説明

生化学物質の蒸発防止手段

【課題】 唾液アミラーゼ活性分析手法は、唾液の採取後に水分が蒸発して特性が変化することを避けるために、唾液採取後は速やかに唾液アミラーゼ活性を分析する必要があるが、従来の技術では、テストストリップの唾液検体の蒸発防止方法やその器具には検討していなかった。よって現状では、一台の分析機器で一名分の検体しか扱うことができないという問題点が存在した。本発明者らは、この問題の解決のために、水分の蒸発を防ぎ、その活性の損失を防ぎうる手段を種々検討し、しかも安価に課題を解決する方法を検討した。
【課題を解決するための手段】
少なくとも検体採取部を有するシート状担体の検体採取部からの水分の蒸発を簡易に防止するために、検体採取部を水不透過性の被覆物で覆う手段を検討し、このものが一般的に生化学物質を検体の場合にも有効であることを確認し本発明を完成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採取した唾液等の生化学物質の蒸発防止手段に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明者の山口は、ヒトの感性の変化に伴って唾液中のα-アミラーゼ(酵素,以下唾液アミラーゼ)の活性も変動するという事実に着目し、この技術に関連して、これまでに下記に示す特許(特許文献1〜4)が公開されている。
本発明者らの一部が既に特許出願している唾液アミラーゼ活性分析手法は,唾液採取・分析用使い捨て式の唾液採取・分析兼用器具 (以下,テストストリップと略記)と,分析装置本体で構成されている。
【特許文献1】特願2000-364241号 (特開2002-168860号):ストレスの判定方法および判定装置
【特許文献2】特願2003-051150号 (特開2004-24236号):アミラーゼの測定用試薬および測定方法
【特許文献3】特願2003-051151号 (特開2004-121214号):アミラーゼ活性測定用試薬,測定方法,および装置
【特許文献4】特願2003-362805号(特開2004-267202):アミラーゼ活性測定キット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
唾液アミラーゼ活性分析手法は、唾液の採取後に水分が蒸発して特性が変化することを避けるために、唾液採取後は速やかに唾液アミラーゼの濃度及び/又は活性を分析する必要があるが、従来の技術では、テストストリップの唾液検体の蒸発防止方法やその器具については検討していなかった。よって現状では、一台の分析機器で一名分の検体しか扱うことができないという問題点が存在した。本発明者らは、この問題の解決のために、水分の蒸発を防ぎ、その活性の損失を防ぎうる手段を種々検討し、しかも安価に課題を解決する方法を検討した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、少なくとも検体採取部を有するシート状担体の検体採取部からの水分の蒸発を簡易に防止するために、検体採取部を水不透過性の被覆物で覆う手段を検討し、このものが一般的に生化学物質を検体として測定する場合にも有効であることを見出し本発明を完成した。
つまり、本発明は以下よりなる。
1.少なくとも検体採取部を有するシート状担体の検体採取部に、生化学物質を採取し、次いで、検体中の水成分の蒸散を防ぐために、少なくとも検体採取部を水成分不透過性の部材で作られた被覆物で被覆し、その後、被覆を開放して、検体採取部と試薬との接触をおこし、検体検出反応を導く、生化学物質の濃度及び/又は活性の測定方法。
2.前記被覆手段が、以下から選ばれる前項1に記載の生化学物質の濃度及び/又は活性の測定方法。
1)吸盤方式の平面状シートで検体採取部を覆うこと。
2)粘着剤方式の平面状シートで検体採取部を覆うこと。
3)キャップで検体採取部を覆うこと。
4)検体採取部を有するシート状担体全体を気密性袋又は容器内におくこと。
3.少なくとも上下2枚の平面状シートの間にシート状担体を挟むことによる前項2の方法。
4.平面状シートの少なくとも1面に少なくとも検体採取部を目視可能な透明部を有する前項2又は3の方法。
5.平面状シートの検体採取部に相応するシート部に、空隙又は凹部がある前項2〜4の何れか一に記載の方法。
6.少なくとも上下2枚を重ねてなる平面状シートであって、上下平面状シートのいずれかに、その1方向に少なくとも検体採取部を有するシート状担体の検体採取部を挿入可能な空隙又は凹部があり、検体採取部を有するシート状担体の検体採取部を挿入装填後に、上下平面状シートを気密状態で接触可能であり、シート状担体の検体採取部の水成分の蒸散が軽減可能な、検体採取部を有するシート状担体の検体採取部の水成分の蒸散防止器具。
