部とセンサ2Aとが常に接触した状態を保つことが可能となる。
上記実施形態では、センサ2Aと各補助部材2B,2C,2Dとが接して交差する(あるいは重なる)場合について説明したが、センサ2Aと各補助部材2B,2C,2Dとは、被験者の振動が、各補助部材からセンサに伝わるように配置されていればよい。よって、両者が直接接触していなくとも、例えば、薄い部材が両者の間に介挿されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施形態に係る睡眠計1の外観を示す平面図である。
【図2】睡眠計1の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】センサ2Aの断面図である。
【図4】センサ2Aの端部の拡大斜視図である。
【図5】(A)〜(C)は、センサ2Aの端部の加工工程を説明するための図である。
【図6】変形例に係るセンサ部2を示す平面図である。
【図7】変形例に係るセンサ部2を示す平面図である。
【図8】変形例に係るセンサ部2を示す斜視図である。
【図9】変形例に係るセンサ部2を示す斜視図である。
【図10】(A)および(B)は、変形例に係るセンサ部2を示す斜視図および断面図である。
【図11】(A)および(B)は、変形例に係るセンサ部2を示す平面図および断面図である。
【図12】(A)および(B)は、変形例に係るセンサ部2を示す平面図および断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1…睡眠計、2…センサ部、2A…センサ、2B,2C,2D…補助部材、2b1…第1シート、2b2…第2シート、2b3…第3シート、3…制御ボックス、4…表示部、5…操作部、6…CPU、7…検出部、8…判定部、9…記憶部、10…電源、11…電圧測定部、21…センサ層、22〜24…導電性フィルム、22A…アース電極層(第2電極層)、23A…シグナル電極層(第1電極層)、24A…シールド電極層、201…第1層、202…第2層、203…第3層、301…第1リード部、302…第2リード部、400…絶縁性部材、501…第1外部接続端子、502…第2外部接続端子、501a,502a…孔部、501b,502b…カシメ加工部、501c,502c…ハトメラグ、600(601,602)…リード線、B…ベッド、b…谷部、c…突起部、M…マットレス、s1〜s5…接点、t…山部、w,w1〜w4…湾曲部分。
【技術分野】
【0001】
本発明は、臥位における被験者の生体情報を検出することが可能な生体情報検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
介護施設や病院などにおいて、夜間における老人の離床検知や、就寝中における被験者の生体情報を検出するためのベッド用センサが用いられている。例えば、特許文献1には、その図3に、寝具の下側にシート状の生体振動センサを設置して、寝具からの離床を検知する装置が開示されている。また、特許文献2には、その図1に示されるように、ベッド上の、被験者の胸部を覆う面積にシート状のセンサを設置して生体の呼吸数や心拍数を計測する装置が開示されている。
【特許文献1】特開2008−93395号公報
【特許文献2】米国特許出願公開2007/0276202号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来型のベッド用センサは高価なため、より安価なセンサに対する要求がある。すなわち、従来型のセンサは、特に価格面において、一般家庭で購入して使用するには不向きであった。しかしながら、コストを削減するために、設置面積がより小さなセンサを用いると、センサの感知範囲が限られてしまい、十分な測定結果が得られないという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、より小さな設置面積のセンサを用いた場合にも、十分な感知範囲を確保でき、コストを抑制しつつ、被験者の生体情報を確実に検出することが可能な生体情報検出装置を提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、臥位における被験者の生体情報を検出することが可能な生体情報検出装置であって、一方の端部に第1外部接続端子および第2外部接続端子を有し、前記被験者の被験部位の下側に配置された短冊状のセンサであって、前記被験者の生体の状態に応じて生じる、前記被験部位の振動を、電圧の変化として出力することが可能なセンサと、前記センサと交差するように配置された補助部材と、前記第1外部接続端子および第2外部接続端子に接続され、前記第1外部接続端子および第2外部接続端子間の電圧を測定する電圧測定手段と、前記電圧測定手段が測定した電圧の測定値に基づいて、前記生体の状態に関する情報を、前記生体情報として検出する生体情報検出手段と、を有する生体情報検出装置を提供する。
【0006】
ここで、「交差する」とは、被験者の振動が、補助部材から短冊状のセンサに伝わるように交差している(補助部材と短冊状のセンサとの少なくとも一部が上下で重なる)ことを示す。よって、補助部材と短冊状のセンサが直接接触していなくても、例えば、薄い部材が両者の間に介挿されていてもよい。また、被験部位の振動を生じさせる生体の状態とは、例えば、被験者の呼吸や脈拍、体動などを含む。
本発明の生体情報検出装置によれは、短冊状のセンサと、このセンサと交差する補助部材とを有するので、従来と比較して、設置面積が縮小されたセンサを用いた場合にも、補助部材を介して被験者の生体情報を感知することが可能となり、コストを削減しつつ、確実に、被験者の生体情報を検出することが可能となる。
