説明

生理用ショーツ

【課題】ショーツに取り付けられた状態での吸収性物品のフィット性が向上した生理用ショーツを提供すること。
【解決手段】吸収性物品が股下部4に取り付けられて使用される生理用ショーツ1であって、股下部4には立体形状を有する保形片7が配置固定されている。保形片7は、その厚み方向に頂部を一ヵ所有する。保形片7の水平方向の断面形状は、底面近傍をのぞく部分の全ての断面において曲線で形成されている。頂部は着用者の股下部に向くように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキンやパンティライナなどの吸収性物品が固定されて着用される生理用ショーツに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は先に特許文献1において、股下部に吸収性物品の形状を変形させるに足る立体形状を有する立体片が取り付けられている生理用ショーツを提案した。この生理用ショーツによれば、吸収性物品の保持安定性に優れるとともに、生理用ショーツに取り付けられた吸収性物品の身体へのフィット性が向上する。
【0003】
【特許文献1】特開2003−171802号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、近年、吸収性物品着用時の快適性を求める要求が強くなってきている。そのため、特許文献1記載の生理用ショーツよりも吸収性物品を着用者の股下部の形状に一層フィットさせることができる生理用ショーツが求められている。
【0005】
従って、本発明の目的は、ショーツに取り付けられた状態での吸収性物品のフィット性がより向上した生理用ショーツを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、吸収性物品が股下部に取り付けられて使用される生理用ショーツであって、前記股下部には、立体形状を有する保形片が配置固定されており、該保形片は、その厚み方向に頂部を一ヵ所有し、その水平方向の断面形状は、底面近傍を除く部分の全ての断面において曲線で形成されており、該頂部が着用者の股下部に向くように配置されている生理用ショーツを提供することにより前記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の生理用ショーツによれば、ショーツに取り付けられた状態での吸収性物品の身体へのフィット性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の生理用ショーツの好ましい一実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態の生理用ショーツ1は、股下部4(以下、単に股下部という時には、生理用ショーツの股下部を表す)に、立体形状を有する保形片7が配置固定されている。該保形片7は、その厚み方向に頂部Aを一ヵ所有し、その水平方向の断面形状は、底面近傍を除く部分の全ての断面において曲線で形成されている。該頂部Aは、着用者の股下部に向くように配置されている。
【0009】
本実施形態の生理用ショーツ1についてさらに説明すると、本実施形態の生理用ショーツ1は、生理用ナプキンやパンティライナなどの吸収性物品が固定されて着用されるものであり、図1に示すように、前身頃2、後身頃3、及び該前身頃2と該後見頃3との間に位置する股下部4からなる。前記前身頃2及び前記後見頃3は何れも一枚の布から構成されている。一方、前記股下部4は、前記生理用ショーツ1の外面側に位置する外側股下布5と、内面側に位置する内側股下布6との2枚重ねとなっている。
【0010】
上記各布は、図1に示すように、互いに縫合されて前記生理用ショーツ1を構成している。各布は、肌触りが良く、通気性及び吸湿性が高いことが好ましく、これらの点から綿を主体とする素材から構成されていることが好ましい。また各布は、着用者の身体とのフィット性を高める点から、縦横方向に伸縮性を有していることが好ましく、この点からポリウレタン繊維等のエラストマー繊維を少量含んでいることが好ましい。
【0011】
前記外側股下布5と前記内側股下布6とは同形をしており、それらの左右両側縁が互いに縫合されている。該内側股下布6における外側股下布対向面には、防水処理が施されている。例えばシリコン系やフッ素系の撥水剤で処理したり、ポリフッ化エチレン、有孔性ポリウレタン、無孔性ポリウレタン、無孔性ポリエチレン等の材料からなる撥水性のシートを複合化することで防水処理を施すことができる。
【0012】
