説明

生体用電極

【課題】インピーダンス変換回路を電極に近接して配置できるとともに、ノイズの発生も抑制できる生体用電極を提供すること。
【解決手段】生体に接触させて生体電位を検出する一対の検出電極7、9と、生体に接触させるとともに検出電極7、9で検出される電位と対比する基準電位を設定するための基準電極11と、を備えた筋電位測定電極1である。この筋電位測定電極1は、フレキシブル基板5の一方の表面に、フレキシブルな検出電極7、9と基準電極11とを備えるとともに、フレキシブル基板5の他方の表面に、検出電極7、9をフレキシブル基板5側へ投影した領域と重なる位置に、インピーダンス変換回路13、15を配置し、更にインピーダンス変換回路13、15の外側表面を覆う様に、フレキシブル基板5及び検出電極7、9よりも硬質な材料からなる電気シールド17、19を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば筋電位、心電位、脳波などを測定する際に用いることができる生体用電極に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば筋電位を測定するために、体にフィットし易い構造の筋電位測定電極の技術が提案されている(特許文献1参照)。
この技術とは、筋電位測定電極として、検出電極の周囲を基準電極で囲むとともに、検出電極及び基準電極が可撓性を有している構造を採用したものであり、これによって、皮膚表面に押しつけられた検出電極及び基準電極が、皮膚表面の形状に応じて変形するので、各電極と皮膚との接触面積が広くなり、その結果、安定して筋電位を検出することができるという技術である。
【0003】
また、この技術では、筋電位の測定の際に、大きな信号を得るとともにノイズ(即ち電極側と人体側とのインピーダンスの差によって発生するノイズ)を低減するために、筋電位測定電極にインピーダンス変換回路を接続している。詳しくは、筋電位測定電極の入力インピーダンスを、人体の表面の高いインピーダンスに合わせて大きく設定するとともに、出力側を低インピーダンスに設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4013035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、筋電位を精度良く測定するためには、外部ノイズを出来る限り低減することが望ましいが、そのための方法として、インピーダンス変換回路を検出電極や基準電極の近傍に配置することが考えられる。これは、インピーダンス変換回路と電極との間の距離が大きいと、その間にノイズが乗り易いという特性があるからである。
【0006】
ところが、上述した従来技術では、検出電極や基準電極が可撓性を有しているので、インピーダンス変換回路を電極に接して配置することは、強度の点から構造上不可能であるという問題があった。
【0007】
これは、可撓性のある電極にインピーダンス変換回路をそのまま貼り付けた場合には、電極が撓むとインピーダンス変換回路が損傷する恐れがあるからである。
更に、検出電極に可撓性がある場合には、検出電極の撓みに合わせてノイズが重畳してしまうという問題もあった。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、インピーダンス変換回路を電極に近接して配置できるとともに、ノイズの発生も抑制できる生体用電極を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記目的を達成するためになされた請求項1の発明は、生体に接触させて生体電位を検出する検出電極と、前記生体に接触させるとともに前記検出電極で検出される電位と対比する基準電位を設定するための基準電極と、を備えた生体用電極において、フレキシブル基板の一方の表面に、フレキシブルな前記検出電極と前記基準電極とを備えるとともに、前記フレキシブル基板の他方の表面に、前記検出電極を前記フレキシブル基板側へ投影した領域と重なる位置に、前記検出電極と接続されるインピーダンス変換回路を配置し、更に前記インピーダンス変換回路の外側表面を覆う様に、前記フレキシブル基板及び前記検出電極よりも硬質な材料からなる電気シールドを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明では、可撓性を有するフレキシブル基板の他方(生体と反対側:外側)の表面において、検出電極をフレキシブル基板側へ投影した領域と重なる位置にインピーダンス変換回路を配置し、更にインピーダンス変換回路の外側表面を覆う様に、硬質な電気シールドを備えている。
【0011】
従って、生体用電極を腕等に取り付けた場合には、検出電極は(その外側の)硬質な電気シールドで支えられることにより機械的に安定し、また、基準電極はフレキシブルに変形して腕等の表面にフィットするので、生体用電極がずれにくく、高精度の測定が可能である。
