説明

生体試料の低温保存を主用途とした試料搬送容器及び試料収納容器

生体試料の低温保存を主用途とする試料支持体(100, 101, 102, …)に関し、この試料支持体は、試料収納チャンバ(11)を有する保持部(10)と、試料を配置可能な保持用装置(12, 13)と、保持部の対向する端部(16, 17)に設けられ、互いに連結可能に形成された複数の保持部(16)を備える。複数の試料支持体の組み合わせからなる試料収納容器(200)と、生体試料を低温保存する方法にも関する。
【参考図】図2

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に生体試料の低温保存を目的として、少なくとも一の生体試料の試料搬送容器と、少なくとも一の生体試料を収納するようにした複数の試料搬送容器を有する試料収納容器と、生体試料の低温保存方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体試料を収納(集積)及び/又は処理するために冷却状態、特に冷凍状態(低温保存)にすることは一般的に知られている。従来から、保存作業に関する具体的な必要事項に応じて、種々の形状、大きさ及び機能を有する試料搬送容器が数多く知られている。例えば、血液や生体組織のように多量の試料には袋、ビーカー又はキュベット(いわゆる「凍結用チューブ(cryotube)」)の形状である試料搬送容器が用いられており、他方、細胞浮遊液のように少量の試料には試料収納用の隔室を有する培養基が好ましいとされる。
【0003】
信頼できるように複数の個別試料を取り扱うにはモジュール型の試料搬送容器が知られている。独国特許出願公開第DE10203940−A1号明細書(特許文献1)に記載されたモジュール型の試料搬送容器は、試料収納用の隔室を有する数個の培養基部分を共通の基部上に着脱可能に取り付けるようにするという点に特徴がある。特に、試料を部分的に取り出すといった異なる試料群を組み合わせるときに、モジュール型に関する技術によって試料取り扱いの利点が得られる。しかし、培養基部と基部をモジュール型にした構造には不都合な面もあり得る。それは試料が隔室内で周囲の影響を受けることがあるからである。特に、気体や液体環境又は隣接する隔室から来る望ましくない異物が個別の試料に付着することもあり得る。汚染すると凍結状態の試料の品質が低下してしまうとか、凍結試料が完全に破壊されてしまうこともある。このような汚染を低減するために、独国特許出願公開第DE10203940−A1号明細書(特許文献2)では保護用の箔を用いることを提案している。しかしながら、このような箔は、多くの例では追加の費用負担となり好ましくなく、また特に培養基部の移動中に、例えば機械的な影響によって保護効果が限定的となる問題があった。
【特許文献1】独国特許出願公開第DE10203940−A1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第DE10251721号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、特に低温保存のために生体試料を配置する際に、従来の技術における問題点を解消するように改良された試料搬送容器を提供することにある。本願に係る改良型試料搬送容器は、複数の試料を収納するためのモジュール型の相互連結システムを形成するのに特に適している。また、該改良型試料搬送容器は、液体や気体環境からの汚染又は隣接する試料搬送容器からの汚染に対する試料の保護を改善する。さらに、この試料搬送容器は構造を簡素化しており、数個の試料搬送容器で構成された相互連結システムの構造として取り扱いを改善している。さらに、本発明の目的は、複数の生体試料を個別に収納するための改良型試料収納容器を提供することにもある。この試料収納容器を用いれば、従来のモジュール型の試料収納容器にまつわる問題点が回避される。さらにこの改良型試料収納容器は、個別の試料の取り扱い(特に個別の試料の取り出し)を改良し、利用分野を拡大し、省スペースで利用できる利点ある。また、本発明の目的は、従来技術で生じていた問題点を解消するために改良された低温保存方法を提供することにもある。
【0005】
これらの目的は、請求項1、21及び30の特長を有する試料搬送容器、試料収納容器及び方法により達成される。本発明の好適な実施形態及び用途は従属項によるものである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
すなわち本願第1の発明によれば、本発明の目的は、特に生体試料の低温保存のための試料搬送容器により達成される。そのケーシング部は試料収納スペースを形成し、このケーシング部には少なくとも一の試料を固定する保持装置と、他の試料搬送容器を連結するためにケーシング部の両側で作用する搬送容器連結具とが設けられている。このケーシング部は、ケーシング部の端部間で試料収納スペースを取り囲む壁を有している。搬送容器連結具は、2つの試料搬送容器のケーシング部が組み立てられた状態で互いに境を接するケーシング部の連結が、全側部で閉塞された状態で、連結具により形成されるように互いに嵌着する態様で形成される。搬送容器連結具は、閉塞された連結状態を生成するために互いに補完するよう、相補的に形成されることが好ましい。本発明に係る試料搬送容器における試料収納スペースは、当該試料搬送容器又は隣接する試料搬送容器を保持する装置上に配置された少なくとも一の試料を収納するように設けられる。
【0007】
搬送容器連結具をケーシング部で心合させるとは、具体的な連結タイプ及びスペース内での心合とは独立に、本明細書において試料搬送容器の積層方向すなわち中心軸方向としても表現される基準方向を定めることを意味する。
【0008】
本願第2の発明によれば、本発明の目的は、本発明に係る少なくとも2つの試料搬送容器よりなる試料収納容器を提供する通常技術の教示により達成される。試料収納容器は試料搬送容器をモジュール化する態様で作成される。好適なことに、試料搬送容器を連結させるに際して、複数の機能が単一の工程で実現される。第一に、追加される各試料搬送容器は堅固に位置決めされる。さらに、試料収納容器のモジュール型構造が拡張されていく。さらに、収納スペース内に配置された試料は外部に対して保護される。具体的な連結タイプとスペース内の心合とは独立に、試料搬送容器よりなる相互連結システムは、本明細書においてスタック(stack)と表現される。