本実施形態における前記保形片7の形状は、図3に示すように、楕円錐様形状であり、底面形状は長方形である。前記頂部Aは、保形片7の幅方向中央であって長手方向中央よりもやや後方に位置している。保形片7の頂部Aを通る垂直方向の断面形状は、図4及び図5に示すように、何れの断面においても頂部Aを頂点とし、底面を底辺とする略三角形状であり、その2つの斜辺は緩やかに下向きに湾曲している。頂部Aの形状は、凸曲面のドーム状をしている。また、保形片7の水平方向の断面形状は、図6に示すように、底面近傍の部分を除いて円形又は楕円形をしている。このように、本実施形態の保形片7は、図3に示すように、その周側面が一つの凹曲面で形成された錐体形状をしている。
尚、本明細書中で「底面近傍」とは、底面からの厚みが7mm以下の部分をいう。
【0013】
本実施形態においては、前記保形片7は、図7に示すように、前記外側股下布5と前記内側股下布6との間に配置されており、縫合糸10による縫い合わせによって内側股下布6に固定されている。保形片7は、図2に示すように、頂部Aが股下最下端部8よりも後方に位置するように配置されている。
【0014】
前記保形片7の前記頂部Aにおける厚み方向の剛性値は、着用時に生理用ショーツ1に固定された吸収性物品の形状を変化させ、着用者の股下部の形状にフィットさせる観点から、好ましくは30〜500g、更に好ましくは50〜300gである。剛性値が30g未満であると着用時に着用者の体圧によって潰れてしまい、生理用ショーツ1に固定された吸収性物品の形状を変化させられないおそれがある。また、500gより大きいと、着用者の股下部の形状へのフィット性が低下するとともに着用者が違和感を感じるおそれがある。
【0015】
尚、上記の「剛性値」は、直径10mmの圧端子を保形片7の頂部Aに合わせ、厚み方向に3mm圧縮し、その位置で圧端子を停止させ、1分間放置してその時の荷重を測定して求める。
【0016】
前記保形片7の前記頂部Aにおける厚みは、着用時に生理用ショーツ1に固定された吸収性物品の形状を変化させ、着用者の股下部の形状にフィットさせる観点から、好ましくは5〜20mm、更に好ましくは8〜15mmである。保形片7の長手方向の長さは、好ましくは30〜100mm、更に好ましくは40〜80mmである。保形片7の幅方向の長さは、好ましくは20〜50mm、更に好ましくは20〜40mmである。
【0017】
保形片7は、生理用ショーツ1に取り付けられるものであるため、軽量で且つ風合いが良好であることが好ましい。これらの観点から、保形片7は、発泡体、各種織地、不織布、合成樹脂などから構成されていることが好ましい。本実施形態においては、保形片7は天然ゴムラテックスの発泡体で構成されている。
【0018】
本実施形態の生理用ショーツ1は、その股下部内側に生理用ナプキン等の吸収性物品を固定して着用される(図1参照。但し、吸収性物品は図示せず)。そして、着用時には吸収性物品の肌当接面が排泄部及び臀部を含む股下部に当接される。この際、保形片7が吸収性物品の形状を、着用者の股下部の形状に合致するように変化させる。
【0019】
本実施形態の生理用ショーツ1によれば、保形片7は、図4に示すように、頂部Aを一ヵ所のみ有する立体形状であるため、着用者の脚部の動きを妨げることなく、生理用ショーツ1に取り付けられた吸収性物品の着用者の股下部へのフィット性を向上させることができる。また保形片7の水平方向の断面形状が曲線で形成され、保形片7の周側面が一つの曲面で形成されていることにより着用者の股下部へのフィット性が向上するとともに、吸収性物品が取り付けられた生理用ショーツ1の着用時に、着用者に保形片7の存在による違和感を生じさせることがない。また、保形片7の周側面が凹曲面形状をしていることで、微小な変形には沿い易く、大きな変形には適度な反発を生じさせるため、着用者の股下部、特に排泄部後方の臀部の隙間の形状に沿いやすくなる。
【0020】
また、本実施形態の生理用ショーツ1では、保形片7が上記形状をしていることに起因して、該保形片7は、長手方向及び幅方向から圧力を受けた時に頂部Aに力が集中し、該頂部Aの形状が変形しにくい。従って、生理用ショーツ1の着用時の脚部の動きによって、保形片7に長手方向及び幅方向から圧力が加わった場合にも、頂部Aの形状が安定的に維持されるため、フィット性が阻害されにくい。
【0021】
また、本実施形態の生理用ショーツ1では、頂部Aが股下部4の股下最下端部8より後方にある。そのため、吸収性物品の着用時に生じ易い排泄部後方の臀部の隙間におけるフィット性を向上させることができる。即ち、生理用ナプキンの形状だけでは十分にフィットしない部分を、保形片7を有する本実施形態の生理用ショーツ1によってフィットさせることができる。
【0022】
更に、本実施形態の生理用ショーツ1では、頂部Aの厚み方向の剛性値が30〜500gとなっていることで、生理用ショーツ1の着用時に生理用ショーツ1に固定された吸収性物品の形状を変化させ、着用者の股下部の形状にフィットさせるとともに着用者が保形片7の存在によって違和感を生じることを防止できる。
【0023】
