説明

生体情報測定装置

【課題】被測定者の体液が他の被測定者には付着することの無い生体情報測定装置を提供する。
【解決手段】センサ装着部1を有する本体2と、この本体2の前記センサ装着部1を着脱自在に覆った保護キャップ3とを備え、この保護キャップ3は、バイオセンサ4を前記センサ装着部1に挿入させるセンサ挿入口5と、このセンサ挿入口5に挿入された前記バイオセンサ4を前記センサ装着部1の方向へ案内する壁部とを有する。さらに保護キャップ3は、センサ挿入口5に挿入された状態のバイオセンサ4を保持可能なセンサ保持部6を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオセンサにより生体情報(例えば血糖値)を測定する生体情報測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療施設においては、複数の被測定者に対して日常的に検査を行っている。その様な日常的な検査に用いる生体情報測定装置として、バイオセンサを着脱自在に装着可能なセンサ装着部を本体に備え、このセンサ装着部に装着したバイオセンサの先端に被測定者の体液を点着して被測定者の生体情報を測定するものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2002−521692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の構成では、センサ装着部及びその周辺の本体側面に被測定者の体液が誤って付着した場合に、他の被測定者にその体液が付着してしまう可能性があるという課題があった。即ち、測定のために体液を点着させるバイオセンサは被測定者毎に交換するが、露出したセンサ装着部及び本体側面は交換することが出来ないため、それらに体液が付着してしまった場合には、他の被測定者に付着してしまう可能性がある。
【0005】
そこで本発明は、本体に付着した被測定者の体液が他の被測定者には付着することの無い生体情報測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そしてこの目的を達成するために、本発明の生体情報測定装置は、センサ装着部を有する本体と、この本体の前記センサ装着部と、少なくとも前記センサ装着部が設けられた面の前記本体の壁面全体とを着脱自在に覆った保護キャップとを備え、この保護キャップは、バイオセンサを前記センサ装着部に挿入させるセンサ挿入口と、このセンサ挿入口に挿入された前記バイオセンサを前記センサ装着部の方向へ案内する壁部とを有する事を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
以上のように本発明の生体情報測定装置によれば、センサ装着部を有する本体と、この本体の前記センサ装着部と、少なくとも前記センサ装着部が設けられた面の前記本体の壁面全体とを着脱自在に覆った保護キャップとを備え、この保護キャップは、バイオセンサを前記センサ装着部に挿入させるセンサ挿入口と、このセンサ挿入口に挿入された前記バイオセンサを前記センサ装着部の方向へ案内する壁部とを有するようにしたので、被測定者の体液が付着し得る範囲を保護キャップで覆い、この保護キャップを交換することで他の被測定者に体液が付着しないように出来る。さらに保護キャップは、センサ挿入口に挿入された状態のバイオセンサを保持可能なセンサ保持部を有するようにしたので、保護キャップを交換する時にセンサ保持部でバイオセンサを保持して一緒に取り外すことが出来るため、作業効率を高めることも出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態における生体情報測定装置を示す図
【図2】センサ装着部1付近と保護キャップ3を示す図
【図3】保護キャップ3の形状を説明する図
【図4】本体2に保護キャップ3とバイオセンサ4を装着する様子を示す図
【図5】保護キャップ3とバイオセンサ4の関係を示す図
【図6】保護キャップ3の作用を説明する図
【図7】本体2のセンサ装着部1周辺の形状を説明する図
【図8】保護キャップ3及びバイオセンサ4を取り外す様子を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の生体情報測定装置の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
