説明

生分解性即席食品用容器及びその製造方法

【課題】 イージピール性や口元を傷つけないフランジ部が形成されているとともに、生分解性を有し、耐水性や防水性や強度に優れる生分解性即席食品用容器及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 底板部と当該底板部の周縁に設けられた周壁部とからなり、前記周壁部の上端にはフランジ部が開口部縁から外側に向かって所定の距離を有し、かつ、所定の厚さを有するように形成されている、澱粉発泡体からなる容器本体と、前記フランジ部の上面に接着されることによって、容器本体の内部を密封する蓋材とを備える生分解性即席食品用容器であって、前記容器本体の内面と、フランジ部の少なくとも上面及び外側側面とには、耐水性及び生分解性を有する熱可塑性樹脂層が形成されており、前記容器本体の外面には、生分解性及び熱溶融性を有する防水性材料が塗布されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性即席食品用容器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護等の観点から、各種製品の材料として生分解性の材料が注目されている。そのような生分解性を有する高分子としては、例えば、タンパク質、合成ポリペプチド、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、澱粉、デキストラン、キトサン等が知られているが、これらの中で、澱粉は、コストも安く、かつ、製造も比較的容易であるため、工業的に製造される材料としては適している。
【0003】
一方、熱湯を注ぐことによって調理される食品(即席麺、即席スープ、即席粥等)に使われる即席食品用容器としては、現在のところ主に発泡ポリスチレンが使用されているが、発泡ポリスチレンは自然に分解されることがなく、使用後にゴミとして土中に埋められた場合には永久に分解されずに土中に残る。このため、使用後の即席食品用容器による環境への影響が懸念される。
【0004】
このような観点から、即席食品用容器を生分解性を有する材料で製造することが考慮されるが、澱粉発泡体を使用した場合には、生分解性であるだけでなく、軽く、熱を伝えにくいという利点があるが、耐水性及び防水性に問題があり、即席食品用容器に熱湯を注いだり、長期間保存していると、即席食品用容器が熱湯や湿気により変形したり溶解して、即席食品用容器には用いることができなかった。
【0005】
そこで、澱粉発泡体容器の全面を、耐水性及び生分解性を有する熱可塑性樹脂で被覆しようとしたが、容器本体全面を耐水性及び生分解性を有する熱可塑性樹脂層で被覆することは、製造上非常に困難で、かつコストも高いものとなった。
【0006】
そのため、澱粉発泡体容器の内面を前述の熱可塑性樹脂層で被覆し、澱粉発泡体容器の外面をワックス等の生分解性を有する防水性材料で塗布して被覆することが考えられたが、フランジ部の外側側面に防水性材料を塗布する際、フランジ部の上面にも防水性材料が塗布されてしまうと、蓋材とのイージピール性や強度に影響があり、一方、フランジ部の外側側面に防水性材料が塗布されない部分が存在すると、当該部分から熱湯や湿気が浸透し、澱粉発泡体容器が変形したり、フランジ部の澱粉が溶けて熱可塑性樹脂のみが突出することによって口元を切る等の問題があった。
【0007】
また、澱粉発泡体容器は強度に問題を有する場合が多く、蓋材との接着状態は内部を充分に密封する必要があり、一方、開封時に蓋を引っ張った際、容器のフランジ部を破壊しないように開封できるようにする必要があり、工夫を必要とした。
【0008】
このように澱粉発泡体容器を即席食品用容器として加工することは非常に困難であり、いまだ実用化するに至っていない。
【0009】
なお、本発明は、発明者独自の着想により完成されたもので、先行技術文献として記載すべきものはない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はこのような従来技術の問題点を解決するものであり、本発明の目的は、生分解性の素材として軽く、熱を伝えにくく、またコストが安いという澱粉発泡体容器のメリットを生かしつつ、即席食品用容器として必要な要件、すなわち、蓋材とのイージピール性を有し、長期間室内で保存しても容器の変形がなく、熱湯を注加しても容器の変形やフランジ部の溶解が無く口元を傷つけることのない、耐水性や防水性や強度に優れる生分解性即席食品用容器及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の生分解性即席食品用容器は、底板部と当該底板部の周縁に設けられた周壁部とからなり、前記周壁部の上端にはフランジ部が開口部縁から外側に向かって所定の距離を有し、かつ、所定の厚さを有するように形成されている、澱粉発泡体からなる容器本体と、前記フランジ部の上面に接着されることによって、容器本体の内部を密封する蓋材とを備える生分解性即席食品用容器であって、前記容器本体の内面と、フランジ部の少なくとも上面及び外側側面とには、耐水性及び生分解性を有する熱可塑性樹脂層が形成されており、前記容器本体の外面には、生分解性及び熱溶融性を有する防水性材料が塗布されている。
