生物分解性ポリマーのブレンドを含む医療デバイスおよび方法
生物分解性ポリマーのブレンドから構成される埋め込み型医療デバイスおよび方法を、本明細書で開示する。本ポリマーブレンドは、ポリマー鎖が軸に沿って配向している、連続相を含む。このようなポリマーブレンドは、医療デバイスでの使用に望ましい可能性がある、向上した靭性等の特性を呈することができる。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
生物分解性ポリマーは、ごみ廃棄場の中で分解するゴミ袋から、体内で生物分解する埋め込み型医療デバイスにいたる様々な用途に使用されてきた。これらの用途の大部分は、そのようなポリマーが、生物分解を促進する最終的な使用条態にさらされる前に、好適な取り扱いおよび有用性を提供するように、十分な物理的特性および安定性を有することが必要とされる。さらに、しばしば、これらの同じポリマーは、そのような最終的な使用条態にさらされると、迅速または制御可能に生物分解することが好ましい。加えて、しばしば、埋め込み型医療デバイスのために使用される生物分解性ポリマーが、生理学的条件の下で、周辺組織を刺激しない、または損なわない材料に変換されることが所望される。当技術分野において公知の多くの生物分解性ポリマーは、特定の用途に対する必要性を満たすことが所望される、物理的および/または化学的な特性の組み合わせが不十分である。 例えば、ポリラクチドホモポリマー(例えば、ポリ−L−ラクチド;PLA)およびコポリマー(例えばポリ(L−ラクチド−co−グリコリド;PLGA)は、再吸収可能である医療デバイス(例えば、血管ステント)を作製する際の使用が評価されてきた。その訳は、そのようなポリマーが、医療デバイスの埋め込みができるように体温で十分に高い張力特性(例えば、弾性率)を提供することができ、また、体内に埋め込まれた後に生物分解することができるからである。しかしながら、埋め込み型医療デバイスでのこのようなポリラクチドの使用は、実際には、それらの脆性によって限定される。
医療デバイスを作製するための有用な特性を有する、新しい材料および方法が引き続いて必要である。
【発明の概要】
【0002】
脆性ポリマーは、時には、脆性を低減するように、使用温度でより軟かいポリマーとブレンドすることともできる。例えば、ポリラクチドホモポリマー(例えば、ポリ−L−ラクチド;PLA)およびコポリマー(例えば、ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド;PLGA)は、ポリラクチドに関連する脆性を低減するように、体温でよりやわらかい材料(例えば、ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)、および/またはポリヒドロキシブチレート)とブレンドすることができる。しかしながら、脆性の低減は、しばしば、低減された引張特性(例えば、弾性率)を犠牲にして成り立つ。
本開示は、ポリマーブレンド、および医療デバイスでの使用に好適である特性を有することができる、ポリマーブレンドの作製および使用方法を提供する。
一態様において、本開示は、ポリマーブレンドから構成される、埋め込み型医療デバイスを提供する。該ポリマーブレンドは、連続相である第一の相と、第一の連続相から分相された第二の相とを含む。第一の連続相は、少なくとも40℃のガラス転移温度を有し、かつ鎖を有する第一の生物分解性ポリマー(例えば、ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマー)を含む。第一の生物分解性ポリマーの鎖は、軸に沿って配向している第二の相は、15℃以下のガラス転移温度を有し、第二の生物分解性ポリマー(例えばポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート、およびそれらの組み合わせから成る群より選択されるポリマー)を含む。
【0003】
いくつかの実施形態において、配向軸に平行なポリマーブレンドの弾性率は、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも100%であり、配向軸に平行なポリマーブレンドの破壊歪は、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%である。
他の実施形態において、配向軸に平行なポリマーブレンドの弾性率は、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも90%であり、配向軸に平行なポリマーブレンドの破壊歪は、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、このポリマーブレンドは、ポリマーブレンドの総重量に基づいて、第二の相の少なくとも5重量%を含む。
他のある実施形態において、配向軸に平行なポリマーブレンドの弾性率は、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも80%であり、配向軸に平行なポリマーブレンドの破壊歪は、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、このポリマーブレンドは、ポリマーブレンドの総重量に基づいて、第二の相の少なくとも20重量%を含む。
【0004】
別の態様では、本開示は、埋め込み型医療デバイスを調整する方法を提供する。該方法は、ポリマーブレンドを形成するのに有効な条件の下で、鎖を有する第一の生物分解性ポリマーと、第一の生物分解性ポリマーとを含む成分をブレンド(例えば、溶融ブレンド)することを含む。該ポリマーブレンドは、連続相である第一の相と、第一の連続相から分相された第二の相とを含む。第一の連続相は、少なくとも40℃のガラス転移温度を有し、かつ第一の生物分解性ポリマーを含む。第二の相は、15℃以下のガラス転移温度を有し、かつ第二の生物分解性ポリマーを含む。該方法はさらに、延伸軸に沿って第一の生物分解性ポリマーの鎖を配向するのに有効な条件の下で、ポリマーブレンドを延伸(例えば、溶融延伸)することと、延伸したポリマーブレンドから医療デバイスを形成することとを含む。延伸したポリマーブレンドを急冷してもよい。
いくつかの実施形態において、延伸軸に平行な、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドの弾性率は、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも100%であり、延伸軸に平行な、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドの破壊歪は、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%である。
【0005】
他の実施形態において、延伸軸に平行な、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドの弾性率は、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも90%であり、延伸軸に平行な、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドの破壊歪は、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、このポリマーブレンドは、ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも第二の相の5重量%を含む。
他のある実施形態において、延伸軸に平行な、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドの弾性率は、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも80%であり、延伸軸に平行な、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドの破壊歪は、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、このポリマーブレンドは、ポリマーブレンドの総重量に基づいて、第二の相の少なくとも20重量%を含む。
医療デバイス、および開示されたデバイスを作製する方法は、少なくともいくつかの実施形態において、医療デバイスでの使用に好適であるものとして一般に受け入れられている、容易に入手可能なポリマーを使用して、所望の特性の組み合わせを得ることができるという点で有利なものとなり得る。所望の特性の組み合わせは、生物分解性、硬さ(例えば、弾性率)、強度(例えば、最大抗張力(tensile strength))、靭性(例えば、破壊歪)、およびそれらの組み合わせを含むことができる。
【0006】
「備える(comprise)」という用語およびその変形物は、これらの用語が説明および特許請求の範囲に現れる場合、限定する意味を有しない。
本明細書で使用する場合、単数形(「a」、「an」、「the」)、「少なくとも1つの」、および「1つもしくは複数」は、代替可能に使用される。
本明細書で使用する場合、「または」という用語は、概して、文脈が他に明確に示していない限り、「および/または」を含むという意味で採用される。
また、本明細書では、端点による数値的範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数字を含む(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等を含む)。
【0007】
本発明の上述の概要は、開示された本発明の各実施形態または全ての実施例を説明することを意図するものではない。以下の記述は、より具体的には、例示的実施形態を例証するものである。本出願の全体を通して複数の場所では、例示列挙により指針が提供され、それらの例示は、種々の組み合わせで使用することができる。各事例において、列挙された一覧は、代表的な群として役立つに過ぎず、排他的な一覧として解釈されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】重量分率PTMC(x軸)の関数として、未延伸PLGAおよび各未延伸PLGA:PTMCブレンドに対する、ヤング率(GPa;左y軸、黒四角)および破壊歪(%;右y軸、白四角)を示す、グラフ図である。
【図2】延伸方向に平行な、種々の延伸(%)値での、PLGAおよびPLGA:PTMCブレンドに対する、ヤング率(GPa;左y軸、黒四角)および破壊歪(%;右y軸、白四角)のグラフ図を含む。図2Aは、PLGAに対するものである。図2B〜2Hは、それぞれ、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、および40重量%のPTMC含有量を有する、PLGA:PTMCブレンドに対するものである。
【図3】種々の延伸(%)値(x軸)での、PTMC(y軸)の種々の重量分率を伴うPLGA:PTMCブレンドについて観察された、強靭化および補強をマッピングしたグラフ図である。輪で囲まれた領域は、延伸方向に平行な、2GPaを超えるヤング率、および50%を超える破壊歪を有する、ブレンドを表す。輪の外側の領域は、延伸方向に平行な、2GPa未満のヤング率、および50%未満の破壊歪を有する、ブレンドを表す。
【図4】延伸方向に垂直な、種々の延伸(%)値での、PLGAおよびPLGA:PTMCブレンドに対する、ヤング率(黒四角、左y軸)および破壊歪(白四角、右y軸)のグラフ図を含む。図4Aは、PLGAに対するものである。図4B〜4Hは、それぞれ、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、および40重量%のPTMC含有量を有する、PLGA:PTMCブレンドに対するものである。
【図5】種々の延伸(%)値(x軸)での、PTMC(y軸)の種々の重量分率を伴うPLGA:PTMCブレンドについて観察された、強靭化および補強をマッピングしたグラフ図である。上側の輪で囲まれた領域は、延伸方向に平行な、2GPaを超えるヤング率を有し、延伸方向に垂直な、1.7GPa未満のヤング率を有し、また、両方向に50%を超える破壊歪を有する、ブレンドを表す。下側の輪で囲まれた領域は、延伸方向に平行な、2GPaを超えるヤング率を有し、延伸方向に垂直な、1.7GPaを超えるヤング率を有し、また、両方向に50%を超える破壊歪を有する、ブレンドを表す。
【図6】延伸方向に平行な、種々の延伸(%)値での、80:20(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドに対する、ヤング率(GPa;黒記号、左y軸)および破壊歪(白記号、右y軸)のグラフ図を含む。図6Aは、種々のPTMC分子量(kg/モル;x軸)を示し、図6Bは、種々の混合時間(分;x軸)を示す。図6Cおよび6Dは、延伸方向に平行な、200%の延伸(%)値での、85:15(wt:wt)のPLDLLA:PCLブレンドに対する、ヤング率(GPa;黒四角、左y軸)および破壊歪(白四角、右y軸)のグラフ図を含む。図6Cは、種々の延伸温度(℃;x軸)を示し、図6Dは、種々の延伸速度(インチ/分;x軸)を示す。
【図7】種々のPTMC含有量に対する、未延伸PLGA:PTMCブレンドの微細組織を示す、透過電子顕微鏡写真である。試料は、PTMC領域を暗色領域として示すように、RuO4で着色した。図7A〜7Dは、それぞれ、10重量%、20重量%、30重量%、および40重量%PTMCに対するものである。
【図8】種々の延伸(%)値に対する、80:20(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドの広角X線散乱の線図である。X線ビームは、延伸方向に垂直である。延伸(%)値に対する白色の斑点は、100%を超える鎖配向を示した。
【図9】500%の延伸(%)で垂直に延伸した後の、80:20(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドの形態を示す、透過電子顕微鏡写真である。延伸前、PLGA:PTMC(80:20)ブレンドにおけるPTMC領域は、図7Bに示されるような、PLGA連続相の中に分散した離散的な円形の粒子であった。図9に示されるように、PLGA:PTMC(80:20)ブレンドにおけるPTMC領域は、延伸方向に細長い形状に延伸した。
【図10】蛍光標識化PTMC:PLGAブレンドに対する、種々の混合時間でのゲル浸透クロマトグラフィーの溶出容積プロットを示す図である。純粋な蛍光標識化PTMCに対する溶出曲線は、0分の混合時間として標識化した。混合試料については、より低い溶出容積(より高い分子量)で第二のピークが観察され、それは混合時間が長くなるにつれて増大した。
【図11】図11(A)溶媒ブレンドした、および図11(B)215℃で溶融ブレンドを行った、80:20(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドの断面の走査電子顕微鏡写真を示す図である。空洞は、溶媒ブレンド試料の中には明瞭に認められたが、溶融ブレンド試料の中には認められなかった。図11Cおよび11Dは、(C)延伸と平行に断面にした、および(D)延伸と垂直に断面にした、82.5:17.5(wt:wt)PLGA:PTMCブレンドの透過電子顕微鏡写真を示す図である。
【図12】図12Aは、種々の試験温度での分解時間(日;x軸)の関数として、82.5:17.5(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドの初期の分子量に正規化した分子量(y軸)のグラフ図である。図12Bは、種々の試験温度での分解時間(日;x軸)の関数として、82.5:17.5(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドの初期値に正規化した質量(y軸)のグラフ図である。試験温度は、37℃(LGT37)、55℃(LGT55)、70℃(LGT70)、および85℃(LGT85)であった。
【図13】図13Aは、種々の温度で得られた分解データ(例えば、図12A)を移行させることによって構築される、マスター分解曲線のグラフ図である。図13Bは、1/(T−Tc)の関数として、移行係数の逆対数のグラフ図である。線形関係は、PLGA:PTMCブレンドの分解が、時間−温度の重ね合せ原理に従うことを示している。
【図14】図14Aは、種々の試験温度での分解時間(日;x軸)の関数として、100%延伸した82.5:17.5(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドの初期分子量に正規化した分子量(y軸)のグラフ図である。図14Bは、種々の試験温度での分解時間(日;x軸)の関数として、100%延伸した82.5:17.5(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドの初期値に正規化した質量(y軸)のグラフ図である。試験温度は、37℃(stLGT37)、55℃(stLGT55)、70℃(stLGT70)、および85℃(stLGT85)であった。
【図15】未延伸PLGA:PTMCブレンド(円)および延伸PLGA:PTMCブレンド(四角:平行方向、三角:垂直方向)に対する、種々の分解時間(週;x軸)後の機械特性(y軸)を示すグラフ図である。黒記号は、引張弾性率(ポンド/平方インチ、PSI;左y軸)を示し、白記号は、破壊歪(%;右y軸)を示す。
【図16】どちらも延伸(%)値の関数として、図16(A)延伸方向に平行な、および図16(B)延伸方向に垂直な、85:15(wt:wt)のPLA:PCL(正方形)、85:15(wt:wt)PLA:PTMC(菱形)、および80:20(wt:wt)PLA:PTMC(三角)ブレンドの、弾性率(GPa;黒記号、左y軸)および破壊歪(%;白記号、右y軸)を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、ポリマーブレンド、および医療デバイスでの使用に好適である特性を有することができる、ポリマーブレンドの作製および使用方法を提供する。このような特性は、例えば、生物分解性、硬さ(例えば、弾性率)、強度(例えば、最大抗張力)、靭性(例えば、破壊歪)、およびそれらの組み合わせのうちの1つもしくは複数を含むことができる。
【0010】
一側面では、本開示は、ポリマーブレンドから構成される、埋め込み型医療デバイスを提供する。本明細書で使用する場合、「ポリマーブレンド」という用語は、一般的に顕微鏡的なレベルで均一である、少なくとも2つの密に混合したポリマーを指すことを意図する。
該ポリマーブレンドは、連続相である第一の相と、第一の連続相から分相された第二の相とを含む。本明細書で使用する場合、ポリマーブレンドの「相」は、顕微鏡レベルで実質的に均一、また好ましくは均一である材料(例えば、ホモポリマー、コポリマー、および/またはポリマーの混和性混合物)を含む、領域を指すことを意図する。より具体的には、「連続相」という用語は、相内の任意の点が、該相を出ることなく、該相内を他の任意の点から移動することによって到達することができる相を指すことを意図する(すなわち、点の間を移動する経路が、完全に該相内にある)。
それに応じて、連続相から「分相された」相は、1つまたは複数の他の相からの物理的境界を有する、領域を指すことを意図する。分相された相は、不連続相または別の連続相であり得る。本明細書で使用する場合、「不連続相」は、同じ組成物の複数の非接続領域を含む相を指すことを意図する。不連続相の領域は、対称的(例えば、球状)または非対称的(例えば、針状)であり得る。随意に、分相された相の非対称領域は、一方向もしくは多方向に配向することができる。ある実施形態において、分相された相は、少なくとも1.1の縦横比(すなわち、相の最大寸法を相の最小寸法で除算したもの)を有する領域をもたらすように、異方的で、1つの軸に沿って配向する(すなわち、一軸的に配向する)ことができる。他の実施形態において、分相された相は、2つの方向に配向することができる。
【0011】
ポリマーブレンドは、一般的に、ポリマーブレンドの総重量に基づいて、第二の分相された相の少なくとも0.1重量%を、ある実施形態では、ポリマーブレンドの総重量に基づいて、第二の分相された相の0.5%、1%、2%、3%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50重量%を含む。
第一の連続相は、第一の生物分解性ポリマー(例えば、ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマー)を含む。本明細書で使用する場合「生物分解性」および「生体内分解性」は、代替可能に使用され、例えば、生理学的環境に露出した際に分解する傾向のあるものを含む材料を広く包含することを意図する。ある実施形態において、第一および第二のポリマーの一方または両方は、随意に、特定の医療デバイス用途での使用を考慮することを可能にするように、十分に高い速度で分解することができる、生物分解性ポリマーである。
【0012】
一般的に、第一の生物分解性ポリマーを含む連続相は、特に、デバイスが作製され、埋め込まれ、および/または使用される高温度範囲(例えば、37℃以上)で、デバイスの機械的安定性に寄与することができる。このように、一般的に、連続相は、少なくとも40℃の、およびある実施形態では、少なくとも41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、55℃、または60℃のガラス転移温度を有する。
ある実施形態において、連続相の中に含まれる鎖を有する第一の生物分解性ポリマーは、例えば、非結晶ガラス状材料であり得、そのガラス転移温度以下で、硬くかつ脆くなり得る。本明細書で使用する場合、「硬くなる」という用語は、材料が、関心の温度で0.5GPaを超える弾性率(E)を有することを意味する。本明細書で使用する場合、「脆くなる」という用語は、材料が、10%未満の破壊歪(ε)を有することを意味する。
【0013】
様々なポリマーを第一の生物分解性ポリマーとして使用することができるが、例示的なポリマーとしては、ポリラクチド(例えば、ホモポリマーおよび/またはコポリマー)があげられるが、これに限定されない。ポリラクチドホモポリマーおよびコポリマーとしては、例えば、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド)(PDLLA)、ポリ(L−ラクチド−co−D,L−ラクチド)(PLDLLA)、ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)(PDLGA)、ポリ(ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(ラクチド−co−トリメチレンカーボネート)、ポリ(ラクチド−co−ヒドロキシブチレート)、ポリ(ラクチド−co−ジオキサン)、およびそれらの組み合わせがあげられる。
第一の生物分解性ポリマーの鎖は、軸に沿って配向している。本明細書で使用する場合、「配向した」は、X、Y、および/またはZ方向での組立体の平均的な鎖の突出のうちの少なくとも1つが、残りの1つまたは複数の突出とは異なる、異方的な鎖配向を指すことを意図する。
【0014】
ポリマーブレンドの第二の相は、第一の連続相から分相され、かつ、特に、デバイスが作製される、埋め込まれる、および/または使用される低温度範囲(例えば、25℃以下)で、一般的に、第一の連続相よりも可撓性がある。このように、分相された相は、一般的に、15℃以下の、およびある実施形態では、14℃以下、13℃以下、12℃以下、11℃以下、10℃以下、5℃以下、0℃以下、−5℃以下、または−10℃以下のガラス転移温度を有する。
【0015】
ある実施形態において、第二の分相された相の中に含まれる第二の生物分解性ポリマーは、例えば、そのガラス転移温度以上ではゴム状である、非結晶ポリマーであり得る。本明細書で使用する場合、「ゴム状」という用語は、材料が、関心の温度で0.5GPa未満の弾性率(E)を有することを意味する。ある実施形態において、第二の生物分解性ポリマーは、例えば、室温でゴム状の材料であり得る。
