説明

生物学的試料の準備及び/又は処理のためのデバイス

本発明は、生物学的試料を準備し処理するデバイス(2)に関し、本デバイスは流体を収容するための貯蔵チャンバー(5)及び/又は反応チャンバーを備え、前記チャンバー(5)は、互いに隣接したチャンバーからなるアセンブリを形成するように、壁(6)によって分離されている。デバイス(2)は、ベース(4)と、隣接したチャンバーを含む引き出し(3)とを含み、引き出し(3)は、ベース(4)に対して可動であり、かつ少なくとも一つのチャンバー(5)内部に接続する第1の流体連通手段(8)に接続された接触面(7)を含み、引き出しの接触面(7)は、検出手段(17)に接続する第2の流体連通手段(13)が配置された場所をすくなくとも一つ有するベース(4)の接触面(12)と接触するように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的試料の準備及び処理のためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のデバイスは、生物学的プロトコル、特に複雑な生物学的プロトコルの自動化に使用されることを特に目的としている。
【0003】
非限定的な、この種のデバイスは、病原体、病原体分子、病原体核酸、あるいは病原体蛋白質の検出に応用される。
【0004】
前記生物学的プロトコルは、好ましくは、低コスト消耗デバイスとして実用されなければならず、このデバイスは、検出モジュールと接続され、各試験の間に交換される。この消耗品は、例えば機械的又は光学的な部品などの高価な部品を含む処理装置に挿入可能である。
【0005】
種々な技術が、例えば、数ミリリットルの試料に基づいて開始される免疫学的プロトコルといった自動化された複雑な生物学的プロトコルに用いられている。どのような場合でも、数種類の試薬の存在が、種々の貯蔵容器と少なくとも1つの反応容器を必要とする。流体を動かす手段も必要である。
【0006】
特にGenpoint社に用いられ、Tecan社によって販売された準備ロボットを採用する最初に知られたデバイスは、ピペット及び多くのウェルを有するプレートを三次元に動かす手段を含み、前記ウェルには試薬又は試料が含まれている。
【0007】
ピペットは、ウェル上に停止して一定量の試薬を採取するためにプレートの上を動いた後、試料を含むウェル上に配置されて前記ウェル内に一定量の試薬を供給し、各種試薬についてこれを続ける。
【0008】
反応を進行させるために必要な追加の手段、特に加熱手段あるいは磁気捕捉手段は、プレートの下に配置することができる。
【0009】
このようなデバイスは、ピペットを動かすために精密な機械的手段を用いるので、構造が複雑で運搬が困難という欠点をもつ。
【0010】
したがって、試験と試験の間の汚染を防止する為に、使い捨ての閉じられたデバイス内で試験を行うことが想定されている。
【0011】
このように、米国特許第6878540号、同第6440725号及び同第6881541号は、特に試料、洗浄及び溶出用の流体、試薬、一組の導水管(以下、チャネルという)によって連結されたチャンバー又は容器を受容するためのチャンバー又は容器を含む使い捨てカートリッジを有するデバイスを記載している。これらのデバイスは、マイクロ流体チップも含んでいる。種々のチャンバーと容器の間の流体の動きは、ポンプ、及び弁又は流体ダイオードの種類のフローコントロール手段の作用によって、一組のチャネルを用いて供給される。そのようなデバイスの1つの用途は、特にPCRによって、核酸を抽出及び増幅するための流体サンプルの処理を実行することである。
【0012】
その一部として、米国特許第6734684号は、一組のチャンバー及び容器を含む使い捨てカートリッジについて記載している。この文書の場合、単一の処理チャンバーが使用され、回転ユニット内に備えられたチャネルによって、選択的に他のチャンバー又は容器と流通される。
【0013】
これらの解決策は、汚染を減少させるうえで効果的であるが、依然として複雑なチャンバー間の液体の流通及び運動のための構造を設けることを伴う。
【0014】
米国特許第6964862号は、規定圧力を上回る流体の流通を可能にする壁によって分離されたチャンバーを有する使い捨て要素を含むデバイスを記述している。それぞれのチャンバーは、閉じられる前に特定の流体で満たされる。互いに隣接する2つのチャンバーに収容される流体間の流通は、2つのチャンバー内の一方にかかる機械的圧力によって守られており、この圧力が分離壁に穴を開ける原因となる。
【0015】
最後に述べたデバイスは、チャンバー間の流通を単純化し、同時に試験と試験との間の汚染を制限することが可能である。
【0016】
上述のデバイスの小型化に関して、使用される液体の量はますます少量になってきた。液体量が余りにも少ないため、合成された試薬を伴う使い捨て容器を使うことが困難となってきた。事実、コストを考えると、チャンバーあるいは容器の作製に用いられる材料は、ポリオレフィンといった安価な基礎プラスチックである。これらの材料は、適切に処理しなければ長期間の密封性は無く、障壁としての特性も低い。したがって、壁部を通して拡散が起こりうる。このことから、溶媒の蒸発による試薬濃度の変化が生じる。このような蒸発は、試薬量が数百μlの場合は無視できるが、試薬量が50μl未満の場合は無視できない。
