説明

生分解性T細胞活性化デバイスおよび方法

T細胞を活性化するための生分解性デバイスは、生分解性支持体およびこの生分解性支持体に取り付けられたバインダーを含み、このバインダーは、T細胞表面抗原に結合し得る1つ以上の抗原に対する反応性を有する。本発明はまた、T細胞を活性化するための方法を提供し、この方法は、1つ以上のT細胞アクティベーターをT細胞の集団に付着する工程、およびこれらT細胞を、上記T細胞アクティベーターに対する反応性を有する付着されたバインダーをもつ生分解性支持体と混合する工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、細胞治療処置プロトコールにおける使用のための、T細胞を活性化、増殖および分化するための生分解性デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
細胞治療方法は、腫瘍、ウイルス病原体および細菌病原体に対する宿主免疫応答を増大するために開発された。細胞治療方法は、しばしば、T細胞のエクスビボ活性化および増殖を含む。これらタイプの処置の例は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)(例えば、Rosenbergに発行された特許文献1を参照のこと)、細胞傷害性T細胞(例えば、Caiらに発行された特許文献2;およびCelisらに発行された特許文献3を参照のこと)、増殖された腫瘍排出リンパ節細胞(tumor draining lymph node cell)(Termanに発行された特許文献4)、および種々のその他のリンパ球調製物(Bellらに発行された特許文献5;Ochoaらに発行された特許文献6;Riddellらに発行された特許文献7;Babbittらに発行された特許文献8)の使用を含む。
【0003】
T細胞は、増殖するため、エフェクター機能を実行するため、およびサイトカインを産生するために活性化されなければならない(Liebowitz、Leeら、1988)。T細胞は、活性化のために抗原呈示細胞(「APC」)との直接接触を必要とする。APCは、タンパク質抗原をペプチドに変換し、そして次に、T細胞によって認識され得る形態にあるペプチド−MHC複合体を呈示する。APC上のペプチド−MHC複合体と、T細胞の表面上のT細胞レセプター(「TCR」)との相互作用は、通常、活性化のために必要な2つのシグナルの第1番目を提供する。活性化のために必要なこの2つのシグナルの第2番目は、通常、APCの膜結合産物または分泌産物によって提供される。
【0004】
多数の天然APCを培養で維持すること、ならびに疾患関連抗原を識別すること、および天然APCによるT細胞に対するこれら抗原のプロセシングおよび呈示を制御することにおける困難性に起因して、代替方法が、細胞治療における使用のためにT細胞のエクスビボ活性化のために求められている。1つの方法は、ポリクローナルアクティベーターでTCRを刺激する代わりに、固定化または架橋された抗CD3モノクローナル抗体(mAb)などにより、天然APC上のペプチド−MHC複合体の必要性をバイパスし、T細胞に対する第1のシグナルを提供することである。その他の方法は、固定化または架橋された抗CD2mAbの使用のような、二次的なT細胞活性化経路を利用して第1のシグナルを提供する。
【0005】
抗CD3mAb(第1のシグナル)と抗CD28mAb(第2のシグナル)との組み合わせは、細胞治療プロトコールにおけるT細胞活性化を誘導することにおいて天然APCを置換するために最も共通して用いられている。抗CD3および抗CD28mAbによって提供されるシグナルは、これら抗体がプラスチックプレート(Baroja、Lorreら、1989;DamleおよびDoyle 1989)またはセファロースビーズ(Anderson,Blueら、1988)(Juneらに発行された特許文献9もまた参照のこと)のような固体表面上に固定化されるとき、最も良くT細胞に送達される。
【0006】
抗CD3mAbおよび抗CD28mAbを、4.5ミクロン直径をもつトシル(tosyl)活性化常磁性ビーズ上に固定化し、続いてT細胞を刺激して増殖させ、かつ炎症促進性サイトカインを産生するためにこれらのビーズを使用する方法が記載されている(Levine、Bernsteinら、1997)。これらビーズで活性化されたT細胞が、それらを養子免疫療法のために潜在的に有用にする、サイトカイン産生のような性質を示すことがまた示されている(Garlie、LeFeverら、1999;Shibuya、Weiら、2000)。これらビーズは、今やDynal、NS(Oslo、Norway)から商標名Dynabeads(登録商標)CD3/CD28T−cell Expansionの下で市販され入手可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,126,132号明細書
【特許文献2】米国特許第6,255,073号明細書
【特許文献3】米国特許第5,846,827号明細書
【特許文献4】米国特許第6,251,385号明細書
【特許文献5】米国特許第6,194,207号明細書
【特許文献6】米国特許第5,443,983号明細書
【特許文献7】米国特許第6,040,177号明細書
【特許文献8】米国特許第5,766,920号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