【0007】
本発明の好ましい態様において、前記センサは、多孔性ポリプロピレンのシートで形成されたセンサ層と、当該センサ層の一方の面と面接触する第1電極層と、前記センサ層の他方の面と面接触する第2電極層とを有し、前記センサの前記一方の端部は、前記第1電極層と前記センサ層とが引き出された第1リード部と、前記第2電極層が引き出された第2リード部と、前記第1リード部および前記第2リード部を覆う絶縁性部材とをさらに有し、前記第1外部接続端子は、前記第1リード部に形成された孔部と当該孔部をカシメ加工したカシメ加工部とを有し、前記第2外部接続端子は、前記第2リード部に形成された孔部と当該孔部をカシメ加工したカシメ加工部とを有する。
【0008】
前記センサのセンサ層が多孔性ポリプロピレンのシートで構成されている場合がある。多孔性ポリプロピレンのシートは、その内部に無数の空洞が形成されて、この空洞に電荷が蓄えられており、シートに圧力がかかると、その圧力に比例した電荷が移動して電圧を出力する高感度のセンサである。しかしながら、このシートは端部の加工に対して強固でない。本発明の生体情報検出装置によれば、各第1外部接続端子および第2外部接続端子は、第1リード部と第2リード部を絶縁性部材で保護した後に孔部を形成し当該孔部をカシメ加工したカシメ加工部を有していることにより、各第1外部接続端子および第2外部接続端子の強度が確保される。その結果、接続の信頼性が向上する。
【0009】
上記第1電極層としては、実施形態に例示したシグナル電極層があり、上記第2電極層としては、同じく実施形態に例示したアース電極層がある。このアース電極層は、基準電位を定めるためのものであり、基準電位層と呼ばれるものであってもよい。また、センサは、第1電極層、第2電極層およびセンサ層に加え、電磁妨害や静電気放電を防ぐためのシールド電極層(またはアース電極層)およびポリエステルフィルム等を含んでいてもよい。絶縁性部材の例としては、セロテープ(登録商標)、ポリエステルテープ、テフロン(登録商標)テープおよびポリイミドテープなどを含むが、絶縁性部材の強度や、被接着部材とテープとの接着力の相性等を考慮して適宜選択される。
【0010】
好ましくは、本発明の生体情報検出装置は、前記短冊状のセンサを複数備え、前記複数のセンサの複数の第1外部接続端子は互いに並列接続され、複数の第2外部接続端子は互いに並列接続されるようにしてもよい。この態様によれば、複数のセンサのいずれかが断線した場合にも、残りのセンサから出力される電圧に基づいて生体情報を検出することが可能である。
【0011】
本発明の好ましい態様において、前記補助部材は、1または複数の短冊状の部材であることが好ましい。本態様によれば、1または複数の短冊状の補助部材をセンサに交差させて配置するので、コストを抑制しつつ、センサが感知する範囲を拡大することが可能となる。なお、「交差する」とは、直角に交差する場合と、非直角に交差する場合とを含む。
さらに、好ましくは、生体情報検出装置が、互いに平行な前記短冊状のセンサを複数備えており、前記補助部材は、前記1または複数の短冊状の部材の各々が、前記複数のセンサのうち、少なくとも2つのセンサを通るように配置されるようにするとよい。複数の短冊状のセンサを平行に配置して用いた場合には、測定範囲が不連続となってしまうが、本態様によれば、補助部材が、複数のセンサのうち少なくとも2つのセンサを通るので、補助部材により測定範囲を連続とすることが可能となる。
【0012】
さらに、好ましくは、前記1または複数の短冊状の補助部材の各々は第1シートおよび第2シートを有し、前記第1シートおよび前記第2シートは、前記交差した部分において、前記センサを上下に挟むように前記センサに固着されるようにするとよい。補助部材を、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)シートのような折り曲げ可能な素材で形成する場合には、木材や金属などの剛性が高い補助部材と比較して、感知した振動がセンサに伝わりづらい。本態様によれば、センサを上下で挟むように補助部材を配置した構成としたので、1枚のシートで補助部材を構成する場合と比較して、補助部材の振動がセンサに伝わり易い。
【0013】
さらに、好ましくは、前記第1シートは前記センサの上面側に配置され、前記第2シートは前記センサの下面側に配置され、前記第1シートは、前記センサおよび前記第2シートとは逆方向に突き出した湾曲部分を有するようにしてもよい。本態様によれば、さらに、センサを上下で挟んだ2枚のシートにうち、センサの上面側に配置された第1シートがセンサと逆方向に突き出した湾曲部分を有する構成としたので、センサの上面方向から、補助部材に対して与えられる振動が、より効果的にセンサに伝わることが可能となる。さらに、好ましくは、前記第1シートには、複数個の前記湾曲部分があり、当該複数個の湾曲部分間の各谷部分は、前記センサまたは前記第2シートに固着されるようにしてもよい。この場合、湾曲部分を複数とすることにより、補助部材に対して与えられた振動の伝達がさらに効率的となる。
【0014】
さらに、前記1または複数の短冊状の補助部材の各々は、前記複数個の湾曲部分のうち、隣り合う少なくとも2つの湾曲部分の各頂部を通る第3シートを有し、前記第3シートが前記各頂部に固着されるようにしてもよい。この場合には、第3シートに対して与えられた振動が、第3シートに接する第2シートの湾曲部分の各頂部を介して第2シートに伝達され、さらには第1シートに伝達されてセンサに到達するので、第1シートと、複数の湾曲部分を有する第2シートのみで補助部材を構成する場合と比較して、さらに、効率的に振動を伝達することが可能となる。
