説明

生物材料中の感染性化合物のインビトロ検出及び/又は定量及び/又は同定の方法

生物材料を構成する液状媒体M内に存在する感染性化合物の検出及び/又は定量及び/又は同定のためのインビトロの方法であって、マイクロビーズの液状懸濁媒体中懸濁液を調製し、前記マイクロビーズにβ2GPIタンパク質を導入し、少なくとも1種類の酸化性金属のイオンを添加しつつ、前記導入された前記マイクロビーズを液状媒体Mと接触させることにより、前記β2GPIタンパク質に感染性化合物を結合させ、前記により調製されたマイクロビーズを懸濁媒体から分離して残渣を得、前記残渣から感染性化合物を検出及び/又は定量及び/又は同定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物材料中の感染性化合物のインビトロ検出及び/又は定量及び/又は同定の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書において「生物材料」とは、感染性化合物を含んでいてもよい、天然又は非天然の生物組織、生物組織に由来する調製物若しくは抽出物、液体若しくは固体、又は媒体、例えば果実及び野菜を洗うための流水若しくは水などを意味する。このような材料は、先に規定された材料の少なくとも2種の混合物であってもよい。よってこれらは、特に感染症に罹患した患者の組織、臓器、糞便若しくは体液から調製されたものでも、又は「インビトロ」培養から得られたものでもよい。かかる生物材料は、血清、血漿、尿、脳脊髄液、滑液、腹水、胸膜液、精液又は酢酸液(acetic fluid)であってもよい。
【0003】
本出願において感染性化合物(今後は略号「CI」で総称する)とは、感染因子を構成する化合物(特にタンパク質)と、感染性化合物を含む構造体の双方を意味する。これら構造体は、特に、完全又は不完全な、内在性又は外来性の、感染因子、その代謝産物、あるいは、これら感染因子の構成化合物を含み、その感染因子の一部特性(特に感染性化合物に特異的なある種の抗体によって検出される特性)を示す複合物である。また、CIは、上記定義のCIにより、又は異常発現する遺伝子の発現により、生体内で特異的に誘導される化合物であってもよい。CIの例としては、ウイルス、細菌、真菌、マイコプラズマ、寄生虫、異常動物細胞等が挙げられる。
【0004】
血漿糖タンパク質の一種であるβ2−糖タンパク質I、略称「β2GPI」は既報である。このヒト糖タンパク質の配列は、特に、J. LOZIERらの論文、Proc. Natl. Acad. Sci. ISA, 81, 3640-3644 (1984年7月)、及びT. KRISTENSENらの論文、FEBS Letters, 289, 183-186 (1991)に記載される。このβ2GPIタンパク質は多型を示す。本明細書ではβ2GPIという名称を、全ての型の総称として解する。
【0005】
国際出願WO94/18569は、特定の種の(特にタンパク質性の)感染性化合物が、仏国特許第2701263号に開示のβ2GPI型に結合することを指摘する。文献WO94/18569はウイルス性化合物の検出及び/又はアッセイの方法を提示し、本方法では感染性ウイルス性化合物が、使用されるβ2GPIの型に結合される。従ってこのβ2GPI型は、生物材料中に含まれる感染性ウイルス性化合物に添加され、その後こうして捕捉されたウイルス性化合物を検出及び/又はアッセイするべく分離する。欧州特許第EP775315号には、感染性化合物、特にタンパク質性化合物と任意のβ2GPI型との複合体の形成が開示されている。この感染性化合物は、特に細菌であることができる。これらの文献から、β2GPIは、マイクロタイトレーションプレートのウェルの底のような、平坦な固形支持体に結合することが可能であること、及びこうしてこの平坦な固形支持体へ接着しているβ2GPIは、非常に低濃度で臨床試料、生物学的試料又は環境的試料の中に存在する感染性化合物に結合することが可能であることは明らかである。更にそのような試料は、病原体の検出を少なくとも部分的に阻害する物質、結果的に検出の感度を低下し得る物質を含有することができることは公知である。従ってそれらの検出を阻害する物質を排除するために、これらの病原体を捕捉しかつ濃縮することができることは重要である。
【0006】
本出願人の会社(Applicant company)の研究は、タイトレーションプレートのウェルの底へのβ2GPIの結合は、β2GPIの特定の高次構造によって起こり、この高次構造はその後のβ2GPIの感染性化合物との複合体の形成を可能にすることを示す。この文献は更に、このβ2GPIの高次構造は、固体表面へのその結合部位で変動することを報告している(Matsuuraら、J. Exp. Med. 179, 457-462 (1994))。それにウイルスが接着するスルホン化された磁気マイクロビーズを使用する、ウイルスの濃縮の方法が、既に説明されており(A. IWATAら、Biol. Pharm. Bull. 26(8), 1065-1069 (2003))、このウイルスの濃縮は、これらのマイクロビーズには磁性があり、磁界の作用により感染性媒体から分離されることに基づき得られた。