細胞治療プロトコールにおいてT細胞の増殖のための固定化mAbを備えた常磁性ビーズの使用は、患者注入の前にT細胞からビーズの分離および除去を必要とする。これは、非常に大きな労働力を必要として、そして細胞損失、細胞損傷、汚染の増加したリスクおよび処理の増加したコストを生じる。ビーズ上の固定化mAbの、標的T細胞の表面上の対応するリガンドとの密接な会合のため、T細胞からのビーズの除去は困難である。ビーズ:細胞結合体は、しばしば、T細胞が標的抗原に内在化(internalize)するまで待つことにより、そして次にT細胞からビーズを分離するために機械的破壊技法を用いることにより分離される。この技法は、T細胞に損傷を引き起こし得、そしてまた、T細胞上の連結された抗原が、所定の時間の間、細胞表面から除去されることを引き起こし得る(Rubbi、Patelら、1993)。さらに、高度に活性化されたT細胞は、細胞治療プロトコールにおける使用のために最も所望され、そしてT細胞は、しばしば、T細胞が標的抗原に内在化する24〜72時間の待ち時間の間にこの所望の性質を失う。
【0009】
T細胞からの分離後常磁性ビーズを除去するプロセスは、磁石上の細胞/ビーズ溶液の通過を必要とする。このプロセスは、T細胞とともに残るビーズの量を大いに低減し得るが、ビーズを完全には取り除かない。この不完全なビーズ除去は、毒性効果を引き起こし得る患者に注入されるいくらかのビーズを生じる。この磁性ビーズ除去プロセスはまた、治療のために利用可能なT細胞の数を低減する。なぜなら、多くのT細胞が、待ち時間および機械的解離の後でさえ、常磁性ビーズと会合されたままであり、そしてそれ故、磁場中にビーズとともに除去されるからである。ある程度の細胞損失がまた、ビーズに結合しないかも知れないT細胞が磁力源に隣接する表面に引かれるビーズにより捕獲されるようになるときに起こる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、生分解性支持体およびこの生分解性支持体に取り付けられたバインダーを含むT細胞を活性化するための生分解性デバイスを含み、このバインダーは、T細胞表面抗原に結合し得る1つ以上の因子に対する反応性を有している。
【0011】
本発明はまた、T細胞を活性化するための方法を含み、この方法は、1つ以上のT細胞アクティベーターをT細胞の集団に付着する工程、およびこれらT細胞を、上記T細胞アクティベーターに対する反応性を有する付着されたバインダーをもつ生分解性支持体と混合する工程を包含する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(例示の実施形態の詳細な説明)
本発明は、T細胞の表面上構造物に対する反応性をもつ1つ以上の第2の物質を固定化または架橋し得る第1の物質で被覆された生分解性支持体材料を利用する。この支持体材料の生分解性性質は、患者中への注入の前にT細胞からこの支持体を分離および除去するプロセスを採用する必要性をなくする。
【0013】
医療適用における生分解性材料の使用は周知である。これら材料は、ワクチン接種および制御薬物放出のためのタンパク質のカプセル化のために用いられている(例えば、Rosslingらに発行された米国特許第6,572,894号を参照のこと)。生分解性材料はまた、縫合糸としての使用のために処方されており(例えば、Bezemerら、米国特許第6,500,193号を参照のこと)、そして組織エンジニアリング適用で用いられており(例えば、米国特許第4,279,249号におけるVertら、および米国特許第6,511,511号におけるSlivkaらを参照のこと)、そしてインプラントとして用いられている(例えば、米国特許第6,514,286号におけるLeatherburyらを参照のこと)。これら先行技術出願における使用のための生分解性材料の物理的性質および化学的性質は、本発明の要求物とは顕著に異なる。先行技術出願は、活性成分の遅い、制御された分解およびカプセル化、および/または高い引っ張り強さおよび安定性を必要とする。本発明の適用には、制御された速度である必要のない迅速な分解を必要とし、そしてまた高い引っ張り強度は必要としない。第2に、材料は、シグナルをT細胞に送達するために4〜24時間の間、架橋されることが必要であるに過ぎない。さらに、本発明は、生分解性マイクロスフェアを用いる大部分の先行技術の方法におけるように、活性成分のカプセル化を必要としない。
【0014】
本発明における使用のために選択される生分解性材料は、ヒトにおいて非毒性でかつ非抗原性でなければならず、そして好ましくは、ヒトに、非経口的、好ましくは静脈内に送達され得なければならない。この生分解性材料は、生物学的流体中で分解する天然材料または合成材料に由来し得る。分解は、非酵素的手段を用いて起こることが好ましい。本発明の目的には、生物学的流体は、細胞培養培地および血液を含む。上記生分解性材料は迅速に分解しなければならない(すなわち、口内では、好ましくは2週間以内、より好ましくは1週間以内、そして最も好ましくは3日以内)。この生分解性材料の分解産物は、通常の生理学的経路を経由して代謝され得、そして/または排出され得る非毒性副産物を産生しなければならない。
【0015】
