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生体試料を保管し調製する装置
説明

生体試料を保管し調製する装置

【課題】生体試料(3)を保管し、生体試料(3)の二次構造を分解する熱を伝達する装置を開示する。【解決手段】本装置は、ポーション部(7)を有する生体試料運搬装置(5)を備える。ポーション部(7)は生体試料(3)を受けるように意図される。また、本装置は、ポーション部(7)を封止する少なくとも1つの封止手段(9、13、15)と、ポーション部(7)および封止手段(9、13、15)のうち少なくとも1つに本質的に広がる伝熱部(11)とを備え、伝熱部(11)による生体試料(3)への伝熱を可能にするため、伝熱部(11)の熱伝導率と厚さの比率が500W/mK超となる。また、生体試料(3)を調製する方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体試料を保管し、生体試料の生体分子の二次構造を分解する熱を伝達する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
さまざまな研究施設には、生体試料が多数集められ、保管される。このため、生体試料を容易に処理し、保管し、取り出すことができる装置が必要である。
【0003】
劣化を避けるために、採取後の生体試料を急速かつ精確に不活性化する重要性が、最近認識されている。たとえば、特許文献1および2を参照されたい。
【0004】
特許文献1は、生体試料を不活性化するのに適した手段として加熱を挙げている。加熱によってプロテアーゼ、リパーゼおよびホスホリラーゼなどの酵素の二次構造が分解されることから、生体試料の酵素分解が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2007/024185号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2007/064294号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
試料を生体から採取してから分析を実施するまでの間、試料成分の完全性を維持することが、あらゆる生体試料分析の鍵となる。しかし、試料の劣化を遅らせたり、劣化を検出したりすることが困難である。その結果、多くの分析では分析を実施するかなり以前に分解してしまった種の存在を見逃すことになる。
【0007】
変性と呼ばれる生体分子の二次構造を分解することによって、生体分子は本来の機能を喪失し、一部の生物学的過程が阻害され、試料がそれ以上劣化しなくなる。生体試料を変性するのに熱を利用できる。試料の加熱は適切に調節しないときわめて望ましくない作用があると考えられるため、いかにして実施するのかということが重要となる。
【0008】
精確な温度で、精確な温度に生体試料を急速かつ一様に加熱することが不可欠となる。きわめて高温で加熱する、きわめて高温に加熱する、および/またはきわめて長時間加熱すると、一次構造を分解して試料の構造に対して不可逆変化を引き起こし、生体試料の損傷により分析が困難となり、場合により不可能となる。
【0009】
また、きわめて低温で加熱および/またはきわめて短時間の加熱では、生体試料を効果的に不活性させるには不十分となる。生体試料の不均一加熱によって生体試料のさまざまな部分にさまざまな熱処理が施されるため、均一加熱は不可欠となる。このため、1次構造ではなく2次構造を分解する効果的な熱処理が試料全体に施されているかどうかを判断することは困難となる。
【0010】
そこで、二次構造が分解される有意な温度に生体試料全体を加熱する必要がある。また、たとえば目的とする生物学的試験に生体試料が使用できなくなってしまう損傷を与える可能性があることから、加熱によってきわめて高温にしないことが重要である。加熱は、生体から生体試料を採取してから2〜4分以内に開始する必要がある。しかし、試料採取と加熱の間に生体試料を冷凍する時間を設けることが可能である。本発明の目的は、上に記載したことを実現する支援をすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このため、生体試料を適切に不活性化、好ましくは熱不活性化することを保証するのに使用可能な新規装置の必要性が高まっている。本発明は多数の目的を果たす装置を提供する。
【0012】
1.本装置は、生体分子の二次構造を分解することによって生体試料の適切な熱不活性化をもたらすために、さまざま形態および形状の生体試料を急速、一様かつ適切に加熱する能力を備える。
【0013】
