説明

生分解性樹脂組成物

【課題】生分解性樹脂組成物としてポリ乳酸に澱粉粉末を加えてなる組成物が知られているが、この組成物で作られたシートは、柔軟性に乏しく、衝撃を受けて割れ易いために、シートとして使用し難いものであったのでこれを改良する。
【解決手段】ポリ乳酸と澱粉粉末とに、さらにポリブチレンサクシネートを一定の割合で加えることとし、乳酸系樹脂55〜25重量%と、ポリブチレンサクシネート5〜20重量%と、澱粉粉末40〜70重量%とからなる混合物を加熱して練り合わせて組成物とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生分解性樹脂組成物に関するものである。とくに、この発明は適度な柔軟性を持っていて、容易にシート等の形状に成形でき、且つ生分解の速度が早くて、しかもその生分解の速度を容易に調節することができる、生分解性樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生分解性樹脂は自然条件下に放置すると、微生物の作用により容易に分解される樹脂である。生分解性樹脂には色々なものがあるが、大別すると2種類に分かれる。その1つは、脂肪族のジカルボン酸と、脂肪族の二価アルコールとを脱水縮合させて得られたものである。他の1つは、水酸基を持った脂肪族のカルボン酸を脱水縮合させて得られたものである。前者の代表的なものはポリメチレンサクシネートであり、後者の代表的なものはポリ乳酸である。
【0003】
特開平5−39381号公報は、生分解性樹脂組成物としてポリ乳酸に澱粉粉末を加えたものを記載している。この公報は、この組成物が生分解速度の早いものだと説明している。実施例ではポリ乳酸に澱粉を加えただけの組成物は、分解までに6週間かかるが、さらにオレイン酸を加えた組成物は4週間で分解し、澱粉としてカルボキシメチル化した加工澱粉を用いた組成物は、1週間で分解すると説明している。
【0004】
他方、特開2006−206670号公報は、ポリ乳酸樹脂が衝撃を受けると割れ易いという欠点を持っているので、これを改良するためにポリ乳酸樹脂にポリブチレンサクシネートを加えて組成物とすることを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−39381号公報
【特許文献2】特開2006−206670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明者は、特開平5−39381号公報の記載に従って、ポリ乳酸に澱粉粉末を加えた組成物を押出成形してシートを作った。このシートは澱粉粉末の添加によってポリ乳酸の性質が改良されているにも拘らず、柔軟性に乏しくてシートとして使い難いものであることを確認した。また、このシートは衝撃を受けると割れ易いために、畑に敷く農業用にも、商品を包む包装用にも不向きであることを知った。そこで、この発明者はこの欠点を改良したシートを作ることができる生分解性樹脂組成物を得ようと企てた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明者は、生分解性樹脂としてポリ乳酸だけを用いるのではなくて、ポリ乳酸にポリブチレンサクシネートを加えて樹脂組成物とし、これにさらに澱粉粉末を加えて生分解性樹脂組成物とすることを試みた。その結果、ポリブチレンサクシネートを加えると、澱粉粉末との混練が容易となることを見出した。
【0008】
また、ポリ乳酸と、ポリブチレンサクシネートと、澱粉粉末とを特定の割合で混合し、得られた混合物を加熱下に混練して組成物にすると、得られた組成物は押出機によってシートとすることが容易であり、また射出成形機によって種々の成形体にすることも容易であることを見出した。また、得られた組成物は生分解速度が早くて容易に短期間に生分解するものであることを見出した。さらに、この組成物はその成分の配合割合を変えることにより生分解速度を容易に調節できることを見出した。この発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
【0009】