本発明のデバイスを処方することで用いられる生分解性材料は、製造プロセスで有機溶媒を利用しないことがまた好ましい。なぜなら、これら溶媒は、ヒトにおける長期間曝露に際し、健康リスクを課すからである。しかし、好ましい実施形態は、その実質的にすべての製作プロセスがジクロロメタンのような有機溶媒の使用を必要とする合成ポリマーからのマイクロスフェアの処方である。有機溶媒が上記生分解性支持体の製造において利用される場合、最終処方物中の残存溶媒の量を低減するための試みがなされるべきである。受容可能な残存溶媒濃度は、監督官庁によって決定される。例えば、ICH(International Conference on Harmonization)ガイドラインは、血液中の最大許容可能ジクロロメタンレベルを6gm/日に設定している。
【0016】
生分解性支持体としての使用のための適切な天然材料の例は、コラーゲン、ゼラチンおよびアルブミンのようなタンパク質、およびデンプン、デキストラン、イヌリン、セルロースおよびヒアルロン酸のような多糖類を含む。
【0017】
生分解性支持体としての使用のための合成材料の例は、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、PLAおよびPGAのコポリマー(PLGA)またはポリ(カプロラクトン)(PCL)のような脂肪族ポリエステル、およびポリ酸無水物を含む。これら材料は、医療適用において生分解性ポリマーとして広く用いられている。合成ポリマーは、一般に、それらがより広い範囲の特性を与えるように仕立てられ、そしてより高く予測可能なロット毎の均一性を有する点で、天然材料に対しより大きな利点を提供する。
【0018】
生分解性ポリマーの物理的性質および挙動に影響する要因は、周知である。これら要因は、モノマー選択、開始剤選択、プロセス条件および添加剤の存在を含む。これら要因は、次に、ポリマーの親水性、結晶性、融点およびガラス転移温度、分子量分布、末端基、配列分布(ランダム対ブロック状)および残存モノマー添加剤の存在に影響する。
【0019】
一般に、本発明の目的には、ポリマーは、高親水性のために選択されるべきてあり、ポリマーは半晶質またはアモルファスのいずれか、好ましくはアモルファスであり得、好ましくは37℃をかなり超えるガラス転移温度を備え、このポリマーが体温でゴムよりガラスのように作用することを可能にする。ポリマーは、加速された分解のために低い分子量分布および低い固有粘度を有するべきであり、そして同じ理由のために優先度は、ブロック状組成物よりもランダム組成物である。
【0020】
生分解性ポリマーは、フィルム、細片、ファイバー、ゲル、メッシュ、スポンジおよび(ナノスフェアまたはマイクロスフェアのような)スフェアのような種々の形状に処方され得る。それらはまた、押し出され、射出成形され、圧縮成型され、または溶媒もしくはスパンキャストされ得る。この一次加工の次にはまた、最終パーツへの引き続く機械加工が続く。
【0021】
形状の選択は、細胞治療適用に依存する。例えば、上記生分解性材料がT細胞をエクスビボで培養するだけに用いられるべきであるが、患者中に注入されないように分解する場合、広い表面積をもつマトリックスの処方物が好ましい。このようなマトリックスは、好ましくは、リンパ節中の樹状細胞の構造を模し、相互連結するたこ足(star−burst)様構造形状またはハニカム構造形状を提供する。
【0022】
マイクロスフェアは好ましい処方物である。なぜなら、製造の単純さ、および球形形状が細胞レセプターとの相互作用のための増加した表面積を可能にするからである。1〜約500μmの小さなマイクロスフェアの粒子サイズは、従来方法による身体中への直接注入を可能にする。それ故、球形形状のデバイスは、細胞治療プロトコールの細胞培養および注入ステップの両方のために用いられ得る。ナノスフェアもまた利用され得るが、ナノスフェアは、ナイーブなT細胞を活性化するために十分な架橋を提供せず、そしてそれ故、先に活性化されたT細胞とともに用いられ得るに過ぎない。好ましい実施形態では、サイズが1μm〜10μmの範囲にあるマイクロスフェアが処方される。
【0023】
本発明の方法によれば、生分解性支持体は、最初、マイクロスフェアのような形状に処方される。この生分解性支持体は、次いで、1つ以上の第2の物質に結合し得る反応性表面を提供する第1の物質で被覆される。この第2の物質は、細胞上の表面構造物への結合を可能にする反応性表面を有する。好ましい実施形態では、第2の物質は、表面発現された細胞レセプターとの相互作用を通じて細胞にシグナルを伝達し得る。
【0024】
本発明の実施において、この第2の物質は、最初、生分解性支持体上の第1の物質に結合され得、そして次に、標的T細胞と混合され、それによって、第2の物質は、T細胞上の表面構造物に結合する。あるいは、この第2の物質は、最初、T細胞の表面構造物に結合され得、そして次に、結合された第2の物質をもつT細胞は、第1の物質で被覆された生分解性支持体と混合される。両方の場合において、最終混合物は、第1の物質で被覆された生分解性支持体を含み、このような第1の物質は1つ以上の第2の物質に結合され、そしてこのような第2の物質は、T細胞上の表面構造物に結合される。
【0025】
第1の物質は、吸収、反応性基により、またはカップリング剤もしくはリンカーにより生分解性支持体に取り付けられ得る。本明細書で用いられるとき、用語「カップリング剤」もしくは「リンカー」は、スペーサーによって分離され得る2つの反応性基を含む分子のような二官能性架橋剤またはカップリング剤をいう。
【0026】