【0017】
これは、使用直前まで試薬をデバイスに入れることができないことを意味する。
【0018】
上述のデバイスの小型化に伴って、デバイスそのものが小型化している。容易な操作を可能にするサイズの限界は、切手大又は角砂糖大と想定できる。各作業にかかる時間及びデバイスの部品を失う危険性といった観点から、作業者がこのサイズの組み立て又は操作を行うことはできない。数百のデバイスを含む使い捨てデバイスのセットを使用することが、より実用的である。自動装置は、使い捨ての、単一回使用のデバイスの操作に対応する。
【0019】
最後に、デバイスは、複数の異なる製造者から受け取った複数の構成要素から組み立てられたものであることに留意されたい。したがって、このようなデバイスの構造は、課された耐久性である約10μmのオーダの観点から、自動組み立てに適していることが必要である。
【0020】
したがって、自動装置によって容易に充填また使用できる小型デバイスを提供することが望ましい。この装置は、満足できる性能を提供すると同時に、低コストで容易に製造できることが必要である。
【発明の概要】
【0021】
本発明は、上述の欠点のすべてあるいは一部を解消することを目的としている。
【0022】
この目的を持って、本発明は、ベースと、ベースに対して相対的に移動可能な引き出しとを備えた、生物学的試料を準備、処理、及び/又は分析するためのデバイスに関する。このデバイスは、液体を受け入れるための一組の貯蔵チャンバー及び/又は反応チャンバーを有し、これらチャンバーは壁によって分離されて、一組の隣接したチャンバーを構成している。引き出しは更に接触表面を有し、接触表面の上には、チャンバーの内部容積と接続された第1の流体流通開始手段が開口している。引き出しの接触面は、ベースの接触面と対面する位置に配置され、ベースの接触面の少なくとも一箇所には、検出手段に接続された第2の流体連通手段が配置される。
【0023】
引き出しのチャンバーと検出手段との間に液体の移動を生じさせるために、チャンバーの第1流体連通手段は、ベースの接触面の第2流体連通手段と整列しなければならない。したがって、引き出しの種々のチャンバーが検出手段と交互に流通し、各段階で規定量の液体がチャンバーと検出モジュールの間で移動できるように、引き出しを動かすことが可能である。
【0024】
こうした構成が、複雑な生物学的プロトコルの実行を簡単かつ堅調にすることを可能にする。このような構成は、濡れ性の高い液であっても、漏洩や汚染なくきわめて少量の液体を供給することを可能にする。
【0025】
好ましくは、本発明によるデバイスは、引き出しの接触面上に設けられた少なくとも1つのシール手段を有する。
【0026】
有利には、検出手段は、第2流体連通手段に接続された流体チャネル及び/又は反応チャンバーを含む。
【0027】
好ましくは、検出手段は、ベース上に設けられて流体チャネルを含むマイクロ流体チップを含む。
【0028】
有利には、第1の流体連通手段は、引き出しに設けられた少なくとも1つの開口と、引き出しの接触面上の開口とを有する。
【0029】
好ましくは、シール手段は、開口の周囲に位置する少なくとも1つのシール部を有する。さらに好ましくは、シール手段は、開口の周囲に位置する2つの同心円状のシール部を有する。
【0030】
有利な1実施形態によると、本発明のデバイスは、引き出しの接触面とベースの接触面との間に配置されるワイパをさらに有する。
【0031】
好ましくは、デバイスは、ベース上にマイクロ流体チップを配置する機械的手段を有する。前記配置手段は、少なくとも1つのピンと、補完的な形状を有する開口部とを含むことができる。
【0032】
有利には、引き出しは、2つの異なった材料から構成された2つの部品を有し、前記の部品の1つは、第2の部品よりも剛性の高い材料からなり、第2の部品は第1の流体連通手段を支持する。
【0033】
好ましくは、ベースはハウジングを有し、ハウジングの区画は引き出しの運動を案内することができる。引き出しがハウジング内に配置されたときに圧力が生じ、引き出しの接触面がベースの接触面と接し続けるように、引き出しの寸法をハウジングの寸法より特に大きくすることができる。ベースと引き出しとは、特に、ベースに対して引き出しが相対的に運動できるように配置されている。
【0034】
1実施形態によれば、引き出しは、ベースに対する運動に方向に応じて、別個の位置決めストップ又はノッチの組を含む。
【0035】
有利には、マイクロ流体チップとベースとは一体に形成され、チップの上面は少なくとも部分的にベースの接触面を構成している。
【0036】
本発明は、前記のデバイスを備える分析装置にも関連しており、この装置は、処理ステーションにおいて、ベースに対する引き出しの動きを駆動させる手段と、所定量の液を、引き出しのチャンバーに移すか、又は流体連通手段を経由して引き出しのチャンバーから移す手段とを有している。
【0037】
有利には、この装置は、処理ステーションにおいて、本発明によるデバイスのマイクロ流体チップの接点と電気的接続を確立するための、少なくとも1つの導電性タブを含む電気的接続手段を含む。
【0038】
有利な1実施形態において、本装置は、
−一組のデバイスを貯蔵するステーション、及び/又は