7.平面状シートの少なくとも1面に少なくとも検体採取部を目視可能な透明部を有する前項6の蒸散防止器具。
8.水成分不透過性の部材の下板シートの上に、1方向にシート状担体の検体採取部を挿入装填可能な空隙又は凹部を持つ中板シートが接着され、シート状担体の検体採取部を挿入装填後に気密的に中板と接触可能な上板シートで構成される前項6又は7の蒸散防止器具。
9.接着が、両面テープで行われる前項8の蒸散防止器具。
10.気密的に中板と接触可能な上板シートが、吸盤方式である前項8又は9の蒸散防止器具。
11.少なくとも検体採取部を有するシート状担体と、前項1〜5の何れか一に記載の方法に使う検体採取部を覆う手段又は前項6〜10の何れか一に記載の蒸散防止器具が組み合わされた試薬キット。
【発明の効果】
【0005】
本発明の手段は、きわめて安価に、しかも容易に目的効果を達成できるので、大量の生化学物質の検出手段として大きな価値をもつ。本発明の簡単な構造の蒸発防止キットを、テストストリップの先端にセットするだけで、採取した唾液等の生化学物質検体の蒸発防止が実現でき、検体採取から分析までの時間を自由に選ぶことが可能となる。その結果、一台の分析装置本体で、何名分の唾液検体でも随時に分析可能となり、高価な分析装置本体を複数台準備することが不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の1は、少なくとも検体採取部を有するシート状担体の検体採取部に、生化学物質を採取し、次いで、検体中の水成分の蒸散を防ぐために、少なくとも検体採取部を水成分不透過性の部材で作られた被覆物で被覆し、その後、被覆を開放して、検体採取部と試薬との接触をおこし、検体検出反応を導く、生化学物質の濃度及び/又は活性の測定方法である。
【0007】
本発明の検体は、実施例では唾液特に唾液中のアミラーゼを対象としたが、これにかぎらず広く生化学物質を、少なくとも検体採取部を有するシート状担体を使って測定或いは検査をする場合に使用可能である。唾液以外にも、尿、喀痰、鼻汁、涙、汗、歯肉溝液、糞便、さらには、廃液、抽出物などにも応用可能である。
検体は、検体採取部に採取される。採取は、採取部に、毛細管現象、吸引、滴下及び採取部の舌舐等によっておこなわれるが特に限定されない。検体採取部は、吸水紙、吸水綿、織布もしくは不織布のようなシート状の部材が用いられ、すくなくとも水成分を当該部に保持可能である。採取後、直ちに、本発明の水成分不透過性の部材で作られた被覆物で当該検体採取部は被覆され、水分の蒸発が防止処理される。
【0008】
本発明の被覆物に使う水成分不透過性の部材は、安価で、形態加工容易性を保持し、水分の透過を防止できるものであれば広くいかなる材料でも利用可能である。例えば、プラスチック 材としては、例えば、ポリエステル[ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等]、オレフィン系樹脂[ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂等]、ポリエーテルスルホン(PES)(ポリエーテルサルホン)、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、アミド系樹脂[ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等]、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエステルイミド、メタクリレート系樹脂[ポリメチルメタクリレート(PMMA)など]、スチレン系樹脂[ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)など]、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール、ポリアリーレンエーテル(ポリフェニレンエーテルなど)、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリアリール、ポリウレタン類、ポリエーテルケトン類[ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトンなど]、ポリアクリル酸エステル類(ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸エチルなど)、エポキシ系樹脂などが挙げられる。これらの素材(プラスチック 材)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0009】