様々なポリマーを第二の生物分解性ポリマーに使用することができるが、例示的なポリマーとしては、ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート、ポリジオキサン、およびそれらの組み合わせがあげられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、配向軸に平行なポリマーブレンドの弾性率は、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも100%であり、配向軸に平行なポリマーブレンドの破壊歪は、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%である。
他の実施形態において、配向軸に平行なポリマーブレンドの弾性率は、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも90%であり、配向軸に平行なポリマーブレンドの破壊歪は、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、本ポリマーブレンドは、本ポリマーブレンドの総重量に基づいて、第二の相の少なくとも5重量%を含む。
【0016】
他のある実施形態において、配向軸に平行なポリマーブレンドの弾性率は、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも80%であり、配向軸に平行なポリマーブレンドの破壊歪は、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、本ポリマーブレンドは、本ポリマーブレンドの総重量に基づいて、第二の相の少なくとも20重量%を含む。
第一の生物分解性ポリマーの弾性率および破壊歪は、以下の方法によって特定することができる。十分に乾燥させた生物分解性ポリマーは、膜を形成するのに有効な時間にわたって、好適な温度でプレス成形することができる。一般的に、膜の厚さは、0.5mm〜1mmである。一般的に、好適な温度は、ポリマーが流れるようにするには十分高いが、成形時間にわたってポリマーの実質的な分解を生じさせるほど高いものではない温度である。微小引張棒(ASTM D1708)は、膜からダイカッターで切断して、引張試験を行うことができる。
延伸され、ある実施形態では急冷した、配向軸に平行なポリマーブレンド膜の弾性率および破壊歪は、以下の方法によって決定することができる。一般的に、膜の厚さは、0.5mm〜1mmである。微小引張棒(ASTM D1708)は、微小引張棒の長軸を、延伸方向に平行に整列させ、膜からダイカッターで切断することができる。次いで、微小引張棒は、ASTM D1708に従って試験を行うことができる。
配向軸に平行なポリマーブレンドの弾性率は、一般的に、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも80%、90%、100%、110%、または125%である。配向軸に平行なポリマーブレンドの破壊歪は、一般的に、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%、130%、140%、150%、200%、300%、500%、1000%、または2000%である。
【0017】
ある実施形態において、配向軸に垂直な方向のポリマーブレンドの弾性率および破壊歪は、配向軸に平行なポリマーブレンドの弾性率および破壊歪とは異なり得る(すなわち、本ポリマーブレンドは、異方特性を呈する)。ある実施形態において、少なくとも1つの配向軸に垂直な方向のポリマーブレンドの弾性率および破壊歪は、埋め込み型医療デバイスでの使用に十分であり得る。
延伸され、ある実施形態では急冷した、配向軸に垂直なポリマーブレンド膜の弾性率および破壊歪は、以下の方法によって決定することができる。一般的に、膜の厚さは、0.5mm〜1mmである。微小引張棒(ASTM D1708)は、微小引張棒の長軸を、延伸方向に垂直に整列させ、膜からダイカッターで切断することができる、次いで、微小引張棒は、ASTM D1708に従って試験を行うことができる。
配向軸に垂直な方向のポリマーブレンドの弾性率は、一般的に、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%である。配向軸に垂直な方向のポリマーブレンドの破壊歪は、一般的に、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも100%、200%、300%、500%、1000%、または2000%である。
【0018】
第一および第二の生物分解性ポリマーに加えて、本明細書で説明されるようなポリマーブレンドは、相容化剤(例えば、コポリマー)、可塑剤、接合促進剤、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、他の更なる成分を含むことができる。
別の態様において、本開示は、埋め込み型医療デバイスを調製する方法を提供する。該方法は、ポリマーブレンドを形成するのに有効な条件の下で、鎖を有する第一の生物分解性ポリマーと、第一の生物分解性ポリマーとを含む成分をブレンド(例えば、溶融ブレンド)することを含む。該ポリマーブレンドは、連続相である第一の相と、第一の連続相から分相された第二の相とを含む。第一の連続相は、少なくとも40℃のガラス転移温度を有し、かつ第一の生物分解性ポリマーを含む。第二の相は、15℃以下のガラス転移温度を有し、かつ第二の生物分解性ポリマーを含む。該方法はさらに、延伸軸に沿って第一の生物分解性ポリマーの鎖を配向するのに有効な条件の下で、ポリマーブレンドを延伸(例えば、溶融延伸)することと、延伸したポリマーブレンドから医療デバイスを形成することとを含む。延伸ポリマーブレンドを急冷してもよい。
【0019】
いくつかの実施形態において、延伸軸に平行な、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドの弾性率は、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも100%であり、延伸軸に平行な、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドの破壊歪は、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%である。
他の実施形態において、延伸軸に平行な、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドの弾性率は、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも90%であり、延伸軸に平行な、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドの破壊歪は、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、本ポリマーブレンドは、本ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも第二の相の5重量%を含む。
他のある実施形態において、延伸軸に平行な、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドの弾性率は、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも80%であり、延伸軸に平行な、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドの破壊歪は、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、本ポリマーブレンドは、本ポリマーブレンドの総重量に基づいて、第二の相の少なくとも20重量%を含む。
【0020】
第一および第二の生物分解性ポリマーに加えて、溶融ブレンドされる成分のうちの1つもしくは複数の成分は、例えば、様々な添加剤のうちの1つもしくは複数の添加剤、および、特に、例えば充填剤(例えば、粒子、繊維、および/または血小板材料を含む)、他のポリマー(例えば、より高い弾性率をもたらし得る、ポリテトラフルオロエチレン等のポリマー粒子状材料)、撮像粒子状材料(例えば、例えば蛍光X線透視法を使用して、材料配置を可視化するための硫酸バリウム)、生物学的に誘導された材料(例えば、骨粒子、軟骨、脱灰骨基質、血小板ゲル、およびそれらの組み合わせ)、およびそれらの組み合わせ等の、粒子状添加剤を含むことができる。他の添加剤としては、生物活性剤、疎水性表面に対する湿潤性を向上させるための湿潤剤、酸化安定性を向上させる酸化防止剤、色または放射線不透過性を付与する染料または顔料、可塑剤、溶媒、安定器、相容化剤(例えば、コポリマー)、および接合促進剤があげられるが、これらに限定されない。添加剤は、本ブレンド内に溶解、懸濁、および/または分散させることができる。粒子状の添加剤について、その添加剤を、一般的に本ブレンド内に分散させる。
第一の生物分解性ポリマーおよび第二の生物分解性ポリマーを(本明細書で説明されるように)含む成分は、第一の生物分解性ポリマーを含む連続相と、第二の生物分解性ポリマーを含む分相された相とを形成するのに有効な条件の下でブレンドされる。例えば、溶融ブレンド、溶媒ブレンド、乾燥粉末混合、固体剪断粉砕、および/または超臨界二酸化炭素の中での混合を含む、様々なブレンド方法を使用することができる。
【0021】
本明細書で使用する場合、「溶融ブレンド」という用語は、少なくとも1つの成分が溶融して、応力下で流れることができる温度での混合を含むことを意味する。溶融ブレンドは、例えば分散および/または分配を含む、様々な方法を使用して行うことができる。混合は、例えば、単純な剪断機、バンバリー混合機、シングルまたはツインスクリュー押出機、ヘリコーン混合機、多方向回転混合機、またはそれらの組み合わせを使用して行うことができる。
第一の生物分解性ポリマーを含む連続相と、第二の生物分解性ポリマーを含む分相された相とを形成するのに有効な、特定の溶融ブレンド条件は、混合のために選択される生物分解性ポリマーの特定の組み合わせに応じて変動する。しかしながら、有効な溶融ブレンド条件は、当技術分野において公知のブレンド条件に加えて、本開示の中に含まれる説明および実施例に照らして、当業者に明らかになるであろう。例えば、Polymer Alloys and Blends:Thermodynamics and Rheology;Utracki,Ed.,Hanser Publishers, New York(1990)を参照されたい。
【0022】
ある実施形態について、第一の成分は、1つもしくは複数のポリラクチドホモポリマーおよび/またはコポリマーを含み、第二の成分は、ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート、およびポリジオキサンのうちの1つもしくは複数を含む。そのようなある実施形態について、1つもしくは複数のポリラクチドホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む連続相と、ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート、およびポリジオキサンを含む分相された相とを形成するのに有効な溶融ブレンド条件は、一般的に、60℃〜250℃(およびある実施形態では、60℃〜230℃)の温度、毎分10回転(rpm)〜300rpmの混合速度(混合デバイスに依存する)、1分〜1時間にわたる時間を含む。
いくつかの実施形態において、第一の生物分解性ポリマーおよび第二の生物分解性ポリマーを溶融ブレンドするために使用される条件は、反応ブレンドをもたらすのに有効になり得る。本明細書で使用する場合、「反応ブレンド」という用語は、混合中に1つもしくは複数の新しい成分が生成される方法を指すことを意図する。例えば、ポリ(メチルメタクリレート)およびビスフェノールAポリカーボネートの反応ブレンドは、コポリマーの形成をもたらし得る。
【0023】
ある実施形態において、PLGAおよびPTMCを溶融ブレンドするために使用する条件は、PLGAのエステル基とPTMCのカーボネート基との間に鎖セグメント交換をもたらす、エステル交換反応をもたらすのに有効であり得る。鎖セグメント交換は、ブロックコポリマーPLGA:PTMCの形成をもたらし得る。この反応は、鎖内にランダムに生る場合があるので、結果として生じるコポリマーは、ランダムな多重ブロックコポリマーになる場合がある。このようなコポリマーの現場(in situ)形成は、そのようなコポリマーを(例えば、相容化剤として)別々に調整する、潜在的に困難および/または高価な方法を、潜在的に回避することができるという点で有利であり得る。
第一の生物分解性ポリマーおよび第二の生物分解性ポリマーを溶融ブレンドするために使用される条件が、第一のポリマーのセグメントおよび第二のポリマーのセグメントを有するコポリマーの形成に有効である実施形態について、該コポリマーは、第一のポリマーを含む領域と、第二のポリマーを含む領域との間の界面において、場所を選好することができる。このようなコポリマーは、領域間の界面で、場所を選好することができるので、コポリマーは、例えば、領域間の界面接合強度を増大させる、および/または分散領域サイズ、すなわちブレンドの靭性を向上させることができる効果を低減させる、界面活性剤に類似した形で作用することができる。
【0024】
第一の生物分解性ポリマーおよび第二の生物分解性ポリマーを(本明細書で説明されるように)含む成分はまた、溶融ブレンドによってブレンドすることができる。溶媒ブレンドは、一般的に、溶媒の中の各ポリマーを溶解または分散させ、次いで、ポリマーの溶液または分散液から溶媒を除去することを含む。一般的に、ブレンドされる各ポリマーを溶解または分散させるように、同じ溶媒が使用される。代替として、各ポリマーを溶解または分散させるように、異なる溶媒を使用してもよい。一般的に、各溶媒は、他の溶媒の中に少なくとも部分的に溶解する。一般的に、溶液または分散液は、各ポリマーの0.1%〜99.9重量%を含む。例えば、テトラヒドロフラン(THF)クロロホルム、塩化メチレン、およびそれらの組み合わせを含む、様々な溶媒を使用することができる。好ましくは、溶媒は、減圧下での除去を可能にするのに十分な揮発性を有する。
第一の生物分解性ポリマーおよび第二の生物分解性ポリマーを(本明細書で説明されるように)含む成分はまた、超臨界二酸化炭素を使用してブレンドすることができる。
連続相および(本明細書で説明されるように)分相された相を有するポリマーブレンドは、第一の生物分解性ポリマーの鎖を延伸軸に沿って配向するのに有効な条件の下で延伸することができる。延伸は、1つもしくは複数の溶融延伸、冷延伸、およびそれらの組み合わせを含むことができる。本明細書で使用する場合、「溶融延伸」という用語は、材料のTgの、またはそれを超える温度での材料の延伸を含むことを意味する。本明細書で使用する場合、「冷延伸」という用語は、材料のTgの、またはそれ未満の温度での材料の延伸を含むことを意味する。延伸は、ブレンドと同時および/またはその後に起こり得る。
【0025】
延伸は、例えば、一軸延伸、二軸延伸、押出、射出成形、吹込成形、吹込膜、およびそれらの組み合わせを含む、様々な方法を使用して行うことができる。延伸軸に沿って第一の生物分解性ポリマーの鎖を配向するのに有効な延伸条件は、一般的に、1超〜100の延伸率を含み、その延伸率は、延伸後の延伸軸に沿った長さを、延伸前の同じ軸に沿った長さで除算して定められる。延伸は、延伸(%)として好都合に報告することができ、(延伸率−1)の100倍に等しい。延伸は、試料の破壊を回避するように選択された速度で実行される。一般的に、延伸速度(単位時間あたりの延伸率)は、最高で毎分20、いくつかの実施形態では最高で毎分10、そしてある実施形態では最高で毎分5である。ある実施形態において、延伸は、生物分解性ポリマーのうちの少なくとも1つのTgまたはそれを超える温度で行われる。一般的に、延伸は、室温(例えば、25℃)またはそれを超える温度で行われる。延伸は、いくつかの実施形態では180℃以下の温度で、ある実施形態では150℃以下の温度で、そしていくつかの実施形態では100℃以下の温度で実行される。
【0026】
延伸ポリマーブレンドは、急冷してもよい。本明細書で使用する場合、「急冷する」という用語は、鎖配向が固定または凍結状態になる温度への試料の冷却を含むことを意味する。ある実施形態において、急冷は、第一の生物分解性ポリマーの鎖の延伸軸に沿った配向の保持を支援することができる。急冷は、例えば、流体(ガスまたは液体)との接触、固体との接触、液体への浸漬、およびそれらの組み合わせを含む、様々な方法を使用して行うことができる。
第一の生物分解性ポリマーの鎖の延伸軸に沿った配向を保持するのに有効な急冷条件は、一般的に、鎖配向が、緩和によって実質的に低下しない程度の、十分に高い冷却速度を含む。一般的な冷却速度は、50℃/分〜100℃/秒の速度を含む。
ある実施形態について、第一の成分は、1つもしくは複数ポリラクチドホモポリマーおよび/またはコポリマーを含み、第二の成分は、ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート、およびポリジオキサンのうちの1つもしくは複数を含む。そのようなある実施形態について、延伸軸に沿って不連続相を配向するのに有効な延伸条件は、一般的に、1.5〜5の延伸率を含み、その延伸率は、延伸後の延伸軸に沿った長さを、延伸前の同じ軸に沿った長さで除算して定められる。延伸は、延伸(%)として好都合に報告することができ、(延伸率−1)の100倍に等しい。延伸は、試料の破壊を回避するように選択された速度で実行される。一般的に、延伸速度(単位時間あたりの延伸率)は、毎分1.1〜毎分10である。ある実施形態において、延伸は、生物分解性ポリマーのうちの少なくとも1つのTgまたはそれを超える温度で行われる。一般的に、延伸は、60℃〜100℃の温度で行われる。そのようなある実施形態について、不連続相の配向の少なくとも一部を保持するのに有効な急冷条件は、一般的に、10℃/秒〜100℃/秒の冷却速度を含む。
【0027】
ある実施形態において、(本明細書で説明されるように)延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドは、さらなる処理を伴わずに、医療デバイスを形成することができる。例えば、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドは、調製された通り、ステントの形態になり得る。代替として、医療デバイスを形成するように、付加的な処理ステップを使用してもよい。例えば、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドは、例えばステント等の医療デバイスを形成するように、押出成形または吹込成形することができる。
ある実施形態において、(本明細書に開示されるように)延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドは、医療デバイス、好ましくは生物分解性医療デバイスを形成するように成形することができる。延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドは、圧縮形成、射出成形、鋳造、押出加工、ミリング、吹込成形、またはそれらの組み合わせを含む、当技術分野において公知の方法によって成形することができる。本明細書で使用する場合、「医療デバイス」は、それらの動作中に、組織、骨、血液、または他の体液と接触する表面を有し、流体は、その後に患者の体内で使用される、デバイスを含む。これは、例えば、その後に患者に戻される血液と接触する、血液酸素供給器、血液ポンプ、血液センサ、血液を運ぶために使用される管系等の、手術で使用する体外デバイスを含むことができる。これはまた、血管または心臓の中に埋め込まれる、血管グラフト、ステント、ペースメーカリード、心臓弁等の、ヒトまたは動物の体の中の血液との接触部の中に埋め込まれる内部プロテーゼを含むことができる。これはまた、監視または修復のために血管または心臓の中に配置される、カテーテル、案内ワイヤ等の、一時的な血管内使用のためのデバイスを含むことができる。
いくつかの実施形態において、(本明細書で説明されるように)延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドは、ある医療デバイスに有用である、物理的特性(例えば、機械特性)を有する。
【0028】
本発明は、以下の実施例によって示される。特定の実施例、材料、量、および手順は、本明細書に記載されるような本発明の範囲および趣旨に従って、広く解釈されるべきであることを理解されたい。
【0029】
実施例
材料:特に明記しない限り、実施例における全ての部品、パーセンテージ、比率等は、重量を基準とする。Mnは、数平均分子量を表し、Mwは、重量平均分子量を表す。特に明記しない限り、全ての溶媒および試薬は、Sigma−Aldrich Corp.,St.Louis,MOから入手したものである、または入手することができる。
ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)(PLGA;85:15の乳酸:グリコール酸のモル比;5〜7の固有粘度)は、RESOMER LG857の商品名で、Boehringer Ingelheim(Ingelheim、Germany)から入手した。ポリ(L−ラクチド−co−D,L−ラクチド)(PLDLLA;70:30のL−ラクチド:D,L−ラクチドのモル比;5.5〜6.5の固有粘度)は、RESOMER LR708の商品名で、Boehringer Ingelheim(Ingelheim、Germany)から入手した。ポリ(L−ラクチド−co−ε−カプロラクトン)(PLC;70:30のL−ラクチド:ε−カプロラクトンのモル比;1.2〜1.8の固有粘度)は、RESOMER LC703の商品名で、Boehringer Ingelheim(Ingelheim、Germany)から入手した。ポリカプロラクトン(PCL;CAS番号24980−41−4;80,000の平均Mn)は、製品No.440744として、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)から入手した。ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC;200〜300の平均Mw;1.5の多分散指数(PDI))は、Zhang他のBiomaterials,26:2089−2094(2005)で開示されているものに類似した方法によって調製した。
【0030】
ブレンドの調製:小規模なPLGA:PTMCブレンド(わずか50cm3)は、RHEOMIX 600Pの商品名でThermo Scientific(Walther,MA)から入手でき、Brabender型ブレードを備えた、Haake PolyLabバッチ混合機で作製した。これらのブレンドは、機械特性および分解特性を研究するために使用した。乾燥成分は、57℃で18時間、乾燥剤乾燥機で予備混合した。この予備混合物は、該混合機の中に送給し、180℃〜215℃で7〜8分間、毎分50〜100の回転数(rpm)のブレード回転速度で溶融混合した。試料は、該混合機から取り込み、水分への露出を回避するように、密閉容器の中で周囲温度に冷却できるようにした。
大規模なPLGA:PTMCブレンド(3kg超)は、RHEOMEX PTW25の商品名でThermo Scientific(Walther,MA)から入手できる、Haake PolyLabツインスクリュー押出機で作製した。スクリューの直径(D)は、25mmであり、スクリューの長さ/バレル直径(L/D比)は、40であった。
【0031】
試験手順:ブレンド試料は、熱間プレス機(Wabasa、USA)を使用して、シート状に圧縮した。試料(20グラム)は、正方形の金属フレーム上の2つのポリテトラフルオロエチレン膜(15cm×15cm×0.1cm)の間に配置し、そして予熱した熱間プレス機(225℃)に転送して、2分間加温した。次いで、圧縮力(7MPaの圧力に相当)をさらに2分間印加して、該圧縮力を解放し、そしてこれらの試料をプレス機で室温まで急冷し、複数のシートを得た。
