説明

生地成形枠仮設用帯体

【課題】練り粉からなる生地を、タルト型のトレイの形状に応じた大きさに成形できるようにして、余分な生地が殆ど発生しないようにした生地充填枠仮設用帯体を提供する。
【解決手段】厚みを有する帯体であって、帯体の両端が重なるように環状に塑性変形させて、練り粉からなる生地の成形枠11aを仮設するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タルト生地の成形に使用して好適な生地成形枠仮設用帯体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タルト生地は、小麦粉をバター、砂糖、黄身、バニラオイル等と混ぜ合わせた練り粉からなる生地を一定厚みの形状、例えば円形に成形して、タルト型と呼ばれる底の浅いトレイ内に配置し、オーブンで焼き上げて作られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
練り粉からなる生地は、一定厚みに成形したものをタルト型のトレイ内に配置する際に、一定厚みに成形した生地をトレイに敷き詰め、トレイの縁で余分な生地を切り取っている。この余分な生地は再利用するものの、短時間での作業が重要視されるが生地品質の低下は避けられず、歩留りが悪いという問題がある。
【0004】
また、タルト型のトレイは、略円形で、小径のものから大径のものまで、複数種類作られているので、タルト型のトレイ内に配置する作業において、練り粉からなる生地をトレイの径に合うように丁度いい大きさに成形することは難しく、タルト生地を製造する作業者の習熟が必要であった。
【0005】
本願発明は、練り粉からなる生地を、タルト型のトレイ内に配置する作業で、トレイの形状に応じた大きさにするとともに、焼き上がりに最重要な生地を均一の厚さにする成形を短時間で容易にできるようにして、余分な生地が殆ど発生しないようにした生地成形枠仮設用帯体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、厚みを有する帯体であって、帯体の両端が重なるように環状に塑性変形させて、練り粉からなる生地の成形枠を仮設することを特徴とする生地成形枠仮設用帯体である。
【0007】
また、請求項2に記載の発明において、前記帯体は、軸部が塑性変形する金属線であって、該金属線が湾曲可能な樹脂材で被覆されてなる請求項1に記載の生地成形枠仮設用帯体である。
【0008】
また、請求項3に記載の発明において、前記樹脂材は、軸孔を有する筒体であって、前記金属線の長手方向の両側に湾曲可能な一対の金属帯を配置して前記軸孔内に挿通されてなる請求項1に記載の生地成形枠仮設用帯体である。
【0009】
また、請求項4に記載の発明において、前記樹脂材は、断面が四角形であるとともに長手方向に沿う1組の対向面が平面である請求項1〜3のいずれか1項に記載の生地成形枠仮設用帯体である。
【0010】
また、請求項5に記載の発明において、前記樹脂材は、前記長手方向に沿う1組の対向面の別の1組の対向面が長手方向に沿って山と谷が交互に連続する曲面である請求項4に記載の生地成形枠仮設用帯体である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の帯体は、練り粉からなる生地の成形枠をタルト型のトレイの形状に応じた大きさに仮設できるので、タルト型のトレイ内に生地を敷き詰めてトレイ内に配置する際に、生地の品質低下を防ぐ上で最重要な厚みの成形が短時間ででき、余分な部分として切り取られる生地が殆ど発生しないものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1の斜視図である。
【図2】(a)は、図1の一部の平面図、(b)は、図1の一部の正面図、(c)は、(b)における実施例1のA−A断面図である。
【図3】本発明の実施例1の使用例における第1工程の斜視図である。
【図4】本発明の実施例1の使用例における第2工程の斜視図である。
【図5】本発明に係るタルト型のトレイ内に生地を敷き詰めた状態の斜視図である。
【図6】本発明の実施例1の帯体の径を3段階に調整した状態の斜視図である。
【図7】本発明の実施例2の帯体の断面図である。
【図8】本発明の実施例3の帯体の一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施例1を図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施例1の斜視図、図2(a)は、図1の一部の平面図、(b)は、図1の一部の正面図、(c)は、(b)のA−A断面図、図3は、本発明の実施例1の使用例における第1工程の斜視図、図4は、本発明の実施例1の使用例における第2工程の斜視図、図5は、本発明に係るタルト型のトレイ内に生地を敷き詰めた状態の斜視図、図6は、本発明の実施例1の生地成形枠用帯体の径を複数段階(図6では3段階)に調整した状態の斜視図である。
