説明

生成流の処理のための方法

本発明は、1種以上のオレフィン、水素、一酸化炭素、二酸化炭素及び1種以上のオキシジェネートを含む生成流の処理のための方法であって、該生成流を以下の式によって表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物と接触させることを含む方法を提供する。
(1) H2N-OR1、及び
(2) H2N-NR2R3
式中:
R1、R2及びR3はそれぞれ、H及び炭素を含有する置換基から独立に選択され得る。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は生成流の処理のための方法に関し、より詳細には自動熱分解プロセスからの生成流の処理のための方法に関する。
【0002】
自動熱分解は、炭化水素フィードが酸素と混合され、自動熱分解触媒上を通過するオレフィンへの経路である。燃焼は触媒表面で開始され、該反応物を処理温度まで上げ、吸熱分解プロセスを行うのに必要な熱は現場で生成される。そのようなプロセスは、例えば欧州特許第332289B号、第529793B号、第709446A号明細書及びWO 00/14035に記載されている。
該自動熱分解プロセスは、典型的に1種以上のオレフィン、水素、一酸化炭素及び二酸化炭素を含むガス状生成流を製造する。さらに、該生成流は、通常はアルカン、例えばメタン、水、ジエン、例えばブタジエン、アセチレン、オキシジェネート及び芳香族化合物、例えばナフタレン及びトルエンも含む。
【0003】
該オキシジェネートは、カルボン酸、エステル、アルデヒド及びケトン、特にアルデヒドなどの化合物を含有するカルボニル基を含む。一般的には、そのようなオキシジェネートを比較的早期に分離及び精製工程で除去するのが望ましく、これは例えば水素、一酸化炭素及び二酸化炭素などの成分から該生成オレフィンを分離する前に、該自動熱分解プロセスからの生成流に適用される必要がある。一部のオキシジェネート除去は、生成流を洗浄水と接触させることによって達成され得るが、水単独ではオキシジェネート除去に特別有効ではない。
錯体形成を介するアルデヒドなどのオキシジェネートを分離するための重亜硫酸ナトリウムの使用も先行技術で良く知られており、例えば米国特許第3,816,478号、第5,157,205号又は第6,037,516号明細書に記載されている。しかし、二酸化炭素も含有するガス状流にこれを適用するには克服しなければならない問題がある。
【0004】
特に、重亜硫酸塩溶液は本質的に二酸化硫黄の蒸気圧を提供する。該二酸化硫黄の蒸気圧は、他の要因の中でも該溶液のpHに依存する。高いpHでは、二酸化硫黄の蒸気圧は最小限に抑えられるが、二酸化炭素が処理されるガス状流に存在するときは、この高いpHこそ、二酸化炭素が炭酸塩又は重炭酸塩を重亜硫酸溶液に形成する要因となり得る。該炭酸塩形成はより低いpHで操作することによって回避することができるが、該溶液のpHが減少するにつれて気相における二酸化硫黄の蒸気圧が増加する。
該二酸化硫黄は、該生成流の処理に従来から必要な下流の処理工程、例えば二酸化炭素の除去、及び存在する場合は酸素の除去又はアセチレンの除去のための任意の触媒プロセスに有害となり得る。
従って、重亜硫酸に対する代替方法が、二酸化炭素も含むガス状流からオキシジェネートを除去するのに必要なときに望まれる。
【0005】
ここで、オキシジェネートが特定の窒素含有化学種の使用によって除去され得ることが見出された。
従って、第一の特徴では、本発明は、1種以上のオレフィン、水素、一酸化炭素、二酸化炭素及び1種以上のオキシジェネートを含む生成流の処理のための方法であって、該生成流を以下の式によって表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物と接触させることを含む方法を提供する。
(1) H2N-OR1、及び
(2) H2N-NR2R3
式中:
R1、R2及びR3はそれぞれ、H及び炭素を含有する置換基から独立に選択され得る。
【0006】
理論によって結論付けられることを望まないが、式(1)及び式(2)の化合物の主要な特徴は"H2N-X"の存在であると考えられており、式中、XはO又はNであり、これは任意のカルボニル基含有オキシジェネートのカルボニル基と迅速に反応し、水を除去して"C=N-X"基(C及びXは示されていない他の基に結合している)を含有する対応化合物を形成する反応性水素を提供する。
それにも関わらず、(1)に関して、該化合物は、好ましくはヒドロキシルアミン(R1はH)又はアルコキシアミン(R1はアルキル)、例えばメトキシアミン、エトキシアミン又はプロポキシアミンである。最も好ましくは、R1はHであり、(1)はヒドロキシルアミンである。
(2)に関しては、該化合物はヒドラジン又は置換されたヒドラジンである。