本発明の被覆手段は、1)吸盤方式の平面状シートで検体採取部を覆うこと、2)粘着剤方式の平面状シートで検体採取部を覆うこと、3)キャップで検体採取部を覆うこと、4)検体採取部を有するシート状担体全体を気密性袋又は容器内におくこと等が好適に例示される。
【0010】
吸盤方式の平面状シートで検体採取部を覆うとは、被覆する平面状シートの一の表面層をセル吸盤能あるものを使い、このセル吸盤能で相対する平面状シートと接して吸着力を発揮して、両平面状シート間に検体採取部が装填される。セル吸盤能ある平面状シートは、例えば基材層・セル吸盤層からなり、セル吸盤層のバージン性の確保のためにはセパレータ或いは保護層があってもよい。セル吸盤のシートとしては、例えばゼオン化成のゼオンALシートがある。これは材料構成として基材に、PETフィルム(易接着タイプの50μ)を使い、発泡層にアクリル樹脂(アクリルエマルジョンを発泡させている)を使い、アクリル樹脂の厚みは300±50μ、100±30μ等がある。セル吸盤「発泡径」のサイズの基準は、20〜100μの範囲が主だが約束されるものではない。
【0011】
粘着剤方式の平面状シートで検体採取部を覆うとは、被覆する平面状シートの一の表面層を粘着剤層のあるものを使い、この粘着剤層で相対する平面状シートと接して吸着力を発揮して、両平面状シート間に検体採取部が装填される。粘着剤層は、容易に剥離可能なこと、接着性を保持しておれば、特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、フッ素系粘着剤、クリ−プ特性改良型粘着剤、放射線硬化型粘着剤などの公知の粘着剤から適宜選択して用いることができる。粘着剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0012】
本発明において、平面状シートは、その1方向に少なくともシート状担体の検体採取部が挿入装填可能な空隙又は凹部を持ち、空隙又は凹部に装填された検体採取部は、平面シートの被覆部表面との接触は防止されるに十分な空隙を持つ。装填された状態のシート状担体の検体採取部は空隙に隙間なく合致する寸法形状であることが最適である。検体採取部を有するシート状担体の検体採取部を挿入装填後に、上下平面状シートを気密状態で接触可能であり、これによりシート状担体の検体採取部の水成分の蒸散が軽減可能である。
この空隙又は凹部を設けるためには、公知の手段で、空隙又は凹部をもつ中板を平面状シートである下板及び/又は平面状シートである被覆するシート(上板)に接着させることで達成できる。この接着手段は、例えば両面接着シート(テープ)のようなものを使えば容易に達成できる。この中板を複数枚使い空隙部に差異を設け、装填するシート状担体の非検体採取部と検体採取部において段差を設け、検体採取部をより深い空隙又は凹部とすることでより検体採取部の密閉性を確保可能である。
【0013】
本発明において、平面状シートは、下板となるシートと被覆するシート(上板)の少なくとも上下2枚を重ねてなる平面状シートであることが一般的であるが、その手段は折りたたみ式でも、端部固定式でも、2枚別シートでもよい。折りたたみ式とは、1枚のシートを略中央で折りたたみ可能としておき、用時、検体採取部を有するシート状担体を挟む様に折りたたみ検体採取部を覆い、上下2枚が重なる状態となる。このとき、重なる半面の平面状シート部には、前記中板を接着しておき、この中板による空隙又は凹部に検体採取部が隙間なく合致して被覆される。
端部固定式とは、上下2枚のシートが重なる状態で1端部が固着されており、用時、重ね合わせを開放し、上下平面状シートのいずれかに、検体採取部を装填し、その後検体採取部を平面シートを重ねることで被覆するのである。2枚別シートとは、あらかじめ分離された2枚の別々の平面状シートをいう。これらにおいても、前記と同様に中板で空隙又は凹部が容易に設けることができる。
【0014】
平面状シートは、その少なくとも1面に少なくとも検体採取部を目視可能な透明部を有する。この透明部により、検体採取部を有するシート状担体の検体採取部を挿入装填後に、上下平面状シートを気密状態で接触させ、シート状担体の検体採取部の水成分の蒸散を防いでいる状態にあって、検体採取部の外部からの状態確認が可能である。検体採取部の色の変化等で検出する系にあっては、平面状シートを剥がすことなくそのまま測定を行うことができる。
【0015】