【0009】
好適なことに、本発明に係る試料搬送容器を用いることにより、閉塞された収納スペース内に試料をモジュラー式に配置することが可能となり、それにより、試料が環境から汚染されることが排除される。各試料搬送容器には少なくとも一の試料を固定する保持装置が設けられているので、試料は試料収納容器内で互いに隔離されて配置され、それ故に、試料同士が互いに汚染し合うようなことさえも防止される。保護用箔のように試料を被覆するような余計な手だても必要としない。試料搬送容器及び試料収納容器の構造並びに試料の取り扱いがかなり簡素化されることとなる。
【0010】
本発明に係る好ましい実施形態(第1の実施形態)によれば、試料搬送容器を保持する装置は、好ましくはケーシング部の端部の一方にある、ケーシング部の断面上に延在する底部である。ケーシング部内の試料収納スペースは、好適には、底部を用いて一方側が閉塞されており、この底部は平面状の壁又は板の形状であることが好ましい。搬送容器連結具を介して数個の底部支持体が連結されると、試料搬送容器のスタックが組み立てられた状態で形成され、その試料収納スペースは底部ごとに互いに隔てられている。したがって、本発明に係る試料搬送容器に関する第1の実施形態は、異なる試料を空間的に隔置するだけでなく、さらに壁を設けて、各壁が2つの隣接する試料用スペース間に底部で形成されていることにより、異なる試料間の汚染が排除されるという格別な利点を有する。異なる出所の試料を有する試料搬送容器は、互いに影響し合うという恐れもなく、組み立てることができる。
【0011】
本発明に係る試料搬送容器の第1の実施形態において、ケーシング部は、底部とともにカップ形状を形成し、その第1の開放端部に搬送容器の第1の連結具が設けられ、底部で閉塞された第2の端部には、底部の外側に搬送容器の第2の連結具が設けられている。搬送容器の両方の連結具の形状は、隣接するケーシング部における搬送容器の第1及び第2の連結具が閉塞状態の連結を形成するよう協働する態様で選択される。試料収納容器が組み立てられた状態における収納スペースは、底部を設けることによって全側部が閉塞されている。
【0012】
一般に、試料は、ケーシング部の壁と底部とによって区切られた試料収納スペース内に直接配置することができる。ただ、本発明の好ましい変形例では、底部は試料を収納するために少なくとも一の隔室を備える。隔室は底部に連結された区画式の容器であり、その形状及び大きさは所望する用途の関数として選択可能となっている。各試料の量は隔室により画成される態様で好適に予め設定できる。これにより、少なくとも一の部分的な試料を試料搬送容器内に配置しかつ保存する際の利点となる。特に、例えばピペット、注射器又はその他の液体供給装置を用いて、従来の配置技術を利用することができる。
【0013】
本発明の他の重要な利点は、試料収納スペース内の底部上に配置される少なくとも一の隔室の形状及び大きさに関して何ら制限を受けないことである。隔室は、例えば毛管力の作用により試料が好適に充填され得る毛細管を備えることができる。毛細管は、試料搬送容器の方向又は複数の試料搬送容器を有する試料収納容器の方向に関して、スペース内において何ら制限がないという付加的な利点も有する。あるいは、隔室は、細胞培養の低温保存に関する利点を有する平坦な皿状の大きめの容器、または血液試料のように多量の試料の低温保存に関する利点を有するビーカーを備えることができる。
【0014】
数個の隔室を試料搬送容器の底部上に設けることができる。好適にも、これにより、試料搬送容器内に配置した試料を更に分画して部分的な試料にすること及び/又は試料搬送容器内に基準試料を備えることが可能となる。
【0015】
好ましくは、少なくとも一の隔室は関連するケーシング部の試料収納スペースに面する底部側(内側)に配置され、それにより、試料搬送容器が試料収納容器から分離される態様でさえも、試料が少なくとも機械的に保護される。あるいは、少なくとも一の隔室は関連するケーシング部の試料収納スペースとは反対側の底部側(外側)に配置することも可能である。この場合、隔室に充填する際や試料にアクセスする際の利点が得られる。
【0016】
底部が少なくとも一の隔室とは反対側(例えば試料収納スペースと対向する外側)に密封要素を備えているとすれば、試料搬送容器を相互連結するシステムにおいて隔室の密封にとって利点となる。それぞれ隣接して位置する試料搬送容器の試料収納スペースにおける少なくとも一の隔室は、例えば一の試料搬送容器の弾性素材よりなる密封要素を用いて強固に閉塞される。これにより、好適なことに、試料収納容器の方向とは独立に、毛細管式の隔室においてだけでなくシャーレ及び/又はビーカーのような比較的大きな隔室においても、試料が隔室から飛び出さないようにする態様で試料収納容器を取り扱うことが簡単になる。
【0017】
本発明の他の変形例によれば、底部は単一の培養基を備えるか、少なくとも一の試料(例えば液層形状又はドロップ形状の試料)を粘着的に取り付けるようにした数個の培養基スタックを備えている。この場合、浮遊液である試料を試料搬送容器に充填するという利点となる。
【0018】
本発明の他に好ましい実施形態(第2の実施形態)によれば、保持装置は試料搬送容器のケーシング部に連結されたクランプ要素を備えている。このクランプ要素は、長手方向に延長された試料用チャンバ(例えば試料収納スペースを貫通する、又は試料収納容器が組み立てられた状態で複数の隣接する収納スペースを貫通するホース状或いはチューブ状の試料用チャンバ)へのクランプ式連結が可能となる態様で配置される。クランプ要素は複数の機能を果たす。第一に、試料搬送容器及び試料用チャンバは互いに対して固定される。第二に、可撓性の素材よりなる長手方向に延長された試料用チャンバは、クランプ要素上でともに圧搾される。これにより、試料収納容器が組み立てられた状態では、個々の試料がクランプ要素同士の間で互いに分離される。最後に、低温保存状態(特に冷凍状態)において所定の限界点を形成する試料用チャンバの圧搾状態がクランプ要素上に形成され、部分的な試料を確実に取り出すことが可能となる。
【0019】