【0015】
本発明の別の好適な態様において、前記補助部材は、上面部と下面部を有し、当該下面部に突起部を配した板状の部材であり、前記突起部が前記センサと重なるように配置される。本態様においては、広い面積を有する板状の部材を補助部材として用いるとともに、補助部材の下面部に突起部を配し、その突起部がセンサと重なるように配置する構成としたので、コストを抑制しつつ、感知範囲を大面積とすることができるとともに、補助部材に対して与えられた振動が、突起部を介してより効果的にセンサに伝達される。板状の部材の例としては、金属板、木材板などを含む。突起部は、センサと交差する方向に、補助部材の端から端まで形成された尾根状であっても良いし、部分的に形成されていてもよい。また、センサと重なる部分のみが突き出た形状であってもよい。また、突起部は、補助部材と同じ部材で形成されてもよいし、異なる部材で形成されて補助部材に固着されてもよい。
【0016】
本発明のさらに別の好適な態様において、前記補助部材は、山部と谷部を備えた波形板であり、前記補助部材と前記センサは、前記補助部材の前記谷部と前記センサと重なるように配置される。本態様においては、補助部材として波形の板を用いて、波形の谷部がセンサと重なるように配置される。よって、コストを抑制しつつ、感知範囲を大面積とすることができるとともに、補助部材に対して与えられた振動が、波形板の谷部を介してより効果的にセンサに伝達される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<実施形態>
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る睡眠計の設置時の外観斜視図であり、図2は、同睡眠計の電気的構成を示すブロック図である。
図1および図2に示されるように、睡眠計1は、ベッドBに横たわった被験者の生体情報の変化に応じた電圧の変化を出力するためのセンサ部2と、センサ部2に接続され、センサ部2の出力結果に基づいて、被験者の生体情報を検出し、睡眠段階の判定を行う制御ボックス3とを有する。
【0018】
制御ボックス3は、その上面部に、睡眠段階の判定結果の表示やガイダンス表示などを行う表示部4と、電源のオン/オフまたは測定開始/終了などの操作を行なう操作部5とを備える。さらに、制御ボックス3は、センサ部2からリード線600を介して出力された電圧を測定する電圧測定部(電圧測定手段)11と、測定した電圧に基づいて被験者の生体情報(呼吸信号、脈拍信号および体動信号)を検出する検出部(生体情報検出手段)7と、検出部7による検出結果に基づいて睡眠段階判定のための各種判定を行なう判定部8、検出部7による検出結果を記憶するとともに、睡眠段階判定ための各種条件式や判定結果を記憶しておく記憶部9と、睡眠計1に電力を供給する電源10と、これら各部を制御するCPU6とを有する。CPU6は、当該睡眠計1を制御する制御部と時間を計測する計時部とを内部に備える。判定部8は、例えば、覚醒段階、深睡眠段階、浅睡眠段階およびREM睡眠段階の4段階の睡眠段階を判定する。
【0019】
センサ部2は、センサ2Aと、当該センサ2Aに交差して複数配置された補助部材2Bとを備え、センサ2Aを、被験者の体の幅方向と略平行にした状態で、マットレスM上で臥位(横臥位、仰臥位および腹臥位を含む)にある被験者の被験部位の下側になるように配置される。本実施形態では、センサ2Aとして、フィンランドの国立技術開発センターによって開発された超高感度感圧センサを利用したEMFI(Electromechanical Film)センサ(フィンランドEMFiT社製)を用いる。図示の例では、センサ部2はマットレスMの上側に配置されているが、マットレスMが所定の厚みを超えない範囲であれば(すなわち、マットレスMの厚みがセンサの検出精度を損なわない範囲内であれば)、センサ部2をマットレスMの下側に配置することができる。センサ2Aは、幅が約25mmのリボン状のEMFIセンサをベッドの幅方向の長さ(この場合、900mm)に切断した短冊状のセンサである。
【0020】
図3にセンサ2Aの断面図を示す。図3に示されるように、センサ2Aは、多孔性ポリプロピレンのシートを使用したセンサ層21の両側を導電性フィルム22および23で挟むことにより形成されている。各導電性フィルム22および23は、ポリエステルフィルムの片面に導電性ペーストを塗布し、塗布面がセンサ層21と面接触するように張り合わされたものである。ポリエステルフィルムとしては、例えば、厚さ75ミクロンのPET(Polyethylene terephthalate)を用いることができる。また、導電性ペーストとしては、厚さ9ミクロンのアルミ箔を用いることができる。また、センサ層21に使用される多孔性ポリプロピレンのシートとしては、例えば、厚さ65ミクロンのものがある。
【0021】
多孔性ポリプロピレンのシートは、その内部に、電荷を捕獲した無数の空洞(気泡)を形成している。このシートに圧力が加わると、その力に比例した電荷の移動が生じ、シートを挟む導電性フィルム間に電位差が発生する。よって、導電性フィルム22および23に塗布された導電性ペーストは、各々電極層として機能する。本実施形態では、導電性フィルム22に塗布された導電性ペーストは、基準電位を定めるアース電極層22A(第2電極層)として機能し、導電性フィルム23に塗布された導電性ペーストは、圧力により変化した電位を示すシグナル電極層23A(第1電極層)として機能する。
