説明

生物活性を有する短ペプチド及び該ペプチドの使用方法

【課題】フェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基を含み、生物活性を有する短ペプチドを提供する。
【解決手段】フェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基を含み、約5〜約23アミノ酸の長さである単離されたペプチド(isolated peptide)。ペプチドは、最小長さが約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17又は約18のアミノ酸である。ペプチドの最大長さは、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、12、22又は約23のアミノ酸であってよい。ペプチドは、約5〜約20アミノ酸の長さであってよい。該ペプチドは、本質的には、フェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基から構成される。ペプチドは、抗細菌、抗真菌、抗癌及びその他の生物学的用途に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2001年3月28日に出願された米国仮特許出願第60/279,505号、及び2001年3月28日に出願された米国特許出願第09/820,053号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、フェニルアラニン、ロイシン、アラニン及びリジンアミノ酸残基(F、L、A及びK;「FLAKペプチド」)をその一次配列の中に含有する短いペプチドに関する。特に、好ましい抗菌作用(antimicrobial)、抗真菌作用(antifungal)、抗癌作用及び他の生物学的活性を有するFLAKペプチドを開示する。
【0003】
様々な生物活性ペプチドについては、科学文献及び発行済み特許の中で報告されている。ペプチドは、歴史的にも、天然のものを単離して得られ、近年では構造−機能の関係が研究対象となっている。さらに、天然ペプチドは、合成ペプチドアナログの設計の出発点としての役割を有している。
1997年、R.E.W.Hancockによって、ペプチド抗生物質に関するレビューが出版された[Lancet 349: 418-422]。種々な種類のペプチドについて、構造、機能及び臨床的応用が記載されている。1998年には、陽性(cationic)ペプチド抗生物質に関してさらなるレビューが出版された[(Hancock, R.E W. and Lehrer, R.Trends Biotechnol. 16: 82-88]。ペプチドは、典型的には、長さ12〜45のアミノ酸の陽性両親媒性分子である。ペプチドは細胞膜を透過し、微生物の作用物質を制御する。生体防御を行なう陽性ペプチドの臨床的使用可能性については、1999年、R.E.W.Hancockが記載している[Drugs 57 (4): 469-473; Antimicrobial Agents and Chemotherapy 43 (6): 1317-1323]。その種ペプチドの抗菌性、抗真菌性、抗ウイルス性、抗癌性及び創傷治癒(wound healing)の特性について記載されている。
【0004】
螺旋状の抗菌ペプチドの構造的特徴及びそれらペプチドの作用推定機構に関するレビューが出版されている[例えば、Dathe, M. and Wieprecht, T. Biochimica et Biophysica Acta 1462: 71-87 (1999); Epand, R. M. and Vogel H. J. Biochimica et Biophysica Acta 1462: 11-28 (1999)を参照]。活性と選択性を調節できると考えられている構造パラメータとして、螺旋構造、疎水モーメント、疎水性、親水性/疎水性の螺旋表面によって定められる角度及び電荷(charge)が挙げられる。
【0005】
幅広い配列の自然発生アルファヘリカルペプチドについて報告されている。当該分野の数多くの参考文献の代表例を下記に示す。
セクロピン(Cecropin)は、昆虫から単離したα-ヘリカルペプチドである。セクロピンは、米国特許第4,355,104号及び第4,520,016号に記載されているように、抗菌特性を有することが知られている。セクロピンは抗グラム陰性細菌活性であるが、全てのグラム陰性細菌に対するものではないことは知られている。セクロピンは、抗真核細胞活性ではないと考えられている[Andreu, et al., Biochemistry 24: 163-188 (1985); Boman, et al., Developmental and Comparative Immunol. 9: 551-558 (1985); Steiner et al., Nature 292: 246-248 (1981)]。ショウジョウバエ(Drosophila)及びセクロピアサン(Hyalphora)から得たセクロピンは、様々な菌株(strains)について、抗菌活性を有することが示されている[Ekengren, S. and Hultmark, D., Insect Biochem. and Molec. Biol. 29: 965-972 (1999)]。ネッタイシマカ(Aedes aegypti)から得たセクロピンAは、トリプトファン及びC末端アミド化物(C-terminal amidation)を含まない点で、大部分の昆虫セクロピンとは異なることが報告されている[Lowenberger, C. et al., J. Biol. Chem. 274 (29): 20092-20097 (1999)]。
【0006】
Rana属のカエルは、幅広い配列の抗菌ペプチドを皮膚に生成する[Goraya,J. et al., Eur.J.Biochem. 267: 894-900 (2000)]。13アミノ酸のような短いペプチドが構造ファミリーにグループ分けされることが報告されている。その配列は、マゲイニンペプチドやデルマ(derma)ペプチドのような他の属のカエルから単離されたペプチドとは、殆んど又は全く同一性を示さなかった。
米国特許第5,962,410号は、真核病原体の阻害と、セクロピンやサルコトキシン(sarcotoxins)のような溶菌性ペプチド(lytic peptides)によるリンパ球及び線維芽細胞の刺激を開示している。様々なペプチドとして、セクロピンB、セクロピンSB-37、セクロピンA、セクロピンD、Shiva-1、Lepidopteran(鱗翅目)、Sarcotoxin 1A、Sarcotoxin 1B及びSarcotoxin 1Cが示されている。
【0007】
Shiva-1セクロピン類の溶菌性ペプチドを生成する遺伝子転換マウスについての報告がある[Reed, W.A.et al., Transgenic Res. 6: 337-347 (1997)]。遺伝子転換マウスにウシ流産菌(Brucella abortus)を感染させた結果では、遺伝子転換をしていないマウスの感染に比べて、細菌数が減少している。
マゲイニンは、アフリカ蛙Xenopus laevisの皮膚から単離して得られたαヘリカル23アミノ酸ペプチドである[Zasloff, M. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 84: 5449-5453 (1987)]。
23〜38アミノ酸であるCathelin関連α-ヘリカルペプチドは、ヒツジ、ヒト、ウシ、ブタ、マウス及びラビットの血液細胞内で見出されている[Zanetti, M. et al., FEBS Lett. 374: 1-5 (1995)]。
buforin II、セクロピンP1、indolicidin、マゲイニンII、nisin及びranalexinの抗菌作用は、Giacomette,A.et al. によって報告されている[Peptides 20: 1265-1273 (1999)]。
【0008】
様々な合成ペプチドが、インビトロとインビボの両方で調製され、評価されている。
米国特許第5,861,478号は、α-螺旋形態である20〜40アミノ酸の溶菌性合成ペプチドを開示している。このペプチドは、微生物感染、傷及び癌の治療に有効である。開示されたペプチドには、セクロピンB、SB-37*、LSB-37、SB-37、Shiva 1,10-12、β-フィブリン・シグナル・ペプチド、Manitou 1-2、Hecate 1-3、Anubis 1-5,8、及びVishnu 1-3,8がある。
Hecateは、メリチンの合成ペプチドアナログとして記載されている[Baghian,A.et al.Peptides 18 (2): 177-183 (1997)]。ペプチドは、電荷分布が異なるが、両親媒性アルファヘリカルの形態は同じである。Hecateは、細胞増殖及び蛋白質の合成に悪影響を与えることなく、単純ヘルペスウイルス(HSV-1)を阻害した。
【0009】
合成ペプチドD2A21、D4E1、D2A22、DSC、D5C1、D4E、及びD4Bが記載されている[Schwab, U. et al., Antimicrob. Agents and Chemotherapy 43 (6): 1435-1440 (1999)]。様々な細菌の菌株について、抗菌活性が示されている。
セクロピンとメリチンペプチドから作られたハイブリッドペプチドの調製と評価が報告されている[Juvvadi,P. et al.(J. Peptide Res. 53: 244-251 (1999))]。ハイブリッドは、チャネル形成能力及び抗菌作用に対して、配列、アミド結合方向(ヘリックス双極子)、電荷、両親媒性及び疎水性の影響を調べるために合成されたものである。配列とアミド結合方向は、ハイブリッドの活性のための重要な構造的要件であると述べられている。
【0010】
26アミノ酸の昆虫セクロピン(ハチ・メリチンハイブリッド及びそれのアナログ)は、耐塩性(salt resistance)の研究の中で記載されている[Friedrich,C. et al., Antimicrobial Agents and Chemotherapy 43 (7): 1542-1548 (1999)]。活性については、第2位置のトリプトファン残基が重要であることが見出された。配列の中の適度の変化は、ペプチドの特性に実質的な変化をもたらすことが見出された。
プロリン残基のα螺旋ペプチドの抗菌特性に及ぼす影響に関する報告がある[Zhang,L. et al., Biochem. 38: 8102-8111 (1999)]。プロリンの添加により、膜挿入特性が変化することが報告されており、1個のプロリンを置換すると、抗菌性ペプチドが毒素に変わる可能性がある。
【0011】
18〜30アミノ酸を有する一連のペプチドを調製し、配列の変化と電荷が抗菌特性に及ぼす影響を調べた報告がある[Scott,M.G., et al., Infect. Immun. 67 (4): 2005-2009 (1999)]。長さ、電荷又は疎水性と、ペプチドの抗菌作用との間に顕著な相関性は認められなかった。
合成ペプチドの一種である「Modellins」を調製し、配列と構造の関係を比較して評価した報告がある[Bessalle,R. et al. J. Med. Chem. 36: 1203-1209 (1993)]。対向する面が疎水性と親水性の16アミノ酸と17アミノ酸のペプチドは、溶血性及び抗菌性の高いことが報告されている。ペプチドは小さくなると、生物活性が低くなる傾向にある。
【0012】
セクロピン−メリチンのハイブリッドペプチド及びアミド化されたカレイ(flounder)のペプチドは、サーモンを、インビボで魚病細菌Vibrio anguillarum感染から保護することが見出された[Jia,X. et al., Appl. Environ. Microbiol. 66 (5): 1928-1932 (2000)]。魚にどちらかのペプチドを連続投与するのに、浸透圧ポンプが用いられた。
両親媒性ペプチドは、創傷治癒能力を向上させ、インビボで線維芽細胞及びケラチノサイトの成長を刺激できると報告されている[米国特許第6,001,805号及び第5,561,107号]。溶菌性ペプチドを、ユビキチンを有する融合蛋白質として発現する遺伝子転換植物について報告されている[米国特許第6,084,156号]。メチル化リジンが多く、蛋白質分解抵抗性の向上を示す溶菌ペプチドが報告されている[米国特許第5,717,064号]。
数多くの天然ペプチド及び合成ペプチドが存在しているが、生物活性ペプチド及び該ペプチドの使用方法に対する要請がある。
【発明の概要】
【0013】
一次配列(primary sequence)にフェニルアラニン残基(residue)、ロイシン残基、アラニン残基及びリジンアミノ酸残基を含む短い(即ち、長さが23アミノ酸以下)ペプチドを開示する。このペプチドは、抗細菌、抗真菌、抗癌という好ましい生物活性を有し、ヒトの線維芽細胞及びリンパ球の刺激(stimulation)と増殖(proliferation)をもたらすものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
下記の配列表は、本願明細書の一部を構成し、本発明の幾つかの主題をさらに示すために含めるものとする。本発明は、具体的実施例の詳細な説明と共に、これら配列のうちの1又は2以上の配列を参照することにより、理解はより高められるであろう。
【0015】
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【0016】
発明の詳細な説明
本発明は、一般的には、望ましい生物学的特性を有するペプチド及びその使用を対象としている。本発明のペプチドは、当該分野のこれまでの他のペプチドと比べて、長さが短いために有効性を有することは驚くべきことである。
【0017】
[ペプチド]
本発明の一実施例として、フェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基を含み、約5〜約23アミノ酸の長さである単離されたペプチド(isolated peptide)を例示する。ペプチドは、最小長さが約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17又は約18のアミノ酸である。ペプチドの最大長さは、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、12、22又は約23のアミノ酸であってよい。ペプチドは、約5〜約20アミノ酸の長さであってよい。該ペプチドは、本質的には、フェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基から構成される。ペプチドに含まれるフェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基のアミノ酸組成物のパーセントは、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%であってよい。ペプチドは、一般的には、様々なガイドラインにあるどの配列番号のものでもよいが、より望ましくは、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:59、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:61、SEQ ID NO:65、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:67、SEQ ID NO:68、SEQ ID NO:71、SEQ ID NO:74、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:77、SEQ ID NO:80、SEQ ID NO:81、SEQ ID NO:84、SEQ ID NO:85、SEQ ID NO:86、SEQ ID NO:87、SEQ ID NO:90、SEQ ID NO:91、SEQ ID NO:92、SEQ ID NO:93、SEQ ID NO:106、SEQ ID NO:108、SEQ ID NO: 112、SEQ ID NO: 115、SEQ ID NO: 116、SEQ ID NO:126、SEQ ID NO:127、SEQ ID NO:128、SEQ ID NO:129、SEQ ID NO:131、SEQ ID NO:132、SEQ ID NO:137、SEQ ID NO:138、SEQ ID NO:139、SEQ ID NO:140、SEQ ID NO:141、SEQ ID NO:142、SEQ ID NO:143、SEQ ID NO:144、SEQ ID NO:145、SEQ ID NO:152、SEQ ID NO:159、SEQ ID NO:162、SEQ ID NO:163、SEQ ID NO:164、及びSEQ ID NO:165である。ペプチドは、hecate-1、anubis-1、anubis-2、anubis-5、anubis-8、vishnu-1、vishnu-2、vishnu-3、vishnu-8、又はshiva-10ではないことが望ましい。
【0018】
ペプチドは、前記ペプチドのどれかと同様なものであってよく、望ましくは、SEQ ID NO:2(又はSEQ ID NO:16又はSEQ ID NO:126)、SEQ ID NO:4(又はSEQ ID NO:14又はSEQ ID NO:17)、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:84、SEQ ID NO:115、SEQ ID NO:126、又はSEQ ID NO:132と同様なものであり、パーセントアイデンティティ(percent identity)によって決められる。ペプチドどうしのパーセントの同一は、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%であることが望ましい。パーセントアイデンティティは、市販のCLUSTALWによる配列アライメントを用いて決定される。アミノ酸配列の数は、比較的短い長さのペプチドによって分割され、その結果に100%を掛けて、パーセントアイデンティティが決定される。