残念なことに、この技術の結果は、本質的にはマイクロビーズへのウイルスの接着機能であった。この文献は、ある種のエンベロープを持たないウイルスは、ポリエチレン−イミンで製造されたマイクロビーズには結合しないこと、及びある種のウイルスを濃縮するためには、スルホン化されたマイクロビーズを使用することが必須であることを詳細に説明している。更にある種のウイルスに関しては、Zn2+やCu2+等の二価のカチオンを培地に添加する必要があった。この知見から、マイクロビーズを構成するポリマーをグラフトするか否かは、また、二価のイオンが必要か否かは、ウイルスの性質に応じて異なることが分かる。よって、これらのビーズは、濃縮すべきウイルスに応じて適宜(ad hoc)調製する必要がある。同じ知見が、ヒトA型、B型及びC型肝炎ウイルスの濃縮に関連するE. UCHIDAらの論文(Journal of Virological Methods, 143, 95-103 (2007))からも明らかになっている。従って、検出すべき未同定のウイルスを含む試料の存在下で、どの種のマイクロビーズが対象のウイルスを接着し得るかを決定するのは不可能であった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
その結果、上記の欠点を考慮すると、当業者であれば、感染性化合物の性質がどうであるかや感染性化合物が何であるかに関係なくマイクロビーズが感染性化合物を引っ掛けることのできる好ましい環境条件を求めようとするあろう。それが、そもそもはUchidaが上記の論文で行なったことである。彼は、ウイルスHAV、HBV、HCVを直接捕獲する上で特に有利な条件を記載している。しかし出願人の会社は、このやり方とは逆に、本発明により、マイクロビーズと、その表面に固定する感染性化合物(CI)との間にβ2GPI分子を置くことを提案する。現在の技術により、タンパク質β2GPIがうまく引っ掛かることのできる固体支持体の性質を明らかにすることができた。したがってマイクロビーズの表面へのβ2GPIの固定は、あとで固定する感染性化合物に応じてマイクロビーズのポリマーを変化させる必要なく実施される。さらに、マイクロビーズの表面にβ2GPIを固定することによってβ2GPIの表面への感染性化合物の引っ掛かりが乱されないことも確認された。ところでこの最後の点はまったく予想外であった。というのも、マイクロビーズの表面に固定されるβ2GPIのコンホメーションが、この糖タンパク質の表面に病原体が引っ掛かるのを可能にしているとは予想できなかったからである。しかし補足しておくならば、β2GPIは自己重合する傾向を有するとわかっていたことが、本発明の完成を妨げる1つの要素であった(Thrombosis Research、第108巻、175〜180ページ、2003年参照)。そのため、β2GPIを担持したマイクロビーズの凝集が起こる危険性がある。凝集により、もちろん、β2GPI分子の表面に病原体が固定されることは考えられなくなる。
【0008】
最後に、本発明により、β2GPIを担持したマイクロビーズの表面に感染性化合物が接着されると、β2GPIとCIの両方を担持したマイクロビーズが適切な媒体と直接接触することで、接着されたCIを検出又は定量又は同定できる場合があることが確認された。ウイルスの場合には、媒体は、マイクロビーズによって捕獲されたウイルスが感染できる細胞培養物である。
【0009】
本発明の別の特徴によれば、出願人の会社は、並行して、接着が起こる環境に作用を及ぼすことで、β2GPIを担持したマイクロビーズの表面にCIがうまく引っ掛かるようにしようとした。出願人の会社は、この目的が、CIの性質に関係なく、特にウイルス又は細菌において、懸濁媒体の中に酸化性金属のイオンを添加すると達成されることを確認した。斯かる金属としてはCu2+が挙げられるが、この効果は(上記のIwataの論文の研究から考えられるのとは異なり)Cuが2価であることが原因ではない。というのもIwataは、Zn2+又はCu2+で満足のゆく結果を得たと述べているのに対し、出願人は、本発明を実施するのにZnは有意な結果を与えないことを確認したからである。そもそも、Zn又はFeイオンの存在は、ウイルスのβ2GPIの表面への接着によってはのに不利であることがすでに指摘されていた(Stefas他、Hepatology、第33巻(1)、207〜217ページ、2001年)。ところでマイクロビーズの中に磁性元素が存在していると、鉄イオンがマイクロビーズを懸濁させた媒体の中に拡散する可能性がある。出願人の会社は、媒体中における酸化性イオンの存在によりβ2GPIの表面へのCIの固定には顕著な不利が生じないことを確認した。
【0010】
従って、本発明の主題は、生物材料を構成する液状媒体M内に存在する感染性化合物の検出及び/又は定量及び/又は同定のためのインビトロの方法であって、公知の手法により、マイクロビーズの液状懸濁媒体中懸濁液が調製され、前記マイクロビーズは、タンパク質を結合可能な固体ポリマー物質により構成された外表面により境界画定されるとともに、前記方法は:
a)懸濁液中のマイクロビーズに対するβ2GPIタンパク質の導入を、十分量のβ2GPIタンパク質とのカップリングにより、懸濁媒体中で受動的に、又は公知の化学結合プロトコルを用いて達成する段階;
b)マイクロビーズにより担持されたβ2GPIタンパク質に対する細菌の十分な結合を達成するべく、容器内で、少なくとも1種類の酸化性金属のイオンを添加することにより、β2GPIタンパク質が導入された前記マイクロビーズを、適切な条件下で液状媒体Mと接触させる段階;
c)前記により調製されたマイクロビーズをその懸濁媒体から分離し、前記懸濁媒体を容器から排出し、任意により緩衝液による洗浄後に、高濃度の細菌を含む残渣を得る段階;
d)並びに、前記により得られた濃縮された残渣から感染性化合物を検出及び/又は定量及び/又は同定する段階
を含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例2の実験結果を示す図である。
【図2】実施例3の実験結果を示す図である。
【図3】実施例3の実験結果を示す図である。
【図4】実施例3の実験結果を示す図である。
【図5】実施例9の実験結果を示す図である。
【図6A】実施例9の実験結果を示す図である。
【図6B】実施例9の実験結果を示す図である。
【図7A】実施例10の実験結果を示す図である。
【図7B】実施例10の実験結果を示す図である。
【図7C】実施例10の実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明による方法の段階b)において媒体Mに添加される酸化性金属のイオンが第二銅イオンであり、その媒体中の第二銅イオンの濃度は、そのイオンの添加後に1〜100mMであることが好ましい。
【0013】
本発明による上記の方法の段階d)を、感染力、特異的酵素反応、蛍光性トレーサー、放射性標識したトレーサー、標識したプローブとのハイブリダイゼーションによる特定の核酸の検出、PCR反応、RT−PCR反応、アッセイ、カウント、可視化、光学的方法、電子顕微鏡その他の顕微鏡による観察からなる群の中から選択した手段によって実現することが望ましい。
【0014】
感染性化合物(CI)として特に細菌が可能である。
【0015】
CIが細菌である場合には、光学密度の読み取り、ATP測定、PCR(“ポリメラーゼ連鎖反応”)の何れかによってその細菌を検出及び/又は定量及び/又は同定することができる。
【0016】
CIがウイルスである場合には、本発明の方法の段階c)の終わりに得られる濃縮された残留物から溶解によって標的となるCIの核酸を抽出し、標的となるCIのその核酸を、標的となるそのCIに合ったプライマを用いてPCR(又は、標的となるウイルスがレトロウイルスならばRT−PCR)によって増幅し、任意により得られる核酸をゲル上で可視化することで、標的となるCIの存在又は不在を明らかにする、及び/又は媒体Mに含まれる標的となるCIを定量する。本発明による方法の段階c)に従って得られたマイクロビーズの表面に固定された標的となるウイルスを検出及び/又は同定するため、残留物を再び懸濁させ、標的となるウイルスに対する感受性のある細胞とマイクロビーズを接触させ、その細胞を培養し、細胞が標的となるそのウイルスに任意により感染していることを観察することが望ましい。細胞の感染を検出するには、例えば、細胞を適切に着色した後に感染性化合物の細胞病理効果を観察すること、又は細胞を固定し、感染性化合物の存在に対応するタンパク質を認識する蛍光性抗体と反応させた後に免疫蛍光を観察することができる。
【0017】
マイクロビーズの外表面を構成する固体材料の選択は、プラスチック材料とエラストマーからなる群の中から行なうことが好ましい。そのときその材料は、マイクロビーズの外表面に引っ掛かる反応基を持つことで、又は持たずに、タンパク質β2GPIとの化学的結合を保証している。マイクロビーズは、ほぼ球形の形状を持っていて平均直径が1〜100,000nmであることが望ましい。第1の変形例によれば、マイクロビーズは、そのマイクロビーズが懸濁された媒体から遠心分離によって分離する。しかし好ましい第2の変形例によれば、磁場によって懸濁媒体からマイクロビーズを分離できるようにするため、磁性材料の粒子で形成されたコアを有するマイクロビーズを選択する。このような磁性マイクロビーズは市場で入手することができる。磁性マイクロビーズは、例えば、ポリスチレンポリマー・マトリックスで覆われた磁性コアからなる。懸濁媒体からのマイクロビーズの分離を可能にする磁場は、単に永久磁石を中身に近づけて作り出し、本発明による方法の段階c)が実現される。
【0018】