さらに、図3に示されるように、センサ2Aには、導電性フィルム23の図中上側に、別の導電性フィルム24が張り合わされ、その導電性ペーストの塗布面が導電性フィルム23と面接触する。導電性フィルム24の導電性ペーストは、電磁妨害や静電気放電を防ぐためのシールド電極24Aとして機能する。
以上の構成において、センサ2Aは、被験者の状態、すなわち、被験者の呼吸、脈拍や体動によって生じる振動を圧力の変化として感知し、電圧として出力することが可能である。
【0022】
上述したように、センサ2Aは、幅25mm×長さ900mmの短冊状の部材の長手方向を、被験者の体の横幅方向と略平行に配置して使用するが、このような幅の細いセンサ2Aでは、センサ2Aの感知範囲が限られてしまう。そこで、本実施形態では、複数の短冊状の補助部材2Bを、センサ2Aに交差させて配置することにより、被験者に生じる振動を、補助部材を介して広範囲で受け取り、センサ2Aに伝達可能な構成としている。すなわち、補助部材2Bの使用により感知範囲を確保し、被験者の生体情報を確実に検出することを可能としつつ、小さな設置面積のセンサを用いることによりコストの削減を実現している。
【0023】
各補助部材2Bは、例えば、PETシートで形成された短冊状の部材であり、センサ2Aに交差するとともに、その交差部分で接着剤によりセンサ2Aに接合されている。各補助部材2Bは、被験者の生体情報の変化に応じた振動に応じて振動し、その振動はセンサ2Aによって圧力の変化として感知される。接合方法としては、接着剤のほかに、両面粘着テープや溶着(例えば、超音波溶着)などがある。超音波接着は、被接合部材を、微細な超音波振動と加圧力により瞬時に融解して接合するので、きれいな仕上がりが実現される。
【0024】
なお、図示の例では、複数の補助部材2Bがほぼ平行に等間隔で配置され、センサ2Aと直交している態様を示したが、この態様に限られない。すなわち、複数の補助部材が互いに交差する態様であってもよい。また、複数の補助部材2Bの粗密は、図示の態様に限定されない。例えば、被験者が仰向けに寝た場合に、ベッドBの長手方向における中心線に近いほど補助部材2Bを密に配置し、ベッドBの両脇に向かって次第に疎となるように配置する構成としてもよい。
【0025】
図4は、図1に領域Eで示すセンサ2Aの端部の拡大斜視図である。図3および図4から理解されるように、センサ2Aを形成する複数の層のうち、導電性フィルム22を第1層201、センサ層21および導電性フィルム23を第2層202、導電性フィルム24を第3層203としたとき、センサ2Aの一方の端部は、第2層202が引き出された第1リード部301と、第1層201および第3層203とが引き出された第2リード部302とを有する。第1リード部301には第1外部接続端子501がプラス端子として形成され、第2リード部302には第2外部接続端子502がマイナス端子として形成され、各端子からリード線600(601,602)が延びて、制御ボックス3の電圧測定部11に接続される。
【0026】
センサ2Aの端部においては、各リード線601,602を各第1外部接続端子501および第2外部接続端子502に半田加工して接続するため、センサ2Aを形成する各層が半田の熱に耐えられるようにカシメ加工する必要がある。ところが、第2層202に含まれる上述のセンサ層21は、多孔性ポリプロピレンのシートで形成されているため、カシメ加工に対して強固でなく、カシメ加工した部分が剥離してしまう。そこで、本実施形態では、まず、図5の(A)に示すように第1リード部301および第2リード部302を形成した後に、図5の(B)に示すように、第1リード部301および第2リード部302を含む端部全体を絶縁性部材400で覆う。絶縁性部材400としては、例えば、セロテープ、ポリエステルテープ、テフロンテープおよびポリイミドテープなどを含むが、絶縁性部材400の強度や、被接着部材とテープとの接着力の相性等を考慮して適宜選択される。
【0027】
図5の(C)に示されるように、第1リード部301には絶縁性部材400の上から穿孔した孔部501aが形成され、第2リード部302には絶縁性部材400の上から穿孔した孔部502aが形成され、さらに、各孔部501a,502aに各ハトメラグ501c,502cを嵌挿してカシメ加工したカシメ加工部501b,502bが設けられる。すなわち、第1リード部301には、第1外部接続端子501として、孔部501aおよびカシメ加工部501bが形成され、第2リード部302には、第2外部接続端子502として、孔部502aおよびカシメ加工部502bが形成される。各孔部501a,502aの直径は2〜3mmであることが望ましい。
このように、第1リード部301および第2リード部302を絶縁性部材400で覆った後に、孔部501a,502aを形成し、カシメ加工を施す構成としたので、カシメ加工よるセンサ層21の破損を防止することが可能となる。
【0028】
以上説明したように、本実施形態のセンサ部2を備えた睡眠計1によれば、短冊状のセンサ2Aと、センサ2Aと交差するように配置された複数の補助部材2Bとを有するので、従来のようにシート状のセンサを用いる場合と比較してコストを削減しつつ、被験者の生体情報を検出することが可能である。よって、一般家庭においても睡眠計を利用できる可能性が拡大し、ユーザの利便性が向上する。
【0029】