2.さらに、本装置は加熱工程時および後処理ならびに保管時に生体試料が汚染されないように保護する。
【0014】
3.さらに、本装置は生体試料の処理、保管および取り出すことができる。これにより、さまざまな装置の間で生体試料を取り出して輸送する必要性を回避する。
【0015】
第1の態様に従い、生体試料を保管する装置を開示する。また、本装置は生体試料の二次構造を分解する熱を伝達できるように設計されており、これを実現するために加熱要件を考慮して上に記載している。生体試料は組織の生体試料である。本装置は、ポーション部を有する生体試料搬送装置を備える。ポーション部は、生体試料を受けるよう意図される。一実施形態では、ポーション部は生体試料運搬装置の表面の指定された位置で示される。しかし、ポーション部は運搬装置の下方に延伸していてもよく、生体試料運搬装置全体に広がっていてもよい。ポーション部は、生体試料をどこに置くべきかを明確にするような印となる。
【0016】
ポーション部の形状は、円形であってもよく、生体試料の形状に対応する形状であってもよい。ポーション部の面積は、1mm〜5dm、3mm〜3dm、300mm〜100cmの範囲のいずれかである。
【0017】
本装置は、外部の視点から保護するためにポーション部を封止する少なくとも1つの封止手段を備え、封止手段には気密封止を実現することを含める。生体試料は、ポーション部と封止手段の間にあるように意図される。
【0018】
また、本装置はポーション部および封止手段の少なくとも1つによって少なくとも本質的に広がる伝熱部を備える。伝熱部の機能は、生体試料を急速および/または一様に加熱できるように熱を伝達することである。伝熱部が2つある場合、双方の伝熱部によって生体試料の加熱を実施してもよい。一実施形態では、この2つの伝熱部の一方が他方の上部に設置される。一実施形態では、伝熱部が封止手段に設置されることにより、たとえば生体試料を受けるポーション部に生体試料を置いて封止手段を用いて封止したのちに生体試料を変性させるために、封止手段によって生体試料に熱を伝達することができる。
【0019】
一実施形態では、ポーション部は伝熱部の最上部に位置し、伝熱部は生体試料運搬装置に広がる。一実施形態では、上に記載したように伝熱部が2つあり、一方は封止手段にあり、ポーション部と相関をなしている。代替の実施形態では、伝熱部がポーション部に広がる。別の実施形態では、伝熱部が封止手段に広がる。
【0020】
伝熱部の形状の非限定例には、生体試料と伝熱部の間に大きな接触域を設けるように、生体試料を少なくとも部分的に封入するシェル型などの形状が挙げられる。
【0021】
一実施形態では、伝熱部の表面は熱を受けるように意図されており、外部熱源の形状に少なくとも本質的に適合した形状をなす。
【0022】
生体試料は、固体、半固体および液体であってもよい。
【0023】
一実施形態では、伝熱部の表面または封止手段の表面は、生体試料に適合した形状をなす。たとえば生体試料が固体である場合、伝熱部は生体試料が装置にあるとき、生体試料に急速および/または一様に伝熱できるよう接触するような形状をなす。このため、伝熱部は弾性または可撓性の材料で作製される。これにより、伝熱部は生体試料に適合した形状をとることができる。
【0024】
また、本実施形態は圧力差(周囲の圧力より封止手段とポーション部との間隙の圧力が低くなること)によって伝熱部が生体試料の形状を変化させることから、生体試料の形状を新たに作製する機会を提供する。
【0025】
また、本実施形態は光学手段によって生体試料の高さプロファイルを測定する機会を提供する。そこで、伝熱部によって入射光の反射角度がきわめて大きくならないようにすることが重要である。屈折率が反射率より低く、1.5未満であるのが好ましい。一実施形態では、屈折率が1.5未満である。一実施形態では、屈折率が1.35未満である。
【0026】
急速かつ一様に加熱することによって生体試料の二次構造を分解するように伝熱部による生体試料への伝熱を可能にするため、伝熱部の熱伝導率と厚さの比率が500W/mK超となる。実施形態では、この比率は1000、2000、3000、4000または5000より大きい。これにより、生体試料は採取されてから2〜4分以内に十分な温度に加熱される本装置の利点が得られる。
【0027】
一実施形態では、伝熱部の厚さは3.0mm未満である。一実施形態では、伝熱部の厚さは2.0mm未満である。
【0028】
一実施形態では、本装置はカードである。カードは平らであり、平らとは深さまたは厚さに対して表面が比較的広くなることを意味する。これにより、ある程度平坦な生体試料を処理できる利点が得られる。
【0029】
