説明

生物学的用途のための有機発光半導体ナノクリスタルプローブ、およびこのようなプローブを製造および使用するプロセス

【課題】生物学的用途のための優れた有機発光半導体ナノクリスタルプローブを提供すること。
【解決手段】親和性分子に連結でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る発光半導体ナノクリスタル化合物であって、該化合物は、以下のa)およびb)を含有する:
a)励起された場合に狭い波長バンドの光を放射し得る半導体ナノクリスタル;および
b)該半導体ナノクリスタルに連結し、かつ該親和性分子に連結し得る少なくとも1種の連結剤。好ましくは、前記半導体ナノクリスタルが、広いバンド幅にわたって、エネルギーを吸収し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の属する技術分野)
本明細書中で記述の発明は、米国エネルギー省とカリフォルニア大学との間で、the Ernest Orlando Lawrence Berkeley National Laboratoryの事業に関して、契約第DE−AC03−SF00098号の過程でまたはその下に、なされた。米国政府は、本発明の権利を有し得る。
【0002】
本発明は、生物学的用途のための有機発光半導体ナノクリスタルプローブに関し、ここで、このプローブは、放射線または粒子線で励起された場合に、放射および/または吸収および/または散乱もしくは回折し得る複数の半導体ナノクリスタルを含有する。
【背景技術】
【0003】
(従来の技術)
生物学的システムの蛍光標識は、最近のバイオテクノロジーおよび分析化学で使用される周知の分析ツールである。このような蛍光標識の応用には、医用(および非医用)蛍光顕微鏡、組織学、フローサイトメトリー、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(医学的アッセイおよび研究)、DNA配列決定、イムノアッセイ、結合アッセイ、分離などのような技術が挙げられる。
【0004】
従来、このような蛍光標識には、ある部分に結合した有機色素分子の使用が関与しており、この部分は、次いで、特定の生物学的システムに選択的に結合し、その存在は、次いで、この色素分子の励起によってそれを蛍光発光させることにより、確認される。このような分析システムには、多数の問題がある。第一に、励起した色素分子からの可視波長の光の放射は、通常、広い(broad)放射スペクトルだけでなく、このスペクトルの赤色側での広い放射尾部(tail)の存在により、特徴付けられる。すなわち、全放射スペクトルは、かなり広い(ブロードである)。その結果、この標識分子の広いスペクトル放射および放射尾部のために、多数の異なる検出可能物質の存在を同時かもしくは異なる時点でさえ、検出または識別することが困難であるので、分析において、同時または連続的に使用し得る異なる着色有機色素分子の数に関して、厳しい制約がある。他の問題点には、殆どの色素分子が、比較的に狭い吸収スペクトルを有し、それゆえ、複数の波長プローブに対して、縦列(tandem)か連続的かいずれかで使用する複数の励起ビームか、あるいはそうでなければ、異なる波長で各個に励起される一連のプローブの連続的な励起に対して、異なるフィルターで連続的に使用される広いスペクトルの励起源かいずれかを必要とする。
【0005】
色素分子標識の存在で頻繁に遭遇する他の問題点には、光安定性の問題がある。利用可能な蛍光分子は、吸収/放射の励起(104〜108)サイクルを繰り返すと、退色するか、または非可逆的に放射しなくなる。これらの問題点は、しばしば、その試料を光に曝露する時間量を最小にすることにより、そして試料から酸素および/または他のラジカル種を取り除くことにより、克服される。
【0006】
加えて、電子顕微鏡技術によって、これらのシステムの研究に使用されるプローブツールは、蛍光による研究に使用されるプローブとは全く異なる。それゆえ、電子顕微鏡および蛍光の両方用の単一の型のプローブで材料を標識することは、不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(発明が解決しようとする課題)
従って、色素分子の特徴である大きな赤色放射尾部の存在なしに、広い(wide)吸収バンドを有しかつ検出可能な吸収の変化を示すかもしくは狭い波長バンドの放射線を放射し得る(それにより、このようなプローブ材料を複数、同時に使用することが可能となり、それぞれは、異なる狭い波長バンドの光を放射する)、および/または放射線を散乱もしくは回折し得る、生物学的用途のための安定なプローブ材料を提供することが望ましい。また、光学および電子顕微鏡の両方により、同じ試料を画像化するのに使用し得る、単一の安定なプローブ材料を提供することも、同様に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(課題を解決するための手段)
本発明の化合物は、親和性分子に連結でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る発光半導体ナノクリスタル化合物であって、該化合物は、以下のa)およびb)を含有する:
a)励起された場合に狭い波長バンドの光を放射し得る半導体ナノクリスタル;および
b)該半導体ナノクリスタルに連結し、かつ該親和性分子に連結し得る少なくとも1種の連結剤。
【0009】
1つの実施態様では、前記半導体ナノクリスタルが、広いバンド幅にわたって、エネルギーを吸収し得る。
【0010】
1つの実施態様では、前記連結剤が、ガラスコーティングおよび前記親和性分子の両方に連結し得るさらなる連結剤を介して該親和性分子に連結し得る、前記半導体ナノクリスタル上の該ガラスコーティングを含有する。
【0011】
1つの実施態様では、前記半導体ナノクリスタル上の前記ガラスコーティングが、シリカガラスのコーティングを含有する。
【0012】
1つの実施態様では、前記連結剤が、前記半導体ナノクリスタルに連結した第一の部分および前記親和性分子に連結し得る第二の部分を含有する。
【0013】
1つの実施態様では、前記1種またはそれ以上の連結剤が、前記半導体ナノクリスタル上のガラスコーティングおよび連結材料を含有し、該連結材料が、該半導体ナノクリスタル上のガラスコーティングに連結した第一の部分および前記親和性分子に連結し得る第二の部分を含有する。
【0014】
本発明のプローブは、検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブであって、該検出可能物質に結合し得る親和性分子に連結した発光半導体ナノクリスタル化合物を含有する。
【0015】
別の局面において本発明のプローブは、検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブであって、
該プローブは、以下のa)、b)およびc)を含有し、
それにより、該材料中の該検出可能物質の存在を決定するための、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブでの材料の処理、および該処理される材料の励起エネルギーへの引き続いた曝露により、該検出可能物質に結合した該有機発光半導体ナノクリスタルプローブ中の該半導体ナノクリスタルを励起して、狭い波長バンドの電磁放射線の放射を引き起こし、このことは、該材料中に、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブに結合した該検出可能物質が存在することを意味する:
a)励起された場合に狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る半導体ナノクリスタル;
b)該半導体ナノクリスタルに連結する連結剤であって、かつ親和性分子に連結し得る第二の部分を有する少なくとも1種の連結剤;および
c)該連結剤の該第二の部分に連結する親和性分子であって、かつ該検出可能物質に選択的に結合し得る親和性分子。
【0016】
1つの実施態様では、前記連結剤が、前記半導体ナノクリスタル上のガラスコーティングを含有する。
【0017】
1つの実施態様では、前記検出可能物質の存在を決定するために前記有機発光半導体ナノクリスタルプローブで処理される前記材料が、生物学的材料を含有する。
【0018】
1つの実施態様では、前記検出可能物質の存在を決定するために前記有機発光半導体ナノクリスタルプローブで処理される前記材料が、有機材料を含有する。
【0019】
1つの実施態様では、前記検出可能物質の存在を決定するために前記有機発光半導体ナノクリスタルプローブで処理される前記材料が、無機材料を含有する。
【0020】
本発明のプロセスは、親和性分子に連結でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る発光半導体ナノクリスタル化合物を形成するプロセスであって、
励起された場合に狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る半導体ナノクリスタルと、前記半導体ナノクリスタルに連結した第一の部分および親和性分子に連結し得る第二の部分を有する連結剤とを共に連結する工程を包含する。
【0021】
1つの実施態様では、さらに、前記半導体ナノクリスタル上にガラスコーティングを形成する工程および
次いで、該ガラスを、親和性分子と連結し得る連結剤で処理する工程を包含する。
【0022】
別の局面において本発明のプロセスは、検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブを形成するプロセスであって、検出可能物質に結合し得る親和性分子と、発光半導体ナノクリスタル化合物とを連結する工程を包含する。
【0023】
別の局面において本発明のプロセスは、検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブを形成するプロセスであって、該プロセスは、以下の工程を包含する:
a)励起された場合に狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る半導体ナノクリスタルを、該半導体ナノクリスタルに連結した第一の部分および親和性分子に連結し得る第二の部分を有する連結剤に連結する工程;および
b)該連結剤と、該検出可能物質に結合し得る親和性分子とを連結する工程。
【0024】
1つの実施態様では、前記半導体ナノクリスタルおよび前記連結剤を共に連結する前記工程が、該連結剤および前記親和性分子を共に連結する前記工程の前に行われる。
【0025】
1つの実施態様では、前記連結剤および前記親和性分子を共に連結する前記工程が、前記半導体ナノクリスタルおよび前記連結剤を共に連結する前記工程の前に行われる。
【0026】
1つの実施態様では、前記半導体ナノクリスタルおよび前記連結剤を共に連結する前記工程が、さらに、該半導体ナノクリスタルをガラスでコートする工程、および次いで、該ガラスコートされた半導体ナノクリスタルを、前記親和性分子に連結し得る連結剤で処理する工程を包含する。
【0027】
別の局面において本発明のプロセスは、材料中の1種以上の検出可能物質の存在を決定するために該材料を処理するプロセスであって、該プロセスは、以下のa)、b)、c)およびd)を包含する:
a)該材料を、もし存在するなら該材料内の第一の検出可能物質と結合でき、かつ励起された場合に第一の狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る第一の有機発光半導体ナノクリスタルプローブと接触させる工程であって、該第一の有機発光半導体ナノクリスタルプローブは、以下のi)、ii)およびiii)を含有する:
i)広いバンド幅にわたって励起され得、かつ励起された場合に該第一の狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る第一の半導体ナノクリスタル;
ii)該検出可能物質に選択的に結合し得る親和性分子;および
iii)該第一の半導体ナノクリスタルに連結し、かつ該親和性分子にも連結した連結剤;
b)該材料から、該第一の有機発光半導体ナノクリスタルプローブのうち該第一の検出可能物質に結合していない部分を除去する工程;および
c)該材料を、該第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、該材料内での該第一の検出可能物質の存在を示す、該第一の狭い波長バンドの電磁放射線を放射する、工程;および
d)該第一の有機発光半導体ナノクリスタルプローブ中にて、該第一の半導体ナノクリスタルにより放射された該第一の狭い波長バンドの該電磁放射線を検出する工程。
【0028】