さらに、センサ2Aの端部においては、第1リード部301および第2リード部302を形成し、これらを絶縁性部材400で覆い、第1外部接続端子501および第2外部接続端子502は、各第1リード部301および第2リード部302に形成した各孔部501aおよび502aと、各孔部をカシメ加工した各カシメ加工部501bおよび502bを有するので、カシメ加工に対して強固でないセンサ層21を破損することなく、各外部接続端子を形成することが可能となる。また、この本実施形態による端部の加工を施すことにより、使用中に、端部が破損して断線する可能性が縮小する。
【0030】
<変形例>
変形例1:
上記実施形態では、第1外部接続端子501および第2外部接続端子502が電圧測定部11に直接接続される態様について説明したが、第1外部接続端子501および第2外部接続端子502の直後に増幅器を配置して、センサ部2の出力を増幅した後に引き回すようにしてもよい。この場合には、センサ部2の出力信号が微小振幅であっても、良好なSN比を得ることができる。
【0031】
上記実施形態では、検出部7が検出した生体情報に基づいて睡眠段階の判定を行う判定部8を有する睡眠計について説明したが、判定部8が行う判定を離床判定に限定した離床報知計としてもよい。その場合には、音声出力部を設け、被験者が離床したときにアラームを鳴動させて、被験者が離床したことを周囲に報知してもよい。また、制御ボックス3に出力インターフェイスを設けることにより、検出した生体情報のデータをパーソナルコンピュータや携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)等の外部機器に対して出力し、判定部8による判定を外部機器に実行させる態様としてもよい。出力インターフェイスの例としては、制御ボックス3と外部機器とを有線で接続するための接続端子や、赤外線通信によりデータを出力する赤外線通信ポートなどの無線通信手段等を含む。
【0032】
変形例2:
上記実施形態では、図1に示されるように、センサ部2は、1本の短冊状のセンサ2Aと複数の短冊状の補助部材2Bとから構成されていたが、この態様に限られない。例えば、補助部材2Bは複数でもなくともよい。すなわち、補助部材2Bは単数でも複数でもよい。また、補助部材の形状は、短冊状に限られず、楕円または四角形のシート状でもよいし、それ以外の形状でもよい。
また、測定部位を広範囲とするために、コストが過大とならない範囲内において、短冊状のセンサ2Aを複数配置する構成としてもよい。図6および図7に、短冊状のセンサ2Aを複数配置したセンサ部2について例示する。
図6は、2本のセンサ2Aを並列接続して平行に配置し、複数の短冊状の補助部材2Bを配置した例を示す。この例においては、各補助部材2Bが、2本のセンサ2Aの両方を通るように配置されている。図7は、3本のセンサ2Aを並列接続して平行に配置し、複数の短冊状の補助部材2Bを配置した例を示す。この例においては、各補助部材2Bが、3本のセンサ2Aの全てを通るように配置されている。複数の短冊状のセンサ2Aを用いた場合には、測定範囲が不連続となってしまうが、補助部材2Bが複数のセンサ2Aの全てを通るように配置することにより、測定範囲を連続とすることが可能となる。なお、図6においては、各補助部材2Bの短辺側の両端が、各センサ2Aの長辺側の外側の各端に一致しているが、図7に示すように、センサ2Aの長辺側の外側の端からはみ出すように配置してもよい。また、図7においては、補助部材2Bは、3本のセンサ2Aの全てを通るように配置されているが、少なくとも2本のセンサ2Aを通る構成としてもよい。
【0033】
また、図6および図7に示すように、複数のセンサ2Aを配置する場合には、各センサ2Aから電圧測定部11まで至る配線は、並列接続とする。具体的には、複数のセンサ2Aの複数の第1外部接続端子501を互いに並列接続とし、複数の第2外部接続端子502を互いに並列接続とする。このように接続することにより、複数のセンサ2Aのいずれかが断線した場合にも、残りのセンサから出力される電圧に基づいて生体情報を検出することが可能となる。
【0034】
変形例3:
上記実施形態および変形例では、各補助部材2Bが1枚のシートである場合について説明したが、複数枚のシートを重ねて用いてもよい。図8〜10に本変形例に係るセンサ部2における、センサ2Aと補助部材2Bの配置例を示す。なお、これらの図においては、補助部材2Bの長手を図中横方向として図示したが、ベッドBに設置した場合には、補助部材2BがベッドBの長手方向に延び、2本のセンサ2AとがベッドBの横幅方向になるように設置される。
図8は、第1シート2b1および第2シート2b2を有する補助部材2Bでセンサ2Aを上下に挟むように配置した例を示す。詳細には、第1シート2b1はセンサ2Aの上側に配置されて両者の交差部分は接着剤により接合され、第2シート2b2はセンサ2Aの下側に配置されて両者の交差部分は接着剤により接合されている。この構成において、センサ2Aの上面側(第1シート2b1が配置された側)から補助部材2Bに対して所定の大きさの圧力Pが加えられたときに、センサ2Aと各シートの接合部分が、各シートの撓みの中心方向に向けて引かれる張力はシート2枚分なので、1枚のシートから成る補助部材に同じ圧力Pを加えた場合と比較して増加する。よって、本態様によれば、補助部材2Bにかかる圧力(被験者の振動から生じる圧力)を、より効率的に、センサ2Aに伝達することが可能となる。
【0035】