この発明は、乳酸系樹脂55〜25重量%と、ポリブチレンサクシネート5〜20重量%と、澱粉粉末40〜70重量%とからなる混合物を加熱下に練り合わせて作られた生分解性樹脂組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明では乳酸系樹脂を55〜25重量%の範囲内とし、ポリブチレンサクシネートを5〜20重量%の範囲内とし、澱粉粉末を40〜70重量%の範囲内としてこれらを混合したので、得られた混合物は樹脂に対して澱粉の混合量が比較的多いに拘らず、均一な組成物とすることができ、また得られた組成物は射出成形または押出成形などの従来の成形法で、容易にシートその他の成形体にすることができる。また、こうして得られた成形体は、物品を包装したり畑に敷くのに適した柔軟性と強度を持っている。
【0011】
また、樹脂が乳酸系樹脂とポリブチレンサクシネートとの混合物であるために、乳酸系樹脂単独よりも早い生分解速度を持っているところ、これに大量の澱粉粉末が加えられているので、組成物は一層早い生分解性を持っている。また、この組成物は澱粉の混合割合を多くすることにより、一層早く生分解するものとなる。さらに、ポリブチレンサクシネートの配合割合を多くすることによって、組成物の柔軟性を増し、他方、乳酸系樹脂の配合割合を多くすることによって、組成物の剛性を高めることができる。こうして、生分解の速度と柔軟性とを容易に調節することができる。
【0012】
また、澱粉の種類を選択したり、澱粉粉末の粒径を変えたり、加工澱粉を使用したりして、さらに組成物の生分解速度と物性を変えることができる。
【0013】
この発明で用いる澱粉と樹脂とは、何れも植物から得られたものを用いることができる。澱粉が植物から得られたものであることは明らかである。ポリ乳酸とポリブチレンサクシネートとは、次のようにして澱粉から作ることができる。まず澱粉を糖化してグルコースを作り、これからピルゼン酸やアセチル補酵素を経て、クエン酸回路による反応で、コハク酸を得ることができる。また、コハク酸を還元して1,4−ブタンジオールを作ることができる。このようにこの発明で用いる澱粉と樹脂とは、何れも植物から得られたものを用いることができるから、これが分解して生成される産物は、もともと大気中に存在していた成分を植物が合成したものであるため、環境を汚染することにならない。この点で、この発明に係る組成物は、地球環境を守るという現代の要請に適している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ポリ乳酸とポリブチレンサクシネートとの混合割合を変えることにより、得られた組成物の生分解性が変化する模様を示している。
【図2】澱粉の添加量の変化に伴う組成物の生分解性の変化を示している。
【図3】組成物をシートにした場合、シートの厚みの変化に伴う生分解性の変化を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明では乳酸系樹脂を用いるが、その樹脂はポリ乳酸が代表的なものである。しかし、ポリ乳酸に限らない。乳酸と少量の他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸とが共縮合した樹脂をも使用することができる。ポリ乳酸は、
CH−CH(OH)−COOH 〔式1〕
で表わされる乳酸が脱水縮合して得られた単独縮合体である。ポリ乳酸には多くのグレードのものがあるが、多くは無色透明である。数平均分子量としては5万〜50万のものを用いることができる。ポリ乳酸は市販されている。例えば東レ株式会社からエコディアの商品名で販売されている。
【0016】
この発明では、ポリブチレンサクシネートが用いられるが、それは
HOOC−CH− CH−COOH 〔式2〕
で表わされるコハク酸と、
HOCH−CH−CH−CHOH 〔式3〕
で表わされる1,4−ブタンジオールとが脱水縮合して得られた線状高分子物である。そのほか、これに〔式1〕で表わされる乳酸が少量加えられ、これらが直接脱水縮合して得られた三元共縮合体も用いることができる。三元共縮合体はその組成をモル分率で言えば、乳酸が1〜6モル%を占め、残りの99〜94モル%が等モルのコハク酸と1,4−ブタンジオールが占めているものである。
【0017】
ポリブチレンサクシネートにも色々なグレードのものがあるが、ガラス転移点Tgが0℃以下のものを用いることが好ましい。ポリブチレンサクシネートは不透明な樹脂である。ポリブチレンサクシネートも市販されている。例えば、三菱化学社からGS Plaの商品名で販売されている。