ペプチドは、D-アミノ酸又はL-アミノ酸を含むことができる。ペプチドは、すべてのD-アミノ酸を含むことができる。ペプチドは、酸のC末端(-CO2H)、又はアミドのC末端(-CONH2、-CONHR又は-CONR2)を有することができる。
【0019】
[使用方法]
本発明のさらなる実施例として、上記記載のペプチドを使用する方法を例示する。使用方法は、非感染の正常な哺乳類細胞を損傷したり又は死に至らしめないことが望ましい。治療上の服用量で使用する場合、非感染又は非腫瘍性の正常な哺乳類細胞を損傷したり又は死に至らしめないことが望ましい。使用方法は、単一又は複数のペプチドを使用することができる。
【0020】
本発明の実施例は、微生物細胞(微生物)を阻害する(inhibit)か又は死に至らしめるために、前述のペプチドを使用することである。微生物は、病原微生物に感染した細菌細胞、かび細胞、原虫、ウイルス又は真核細胞である。この方法は、一般的には、微生物をペプチドと接触させるものである。接触工程は、インビボ、インビトロ、局所投与、経口投与、経皮投与、全身投与の他、当該分野で知られた方法によって行なうことが望ましい。接触工程は、微生物を阻害又は死に至らしめるのに十分な濃度で行なうことが望ましい。ペプチドの濃度は、約0.1μM以上、約0.5μM以上、約1μM以上、約10μM以上、約20μM以上、約50μM、又は約100μM以上にすることができる。使用方法は、微生物細菌、例えばグラム陽性菌、グラム陰性菌、ミコバクテリア、イースト、かび類、藻、原生動物、ウイルス、及び細胞内生物などを抑制又は死に至らしめることを目的としている。具体例として、Staphylococcus(スタヒロコッカス属)、Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)、Pseudomonas(シュードモナス属)、Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)、Escherichia coli(大腸菌)、Chlamydia(クラミジア属)、Candida albicans(真菌)、Saccharomyces(ビール酵母)、Saccharomyces cerevisiae(出芽酵母)、Schizosaccharomyces pombe(分裂酵母)、Trypanosoma cruzi(クルーズトリパノソーマ)又はPlasmodium falciparum(熱帯熱マラリア原虫)を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。接触工程は、全身注射、経口投与、皮下投与、IP、IM、IV注射、又は局所投与によって行なうことが望ましい。注射の場合、1回の投与量は、約1mg/kg、約5mg/kg、約10mg/kg、約25mg/kg、約50mg/kg、約75mg/kg及び約100mg/kgの濃度の中で、どの濃度範囲にあってもよい。接触工程は、哺乳類、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、トリ、ニワトリ、植物、サカナ又はヒトに対して適用することができる。
【0021】
抗細菌(antibacterial)用に望ましいペプチドとして、SEQ ID NO:1、SEQ ID、NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:65、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:67、SEQ ID NO:68、SEQ ID NO:74、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:77、SEQ ID NO:80、SEQ ID NO:81、SEQ ID NO:84、SEQ ID NO:86、SEQ ID NO:87、SEQ ID NO:93、SEQ ID NO:106、SEQ ID NO:108、SEQ ID NO:112、SEQ ID NO:115、SEQ ID NO:126、SEQ ID NO:128、SEQ ID NO:162、SEQ ID NO:163、SEQ ID NO:164、及びSEQ ID NO:165がある。
【0022】
抗真菌用に望ましいペプチドとして、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:67、SEQ ID NO:80、SEQ ID NO:81、SEQ ID NO:84、SEQ ID NO:85、SEQ ID NO:86、SEQ ID NO:106、SEQ ID NO:108、SEQ ID NO:115、SEQ ID NO:116、SEQ ID NO:126、SEQ ID NO:128、SEQ ID NO:131、SEQ ID NO:143、SEQ ID NO:163、及びSEQ ID NO:165がある。
【0023】
本発明のさらなる実施例は、癌細胞を阻害又は死に至らしめるために、前記ペプチドのどれかを使用するものである。この方法は、一般的には、癌細胞をペプチドと接触させるものである。接触工程は、インビボ、インビトロ、局所投与、経口投与、経皮投与、全身投与の他、当該分野で知られた方法によって行なうことが望ましい。接触工程は、癌細胞を阻害又は死に至らしめるのに十分な濃度で行なうことが望ましい。ペプチドの濃度は、約0.1μM以上、約0.5μM以上、約1μM以上、約10μM以上、約20μM以上、約50μM、又は約100μM以上にすることができる。癌細胞は、一般的には、どんな種類の癌細胞でもよい。癌細胞は、肉腫、リンパ腫、悪性腫瘍、白血病、乳癌細胞、結腸癌細胞、皮膚癌細胞、卵巣癌細胞、子宮頸癌細胞、睾丸癌細胞、肺癌細胞、前立腺癌細胞及び皮膚癌細胞であってよい。接触工程は、皮下投与、IP注射、IM注射、IV注射、腫瘍への直接注射又は局所投与によって行なうことが望ましい。注射の場合、1回の投与量は、約1mg/kg、約5mg/kg、約10mg/kg、約25mg/kg、約50mg/kg、約75mg/kg及び約100mg/kgの濃度の中で、どの濃度範囲にあってもよい。接触工程は、哺乳類、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、トリ、ニワトリ、植物、サカナ、ヤギ、ヒツジ又はヒトに対して行なうことができる。癌細胞の阻害は、一般的には、ペプチド治療を行わない癌細胞と比較して、癌細胞の増殖がどのように阻害されるかによって示される。阻害は、増殖の約10%、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上、理想的には100%阻害することが望ましい。阻害は、癌細胞の溶解によって又は他の手段によって達成される。癌阻害ペプチドは、他の癌化学療法剤と共に使用することにより、相乗効果を有する。
【0024】
抗癌用に望ましいペプチドとして、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:68、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:86、SEQ ID NO:152及びSEQ ID NO:162がある。
【0025】
本発明のさらなる実施例は、細胞の刺激及び/又は増殖を促進する方法に関するものである。この方法は、細胞と、ペプチドを含む組成物を接触させることを含んでいる。ペプチドは、前記ペプチドのどれでもよい。組成物中のペプチドの濃度は、約0.01μM〜約500μM、約0.1μM〜約100μM、約1μM〜約50μM又は約1μM〜約10μMであってよい。細胞は、一般的には、どんな種類の細胞でもよいが、哺乳類の細胞が望ましく、その例として、リンパ球細胞及び食細胞を含む線維芽細胞と白血球細胞とを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。細胞の代謝性刺激及び/又は増殖は、前記組成物と接触していない同種細胞と比して、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約100%以上、約125%以上、約150%以上、約175%以上又は約200%以上向上することが望ましい。前記組成物は、増殖因子(growth factor)をさらに含んでいる。一部のFLAKペプチドの刺激及び増殖特性は、スキンケア、創傷治癒、及び哺乳類の免疫不全の免疫調整への適用が期待される。
【0026】
刺激と増殖用に望ましいペプチドとして、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:59、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:61、SEQ ID NO:65、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:71、SEQ ID NO:74、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:77、SEQ ID NO:80、SEQ ID NO:81、SEQ ID NO:87、SEQ ID NO:90、SEQ ID NO:91、SEQ ID NO:92、SEQ ID NO:108、SEQ ID NO:115、SEQ ID NO:116、SEQ ID NO:126、SEQ ID NO:127、SEQ ID NO:129、SEQ ID NO:132、SEQ ID NO:137、SEQ ID NO:138、SEQ ID NO:139、SEQ ID NO:140、SEQ ID NO:141、SEQ ID NO:142、SEQ ID NO:143、SEQ ID NO:144、SEQ ID NO:145、SEQ ID NO:159、SEQ ID NO:162、SEQ ID NO:164、及びSEQ ID NO:165がある。
【0027】
本発明のさらなる実施例は、標準的な加齢、病気、外傷により、又は外科その他の医療処置によって損傷した皮膚又は眼及び体内組織の創傷治癒を促進する方法に関するものである。この方法は、動物の創傷部に、上記ペプチドのどれかを含む組成物を投与することを含んでいる。組成物中のペプチドの濃度は、約0.01μM〜約500μM、約0.1μM〜約100μM、約1μM〜約50μM、又は約1μM〜約10μMである。組成物の創傷部への投与は、局所的又は全身送達によって行なうことができる。動物は、一般的には、どんな種類の動物でもよいが、哺乳類が望ましく、その中でも、ヒト、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、ブタ、ヤギ、ヒツジがより望ましい。創傷治癒の促進は、前記組成物との接触がない創傷部と比べて、約10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、100%以上、125%以上、150%以上、175%以上、又は200%以上が望ましい。
【0028】
創傷治癒用に望ましいペプチドとして、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:59、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:61、SEQ ID NO:65、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:71、SEQ ID NO:74、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:77、SEQ ID NO:80、SEQ ID NO:81、SEQ ID NO:87、SEQ ID NO:90、SEQ ID NO:91、SEQ ID NO:92、SEQ ID NO:93、SEQ ID NO:115、SEQ ID NO:116、SEQ ID NO:126、SEQ ID NO:127、SEQ ID NO:129、SEQ ID NO:132、SEQ ID NO:137、SEQ ID NO:138、SEQ ID NO:139、SEQ ID NO:140、SEQ ID NO:141、SEQ ID NO:142、SEQ ID NO:143、SEQ ID NO:144、SEQ ID NO:145、SEQ ID NO:159、SEQ ID NO:162、及びSEQ ID NO:164がある。
【0029】
本発明のさらなる実施例は、治療剤の活性を付加的又は相乗的に向上させる方法に関するものである。この方法は、ペプチドと治療剤を含む組成物を調製することを含んでいる。この方法は、1種又は複数種のペプチドを他のペプチドと共に使用する併用治療(co-therapy treatment)を含んでいる。ペプチドは、上記記載のどのペプチドでもよい。治療剤は、一般的には、どんな治療剤でもよいが、抗生剤(antibiotic)、抗菌剤、増殖因子、化学治療剤、抗菌剤、リゾチーム、キレート剤、又はEDTAであることが望ましい。この組成物の活性は、治療剤を含有するがペプチドを含まない同じ組成物の活性より高いことが望ましい。組成物つまり併用治療剤は、インビトロ、インビボ、局所投与、経口投与、IV、IM、IP、及び経皮投与にて用いられる。治療剤とペプチドを含有する組成物の活性は、治療剤単独の場合の活性と比べて、約10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、100%以上、125%以上、150%以上、175%以上、又は200%以上向上することが望ましい。
一般的に、ターゲットに対して単独で活性作用を有するペプチドが望ましく、前記ターゲットの別の治療剤の活性を付加的又は相乗的に向上させるのに当該ペプチドを使用することができる。所定の相乗効果を得るのに数種類のペプチドが候補として存在する場合、毒性の少ないペプチドがより好ましいと考えられる。
【0030】
本発明のさらに他の実施例は、嚢胞性線維症(CF)と診断された患者の治療方法に関するものである。CFがもたらす影響として、とりわけ、肺の炎症と感染がある。本発明の前記ペプチドは、P.aeruginosa(非発酵グラム陰性桿菌)によってしばしば引き起こされる肺感染症の治療に用いることができる。本発明のペプチドは、抗炎症特性を有しており、それゆえ、CF患者の肺感染症の治療にも有用である。ペプチドのCF患者への投与は、吸入法又は全身送達法等の如く適当な方法によって行なうことができる。ペプチドの投与は、1回のみ、複数回、又は連続的送達のどれでも可能である。
【0031】
本発明のさらなる実施例は、性感染症(Sexually transmitted disease; STDs)を治療する方法に関するものである。STDsの原因である真菌種の多くは、本発明の前記ペプチドによって阻害又は致死させることができる。そのような真菌種の例として、C.Albicans、C.glabrata及びC.tropicalisがある。本発明のペプチドは、さらにまた、真菌種の他にも、STDsを引き起こすウイルスや細菌等に対しても使用することができる。ペプチドの患者へのSTD患者への投与は、例えば、局所投与、経口投与又は全身送達のように適当な方法で行なうことができる。ペプチドの投与は、1回のみ、複数回、又は連続的送達のどれでも可能である。ペプチドの投与は、クリーム、ゲル又は液体のように適当な形態で行なうことができる。
【0032】
本発明のさらに別の実施例は、座瘡(にきび)を治療する方法に関するものである。本発明のペプチドは、座瘡の跡から単離して得た細菌、Propinibacterium acnes(プロピオン酸菌属アクネ)に対して抗細菌活性を有しており、また、さらなる抗炎症性を有している。ペプチドは、臨床治療用組成物又は化粧品用組成物の中に存在させることもできる。ペプチドの投与は、クリーム、ゲル又は液体のように適当な形態で行なうことができる。ペプチドの投与は、局所投与のような適当な方法で行なうことができる。ペプチドは、座瘡の治療の他、それを低減又はなくすための予防法としても使用することができる。
【0033】
さらに別の実施例は、化粧品用組成物に関するものである。本発明のペプチドは、コラーゲン及び線維芽細胞を刺激し、創傷治癒を促進することがわかった。本発明のペプチドを含む化粧品は、老化防止及び若返りの市場に有用である。
本発明のさらなる実施例は、創傷治癒の促進にペプチドを使用するものである。本発明のペプチドは、外傷感染に関連する細菌、S.aureus(黄色ブドウ球菌)、S.pyogenes(A群溶連菌)、P.aeruginosa(緑膿菌)に対して高い作用を有している。ペプチドはまた、創傷治癒を促進し、炎症を低減する。ペプチドの投与は、クリーム、ゲル又は液体のように適当な形態で行なうことができる。ペプチドの投与は、局所投与又は全身投与のような適当な方法にて行なうことができる。
【0034】
以下の供試例は、本発明の望ましい実施例を例示するためのものである。当該分野の専門家であれば、以下の供試例で開示された技術は、発明を実施する際に発明者が発見した技術を示したものであり、それゆえ、実施のための好ましい形態を構成するものと考えるべきである。しかしながら、当該分野の専門家であれば、ここでの開示を考慮に入れて、開示された具体的実施例に多くの変更を加えることは可能であり、発明の精神及び範囲から逸脱することなく同じ様な結果を得ることができるであろうことは理解されべきである。
【0035】
[供試例]
供試例1:菌株(Microbial strains)
以下の表は、供試例の中で用いた様々な微生物を掲げたものである。
【表2】

