説明

生物材料を制御された速度で冷凍する方法及びシステム

生物材料を制御された速度で冷凍する方法及びシステムが提供される。本明細書で開示されるシステム及び方法は、冷却ユニットの内部に配置された複数のバイアルに近接する寒剤の層状及び均一の流れを使用して、強制対流冷却によって冷却ユニット内部のバイアル又は他の容器の中に収容された生物材料を急速冷却する能力を提供する。生物材料の急速冷却は、本システムに導入されている寒剤の温度を時間の関数として厳密に制御及び調整することによって実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に低温保存処理に関し、より具体的には低温保存処理時に生じる細胞間氷形成及び溶質効果に起因する細胞損傷を最小化する、生物材料を制御された速度で冷凍する方法及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
低温保存は、非常に低い温度で生物材料を安定化させるために使用される処理である。生細胞のような生物材料を冷凍しようとする従来の試みは、しばしば細胞生存能力の大幅な喪失をもたらし、細胞活性及び生存能力の80%以上もの喪失をもたらす場合もある。
【0003】
低温保存時の細胞損傷が、通常では冷凍段階時又は再結晶時に生細胞内部における細胞間氷形成の結果として生じる場合もある。急速冷却によって、より多くの細胞間氷形成が生じることが多い。なぜなら、急速冷却速度に関連する短い時間の間に水分子が細胞外へ完全には移動しないからである。また、細胞間氷形成は、加温又は解凍サイクル時に起こる再結晶の間に生じることがある。過剰な水が生細胞の内側に留まると、急速冷却の曲面における初期氷結晶形成による損傷、及び引き続いて加温局面における再結晶による損傷が生じるおそれがある。通常、このような損傷は致命的である。
【0004】
他方で、低温保存時の緩やかな冷却特性は、過剰な水が細胞外へ移動する溶質効果の増大をもたらすことが多い。細胞外へ移動する過剰な水は、浸透不均衡の増大により細胞に悪影響を及ぼす。このように、細胞損傷は浸透不均衡の結果として生じる。浸透不均衡は、細胞の生存に有害であり、最終的に細胞損傷につながり、細胞生存能力に有害である。
【0005】
現在の低温保存技術は、冷却棚若しくは凍結乾燥機式冷凍機ユニットのような熱伝導を基本とする極低温冷却機器、又は速度制御型冷凍機及び極低温冷凍機ユニットのような対流を基本とする極低温冷却機器の使用を伴う。しかし、このような機器は、相対的に小容量の場合には適切であるが、治療細胞系のような生物材料の商業規模の生産及び保存には適切ではない。例えば、生物材料に使用するのに適切な最大の市販の速度制御型冷凍機は、約8000個の緊密に詰め込まれたバイアルを収容するにすぎない。また、このような既存の速度制御型冷凍機は、一つには、冷凍機内部における寒剤の不均一な流れによって、バイアル毎に不均一な冷却となるという問題がある。また、冷凍機内部にバイアルを緊密に詰め込む要求に対しても問題がある。
【0006】
多くの従来型冷凍システムは、対流によって寒剤をユニットの周囲に分散してバイアルに冷気を供給するために、内部ファンを利用する。このような対流を基本とする冷却又は冷凍システムにおいては、バイアルが、内部ファンから様々な距離に配置されたり、他のバイアル又はトレイの陰に詰め込まれたりするので、温度の均一性を実現することができない。寒剤の高速乱流にさらされる生物材料のバイアルは、典型的には異なる速度で冷却される。そして、ファンからより遠隔に位置するバイアルよりも遙かに速く冷却される。
【0007】
既存の凍結乾燥機式の速度制御型冷凍機のなかには、大量のバイアルを取り扱うことができるが、典型的に、凍結乾燥機ユニット内の冷却棚からバイアルへの熱伝導に依存するものもある。しかし、殆どのガラス製バイアルの底は凹面であるので、ガラス製バイアルの底に均一な熱伝導表面積をもたせることは不可能である。したがって、バイアル毎の冷凍処理時における温度のばらつきは、これらの種類の機器に関する最大の欠点である。さらに、冷却棚と接触しているバイアルの熱伝導表面が非常に小さいので、冷却速度は極めて緩慢である。
【0008】
細胞活性及び生存能力の喪失を軽減しようとする従来の試みは、DSMO及びグリセリンのような凍結防止添加剤の使用を伴うものであった。冷凍保存処理時のこのような凍結防止剤の使用によって、冷凍及び引き続く解凍サイクルに起因する細胞損失の低減が実証された。しかし、DSMOのような多くの凍結防止剤は、ヒトの細胞には有毒であり、さもなければ全細胞治療で使用するには不適切である。また、不利益なことに、凍結防止剤によって、細胞生産及び保存処理における複雑さがある程度増し、関連する費用が増大する。また、凍結防止剤単独では、細胞活性及び生存能力の喪失という問題は解消されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