マイクロビーズを構成する材料の選択に関する唯一の制約は、β2GPIがカップルできるかどうかである。例えば、メルク社が販売している商品名“Estapor(登録商標)超常磁性マイクロスフェア”の磁性マイクロビーズを用いることができる。すでに指摘したように、マイクロビーズへのβ2GPIのカップリングは、受動的に実現すること、又は化学的カップリングのプロトコルを利用して実現することができる。マイクロビーズ(特に上記のマイクロビーズ“Estapor(登録商標)”)との受動的なカップリングを実現するには、β2GPIを含むpHが3.5〜10.5、より好ましくは5.5〜9.5の緩衝液にマイクロビーズを懸濁させることが望ましい。使用する緩衝液は、生物学で一般的な緩衝液の1つであり、特に酢酸塩緩衝液、リン酸塩緩衝液、ホウ酸塩緩衝液、トリスが可能である。マイクロビーズ/β2GPIの混合物は、撹拌(ゆっくりとした定常的な水平撹拌が好ましい)しながら4℃〜40℃の温度にて10分間〜24時間の期間にわたってインキュベートすることが好ましい。その後、マイクロビーズを磁性又は遠心分離によって分離し、上清を除去する。マイクロビーズを含む沈殿物を保存用緩衝液の中に懸濁させる。この緩衝液は、あとでカップリングに用いるのと同じものであることが好ましい。この緩衝液のpHは6〜9である。マイクロビーズへのタンパク質β2GPIの担持は、マイクロビーズの乾燥重量1gにつき10−6〜100mgのβ2GPIを含む水溶液として含む懸濁液体媒体の中で、このようにして構成された懸濁液を30℃〜45℃の温度にて15〜60分間にわたって撹拌しながら行なうことが好ましい。そのとき懸濁液体媒体のβ2GPIの濃度は10−5〜10μg/μlである。
【0019】
CIを含むサンプルは、β2GPIを担持したマイクロビーズに直接接触させるか、pHが5〜9(5.6〜8が好ましい)の緩衝液の中に希釈した後にマイクロビーズに接触させる。β2GPIとCIの間に形成される複合体は、その後、5分間〜24時間(30分間〜2時間が好ましい)の期間、4℃〜40℃(約37℃が好ましい)の温度にてインキュベートすることが望ましい。インキュベーションの後、マイクロビーズの表面に固定されたβ2GPIと反応しなかったサンプルをマイクロビーズの遠心分離又は磁化によって除去する。このようにして分離されたマイクロビーズは、CIの検出及び/又は定量及び/又は同定に用いることができる。支持体にβ2GPIによって結合したCIの分離及び/又は定量及び/又はアッセイは、公知の任意の手段で実現できる。手段としては、例えば、感染力、特異的酵素反応、蛍光性トレーサー、放射性標識したトレーサー、標識したプローブとのハイブリダイゼーションによる特定の核酸の検出、ポリメラーゼ連鎖反応、アッセイ、カウント、可視化、光学的方法、電子顕微鏡その他の顕微鏡による観察がある。
【実施例】
【0020】
本発明の目的の更なる理解のため、本発明の幾つかの実施例を以下に説明するが、これらは単なる例示に過ぎない。
【0021】
[実施例1]
第二銅媒体におけるβ2GPIを担持したマイクロビーズの表面への細菌の固定
【0022】
第1に、使用した細菌は、農業産物保存センター(CPA)から提供された大腸菌株である。予備培養物を、LB(ルリア・ベルターニ)培地中で37℃にて16時間インキュベートする。LB培地は以下の組成を有する。
バクトトリプトン 10g
酵母抽出物 5g
NaCl 10g
pH 7.5
水 1000gになるまでの残量
この予備培養物はすぐに使用するか、4.5℃で保管する。
【0023】
細菌を固定するためにこの実施例で用いるマイクロビーズは、メルク社が販売している商品名“Estapor(登録商標)超常磁性マイクロスフェア”磁性マイクロビーズである。このマイクロビーズは直径が0.300〜0.500μmである。
【0024】
β2GPIを含むpH6.0の緩衝液の中にこれらマイクロビーズを懸濁させる。このカップリング用緩衝液中のβ2GPIの濃度は100μg/mlである。マイクロビーズをこの緩衝液の中でゆっくりと定常的に撹拌しながら25℃にて3時間インキュベートする。次にマイクロビーズを1500回転/分で遠心分離した後、上清を除去する。遠心分離の沈殿物を、後にβ2GPIのカップリングに用いるのと同じ緩衝液中に懸濁させる。これにより、試験対象のβ2GPIを担持したマイクロビーズの懸濁液が形成される。
【0025】
あらかじめ培養した10個の細菌を、50mMのトリス緩衝液(pH7.6)、PBS緩衝液(以下の組成参照)、2mMのCuSOを含むか含まない50mMの酢酸ナトリウム緩衝液(10mMのHClを用いてpHを5.6にする)、LB培地何れかの中に懸濁させる。大腸菌のさまざまな懸濁液を、一定量のマイクロビーズ(10μl)とともに1mlの溶血用試験管の中に入れる。試験管を水平に撹拌しながら37℃にて60分間にわたってインキュベートする。次に、各試験管の中で、試験管の壁面の外側に接して配置した永久磁石を用いてマイクロビーズを液相から分離した後、上清を排除する。次にマイクロビーズを無菌PBSで2回洗浄する。無菌PBSの組成は以下の通りである。
NaCl 80g
KCl 74.562g
KHPO 2.4g
NaHPO/2HO 29g
水 1000gになるまでの残量
細菌の存在をPCRによって評価する。得られた結果を表Iに示す。
【0026】
【表1】

【0027】
マイクロビーズによって捕獲された細菌から、細菌のDNAを抽出する。マイクロビーズに100μlの“Chelex 30%”を添加することによって細菌を溶解させる。この混合物を95℃にて10分間にわたってインキュベートする。次に、10分間にわたって10,000回/分で遠心分離する。DNAを含む上清を−20℃で保管する。
【0028】