これらのシートは、長方形の断片(5cm×3.8cm)に切断した。いくつかの試料は、未延伸試料の機械試験のために直接使用した。他の試料は、引張試験機器(MTS、MN)の中に装填した。グリップおよび試料は、加熱室に収容して、75℃で平衡に到達するまで10分間加熱した。2つのグリップ間のゲージ長さは、2.5cmに設定し、装填した試料は、25.4cm/分の速度で、所望の延伸率に延伸した。これらの試料は、次いで、水浸漬によって、または水に浸した紙との接触によって直ちに急冷し、延伸して急冷した試料を得た。
【0032】
微小引張棒(ASTM D1708)は、延伸方向に平行および垂直の両方向において、延伸して急冷したシートからダイカッターで切断した。引張試験は、室温で、MTS引張機器によって2.54cm/分のクロスヘッド速度で行った。降伏点は、最大弾性率の後の2%歪みとして決定した。
ブレンド試料の微細組織の形態は、走査型電子顕微鏡(SEM、Jeol5900)および透過型電子顕微鏡(TEM、Jeol1210)の両方によって評価した。走査型電子顕微鏡について、形態は、試料の破面から特定した。破砕は、剪断変形を防止するように、液体窒素の中で行った。試料表面は、静電気を防止するように、5nmの金の層で被覆した。透過型電子顕微鏡について、試料は、厚さ50nmに薄切りにした(Leica)。これらの薄片は、20分間、閉じた瓶の中で、0.5重量%のRuO4水溶液の上に薄片を懸下することによって、RuO4蒸気で染色した。
【0033】
鎖配向は、X線散乱試験によって評価した。評価には、0.8mmのビームコリメータを伴うBruker−AXS Microdiffractometer、および15.1cmの試料〜検出器の距離を使用した。データは、30°の2θ範囲で、0°〜30°の2θ値に中心があり、また60秒の露出時間を伴う、領域検出器を使用して得た。
試料の熱転移特性は、示差走査熱量測定(DSC)(Pyris1、PekinElmer)を使用して評価した。試料は、一般的に、40℃/分で2回走査した。第二の走査は、信号対ノイズ比を向上させるために使用した。
材料分解試験は、熱間プレスした膜から切断した円板試料(直径12.5mmおよび厚さ0.75mm)で行った。個々の円板は、37℃で、リン酸緩衝水溶液(PBS、pH7.4)に浸漬した。固体試料に対する試験溶液の容積比は、少なくとも50であった。PBS溶液は、試験中に溶液のpH値(7)が変化しないことを保証するために、週1回〜月1回新しくした。試料は、移動相としてテトラヒドロフラン(THF)を使用して、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(5ミクロンカラムのPhenogelを備えたAgilent1100ユニット)を使用した分子量測定のために、所望の時に溶液から取り込んだ。絶対分子量は、連結光散乱(Dawn EOS、Wyattで、18の角度で測定)、および屈折率検出(Optilab DSP、Wyatt)に基づいて、全ての試料について得た。
【0034】
試験結果:0重量%〜40重量%の間で変動するPTMC含有量を伴う未延伸試料の機械特性を測定し、そして各試料に対するヤング率を計算した。図1は、重量分率PTMC(x軸)の関数として、PLGAおよび各未延伸PLGA:PTMCブレンドに対する、ヤング率(GPa;左y軸、黒四角)および破壊歪(%;右y軸、白四角)を示す。エラーバーは、3つの反復測定値から計算した標準偏差を表す。PTMC装填の増大に伴う、PLGAに対する破壊歪の5%からほぼ250%への増大は、ブレンドに対する靭性の実質的な増大を示す。しかしながら、靭性が増大するにつれて、対応するヤング率の減少が観察された。
ブレンドは、シート状に圧縮して、25.4cm/分の速度および75℃で、MTS引張機器で延伸した。延伸後、これらの試料は、氷水で直ちに室温まで急冷した(氷水に浸漬した湿紙を使用)。機械特性は、延伸方向に平行および垂直な両方向での引張試験によって評価した。図2は、延伸方向に平行な、種々の延伸(%)値での、PLGAおよびPLGA:PTMCブレンドに対する、ヤング率(GPa;左y軸、黒四角)および破壊歪(%;右y軸、白四角)のグラフ図を含む。図2Aは、PLGAに対するものである。図2B〜2Hは、それぞれ、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、および40重量%のPTMC含有量を有する、PLGA:PTMCブレンドに対するものである。エラーバーは、3つの反復測定値から計算した標準偏差を表す。全てのブレンドは、延伸(%)が増大するにつれて、延伸方向において次第に硬くなった。さらに、延伸(%)が増大するにつれて、破壊歪は、減少した。しかしながら、延伸方向に平行な弾性率および破壊歪の両方が、未延伸の純粋なPLGAのそれ(2.3GPaの弾性率および5%の破壊歪)よりもはるかに高い、広範囲のPTMC含有量および延伸(%)値が存在する。
【0035】
結果は、種々の延伸(%)値および重量分率PTMCに対する引張弾性率および破壊歪のマップに要約した。図3は、種々の延伸(%)値(x軸)での、PTMC(y軸)の種々の重量分率を伴うPLGA:PTMCブレンドについて観察された、強靭化および補強をマッピングしたグラフ図である。輪で囲まれた領域は、延伸方向に平行な、2GPaを超えるヤング率、および50%を超える破壊歪を有する、ブレンドを表す。図3は、PLGAが、ブレンドおよび延伸を組み合わせることによって、強靭化および補強を同時に行うことができることを示す。
引張試験はまた、延伸方向に垂直な方向に行われ、その結果を図4に示す。図4は、延伸方向に垂直な、種々の延伸(%)値での、PLGAおよびPLGA:PTMCブレンドに対する、ヤング率(GPa;左y軸、黒四角)および破壊歪(%、右y軸、白四角)のグラフ図を含む。図4Aは、PLGAに対するものである。図4B〜4Hは、それぞれ、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、および40重量%のPTMC含有量を有する、PLGA:PTMCブレンドに対するものである。エラーバーは、3つの反復測定値から計算した標準偏差を表す。図4に示されるように、全てのブレンドの破壊歪は、未延伸の純粋なPLGA(5%の破壊歪)と比較してかなり増大したが、弾性率は減少した。しかしながら、全てのブレンドの弾性率および破壊歪はどちらも、PTMC含有量および延伸(%)が変動するにつれて、極めてわずか変化し、これは、延伸(%)が増大するにつれて弾性率が実質的に増大する、延伸方向に平行な特性とは異なる。
【0036】
延伸に平行および垂直な方向での引張試験は、図5に示されるように組み合わせた。図5は、種々の延伸(%)値(x軸)での、PTMC(y軸)の種々の重量分率を伴うPLGA:PTMCブレンドについて観察された、強靭化および補強をマッピングしたグラフ図である。上側の輪で囲まれた領域は、延伸方向に平行な、2GPaを超えるヤング率を有し、延伸方向に垂直な、1.7GPa未満のヤング率を有し、また、両方向に50%を超える破壊歪を有する、ブレンドを表す。下側の輪で囲まれた領域は、延伸方向に平行な、2GPaを超えるヤング率を有し、延伸方向に垂直な、1.7GPaを超えるヤング率を有し、また、両方向に50%を超える破壊歪を有する、ブレンドを表す。下部の輪の中の点は、延伸方向に平行な、2.2GPaのヤング率および128%の破壊歪を有する、および延伸方向に垂直な、1.8GPaのヤング率および247%の破壊歪を有するブレンドを表す。このマップは、PLGAが、ブレンドおよび延伸を組み合わせることによって、強靭化および補強を同時に行うことができることを示す。
ブレンドの特性が、処理条件の変化に対してどれくらい敏感であるのかを特定するために、数多くの処理パラメータを変化させた。ある実施形態について、品質および処理制御には、鈍感な応答または頑健性が好まれる可能性がある。結果を図6に示す。図6Aおよび6Bは、延伸方向に平行な、種々の延伸(%)値での、80:20(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドに対する、ヤング率(GPa;黒記号、左y軸)および破壊歪(%;白記号、右y軸)のグラフ図を含む。図6Aは、種々のPTMC分子量(kg/モル;x軸)を示し、図6Bは、種々の混合時間(分;x軸)を示す。図6Cおよび6Dは、延伸方向に平行な、200%の延伸(%)値での、85:15(wt:wt)のPLDLLA:PCLブレンドに対する、ヤング率(GPa;左y軸、黒四角)および破壊歪(%;右y軸、白四角)のグラフ図を含む。図6Cは、種々の延伸温度(℃;x軸)を示し、図6Dは、種々の延伸速度(インチ/分;x軸)を示す。エラーバーは、3つの反復測定値から計算した標準偏差を表す。冷却速度を除いて、ブレンドの特性は、研究した処理パラメータに対してあまり敏感ではなかった。急冷は、より高い弾性率(硬さ)に好都合であると思われる。200%に延伸したPLDLLA:PCLブレンドの弾性率は、水で冷却(急冷)した場合、3.1GPaであった。空気で冷却(より遅い冷却)した場合、その弾性率は、1.8GPaであった。
【0037】
図7は、種々のPTMC含有量に対する、未延伸PLGA:PTMCブレンドの微細組織を示す、透過電子顕微鏡写真を表す。試料は、PTMC領域を暗色領域として示すために、RuO4で着色した。図7A〜7Dは、それぞれ、10重量%、20重量%、30重量%、および40重量%PTMCに対するものである。低PTMC含有量(例えば、10重量%)で、PTMC領域は、不連続相として存在した。高PTMC含有量(例えば、40重量%)で、PTMC相およびPLGA相は、共連続に近づいた。
これらのブレンドが延伸された後に、2つ変化が起きた。第一の変化は、X線広角散乱から明示されるように、鎖配向であった。図8は、種々の延伸(%)値に対する、80:20(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドの広角X線散乱の線図である。X線ビームは、延伸方向に垂直である。非結晶ブレンド(延伸前)は、分散的な散乱リングを有する。延伸(%)が増大するにつれて、少数の散乱スポットが現れた。延伸(%)に対する白色の斑点は、100%を超える鎖配向を示した。散乱スポットの強度は、延伸(%)とともに増大したが、これは、延伸で誘導されたブレンド内の鎖配向を示す。鎖配向は、1次元秩序構造である。X線放射は、白色スポットの出現を導く好ましい方向で散乱させた。
【0038】
マイクロメートル規模の構造変化も生じる。図9は、500%の延伸(%)で垂直に延伸した後の、80:20(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドに対する形態を示す、透過電子顕微鏡写真を示す。延伸前、PLGA:PTMC(80:20)ブレンドにおけるPTMC領域は、図7Bに示されるような、PLGA連続相の中に分散した離散的な円形の粒子であった。図9に示されるように、PLGA:PTMC(80:20)ブレンド内のPTMC領域は、延伸方向に細長い形状に延伸した。この領域延伸は、PTMC相の縦横比を増大させた。より高い縦横比を伴う分散相は、強靭化効果につながる可能性がある。
【0039】
反応ブレンド実験:第一の実験では、低分子量(ほぼ12kg/モル)のPTMC試料を誘導して、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)とともに使用される蛍光検出器によって検出することができる、標識化PTMCを与えるように、蛍光活性化合物(9−アントラセンメタノール)を使用した。その標識化PTMCは、80:20(wt:wt)のPLGA:PTMCの比率で、PLGA試料(LG857、B1、ほぼ600kg/モル)とブレンドさせた。そのブレンドは、ゲル浸透クロマトグラフィーで解析した。図10は、種々の時間にわたって混合した蛍光標識化PTMC:PLGAブレンドの、ゲル浸透クロマトグラフィーの溶出容積曲線を示す。純粋な蛍光標識化PTMCに対する溶出曲線は、0分の混合時間として標識化した。混合試料については、(より低い溶出容積、より高い分子量)での第二のピークを観察したが、混合時間が長くなるにつれて増大した。結果は、新しい材料(例えば、PTMC:PLGAコポリマー)が形成されたことを示唆している。
第二の実験は、溶融混合したブレンドおよび周囲温度で溶媒ブレンドしたブレンドの、PTMC相とPLGA相との間の接合強度の比較を行った。図11は、(A)溶媒ブレンドした、および(B)215℃で溶融ブレンドした、80:20(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドの断面の走査電子顕微鏡写真を示す図である。空洞は、溶媒ブレンド試料に明らかで、溶融ブレンド試料には明らではなかったが、これは、溶融混合したブレンドにおけるPTMC相とPLGA相との間のより高い接合強度と一致する。図11Cおよび11Dは、(C)延伸と平行に断面にした、および(D)延伸と垂直に断面にした、82.5:17.5(wt:wt)PLGA:PTMCブレンドの透過電子顕微鏡写真を示す図である。溶融ブレンド試料内の相間のより高い接合強度は、例えばエステル交換反応を通した、例えば、新しい材料(例えば、PTMC:PLGAコポリマー)の形成に起因し得る。特に、エステル交換反応は、低温で溶媒ブレンドした試料の中に容易に生じるとは予測されていなかった。
【0040】
分解試験:分解試験のための試料は、純粋なPLGA(未延伸)、純粋なPTMC(未延伸)、未延伸PLGA:PTMC(82.5:17.5)ブレンド、および1軸延伸したPLGA:PTMC(82.5:17.5)ブレンド(延伸(%)=100%)を含めた。円板試料は、PBS溶液(pH7.4)の中に配置し、そして37℃で種々の時間にわたってインキュベートした。分解媒体は、一定のpHを保つように、必要に応じて新しくした。全ての円板は、最初に計量し、紙タオルで表面の水分を吸収することによって除去し、種々の時間にわたる試験の後に計量し、そして、真空オーブンの中で、55℃で24時間乾燥した後に計量した。未延伸ブレンド試料はまた、加速劣化研究のために、55℃、70℃、および85℃でインキュベートした。
種々の温度での未延伸ブレンドの分解を図12に示す。図12Aは、種々の試験温度での分解時間(日;x軸)の関数として、82.5:17.5(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドの初期の分子量に正規化した分子量(y軸)のグラフ図である。図12Bは、種々の試験温度での分解時間(日;x軸)の関数として、82.5:17.5(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドの初期値に正規化した質量(y軸)のグラフ図である。試験温度は、37℃(LGT37)、55℃(LGT55)、70℃(LGT70)、および85℃(LGT85)であった。Mnおよび質量の測定値のより高速な変化によって示されるように、分解は、温度が高いほど高速であった。
【0041】
図13Aは、種々の温度で得られた分解データ(例えば図12A)を移行させることによって構築される、マスター分解曲線のグラフ図である。このデータ移行が、物理的に有意義であることを確認するために、移行係数(aT)の対数の逆数を、図13に、1/(T−Tc)の関数としてプロットした。基準温度Tcは、37℃とした。直線関係は、PLGA:PTMCブレンドの分解が、時間−温度の重ね合せ原理に従うことを示し、高温で短時間にわたるそのポリマーの運動プロセスは、以下の方程式に従って、低温で長時間にわたる挙動に等しいと言える。
【0042】
【数1】
【0043】
方程式中、C1およびC2は、材料固有のパラメータであり、Tcは、基準温度(本事例については37℃)である。方程式1は、次の一次形式に再編成することができる。
【0044】
【数2】
【0045】
データフィッティングは、C1=9.5およびC2=35.1を与えた。図13Aのマスター曲線は、分解が完了するために、1000日程度かかり得ることを予測している。
延伸PLGA:PTMCブレンドは、未延伸ブレンドの分解挙動に非常に類似した分解挙動を有した。図14Aは、種々の試験温度での分解時間(日;x軸)の関数として、100%延伸した82.5:17.5(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドの初期分子量に正規化した分子量(y軸)のグラフ図である。図14Bは、種々の試験温度での分解時間(日;x軸)の関数として、100%延伸した82.5:17.5(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドの初期値に正規化した質量(y軸)のグラフ図である。試験温度は、37℃(stLGT37)、55℃(stLGT55)、70℃(stLGT70)、および85℃(stLGT85)であった。
【0046】
分解が誘導した延伸および未延伸PLGA:PTMCブレンドの機械特性の変化について、ASTM D1708に従って試験を行った。試料は、種々の時点で分解試験から採取し、37℃で、水バッチ(MTSに装着)の中で引張試験を行った。図15は、未延伸PLGA:PTMCブレンド(円)および延伸PLGA:PTMCブレンド(四角:平行方向、三角:垂直方向)に対する、種々の分解時間(週;x軸)後の機械特性(y軸)を示すグラフ図である。黒記号は、引張弾性率(ポンド/平方インチ、PSI;左y軸)を示し、白記号は、破壊歪(%;右y軸)を示す。最初のうちは、延伸方向に平行な延伸試料の弾性率が、延伸方向に垂直に試験を行った弾性率および未延伸の弾性率のどちらよりも高かった。分解が進行しても、未延伸試料の弾性率は、類似したままであった。延伸試料の弾性率は、急速に減少したが、両タイプの試料の分子量および質量の損失は、非常に類似していた(例えば、図12、および図14)。全ての試料の破壊歪は、実質的に5ヵ月以内に変化しなかった。
組み合わせ補強および強靭化手法はまた、PLA:PCLブレンド(85:15、wt:wt)およびPLA:PTMCブレンド(85:15および80:20、wt:wt)に適用した。図16は、どちらも延伸(%)の関数として、(A)延伸方向に平行な、および(B)延伸方向に垂直な、弾性率(GPa;黒記号、左y軸)および破壊歪(%;白記号、右y軸)を示す。結果は、PLGA:PTMCブレンドの結果に類似していた。
【0047】
本明細書で引用される全ての特許、特許出願、および出版物、ならびに電子的に利用可能な材料の完全な開示は、本明細書に含まれるものとする。上述の説明および実施例は、理解を明確にするためにのみ与えられたものに過ぎない。そこからいかなる不要な限定も導かれない。当業者に対して明らかな変形が特許請求の範囲によって定義された本発明内に含まれるので、本発明は、示し、説明した厳密な詳細に限定されない。
【背景技術】
【0001】
生物分解性ポリマーは、ごみ廃棄場の中で分解するゴミ袋から、体内で生物分解する埋め込み型医療デバイスにいたる様々な用途に使用されてきた。これらの用途の大部分は、そのようなポリマーが、生物分解を促進する最終的な使用条態にさらされる前に、好適な取り扱いおよび有用性を提供するように、十分な物理的特性および安定性を有することが必要とされる。さらに、しばしば、これらの同じポリマーは、そのような最終的な使用条態にさらされると、迅速または制御可能に生物分解することが好ましい。加えて、しばしば、埋め込み型医療デバイスのために使用される生物分解性ポリマーが、生理学的条件の下で、周辺組織を刺激しない、または損なわない材料に変換されることが所望される。当技術分野において公知の多くの生物分解性ポリマーは、特定の用途に対する必要性を満たすことが所望される、物理的および/または化学的な特性の組み合わせが不十分である。 例えば、ポリラクチドホモポリマー(例えば、ポリ−L−ラクチド;PLA)およびコポリマー(例えばポリ(L−ラクチド−co−グリコリド;PLGA)は、再吸収可能である医療デバイス(例えば、血管ステント)を作製する際の使用が評価されてきた。その訳は、そのようなポリマーが、医療デバイスの埋め込みができるように体温で十分に高い張力特性(例えば、弾性率)を提供することができ、また、体内に埋め込まれた後に生物分解することができるからである。しかしながら、埋め込み型医療デバイスでのこのようなポリラクチドの使用は、実際には、それらの脆性によって限定される。
医療デバイスを作製するための有用な特性を有する、新しい材料および方法が引き続いて必要である。
【発明の概要】
【0002】
脆性ポリマーは、時には、脆性を低減するように、使用温度でより軟かいポリマーとブレンドすることともできる。例えば、ポリラクチドホモポリマー(例えば、ポリ−L−ラクチド;PLA)およびコポリマー(例えば、ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド;PLGA)は、ポリラクチドに関連する脆性を低減するように、体温でよりやわらかい材料(例えば、ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)、および/またはポリヒドロキシブチレート)とブレンドすることができる。しかしながら、脆性の低減は、しばしば、低減された引張特性(例えば、弾性率)を犠牲にして成り立つ。
本開示は、ポリマーブレンド、および医療デバイスでの使用に好適である特性を有することができる、ポリマーブレンドの作製および使用方法を提供する。
一態様において、本開示は、ポリマーブレンドから構成される、埋め込み型医療デバイスを提供する。該ポリマーブレンドは、連続相である第一の相と、第一の連続相から分相された第二の相とを含む。第一の連続相は、少なくとも40℃のガラス転移温度を有し、かつ鎖を有する第一の生物分解性ポリマー(例えば、ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマー)を含む。第一の生物分解性ポリマーの鎖は、軸に沿って配向している第二の相は、15℃以下のガラス転移温度を有し、第二の生物分解性ポリマー(例えばポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート、およびそれらの組み合わせから成る群より選択されるポリマー)を含む。
【0003】
いくつかの実施形態において、配向軸に平行なポリマーブレンドの弾性率は、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも100%であり、配向軸に平行なポリマーブレンドの破壊歪は、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%である。
他の実施形態において、配向軸に平行なポリマーブレンドの弾性率は、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも90%であり、配向軸に平行なポリマーブレンドの破壊歪は、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、このポリマーブレンドは、ポリマーブレンドの総重量に基づいて、第二の相の少なくとも5重量%を含む。
他のある実施形態において、配向軸に平行なポリマーブレンドの弾性率は、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも80%であり、配向軸に平行なポリマーブレンドの破壊歪は、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、このポリマーブレンドは、ポリマーブレンドの総重量に基づいて、第二の相の少なくとも20重量%を含む。
【0004】
別の態様では、本開示は、埋め込み型医療デバイスを調整する方法を提供する。該方法は、ポリマーブレンドを形成するのに有効な条件の下で、鎖を有する第一の生物分解性ポリマーと、第一の生物分解性ポリマーとを含む成分をブレンド(例えば、溶融ブレンド)することを含む。該ポリマーブレンドは、連続相である第一の相と、第一の連続相から分相された第二の相とを含む。第一の連続相は、少なくとも40℃のガラス転移温度を有し、かつ第一の生物分解性ポリマーを含む。第二の相は、15℃以下のガラス転移温度を有し、かつ第二の生物分解性ポリマーを含む。該方法はさらに、延伸軸に沿って第一の生物分解性ポリマーの鎖を配向するのに有効な条件の下で、ポリマーブレンドを延伸(例えば、溶融延伸)することと、延伸したポリマーブレンドから医療デバイスを形成することとを含む。延伸したポリマーブレンドを急冷してもよい。