適切な第1の物質は、第2の物質の一部分に結合し得る任意の生分解性材料である。適切な第1の物質の例は、ポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体、またはそれらのフラグメント、および、プロテインA、アビジンもしくはビオチンのような生物活性物質を含む。第2の物質がマウス抗体のようなマウス由来のタンパク質である実施形態では、適切な第1の物質は、ヒツジもしくはヤギ由来の抗マウスポリクローナル抗体のようなマウス免疫グロブリンに対する特異性をもつポリクローナル抗体、またはラット由来抗マウスFc抗体のような抗マウスモノクローナル抗体である。第2の物質がビオチンで被覆される実施形態では、適切な第1の物質はアビジンまたはビオチンに特異的な抗体である。あるいは、第2の物質がアビジンで被覆される場合は、適切な第1の物質は、ビオチンまたは抗アビジン抗体である。さらに、第2の物質がIgG分子であるとき、第1の物質は、プロテインGまたはプロテインAのような、IgGに対して高親和性をもつ因子であり得る。
【0027】
第1の物質は、生分解性支持体へのジアミノヘプタンスペーサー基の第1の付着とともに、またはその付着なくして、グルタルアルデヒドまたはその他のジアルデヒドで、生分解性支持体に化学的に結合され得る。ブロモシアン活性化によるトシル基(p−トルエンスルホニル)で活性化された生分解性支持体への求核置換による共有結合、またはその他の類似の方法がまた用いられ得る。生分解性支持体はまた、アビジンまたはビオチンで直接被覆され得、反対の対応するビオチンまたはアビジンで被覆されたマイトジェンタンパク質のような第2の物質と相互作用する。
【0028】
適切な第2の物質は、細胞表面構造物に結合し得る生分解性物質である。好ましくは、第2の物質のT細胞表面への結合は、第2の因子が第1の物質によって固定化または架橋されるとき、T細胞にシグナルを伝達する。シグナル伝達は、増殖する、サイトカインを産生する、分化する、そして/またはFasL、TRAILおよびCD40Lのようなエフェクター分子を発現するなど、標的T細胞が細胞治療適用で所望される機能を実施するようにする効果を有する。
【0029】
本発明における使用のために適切な第2の物質の例は、合成化合物、核酸、ならびに、ポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体、およびそれらのフラグメントもしくは誘導体、および融合タンパク質のような生物工学的に処理されたタンパク質(bioengineered protein)を含むタンパク質のような因子を含む。1つの例では、第2の物質は、マイトジェンタンパク質である。マイトジェンタンパク質は、T細胞が活性化されるようにするために必要な最小で2つのシグナルをT細胞に送達し得る2つ以上のタンパク質である。マイトジェンタンパク質の例は、以下のT細胞表面分子:CD28、CD5、CD4、CD8、MHCI、MHCII、CTLA−4、ICOS、PD−1、OX40、CD27L(CD70)、4−1BBL、CD30LおよびLIGHT(これら表面構造物への対応するリガンド、もしくはそれらのフラグメントを含む)の1つ以上に特異的なタンパク質のような、そしてこれらを含む共起刺激性タンパク質と組み合わせた、抗CDmAb3および抗CD2mAbである。
【0030】
その他の適切な第2の物質は、IL−2R、IL−12R、IL−1R、IL−15R、IFN−γR、TNF−αR、IL−4R、およびIL−10R(これらレセプターに対するmAb、これらレセプターに特異的な反応性末端をもつ融合タンパク質およびこれらレセプターに対する対応するリガンドまたはそれらの一部を含む)のようなサイトカインレセプターを通じてT細胞にシグナルを伝達し得る因子を含む。その他の適切な第2の物質は、以下のカテゴリー:カドヘリン、ICAM、インテグリン、およびセレクチン、にある接着分子に対するmAb、融合タンパク質およびその対応するリガンドまたはそれらの一部のようなT細胞上の細胞接着分子に結合し得る任意の因子を含む。T細胞上の接着分子の例は:CD44、CD31、CD18/CD11a(LFA−1)、CD29、CD54(ICAM−1)、CD62L(L−セレクチン)、およびCD29/CD49d(VLA−4)である。その他の適切な第2の物質は、C−CおよびC−X−Cカテゴリーにあるものを含むケモカインレセプターに結合し得る任意の因子を含む。T細胞機能に関連するケモカインレセプターの例は、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、およびCXCR3を含む。
【0031】
本発明の1つの実施形態では、生分解性支持体材料は、乳酸およびグリコール酸の混合物を含む直線状ポリエステルポリマーから構築される。このクラスのポリマーは、生体適合性および無害な最終産物への生分解の要件に合致する。本明細書で以後PLGAと称されるこれらポリマーは、エステル加水分解によって乳酸およびグリコール酸に分解される。PLGAは、優れた生体適合性を所有することが示されている。PLGAの無害性質は、これらポリマーに基づくいくつかの非経口遅延放出調製物の、米国食品医薬品局を含む監督機関による認可により例示され得る。PLGAに基づき、そして現在市販されている非経口的に投与可能な遅延放出製品は、DecapeptyTM(Ibsen Biotech)、Prostap S(登録商標)(Lederle)、Decapeptyl(登録商標)、Depot(Ferring)およびZoladex(登録商標)(Zeneca)を含む。
【0032】