【0036】
供試例2:抗菌アッセイI
ペプチドの下記抗菌アッセイに対するデータは、インビトロの細胞培養実験において、ペプチドを添加したものと添加しないものについて、OD測定値を求めて得たものである。実施したプロトコルは次の通りである。
細胞株には、Staphylococcus aureus ATCC 3568又は25923、Pseudomonas aeruginosa ATCC 9027又は27853が含められている。使用した培地(medium)は、Antibiotic Medium 3(Difco)、Antibiotic Medium 2(Difco)及び0.85%生理食塩水であった。使用した対照(controls)は、生理食塩水と、50ppm、25ppm、10ppm、5ppm、1ppm及び0.1ppmのゲンタマイシンであった。
【0037】
培地、ストック溶液及び希釈の調製は全て、汚染防止のために層流フード(laminar flow hood)の中で行なった。細菌細胞は、抗生物質検定用培地2(antibiotic medium 2)の傾斜寒天の上で生育させた(pH7.0、25℃)。細菌は、抗生物質検定用培地3の中で懸濁させ、104cfu/mlまで希釈して、接種材料として使用した。プレートレイアウトに基づいて、試料溶液(100μl/ウェル)をプレートに加えた。接種材料(100μl/ウェル)を添加し、最終濃度5×103cfu/mlを得た。100μlの生理食塩水及び100μlの増殖培地を陰性対照として用いた。また、100μlの生理食塩水及び100μlの接種材料を陽性対照として用いた。細菌を、プレート上で37℃、24時間培養した。
細胞をシェークして再懸濁した後、620nmにおける吸光度(absorbance)を求めた。最小発育阻止濃度(MIC)は、供試生物の発育を完全に阻止するペプチドの最低濃度として規定した。
【0038】
酵母アッセイは、RPMI 1640培地(25℃、pH7.0)にて行なった。
表3のデータは、上記プロトコルにより得たものである。一方、表4のデータは、修正プロトコルを用いて得たもので、培地はトリプシンの大豆培養液、摂取材料の強度は1mlにつき約104CFUであり、最小発育濃度は、細菌最小殺菌濃度(MBC又はMFC)とした。
次の表3では、ペプチドの抗菌特性をMIC又はMFC値として測定し、μg/mLで表している。Staph6538は、Staphylococcus aureusでATCC登録番号は6538、paerug9027は、Pseudomonas aeruginosaでATCC登録番号は9027、酵母はSaccharomyces(ビール酵母)である。
【0039】
【表3−1】

【表3−2】

【表3−3】

【0040】
次の表4は、ペプチドの抗菌特性を、細菌の最小殺菌濃度又は菌類(Candida)の最小殺菌濃度として測定した。MBC又はMFC値はμg/mLで表している。E.Coloは、Escherichia coliでATCC登録番号は25922、P.aerugは、Pseudomonas aeruginosaでATCC登録番号は27853、S.aur.は、Staphylococcus aureusでATCC登録番号は25923、Candidaは、Candida albicansでATCC登録番号は10231である。
【0041】
【表4−1】

【表4−2】

【表4−3】

【0042】
供試例3:抗菌アッセイII
供試例2の試験よりも広範囲の病原体(臨床分離株(clinical strains)を含む)について、抗菌作用を調べた。供試例2と供試例3では、アッセイに用いたプロトコルは幾分異なっていることは留意されるべきである。
【0043】
この供試例では、前述(Steinberg et al., AAC 41: 1738, 1997)したNCCLS(National Committee for Clinical Laboratory Standards)の微量液体希釈法に若干の変更を加えた方法を用いて、MICを測定した。簡単に説明すると、抗菌剤は、最も適当な溶剤の中で10倍濃縮物として調製した。ペプチドについては、0.2%ウシ血清アルブミン含有の0.01%酢酸を輸送蛋白質(carrier protein)として使用した。接種材料の調製は、培地中でBAPからコロニーを再懸濁し、その懸濁液が0.5マクファーランド標準(McFarland standard)の濁度に一致するように調節することにより行なった。有機物に対してNCCLSが推奨するように、懸濁液を新たな培地の中に希釈し、バクテリアについては2×105〜7×105CFU/ml、Candidaについては2×103〜7×103CFU/mlを得た。細菌の入った懸濁液を100μlずつ、96ウエルのポリプロピレン製マイクロタイタープレートの各ウェルの中に分配した後、供試物質11μlを添加した。35℃にて、16〜20時間(細菌の場合)又は46〜50時間(Candidaの場合)経過後、肉眼で濁りが観察できなかった薬物の最低濃度を、MICとして規定した。通性嫌気性菌の培養は、7%二酸化炭素中で行い、偏性嫌気性菌については、標準の嫌気ジャーを用いて無酸素環境中で培養した。MICの測定は全て3回行い、平均値を求めた。
【0044】
【表5】