【0010】
(実施の形態)
図1は、本実施の形態における生体情報測定装置の構成を示す図であり、図1(a)は複数の保護キャップと本体を別々に配置し、図1(b)は本体に保護キャップとバイオセンサを装着した様子を示す図である。なお、以下ではバイオセンサに被測定者の血液を点着して血糖値を測定する装置を例に説明を行うが、これに限らず、バイオセンサに被測定者の体液を点着して生体情報を測定するものであれば、同様に実現可能である。
【0011】
図1に示すように、本実施の形態の生体情報測定装置は、センサ装着部1を有する本体2と、この本体2の前記センサ装着部1を着脱自在に覆った保護キャップ3とを備え、この保護キャップ3は、バイオセンサ4を前記センサ装着部1に挿入させるセンサ挿入口5と、このセンサ挿入口5に挿入された前記バイオセンサ4を前記センサ装着部1の方向へ案内する壁部14(図3参照)とを有する。さらに保護キャップ3は、センサ挿入口5に挿入された状態のバイオセンサ4を保持可能なセンサ保持部6を有する。そして、本体2には、測定日時や被測定者の情報等を入力可能な入力部7とこの入力部7で入力された内容や測定結果等を表示する表示部8が備わる。
【0012】
また、図示していないが、本体2には、本体2の各構成部を駆動するバッテリを内蔵している。そして、本体2には、このバッテリで駆動され、バイオセンサに点着された被測定者の血液から血糖値を測定する血糖値測定部と、この血糖値測定部で測定したデータを記憶するメモリと、このメモリに記憶した測定データを外部機器等と通信して送受信するデータ送受信部が内蔵されている。
【0013】
ここで、この生体情報測定装置を用いた血糖値測定の概略について説明する。本発明では、医療機関において、スタッフが1台の生体情報測定装置を持って、複数の被測定者を次々と測定することを想定している。これは、病院外来の検査室であったり、入院病棟の病室や1つのフロアーであったりする所で起こり得るような状況である。
【0014】
まず、スタッフは、本体2に保護キャップ3を取り付ける。次に、保護キャップ3のセンサ挿入口5からバイオセンサ4を差し込んで本体2のセンサ装着部1に装着して、図1(b)に示す如く測定の準備を行う。本体2内の血糖値測定部は、例えば、センサ装着部1にバイオセンサ4が装着されたことを検知して、自動的に測定待機状態となり、バイオセンサ4の先端に血液が点着するのを待つように動作する。
【0015】
このようにして生体情報測定装置の準備が整ったら、スタッフまたは被測定者自身が被測定者の指先を穿刺器具等で穿刺して、微量の血液を皮膚から搾り出す。そして、被測定者の穿刺した指先をバイオセンサ4の先端に接触させ、搾り出した血液をバイオセンサ4の点着部(図示せず)に点着する。
【0016】
血糖値測定部は、点着部に血液が点着されたことを検知すると、自動的に血糖値の測定を実施する。測定された血糖値は、メモリに送られて入力部等から入力された被測定者の情報と共に記憶される。同時に、表示部にも送られて、表示される。
【0017】
スタッフは、表示部を見て血糖値が正常に測定されたことを確認すると、保護キャップ3とバイオセンサ4を本体2から取り外して、廃棄BOX等に廃棄する。この時、本実施の形態の生体情報測定装置は、保護キャップ3とバイオセンサ4が一緒に取り外されるように構成されているが、この取り外し時の動作については後で説明する。
【0018】
その後、スタッフは、次の被測定者を測定するために、再び、本体2に保護キャップ3とバイオセンサ4を装着する。以上が連続して複数の被測定者を測定する概要である。
【0019】
ここで、被測定者の指先をバイオセンサ4に接触させて血液を点着することに着目する。この生体情報測定装置はスタッフが保持し、被測定者の指先とバイオセンサ4とが接触するように、生体情報測定装置を被測定者の指先に近づける、あるいは、被測定者の指先を生態情報測定装置に近づける。
【0020】
ところが、上述した状況でスタッフが流れ作業で測定を行っていると、ふとしたはずみで被測定者の指先とバイオセンサ4の相対位置は容易にずれ、被測定者の指先がバイオセンサ4の先端部からずれて生体情報測定装置の本体2に接触してしまうことがある。すると、被測定者の指先は、既に穿刺等により血液を搾り出した後なので、本体2がむき出しの状態であるならば、露出した血液が本体2に付着する可能性がある。
【0021】