L−ラクテートおよびグリコリドよりむしろDL−ラクテートおよびグリコリドのコポリマーが好ましい。なぜなら、L−ラクテートが主成分であるとき半晶質であるとは対照的に、DL−ラクテートが主成分であるとき、それらはアモルファスだからである。この性質は、ポリマーの分解時間を低減する。ポリマーの固有粘度(「I.V.」と略され;単位はデシリットル/グラムである)はその分子量の尺度である。好ましくは、ポリマーの固有粘度は、約0.10dL/g〜約1.0dL/g(クロロホルム中で測定されるとき)、より好ましくは約0.10dL/g〜約0.50dL/gそして最も好ましくは0.10〜0.30dL/gである。
【0033】
適切な生分解性ポリマー材料は、ポリ(DL−ラクチド コ−グリコリド)の50/50混合物である。このポリマーは、Birmingham Polymers、Inc(Birmingham、AL)のような商業的供給者から、商標名Lactel(登録商標)の下、購入することができる。0.15〜0.25dl/gの固有粘度をもつ50/50 DL−PLG製品番号50DG020は、本発明における使用のために好ましい材料である。別の好ましい材料は、Boehringer Ingelheim(Ingelheim、Germany)によって商標名Resomer(登録商標)RG503の下で製造される0.32〜0.44dl/gの固有粘度をもつ50/50 DL−PLGである。別の好ましい材料は、0.26〜0.54の固有粘度をもつLactel(登録商標)50/50 DL−PLG製品番号50D040(Birmigham Polymers)である。その他の好ましい実施形態では、ポリマーの親水性を増加し、そしてそれ故、分解時間を増加し、そしてポリマーへの第1の物質の共有結合のための活性基を提供するために、一官能性アルコール、水またはαヒドロキシ酸、またはPEGのようなポリマー末端基が、生分解性ポリマーに付加され得る。
【0034】
好ましい実施形態では、この50/50 DL−PLGは、マイクロスフェアに処方され得る。
【0035】
マイクロスフェアは、種々の公知の方法(溶媒蒸発、相分離、噴霧乾燥、または低温での溶媒抽出を含む)によって調製され得る。選択されるプロセスは、単純で、再現性があって、かつ拡張性があるべきである。得られるマイクロスフェアは、均一で注射可能な懸濁物を生成するために、自由に流動し、そして凝集しないようであるべきである。これらマイクロスフェアはまた、無菌でなければならない。これは、熱滅菌ステップにより、そして/または無菌処理により確実にされ得る。
【0036】
好ましい実施形態では、溶媒蒸発法がマイクロスフェアを生成するために利用される(McGinityおよびO’Donnell 1997)。この方法でマイクロスフェアを生成するために、疎水性50/50 DL−PLGポリマーは、水混和性有機溶媒中に溶解され、ポリマー溶液を得る。この溶液を、次いで界面活性剤の水性溶液中に添加し、エマルジョン系を形成し、そして撹拌する。撹拌速度がより速いほど、マイクロスフェアのサイズは小さい。マイクロスフェアは、次に、減圧または加熱下であり得る連続的撹拌によって溶媒を蒸発することにより得られる。
【0037】
本発明の水混和性有機溶媒は、身体に非毒性である必要がある。有機溶媒の代表的な例は、酢酸、乳酸、ギ酸、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、およびN−メチルピロリドンならびにそれらの混合物からなる群から選択されるメンバーである。好ましくは、この水混和性有機溶媒は、酢酸、乳酸、N−メチルピロリドン、またはそれらの混合物からなる群から選択されるメンバーである。この水混和性有機溶媒は、単独または水との混合物で用いられ得る。
【0038】
水相は、好ましくは水およびアルコールに可溶性であり、媒体中に溶解されるとき懸濁媒体(水混和性アルコール)の粘度を増加し得、身体に非毒性であり、そして環境問題を引き起こさないエマルジョン安定化剤を含み得る。エマルジョン安定化剤溶液の代表的な例は:ポリビニルピロリドン、ポリ(エチレングリコール)、およびポロキサマーのような水溶性の合成ポリマー;ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース、そして好ましくは、ポリビニルピロリドンおよびヒドロキシプロピルセルロースのようなセルロース誘導体である。水混和性アルコール中のエマルジョン安定化剤の含量は、好ましくは、0.1〜約50%(w/v)の範囲内、そしてより好ましくは0.2〜約20%(w/v)の範囲内である。エマルジョン安定化剤の含量は、必要な水混和性アルコールの粘度に従って変動され得る。
【0039】
本発明によれば、エマルジョン安定化剤が溶解される水混和性アルコールは、10〜約80℃、好ましくは20〜約60℃、そして最も好ましくは室温で、200〜約20,000rpmの速度で、好ましくは800〜1000rpmの速度で撹拌される。ポリマー溶液は、エマルジョン安定化剤が溶解される水混和性アルコールにゆっくり添加され、そしてこの混合物は、5分〜約60分撹拌される。撹拌は5時間までの間継続され得、有機溶媒の蒸発を可能にする。得られるマイクロスフェアは、次に、遠心分離によって集められ、そして徹底的に洗浄される。洗浄されたマイクロスフェアは、次に、第1の物質の付着の準備が整う。
【0040】
調製されるマイクロスフェアの直径は、好ましくは0.01〜300μmの範囲内、そしてより好ましくは0.1〜100μmの範囲内、そして最も好ましくは1〜10μmの間であるべきである。粒子サイズ(マイクロスフェアの直径)は、処理の間の撹拌速度、水混和性アルコールの粘度、およびポリマー溶液の粘度を調節することにより制御され得る。