【0018】
この発明では澱粉粉末を用いるが、その澱粉粉末は天然のままのものであってもよく、また加工したものであってもよい。天然澱粉としては馬鈴薯、とうもろこし、甘藷、タピオカ、サゴヤシ、米、小麦などから得られた澱粉を使用することができる。加工澱粉としては、一部糊化、エーテル化、エステル化、アシル化、酸化、架橋または酵素分解したものを用いることができる。これらの澱粉は、できるだけ微細な粉末として用いることが好ましい。粉末の程度は、平均粒径で50ミクロン以下が好ましく、中でも20ミクロン以下がとくに好ましい。
【0019】
澱粉粉末は、少量の水を含ませて使用することが好ましい。水の量は、澱粉粉末に対し0.1〜15重量%とすることが好ましい。この水は澱粉粉末を樹脂と混合する前に、または混合する過程で加えることが好ましい。
【0020】
この発明では、乳酸系樹脂を55〜25重量%、ポリブチレンサクシネートを5〜20重量%、澱粉粉末を40〜70重量%の割合で混合した混合物を用いる。このような割合に決定したのは、色々な面から多くの実験を行い、試行錯誤の結果得られたデータに基づく。すなわち、これら三者の混合割合を変えることによって、得られた組成物の物理的性質、押出成形、射出成形の際の成形の容易さと、得られたシートまたは成形品の物性、とくに外観、柔軟性、抗強力、および生分解性を観察測定した結果を総合判断したことによる。
【0021】
このうちでは、乳酸系樹脂を54〜26重量%、ポリブチレンサクシネートを6〜19重量%、澱粉粉末を44〜51重量%の割合とするのが好ましい。とくに好ましいのは乳酸系樹脂を50〜30重量%、ポリブチレンサクシネートを6〜19重量%、澱粉粉末を44〜51重量%の割合とすることである。
【0022】
この発明では、樹脂組成物の生分解性を次のようにして測定した。まず樹脂組成物をプレスして、50mm×100mm×3mmの大きさのシートを作り、このシートについて生分解性を測定した。測定には樹脂製のコンテナ内におがくずを原料としたバイオチップを敷き詰め、この上に上記シートを置き、シートの上にさらにバイオチップを被せ、シートが浸るほどの水を入れ、コンテナに簡単な蓋をした。これを40℃の恒温槽に入れ、ときどきバイオチップに補水してバイオチップの乾燥を防いだ。なお、バイオチップとしては日立製のバイオフレークBG−C15を用いた。
【0023】
所定の期間経過後に、シートをコンテナから取り出し、水洗し、60℃で10時間乾燥させてのち、シートを秤量し、シートの減量を生分解性の尺度とした。
上記の混合割合を得るまでに、生分解性の測定について行った実験の一例を説明すると次のとおりである。
まず、ポリ乳酸とポリブチレンサクシネートとの混合割合と生分解による重量減少率との関係を表にすると下記表1のとおりとなる。
【0024】
【表1】

【0025】
図1はこの表をグラフにしたものである。LA100%のものは120日経過しても重量変化が殆どないが、BSの添加量が25%、50%、75%のものは120日経過すると、約60%の重量減少が見られる。
また、ポリ乳酸とポリブチレンサクシネートとを重量で3対1の割合で混合した混合樹脂に、種々の重量割合で澱粉粉末(酢酸化した澱粉)を加えて組成物とし、この組成物をシートにし、このシートの生分解性を測定した。その測定結果を下記の表2に示す。
【0026】
【表2】

【0027】
この結果をグラフに示すと図2のとおりとなる。澱粉の添加量が増すにつれて、経時による重量減少率が大きくなることがわかる。
また、ポリ乳酸とポリブチレンサクシネートとを重量で3対1の割合で混合し、これに60重量%の割合で酢酸澱粉を加えて組成物とし、この組成物を種々の厚みにプレスした。得られたシートについて生分解による重量変化を測定した。その結果を表にすると表3の通りとなる。この結果をグラフにすると図3の通りとなる。表3および図3から明らかなように、シートは厚みが大きくなると生分解し難くなる。
【0028】
【表3】

【0029】