【0012】
特に、本発明では、検出電極の外側(生体と反対側)にインピーダンス変換回路を配置するとともに、インピーダンス変換回路の外側表面を覆うように硬質の電気シールドを配置している。これにより、フレキシブル基板や検出電極が可撓性を有していても、インピーダンス変換回路を検出電極に近接して配置することができるので、ノイズを低減することができるとともに、インピーダンス変換回路の破損を防止することができる。
【0013】
ここで、前記電気シールドの大きさ(投影領域)は、検出電極の投影領域と一致する範囲が、生体用電極全体の生体への密着性及びノイズの低減の点から好適であるが、少なくとも電気シールドの投影領域と検出電極の投影領域のずれは、(検出電極の投影面積を基準として)±30%以内が好適である。
【0014】
また、インピーダンス変換回路とは、入力側である検出電極側を高インピーダンスとし、出力側を低インピーダンスとする変換回路である
なお、前記生体電位としては、筋電位、心電位、又は脳波を示す電位が挙げられる。
【0015】
(2)請求項2の発明では、前記電気シールドは、前記基準電極と接続されていることを特徴とする。
本発明では、電気シールドが基準電極と接続されているので、外部からのノイズの侵入を防止できる。
【0016】
(3)請求項3の発明では、前記基準電極は、検出電極より面積が大きく設定されていることを特徴とする。
本発明では、基準電極は、フレキシブル基板側(外側:裏側)に硬質の電気シールドが配置された検出電極より面積が大きく設定されているので、生体用電極全体が腕等の生体の表面にフィットし易い。
【0017】
また、検出電極及び基準電極として、金属層の表面に誘電体層を形成する場合には、基準電位を安定させることが必要であるので、検出電極より基準電極の面積を大きくする必要があるが、検出電極及び基準電極として、金属製の電極のみを用いる場合には、必ずしも検出電極より基準電極の面積を大きくする必要はない。
【0018】
(4)請求項4の発明では、前記基準電極は、検出電極の周囲を囲むように配置されていることを特徴とする。
これにより、基準電位を、検出電極の周囲の平均的な電位とすることができるので、測定精度を向上できる。
【0019】
(5)請求項5の発明では、前記検出電極が複数ある場合(例えば第1、第2検出電極)には、各検出電極の大きさが同じであることを特徴とする。
これにより、測定精度を高めることができる。
【0020】
これは、例えば基準電極の電位を基準に、第1検出電極の電位と第2検出電極の電位とを求め、両検出電極の電位の差分から筋電位を求めるような場合には、両検出電極の面積が異なると、その面積が異なることにより電位の差が生じ、これが測定誤差につながるからである。
【0021】
なお、ここで、検出電極の大きさが同じとは、面積の違いが(任意の検出電極の投影面積を基準として)±10%以内のものをいう。
(6)請求項6の発明では、前記検出電極と前記基準電極との間には、溝が形成されていることを特徴とする。
【0022】
従って、測定中に汗が発生しても、その汗は溝内に溜まるので、電極に付着し難く、よって、汗による測定精度の低下を防止できる。
(7)請求項7の発明では、前記検出電極の周囲には、ノイズの混入を防止するガード電極が設置されており、ガード電極は、インピーダンス変換回路の低インピーダンス側である出力側と接続されていることを特徴とする。
【0023】
これにより、ノイズを低減することができる。
(8)請求項8の発明では、前記ガード電極が設置されている場合には、ガード電極の前記フレキシブル基板側へ投影した領域を含むように、前記電気シールドが設置されていることを特徴とする。
【0024】
これにより、外部からの放射ノイズを受けにくいという利点がある。
(9)請求項9の発明では、前記検出電極及び前記基準電極として、金属層、又は、金属層の表面に誘電体層を形成した電極を用いることを特徴とする。
【0025】
これらの構造の電極を用いることにより、好適に生体電位を測定することができる。特に金属層の表面に誘電体層を形成した電極を用いることにより、金属層が直接皮膚に接触しないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施例1の筋電位測定電極の使用方法を示す説明図である。
【図2】実施例1の筋電位測定電極を示し、(a)は(b)のA−A断面を示す断面図、(b)は筋電位測定電極の平面図である。
【図3】筋電位を測定する計測装置を示す説明図である。
【図4】実施例1の筋電位測定電極の測定回路を示す説明図である。
【図5】実施例2の筋電位測定電極を示し、(a)は(b)のA−A断面を示す断面図、(b)は筋電位測定電極の平面図である。