−引き出しのチャンバーを、試薬、液体、及び/又は試料で満たすステーション
を含むことができる。
【0039】
好ましくは、貯蔵ステーションは、一組の列と行の上に貯蔵された一組のデバイスを収容することを意図した貯蔵手段を有する。
【0040】
有利には、装置は、充填ステーションにおいて、高い第1の位置と、引き出しのチャンバーを充填するための低い第2の位置との間を移動することができる、引き出しのチャンバーを充填するための少なくとも1つのピペットあるいは針を含み、前記針又はピペットは、試薬又はその他の液体、あるいは分析すべき試料の容器と接続されている。
【0041】
好ましくは、装置は、装置のステーション間においてデバイスを動かすための運搬手段及び/又は操作手段を含む。
【0042】
本発明は、添付図面を参照する後述の詳細な説明によってさらによく理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、上から見た本発明による第1のデバイスの斜視図である。
【図2】図2は、マイクロ流体チップを除いた図1のデバイスを下から見た図である。
【図3】図3は、デバイスのベース上にマイクロ流体チップを含む図1のデバイスを下から見た図である。
【図4】図4は、図1のデバイスに使用可能な第1の引き出しの底面の拡大斜視図である。
【図5】図5は、図1のデバイスに使用可能な第2の引き出しの底面の拡大斜視図である。
【図6】図6は、図5の引き出しの側面図である。
【図7】図7は、本発明による第2のデバイスの斜視図である。
【図8】図8は、引き出しの上に保護フィルムが配置された図7のデバイスの斜視図である。
【図9】図9は、図8のデバイスの詳細図である。
【図10】図10は、部分的に示した分析装置内に配置された図7のデバイスの図である。
【図11】図11は、装置内でのデバイスインストール工程の間に部分的に示した分析装置内に配置された図7のデバイス斜視図である。
【図13】図13は、分析装置のデバイス貯蔵ステーションと充填ステーションとを示している。
【図14】図14は、分析装置のデバイス貯蔵ステーションと充填ステーションとを示している。
【図15】図15は、前記デバイスの使用の異なる段階を示すフローチャートである。
【図16】図16は、合成電流を示す第1の実施例に関する線グラフであり、PALの存在下におけるPAPPの分解生成物であるパラアミノフェノールの酸化を時間の関数として示している。
【図17】図17は、第1の実施例に関する線グラフであり、電流の勾配の変化を、較正血清中のトロポニンの既知濃度の関数として示している。
【図18】図18は、第2の実施例に関する線グラフであり、測定された電流の変化を時間の関数として示している。
【図19】図19は、第3の実施例に関する線グラフであり、測定された電流の変化を時間の関数として示している。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下に示す上記図面の詳細な説明において、本発明の理解を容易にするために、同一要素あるいは同一の機能を満たす要素には同一参照記号を付した。
【0045】
図1から図3に示すように、本発明の第1の実施形態では、生物学的試料を準備及び処理するデバイス2は、壁部6によって分離された、液体を収容するための隣接する反応チャンバー及び/又は一組の貯蔵チャンバー5を含む引き出し3を有する。デバイス2は、さらにベース4を有し、ベース4に対して引き出し3が移動する。
【0046】
チャンバー5は、A方向に整列し、引き出し6は、ベース4に対し、同じ方向Aに平行移動することができる。各貯蔵屋5は引き出し3の上面に向かって開口している。
【0047】
引き出し3は下部接触面7を有し、この接触面の上には、第1の流体流通確立手段が開口している。流体流通確立手段は、少なくとも1つの貯蔵チャンバーの内容積に接続し、各チャンバー5の底面に流通開口8を含んでいる。
【0048】
第1の円形のシール9は、引き出し3の接触面7上の、流通開口8の周囲に設けられている。第1シール9と同心の第2のシール10は、引き出し3の接触面上の、第1のシール9の外側に設けられている。このようなシールの配置によって、たとえ第1のシールが損傷を受けても密封性が維持される。
【0049】
引き出しの接触面7は、ベース4の接触面12に対面して配置されており、接触面12の少なくとも一箇所には、引き出しの第1の流体連通手段と相補的な第2の流体連通手段が配置されている。第2の流体連通手段は、ベース4の接触面12の第1の開口13と、ベース4の底面15に配置された第2の開口14との間に延びる流通チャネルから構成されている。
【0050】
したがって、引き出しの開口8がベース接触面の開口13と連通していないとき、ベースの接触面12に対して保持することにより、シール9は、開口8の周囲に密封を確立することにより、各チャンバーの密封性を保証し、開口8と開口13が互いに連通するとき、開口8と13との間に漏れがないように、流体を流通させることができる。
【0051】
ベース4はハウジング16を備え、ハウジングの区画は、引き出し3を案内して並行移動させることができる。しかしながら、引き出し3の寸法がハウジング16の寸法より僅かに大きいことにより、引き出し3がハウジング16に受容されると、応力が発生して引き出し3の底部接触面7がハウジングの接触面12と接触したまま維持され、それによりシール9、10がベース4の接触面7に押し付けられ、シール9、10の密封性が保証される。