【0015】
図1〜図2において、本発明の実施例1の生地成形枠用帯体1aは、インサート成形により塑性変形する金属線2を樹脂材3で包んで固化させ一体化したものである。塑性変形する金属線2としては、アルミニウム線を樹脂チューブに挿通させて樹脂被覆させたチューブ入りアルミニウム線を使用した。金属線2としては、アルミニウム線の単線でもよいし、アルミニウム線を樹脂コーティングして使用してもよい。
【0016】
成形された生地成形枠用帯体1aは、軸部が塑性変形する金属線2であって、金属線2が湾曲可能な樹脂材3で被覆された構成である。ここでは、樹脂材3としてシリコンゴムを使用した。
【0017】
生地成形枠用帯体1aにおいて、シリコンゴムからなる樹脂材3は、断面が四角形であるとともに長手方向に沿う1組の対向面が平面に成形され、テーブルや作業台等の平面上に安定して載置することができる。
【0018】
また、樹脂材3は、長手方向に沿う1組の対向面の別の1組の対向面が長手方向に沿って山と谷が交互に連続する波形の曲面に成形されている。生地成形枠用帯体1aにおける波形の曲面は、後述するタルト型トレイの内側面に適合した形状が望ましい。
【0019】
次に、図1、図3〜図6を参照して本発明の実施例1の使用例を、タルト生地を作る場合を例として説明する。
【0020】
例えば、図示しないボール(容器)にバター、砂糖、黄身、バニラオイル等を混ぜておき、さらに、小麦粉を加え、ひとかたまりになるまで混ぜて練り粉からなる生地10を作っておく。
【0021】
実施例1では、作りたい大きさのタルト生地が、先ず、径の大きい21cmの径のタルト型トレイに適合した生地10を成形する場合について説明する。
【0022】
先ず、第1工程として、21cmの径のタルト型トレイ13の周囲に生地成形枠用帯体1を巻き付けるように配置して、帯体1の両端が重なるように環状に塑性変形させて、練り粉からなる生地10の成形枠11aを仮設し、トレイ13を取り除いておく。そして、仮設した成形枠11aの中に生地10を置く。
【0023】
次に、第2工程として、仮設した成形枠11aの中で生地10を延ばす。そして、生地10の上に麺棒12を置き、軽く転がすようにして生地10を延ばし平らになるように成形する。生地10が成形されたら、最終工程として、平らに成形された生地10をタルト型のトレイ13の上面に敷き詰めて、トレイ13の縁で余分な生地を切り取る。
【0024】
そして、トレイ13の底と内周面に一定の厚みで延し、生地10の底に穴10aを複数あけ生地10が膨らむのを防ぎ、オーブンで焼き上げてタルト生地14を作る。
【0025】
図1〜図5に示した実施例1では、仮設した成形枠11aは、径の大きい21cmの径のタルト型のトレイ13に適合した大きさのものを例として説明したが、以下に図6を参照して、段階的に径の小さい生地10の成形を行っていく場合について説明する。
【0026】
図6において、生地成形枠用帯体1aは、大きい21cmの径のタルト型のトレイ13に適合した大きさの成形枠11aを使用して生地10の成形が終了してから、やや径の小さい一般的な18cmの中間径の図示しないタルト型のトレイに適合した生地10を成形する場合について説明する。この場合も、生地成形枠用帯体1aを中間径の図示しないタルト型トレイの周囲に巻き付けるように配置して、帯体1の両端が重なる位置を調節して成形枠11bをやや小さく仮設する。以下の作業は、成形枠11aで説明した場合と同様であるので、その説明は省略する。
【0027】
また、さらに径の小さい15cmの小径の図示しないタルト型のトレイに適合した生地10を成形する場合も、生地成形枠用帯体1aを小径の図示しないタルト型トレイの周囲に巻き付けるように配置して、帯体1aの両端が重なる位置を調節して成形枠11cをさらに小さく仮設する。以下の作業も成形枠11aで説明した場合と同様であるので説明は省略する。
【0028】
このように、生地成形枠用帯体1aは、タルト型のトレイ13の大きさに応じた成形枠に容易に変更して仮設できるので、タルト型のトレイ内に、練り粉からなる生地を敷き詰めてトレイ内に配置する際に余分な生地が殆ど発生しないようにすることができる。
【実施例2】
【0029】