【0012】
このように本発明の生分解性即席食品用容器によれば、生分解性を有する材料によって構成されているので、微生物によって分解可能であり、環境に優しい。しかも、容器本体の内面には、耐水性の熱可塑性樹脂層が形成されるとともに、容器本体の外面には、防水性材料が塗布された澱粉発泡体からなる容器本体であるので、室内で長期間保存でき、熱湯を注加しても容器形状が維持され、即席食品用容器として充分な耐水性や防水性や強度を有している。そして、また、容器本体の外面には、熱溶融性を有する防水性材料が塗布されているが、フランジ部の上面には、それが塗布されないため、フランジ部と蓋材とのイージピール性が妨げられることはない。さらに、フランジ部が開口部縁から外側に向かって所定の距離を有しているので、蓋材はフランジ部と充分に接着することができる。
【0013】
また、容器本体が澱粉発泡体で構成されているので、優れた断熱性を発揮し、手に持ったときに熱くなく、しかも軽量である。さらに、容器外面には熱溶融性を有する防水性材料を用いているので、水や有機溶媒を使用しないで塗布することができ、容器本体に浸透した水により容器本体を変形させたり、容器本体に有機溶剤を含有させたりすることがない。
【0014】
なお、本発明で「生分解性」とは、微生物によって分解可能なものであり、生分解性素材としては、天然樹脂、紙(通常の紙コップのようにポリエチレン等で内面がコーティングされているものは不可)、パルプ、澱粉等天然物由来物質の他、合成樹脂としては本発明で使用可能な熱可塑性樹脂、すなわちポリアジペート、ポリラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリβ−ヒドロキシ酪酸、芳香族ポリエステル等がある。なお、本発明においては、これら生分解性素材において無機物を含んでも良い。
【0015】
また、「イージピール性」とは、衝撃等の弱い力では剥がれないが、引張等の強い力では剥がれる性質のことをいう。
【0016】
また、「熱溶融性」とは、融点以上にすれば、水、有機溶媒等の溶媒と混合しないでも、液体として取り扱うことができる性質のことをいうが、本発明の場合は室温では溶融せず、例えば約60℃以上、好ましくは約100℃以上で溶融するものが好ましい。
【0017】
また、本発明は、前述の容器において、前記耐水性を有する熱可塑性樹脂層と、前記熱溶融性を有する防水性材料によって、容器本体を構成する澱粉発泡体が外気に露出する箇所が無いように被覆されているものが好ましく、この構造によって、澱粉容器が外気に露出した部分から長期間の保存時に徐々に吸湿して変形する等の問題もない。また、熱湯を注加して喫食する際に、澱粉が熱湯に触れて軟化したり溶解したりすることが無く、従って、フランジ部において熱可塑性樹脂層だけが露出して口元を切る等の事故も生じない。
【0018】
また、本発明は、前記熱可塑性樹脂層が、ポリアジペート、ポリラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリβ−ヒドロキシ酪酸及び芳香族ポリエステルからなる群から選択される少なくとも1つを含有していることが好ましい。また、これらの複数を積層したものも好ましく用いられる。
【0019】
また、本発明は、前記防水性材料が、低分子天然樹脂、ワックス類、脂肪酸、油脂及びこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
【0020】
また、本発明の生分解性即席食品用容器の製造方法は、底板部と当該底板部の周縁に設けられた周壁部とからなり、前記周壁部の上端にはフランジ部が開口部縁から外側に向かって所定の距離を有し、かつ、所定の厚さを有するように形成されている、澱粉発泡体からなる容器本体と、前記フランジ部の上面に接着されることによって、容器本体の内部を密封する蓋材とを備える生分解性即席食品用容器の製造方法であって、澱粉を主体とする原料を発泡させて容器本体に成型する本体成型工程と、前記容器本体の内面と、フランジ部の少なくとも上面及び外側側面とには、耐水性及び生分解性を有する熱可塑性樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、凸部を有する遮蔽板でフランジ部の外側側面の全部又は一部を覆いながら、前記容器本体の外面には、生分解性及び熱溶融性を有する防水性材料を塗布する塗布工程と、前記蓋材をフランジ部の上面に接着することによって、容器本体の内部を密封する密封工程とを含む。
【0021】
本発明の生分解性即席食品用容器の製造方法によれば、容器本体の外面に、熱溶融性を有する防水性材料をスプレー法により造膜化しても、フランジ部の上面に、熱溶融性を有する防水性材料が塗布されないため、フランジ部と蓋材とのイージピール性が妨げられることはない。また、澱粉発泡体からなる容器本体全面が耐水性を有する熱可塑性樹脂層及び熱溶融性を有する防水性材料で被覆され、澱粉が外気に露出する部分を無くすることができるので、容器が長期間保存されても吸湿によって変形する等の問題も生じない。