【0052】
流体チャネル21を含むマイクロ流体チップ17は、ベース4に設けられたチャネルの第2の開口14がマイクロ流体チップの入り口開口の反対に位置するように、ベースに搭載される。
【0053】
このチップの構造と製造に関してはここに記載しない。様々な種類のチップを使用することができる。参考に、この種のタイプのチップの構造と製造について記載した文献、国際公開第98/23957号及び欧州特許第1255690号をここに引用しておく。言うまでもなく、これら特許文書に記載されたもの以外のマイクロ流体チップをデバイス2に用いることができる。
【0054】
ベース4とチップ17とは、マイクロ流体チップをベースの底面に配置する機械的手段を有している。この機械的手段は、チップに形成された2つの貫通開口18と、チップ17の2つの貫通開口18に収容されるように意図された、ベース4の底面15に設けられた2つのピン19とから構成されており、ピン19と開口18とは互いに相補的な形状、この場合は円形を有している。
【0055】
好ましくは、チップ17はベース4の底面15上に糊付けにより固定される。
【0056】
チップ17は、液体の入り口と液体の出口とを有し、これらの出口、入り口は、実施形態に従って、チップの上面あるいは下面に設けることができる。
【0057】
チャンバー5とチップ17との間に流体を流通させるためには、チャンバー5の液体流通用開口8が、ベース4の接触面12に形成された開口13と整列しなければならない。したがって、引き出しを押して、引き出しの第1のチャンバーの第1の開口をベースの開口と整列させるために、後述の駆動手段を用いることができる。対応するチャンバーに収容されている液体が移される時、駆動手段が引き出しを押すことにより、引き出しの第2のチャンバーの開口がベースの開口と整列して第2のチャンバーに収容されていた液体が移され、そのような操作が最後のチャンバーに達するまで繰り返される。
【0058】
ベース4は、射出成形法によって、特に単一の材料から作製することができる。種々の材料をベース4に用いることができ、以下の特性を有することが望ましい。
−良好な平坦性、すなわち、金型から材料を取り出す際に、過剰な収縮や変形が無いこと。
−平滑な表面であること。
−引き出しをベースの接触表面に強固に保持するための良好な機械的強度を有すること。
【0059】
射出の位置は、平坦性と満足な充填が可能となるように選択される。さらに、ベースの設計は、引き出しを挿入したときの応力を考慮しなければならない。ベース4は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、スチレンアクリロニトリル(SAN)から作製することができる。
【0060】
引き出し3はまた、2種類の方法、即ち1回の射出成形と2種類の材料による2重射出成形とにより生成可能なプラスチックのインジェクションモールディングである。
【0061】
1回の射出の方が簡単かつ安価である。一方、2重射出成形はアセンブリの構造安定性を向上させることができる。
【0062】
単一の材料から製造された引き出し3は、種々の異なった高分子、例えば、特に熱可塑性樹脂あるいは熱可塑性エラストマから製造することができる。
【0063】
図1から図4に示す引き出し3は、単一の材料から製造される。言うまでもなく、これは製造を単純にする。
【0064】
図5、6に示す引き出し3の1実施形態によれば、引き出しは、2種類の材料からなる2つの部品20、22を含み、部品20は部品22の材料より剛性の高い材料を含み、部品22は流体連通手段8とシーリング手段9、10を備えている。
【0065】
この引き出しは2つの材料の射出成形によって生成される。柔軟性の高い第1の材料は、ベースと気密に接触する部品22に用いられ、特に熱可塑性エラストマあるいはポリオレフィンであり、引き出しのその他の部分を構成する部品20には、強靭で安価な高分子、例えば熱可塑性樹脂が用いられ、これはポリオレフィンとすることができる。これら2つの高分子の接着は、2つの材料間の漏洩や解体を防止するために満足のゆくものでなければならない。
【0066】
引き出しの第1の実施形態に関する説明と同様に、引き出しの接触ゾーンは、開口8の周囲に2つの同心円状のシール9、10を含む。
【0067】
2つのチャンバーの2つの開口の間に、接触面はワイパ23も含むことができる。
【0068】
ワイパ23は、三角形、長方形、あるいは半円形の外形を有する突起部として形成されている。
【0069】
好ましくは、ワイパ23の高さはシール9、10の高さより高く、ワイパ23は、ベース4の接触面12に対して接触するように設計されている。
【0070】
これらワイパ23の効果は、ベースの接触面12と引き出しの接触面7との間にある残渣を2つのシール9、10の外側に掻き出すことによって、これらの残渣を2つの隣接したワイパ23の間に閉じ込め、開口8を経由して他のチャンバー5に収容される液体が汚染されることを防止することである。
【0071】
図7〜図12に示す第2の実施形態によれば、デバイス2は、第1の実施形態に記載されたものと同様に、引き出し3、ベース4、及びベース4の下面に固定されたチップ17を含む。