【0045】
【表6】

【0046】
【表7】

【0047】
【表8】

【0048】
【表9】

【0049】
次の表は、ペプチドの代表的試料について、抗真菌(anti-fungal)特性と抗細菌(anti-bacterial)特性を比較している。
【0050】
【表10】

【0051】
【表11】

【0052】
ここに示したFLAKペプチドの多くは、多様な微生物に対して抗微生物活性を有している。次の表は、ペプチドの代表的試料におけるこれら特性を示している。
【0053】
【表12】

【0054】
【表13】

【0055】
FLAKペプチドは、数多くの微生物のターゲットに対して一般的に抗微生物活性であるが、全てのペプチドが、全ての微生物に対して等しく有効であるというわけではない。次の表は、活性に乏しいことが観察されたペプチドと微生物の幾つかの組合せ例を示している。
【0056】
【表14】

【0057】
【表15】

【0058】
供試例4:抗癌アッセイ
癌細胞アッセイでは、MTT染色プロトコルを用いたこと以外は、前記抗菌アッセイと同じ要領にて行なった。細胞の生存性(viability)は、染色反応によって求めた。下記の手順では、1ウェルにつき約1.5×104個の細胞を加え、生存性は、半分コンフルエント状態の細胞により決定した。アッセイは、96ウェルのマイクロタイタープレートの中で行なった。ペプチドの添加後、プレートを24時間放置した。MTT(フェノールレッド不含RPMI-1640の中に5mg/ml、20μl)を、ペプチド処理をしていない陽性対照があるウェルを含む各ウェルに添加した。プレートは37℃で4時間培養した。各ウェルの液体分を取り除き、イソプロパノールを0.1M HCl(100μl)と共に各ウェルに加えた。プレートは、イソプロパノールの蒸発を防止するために、パラフィルムで密封した。プレートは、析出物を溶解するために5〜10分間放置した。精製水(100μl)を各ウェルに加えた。吸光度は、ELISA用リーダ器具により求めた。540nmでの色強度(color intensity)は、細胞の生存数に比例する。ペプチドの各濃度の結果については、処理なしの対照と比較してプロットし、LD50の値はグラフから求めた。
【0059】
WI38(ATCC No. CCL75)は、肺の2倍体細胞の正常な線維芽細胞株であり、MCF7(ATCC No. HTB22)は乳腺癌の腫瘍細胞株、SW480(ATCC No. CCL228)は結腸腺癌の腫瘍細胞株、BMKC(ATCC No. HTB22)はボーズ(Bowes)メラノーマ株に由来するクローン化メラノーマ株、H1299(ATCC No. CRL5803)は肺の大型細胞癌腫瘍株、HeLaS3(ATCC No. CCL2.2)は子宮頸部上皮癌の腫瘍細胞株、PC3(ATCC No. CRL1435)は前立腺癌の腫瘍細胞株である。数字は、LD50値(μg/mL)を表している。6種類のターゲットのデータを、次の表16及び17に示す。
【0060】
【表16−1】

【表16−2】

【表16−3】

【表16−4】

【0061】
【表17−1】

【表17−2】

【表17−3】

【表17−4】

【0062】
表16及び表17を参照すると、全てのターゲットは、1種又は2種以上のペプチドにより、相当程度(LD50が50μg/mLより少ない)まで阻害されることを示している。次の表18は、試験したペプチド150のうち44(29%)のペプチドは、LD50値が50以下で活性であり、ペプチドのうち26は、LD50値が25以下で幾つかのターゲットに対して活性であり、16のペプチドは、LD50値が10以下で1種又は2種以上のターゲット菌株に対して非常に活性であった。
【0063】
次の表19は、様々な活性ペプチドについて、6種類の癌細胞に対する広域スペクトル活性を示している。各ターゲット(標的)は、LD50値が10以下で細胞増殖阻害作用をもつリード候補ペプチドを1種又は2種以上有することは留意されるべきである。
【0064】
【表18】

【0065】
【表19】

【0066】
供試例5:白血球の刺激と増殖
ヒト白血球細胞のインビトロ生存性は、異なる濃度の異なるペプチドの存在下で、アラマーブルー(Alamar Blue)プロトコルにより求めた。アラマーブルー(Promega, Madison, WI)は、細胞の増殖と細胞毒性を定量測定するために調製された指示色素である。色素は、酸化還元(レドックス)指示体からなり、該指示体は、細胞の代謝活性に反応して色変化及び蛍光信号を生じる。
【0067】
アッセイプロトコル:50歳男性の血液を採取し、1500rpmで15分間室温にて遠心分離した。血漿−赤血球の界面における軟膜細胞を吸引した。軟膜細胞(主にリンパ球)を、RPMI-1640培地5ml+10%Fatal Bovine Serum(ウシ胎仔血清)(Gibco, Grand Island, NY)を含む15ml遠心分離管に移した。追加の培地を前記遠心分離該管に加え、体積を10mlとした。次に、軟膜懸濁液を5mlのHistopaque(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)へ慎重に重層し、30分間室温にて1500rpmで遠心分離した。大部分がPBMCs(末梢単核球)である境界面を吸引し、15mlの円錐状遠心分離管に移し、2mlの低温RPMI-1640の中で再懸濁して、低温RPMI-1640培地を用いて15mlにした。細胞を1500rpmで10分間遠心分離した。次に、表面の浮遊物を吸引し、これを廃棄した。細胞ペレットを1mlの低温RPMI 1640の中で再懸濁し、RPMI-1640培地を用いて15mlにした。この工程を2回繰り返した。但し、最後の工程では、細胞を1mlの低温RPMI 1640の中で再懸濁し、細胞数は、Sigmaの細胞培養用カタログに基づく血球計算板を用いた。
【0068】
陽性対照及び陰性対照と共に、ヤマゴボウマイトジェン(pokewood mitogen)を対照として使用した。陰性対照細胞は、70%メタノールで死亡した。陽性(+)の対照細胞は、RPMI培地(ペプチド処理なし)の中で培養した。20mlのアラマーブルーを細胞に添加し、24時間後、48時間後、72時間後及び96時間後に、蛍光計(励起544/透過590nm)を用いて測定した。
【0069】
下記の式を用いて計算した。ペプチドで処理した試料と陽性対照を、陰性対照に合わせて調節した。
被処理細胞の増殖に対する刺激のパーセンテージは、ペプチド処理試料を陽性対照で割り算し、これに100を掛けたものとして与えられる。
【0070】
前記プロトコルを用い、約100〜150ペプチドについて、ヒト白血球(「WBC」)細胞の増殖におけるペプチドの刺激及び/又は阻害作用を調べ、ペプチド処理なしの陽性対照細胞の増殖と比較した。次の表20のデータは、選択された様々なペプチドは、低濃度(0.1〜1.0μg/ml)では刺激作用を有するが、一部のペプチドは、高濃度では阻害作用を有する(細胞死を招く)ことを示している。数種類のペプチド(即ち、SEQ ID NOS:5,143及び160)は、500μg/mlまでの全ての濃度で刺激作用(及び/又は増殖作用)を有している。
【0071】
プロトコルで使用したアラマーブルー染色液は、細胞と核膜の両方に浸透し、ミトコンドリア内で代謝して色に変化を生じる。それゆえ、生じた蛍光反応は、細胞刺激及び/又は有糸分裂(細胞増殖)によって生じた全ミトコンドリア活性を表す。培養時間の増加(120時間と48時間)による値の増加(非処理の細胞に関しては、非処理細胞の値のパーセントとして)は、ペプチドによって引き起こされた細胞代謝活性の刺激の他に、細胞増殖の増加によるものである。
【0072】
表20は、選択されたFLAKペプチドの存在下において、ペプチド処理された細胞の刺激/増殖を、ヒトの白血球(WBC)に対する非処理の陽性対照のパーセントとして表している。この表はまた、これらペプチドの夫々について、ヒト赤血球(RBC)とヒト線維芽細胞(WI38)に対する毒性(LD50値)を示している。それらペプチドの中で、低ペプチド濃度(即ち、10μg/ml以下)ではWBCsの刺激作用を有するが、高濃度ではWBCを阻害するか又は有毒であるペプチドは、500μg/mlの高濃度でもWBC増殖を刺激するが阻害しないペプチドと比べて、RBC及び線維芽細胞に対する毒性はかなり大きい。
【0073】
上記のプロトコルでアラマーブルー以外のものを用いた限定された実験において、白血球の刺激及び増殖を生じさせるペプチドは、哺乳類のリンパ系の食細胞成分及びリンパ球成分の両方に活性であることが定量的に特定された。それゆえ、治療レベルの投与量で哺乳類細胞に対して無毒性の刺激性FLAKペプチドのものを、免疫不全のヒト又は他の哺乳類を治療するための免疫調整剤として使用できる。そのような治療は、インビボの全身投与で行なうこともできるし、ドナーに再注入されるべき血液全体又は血液成分を体外治療することにより行なうことができる。そのような治療法は、加齢、疾病又は化学療法によって引き起こされる好中球減少症患者の免疫不全を抑える役割を有しており、病原感染及び特定の癌細胞株の増殖を防ぐか又は減少させるために、又はリンパ系を含む創傷治癒プロセスを向上させるために、自然免疫応答を刺激する。表21は、濃度と時間が白血球の刺激、増殖及び阻害に影響を及ぼす現象について、より詳細な供試例(1種類のペプチドSEQ ID NO:10を含む)である。
【0074】
【表20】

【0075】
【表21】

【0076】
供試例6:線維芽細胞の刺激と増殖
cyQUANT細胞増殖アッセイは、簡便で、迅速且つ高感度にて、培養液中の細胞密度を決定する方法を提供する。このアッセイは、単一色素濃度を用いて、200μl中、50細胞以下から50000細胞以上の直線検出範囲を有している。アッセイは、細胞増殖研究や細胞数のルーチン検査にも理想的であり、細胞の表面への接着を監視するために用いることができる。
【0077】
手順:異なる細胞株を、ATCCに基づく様々な培地で維持した。細胞は、8mlのトリプシン(0.25%, Fisher, Pittsburgh, PA)でトリプシナイズした。細胞の懸濁液は、10分間100rpmで遠心分離した。細胞ペレットをかき乱さずに、浮遊物を取り除き、これを廃棄した。濃縮した細胞懸濁液を1.0mlの培地の中で調製し、1mlあたり約105〜106個の密度を有する細胞を得た。実際の細胞密度は、Trypan Blue(トリパンブルー)法で血球計算板を用いて計算した細胞数により求めた。細胞数は、200μl中の細胞数が等しくなるように調節した。細胞は、0%FBS、2%FBS、3%FBS及び5%FBSでプレート培養した。プレート培養は、37℃にて、細胞が接着するのに十分な時間行なった。長期間に亘る増殖の研究のため、100μlの培地を毎日各ウェルから除去し、新たな培地と取り替えた。
【0078】
所定時間に達した時に、96ウェルプレートの中の接着細胞から培地を取り除いた。これらの細胞は既に試薬で処理済みである。プレート内の細胞を、−70℃で30分間かけて凍結させた。細胞を室温で解凍した。各試料細胞に、CyQuant GR dry/Cell Lysis Buffer(200μl)を加えた。細胞を光から保護しながら、室温で15分間培養した。蛍光は、485〜538nmでfmaxを用いて測定した。
【0079】
上記CyQuantプロトコルを用いて、線維芽細胞に関して起こり得るペプチドの刺激及び/又は増殖を試験した。次の表22は、選択されたペプチドのデータであり、ヒトの線維芽細胞(WI38)に与える影響を示している。この表では、選択されたペプチドの刺激及び/又は増殖特性は、濃度の関数であることを明確に示している。表23は、特定のペプチドについて、線維芽細胞刺激及び/又は増殖効果は、他の増殖因子の存在下で向上することを示している。これは、Fetal Bovine Serum(FBS)を培地に加えることによって示される。表22及び表23に示す数値は、細胞の刺激/増殖活性を、対照(非処理の細胞)のパーセントとして表したものである。対照細胞とペプチド処理細胞は、示された培地とFBSを有している。100%(対照)より下の値は、特に10μg/mlを超える濃度においてペプチドの阻害作用を示している。
【0080】
【表22】