いくつかの実施形態において、延伸軸に平行な、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドの弾性率は、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも100%であり、延伸軸に平行な、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドの破壊歪は、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%である。
【0005】
他の実施形態において、延伸軸に平行な、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドの弾性率は、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも90%であり、延伸軸に平行な、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドの破壊歪は、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、このポリマーブレンドは、ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも第二の相の5重量%を含む。
他のある実施形態において、延伸軸に平行な、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドの弾性率は、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも80%であり、延伸軸に平行な、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドの破壊歪は、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、このポリマーブレンドは、ポリマーブレンドの総重量に基づいて、第二の相の少なくとも20重量%を含む。
医療デバイス、および開示されたデバイスを作製する方法は、少なくともいくつかの実施形態において、医療デバイスでの使用に好適であるものとして一般に受け入れられている、容易に入手可能なポリマーを使用して、所望の特性の組み合わせを得ることができるという点で有利なものとなり得る。所望の特性の組み合わせは、生物分解性、硬さ(例えば、弾性率)、強度(例えば、最大抗張力(tensile strength))、靭性(例えば、破壊歪)、およびそれらの組み合わせを含むことができる。
【0006】
「備える(comprise)」という用語およびその変形物は、これらの用語が説明および特許請求の範囲に現れる場合、限定する意味を有しない。
本明細書で使用する場合、単数形(「a」、「an」、「the」)、「少なくとも1つの」、および「1つもしくは複数」は、代替可能に使用される。
本明細書で使用する場合、「または」という用語は、概して、文脈が他に明確に示していない限り、「および/または」を含むという意味で採用される。
また、本明細書では、端点による数値的範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数字を含む(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等を含む)。
【0007】
本発明の上述の概要は、開示された本発明の各実施形態または全ての実施例を説明することを意図するものではない。以下の記述は、より具体的には、例示的実施形態を例証するものである。本出願の全体を通して複数の場所では、例示列挙により指針が提供され、それらの例示は、種々の組み合わせで使用することができる。各事例において、列挙された一覧は、代表的な群として役立つに過ぎず、排他的な一覧として解釈されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】重量分率PTMC(x軸)の関数として、未延伸PLGAおよび各未延伸PLGA:PTMCブレンドに対する、ヤング率(GPa;左y軸、黒四角)および破壊歪(%;右y軸、白四角)を示す、グラフ図である。
【図2】延伸方向に平行な、種々の延伸(%)値での、PLGAおよびPLGA:PTMCブレンドに対する、ヤング率(GPa;左y軸、黒四角)および破壊歪(%;右y軸、白四角)のグラフ図を含む。図2Aは、PLGAに対するものである。図2B〜2Hは、それぞれ、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、および40重量%のPTMC含有量を有する、PLGA:PTMCブレンドに対するものである。
【図3】種々の延伸(%)値(x軸)での、PTMC(y軸)の種々の重量分率を伴うPLGA:PTMCブレンドについて観察された、強靭化および補強をマッピングしたグラフ図である。輪で囲まれた領域は、延伸方向に平行な、2GPaを超えるヤング率、および50%を超える破壊歪を有する、ブレンドを表す。輪の外側の領域は、延伸方向に平行な、2GPa未満のヤング率、および50%未満の破壊歪を有する、ブレンドを表す。
【図4】延伸方向に垂直な、種々の延伸(%)値での、PLGAおよびPLGA:PTMCブレンドに対する、ヤング率(黒四角、左y軸)および破壊歪(白四角、右y軸)のグラフ図を含む。図4Aは、PLGAに対するものである。図4B〜4Hは、それぞれ、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、および40重量%のPTMC含有量を有する、PLGA:PTMCブレンドに対するものである。
【図5】種々の延伸(%)値(x軸)での、PTMC(y軸)の種々の重量分率を伴うPLGA:PTMCブレンドについて観察された、強靭化および補強をマッピングしたグラフ図である。上側の輪で囲まれた領域は、延伸方向に平行な、2GPaを超えるヤング率を有し、延伸方向に垂直な、1.7GPa未満のヤング率を有し、また、両方向に50%を超える破壊歪を有する、ブレンドを表す。下側の輪で囲まれた領域は、延伸方向に平行な、2GPaを超えるヤング率を有し、延伸方向に垂直な、1.7GPaを超えるヤング率を有し、また、両方向に50%を超える破壊歪を有する、ブレンドを表す。
【図6】延伸方向に平行な、種々の延伸(%)値での、80:20(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドに対する、ヤング率(GPa;黒記号、左y軸)および破壊歪(白記号、右y軸)のグラフ図を含む。図6Aは、種々のPTMC分子量(kg/モル;x軸)を示し、図6Bは、種々の混合時間(分;x軸)を示す。図6Cおよび6Dは、延伸方向に平行な、200%の延伸(%)値での、85:15(wt:wt)のPLDLLA:PCLブレンドに対する、ヤング率(GPa;黒四角、左y軸)および破壊歪(白四角、右y軸)のグラフ図を含む。図6Cは、種々の延伸温度(℃;x軸)を示し、図6Dは、種々の延伸速度(インチ/分;x軸)を示す。
【図7】種々のPTMC含有量に対する、未延伸PLGA:PTMCブレンドの微細組織を示す、透過電子顕微鏡写真である。試料は、PTMC領域を暗色領域として示すように、RuO4で着色した。図7A〜7Dは、それぞれ、10重量%、20重量%、30重量%、および40重量%PTMCに対するものである。
【図8】種々の延伸(%)値に対する、80:20(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドの広角X線散乱の線図である。X線ビームは、延伸方向に垂直である。延伸(%)値に対する白色の斑点は、100%を超える鎖配向を示した。
【図9】500%の延伸(%)で垂直に延伸した後の、80:20(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドの形態を示す、透過電子顕微鏡写真である。延伸前、PLGA:PTMC(80:20)ブレンドにおけるPTMC領域は、図7Bに示されるような、PLGA連続相の中に分散した離散的な円形の粒子であった。図9に示されるように、PLGA:PTMC(80:20)ブレンドにおけるPTMC領域は、延伸方向に細長い形状に延伸した。
【図10】蛍光標識化PTMC:PLGAブレンドに対する、種々の混合時間でのゲル浸透クロマトグラフィーの溶出容積プロットを示す図である。純粋な蛍光標識化PTMCに対する溶出曲線は、0分の混合時間として標識化した。混合試料については、より低い溶出容積(より高い分子量)で第二のピークが観察され、それは混合時間が長くなるにつれて増大した。
【図11】図11(A)溶媒ブレンドした、および図11(B)215℃で溶融ブレンドを行った、80:20(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドの断面の走査電子顕微鏡写真を示す図である。空洞は、溶媒ブレンド試料の中には明瞭に認められたが、溶融ブレンド試料の中には認められなかった。図11Cおよび11Dは、(C)延伸と平行に断面にした、および(D)延伸と垂直に断面にした、82.5:17.5(wt:wt)PLGA:PTMCブレンドの透過電子顕微鏡写真を示す図である。
【図12】図12Aは、種々の試験温度での分解時間(日;x軸)の関数として、82.5:17.5(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドの初期の分子量に正規化した分子量(y軸)のグラフ図である。図12Bは、種々の試験温度での分解時間(日;x軸)の関数として、82.5:17.5(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドの初期値に正規化した質量(y軸)のグラフ図である。試験温度は、37℃(LGT37)、55℃(LGT55)、70℃(LGT70)、および85℃(LGT85)であった。
【図13】図13Aは、種々の温度で得られた分解データ(例えば、図12A)を移行させることによって構築される、マスター分解曲線のグラフ図である。図13Bは、1/(T−Tc)の関数として、移行係数の逆対数のグラフ図である。線形関係は、PLGA:PTMCブレンドの分解が、時間−温度の重ね合せ原理に従うことを示している。
【図14】図14Aは、種々の試験温度での分解時間(日;x軸)の関数として、100%延伸した82.5:17.5(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドの初期分子量に正規化した分子量(y軸)のグラフ図である。図14Bは、種々の試験温度での分解時間(日;x軸)の関数として、100%延伸した82.5:17.5(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドの初期値に正規化した質量(y軸)のグラフ図である。試験温度は、37℃(stLGT37)、55℃(stLGT55)、70℃(stLGT70)、および85℃(stLGT85)であった。
【図15】未延伸PLGA:PTMCブレンド(円)および延伸PLGA:PTMCブレンド(四角:平行方向、三角:垂直方向)に対する、種々の分解時間(週;x軸)後の機械特性(y軸)を示すグラフ図である。黒記号は、引張弾性率(ポンド/平方インチ、PSI;左y軸)を示し、白記号は、破壊歪(%;右y軸)を示す。
【図16】どちらも延伸(%)値の関数として、図16(A)延伸方向に平行な、および図16(B)延伸方向に垂直な、85:15(wt:wt)のPLA:PCL(正方形)、85:15(wt:wt)PLA:PTMC(菱形)、および80:20(wt:wt)PLA:PTMC(三角)ブレンドの、弾性率(GPa;黒記号、左y軸)および破壊歪(%;白記号、右y軸)を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、ポリマーブレンド、および医療デバイスでの使用に好適である特性を有することができる、ポリマーブレンドの作製および使用方法を提供する。このような特性は、例えば、生物分解性、硬さ(例えば、弾性率)、強度(例えば、最大抗張力)、靭性(例えば、破壊歪)、およびそれらの組み合わせのうちの1つもしくは複数を含むことができる。
【0010】
一側面では、本開示は、ポリマーブレンドから構成される、埋め込み型医療デバイスを提供する。本明細書で使用する場合、「ポリマーブレンド」という用語は、一般的に顕微鏡的なレベルで均一である、少なくとも2つの密に混合したポリマーを指すことを意図する。
該ポリマーブレンドは、連続相である第一の相と、第一の連続相から分相された第二の相とを含む。本明細書で使用する場合、ポリマーブレンドの「相」は、顕微鏡レベルで実質的に均一、また好ましくは均一である材料(例えば、ホモポリマー、コポリマー、および/またはポリマーの混和性混合物)を含む、領域を指すことを意図する。より具体的には、「連続相」という用語は、相内の任意の点が、該相を出ることなく、該相内を他の任意の点から移動することによって到達することができる相を指すことを意図する(すなわち、点の間を移動する経路が、完全に該相内にある)。
それに応じて、連続相から「分相された」相は、1つまたは複数の他の相からの物理的境界を有する、領域を指すことを意図する。分相された相は、不連続相または別の連続相であり得る。本明細書で使用する場合、「不連続相」は、同じ組成物の複数の非接続領域を含む相を指すことを意図する。不連続相の領域は、対称的(例えば、球状)または非対称的(例えば、針状)であり得る。随意に、分相された相の非対称領域は、一方向もしくは多方向に配向することができる。ある実施形態において、分相された相は、少なくとも1.1の縦横比(すなわち、相の最大寸法を相の最小寸法で除算したもの)を有する領域をもたらすように、異方的で、1つの軸に沿って配向する(すなわち、一軸的に配向する)ことができる。他の実施形態において、分相された相は、2つの方向に配向することができる。
【0011】
ポリマーブレンドは、一般的に、ポリマーブレンドの総重量に基づいて、第二の分相された相の少なくとも0.1重量%を、ある実施形態では、ポリマーブレンドの総重量に基づいて、第二の分相された相の0.5%、1%、2%、3%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50重量%を含む。
第一の連続相は、第一の生物分解性ポリマー(例えば、ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマー)を含む。本明細書で使用する場合「生物分解性」および「生体内分解性」は、代替可能に使用され、例えば、生理学的環境に露出した際に分解する傾向のあるものを含む材料を広く包含することを意図する。ある実施形態において、第一および第二のポリマーの一方または両方は、随意に、特定の医療デバイス用途での使用を考慮することを可能にするように、十分に高い速度で分解することができる、生物分解性ポリマーである。
【0012】
一般的に、第一の生物分解性ポリマーを含む連続相は、特に、デバイスが作製され、埋め込まれ、および/または使用される高温度範囲(例えば、37℃以上)で、デバイスの機械的安定性に寄与することができる。このように、一般的に、連続相は、少なくとも40℃の、およびある実施形態では、少なくとも41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、55℃、または60℃のガラス転移温度を有する。
ある実施形態において、連続相の中に含まれる鎖を有する第一の生物分解性ポリマーは、例えば、非結晶ガラス状材料であり得、そのガラス転移温度以下で、硬くかつ脆くなり得る。本明細書で使用する場合、「硬くなる」という用語は、材料が、関心の温度で0.5GPaを超える弾性率(E)を有することを意味する。本明細書で使用する場合、「脆くなる」という用語は、材料が、10%未満の破壊歪(ε)を有することを意味する。
【0013】
様々なポリマーを第一の生物分解性ポリマーとして使用することができるが、例示的なポリマーとしては、ポリラクチド(例えば、ホモポリマーおよび/またはコポリマー)があげられるが、これに限定されない。ポリラクチドホモポリマーおよびコポリマーとしては、例えば、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド)(PDLLA)、ポリ(L−ラクチド−co−D,L−ラクチド)(PLDLLA)、ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)(PDLGA)、ポリ(ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(ラクチド−co−トリメチレンカーボネート)、ポリ(ラクチド−co−ヒドロキシブチレート)、ポリ(ラクチド−co−ジオキサン)、およびそれらの組み合わせがあげられる。
第一の生物分解性ポリマーの鎖は、軸に沿って配向している。本明細書で使用する場合、「配向した」は、X、Y、および/またはZ方向での組立体の平均的な鎖の突出のうちの少なくとも1つが、残りの1つまたは複数の突出とは異なる、異方的な鎖配向を指すことを意図する。
【0014】
ポリマーブレンドの第二の相は、第一の連続相から分相され、かつ、特に、デバイスが作製される、埋め込まれる、および/または使用される低温度範囲(例えば、25℃以下)で、一般的に、第一の連続相よりも可撓性がある。このように、分相された相は、一般的に、15℃以下の、およびある実施形態では、14℃以下、13℃以下、12℃以下、11℃以下、10℃以下、5℃以下、0℃以下、−5℃以下、または−10℃以下のガラス転移温度を有する。
【0015】
ある実施形態において、第二の分相された相の中に含まれる第二の生物分解性ポリマーは、例えば、そのガラス転移温度以上ではゴム状である、非結晶ポリマーであり得る。本明細書で使用する場合、「ゴム状」という用語は、材料が、関心の温度で0.5GPa未満の弾性率(E)を有することを意味する。ある実施形態において、第二の生物分解性ポリマーは、例えば、室温でゴム状の材料であり得る。
様々なポリマーを第二の生物分解性ポリマーに使用することができるが、例示的なポリマーとしては、ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート、ポリジオキサン、およびそれらの組み合わせがあげられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、配向軸に平行なポリマーブレンドの弾性率は、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも100%であり、配向軸に平行なポリマーブレンドの破壊歪は、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%である。
他の実施形態において、配向軸に平行なポリマーブレンドの弾性率は、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも90%であり、配向軸に平行なポリマーブレンドの破壊歪は、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、本ポリマーブレンドは、本ポリマーブレンドの総重量に基づいて、第二の相の少なくとも5重量%を含む。
【0016】
他のある実施形態において、配向軸に平行なポリマーブレンドの弾性率は、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも80%であり、配向軸に平行なポリマーブレンドの破壊歪は、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、本ポリマーブレンドは、本ポリマーブレンドの総重量に基づいて、第二の相の少なくとも20重量%を含む。
第一の生物分解性ポリマーの弾性率および破壊歪は、以下の方法によって特定することができる。十分に乾燥させた生物分解性ポリマーは、膜を形成するのに有効な時間にわたって、好適な温度でプレス成形することができる。一般的に、膜の厚さは、0.5mm〜1mmである。一般的に、好適な温度は、ポリマーが流れるようにするには十分高いが、成形時間にわたってポリマーの実質的な分解を生じさせるほど高いものではない温度である。微小引張棒(ASTM D1708)は、膜からダイカッターで切断して、引張試験を行うことができる。
延伸され、ある実施形態では急冷した、配向軸に平行なポリマーブレンド膜の弾性率および破壊歪は、以下の方法によって決定することができる。一般的に、膜の厚さは、0.5mm〜1mmである。微小引張棒(ASTM D1708)は、微小引張棒の長軸を、延伸方向に平行に整列させ、膜からダイカッターで切断することができる。次いで、微小引張棒は、ASTM D1708に従って試験を行うことができる。
配向軸に平行なポリマーブレンドの弾性率は、一般的に、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも80%、90%、100%、110%、または125%である。配向軸に平行なポリマーブレンドの破壊歪は、一般的に、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%、130%、140%、150%、200%、300%、500%、1000%、または2000%である。
【0017】
ある実施形態において、配向軸に垂直な方向のポリマーブレンドの弾性率および破壊歪は、配向軸に平行なポリマーブレンドの弾性率および破壊歪とは異なり得る(すなわち、本ポリマーブレンドは、異方特性を呈する)。ある実施形態において、少なくとも1つの配向軸に垂直な方向のポリマーブレンドの弾性率および破壊歪は、埋め込み型医療デバイスでの使用に十分であり得る。
延伸され、ある実施形態では急冷した、配向軸に垂直なポリマーブレンド膜の弾性率および破壊歪は、以下の方法によって決定することができる。一般的に、膜の厚さは、0.5mm〜1mmである。微小引張棒(ASTM D1708)は、微小引張棒の長軸を、延伸方向に垂直に整列させ、膜からダイカッターで切断することができる、次いで、微小引張棒は、ASTM D1708に従って試験を行うことができる。
配向軸に垂直な方向のポリマーブレンドの弾性率は、一般的に、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%である。配向軸に垂直な方向のポリマーブレンドの破壊歪は、一般的に、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも100%、200%、300%、500%、1000%、または2000%である。
【0018】
第一および第二の生物分解性ポリマーに加えて、本明細書で説明されるようなポリマーブレンドは、相容化剤(例えば、コポリマー)、可塑剤、接合促進剤、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、他の更なる成分を含むことができる。
別の態様において、本開示は、埋め込み型医療デバイスを調製する方法を提供する。該方法は、ポリマーブレンドを形成するのに有効な条件の下で、鎖を有する第一の生物分解性ポリマーと、第一の生物分解性ポリマーとを含む成分をブレンド(例えば、溶融ブレンド)することを含む。該ポリマーブレンドは、連続相である第一の相と、第一の連続相から分相された第二の相とを含む。第一の連続相は、少なくとも40℃のガラス転移温度を有し、かつ第一の生物分解性ポリマーを含む。第二の相は、15℃以下のガラス転移温度を有し、かつ第二の生物分解性ポリマーを含む。該方法はさらに、延伸軸に沿って第一の生物分解性ポリマーの鎖を配向するのに有効な条件の下で、ポリマーブレンドを延伸(例えば、溶融延伸)することと、延伸したポリマーブレンドから医療デバイスを形成することとを含む。延伸ポリマーブレンドを急冷してもよい。
【0019】
いくつかの実施形態において、延伸軸に平行な、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドの弾性率は、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも100%であり、延伸軸に平行な、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドの破壊歪は、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%である。