【0072】
ベース4は、引き出し3との接触面12の上に、マイクロ流体チップのチャネルの入り口と流通可能な開口を有する。
【0073】
ベース4は第2の貫通チャネルも含んでいる。貫通チャネルは、ベースの下面上でチップの流体出口と流通し、引き出し3の接触面12に対して突出している突起部25において、ベース上面の出口24に開口している。
【0074】
この実施形態では、引き出しの側面に一組の位置決めノッチ26が設けられている。この位置決めノッチは、ベース4のハウジング16の壁に設けられた留め部27と相互作用する構成となっている。留め部27は、図7及び図9に図示されている。有利には、留め部はハウジング16の両面に設けられており、ノッチ26は引き出し3の両側に位置している。このような配置により、ベースに対する引き出しの移動途中の位置を精密に決めることができ、その位置において、チャンバー5の液体流通開口8が、チップ17の入り口と流通するベース4の開口13と整列する。
【0075】
図8に示すように、チャンバーの上面は開口しており、使用前にはフィルム28で覆うことができる。
【0076】
図示しない変形例によれば、チップ17は、特にベース4の接触面内に作られたハウジング内において、引き出しに直接接触することができる。このような構成により、汚染を防ぐことができる。
【0077】
図示されない別の変形例によれば、チップ17及びベースは、射出成形法によって得られる一体品として製造することができる。その場合、チップの上面は、部分的にベースの接触面を構成する。
【0078】
本発明によるデバイスは、分析装置に使用されることを意図している。前記分析装置は、一組のデバイス2を貯蔵するステーション30、引き出し3のチャンバー5を種々の試薬、液体、試料で満たすためのステーション32、及び処理ステーション33を含む。
【0079】
図13及び14は、デバイス貯蔵ステーション30及びデバイス充填ステーション32を示している。
【0080】
貯蔵ステーション30は、一組の列及び行に貯蔵された一組のデバイス2を収容することができる。移送手段34がデバイスをこの枠から取り外し、充填ステーション32に設置する。
【0081】
この充填ステーション32は、引き出しのチャンバーを充填する一組のピペット又は針を有する。針35又はピペットは移動可能であるので、高い第1の位置から、引き出し3のチャンバー5を充填する低い第2の位置まで移動することができる。
【0082】
各針35又はピペットは、試薬又はその他の液体の容器、あるいは分析対象の試料の容器に接続されている、
【0083】
引き出しのチャンバーが充填されると、デバイスは、移送手段34から充填されたデバイス2を取り上げるマニピュレータ36によって処理区画に移送される。
【0084】
特に、図10ないし12に示すように、分析装置の処理ステーション33は、デバイス2のベース4の形状に相補的な形状の収容部位37を有することにより、前記ベース4の位置決めを高い精度で行うことができる。図12に示すように、収容部位37はマイクロ流体チップ17との接続手段を備え、この手段は、マイクロ流体チップ17の接点と電気的接続を確保するための一組の導電性タブ38から構成されており、前記接点は収容部位37と接続される。
【0085】
導電性タブ38上にスプリングが働くことにより、電気的接続が維持される。
【0086】
処理ステーション33は、ベースに対して引き出しを相対的に移動させる駆動手段を有し、前記駆動手段は、引き出し3の把持機構40を動かすモータ39を含む。有利には、把持機構40がベース4内のハウジング16上方の引き出しの上部と相互作用する。
【0087】
図10及び11に示すように、把持機構はカバー40の形に形成されて、デバイス2の引き出しを覆ってその側面と相互作用することにより引き出し3を動かすことを意図している。
【0088】
モータ40は、カバーを平行移動させるために、カバー40のノッチあるいはねじ山と相互作用するウォームネジを含むアウトレットシャフトを有する。
【0089】
モータ39はステッピングモータとすることができる。
【0090】
把持機構又はカバー40は、デバイスを収容位置に対して、及び電気的接続手段に対して、所定の位置に保持するために、デバイスに圧力をかけることもできる。
【0091】
一実施形態によると、前記圧力を、他の機構によってベース4あるいは引き出し3に印加することができる。
【0092】
処理ステーション33は、チップ17の出口と連通しているベースの出口穴24に接続されたポンプ42も含む。したがって、ポンプ42は、ポンプによって生ずる吸引方向に向かって、チップ17のチャネルの下流に配置され、デバイスのチャンバーは、このチャネルの上流に配置される。
【0093】
引き出し3の駆動手段39、40及びポンプ42は、装置を支持する第1部43に取り付けられ、装置を支持する第2部44に対して可動である。第2部44の上には、デバイス2の収容部位37が設置される。これら2つの支持部は、特に、水平軸に対してスイベル連結45によって接続される。
【0094】
デバイス2は、マニピュレータ36によって収容位置に配置される。
【0095】