【0007】
R2及びR3は、好ましくはH、アルキル基、アリール基及びケチル基から独立に選択される。好ましいケチル基は、存在する場合は式C(O)NR4R5のものであり、式中、R4はH又はアルキルであり、R5はH、アルキル又はNH2である。R2、R3、R4又はR5の1種以上がアルキル基である場合は、好ましくはメチル、エチル又はプロピルである。R2及びR3のいずれか又は両方がアリール基である場合は、好ましくはフェニルである。
最も好ましくは、R2がHである。式(2)の最も好ましい化合物は、ヒドラジン(R2及びR3 = H)、セミカルバジド(R2 = H及びR3 = C(O)NH2)及びカルボヒドラジド(R2 = H及びR3 = C(O)NHNH2)である。
最も好ましくは、該生成流が、ヒドロキシルアミン及びカルボヒドラジドから選択される少なくとも1種の化合物と接触される(これらの化合物とアセトアルデヒドの反応生成物は、それぞれオキシム(CH3CHN-OH)及びヒドラゾン(CH3CHN-NH)2CO)である)。
【0008】
該生成流は、好適には自動熱分解プロセスからの生成流である。自動熱分解反応からの該生成流は、1種以上のオレフィン、水素、一酸化炭素、二酸化炭素及び1種以上のオキシジェネートを含み、ガス状となる。該生成流は、通常はアルカン、例えばメタン、1種以上の芳香族化合物及び水も含む。
該1種以上のオレフィンは、典型的にはエテン、プロペン、ブテン及び高級オレフィンを含む。
存在し得る該芳香族化合物は、典型的にはナフタレン及びトルエンを含む。
該芳香族化合物は、典型的には百万質量部当たり10-5000部分(ppmw)の範囲の全濃度で生成流に存在する。
【0009】
本発明の生成流におけるオキシジェネートは、典型的にはアルデヒド、カルボン酸、ケトン及びエステルを含む。
存在し得る典型的なアルデヒドは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド及びシクロヘキセン由来のアルデヒドを含む。
存在し得る典型的なカルボン酸は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸及びイソ酪酸を含む。
存在し得る典型的なケトンは、アセトン、2-ブタノン、2-ペンタノン及び3-ペンタノンを含む。
存在し得る典型的なエステルは、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル及び酢酸イソブチルを含む。
【0010】
該オキシジェネートは、典型的には該生成流(処理前)において全濃度中に百万質量部当たり100-5000部分(ppmw)の範囲で存在する。
式(1)又は(2)の化合物と該生成流の接触は、いくつかの工程な方法で達成され得る。しかし、一般的には式(1)又は(2)の化合物は、前記化合物を含む水流の形態で提供され、この流れは、例えば対向流接触塔において該生成流と直接接触される。
【0011】
水流における式(1)又は(2)の化合物は、任意の好適な濃度で存在し得る。典型的には、該濃度は0.01M〜1Mの範囲、例えば0.1Mである。該化合物は、塩の形態、例えばヒドラジンヒドロクロライド及びヒドロキシルアミンクロライドで提供され得る。
本発明では、該水流が好ましくはプロセス水流であり、これはここで用いられるように、本発明の方法における反応によって形成される水として定義される。使用前に、該プロセス水流を処理して精製され得る。好適な処理工程は、有機液体成分の除去、固体の除去、及び水の酸度を調節するため(腐食問題を回避するため)の処理を含み得る。
【0012】
本発明の方法による該オキシジェネートと式(1)又は(2)の化合物の反応は、任意の好適な温度でよく、通常は少なくとも10℃、さらに好ましくは少なくとも20℃である。最大温度は、生成ガス流の凝縮温度(又はそれ以上)に依存し、それ自体も圧力依存である。典型的には、該最大温度は220℃未満、好ましくは14O℃未満、例えば80℃未満である。
該接触に最も好ましい温度は2O℃〜6O℃の範囲である。
該圧力は好ましくは5〜35bargの範囲、最も好ましくは10〜35bargの範囲である。
【0013】
本発明は、二酸化炭素の存在下におけるオキシジェネートの選択的除去を提供する。
本発明の方法のさらなる実施態様では、該生成流が液体炭化水素流とも接触され、好ましくは好適な接触用カラムにおける対向流の接触による。
該生成流と液体炭化水素流の接触は、該生成流と式(1)及び(2)によって表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物との接触より前又は同時に行われ得るが、好ましくは式(1)及び(2)によって表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物との前記接触の後に行われる。