【0022】
そして、本発明の生分解性即席食品用容器の製造方法は、底板部と当該底板部の周縁に設けられた周壁部とからなり、前記周壁部の上端にはフランジ部が開口部縁から外側に向かって所定の距離を有し、かつ、所定の厚さを有するように形成されている、澱粉発泡体からなる容器本体と、前記フランジ部の上面に接着されることによって、容器本体の内部を密封する蓋材とを備える生分解性即席食品用容器の製造方法であって、澱粉を主体とする原料を発泡させて容器本体に成型する本体成型工程と、前記容器本体の内面と、フランジ部の上面、外側側面及び下面とには、耐水性及び生分解性を有する熱可塑性樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、開口を有する遮蔽板でフランジ部の下面の全部又は一部を覆いながら、前記容器本体の外面には、生分解性及び熱溶融性を有する防水性材料を塗布する塗布工程と、前記蓋材をフランジ部の上面に接着することによって、容器本体の内部を密封する密封工程とを含む。
【0023】
本発明の生分解性即席食品用容器の製造方法によれば、容器本体の外面に、熱溶融性を有する防水性材料をスプレー法により造膜化しても、フランジ部の上面に、熱溶融性を有する防水性材料が塗布されないため、フランジ部と蓋材とのイージピール性が妨げられることはない。また、澱粉発泡体からなる容器本体全面が耐水性を有する熱可塑性樹脂層及び熱溶融性を有する防水性材料で被覆され、澱粉が外気に露出する部分を無くすることができるので、容器が長期間保存されても吸湿によって変形する等の問題も生じない。
【0024】
さらに、本発明は、前記樹脂層形成工程で、熱可塑性樹脂層を含むシートを成型した後、当該シートを用いて、前記容器本体の内面と、フランジ部の少なくとも上面及び外側側面とには、生分解性を有する熱可塑性樹脂層を形成することが好ましい。具体的には、澱粉発泡体容器は通気性に優れているので、澱粉発泡体容器本体を真空成型用の雌型内に挿嵌させた状態で、真空成型法によって容器本体内面とフランジ部の上面に熱可塑性樹脂層を形成し、フランジ部の外側側面等には加工して形成するのが好ましい。このようにすれば、容器本体を傷つけずに、熱可塑性樹脂層を容器本体に形成することができる。
【発明の効果】
【0025】
このように本発明の生分解性即席食品用容器によれば、生分解性を有する材料によって構成されているので、微生物によって分解可能であり、環境に優しい。しかも、容器本体の内面には、熱湯に耐える熱可塑性樹脂層が形成されるとともに、容器本体の外面には、防水性材料が塗布された澱粉発泡体からなる容器本体であるので、室内で長期間保存でき、熱湯を注加しても容器形状が維持され、即席食品用容器として充分な耐水性や耐熱性や強度を有している。
【0026】
そして、また、容器本体の外面には、熱溶融性を有する防水性材料が塗布されているが、フランジ部の上面には、それが塗布されないため、フランジ部と蓋材とのイージピール性が妨げられることはない。さらに、フランジ部が開口部縁から外側に向かって所定の距離を有しているので、蓋材はフランジ部と充分に接着することができる。
【0027】
また、容器本体が澱粉発泡体で構成されているので、優れた断熱性を発揮し、手に持ったときに熱くなく、しかも軽量である。さらに、容器外面には熱溶融性を有する防水性材料を用いているので、水や有機溶媒を使用しないで塗布することができ、容器本体に浸透した水により容器本体を変形させたり、容器本体に有機溶剤を含有させたりすることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の生分解性即席食品用容器の一例を示す斜視図であり、図2は、図1のA−A線に沿った断面図(一部を側面図としている)であり、図3は、図2のBの拡大断面図である。
【0030】
生分解性即席食品用容器1は、容器本体10と蓋材2とを備えている。
【0031】
容器本体10は、円盤状の底板部と当該底板部の周縁に設けられた略円筒状の周壁部とからなり、上記周壁部の上端には円状のフランジ部が開口部縁から外側に向かって所定の距離を有し、かつ、所定の厚さを有するように形成されている。
【0032】
なお、上記所定の距離は、1.5mm〜10mmであることが好ましく、また、上記所定の厚さは、0.5mm〜5mmであることが好ましい。
【0033】
容器本体10の内面と、フランジ部の上面10a及び外側側面10bとには、耐水性を有する熱可塑性樹脂層5が形成されており、一方、容器本体の外面とフランジ部の下面10cとには、生分解性で熱溶融性の防水性材料層3が形成されている。したがって、容器本体10には、澱粉発泡体が露呈している箇所が存在していない。
【0034】
蓋材2は、円盤状であり、上記フランジ部の上面10aに接着されることによって、容器本体10の内部を密封している。このとき、フランジ部が開口部縁から外側に向かって所定の距離を有しているので、蓋材2はフランジ部と充分な面積で接着する。
【0035】
なお、容器本体10の内部には、即席麺、即席スープ、即席粥等の即席食品が封入されている(図示せず)。
【0036】