図9に、図8に示した第1シート2b1に湾曲部分を形成した変形例について示す。具体的には、図8と同様の構成において、第2シート2b2よりも長尺の部材を第1シート2b1として使用し、第1シート2b1が、センサ2Aおよび第2シート2b2とは逆方向に突き出した湾曲部分wを有するように構成する。また、各第1シート2b1および第2シート2b2は、センサ2Aとの交差部分において接着剤により接合されている。この構成においては、補助部材2Bに対してセンサ2Aの上面部方向から上記圧力Pが加えられて、第1シート2b1の湾曲部分wが押し込まれたときに、第2シート2b2がセンサ2Aを引っ張る張力は、図8のように、単に第1シート2b1および第2シート2b2を2枚重ねた補助部材に同じ圧力Pを加えた場合と比較して、大きくなる。よって、第1シート2b1および第2シート2b2を単に2枚重ねた場合よりも、さらに、効率的に、圧力(被験者の振動から生じる圧力)を伝達することが可能となる。なお、図示の例では、湾曲部分wを1つだけ有する態様について説明したが、複数の湾曲部分を備えるようにしてもよい。複数の湾曲部分の間の谷部分は、各々、センサ2Aまたは第2シート2b2に接着剤で接合される。この場合には、湾曲部分wを1つだけ有する場合よりも、広い範囲において受けた圧力について、より効率的な伝達が可能となる。
【0036】
図10は、第1シート2b1に複数の湾曲部分を形成し、さらに、第3シートを配置した変形例を示す。図10の(A)は、本変形例のセンサ部2の斜視図であり、(B)は(A)のX−X線における簡略断面図である。詳細には、図10の(A)および(B)に示されるように、本変形例では、第1シート2b1に複数の湾曲部分w1〜w4を形成し、さらに、隣り合う湾曲部分w2およびw3の各頂部を通る第3シート2b3を配置する。各湾曲部分w2およびw3と第3シート2b3との接点s1およびs2、第1シート2b1と第2シート2b2との各接点s3,s4,s5は接着剤により固定される。また、図8および図9に示した変形例と同様に、第1シート2b1とセンサ2Aとが交差する部分および第2シート2b2とセンサ2Aとが交差する部分は各々接着剤により固定される。この構成において、補助部材に対して圧力Pが与えられた場合には、当該補助部材が第3シート2b3を有することにより、第1シート2b1の湾曲部分w2およびw3が押し込まれる力が大きくなり、第2シート2b2がセンサ2Aを引っ張る張力は、図9に示す構成よりもさらに増加する。よって、この構成によれば、さらに効率的に、圧力(被験者の振動から生じる圧力)を伝達することが可能となる。
なお、図示の例では、第3シート2b3が隣り合う2つの湾曲部分の各頂部を通る構成について説明したが、第3シート2b3が3つ以上の湾曲部分の各頂部を通る構成としてもよい。
【0037】
変形例4:
上記実施形態および変形例では、補助部材2BとしてPETシートを使用する場合について説明したが、例えば、金属や木材などの、PETシートよりも硬い部材を用いてもよい。
図11に、補助部材として木材板を用いた変形例について示す。図11の(A)は、本変形例のセンサ部2の平面図であり、(B)は(A)のXI−XI線における簡略断面図である。
図11に示されるように、本変形例では、下面部に複数の尾根状の突起部cを有する板状の補助部材2Cが、その複数の突起部cがセンサ2Aと接するように配置される。本変形例によれば、上記実施形態と同様の効果が得られる。さらに、広い面積を有する板を補助部材2Cとして用いるとともに、補助部材2Cの下面部に突起部cを配し、その突起部cがセンサ2Aと重なるように配置する構成としたので、コストを過大に増加させることなく、感知範囲を拡大することができるとともに、補助部材2Cに対して与えられた振動が、突起部cを介してより効率的にセンサに伝達される。また、補助部材2Cが、PETシートよりも硬い板で形成されているので、補助部材2Cで受けた振動がセンサ2Aに対して伝達され易い。
なお、図示の例においては、突起部cは、センサと交差する方向に、補助部材の端から端まで形成された尾根状である場合について示したが、部分的に形成されていてもよい。また、センサと重なる部分のみが突き出た形状であってもよい。また、補助部材2Cとして、木材板ではなく金属板を用いてもよい。突起部は、補助部材と同じ部材で形成されてもよいし、異なる部材で形成されて補助部材に固着されてもよい。いずれの場合も、図11に示した変形例と同様の効果が得られる。
【0038】
加えて、図12に、補助部材として波形板を用いた変形例について示す。図12の(A)は、本変形例のセンサ部2の平面図であり、(B)は(A)のXII−XII線における簡略断面図である。
図12に示されるように、本変形例においては、山部tと谷部bを有する波形板が補助部材2Dとして使用され、谷部bがセンサ2Aと接するように配置される。本変形例によれば、上記実施形態と同様の効果が得られる。さらに、波形板を補助部材2Dとして用いるので、コストを過大に増加させることなく、感知範囲を大面積とすることができるとともに、補助部材2Dに対して与えられた振動が、波形板の谷部bを介して効率的にセンサに伝達される。
【0039】
その他の変形例:
上記実施形態では、短冊状のセンサ2Aの長手を被験者の体の横幅方向に略並行に配置し、補助部材2Bを被験者の体の縦方向(長手方向)に配置する態様について説明したが、逆の配置としてもよい。すなわち、センサ2Aを被験者の体の縦方向に配置し、補助部材2Bを被験者の体の横幅方向に配置してもよい。しかしながら、センサ部2が検出する生体情報のうち、例えば、体動は、被験者の体が左右に動くことが多い寝返りを含む。よって、センサ2Aの長手を被験者の体の横幅方向に略並行に配置した場合には、センサ2Aを被験者の体の縦方向に配置した場合よりも、寝返りのような体動を、より確実に検知することが可能となる。また、センサ2Aを被験者の体の縦方向に1本のみ配置した場合には、寝返りにより、被験者の体がセンサ2Aから外れてしまうことも起こり得る。これに対し、センサ2Aを被験者の体の横幅方向に配置した場合には、被験者の体の一部とセンサ2Aとが常に接触した状態を保つことが可能となる。