【0081】
【表23】

【0082】
供試例7:毒性アッセイ−赤血球(RBC)の溶血性並びに白血球(WBC)及び線維芽細胞の阻害
次の表24は、典型的なFLAKペプチドに関するRBC、WBC及びWI38の毒性データをまとめたものである。RBC、WBC及びWI38の3つの値(LD50)は、ペプチドの毒性について、ほぼ一貫した方向性指数(directional indicators)である。与えられた表示について可能性のある治療のためにペプチドを選ぶ際、ペプチドの治療活性及び特異性を、その考えられる有害特性と一致させることが重要である。SEQ ID NO:5ペプチドはFLAKペプチドではなく、むしろSB-37であり、セクロピンBに近いそのホモログである。それは、これまで、抗菌剤としてFLAKペプチドほどの活性はないとされていたが、インビボのラットモデルで示されたような創傷治癒特性を有している。これは、哺乳類の白血球と線維芽細胞の両方に対するペプチドの刺激及び増殖効果によるものと考えられる。
WBC及びWI38を刺激するためのプロトコルについて説明した。RBCプロトコルを表24に示している。
【0083】
【表24】

【0084】
RBCのプロトコルは次の通りである。希釈対照と非処理対照の夫々について、ウェルの位置は、96ウェルプレートの蓋の上に記録されている。細胞がコンフルエントに達すると、培地を取り除いて、新たに調製した試験希釈剤と置換し、最終体積の200μlにする。試薬を96ウェルプレートの指定されたウェルに加える。200μlの新たな培地を陽性対照のウェルに加え、200μlの70%エタノールを陰性対照のウェルに加えた。プレートを37℃、5%CO2及び90%湿度以上の条件で一晩培養した。室温のアラマーブルー溶液(20μl)を全てのウェルに加えた。プレートを、分光蛍光光度計で測定した(励起544nm、放射590nm)。プレートを37℃、5%CO2及び90%以上の湿度条件で3時間培養した。3時間及び24時間培養後、プレートを測定した。LD50終端はグラフから求め、50%の位置が用量反応曲線(Dose Response Curve)を遮る位置からx軸上の濃度まで読み取った。その濃度がLD50の値である。試薬の相対的毒性の順位をつけたり、インビボのデータと相関させるために、単一試薬クラス範囲内の試薬に対するLD50値を用いることができる。
【0085】
この溶血性アッセイは、Journal of Peptide Research 53: 82-90 (1999)で示されたアッセイに基づいている。全ての培地、ストック溶液及び希釈剤の調製は、汚染を最小限にするか又は防ぐために層流フードの中で行なった。全ての工程は、ヒトの体液の取扱い及び処理に関する安全性プロトコルに基づいて行なった。
【0086】
赤血球(RBCs)をPBS(35mMリン酸塩緩衝液0.15M NaCl、pH7.0)で3回洗浄した。PBS(0.4%(v/v);15ペプチドにつき約10ml)中に懸濁したRBCsを調製した。懸濁液(100μl)を各試料及び対照の管に分配した。連続希釈したペプチド溶液(100μl)を、ピペットによって試料管に入れた。陰性対照の管にはPBSを100μl含み、陽性対照の管には1%Triton-X洗浄剤を100μl含んでいた。全ての管を37℃で1時間培養した。管をインキュベータから取り出し、1000Gで5分間遠心分離した。ピペットを用いて、浮遊物(100μl)を96ウェルのポリ塩化ビニール製プレートに入れた。414nmでの吸光度(A414)を測定し、これを用いて、次式により溶血率(percent pemolysis)を計算した。
(ペプチド溶液中のA414−PBS中のA414)/(Triton-X100中のA414−PBS中のA414)×100%
【0087】
溶血率をペプチド濃度に対してプロットし、50%溶血の濃度を求めた(LD50)。次の表25は、ここで記載したペプチドを用いた溶血性アッセイの結果を示している。
【0088】
【表25−1】

【表25−2】

【表25−3】

【表25−4】

【0089】
供試例8:バリン置換の効果
第1アミノ酸がバリンであるペプチド配列を変えることは、特に第1アミノ酸をフェニルアラニンからバリンに変えるときには、望ましい特性を得ることができる。赤血球と線維芽細胞(WI38)の毒性は、他の望ましい特性を実質的に損なうことなく、低下させることができる。表26は、ペプチドの毒性を低下させる数多くの例(14)を示しており、この例から、ペプチド処理したとき、赤血球と線維芽細胞は両方共、生存率(viability)は増大することを示している。LD50値はμg/mlで表している。
【0090】
【表26】

【0091】
バリン置換による哺乳類細胞に対する毒性低下効果により、微生物病原体や癌細胞に対する治療活性もある程度低下するけれども、バリン置換によって治療活性が向上する場合がある。これは次の表27の中でも認められ、バリン置換により、グラム陰性細菌Pseudomonas(シュードモナス属)に対するペプチドの抗細菌活性が増加することが示されている。
溶血とWI38の数値は、LD50値を表す。P. aerug値は、ATCCアクセション番号9027のPseudomonas aeruginosaに対するMIC値(μg/ml)を表したものである。
【0092】
【表27】

【0093】
供試例9:チロシン置換の効果
第2アミノ酸がチロシンであるペプチド配列を変えることにより、望ましい特性を得ることができる。FLAK98(P-146, SEQ ID NO:108)は、第2位置にチロシン(Y)が存在しており、非定型(atypical)のFLAKペプチドである。この変更とペプチド全体の配列の意義は、作られた構造が、中性pHでアルファヘリックスに容易に混ぜ込まれることである[Montserret et al., Biochemistry 39: 8362-8373, 2000]。中性のpHでアルファヘリカル構造になり得ることは、このペプチドがポテンシー(potency)と広域スペクトル活性を有すると考えられる。これらの配列が混合の駆動力となるのは、疎水性だけではなく、静電気にもよることが示されている[Montserret et al.]。FLAKペプチド中で、チロシンがアミノ酸と置換すると、特性が一般的に改良される。
【0094】
供試例10:望ましいペプチド
望ましいペプチドは、前述の実験データから選択することができる。グラム陽性細菌又グラム陰性細菌の望ましい抗菌ペプチドは、約10μg/ml以下のMIC値を有するもの、約25μg/ml以下のMBC値を有するものを選択することができる。望ましい抗真菌ペプチドは、MIC又はMBC値が約25μg/ml以下のものを選択することができる。望ましい抗癌ペプチドは、LD50値が約25μg/ml以下のものを選択することができる。
【0095】
次の表28は、望ましいペプチドの代表的なものを挙げており、「X」印は、そのペプチドが、該当する特性について望ましいことを表している。ペプチドの「長さ」とは、配列の中のアミノ酸残基の数のことである。
【0096】
【表28−1】

【表28−2】

【0097】
刺激及び増殖のために望ましいペプチドを選択することもできる、次の表29は、望ましいペプチドの代表的なものを掲げており、「X」印は、そのペプチドが、該当する特性について望ましいことを表している。0.1μg/ml〜1.0μg/mlの濃度で白血球を刺激するペプチドについては、この濃度で、赤血球、WI−38線維芽細胞又はヒトの白血球に対して毒性のないペプチドが望ましい。0.1μg/ml〜1.0μg/mlで線維芽細胞を刺激するペプチドは、この濃度で毒性のものが望ましい。
【0098】
【表29−1】

【表29−2】

【0099】
供試例11:リゾチームとの相乗効果
溶菌性ペプチドとリゾチームとの相乗効果を検定した。殺菌したミルクに、1ml当たり5×105の細菌を接種した。細菌致死率を調べた。
【0100】
【表30】

【0101】
セクロピンSB-37(SEQ ID NO:5)とリゾチームとの相乗効果を、Pseudomonas syringae pv. tabaci (PSPT)、Pseudomonas solanacearum (PS)(青枯病菌)、Erwinia caratovora subsp. carotova (EC)(軟腐病菌)、及びXanthomonas campestris pv. campestris (XC)(黒腐病菌)について調べた。LD50値(μM)を求めた。
【0102】
【表31】

【0103】
Shiva-1とリゾチームとの相乗効果を調べた。Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)の生存率を、ブランク対照と比較して求めた。リゾチームは、ペプチドと同じモル濃度で使用した。
【0104】
【表32】

【0105】
Shiva-1とリゾチームとの相乗効果を調べた。グラム陽性のS.intermedius 19930、S.intermedius 20034及びS.aureusの生存率は、ブランク対照と比較して求めた。リゾチームは、ペプチドの10倍のモル濃度で使用した。
【0106】
【表33】

【0107】
【表34】

【0108】
【表35】

【0109】
相乗効果の実験は、ペプチドを追加的又は相乗的に増強するEDTAの存在下で、ペプチドを使用して行なうこともできる。
【0110】
供試例12:抗生物質との相乗効果
ペプチドShiva-10(SEQ ID NO:4)と様々な抗菌剤との相乗効果を、Escherichia coli 25922について調べた。次の表は、ペプチドと抗菌剤との組合せによる効果を示しており、数字は最小殺菌濃度(MBC;μg/ml)である。
【0111】
【表36】

【0112】
ペプチドShiva-10(SEQ ID NO:4)と様々な抗菌剤との相乗効果を、Staph.aureus 29213について調べた。次の表は、ペプチドと抗菌剤との組合せによる効果を示しており、数字は最小殺菌濃度(MBC;μg/ml)である。
【0113】
【表37】

【0114】
ペプチドFLAK26AM(P35; SEQ ID NO:17)と様々な抗菌剤との相乗効果を、Staph.aureus 29213 MBCについて調べた。次の表は、ペプチドと抗菌剤との組合せによる効果を示しており、数字は最小殺菌濃度(MBC;μg/ml)である。この実験では、抗菌剤が存在しない場合のペプチドMBCと、抗菌剤が指定された濃度で存在する場合のペプチドMBCを求めた。
【0115】
【表38】

【0116】
ドクササイクロン(doxacycline)と様々なペプチドとの相乗効果を、P.aeruginosa 27853について調べた。次の表は、doxacyclineと抗菌剤の組合せによる効果を示しており、数字は最小殺菌濃度(MBC;μg/ml)である。ペプチドと共に使用するdoxacyclineの濃度は10ppmである。
【0117】
【表39】