一実施形態では、(生体試料を受けるために)ポーション部と封止手段との間に形成される間隙が本装置の周囲の圧力より低い圧力下にある場合、伝熱部は外部熱源との間の伝熱接触面が増大するような形状をとることができる。一実施形態では、圧力差はゼロより大きく、0.1MPaより小さい。これにより、接触面が増大することから圧力差によって接触性が改善し、伝熱効率が増大する。また、平らになるように生体試料を形成し、生体試料を急速かつ一様に加熱するのに好ましい形状にする。また、空洞部分の影響が減弱する。
【0030】
一実施形態では、封止手段は真空圧下にある場合、封止手段と生体試料との接触性が改善して、すなわち伝熱特性が増大するような形状をとることができる。また、接触性を改善すると、生体試料が平らかつ薄くなるなどの生体試料の形状に影響を及ぼすため、伝熱特性を増大してもよい。こうして、生体試料をさらに急速かつ一様に加熱してもよい。一実施形態では、絶対圧が0.04〜0.09MPaとなることを意味する。
【0031】
一実施形態では、本装置は装置の内部と外部との圧力差を生じさせるダクトを備える。一実施形態では、ダクトを介して内部の空気を排出することによって、装置内部を真空圧または少なくとも周囲の圧力より低い圧力にする。一実施形態では、ダクトはバルブで密閉する。一実施形態では、バルブは熱弾性部材であり、シリンジなどが貫通することができる。一実施形態では、バルブはシリコン製である。圧力差によって伝熱部は生体試料に適合した形状をなし、生体試料と外部熱源が十分に接触できることから、効率的に伝熱することができる。
【0032】
操作は以下に示す通りである。1)(装置内部の)ポーション部に生体試料を置き、2)封止手段を装着し、3)ポーション部を取り囲む閉領域にダクトを挿入し、空気などを吸引してポーション部を排気することによって圧力差を生じさせ、4)圧力差が生じたらシリンジを取り除き、ポーション部をバルブで封止して圧力差を維持する。生体試料の酸化リスクが制限されるため、熱処理および保管時に生体試料に接する酸素量が過剰となるのを避けることは有利である。
【0033】
一実施形態では、封止手段および生体試料運搬装置の少なくとも1つが、伝熱部と同じ材料でのみ作製される。
【0034】
一実施形態では、本装置は15分未満の間50〜100℃で本質的かつ構造的に損傷を受けない1または複数の材料で作製される。
【0035】
一実施形態では、本装置は−197〜20℃で本質的かつ構造的に損傷を受けない1または複数の材料で作製される。これにより、冷凍庫で安全な長期保管を保証する利点が得られる。
【0036】
一実施形態では、ポーション部が生体試料運搬装置の凹部によって構成される。一実施形態では、ポーション部が生体試料運搬装置の表面より下側に位置すれば凹部が形成される。一実施形態では、凹部は運搬装置の表面に設置された輪をなし、この輪はポーション部を取り囲んでいる。
【0037】
一実施形態では、封止手段の厚さは0.01〜0.3mmである。一実施形態では、封止手段は伝熱部を備え、伝熱部の厚さは封止手段の厚さより小さいか、封止手段の厚さと同じか、あるいは封止手段の厚さより大きい。一実施形態では、封止手段の厚さは0.01〜2.5mm、0.01〜2.0mm、0.01〜1.50mm、0.01〜1.0mm、0.01〜0.75mm、0.01〜0.5mm、0.01〜0.4mmおよび0.01〜0.30mmである。
【0038】
一実施形態では、伝熱部は選択した材料から生体試料への汚染リスクを制限するた
めに不活性物質で作製される。
【0039】
不活性物質の非制限例には、プラスチック材料、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PP(ポリプロピレン)、白金硬化シリコン、ポリカーボネート(PC)、アルミニウム板、アルミニウム板、アルミニウム箔、フッ化プラスチックおよびアルミニウム箔が挙げられる。
【0040】
一実施形態では、伝熱部は伝熱性を改善する弾性材料または可撓性材料で作製される。
【0041】
弾性材料または可撓性材料の非制限例には、プラスチック材料、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PP(ポリプロピレン)、白金硬化シリコン、ポリカーボネート(PC)、アルミニウム板、アルミニウム板、アルミニウム箔、フッ化プラスチックおよびアルミニウム箔が挙げられる。
【0042】
一実施形態では、伝熱部は不活性および弾性/可撓性の材料で作製される。
【0043】
一実施形態では、伝熱部は生体試料に接触するように意図される表面を有し、摩擦係数が低い材料で作製される。これにより、生体試料が伝熱部の表面に付着することなく装置内で生体試料全体を調製し、熱処理し、熱処理後に分析し、保管できることを保証する利点が得られる。