以上のような平面状シートは、例えば以下のように構築される。水成分不透過性の部材の下板シートの上に、1方向にシート状担体の検体採取部を挿入装填可能な空隙を持つ中板シートが接着され、シート状担体の検体採取部を挿入装填後に気密的に中板と接触可能な上板シートで構成される。水成分不透過性の部材は上記のものであり、気密的に接触は、吸盤方式或いは粘着剤方式である。粘着剤方式の場合、簡便には一般的な両面粘着テープを用いて密着させ、検体採取部以外の平面状シート部材と被覆物を粘着させて密着させ水分の検体部からの透過を防ぐものである。
【0016】
キャップで検体採取部を覆うこととは、被覆手段に水成分不透過性の部材で形成されたキャップを使い、検体採取後の検体採取部を含む部分をキャップを被せるように密着して装填される。キャップによる被覆によって、検体採取部の水成分の蒸散は防止される。
【0017】
検体採取部を有するシート状担体全体を気密性袋又は容器内におくこととは、被覆手段に水成分不透過性の部材で形成された気密性袋又は容器を使い、検体採取後の検体採取部を含むシート状担体全体を気密性袋又は容器内に気密的に装填されることである。この装填によって、検体採取部の水成分の蒸散は一定以上は防止される。
【0018】
以上のような少なくとも検体採取部を有するシート状担体と、上記に記載の方法に使う検体採取部を覆う手段又は蒸散防止器具は、これらを組み合わせて試薬キットとして提供可能である。
【実施例】
【0019】
以下で本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0020】
(実施例1)
図1は、蒸発防止器具の代表例である。少なくとも1枚以上の粘着性素材を含む2枚以上の複数の平面状シートを積層して構成された蒸発防止器具の例である。 図中、1は、止め具、2は特殊フィルム、3は中板、4は両面テープ(黒)、5は下板を意味する。図中に表示されるW=は横の長さの概略、つまり50mm程度の横の長さ、l=は縦の長さの概略、つまり50mm及び58mm程度の長さを意味する。本実施例で、器具は、4層のシートで構成され、3の中板と4の両面テープにはU字型の空隙があり、4の両面テープの粘着力で3の中板と5の下板が接着される。この結果、形成されたU字型の空隙には検体採取部を有するシート状担体を装填可能となる。より密に検体採取部を被覆するためには、U字型でなく、平面状シートの中心部に凹部設け、検体採取部のみを被覆することで達成できる(図1−2)。最上部には被覆物である4の特殊フィルムが設けられ密に被覆が達成される。特殊フィルムは少なくとも3の中板と密に接着可能なセル吸盤又は取剥がし可能な粘着剤層を有している。これら各シートは、例えば1の止め具で相互に固着されており、図2に示すように、シート状担体を装填時には2の特殊フィルムを捲ることが可能である。なお、検体採取部を被覆する部の空隙は、少なくとも2の特殊フィルムを被覆した際にも、シート状担体の検体採取部は2の特殊フィルムと接触を避けうる十分な空隙をもつ。表1には、各シートの厚みを例示したが、シート状担体の厚みに応じて自在にこの厚みは調整可能であり、シート状担体装填時に、隙間なく合致する寸法形状の各シートの厚みが調整される。
【表1】

図3は、蒸散防止器具内にシート状担体を装填した状態を示し、シート状担体の先端部には検体採取部がある。蒸散防止器具は、この部を確認できるU字状の透明部材が使われ、検体採取部の被覆状態においてこの部が目視で確認可能である。
図5は、被覆物がキャップ方式を示している。一体成型カバー方式(蒸発防止キャップ)或いは一体成型袋とすれば、装着の慣れが不要で、唾液が付着しないという効果が期待できる別の態様が例示される。
【0021】
(実施例2)
平面状シートを積層して構成された蒸散防止器具を調製し、その蒸発防止効果を評価した。検体としては唾液を用い、測定系は、唾液アミラーゼの系を用いた。被検者1人から唾液を採取し、唾液採取ストリップ(検体採取部を有するシート状担体の例示)に25 μL滴下して、「蒸散防止器具あり」の状態と「蒸散防止器具なし(コントロール)」の状態とで、それぞれ恒温室内で、26℃、湿度50%の条件下で保管した。測定は,「蒸散防止器具あり」では、0、0.5、1、2、3、6、12時間後の計7点、「蒸散防止器具なし」は、0、0.5、1時間後の計3点で行ない、各点3回ずつ測定した。唾液アミラーゼ活性値の初期値は40kU/Lであったが、コントロールでは実験開始後に急激に唾液アミラーゼ活性値が上昇し、1時間後には初期値に比べ、35%も増加した。それに対して,「蒸散防止器具あり」では、唾液アミラーゼ活性値は比較的安定しており、蒸発防止の効果が認められた。図4は、結果を図示した。図中、○は蒸散防止器具ありの場合であり、△はコントロールである。
【0022】