1つの実施態様では、前記材料を、少なくとも、該材料中のさらなる検出可能物質に結合し得る第二の有機発光半導体ナノクリスタルプローブで処理する追加工程を包含し、そして該第二の有機発光半導体ナノクリスタルプローブが、広いバンド幅で励起され得、かつ前記第一の狭い波長バンドとは異なる第二の狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る第二の半導体ナノクリスタルを含有し、それにより、該材料を、該第一のおよび第二のナノクリスタルの両方を励起し得るエネルギーへの曝露が、該材料中に存在する該第一のまたは第二の半導体ナノクリスタルのいずれかに、異なる狭い波長バンドの電磁放射線を放射させ、それにより、1つより多くの、材料中の検出可能物質の存在または非存在が、単一の励起エネルギー源を用いて同時に検出され得る。
【0029】
1つの実施態様では、前記材料を処理するために、少なくとも1個のさらなる有機発光半導体ナノクリスタルプローブが使用され、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブのそれぞれが、異なる検出可能物質に選択的に結合可能であり、そして該有機発光半導体ナノクリスタルプローブのそれぞれが、広い波長範囲にわたって励起でき、かつ異なる狭い波長バンドの電磁放射線を放射でき、それにより、複数の検出可能物質が、単一の励起源を用いて、材料内で同時に分析され得る。
【0030】
1つの実施態様では、前記材料から前記第一の有機発光半導体ナノクリスタルプローブのうち前記第一の検出可能物質に結合していない部分を除去する前記工程の前に、該材料が、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブの全てで処理され、そして該除去工程が、さらに、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブの全てのうち、該材料内の検出可能物質に結合していない部分を除去することを包含する。
【0031】
1つの実施態様では、それにより、前記材料の選択波長の光への曝露が使用され、前記有機発光半導体ナノクリスタルプローブの1種以上であるが全部ではないものを選択的に励起して、それゆえ、該材料中の、特定の標識された検出可能物質または異なる標識された検出可能物質のサブセットの存在の同定が可能となる。
【0032】
1つの実施態様では、前記材料が、生物学的材料を含有する。
【0033】
1つの実施態様では、前記材料を、前記第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、電磁放射線を放射させる前記工程が、さらに、該材料を、広いかもしくは狭いスペクトルのフォトンを放射し得る電磁放射線源に曝露することを包含する。
【0034】
1つの実施態様では、前記材料を、前記第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、電磁放射線を放射させる前記工程が、さらに、該材料を、電子線に曝露することを包含する。
【0035】
別の局面において本発明のプロセスは、材料内での検出可能物質の存在を決定するために該材料を処理するプロセスであって、該プロセスは、以下のa)、b)、c)およびd)を包含する:
a)該材料を、もし存在するなら該材料内の第一の検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合にエネルギーを吸収し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブと接触させる工程であって、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブは、以下のi)、ii)およびiii)を含有する:
i)広いバンド幅にわたって励起でき、かつ励起された場合にエネルギーを吸収し得る第一の半導体ナノクリスタル;
ii)該検出可能物質に選択的に結合し得る親和性分子;および
iii)該第一の半導体ナノクリスタルに連結し、かつ該親和性分子にも連結した連結剤;
b)該材料から、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブのうち該第一の検出可能物質に結合していない部分を除去する工程;および
c)該材料を、該第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、エネルギーを吸収し、該材料内での該第一の検出可能物質の存在を示す、工程;および
d)該材料中の該検出可能物質に結合した該有機発光半導体ナノクリスタルプローブの存在を示す、吸収されたエネルギーの変化を検出する工程。
【0036】
1つの実施態様では、前記材料を、少なくとも、該材料中のさらなる検出可能物質に結合し得る第二の有機発光半導体ナノクリスタルプローブで処理するさらなる工程を包含し、該第二の有機発光半導体ナノクリスタルプローブが、広いバンド幅で励起し得る第二の半導体ナノクリスタルを含有し、その結果、検出可能な吸光度変化が得られ、それにより、該第一のおよび第二のナノクリスタルの両方を励起し得るエネルギーへの該材料の曝露が、該材料内に存在する該第一のまたは第二の半導体ナノクリスタルのいずれかに、異なる波長バンドの電磁放射線を吸収させ、それにより、材料内の1つより多くの検出可能物質の存在または非存在が、単一の励起エネルギー源を用いて同時に検出され得る。
【0037】
1つの実施態様では、前記材料を処理するために、少なくとも1個のさらなる有機発光半導体ナノクリスタルプローブが使用され、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブのそれぞれが、異なる検出可能物質に選択的に結合可能であり、そして該有機発光半導体ナノクリスタルプローブのそれぞれが、広い波長範囲にわたって励起され得、かつ電磁放射線を吸収でき、それにより、複数の検出可能物質が、単一の励起源を用いて、材料内で同時に分析され得る。
【0038】
1つの実施態様では、前記材料を、前記第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、電磁放射線を放射する前記工程が、さらに、該材料を、広いかもしくは狭いスペクトルのフォトンを放射し得る電磁放射線源に曝露することを包含する。
【0039】
1つの実施態様では、前記材料を、前記第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、電磁放射線を放射する前記工程が、さらに、該材料を、X線源に曝露することを包含する。
【0040】
別の局面において本発明のプロセスは、材料内での検出可能物質の存在を決定するために該材料を処理するプロセスであって、該プロセスは、以下のa)、b)、c)およびd)を包含する:
a)該材料を、もし存在するなら該材料中の第一の検出可能物質と結合でき、かつ励起された場合にエネルギーを散乱もしくは回折し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブと接触させる工程であって、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブは、以下のi)、ii)およびiii)を含有する:
i)特徴的な断面を有する広いバンド幅にわたって散乱もしくは回折し得る第一の半導体ナノクリスタル;
ii)該検出可能物質に選択的に結合し得る親和性分子;および
iii)該第一の半導体ナノクリスタルに連結し、かつ該親和性分子にも連結した連結剤;
b)該材料から、有機発光半導体ナノクリスタルプローブのうち該第一の検出可能物質に結合していない部分を除去する工程;および
c)該材料を、該第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、エネルギーを散乱もしくは回折して、該材料内での該第一の検出可能物質の存在を示す工程;および
d)散乱もしくは回折したエネルギーの変化を検出して、該材料内にて、該検出可能物質に結合した該有機発光半導体ナノクリスタルプローブの存在を示す工程。
【0041】
1つの実施態様では、前記材料を、少なくとも、該材料内の第二の検出可能物質に結合し得る第二の有機発光半導体ナノクリスタルプローブで処理するさらなる工程を包含し、該第二の有機発光半導体ナノクリスタルプローブがまた、エネルギーを散乱もしくは回折し得る第二の半導体ナノクリスタルを含有し、その結果、検出可能な散乱断面変化が得られ、それにより、該材料の、該第一のまたは第二のナノクリスタルの両方を散乱もしくは回折し得るエネルギーへの曝露が、該材料内に存在する該第一のおよび第二の半導体ナノクリスタルのいずれかに、特定の有機発光半導体ナノクリスタルプローブに特徴的な散乱断面で、エネルギーを散乱もしくは回折させ、それにより、材料内の1つより多くの検出可能物質の存在または非存在が、単一の励起エネルギー源を用いて同時に検出され得る。
【0042】
1つの実施態様では、前記材料を処理するために、少なくとも1個のさらなる有機発光半導体ナノクリスタルプローブが使用され、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブのそれぞれが、異なる検出可能物質に選択的に結合可能であり、そして該有機発光半導体ナノクリスタルプローブのそれぞれが、異なる散乱断面を示し、かつエネルギーを散乱もしくは回折でき、それにより、複数の検出可能物質が、単一の励起源を用いて、材料内で同時に分析され得る。
【0043】
1つの実施態様では、前記材料を、前記第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、エネルギーを散乱もしくは回折する前記工程が、さらに、該材料を、電子線または他の粒子線に曝露することを包含する。
【0044】
1つの実施態様では、前記材料を、前記第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、エネルギーを散乱もしくは回折する前記工程が、さらに、該材料を、X線源に曝露することを包含する。
【0045】
1つの実施態様では、前記材料を、前記第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、エネルギーを散乱もしくは回折する前記工程、およびエネルギーの該散乱もしくは回折を検出する前記工程が、共に、透過型電子顕微鏡を用いて行われる。
【0046】
1つの実施態様では、前記材料を、前記第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、エネルギーを散乱もしくは回折する前記工程、および前記エネルギーの散乱もしくは回折を検出する前記工程が、共に、走査型電子顕微鏡を用いて行われる。
【0047】
別の局面において本発明の化合物は、親和性分子に連結でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る発光半導体ナノクリスタル化合物であって、該化合物は、以下のa)およびb)を含有する:
a)励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る半導体ナノクリスタル;および
b)該半導体ナノクリスタルに連結する連結剤であって、かつ該親和性分子に連結し得る少なくとも1種の連結剤。
【0048】
別の局面において本発明の化合物は、親和性分子に連結でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る発光半導体ナノクリスタル化合物であって、該化合物は、以下のa)およびb)を含有する:
a)励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る半導体ナノクリスタル;および
b)該半導体ナノクリスタルに連結する連結剤であって、かつ該親和性分子に連結し得る少なくとも1種の連結剤。
【0049】
別の局面において本発明のプローブは、検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブであって、該プローブは、該検出可能物質に結合し得る親和性分子に連結した発光半導体ナノクリスタル化合物を含有する。
【0050】
別の局面において本発明のプローブは、検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブであって、該プローブは、以下のa)、b)およびc)を含有し、それにより、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブでの材料の処理、および該材料内での該検出可能物質の存在を決定するための該処理される材料の励起エネルギーへの引き続いた曝露により、該検出可能物質に結合した該有機発光半導体ナノクリスタルプローブ中の該半導体ナノクリスタルを励起して、狭い波長バンドのエネルギーの吸収を引き起こし、このことが、該材料内にて、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブに結合した該検出可能物質の存在を意味する:
a)励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る半導体ナノクリスタル;
b)該半導体ナノクリスタルに連結する連結剤であって、かつ親和性分子に連結し得る第二の部分を有する少なくとも1種の連結剤;および
c)該連結剤の該第二の部分に連結する親和性分子であって、かつ該検出可能物質に選択的に結合し得る親和性分子。
【0051】
別の局面において本発明のプローブは、検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブであって、該検出可能物質に結合し得る親和性分子に連結した発光半導体ナノクリスタル化合物を含有する。
【0052】
別の局面において本発明のプローブは、検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブであって、該プローブは、以下のa)、b)およびc)を含有し、それにより、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブでの材料の処理、および該材料内での該検出可能物質の存在を決定するための該処理される材料の励起エネルギーへの引き続いた曝露により、該検出可能物質に結合した該有機発光半導体ナノクリスタルプローブ中の該半導体ナノクリスタルを励起して、狭い波長バンドのエネルギーの散乱もしくは回折を引き起こし、このことは、該材料内にて、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブに結合した該検出可能物質の存在を意味する:
a)励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る半導体ナノクリスタル;
b)該半導体ナノクリスタルに連結する連結剤であって、かつ親和性分子に連結し得る第二の部分を有する少なくとも1種の連結剤;および
c)該連結剤の該第二の部分に連結する親和性分子であって、かつ該検出可能物質に選択的に結合し得る親和性分子。
【0053】
別の局面において本発明のプロセスは、親和性分子に連結でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る発光半導体ナノクリスタル化合物を形成するプロセスであって、該プロセスは、以下を包含する:励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る半導体ナノクリスタルと、該半導体ナノクリスタルに連結した第一の部分および親和性分子に連結し得る第二の部分を有する連結剤とを共に連結する工程。
【0054】
別の局面において本発明のプロセスは、親和性分子に連結でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る発光半導体ナノクリスタル化合物を形成するプロセスであって、該プロセスは、以下を包含する:励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る半導体ナノクリスタルと、該半導体ナノクリスタルに連結した第一の部分および親和性分子に連結し得る第二の部分を有する連結剤とを共に連結する工程。
【0055】
別の局面において本発明のプロセスは、検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブを形成するプロセスであって、検出可能物質に結合し得る親和性分子に、発光半導体ナノクリスタル化合物を連結する工程を包含する。
【0056】
別の局面において本発明のプロセスは、検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブを形成するプロセスであって、該プロセスは、以下の工程を包含する:
a)励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る半導体ナノクリスタルを、該半導体ナノクリスタルに連結した第一の部分および親和性分子に連結し得る第二の部分を有する連結剤に連結する工程;および
b)該連結剤と、該検出可能物質に結合し得る親和性分子とを連結する工程。
【0057】
別の局面において本発明のプロセスは、検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブを形成するプロセスであって、検出可能物質に結合し得る親和性分子で、発光半導体ナノクリスタル化合物を連結する工程を包含する。 別の局面において本発明のプロセスは、検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブを形成するプロセスであって、該プロセスは、以下の工程を包含する:
a)励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る半導体ナノクリスタルを、該半導体ナノクリスタルに連結した第一の部分および親和性分子に連結し得る第二の部分を有する連結剤に連結する工程;および
b)該連結剤と、該検出可能物質に結合し得る親和性分子とを連結する工程。
【発明の効果】
【0058】
本発明によれば、色素分子の特徴である大きな赤色放射尾部の存在なしに、広い(wide)吸収バンドを有しかつ検出可能な吸収の変化を示すかもしくは狭い波長バンドの放射線を放射し得る(それにより、このようなプローブ材料を複数、同時に使用することが可能となり、それぞれは、異なる狭い波長バンドの光を放射する)、および/または放射線を散乱もしくは回折し得る、生物学的用途のための安定なプローブ材料が提供される。また、光学および電子顕微鏡の両方により、同じ試料を画像化するのに使用し得る、単一の安定なプローブ材料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の発光半導体ナノクリスタル化合物のブロックダイアグラムである。
【図2】本発明の有機発光半導体ナノクリスタルプローブのブロックダイアグラムである。
【図3】本発明の有機発光半導体ナノクリスタルプローブと検出可能物質との間の親和性を示すブロックデイアグラムである。
【図4】本発明の有機発光半導体ナノクリスタルプローブを形成するプロセスを例示するフローシートである。
【図5】生物学的材料のような材料中の検出可能物質の存在を検出する際の、本発明の有機発光半導体ナノクリスタルプローブの典型的な使用を例示するフローシートである。
【発明を実施するための形態】
【0060】
(本発明の要旨)
本発明は、(広いかもしくは狭いバンド幅の)電磁放射線源または粒子線により励起された場合に発光および/または吸収および/または散乱もしくは回折でき、かつそのように励起された場合に検出可能な吸収の変化を示し得そして/または狭い波長バンドの放射線を放射し得そして/または散乱もしくは回折し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブを形成するために、親和性分子に結合し得る発光半導体ナノクリスタル化合物を包含する。この発光半導体ナノクリスタル化合物は、好ましくは、以下を含有する:(1)(広いかもしくは狭いバンド幅の)電磁放射線源または粒子線により励起された場合に発光および/または吸収および/または散乱もしくは回折でき、かつそのように励起された場合に検出可能な吸収の変化を示し得そして/または狭い波長バンドの放射線を放射および/または散乱もしくは回折し得る半導体ナノクリスタル;ならびに(2)この半導体ナノクリスタルに連結した第一の部分と、親和性分子に連結し得る第二の部分とを有する結合剤。
【0061】
本発明は、さらに、材料内の検出可能物質に結合し得る親和性分子に、上記発光半導体ナノクリスタル化合物を結合することにより形成した有機発光半導体ナノクリスタルプローブを包含する。結果として、この有機発光半導体ナノクリスタルプローブは、1つの実施態様では、粒子線または(広いかもしくは狭いバンド幅の)電磁放射線源のいずれかに由来のエネルギーを吸収または散乱もしくは回折でき、かつそのように励起された場合に狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る。これに対して、別の実施態様では、粒子線または(広いかもしくは狭いバンド幅の)電磁放射線源のいずれかに由来のそのように吸収または散乱もしくは回折したエネルギー量が検出可能であり、すなわち、吸収、散乱もしくは回折の変化が検出可能である。
【0062】
従って、この有機発光半導体ナノクリスタルプローブでの材料の処理、およびこの材料内でのこの検出可能物質の存在を決定するための処理される材料の(粒子線または広いかもしくは狭いバンド幅の電磁放射線源のいずれかに由来の)励起エネルギーへの引き続いた曝露により、検出可能物質に結合した有機発光半導体ナノクリスタルプローブ中の半導体ナノクリスタルを励起して、狭い波長バンドの電磁放射線の放射および/または吸収および/または散乱もしくは回折したエネルギー量の検出可能な変化を引き起こし、このことは、材料内にて、有機発光半導体ナノクリスタルプローブに結合した検出可能物質の存在を意味する。
【0063】
本発明はまた、この発光半導体ナノクリスタル化合物を製造するプロセス、およびこの検出可能物質に結合し得る親和性分子に連結した発光半導体ナノクリスタル化合物を含有する有機発光半導体ナノクリスタルプローブを製造するプロセスを包含する。本発明の有機発光半導体ナノクリスタルプローブは、繰り返しの光による励起、または酸素または他のラジカルへの曝露に関して、安定している。本発明は、さらに、生物学的材料のような材料を処理して、材料内の検出可能物質の存在を決定するプロセスを包含し、このプロセスは、材料を、有機発光半導体ナノクリスタルプローブと接触させる工程、材料から、有機発光半導体ナノクリスタルプローブのうち検出可能物質に結合していない部分を除去する工程、次いで、材料を、(広いかもしくは狭いバンド幅の)電磁放射線源または粒子線のいずれかに由来の活性化エネルギーに曝露する工程を包含する。材料内の検出可能物質の存在は、次いで、有機発光半導体ナノクリスタルプローブによるエネルギーの吸光度を測定する工程、および/または有機発光半導体ナノクリスタルプローブによる狭い波長バンドの放射線の放射を検出する工程、および/または有機発光半導体ナノクリスタルプローブによる散乱もしくは回折を検出する工程のいずれかにより決定され、このことは、(いずれの場合にも)、この材料内の検出可能物質に結合した有機発光半導体ナノクリスタルプローブの存在を示している。
【0064】
(詳細な説明)
本発明は、有機分子に結合でき、かつ(広いかもしくは狭いバンド幅の)電磁放射線源または粒子線のいずれかにより励起された場合に検出可能な吸収の変化を示し得そして/または狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得そして/または散乱もしくは回折し得る発光半導体ナノクリスタル化合物を包含する。発光半導体ナノクリスタル化合物は、順に、以下を含有する:(1)(広いかもしくは狭いバンド幅の)電磁放射線源または粒子線のいずれかにより励起された場合に検出可能な吸収の変化を示し得そして/または狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る半導体ナノクリスタル;ならびに(2)この半導体ナノクリスタルに連結した第一の部分と、有機親和性分子に連結し得る第二の部分とをそれぞれ有する1種以上の結合剤。
【0065】
本発明はまた、(連結剤を介して)有機親和性分子に連結して、有機発光半導体ナノクリスタルプローブを形成する上記発光半導体ナノクリスタル化合物を包含し、この有機発光半導体ナノクリスタルプローブは、検出可能物質に結合でき、かつ(広いかもしくは狭いバンド幅の)電磁放射線源または粒子線のいずれかにより励起された場合に検出可能な吸収の変化を示し得そして/または狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得そして/または散乱もしくは回折し得る。有機発光半導体ナノクリスタルプローブでの材料(典型的には、生物学的材料)の処理、および材料内での検出可能物質の存在を決定するためのこの処理される材料の上記励起エネルギーへの引き続いた曝露により、検出可能物質に結合した有機発光半導体ナノクリスタルプローブ中の半導体ナノクリスタルを励起して、狭い波長バンドの電磁放射線の吸収および/または放射および/または散乱もしくは回折したエネルギー量の検出可能な変化を引き起こし、(いずれの場合にも)、これらは、材料内中の、有機発光半導体ナノクリスタルプローブに結合した検出可能物質の存在を意味する。
【0066】
本発明はまた、発光半導体ナノクリスタル化合物を製造するプロセス、および検出可能物質に結合し得る親和性分子に連結した発光半導体ナノクリスタル化合物を含有する有機発光半導体ナノクリスタルプローブを製造するプロセスを包含する。