【図6】実施例2の筋電位測定電極の測定回路を示す説明図である。
【図7】実施例3の筋電位測定電極を示し、(a)は(b)のA−A断面を示す断面図、(b)は筋電位測定電極の平面図である。
【図8】実施例3の筋電位測定電極の測定回路を示す説明図である。
【図9】実施例4の筋電位測定電極を示し、(a)は(b)のA−A断面を示す断面図、(b)は筋電位測定電極の平面図である。
【図10】実施例4の筋電位測定電極の測定回路を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明の実施例を図面と共に説明する。
[実施例1]
ここでは、生体用電極として筋電位測定用の電極(筋電位測定電極)を例に挙げて説明する。
【0028】
a)まず、本実施例の筋電位測定電極の構成を、図1及び図2に基づいて説明する。
図1に示す様に、本実施例の筋電位測定電極1は、例えば人の腕に装着されて使用されるものであり、伸縮性のあるバンド3の内側に配置されて腕の表面に接触するようにして使用される。
【0029】
前記筋電位測定電極1は、図2に示す様に、フレキシブル基板5と、フレキシブル基板5の一方の面(生体側の面:図2(a)の下方の面)に配置された第1検出電極7、第2検出電極9、基準電極11と、フレキシブル基板5の他方の面(外側の面)に配置された第1インピーダンス変換回路13、第2インピーダンス変換回路15、第1電気シールド17、第2電気シールド19とを備えている。以下、詳細に説明する。
【0030】
前記フレキシブル基板5は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)からなる可撓性を有する薄膜(例えば厚さ0.3mm)の基板である。
前記第1、2検出電極7、9は、生体の表面に接触して筋電位を測定するための電極である。この両検出電極7、9は、平面形状が円形(例えば直径15mm)で可撓性を有する薄膜(例えば厚さ数十μm)の電極であり、例えば銅からなる金属層の表面に例えばポリイミドからなる誘電体層を形成した構造である。なお、両検出電極7、9を、金属層のみで構成してもよい。
【0031】
前記基準電極11は、生体に接触させるとともに第1、第2検出電極7、9で検出される電位と対比する基準電位を設定するため電極である。この基準電極11は、平面形状が一対の円形の開口部21、23を有する長円形で可撓性を有する薄膜(例えば厚さ数十μm)の電極であり、例えば銅からなる金属層の表面に例えばポリイミドからなる誘電体層を形成した構造である。なお、基準電極11を、金属層のみで構成してもよい。
【0032】
また、前記各開口部21、23は、前記第1、2検出電極7、9と同軸に形成されており、その直径は(例えば18mm)であり、第1、2検出電極7、9と接触しないように、第1、2検出電極7、9の直径より大きく設定されている。
【0033】
なお、この開口部21、23によって、第1、2検出電極7、9と基準電極11との間には環状の溝22、24が形成されている。
前記第1、第2インピーダンス変換回路13、15は、後述するように、入力側である検出電極7、9側を高インピーダンスとし、出力側を(それより低い)低インピーダンスとする周知のインピーダンス変換回路である。
【0034】
このインピーダンス変換回路13、15は、第1、2検出電極7、9の外側(裏側)、即ち、フレキシブル基板5の他方の表面(外側:図2(a)の上側)において、第1、2検出電極7、9をフレキシブル基板5側へ投影した領域(円形の領域)と重なる位置に配置されている。詳しくは、第1、2検出電極7、9の中心と同じ位置に配置されている。なお、以下では、投影とは、フレキシブル基板5の厚み方向への投影を示す。
【0035】
前記第1、第2電気シールド17、19は、例えば厚みが大きな(例えば厚さ0.5mmの)銅板やアルミ板からなる硬質の部材であり、フレキシブル基板5の裏側において、インピーダンス変換回路13、15及び前記(検出電極7、9に対応した)円形の投影領域を覆うように配置されている。即ち、各電気シールド17、19の投影領域と各検出電極7、9の投影領域とが一致するように構成されている。
【0036】
なお、両電気シールド17、19の硬さは、フレキシブル基板5及び第1、第2検出電極7、9より硬質であり、人力によって容易に曲がらない程度の硬さを有している。また、両電気シールド17、19の中央には、各インピーダンス変換回路13、15を収容する凹部25、27がそれぞれ形成されている。
【0037】
b)次に、筋電位測定電極1の電気的構成などついて説明する。
図3に示す様に、筋電位測定電極1は、筋電位を測定する計測装置31の電極として使用されるものである。
【0038】