本発明の好ましい変形例によれば、クランプ要素はケーシング部の端部のうち一端で突出している。隣接する試料搬送容器が組み立てられた状態では、クランプ要素は連結具内又は隣接するケーシング部の試料収納スペース内に位置している。連結具及び/又は試料収納スペースにはクランプ要素が当接する面を形成した内形が設けられている。試料搬送容器を組み立てている間、クランプ要素は当接面で変形され、そして自動的にクランプ状態に変化する。
【0020】
本発明に係る試料搬送容器の他の利点は、隣接する試料搬送容器における搬送容器連結具間の連結タイプを選択する多様性にある。差し込み式又はねじ込み式連結により試料収納容器が安定するという利点が得られる。試料搬送容器の組み立ては、特に本発明に係る第2の実施形態における好ましいプラグ式連結により、また磁石式連結によって簡単となる。搬送容器連結具は、組み立てられた状態では試料収納容器の収納スペースが環境に対して気密に閉塞されている態様で設計されることが好ましい。
【0021】
本発明の他の利点は試料収納スペースの形状とケーシング部の形状の選択に際して多様性が高いことにある。ケーシング部は例えば平行六面体の形状を有してもよい。このような変形例は試料搬送容器及び試料収納容器を密集させて配置するのに好適となり得る。代替策として、直線的な円筒形状にすれば、試料収納容器に関して省スペース性と組み立ての容易性という利点と従来の実験装置との適合性という利点となる。好ましい変形例によれば、ケーシング部には試料搬送容器にトルクを印加する工具に対して少なくとも一の係合面を形成した外形を設けている。冷凍状態で、試料搬送容器を試料収納容器から分離する場合、試料搬送容器の積み上げ方向に対するトルクによって分離されやすくなる。
【0022】
本発明に係る試料搬送容器には、試料収納スペースを一方側だけ閉塞するために搬送容器連結具の一に着脱可能に連結されたカバー部分を設けてもよい。試料収納容器内における試料搬送容器の一スタックは、好適にはカバー部分を有する試料搬送容器を用いて一方側又は両側を閉塞することができる。カバー部分は、好適には少なくとも一のカバー用連結具を備え、この連結具はケーシング部における搬送容器連結具の一と嵌着するように形成されている。あるいは、カバー用連結具はカバー部分の両側のそれぞれに配置してもよい。カバー用連結具のそれぞれはケーシング部における搬送容器連結具の一に嵌着するように形成される。この場合、カバー部分は試料搬送容器の相互連結システムにおいて中間片として配置してもよい。他の変形例によれば、カバー部分は、試料搬送容器のスタック数個分として共通の支持体を形成するために、一方側に数個のカバー用連結具を備えてもよい。
【0023】
カバー部分は、好適には閉塞機能及び/又は支持機能以外に一又はそれ以上の付加的な機能を果たすこともできる。このために、本発明に係る他の変更例によれば、カバー部分は以下の機能装置のうち少なくとも一を含んでいる。第一に、カバー部分が連結されている試料収納容器との情報又は試料収納容器に関する情報(特に入力又は出力される情報或いは保存される情報)を処理するために、電子メモリ、トランスポンダ、コンピュータ回路及び/又はRFID装置などの電子回路を設けてもよい。さらに、機能装置は、試料収納容器の識別を助長するために、バーコード等のシンボル又はカラーマーキングのような光学的に検出可能なマーキングを備えてもよい。他の代替策によれば、試料収納容器の作動状態を検出又は表示するために、センサ及び/又はディスプレイ装置(例えばLED)のような電子的な機能要素を設けてもよい。最後に、機能装置は、試料収納容器にとって支持機能を果たすため、機械的保持要素として構成してもよい。
【0024】
本発明に係る試料搬送容器は、他の変更例によれば、試料搬送容器が組み立てられた状態で、試料収納容器内に延在する伝導体を含む点で特徴にすることができる。一種類又は数種類の伝導要素を設けることができる。第1の変形例では、伝導要素は、試料搬送容器を貫通する(また必要ならカバー部分を貫通する)電気的な接続線を敷設するための導電体を備えていてもよい。さらに、試料搬送容器が組み立てられた状態で、連続した光導体と接続される光学的導体(例えば光ファイバ)を設けてもよい。さらに、例えば液体又は揮発性窒素などの冷媒が導通できるようにした、物質移動用の中空導管を設けてもよい。
【0025】
本発明に係る試料収納容器は、本発明に係る複数の試料搬送容器を相互連結するシステムを備えており、そのうち、好ましくは少なくとも一の試料搬送容器にカバー部分が設けられる。低温保存作業に関する具体的な必要事項の関数として選択できる試料搬送容器を相互連結するシステムの形状に関しては、多様性に富む利点が得られる。本発明に係る第1の変形例によれば、試料収納容器は一列だけの試料搬送容器(試料搬送容器のスタック)よりなる。この列内で試料搬送容器が搬送容器連結具を介して他の試料搬送容器又はカバー部分に連結されている。試料搬送容器を直線的なスタックにする利点は、スタック内で個々の試料を試料搬送容器と明白に関連させていることにある。
【0026】
このスタックは、試料搬送容器に関して上述した第1の実施形態において、個々に分離した複数の試料を収容する。試料搬送容器に関して上述した第2の実施形態においては、チューブ状又はホース状の試料用チャンバのような長手方向に延在した試料用チャンバが直列状の試料搬送容器を貫通し、さらに、クランプ要素に試料用チャンバを圧搾することによって個々の試料搬送容器内に部分的なチャンバが形成されるようにしている。
【0027】
本発明に係る第2の変形例によれば、試料搬送容器のスタックを複数横並びに配列することにより、試料搬送容器を2次元的又は3次元的に相互連結するシステム(試料搬送容器のパケット)が作成されている。この場合、複数の試料搬送容器を試料搬送容器のパケット内に密接に収容できる利点がある。試料搬送容器のスタックは、収納用器具の連結具を用いて、試料搬送容器のパケット内でスタック方向を横断するように試料搬送容器のスタックを連結することができ、その結果、培養基のパケットが安定するという利点が得られる。あるいは、試料搬送容器のスタックは、試料搬送容器のパケット内で、相互に所定の距離を置いて配置できる。このような設計により、試料搬送容器のパケット内に簡単に浸透する冷媒によって均一かつ迅速に冷却できるという利点が得られる。
【0028】
