生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置
【課題】生物脱臭装置に充填した脱臭処理担体の全体を均一に確実に攪拌できるようにした生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置を提供すること。
【解決手段】脱臭処理槽１内の担体支持床２に充填する脱臭処理担体１０内を貫通するように配設した駆動軸３に攪拌ロッド５を設け、攪拌ロッド５の両先端に垂直方向にスクリュー式攪拌羽根６を旋回可能に取り付け、駆動軸３と共に攪拌ロッド５の旋回時、旋回駆動手段にてスクリュー式攪拌羽根６を回転させて脱臭処理担体１０を攪拌するようにする。
【解決手段】脱臭処理槽１内の担体支持床２に充填する脱臭処理担体１０内を貫通するように配設した駆動軸３に攪拌ロッド５を設け、攪拌ロッド５の両先端に垂直方向にスクリュー式攪拌羽根６を旋回可能に取り付け、駆動軸３と共に攪拌ロッド５の旋回時、旋回駆動手段にてスクリュー式攪拌羽根６を回転させて脱臭処理担体１０を攪拌するようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置に関し、特に、生物脱臭槽内に充填した脱臭処理担体の全体を均一に確実に攪拌できるようにした生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、生産工場や下水処理場等より生成排出される悪臭を伴うガス体は、脱臭処理を行った後、大気中へ放出するようにしている。この悪臭を伴うガス体は、例えば、メタンガス、硫化水素ガス、ＶＯＣ（揮発性有機化合物）ガス等を含有する場合が多いが、これらの悪臭を伴うガス体（以下、「処理ガス」という。）の脱臭処理は、例えば、図３に示すように、脱臭処理槽Ｔ内に所要量の脱臭処理機能を有する脱臭処理微生物の担体、例えば、セラミックスやプラスチック製の担体（以下、「脱臭処理担体」という。）を充填し、脱臭処理担体の圧密防止と処理ガス通過性能維持のために櫛状の攪拌棒Ｌをこの脱臭処理担体内に挿入し、かつ、該櫛状攪拌棒を回転させることで攪拌するようにし、この脱臭処理槽内に処理ガスを注入し、脱臭処理担体内の脱臭処理微生物を繁殖させて所要の脱臭処理を行うようにしている。
【０００３】
ところで、従来の櫛状攪拌棒を回転させる生物脱臭装置においては、櫛状攪拌棒を同一芯円に沿って旋回させるだけであるため、脱臭処理担体の攪拌性能が悪く、槽内全体を均一に、特に脱臭処理槽内底部及び表面部の脱臭処理担体の攪拌が十分に行うことができず、脱臭処理槽内底部で圧密が発生し、この脱臭処理担体の圧密による処理ガス通過損失が増大するとともに、この圧密により脱臭処理微生物の繁殖を阻害して脱臭処理能力が低下するという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
本発明は、生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置の有する問題点に鑑み、生物脱臭装置に充填した脱臭処理担体の全体を均一に確実に攪拌できるようにした生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
上記目的を達成するため、本発明の生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置は、脱臭処理槽内の担体支持床に充填する脱臭処理担体内を貫通するように配設した駆動軸に攪拌ロッドを設け、該攪拌ロッド両先端に垂直方向にスクリュー式攪拌羽根を旋回可能に取り付け、駆動軸と共に攪拌ロッドの旋回時、旋回駆動手段にてスクリュー式攪拌羽根を回転させて脱臭処理担体を攪拌するようにしたことを特徴とする。
【０００６】
この場合において、スクリュー式攪拌羽根を旋回可能に取り付けた攪拌ロッドを、脱臭処理槽内の担体支持床毎に配設することができる。
【０００７】
また、駆動軸に取り付ける攪拌ロッド両端の長を異なるようにし、短側端部に取り付けるスクリュー式攪拌羽根にて担体支持床の中央部を、長側端部に取り付けるスクリュー式攪拌羽根にて担体支持床の外周部を攪拌するようにすることができる。