凍結防止剤の使用又は不使用を問わず、冷凍保存処理時の氷形成又は溶質効果により生じる細胞損傷をさらに低減又は最小化する方法及びシステムが必要とされている。さらに、このシステム及び方法は、生物材料の商業規模の生産及び保存を扱い、このような生物材料を急速に且つ均一に冷却するために、効率的であると共に容易に規模拡大が可能であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、生物材料用の極低温冷却機、すなわち冷凍システムであって、寒剤源と、この寒剤源に結合され且つ寒剤冷却ガスの均一流を冷却室に供給するように適合された吸入回路と、排出回路と、制御システムとを含むことを特徴とする。冷却室は、吸入プレナムと、排出マニホールドと、2つ以上の平行多孔表面とを含み、平行多孔表面は、平行多孔表面の間に冷却区域を画定しており、平行多孔表面のうちの1つは、吸入プレナムに隣接配置され、吸入プレナムと流体連通しており、平行多孔表面のうちの別の1つは、排出マニホールドに隣接配置されており、平行多孔表面と冷却区域は生物材料の複数の容器を保持するように適合されている。冷凍又は冷却システムの排出回路は、寒剤ガスを冷却室の排出マニホールドから除去するように適合されている。制御システムは、生物材料の所望の冷却速度及び冷却室内部の測定温度に応答して、冷却室に供給された寒剤冷却ガスの温度を調整するために、吸入回路中の寒剤源の流量及び排出回路中の寒剤ガスの流量を調整するように適合されている。この態様において、均一で、一方向で、且つ層状の、温度調整された極低温冷却ガスの流れが、生物材料を均一に冷却するために、平行多孔表面の間の冷却区域に供給され、複数の容器のそれぞれへ供給される。
【0011】
本発明は、生物材料を制御された速度で冷凍又は冷却する方法において、この方法は、(i)生物材料の複数の容器を、冷却室内部の平行多孔表面間の区域として画定された冷却区域内に配置するステップと、(ii)選択された温度特性の極低温冷却ガスを作り出すために、液体寒剤をより高い温度のガスと混合するステップであって、温度特性は容器内部における生物材料の所望の冷却速度に対応する、混合するステップと、(iii)生物材料を均一に冷却するために、温度調整された極低温冷却ガスの一方向層流を、多孔表面のうちの1つを通して、平行多孔表面の間の冷却区域及び複数の容器のそれぞれに供給するステップと、(iv)ガスが冷却区域内部で再循環することを防止するように、別の平行多孔表面を経由してガスを冷却室から直ちに排出するステップとを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明における、以上に記載された態様、特徴、及び利点、並びに他の態様、特徴、及び利点は、以下の図面及び詳細な説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のシステム及び方法に使用するために適合された均一流極低温冷却機ユニットの実施例の模式図である。
【図2】生物材料のバイアルに近接する寒剤ガスの均一流の特徴を図示する、図1の均一流極低温冷却機ユニットの詳細部分切欠図である。
【図3】本発明の開示されたシステム及び方法の特徴及び利点を組み込む単一バッチの均一流極低温冷却機の実施例の図である。
【図4】本発明の開示されたシステム及び方法の特徴及び利点を組み込む複数のバッチを有する大きな商業規模の均一流冷却室に関する実施例の模式図である。
【図5】本発明の開示されたシステム及び方法の特徴及び利点を組み込む連続式の均一流冷却ユニットに関する別の実施例の模式図である。
【図6】本発明のシステム及び方法による、寒剤ガスの選択された温度特性と、初期実験時に観察された生物材料の冷却速度との対応関係を示す図である。
【図7】本発明のシステム及び方法による、寒剤ガスの選択された温度特性と、初期実験時に観察された生物材料の冷却速度との対応関係を示す図である。
【図8】本発明のシステム及び方法による、寒剤ガスの選択された温度特性と、初期実験時に観察された生物材料の冷却速度との対応関係を示す図である。
【図9】ガス吸入、排出、及び再循環回路のプロセス及び計装をより詳細に示し、複数のバッチを有する商業規模の均一流冷却システムを示す図である。
【実施例】
【0014】
生物材料の低温保存は、典型的に生物試料を40℃以上の温度から約マイナス100℃以下の温度まで急速冷却することを伴う。これらの特定の温度、冷却速度、及び冷却特性は、材料の温度として表現され、時間の関数として表現される。これらは、冷凍される特定の生物材料に強く依存する。生物材料の殆どの低温保存では、冷凍処理が厳密に制御されなければならない。バイアル毎及びバッチ毎の温度、冷却速度、並びに冷却特性における均一性は、生産過程において重要性が高い。
【0015】
本発明の開示された方法及びシステムは、生物材料のための現在の低温保存処理に対する改良を提示する。本発明の開示された方法及びシステムは、主として、冷却ユニット内部に配置された複数のバイアルにそれぞれ隣接して寒剤の層流及び均一流を使用する強制対流冷却によって、冷却ユニット内部のバイアル又は他の容器内に収容された生物材料を急速冷却する能力を提供する。さらには、本発明のシステム及び方法は、広範な冷却速度域にわたって生物材料を急速冷却することが可能であり、また指定される場合には生物材料の温度を任意の所定温度に保持する。