この血液が付着したまま、以降の被測定者に対して測定を続けた場合、同じように被測定者の指先とバイオセンサ4の相対位置がずれて被測定者の指先が本体2の壁面と接触すると、先ほど付着した血液が被測定者に付着してしまう可能性がある。この時、被測定者は穿刺等により皮膚の表面を傷つけた状態であるから、そこから付着した血液が体内に侵入してしまうと非常に危険である。
【0022】
従って、本実施の形態の生体情報測定装置は、1回の測定ごとに取り替えることの出来る保護キャップ3を備え、この保護キャップ3はセンサ装着部1を含むその周辺の本体2の壁面を覆うようにしている。このようにすることで、例え被測定者の指先が生体情報測定装置に接触しても、血液が付着するのは保護キャップ3上である。そしてこの保護キャップ3は被測定者が変わるたびに取り替えるものであるから、上述した、血液の他の被測定者への付着を防ぐことが出来る。
【0023】
このような効果を得るためには、保護キャップ3は、被測定者の指先が触れ得る本体2の壁面の範囲を覆うように形成されなければならない。本実施の形態では、図1(b)に示す如く、バイオセンサ4側の側面から見える範囲を覆い、さらにその端部は表示部8近辺まで延長している。
【0024】
ただし、この覆う範囲は一例であって、必要に応じて変更することは当業者であれば適宜なし得ることである。例えば、表示部8まで覆ったり、入力部7まで覆ったりすることもあり得るし、本体2のバイオセンサ4を装着する側と反対側の端部、即ち、本体2全体を覆ったりしても良い。
【0025】
最低限、センサ装着部1の周囲の本体2の壁面を覆うことは必要である。また、本体2に保護キャップ3とバイオセンサ4を装着した状態において、少なくともバイオセンサ4の先端にある点着部は、保護キャップ3から外へ露出していなければならない。
【0026】
次に、本実施の形態の特徴の一つである、保護キャップ3の具体的な構造について、図1から図6を用いてさらに詳細に説明する。図2は、本体2のセンサ装着部1付近を拡大した図と保護キャップ3を示す図である。図3は、保護キャップ3の内側をセンサ挿入口5とは他端の開口部から見た図とその断面図である。図4は、本体2に保護キャップ3とバイオセンサ4を装着する時の様子を表す断面図である。図5は、保護キャップ3のセンサ挿入口5付近の断面拡大図と、バイオセンサ4をセンサ挿入口5に挿入したときの様子を表す図を示している。図6は、保護キャップ3をつまんだ状態を表す図と、その際にセンサ保持部6でバイオセンサ4を挟持した様子を示した図である。
【0027】
まず、保護キャップ3を可撓性材料により構成し、この保護キャップ3の、バイオセンサ4に対向する両面を上述のセンサ保持部6としている。そしてセンサ保持部6は、図2に示す如くバイオセンサ4と接触する部分にパッド9を備え、バイオセンサ4を挟持した際に滑らないようにしている。保護キャップ3のセンサ保持部6の表面が滑りにくいものであったり、そのような材料を塗布していたりする場合には、図1に示すように、パッド9を設けなくても良い。
【0028】
あるいは、パッド9の代わりに、バイオセンサ4と接触する部分に数本の溝を形成したり、表面を粗くしたりしてバイオセンサ4が滑らないように加工したものでも良い。
【0029】
さらに保護キャップ3は、センサ挿入口5と反対側開口部の側面に設けた切り欠き10a、10bと、この切り欠き10a、10bのどちらか一方、あるいは両方の近傍に係合凹部を有し(本実施の形態では切り欠き10a、10bの両方の近傍にそれぞれ設け、これを係合凹部11a、11bとする)、図2に示すようにこの係合凹部と係合する係合凸部(同様に係合凸部12a、12bとする)を本体2に備えた。
【0030】
なお、保護キャップ3のセンサ保持部6の裏面、即ちセンサ保持部6の反対面に位置する保護キャップ3の外側表面には、スタッフが指を添える際にガイドとなり、かつ、保護キャップ3を外すときに指が滑らないように加工したグリップ13を設けてある。このグリップ13は、図示したような複数本の棒状突起物であれば良いが、円形の突起物など、指が滑らないように表面に加工されたものであればどのようなものであっても良い。このようにセンサ保持部6の裏面にグリップ13を設ければ、スタッフが指を添えた際の力の作用点がセンサ保持部6付近となり、これにより、より確実にバイオセンサ4を保持することが可能となる。
【0031】