【０００８】
また、スクリュー式攪拌羽根の旋回方向を、脱臭処理担体が担体支持床底部から掻き揚げられる方向となるようにすることができる。
【０００９】
また、スクリュー式攪拌羽根の旋回駆動手段を、担体支持床上方に配設固定した円形ラックに、各スクリュー式攪拌羽根軸端に固定したスプロケットとを噛合するようにすることができる。
【００１０】
また、攪拌ロッド両端に取り付けるスクリュー式攪拌羽根の旋回方向をそれぞれ異なるように設定することができる。
【発明の効果】
【００１１】
本発明の生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置によれば、脱臭処理槽内の担体支持床に充填する脱臭処理担体内を貫通するように配設した駆動軸に攪拌ロッドを設け、該攪拌ロッド両先端に垂直方向にスクリュー式攪拌羽根を旋回可能に取り付け、駆動軸と共に攪拌ロッドの旋回時、旋回駆動手段にてスクリュー式攪拌羽根を回転させて脱臭処理担体を攪拌することにより、攪拌ロッドの旋回でスクリュー式攪拌羽根を公転と自転させることができるので、担体支持床底部から表面部まで、また、担体支持床全域での脱臭処理担体を均一に確実に混合、攪拌することができる。
【００１２】
また、スクリュー式攪拌羽根を旋回可能に取り付けた攪拌ロッドを、脱臭処理槽内の担体支持床毎に配設することにより、脱臭処理槽内が多段式となっていても担体支持床全段においての脱臭処理担体の混合、攪拌を確実に行うことができる。
【００１３】
また、駆動軸に取り付ける攪拌ロッド両端の突出長を異なるようにし、短側端部に取り付けるスクリュー式攪拌羽根にて担体支持床の中央部を、長側端部に取り付けるスクリュー式攪拌羽根にて担体支持床の外周部を攪拌することにより、攪拌ロッドを旋回させるだけで担体支持床の全域における脱臭処理担体の混合、攪拌を確実に行うことができる。
【００１４】
また、スクリュー式攪拌羽根の旋回方向を、脱臭処理担体が担体支持床底部から表面側へと掻き揚げられる方向となるようにすることにより、担体支持床底部での脱臭処理担体の圧密を防止し、適正に処理状態を維持することができる。
【００１５】
また、スクリュー式攪拌羽根の旋回駆動手段を、担体支持床上方に配設固定した円形ラックに、各スクリュー式攪拌羽根軸端に固定したスプロケットとを噛合するようにすることにより、他の動力を用いることなく円形ラックに沿って移動することで円形ラックに噛合するスプロケットを介してスクリュー式攪拌羽根の公転と自転とを行わせて脱臭処理担体の混合、攪拌を行うことができる。
【００１６】
また、攪拌ロッド両端に取り付けるスクリュー式攪拌羽根の旋回方向をそれぞれ異なるように設定することにより、脱臭処理担体の混合と攪拌とを同時に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１７】
以下、本発明の生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例１】
【００１８】
図１〜図２に、本発明の生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置の一実施例を示す。
脱臭処理槽１は、特に限定されるものではないが、例えば、円筒形或いは角柱形に形成し、該脱臭処理槽１内を必要に応じて上下多段式に担体支持床２、２を配設するとともに、各担体支持床２の床板を望ましくは通気性を有するようにして、処理ガスが脱臭処理槽１内を底部から頂部に向かって流通できるようにする。
【００１９】
また、この脱臭処理槽１には、中央部を上下に貫通するように配設した駆動軸３の下端を軸受３１にて支持し、上端を駆動装置４と接続し、所要の回転数にて旋回するようにするとともに、該駆動軸３には各担体支持床２の段床位置に水平方向に突出するようにして攪拌ロッド５を取り付ける。
この場合、攪拌ロッド５の両端の突出長さを互いに異なるように、例えば、図２に示すように、一方の端を短く、他方の端を長くなるよう設定する。
そして、この短側端部５１と長側端部５２とに、それぞれスクリュー式攪拌羽根６、７を垂直方向になるよう、かつ攪拌ロッド端部にそれぞれ取り付けた軸受６１、７１を介して旋回可能に取り付ける。