3μlのDNA抽出物を47μlの増幅溶液(AquaPureゲノムDNA分離キット)に添加する。最終濃度は以下の通りである。
・5μl:200mMのdXTP
・10μl:緩衝液5×
・5μl:2mMのMgCl
・1μlの各プライマ:(200mlに希釈したプライマ):
27:GTGCTGCAGAGAGTTTGATCCTGGCTCAG(センス)
1492:CACGGATCCTACGGGTACCTTGTTACGACTT(アンチセンス)
・1μl:5U/μlのTaqポリメラーゼ
・注射用水を50μlになるまで。
【0029】
ホモジナイゼーションの後、反応混合物をサーモサイクラー“エッペンドルフ”の中に入れ、以下のプログラムを実行する。
94℃:1分間
60℃:1分間
72℃:2分間
72℃:10分間
を35サイクル。
【0030】
次にDNAを10℃に維持する。臭化エチジウムを含む0.5×のPBE緩衝液の中の2%アガロース・ゲル上で移動が起こる。次にゲルをUV光のもとで観察する。PCRの結果から、細菌が存在していることがはっきりとわかる。すなわち強い陽性信号が確認される。次に、公知のシークエンシングによって細菌を同定する。PCRから、使用する緩衝液が何であれ、マイクロビーズの表面に細菌のDNAが存在していることがわかる。Cu2+が存在している酢酸塩緩衝液の場合には、より大きな信号になる。
【0031】
第2に、緑膿菌、肺炎球菌、連鎖球菌(Staphylococcus aureus)で同様のテストを実施し、同じタイプの結果が得られた。
【0032】
[実施例2]
第二銅媒体におけるβ2GPIを担持したマイクロビーズの表面へのヘルペスOsHV−1ウイルスの固定
【0033】
このウイルスは牡蛎の中に存在する。牡蛎をホモジェネートにし、β2GPIを担持した磁性マイクロビーズを用いてPCRによりDNAを抽出する。β2GPIを担持したマイクロビーズは、実施例1に示したようにして調製する。
【0034】
100mgの若い牡蛎を500μlのミリQ品質の水の中でホモジェネートにする。ホモジェネート(50μl)を異なる2種類の緩衝液の中に希釈する。すなわちPBS緩衝液(pH=7〜7.4)(組成は実施例1と同じ)と、実施例1に記載した組成の酢酸塩/Cu2+緩衝液(pH=5.6)である。
【0035】
このようにして構成した2種類の500μlの流体Mに、10μl、又は20μl、又はβ2GPIを担持した50μlの量のマイクロビーズを添加した。次にマイクロビーズを37℃にて30分間にわたってインキュベートした後、PBS緩衝液で2回洗浄する。最後に、100μlの“Chelex30%”を添加してDNAを抽出する。95℃にて10分間にわたってインキュベートした。すべてのエッペンドルフ管に対して10,000回転/分の遠心分離を行ない、DNAを含む上清を保存する。
【0036】
次に、1μlのDNA抽出物でPCRを実行する。19μlの増幅溶液(PCRホット・マスターTaqエッペンドルフ・キット)を添加する。この増幅溶液の最終濃度は次の通りである。
緩衝液 1×
dNTP 250μM
プライマC2とC6 それぞれ0.2μM
Taqポリメラーゼ 1.5U
プライマC2とC6は以下の通りである。
C2(センス)=CTCTTTACCATGAAGATACCCACC
C6(アンチセンス)=GTGCACGGCTTACCATTTTT
この反応混合物を均質にし、サーモサイクラー“マスター・サイクラー・パーソナル・エッペンドルフ”の中に入れ、以下のプログラムを実行する:
94℃ 2分間
94℃ 1分間
50℃ 1分間
70℃ 30秒間
70℃ 5分間
を35サイクル。
【0037】
次に、DNAを10℃で保管する。牡蛎のホモジェネートを(牡蛎養殖場に由来する)5ml、10ml、20mlの海水で置き換えて同じ作業を実施した。そのときのβ2GPIを担持したマイクロビーズの量は一定であり、50μlに等しい。
【0038】
比較のため、上に示した2種類の溶解生成物により、β2GPIを担持したマイクロビーズをあらかじめ添加することなしに牡蛎のホモジェネートに対してウイルスのDNAの直接抽出を行なった。そのとき同じ条件のPCRを利用した。
【0039】
どの場合にも、PCRで得られたDNAを用い、臭化エチジウムを含む0.5×のPBE緩衝液の中の2%アガロース・ゲル上でサザンブロットを実施した。次にゲルをUV光のもとで観察する。結果の全体を図1に示す。この図のレーン1〜13は、表IIに示した実験を表わす。
【0040】
【表2】

【0041】
図1から、レーン1〜8が同じ陽性信号を示していることがわかる。すなわち、直接的な抽出によって得られたウイルスのDNA(レーン7と8)は、まさにマイクロビーズ(レーン1〜6)のおかげで得られたDNAである。すべてのDNAのシークエンシングを行なった。マイクロビーズによって得られるアンプリコンは、OsHV−1ウイルスの糖タンパク質1005の遺伝子の709塩基の配列に対応している。ホモジェネートをPBSに希釈する場合には(レーン1〜3)、信号は、使用するマイクロビーズの量がどれだけであっても同じであるのに対し、Cu2+イオンの存在下では(レーン4〜6)、信号は、マイクロビーズの量が多いほど強い。さらに、Cu2+イオンの存在下では(レーン4〜6)、信号は、Cu2+イオンの不在下(レーン1〜3)におけるよりも常に強い。これは、検出感度を改善するCu2+イオンが存在していることの利点を示している。