【0044】
一実施形態では、伝熱部全体は摩擦係数が低い材料などで作製される。
【0045】
一実施形態では、摩擦係数は0.6未満である。一実施形態では、摩擦係数は0.3未満である。一実施形態では、摩擦係数は0.1未満である。
【0046】
一実施形態では、伝熱部はヘパリン、シリカまたは導電性材料のうち少なくとも1つでコーティングされる。
【0047】
一実施形態では、生体試料運搬装置は装置ラックに生体試料運搬装置を置く手段を備える。
【0048】
一実施形態では、生体試料運搬装置はたとえば互いの装置の上に積み重ねるか、山積みできる手段を備える。
【0049】
一実施形態では、ポーション部は生体試料運搬装置を貫通する貫通孔である。
【0050】
一実施形態では、封止手段は2つの封止部材によって構成され、第1の封止部材が貫通孔の一方の端部を封止し、第2の封止部材は貫通孔の他方の端部を封止する。一実施形態では、第2の封止部材は、製造時に生体試料運搬装置に固定してもよい。また、このような封止手段は貫通孔の実面積より大きくしてもよい。一実施形態では、その面積は生体試料運搬装置の面積と同じであってもよい。一実施形態では、第2の封止部材は生体試料運搬装置に対して接触する底部蓋または上部蓋としての機能を備える。
【0051】
一実施形態では、封止部材は箔体である。
【0052】
一実施形態では、封止手段はポーション部を封止するために生体試料運搬装置にねじ締めされるねじ蓋である。
【0053】
一実施形態では、封止手段はポーション部を封止するために生体試料運搬装置に溶接される。
【0054】
一実施形態では、本装置は複数のポーション部を備える。
【0055】
一実施形態では、本装置は情報タグを備える。非限定実施形態では、情報タグはバーコード、テキストまたは画像、RFIDおよび光学タグのうちの1つである。
【0056】
一実施形態では、本装置は封止手段によって封止されるポーション部から空気を排出する排出手段をさらに備える。
【0057】
一実施形態では、本装置はポーション部(7)と封止手段(9、13、15)との間隙に接続するバルブをさらに備える。間隙の意図は、生体試料3を収容することにある。これにより、ポーション部とその周囲の圧力差を生じさせるか、維持できる利点が得られる。圧力差を生じさせる、すなわち、周囲の圧力より封止手段とポーション部との間隙の圧力を下げる場合、バルブは重要となる。上に記載したように、こうして伝熱部は十分な伝熱を支援するような形状をなす。
【0058】
一実施形態では、バルブと間隙との間にはダクトがある。
【0059】
一実施形態では、本装置はバルブとスペースとの間にフィルタをさらに備える。これにより、最初に生体試料を収容する間隙から空気を排出することを支援する利点が得られる。
【0060】
一実施形態では、伝熱部の表面は導電性材料で作製される。一実施形態では、伝熱部は導電性材料でコーティングされる。一実施形態では、生体試料に面する表面は、導電性材料で作製される。これにより、導電性材料は生体試料に接触することができる。
【0061】
生体試料を調製する方法を開示する。本方法には、第1の態様による装置のポーション部に生体試料を置くことと、封止手段を封止することと、熱不活化ステップを実施して劣化を防ぐことを含める。
【0062】
一実施形態では、本方法には装置内で圧力差を生じさせるステップをさらに含める。これにより、伝熱部と封止手段とを接触させ、生体試料を急速および/または一様に伝熱することができる。
【0063】
一実施形態では、熱不活化ステップには、生体試料を2分未満で60〜100℃に加熱することを含める。一実施形態では、2分未満とは体内から生体試料を採取した後の2分未満であることを意味する。一実施形態では、生体試料は熱活性化を実施する前に冷凍される。
【0064】
生体試料を管理する方法を開示する。本方法には、第2の態様による方法と、第1の態様による装置を保管することを含める。
【0065】
上に開示した3つの態様の特徴は他の態様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明による装置の第1の実施形態を示す概略図である。
【図2】ポーション部が生体試料運搬装置を貫通する貫通孔である本発明による装置の第2の実施形態を示す概略図である。
【図3】本発明による装置の一実施形態を示す第3の概略図である。
【図4】図3に示す装置の構成要素を示す概略図である。
【図5】図3に示す装置の構成要素を示す概略図である。
【図6】図3に示す装置の構成要素を示す概略図である。