【0118】
テトラサイクリンと様々なペプチドとの相乗効果を、Escherichia coli 25922 MBCについて調べた。次に表は、テトラサイクリンと抗菌剤の組合せによる効果を示しており、数字は最小殺菌濃度(MBC;μg/ml)である。ペプチドと共に使用するテトラサイクリンの濃度は1.5ppm濃度である。
【0119】
【表40】

【0120】
供試例13:化学療法剤との相乗効果
癌細胞を阻害する溶菌性ペプチドは、従来の癌用化学療法剤と相乗的に作用することが他の研究者らによって報告されている。FLAKペプチドも例外でない。次の表41は、選択されたFLAKペプチドがタモキシフェン(Tamoxifen)と相乗作用して、乳癌細胞のMCF7細胞株を阻害することを示している。表42は、タモキシフェン又は他の癌用治療剤とさらなる相乗作用の可能性を有する他の抗癌ペプチドを挙げている。
【0121】
表41及び表42はまた、選択されたペプチドについて、RBCs、WBCs及びWI38細胞に対する毒性を示している。毒性が非常に少ない場合、選択された抗癌ペプチドにより、他の化学治療剤との相乗効果が高められると、化学治療剤の投与量を少なくすることができるので、副作用はより少なくなる。
【0122】
【表41】

【0123】
【表42】

【0124】
供試例14:増殖因子との相乗効果
供試例17と表23では、FLAKペプチドの中の幾つかは、他のマイトジェン又は増殖因子と相乗作用し、ペプチドを刺激及び/増殖する特性を有することが示されている。
【0125】
供試例15:ナリジクス酸及びクロラムフェニコールとの相乗効果
本発明のペプチドと、クロラムフェニコール又はナリジクス酸との相乗効果を、Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)の排出用突然変異体(efflux mutants)について調べた。ナリジクス酸又はクロラムフェニコールの何れか一方のMIC値をベースラインとして測定した。ペプチドは、その1/4MIC濃度で添加し、ナリジクス酸又はクロラムフェニコールのどちらかがMIC値に達したときの濃度を求めた。表43は、P.aeruginosa H374に関して、ペプチドとナリジクス酸の相乗効果を示しており、表44は、P.aeruginosa H774に関して、ペプチドとナリジクス酸の相乗効果を示しており、表45は、P.aeruginosa H374に関して、ペプチドとクロラムフェニコールの相乗効果を示している。ペプチドと抗生物質との相乗作用を判定するのに、部分的阻害濃度(Fractional Inhibitory Concentration; FIC)指数を用いた。抗生物質の2倍連続希釈物を、一定量のペプチド、即ちペプチドの4分の1MICに等しいペプチドの存在下で試験した。FIC指数は、FIC=0.25+MIC抗生剤併用/MIC抗生剤ノミ。FIC指数が0.5以下のとき、相乗作用を有すると考えられる。
【0126】
【表43】

【0127】
【表44】

【0128】
【表45】

【0129】
供試例16:薬剤耐性菌株に対する抗菌活性
トブラマイシン感受性及び耐性菌株に対するペプチドの抗菌活性を調べた。次の表46に示されるように、ペプチドP56 (SEQ ID NO:36)、P74 (SEQ ID NO:50)及びP125 (SEQ ID NO:87)のトブラマイシン耐性(tr)Pseudomonas ATCC 13096に対する抗菌活性は、トブラマイシン感受性(ts)Pseudomonas ATCC 27853に対する抗菌活性よりも大きい。3種類の同じペプチドは、臨床トブラマイシン耐性菌株960890198-3c(表46)に対して、より大きな抗菌活性を示した。
【0130】
【表46】

【0131】
【表47】

【0132】
供試例17:創傷治癒
本発明のペプチドは、創傷治癒のための局所的送達又は全身送達用組成物に用いることができる。組成物は、液体、クリーム、ペースト、その他の薬学的に許容される形態であってよい。組成物は、他の生物学的活性物質を含むこともできる。組成物は、薬学的に許容される担体を含むこともできる。
FLAKペプチドは、創傷治癒との関連性が大きい細菌、S.aureus、S.pyogenes及びP.aeruginosa(例えば、表5、表6及び表7)に対して、有効性が高いことを示した。このペプチドは、創傷の治癒を促進し、炎症を低減させることができることを示した。これらの特性は全て、傷及び傷感染治療剤に必須である。
創傷治癒用として好ましいペプチドを次の表48に示している。これらは、白血球及び線維芽細胞の一方又は両方を刺激するために、また、抗細菌特性のために望ましいペプチドである。
【0133】
【表48】

【0134】
供試例18:インビボのFLAKペプチドによる創傷治癒
米国特許第5,861,478号は、ペプチドLSB-37をラットモデルの治療剤に使用し、インビボの創傷治癒を開示している。LSB-37は、この明細書では、SEQ.NO.150(ペプチドP306)に対応しており、本発明の主題である小さなFLAKペプチドと比較して評価されている。供試例17で示したように、FLAKペプチドは、広範囲のインビトロアッセイに基づいて、創傷治癒剤としての適用可能性を提案している。これは、小動物の局所傷治癒モデルにおいて、選択されたFLAK(及びその他のもの)ペプチドのインビボ試験で示されている。
【0135】
この研究の目的は、選択されたペプチドについて、(i)傷口閉鎖速度、(ii)炎症反応、及び(iii)化学的に引き起こされた皮膚のやけど傷の表皮腫脹(epidermal thickening)に及ぼす影響を評価することであった。適当な試験モデルとしてヘアレスラットを選択した。研究で用いられたものは、雌のヘアレスレットで、生後8〜12週、体重100〜150グラムであった。
【0136】
文献及び私的通信物の中で、フェノールを主に含むスキンピール(skin peels)が報告されているが、この研究で用いられたものは全身的毒性であることが分かった。この研究では、1匹の動物に対し、全表面積が>2平方インチの試験用パッチ(ピール)6枚が用いられた。別の方法として、皮膚の腐食パッチを誘導するのに、70%エタノールに溶解された70%トリクロロ酢酸(TCA)が利用されている。ピールを30分密閉すると、3度の火傷となり、表皮と真皮が完全に焼損(erosion)した。化学的火傷剤として、ラットにTCAを施したものは、フェノールの場合と比べて、外傷と死亡率ははるかに少なかった。
【0137】
実験プロトコルの工程は以下の通りである。
1.動物に麻酔をかけた(40ml/kgのフェノバルビタール)。
2.毎日、処理の前後に、動物の背部(6枚の独立したピール)のカラー写真を撮った。
3.処理前、ラットの皮膚表面は、70%エタノールで拭いておいた。紙製のフィルターディスク(直径1.1cm)を70%TCA/エタノールの中に浸漬した。
4.ディスクをヘアレスラットの背部に載せ、30分間放置した。[6枚のディスクの内訳は、2枚が対照(ペプチド処理なし)、4枚がペプチド処理を施すためのピール用である]。
5.30分かけて火傷を引き起こした後、ディスクを取り除いた。24時間後、4枚のピールには、異なるペプチド溶液(生理食塩水中1500ppm)を施し、2枚の対照用ピールには生理食塩水を施した。
6.その後の毎日、6つの傷部に対し、柔らかいブラシを用いてペプチド溶液(対照については生理食塩水)を施した。
7.傷が治癒(皮膚閉鎖が完了し、表皮が安定)に約1ヶ月かかり、その後、動物は死亡した。
8.処理後の皮膚を採取し、一部分をトリクロムで染色した後、スライドに載せた。
【0138】
各ピール(6)について、傷口閉鎖のパーセンテージを、動物が死亡するまで毎日測定した。閉鎖率は、動物の写真上で、火傷による最初の傷痕の面積に対する残部かさぶた(scab)の面積を測定することによって求めた。これらの測定は、Sigma Plot ProScan 4のプログラムを用いて、ピールをデジタル化し、分析することにより行なった。
傷口が完全に閉鎖した後、各ピールのまだ赤く腫れた部分について、動物写真をSigma Plot分析することによって定量化し、治癒した傷痕全体のパーセントとしてを求めた。これは、各ピール部分における炎症反応について、TCAによる火傷後の治療手段として供された。
【0139】
各ピール部分における表皮腫脹(角質増殖)の程度については、様々な傷部の染色部のスライドと、ピール周囲の正常な皮膚部分(ペプチド処理なしの対照)に対し、Sigma Plotプログラムを用いて測定することにより求めた。100倍乃至320倍の倍率で、カラースライドのマイクロ写真は、各ピールに存在する角質増殖(hyperkeratosis)の程度を定量化するための強力な手段として供された。
スライドを選択的に染色することにより、傷部に白血球と繊維芽細胞の両細胞が存在するかどうかを特定した。これもまた、Sigma Plotプログラムを利用して定量化した。これは、異なるペプチドが傷治癒工程で影響を及ぼすインビボ機構を決定するのに有効な手段であることがわかった。この機構には、白血球の刺激/増殖、繊維芽細胞の刺激/増殖、インビボでの創傷治癒におけるペプチドの化学走化性効果が含まれる。
【0140】
上述した動物モデル及びプロトコルは、創傷治癒に望ましいFLAKペプチドとして、表48に掲げた約20のペプチド(及び比較のための他のペプチド)を試験するのに用いた。一例として、一匹の動物において4種類のペプチドを用いて評価した実験の結果を、表49に示している。これらのペプチドは、SEQ ID NO:66 (P102)、SEQ ID NO:71 (P107)、SEQ ID NO:115 (P153)、及びSEQ ID NO:119 (P157)である。SEQ ID NO:71 (P107)は、FLAKペプチドではないが、LSB-37(SEQ ID NO:150; P06)の誘導体である。先の実験において、これらの2種類のペプチドは、インビボの創傷治癒特性が非常に似ていることを示している。SEQ ID NO:119 (P157)は、FLAKではないペプチドであり、文献では比較用ペプチドとして報告されている。
【0141】
表49の結果より、幾つかのペプチドは、TCAによる火傷生成後の炎症反応を抑える能力を有することを示しており、傷生成後の処置用として適用可能と評価される。SEQ ID NO:71 (P107)と、SEQ ID NO:115 (P153)は、この能力に優れており、また、角質増殖(表皮腫脹)についても最も少なかった。実験は、その後、傷口が完全に閉鎖するまで26日間行なった。前記2つのペプチドは、傷生成後の傷口閉鎖率については、他のペプチド及びペプチドなしの場合と比べて、僅かにすぐれるにとどまった。これらの2つのペプチドはまた、TCAによる火傷生成処理なしの対照と比べて、角質増殖は実質的になかった。
【0142】
全体の中で、最もすぐれた創傷治癒活性を示したのは、前述の2つのペプチドであった。しかしながら、実験は無菌状態で行われたものであり、このような状況は、実生活で動物が傷を有するときには起こらない。そのような局部傷は感染され易いから、SEQ ID NO:66 (P102)とSEQ ID NO:115 (P153)のように抗細菌特性に優れるものも、創傷治癒用の候補となり得ることは考慮されなければならない。
【0143】
【表49】