他の態様によれば、本発明に関して上述した目的は、生体試料の低温保存方法を提供するという通常の技術的な教示内容で達成されるが、その教示内容は、試料が本発明に係る試料搬送容器内に配置され、次に試料搬送容器が試料収納容器として組み立てられ、さらに、この試料収納容器が所定の低温保存温度まで冷却されるというものである。この方法の好ましい用途は、浮遊状態の試料(細胞の浮遊液、細胞群、細胞の構成要素)や、組織の試料、器官の試料の低温保存等が挙げられる。
【0029】
本発明に係るモジュール型の低温保存技術はさらに以下の利点を有する。試料収納容器は自搬式構造であり、それ故に付加的な保持具は何も必要としない。機械的に安定性が高いことで、凍結用タンクのような冷却装置の内外で試料搬送容器が不意に離れてしまうようなことが回避され、機械装置を用いて操作する信頼性が得られる。本発明に係る試料収納容器は自在にクラス分けすることができる。試料収納容器は、少なくとも2つの試料搬送容器、または試料の大きさと試料の量に応じて、例えば100個、1000個又はそれ以上の相当多数の試料搬送容器を備えることができる。さらに、試料搬送容器の設計により、冷却装置内のスタック又はパケットの形状に関して省スペース型の配置が可能となる。
【0030】
試料収納容器内で試料搬送容器を相互連結するシステム内において個々の試料にアクセスするとき、他の利点が得られる。大きめの相互連結システムから個々の試料を取り出すとき、試料の不意な昇温を回避するためにアクセス時間が短いことは低温保存において重要なことである。本発明に係る試料収納容器を用いることで迅速なアクセスが可能となるが、それは、取り出すべき試料数とは独立に、隣接する連結具間の連結状態を一だけ外せばいいだけだからである。試料搬送容器、試料搬送容器のスタック、または収納搬送容器のパケットをマーキング、電子チップや他の付加的な要素とリンクすれば、例えば凍結用タンク内の試料を管理するときに機能性を拡大できる。試料収納容器は、例えばマイナス200℃の低温度に冷却された状態でも無線式の、有線式の又は光学的なデータ転送に適している。個々の試料搬送容器は、カラーマーキング、トランスポンダ、特定の電気抵抗器、導体要素、グラスファイバなどのマーキングを搭載することができ、このようなマーキングによって試料収納容器内の試料搬送容器の位置で識別が可能となり、他にも付加的な機能を果たすことになる。
【0031】
(必要なら少なくとも一のカバー部分で)個々の試料搬送容器をシステム全体にしっかり連結すれば、電気的又は光学的な配線の作成が可能となる。本発明によれば、試料収納容器の密着状態は、冷却状態であっても、例えば電気抵抗やこれらの配線の伝送の透過性を測定することによって監視できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明に関するさらなる詳細と利点は、添付図面に関する説明から明らかとなる。
【0033】
本発明に係る試料搬送容器100の第1の実施形態は、種々の変形例を有する図1に示すように、試料収納スペース11を有するケーシング部10を備える。これらの変形例は、試料搬送容器に属する試料1のための容器として(図1A、図1B)、または隣接する試料搬送容器に属する試料のための容器として(図1C)、ケーシング部の機能で異なる。
【0034】
ケーシング部10は中空円筒の形状を有する。搬送容器連結具14、15が中心軸方向のケーシング部の端部16、17に配置されている。搬送容器連結具14、15はねじ式連結を形成する。このためケーシング部の開放端部16に雌ねじ14を備え、ケーシング部の対向する端部17に雄ねじを有する円筒状突起部15を備える。
【0035】
ケーシング部の両端部16、17の間にあって、ケーシング部10の壁と平行に走る連結線によって基準方向が得られ、この基準方向は複数の組み立てられた試料搬送容器100のための積層方向zを形成する(図2を参照)。図示した中空円筒の形状を有するケーシング部10については、積層方向とケーシング部10の中心軸の心合は同一にしてある。
【0036】
ケーシング部10は、低温においても安定したプラスチック素材(例えばポリエチレン、ポリウレタン、PTFEなど)、または金属(例えばアルミニウム、鋼、銅など)で作製されている。底部12及び搬送容器連結具14、15を有するケーシング部10は、例えば射出成形によって作製される。ケーシング部10の中心軸方向の長さは、例えば0.1mm〜100mmの範囲内で選択され、直径は例えば0.5mm〜30mmである。
【0037】
図1Aによれば、試料1を収納する隔室18は試料収納スペース11内に位置する。図示した実施例では、この隔室18は試料収納スペース11内に配置された単一の毛細管を備える。隔室18を固定し心合させるために、実施例として図示した試料搬送容器100の第1の実施形態において、ケーシング部10の断面上に延在し、かつケーシング部の閉塞された端部17を形成する底部12が設けられている。毛細管状の隔室18は、その足部において、ケーシング部10の円周壁から所定の距離で以て底部12に取り付けられる。この取り付けは、例えば毛細管状の隔室18を底部12内の孔の中に挿入することによって行われる。毛細管状の隔室18は、その足部に、通気用開口部(図示せず)を備えてもよい。
【0038】
円筒状突起部15は中空スペースを含んでおり、例えばPTFEの弾性的に変形可能なプラスチック層がシール用要素19として底部12の外側に配置されている。一般に、試料収納スペース11内に突出した隔室18の長さとシール用要素19の厚さは、試料搬送容器100から他の試料搬送容器まで連結する間、隔室18がシール用要素19によって閉塞される態様で選択される。シール用要素19を底部12の外側に位置決めする代わりに、またはそのような位置決めに加えて、他のシール要素が隔室18の自由端縁に配置されてもよい(図示せず)。
【0039】
図1Bにおける平面図は、上部の搬送容器連結具15及びシール要素19を有するケーシング部10の放射状に対称をなす構造を示す。図示したケーシング部10が中空円筒形状から逸脱したものとして、後者(ケーシング部10)は、試料収納スペース11及び雌ねじ14を形成するために、平行六面体(図1Bの点線を参照)すなわち角柱、円筒状の内部形状のように、部分的に平面を有する外部形状を有してもよい。外部形状が平面で区切られているとすれば、一の試料搬送容器又は試料搬送容器のグループを試料収納容器から分離、特にねじを回して分離するための工具に対する係合面が好適に形成される。モンキーレンチ(自在スパナ)、ソケットレンチ(箱スパナ)などのような工具を用いて十分に高いトルクを試料搬送容器に掛けることができるので、低温であっても問題なく試料搬送容器を取り外すことが可能である。