実施例2の生地成形枠用帯体1bは、実施例1の生地成形枠用帯体1aと内部構造が異なる他は、実施例1と同じである。即ち、実施例2の斜視図は図1と同じであり、また、実施例2の平面図及び一部の正面図は、図2(a)(b)と同じである。そして、実施例2における内部構造のみが、図2(c)の断面図と異なるので、ここでは、実施例1の図2(c)に対応する断面図を図7に示し、実施例2の内部構造ついてのみ説明する。
【0030】
図7において、実施例2の生地成形枠用帯体1bは、実施例1と同様に厚みを有する帯体である。そして、塑性変形する金属線2、四角い軸孔15aを有する湾曲可能な樹脂材15、及び、湾曲可能な一対の金属帯4とから構成されている。
【0031】
湾曲可能な樹脂材15は、シリコンゴム製の長尺な四角い筒体であって、四角い軸孔15aが設けられている。軸孔15a内には、金属線2の長手方向の両側に湾曲可能な一対の金属帯4を配置して、各金属帯4の幅広の面と厚み部分が四角い軸孔15aの内面にそれぞれ当接するようにして軸孔15a内に挿通されている。
【0032】
そして、一対の金属帯4と交差する両側の面が平面に成形され、一対の金属帯4と並行する両側の面が長手方向に沿って山と谷が交互に連続する波形の曲面に成形されている。金属線2としては、実施例1と同様に、例えばアルミニウム線が適用でき、また、湾曲可能な金属帯4としては、スチール帯、ステンレス帯を適用することができる。
【0033】
生地成形枠用帯体1bを使用する場合、一対の金属帯4と交差する長手方向の両側の平面が上下面となるようにテーブルや作業台等の平面上に載置する。この場合、一対の金属帯4は、幅広の面が立設されるので、生地成形枠用帯体1bの両端を重ねるように環状に塑性変形させて生地成形枠を仮設することができる。
【実施例3】
【0034】
実施例3の生地成形枠用帯体1cは、実施例1の生地成形枠用帯体1aと外観の形状が異なるが、内部構造は、実施例1と同じであるので、ここでは、実施例3の生地成形枠用帯体1cの外観の形状を図8に示し、実施例3の外観の形状ついてのみ説明する。
【0035】
実施例3の生地成形枠用帯体1cにおいて、湾曲可能な樹脂材23は断面が長方形であって、長手方向に沿う2組の対向面が全て平面に成形されている。したがって、生地成形枠用帯体1cは、径方向の長さが長い面を上下面として低い高さで使用したり、径方向の長さが短い面を上下面として高い高さで使用することで、2通りに高さを変えて使用することができる。
【0036】
なお、実施例1では、生地充填枠用帯体を使用してタルト生地を作る場合を例として説明したが、この他にも、生地充填枠用帯体は、クッキー、ビスケット、パイ等、焼き型を使用してオーブンにより焼く材料であれば、適用できるものである。
【符号の説明】
【0037】
1a,1b,1c 生地充填枠用帯体
2 金属線
3,15,23 樹脂材
4 金属帯
10 生地
10a 穴
11a,11b,11c 成形枠
12 麺棒
13 トレイ
14 タルト生地
15a 四角い軸孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚みを有する帯体であって、帯体の両端が重なるように環状に塑性変形させて、練り粉からなる生地の成形枠を仮設することを特徴とする生地成形枠仮設用帯体。
【請求項2】
前記帯体は、軸部が塑性変形する金属線であって、該金属線が湾曲可能な樹脂材で被覆されてなる請求項1に記載の生地成形枠仮設用帯体。
【請求項3】
前記樹脂材は、軸孔を有する筒体であって、前記金属線の長手方向の両側に湾曲可能な一対の金属帯を配置して前記軸孔内に挿通されてなる請求項1に記載の生地成形枠仮設用帯体。
【請求項4】
前記樹脂材は、断面が四角形であるとともに長手方向に沿う1組の対向面が平面である請求項1〜3のいずれか1項に記載の生地成形枠仮設用帯体。
【請求項5】
前記樹脂材は、前記長手方向に沿う1組の対向面の別の1組の対向面が長手方向に沿って山と谷が交互に連続する曲面である請求項4に記載の生地成形枠仮設用帯体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−160743(P2011−160743A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28404(P2010−28404)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【特許番号】特許第4568373号(P4568373)
【特許公報発行日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(510040927)
【Fターム(参考)】