また、攪拌ロッド５が駆動軸３と一体となって旋回する場合、攪拌ロッド５の短側端部５１に取り付けるスクリュー式攪拌羽根６にて担体支持床２の中央部の脱臭処理担体１０を、また長側端部５２に取り付けるスクリュー式攪拌羽根７にて担体支持床２の外周部の脱臭処理担体１０を攪拌するようにする。従って、攪拌ロッド５の両端部の突出長さは、上記の条件を満たすようにして設定される。
【００２０】
スクリュー式攪拌羽根６、７の旋回手段は、スクリュー式攪拌羽根軸端に固定したスプロケット６０、７０と、該スプロケット６０、７０と互いに噛合する円形ラック８とにより構成する。
この円形ラック８は、複数本のピンを円形に配列配置して形成した円形ピンラック式とすることができ、かつ担体支持床上方で脱臭処理担体１０と接触しない位置に配設固定するもので、特に限定されるものではないが、例えば、各段床上部に配設する円形ラック取付ステー９、９に固定的に取り付けるようにする。
【００２１】
そして、この円形ラック８の内周側に攪拌ロッド５の短側端部５１に取り付けるスクリュー式攪拌羽根６の軸端に取り付けたスプロケット６０と噛合し、また円形ラック５の外周側に長側端部５２に取り付けるスクリュー式攪拌羽根７の軸端に取り付けたスプロケット７０と噛合するようにする。
これにより、攪拌ロッド５が同一方向、例えば、反時計方向で旋回する場合、短側端部に取り付けるスクリュー式攪拌羽根６は時計方向に、長側端部に取り付けるスクリュー式攪拌羽根７は反時計方向に旋回（自転）するようにする。この場合、両スクリュー式攪拌羽根６、７の旋回数は一致させることも、或いは異なるようにすることもでき、これにより担体支持床上に充填された脱臭処理担体１０の攪拌をより均一に、より確実に混合、攪拌されるようにする。
なお、スクリュー式攪拌羽根６、７の旋回方向は限定されるものではないが、該スクリュー式攪拌羽根６、７の旋回、特に自転により、脱臭処理担体が担体支持床底部から表面側へと掻き揚げられる方向となるようにする。これにより、担体支持床底部での脱臭処理担体の圧密を防止し、適正に処理状態を維持することができる。
【００２２】
なお、担体支持床を多段式に配設する場合、各段床に配設する攪拌ロッド５は、図１に示すように、その突出長さが各段毎に交互に異なるように配置する。
【００２３】
また、処理ガスは、特に限定されるものではないが、例えば、脱臭処理槽１の底部の供給口（図示省略）から供給し、各段の担体支持床２を下段側から順次上段側へ流通して頂部に配設した排出口（図示省略）から排出されるようにし、さらには脱臭処理微生物の繁殖を促進するために、各段の担体支持床上方に栄養剤液を散水するノズル（図示省略）を配設するようにすることができる。
【００２４】
次に、本発明の生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置の作用について説明する。
脱臭処理槽１内の各段の担体支持床２に所要量の脱臭処理担体を充填し、駆動装置４の駆動にて駆動軸３を旋回駆動すると、該駆動軸３に各段床毎に突出するように取り付けた攪拌ロッド５も共に旋回する。
【００２５】
この場合、攪拌ロッド５の異長端となる両端にそれぞれ取り付けたスクリュー式攪拌羽根６、７のスプロケット６０、７０が、固定式の円形ラック８と噛合しているため、攪拌ロッド５の反時計方向の旋回動作に追従して円形ラック５の周回を反時計方向にスクリュー式攪拌羽根６、７が移動（公転）するとき、各スクリュー式攪拌羽根６、７が回転（自転）しつつ移動するようになる。
この場合、攪拌ロッド５の短側端部５１に取り付けたスプロケット６０は、円形ラック５に沿って反時計方向に公転しつつ、時計方向に自転するように回転し、これにより攪拌ロッド５の短側端部５１に取り付けたスクリュー式攪拌羽根６にて主に脱臭処理槽１内の中央部の脱臭処理担体の攪拌を行う。
【００２６】
また、攪拌ロッド５の長側端部５２に取り付けたスプロケット７０は、円形ラック５に沿って反時計方向に公転しつつ、反時計方向に自転するように回転し、これにより、攪拌ロッド５の長側端部５２に取り付けたスクリュー式攪拌羽根７にて主に脱臭処理槽１内の外周部の脱臭処理担体の攪拌を行う。
【００２７】