マニピュレータ36は、デバイス2を把持する手段46を含み、この把持手段46は、例えば、吸引効果によって引き出し3の前面上の所定の位置にデバイスを保持するための吸引手段から構成される。マニピュレータ36は、支持部の第1部43と相互作用するように意図された傾斜部47も含む。
【0096】
デバイスを装着する間、傾斜部47は、支持体の第1部43と相互作用して、支持体の第1部を持ち上げ、支持体の第2部から離すように動かすことにより、デバイスの収容位置を開放する。
【0097】
マニピュレータ36は、収容位置37にデバイスを置き、次いで後退する。すると、支持体の第1部43は、装着されたばかりのデバイス2の引き出しのカバー40と共に元の位置に戻り、ポンプ42がベース4の出口穴24と接触する。
【0098】
図15に模式的に示すように、分析装置と本発明のデバイスとを組み合わせた操作が、5つのチャンバー5a、5b、5c、5d、5eを含む引き出し3を有するデバイスについて、次の段階により示される。
【0099】
第1段階E1において、新しいデバイス2が、装置の貯蔵ステーション30に貯蔵されている一組のデバイスから搬送手段34によって引き出され、充填ステーション32に配置される。
【0100】
第2段階E2において、チャンバー5a、5b、5c、5d、5eを、プレウエッティング緩衝剤、試料、接合体溶液、洗浄緩衝剤、及び実行される分析専用の基質でそれぞれ充填する。
【0101】
第3段階E3において、このように充填されたデバイスは、装置の処理ステーション33に移送される。
【0102】
第4段階E4では、第1チャンバー5aがチップに接続されて、ポンプが第1チャンバー5aからチャネル21内にプレウエッティング緩衝剤を吸引するまで、駆動手段が引き出しを動かす。
【0103】
第5段階E5では、第2のチャンバー5bがチップと接続されて、ポンプが第2のチャンバーに収容されている試料をチャネル21内に吸引するまで、駆動手段が引き出しを動かす。
【0104】
第6段階E6では、第3チャンバー5cがチップと接続されて、ポンプが第3チャンバーに収容されている接合体溶液をチャネル21内に吸引するまで、駆動手段が引き出しを動かす。
【0105】
第7段階E7では、第4チャンバー5dがチップと接続されて、ポンプが第4チャンバーに収容されている洗浄液をチャネル21内に吸引するまで、駆動手段が引き出しを動かす。
【0106】
第8段階E8では、5チャンバー5eがチップと接続されて、ポンプが第5チャンバーに収容されている基質をチャネル21内に吸引するまで、駆動手段が引き出しを動かす。
【0107】
第9段階E9において、ポンプの吸引は停止され、チップにおいて信号検出が行われる。
【0108】
第10段階E10において、すべての流体は、廃棄物を収容するための貯蔵容積に導かれる。特に、ポンプを用いて、すべての液体をデバイスの同一のチャンバーに戻すことができ、また、図7に示すように、このチャンバーにはオーバーフロー経路を設けて、隣接したチャンバーを充填することも可能である。或いは、この容積は、各段階の間、又は最終段階の最後に、3方弁を用いて廃棄貯蔵容積に塩析分離することができる。
【0109】
本発明の1実施形態によれば、試料及び接合体の溶液は、同じチャンバー、この場合はチャンバー5bに分配可能であることに注意されたい。この実施形態によれば、この場合、第1チャンバー5aと第4チャンバー5dのみが充填される。
【0110】
別の実施形態によれば、使用する液体の量が僅かであることを鑑みて、洗浄液を省くことが可能である。このとき、洗浄緩衝液の役割を果たすのは、基質の溶液である。この場合、試料と抱合体の溶液が混合されているか、分離されているかに応じて、基質の溶液は第3チャンバー5c又は第4チャンバー5dに分配される。
【実施例】
【0111】
以下の実施例において、使用したデバイスは、2材料系及びポリカーボネートの塩(SABIC社販売のHPSI級)を含んでいる。
【0112】
チップは、ベース上にUV接着剤によって接着されている。チップは、液入り口が上面に、出口が下面にもうけられた種類である。このようなチップは、Dyconex社の製品で、次の特性を有する。内部の液チャネルは、幅180μm、深さ35μm、チャネル中に24つの作用電極が配置され、電極の直径は50μm、間隔は150μmである。
【0113】
実施例1:トロポニンの分析
チップ17のチャネルは、濃度10μg/mlの濃度のアンチ−トロポニン抗体の吸収によって機能化され、ついで不動態化後に真空乾燥した。チップ17は、その後、UV樹脂でベース4の下側に接着した。引き出し3は、最終的に、ベース4のハウジング16内に挿入された。
【0114】
引き出し3のチャンバー5は各20μlの以下の試薬で満たした。
−チャンバー5a:プレウエッティングバッファ
−チャンバー5b:アルカリフォスファターゼ(PAL)で標識されたアンチトロポニン抗体を含む溶液で1/2に希釈した、患者の血清又は血液
−チャンバー5c:パラアミノフェニールフォスフェート(PAPP)
【0115】
ベース3、チップ17、引き出し4で構成されたデバイス2は、装置内の所定位置に配置され、分析プロトコルが開始される。引き出し4の駆動手段39、40は、所定の時間にチャネル中に各試薬を分配するために、チャネル21に対して引き出しを動かすことができる。種々の試薬は、注射器型ポンプによってチャンバーからチャネルに吸引される。注射器本体の容量は免疫学的試験の各段階について十分である。この容量は、各段階の間で、3方弁により廃棄物貯蔵容量に塩析される。