他の実施形態において、延伸軸に平行な、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドの弾性率は、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも90%であり、延伸軸に平行な、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドの破壊歪は、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、本ポリマーブレンドは、本ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも第二の相の5重量%を含む。
他のある実施形態において、延伸軸に平行な、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドの弾性率は、第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも80%であり、延伸軸に平行な、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドの破壊歪は、第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、本ポリマーブレンドは、本ポリマーブレンドの総重量に基づいて、第二の相の少なくとも20重量%を含む。
【0020】
第一および第二の生物分解性ポリマーに加えて、溶融ブレンドされる成分のうちの1つもしくは複数の成分は、例えば、様々な添加剤のうちの1つもしくは複数の添加剤、および、特に、例えば充填剤(例えば、粒子、繊維、および/または血小板材料を含む)、他のポリマー(例えば、より高い弾性率をもたらし得る、ポリテトラフルオロエチレン等のポリマー粒子状材料)、撮像粒子状材料(例えば、例えば蛍光X線透視法を使用して、材料配置を可視化するための硫酸バリウム)、生物学的に誘導された材料(例えば、骨粒子、軟骨、脱灰骨基質、血小板ゲル、およびそれらの組み合わせ)、およびそれらの組み合わせ等の、粒子状添加剤を含むことができる。他の添加剤としては、生物活性剤、疎水性表面に対する湿潤性を向上させるための湿潤剤、酸化安定性を向上させる酸化防止剤、色または放射線不透過性を付与する染料または顔料、可塑剤、溶媒、安定器、相容化剤(例えば、コポリマー)、および接合促進剤があげられるが、これらに限定されない。添加剤は、本ブレンド内に溶解、懸濁、および/または分散させることができる。粒子状の添加剤について、その添加剤を、一般的に本ブレンド内に分散させる。
第一の生物分解性ポリマーおよび第二の生物分解性ポリマーを(本明細書で説明されるように)含む成分は、第一の生物分解性ポリマーを含む連続相と、第二の生物分解性ポリマーを含む分相された相とを形成するのに有効な条件の下でブレンドされる。例えば、溶融ブレンド、溶媒ブレンド、乾燥粉末混合、固体剪断粉砕、および/または超臨界二酸化炭素の中での混合を含む、様々なブレンド方法を使用することができる。
【0021】
本明細書で使用する場合、「溶融ブレンド」という用語は、少なくとも1つの成分が溶融して、応力下で流れることができる温度での混合を含むことを意味する。溶融ブレンドは、例えば分散および/または分配を含む、様々な方法を使用して行うことができる。混合は、例えば、単純な剪断機、バンバリー混合機、シングルまたはツインスクリュー押出機、ヘリコーン混合機、多方向回転混合機、またはそれらの組み合わせを使用して行うことができる。
第一の生物分解性ポリマーを含む連続相と、第二の生物分解性ポリマーを含む分相された相とを形成するのに有効な、特定の溶融ブレンド条件は、混合のために選択される生物分解性ポリマーの特定の組み合わせに応じて変動する。しかしながら、有効な溶融ブレンド条件は、当技術分野において公知のブレンド条件に加えて、本開示の中に含まれる説明および実施例に照らして、当業者に明らかになるであろう。例えば、Polymer Alloys and Blends:Thermodynamics and Rheology;Utracki,Ed.,Hanser Publishers, New York(1990)を参照されたい。
【0022】
ある実施形態について、第一の成分は、1つもしくは複数のポリラクチドホモポリマーおよび/またはコポリマーを含み、第二の成分は、ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート、およびポリジオキサンのうちの1つもしくは複数を含む。そのようなある実施形態について、1つもしくは複数のポリラクチドホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む連続相と、ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート、およびポリジオキサンを含む分相された相とを形成するのに有効な溶融ブレンド条件は、一般的に、60℃〜250℃(およびある実施形態では、60℃〜230℃)の温度、毎分10回転(rpm)〜300rpmの混合速度(混合デバイスに依存する)、1分〜1時間にわたる時間を含む。
いくつかの実施形態において、第一の生物分解性ポリマーおよび第二の生物分解性ポリマーを溶融ブレンドするために使用される条件は、反応ブレンドをもたらすのに有効になり得る。本明細書で使用する場合、「反応ブレンド」という用語は、混合中に1つもしくは複数の新しい成分が生成される方法を指すことを意図する。例えば、ポリ(メチルメタクリレート)およびビスフェノールAポリカーボネートの反応ブレンドは、コポリマーの形成をもたらし得る。
【0023】
ある実施形態において、PLGAおよびPTMCを溶融ブレンドするために使用する条件は、PLGAのエステル基とPTMCのカーボネート基との間に鎖セグメント交換をもたらす、エステル交換反応をもたらすのに有効であり得る。鎖セグメント交換は、ブロックコポリマーPLGA:PTMCの形成をもたらし得る。この反応は、鎖内にランダムに生る場合があるので、結果として生じるコポリマーは、ランダムな多重ブロックコポリマーになる場合がある。このようなコポリマーの現場(in situ)形成は、そのようなコポリマーを(例えば、相容化剤として)別々に調整する、潜在的に困難および/または高価な方法を、潜在的に回避することができるという点で有利であり得る。
第一の生物分解性ポリマーおよび第二の生物分解性ポリマーを溶融ブレンドするために使用される条件が、第一のポリマーのセグメントおよび第二のポリマーのセグメントを有するコポリマーの形成に有効である実施形態について、該コポリマーは、第一のポリマーを含む領域と、第二のポリマーを含む領域との間の界面において、場所を選好することができる。このようなコポリマーは、領域間の界面で、場所を選好することができるので、コポリマーは、例えば、領域間の界面接合強度を増大させる、および/または分散領域サイズ、すなわちブレンドの靭性を向上させることができる効果を低減させる、界面活性剤に類似した形で作用することができる。
【0024】
第一の生物分解性ポリマーおよび第二の生物分解性ポリマーを(本明細書で説明されるように)含む成分はまた、溶融ブレンドによってブレンドすることができる。溶媒ブレンドは、一般的に、溶媒の中の各ポリマーを溶解または分散させ、次いで、ポリマーの溶液または分散液から溶媒を除去することを含む。一般的に、ブレンドされる各ポリマーを溶解または分散させるように、同じ溶媒が使用される。代替として、各ポリマーを溶解または分散させるように、異なる溶媒を使用してもよい。一般的に、各溶媒は、他の溶媒の中に少なくとも部分的に溶解する。一般的に、溶液または分散液は、各ポリマーの0.1%〜99.9重量%を含む。例えば、テトラヒドロフラン(THF)クロロホルム、塩化メチレン、およびそれらの組み合わせを含む、様々な溶媒を使用することができる。好ましくは、溶媒は、減圧下での除去を可能にするのに十分な揮発性を有する。
第一の生物分解性ポリマーおよび第二の生物分解性ポリマーを(本明細書で説明されるように)含む成分はまた、超臨界二酸化炭素を使用してブレンドすることができる。
連続相および(本明細書で説明されるように)分相された相を有するポリマーブレンドは、第一の生物分解性ポリマーの鎖を延伸軸に沿って配向するのに有効な条件の下で延伸することができる。延伸は、1つもしくは複数の溶融延伸、冷延伸、およびそれらの組み合わせを含むことができる。本明細書で使用する場合、「溶融延伸」という用語は、材料のTgの、またはそれを超える温度での材料の延伸を含むことを意味する。本明細書で使用する場合、「冷延伸」という用語は、材料のTgの、またはそれ未満の温度での材料の延伸を含むことを意味する。延伸は、ブレンドと同時および/またはその後に起こり得る。
【0025】
延伸は、例えば、一軸延伸、二軸延伸、押出、射出成形、吹込成形、吹込膜、およびそれらの組み合わせを含む、様々な方法を使用して行うことができる。延伸軸に沿って第一の生物分解性ポリマーの鎖を配向するのに有効な延伸条件は、一般的に、1超〜100の延伸率を含み、その延伸率は、延伸後の延伸軸に沿った長さを、延伸前の同じ軸に沿った長さで除算して定められる。延伸は、延伸(%)として好都合に報告することができ、(延伸率−1)の100倍に等しい。延伸は、試料の破壊を回避するように選択された速度で実行される。一般的に、延伸速度(単位時間あたりの延伸率)は、最高で毎分20、いくつかの実施形態では最高で毎分10、そしてある実施形態では最高で毎分5である。ある実施形態において、延伸は、生物分解性ポリマーのうちの少なくとも1つのTgまたはそれを超える温度で行われる。一般的に、延伸は、室温(例えば、25℃)またはそれを超える温度で行われる。延伸は、いくつかの実施形態では180℃以下の温度で、ある実施形態では150℃以下の温度で、そしていくつかの実施形態では100℃以下の温度で実行される。
【0026】
延伸ポリマーブレンドは、急冷してもよい。本明細書で使用する場合、「急冷する」という用語は、鎖配向が固定または凍結状態になる温度への試料の冷却を含むことを意味する。ある実施形態において、急冷は、第一の生物分解性ポリマーの鎖の延伸軸に沿った配向の保持を支援することができる。急冷は、例えば、流体(ガスまたは液体)との接触、固体との接触、液体への浸漬、およびそれらの組み合わせを含む、様々な方法を使用して行うことができる。
第一の生物分解性ポリマーの鎖の延伸軸に沿った配向を保持するのに有効な急冷条件は、一般的に、鎖配向が、緩和によって実質的に低下しない程度の、十分に高い冷却速度を含む。一般的な冷却速度は、50℃/分〜100℃/秒の速度を含む。
ある実施形態について、第一の成分は、1つもしくは複数ポリラクチドホモポリマーおよび/またはコポリマーを含み、第二の成分は、ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート、およびポリジオキサンのうちの1つもしくは複数を含む。そのようなある実施形態について、延伸軸に沿って不連続相を配向するのに有効な延伸条件は、一般的に、1.5〜5の延伸率を含み、その延伸率は、延伸後の延伸軸に沿った長さを、延伸前の同じ軸に沿った長さで除算して定められる。延伸は、延伸(%)として好都合に報告することができ、(延伸率−1)の100倍に等しい。延伸は、試料の破壊を回避するように選択された速度で実行される。一般的に、延伸速度(単位時間あたりの延伸率)は、毎分1.1〜毎分10である。ある実施形態において、延伸は、生物分解性ポリマーのうちの少なくとも1つのTgまたはそれを超える温度で行われる。一般的に、延伸は、60℃〜100℃の温度で行われる。そのようなある実施形態について、不連続相の配向の少なくとも一部を保持するのに有効な急冷条件は、一般的に、10℃/秒〜100℃/秒の冷却速度を含む。
【0027】
ある実施形態において、(本明細書で説明されるように)延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドは、さらなる処理を伴わずに、医療デバイスを形成することができる。例えば、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドは、調製された通り、ステントの形態になり得る。代替として、医療デバイスを形成するように、付加的な処理ステップを使用してもよい。例えば、延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドは、例えばステント等の医療デバイスを形成するように、押出成形または吹込成形することができる。
ある実施形態において、(本明細書に開示されるように)延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドは、医療デバイス、好ましくは生物分解性医療デバイスを形成するように成形することができる。延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドは、圧縮形成、射出成形、鋳造、押出加工、ミリング、吹込成形、またはそれらの組み合わせを含む、当技術分野において公知の方法によって成形することができる。本明細書で使用する場合、「医療デバイス」は、それらの動作中に、組織、骨、血液、または他の体液と接触する表面を有し、流体は、その後に患者の体内で使用される、デバイスを含む。これは、例えば、その後に患者に戻される血液と接触する、血液酸素供給器、血液ポンプ、血液センサ、血液を運ぶために使用される管系等の、手術で使用する体外デバイスを含むことができる。これはまた、血管または心臓の中に埋め込まれる、血管グラフト、ステント、ペースメーカリード、心臓弁等の、ヒトまたは動物の体の中の血液との接触部の中に埋め込まれる内部プロテーゼを含むことができる。これはまた、監視または修復のために血管または心臓の中に配置される、カテーテル、案内ワイヤ等の、一時的な血管内使用のためのデバイスを含むことができる。
いくつかの実施形態において、(本明細書で説明されるように)延伸し、その後急冷してもよいポリマーブレンドは、ある医療デバイスに有用である、物理的特性(例えば、機械特性)を有する。
【0028】
本発明は、以下の実施例によって示される。特定の実施例、材料、量、および手順は、本明細書に記載されるような本発明の範囲および趣旨に従って、広く解釈されるべきであることを理解されたい。
【0029】
実施例
材料:特に明記しない限り、実施例における全ての部品、パーセンテージ、比率等は、重量を基準とする。Mnは、数平均分子量を表し、Mwは、重量平均分子量を表す。特に明記しない限り、全ての溶媒および試薬は、Sigma−Aldrich Corp.,St.Louis,MOから入手したものである、または入手することができる。
ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)(PLGA;85:15の乳酸:グリコール酸のモル比;5〜7の固有粘度)は、RESOMER LG857の商品名で、Boehringer Ingelheim(Ingelheim、Germany)から入手した。ポリ(L−ラクチド−co−D,L−ラクチド)(PLDLLA;70:30のL−ラクチド:D,L−ラクチドのモル比;5.5〜6.5の固有粘度)は、RESOMER LR708の商品名で、Boehringer Ingelheim(Ingelheim、Germany)から入手した。ポリ(L−ラクチド−co−ε−カプロラクトン)(PLC;70:30のL−ラクチド:ε−カプロラクトンのモル比;1.2〜1.8の固有粘度)は、RESOMER LC703の商品名で、Boehringer Ingelheim(Ingelheim、Germany)から入手した。ポリカプロラクトン(PCL;CAS番号24980−41−4;80,000の平均Mn)は、製品No.440744として、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)から入手した。ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC;200〜300の平均Mw;1.5の多分散指数(PDI))は、Zhang他のBiomaterials,26:2089−2094(2005)で開示されているものに類似した方法によって調製した。
【0030】
ブレンドの調製:小規模なPLGA:PTMCブレンド(わずか50cm3)は、RHEOMIX 600Pの商品名でThermo Scientific(Walther,MA)から入手でき、Brabender型ブレードを備えた、Haake PolyLabバッチ混合機で作製した。これらのブレンドは、機械特性および分解特性を研究するために使用した。乾燥成分は、57℃で18時間、乾燥剤乾燥機で予備混合した。この予備混合物は、該混合機の中に送給し、180℃〜215℃で7〜8分間、毎分50〜100の回転数(rpm)のブレード回転速度で溶融混合した。試料は、該混合機から取り込み、水分への露出を回避するように、密閉容器の中で周囲温度に冷却できるようにした。
大規模なPLGA:PTMCブレンド(3kg超)は、RHEOMEX PTW25の商品名でThermo Scientific(Walther,MA)から入手できる、Haake PolyLabツインスクリュー押出機で作製した。スクリューの直径(D)は、25mmであり、スクリューの長さ/バレル直径(L/D比)は、40であった。
【0031】
試験手順:ブレンド試料は、熱間プレス機(Wabasa、USA)を使用して、シート状に圧縮した。試料(20グラム)は、正方形の金属フレーム上の2つのポリテトラフルオロエチレン膜(15cm×15cm×0.1cm)の間に配置し、そして予熱した熱間プレス機(225℃)に転送して、2分間加温した。次いで、圧縮力(7MPaの圧力に相当)をさらに2分間印加して、該圧縮力を解放し、そしてこれらの試料をプレス機で室温まで急冷し、複数のシートを得た。
これらのシートは、長方形の断片(5cm×3.8cm)に切断した。いくつかの試料は、未延伸試料の機械試験のために直接使用した。他の試料は、引張試験機器(MTS、MN)の中に装填した。グリップおよび試料は、加熱室に収容して、75℃で平衡に到達するまで10分間加熱した。2つのグリップ間のゲージ長さは、2.5cmに設定し、装填した試料は、25.4cm/分の速度で、所望の延伸率に延伸した。これらの試料は、次いで、水浸漬によって、または水に浸した紙との接触によって直ちに急冷し、延伸して急冷した試料を得た。
【0032】
微小引張棒(ASTM D1708)は、延伸方向に平行および垂直の両方向において、延伸して急冷したシートからダイカッターで切断した。引張試験は、室温で、MTS引張機器によって2.54cm/分のクロスヘッド速度で行った。降伏点は、最大弾性率の後の2%歪みとして決定した。
ブレンド試料の微細組織の形態は、走査型電子顕微鏡(SEM、Jeol5900)および透過型電子顕微鏡(TEM、Jeol1210)の両方によって評価した。走査型電子顕微鏡について、形態は、試料の破面から特定した。破砕は、剪断変形を防止するように、液体窒素の中で行った。試料表面は、静電気を防止するように、5nmの金の層で被覆した。透過型電子顕微鏡について、試料は、厚さ50nmに薄切りにした(Leica)。これらの薄片は、20分間、閉じた瓶の中で、0.5重量%のRuO4水溶液の上に薄片を懸下することによって、RuO4蒸気で染色した。
【0033】
鎖配向は、X線散乱試験によって評価した。評価には、0.8mmのビームコリメータを伴うBruker−AXS Microdiffractometer、および15.1cmの試料〜検出器の距離を使用した。データは、30°の2θ範囲で、0°〜30°の2θ値に中心があり、また60秒の露出時間を伴う、領域検出器を使用して得た。
試料の熱転移特性は、示差走査熱量測定(DSC)(Pyris1、PekinElmer)を使用して評価した。試料は、一般的に、40℃/分で2回走査した。第二の走査は、信号対ノイズ比を向上させるために使用した。
材料分解試験は、熱間プレスした膜から切断した円板試料(直径12.5mmおよび厚さ0.75mm)で行った。個々の円板は、37℃で、リン酸緩衝水溶液(PBS、pH7.4)に浸漬した。固体試料に対する試験溶液の容積比は、少なくとも50であった。PBS溶液は、試験中に溶液のpH値(7)が変化しないことを保証するために、週1回〜月1回新しくした。試料は、移動相としてテトラヒドロフラン(THF)を使用して、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(5ミクロンカラムのPhenogelを備えたAgilent1100ユニット)を使用した分子量測定のために、所望の時に溶液から取り込んだ。絶対分子量は、連結光散乱(Dawn EOS、Wyattで、18の角度で測定)、および屈折率検出(Optilab DSP、Wyatt)に基づいて、全ての試料について得た。
【0034】
試験結果:0重量%〜40重量%の間で変動するPTMC含有量を伴う未延伸試料の機械特性を測定し、そして各試料に対するヤング率を計算した。図1は、重量分率PTMC(x軸)の関数として、PLGAおよび各未延伸PLGA:PTMCブレンドに対する、ヤング率(GPa;左y軸、黒四角)および破壊歪(%;右y軸、白四角)を示す。エラーバーは、3つの反復測定値から計算した標準偏差を表す。PTMC装填の増大に伴う、PLGAに対する破壊歪の5%からほぼ250%への増大は、ブレンドに対する靭性の実質的な増大を示す。しかしながら、靭性が増大するにつれて、対応するヤング率の減少が観察された。
ブレンドは、シート状に圧縮して、25.4cm/分の速度および75℃で、MTS引張機器で延伸した。延伸後、これらの試料は、氷水で直ちに室温まで急冷した(氷水に浸漬した湿紙を使用)。機械特性は、延伸方向に平行および垂直な両方向での引張試験によって評価した。図2は、延伸方向に平行な、種々の延伸(%)値での、PLGAおよびPLGA:PTMCブレンドに対する、ヤング率(GPa;左y軸、黒四角)および破壊歪(%;右y軸、白四角)のグラフ図を含む。図2Aは、PLGAに対するものである。図2B〜2Hは、それぞれ、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、および40重量%のPTMC含有量を有する、PLGA:PTMCブレンドに対するものである。エラーバーは、3つの反復測定値から計算した標準偏差を表す。全てのブレンドは、延伸(%)が増大するにつれて、延伸方向において次第に硬くなった。さらに、延伸(%)が増大するにつれて、破壊歪は、減少した。しかしながら、延伸方向に平行な弾性率および破壊歪の両方が、未延伸の純粋なPLGAのそれ(2.3GPaの弾性率および5%の破壊歪)よりもはるかに高い、広範囲のPTMC含有量および延伸(%)値が存在する。
【0035】
結果は、種々の延伸(%)値および重量分率PTMCに対する引張弾性率および破壊歪のマップに要約した。図3は、種々の延伸(%)値(x軸)での、PTMC(y軸)の種々の重量分率を伴うPLGA:PTMCブレンドについて観察された、強靭化および補強をマッピングしたグラフ図である。輪で囲まれた領域は、延伸方向に平行な、2GPaを超えるヤング率、および50%を超える破壊歪を有する、ブレンドを表す。図3は、PLGAが、ブレンドおよび延伸を組み合わせることによって、強靭化および補強を同時に行うことができることを示す。
引張試験はまた、延伸方向に垂直な方向に行われ、その結果を図4に示す。図4は、延伸方向に垂直な、種々の延伸(%)値での、PLGAおよびPLGA:PTMCブレンドに対する、ヤング率(GPa;左y軸、黒四角)および破壊歪(%、右y軸、白四角)のグラフ図を含む。図4Aは、PLGAに対するものである。図4B〜4Hは、それぞれ、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、および40重量%のPTMC含有量を有する、PLGA:PTMCブレンドに対するものである。エラーバーは、3つの反復測定値から計算した標準偏差を表す。図4に示されるように、全てのブレンドの破壊歪は、未延伸の純粋なPLGA(5%の破壊歪)と比較してかなり増大したが、弾性率は減少した。しかしながら、全てのブレンドの弾性率および破壊歪はどちらも、PTMC含有量および延伸(%)が変動するにつれて、極めてわずか変化し、これは、延伸(%)が増大するにつれて弾性率が実質的に増大する、延伸方向に平行な特性とは異なる。