次に、保護キャップ3の先端に設けたセンサ挿入口5について、図3と図4を用いて説明する。図3(a)は、保護キャップ3の内側をセンサ挿入口5とは他端の開口部、即ち切り欠き10a、10bの方向から見た図を示している。そして、図3(b)は、図3(a)におけるA−A断面で切断した断面斜視図を示している。
【0032】
図3に示す如く、センサ挿入口5から内側に向かって壁部14が形成されている。この壁部14の役割は大きく2つある。1つ目は、バイオセンサ4をセンサ挿入口5に挿入した時に、バイオセンサ4の挿入した端部を本体2のセンサ装着部1の方へ導くためのガイド機能である。これは、本体2に保護キャップ3を装着した時に、センサ挿入口5からセンサ装着部1までに間隙がある時に特に有効に作用するものである。
【0033】
もしバイオセンサ4が、センサ挿入口5とセンサ装着部1とを結ぶ線方向に対して、上下または左右に角度を有する状態でセンサ挿入口5に挿入されると、そのままではセンサ装着部1とはずれた位置に向けてバイオセンサ4が挿入し続けられる。しかし、この壁部14があることで、挿入されたバイオセンサ4の端部は壁部14に行く手を阻まれることになる。この壁部14にバイオセンサ4の端部が接触することで、バイオセンサ4とバイオセンサ4を保持するスタッフの手に抵抗力が生じる。その時に、弾力性のあるバイオセンサ4がたわんで、その端部がセンサ装着部1の方向へ向く。または、スタッフが抵抗を感じてバイオセンサ4を挿入する角度を変えることで、その端部がセンサ装着部1の方向へ向く。このようにして、バイオセンサ4のセンサ装着部1に装着される部分は、センサ装着部1へと導かれる。
【0034】
この様な作用効果を得るためには、壁部14はセンサ挿入口5からセンサ装着部1の方向へと延びている必要がある。その長さは、センサ装着部1とセンサ挿入口5の間隙が大きいほど長くした方がより効果がある。あるいは、間隙の大きさにかかわらず、壁部14とセンサ装着部1とちょうど接触するか、その手前まで延ばした長さとすれば良い。一方、最低限の長さはセンサ挿入口5の開口部の大きさによって規定される。即ち、開口部が大きいほどバイオセンサ4のセンサ挿入口5に対する角度の自由度が大きくなるため、その方向を規制するためには、壁部14を長くする必要がある。
【0035】
図4は上述したバイオセンサ4の装着の様子を図示したもので、図4(a)はバイオセンサ4をセンサ挿入口5に挿入を始めた状態を示し、図4(b)はバイオセンサ4をセンサ装着部1へ装着完了した状態を示したものである。図4(a)に示したように、最初バイオセンサ4がセンサ挿入口5に対して大きな角度を有している場合でも、壁部14に導かれて、図4(b)に示すようにセンサ装着部1へと装着される。
【0036】
壁部14の2つ目の役割は、バイオセンサ4をつたって流れる血液をセンサ装着部1へと到達させないことである。即ち、測定ごとに交換する保護キャップ3で血液をせき止めて、容易に交換が出来ないセンサ装着部1への血液の付着を阻止するものである。例えば、被測定者が指先に大きく傷をつける等して血液が大量に出た場合には、バイオセンサ4に点着した際に、バイオセンサ4先端の点着部に収まりきらず、バイオセンサ4をつたって流れてしまうことがある。
【0037】
この時、生体情報測定装置を被測定者の指先よりも下部に傾けて位置させていると、先端部からあふれた血液がバイオセンサ4をつたってセンサ装着部1の方へと流れる。この血液が、センサ挿入口5の壁部14で止まるように壁部14を形成する。具体的には、図5(a)に示すように、壁部14のセンサ挿入口5とは反対側の端部開口径がバイオセンサ4と略同じかやや大きくなるようにする。センサ挿入口5の開口径は、壁部14の端部と同じくバイオセンサ4と略同じかやや大きくなるようにしても良いが、図5(a)に示すように、バイオセンサ4を受け入れやすいように開口径を大きくした時には、壁部14はセンサ挿入口5から他端の端部に向けて傾斜(テーパ)を設ける。
【0038】
この様に壁部14を構成すれば、図5(b)に示す如く、血液15の先端は、壁部14の先端部、あるいはそこに至るまでの途中で表面張力と血液の粘着度により進行が止まり、壁部14よりも内側のセンサ装着部1方向へは流れない。さらに壁部14の表面を疎水性の処理を施せば、センサ挿入口5の近辺で、血液がそれ以上は壁部14の内部へ流れ込まないようにすることも可能である。
【0039】