【図7】図3に示す装置の構成要素を示す概略図である。
【図8】図3に示す装置の構成要素を示す概略図である。
【図9】図3に示す装置の構成要素を示す概略図である。
【図10】図3に示す装置の構成要素を示す概略図である。
【図11】図3に示す装置の構成要素を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
いくつかの図面では、理解を容易にするために特徴を示すものなどの厚さが実寸より大きくなっている。
【0068】
図1では、生体試料3を保管し、その2次構造を分解する熱を伝達させることができる装置1の概略図を開示する。この図には、理解を容易にするために生体試料3を含めている。本装置は、ポーション部7を有する生体試料運搬装置5を備える。ポーション部7は、生体試料3を受けるように意図される。
【0069】
ポーション部7を封止するために、少なくとも1つの封止手段9を備える。生体試料は、ポーション部(7)と封止手段(9、13、15)の間にあるように意図される。また、ポーション部7および封止手段9の少なくとも1つによって少なくとも本質的に広がる伝熱部11を備える。実施形態では、伝熱部11は封止手段9および/またはポーション部7全体に広がる。また、急速かつ一様に加熱することによって生体試料の二次構造を分解するように伝熱部11による生体試料3への伝熱を可能にするため、伝熱部11の熱伝導率と厚さの比率が500W/mK超となる。伝熱部11の厚さは0.05mmである。伝熱部11は圧力差が0.02MPaの条件下にある場合、封止手段9と生体試料3との接触性が改善する、すなわち伝熱性が増大するような形状をとることができる。また、接触性を改善すると、生体試料が平らかつ薄くなるなどの生体試料の形状に影響を及ぼすため、伝熱特性を増大してもよい。
【0070】
封止手段9とポーション部7との間隙の圧力が周囲の圧力より低いため、伝熱セグメント11はたとえば絶対圧が0.065MPaの真空圧下にある場合、その形状をとることができる。封止手段9および生体試料運搬装置5の少なくとも1つが、伝熱部11と同じ材料でのみ作製される。
【0071】
装置1は15分未満の間50〜100℃で本質的かつ構造的に損傷を受けない1または複数の材料で作製される。また、装置1は−197〜20℃で本質的かつ構造的に損傷を受けない1または複数の材料で作製される。
【0072】
伝熱部11は、プラスチック材料、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PP(ポリプロピレン)、白金硬化シリコン、ポリカーボネート(PC)、アルミニウム板、アルミニウム板、アルミニウム板およびアルミニウム箔などの不活性材料および/または可撓性材料のうち少なくとも1つで作製される。
【0073】
図2には、装置1の一実施形態の概略図を示し、ポーション部7は生体試料運搬装置5を貫通する貫通孔である。本実施形態では、封止手段9は2つの封止部材13、15によって構成され、第1の封止部材13が貫通孔の一方の端部を封止し、第2の封止部材15は貫通孔の他方の端部を封止する。封止部材15の1つは、貫通孔を封止するプレートである。プレートまたは底もしくは蓋は、製造時に生体試料運搬装置5に固定される。一実施形態では、このプレートは貫通孔の面積より大きい。一実施形態では、プレートは面積が生体試料運搬装置5と同じである。
【0074】
一実施形態では、封止手段9はポーション部を封止するために生体試料運搬装置5にねじ締めされるねじ蓋である。
【0075】
以下に、伝熱部11の伝熱特性を表す一連の実施例に関して記載する。
【0076】
ポーション部7に厚さ2mmの生体試料を置く。時間Tはポーション部7が外部熱源に接触してから生体試料3の先端の温度が80℃に達するまでの時間である。ポーション部7および生体試料3は、開始温度が20℃である。熱源は95℃である。
【0077】
【表1】

【0078】
一実施例では、ポーション部7は厚さが0.1mmである。時間Tは、上に記載したように定義した。
【0079】
【表2】

【0080】
一実施例では、生体試料3を冷凍し、冷凍した(−18℃の)ポーション部7の上部に厚さ0.1mmの生体試料を置く。時間Tは、上に記載したように定義した。
【0081】
【表3】

【0082】
一実施例では、ポーション部7に厚さ1mmの生体試料3を置く。生体試料3は開始時の温度が20℃であり、生体試料3の中央部(生体試料3の表面から0.5mm)は、時間Tの時点で90℃となる。
【0083】
【表4】

【0084】
次に、生体試料3は取り外され、ポーション部7のみが加熱される。
【0085】
【表5】