【0036】
延伸に平行および垂直な方向での引張試験は、図5に示されるように組み合わせた。図5は、種々の延伸(%)値(x軸)での、PTMC(y軸)の種々の重量分率を伴うPLGA:PTMCブレンドについて観察された、強靭化および補強をマッピングしたグラフ図である。上側の輪で囲まれた領域は、延伸方向に平行な、2GPaを超えるヤング率を有し、延伸方向に垂直な、1.7GPa未満のヤング率を有し、また、両方向に50%を超える破壊歪を有する、ブレンドを表す。下側の輪で囲まれた領域は、延伸方向に平行な、2GPaを超えるヤング率を有し、延伸方向に垂直な、1.7GPaを超えるヤング率を有し、また、両方向に50%を超える破壊歪を有する、ブレンドを表す。下部の輪の中の点は、延伸方向に平行な、2.2GPaのヤング率および128%の破壊歪を有する、および延伸方向に垂直な、1.8GPaのヤング率および247%の破壊歪を有するブレンドを表す。このマップは、PLGAが、ブレンドおよび延伸を組み合わせることによって、強靭化および補強を同時に行うことができることを示す。
ブレンドの特性が、処理条件の変化に対してどれくらい敏感であるのかを特定するために、数多くの処理パラメータを変化させた。ある実施形態について、品質および処理制御には、鈍感な応答または頑健性が好まれる可能性がある。結果を図6に示す。図6Aおよび6Bは、延伸方向に平行な、種々の延伸(%)値での、80:20(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドに対する、ヤング率(GPa;黒記号、左y軸)および破壊歪(%;白記号、右y軸)のグラフ図を含む。図6Aは、種々のPTMC分子量(kg/モル;x軸)を示し、図6Bは、種々の混合時間(分;x軸)を示す。図6Cおよび6Dは、延伸方向に平行な、200%の延伸(%)値での、85:15(wt:wt)のPLDLLA:PCLブレンドに対する、ヤング率(GPa;左y軸、黒四角)および破壊歪(%;右y軸、白四角)のグラフ図を含む。図6Cは、種々の延伸温度(℃;x軸)を示し、図6Dは、種々の延伸速度(インチ/分;x軸)を示す。エラーバーは、3つの反復測定値から計算した標準偏差を表す。冷却速度を除いて、ブレンドの特性は、研究した処理パラメータに対してあまり敏感ではなかった。急冷は、より高い弾性率(硬さ)に好都合であると思われる。200%に延伸したPLDLLA:PCLブレンドの弾性率は、水で冷却(急冷)した場合、3.1GPaであった。空気で冷却(より遅い冷却)した場合、その弾性率は、1.8GPaであった。
【0037】
図7は、種々のPTMC含有量に対する、未延伸PLGA:PTMCブレンドの微細組織を示す、透過電子顕微鏡写真を表す。試料は、PTMC領域を暗色領域として示すために、RuO4で着色した。図7A〜7Dは、それぞれ、10重量%、20重量%、30重量%、および40重量%PTMCに対するものである。低PTMC含有量(例えば、10重量%)で、PTMC領域は、不連続相として存在した。高PTMC含有量(例えば、40重量%)で、PTMC相およびPLGA相は、共連続に近づいた。
これらのブレンドが延伸された後に、2つ変化が起きた。第一の変化は、X線広角散乱から明示されるように、鎖配向であった。図8は、種々の延伸(%)値に対する、80:20(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドの広角X線散乱の線図である。X線ビームは、延伸方向に垂直である。非結晶ブレンド(延伸前)は、分散的な散乱リングを有する。延伸(%)が増大するにつれて、少数の散乱スポットが現れた。延伸(%)に対する白色の斑点は、100%を超える鎖配向を示した。散乱スポットの強度は、延伸(%)とともに増大したが、これは、延伸で誘導されたブレンド内の鎖配向を示す。鎖配向は、1次元秩序構造である。X線放射は、白色スポットの出現を導く好ましい方向で散乱させた。
【0038】
マイクロメートル規模の構造変化も生じる。図9は、500%の延伸(%)で垂直に延伸した後の、80:20(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドに対する形態を示す、透過電子顕微鏡写真を示す。延伸前、PLGA:PTMC(80:20)ブレンドにおけるPTMC領域は、図7Bに示されるような、PLGA連続相の中に分散した離散的な円形の粒子であった。図9に示されるように、PLGA:PTMC(80:20)ブレンド内のPTMC領域は、延伸方向に細長い形状に延伸した。この領域延伸は、PTMC相の縦横比を増大させた。より高い縦横比を伴う分散相は、強靭化効果につながる可能性がある。
【0039】
反応ブレンド実験:第一の実験では、低分子量(ほぼ12kg/モル)のPTMC試料を誘導して、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)とともに使用される蛍光検出器によって検出することができる、標識化PTMCを与えるように、蛍光活性化合物(9−アントラセンメタノール)を使用した。その標識化PTMCは、80:20(wt:wt)のPLGA:PTMCの比率で、PLGA試料(LG857、B1、ほぼ600kg/モル)とブレンドさせた。そのブレンドは、ゲル浸透クロマトグラフィーで解析した。図10は、種々の時間にわたって混合した蛍光標識化PTMC:PLGAブレンドの、ゲル浸透クロマトグラフィーの溶出容積曲線を示す。純粋な蛍光標識化PTMCに対する溶出曲線は、0分の混合時間として標識化した。混合試料については、(より低い溶出容積、より高い分子量)での第二のピークを観察したが、混合時間が長くなるにつれて増大した。結果は、新しい材料(例えば、PTMC:PLGAコポリマー)が形成されたことを示唆している。
第二の実験は、溶融混合したブレンドおよび周囲温度で溶媒ブレンドしたブレンドの、PTMC相とPLGA相との間の接合強度の比較を行った。図11は、(A)溶媒ブレンドした、および(B)215℃で溶融ブレンドした、80:20(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドの断面の走査電子顕微鏡写真を示す図である。空洞は、溶媒ブレンド試料に明らかで、溶融ブレンド試料には明らではなかったが、これは、溶融混合したブレンドにおけるPTMC相とPLGA相との間のより高い接合強度と一致する。図11Cおよび11Dは、(C)延伸と平行に断面にした、および(D)延伸と垂直に断面にした、82.5:17.5(wt:wt)PLGA:PTMCブレンドの透過電子顕微鏡写真を示す図である。溶融ブレンド試料内の相間のより高い接合強度は、例えばエステル交換反応を通した、例えば、新しい材料(例えば、PTMC:PLGAコポリマー)の形成に起因し得る。特に、エステル交換反応は、低温で溶媒ブレンドした試料の中に容易に生じるとは予測されていなかった。
【0040】
分解試験:分解試験のための試料は、純粋なPLGA(未延伸)、純粋なPTMC(未延伸)、未延伸PLGA:PTMC(82.5:17.5)ブレンド、および1軸延伸したPLGA:PTMC(82.5:17.5)ブレンド(延伸(%)=100%)を含めた。円板試料は、PBS溶液(pH7.4)の中に配置し、そして37℃で種々の時間にわたってインキュベートした。分解媒体は、一定のpHを保つように、必要に応じて新しくした。全ての円板は、最初に計量し、紙タオルで表面の水分を吸収することによって除去し、種々の時間にわたる試験の後に計量し、そして、真空オーブンの中で、55℃で24時間乾燥した後に計量した。未延伸ブレンド試料はまた、加速劣化研究のために、55℃、70℃、および85℃でインキュベートした。
種々の温度での未延伸ブレンドの分解を図12に示す。図12Aは、種々の試験温度での分解時間(日;x軸)の関数として、82.5:17.5(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドの初期の分子量に正規化した分子量(y軸)のグラフ図である。図12Bは、種々の試験温度での分解時間(日;x軸)の関数として、82.5:17.5(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドの初期値に正規化した質量(y軸)のグラフ図である。試験温度は、37℃(LGT37)、55℃(LGT55)、70℃(LGT70)、および85℃(LGT85)であった。Mnおよび質量の測定値のより高速な変化によって示されるように、分解は、温度が高いほど高速であった。
【0041】
図13Aは、種々の温度で得られた分解データ(例えば図12A)を移行させることによって構築される、マスター分解曲線のグラフ図である。このデータ移行が、物理的に有意義であることを確認するために、移行係数(aT)の対数の逆数を、図13に、1/(T−Tc)の関数としてプロットした。基準温度Tcは、37℃とした。直線関係は、PLGA:PTMCブレンドの分解が、時間−温度の重ね合せ原理に従うことを示し、高温で短時間にわたるそのポリマーの運動プロセスは、以下の方程式に従って、低温で長時間にわたる挙動に等しいと言える。
【0042】
【数1】
【0043】
方程式中、C1およびC2は、材料固有のパラメータであり、Tcは、基準温度(本事例については37℃)である。方程式1は、次の一次形式に再編成することができる。
【0044】
【数2】
【0045】
データフィッティングは、C1=9.5およびC2=35.1を与えた。図13Aのマスター曲線は、分解が完了するために、1000日程度かかり得ることを予測している。
延伸PLGA:PTMCブレンドは、未延伸ブレンドの分解挙動に非常に類似した分解挙動を有した。図14Aは、種々の試験温度での分解時間(日;x軸)の関数として、100%延伸した82.5:17.5(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドの初期分子量に正規化した分子量(y軸)のグラフ図である。図14Bは、種々の試験温度での分解時間(日;x軸)の関数として、100%延伸した82.5:17.5(wt:wt)のPLGA:PTMCブレンドの初期値に正規化した質量(y軸)のグラフ図である。試験温度は、37℃(stLGT37)、55℃(stLGT55)、70℃(stLGT70)、および85℃(stLGT85)であった。
【0046】
分解が誘導した延伸および未延伸PLGA:PTMCブレンドの機械特性の変化について、ASTM D1708に従って試験を行った。試料は、種々の時点で分解試験から採取し、37℃で、水バッチ(MTSに装着)の中で引張試験を行った。図15は、未延伸PLGA:PTMCブレンド(円)および延伸PLGA:PTMCブレンド(四角:平行方向、三角:垂直方向)に対する、種々の分解時間(週;x軸)後の機械特性(y軸)を示すグラフ図である。黒記号は、引張弾性率(ポンド/平方インチ、PSI;左y軸)を示し、白記号は、破壊歪(%;右y軸)を示す。最初のうちは、延伸方向に平行な延伸試料の弾性率が、延伸方向に垂直に試験を行った弾性率および未延伸の弾性率のどちらよりも高かった。分解が進行しても、未延伸試料の弾性率は、類似したままであった。延伸試料の弾性率は、急速に減少したが、両タイプの試料の分子量および質量の損失は、非常に類似していた(例えば、図12、および図14)。全ての試料の破壊歪は、実質的に5ヵ月以内に変化しなかった。
組み合わせ補強および強靭化手法はまた、PLA:PCLブレンド(85:15、wt:wt)およびPLA:PTMCブレンド(85:15および80:20、wt:wt)に適用した。図16は、どちらも延伸(%)の関数として、(A)延伸方向に平行な、および(B)延伸方向に垂直な、弾性率(GPa;黒記号、左y軸)および破壊歪(%;白記号、右y軸)を示す。結果は、PLGA:PTMCブレンドの結果に類似していた。
【0047】
本明細書で引用される全ての特許、特許出願、および出版物、ならびに電子的に利用可能な材料の完全な開示は、本明細書に含まれるものとする。上述の説明および実施例は、理解を明確にするためにのみ与えられたものに過ぎない。そこからいかなる不要な限定も導かれない。当業者に対して明らかな変形が特許請求の範囲によって定義された本発明内に含まれるので、本発明は、示し、説明した厳密な詳細に限定されない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーブレンドから構成される埋め込み型医療デバイスであって、前記ポリマーブレンドは、
連続相であり、かつ鎖を有する第一の生物分解性ポリマーを含み、少なくとも40℃のガラス転移温度を有する第一の相であって、前記第一の生物分解性ポリマーの前記鎖は、軸に沿って配向している第一の相と、
前記第一の連続相から分相され、かつ第二の生物分解性ポリマーを含み、少なくとも15℃以下のガラス転移温度を有する第二の相と、
を含み、配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの弾性率は、前記第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも100%であり、
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの破壊歪は、前記第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%である、
前記埋め込み型医療デバイス。
【請求項2】
生物分解性ポリマーブレンドから構成される埋め込み型医療デバイスであって、前記ポリマーブレンドは、
連続相であり、かつ鎖を有する第一の生物分解性ポリマーを含み、少なくとも40℃のガラス転移温度を有する、第一の相であって、前記第一の生物分解性ポリマーの前記鎖は、軸に沿って配向している第一の相と、
前記第一の連続相から分相され、かつ第二の生物分解性ポリマーを含み、少なくとも15℃以下のガラス転移温度を有する、第二の相と、
を含み、配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの弾性率は、前記第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも90%であり、
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの破壊歪は、前記第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、
前記ポリマーブレンドは、前記ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも5重量%の前記第二の相を含む、
前記埋め込み型医療デバイス。
【請求項3】
生物分解性ポリマーブレンドから構成される埋め込み型医療デバイスであって、前記ポリマーブレンドは、
連続相であり、かつ鎖を有する第一の生物分解性ポリマーを含み、少なくとも40℃のガラス転移温度を有する、第一の相であって、前記第一の生物分解性ポリマーの前記鎖は、軸に沿って配向している第一の相と、
前記第一の連続相から分相され、かつ第二の生物分解性ポリマーを含み、少なくとも15℃以下のガラス転移温度を有する、第二の相と、
を含み、配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの弾性率は、前記第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも80%であり、
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの破壊歪は、前記第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、
前記ポリマーブレンドは、前記ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも20重量%の前記第二の相を含む、
前記埋め込み型医療デバイス。
【請求項4】
埋め込み型医療デバイスを調製する方法であって、前記方法は、
ポリマーブレンドを形成するのに有効な条件の下で、第一の生物分解性ポリマーおよび第二の生物分解性ポリマーを含む成分をブレンドする工程、
延伸軸に沿って前記第一の生物分解性ポリマーの前記鎖を配向するのに有効な条件の下で、前記ポリマーブレンドを延伸する工程、及び
前記延伸ポリマーブレンドから医療デバイスを形成する工程、
を含み、前記ポリマーブレンドは、
鎖を有する前記第一の生物分解性ポリマーを含む第一の相であって、少なくとも40℃のガラス転移温度を有する第一の相と、
前記第二の生物分解性ポリマーを含み、前記第一の連続相から分相され、少なくとも15℃以下のガラス転移温度を有する第二の相と、を含み、
前記延伸軸に平行な前記延伸ポリマーブレンドの弾性率は、前記第一のポリマーの弾性率の少なくとも100%であり、
前記延伸軸に平行な前記延伸ポリマーブレンドの破壊歪は、前記第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%である、
前記方法。
【請求項5】
埋め込み型医療デバイスを調製する方法であって、前記方法は、
ポリマーブレンドを形成するのに有効な条件の下で、第一の生物分解性ポリマーおよび第二の生物分解性ポリマーを含む成分をブレンドする工程、
延伸軸に沿って前記第一の生物分解性ポリマーの前記鎖を配向するのに有効な条件の下で、前記ポリマーブレンドを延伸する工程、及び
前記延伸ポリマーブレンドから医療デバイスを形成する工程、
を含み、前記ポリマーブレンドは、
鎖を有する前記第一の生物分解性ポリマーを含み、連続相であり、かつ少なくとも40℃のガラス転移温度を有する第一の相と、
前記第二の生物分解性ポリマーを含み、前記第一の連続相から分相され、少なくとも15℃以下のガラス転移温度を有する第二の相と、を含み、
前記延伸軸に平行な前記延伸ポリマーブレンドの弾性率は、前記第一のポリマーの弾性率の少なくとも90%であり、
前記延伸軸に平行な前記延伸ポリマーブレンドの破壊歪は、前記第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、
前記ポリマーブレンドは、前記ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも5重量%の前記第二の相を含む、
前記方法。
【請求項6】
埋め込み型医療デバイスを調製する方法であって、前記方法は、
ポリマーブレンドを形成するのに有効な条件の下で、第一の生物分解性ポリマーおよび第二の生物分解性ポリマーを含む成分をブレンドする工程、
延伸軸に沿って前記第一の生物分解性ポリマーの前記鎖を配向するのに有効な条件の下で、前記ポリマーブレンドを延伸する工程、及び
前記延伸ポリマーブレンドから医療デバイスを形成する工程、
を含み、前記ポリマーブレンドは、
鎖を有する前記第一の生物分解性ポリマーを含む第一の相であって、少なくとも40℃のガラス転移温度を有する第一の相と、
前記第二の生物分解性ポリマーを含み、前記第一の連続相から分相され、少なくとも15℃以下のガラス転移温度を有する第二の相と、を含み
前記延伸軸に平行な前記延伸ポリマーブレンドの弾性率は、前記第一のポリマーの弾性率の少なくとも80%であり、
前記延伸軸に平行な前記延伸ポリマーブレンドの破壊歪は、前記第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、
前記ポリマーブレンドは、前記ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも20重量%の前記第二の相を含む、
前記方法。
【請求項7】
ブレンド工程が、溶融ブレンド、溶媒ブレンド、乾燥粉末混合、固体剪断粉砕、および/または超臨界二酸化炭素の中でのブレンドのうちの1つもしくは複数を含む、請求項4〜6のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
延伸が、溶融延伸および/または冷延伸を含む、請求項4〜7のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
延伸を、ブレンドと同時に行う、請求項4〜8のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
延伸を、ブレンドの後に行う、請求項4〜8のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記延伸ポリマーブレンドを急冷することをさらに含む、請求項4〜10のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記第一の相が、少なくとも41℃のガラス転移温度を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項13】
前記第一の相が、少なくとも42℃のガラス転移温度を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項14】
前記第一の相が、少なくとも43℃のガラス転移温度を有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項15】
前記第一の相が、少なくとも45℃のガラス転移温度を有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項16】
前記第一の相が、少なくとも47℃のガラス転移温度を有する、請求項1〜15のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項17】
前記第一の相が、少なくとも49℃のガラス転移温度を有する、請求項1〜16のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項18】
前記第一の相が、少なくとも50℃のガラス転移温度を有する、請求項1〜17のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項19】
前記第一の相が、少なくとも55℃のガラス転移温度を有する、請求項1〜18のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項20】
前記第一の相が、少なくとも60℃のガラス転移温度を有する、請求項1〜19のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項21】
前記第二の相が、14℃以下のガラス転移温度を有する、請求項1〜20のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項22】
前記第二の相が、13℃以下のガラス転移温度を有する、請求項1〜21のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項23】
前記第二の相が、12℃以下のガラス転移温度を有する、請求項1〜22のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項24】
前記第二の相が、11℃以下のガラス転移温度を有する、請求項1〜23のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項25】
前記第二の相が、10℃以下のガラス転移温度を有する、請求項1〜24のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項26】
前記第二の相が、5℃以下のガラス転移温度を有する、請求項1〜25のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項27】
前記第二の相が、0℃以下のガラス転移温度を有する、請求項1〜26のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項28】
前記第二の相が、−5℃以下のガラス転移温度を有する、請求項1〜27のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項29】