図6(a)は、図1に示す保護キャップ3の上下両面のグリップ13に外側から圧力を加えて、途中まで潰した状態を示す図である。これは、スタッフが保護キャップ3の横から片手を沿えて親指と他の指で挟み、親指と他の指でつまんで潰すようにした状態で起こる。図6(a)に示すように、保護キャップ3の上下両面のグリップ13が外側から加圧されると、側面に設けた切り欠き10a、10bが起点となり、保護キャップ3の側面が外側へ折れ曲がる。それによって保護キャップ3の上下両面に位置するセンサ保持部6が内側へとたわむようになる。
【0040】
この時、切り欠き10a、10bが起点となって保護キャップ3の側面が外側へ折れ曲がることで、切り欠き10a、10bの近傍に設けた係合凹部11a、11bも外側へと移動し、これにより、本体2に設けた係合凸部12a、12bとの係合が外れる。すると、本体2と保護キャップ3とを固定する係合が無くなるため、保護キャップ3は本体2から取外しが自在となる。
【0041】
なお、保護キャップ3の材料に元の形に戻る弾力性を有するものを含有し、グリップ13を加圧して保護キャップ3の側面を外側に折り曲げた後でも、グリップ13への加圧をやめると側面が元の形状に回復し、係合凹部11a、11bが係合凸部12a、12bと係合する位置に復帰して、保護キャップ3を再び本体2に装着可能となるようにしても良い。
【0042】
図6(b)は、保護キャップ3を取り外した際に、バイオセンサ4をセンサ保持部6に保持した状態を示す図である。理解のために、保護キャップ3を透過して中のバイオセンサ4が見えるように図示してあるが、実際の保護キャップ3の材料に透明、又は半透明のものを採用して、図示のように保護キャップ3内部に位置するバイオセンサ4が透視出来るようにしても良い。
【0043】
図6(b)に示すように、バイオセンサ4を伴って保護キャップ3を取り外した時には、血液を点着したバイオセンサ4の先端部は、完全に保護キャップ3の内部に位置し、保護キャップ3から露出しているのは、本体2のセンサ装着部1に装着されていた部分とその周辺である。
【0044】
このようにするために、保護キャップ3の寸法は主にバイオセンサ4の寸法によって決められる。即ち、保護キャップ3とバイオセンサ4を本体2に装着している時には、バイオセンサ4の先端にある点着部は保護キャップ3から露出しており、保護キャップ3とバイオセンサ4を取り外す時には、バイオセンサ4の点着部は保護キャップ3の中に納まる関係を満たせば良い。
【0045】
図6(c)は上述した寸法を決めるための、本体2、保護キャップ3、バイオセンサ4の位置関係を示した図である。本体2における、保護キャップ3を装着した時の保護キャップ3の開口端位置をB−B面とすると、B−B面から保護キャップ3のセンサ挿入口5側の端部までの距離Laは、B−B面から本体2のセンサ装着部1側の端部までの距離Lbに、センサ装着部1の端部からバイオセンサ4の先端までの長さLcを足したものより短くなければならない。これは、被測定者の血液を点着するために、バイオセンサ4の先端に設けた点着部が露出していなければならないためである。
【0046】
さらに、B−B面から本体2のセンサ装着部1側の端部までの距離Lbは、保護キャップ3のセンサ挿入口5側の端部からバイオセンサ4の先端までの距離Ldより長くなければならない。これは、保護キャップ3を取り外してスライドし、保護キャップ3の開口端付近に設けられたセンサ保持部6がバイオセンサ4を保持した時に、バイオセンサ4の先端が保護キャップ3の中に納まるために必要である。
【0047】
なお、このB−B面は上述したように、図示した表示部8ではなく、入力部7や表示部8、果ては本体2の端部までを覆う位置に設定しても、これらの距離の条件を満足するものであれば良い。
【0048】
次に、図7を用いて、本体2のセンサ装着部1付近の形状について説明する。図7(a)、(b)、(c)はいずれも、本体2のセンサ装着部1付近を拡大した図である。図7(a)は、他の図面と同様に、センサ装着部1上部にガイド部16を有している。図示していないが、本体2の裏面側の対向する位置にも同様のガイド部16がある。このガイド部16は、保護キャップ3を本体2に装着した時のセンサ保持部6とグリップ13の直下に位置するように形成されている。グリップ13がスタッフの指によって両側から加圧されると、下方向(本体2側)へ押し下げられるように、ガイド部16によって、保護キャップ3と本体2の壁面の間に空間が作られている。