【0042】
レーン9〜11では、レーン11に関して信号が弱いことがわかる。その一方で、海水での直接抽出では陰性の結果が得られたことがわかっていた。これも、Cu2+イオンがないとマイクロビーズによる検出が弱いことを示している。
【0043】
レーンTは、PCRがうまく機能することを明確にするためウイルスDNAの配列を用いて得られる正の対照である。レーンTmixは、PCRで用いる全成分だがウイルスDNAは不在の状態で得られた対照である。
【0044】
[実施例3]
C型肝炎ウイルス(VHC)の検出
【0045】
C型肝炎ウイルスに感染した病人に由来する50μlの血清を、50mMの酢酸ナトリウム緩衝液(10mMのHClを用いてpH=5.6にした)500μlに希釈する。この媒体に、β2GPIを担持した実施例1で調製したのと同じマイクロビーズを10μl添加する。第二鉄塩、第二銅塩、亜鉛塩、マンガン塩も添加し、2mMの金属イオンが存在する媒体を得る。この全体を回転させて撹拌しながら37℃にて30分間にわたってインキュベートする。次に、マイクロビーズを懸濁させた媒体からのマイクロビーズの分離を可能にする永久磁石を、サンプルを収容したチューブに沿って配置した後、上清を除去する。“QIAampウイルスRNAミニキット(キアジェン社)”のプロトコルに従ってマイクロビーズを溶解させる。ウイルスの核酸に対してRT−PCRのプロトコルを実施する。RT−PCRのプロトコルは、以前にYoungらによって報告されている(J. Clin. Microbiol.、1993年、第31巻(4)、882〜886ページ)。4μlのRNA抽出物を21μlの増幅溶液(RT−PCR一段階・キット、キアジェン社)に添加する。この増幅溶液の最終濃度は以下の通りである。
キアジェン緩衝液 1×
dNTP 400μM
プライマ それぞれ0.6μM
Taqポリメラーゼ 1.5U
RNアーゼ阻害剤 15U
使用したプライマは以下の通りである。
KY78(センス):CAAGCACCCTATCAGGCAGT
KY80(アンチセンス):AGCGTCTAGCCATGGCGT
【0046】
ホモジナイゼーションの後、反応混合物をサーモサイクラー“マスター・サイクラー・パーソナル・エッペンドルフ”の中に入れ、以下のプログラムを実行する:
50℃:3分間
95℃:15分間
95℃:1分間
55℃:1分間
70℃:1分間
72℃:1分間
を35サイクル。次にDNAを4℃に維持し、図2に対応するサザンブロットを実施する。
【0047】
図2から、Cu2+の存在下では、C型肝炎ウイルスの検出感度が断然向上していることがわかる。逆に、Zn2+の存在下ではウイルスを検出できない。しかもそれは、サンプルのpHに関係しない。
【0048】
1mlのサンプルにウイルスのゲノムが130コピー含まれたサンプル(血清又は血漿)で得られた結果を図3に示す。16本のレーンに対応するサンプルの定義を表IIIに示す。図3から、β2GPIを担持した磁性マイクロビーズの不在下では、ウイルスの存在を示すいかなる信号もないことが確認される。すなわち、利用した方法の感度の限界に到達した。逆に、Cu2+の存在下では、ウイルスの信号が見えるようになる。
【0049】
【表3】

【0050】
さらに、Cu2+イオンがサンプルには作用するがマイクロビーズには作用しないようにした。このため、β2GPIを担持したマイクロビーズに2mMの酢酸第二銅を添加した。撹拌しながら37℃にて30分間にわたってインキュベートした。次にマイクロビーズを洗浄し、Cu2+を含まない血清サンプルと接触させた。図4のレーン1〜6の各々に対応するテストの性質を表IVに示す。
【0051】
【表4】

【0052】
[実施例4〜8]
他のウイルスの検出
【0053】
ウイルスがDNAウイルスであるかRNAウイルスであるかに応じ、実施例2又は3で上に説明したのと同じテスト・プロトコルを利用した。
【0054】
これらウイルスのすべてで結果は実施例2又は3に記載したのと同じであった。テストしたウイルスは、西ナイル・ウイルス、アンデス・タイプのハンタウイルス、デング熱ウイルスのサブタイプ1、2、3、4、HIV1と2のウイルス、インフルエンザH1N1、H1N2のウイルスである。
【0055】
[実施例9]
第二銅媒体におけるマイクロビーズによるインフルエンザH3N2ウイルスの捕獲と、ウイルスを担持したマイクロビーズを利用したそのウイルスの視覚的検出
【0056】
インフルエンザにかかった患者の咽頭サンプルを、2mMの硫酸第二銅を含むMEM培地(“イーグル”の最少必須培地)の中に希釈する。そこに、実施例1で調製したようなマイクロビーズを10μl添加する。したがってこれらマイクロビーズはβ2GPIを担持している。これらマイクロビーズを、サンプルが中に存在する500μlの培地と接触させる。そのときすべてを2mlのエッペンドルフ管の中に入れる。この混合物を回転させて撹拌しながら37℃にて30分間にわたってインキュベートする。次にエッペンドルフ管を永久磁石と接触させる。マイクロビーズは磁場によって壁に引きつけられる。上清を吸引して除去する。エッペンドルフ管の中に1.5mlのPBS緩衝液(実施例1の組成)を添加し、マイクロビーズの懸濁液を得る。エッペンドルフ管を再び永久磁石と接触させ、上清を吸引して除去する。マイクロビーズを洗浄するこの操作を合計3回繰り返した後、マイクロビーズを1mlのMEM培地緩衝液の中に再び懸濁させる。