次に、本発明の生理用ショーツの別の実施形態について説明する。別の実施形態については、図1に示す実施形態とは異なる点を中心に説明し、同じ点については説明を省略する。従って、別の実施形態については、図1に示す実施形態の説明が適宜適用される。本発明の別の実施形態の生理用ショーツ1に用いられる保形片7は、図8に示すように、頂部Aが保形片7の幅方向及び長手方向の中央に位置しており、この点で図3に示す保形片と異なる。このような形状の保形片7を備えた別の実施形態の生理用ショーツ1によれば、着用時にショーツに取り付けられた吸収性物品と排泄部とのフィット性が特に向上する。
【0024】
吸収性物品の種類によっては、初めから、その肌当接面側の排泄部対向部に立体形状が形成されていて、着用者の身体とのフィット性を向上させるようにしたものもあるが、そのような吸収性物品は構造が複雑であり、価格が高いものとなりがちである。これに対して、別の実施形態の保形片7を用いた本発明の生理用ショーツ1を用いれば、価格が高くなく、肌当接面側が平坦な構造の吸収性物品を用いても、立体形状が形成されている吸収性物品と同様のフィット性を実現できる。
【0025】
本発明の生理用ショーツ1は、前述した二つの実施形態に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
例えば前述の二つの実施形態においては、保形片7は内側の布に固着されていたが、これに代えて保形片7を外側の布に固着してもよく、或いは内側及び外側の布の双方に固着してもよい。固定の方法は縫い合わせに限られず、例えば接着剤を用いた接着でもよい。
【0026】
また保形片7の周側面は凹曲面形状に限られず、凹曲面及び凸曲面の両曲面を有していてもよく、この際、凸曲面は、頂部A付近に形成されていてもよい。また、頂部Aの形状は、実施形態の形状に限らず、着用者の股下部に向けて凸曲面の形状であればよい。また、保形片7の水平方向の断面形状は、円形や楕円形に限られず、曲線で形成され、角を有していない形状であればよい。また、保形片7の立体形状は、楕円錐様形状に限られず、円錐様形状等であってもよい。
【0027】
また、本実施形態においては、保形片7は、長手方向中央部が前記股下部4の前記股下最下端部8に位置するように固定されていたが、該保形片7が固定される部位は、股下部4の後方寄りであってもよい。
【0028】
また、本発明の生理用ショーツに固定される吸収性物品としては、生理用ナプキンが典型的であるが、その他の吸収性物品、例えばパンティライナや失禁パッドなどであってもよい。これらの吸収性物品は、ショーツ固定用のウイング部を有するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明の生理用ショーツの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示すショーツを展開して内側から見た状態を示す平面図である。
【図3】図3は、保形片の一実施形態を示す斜視図である。
【図4】図4は、図3に示す保形片の頂部Aを通る長手方向の垂直断面図である。
【図5】図5は、図3に示す保形片の頂部Aを通る幅方向の垂直断面図である。
【図6】図6は、図4におけるY−Y線断面図である。
【図7】図7は、図2におけるX−X線断面図である。
【図8】図8は、保形片の別の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1 生理用ショーツ
2 前身頃
3 後身頃
4 股下部
5 外側股下布
6 内側股下布
7 保形片
8 股下最下端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品が股下部に取り付けられて使用される生理用ショーツであって、
前記股下部には、立体形状を有する保形片が配置固定されており、該保形片は、その厚み方向に頂部を一ヵ所有し、その水平方向の断面形状は、底面近傍を除く部分の全ての断面において曲線で形成されており、該頂部が着用者の股下部に向くように配置されている生理用ショーツ。
【請求項2】
前記保形片は錐体形状でその周側面は凹曲面をしている請求項1記載の生理用ショーツ。
【請求項3】
前記保形片は、前記頂部が前記股下部の股下最下端部よりも後方に位置するように配置されている請求項1又は2記載の生理用ショーツ。
【請求項4】
前記保形片は、前記頂部での厚み方向の剛性値が30〜500gである請求項1ないし3の何れかに記載の生理用ショーツ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−73245(P2008−73245A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−256281(P2006−256281)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】