【0041】
第1の物質での生分解性支持体の後被覆は、第1の物質の性質に依存して種々の標準的な方法によって達成され得る。第1の物質がタンパク質である大部分の適用には、受動的吸収技法が、生分解性支持体へのタンパク質付着のために適切である。その他の適用は、直接的共有結合、生分解性支持体に対して低い親和性をもつ第1の物質を用いるとき、またはDNA、レクチン、酵素および薬物のような第1の物質の使用、または生分解性デバイスが、受動的に吸収された第1の物質を置換する材料が用いられる環境において使用される適用におけるように連結基による共有結合を必要とし得る。生分解性支持体の表面に対する改変の種々のスキームが、共有結合タンパク質固定化のために適用可能な官能基を導入するために用いられ得、これらとしては:カルボン酸基を形成するための加水分解(固定化は、縮合剤を用いてタンパク質のアミノ基を通じて実行される)、ヒドラジド基を形成するためのヒドラジン分解(過ヨウ素酸塩で酸化された糖タンパク質の炭水化物フラグメントのアルデヒド基による固定化)、二官能性アミンでのアミノ分解(タンパク質のカルボン酸基との縮合)、グルタルアルデヒドでの改変(タンパク質のアミノ基およびスルフヒドリル基による固定化)(Ertl,B.,F. Heiglら、(2000).“Lectin−mediated bioadhesion:preparation,stability and caco−2 binding of wheat germ agglutinin−functionalized Poly(D,L−lactic−co−glycolic acid)−microspheres.” J Drug Target 8(3):173−84、Muller,M.,J. Vorosら、(2003).“Surface modification of PLGA microspheres.” J Biomed Mater Res 66A(1):55−61、Tessmar,J.,A. Mikosら、(2003).“The use of poly(ethylene glycol)−block−poly(lactic acid) derived copolymers for the rapid creation of biomimetic surfaces.” Biomaterials 24(24):4475−86)が挙げられる。タンパク質は、このようなマトリックス上でそれらの安定性を十分に保持することが知られている。
【0042】
生分解性支持体の表面に直接的またはリンカーにより第1の物質を被覆した後、細胞培養の間、または患者への注入に際して存在し得るタンパク質の非特異的吸着をブロックすることが所望される。任意の無害なタンパク質がこの目的のために用いられ得る。ウシまたはヒト血清アルブミンは、所望されるブロッキング剤である。大きなサイズのアルブミンが、より小さい、活性な第1の物質のタンパク質の活性を隠す場合には、グリシンまたは小さなポリペプチドが、代替的なブロッキング剤として用いられ得る。
【0043】
生分解性支持体が、0.5μmより小さい粒子に処方される場合、生分解性支持体への付着の化学的局面は同じままであるが、機械的局面は適合されなければならない。大部分のプロトコールは、第1の因子の付着プロセスで用いられる試薬から粒子を分離するために遠心分離を用いる。しかし、これは、約0.5μmより小さいサイズの粒子には実際的でない。なぜなら、大部分の微小遠心分離は、このサイズの粒子を30分以内にスピンダウンできず、そして極度に高いG−力は、これら粒子を再懸濁するには非常に困難になるので推奨されないからである。この状況では、透析または強制的膜濾過のような代替の分離技法が示される。中空ファイバー濾過技法を用いる市販のキットがまた、0.1〜0.5μm粒子の有効な分離のために利用可能である。
【0044】
1つの実施形態では、タンパク質である第1の物質は、標準的な公知の方法での吸着により生物学的支持体材料に結合され得る。タンパク質を、支持体がマイクロスフェアに処方される生分解性支持体に吸着するための1つの方法は、これらマイクロスフェアをpH8.5で0.1Mホウ酸緩衝液中に懸濁し、スピンダウンし、そしてこれらマイクロスフェアを2または3回再懸濁することである。第1の物質のタンパク質を、次いで、このホウ酸緩衝液中に懸濁し、マイクロスフェアに添加する。この混合物は、徹底的に少なくとも4時間、そして24時間までの間混合される。この混合は、好ましくは4℃で行われる。混合後、これらマイクロスフェアをスピンし、そして上清を除き、そしてタンパク質決定のために分析される。被覆されたマイクロスフェアは、次に、1〜5%のウシ血清アルブミンおよび/または0.05%w/v Tween20のようなブロッキング剤を含むリン酸緩衝化生理食塩水のような、生理学的緩衝液中に再懸濁される。
【0045】
被覆された生分解性支持体は、次いで、標的T細胞に結合し得る所望の第2の物質または第2の物質と合わせられ得、そして次に第1の物質−被覆された生分解性支持体と混合される。
【0046】
処理の間に、使用前に加水分解により生分解性支持体の過剰な分解を避けるために湿気の存在を最小にすることが必要である。加水分解による分解を避けるために、処理の間で特別の注意が必要である。処理の間で生分解性ポリマーを乾燥するためのステップが採られるべきである。ポリマーは、ポリマーを80℃で24時間インキュベートすることにより乾燥され得る。乾燥はまた、減圧乾燥または再循環空気乾燥機内での乾燥によって達成され得る。ポリマーを室温を超えて乾燥するとき、いくつかのアモルファス組成物は乾燥温度がガラス転移温度を超えるとき溶融し得るので注意しなければならない。