【0049】
スタッフがグリップ13を両側から加圧すると、ガイド部16で作られた分だけ保護キャップ3が下方へ押し下げられ、保護キャップ3全体がたわむ。すると、切り欠き10a、10bを起点として保護キャップ3の側面が外側折れ曲がり、係合凹部11a、11bと係合凸部12a、12bの係合が外れ、保護キャップ3が取外し自在となる。このままの状態でスタッフがグリップ13を前方(センサ装着部1の方向)へスライドして保護キャップ3をずらしていく。この時、ガイド部16はまた、スタッフの指をスライドする方向へ導くガイドとしても機能する。このガイド部16は、センサ装着部1の部分まで形成されているので、スライドさせた指がそのままバイオセンサ4を挟み込みやすくなっている。
【0050】
図7(b)は、ガイド部16の別の形態を示したもので、裏面にも同様のへこみ部が存在する。図7(a)に示したものと異なるのは、本体2からガイド部16への落ち込みが、段差ではなく、傾斜とした点である。このような形状にすると、上述した図7(a)の形状と同じ作用効果を得られるだけでなく、スタッフの指をセンサ装着部1へとより確実に導きやすくなり、バイオセンサ4を挟み込みやすくなる。
【0051】
図7(c)は、図7(a)のガイド部16の形状に合わせて、さらにセンサ装着部1を前方に突き出した形状である。これにより、ガイド部16によってセンサ装着部1へと導かれたスタッフの指が、より確実にバイオセンサ4を挟み込みやすくなる。なお、図7(b)のガイド部16の形状に図7(c)のようなセンサ装着部1の突き出し形状を組み合わせても同様の作用効果を得ることが出来る。
【0052】
最後に、本実施の形態にかかる生体情報測定装置において、血糖値を測定したのち、保護キャップ3とバイオセンサ4を取り外す様子を、図8を用いて説明する。まず、スタッフは保護キャップ3の横から片手を沿え、親指と他の指で、保護キャップ3の両側に設けられたグリップ13を挟み込む。そしてグリップ13を挟み込む指に力を入れ、グリップ13を本体2側へ押し下げる。すると、係合凹部11a、11bと係合凸部12a、12bの係合が外れ、保護キャップ3が取外し自在となる(図8(a))。
【0053】
そのままの状態で保護キャップ3を前方(センサ装着部1の方向)へスライドさせると、バイオセンサ4はそのままの位置から動かず、保護キャップ3のみがずれていく。これは、バイオセンサ4は、センサ装着部1において電極(図示せず)に挟み込まれており、その力は、バイオセンサ4と保護キャップ3のセンサ挿入口5との間に生じる摩擦力によって発生する、バイオセンサ4をセンサ装着部1から引き抜こうとする力よりも大きいため、よってバイオセンサ4はセンサ装着部1から外れようとしないためである。
【0054】
そして、図8(b)に示すように保護キャップ3の端部がセンサ装着部1へ達すると、スタッフの指はさらにグリップ13を押し下げて、センサ保持部6を介してバイオセンサ4を保持することが出来る。これにより、スタッフの指が生じる力が直接バイオセンサ4へと伝わるようになる。そうすると、上述したセンサ装着部1の電極がバイオセンサ4を保持する力よりも大きな力を加えることが可能になり、それにより図8(c)に示すように保護キャップ3とバイオセンサ4を一緒に取り外すことが出来る。スタッフはこれら保護キャップ3とバイオセンサ4をそのまま廃棄BOXなどへ廃棄すればよい。
【0055】
このように、取り外されたバイオセンサ4の血液を点着した先端側が保護キャップ3に覆われているので、被測定者及びスタッフが、取り外したバイオセンサ4に付着した血液に触れることが無く、廃棄することが出来る。
【0056】
以上のように、本実施の形態の生体情報測定装置によれば、センサ装着部を有する本体と、この本体の前記センサ装着部と、少なくとも前記センサ装着部が設けられた面の前記本体の壁面全体とを着脱自在に覆った保護キャップとを備え、この保護キャップは、バイオセンサを前記センサ装着部に挿入させるセンサ挿入口と、このセンサ挿入口に挿入された前記バイオセンサを前記センサ装着部の方向へ案内する壁部とを有するようにしたので、被測定者の体液が付着し得る範囲を保護キャップで覆い、この保護キャップを交換することで他の被測定者に体液が付着しないように出来る。
【0057】