前記第二の相が、−10℃以下のガラス転移温度を有する、請求項1〜28のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項30】
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの破壊歪が、前記第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも130%である、請求項1〜29のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項31】
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの破壊歪が、前記第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも150%である、請求項1〜30のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項32】
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの破壊歪が、前記第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも200%である、請求項1〜31のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項33】
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの破壊歪が、前記第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも300%である、請求項1〜32のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項34】
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの破壊歪が、前記第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも500%である、請求項1〜33のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項35】
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの破壊歪が、前記第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも1000%である、請求項1〜34のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項36】
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの破壊歪が、前記第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも2000%である、請求項1〜35のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項37】
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの弾性率が、前記第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも105%である、請求項1〜36のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項38】
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの弾性率が、前記第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも110%である、請求項1〜37のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項39】
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの弾性率が、前記第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも120%である、請求項1〜38のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項40】
生物分解性ポリマーブレンドから構成される埋め込み型医療デバイスであって、前記ポリマーブレンドは、
連続相であり、かつ鎖を有するポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーを含む第一の相であって、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの前記鎖は、軸に沿って配向している第一の相と、
前記第一の連続相から分相され、かつポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート、およびそれらの組み合わせから成る群より選択されるポリマーを含む第二の相と、
を含み、前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの弾性率は、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの弾性率の少なくとも100%であり、
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの破壊歪は、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの破壊歪の少なくとも120%である、
前記埋め込み型医療デバイス。
【請求項41】
生物分解性ポリマーブレンドから構成される埋め込み型医療デバイスであって、前記ポリマーブレンドは、
連続相であり、かつ鎖を有するポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーを含む第一の相であって、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの前記鎖は、軸に沿って配向している第一の相と、
前記第一の連続相から分相され、かつポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート、およびそれらの組み合わせから成る群より選択されるポリマーを含む、第二の相と、
を含み、前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの弾性率は、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの弾性率の少なくとも90%であり、
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの破壊歪は、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、
前記ポリマーブレンドは、前記ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも5重量%の前記第二の相を含む、
前記埋め込み型医療デバイス。
【請求項42】
生物分解性ポリマーブレンドから構成される埋め込み型医療デバイスであって、前記ポリマーブレンドは、
連続相であり、かつ鎖を有するポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーを含む、第一の相であって、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの前記鎖は、軸に沿って配向している第一の相と、
前記第一の連続相から分相され、かつポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート、およびそれらの組み合わせから成る群より選択されるポリマーを含む、第二の相と、
を含み、前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの弾性率は、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの弾性率の少なくとも80%であり、
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの破壊歪は、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、
前記ポリマーブレンドは、前記ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも20重量%の前記第二の相を含む、
前記埋め込み型医療デバイス。
【請求項43】
埋め込み型医療デバイスを調製する方法であって、前記方法は、
ポリマーブレンドを形成するのに有効な条件の下で、(i)ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーと、(ii)ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)ポリヒドロキシブチレート、およびそれらの組み合わせから成る群より選択されるポリマーとを含む成分を溶融ブレンドすることを含み、前記ポリマーブレンドは、
鎖を有する前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーを含み、連続相である、第一の相と、
前記ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)ポリヒドロキシブチレート、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される前記ポリマーを含み、前記第一の連続相から分相された、第二の相と、を含み、前記方法は、
延伸軸に沿って前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの前記鎖を配向するのに有効な条件の下で、前記ポリマーブレンドを溶融延伸することと、
前記溶融延伸ポリマーブレンドを急冷することと、
前記急冷ポリマーブレンドから医療デバイスを形成することと、
を含み、前記延伸軸に平行な前記急冷ポリマーブレンドの弾性率は、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの弾性率の少なくとも100%であり、
前記延伸軸に平行な前記急冷ポリマーブレンドの破壊歪は、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの破壊歪の少なくとも120%である、
前記方法。
【請求項44】
埋め込み型医療デバイスを調製する方法であって、前記方法は、
ポリマーブレンドを形成するのに有効な条件の下で、(i)ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーと、(ii)ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)ポリヒドロキシブチレート、およびそれらの組み合わせから成る群より選択されるポリマーとを含む成分を溶融ブレンドすることを含み、前記ポリマーブレンドは、
鎖を有する前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーを含み、連続相である、第一の相と、
前記ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)ポリヒドロキシブチレート、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される前記ポリマーを含み、前記第一の連続相から分相された、第二の相と、を含み、前記方法は、
延伸軸に沿って前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの前記鎖を配向するのに有効な条件の下で、前記ポリマーブレンドを溶融延伸することと、
前記溶融延伸ポリマーブレンドを急冷することと、
前記急冷ポリマーブレンドから医療デバイスを形成することと、
を含み、前記延伸軸に平行な前記急冷ポリマーブレンドの弾性率は、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの弾性率の少なくとも90%であり、
前記延伸軸に平行な前記急冷ポリマーブレンドの破壊歪は、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、
前記ポリマーブレンドは、前記ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも5重量%の前記第二の相を含む、
前記方法。
【請求項45】
埋め込み型医療デバイスを調製する方法であって、前記方法は、
ポリマーブレンドを形成するのに有効な条件の下で、(i)ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーと、(ii)ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)ポリヒドロキシブチレート、およびそれらの組み合わせから成る群より選択されるポリマーとを含む成分を溶融ブレンドすることを含み、前記ポリマーブレンドは、
鎖を有する前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーを含み、連続相である、第一の相と、
前記ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)ポリヒドロキシブチレート、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される前記ポリマーを含み、前記第一の連続相から分相された、第二の相と、を含み、前記方法は、
延伸軸に沿って前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの前記鎖を配向するのに有効な条件の下で、前記ポリマーブレンドを溶融延伸することと、
前記溶融延伸ポリマーブレンドを急冷することと、
前記急冷ポリマーブレンドから医療デバイスを形成することと、
を含み、前記延伸軸に平行な前記急冷ポリマーブレンドの弾性率は、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの弾性率の少なくとも80%であり、
前記延伸軸に平行な前記急冷ポリマーブレンドの破壊歪は、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、
前記ポリマーブレンドは、前記ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも20重量%の前記第二の相を含む、
前記方法。
【請求項46】
前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーが、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド)(PDLLA)、ポリ(L−ラクチド−co−D,L−ラクチド)(PLDLLA)、ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)(PDLGA)、ポリ(ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(ラクチド−co−トリメチレンカーボネート)、ポリ(ラクチド−co−ヒドロキシブチレート)、ポリ(ラクチド−co−ジオキサン)、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項40〜45のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項47】
急冷することは、少なくとも30℃/秒の速度で冷却することを含む、請求項43〜46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
ブレンドすることは、反応ブレンドに有効な条件の下で溶融ブレンドすることを含む、請求項4〜39および43〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記第二の相が、不連続相である、請求項1〜48のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項50】
前記第二の相が、前記配向軸または延伸軸に沿って配向している、請求項1〜49のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項51】
前記配向された第二の相が、少なくとも1.1の縦横比を有する、請求項50に記載のデバイスまたは方法。
【請求項52】
前記ポリマーブレンドが、相容化剤、可塑剤、接合促進剤、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、付加的な成分をさらに含む、請求項1〜51のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項53】
前記相容化剤が、コポリマーである、請求項52に記載のデバイスまたは方法。
【請求項54】
前記コポリマーが、追加成分である、請求項53に記載のデバイスまたは方法。
【請求項55】
前記コポリマーが、現場で生成される、請求項53に記載の方法またはデバイス。
【請求項1】
ポリマーブレンドから構成される埋め込み型医療デバイスであって、前記ポリマーブレンドは、
連続相であり、かつ鎖を有する第一の生物分解性ポリマーを含み、少なくとも40℃のガラス転移温度を有する第一の相であって、前記第一の生物分解性ポリマーの前記鎖は、軸に沿って配向している第一の相と、
前記第一の連続相から分相され、かつ第二の生物分解性ポリマーを含み、少なくとも15℃以下のガラス転移温度を有する第二の相と、
を含み、配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの弾性率は、前記第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも100%であり、
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの破壊歪は、前記第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%である、
前記埋め込み型医療デバイス。
【請求項2】
生物分解性ポリマーブレンドから構成される埋め込み型医療デバイスであって、前記ポリマーブレンドは、
連続相であり、かつ鎖を有する第一の生物分解性ポリマーを含み、少なくとも40℃のガラス転移温度を有する、第一の相であって、前記第一の生物分解性ポリマーの前記鎖は、軸に沿って配向している第一の相と、
前記第一の連続相から分相され、かつ第二の生物分解性ポリマーを含み、少なくとも15℃以下のガラス転移温度を有する、第二の相と、
を含み、配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの弾性率は、前記第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも90%であり、
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの破壊歪は、前記第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、
前記ポリマーブレンドは、前記ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも5重量%の前記第二の相を含む、
前記埋め込み型医療デバイス。
【請求項3】
生物分解性ポリマーブレンドから構成される埋め込み型医療デバイスであって、前記ポリマーブレンドは、
連続相であり、かつ鎖を有する第一の生物分解性ポリマーを含み、少なくとも40℃のガラス転移温度を有する、第一の相であって、前記第一の生物分解性ポリマーの前記鎖は、軸に沿って配向している第一の相と、
前記第一の連続相から分相され、かつ第二の生物分解性ポリマーを含み、少なくとも15℃以下のガラス転移温度を有する、第二の相と、
を含み、配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの弾性率は、前記第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも80%であり、
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの破壊歪は、前記第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、
前記ポリマーブレンドは、前記ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも20重量%の前記第二の相を含む、
前記埋め込み型医療デバイス。
【請求項4】
埋め込み型医療デバイスを調製する方法であって、前記方法は、
ポリマーブレンドを形成するのに有効な条件の下で、第一の生物分解性ポリマーおよび第二の生物分解性ポリマーを含む成分をブレンドする工程、
延伸軸に沿って前記第一の生物分解性ポリマーの前記鎖を配向するのに有効な条件の下で、前記ポリマーブレンドを延伸する工程、及び
前記延伸ポリマーブレンドから医療デバイスを形成する工程、
を含み、前記ポリマーブレンドは、
鎖を有する前記第一の生物分解性ポリマーを含む第一の相であって、少なくとも40℃のガラス転移温度を有する第一の相と、
前記第二の生物分解性ポリマーを含み、前記第一の連続相から分相され、少なくとも15℃以下のガラス転移温度を有する第二の相と、を含み、
前記延伸軸に平行な前記延伸ポリマーブレンドの弾性率は、前記第一のポリマーの弾性率の少なくとも100%であり、
前記延伸軸に平行な前記延伸ポリマーブレンドの破壊歪は、前記第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%である、
前記方法。
【請求項5】
埋め込み型医療デバイスを調製する方法であって、前記方法は、
ポリマーブレンドを形成するのに有効な条件の下で、第一の生物分解性ポリマーおよび第二の生物分解性ポリマーを含む成分をブレンドする工程、
延伸軸に沿って前記第一の生物分解性ポリマーの前記鎖を配向するのに有効な条件の下で、前記ポリマーブレンドを延伸する工程、及び
前記延伸ポリマーブレンドから医療デバイスを形成する工程、
を含み、前記ポリマーブレンドは、
鎖を有する前記第一の生物分解性ポリマーを含み、連続相であり、かつ少なくとも40℃のガラス転移温度を有する第一の相と、
前記第二の生物分解性ポリマーを含み、前記第一の連続相から分相され、少なくとも15℃以下のガラス転移温度を有する第二の相と、を含み、
前記延伸軸に平行な前記延伸ポリマーブレンドの弾性率は、前記第一のポリマーの弾性率の少なくとも90%であり、
前記延伸軸に平行な前記延伸ポリマーブレンドの破壊歪は、前記第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、
前記ポリマーブレンドは、前記ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも5重量%の前記第二の相を含む、
前記方法。
【請求項6】
埋め込み型医療デバイスを調製する方法であって、前記方法は、
ポリマーブレンドを形成するのに有効な条件の下で、第一の生物分解性ポリマーおよび第二の生物分解性ポリマーを含む成分をブレンドする工程、
延伸軸に沿って前記第一の生物分解性ポリマーの前記鎖を配向するのに有効な条件の下で、前記ポリマーブレンドを延伸する工程、及び
前記延伸ポリマーブレンドから医療デバイスを形成する工程、
を含み、前記ポリマーブレンドは、
鎖を有する前記第一の生物分解性ポリマーを含む第一の相であって、少なくとも40℃のガラス転移温度を有する第一の相と、
前記第二の生物分解性ポリマーを含み、前記第一の連続相から分相され、少なくとも15℃以下のガラス転移温度を有する第二の相と、を含み