【0057】
このようにして得られた懸濁液を37℃にて24時間にわたってMDCK培地と接触させる。次に細胞を生理学的血清の中で2回洗浄し、新鮮なMEM培地を添加し、細胞を37℃にて4日間にわたって培養する。ウイルスの感染を、クリスタル・バイオレットで細胞を着色した後の細胞病原効果によって確認する(図5参照)か、アセトンにより細胞を固定し、ウイルスのタンパク質を認識する蛍光性モノクローナル抗体と反応させた後に免疫蛍光によって確認する(図6Aと図6B)。
【0058】
図5では、左側のペトリ皿は6000pfu(1pfuによって溶解物のプラークを1つ形成することができる)のウイルスに対応しており、中央は2000pfuのウイルスに対応しており、右側は200pfuのウイルスに対応している。細胞が徐々に消えていくことから、マイクロビーズが確かに細胞病原効果のあるウイルスを担持していることがわかる。
【0059】
図6Aでは、ウイルスのタンパク質を有する細胞が蛍光によって探知されることが見られる。すなわち、ウイルスのサンプルを含む培地をMDCK細胞と直接接触させ、細胞がほとんど蛍光を出さないことを確認する。これは、マイクロビーズを利用しないときにはウイルスの捕獲がわずかであることを示している。図6Bは、マイクロビーズを利用して得られた結果を示している。マイクロビーズがサンプルのウイルスを濃縮したことがわかる。したがってこうすることにより、担持されるウイルスがはるかに少なくても検出が可能になる。
【0060】
[実施例10]
β2GPIを担持したマイクロビーズによるワクチンのウイルスの捕獲と、そのマイクロビーズを利用した細胞の感染
【0061】
実施例9で詳述したのと同じプロトコルを、β2GPIを担持したマイクロビーズに捕獲されたワクチンのウイルスをHep2細胞に感染させるのに利用する。この実施例では溶解物のプラークを1000個形成できる(1000pfu)ウイルス懸濁液を用いた。
【0062】
図7Aは、β2GPIを担持したマイクロビーズにワクチンのウイルスが捕獲されたときの状況を示している。多数の細胞が感染したことがわかる。逆に、図7Bは、β2GPIを担持したマイクロビーズなしでHep2細胞がワクチンのウイルスに感染した場合を示している。蛍光を出す細胞の数がはるかに少ないことがわかる。したがって、β2GPIを担持したマイクロビーズにより、利用するウイルスの濃縮が可能である。というのも、ウイルスの量は図7Aと図7Bのテストで同じだったからである。
【0063】
図7Cは、マイクロビーズにβ2GPIとワクチンのウイルスを担持させた後にそのマイクロビーズの洗浄用緩衝液と接触させたHep2細胞を示している。蛍光が見られないことが確認される。これは、マイクロビーズの表面に固定されたウイルスを洗浄用緩衝液がまったく連れ去らなかったことを意味する。
【0064】
したがってβ2GPIを担持したマイクロビーズにより、ウイルスの検出感度を改善することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物材料を構成する液状媒体M内に存在する感染性化合物の検出及び/又は定量及び/又は同定のためのインビトロの方法であって、公知の手法により、マイクロビーズの液状懸濁媒体中懸濁液が調製され、前記マイクロビーズは、タンパク質を結合可能な固体ポリマー物質により構成された外表面により境界画定されるとともに、前記方法は:
a)懸濁液中のマイクロビーズに対するβ2GPIタンパク質の導入を、十分量のβ2GPIタンパク質とのカップリングにより、懸濁媒体中で受動的に、又は公知の化学結合プロトコルを用いて達成する段階;
b)マイクロビーズにより担持されたβ2GPIタンパク質に対する細菌の十分な結合を達成するべく、容器内で、少なくとも1種類の酸化性金属のイオンを添加することにより、β2GPIタンパク質が導入された前記マイクロビーズを、適切な条件下で液状媒体Mと接触させる段階;
c)前記により調製されたマイクロビーズをその懸濁媒体から分離し、前記懸濁媒体を容器から排出し、任意により緩衝液による洗浄後に、高濃度の細菌を含む残渣を得る段階;
d)並びに、前記により得られた濃縮された残渣から感染性化合物を検出及び/又は定量及び/又は同定する段階
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
段階a)において、マイクロビーズへの担持を、pHが3.5〜10.5の緩衝液の中で4〜40℃の温度にて10分間〜24時間の時間にわたってインキュベートすることによって受動的に行なうことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