【0016】
より具体的には、生物材料の急速冷却は、本システムに導入されている寒剤の温度を時間の関数として厳密に制御及び調整することによって実現される。1つの様式では、本システムの開示された実施例は、試料材料100内部のより高度な過冷却を生み出し、それによってバイアル中の相移行(例えば、水から氷への変態)の発熱効果を最小化するために、寒剤温度102(図6参照)の階段的又は急激な降下を行うように適合される。別の様式では、本発明の速度制御冷凍又は極低温冷却システム及び方法の開示された実施例は、試料生物材料110、120の急速冷却を行うが、バイアル毎の温度のばらつきをいずれも最小化するために、毎分約マイナス4.5℃の112(図7参照)及び毎分約マイナス5.0℃の寒剤冷却ガス温度(図8参照)の下降傾斜を実現するように適合される。
【0017】
冷却室又はユニットに導入された寒剤冷却ガスの温度は、この寒剤冷却ガスを冷却ユニットに導入する直前に、液体窒素源をより高い温度の窒素ガス源と混合することによって調整又は制御される。次いでこの混合流は、本明細書で説明されるように、適切な寒剤吸入回路によって冷却ユニット全体へ導入及び分散される。より高い温度の窒素ガスは、供給源からの室温窒素ガスか又は冷却ユニットから排出される窒素ガスであり、寒剤吸入回路に再循環させられることが好ましい。また、低温窒素液体又はガスと混合されたより高い温度の窒素ガスは動力ガスとして働き、液体又は低温窒素の体積流量の何倍もの体積流量を有することが好ましい。より高い温度の窒素ガスをより低温の窒素流と適正に混合することにより、本発明のシステムは、寒剤冷却ガスが目標とする冷却区域全体にわたる寒剤の層流及び均一流を創出する。また、冷却ユニットから排出される窒素ガスを再利用することによって、本発明の開示されたシステム及び方法は、既存の速度制御冷凍機よりも高い寒剤(例えば、窒素)利用効率を提供する。
【0018】
生物材料の全ての試料又はバイアルに行きわたる寒剤冷却ガスの均一流が得られれば、所与の生物材料に関して、寒剤冷却ガス温度及び寒剤温度勾配を厳密に制御することが、冷却ユニット内部の生物材料の観察される冷却速度に直接的な相関関係を持つことが判明した。例えば、本発明の冷却ユニットに供給された寒剤冷却ガス温度が、約マイナス4.5℃/分から約マイナス5.0℃/分で変化又は傾斜するとき、生物材料の平均冷却速度については、最小限のバイアル毎の温度のばらつきとともに約マイナス2.5℃/分が実現される(図7及び8参照)。
【0019】
ここで図1及び図2を参照すると、均一流極低温冷却機10と呼ばれる冷却ユニットの選択図が示されている。これらの図で理解されるように、均一流極低温冷却機10は、寒剤源(図示せず)に結合された寒剤吸入回路12又は導管を含む。均一流極低温冷却機10は、基部ガス噴射箱14と、このガス噴射箱14の上表面17の中に又は近くに配置又は配設された多孔金属板16と、基部ガス噴射箱14及びこの箱の中に位置決めされた多孔金属板19の直上に位置決めされた対応するガス除去箱18とを含む。別法として、多孔金属板の代わりに、極低温の温度に耐えるのに適切な支持された高分子膜、又は機械的に穿刺されたか若しくは化学的にエッチングされた穴を有する他の穴の開いた板を、様々に配置して使用することができる。
【0020】
ガス噴射箱14に関連する多孔金属板16は、生物材料を収容する複数のバイアル20を受け入れ且つ保持するように適合される。また、システム制御装置(図示せず)に対する入力として使用されるべき複数の温度センサ25が、バイアル20の中に又は近くに配置される。さらに、寒剤吸入回路12又は導管は、寒剤吸入流を受け入れて、ガス噴射箱14に結合される。ガス噴射箱14は、多孔金属板16を横切って寒剤を均一に分配するように適合される。寒剤冷却ガスは、均一の態様で、ガス噴射箱14中の吸入プレナム32の中へ流入して、バイアル20を保持する下部多孔金属板16を通って冷却空間30の中へ進入し、次いでガス除去箱18に達する。ガス除去箱18は、上部多孔金属板19及び排出マニホールド34も含む。消費された窒素ガスは、ガス排出回路28又は導管を経由して排出マニホールド34から排出される。
【0021】
以上で論じられたように、バイアル20の冷却は、バイアル20と、冷却区域30を通って流れる極低温冷却ガス27との間の熱伝達によって行われる。極低温冷却ガス27は、適正な混合装置又は弁36で、液体窒素をより高い温度の窒素ガス又はガス排出回路28からの再循環する消費窒素ガスと混合することによって生み出される。バイアル20は、一般に極低温冷却ガスよりも僅かに緩やかな速度で冷却される。バイアル20と極低温冷却ガス27との間の温度差は、バイアル20を冷却するための熱的駆動力である。したがって、極低温冷却ガス27の温度を具体的な温度特性に厳密に制御することによって、バイアル20を任意の温度特性で冷凍することが可能である。
【0022】