【0067】
本発明は、さらに、生物学的材料のような材料を処理して、材料内の検出可能物質の存在を決定するプロセスを包含し、このプロセスは、以下を包含する:(1)材料を、有機発光半導体ナノクリスタルプローブと接触させる工程、(2)材料から、有機発光半導体ナノクリスタルプローブのうち検出可能物質に結合していない部分を除去する工程、(3)材料を、半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギー(例えば、上記電磁エネルギー源または粒子線)に曝露して、検出可能な吸収の変化および/または狭い波長バンドの電磁放射線の放射および/または散乱もしくは回折を引き起こす工程であって、これは、(いずれの場合にも)、材料内の検出可能物質に結合した有機発光半導体ナノクリスタルプローブの存在を示している、および(4)有機発光半導体ナノクリスタルプローブ中の半導体ナノクリスタルにより、吸収されたエネルギーまたは放射した電磁放射線の変化または散乱もしくは回折を検出する工程。
【0068】
a. 定義
本明細書中の「ナノメータークリスタル」または「ナノクリスタル」との用語の使用は、約20ナノメーター(nm)または20×10-9メーター(200オングストローム)に過ぎない平均断面、好ましくは、約10nm(100オングストローム)に過ぎない平均断面を有し、そして約1nmの最小平均断面を有する有機または無機単結晶粒子を意味するが、ある場合には、それより小さい平均断面のナノクリスタル、すなわち、約0.5nm(5オングストローム)まで小さいものが受容可能である。典型的には、ナノクリスタルは、約1nm(10オングストローム)〜約10nm(100オングストローム)のサイズの範囲の平均断面を有する。
【0069】
「半導体ナノクリスタル」との用語の使用は、励起すると電磁放射線を放射し得る第II族−第VI族および第III族−第V族の半導体化合物のナノメータークリスタル、すなわち、ナノクリスタルを意味するが、第IV族半導体(例えば、ゲルマニウムもしくはケイ素)の使用または有機半導体の使用は、一定の条件下では、実行可能であり得る。
【0070】
「狭い波長バンド」との用語の使用は、半導体ナノクリスタルの電磁放射線放射に関して、約40nmを超えず、そして好ましくは、約20nmを超えない幅であって、中心の回りに対称的な放射の波長バンドを意味し、これは、典型的な色素分子の約100nmの放射バンド幅とは対照的であり、この色素分子は、さらに100nm程度にバンド幅が伸び得る赤色尾部を有する。言及したバンド幅は、半ピーク高さ(FWHM)での放射幅の測定により決定され、200 nm〜2000 nmの範囲が適切であることに注目すべきである。
【0071】
「広い吸収バンド」との用語の使用は、半導体ナノクリスタルの電磁放射線吸収に関して、開始から連続的に増える吸収を意味し、これは、この放射の「狭い波長バンド」近傍であるが、それより僅かに高いエネルギーで、起こる。これは、色素分子の「狭い吸収バンド」(これは、高いエネルギー側の放射ピーク近傍で発生するが、その波長から急速に低下する)と対照的である。
【0072】
「検出可能物質」との用語の使用は、材料(例えば、生物学的材料)内でのその存在または非存在が、本発明の有機発光半導体ナノクリスタルプローブの使用により確認され得る存在物(entity)または基(group)を意味する。
【0073】
「親和性分子」との用語の使用は、本発明の有機発光半導体ナノクリスタルプローブの部分であって、分析される材料(例えば、生物学的材料)内で、検出可能物質(もし、存在するなら)と選択的に結合する部分を意味する。
【0074】
「連結剤」との用語の使用は、半導体ナノクリスタルに連結でき、かつ親和性分子にも連結し得る材料を意味する。
【0075】
「連結する(link)」および「連結(linking)」との用語は、直接的か、または本明細書中で連結剤として特定された部分を介するかのいずれかで、親和性分子と半導体ナノクリスタルとの間の接着を述べることを意味する。接着は、任意の種類の結合(共有結合、イオン結合、もしくは水素結合、ファンデルワールス力または機械的結合などを含めるが、これらに限定されない)を含み得る。
【0076】
「結合する(bond)」および「結合(bonding)」との用語は、親和性分子と検出可能物質との間の接着を述べることを意味している。接着は、任意の種類の結合(共有結合、イオン結合、水素結合、ファンデルワールス力または機械的結合などを含めるが、これらに限定されない)を含み得る。
【0077】
本明細書中で使用する「発光半導体ナノクリスタル化合物」との用語は、1つ以上の連結剤に連結されており、かつ親和性分子に連結し得る半導体ナノクリスタルを規定することを意図する。他方、「有機発光半導体ナノクリスタルプローブ」との用語は、親和性分子に連結した発光半導体ナノクリスタル化合物を規定することを意図する。
【0078】
本明細書中で使用する「ガラス」との用語は、ケイ素、ホウ素および/またはリンまたはそれらの混合物の1種以上の酸化物だけでなく、1種以上のケイ酸金属塩、ホウ酸金属塩またはリン酸金属塩をそこに任意に含入させることを含むことを意味する。
【0079】
b.半導体ナノクリスタル
本発明を実施する際に有用な半導体ナノクリスタルには、第II−VI族半導体(例えば、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSeおよびHgTe)のナノクリスタル;ならびに第III−V族半導体(例えば、GaAs、InGaAs、InPおよびInAs)のナノクリスタルが挙げられる。上述のように、第IV族半導体(例えば、ゲルマニウムもしくはケイ素)の使用または有機半導体の使用もまた、一定の条件下では、実行可能であり得る。
【0080】
第III−V族半導体のナノメータークリスタルの形成は、同時係属中で本願と同一人に譲渡されたAlivisatosらの米国特許出願番号第08/235,265号(これは、第II−VI族半導体ナノクリスタルをも記載する。これは、1991年11月11日に出願された出願番号第07/796,246号のFWC出願として、1994年4月29日に出願された。);およびAlivisatosらの米国特許第5,262,357号(これもまた、本発明の譲受人に譲渡された)に記述されている。これらには、また、結晶成長停止剤を用いて、形成中の半導体ナノクリスタルのサイズを制御することもまた、記述されている。Alivisatosらの出願番号第08/235,265号、およびAlivisatosらの米国特許第5,262,357号の教示内容は、それぞれ、具体的に、本明細書中で参考として援用されている。
【0081】
好ましい実施態様では、ナノクリスタルは、核(core)/鞘(shell)配置で使用され、ここで、第一の半導体ナノクリスタルは、例えば、約20オングストローム〜約100オングストロームの範囲の直径の核を形成し、別の半導体ナノクリスタル材料の鞘は、核ナノクリスタルの上に、例えば、1〜10単分子層(monolayer)の厚さまで成長する。例えば、1〜10単分子層の厚さのCdSの鞘が、CdSeの核の上にエピタキシャルに成長する場合、室温での光ルミネセンスの量子収量が著しく増加する。このような核/鞘ナノクリスタルの形成は、本発明者の1人と他者とによる文献であって、「Epitaxial Growth of Highly Luminescent CdSe/CdS Core/Shell Nanocrystals with Photostability and Electronic Accessibility」(Peng、Schlamp、Kadavanich、およびAlivasatos、Journal of the American Cheical Society発行、第119巻、第30号、1997、7019〜7029ページ)との表題でさらに詳しく記載されており、その内容は、本明細書中で具体的に参考として援用される。
【0082】
本発明で使用する半導体ナノクリスタルは、約40nm以下、好ましくは、約20nm以下の狭い波長バンド内の光を放射する能力を有し、それにより、(広い放射ライン(例えば、約100nm)を有し、かつ広い放射尾部(例えば、さらに約100nm)をスペクトルの赤色側に有する色素分子の使用とは異なり)、放射光の波長の重なりのない(もしくは少量重なる)異なる半導体ナノクリスタルを有する、複数の異なる色に着色した有機発光半導体ナノクリスタルプローブを同時に使用を可能にし、それゆえ、複数の検出可能物質の同時検出が可能になる。
【0083】
c.親和性分子
本発明の有機発光半導体ナノクリスタルプローブの一部を形成する特定の親和性分子は、(例えば、生物学的材料内でのその存在または非存在を確認すべき)特定の検出可能物質に対するその親和性に基づいて、選択される。基本的には、親和性分子は、特定の検出可能物質を特異的に認識し得る発光半導体ナノクリスタル化合物に連結され得る任意の分子を包含し得る。一般に、検出可能物質を特異的な認識を提供するための、色素分子と組み合わせて、従来技術で有用な任意の親和性分子は、本発明の有機発光半導体ナノクリスタルプローブの形成に有用であることが分かっている。このような親和性分子には、例えば、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、核酸(単量体状およびオリゴマー状の両方)、タンパク質、多糖類、および小分子(例えば、糖類、ペプチド、薬物およびリガンド)のような種類の物質が挙げられる。このような親和性分子のリストは、公開された文献、例えば、「Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals」(第6版)(R.P. Hauglandによる、Molecular Probes, Inc.から入手可能)にて、入手し得る。
【0084】
d.連結剤
本発明の有機発光半導体ナノクリスタルプローブは、通常、有機材料内での1種以上の検出可能物質の検出、特に、生物学的材料内での1種以上の検出可能物質の検出に関して、有用性が分かっている。これは、有機/生物学的材料中の検出可能物質の存在がその後確認され得るように、有機発光半導体ナノクリスタルプローブを検出可能物質に結合する上記親和性分子または部分が、有機発光半導体ナノクリスタルプローブ中に存在することを必要とする。しかし、半導体ナノクリスタルは無機であるので、これらは、有機親和性分子に直接結合しない可能性がある。従って、これらの場合には、無機半導体ナノクリスタルとだけでなく、有機発光半導体ナノクリスタルプローブ中の有機親和性分子とも連結を形成し得るいくつかのタイプの連結剤が、有機発光半導体ナノクリスタルプローブ内に存在しなければならない。
【0085】
半導体ナノクリスタルが連結剤を介して親和性分子に連結し得る1つの形式には、連結剤(例えば、3−メルカプトプロピル−トリメトキシシランなどの置換シラン)を用いて、半導体ナノクリスタルをガラス(例えば、シリカ(SiOx、ここで、x=1〜2))の薄層でコートして、ナノクリスタルをガラスに連結することによる。ガラスコーティングされた半導体ナノクリスタルは、次いで、連結剤、例えば、3−アミノプロピル−トリメトキシシランなどのアミンでさらに処理され得、これは、このガラスコートされた半導体ナノクリスタルを親和性分子に連結するように作用する。すなわち、ガラスコートされた半導体ナノクリスタルは、次いで、親和性分子に連結され得る。最初の発光半導体ナノクリスタル化合物がまた、親和性分子に効果的に連結するために、製造した後に化学的に修飾され得ることは、本発明の考慮の範囲内である。種々の文献には、この目的に使用され得る標準的な種類の化学材料が要約されており、特に、「Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals」(6版)(R.P. Hauglandによる、Molecular Probes, Inc.から入手可能)、および「Bioconjugate Techniques」の教本(Greg Hermansonによる、Academic Press、New Yorkから入手可能)がある。
【0086】
半導体ナノクリスタルを、ガラスの薄層でコートするとき、ガラスは、例えば、約0.5 nm〜約10 nmの範囲、好ましくは、約0.5 nm〜約2 nmの範囲の厚さを有するシリカガラス(SiOx、ここで、x=1〜2)を含み得る。
【0087】
半導体ナノクリスタルは、まず、ナノクリスタルを界面活性剤(例えば、トリス−オクチル−ホスフィンオキシド)でコートし、次いで、界面活性剤でコートされたナノクリスタルを、連結剤(例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)の塩基性メタノール溶液に溶解し、続いて部分的に加水分解し、続いてガラス親和性分子連結剤(例えば、アミノプロピルトリメトキシシラン;これは、ガラスに連結し、そして親和性分子との連結を形成するように機能する)の添加により、シリカなどの薄いガラスのコーティングでコートされる。