上記実施形態では、センサ2Aと各補助部材2B,2C,2Dとが接して交差する(あるいは重なる)場合について説明したが、センサ2Aと各補助部材2B,2C,2Dとは、被験者の振動が、各補助部材からセンサに伝わるように配置されていればよい。よって、両者が直接接触していなくとも、例えば、薄い部材が両者の間に介挿されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施形態に係る睡眠計1の外観を示す平面図である。
【図2】睡眠計1の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】センサ2Aの断面図である。
【図4】センサ2Aの端部の拡大斜視図である。
【図5】(A)〜(C)は、センサ2Aの端部の加工工程を説明するための図である。
【図6】変形例に係るセンサ部2を示す平面図である。
【図7】変形例に係るセンサ部2を示す平面図である。
【図8】変形例に係るセンサ部2を示す斜視図である。
【図9】変形例に係るセンサ部2を示す斜視図である。
【図10】(A)および(B)は、変形例に係るセンサ部2を示す斜視図および断面図である。
【図11】(A)および(B)は、変形例に係るセンサ部2を示す平面図および断面図である。
【図12】(A)および(B)は、変形例に係るセンサ部2を示す平面図および断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1…睡眠計、2…センサ部、2A…センサ、2B,2C,2D…補助部材、2b1…第1シート、2b2…第2シート、2b3…第3シート、3…制御ボックス、4…表示部、5…操作部、6…CPU、7…検出部、8…判定部、9…記憶部、10…電源、11…電圧測定部、21…センサ層、22〜24…導電性フィルム、22A…アース電極層(第2電極層)、23A…シグナル電極層(第1電極層)、24A…シールド電極層、201…第1層、202…第2層、203…第3層、301…第1リード部、302…第2リード部、400…絶縁性部材、501…第1外部接続端子、502…第2外部接続端子、501a,502a…孔部、501b,502b…カシメ加工部、501c,502c…ハトメラグ、600(601,602)…リード線、B…ベッド、b…谷部、c…突起部、M…マットレス、s1〜s5…接点、t…山部、w,w1〜w4…湾曲部分。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
臥位における被験者の生体情報を検出することが可能な生体情報検出装置であって、
一方の端部に第1外部接続端子および第2外部接続端子を有し、前記被験者の被験部位の下側に配置された短冊状のセンサであって、前記被験者の生体の状態に応じて生じる、前記被験部位の振動を、電圧の変化として出力することが可能なセンサと、
前記センサと交差するように配置された補助部材と、
前記第1外部接続端子および第2外部接続端子に接続され、前記第1外部接続端子および第2外部接続端子間の電圧を測定する電圧測定手段と、
前記電圧測定手段が測定した電圧の測定値に基づいて、前記生体の状態に関する情報を、前記生体情報として検出する生体情報検出手段と、
を有する生体情報検出装置。
【請求項2】
前記センサは、多孔性ポリプロピレンのシートで形成されたセンサ層と、当該センサ層の一方の面と面接触する第1電極層と、前記センサ層の他方の面と面接触する第2電極層とを有し、
前記センサの前記一方の端部は、
前記第1電極層と前記センサ層とが引き出された第1リード部と、
前記第2電極層が引き出された第2リード部と、
前記第1リード部および前記第2リード部を覆う絶縁性部材と、
をさらに有し、
前記第1外部接続端子は、前記第1リード部に形成された孔部と当該孔部をカシメ加工したカシメ加工部とを有し、
前記第2外部接続端子は、前記第2リード部に形成された孔部と当該孔部をカシメ加工したカシメ加工部とを有する、
請求項1に記載の生体情報検出装置。
【請求項3】
前記短冊状のセンサを複数備え、
前記複数のセンサの複数の第1外部接続端子は互いに並列接続され、複数の第2外部接続端子は互いに並列接続される、
請求項1または2に記載の生体情報検出装置。
【請求項4】
前記補助部材は、1または複数の短冊状の部材である、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の生体情報検出装置。
【請求項5】
互いに平行な前記短冊状のセンサを複数備え、
前記補助部材は、前記1または複数の短冊状の部材の各々が、前記複数のセンサのうち、少なくとも2つのセンサを通るように配置される、
請求項4に記載の生体情報検出装置。
【請求項6】
前記1または複数の短冊状の補助部材の各々は第1シートおよび第2シートを有し、前記第1シートおよび前記第2シートは、前記交差した部分において、前記センサを上下に挟むように前記センサと固着される、
請求項4または5に記載の生体情報検出装置。
【請求項7】
前記第1シートは前記センサの上面側に配置され、前記第2シートは前記センサの下面側に配置され、
前記第1シートは、前記センサおよび前記第2シートとは逆方向に突き出した湾曲部分を有する、
請求項6に記載の生体情報検出装置。