ここで、容器本体10は、澱粉発泡体からなる。
【0037】
容器本体10に使用される澱粉としては、例えば、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、米澱粉、モチトウモロコシ澱粉、高アミロース含有トウモロコシ澱粉等が挙げられ、澱粉含有物としては、小麦粉、タピオカ粉末、コーンフラワー、米粉等が挙げられる。また、これらをエーテル化又はエステル化した加工澱粉を使用してもよい。
【0038】
容器本体10に使用される発泡剤としては、例えば、加熱されると水蒸気、二酸化炭素、窒素を発生する化合物等が挙げられる。
【0039】
また、容器本体10は、例えば、炭酸カルシウム等の無機充填材、天然繊維等保型性や強度を付与する素材や、ステアリン酸マグネシウム等の金型離型剤等を含有してもよい。
さらに、容器本体10の厚さは、1〜5mmであることが好ましい。
【0040】
蓋材2は、生分解性であるものが好ましく、例えば、紙とアルミニウムと生分解性の熱可塑性樹脂とが積層されたもの等も挙げられる。このとき、蓋材2の熱可塑性樹脂と熱可塑性樹脂層5とが熱溶着していることが好ましい。
【0041】
熱可塑性樹脂層5は、生分解性のものであり、耐水性を有する他、高温・高湿下での処理、長期保存、酸素ガスバリヤー性、防湿性を要する等の用途に応じて選択された材料が用いられる。なお、「耐水性」とは、水と長時間(1時間程度)接触しても変質したりしない、水に対して強い性質のことをいう。また、本発明における即席食品用容器は、例えば熱湯を注加して調理、喫食するための容器として使用する場合も想定され、このような場合、好ましくは熱湯にも耐える耐水性を有するものがふさわしい。
【0042】
したがって、熱可塑性樹脂層5は、ポリアジペート、ポリラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリβ−ヒドロキシ酪酸及び芳香族ポリエステルからなる群から選択される少なくとも1つを含有していることが好ましく、これらの1つ又は複数を混合したものを主成分とすることが好ましい。さらに、熱可塑性樹脂層5の厚さは、5〜100μmであることが好ましい。
【0043】
なお、熱可塑性樹脂層5は、同種又は異種の樹脂層を積層したものであってもよい。例えば、ポリグリコール酸は、酸素や水蒸気に対して特に低い透過性(防湿性)を示すが、耐水性等に難点があるので、この両方を満足させるものとして、ポリグリコール酸を含有している層が形成されている上に、ポリ乳酸を含有している層が形成されている二層構造としてこれを採用してもよい。
【0044】
防水性材料層3は、生分解性及び熱溶融性を有し、防水性に優れている。なお、「防水性」とは、水を吸ったり、水と短時間接触することによって変質したりしない、水に対して耐性がある性質のことをいう。
【0045】
防水性材料層3は、上記のような性質を有する、低分子天然樹脂、ワックス類、脂肪酸、油脂及びこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1つを含有していることが好ましく、特にワックス類を主成分とするものが好ましく用いられる。
【0046】
さらに、防水性材料層3の厚さは、1〜100μmであることが好ましい。
【0047】
また、図4は、本発明の生分解性即席食品用容器の他の一例の一部を示す拡大断面図である。
【0048】
容器本体20は、周壁部の上端には円状のフランジ部が開口部縁から外側に向かって所定の距離を有し、かつ、所定の厚さを有するように形成されている。
【0049】
また、容器本体20の内面と、フランジ部の上面20a、外側側面20b及び下面20cとには、生分解性で耐水性を有する熱可塑性樹脂層15が形成されており、一方、容器本体20の外面には、生分解性で熱溶融性の防水性材料層13が形成されている。したがって、容器本体20には、澱粉発泡体が露呈している箇所が存在していない。
【0050】
蓋材12は、円盤状であり、上記フランジ部の上面20aに接着されることによって、容器本体20の内部を密封している。このとき、フランジ部が開口部縁から外側に向かって所定の距離を有しているので、蓋材12はフランジ部と充分な面積で接着する。
【0051】
すなわち、フランジ部において、容器本体10は、フランジ部の上面10a及び外側側面10bには、熱可塑性樹脂層5が形成され、フランジ部の下面10cには、防水性材料層3が形成されているが、容器本体20は、フランジ部の上面20a、外側側面20b及び下面20cには、熱可塑性樹脂層15が形成されている点で異なる。
【0052】
次に、本発明の生分解性即席食品用容器の製造方法の一例を説明する。
【0053】
本発明の生分解性即席食品用容器1の製造方法は、本体成型工程と、樹脂層形成工程と、塗布工程と、密封工程とを含む。
【0054】
(1)本体成型工程(図5、6、7及び8参照)