【0014】
液体炭化水素流は、該生成流に存在する芳香族化合物を吸収する。該液体炭化水素流は、該生成流における任意の他の"重質留分"炭化水素成分を吸収し、これはC5よりも重質な成分が意味される。典型的な重質留分成分は、パラフィン系、芳香族化合物及びオレフィン系炭化水素、例えばヘキサン、トルエン、ナフタレン及びベンゼンを含む。該生成流から除去されない場合、これらの成分はその後の処理工程で蓄積しやすい。
液体炭化水素留の使用は、そのような重質留分成分が、一般的に存在する任意の水流におけるよりも該液体炭化水素流における方がより可溶であり、従って水を用いるよりも該生成流からより有効に除去されるという利点を有する。
【0015】
該液体炭化水素流はまた、該生成流に存在し得る任意の極性の弱いオキシジェネートも吸収し得る。特に、該生成流と該液体炭化水素流の接触が、該生成流が式(1)及び(2)によって表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物と接触された後に行われる場合、該液体炭化水素流は、該生成流に残り得る非カルボニル基含有オキシジェネートを吸収し得る。
該液体炭化水素流は、好ましくは40℃(大気圧)で液体である1種以上の炭化水素の流れである。従って、該液体炭化水素流は、単独の(液体)炭化水素でよい。しかし、好ましくは炭化水素の混合物が用いられる。該炭化水素は、好ましくは低い揮発性を有する。好適な混合物は、ガソリン、ディーゼル及びガスオイル、及びそのような流れに類似した特性を有する混合物である(以下では、ガソリン、ディーゼル及びガスオイルを参照し、そのような流れに類似した特性を有する混合物の参照を含む)。
【0016】
本発明の方法が自動熱分解によるオレフィンの製造方法である場合、液体炭化水素流は、好ましくは少なくとも部分的に自動熱分解プロセス自体で製造される"重質留分"炭化水素を含み、これは自動熱分解プロセスにおいて製造され且つ少なくとも40℃の沸点を有するものを意味する。
該生成流と該液体炭化水素流及び式(1)及び(2)で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物との接触は、充填型又はトレー型カラム(及び少なくとも2つの分離段階を有する)を含む単独接触塔又はそれぞれ充填型又はトレー型カラムを含む2つの離れた好適な接触塔で行われ得る。該塔は1つ以上の理論段数を有し、好ましくは1段よりも多い理論段数、さらに好ましくは5段より多い理論段数を有する。
【0017】
該生成流と該液体炭化水素流の接触は、芳香族化合物含有量が増加した第二の液体炭化水素流を生じる。
典型的には、該生成流と該液体炭化水素流の接触は、5℃〜100℃の温度、好ましくは50℃未満の温度、及び最も好ましくは15℃〜4O℃の範囲で行われる。該圧力は、好ましくは5〜35bargの範囲、及び最も好ましくは10〜35bargの範囲である。
典型的には、接触に用いられる塔(又は1つ以上ある場合は塔群)は、低い圧力低下、例えば500mbar以下を有するように設計され、圧力を処理工程中に保持する。該塔は、液体流量が、トレー型カラムの場合は溢れること無くトレー上の液体レベルを保持するか、又は充填型カラムの場合は溢れること無くパッキングの適切な湿りを保持でき、典型的には溢れる速度の20%〜80%となるように設計される。
【0018】
さらなる実施態様では、オキシジェネート(及び任意に芳香族化合物)の処理された流れが、その後に二酸化炭素除去システムに通され、そこで二酸化炭素を除去する。好ましくは、アミンに基づく二酸化炭素除去システムが用いられる。前記アミンに基づく二酸化炭素除去システムでは、該生成流が、好ましくは対向流でアミン含有流と共に好適な接触カラムで接触される。典型的には、前記接触は、70℃未満の温度で行われる。任意の好適なアミンが用いられ得る。典型的なアミンはアルカノールアミンであり、特にエタノールアミン、及びグリコールアミンである。好ましいアミンは、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、メチルジエタノールアミン(MDEA)、メタノールアミン(TEA)及びジグリコールアミン(DGA)、又はそれらの混合物である。
【0019】
驚くべきことに、アミンに基づく二酸化炭素除去システムが、該生成流における一定量の酸素に耐え得ることが見出された。酸素は予めアルカノールアミン分解に関連する(Rooney et al. Hydrocarbon Processing, July 1998, p.109-113)。ここで、より効率的な全処理プロセスが、一部の酸素がアミンに基づく二酸化炭素除去システムに通される自動熱分解反応からの生成流に残存するのを可能にすることによって達成され得ることが見出された。これは、酸素が自動熱分解生成流に存在する場合に、酸素除去システムが二酸化炭素除去の前に必要とされないか、又は必要な場合は操作の厳密が低減されるという利点を有し、これは例えば、より小さい触媒床、より安価な触媒及び/又は再生又は交換の前に酸素除去システムのより長い操作時間の使用が必要となるのを可能にし得る。