【0040】
図1Cによる変形例では、試料1を収納する隔室18が試料収納スペース11の外側に位置している。数個の試料搬送容器が組み立てられた状態で、隔室18、例えば個々の毛細管は隣接する試料搬送容器の試料収納スペース11内で包囲されている。これに対応する態様で、シール用要素19が、弾性的に変形可能なプラスチック層として、底部12の内側に設けられる。
【0041】
図2は、本発明に係る試料収納容器200、すなわち図1Aに係る数個の試料搬送容器100、101、102、・・・を有する単一のスタック210を備えた試料収納容器200を示す。図1Cによる試料搬送容器の組み合わせもこれに対応した状態で可能である。試料搬送容器100、101、102、・・・は、搬送容器連結具(ケーシング部の開放端部16の雌ねじ14と、ケーシング部の閉塞端部17に雄ねじを有する円筒状突起部15:図1Aを参照のこと)の間で連結することにより、積層方向zにおいて、スタック210内で互いに直接隣接して配置されている。試料搬送容器の一(符号100)にある隔室18は隣接する試料搬送容器のシール用要素19で閉塞されている。試料収納容器200の相互連結システムにおいて試料収納スペースを気密に閉塞することは、ねじ止めされた搬送容器連結具によって既に達成されている。密接性を向上させるには、付加的に支持用シールを設けてもよい(図7を参照)。
【0042】
隔室18は、ガラス又はプラスチックのように生体適合性がありかつ凍結状態で安定性のある素材よりなる。試料搬送容器100、101、102、・・・及び隔室18の形状及び大きさは、具体的な保存作業の関数として選択される。したがって、これらの構造部品の寸法及び割合は大いに変化し得る。隔室の保持容量は、例えば1対1またはそれ以上までであってよい。
【0043】
試料収納容器200を用いた試料1の低温保存は、まず、部分的な試料に分割した試料1又は基準試料と組み合わせた試料1が数個の試料搬送容器100、101、102、・・・内に配置される態様で行われる。これは、毛管力の作用で吸い上げることを介して毛細管状の隔室18を用いて行われる。本発明によれば、試料搬送容器の一内に対照物質を配置してもよい。この対照物質は、例えば、両者が互いに接触したときに試料1と反応することで区別される。例えば、毒性の物質を対照物質として利用してもよく、その結果、シール用要素19からの漏出又は隔室18の壁からの漏出が発生した時に試料が破壊されることになる。さらに、試料1及び対照物質は、互いに接触するまで反応しない二成分系を形成してもよい。対照物質を備えていると、試料搬送容器のそれぞれにおいて内部的な品質管理が可能となる。
【0044】
次に、直線状のスタック210を形成するために、試料搬送容器100、101、102、・・・の連結が行われる。試料が入っていない試料搬送容器、あるいはカバー部分(例えば図6を参照されたい)が、図示したようにスタック210の開放端部に取り付けられる。次に、試料を充填した試料収納容器200は低温度の環境、例えばマイナス30℃〜マイナス200℃の範囲の温度を有する凍結タンクのような冷却装置に移転される。
【0045】
図3は、本発明に係る試料搬送容器100の第1の実施形態に関する種々の変形例を示しており、そこには毛細管状の隔室18.1(図3A)、ビーカー型の隔室18.2(図3B)、シャーレ型の隔室18.3(図3C)、ドロップ状の試料を粘着的に取り付けるために数個の培養基18.4を有する培養基スタック18.5(図3D及び図3F)、又は一だけのドロップ用の容器18.6(図3E)が配置されている。図3A〜図3Fの特徴は、図1Cによる試料搬送容器に応じて得ることができる。
【0046】
図3による毛細管の配列は、個々の毛細管18.1が個別に充填され得て、底部19に個別に挿入できるという利点を有する。これに対応する態様で、部分的な試料を個々に取り出すことができ、例えば冷凍状態であっても試料搬送容器100から切り離すことが可能となる。
【0047】
図3Aは、実施例として、試料搬送容器100に導体要素40を設けていることを示している。この導体要素はケーシング部10と、シール19を有する底部12とを貫通した少なくとも一の光ファイバ40を備えている。数個の試料搬送容器100が組み立てられた状態では、光ファイバ群は連続した光導体と組み合わされる。同様の態様で、物質移送のために一又は数個の導電体又は中空導体が設けられ得る。これに対応する態様で、少なくとも一の導体要素40を他の変形例又は本発明の第2の実施形態に係る試料搬送容器に組み込むことができる。
【0048】
図3D及び図3Eによる変形例は、特に浮遊液のドロップを収納するには最適である。ドロップは培養基18.4上又は個々のドロップ受容体18.6内に配置され、複数の試料搬送容器100を繋ぎ合わせて試料収納容器にするとき、また、その次に冷却するときでも、粘着したまま静止状態に保持される。個々のドロップ受容体18.6は、動物又はヒトの幹細胞、分化細胞、卵細胞など、個々の細胞又は小さな細胞群を収納するようになされており、例えば1mm〜5mmの直径を有している。
【0049】
図3Fは、培養基スタック18.5に関してさらに詳細を例示している。例えばプラスチック、アルミニウム、布帛よりなり、場合によっては細胞を粘着的に取り付けるために培養基の表面に構造領域18.7を有する円盤状の培養基18.4は、ねじ要素18.8を介して互いの上に連結してスタック形状にしている。培養基の直径は1mm〜30cmの範囲で選択される。
【0050】
図3Aから図3Eは、ケーシング部の端部17の一上で円周状に設けることができ、試料収容スペースと試料収納容器の相互連結システムとを気密に閉塞することができる搬送容器のシール材17.1を示している。
【0051】
図4及び図5は、本発明に係る試料搬送容器100の第2の実施形態を示しており、この試料搬送容器100は、ケーシング部10と、内部の試料収納スペース11と、保持装置13とを有する。搬送容器連結具14、15がケーシング部の中心軸方向の端部16、17に設けられ、例えば上述したねじ式連結を形成している。
【0052】