本発明に係る容器本体10は、例えば、成型装置30により成形される。成型装置30は、雄金型31と雌金型32とを備えている。雌金型32は、上面に複数の略円柱状の凹部33を有するとともに、凹部33を2分して分離することができる直方体をしている。雄金型31は、下面に雌金型32の凹部33と相補的な略円柱状の凸部34を備えている板状をしている。なお、凸部34の上部は、雌金型32の凹部33を塞ぐように雌金型32の凹部33の直径より大きくなっているとともに、凸部34の上部以外は、成型領域を形成するように雌金型32の凹部33の直径より小さくなっている。さらに、凸部34の上部には、成型領域と連結されている複数の縦方向の通気溝35を形成している。
【0055】
まず、成型装置30の雌金型32の凹部33に、ノズル36より原料混合物を供給する。そして、雄金型31の凸部34を雌金型32の凹部33に挿入すると、雄金型31と雌金型32との間に成形領域が形成されるとともに、成形領域と連結される複数の通気溝35が形成される。したがって、100〜200℃に加熱した雄金型31の凸部34及び雌金型32の凹部33は原料混合物を膨張させ乾燥させ固化しながら、過剰の原料混合物と発生する蒸気とを成形領域から通気溝35により排出する。
【0056】
次に、雄金型31を外した後、過剰の原料混合物をスクレーパーの刃等により除去する。そして、雌金型32を2つに分離し、容器本体10を取り出す。
【0057】
さらに、容器本体10を60〜200℃、1分〜24時間、オーブン等に入れて、容器本体10から湿気を除去する。
【0058】
雄金型31及び雌金型32の材質は、例えば、鉄、真鍮、アルミのような金属等であることが好ましい。さらに、雄金型31及び雌金型32にテフロン(登録商標)コーティングを施すことは、容器本体10を取り外すことや、容器本体10の表面を滑らかに仕上げることを容易にする。
【0059】
雄金型31及び雌金型32の加熱は、色々な方法で行うことができる。例えば、ガスバーナー、赤外光、電気ヒーター素子のような外部加熱素子を雄金型31及び雌金型32に接触させたりそれに対向させたりしてもよい。その他、油のような加熱した液体又は水蒸気のような加熱したガスを雄金型31及び雌金型32中に通し雄金型31及び雌金型32を加熱してもよい。
【0060】
また、原料混合物をマイクロウェーブで加熱してもよい。
【0061】
上記原料混合物としては、例えば、澱粉と発泡剤と水とを加えて混合したもの等が挙げられる。
【0062】
上記水の添加量としては、35〜60重量%であることが好ましい。また、原料混合物に適当な粘度をもたせるために、α化澱粉を添加してもよい。α化澱粉の添加量としては、例えば、0.5〜2重量%である。
【0063】
(2)樹脂層形成工程(図9、10及び11参照)
一方、Tダイを備えた押出機等に熱可塑性樹脂等を供給し、Tダイから溶融押出して、所定の厚さのシート7を作製する。なお、所定の厚さは、30〜500μmであることが好ましい。
【0064】
ここで、本発明に係る熱可塑性樹脂層5は、例えば、形成装置40により成形される。形成装置40は、雄金型41と雌金型42とを備えている。雌金型42は、上面に複数の略円柱状の凹部43を有する直方体をしているとともに、凹部43の内部を減圧にすることができるように形成されている。雄金型41は、下面に雌金型42の凹部43と相補的な略円柱状の凸部44を備えている板状をしている。なお、凸部44は、成型領域を形成するように雌金型42の凹部43の直径より小さくなっている。
【0065】
まず、容器本体10を雌金型42の凹部43の内部に入れる。そして、加熱したシート7を容器本体10上に送り出し、雌金型42の凹部43の内部を減圧するとともに雄金型41により下方に熱圧着しながら、容器本体10の内面とフランジ部の上面とに熱可塑性樹脂層を形成する。このとき、容器本体10は澱粉発泡体で構成されているため、通気性があり、シート7を引くことができるとともに、シート7が吸着されて形成される熱可塑性樹脂層5との間に非接着箇所や空気噛みが生じない。その後、フランジ部の厚さを考慮して、フランジ部の外側より大きい直径である円状にシート7を裁断して、シート7の周縁部を有する容器本体10を作製する。
【0066】
さらに、容器本体10を雌金型42から取り出して、シートの周縁部を融点以上に加熱しながら折り込んで、フランジ部の外側側面に熱融着して、熱可塑性樹脂層5を形成させる。
【0067】
このとき、シートを用いているので、容器本体10を傷つけずに、熱可塑性樹脂層5を容器本体10に形成することができる。
【0068】
なお、雄金型41及び雌金型42の材質は、例えば、鉄、真鍮、アルミのような金属等であることが好ましい。さらに、雄金型41及び雌金型42にテフロン(登録商標)コーティングを施すことは、容器本体10を取り外すことや、熱可塑性樹脂層5の表面を滑らかに仕上げることを容易にする。
【0069】
雄金型41及び雌金型42の加熱は、色々な方法で行うことができる。例えば、ガスバーナー、赤外光、電気ヒーター素子のような外部加熱素子を雄金型41及び雌金型42に接触させたりそれに対向させたりしてもよい。その他、油のような加熱した液体又は水蒸気のような加熱したガスを雄金型41及び雌金型42中に通し雄金型41及び雌金型42を加熱してもよい。
【0070】
(3)塗布工程(図12参照)