筋電位測定電極1の各電極7、9、11は、両インピーダンス変換回路13、15を含む計測回路32に接続されており、計測回路32からの出力は、フィルタ33を介してアンプ25に入力し、アンプ35によって増幅された信号は、周知のマイクロコンピュータを主要部とする信号処理部37にて処理されて、出力部39を介して表示装置41に出力される。
【0039】
ここで、計測回路32について更に詳しく説明する。
図4に示す様に、計測回路32は、第1インピーダンス変換回路13を構成する第1反転増幅回路(オペアンプ)43と、第2インピーダンス変換回路15を構成する第2反転増幅回路45と、差動回路(コンパレータ)47とを備えている。
【0040】
そして、第1検出電極7は、第1反転増幅回路43の非反転入力端子側(入力側:高インピーダンス側)に接続され、第2検出電極9は、第2反転増幅回路45の非反転入力端子側(入力側:高インピーダンス側)に接続されている。また、第1反転増幅回路43の出力端子(低インピーダンス側)は差動回路47の非反転入力端子に接続され、第2反転増幅回路45の出力端子(低インピーダンス側)は差動回路47の反転入力端子に接続されている。更に、基準電極11と(基準電極11に接続される)電気シールド17、19とは、共に接地されている。
【0041】
なお、差動回路43は、筋電位測定電極1内のいずれかに配置されていればよく、例えば第1インピーダンス変換回路13の設置位置に配置されていてもよい。さらには、外部回路として、計測装置31内に配置されていてもよい。
【0042】
従って、本実施例では、基準電極11の電位(グランド)を基準に、第1検出電極7の電位が検出され、この電位を示す信号が第1反転増幅回路43によって増幅される。同様に、基準電極11の電位を基準に、第2検出電極9の電位が検出され、この電位を示す信号が第2反転増幅回路45によって増幅される。
【0043】
そして、差動回路47では、第1反転増幅回路43からの出力信号と第2反転増幅回路45からの出力信号との差分を求め、この差分を示す信号が出力される。この出力は筋電位に対応するものであるので、この信号を前記図3に示した計測装置31のフィルタ33やアンプ35や信号処理部37等を利用して処理することにより、筋電位を求めることができる。
【0044】
c)次に、本実施例の効果を説明する。
本実施例では、フレキシブル基板5の他方の表面において、各検出電極7、9をフレキシブル基板5側へ投影した領域と重なる位置に各インピーダンス変換回路13、15を配置し、更に各インピーダンス変換回路13、15の外側表面を覆う様に、それぞれ硬質な電気シールド17、19を設けている。
【0045】
従って、筋電位測定電極1を腕等に取り付けた場合には、各検出電極7、9は(その外側の)硬質な各電気シールド17、19で支えられることにより機械的に安定し、また、基準電極11はフレキシブルに変形して腕等の表面にフィットするので、筋電位測定電極1がずれにくく、高精度の測定が可能である。
【0046】
特に、本実施例では、各検出電極7、9の外側に各インピーダンス変換回路13、15を配置するとともに、各インピーダンス変換回路13、15の外側表面を覆うようにそれぞれ硬質の電気シールド17、19を配置している。これにより、各検出電極7、9がフレキシブルであっても、各インピーダンス変換回路13、15を各検出電極7、9に近接して配置することができるので、ノイズを低減することができるとともに、各インピーダンス変換回路13、15の破損を防止することができる。
【0047】
また、本実施例では、両電気シールド17、19は、(接地された)基準電極11と接続されているので、外部からのノイズの侵入を防止できる。
更に、本実施例では、基準電極11は、各検出電極7、9より面積が大きく設定されているので、筋電位測定電極1全体が腕等にフィットし易く、また、安定して基準電位を検出できるという利点がある。
【0048】
その上、本実施例では、一対の検出電極7、9の大きさが同じであるので、測定誤差が小さいという効果がある。
また、本実施例では、基準電極11は、両検出電極7、9の周囲を囲むように配置されているので、基準電位を検出電極7、9の周囲の平均的な電位とすることができ、よって、測定精度を向上できる。
【0049】
更に、本実施例では、各検出電極7、9と基準電極11との間には、溝23、24が形成されているので、測定中に汗が発生しても、汗による測定精度の低下を防止できる。
[実施例2]
次に実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
【0050】
本実施例は、ガード電極を設けている点に特徴がある。
a)まず、本実施例の筋電位測定電極51の構成について説明する。