極低温冷却ガス温度、より具体的には温度特性は、バイアル20に又はその近くに配置された温度又は熱センサ25によって表示される平均温度に応答して積極的に制御されることが好ましい。本発明の実施例では、複数のバイアル20における平均温度は、本システムの積極的制御用の入力として使用されている。カスケード接続を基本とする制御手法が好ましい。この手法では、バイアル温度を含むシステム温度が、主システム制御装置によって監視及び制御される。主システム制御装置は、吸入回路内の極低温冷却ガス温度を調節する役割を担うスレーブ制御装置に設定点信号及び他の指令を転送する。以下でより詳細に論じられるように、極低温冷却ガス温度特性は、低温液体窒素の特定の体積をより高い温度の窒素ガスの特定の体積と混交(blend)させる混合弁の作用的制御を通じて創出される。混交又は混合は、所定の温度特性(即ち、時間の関数として変化する温度)の温度を有する極低温冷却ガスを生み出すために、時間の関数として変化する連続動作であることが好ましい。要するに、均一流極低温冷却機の作用的温度制御は、吸入回路内の寒剤冷却ガスの温度特性を制御することによって実現される。以上で論じられたように、低温の極低温ガス温度及び温度勾配の厳密な制御は、所与の生物材料の観察される冷却速度に直接的な相関関係を有することが判明した。
【0023】
極低温冷却ガスが、下部ガス噴射箱14に進入すると、極低温冷却ガス27は、ガス噴射箱(図示せず)内部の一連の下向き配向スパージャー(sparger)管又は導路を介して吸入プレナム32の中へ分散される。吸入プレナム32中におけるこの分散は、多孔金属板16の表面全体を横切る極低温冷却ガス27の均一な分配を促進する。吸入プレナム32中での極低温冷却ガス27の下向き配向分配は、極低温冷却ガス27が直接的に多孔金属板16に衝突して、冷点及び不均一冷却をもたらすことを回避する。ガス噴射箱14中の多孔金属板16は、均一流極低温冷却機10の冷却区域全体にわたって、極低温冷却ガス27を強制的に均一に分配する。均一流極低温冷却機10には、生物材料のバイアル又は他の容器が保持される。消費窒素は、ガス除去箱18内の多孔板19の上方に配置された排出マニホールド34に回収される。例示されたように、極低温冷却ガス27は、短い経路のみを有し、吸入プレナム32から多孔板16を通って横断して冷却区域30の中へ上昇し、上部多孔板19を通って排出マニホールド34の中へ進入する。極低温冷却ガス流の均一の方向及び短い距離は、極低温冷却機10内部におけるバイアル20冷却の高水準の均一性をもたらす。小さい孔が分散を高めて冷却の均一性が得られるので、多孔金属板16、19の孔径は、直径約2から50ミクロン台であることが好ましい。最適化された速度で生物材料を冷却及び冷凍することによって、細胞の生存率が高められて、潜在的により高い薬剤力価を生み出す。
【0024】
溶液の冷凍点では、結晶化の熱は、溶液の温度が降下することを防ぎ、時にはバイアル内部の温度も上昇し得る。選択された対照バイアルの中に又はその近くに埋め込まれた1つ又は複数の熱センサ又は温度センサ25を使用して、極低温冷却ガスの温度は、必要に応じて、最適化された冷却速度からの温度のばらつきを最小化するために調整される。換言すれば、本システムの制御は、予めプログラミングされるか、又は実時間フィードバックに基づく動作とすることができる。
【0025】
低温保存用のバイアル又は容器内に収容された製薬、生物薬剤、又は生物溶液は、本発明のシステム及び方法から利益を受ける。このような生物又は生物薬剤材料には、微生物、組織、器官、幹細胞、一次細胞、確立された細胞系、小多細胞有機体、胚のような複雑な細胞構造、又は、生きた若しくは弱毒化されたウイルス;核酸;単クローン抗体;多クローン性抗体;生体分子;非ペプチド類似体;ペプチド、融合タンパク質及び修飾タンパク質を含むタンパク質;RNA、DNA、及びそのサブクラス;オリゴヌクレオチド;ウイルス粒子;並びにこのような材料若しくはこれらの成分を含む溶液若しくは混合物が含まれる。また、生物材料を収容するために使用される容器には、バイアル、ストロー、高分子バッグ、又は他の形態の適切な容器が含まれる。
【0026】
図3、図4、及び図5は、均一流アプローチ又はコンセプトを組み込む本発明の速度制御冷凍機又は極低温冷却機の様々な実施例を示す。より具体的には、図3は、均一流極低温冷却機の1つを収容するように適合された速度制御冷却機の単一モジュール・ユニット40の図である。図3に示されたユニット40用の外部ハウジングは、吸入導管42、プレナム、及び多孔板46を有するガス噴射箱44ばかりでなく、多孔板、排出マニホールド、及び排出導管を有するガス除去箱48も備える中実のステンレスハウジングである。図示されたユニットは、図1及び図2を参照して以上に説明された単一層流及び均一流極低温冷却機を収容するように寸法決めされる。
【0027】