なお、このいずれのスクリュー式攪拌羽根６、７も公転しつつ自転する場合、脱臭処理槽１内の段床上に充填された脱臭処理担体の段床部より上方に掻き揚げられるよう攪拌されるので、担体支持床底部位置での圧密を防止するとともに、脱臭処理槽内全体の攪拌が均一に行われるものとなる。
【００２８】
以上、本発明の生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置について、実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【００２９】
本発明の生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置は、攪拌ロッドを旋回させることで攪拌ロッド両先端に取り付けたスクリュー式攪拌羽根を回転させて、生物脱臭槽内に充填した脱臭処理担体の全体を均一に確実に攪拌できるという特性を有していることから、生物脱臭装置の用途に好適に用いることができるほか、例えば、ＶＯＣガス処理装置の用途にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【００３０】
【図１】本発明の生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置の一実施例を示す正面縦断面図である。
【図２】同生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置を示し、（ａ）は要部の拡大平面図、（ｂ）は要部の拡大正面図である。
【図３】従来の生物脱臭装置の正面縦断面図である。
【符号の説明】
【００３１】
１ 脱臭処理槽
２ 担体支持床
３ 駆動軸
４ 駆動装置
５ 攪拌ロッド
５１ 攪拌ロッドの短側端部
５２ 攪拌ロッドの長側端部
６ スクリュー式攪拌羽根
６０ スプロケット
６１ 軸受
７ スクリュー式攪拌羽根
７０ スプロケット
７１ 軸受
８ 円形ラック
９ 円形ラック取付ステー
１０ 脱臭処理担体
【技術分野】
【０００１】
本発明は、生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置に関し、特に、生物脱臭槽内に充填した脱臭処理担体の全体を均一に確実に攪拌できるようにした生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、生産工場や下水処理場等より生成排出される悪臭を伴うガス体は、脱臭処理を行った後、大気中へ放出するようにしている。この悪臭を伴うガス体は、例えば、メタンガス、硫化水素ガス、ＶＯＣ（揮発性有機化合物）ガス等を含有する場合が多いが、これらの悪臭を伴うガス体（以下、「処理ガス」という。）の脱臭処理は、例えば、図３に示すように、脱臭処理槽Ｔ内に所要量の脱臭処理機能を有する脱臭処理微生物の担体、例えば、セラミックスやプラスチック製の担体（以下、「脱臭処理担体」という。）を充填し、脱臭処理担体の圧密防止と処理ガス通過性能維持のために櫛状の攪拌棒Ｌをこの脱臭処理担体内に挿入し、かつ、該櫛状攪拌棒を回転させることで攪拌するようにし、この脱臭処理槽内に処理ガスを注入し、脱臭処理担体内の脱臭処理微生物を繁殖させて所要の脱臭処理を行うようにしている。
【０００３】
ところで、従来の櫛状攪拌棒を回転させる生物脱臭装置においては、櫛状攪拌棒を同一芯円に沿って旋回させるだけであるため、脱臭処理担体の攪拌性能が悪く、槽内全体を均一に、特に脱臭処理槽内底部及び表面部の脱臭処理担体の攪拌が十分に行うことができず、脱臭処理槽内底部で圧密が発生し、この脱臭処理担体の圧密による処理ガス通過損失が増大するとともに、この圧密により脱臭処理微生物の繁殖を阻害して脱臭処理能力が低下するという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
本発明は、生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置の有する問題点に鑑み、生物脱臭装置に充填した脱臭処理担体の全体を均一に確実に攪拌できるようにした生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