【0144】
供試例19:嚢胞性線維症(CF)の治療
CFは、北米で最も多く見られる常染色体性劣性遺伝病であり、アメリカ合衆国では年間3000人もの子供が肺に炎症や感染を引き起こしている。CF肺感染症の90%以上は、P.aeruginosaによって引き起こされ、これらの患者の95%以上が肺損傷により死亡している。FLAKペプチドの中には、多剤耐性緑膿菌株(Pseudomonas aeruginosa)に対して抗菌活性、CF患者からの臨床分離株に対して抗菌活性のものがある(表9、43及び44)。これらには、この条件に合わせて選択されたTOBI耐性菌株がある。また、これのペプチド(アルファヘリカルペプチド)は、以前に、抗炎症特性を有することが示されており[Scott et al., J.Immunol. 165: 3358-3365, 2000]、FLAKペプチドもこの特性を示したとしても驚きではない。抗炎症作用と抗感染作用を組み合わせると、これらペプチドは、CF肺感染症の新規な治療薬の候補として、非常に優れている。
【0145】
供試例20:性感染症(STDs)の治療
性感染症(STD)は、北米で重大な問題であり、アメリカ合衆国だけで治療費に年間100億ドルかかっている。主たる問題の1つは、抗真菌性、主としてフルコナゾールに耐性のCandida株の発生が増加していることである。このCandida株には、C.albicans、 C.glabrata及びC.tropicalisのような種がある。FLAKペプチドの中には、これら3種の全てに対して著しい抗真菌活性を示すものがあり(表13及び表10)、真菌性疾患の発生を防止するための局所的抗真菌剤を開発できる実現可能性は非常に高い。文献の中で、FLAKペプチドは、ウイルスや細菌などの他のSTD因子に対して抗ウイルス又は抗細菌活性を有する証拠が示されており、広域スペクトルの用途への適用も可能であることが示唆されている。FLAKペプチドの中には、広域スペクトル活性を示すものがある(表12及び表13)。
【0146】
供試例21:座瘡(にきび)の治療
座瘡は、感染と炎症の両者によって生じ、組織の損傷を招き、傷跡が残る。FLAKペプチドは、座瘡の炎症部(acne sores)から単離された主細菌、Propionibacterium acne(ニキビ桿菌)に対して抗細菌活性を示しており、抗炎症作用を有する[Scott et al., J.Immunol. 165: 3358-3365, 2000]。また、FLAKペプチドは、創傷治癒の速度及び効果を高め、繊維芽細胞の増殖を促進し、コラーゲン及びラミニンの生成を高める傾向を示した。これらの特性は全て、FLAKペプチドを、臨床治療薬又は美容食品として座瘡の治療に使用するための有力な証拠となるものである。
【0147】
供試例22:化粧品への適用
コラーゲン刺激、繊維芽細胞刺激及び創傷治癒のようなFLAKペプチドの特性は、そのようなペプチドを老化防止及び若返り用の化粧品への使用可能性を示すもので、大変魅力的である。
【0148】
供試例23:食品産業におけるFLAKペプチドの使用
食品産業に関係する疾病の主な原因は、Salmonella typhimurium(ネズミチフス菌)及びEscherichia coli(大腸菌)のようなグラム陰性細菌である。多くのFLAKペプチドは、これらの生物(organisms))に対して特異的な抗生物活性を示した(表7及び表12)。そのようなペプチドを食品媒介疾病の治療と予防に適用することは、それゆえに魅力的な用途である。例えば、そのようなペプチドを食品の汚染除去に使用することは、特異的且つ潜在的に新規な用途である。
【0149】
供試例24:ペプチドの血清中での全身送達
一連のペプチドを1280μg/mlでヒツジ血清に導入し、37℃で30分間又は2時間、培養した(表50)。その後、Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)の抗血清MICsを用いて、ペプチドの血清不活性化の程度を求めた。試験したペプチドのうち、2つのペプチド(P153及びP508)を70%血清中で1280μg/ml溶解させた。血清への曝露によって、それらの活性はごく緩やかに低下するだけであった。これは、P153及びP508は、血清中で機能することができること示唆し、全身送達用に適用可能であることを示している。
【0150】
【表50】

【0151】
供試例25:FLAKペプチドによるコラーゲン及びラミニン刺激
線維芽細胞株を標準状態で培養し、Panvera (Madison, WI)製のELISAシステムを使用してコラーゲン及とラミニンを検定した。コラーゲンとラミニンの抗体は、日本の宝酒造株式会社によって製造されたものを使用した。次の表51は、4種類のペプチドのうちの1つが、コラーゲンとラミニンの生成を著しく刺激することを示している。試験した他の3種類のペプチドは、生成を刺激することも阻害することもなかった(即ち、効果は観察されなかった)。
【0152】
【表51】