図5に示す様に、本実施例の筋電位測定電極51は、前記実施例1と同様に、フレキシブル基板53と、フレキシブル基板53の一方の面(生体側の面)に配置された第1検出電極55、第2検出電極27、基準電極59と、フレキシブル基板53の他方の面(外側の面)に配置された第1インピーダンス変換回路61、第2インピーダンス変換回路63、第1電気シールド65、第2電気シールド67とを備えている。
【0051】
特に本実施例では、フレキシブル基板53の生体側の面において、第1検出電極55及び基準電極59の間と第2検出電極27及び基準電極59の間とに、例えば銅からなる金属層及びポリイミドからなる誘電体層にて構成された薄膜(例えば数十μm)の第1ガード電極69及び第2ガード電極71を備えている。
【0052】
この第1、2ガード電極69、71は、第1、第2検出電極55、57と同軸に配置された円環状の電極であり、(生体側の面において)第1、第2検出電極55、57及び基準電極59と接触しない様に、第1、第2検出電極55、57及び基準電極59と間隙を介して配置されている。なお、この両ガード電極69、71は、可撓性を有している。
【0053】
また、本実施例では、第1、第2電気シールド65、67は、第1、第2検出電極55、57のフレキシブル基板53側への投影領域だけではなく、第1、2ガード電極69、71の投影領域まで覆う様に(略一致する様に)形成されている。
【0054】
b)次に、本実施例の筋電位測定電極51の電気的構成について説明する。
図6に示す様に、本実施例の筋電位測定電極51では、前記実施例1と同様に、計測回路68は、(第1、第2インピーダンス変換回路61、63に対応する)第1、第2反転増幅回路73、75と差動回路77とを備えている。
【0055】
特に本実施例では、第1ガード電極69は、第1反転増幅回路73の出力側(低インピーダンス側)に接続されるとともに、第2ガード電極71も、第2反転増幅回路75の出力側(低インピーダンス側)に接続されている。
【0056】
本実施例においても、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、第1、第2ガード電極69、71を備えているので、一層ノイズを低減できるという利点がある。
また、第1、第2電気シールド65、67は、第1、2ガード電極69、71の投影領域を覆う様に形成されているので、外部からの放射ノイズの影響を受けにくいという効果がある。
[実施例3]
次に実施例3について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
【0057】
本実施例は、3個の検出電極を設けている点に特徴がある。
a)まず、本実施例の筋電位測定電極81の構成について説明する。
図7に示す様に、本実施例の筋電位測定電極81は、フレキシブル基板83の一方の面(生体側の面)に、前記実施例1と同様な構造の第1検出電極85と第2検出電極87と第3検出電極89とが一列に配置されるとともに、第1〜第3検出電極85〜89の周囲を囲む様に基準電極91が配置されている。
【0058】
また、フレキシブル基板83の他方の面(外側の面)には、各検出電極85〜89に対応して、第1〜第3インピーダンス変換回路93、95、97と第1〜第3電気シールド95、97、99とを備えている。
【0059】
b)次に、本実施例の筋電位測定電極81の電気的構成について説明する。
図8に示す様に、本実施例の筋電位測定電極81は、3個の検出電極85〜89に対応して、計測回路104には、(第1〜第3インピーダンス変換回路93〜97に対応する)第1、第2、第3反転増幅回路105、107、109と差動回路110とを備えている。
【0060】
特に本実施例では、基準電極91の電位を基準に、第2検出電極87の電位を検出し、更に、この第2検出電極87の電位を基準に、第1検出電極85の電位と第3検出電極89の電位とを検出し、更に、第1、第3検出電極85、89の電位の差分を求めることにより、筋電位を検出するようにしている。
【0061】
これにより、基準となる電位を一層人体の電位に近づけることができるので、より高精度の筋電位を検出できるという顕著な効果を奏する。
[実施例4]
次に実施例4について説明するが、前記実施例3と同様な内容の説明は省略する。
【0062】
本実施例は、3個の検出電極を設けるとともにガード電極を設ける点に特徴がある。
a)まず、本実施例の筋電位測定電極111の構成について説明する。
図9に示す様に、本実施例の筋電位測定電極111は、前記実施例3と同様に、フレキシブル基板113の一方の面(生体側の面)に、第1検出電極115と第2検出電極117と第3検出電極119とが一列に配置されるとともに、第1〜第3検出電極115〜119の周囲を囲む様に基準電極121が配置されている。
【0063】
特に本実施例では、前記実施例2と同様に、各検出電極115〜119の周囲を囲むように、第1、第2、第3ガード電極123、125、127が配置されている。