【0088】
連結剤が、半導体ナノクリスタル上でのガラスコーティングの使用に関与しない場合、これは、特定の親和性分子に依存して、多数の異なる材料を含み得、これは、順に、分析される検出可能物質のタイプに依存する。個々の連結剤は、個々の半導体ナノクリスタルに連結するのに使用され得るものの、同じ半導体ナノクリスタルに1個以上の連結剤を結合してもよく、逆もまた同様であることも本発明の考慮の範囲内であることもまた、注目されるべきである。
【0089】
プローブ内にて、半導体ナノクリスタル(またはナノクリスタル上のガラスコーティング)および有機親和性分子の両方に連結するのに使用され得る連結剤のタイプの少数の例を、以下の表に例示するが、これがすべてのリストではないことが理解される:
【0090】
【化1】

【0091】
さらに、個々のナノクリスタル(またはナノクリスタルの群)の回りにカプセル化ネットまたは連結を形成するために、複数の重合可能連結剤が一緒に使用され得ることに注目すべきである。このことは、特定の連結剤がナノクリスタルとの強固な結合を形成できない場合に、特に重要である。このような様式で共に結合して、連結剤のネットワークでナノクリスタルを取り囲み得る連結剤の例としては、以下が挙げられるが、それらに限定されない:ジアセチレン、アクリル酸エステル、アクリルアミド、ビニル、スチリル、および前記酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化リン、ケイ酸塩、ホウ酸塩およびリン酸塩。
【0092】
e.プローブの励起および放射/吸収の検出
先に述べたように、本発明の有機発光半導体ナノクリスタルプローブは、従来技術で使用される色素分子と対照的に、広いバンド幅にわたって励起し得、かつ狭い波長バンドでの放射を示す。それゆえ、プローブ内の発光半導体ナノクリスタルを励起するために、X線から紫外線、可視光線、赤外線までの範囲の波長の電磁放射線が使用され得る。加えて、発光半導体ナノクリスタルは、粒子線(例えば、電子線(e−線))の衝撃から励起され得る。さらに、発光半導体ナノクリスタルが励起され得る広いバンド幅により、数個のプローブ、すなわち、異なる振動数で放射線を放つ数個のプローブの同時の励起のために、共通の励起源を使用でき、それゆえ、数個のプローブの同時の励起および存在の検出(これは、例えば、試験される材料内での数個の検出可能物質の存在を示す)が可能となる。
【0093】
それゆえ、例えば、第二の振動数の放射線(例えば、赤色光)を放射し得る第一の有機発光半導体ナノクリスタルプローブを励起するために、所定の振動数のレーザー放射線源(例えば、青色光)が使用され得、このことにより、照射される材料内にて、特定の赤色光を放射する有機発光半導体ナノクリスタルプローブが結合した第一の検出可能物質の存在を示す。同時に、同じ青色光レーザー源はまた、第三の振動数の放射線(例えば、緑色光)を放射し得る第二の有機発光半導体ナノクリスタルプローブ(同じ材料内の)を励起し得、このことにより、照射される材料内にて、特定の緑色光を放射する有機発光半導体ナノクリスタルプローブが結合した第二の検出可能物質の存在を示す。それゆえ、従来技術とは異なり、(本発明の有機発光半導体ナノクリスタルプローブが励起され得る広いバンド幅のために)、複数の励起源を使用する必要がなくなり、そして各プローブにおいて、特定の半導体ナノクリスタルの狭い放射バンドにより、放射された放射線を検出するための配列化(sequencing)および/または精密な濾過をなくすことが可能となる。
【0094】
本発明のプローブによるエネルギーの吸収に関して、励起源が電子線またはX線源のとき、分析される材料中の、問題の検出可能物質に結合した有機発光半導体ナノクリスタルプローブの存在は、市販のエネルギー吸収または散乱もしくは回折検出システムを用いて確認され得、ここで、分析される材料の吸収または散乱断面(scattering cross section)または回折の変化が検出され得、このことは、材料内でのプローブの存在を意味し、これは、順に、分析される材料中の、プローブが結合した検出可能物質の存在を示す。加えて、プローブの狭い放射波長の可視放射を観察するための可視光の放射の従来の検出システムを用いることにより、検出可能物質に結合した有機発光半導体ナノクリスタルプローブの存在を検出するために、電子線源またはX線源を使用することが可能であり得る。
【0095】
以下の実施例は、本発明の有機発光半導体ナノクリスタルプローブの形成をさらに例示するだけでなく、生物学的材料のような材料中の検出可能物質の存在を検出するのにそれらを使用することをさらに例示する役割を果たす。
【実施例】
【0096】
(実施例1)
(連結剤に連結した半導体ナノクリスタルを含有する)発光半導体ナノクリスタル化合物の形成を例示するために、(CH34NOH・5H2Oを用いて、pH 10の、(4−メルカプト)安息香酸の5mM溶液20mlを調製した。この溶液に、トリス−オクチルホスフィンオキシドコートされたCdSe/CdS(核/鞘)ナノクリスタル20mgを添加し、そして完全に溶解するまで撹拌した。得られたナノクリスタル/連結剤溶液を、50〜60℃で5時間加熱し、次いで、エバポレートにより、数mlまで濃縮した。次いで、等体積のアセトンを添加し、そしてナノクリスタルを、溶液から均一に沈殿させた。次いで、沈殿物をアセトンで洗浄し、乾燥し、次いで、保存し得る。
【0097】
上記調製された発光半導体ナノクリスタル化合物は、適切な親和性分子に連結され得、生物学的材料を処理して検出可能物質の存在または非存在を決定するための本発明の有機発光半導体ナノクリスタルプローブを形成し得る。すなわち、上で調製した発光半導体ナノクリスタル化合物は、例えば、(親和性分子としての)アビジンまたはストレプトアビジンに連結され得、生物学的材料を処理してビオチンの存在を確認するための有機発光半導体ナノクリスタルプローブを形成し得る。あるいは、上記調製された発光半導体ナノクリスタル化合物は、抗ジゴキシギネンに連結され得、生物学的材料を処理してジゴキシギネンの存在を確認するための有機発光半導体ナノクリスタルプローブが形成し得る。
【0098】
(実施例2)
(連結剤に連結したガラスコートされた半導体ナノクリスタルを含有する)発光半導体ナノクリスタル化合物の形成を例示するために、メタノール中の25容量%ジメチルスルホキシドの無水溶液40 mlに、3−メルカプトプロピル−トリメトキシシラン50μlを添加し、そしてpHを、(CH34NOH・5H2Oを用いて、10〜11に調整した。次いで、この溶液に、トリス−オクチルホスフィンオキシドコートされたCdSe/CdS(核/鞘)粒子(これは、前記Peng、Schlamp、KadavanichおよびAlivisatosの文献で記述された技術により調製された)10 mgを溶解し、そして数時間撹拌した。溶液を、(CH34NOH・5H2OでpH 10に調整したメタノール40 mlで希釈し、そして69℃で1時間加熱した。溶液を1時間撹拌し、90容量%メタノール/9.89容量% H2O/0.1容量%トリメトキシシリルプロピル尿素/0.01容量%アミノプロピル−トリメトキシシラン溶液(これは、少なくとも1時間撹拌した)40 mlを添加し、そして2時間撹拌した。引き続いて、この反応系を、15分間にわたって、69℃まで加熱し、次いで、冷却した。メタノール中の10容量%クロロトリメチルシラン溶液(これは、(CH34NOH・5H2Oを用いて、pH 10に調整された)10 mlを添加し、2時間撹拌し、次いで、60℃まで加熱し、次いで、真空下にて、部分的に濃縮した。一旦、メタノールを全てエバポレートし、溶液を、発光半導体ナノクリスタル化合物を含有するオイル状製品として、アセトンで沈殿させた。発光半導体ナノクリスタル化合物は、次いで、水および種々の緩衝溶液中に再溶解され得、そのことにより、それを親和性分子に連結して、生物学的材料を処理して検出可能物質の存在または非存在を決定するための本発明の有機発光半導体ナノクリスタルプローブを形成するための準備をする。
【0099】
それゆえ、本発明は、(広いかもしくは狭いバンド幅の)電磁放射線源または粒子線のいずれかにより励起すると、狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得、そして/またはエネルギーを吸収し得、そして/または励起物(excitation)を散乱もしくは回折し得る半導体ナノクリスタルを含む有機発光半導体ナノクリスタルプローブを提供する。そのことにより、異なる波長の電磁放射線を放射する複数のこのようなプローブ材料を同時に使用することが可能となり、それにより、所定の材料内にて、多数の検出可能物質の存在を同時に検出することが可能となる。プローブ材料は、光または酸素の存在下で安定であり、広いスペクトルにわたるエネルギーで励起され得、そして狭い放射バンドを有し、その結果、生物学的材料のような材料内での複数の検出可能物質の同時および/または連続的な検出のための改良された材料およびプロセスが得られる。
【0100】
本発明によれば、色素分子の特徴である大きな赤色放射尾部の存在なしに、広い(wide)吸収バンドを有しかつ検出可能な吸収の変化を示すかもしくは狭い波長バンドの放射線を放射し得る(それにより、このようなプローブ材料を複数、同時に使用することが可能となり、それぞれは、異なる狭い波長バンドの光を放射する)、および/または放射線を散乱もしくは回折し得る、生物学的用途のための安定なプローブ材料が提供される。また、光学および電子顕微鏡の両方により、同じ試料を画像化するのに使用し得る、単一の安定なプローブ材料が提供される。
【0101】
要約すると、本明細書中においては、親和性分子に結合し得る発光半導体ナノクリスタル化合物が記載される。この化合物は、以下を含有する:(1)(広いかもしくは狭いバンド幅の)電磁放射線源または粒子線により励起された場合に、狭い波長幅の電磁放射線を放射(発光)し得、そして/またはエネルギーを吸収し得、そして/または電磁放射線を散乱もしくは回折し得る半導体ナノクリスタル;ならびに(2)この半導体ナノクリスタルに連結した第一の部分と、親和性分子に連結し得る第二の部分とを有する少なくとも1種の連結剤。(広いかもしくは狭いバンド幅の)電磁放射線源または粒子線により励起された場合に、発光半導体ナノクリスタル化合物は、親和性分子に結合することにより、分析される材料内の検出可能物質に結合でき、そして狭い波長幅の電磁放射線を放射し得、そして/またはエネルギーを吸収、散乱、もしくは回折し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブを形成し得る。プローブは、酸素および/または他のラジカルの存在下での光への繰り返し曝露に対して安定である。
【0102】
有機発光半導体ナノクリスタルプローブでの材料の処理、およびプローブに結合された材料内の検出可能物質の存在を決定するためのこの処理される材料の励起エネルギーへの引き続いた曝露は、検出可能物質に結合されたプローブ中の半導体ナノクリスタルを励起して、狭い波長バンドの電磁放射線の放射、および/または検出可能な吸収、および/またはエネルギーの散乱もしくは回折を引き起こし、いずれの場合においても、これは、材料中の、有機発光半導体ナノクリスタルプローブに結合された検出可能物質の存在を意味する。プローブ中の半導体ナノクリスタルは、広いエネルギーのバンド幅にわたって励起され得るので、そして電磁放射線を狭いバンド幅で放射するので、単一のエネルギー源を使用して同時に、それぞれ異なる波長バンドの電磁波放射線を放出する複数のこのようなプローブを励起して、分析される物質中の複数の検出可能物質を同時に分析することが可能である。
【0103】
さらに、発光半導体ナノクリスタル化合物を作製するための、そして検出可能物質に結合可能な親和性分子に連結された発光半導体ナノクリスタル化合物を含む有機発光半導体ナノクリスタルプローブを作製するためのプロセスが記載される。プローブを使用して材料中の検出可能な材料の存在を決定するためのプロセスもまた記載される。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の好ましい実施形態によれば、以下の化合物などが提供される。
【0105】
(項1) 親和性分子に連結でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る発光半導体ナノクリスタル化合物であって、該化合物は、以下のa)およびb)を含有する:
a)励起された場合に狭い波長バンドの光を放射し得る半導体ナノクリスタル;および
b)該半導体ナノクリスタルに連結し、かつ該親和性分子に連結し得る少なくとも1種の連結剤。
【0106】
(項2) 前記半導体ナノクリスタルが、広いバンド幅にわたって、エネルギーを吸収し得る、上記項1に記載の発光半導体ナノクリスタル化合物。