フランジ部の厚さの10%以上の高さであり、かつ、フランジ部の外側よりやや大きい直径である円状の凸部を有する遮蔽板6を、容器本体10の上方から被せ、フランジ部の外側側面の10〜100%を覆う。
【0071】
その後、熱溶融性を有する防水性材料を加熱して溶融させ、これをスプレー法により塗布して、容器本体10の外面(フランジ部の下面も含む)に防水性材料層3を形成する。
このとき、遮蔽板6がフランジ部外側側面に沿って突出しているので、遮蔽版6とフランジ部との隙間を通って、フランジ部の上面まで熱溶融性を有する防水性材料が塗布されないため、フランジ部と蓋材2とのイージピール性が妨げられることはない。またこのように塗布することで、熱溶融性を有する防水性材料が耐水性を有する熱可塑性樹脂に被覆されていない全ての面に塗布できるので、澱粉発泡体が外気と触れる場所が無く、澱粉が湿気で変形する等の問題が生じない。
【0072】
さらに、熱溶融性を有する防水性材料を用いているので、水や有機溶媒を使用しないで塗布することができ、容器本体10に浸透した水により容器本体10を変形させたり、容器本体10に有機溶剤を含有させたりすることがない。
【0073】
(4)密封工程
フランジ部の上面に蓋材2を熱板等でヒートシールし、生分解性即席食品用容器1とした。
【実施例】
【0074】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0075】
<実施例1>
(1)本体成型工程(図5、6、7及び8参照)
本発明に係る容器本体10を、成型装置30により成形した。成型装置30は、雄金型31と雌金型32とを備えている。雌金型32は、上面に複数の円錐台形状(上部口径94mm、下部口径66mm、高さ109mm)の凹部33を有するとともに、凹部33を2分して分離することができる直方体をしている。雄金型31は、下面に雌金型32の凹部33と相補的な円錐台形状(上部口径90mm、下部口径62mm、高さ105mm)の凸部34を備えている板状をしている。なお、凸部34の上部は、雌金型32の凹部33を塞ぐように、口径100mmとしている。さらに、凸部34の上部には、成型領域と連結されている4つの縦方向の通気溝35を形成している。
【0076】
まず、成型装置30の雌金型32の凹部33に、ノズル36より馬鈴薯澱粉24.5重量%と、炭酸カルシウム(商品名:カルフード 、丸尾カルシウム(株)製)20重量%と、ステアリン酸マグネシウム0.5重量%と、セルロース繊維5重量%と、水50重量%とを混合したもの25gを供給する。そして、200℃に加熱した雄金型31の凸部34を200℃に加熱した雌金型32の凹部33に挿入した。
【0077】
次に、雄金型31を外した後、過剰の原料混合物をスクレーパーの刃により除去した。そして、雌金型32を2つに分離し、容器本体10を取り出した。
【0078】
さらに、容器本体10を105℃、1.5時間、オーブンに入れて、容器本体10から湿気を除去した。
【0079】
(2)樹脂層形成工程(図9、10及び11参照)
Tダイを備えた押出機(商品名:押出しシートTダイ、イプロス製)にポリ乳酸70重量%と生分解性芳香族ポリエステル30重量%とを混合して供給し、Tダイから溶融押出して、厚さ150μmのシート7を作製した。
【0080】
その後、本発明に係る熱可塑性樹脂層5を、形成装置40により成形した。形成装置40は、雄金型41と雌金型42とを備えている。雌金型42は、上面に複数の円錐台形状(上部口径94mm、下部口径66mm、高さ109mm)の凹部43を有する直方体をしているとともに、凹部43の内部を減圧にすることができるように形成されている。雄金型41は、下面に雌金型42の凹部43と相補的な円錐台形状(上部口径80mm、下部口径50mm、高さ100mm)の凸部44を備えている板状をしている。
【0081】
まず、容器本体10を雌金型42の凹部43の内部に入れた。130℃に加熱したシート7を容器本体10上に送り出し、雌金型42の凹部43の内部を減圧するとともに雄金型41により下方に熱圧着しながら、容器本体10の内面とフランジ部の上面とに熱可塑性樹脂層を形成した。
【0082】
その後、フランジ部の厚さを考慮して、フランジ部の外側より大きい直径である円状にシート7を裁断して、シート7の周縁部を有する容器本体10を作製した。
さらに、容器本体10を雌金型42から取り出して、シート7の周縁部を融点以上に加熱しながら折り込んで、フランジ部の外側側面に熱融着して、熱可塑性樹脂層5を形成させた。
【0083】
(3)塗布工程(図12参照)
フランジ部の厚さの100%の高さであり、かつ、フランジ部の外側よりやや大きい直径である円状の凸部を有する遮蔽板6を、容器本体10の上方から被せ、フランジ部の外側側面の100%を覆った。
【0084】
その後、130℃に加熱したマイクロクリスタリンワックス(商品名:ハイミック1090、日本精蝋(株)製、融点85℃)をスプレー法により塗布して、容器本体10の外面(フランジ部の下面を含む)に防水性材料層3を形成した。
【0085】
(4)密封工程