【0116】
免疫学的試験の各段階は以下の通りである。
−段階1:特定のバッファを用いたチャネルの活性化(30秒)
−段階2:試料+接合体混合物の吸引(5分)
−段階3:基質の吸引、この段階は洗浄段階としても働く(1分)
【0117】
これら3段階の終了時に、電気化学的検出が開始される。ギャップ電位(−0.2V/0.2V、各電位で1秒)を30サイクル印加した。PAL存在下でのPAPPの劣化生成物であるパラアミノフェノールの酸化の結果の電流を測定した。この電流の、時間の経過に伴う変化をプロットし、この動的曲線の原点からの傾斜を測定して図16を得た。この値は、患者試料中のトロポニン濃度を特徴とする。この図を用いて、較正血清の既知のトロポニン濃度の関数として傾斜I=f(t)の変化を表す較正曲線を図17に示すように求めると、患者の1回の投与量を決めることができる。
【0118】
実施例2:4種のパラメータの同時分析
この実施例では、4つのチップ17の4つのチャネル21が4種の分析物に特異的な異なる試薬で機能化される。
【0119】
第1のチャネルは、アンチトロポニン抗体で機能化される。第2のチャネルは、アンチTSH抗体で機能化される。第3のチャネルは、アンチエストラジオール抗体で機能化される。最後に、最後のチャネルは、トキソプラズマに対する免疫性を検出するために、トキソプラズマ抗原によって機能化される。これら4つのチャネルは、4つの異なるベースの下の所定位置に接着され、その後4つの引き出しはベースの各々に装着される。
【0120】
下の表1は、4つの引き出しの各チャンバーに分配された試薬を示している。
表1

【0121】
4種の分析は、分析装置で同時に開始される。この4種の分析プロトコルは、それらの段階の数及び段階の期間が異なり、10〜19分である。最後の試薬であるPAPP酵素基質を通過後、各チャネルの電気化学的検出が、実施例1で述べたように開始される。時間の関数としての電流の変化を測定し、その結果を図18に示す。
【0122】
較正曲線を作成後、原点における傾斜の測定に基づいて、試験した4種の試料の4つの分析物の各々について、1回の投与量を決定することができる。
【0123】
実施例3:全血の試料に対する同時分析の再現性
4つのチャネルは、アンチトロポニン抗体によって機能化される。これら4つのチャネルは、4つの別々のベースの下に接着されて、4つの引き出しが装着される。これら引き出しのそれぞれには、実施例1で記述のように特定のトロポニン試薬が充填される。全血の同一の血液全試料は、4つのチャネルの各々について4回試験される。分析は、分析装置の4つのステーションにおいて同時に開始され、その後電気化学的検出が行われる。それぞれのチャネルについて得られた時間の関数としての強度曲線の傾斜を測定する。このようにして、4つの分析の再現性(CV)が、図19及び表2に示すように測定されている。
表2

【0124】
実施例4:トロポニンパラメータの分析的検出の限界
32のチップの32のチャネルがアンチトロポニン抗体で機能化される。これらの種々のチャネル21に対し、既知のトロポニン濃度の較正試料の存在下で、トロポニンパラメータについて上述の試験を行う。トロポニンがゼロ又は検出不能な濃度の血清の存在下において20の試験を行う。血清の存在下において、低濃度のトロポニン(0.2ng/ml)で12つの試験を行う。すべての陰性テストの標準偏差(0.023ng/ml)の2倍で検出の限界を評価する。
【0125】
本発明は、特定の実施例に関連して記載されたが、本発明はこれらに限定されず、本発明の範囲に入る場合、技術的に同等な手段及びそれらの組み合わせをすべて含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−ベース(4)と、
−ベース(4)に対して平行移動可能な引き出し(3)であって、液体を受容する目的の一組の貯蔵チャンバー及び/又は反応チャンバー(5)を含み、前記チャンバー(5)が壁部(6)によって分離されて一組の隣接するチャンバーを構成している引き出しと
を備えており、
前記引き出し(3)がさらに接触面(7)を含み、接触面(7)の上にはチャンバー(5)の内部と接続する第1の流体連通手段が開口しており、この引き出しの接触面(7)がベース(4)の接触面(12)と対向して配置され、接触面(12)上の少なくとも一箇所には、検出手段(17)と接続する第2の流体連通手段が配置されているデバイス(2)。
【請求項2】
少なくとも1つのシール手段が引き出し(3)の接触面(7)上に設けられている、請求項1に記載のデバイス(2)。
【請求項3】
前記検出手段(17)が、第2の流体連通手段(13)と接続された流体チャネル(21)及び/又は反応チャンバーを含む、請求項1又は2に記載のデバイス(2)。
【請求項4】
検出手段が、ベース(4)に設けられた流体チャネル(21)を含むマイクロ流体チップ(17)を含む、請求項3に記載のデバイス(2)。
【請求項5】
前記第1の流体連通手段が、引き出し(3)内に形成された少なくとも1つの開口(8)と、引き出し(3)の接触面(7)上の開口とを含む、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のデバイス(2)。