次に、澱粉を加えたポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートの混合割合と、シート物性との関係を示すと、下記表4のとおりとなる。この物性は次のようにして測定した。まず、樹脂組成物を押出機で厚み0.2mmのシートとし、このシートをトリミングプレスし試験片タイプ1Bの形として、JIS K 7127試験法により測定した。その結果を下記表4に示す。
【0030】
【表4】

【0031】
表4によれば、ポリ乳酸を増加させると、引張強度が上昇し、伸長率が低下するが、ポリブチレンサクシネートを増加させると、引張強度が低下し、伸長率が上昇することが判明する。
【0032】
この発明に係る生分解性の樹脂組成物は、これを押出機により容易に所望の厚みのシートとすることができ、またこれを射出成形機によって容易に所望の形の成形品、例えば容器にすることができる。こうして得られたシートはマルチシートとして有効である。すなわち、このシートはシートとして使用するに適した物性、とくに柔軟性と強靭性とを持っているので、これを黒色不透明にして畑などに容易に敷くことができる。すると、このシートに覆われた地面には雑草が生えない。そこで、目的とする植物のところだけシートに穴をあけ、このシートを畑に敷くと、雑草の生えるのを防いで有効に野菜を生育させることができる。野菜の収穫を終えたあとは、シートをそのまま畑に放置して生分解させることができるので、手間を省いて野菜作りをすることができる。
【0033】
また、射出成形によって得られた容器も同様である。不要となった容器は、そのまま自然条件下に放置すれば生分解されるので、環境を害することがなくなる。
しかも、この発明に係る生分解性組成物は、その成分例えば樹脂の混合割合、澱粉の種類や添加量、およびシートの厚みを変えることにより、生分解の速度を変えることができる。従って、用途に合わせて必要な期間だけ形状を保持させることができる。従って適時に生分解させて環境の汚染を防ぐことができるという効果がある。
【実施例】
【0034】
次に実施例と比較例とを記載して、この発明のすぐれている所以を明らかにする。なお、実施例で用いたポリブチレンサクシネートは、すべて乳酸3モル%を含んだ三元共重合体である。
【0035】
実施例1(LA+BS+未加工とうもろこし澱粉)
ポリ乳酸40重量部に含水率約12%の未加工とうもろこし澱粉(平均粒径18ミクロン)40重量部とポリブチレンサクシネート20重量部を混合し、この混合物を押出機で溶融混練し紐状のストランドとして押し出し、冷却後このストランドを切断してペレットとした。ストランドの形状は表面の凹凸や、形状の大小もなく非常に安定し、容易にペレットにすることができた。ペレット自体はとうもろこし澱粉のため黄色に着色していた。
【0036】
このペレットを再び押出機に入れ、押し出して厚み0.2mmのシートにした。シートへの成形は容易であった。このシートは柔軟であって、商品を包装したり、畑に広げて敷き、マルチシートとして使用するに適していた。このシートは、前述の方法で生分解性を測定したところ、10日経過後に30%の重量減少率を示した。
【0037】
実施例2(LA+BS+タピオカ加工澱粉)
ポリ乳酸40重量部に含水率約10%のアセチル化タピオカ澱粉(平均粒径17ミクロン)40重量部とポリブチレンサクシネート20重量部を混合し、この混合物を押出機で溶融混練し紐状のストランドとして押し出し、冷却後このストランドを切断してペレットとした。ストランドの形状は表面の凹凸や、形状の大小もなく非常に安定し、容易にペレットにすることができた。このペレットは白色であった。
【0038】
このペレットを再び押出機に入れて、厚み0.2mmのシートにした。シートへの成形は容易であった。このシートは柔軟であって、商品を包装したり、地面に広げてマルチシートとして使用するに適していた。このシートについて前述の方法で生分解性を測定したところ、10日経過後に30%の重量減少率を示した。
【0039】
実施例3(LA+BS+タピオカ加工澱粉)
ポリ乳酸35重量部に含水率約10%のアセチル化タピオカ澱粉51重量部とポリブチレンサクシネート14重量部を混合し、この混合物を押出機で溶融混練し紐状のストランドとして押し出し、冷却後切断してペレットとした。このペレットをシート押出機で0.2mmのシートにした。シートの成形は容易であった。
【0040】