フランジ部の上面に蓋材2(紙(80μm)/アルミニウム(7μm)/脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステルとの混合物(50μm))を熱板で150℃、0.7秒、4kg/cm2でヒートシールし、実施例1に係る生分解性即席食品用容器とした。
【0086】
<実施例2>
フランジ部の上面及び外側側面には、熱可塑性樹脂層5が形成されている容器本体10に代えて、フランジ部の上面、外側側面及び下面には、熱可塑性樹脂層15が形成されている容器本体20を作製し、さらに、塗布工程で、凸部を有する遮蔽板6に代えて、フランジ部の下面の一部を覆う開口を有する遮蔽板16を使用した以外は実施例1と同様にして、実施例2に係る生分解性即席食品用容器を得た(図13参照)。
【0087】
<比較例1>
外面塗布工程で、凸部を有する遮蔽板6に代えて、フランジ部の上面を覆う平坦な板状の遮蔽板26を使用した以外は実施例1と同様にして、比較例1に係る生分解性即席食品用容器を得た(図14参照)。
【0088】
<比較例2>
フランジ部の上面及び外側側面には、熱可塑性樹脂層5が形成されている容器本体10に代えて、フランジ部の上面に熱可塑性樹脂層25が形成されているが、外側側面に形成されていない容器本体を使用した以外は実施例1と同様にして、比較例2に係る生分解性即席食品用容器を得た(図15参照)。
【0089】
<比較例3>
フランジ部の上面及び外側側面には、熱可塑性樹脂層5が形成されている容器本体10に代えて、フランジ部の上面に熱可塑性樹脂層が形成されているが、外側側面に形成されていない容器本体を使用した以外は実施例2と同様にして、比較例3に係る生分解性即席食品用容器を得た。
【0090】
<評価方法>
(1)イージピール性
蓋材のつまみ部を1kgの引張力で上向きに引っ張った。そのときの様子を評価した。その結果を表1に示す。
○:密封されており、うまく開封できる
×:密封されていなかったり、うまく開封できない
(2)安全性及び変形性
パネラー10名によって、湯(80℃、300cm3)を入れた容器本体から湯を飲んでもらい、官能評価を行った。さらに、湯を飲んでいる際に容器本体が変形するかどうかを評価した。その結果を表1に示す。
○:舌又は唇を傷つけるときがなく、容器本体も変形しない
×:舌又は唇を傷つけるときがあったり、容器本体が変形する
(3)防湿性
生分解性即席食品用容器の内部に塩化カルシウム50gを入れ、40°C、90%R.H.の雰囲気下に放置したときの重量変化より1日当たり透過する水分量を測定した。その結果を表1に示す。
○:防湿性有り(80g/m2 ・day.未満)
×:防湿性無し(80g/m2 ・day.以上)
(4)生分解性
JIS K6950「プラスチック−活性汚泥による好気性生分解度試験方法」により容器本体を評価した。その結果を表1に示す。
○:分解
×:非分解
【0091】
【表1】

【0092】
イージピール性において、実施例1及び2に係る生分解性即席食品用容器では、蓋材が容器本体から剥離し、開封できた。一方、比較例1に係る容器本体では、防水性材料が、遮蔽板とフランジ部との隙間を通って、フランジ部の上面に塗布されていたため、蓋材が容器本体から剥離し、さらに開封前にも密封が不充分であった。
【0093】
安全性及び変形性において、実施例1及び2に係る容器本体では、舌又は唇を傷つけることはなかった。一方、比較例2及び3に係る容器本体では、フランジ部の外側側面の澱粉が喫食時に軟化し、熱可塑性樹脂層の端部によって舌又は唇を傷つけるときがあり、さらに容器本体の一部に防水性材料が塗布されていないため、湿度の高い状況で長時間保管すると容器本体が変形した。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の生分解性即席食品用容器の一例を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線に沿った断面図(一部を側面図としている)である。
【図3】図2のBの拡大断面図である。
【図4】本発明の生分解性即席食品用容器の他の一例の一部を示す拡大断面図である。
【図5】本発明に係る容器本体を製造できる成型装置の一例を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る生分解性即席食品用容器の製造方法の工程の一例を示す断面図である。
【図7】本発明に係る生分解性即席食品用容器の製造方法の工程の一例を示す断面図である。
【図8】本発明に係る生分解性即席食品用容器の製造方法の工程の一例を示す断面図である。
【図9】本発明に係る生分解性即席食品用容器の製造方法の工程の一例を示す断面図である。
【図10】本発明に係る生分解性即席食品用容器の製造方法の工程の一例を示す断面図である。
【図11】本発明に係る生分解性即席食品用容器の製造方法の工程の一例を示す断面図である。
【図12】本発明に係る生分解性即席食品用容器の製造方法の工程の一例を示す部分拡大断面図である。
【図13】本発明に係る生分解性即席食品用容器の製造方法の工程の一例を示す部分拡大断面図である。
【図14】比較例に係る生分解性即席食品用容器の製造方法の工程の一例を示す部分拡大断面図である。