前記延伸軸に平行な前記延伸ポリマーブレンドの弾性率は、前記第一のポリマーの弾性率の少なくとも80%であり、
前記延伸軸に平行な前記延伸ポリマーブレンドの破壊歪は、前記第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、
前記ポリマーブレンドは、前記ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも20重量%の前記第二の相を含む、
前記方法。
【請求項7】
ブレンド工程が、溶融ブレンド、溶媒ブレンド、乾燥粉末混合、固体剪断粉砕、および/または超臨界二酸化炭素の中でのブレンドのうちの1つもしくは複数を含む、請求項4〜6のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
延伸が、溶融延伸および/または冷延伸を含む、請求項4〜7のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
延伸を、ブレンドと同時に行う、請求項4〜8のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
延伸を、ブレンドの後に行う、請求項4〜8のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記延伸ポリマーブレンドを急冷することをさらに含む、請求項4〜10のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記第一の相が、少なくとも41℃のガラス転移温度を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項13】
前記第一の相が、少なくとも42℃のガラス転移温度を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項14】
前記第一の相が、少なくとも43℃のガラス転移温度を有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項15】
前記第一の相が、少なくとも45℃のガラス転移温度を有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項16】
前記第一の相が、少なくとも47℃のガラス転移温度を有する、請求項1〜15のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項17】
前記第一の相が、少なくとも49℃のガラス転移温度を有する、請求項1〜16のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項18】
前記第一の相が、少なくとも50℃のガラス転移温度を有する、請求項1〜17のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項19】
前記第一の相が、少なくとも55℃のガラス転移温度を有する、請求項1〜18のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項20】
前記第一の相が、少なくとも60℃のガラス転移温度を有する、請求項1〜19のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項21】
前記第二の相が、14℃以下のガラス転移温度を有する、請求項1〜20のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項22】
前記第二の相が、13℃以下のガラス転移温度を有する、請求項1〜21のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項23】
前記第二の相が、12℃以下のガラス転移温度を有する、請求項1〜22のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項24】
前記第二の相が、11℃以下のガラス転移温度を有する、請求項1〜23のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項25】
前記第二の相が、10℃以下のガラス転移温度を有する、請求項1〜24のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項26】
前記第二の相が、5℃以下のガラス転移温度を有する、請求項1〜25のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項27】
前記第二の相が、0℃以下のガラス転移温度を有する、請求項1〜26のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項28】
前記第二の相が、−5℃以下のガラス転移温度を有する、請求項1〜27のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項29】
前記第二の相が、−10℃以下のガラス転移温度を有する、請求項1〜28のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項30】
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの破壊歪が、前記第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも130%である、請求項1〜29のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項31】
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの破壊歪が、前記第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも150%である、請求項1〜30のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項32】
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの破壊歪が、前記第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも200%である、請求項1〜31のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項33】
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの破壊歪が、前記第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも300%である、請求項1〜32のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項34】
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの破壊歪が、前記第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも500%である、請求項1〜33のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項35】
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの破壊歪が、前記第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも1000%である、請求項1〜34のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項36】
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの破壊歪が、前記第一の生物分解性ポリマーの破壊歪の少なくとも2000%である、請求項1〜35のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項37】
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの弾性率が、前記第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも105%である、請求項1〜36のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項38】
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの弾性率が、前記第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも110%である、請求項1〜37のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項39】
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの弾性率が、前記第一の生物分解性ポリマーの弾性率の少なくとも120%である、請求項1〜38のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項40】
生物分解性ポリマーブレンドから構成される埋め込み型医療デバイスであって、前記ポリマーブレンドは、
連続相であり、かつ鎖を有するポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーを含む第一の相であって、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの前記鎖は、軸に沿って配向している第一の相と、
前記第一の連続相から分相され、かつポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート、およびそれらの組み合わせから成る群より選択されるポリマーを含む第二の相と、
を含み、前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの弾性率は、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの弾性率の少なくとも100%であり、
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの破壊歪は、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの破壊歪の少なくとも120%である、
前記埋め込み型医療デバイス。
【請求項41】
生物分解性ポリマーブレンドから構成される埋め込み型医療デバイスであって、前記ポリマーブレンドは、
連続相であり、かつ鎖を有するポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーを含む第一の相であって、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの前記鎖は、軸に沿って配向している第一の相と、
前記第一の連続相から分相され、かつポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート、およびそれらの組み合わせから成る群より選択されるポリマーを含む、第二の相と、
を含み、前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの弾性率は、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの弾性率の少なくとも90%であり、
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの破壊歪は、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、
前記ポリマーブレンドは、前記ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも5重量%の前記第二の相を含む、
前記埋め込み型医療デバイス。
【請求項42】
生物分解性ポリマーブレンドから構成される埋め込み型医療デバイスであって、前記ポリマーブレンドは、
連続相であり、かつ鎖を有するポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーを含む、第一の相であって、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの前記鎖は、軸に沿って配向している第一の相と、
前記第一の連続相から分相され、かつポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート、およびそれらの組み合わせから成る群より選択されるポリマーを含む、第二の相と、
を含み、前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの弾性率は、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの弾性率の少なくとも80%であり、
前記配向軸に平行な前記ポリマーブレンドの破壊歪は、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、
前記ポリマーブレンドは、前記ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも20重量%の前記第二の相を含む、
前記埋め込み型医療デバイス。
【請求項43】
埋め込み型医療デバイスを調製する方法であって、前記方法は、
ポリマーブレンドを形成するのに有効な条件の下で、(i)ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーと、(ii)ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)ポリヒドロキシブチレート、およびそれらの組み合わせから成る群より選択されるポリマーとを含む成分を溶融ブレンドすることを含み、前記ポリマーブレンドは、
鎖を有する前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーを含み、連続相である、第一の相と、
前記ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)ポリヒドロキシブチレート、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される前記ポリマーを含み、前記第一の連続相から分相された、第二の相と、を含み、前記方法は、
延伸軸に沿って前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの前記鎖を配向するのに有効な条件の下で、前記ポリマーブレンドを溶融延伸することと、
前記溶融延伸ポリマーブレンドを急冷することと、
前記急冷ポリマーブレンドから医療デバイスを形成することと、
を含み、前記延伸軸に平行な前記急冷ポリマーブレンドの弾性率は、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの弾性率の少なくとも100%であり、
前記延伸軸に平行な前記急冷ポリマーブレンドの破壊歪は、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの破壊歪の少なくとも120%である、
前記方法。
【請求項44】
埋め込み型医療デバイスを調製する方法であって、前記方法は、
ポリマーブレンドを形成するのに有効な条件の下で、(i)ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーと、(ii)ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)ポリヒドロキシブチレート、およびそれらの組み合わせから成る群より選択されるポリマーとを含む成分を溶融ブレンドすることを含み、前記ポリマーブレンドは、
鎖を有する前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーを含み、連続相である、第一の相と、
前記ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)ポリヒドロキシブチレート、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される前記ポリマーを含み、前記第一の連続相から分相された、第二の相と、を含み、前記方法は、
延伸軸に沿って前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの前記鎖を配向するのに有効な条件の下で、前記ポリマーブレンドを溶融延伸することと、
前記溶融延伸ポリマーブレンドを急冷することと、
前記急冷ポリマーブレンドから医療デバイスを形成することと、
を含み、前記延伸軸に平行な前記急冷ポリマーブレンドの弾性率は、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの弾性率の少なくとも90%であり、
前記延伸軸に平行な前記急冷ポリマーブレンドの破壊歪は、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、
前記ポリマーブレンドは、前記ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも5重量%の前記第二の相を含む、
前記方法。
【請求項45】
埋め込み型医療デバイスを調製する方法であって、前記方法は、
ポリマーブレンドを形成するのに有効な条件の下で、(i)ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーと、(ii)ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)ポリヒドロキシブチレート、およびそれらの組み合わせから成る群より選択されるポリマーとを含む成分を溶融ブレンドすることを含み、前記ポリマーブレンドは、
鎖を有する前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーを含み、連続相である、第一の相と、
前記ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリカプロラクトン(PCL)ポリヒドロキシブチレート、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される前記ポリマーを含み、前記第一の連続相から分相された、第二の相と、を含み、前記方法は、
延伸軸に沿って前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの前記鎖を配向するのに有効な条件の下で、前記ポリマーブレンドを溶融延伸することと、
前記溶融延伸ポリマーブレンドを急冷することと、
前記急冷ポリマーブレンドから医療デバイスを形成することと、
を含み、前記延伸軸に平行な前記急冷ポリマーブレンドの弾性率は、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの弾性率の少なくとも80%であり、
前記延伸軸に平行な前記急冷ポリマーブレンドの破壊歪は、前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーの破壊歪の少なくとも120%であり、
前記ポリマーブレンドは、前記ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも20重量%の前記第二の相を含む、
前記方法。
【請求項46】
前記ポリラクチドホモポリマーまたはコポリマーが、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド)(PDLLA)、ポリ(L−ラクチド−co−D,L−ラクチド)(PLDLLA)、ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)(PDLGA)、ポリ(ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(ラクチド−co−トリメチレンカーボネート)、ポリ(ラクチド−co−ヒドロキシブチレート)、ポリ(ラクチド−co−ジオキサン)、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項40〜45のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項47】
急冷することは、少なくとも30℃/秒の速度で冷却することを含む、請求項43〜46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
ブレンドすることは、反応ブレンドに有効な条件の下で溶融ブレンドすることを含む、請求項4〜39および43〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記第二の相が、不連続相である、請求項1〜48のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項50】
前記第二の相が、前記配向軸または延伸軸に沿って配向している、請求項1〜49のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項51】
前記配向された第二の相が、少なくとも1.1の縦横比を有する、請求項50に記載のデバイスまたは方法。
【請求項52】
前記ポリマーブレンドが、相容化剤、可塑剤、接合促進剤、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、付加的な成分をさらに含む、請求項1〜51のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【請求項53】
前記相容化剤が、コポリマーである、請求項52に記載のデバイスまたは方法。
【請求項54】
前記コポリマーが、追加成分である、請求項53に記載のデバイスまたは方法。
【請求項55】
前記コポリマーが、現場で生成される、請求項53に記載の方法またはデバイス。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図4H】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図4H】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【公表番号】特表2011−530331(P2011−530331A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522153(P2011−522153)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/052626
【国際公開番号】WO2010/017153
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(591007804)メドトロニック,インコーポレイテッド (243)
【住所又は居所原語表記】710Medtronic Parkway,Minneapolis,Minnesota 55432,U.S.A
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/052626
【国際公開番号】WO2010/017153
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(591007804)メドトロニック,インコーポレイテッド (243)
【住所又は居所原語表記】710Medtronic Parkway,Minneapolis,Minnesota 55432,U.S.A
【Fターム(参考)】
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