得られたシートは柔軟であって、商品を包装するに適し、また地面に広げてマルチシートとして使用するに適していた。このシートについて前述の方法で生分解性を測定したところ、10日経過後に36%の重量減少率を示した。
【0041】
実施例4(LA+BS+タピオカ加工澱粉)
ポリ乳酸40重量部に含水率約10%のアセチル化タピオカ澱粉50重量部とポリブチレンサクシネート10重量部を混合し、この混合物を押出機で溶融混練し紐状のストランドとして押し出し、冷却後このストランドを切断してペレットとした。またこのペレットを射出成形機に入れて容器に成形した。容器への成形は容易であった。
【0042】
得られた容器はポリオレフィンのような柔軟性を持っていて、形状安定性も良好であった。この容器について前述の方法で生分解性を測定したところ、30日経過後に10%の重量減少率を示した。
【0043】
比較例1
ポリ乳酸50重量部に含水率約10%のアセチル化タピオカ澱粉(平均粒径17ミクロン)50重量部を混合し、この混合物を押出機で溶融混練し紐状のストランドを得ようとしたが、ストランドが途中で切れたため、連続してストランドを得ることができず、また澱粉が一様に分散していないので、ストランドを切断して得たペレットは満足なものでなかった。
【0044】
比較例2
ポリ乳酸60重量部に含水率約10%のアセチル化タピオカ澱粉(平均粒径17ミクロン)40重量部を混合し、この混合物を押出機で溶融混練し紐状のストランドを得ようとしたが、ストランドが途中で切れたため、連続してストランドを得ることができず、また澱粉が一様に分散していないため、ストランドを切断して得たペレットは満足なものでなかった。
【0045】
比較例3
ポリ乳酸70重量部に含水率約10%のアセチル化タピオカ澱粉(平均粒径17ミクロン)30重量部を混合し、この混合物を押出機で溶融混練し紐状のストランドを得ることができた。得られたストランドでは一応澱粉が一様に分散しているように見えたので、満足なペレットであった。
【0046】
ところが、このペレットを用いて押出機で0.2mmのシートを作成したところ、シートは表面に凹凸や穴を大量に発生させているため、シートとして満足なものでなかった。
このシートについて前述の方法で生分解性を測定したところ、10日経過後に20%の重量減少を示した。
【0047】
比較例4
ポリ乳酸80重量部に含水率約10%のアセチル化タピオカ澱粉20重量部を混合し、この混合物を押出機で溶融混練し紐状のストランドを得てこれを切断してペレットとした。このペレットを用いて押出機で0.2mmのシートを得ようとしたが、シート製造時に樹脂の伸びムラによる穴空きが大量に発生し、綺麗なシートを得ることが出来なかった。
このシートについて前述の方法で生分解性を測定したところ、10日経過後に14%の重量減少を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳酸系樹脂55〜25重量%と、ポリブチレンサクシネート5〜20重量%と、澱粉粉末40〜70重量%とからなる混合物を加熱して練り合わせて作られた成形用の生分解性樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリブチレンサクシネートが1〜6モル%の乳酸と、残りが等モルのコハク酸と1,4−ブタンジオールとからなる三元共縮合体である、請求項1に記載の生分解性樹脂組成物。
【請求項3】
前記澱粉粉末としてアセチル化したタピオカ澱粉を用いた請求項1又は2に記載の生分解性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1つの項に記載の生分解性樹脂組成物を押出成形して作られた生分解性の林業又は農業用マルチシート。
【請求項5】
請求項1〜3の何れか1つの項に記載の生分解性樹脂組成物を射出成形して作られた生分解性成形体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−74114(P2011−74114A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224210(P2009−224210)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(592111894)ヤマトエスロン株式会社 (20)
【Fターム(参考)】