図4は、複数のバッチを有する商業規模のユニット50を示す。複数のバッチを有する商業規模のユニット50は、複数の均一流極低温冷却機アセンブリを収容するように適合された複数の棚又はレール54を含む冷却室52を備える。このような複数のバッチを有する商業規模のユニット50は、1回の生産工程当たり50,000個以上のバイアル又はこのような容器を低温保存できることが好ましい。図4で理解されるように、寒剤吸入回路56及び消費ガス排出回路58は、十分な寒剤を多数の個別極低温冷却機60に循環させるように設計及びサイズ決めされる。制御システム70を使用して、本システム内部に配置された熱センサからの入力に応じて、各棚54に、又は各極低温冷却機アセンブリ60に供給された寒剤冷却ガスの温度特性を動作可能なように制御する。
【0028】
図5は、連続又はコンベヤ設備された態様で動作する速度制御冷却機又は冷却機システム80のさらに別の可能な商業規模の実施例を示す。この場合も、ユニット80並びに極低温冷却ガス吸入回路90及びガス排出回路92が、入口及び出口手段84を有するトンネル型冷却機室82内部のコンベヤ86に沿って配置された、個別化された容器又はトレイ・アセンブリに十分な極低温冷却ガスを循環させるように設計及びサイズ決めされる。この連続動作では、異なる容器、バイアル、又はトレイの冷却特性は、バッチ・システムに関して以上に説明された通り、時間を基本としてもよいし、又は空間(例えば、室内の空間位置)を基本としてもよい。
【0029】
生物材料の冷却速度を厳密に制御できることによって、多くの利益が得られる。例えば、水溶液中で冷凍された生物材料は、この材料の機能又は活性を阻害する恐れがある冷凍及び次に続く解凍処理時に様々なストレスを経験する。氷形成は、材料を物理的に破損したり、又は材料が経験する境界面接合、浸透力、溶質濃縮等の厳しい変化を生じさせる恐れがある。冷凍処理の適正な設計は、このようなストレスを軽減することが可能であり、本発明のシステム及び方法は、設計された冷凍特性に従って全てのバイアル中の冷凍された材料における均一性を実現するために、冷凍処理の厳密な制御を可能にする。
【0030】
ここで図9を参照すると、例示された極低温冷却機システム210は、寒剤冷却ガス回路262から極低温冷却ガス260を受け入れるように適合された冷却室220と、液体窒素源230と、相分離器234を含む液体供給回路232と、気体窒素供給源240と、ガス供給回路242と、再循環冷凍ガス250と、及びガス再循環回路252とを含む。極低温冷却機システム210は、プログラマブル論理制御装置(PLC)を基本とする制御システム270をさらに含む。制御システム270は、測定された温度及び圧力ばかりでなく所望の冷却特性を含む幾つかの使用者が定義するパラメータにも応答して、流体回路を動作可能に制御する。
【0031】
例示された冷却室220は、薬剤活性成分又は活性生物分子を収容する多数のバイアルを冷却するために使用される複数の冷却棚222を有する。極低温冷却ガス260は、定置式インライン混合機263から冷却室220に供給される。この混合機263は、液体供給回路232を経由して液体窒素源230から供給される液体窒素を、厳密に計量分配されたガス供給回路242から供給される気体窒素ガス流、及びガス再循環回路252から供給される再循環寒剤ガス250と混合する。
【0032】
極低温冷却ガス260の温度は、定置式インライン混合機263の下流に配置された温度センサ264で測定されることが好ましい。液体供給回路232からの窒素の流れをガス供給回路242及びガス再循環回路252からの窒素ガスで厳密に調整することによって、動作条件を最適化し、且つ細胞生存能力、薬剤均一性、及び薬剤力価を最大化するために、広範な冷却特性域を有する冷却室220内におけるバイアルの冷却を可能にする極低温冷却ガス260の温度を急速に変化させることが可能である。
【0033】
この窒素ガスを液体窒素と混合することによって、極低温冷却ガス260が形成されると、それは、単一の冷却室220内において複数の段の冷却棚222へ分割される。複数の冷却棚222に対する極低温冷却ガス260の正確な分割を行うために、複数の臨界流開口265を使用して、極低温冷却ガス260を複数のガス流に分割する。臨界チョーク流条件下において、冷却棚222に対する極低温冷却ガス流は、下流圧力に左右されることなく維持される。大きな極低温冷却ガスマニホールド266を使用して、臨界流開口265の上流の差圧を排除又は最小化する。下流のガス流抵抗が臨界流開口265を通過するガス流に衝撃を与えることはない。この態様では、冷却室220内の冷却棚222のそれぞれに対する極低温冷却ガスは、ほぼ同一である。
【0034】
極低温冷却機システム210は、極低温冷却ガス260との直接接触冷却システムである。極低温冷却ガス260は、各バイアルに対して同じ方向に、且つ好ましくはバイアルの長手軸に沿って同じ方向に流れて、したがって全てのバイアルに関して極めて均一の冷却特性を創出する。多孔金属膜(図1及び図2参照)は、全ての冷却表面にわたって均一の抵抗を与え、したがって個別バイアルが同一の又は均一の冷却量を受け取ることを可能にする。
【0035】