【0047】
生分解性デバイスは、一旦パッケージが開かれると材料が迅速に用いられるように、小アリコートで最良にパッケージされる。パッケージングは、乾燥した防湿バッグ中にあるべきである。上記デバイスは、アルコール中の貯蔵、γ線照射またはエチレンオキシドガスのような種々の方法によって滅菌され得る。生分解性デバイスはオートクレーブによって滅菌されるべきでない。なぜなら、高温が分解を引き起こし得るからである。
【0048】
本発明のデバイスはまた、瞬間冷凍によって貯蔵され得、そして次に液体窒素中に貯蔵され得、そしてまた貯蔵の前に凍結乾燥され得る。
【実施例】
【0049】
以下の実施例は、例示目的のみのために含められ、そして本発明の範囲を制限することは意図されない。
【0050】
(実施例1:)
(マイクロスフェア調製)
溶媒蒸発法をマイクロスフェアの調製のために使用した。0.15〜0.25dl/gの固有粘度をもつ、Lactel(登録商標)(Birmingham Polymers、Birmingham、AL)50/50 DL−PLG製品番号50DG020を、ポリマーとして用いた。このDL−PLG粉末を、20mlの塩化メチレン中に溶解し、最終5%のDL−PLG w/v比とした。この5%のDL−PLG溶液を、次いで、0.1Mグリシン/Hcl緩衝液pH1.1中の2.4%ヒドロキシプロピルメチルセルロースの125mlに、1000rpmでの一定の撹拌下、室温(25±2℃)で滴下して添加した。撹拌は、有機溶媒の完全な蒸発まで(約3時間)維持する。マイクロスフェアは、1000rpmで5分4℃での遠心分離により集め、次いで、3サイクル、蒸留水で洗浄し、濾過および一晩乾燥した。マイクロスフェアサイズは、≦10%のCV最大で3.0から7.0μmの範囲であった。
【0051】
(第1の物質での被覆)
ポリクローナルヤギ抗マウスポリクローナル抗体を、10μg/mlの濃度で5%のヒト血清アルブミン(HSA)を含む30mlのPBS溶液中に懸濁した。この溶液を、約2×10粒子/mlの濃度で乾燥マイクロスフェアを再懸濁するために用いた。これらマイクロスフェアおよびポリクローナル抗体を、4℃で回転させて8時間混合した。これらマイクロスフェアを、次いで、HSAを含むPBS中で3回洗浄し、濾過し、そして乾燥した。
【0052】
(第2の物質の付与)
実験の1つの群のために、第2の物質を、ヤギ抗マウス抗体被覆マイクロスフェアに直接添加した。この目的のために、10μg/mlの最終濃度で抗ヒトCD3mAbおよび抗ヒトCD28mAbの50/50混合物を、5%HSAを含むPBS中に調製した。この溶液を、次いで、被覆されたマイクロスフェアを2×10粒子/mlの最終濃度で再懸濁するために用いた。この混合物を、室温で徹底的に4時間の間激しく混合し、3回洗浄し、濾過し、そして一晩乾燥した。
【0053】
(結果)
(マイクロスフェアサイズ)
マイクロスフェアのサイズ分布を決定するために、これらスフェアのアリコートを、レーザー回折(Shimadzu Laser Diffraction Type Particle Analyzer)により、および位相差顕微鏡により分析した。レーザー回折研究のためには、これらマイクロスフェアは、湿潤剤として0.2%Tweenを含むPBS中に懸濁した。この混合物を、1分間超音波処理し、そして凝集物形成を最小にするために撹拌条件下で分析した。示されたスフェアの分布(凝集物をなくした後)は、7ミクロンの平均で4〜24ミクロンの範囲であった。
【0054】
(第1の物質の結合)
第1の物質の被覆を確認するために、ヤギ抗マウスポリクローナル抗体で被覆されたマイクロスフェア吸収体を、1%HSAを含むPBS中に懸濁し、そしてFITC結合体化マウスIgG mAbで染色した。コントロールとして、非被覆マイクロスフェアを、同じ条件下で染色した。ビーズを次いでフローサイトメトリーにより分析した。被覆されたビーズは強い染色を示し、第1の物質での成功した被覆を示した。
【0055】
(実施例2:第2の物質の生物学的効果)
先行技術の刺激方法と比較して、本発明の方法で刺激されたT細胞の炎症促進性サイトカイン産生に対する効果を決定するために、以下の研究を行った:
PBLを、健常ドナーのアフェレーシスによって得られた白血球パック(leukopack)からPercollグラジエント遠心分離によって単離した。CD4+T細胞を、抗CD4マイクロビーズ(Miltenyi Biotech、Germany)を用いるポジティブ選択によって精製した。細胞を、グルタミンを補充したX−Vivo 15(BioWhittiker)中で培養した。
【0056】
精製されたCD4+細胞を、24ウェルプレートに置き、そして50:50の比にある抗CD3mAbおよび抗CD28mAbで直接被覆されたヤギ抗マウス被覆マイクロスフェアとインキュベートしたか(直接方法)、または細胞を、最初抗CD3mAbおよび抗CD28mAbで標識し、そして次に被覆されたマイクロスフェアとインキュベートした。ネガティブコントロールとして、非標識細胞を、ポリクローナルヤギ抗マウス被覆マイクロスフェアとインキュベートした。ポジティブコントロールとして、細胞を、CD3/CD28被覆Dynabeadとインキュベートした。すべての群は、3:1のビーズ:細胞比に調節した。
【0057】