さらに保護キャップは、センサ挿入口に挿入された状態のバイオセンサを保持可能なセンサ保持部を有するようにしたので、保護キャップを交換する時にセンサ保持部でバイオセンサを保持して一緒に取り外すことが出来るため、センサ保持部とバイオセンサを別々に取り外すよりも作業効率を高めることも出来る。
【0058】
とりわけ、バイオセンサの血液が付着したところをセンサ保持部で覆って取り外すため、周囲への付着防止への気配りを緩めることが出来て、作業効率は向上する。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明にかかる生体情報測定装置は、センサ装着部を有する本体と、この本体の前記センサ装着部と、少なくとも前記センサ装着部が設けられた面の前記本体の壁面全体とを着脱自在に覆った保護キャップとを備え、この保護キャップは、バイオセンサを前記センサ装着部に挿入させるセンサ挿入口と、このセンサ挿入口に挿入された前記バイオセンサを前記センサ装着部の方向へ案内する壁部とを有するようにしたので、被測定者の体液が他の被測定者に付着することが無く、多人数を測定する装置等として有用である。
【符号の説明】
【0060】
1 センサ装着部
2 本体
3 保護キャップ
4 バイオセンサ
5 センサ挿入口
6 センサ保持部
7 入力部
8 表示部
9 パッド
10a、10b 切り欠き
11a、11b 係合凹部
12a、12b 係合凸部
13 グリップ
14 壁部
15 血液
16 ガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ装着部を有する本体と、
この本体の前記センサ装着部と、少なくとも前記センサ装着部が設けられた面の前記本体の壁面全体とを着脱自在に覆った保護キャップとを備え、
この保護キャップは、
バイオセンサを前記センサ装着部に挿入させるセンサ挿入口と、
このセンサ挿入口に挿入された前記バイオセンサを前記センサ装着部の方向へ案内する壁部とを有する生体情報測定装置。
【請求項2】
保護キャップは、センサ挿入口に挿入された状態のバイオセンサを保持可能なセンサ保持部を有する請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項3】
保護キャップを可撓性材料により構成し、この保護キャップの、バイオセンサに対向する両面をセンサ保持部とした請求項2に記載の生体情報測定装置。
【請求項4】
センサ保持部は、バイオセンサと接触する部分にパッドを備えた請求項2または3に記載の生体情報測定装置。
【請求項5】
保護キャップのセンサ挿入口から前記保護キャップの前記センサ挿入口と反対側の端部までの長さは、バイオセンサがセンサ保持部に保持された時の前記センサ保持部から前記バイオセンサの先端までの長さより長く、前記バイオセンサが前記センサ保持部に保持された時の本体の前記センサ保持部と反対側の端部から前記バイオセンサの先端までの長さよりも短い請求項2から4のいずれか一項に記載の生体情報測定装置。
【請求項6】
保護キャップは、
センサ挿入口と反対側開口部の側面に設けた切り欠きと、
この切り欠きの近傍に係合凹部を有し、
この係合凹部と係合する係合凸部を本体に備えた請求項1から5のいずれか一項に記載の生体情報測定装置。
【請求項7】
センサ装着部周辺の本体壁面の一部が周囲よりも低く形成されている請求項1から6のいずれか一項に記載の生体情報測定装置。
【請求項8】
センサ装着部は、本体の端部において周囲よりも前方に突き出て形成されている請求項1から7のいずれか一項に記載の生体情報測定装置。
【請求項9】
壁部は、センサ挿入口からセンサ装着部へ向けて突き出して形成されている請求項1から8のいずれか一項に記載の生体情報測定装置。
【請求項10】
壁部は、センサ挿入口から突き出して形成された端部に向けて傾斜を有し、
前記端部の開口径は、前記センサ挿入口の開口径よりも小さくした請求項9に記載の生体情報測定装置。
【請求項11】
壁部の表面に疎水性処理を施してある請求項1から10のいずれか一項に記載の生体情報測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−141269(P2011−141269A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260863(P2010−260863)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】