上記目的を達成するため、本発明の生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置は、脱臭処理槽内の担体支持床に充填する脱臭処理担体内を貫通するように配設した駆動軸に攪拌ロッドを設け、該攪拌ロッド両先端に垂直方向にスクリュー式攪拌羽根を旋回可能に取り付け、駆動軸と共に攪拌ロッドの旋回時、旋回駆動手段にてスクリュー式攪拌羽根を回転させて脱臭処理担体を攪拌するようにしたことを特徴とする。
【０００６】
この場合において、スクリュー式攪拌羽根を旋回可能に取り付けた攪拌ロッドを、脱臭処理槽内の担体支持床毎に配設することができる。
【０００７】
また、駆動軸に取り付ける攪拌ロッド両端の長を異なるようにし、短側端部に取り付けるスクリュー式攪拌羽根にて担体支持床の中央部を、長側端部に取り付けるスクリュー式攪拌羽根にて担体支持床の外周部を攪拌するようにすることができる。
【０００８】
また、スクリュー式攪拌羽根の旋回方向を、脱臭処理担体が担体支持床底部から掻き揚げられる方向となるようにすることができる。
【０００９】
また、スクリュー式攪拌羽根の旋回駆動手段を、担体支持床上方に配設固定した円形ラックに、各スクリュー式攪拌羽根軸端に固定したスプロケットとを噛合するようにすることができる。
【００１０】
また、攪拌ロッド両端に取り付けるスクリュー式攪拌羽根の旋回方向をそれぞれ異なるように設定することができる。
【発明の効果】
【００１１】
本発明の生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置によれば、脱臭処理槽内の担体支持床に充填する脱臭処理担体内を貫通するように配設した駆動軸に攪拌ロッドを設け、該攪拌ロッド両先端に垂直方向にスクリュー式攪拌羽根を旋回可能に取り付け、駆動軸と共に攪拌ロッドの旋回時、旋回駆動手段にてスクリュー式攪拌羽根を回転させて脱臭処理担体を攪拌することにより、攪拌ロッドの旋回でスクリュー式攪拌羽根を公転と自転させることができるので、担体支持床底部から表面部まで、また、担体支持床全域での脱臭処理担体を均一に確実に混合、攪拌することができる。
【００１２】
また、スクリュー式攪拌羽根を旋回可能に取り付けた攪拌ロッドを、脱臭処理槽内の担体支持床毎に配設することにより、脱臭処理槽内が多段式となっていても担体支持床全段においての脱臭処理担体の混合、攪拌を確実に行うことができる。
【００１３】
また、駆動軸に取り付ける攪拌ロッド両端の突出長を異なるようにし、短側端部に取り付けるスクリュー式攪拌羽根にて担体支持床の中央部を、長側端部に取り付けるスクリュー式攪拌羽根にて担体支持床の外周部を攪拌することにより、攪拌ロッドを旋回させるだけで担体支持床の全域における脱臭処理担体の混合、攪拌を確実に行うことができる。
【００１４】
また、スクリュー式攪拌羽根の旋回方向を、脱臭処理担体が担体支持床底部から表面側へと掻き揚げられる方向となるようにすることにより、担体支持床底部での脱臭処理担体の圧密を防止し、適正に処理状態を維持することができる。
【００１５】
また、スクリュー式攪拌羽根の旋回駆動手段を、担体支持床上方に配設固定した円形ラックに、各スクリュー式攪拌羽根軸端に固定したスプロケットとを噛合するようにすることにより、他の動力を用いることなく円形ラックに沿って移動することで円形ラックに噛合するスプロケットを介してスクリュー式攪拌羽根の公転と自転とを行わせて脱臭処理担体の混合、攪拌を行うことができる。
【００１６】
また、攪拌ロッド両端に取り付けるスクリュー式攪拌羽根の旋回方向をそれぞれ異なるように設定することにより、脱臭処理担体の混合と攪拌とを同時に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１７】
以下、本発明の生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例１】
【００１８】
図１〜図２に、本発明の生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置の一実施例を示す。