精製したCD4+細胞を、0.5×10/mlの細胞密度でウェル中に置いた。72時間後細胞を含まない上清中のサイトカインの濃度をELISAによって測定した。
【0058】
サイトカインデータは、6つの異なる血液サンプルの平均+/−SDを表す。
【0059】
【表1】

これらのデータは、本発明の間接的方法が、主要(primary)T細胞からのTh1サイトカイン産生を増大することを示す。
【0060】
(実施例3:増殖)
CD4+細胞を、培養を9日間継続したことを除いて上記の実施例に記載のように調製した。新鮮なビーズおよび/または抗体を、培養物を0.5〜1×10細胞/mlの濃度に分割するとき、3日毎に添加した。細胞は、各実験の開始時に3連で接種した。
【0061】
【表2】

本発明を、好ましい実施形態を参照して記載したが、当業者は、本発明の思想および範囲から逸脱することなく形態および詳細において変更がなされ得ることを認識する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
T細胞を活性化するための生分解性デバイスであって:
生分解性支持体;および
T細胞表面抗原に結合し得る1つ以上の因子に対する反応性を有する、該生分解性支持体に付着されたバインダー、を備える、生分解性デバイス。
【請求項2】
前記生分解性支持体が、コラーゲン、ゼラチン、アルブミンまたは多糖類を含む、請求項1に記載の生分解性デバイス。
【請求項3】
前記生分解性支持体が、脂肪族ポリエステルを含む、請求項1に記載の生分解性デバイス。
【請求項4】
前記1つ以上の因子が、T細胞表面抗原に対する反応性を有する、請求項1に記載の生分解性デバイス。
【請求項5】
前記バインダーが、ポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体、またはそれらのフラグメント、プロテインA、アビジンもしくはビオチンを含む、請求項1に記載の生分解性デバイス。
【請求項6】
前記バインダーが、グルタルアルデヒドで前記生分解性支持体に付着される、請求項1に記載の生分解性デバイス。
【請求項7】
ジアミノヘプタンスペーサー基をさらに含む、請求項6に記載の生分解性デバイス。
【請求項8】
前記1つ以上の因子が、マイトジェンタンパク質、モノクローナル抗体、融合タンパク質およびケモカインレセプターに結合し得る因子を含む、請求項1に記載の生分解性デバイス。
【請求項9】
前記マイトジェンタンパク質が、抗CD3モノクローナル抗体および抗CD2モノクローナル抗体を含む、請求項1に記載の生分解性デバイス。
【請求項10】
1つ以上のT細胞表面分子に特異的である共起刺激タンパク質をさらに含む、請求項9に記載の生分解性デバイス。
【請求項11】
T細胞を活性化するための方法であって:
1つ以上のT細胞アクティベーターをT細胞の集団に付着する工程;および
該T細胞を、該T細胞アクティベーターに対する反応性を有する付着されたバインダーを備えた生分解性支持体と混合する工程、を包含する、方法。
【請求項12】
前記バインダーが、ポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体、またはそれらのフラグメント、プロテインA、アビジンもしくはビオチンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記バインダーが、グルタルアルデヒドで前記生分解性支持体に付着される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
まずバインダーが、前記T細胞と混合する工程の前に、前記生分解性支持体に付着される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記生分解性支持体への付着の後、前記バインダーにブロッキング剤を付与する工程をさらに包含し、該ブロッキング剤が、タンパク質の非特異的吸収をブロックするために用いられる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記付着されたバインダーをもつ生分解性支持体を、マイトジェンタンパク質、モノクローナル抗体、融合タンパク質およびケモカインレセプターに結合し得る因子を含む1つ以上の因子と混合する工程をさらに包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記マイトジェンタンパク質が、抗CD3モノクローナル抗体および抗CD2モノクローナル抗体を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記生分解性支持体が、実質的に球形の形態に成形される生分解性材料から作製される、請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2010−509914(P2010−509914A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537154(P2009−537154)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/023478
【国際公開番号】WO2008/063421
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(505469791)イミュノバティブ セラピーズ, リミテッド (8)
【Fターム(参考)】