【0086】
厚さ0.25mmのポーション部7を加熱するのに1秒未満要するが、ポーション部の材料は熱伝導性が低いと、時間Tに及ぼす影響が大きくなる。
【0087】
これにより、ポーション部7の材料は熱伝導性が低い場合、ポーション部の厚さは時間Tに大きな影響を及ぼすことが示される。
【0088】
以下の表では、アルミニウム(Al)およびポリプロピレン(PP)の特定の厚さに対するK値を示す。
【0089】
【表6】

【0090】
次に生体試料3を調製する操作を示す。第1ステップでは、生体試料3をポーション部7に置く。次に、ポーション部7が封止されるように封止手段9、13を操作する。その後、劣化を防ぐ熱変質ステップ手順を実行する。熱変質ステップでは、2分未満で生体試料3を60〜100℃に加熱する。上に記載したように、熱は少なくとも1つの伝熱部11によって伝達される。生体試料3を管理する方法には、装置1を収納することをさらに含める。
【0091】
図3には、本発明による装置の一実施形態の概略図を示す。本装置は、ポーション部7を有する生体試料搬送装置5を備える。ポーション部7は、生体試料3を受けるよう意図されている。本装置は、ポーション部7を封止する少なくとも1つの封止手段9、13と、ポーション部7および封止手段9、13のうち少なくとも1つに少なくとも本質的に広がる伝熱部11とをさらに備える。伝熱部11による生体試料3への伝熱を可能にするため、伝熱部11の熱伝導率と厚さの比率が500W/mK超となる。図3に示す装置は、文字ホイル/情報タグ21をさらに備える。また、図3には封止手段9および伝熱領域11を有する蓋23がある。蓋23は、一実施形態がヒンジのように機能する手段24によって生体試料運搬装置5に固定される。一実施形態では、手段24および文字ホイル/情報タグ21は同じものである。
【0092】
図4には、図3に示す装置の一実施形態を示す。図4には、封止手段9によって封止されるポーション部7から空気を排出するダクト27をさらに備える装置1を開示する。ダクト27には端部が2つあり、一方はポーション部7(具体的には間隙)に、他方は装置29の表面のうち1つにある。ダクト27に沿って、ポーション部7を封止するためにバルブ25が設置される。バルブ25は、たとえばシリンジによって貫通可能である。バルブ25は一方向弁であり、生体試料3を取り囲む容積から気体の排出のみを実施する。
【0093】
図5には、封止手段9の一実施形態を示す。一実施形態には、蓋23に封止手段9を固定する締結手段を有する部品がある。封止手段9の内部には伝熱部11を備える。図6には、封止手段9の一実施形態を示す。図7には、底部封止手段13の一実施形態を示す。生体試料3を受ける締結手段を内部に含めない。図8には、バルブ25の一実施形態を示す。図9には、文字ホイル/情報タグ21またはヒンジ24の一実施形態を示す。締結手段には、糊または接着剤が挙げられる。
【0094】
機能は以下に示す通りである。まず蓋21を開き、封止手段9/伝熱部11に生体試料3を置く。次に、蓋21を閉じる。蓋21と運搬装置5の閉領域部との間の閉領域は密閉される。次に、生体試料3と封止手段9の間の接触性を増大する(伝熱能力を高める)ため、開領域29にシリンジなどの排出手段を挿入して圧力差を生じさせるバルブ25を貫通させる。一実施形態では、真空圧を生じさせる。圧力差が生じたのちに、開領域29から排出手段を取り除く。しかし、バルブ25によって圧力差は維持される。次に、伝熱部11の少なくとも1つによって伝達される熱に生体試料を曝露する。これにより、一実施形態では生体試料3は圧力差がある条件下で不活性化される。
【0095】
一実施形態では、封止手段9、13、15は平らであり、生体試料3を覆うのに使用される場合、急速かつ一様に伝熱することを容易にするため、試料は接触面が大きくなるように、試料を覆い、試料の原形を変えることもできる形状にする。
【0096】
一実施形態では、図10および11に示すように、封止手段9、13、15は、平らな面からの凸部31を備えるように既製される。この凸部31を作製する一方法では、望ましい配置となるように封止手段9、13、15を伸張してから蓋21に固定する。この凸部は、輪、矩形をはじめあらゆる形状をとってもよい。一実施形態では、伝熱部11は封止手段9、13、15の一部である。これにより、封止手段9、13、15または伝熱部11は、急速かつ一様に伝熱すると同時に試料の高さプロファイルの測定できるような形状をとり、生体試料3の形状を変えることができる。一実施形態では、生体試料3を劣化しない方法で生体試料の形状を新たに作製する。
【0097】