試料搬送容器100の第1の実施形態とは別にして、保持装置は連続した底部の代わりにクランプ要素13を備えている。このクランプ要素13は、ケーシング部の上端17又はそれに対応するケーシング部の連結具15に可撓的に取り付けた2つのクランプ用アーム13.1、13.2を備えている。クランプ要素13を緩めた状態(図4A)では、クランプ用アーム13.1、13.2は中心軸方向に向かっており、そのため、クランプ用アーム13.1、13.2の端部間に所定の距離が形成されている。図4Bによるクランプ状態では、クランプ用アーム13.1、13.2の端部は半径方向すなわち内方へ屈曲し、それにより、この領域に位置する試料用チャンバの一部が圧搾し合うことになる。試料収納スペース11の内形にはクランプ要素13に嵌着する当接面11.1が設けられており、それにより、2つの試料搬送容器を連結すると、クランプ用アーム13.1、13.2が屈曲し合うことになる。好適には、クランプ状態は、それ故に、隣接する試料搬送容器に連結された試料搬送容器100で強制的に調整される。
【0053】
試料搬送容器100の第2の実施形態における実際的な使い方は図5で概略的に例示してある。図5Aでは、浮遊液である試料1を有するホース状の試料用チャンバ20が示されている。試料用チャンバには浮遊液である試料1を連続して、または気泡2で互いに分離された部分的な試料を充填する(特許文献2:独国特許出願公開第DE10251721号明細書を参照)。試料用チャンバ20は、組み立てられた試料収納容器内にクランプ要素13同士の距離に対応した距離を有する圧搾部分を備えており、この圧搾部分によって試料収納容器内で試料用チャンバ20が押し合うことができるようにしてある。
【0054】
図5Bでは、本発明に係りかつ第2の実施形態に係る試料搬送容器100、101、102、・・・を直線上に重ねたスタック210を有する試料収納容器200が示されている。試料用チャンバ20は試料収納容器200のスタック210全体を貫通している。試料搬送容器100、101、102、・・・が組み立てられた状態では、クランプ要素13はクランプした状態にあり、それによって試料用チャンバ20は規則的な距離を置いて圧搾され合い、小分けされて部分的な試料となる。
【0055】
図5による試料収納容器は、最初に試料搬送容器100、101、102、・・・が試料用チャンバ20に押し込まれ、その後互いに連結され、その間、連結ごとに、関連したクランプ要素13がクランプ状態に変化するというふうに組み立てられる。好適な態様では、試料内で例えば生体細胞に機械的な損傷が発生することはない。と言うのは、クランプ状態への変化は温暖な状態で行われ、その間、試料はまだ液体であるから、クランプしている際には試料成分が試料用チャンバ20の他の領域に逃げることができるからである。
【0056】
試料収納容器200を組み立てている間に既に試料用チャンバ20を個々のチャンバに分割する切断工具をクランプ用アーム13.1、13.2の端部に配置してもよい。この場合、部分的なチャンバ内で部分的な試料を密接させたり相互に分離させたりすることは、クランプする状態で互いに面一になるクランプ用アームの端部によって確実なものとされる。あるいは、試料用チャンバ20の壁が切断工具で押し合わされても切り離されることがなく、試料搬送容器または試料搬送容器群を取り出す際には冷却された状態においてのみ試料用チャンバ20の切り離しが可能となるようにしてもよい。
【0057】
図6〜図10は、実施例として、本発明により試料搬送容器又は試料収納容器を一又は数個の類似した或いは異なるカバー部分と組み合わせたものを例示している。一般に、カバー部分は、試料搬送容器のスタックにおいて閉塞部又は中間片を形成するためにケーシング部の端部の一に連結可能な付加的な構造部品を備えている。このために、カバー部分は、試料搬送容器の特定の搬送容器連結具と相補性を有する少なくとも一のカバー用連結具を備えている。カバー部分は種々の機能を果たすことができ、この目的のために特定の機能装置を備えているので、このカバー部分は、試料収納容器内の位置及び機能に応じて種々の構造形態を取ることができる。
【0058】
図6Aは2種類のカバー部分31、32を示している。第1のカバー部分31は雌ねじを有して、最上部の試料搬送容器100に関する搬送容器連結具に嵌着するカップ形状を有する。カバー部分31は最上部の試料搬送容器100の閉塞部を形成する。さらに、電子チップ、トランスポンダ又はRFIDシステム、或いは線状バーコード又は多次元バーコードのようなマーキングをカバー部分31に組み込むことができる。
【0059】
放射状に延在する台部33を有するベース部分32が試料収納容器200の下方端に示されている。ベース部分32はカバー用連結具34を有する最下層の試料搬送容器104にねじ込まれる。さらにベース部分32には、例えば温度、振動、加速度、トルクなどを測定する役目をするセンサ35が設けられる。低温保存中の操作温度に適合させたマルチプレクサ、増幅器などのような別の電子部品をベース部分32に組み込むことができる。
【0060】
カバー部分32に組み込める別な機能装置は、構造変化(例えば冷凍したアイスボールの溶け出し)又は変色によって温度を示す監視用要素を備える。さらに、カバー部分は、冷却された試料収納容器を冷却装置外で操作する間に試料搬送容器から熱を除去する冷却能力を有することもできる。
【0061】
図7は、本発明により用いられ、閉塞栓36(図7A)または中間片38(図7B)として形成されたカバー部分に関する他の実施例を示す。閉塞栓36は、試料収納容器を完全に閉塞する役目を果たすとともに、例えばPTFE又は類似した温度安定性のある素材よりなる付加的なシール材37(図7B)を設けることができる。この付加的なシール材37は、試料を液体窒素内で低温保存するとき、又は病原性の試料を低温保存する際に用いるのが好ましい。図7Cは、図3A〜図3Eに例示した搬送容器用シール材17.1の働きを示す。
【0062】
付加的なシール材37の代わりに、許容できない温度変化を示す基準溶液又はマーキング物質が配置されている他のリザーバを備えることも可能である。このマーキング物質は、特定の温度限度を超えると変色又は形状変化(例えばボールの溶け出し)を示すことが可能である。
【0063】
図8は、2次元的又は3次元的な試料搬送容器のパケット220を有する試料収納容器200の状態を例示している。個々の試料搬送容器のスタック210が、例えばレール、クリップ式連結具又はプラグ式連結具を備えた横方向のスタック用連結具211を介して互いに連結されている。
【0064】