窒素ガス供給源240は、大量貯蔵タンクから受け取られ、微粒子材料を除去するためにフィルタ244に通して誘導されることが好ましい。次いで窒素ガス供給源240は、出口圧力調節器245を通じて所望圧力に下方調節される。圧力調節器245前後の管路圧力は、1つ又は複数の圧力表示器246を使用して監視されることが好ましい。電空制御弁249と質量流量センサ248を含む質量流量制御装置247を使用して、厳密に計量分配された窒素ガス流量が、ガス供給回路242を通って定置式インライン混合機263に至るよう制御及び維持されることが好ましい。電気式電磁弁243も、ガス供給回路242の中に含まれる。電気式電磁弁243は、極低温冷却機システム210が動作していないときに積極的に遮断する機能を持つ。警報器を制御システム270の中に設け、極低温冷却システム210の緊急遮断が必要とされる場合には、この電磁弁243を動作停止することができる。
【0036】
例示されたシステムでは、様々な制御弁を動作させるために使用される追加的なガス源、即ち空気源が示される。例示された空気供給回路215は、管路から微粒子を除去するように適合されたフィルタ216と、安全動作のために空気圧力を約172.4kPa(約25psig)に低減するように適合された圧力調節器218と、空気供給回路215中の圧力を監視するために使用される1つ又は複数の表示器219とを含む。
【0037】
液体窒素供給回路232は、液体窒素源230、相分離器234、1つ又は複数の温度及び圧力センサ233、液体窒素マニホールド235、1つ又は複数の安全/逃がし弁236、ストレーナ237、及び主極低温流制御弁238を含む。全ての液体窒素配管は、液体窒素から窒素ガスへの相変化を最小化するために、及び液体窒素供給回路232内部の管材中において結果として生じる2相流を最小化するために、断熱されることが好ましい。
【0038】
液体窒素相分離器234は、熱漏れ又は配管の圧力変化により、液体窒素供給回路232内で形成される窒素ガスを除去するように設計される。例示された相分離器234は、二重壁の円筒縦型タンクである。内部液体容器は、約1,724kPa(250psig)の最大許容作動圧力(MAWP)定格を有し、外部容器は真空断熱を設ける。気相ベント弁239は、液体窒素源230からの液体窒素で相分離器234が充填されるよう動作可能に制御する。低い液面レベルにおいて、気相ベント弁239を開き、相分離器234からの蒸気圧力をベント280へ逃がし、液体窒素が液体窒素源230から移動することを可能にする。相分離器234内の液体窒素レベルが上昇すると、気相ベント弁239は閉じ始め、この弁239が完全に閉じられるまで充填速度が低下し、相分離器234への液体窒素の充填が停止される。
【0039】
ストレーナ237は、ブローダウン逃がし弁236Aに結合される。ブローダウン逃がし弁236Aは、必要に応じてストレーナ237を浄化して、気化された窒素ガスを液体窒素供給回路232から追い出すように動作する。また、ストレーナ237は、主極低温制御弁又は逃がし弁の性能悪化又は損傷を回避するために、液体窒素中の微粒子をろ過する役目をする。
【0040】
例示された安全弁の1つは、液体窒素供給源の積極的遮断を行う極低温電気式電磁弁236Bである。電気式電磁弁236Bを動作停止させると、液体窒素供給回路を通って定置式インライン混合機263に供給される全ての液体窒素流を遮断する。この電気式電磁弁236Bは、電源を切断すると、直ちに液体窒素供給回路232回路を通る液体窒素流を停止し、且つ閉じ込められた液体窒素をこの回路からベント280へ逃がすように構成される。さらには、制御システム270内部の他の処理停止及び緊急停止工程が、1つ又は複数の安全弁236に対する指令信号を生成する。それは、例えば、極低温冷却システム210が、冷凍サイクルの終わりに動作を停止したとき、又は予め設定された警報条件を含む他の理由のために動作を停止したときである。制御システム270は、1つ又は複数の安全弁236を遮断することによって、液体窒素供給回路232の中の液体窒素流を停止する。
【0041】
主極低温流制御弁238は、制御システム270から信号を受け取り、極低温冷却機システム210内の測定された温度及び圧力ばかりでなく、所望の冷却特性を含む、使用者が定義するパラメータにも応答して、極低温冷却ガス回路262に供給される液体窒素量を制御する。
【0042】
液体窒素供給回路232からの液体窒素は、定置式インライン混合機263に誘導される。液体窒素は、ガス供給回路242及びガス再循環回路252から誘導された窒素ガスと混合することによって極低温冷却ガス260の中へ気化する。定置式インライン混合機263は、気化されなかった液体窒素のスラグが冷却室220に進入しないことを保証するために使用される。極低温冷却ガス回路262中の温度は、定置式インライン混合機263の出口に又はその近くに配置された温度センサ264で監視される。制御システム270は、この測定された温度を受け取り、プログラミングされた温度特性及び予め設定されたパラメータに基づいて、この測定された温度に応答して、定置式インライン混合機263に対する液体窒素流量及びガス流量を調節する。
【0043】
定置式インライン混合機263の下流で、極低温冷却ガス260は、大きな極低温冷却ガスマニホールド266に誘導され、次いで複数の臨界流開口265を経由して冷却室220内の複数の冷却棚222に誘導される。大きな極低温冷却ガスマニホールド266は、全てのガス分配点において同じ又は同様の圧力が実現されることを保証するために使用される。冷却室220のそれぞれの冷却棚222に送られる実際の極低温冷却ガス流量は、各冷却棚222に関連する臨界流開口265のサイズによって決められる。