酸素除去工程が必要な場合、好適には二酸化炭素除去工程の前、該生成流が処理されてオキシジェネート(及び芳香族化合物)を除去した後に提供される。
【0020】
従って、好ましい実施態様では、本発明は、1種以上のオレフィン、水素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素及び1種以上のオキシジェネートを含む自動熱分解反応からの生成流の処理のための方法であって、
a)該生成流を以下の式で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物と接触させる工程:
(1) H2N-OR1、及び
(2) H2N-NR2R3
式中、
R1、R2及びR3はそれぞれ、H及び炭素含有置換基から独立に選択され得る、
b)工程(a)で処理された流れを酸素除去床に通し、少なくとも一部の酸素をそこで除去する工程、及び
c)工程(b)で酸素処理された流れをアミンに基づく二酸化炭素除去システムに通し、二酸化炭素を除去する工程、
を含む方法を提供する。
【0021】
好ましい化合物(1)及び(2)は上記の通りである。典型的には、該酸素除去工程は、自動熱分解反応からの該生成流がlOOOppmよりも多い酸素を含む場合に必要となるが、1000ppmよりも低い量の酸素が最初から存在する場合でも、酸素除去工程を行うことも望ましい。
該酸素除去床は、好適な酸素除去触媒を含む。好ましい酸素除去システムは、WO 2004/033598に記載されている。
該酸素除去工程が行われて本質的に存在する全ての酸素を除去し得るが、アミンに基づく二酸化炭素除去システムが一部の酸素に耐え得ることが見出されたため、該酸素除去工程は同様に簡単に操作され、該生成流における酸素を一定濃度以下、典型的にはlOOOppm以下、例えば500ppm以下に減らし得る。これは該酸素除去工程を操作する厳密性を低減するという利点を有し、例えば、より小さい触媒床、より安価な触媒及び/又は再生又は交換前に該酸素除去システムのより長い操作時間の使用が必要となることを可能にし得る。
【0022】
該酸素除去システムによる酸素除去量は、当業者に公知な任意の好適な方法で制御され得る。用いられ得る好適なパラメーターの例は滞留時間であり、これは空間速度及び酸素除去工程の温度に関連する。従って、例えば酸素の減少は、反応温度を増加させること、又は滞留時間を増加させることによって得られ得る。また、例えば、金属成分を変化させる、金属含有量を変化させる及び/又は担体構造を変化させることによって、触媒を改良して所望の酸素除去を与えることができる(例えば滞留時間を変化させることができる)。
本発明の方法から得られる流れは、1種以上のオレフィン、水素及び一酸化炭素を含み、典型的にパラフィン系炭化水素、例えばメタンでもあるが、本質的にオキシジェネート、芳香族化合物、酸素、水及び二酸化炭素を含まない。
この流れはその後の処理及び分離工程に通され、そこでオレフィンが分離され得る。
【0023】
第二の特徴では、本発明は、炭化水素フィードの自動熱分解によるオレフィン製造のための方法であって、前記炭化水素フィード及び酸素分子含有ガスを、可燃性の標準の燃料富限界超過での燃焼を支援することのできる触媒と接触させ、1種以上のオレフィン、水素、一酸化炭素、二酸化炭素及び1種以上のオキシジェネートを含む生成流を製造する工程、及びその後に該生成流を処理してそこから上記のようにオキシジェネートを除去する工程を含む方法を提供する。
好ましくは、該炭化水素フィード及び酸素分子含有ガスが、可燃性の標準の燃料富限界超過での燃焼を支援することのできる前記触媒との接触の前に、予め混合及び加熱される。該自動熱分解反応では、炭化水素の燃焼が触媒表面で開始され、吸熱分解プロセスを行ってオレフィンを製造するのに必要な温度を生成する。好ましい実施態様では、水素が該反応に共に供給される。熱生成のための水素の燃焼は、必要な炭化水素燃焼量を減らし、該方法の選択性を改善する。
【0024】
自動熱分解反応は100%未満の酸素転化率が得られ、未反応酸素が該生成流において少なくともlOppmの量で存在するように操作され得る。これは、典型的には反応の厳密性を制御すること、例えば炭化水素対酸素の比及び/又は空間速度の制御によって達成される。水素が該フィードに存在する場合、該厳密性は最も好ましくは水素対酸素の比で制御される。