あるいは、複数の試料搬送容器のスタック210のための共通したカバー部分39を介して試料搬送容器のパケットを有する試料収納容器200を形成することもできる(図9、図10)。この変形例は、試料搬送容器のスタック210が互いに所定の距離を置いて配置されており、それ故に冷媒をより簡単に装填することができるという利点を有する。複数の試料搬送容器のスタックのための共通したカバー部分に関する変形例は、図10のように、試料搬送容器100の自搬式全体システムが生体試料の階層(例えば細胞生成又は細胞通過)を示す個々の試料搬送容器の幾何学形状及び配置を用いて作成される態様で変更することも可能である。
【0065】
上記の説明、図面及び特許請求の範囲で開示した本発明の特徴は、個々に又は組み合わせた状態でも、種々の実施形態において本発明を実現するためには重要であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る試料搬送容器の第1の実施形態における種々の変形例を示す図である。
【図2】図1Aによる複数の試料搬送容器を有する試料収納容器を示す概略断面図である。
【図3】本発明に係る試料搬送容器の第1の実施形態における他の変形例を示す概略断面図である。
【図4】本発明に係る試料搬送容器に関する第2の実施形態を示す概略断面図である。
【図5】図4に係る複数の試料搬送容器を有する試料収納容器を示す概略断面図である。
【図6】本発明に係る試料収納容器に関する種々の変形例を示す概略断面図である。
【図7】本発明に係る試料収納容器に関する種々の変形例を示す概略断面図である。
【図8】本発明に係る試料収納容器に関する種々の変形例を示す概略断面図である。
【図9】本発明に係る試料収納容器に関する種々の変形例を示す概略断面図である。
【図10】本発明に係る試料収納容器に関する種々の変形例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1・・・試料
2・・・気泡
10・・・ケーシング部
11・・・試料収納スペース
11.1・・・当接面
12・・・底部
13・・・保持装置(クランプ要素)
13.1・・・クランプ用アーム
13.2・・・クランプ用アーム
14・・・搬送容器連結具(雌ねじ)
15・・・搬送容器連結具
16・・・ケーシング部の端部(開放端部)
17・・・ケーシング部の端部(閉塞端部)
17.1・・・シール材
18・・・隔室
18.1・・・毛細管状の隔室
18.2・・・ビーカー型の隔室
18.3・・・シャーレ型の隔室
18.4・・・培養基
18.5・・・培養基スタック
18.6・・・ドロップ用の容器(ドロップ受容体)
18.7・・・構造領域
18.8・・・ねじ要素
19・・・シール用要素
20・・・ホース状の試料用チャンバ
31・・・カバー部分
32・・・ベース部分
33・・・台部
34・・・カバー用連結具
35・・・センサ
36・・・閉塞栓
37・・・付加シール材
38・・・中間片
39・・・共通カバー部分
40・・・導体要素(光ファイバ)
100・・・試料搬送容器
101・・・試料搬送容器
102・・・試料搬送容器
103・・・試料搬送容器
104・・・試料搬送容器
200・・・試料収納容器
210・・・スタック
211・・・横方向のスタック用連結具
220・・・試料搬送容器のパケット
z・・・積層方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料の低温保存用試料搬送容器(100, 101, 102,…)であって、
試料収納スペース(11)を有するケーシング部(10)と、
試料を配置可能な保持装置(12, 13)と、
前記ケーシング部(10)の対向する端部(16, 17)に設けられ、複数のケーシング部(10)を連結できるよう互いに結合可能な態様に形成された搬送容器連結具(14, 15)と、
を備えており、
前記保持装置(12)は、ケーシング部(10)の一方の端部(17)側で試料収納スペース(11)を閉塞する底部(12)を備え、
試料を収納する少なくとも一の隔室(18)が、前記底部(12)に配置されてなることを特徴とする試料搬送容器。
【請求項2】
請求項1に記載の試料搬送容器であって、
少なくとも一の隔室(18)が、毛細管(18.1)、ビーカー(18.2)、又はシャーレ(18.3)のいずれかの形状であることを特徴とする試料搬送容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の試料搬送容器であって、
試料を収納する複数の隔室(18.1)が底部(12)に配置されてなることを特徴とする試料搬送容器。
【請求項4】
請求項1から3のうち一に記載の試料搬送容器であって、
底部(12)が試料収納スペースと対向する側に、隣接する試料搬送容器の少なくとも一の隔室を閉塞できるようにシール要素(19)を備えることを特徴とする試料搬送容器。
【請求項5】
請求項1に記載の試料搬送容器であって、
少なくとも一の試料を付着させるための培養基(18.4)を、底部(12)が少なくとも一備えていることを特徴とする試料搬送容器。
【請求項6】
請求項5に記載の試料搬送容器であって、
複数の試料を付着させるための培養基スタック(18.5)を、底部(12)が備えていることを特徴とする試料搬送容器。
【請求項7】
請求項1から6のうち一に記載の試料搬送容器であって、
関連するケーシング部(10)の試料収納スペース(11)に面した底部(19)側に、少なくとも一の隔室(18)が配置されてなることを特徴とする試料搬送容器。
【請求項8】
請求項1から7のうち一に記載の試料搬送容器であって、
関連するケーシング部(10)の試料収納スペース(11)と対向する底部(19)側に、少なくとも一の隔室(18)が配置されてなることを特徴とする試料搬送容器。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一に記載の試料搬送容器であって、
搬送容器連結具(15, 14)が、差し込み式連結、ねじ式連結、プラグ式連結、又は磁石式連結の連結タイプの少なくともいずれかを形成するように構成されてなることを特徴とする試料搬送容器。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一に記載の試料搬送容器であって、