【0044】
各段における冷却室220の内側では、下向きに配向されたノズルを有する一連のガス分配管が存在する。冷却室の内側の追加的なガス分配管の目的は、速度によって生み出される局部圧力勾配を回避又は最小化することである。局部圧力勾配は、すべての大きな多孔金属膜にわたる極低温冷却ガス分配に衝撃を与える恐れがある。臨界流開口265及びガス分配ネットワーク網を有することによって、大きな冷却室が使用し、非常に高度の冷却均一性を有して何千ものバイアル又はパッケージを収容することができる。
【0045】
複数の段の冷却室220の内部の冷却表面は、複数のバイアルにわたって均一のガス流を生み出すように適合された多孔金属膜227から製作される。金属膜227の小さい孔径サイズ及び高いフラックスによって、冷却表面全体から立ち上がる層流が生み出される。冷却表面からの層流が推奨される。しかし、この流れがバイアルに対して平行であり、且つこのガスの大再循環が冷却室220の内部で生じない限り、乱流ガス流も許容可能である。
【0046】
排出マニホールド225が、冷却室220内の各段における多孔金属膜の上方に存在する。排出マニホールド225は、バイアルの冷却中に極低温冷却ガス260の均一流を維持するために、多孔金属膜227と平行配向で配置された穿孔板を有する。排出マニホールド225の中に受け入れられたガスは、消費窒素ガスの内部再循環流をいずれも回避又は最小化するために、冷却室220から直ちに除去される。このような再循環ガスは、一般に冷却室220に供給される極低温冷却ガス260よりも高い温度の温度であるので、窒素ガスの内部再循環を回避することが重要である。このような内部再循環流は、先行技術又は従来の層流冷却装置において周縁効果(edge effect)によって温度が不均一となることの主原因である。
【0047】
冷却室220から除去された排出ガスは、ガス再循環回路252に流用されることが好ましい。例示されたガス再循環回路252は、再循環ガスマニホールド253を含む。再循環ガスマニホールド253は、冷却室220内の排出マニホールド225と、冷凍サイクルの後半に自動的に始動する再循環送風機254との間に配置される。また、ガス再循環回路252は、制御システム270に結合された質量流量計量器255を含む。質量流量計量器255は、極低温冷却ガス回路262中の極低温冷却ガス260流量を所望の水準に維持するために、ガス供給回路242からの補給ガス流量を調整できるようにガス再循環回路252を通る流れを測定する。背圧調節器256が、再循環送風機254からの圧力を維持する。他方で、逆止弁258が、再循環送風機254の動作停止時にガス供給回路242からの補給窒素ガスが、ガス再循環回路252に進入することを防止する。ガス再循環回路252に閉塞が生じた場合に、安全逃がし弁259が、冷却室220のために超過圧力に対する保護を行う。
【0048】
冷却室220の内側の圧力及び温度は、冷却室220内部においてバイアルの幾つかに隣接して配置された圧力計228と温度センサ229又は熱電対とを用いて監視される。圧力計228、温度センサ229、及び熱電対は、制御システム270に結合され、これらに入力を供給する。
【0049】
開示されたシステム及び方法は、商業型又は大規模な生物生産作業に特に適切である。なぜなら、広範な生物製品域を製造するように容易に規模拡大されるか又は適合される、同じ機器及び処理パラメータを使用して、その処理が実施されるからである。本発明の開示された処理は、制御された速度で生物材料を冷凍することを提供する。その冷凍においては、試料毎に、バイアル毎に、容器毎に、バッチ毎に、生物材料を冷却又は冷凍する際に高度の均一性を実現する処理をする。
【0050】
さらには、図5〜図8の厳密な実験において、本発明の冷凍又は冷却処理が、生物材料における冷凍の核生成を開始及び制御する手段として使用できることが示される。図5〜図8に例示されるように、観察された全てのバイアル中における生物材料の冷凍の核形成は、ほぼ同じ時点及び同じ温度で生じた。冷凍の核形成は、相変化が試料中で行われている間に生じる発熱過程の結果として、試料温度における同時発生の短いスパイク(100、110、120を参照されたい)によって表される。したがって、核形成は、以上に説明した制御された冷凍システム及び方法を使用して、鋭い又は急激な温度急冷の時機及び大きさを厳密に制御することによって可能である。従来の速度制御冷凍機の使用に起因する冷凍の核形成における時間及び温度の広いスペクトルに比べると、本発明のシステム及び方法は、より高度の制御を実現し、保存された生物材料の他の性能態様及び特徴に影響を与える可能性が高い。また、意図する核形成の開始及び制御は、温度によって駆動されるので、それは、開放又は閉鎖された容器若しくはバイアルにおいても等しく適切に機能する。
【0051】