また、フレキシブル基板111の他方の面(外側の面)には、各検出電極115〜119に対応して、第1〜第3インピーダンス変換回路129、131、133と第1〜第3電気シールド135、137、139とを備えている。
【0064】
b)次に、本実施例の筋電位測定電極111の電気的構成について説明する。
図10に示す様に、本実施例の筋電位測定電極111は、3個の検出電極115〜119に対応して、計測回路140には、(第1〜第3インピーダンス変換回路129〜133に対応する)第1、第2、第3反転増幅回路141、143、145と差動回路147とを備えている。
【0065】
従って、本実施例では、前記実施例3と同様な効果を奏するとともに、各ガード電極123〜127によって、一層ノイズを防止できるという顕著な効果を奏する。
なお、以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記の具体的な実施例に限定されず、本発明の範囲内でこの他にも種々の形態で実施することができる。
【0066】
(1)本発明は、筋電位測定電極に限らず、例えば心電位や脳波を示す電位を測定する電極として利用できる。
(2)検出電極及び基準電極として、金属層の構造を採用できる。この場合には、基準電極の面積を(1個の)検出電極の面積よりも小さくすることができる。
【符号の説明】
【0067】
1、51、81、111…筋電位測定電極
5、53、83、113…フレキシシブル基板
7、9、55、57、85、87、89、115、117、119…検出電極
11、59、91、121…基準電極
13、15、61、63、93、95、97、129、131、133…インピーダンス変換回路
17、19、65、67、99、101、103、135、137、139…電気シールド
23、24…溝
32、68、104、140…計測回路
69、71、123、125、127…ガード電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体に接触させて生体電位を検出する検出電極と、前記生体に接触させるとともに前記検出電極で検出される電位と対比する基準電位を設定するための基準電極と、を備えた生体用電極において、
フレキシブル基板の一方の表面に、フレキシブルな前記検出電極と前記基準電極とを備えるとともに、
前記フレキシブル基板の他方の表面に、前記検出電極を前記フレキシブル基板側へ投影した領域と重なる位置に、前記検出電極と接続されるインピーダンス変換回路を配置し、
更に前記インピーダンス変換回路の外側表面を覆う様に、前記フレキシブル基板及び前記検出電極よりも硬質な材料からなる電気シールドを備えたことを特徴とする生体用電極。
【請求項2】
前記電気シールドは、前記基準電極と接続されていることを特徴とする請求項1に記載の生体用電極。
【請求項3】
前記基準電極は、検出電極より面積が大きく設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の生体用電極。
【請求項4】
前記基準電極は、検出電極の周囲を囲むように配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の生体用電極。
【請求項5】
前記検出電極が複数ある場合には、各検出電極の大きさが同じであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の生体用電極。
【請求項6】
前記検出電極と前記基準電極との間には、溝が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の生体用電極。
【請求項7】
前記検出電極の周囲には、ノイズの混入を防止するガード電極が設置されており、ガード電極は、インピーダンス変換回路の低インピーダンス側である出力側と接続されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の生体用電極。
【請求項8】
前記ガード電極が設置されている場合には、ガード電極の前記フレキシブル基板側へ投影した領域を含むように、前記電気シールドが設置されていることを特徴とする請求項7に記載の生体用電極。
【請求項9】
前記検出電極及び前記基準電極として、金属層、又は、金属層の表面に誘電体層を形成した電極を用いることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の生体用電極。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図2】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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