【請求項8】
前記第1シートには、複数個の前記湾曲部分があり、
前記複数個の湾曲部分の間の各谷部分は、前記センサまたは前記第2シートに固着される、
請求項7に記載の生体情報検出装置。
【請求項9】
前記1または複数の短冊状の補助部材の各々は、前記複数個の湾曲部分のうち、隣り合う少なくとも2つの湾曲部分の各頂部を通る第3シートを有し、
前記第3シートは前記各頂部に固着される、
請求項8に記載の生体情報検出装置。
【請求項10】
前記補助部材は、上面部と下面部を有し、当該下面部に突起部を配した板状の部材であり、前記突起部が前記センサと重なるように配置される、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の生体情報検出装置。
【請求項11】
前記補助部材は、山部と谷部を備えた波形板であり、
前記補助部材と前記センサは、前記補助部材の前記谷部と前記センサとが重なるように配置される、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の生体情報検出装置。
【請求項1】
臥位における被験者の生体情報を検出することが可能な生体情報検出装置であって、
一方の端部に第1外部接続端子および第2外部接続端子を有し、前記被験者の被験部位の下側に配置された短冊状のセンサであって、前記被験者の生体の状態に応じて生じる、前記被験部位の振動を、電圧の変化として出力することが可能なセンサと、
前記センサと交差するように配置された補助部材と、
前記第1外部接続端子および第2外部接続端子に接続され、前記第1外部接続端子および第2外部接続端子間の電圧を測定する電圧測定手段と、
前記電圧測定手段が測定した電圧の測定値に基づいて、前記生体の状態に関する情報を、前記生体情報として検出する生体情報検出手段と、
を有する生体情報検出装置。
【請求項2】
前記センサは、多孔性ポリプロピレンのシートで形成されたセンサ層と、当該センサ層の一方の面と面接触する第1電極層と、前記センサ層の他方の面と面接触する第2電極層とを有し、
前記センサの前記一方の端部は、
前記第1電極層と前記センサ層とが引き出された第1リード部と、
前記第2電極層が引き出された第2リード部と、
前記第1リード部および前記第2リード部を覆う絶縁性部材と、
をさらに有し、
前記第1外部接続端子は、前記第1リード部に形成された孔部と当該孔部をカシメ加工したカシメ加工部とを有し、
前記第2外部接続端子は、前記第2リード部に形成された孔部と当該孔部をカシメ加工したカシメ加工部とを有する、
請求項1に記載の生体情報検出装置。
【請求項3】
前記短冊状のセンサを複数備え、
前記複数のセンサの複数の第1外部接続端子は互いに並列接続され、複数の第2外部接続端子は互いに並列接続される、
請求項1または2に記載の生体情報検出装置。
【請求項4】
前記補助部材は、1または複数の短冊状の部材である、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の生体情報検出装置。
【請求項5】
互いに平行な前記短冊状のセンサを複数備え、
前記補助部材は、前記1または複数の短冊状の部材の各々が、前記複数のセンサのうち、少なくとも2つのセンサを通るように配置される、
請求項4に記載の生体情報検出装置。
【請求項6】
前記1または複数の短冊状の補助部材の各々は第1シートおよび第2シートを有し、前記第1シートおよび前記第2シートは、前記交差した部分において、前記センサを上下に挟むように前記センサと固着される、
請求項4または5に記載の生体情報検出装置。
【請求項7】
前記第1シートは前記センサの上面側に配置され、前記第2シートは前記センサの下面側に配置され、
前記第1シートは、前記センサおよび前記第2シートとは逆方向に突き出した湾曲部分を有する、
請求項6に記載の生体情報検出装置。
【請求項8】
前記第1シートには、複数個の前記湾曲部分があり、
前記複数個の湾曲部分の間の各谷部分は、前記センサまたは前記第2シートに固着される、
請求項7に記載の生体情報検出装置。
【請求項9】
前記1または複数の短冊状の補助部材の各々は、前記複数個の湾曲部分のうち、隣り合う少なくとも2つの湾曲部分の各頂部を通る第3シートを有し、
前記第3シートは前記各頂部に固着される、
請求項8に記載の生体情報検出装置。
【請求項10】
前記補助部材は、上面部と下面部を有し、当該下面部に突起部を配した板状の部材であり、前記突起部が前記センサと重なるように配置される、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の生体情報検出装置。
【請求項11】
前記補助部材は、山部と谷部を備えた波形板であり、
前記補助部材と前記センサは、前記補助部材の前記谷部と前記センサとが重なるように配置される、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の生体情報検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−51588(P2010−51588A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220308(P2008−220308)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)
【Fターム(参考)】
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