図3、図4、図5、及び図9におけるユニット用のハウジングは、本発明の速度制御冷凍方法が、米国特許出願第11/702,472号に一般的に説明される核形成制御システム及び処理の態様と組み合わされるか、又はその態様を組み込むことができるものであることが好ましい。
【0052】
以上から、本発明は、こうして生物材料の速度制御冷凍を行うシステム及び方法を提供するものであることが理解される。本方法の様々な改良、変更、及び変形が当業者には明白である。このような改良、変更、及び変形は、本出願の範囲並びに特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に包含され得るものであることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物材料用の極低温冷却機、すなわち冷凍システムにおいて、前記システムは、
寒剤源と、
前記寒剤源に結合された吸入回路であって、寒剤冷却ガスの均一流を冷却室に供給するように適合された吸入回路と、
前記冷却室であって、前記冷却室は、吸入プレナムと、排出マニホールドと、2つ以上の平行多孔表面とを含み、前記平行多孔表面は前記平行多孔表面の間に冷却区域を画定しており、前記平行多孔表面のうちの1つは、前記吸入プレナムに隣接配置され、前記吸入プレナムと流体連通しており、前記平行多孔表面のうちの別の1つは、前記排出マニホールドに隣接配置されており、前記平行多孔表面と前記冷却区域は生物材料の複数の容器を保持するように適合された、冷却室と、
前記寒剤ガスを、前記冷却室の前記排出マニホールドから除去するように適合された排出回路と、
制御システムであって、前記制御システムは、前記生物材料の所望の冷却速度及び前記冷却室内部の測定温度に応答して、前記冷却室に供給された前記寒剤冷却ガスの温度を調整するために、前記吸入回路中の前記寒剤源の流量及び前記排出回路中の寒剤ガスの流量を調整するように適合された制御システムとを備えており、
均一で、一方向で、且つ層状の、温度調整された極低温冷却ガスの流れが、前記生物材料を均一に冷却するために、前記平行多孔表面の間の前記冷却区域に供給され、前記複数の容器のそれぞれへ供給される、前記システム。
【請求項2】
前記寒剤源は、液体寒剤及びより高い温度のガスをさらに含む、請求項1に記載されたシステム。
【請求項3】
前記吸入回路は、前記極低温冷却ガスを生み出すために、前記液体寒剤及びより高い温度のガスを混合するように適合されたインライン混合機をさらに含む、請求項2に記載されたシステム。
【請求項4】
前記排出回路は、前記排出マニホールドから前記吸入回路へガスを再循環させて戻す再循環回路をさらに含む、請求項3に記載されたシステム。
【請求項5】
前記制御システムは、前記冷却室に供給される前記寒剤冷却ガスの温度を調整するために、前記吸入回路及び再循環回路の前記液体寒剤、並びに前記より高い温度のガスの流量を動作可能に調整する、請求項4に記載されたシステム。
【請求項6】
前記吸入回路は、前記冷却室への極低温冷却ガスの流れを絞るために、前記吸入プレナムの上流に配置された1つ又は複数の臨界流開口をさらに含む、請求項1に記載されたシステム。
【請求項7】
生物材料を制御された速度で冷凍又は冷却する方法において、前記方法は、
前記生物材料の複数の容器を、冷却室内部の平行多孔表面間の区域として画定された冷却区域内に配置するステップと、
選択された温度特性の極低温冷却ガスを作り出すために、液体寒剤をより高い温度のガスと混合するステップであって、前記温度特性は前記容器内部における前記生物材料の所望の冷却速度に対応する、混合するステップと、
前記生物材料を均一に冷却するために、温度調整された前記極低温冷却ガスの一方向層流を、前記多孔表面のうちの1つを通して、前記平行多孔表面の間の前記冷却区域及び前記複数の容器のそれぞれに供給するステップと、
前記ガスが前記冷却区域内部で再循環することを防止するように、別の平行多孔表面を経由して前記ガスを前記冷却室から直ちに排出するステップとを含む、前記方法。
【請求項8】
前記より高い温度のガスと混合するために排出された前記ガスを再循環させるステップをさらに含む、請求項7に記載された方法。
【請求項9】
前記多孔表面を通して前記一方向層流を前記冷却区域に供給する前に、温度調整された前記極低温冷却ガスの圧力及び流量を調節するステップをさらに含む、請求項7に記載された方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−505793(P2011−505793A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533276(P2010−533276)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/082787
【国際公開番号】WO2009/062025
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(392032409)プラクスエア・テクノロジー・インコーポレイテッド (119)
【Fターム(参考)】