【0107】
(項3) 前記連結剤が、ガラスコーティングおよび前記親和性分子の両方に連結し得るさらなる連結剤を介して該親和性分子に連結し得る、前記半導体ナノクリスタル上の該ガラスコーティングを含有する、上記項1に記載の発光半導体ナノクリスタル化合物。
【0108】
(項4) 前記半導体ナノクリスタル上の前記ガラスコーティングが、シリカガラスのコーティングを含有する、上記項1に記載の発光半導体ナノクリスタル化合物。
【0109】
(項5) 前記連結剤が、前記半導体ナノクリスタルに連結した第一の部分および前記親和性分子に連結し得る第二の部分を含有する、上記項1に記載の発光半導体ナノクリスタル化合物。
【0110】
(項6) 前記1種またはそれ以上の連結剤が、前記半導体ナノクリスタル上のガラスコーティングおよび連結材料を含有し、該連結材料が、該半導体ナノクリスタル上のガラスコーティングに連結した第一の部分および前記親和性分子に連結し得る第二の部分を含有する、上記項1に記載の発光半導体ナノクリスタル化合物。
【0111】
(項7) 検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブであって、該検出可能物質に結合し得る親和性分子に連結した発光半導体ナノクリスタル化合物を含有する、プローブ。
【0112】
(項8) 検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブであって、
該プローブは、以下のa)、b)およびc)を含有し、
それにより、該材料中の該検出可能物質の存在を決定するための、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブでの材料の処理、および該処理される材料の励起エネルギーへの引き続いた曝露により、該検出可能物質に結合した該有機発光半導体ナノクリスタルプローブ中の該半導体ナノクリスタルを励起して、狭い波長バンドの電磁放射線の放射を引き起こし、このことは、該材料中に、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブに結合した該検出可能物質が存在することを意味する:
a)励起された場合に狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る半導体ナノクリスタル;
b)該半導体ナノクリスタルに連結する連結剤であって、かつ親和性分子に連結し得る第二の部分を有する少なくとも1種の連結剤;および
c)該連結剤の該第二の部分に連結する親和性分子であって、かつ該検出可能物質に選択的に結合し得る親和性分子。
【0113】
(項9) 前記連結剤が、前記半導体ナノクリスタル上のガラスコーティングを含有する、上記項8に記載の有機発光半導体ナノクリスタルプローブ。 (項10) 前記検出可能物質の存在を決定するために前記有機発光半導体ナノクリスタルプローブで処理される前記材料が、生物学的材料を含有する、上記項8に記載の有機発光半導体ナノクリスタルプローブ。
【0114】
(項11) 前記検出可能物質の存在を決定するために前記有機発光半導体ナノクリスタルプローブで処理される前記材料が、有機材料を含有する、上記項8に記載の有機発光半導体ナノクリスタルプローブ。
【0115】
(項12) 前記検出可能物質の存在を決定するために前記有機発光半導体ナノクリスタルプローブで処理される前記材料が、無機材料を含有する、上記項8に記載の有機発光半導体ナノクリスタルプローブ。
【0116】
(項13) 親和性分子に連結でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る発光半導体ナノクリスタル化合物を形成するプロセスであって、
励起された場合に狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る半導体ナノクリスタルと、前記半導体ナノクリスタルに連結した第一の部分および親和性分子に連結し得る第二の部分を有する連結剤とを共に連結する工程を包含する、プロセス。
【0117】
(項14) さらに、前記半導体ナノクリスタル上にガラスコーティングを形成する工程および
次いで、該ガラスを、親和性分子と連結し得る連結剤で処理する工程を包含する、上記項13に記載のプロセス。
【0118】
(項15) 検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブを形成するプロセスであって、検出可能物質に結合し得る親和性分子と、発光半導体ナノクリスタル化合物とを連結する工程を包含する、プロセス。
【0119】
(項16) 検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブを形成するプロセスであって、該プロセスは、以下の工程を包含する:
a)励起された場合に狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る半導体ナノクリスタルを、該半導体ナノクリスタルに連結した第一の部分および親和性分子に連結し得る第二の部分を有する連結剤に連結する工程;および
b)該連結剤と、該検出可能物質に結合し得る親和性分子とを連結する工程。 (項17) 前記半導体ナノクリスタルおよび前記連結剤を共に連結する前記工程が、該連結剤および前記親和性分子を共に連結する前記工程の前に行われる、上記項16に記載のプロセス。
【0120】
(項18) 前記連結剤および前記親和性分子を共に連結する前記工程が、前記半導体ナノクリスタルおよび前記連結剤を共に連結する前記工程の前に行われる、上記項16に記載のプロセス。
【0121】
(項19) 前記半導体ナノクリスタルおよび前記連結剤を共に連結する前記工程が、さらに、該半導体ナノクリスタルをガラスでコートする工程、および次いで、該ガラスコートされた半導体ナノクリスタルを、前記親和性分子に連結し得る連結剤で処理する工程を包含する、上記項16に記載のプロセス。
【0122】
(項20) 材料中の1種以上の検出可能物質の存在を決定するために該材料を処理するプロセスであって、該プロセスは、以下のa)、b)、c)およびd)を包含する:
a)該材料を、もし存在するなら該材料内の第一の検出可能物質と結合でき、かつ励起された場合に第一の狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る第一の有機発光半導体ナノクリスタルプローブと接触させる工程であって、該第一の有機発光半導体ナノクリスタルプローブは、以下のi)、ii)およびiii)を含有する:
i)広いバンド幅にわたって励起され得、かつ励起された場合に該第一の狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る第一の半導体ナノクリスタル;
ii)該検出可能物質に選択的に結合し得る親和性分子;および
iii)該第一の半導体ナノクリスタルに連結し、かつ該親和性分子にも連結した連結剤;
b)該材料から、該第一の有機発光半導体ナノクリスタルプローブのうち該第一の検出可能物質に結合していない部分を除去する工程;および
c)該材料を、該第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、該材料内での該第一の検出可能物質の存在を示す、該第一の狭い波長バンドの電磁放射線を放射する工程;および
d)該第一の有機発光半導体ナノクリスタルプローブ中にて、該第一の半導体ナノクリスタルにより放射された該第一の狭い波長バンドの該電磁放射線を検出する工程。
【0123】
(項21) 前記材料を、少なくとも、該材料中のさらなる検出可能物質に結合し得る第二の有機発光半導体ナノクリスタルプローブで処理する追加工程を包含し、そして該第二の有機発光半導体ナノクリスタルプローブが、広いバンド幅で励起され得、かつ前記第一の狭い波長バンドとは異なる第二の狭い波長バンドの電磁放射線を放射し得る第二の半導体ナノクリスタルを含有し、それにより、該材料を、該第一のおよび第二のナノクリスタルの両方を励起し得るエネルギーへの曝露が、該材料中に存在する該第一のまたは第二の半導体ナノクリスタルのいずれかに、異なる狭い波長バンドの電磁放射線を放射させ、それにより、1つより多くの、材料中の検出可能物質の存在または非存在が、単一の励起エネルギー源を用いて同時に検出され得る、上記項20に記載のプロセス。
【0124】
(項22) 前記材料を処理するために、少なくとも1個のさらなる有機発光半導体ナノクリスタルプローブが使用され、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブのそれぞれが、異なる検出可能物質に選択的に結合可能であり、そして該有機発光半導体ナノクリスタルプローブのそれぞれが、広い波長範囲にわたって励起でき、かつ異なる狭い波長バンドの電磁放射線を放射でき、それにより、複数の検出可能物質が、単一の励起源を用いて、材料内で同時に分析され得る、上記項21に記載のプロセス。
【0125】
(項23) 前記材料から前記第一の有機発光半導体ナノクリスタルプローブのうち前記第一の検出可能物質に結合していない部分を除去する前記工程の前に、該材料が、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブの全てで処理され、そして該除去工程が、さらに、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブの全てのうち、該材料内の検出可能物質に結合していない部分を除去することを包含する、上記項21に記載のプロセス。
【0126】
(項24) それにより、前記材料の選択波長の光への曝露が使用され、前記有機発光半導体ナノクリスタルプローブの1種以上であるが全部ではないものを選択的に励起して、それゆえ、該材料中の、特定の標識された検出可能物質または異なる標識された検出可能物質のサブセットの存在の同定が可能となる、上記項21、22または23に記載のプロセス。
【0127】
(項25) 前記材料が、生物学的材料を含有する、上記項20に記載の、材料を処理するためのプロセス。
【0128】
(項26) 前記材料を、前記第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、電磁放射線を放射させる前記工程が、さらに、該材料を、広いかもしくは狭いスペクトルのフォトンを放射し得る電磁放射線源に曝露することを包含する、上記項20に記載の、材料を処理するためのプロセス。
【0129】
(項27) 前記材料を、前記第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、電磁放射線を放射させる前記工程が、さらに、該材料を、電子線に曝露することを包含する、上記項20に記載の、材料を処理するためのプロセス。
【0130】
(項28) 材料内での検出可能物質の存在を決定するために該材料を処理するプロセスであって、該プロセスは、以下のa)、b)、c)およびd)を包含する:
a)該材料を、もし存在するなら該材料内の第一の検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合にエネルギーを吸収し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブと接触させる工程であって、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブは、以下のi)、ii)およびiii)を含有する:
i)広いバンド幅にわたって励起でき、かつ励起された場合にエネルギーを吸収し得る第一の半導体ナノクリスタル;
ii)該検出可能物質に選択的に結合し得る親和性分子;および
iii)該第一の半導体ナノクリスタルに連結し、かつ該親和性分子にも連結した連結剤;
b)該材料から、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブのうち該第一の検出可能物質に結合していない部分を除去する工程;および
c)該材料を、該第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、エネルギーを吸収し、該材料内での該第一の検出可能物質の存在を示す、工程;および
d)該材料中の該検出可能物質に結合した該有機発光半導体ナノクリスタルプローブの存在を示す、吸収されたエネルギーの変化を検出する工程。
【0131】
(項29) 上記項28に記載のプロセスであって、前記材料を、少なくとも、該材料中のさらなる検出可能物質に結合し得る第二の有機発光半導体ナノクリスタルプローブで処理するさらなる工程を包含し、該第二の有機発光半導体ナノクリスタルプローブが、広いバンド幅で励起し得る第二の半導体ナノクリスタルを含有し、その結果、検出可能な吸光度変化が得られ、それにより、該第一のおよび第二のナノクリスタルの両方を励起し得るエネルギーへの該材料の曝露が、該材料内に存在する該第一のまたは第二の半導体ナノクリスタルのいずれかに、異なる波長バンドの電磁放射線を吸収させ、それにより、材料内の1つより多くの検出可能物質の存在または非存在が、単一の励起エネルギー源を用いて同時に検出され得る、プロセス。