【図15】比較例に係る生分解性即席食品用容器の製造方法の工程の一例を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0095】
1 生分解性即席食品用容器
2 12 蓋材
3、13 防水性材料層
4、14 容器本体
5、15、25 熱可塑性樹脂層
6、16、26 遮蔽板
7 シート
10、20 容器本体
30 成型装置
31、41 雄金型
32、42 雌金型
33、43 凹部
34、44 凸部
35 通気溝
36 ノズル
40 形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板部と当該底板部の周縁に設けられた周壁部とからなり、前記周壁部の上端にはフランジ部が開口部縁から外側に向かって所定の距離を有し、かつ、所定の厚さを有するように形成されている、澱粉発泡体からなる容器本体と、
前記フランジ部の上面に接着されることによって、容器本体の内部を密封する蓋材とを備える生分解性即席食品用容器であって、
前記容器本体の内面と、フランジ部の少なくとも上面及び外側側面とには、耐水性及び生分解性を有する熱可塑性樹脂層が形成されており、
前記容器本体の外面には、生分解性及び熱溶融性を有する防水性材料が塗布されていることを特徴とする生分解性即席食品用容器。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂層と、前記防水性材料によって、澱粉発泡体が外気に露出する箇所が無いように被覆されている請求項1に記載の生分解性即席食品用容器。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂層が、ポリアジペート、ポリラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリβ−ヒドロキシ酪酸及び芳香族ポリエステルからなる群から選択される少なくとも1つを含有している請求項1又は2に記載の生分解性即席食品用容器。
【請求項4】
前記防水性材料が、低分子天然樹脂、ワックス類、脂肪酸、油脂及びこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1つである請求項1〜3のいずれかに記載の生分解性即席食品用容器。
【請求項5】
底板部と当該底板部の周縁に設けられた周壁部とからなり、前記周壁部の上端にはフランジ部が開口部縁から外側に向かって所定の距離を有し、かつ、所定の厚さを有するように形成されている、澱粉発泡体からなる容器本体と、
前記フランジ部の上面に接着されることによって、容器本体の内部を密封する蓋材とを備える生分解性即席食品用容器の製造方法であって、
澱粉を主体とする原料を発泡させて容器本体に成型する本体成型工程と、
前記容器本体の内面と、フランジ部の少なくとも上面及び外側側面とには、耐水性及び生分解性を有する熱可塑性樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、
凸部を有する遮蔽板でフランジ部の外側側面の全部又は一部を覆いながら、前記容器本体の外面には、生分解性及び熱溶融性を有する防水性材料を塗布する塗布工程と、
前記蓋材をフランジ部の上面に接着することによって、容器本体の内部を密封する密封工程とを含むことを特徴とする生分解性即席食品用容器の製造方法。
【請求項6】
底板部と当該底板部の周縁に設けられた周壁部とからなり、前記周壁部の上端にはフランジ部が開口部縁から外側に向かって所定の距離を有し、かつ、所定の厚さを有するように形成されている、澱粉発泡体からなる容器本体と、
前記フランジ部の上面に接着されることによって、容器本体の内部を密封する蓋材とを備える生分解性即席食品用容器の製造方法であって、
澱粉を主体とする原料を発泡させて容器本体に成型する本体成型工程と、
前記容器本体の内面と、フランジ部の上面、外側側面及び下面とには、耐水性及び生分解性を有する熱可塑性樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、
開口を有する遮蔽板でフランジ部の下面の全部又は一部を覆いながら、前記容器本体の外面には、生分解性及び熱溶融性を有する防水性材料を塗布する塗布工程と、
前記蓋材をフランジ部の上面に接着することによって、容器本体の内部を密封する密封工程とを含むことを特徴とする生分解性即席食品用容器の製造方法。
【請求項7】
前記樹脂層形成工程で、熱可塑性樹脂層を含むシートを成型した後、当該シートを用いて、前記容器本体の内面と、フランジ部の少なくとも上面及び外側側面とに、熱可塑性樹脂層を形成する請求項5又は6に記載の生分解性即席食品用容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−16063(P2006−16063A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197704(P2004−197704)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000226976)日清食品株式会社 (127)
【Fターム(参考)】