100%未満の酸素転化率における操作は、自動熱分解反応におけるコーク形成を緩和するという利点を有する。理論によって結論付けられる事を望まないが、これは少なくとも一部の酸素が反応領域の全箇所に存在するという事実に関連すると考えられている。
【0025】
酸素が該生成流に存在する場合、必要に応じて、上記のように酸素除去床と接触させることによって除去され得る。
自動熱分解反応への炭化水素フィードは、フィードストックを含有する任意の好適なパラフィン系炭化水素でよい。典型的には、該炭化水素は少なくとも2個の炭素原子を有し、最も好ましくはエタン、プロパン又はブタンの1種以上である。これは実質的に純粋であるか、又は他の炭化水素及び任意の他の物質、例えばメタン、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、及びスチームとの混合物でよい。酸素分子含有ガスは好適には酸素又は空気のいずれかである。
【0026】
好ましくは、水素が、該炭化水素フィード、酸素分子含有ガス及び任意の他のフィード成分と共に該自動熱反応に供給される。好適には、水素対酸素のモル比が0.1〜3の範囲、好ましくは0.2〜2の範囲である。
該炭化水素及び酸素含有ガスは任意の好適なモル比で該触媒と接触されてよいが、但しオレフィンを含む該ATC生成流が製造される。炭化水素対酸素の好ましい化学量論比は、炭化水素の二酸化炭素及び水への完全な燃焼に必要な炭化水素対酸素の化学量論比の5〜16倍、好ましくは5〜13.5倍、好ましくは6〜10倍である。
典型的には、該反応物は、10,000 h-1barg-1より大きく、好ましくは20,000 h-1barg-1より大きく、最も好ましくは100,00O h-1barg-1より大きい圧力依存ガスの1時間当たりの空間速度で触媒上を通る。例えば、20 bargの圧力下で、ガスの1時間当たりの空間速度は、最も好ましくは2,000,000 h-1より大きい。
【0027】
自動熱分解触媒は、可燃性の標準の燃料富限界超過での燃焼を支援することのできる任意の触媒でよい。該触媒はVIII族の金属をその触媒成分として含み得る。好適なVIII族金属は、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミウム及びインジウムを含む。ロジウム、特に白金及びパラジウムが好ましい。
自動熱分解工程は、好適には600℃〜1200℃の範囲の触媒出口温度で操作され得る。好適には、該触媒出口温度は少なくとも72O℃、例えば少なくとも75O℃である。好ましくは、該自動熱分解工程は、800℃〜1050℃、最も好ましくは820℃〜1000℃の範囲の触媒出口温度で行われる。
【0028】
好ましくは、自動熱分解プロセスはlObargより大きな圧力下で操作される。好ましくは、自動熱分解プロセスは10〜40bargの圧力下、有利には20〜30barg、例えば25bargの圧力下で操作される。
該生成流は、通常は反応チャンバーから出てくると急冷され、さらなる反応が起こるのを回避し、該流れの温度は750〜600℃の温度に下げられる。急冷された生成流は続いて処理され、ここで記載されているようにオキシジェネートが除去され得る。
【0029】
〔実施例〕
一般的な実験
式(1)の化合物をオキシジェネートを含む2種の試験ガスと接触させ、3mmのシリカ球のパッキングを含有するバブラー(100ml)で行った。該バブラーは40mmの内径と200mmの高さの寸法を有し、底部にガラスフリットを備えた。該バブラーガラス製品は水浴中に部分的に浸され、これは該溶液の温度を一定値に保持するのに用いた。該バブラーの出口は、該生成流の分析のためにガスクロマトグラフに接続した。
【0030】
最初に、吸収されるオキシジェネートを含有する試験ガス混合物を、空の(充填はされた)バブラーに通した。該クロマトグラフは、3ヶ月又は6ヶ月毎の繰り返しサイクルで固定操作した。該システムは、オキシジェネートピークが期待されるフィード濃度で検出されるまで安定させた。ベースラインが確立されたら、頂部を該バブラーから除去し、試験溶液を注いで頂部を交換した。全ての実験では150mlの溶液を用い、これは、該パッキングをセンチメートル単位の深さまで完全に覆うのに十分であった。該クロマトグラフは120分以下の時間で操作し続けた。2種の試験ガスを用いた。
【0031】

【0032】
実施例1
試験ガス1は、200ml/分の速度、20℃の溶液温度で用いた。用いた溶液は:
0.1Mのヒドラジンジヒドロクロライド水溶液、
0.1Mのヒドロキシルアミンヒドロクロライド水溶液、
0.1Mのカルボヒドラジド水溶液、
水(比較例)
である。
結果を図1に示す。ヒドロキシルアミン溶液は、実験中にアセトアルデヒドの出口濃度を分析器の検出限度以下に保持した。該カルボヒドラジド及びヒドラジン溶液はまた、アセトアルデヒドの出口濃度を大きく減少させる。水は最初アセトアルデヒドを吸収したが、出口濃度はその後に非常に迅速に増加した。