脱臭処理槽１は、特に限定されるものではないが、例えば、円筒形或いは角柱形に形成し、該脱臭処理槽１内を必要に応じて上下多段式に担体支持床２、２を配設するとともに、各担体支持床２の床板を望ましくは通気性を有するようにして、処理ガスが脱臭処理槽１内を底部から頂部に向かって流通できるようにする。
【００１９】
また、この脱臭処理槽１には、中央部を上下に貫通するように配設した駆動軸３の下端を軸受３１にて支持し、上端を駆動装置４と接続し、所要の回転数にて旋回するようにするとともに、該駆動軸３には各担体支持床２の段床位置に水平方向に突出するようにして攪拌ロッド５を取り付ける。
この場合、攪拌ロッド５の両端の突出長さを互いに異なるように、例えば、図２に示すように、一方の端を短く、他方の端を長くなるよう設定する。
そして、この短側端部５１と長側端部５２とに、それぞれスクリュー式攪拌羽根６、７を垂直方向になるよう、かつ攪拌ロッド端部にそれぞれ取り付けた軸受６１、７１を介して旋回可能に取り付ける。
また、攪拌ロッド５が駆動軸３と一体となって旋回する場合、攪拌ロッド５の短側端部５１に取り付けるスクリュー式攪拌羽根６にて担体支持床２の中央部の脱臭処理担体１０を、また長側端部５２に取り付けるスクリュー式攪拌羽根７にて担体支持床２の外周部の脱臭処理担体１０を攪拌するようにする。従って、攪拌ロッド５の両端部の突出長さは、上記の条件を満たすようにして設定される。
【００２０】
スクリュー式攪拌羽根６、７の旋回手段は、スクリュー式攪拌羽根軸端に固定したスプロケット６０、７０と、該スプロケット６０、７０と互いに噛合する円形ラック８とにより構成する。
この円形ラック８は、複数本のピンを円形に配列配置して形成した円形ピンラック式とすることができ、かつ担体支持床上方で脱臭処理担体１０と接触しない位置に配設固定するもので、特に限定されるものではないが、例えば、各段床上部に配設する円形ラック取付ステー９、９に固定的に取り付けるようにする。
【００２１】
そして、この円形ラック８の内周側に攪拌ロッド５の短側端部５１に取り付けるスクリュー式攪拌羽根６の軸端に取り付けたスプロケット６０と噛合し、また円形ラック５の外周側に長側端部５２に取り付けるスクリュー式攪拌羽根７の軸端に取り付けたスプロケット７０と噛合するようにする。
これにより、攪拌ロッド５が同一方向、例えば、反時計方向で旋回する場合、短側端部に取り付けるスクリュー式攪拌羽根６は時計方向に、長側端部に取り付けるスクリュー式攪拌羽根７は反時計方向に旋回（自転）するようにする。この場合、両スクリュー式攪拌羽根６、７の旋回数は一致させることも、或いは異なるようにすることもでき、これにより担体支持床上に充填された脱臭処理担体１０の攪拌をより均一に、より確実に混合、攪拌されるようにする。
なお、スクリュー式攪拌羽根６、７の旋回方向は限定されるものではないが、該スクリュー式攪拌羽根６、７の旋回、特に自転により、脱臭処理担体が担体支持床底部から表面側へと掻き揚げられる方向となるようにする。これにより、担体支持床底部での脱臭処理担体の圧密を防止し、適正に処理状態を維持することができる。
【００２２】
なお、担体支持床を多段式に配設する場合、各段床に配設する攪拌ロッド５は、図１に示すように、その突出長さが各段毎に交互に異なるように配置する。
【００２３】
また、処理ガスは、特に限定されるものではないが、例えば、脱臭処理槽１の底部の供給口（図示省略）から供給し、各段の担体支持床２を下段側から順次上段側へ流通して頂部に配設した排出口（図示省略）から排出されるようにし、さらには脱臭処理微生物の繁殖を促進するために、各段の担体支持床上方に栄養剤液を散水するノズル（図示省略）を配設するようにすることができる。
【００２４】
次に、本発明の生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置の作用について説明する。
脱臭処理槽１内の各段の担体支持床２に所要量の脱臭処理担体を充填し、駆動装置４の駆動にて駆動軸３を旋回駆動すると、該駆動軸３に各段床毎に突出するように取り付けた攪拌ロッド５も共に旋回する。
【００２５】