【請求項6】
シール手段が、開口(8)の周囲に配置された少なくとも1つのシール部(9)を含む、請求項5に記載のデバイス(2)。
【請求項7】
シール手段が、開口(8)の周囲に配置されている2つの同心円状のシール部(9、19)を含む、請求項6に記載のデバイス(2)。
【請求項8】
引き出し(3)の接触面(7)と、ベース(4)の接触面(12)との間に配置されるワイパ(23)をさらに含む、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のデバイス(2)。
【請求項9】
ベース(4)上にマイクロ流体チップ(17)を配置するための機械的手段(18、19)を含む、請求項4ないし8のいずれか1項に記載のデバイス(2)。
【請求項10】
少なくとも1つのピン(19)と、ピンと相補的な形状の開口(19)とを含む、請求項9に記載のデバイス(2)。
【請求項11】
引き出しが、2つの異なった材料から構成される2つの部品(20、22)を含み、これらの部品の1つ(20)が、第2の部品(22)より高い剛性の材料からなり、第2の部品が第1の流体連通手段(8、9、10)を有する、請求項1ないし10のいずれか1項に記載のデバイス(2)。
【請求項12】
ベース(4)が、引き出し(3)の動きを案内することのできる断面を有するハウジング(16)を含む、請求項1ないし11のいずれか1項に記載のデバイス(2)。
【請求項13】
引き出し(3)の寸法がハウジング(16)の寸法より大きいことにより、引き出し(3)がハウジング(16)内に受容されると応力が発生し、引き出し(3)の接触面(7)がベース(4)の接触面(12)と接触した状態で維持される、請求項1ないし12のいずれか1項に記載のデバイス(2)。
【請求項14】
引き出し(3)が、ベース(4)に対する運動の方向(A)に応じて、一組の離間した位置決め停止部又はノッチ(16)を含む、請求項1ないし13のいずれか1項に記載のデバイス(2)。
【請求項15】
ベース(4)及び引き出し(3)が、ベース(4)に対して引き出し(3)が平行移動可能となるように配置されている、請求項1ないし14のいずれか1項に記載のデバイス(2)。
【請求項16】
マイクロ流体チップ(17)及びベース(4)が単一の部品として形成されており、チップ(17)の上面の少なくとも1部がベース(4)の接触面(12)を構成している、請求項4ないし15のいずれか1項に記載のデバイス(2)。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれか1項に記載のデバイス(2)を含む分析装置であって、処理ステーション(33)に、ベース(4)に対して引き出し(3)を移動させる駆動手段(39、40)と、流体連通手段(8)を経由して、引き出し(3)のチャンバー(5)に又は引き出し(3)のチャンバー(5)から、一定量の流体を移送する手段(42)とを有している装置。
【請求項18】
処理ステーション(33)に電気的接続手段(38)を含み、電気的接続手段(38)が、請求項3に記載のデバイス(2)のマイクロ流体チップ(17)の接点と電気的接続を確立するための少なくとも1つの導電性タブ(38)を有している、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
貯蔵ステーション(30)が、一組の行及び列の上に貯蔵された一組のデバイス(2)を受容するための貯蔵手段を含む、請求項17又は18に記載の装置。
【請求項20】
引き出し(3)に、試薬、液体、及び/又は試料を充填するためのチャンバー(5)のステーション(32)を有する、請求項17ないし19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
充填ステーション(32)に、引き出し(3)のチャンバー(5)を充填するための少なくとも1つのピペット又は針(35)を含み、ピペット又は針(35)は、高い第1の位置と、引き出し(3)のチャンバー(5)を充填するための低い第2の位置との間で移動可能であり、前記針(35)又はピペットが、試薬又はその他の何らかの液体の容器、あるいは分析される試料の容器と接続されている、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
装置のステーション(32、33、34)間でデバイスを移動させることができる搬送及び/又は操作手段(34、36)の1つを含む、請求項17ないし21のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2012−507699(P2012−507699A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533802(P2011−533802)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【国際出願番号】PCT/FR2009/052133
【国際公開番号】WO2010/052429
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(304043936)ビオメリュー (26)
【氏名又は名称原語表記】BIOMERIEUX
【Fターム(参考)】