【0132】
(項30) 前記材料を処理するために、少なくとも1個のさらなる有機発光半導体ナノクリスタルプローブが使用され、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブのそれぞれが、異なる検出可能物質に選択的に結合可能であり、そして該有機発光半導体ナノクリスタルプローブのそれぞれが、広い波長範囲にわたって励起され得、かつ電磁放射線を吸収でき、それにより、複数の検出可能物質が、単一の励起源を用いて、材料内で同時に分析され得る、上記項29に記載のプロセス。
【0133】
(項31) 前記材料を、前記第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、電磁放射線を放射する前記工程が、さらに、該材料を、広いかもしくは狭いスペクトルのフォトンを放射し得る電磁放射線源に曝露することを包含する、上記項28に記載の、材料を処理するためのプロセス。
【0134】
(項32) 前記材料を、前記第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、電磁放射線を放射する前記工程が、さらに、該材料を、X線源に曝露することを包含する、上記項28に記載の、材料を処理するためのプロセス。
【0135】
(項33) 材料内での検出可能物質の存在を決定するために該材料を処理するプロセスであって、該プロセスは、以下のa)、b)、c)およびd)を包含する:
a)該材料を、もし存在するなら該材料中の第一の検出可能物質と結合でき、かつ励起された場合にエネルギーを散乱もしくは回折し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブと接触させる工程であって、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブは、以下のi)、ii)およびiii)を含有する:
i)特徴的な断面を有する広いバンド幅にわたってエネルギーを散乱もしくは回折し得る半導体ナノクリスタル;
ii)該検出可能物質に選択的に結合し得る親和性分子;および
iii)該第一の半導体ナノクリスタルに連結し、かつ該親和性分子にも連結した連結剤;
b)該材料から、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブのうち該第一の検出可能物質に結合していない部分を除去する工程;および
c)該材料を、該第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、エネルギーを散乱もしくは回折して、該材料内での該第一の検出可能物質の存在を示す工程;および
d)散乱もしくは回折したエネルギーの変化を検出して、該材料内にて、該検出可能物質に結合した該有機発光半導体ナノクリスタルプローブの存在を示す工程。
【0136】
(項34) 前記材料を、少なくとも、該材料内の第二の検出可能物質に結合し得る第二の有機発光半導体ナノクリスタルプローブで処理するさらなる工程を包含し、該第二の有機発光半導体ナノクリスタルプローブがまた、エネルギーを散乱もしくは回折し得る第二の半導体ナノクリスタルを含有し、その結果、検出可能な散乱断面変化が得られ、それにより、該材料の、該第一のおよび第二のナノクリスタルの両方を散乱もしくは回折し得るエネルギーへの曝露が、該材料内に存在する該第一のおよび第二の半導体ナノクリスタルのいずれかに、特定の有機発光半導体ナノクリスタルプローブに特徴的な散乱断面で、エネルギーを散乱もしくは回折させ、それにより、材料内の1つより多くの検出可能物質の存在または非存在が、単一の励起エネルギー源を用いて同時に検出され得る、上記項33に記載のプロセス。
【0137】
(項35) 前記材料を処理するために、少なくとも1個のさらなる有機発光半導体ナノクリスタルプローブが使用され、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブのそれぞれが、異なる検出可能物質に選択的に結合可能であり、そして該有機発光半導体ナノクリスタルプローブのそれぞれが、異なる散乱断面を示し、かつエネルギーを散乱もしくは回折でき、それにより、複数の検出可能物質が、単一の励起源を用いて、材料内で同時に分析され得る、上記項34に記載のプロセス。
【0138】
(項36) 前記材料を、前記第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、エネルギーを散乱もしくは回折する前記工程が、さらに、該材料を、電子線または他の粒子線に曝露することを包含する、上記項33に記載の、材料を処理するためのプロセス。
【0139】
(項37) 前記材料を、前記第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、エネルギーを散乱もしくは回折する前記工程が、さらに、該材料を、X線源に曝露することを包含する、上記項33に記載の、材料を処理するためのプロセス。
【0140】
(項38) 前記材料を、前記第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、エネルギーを散乱もしくは回折する前記工程、およびエネルギーの該散乱もしくは回折を検出する前記工程が、共に、透過型電子顕微鏡を用いて行われる、上記項33に記載の、材料を処理するためのプロセス。
【0141】
(項39) 前記材料を、前記第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、エネルギーを散乱もしくは回折する前記工程、および前記エネルギーの散乱もしくは回折を検出する前記工程が、共に、走査型電子顕微鏡を用いて行われる、上記項33に記載の、材料を処理するためのプロセス。 (項40) 親和性分子に連結でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る発光半導体ナノクリスタル化合物であって、該化合物は、以下のa)およびb)を含有する:
a)励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る半導体ナノクリスタル;および
b)該半導体ナノクリスタルに連結する連結剤であって、かつ該親和性分子に連結し得る少なくとも1種の連結剤。
【0142】
(項41) 親和性分子に連結でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る発光半導体ナノクリスタル化合物であって、該化合物は、以下のa)およびb)を含有する:
a)励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る半導体ナノクリスタル;および
b)該半導体ナノクリスタルに連結する連結剤であって、かつ該親和性分子に連結し得る少なくとも1種の連結剤。
【0143】
(項42) 検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブであって、該プローブは、該検出可能物質に結合し得る親和性分子に連結した発光半導体ナノクリスタル化合物を含有する、プローブ。
【0144】
(項43) 検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブであって、該プローブは、以下のa)、b)およびc)を含有し、それにより、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブでの材料の処理、および該材料内での該検出可能物質の存在を決定するための該処理される材料の励起エネルギーへの引き続いた曝露により、該検出可能物質に結合した該有機発光半導体ナノクリスタルプローブ中の該半導体ナノクリスタルを励起して、狭い波長バンドのエネルギーの吸収を引き起こし、このことが、該材料内にて、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブに結合した該検出可能物質の存在を意味する:
a)励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る半導体ナノクリスタル;
b)該半導体ナノクリスタルに連結する連結剤であって、かつ親和性分子に連結し得る第二の部分を有する少なくとも1種の連結剤;および
c)該連結剤の該第二の部分に連結する親和性分子であって、かつ該検出可能物質に選択的に結合し得る親和性分子。
【0145】
(項44) 検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブであって、該検出可能物質に結合し得る親和性分子に連結した発光半導体ナノクリスタル化合物を含有する、プローブ。
【0146】
(項45) 検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブであって、該プローブは、以下のa)、b)およびc)を含有し、それにより、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブでの材料の処理、および該材料内での該検出可能物質の存在を決定するための該処理される材料の励起エネルギーへの引き続いた曝露により、該検出可能物質に結合した該有機発光半導体ナノクリスタルプローブ中の該半導体ナノクリスタルを励起して、狭い波長バンドのエネルギーの散乱もしくは回折を引き起こし、このことは、該材料内にて、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブに結合した該検出可能物質の存在を意味する:
a)励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る半導体ナノクリスタル;
b)該半導体ナノクリスタルに連結する連結剤であって、かつ親和性分子に連結し得る第二の部分を有する少なくとも1種の連結剤;および
c)該連結剤の該第二の部分に連結する親和性分子であって、かつ該検出可能物質に選択的に結合し得る親和性分子。
【0147】
(項46) 親和性分子に連結でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る発光半導体ナノクリスタル化合物を形成するプロセスであって、該プロセスは、以下を包含する:励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る半導体ナノクリスタルと、該半導体ナノクリスタルに連結した第一の部分および親和性分子に連結し得る第二の部分を有する連結剤とを共に連結する工程。
【0148】
(項47) 親和性分子に連結でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る発光半導体ナノクリスタル化合物を形成するプロセスであって、該プロセスは、以下を包含する:励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る半導体ナノクリスタルと、該半導体ナノクリスタルに連結した第一の部分および親和性分子に連結し得る第二の部分を有する連結剤とを共に連結する工程。
【0149】
(項48) 検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブを形成するプロセスであって、検出可能物質に結合し得る親和性分子に、発光半導体ナノクリスタル化合物を連結する工程を包含する、プロセス。
【0150】
(項49) 検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブを形成するプロセスであって、該プロセスは、以下の工程を包含する:
a)励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る半導体ナノクリスタルを、該半導体ナノクリスタルに連結した第一の部分および親和性分子に連結し得る第二の部分を有する連結剤に連結する工程;および
b)該連結剤と、該検出可能物質に結合し得る親和性分子とを連結する工程。
【0151】
(項50) 検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブを形成するプロセスであって、検出可能物質に結合し得る親和性分子で、発光半導体ナノクリスタル化合物を連結する工程を包含する、プロセス。
【0152】
(項51) 検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブを形成するプロセスであって、該プロセスは、以下の工程を包含する:
a)励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る半導体ナノクリスタルを、該半導体ナノクリスタルに連結した第一の部分および親和性分子に連結し得る第二の部分を有する連結剤に連結する工程;および
b)該連結剤と、該検出可能物質に結合し得る親和性分子とを連結する工程。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料内での検出可能物質の存在を決定するために該材料を処理するプロセスであって、該プロセスは、以下のa)、b)、c)およびd)を包含する:
a)該材料を、もし存在するなら該材料中の第一の検出可能物質と結合でき、かつ励起された場合にエネルギーを散乱もしくは回折し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブと接触させる工程であって、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブは、以下のi)、ii)およびiii)を含有する:
i)特徴的な断面を有する広いバンド幅にわたってエネルギーを散乱もしくは回折し得る半導体ナノクリスタル;
ii)該検出可能物質に選択的に結合し得る親和性分子;および
iii)該第一の半導体ナノクリスタルに連結し、かつ該親和性分子にも連結した連結剤;
b)該材料から、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブのうち該第一の検出可能物質に結合していない部分を除去する工程;および
c)該材料を、該第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、エネルギーを散乱もしくは回折して、該材料内での該第一の検出可能物質の存在を示す工程;および
d)散乱もしくは回折したエネルギーの変化を検出して、該材料内にて、該検出可能物質に結合した該有機発光半導体ナノクリスタルプローブの存在を示す工程。
【請求項2】
前記材料を、少なくとも、該材料内の第二の検出可能物質に結合し得る第二の有機発光半導体ナノクリスタルプローブで処理するさらなる工程を包含し、該第二の有機発光半導体ナノクリスタルプローブがまた、エネルギーを散乱もしくは回折し得る第二の半導体ナノクリスタルを含有し、その結果、検出可能な散乱断面変化が得られ、それにより、該材料の、該第一のおよび第二のナノクリスタルの両方を散乱もしくは回折し得るエネルギーへの曝露が、該材料内に存在する該第一のおよび第二の半導体ナノクリスタルのいずれかに、特定の有機発光半導体ナノクリスタルプローブに特徴的な散乱断面で、エネルギーを散乱もしくは回折させ、それにより、材料内の1つより多くの検出可能物質の存在または非存在が、単一の励起エネルギー源を用いて同時に検出され得る、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記材料を処理するために、少なくとも1個のさらなる有機発光半導体ナノクリスタルプローブが使用され、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブのそれぞれが、異なる検出可能物質に選択的に結合可能であり、そして該有機発光半導体ナノクリスタルプローブのそれぞれが、異なる散乱断面を示し、かつエネルギーを散乱もしくは回折でき、それにより、複数の検出可能物質が、単一の励起源を用いて、材料内で同時に分析され得る、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記材料を、前記第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、エネルギーを散乱もしくは回折する前記工程が、さらに、該材料を、電子線または他の粒子線に曝露することを包含する、請求項1に記載の、材料を処理するためのプロセス。
【請求項5】
前記材料を、前記第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、エネルギーを散乱もしくは回折する前記工程が、さらに、該材料を、X線源に曝露することを包含する、請求項1に記載の、材料を処理するためのプロセス。
【請求項6】
前記材料を、前記第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、エネルギーを散乱もしくは回折する前記工程、およびエネルギーの該散乱もしくは回折を検出する前記工程が、共に、透過型電子顕微鏡を用いて行われる、請求項1に記載の、材料を処理するためのプロセス。
【請求項7】
前記材料を、前記第一の半導体ナノクリスタルを励起し得るエネルギーに曝露して、エネルギーを散乱もしくは回折する前記工程、および前記エネルギーの散乱もしくは回折を検出する前記工程が、共に、走査型電子顕微鏡を用いて行われる、請求項1に記載の、材料を処理するためのプロセス。
【請求項8】
親和性分子に連結でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る発光半導体ナノクリスタル化合物であって、該化合物は、以下のa)およびb)を含有する:
a)励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る半導体ナノクリスタル;および
b)該半導体ナノクリスタルに連結する連結剤であって、かつ該親和性分子に連結し得る少なくとも1種の連結剤。
【請求項9】
親和性分子に連結でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る発光半導体ナノクリスタル化合物であって、該化合物は、以下のa)およびb)を含有する:
a)励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る半導体ナノクリスタル;および
b)該半導体ナノクリスタルに連結する連結剤であって、かつ該親和性分子に連結し得る少なくとも1種の連結剤。
【請求項10】
検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブであって、該プローブは、該検出可能物質に結合し得る親和性分子に連結した発光半導体ナノクリスタル化合物を含有する、プローブ。
【請求項11】
検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブであって、該プローブは、以下のa)、b)およびc)を含有し、それにより、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブでの材料の処理、および該材料内での該検出可能物質の存在を決定するための該処理される材料の励起エネルギーへの引き続いた曝露により、該検出可能物質に結合した該有機発光半導体ナノクリスタルプローブ中の該半導体ナノクリスタルを励起して、狭い波長バンドのエネルギーの吸収を引き起こし、このことが、該材料内にて、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブに結合した該検出可能物質の存在を意味する:
a)励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る半導体ナノクリスタル;
b)該半導体ナノクリスタルに連結する連結剤であって、かつ親和性分子に連結し得る第二の部分を有する少なくとも1種の連結剤;および
c)該連結剤の該第二の部分に連結する親和性分子であって、かつ該検出可能物質に選択的に結合し得る親和性分子。
【請求項12】
検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブであって、該検出可能物質に結合し得る親和性分子に連結した発光半導体ナノクリスタル化合物を含有する、プローブ。
【請求項13】
検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブであって、該プローブは、以下のa)、b)およびc)を含有し、それにより、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブでの材料の処理、および該材料内での該検出可能物質の存在を決定するための該処理される材料の励起エネルギーへの引き続いた曝露により、該検出可能物質に結合した該有機発光半導体ナノクリスタルプローブ中の該半導体ナノクリスタルを励起して、狭い波長バンドのエネルギーの散乱もしくは回折を引き起こし、このことは、該材料内にて、該有機発光半導体ナノクリスタルプローブに結合した該検出可能物質の存在を意味する:
a)励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る半導体ナノクリスタル;
b)該半導体ナノクリスタルに連結する連結剤であって、かつ親和性分子に連結し得る第二の部分を有する少なくとも1種の連結剤;および
c)該連結剤の該第二の部分に連結する親和性分子であって、かつ該検出可能物質に選択的に結合し得る親和性分子。
【請求項14】
親和性分子に連結でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る発光半導体ナノクリスタル化合物を形成するプロセスであって、該プロセスは、以下を包含する:励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る半導体ナノクリスタルと、該半導体ナノクリスタルに連結した第一の部分および親和性分子に連結し得る第二の部分を有する連結剤とを共に連結する工程。
【請求項15】
親和性分子に連結でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る発光半導体ナノクリスタル化合物を形成するプロセスであって、該プロセスは、以下を包含する:励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る半導体ナノクリスタルと、該半導体ナノクリスタルに連結した第一の部分および親和性分子に連結し得る第二の部分を有する連結剤とを共に連結する工程。
【請求項16】
検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブを形成するプロセスであって、検出可能物質に結合し得る親和性分子に、発光半導体ナノクリスタル化合物を連結する工程を包含する、プロセス。
【請求項17】
検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブを形成するプロセスであって、該プロセスは、以下の工程を包含する:
a)励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを吸収し得る半導体ナノクリスタルを、該半導体ナノクリスタルに連結した第一の部分および親和性分子に連結し得る第二の部分を有する連結剤に連結する工程;および
b)該連結剤と、該検出可能物質に結合し得る親和性分子とを連結する工程。
【請求項18】
検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブを形成するプロセスであって、検出可能物質に結合し得る親和性分子で、発光半導体ナノクリスタル化合物を連結する工程を包含する、プロセス。
【請求項19】
検出可能物質に結合でき、かつ励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る有機発光半導体ナノクリスタルプローブを形成するプロセスであって、該プロセスは、以下の工程を包含する:
a)励起された場合に狭い波長バンドのエネルギーを散乱もしくは回折し得る半導体ナノクリスタルを、該半導体ナノクリスタルに連結した第一の部分および親和性分子に連結し得る第二の部分を有する連結剤に連結する工程;および
b)該連結剤と、該検出可能物質に結合し得る親和性分子とを連結する工程。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−175161(P2009−175161A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115062(P2009−115062)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【分割の表示】特願平11−80598の分割
【原出願日】平成11年3月24日(1999.3.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 1998年9月25日 発行の「SCIENCE Semicondutor Nanocrystals as Fluorescent Biological Labels VOL.281」に発表
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【Fターム(参考)】