マイクロビーズの乾燥重量1g当たり10−6〜100mgのβ2GPIを水溶液中に含有し、β2GPIの濃度が10−5〜10μg/μlである懸濁液体媒体中で、前記マイクロビーズへのタンパク質β2GPIの担持を行なうことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
pHが5〜9の緩衝液中で、4〜40℃温度で、10分間〜24時間にわたってインキュベートすることにより、前記マイクロビーズへのタンパク質β2GPIの担持を行なうことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
段階b)において前記流体Mに添加する酸化性金属のイオンが第二銅イオンであり、イオン添加後における流体M中の第二銅イオンの濃度が1mM〜100mMであることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記マイクロビーズの外表面を構成する前記固体材料がプラスチック材料及びエラストマーからなる群より選択され、前記材料は、タンパク質β2GPIとの化学結合を保証するべく、前記マイクロビーズの外表面にグラフトされる反応基を有し、又は有さないことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
選択されるマイクロビーズが略球形であり、平均直径が1〜100,000nmであることを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
選択されるマイクロビーズが、磁場により前記懸濁媒体からの前記マイクロビーズの分離を可能とするべく、磁性材料粒子で形成されたコアを有することを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記マイクロビーズを、そのマイクロビーズが懸濁された媒体から遠心分離によって分離することを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
段階d)が、感染力、特異的酵素反応、蛍光性トレーサー、放射性標識したトレーサー、標識したプローブとのハイブリダイゼーションによる特定の核酸の検出、PCR反応、RT−PCR反応、アッセイ、カウント、可視化、光学的方法、電子顕微鏡その他の顕微鏡による観察からなる群から選択される手段によって行われることを特徴とする、請求項1〜9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記感染性化合物が細菌であることを特徴とする、請求項1〜10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記感染性化合物がウイルスであることを特徴とする、請求項1〜10の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
残留物中における前記流体Mの細菌の検出及び/又は定量及び/又は同定を、光学密度の読み取り、ATP測定、及びPCRの何れかにより実施することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
濃縮された残留物から標的となるCIの核酸を溶解法により抽出し、その標的CIに応じたプライマーを用いて前記核酸をPCR又はRT−PCRによって増幅し、任意により得られた核酸をゲル上で可視化することにより、前記流体M内における標的CIの存在又は不在の検出、及び/又は、前記流体M内に含まれる標的CIのウイルス量を定量することを特徴とする、請求項11〜13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
段階c)により得られたマイクロビーズの表面に固定化された標的ウイルスを検出及び/又は同定するべく、前記残留物を再び懸濁させ、標的ウイルスに対し感受性を有する細胞に前記マイクロビーズを接触させ、前記細胞を培養し、前記細胞が標的ウイルスに感染しているか否かを観察することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
細胞の感染を検出するため、細胞を適切に着色した後にウイルスの細胞病理効果を観察すること、又は細胞を固定し、ウイルスの存在に対応するタンパク質を認識する蛍光性抗体と反応させた後に免疫蛍光を観察することを特徴とする、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公表番号】特表2011−511631(P2011−511631A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544755(P2010−544755)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【国際出願番号】PCT/FR2009/000104
【国際公開番号】WO2009/112701
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(510207254)アポー テクノロジー ソシエテ アノニム (2)
【Fターム(参考)】