他の試料搬送容器と積層式としたケーシング部を用いて、試料収納スペース(11)でケーシング部の各端部を気密に閉塞できるよう構成されてなることを特徴とする試料搬送容器。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一に記載の試料搬送容器であって、
ケーシング部(10)が工具用に少なくとも一の係合面を形成した外形を有することを特徴とする試料搬送容器。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一に記載の試料搬送容器であって、
ケーシング部(10)がその端部の一にカバー部分(30)を搭載可能に構成してなることを特徴とする試料搬送容器。
【請求項13】
請求項12に記載の試料搬送容器であって、
カバー部分が、ケーシング部(10)における搬送容器連結具(15, 14)の一を嵌着させるよう形成されたカバー連結具(35, 36)を、少なくとも一備えることを特徴とする試料搬送容器。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の試料搬送容器であって、
カバー部分が電子メモリ(31)、トランスポンダ(34)、コンピュータ回路、RFID装置、マーキング(33)、センサ、機械的保持要素(32)を含む機能装置の少なくともいずれかを備えることを特徴とする試料搬送容器。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一に記載の試料搬送容器であって、
ケーシング部の端部(16, 17)間に延在する少なくとも一の導体要素(40)を備えることを特徴とする試料搬送容器。
【請求項16】
請求項15に記載の試料搬送容器であって、
少なくとも一の導体要素(40)が導電体、光導体及び物質移動用中空導管の少なくともいずれかを備えることを特徴とする試料搬送容器。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一に記載の複数の試料搬送容器(10)を相互に連結するシステムを備えることを特徴とする、複数の生体試料の低温保存用の試料収納容器(200)。
【請求項18】
請求項17に記載の試料収納容器であって、
相互連結するシステムが、搬送容器連結具(15, 14)を用いて互いに直に隣接する試料搬送容器(100, 101, 102, …)同士を連結する試料搬送容器スタック(210)を備えることを特徴とする試料収納容器。
【請求項19】
請求項18に記載の試料収納容器であって、
試料搬送容器(100, 101, 102, …)の各個に関する試料が、前記試料搬送容器(100, 101, 102, …)におけるケーシング部(10)の試料収納スペース(11)内に配置されてなることを特徴とする試料収納容器。
【請求項20】
請求項18に記載の試料収納容器であって、
試料搬送容器(100, 101, 102, …)の各個に関する試料が、隣接する試料搬送容器(100, 101, 102, …)におけるケーシング部(10)の試料収納スペース(11)内に配置されてなることを特徴とする試料収納容器。
【請求項21】
請求項17から20のいずれか一に記載の試料収納容器であって、
相互連結のシステムが、搬送容器及びカバー連結具(15, 16, 35, 34)を用いて互いに直に隣接する部材同士を連結可能な試料搬送容器(10)のスタック及びカバー部分(30)を備えることを特徴とする試料収納容器。
【請求項22】
請求項17から21のいずれか一に記載の試料収納容器であって、
相互連結のシステムが、互いに隣接して配置された試料搬送容器の複数のスタック(210, 220)を備えることを特徴とする試料収納容器。
【請求項23】
請求項22に記載の試料収納容器であって、
試料搬送容器のスタック(210, 220)が、収納用器具の連結具により、互いに直に隣接する試料搬送容器同士を放射状に連結されてなることを特徴とする試料収納容器。
【請求項24】
請求項23に記載の試料収納容器であって、
試料搬送容器のスタック(230)が共通のカバー部分(38)により放射状に離間して連結されてなることを特徴とする試料収納容器。
【請求項25】
請求項1から16のいずれか一に記載の試料搬送容器(100, 101, 102, …)内の生体試料(1)を低温保存する方法であって、
試料搬送容器(100, 101, 102, …)内に試料を配置する工程と、
試料搬送容器(100, 101, 102, …)を請求項17から24のいずれか一に記載の試料収納容器(200)に連結する工程と、
試料収納容器(200)を低温環境内に移転させる工程と、
を含むことを特徴とする低温保存方法。
【請求項26】
請求項25に記載の生体試料の低温保存方法であって、
試料の配置工程が、毛管力の作用により試料(1)を試料搬送容器の少なくとも一の隔室(18)内に収納する工程を含むことを特徴とする低温保存方法。
【請求項27】
請求項25に記載の生体試料の低温保存方法であって、
試料の配置工程が試料をホース状の試料用チャンバ(20)内に収納する工程を含み、試料搬送容器(100)を連結するために一連のケーシング部(10)が試料用チャンバ(20)の方へ引き寄せられて、互いに連結できることを特徴とする低温保存方法。
【請求項28】
請求項25から27のいずれか一に記載の生体試料の低温保存方法であって、
試料(1)が浮遊液の試料、生体組織の試料又は器官の試料を含むことを特徴とする低温保存方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2009−524806(P2009−524806A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551704(P2008−551704)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【国際出願番号】PCT/EP2007/000465
【国際公開番号】WO2007/085385
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(597159765)フラウンホーファーゲゼルシャフト ツール フォルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシユング エー.フアー. (68)
【Fターム(参考)】