2つの封止手段を有する実施形態では、封止手段9の少なくとも一方がこの形状をなす。別の実施形態では、封止手段の双方がこの形状をなす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料(3)を保管し、生体試料(3)の二次構造を分解する熱を伝達する装置であって、
ポーション部(7)を有し、該ポーション部(7)は生体試料(3)を受ける生体試料運搬装置(5)と、
前記ポーション部(7)を封止し、前記ポーション部(7)との間にあるように意図される少なくとも1つの封止手段(9、13、15)と、
前記ポーション部(7)および前記封止手段(9、13、15)のうち少なくとも1つに少なくとも本質的に広がり、急速かつ一様に加熱することによって前記生体試料(3)の二次構造が分解するように前記生体試料への伝熱を可能にするため、熱伝導率と厚さの比率が500W/mK超となる伝熱部(11)とを含む装置。
【請求項2】
前記伝熱部(11)の厚さは、3.0mm未満である請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ポーション部(7)と前記封止手段(9、13、15)の間に形成される間隙が、前記装置の周囲の圧力より低い圧力下にある場合、前記伝熱部(11)の形状をとる請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記封止手段(9、13、15)および前記生体試料運搬装置(5)の少なくとも1つが、前記伝熱部(11)と同じ材料でのみ作製される請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記封止手段(9、13、15)の厚さは、0.01〜0.3mmである請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記伝熱部(11)は、ヘパリン、シリカまたは導電性材料のうち少なくとも1つでコーティングされる請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記生体試料運搬装置(5)は、装置ラックに置く手段を備える請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記生体試料運搬装置(5)は、積み重ねる手段を備える請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記ポーション部(7)は、前記生体試料運搬装置(5)を貫通する貫通孔である請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記封止手段(9、13、15)は、2つの封止部材(13、15)によって構成され、第1の封止部材(13)が前記貫通孔の一方の端部を封止し、第2の封止部材(15)が前記貫通孔の他方の端部を封止する請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記装置(1)は、情報タグ(21)を備える請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記ポーション部(7)と前記封止手段(9、13、15)との間隙に接続するバルブ(25)をさらに含む請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記バルブと前記間隙との間に、フィルタ(19)をさらに含む請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記伝熱部(11)の表面は、導電性材料で作製される請求項1に記載の装置。
【請求項15】
生体試料を調整する方法であって、
請求項1に記載の装置のポーション部(7)に生体試料(3)を置くことと、
前記封止手段(9、13)を封止することと、
熱不活化ステップを実施して劣化を防ぐことを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2011−516882(P2011−516882A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503938(P2011−503938)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【国際出願番号】PCT/SE2009/050358
【国際公開番号】WO2009/126099
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(510224583)デナトール アクティエボラグ (2)
【Fターム(参考)】