この場合、攪拌ロッド５の異長端となる両端にそれぞれ取り付けたスクリュー式攪拌羽根６、７のスプロケット６０、７０が、固定式の円形ラック８と噛合しているため、攪拌ロッド５の反時計方向の旋回動作に追従して円形ラック５の周回を反時計方向にスクリュー式攪拌羽根６、７が移動（公転）するとき、各スクリュー式攪拌羽根６、７が回転（自転）しつつ移動するようになる。
この場合、攪拌ロッド５の短側端部５１に取り付けたスプロケット６０は、円形ラック５に沿って反時計方向に公転しつつ、時計方向に自転するように回転し、これにより攪拌ロッド５の短側端部５１に取り付けたスクリュー式攪拌羽根６にて主に脱臭処理槽１内の中央部の脱臭処理担体の攪拌を行う。
【００２６】
また、攪拌ロッド５の長側端部５２に取り付けたスプロケット７０は、円形ラック５に沿って反時計方向に公転しつつ、反時計方向に自転するように回転し、これにより、攪拌ロッド５の長側端部５２に取り付けたスクリュー式攪拌羽根７にて主に脱臭処理槽１内の外周部の脱臭処理担体の攪拌を行う。
【００２７】
なお、このいずれのスクリュー式攪拌羽根６、７も公転しつつ自転する場合、脱臭処理槽１内の段床上に充填された脱臭処理担体の段床部より上方に掻き揚げられるよう攪拌されるので、担体支持床底部位置での圧密を防止するとともに、脱臭処理槽内全体の攪拌が均一に行われるものとなる。
【００２８】
以上、本発明の生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置について、実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【００２９】
本発明の生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置は、攪拌ロッドを旋回させることで攪拌ロッド両先端に取り付けたスクリュー式攪拌羽根を回転させて、生物脱臭槽内に充填した脱臭処理担体の全体を均一に確実に攪拌できるという特性を有していることから、生物脱臭装置の用途に好適に用いることができるほか、例えば、ＶＯＣガス処理装置の用途にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【００３０】
【図１】本発明の生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置の一実施例を示す正面縦断面図である。
【図２】同生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置を示し、（ａ）は要部の拡大平面図、（ｂ）は要部の拡大正面図である。
【図３】従来の生物脱臭装置の正面縦断面図である。
【符号の説明】
【００３１】
１ 脱臭処理槽
２ 担体支持床
３ 駆動軸
４ 駆動装置
５ 攪拌ロッド
５１ 攪拌ロッドの短側端部
５２ 攪拌ロッドの長側端部
６ スクリュー式攪拌羽根
６０ スプロケット
６１ 軸受
７ スクリュー式攪拌羽根
７０ スプロケット
７１ 軸受
８ 円形ラック
９ 円形ラック取付ステー
１０ 脱臭処理担体
【特許請求の範囲】
【請求項１】
脱臭処理槽内の担体支持床に充填する脱臭処理担体内を貫通するように配設した駆動軸に攪拌ロッドを設け、該攪拌ロッド両先端に垂直方向にスクリュー式攪拌羽根を旋回可能に取り付け、駆動軸と共に攪拌ロッドの旋回時、旋回駆動手段にてスクリュー式攪拌羽根を回転させて脱臭処理担体を攪拌するようにしたことを特徴とする生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置。
【請求項２】
スクリュー式攪拌羽根を旋回可能に取り付けた攪拌ロッドを、脱臭処理槽内の担体支持床毎に配設したことを特徴とする請求項１記載の生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置。
【請求項３】
駆動軸に取り付ける攪拌ロッド両端の長を異なるようにし、短側端部に取り付けるスクリュー式攪拌羽根にて担体支持床の中央部を、長側端部に取り付けるスクリュー式攪拌羽根にて担体支持床の外周部を攪拌するようしたことを特徴とする請求項１又は２記載の生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置。