【0153】
この明細書の中で開示した組成物及び/又は方法は全て、開示を参照することにより、必要以上の実験を行なうことなく製造し、実行することができる。本発明の組成物及び方法の望ましい実施例を記載したが、当該分野の専門家であれば、発明の概念、精神及び範囲から逸脱することなく、組成物及び/又は方法並びに本明細書に記載した工程若しくは工程のシーケンスに変更を加えることができることは明白であろう。より具体的には、化学的且つ生理学的に関係する薬剤の中には、ここに記載した物質に代えて使用し、同一又は同様な結果を達成できるものもあることは明らかであろう。当該分野の専門家にとって明らかであれば、そのような置換及び変更は全て、本発明の精神、範囲及び概念の範囲内であると見なされるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基を含み、約5〜約23アミノ酸の長さで、少なくとも約50%以上は、フェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基である単離されたペプチド。
【請求項2】
ペプチドは約5〜約20アミノ酸の長さである請求項1のペプチド。
【請求項3】
ペプチドは本質的にフェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基から成る請求項1のペプチド。
【請求項4】
ペプチドはフェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基から成る請求項1のペプチド。
【請求項5】
ペプチドの第1アミノ酸はバリンである請求項1のペプチド。
【請求項6】
ペプチドは、少なくとも約60%以上が、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:126、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:84、SEQ ID NO: 115又はSEQ ID NO:132と同一である請求項1のペプチド。
【請求項7】
ペプチドは、SEQ ID NO: 1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:59、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:61、SEQ ID NO:65、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:67、SEQ ID NO:68、SEQ ID NO:71、SEQ ID NO:74、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:77、SEQ ID NO:80、SEQ ID NO:81、SEQ ID NO:84、SEQ ID NO:85、SEQ ID NO:86、SEQ ID NO:87、SEQ ID NO:90、SEQ ID NO:91、SEQ ID NO:92、SEQ ID NO:93、SEQ ID NO:106、SEQ ID NO:108、SEQ ID NO:112、SEQ ID NO:115、SEQ ID NO:116、SEQ ID NO:126、SEQ ID NO:127、SEQ ID NO:128、SEQ ID NO:129、SEQ ID NO:131、SEQ ID NO:132、SEQ ID NO:137、SEQ ID NO:138、SEQ ID NO:139、SEQ ID NO:140、SEQ ID NO:141、SEQ ID NO:142、SEQ ID NO:143、SEQ ID NO:144、SEQ ID NO:145、SEQ ID NO:152、SEQ ID NO:159、SEQ ID NO:162、SEQ ID NO:163、SEQ ID NO:164又はSEQ ID NO:165としてさらに規定される請求項1のペプチド。
【請求項8】
癌細胞の増殖を阻害する方法であって、癌細胞にペプチドを接触させる接触工程を有しており、ペプチドは、フェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基を含み、約5〜約23アミノ酸の長さであり、少なくとも約50%以上はフェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基を含んでいる方法。
【請求項9】
ペプチドは約5〜約20アミノ酸の長さである請求項8の方法。
【請求項10】
ペプチドは本質的にフェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基から成る請求項8の方法。
【請求項11】
ペプチドはフェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基から成る請求項8の方法。
【請求項12】
ペプチドの第1アミノ酸はバリンである請求項8の方法。
【請求項13】
ペプチドは、少なくとも約70%以上が、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:126、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:84、SEQ ID NO:115又はSEQ ID NO:132と少なくとも約70%と同一である請求項8の方法。
【請求項14】
ペプチドは、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:68、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:86、SEQ ID NO:152又はSEQ ID NO:162である請求項8の方法。
【請求項15】
接触工程は、インビボ、インビトロ、局所投与、経口投与、経皮投与、又は全身投与によって行なわれる請求項8の方法。
【請求項16】
接触工程は、インビボで行なわれ、ペプチドの濃度は約1mg/kg〜約100mg/kgである請求項8の方法。
【請求項17】
接触工程は、インビトロ又は局所投与によって行なわれ、ペプチドの濃度は約0.1μM以上である請求項8の方法。
【請求項18】
癌細胞は、リンパ腫、白血病、黒色腫、扁平上皮乳頭腫又は悪性腫瘍(carcinoma)の細胞である請求項8の方法。
【請求項19】
癌細胞は、乳癌細胞、結腸癌細胞、肺癌細胞、子宮頸癌細胞、角膜癌細胞、上皮癌細胞又は前立腺癌細胞である請求項8の方法。
【請求項20】
癌細胞の増殖は、ペプチドによる処理を行なわない癌細胞の増殖と比べて、約10%以上減少している請求項8の方法。
【請求項21】
動物を治療するための方法であって、癌細胞を有する動物にペプチドを投与する投与工程を有しており、ペプチドは、フェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基を含み、約5〜約23アミノ酸の長さであり、少なくとも約50%以上はフェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基を含んでいる方法。
【請求項22】
ペプチドは約5〜約20アミノ酸の長さである請求項21の方法。
【請求項23】
ペプチドは本質的にフェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基から成る請求項21の方法。
【請求項24】
ペプチドはフェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基から成る請求項21の方法。
【請求項25】
ペプチドの第1アミノ酸はバリンである請求項21の方法。
【請求項26】
ペプチドは、約70%以上が、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:126、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:84、SEQ ID NO:115又はSEQ ID NO:132と同一である請求項21の方法。
【請求項27】
ペプチドは、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:68、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:86、SEQ ID NO:152又はSEQ ID NO:162である請求項21の方法。
【請求項28】
投与工程は、インビボ、局所投与、経口投与又は経皮投与によって行なわれる請求項21の方法。
【請求項29】
投与工程は、インビボで行なわれ、ペプチドの濃度は約0.1mg/kg〜約100mg/kgである請求項21の方法。
【請求項30】
投与工程は、局所投与で行なわれ、ペプチドの濃度は約0.1μM以上である請求項21の方法。
【請求項31】
癌細胞は、リンパ腫、白血病、黒色腫又は悪性腫瘍の細胞である請求項21の方法。
【請求項32】
微生物細胞の増殖を阻害する方法であって、微生物細胞にペプチドを接触させる接触工程を有しており、ペプチドはフェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基を含み、約5〜約23アミノ酸の長さであり、少なくとも約50%以上はフェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基を含んでいる方法。
【請求項33】
ペプチドは約5〜20アミノ酸の長さである請求項32の方法。
【請求項34】
ペプチドは本質的にフェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基から成る請求項32の方法。
【請求項35】
ペプチドはフェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基から成る請求項32の方法。
【請求項36】
ペプチドの第1アミノ酸はバリンである請求項32の方法。
【請求項37】
ペプチドは、約70%以上が、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:126、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:84、SEQ ID NO:115又はSEQ ID NO:132と同一である請求項32の方法。
【請求項38】
ペプチドは、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:65、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:67、SEQ ID NO:68、SEQ ID NO:74、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:77、SEQ ID NO:80、SEQ ID NO:81、SEQ ID NO:84、SEQ ID NO:86、SEQ ID NO:87、SEQ ID NO:93、SEQ ID NO:106、SEQ ID NO:108、SEQ ID NO:112、SEQ ID NO:115、SEQ ID NO:126、SEQ ID NO:128、SEQ ID NO:162、SEQ ID NO:163、SEQ ID NO:164又はSEQ ID NO:165である請求項32の方法。
【請求項39】
ペプチドは、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:67、SEQ ID NO:80、SEQ ID NO:81、SEQ ID NO:84、SEQ ID NO:85、SEQ ID NO:86、SEQ ID NO:106、SEQ ID NO:108、SEQ ID NO:115、SEQ ID NO:116、SEQ ID NO:126、SEQ ID NO:128、SEQ ID NO:131、SEQ ID NO:143、SEQ ID NO:163又はSEQ ID NO:165である請求項32の方法。
【請求項40】
接触工程は、インビボ、インビトロ、局所投与、経口投与、経皮投与又は全身投与によって行なわれる請求項32の方法。
【請求項41】
接触工程は、インビボで行われ、ペプチドの濃度は約0.1mg/kg〜約100mg/kgである請求項32の方法。
【請求項42】
接触工程は、インビトロ又は局所投与でな行われ、ペプチドの濃度は約0.1μM以上である請求項32の方法。
【請求項43】
微生物細胞の増殖は、ペプチドによる処理を行わない微生物細胞の増殖と比べて、約50%以上減少している請求項32の方法。
【請求項44】
微生物細胞は細菌細胞である請求項32の方法。
【請求項45】
細菌細胞は、Staphylococcus(スタヒロコッカス属)、Stapholococcus aureus(黄色ブドウ球菌)、Pseudomonas(シュードモナス属)、Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)、Chlamydia(クラミジア属)又はEscherichia(エシェリキア属)の細胞である請求項44の方法。
【請求項46】
細菌細胞は、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌又はミコバクテリアである請求項44の方法。
【請求項47】
微生物細胞は真菌細胞である請求項32の方法。
【請求項48】
真菌細胞は、Candida(カンジダ属)、Candida albicans(真菌)、Saccharomyces(ビール酵母)、Saccharomyces cerevisiae(出芽酵母)、Schizosaccharomyces(分裂酵母)又はSchizosaccharomyces pombeの細胞である請求項47の方法。
【請求項49】
微生物細胞は原生動物である請求項32の方法。
【請求項50】
原生動物は、Trypanosoma cruzi(クルーズトリパノソーマ)又はPlasmodium falciparum(熱帯熱マラリア原虫)である請求項49の方法。
【請求項51】
微生物細胞は細胞内の生物である請求項32の方法。
【請求項52】
微生物細胞はウイルスである請求項32の方法。
【請求項53】
細胞の刺激及び/又は増殖を促進する方法であって、細胞と組成物を接触させる接触工程を有しており、組成物はペプチドを含んでおり、ペプチドはフェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基を含み、約5〜23アミノ酸の長さであり、少なくとも約50%以上は、フェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基を含んでいる方法。
【請求項54】
ペプチドは約5〜約20アミノ酸の長さである請求項53の方法。
【請求項55】
ペプチドは約5〜約15アミノ酸の長さである請求項53の方法。
【請求項56】
ペプチドは約5〜約10アミノ酸の長さである請求項53の方法。
【請求項57】
ペプチドは約5アミノ酸の長さである請求項53の方法。
【請求項58】
ペプチドは本質的にフェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基から成る請求項53の方法。
【請求項59】
ペプチドはフェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基から成る請求項53の方法。
【請求項60】
ペプチドの第1アミノ酸はバリンである請求項53の方法。
【請求項61】
ペプチドは、少なくとも約70%以上が、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:126、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:84、SEQ ID NO:115又はSEQ ID NO:132と同一である請求項53の方法。
【請求項62】
ペプチドは、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:59、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:61、SEQ ID NO:65、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:71、SEQ ID NO:74、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:77、SEQ ID NO:80、SEQ ID NO:81、SEQ ID NO:87、SEQ ID NO:90、SEQ ID NO:91、SEQ ID NO:92、SEQ ID NO:115、SEQ ID NO:116、SEQ ID NO:126、SEQ ID NO:127、SEQ ID NO:129、SEQ ID NO:132、SEQ ID NO:137、SEQ ID NO:138、SEQ ID NO:139、SEQ ID NO:140、SEQ ID NO:141、SEQ ID NO:142、SEQ ID NO:143、SEQ ID NO:144、SEQ ID NO:145、SEQ ID NO:159、SEQ ID NO:162又はSEQ ID NO:164である請求項53の方法。
【請求項63】
組成物中のペプチドの濃度は、約0.01μM〜約500μMである請求項53の方法。
【請求項64】
細胞は哺乳類の細胞である請求項53の方法。
【請求項65】
細胞はリンパ球細胞である請求項53の方法。
【請求項66】
組成物は増殖因子をさらに含んでいる請求項53の方法。
【請求項67】
創傷治癒を促進する方法であって、動物の傷に組成物を投与する投与工程を有し、組成物はペプチドを含有しており、ペプチドはフェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基を含み、約5〜約23アミノ酸の長さであり、少なくとも約50%以上は、フェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基を含んでいる方法。
【請求項68】
ペプチドは約5〜約20アミノ酸の長さである請求項67の方法。
【請求項69】
ペプチドは約5〜約15アミノ酸の長さである請求項67の方法。
【請求項70】
ペプチドは約5〜約10アミノ酸の長さである請求項67の方法。
【請求項71】
ペプチドは約5アミノ酸の長さである請求項67の方法。
【請求項72】
ペプチドは本質的にフェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基から成る請求項67の方法。
【請求項73】
ペプチドはフェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基から成る請求項53の方法。
【請求項74】
ペプチドの第1アミノ酸はバリンである請求項67の方法。
【請求項75】
ペプチドは、少なくとも約70%以上が、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:126、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:84、SEQ ID NO:115又はSEQ ID NO:132と同一である請求項67の方法。
【請求項76】
ペプチドは、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:59、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:61、SEQ ID NO:65、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:71、SEQ ID NO:74、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:77、SEQ ID NO:80、SEQ ID NO:81、SEQ ID NO:87、SEQ ID NO:90、SEQ ID NO:91、SEQ ID NO:92、SEQ ID NO:93、SEQ ID NO:115、SEQ ID NO:116、SEQ ID NO:126、SEQ ID NO:127、SEQ ID NO:129、SEQ ID NO:132、SEQ ID NO:137、SEQ ID NO:138、SEQ ID NO:139、SEQ ID NO:140、SEQ ID NO:141、SEQ ID NO:142、SEQ ID NO:143、SEQ ID NO:144、SEQ ID NO:145、SEQ ID NO:159、SEQ ID NO:162又はSEQ ID NO:164である請求項67の方法。
【請求項77】
組成物中のペプチドの濃度は、約0.01μM〜約500μMである請求項67の方法。
【請求項78】
組成物の傷への投与工程は、局所投与、全身投与又は経皮投与にて行われる請求項67の方法。
【請求項79】
治療剤の活性を高める方法であって、組成物を調製することを含んでおり、組成物はペプチド及び治療剤を含み、ペプチドは、フェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基を含んでおり、ペプチドは、約5〜約23アミノ酸の長さであり、少なくとも約50%以上が、フェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基を含んでおり、それによって、組成物は、ペプチドを含まない治療剤単独の場合と比べて高い活性を有している方法。
【請求項80】
治療剤は、抗生剤、増殖因子、化学療法剤、抗菌剤、リゾチーム、キレート剤又はEDTAである請求項79の方法。
【請求項81】
ペプチドは約5〜約20アミノ酸の長さである請求項79の方法。
【請求項82】
ペプチドは約5〜約15アミノ酸の長さである請求項79の方法。
【請求項83】
ペプチドは約5〜約10アミノ酸の長さである請求項79の方法。
【請求項84】
ペプチドは約5アミノ酸の長さである請求項79の方法。
【請求項85】
ペプチドは本質的にフェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基から成る請求項79の方法。
【請求項86】
ペプチドはフェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基から成る請求項79の方法。
【請求項87】
ペプチドの第1アミノ酸はバリンである請求項79の方法。
【請求項88】
ペプチドは、少なくとも約70%以上が、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:126、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:84、SEQ ID NO:115又はSEQ ID NO:132と同一である請求項79の方法。
【請求項89】
座瘡を治療する方法であって、動物の皮膚に組成物を投与する投与工程を有し、組成物はペプチドを含んでおり、ペプチドは、フェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基を含み、約5〜約23アミノ酸の長さであり、少なくとも約50%以上は、フェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基を含んでいる方法。
【請求項90】
動物はヒトである請求項89の方法。
【請求項91】
ペプチドは約5〜約20アミノ酸の長さである請求項89の方法。
【請求項92】
ペプチドは約5〜約15アミノ酸の長さである請求項89の方法。
【請求項93】
ペプチドは約5〜約10アミノ酸の長さである請求項89の方法。
【請求項94】
ペプチドは約5アミノ酸の長さである請求項79の方法。
【請求項95】
ペプチドは本質的にフェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基から成る請求項89の方法。
【請求項96】
ペプチドはフェニルアラニン残基、ロイシン残基、アラニン残基及びリジン残基から成る請求項89の方法。
【請求項97】
ペプチドの第1アミノ酸はバリンである、請求項89の方法。
【請求項98】
ペプチドは、少なくとも約70%以上が、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:126、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:84、SEQ ID NO:115又はSEQ ID NO:132と同一である請求項89の方法。
【請求項99】
ペプチドは、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:59、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:61、SEQ ID NO:65、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:71、SEQ ID NO:74、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:77、SEQ ID NO:80、SEQ ID NO:81、SEQ ID NO:87、SEQ ID NO:90、SEQ ID NO:91、SEQ ID NO:92、SEQ ID NO:93、SEQ ID NO:115、SEQ ID NO:116、SEQ ID NO:126、SEQ ID NO:127、SEQ ID NO:129、SEQ ID NO:132、SEQ ID NO:137、SEQ ID NO:138、SEQ ID NO:139、SEQ ID NO:140、SEQ ID NO:141、SEQ ID NO:142、SEQ ID NO:143、SEQ ID NO:144、SEQ ID NO:145、SEQ ID NO:159、SEQ ID NO:162又はSEQ ID NO:164である請求項89の方法。
【請求項100】
組成物中のペプチドの濃度は、約0.01μM〜約500μMである請求項89の方法。

【公開番号】特開2009−137992(P2009−137992A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−4309(P2009−4309)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【分割の表示】特願2002−578411(P2002−578411)の分割
【原出願日】平成14年3月28日(2002.3.28)
【出願人】(503351951)ヘリックス バイオメディックス,インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】HELIX BIOMEDIX,INC.
【Fターム(参考)】