以上の実験で、被験者の唾液中に存在するα-アミラーゼ活性を分析するために、毛細管現象を利用して唾液を採取する器具において、唾液採取部を被覆するような被覆物を取り付けることによって唾液の蒸発を防止するための蒸発防止器具を用いれば、簡単な構造の蒸散防止器具をテストストリップの先端にセットするだけで、採取した唾液検体の蒸発防止が実現でき、唾液採取から分析までの時間を自由に選ぶことが可能となる。その結果、一台の分析装置本体で,何名分の唾液検体でも随時に分析可能となり、高価な分析装置本体を複数台準備することが不要となる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
アミラーゼ活性等の生化学物質活性の測定に使用する測定キット,特に被検者の唾液などの検体中アミラーゼ活性測定のための測定キットとして,健康・医療分野で利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】蒸散防止器具の構成
【図1−2】蒸散防止器具の構成
【図2】蒸散防止器具の使用概念
【図3】蒸散防止器具の外観
【図4】蒸散防止器具とコントロールの唾液アミラーゼ活性の経時変化
【図5】蒸散防止器具(一体成型カバー方式(蒸発防止キャップ))の概念
【符号の説明】
【0025】
1 止め具
2 特殊フィルム
3 中板
4 両面テープ(黒)
5 下板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも検体採取部を有するシート状担体の検体採取部に、生化学物質を採取し、次いで、検体中の水成分の蒸散を防ぐために、少なくとも検体採取部を水成分不透過性の部材で作られた被覆物で被覆し、その後、被覆を開放して、検体採取部と試薬との接触をおこし、検体検出反応を導く、生化学物質の濃度及び/又は活性の測定方法。
【請求項2】
前記被覆手段が、以下から選ばれる請求項1に記載の生化学物質の濃度及び/又は活性の測定方法。
1)吸盤方式の平面状シートで検体採取部を覆うこと。
2)粘着剤方式の平面状シートで検体採取部を覆うこと。
3)キャップで検体採取部を覆うこと。
4)検体採取部を有するシート状担体全体を気密性袋又は容器内におくこと。
【請求項3】
少なくとも上下2枚の平面状シートの間にシート状担体を挟むことによる請求項2の方法。
【請求項4】
平面状シートの少なくとも1面に少なくとも検体採取部を目視可能な透明部を有する請求項2又は3の方法。
【請求項5】
平面状シートの検体採取部に相応するシート部に、空隙又は凹部がある請求項2〜4の何れか一に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも上下2枚を重ねてなる平面状シートであって、上下平面状シートのいずれかに、その1方向に少なくとも検体採取部を有するシート状担体の検体採取部を挿入可能な空隙又は凹部があり、検体採取部を有するシート状担体の検体採取部を挿入装填後に、上下平面状シートを気密状態で接触可能であり、シート状担体の検体採取部の水成分の蒸散が軽減可能な、検体採取部を有するシート状担体の検体採取部の水成分の蒸散防止器具。
【請求項7】
平面状シートの少なくとも1面に少なくとも検体採取部を目視可能な透明部を有する請求項6の蒸散防止器具。
【請求項8】
水成分不透過性の部材の下板シートの上に、1方向にシート状担体の検体採取部を挿入装填可能な空隙又は凹部を持つ中板シートが接着され、シート状担体の検体採取部を挿入装填後に気密的に中板と接触可能な上板シートで構成される請求項6又は7の蒸散防止器具。
【請求項9】
接着が、両面テープで行われる請求項8の蒸散防止器具。
【請求項10】
気密的に中板と接触可能な上板シートが、吸盤方式である請求項8又は9の蒸散防止器具。
【請求項11】
少なくとも検体採取部を有するシート状担体と、請求項1〜5の何れか一に記載の方法に使う検体採取部を覆う手段又は請求項6〜10の何れか一に記載の蒸散防止器具が組み合わされた試薬キット。


【図4】
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【図1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−24734(P2007−24734A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−209304(P2005−209304)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【出願人】(304042869)有限会社バイオ情報研究所 (2)
【出願人】(501428246)共信株式会社 (2)
【Fターム(参考)】