【請求項４】
スクリュー式攪拌羽根の旋回方向を、脱臭処理担体が担体支持床底部から掻き揚げられる方向となるようにしたことを特徴とする請求項１、２又は３記載の生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置。
【請求項５】
スクリュー式攪拌羽根の旋回駆動手段を、担体支持床上方に配設固定した円形ラックに、各スクリュー式攪拌羽根軸端に固定したスプロケットとを噛合するようにしたことを特徴とする請求項１、２、３又は４記載の生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置。
【請求項６】
攪拌ロッド両端に取り付けるスクリュー式攪拌羽根の旋回方向をそれぞれ異なるように設定したことを特徴とする請求項１、２、３、４又は５記載の生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置。
【請求項１】
脱臭処理槽内の担体支持床に充填する脱臭処理担体内を貫通するように配設した駆動軸に攪拌ロッドを設け、該攪拌ロッド両先端に垂直方向にスクリュー式攪拌羽根を旋回可能に取り付け、駆動軸と共に攪拌ロッドの旋回時、旋回駆動手段にてスクリュー式攪拌羽根を回転させて脱臭処理担体を攪拌するようにしたことを特徴とする生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置。
【請求項２】
スクリュー式攪拌羽根を旋回可能に取り付けた攪拌ロッドを、脱臭処理槽内の担体支持床毎に配設したことを特徴とする請求項１記載の生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置。
【請求項３】
駆動軸に取り付ける攪拌ロッド両端の長を異なるようにし、短側端部に取り付けるスクリュー式攪拌羽根にて担体支持床の中央部を、長側端部に取り付けるスクリュー式攪拌羽根にて担体支持床の外周部を攪拌するようしたことを特徴とする請求項１又は２記載の生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置。
【請求項４】
スクリュー式攪拌羽根の旋回方向を、脱臭処理担体が担体支持床底部から掻き揚げられる方向となるようにしたことを特徴とする請求項１、２又は３記載の生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置。
【請求項５】
スクリュー式攪拌羽根の旋回駆動手段を、担体支持床上方に配設固定した円形ラックに、各スクリュー式攪拌羽根軸端に固定したスプロケットとを噛合するようにしたことを特徴とする請求項１、２、３又は４記載の生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置。
【請求項６】
攪拌ロッド両端に取り付けるスクリュー式攪拌羽根の旋回方向をそれぞれ異なるように設定したことを特徴とする請求項１、２、３、４又は５記載の生物脱臭装置における脱臭処理担体の攪拌装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２００８−２９００３５（Ｐ２００８−２９００３５Ａ）
【公開日】平成２０年１２月４日（２００８．１２．４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１４００６９（Ｐ２００７−１４００６９）
【出願日】平成１９年５月２８日（２００７．５．２８）
【出願人】（０００００５４５２）株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年１２月４日（２００８．１２．４）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年５月２８日（２００７．５．２８）
【出願人】（０００００５４５２）株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Ｆターム（参考）】
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