【0033】
実施例2
試験ガス1は、200ml/分の速度、40℃の溶液温度で用いた。用いた溶液は:
0.1Mのヒドロキシルアミンヒドロクロライド水溶液、
0.1Mのカルボヒドラジド水溶液
である。
結果を図2に示す。両溶液は、実験中にアセトアルデヒドの出口濃度を2ppm以下に保持した。
【0034】
実施例3
試験ガス2は、200ml/分の速度、20℃の溶液温度で用いた。用いた溶液は、0.1Mのヒドロキシルアミンヒドロクロライド水溶液である。
結果を図3に示す。全4種のオキシジェネート成分の出口濃度は、全実験中に5ppm以下に保持された。
【0035】
実施例4
実施例3を繰り返したが、0.1Mのカルボヒドラジド水溶液を用いた。
結果を図4に示す。該3種のアルデヒド成分の出口濃度は、全実験中に5ppm以下に保持された。アセトンの出口濃度はわずかに高かったが、依然として終始15ppm以下であった。
【0036】
実施例5
実施例3を繰り返したが、60℃の溶液温度とした。
結果を図5に示す。全成分の吸収効率は6O℃の方が20℃よりも低かったが、全4種のオキシジェネート成分の出口濃度は、該実験の継続時間中に20ppm以下に保持された。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施例1の結果を表すグラフ。
【図2】実施例2の結果を表すグラフ。
【図3】実施例3の結果を表すグラフ。
【図4】実施例4の結果を表すグラフ。
【図5】実施例5の結果を表すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上のオレフィン、水素、一酸化炭素、二酸化炭素及び1種以上のオキシジェネートを含む生成流の処理のための方法であって、該生成流を以下の式によって表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物と接触させることを含む、方法。
(1) H2N-OR1、及び
(2) H2N-NR2R3
式中:
R1、R2及びR3はそれぞれ、H及び炭素を含有する置換基から独立に選択され得る。
【請求項2】
前記化合物が、式(1)の化合物であり且つヒドロキシルアミン又はアルコキシアミンである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記化合物がヒドロキシルアミンである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記化合物が、式(2)の化合物であり且つR2がHである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記化合物が、ヒドラジン、セミカルバジド及びカルボヒドラジドから選択される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記オキシジェネートが、前記生成流(処理前)において全濃度中に百万質量部当たり100〜5000部分(ppmw)の範囲で存在する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記生成流が、自動熱分解プロセスからの生成流である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
炭化水素フィードの自動熱分解によるオレフィンの製造方法であって、該炭化水素フィード及び酸素分子含有ガスを、可燃性の標準の燃料富限界超過での燃焼を支援することのできる触媒と接触させて、1種以上のオレフィン、水素、一酸化炭素、二酸化炭素及び1種以上のオキシジェネートを含む生成流を製造する工程、及びその後に請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法によって該生成流を処理して、そこからオキシジェネートを除去する工程を含む、方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2009−534363(P2009−534363A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505947(P2009−505947)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【国際出願番号】PCT/GB2007/001077
【国際公開番号】WO2007/119042
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(507391775)イネオス ユーロープ リミテッド (19)
【Fターム(参考)】