説明

生花の収納袋

【課題】生花の取出し性を極力維持しつつ、収納袋に生花を取扱性良く収納することにある。
【解決手段】二枚重ねのフィルム14f,14sの両側部を一体化してなるとともに、頂部側の第一開口部と、頂部側よりも幅狭とされた底部側の第二開口部12を有する生花2の収納袋10であって、収納袋10の幅方向に延びる線状の分割部を、二枚重ねのフィルムの一方14fにのみ設けて、一方のフィルム14fの分割部から頂部までの部分14aを除去可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生花の収納袋に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の生花の収納袋として、特許文献1に開示の収納袋が公知である。この収納袋は、略台形状(正面視)の袋体であり、第一開口部と、第二開口部と、複数の分割部(第一分割部,第二分割部)と、吊り部を有する。
第一開口部は、収納袋の頂部側に形成されており、第二開口部は、頂部側よりも幅狭の底部側に形成される。そして第一開口部から生花を挿入しつつ、第二開口部から生花の茎を突出させる。
【0003】
ここで収納袋は、一対のフィルム(ポリプロピレン製)を重ね合わせたのち、両フィルムの側部を融着することで作製される。
公知技術では、第一分割部(ミシン目状)を、一対のフィルム(双方)の中間位置に形成しつつ、収納袋の幅方向に延設する。そして第一分割部にて収納袋(全体)を上下に分割することにより、収納袋から生花をスムーズに取出すことができる。
【0004】
また吊り部は、壁体から収納袋を吊り下げるための部位であり、収納袋の上部に設けることができる。公知技術では、一方のフィルムの頂部側を、他方のフィルムよりも長くして、吊り部(略長方形状)を形成できる。吊り部には貫通孔が形成されており、例えば吊り下げ用の棒部材を挿入可能である。
公知技術では、第二分割部(ミシン目状)を、一方のフィルムの頂部側に形成して、収納袋本体(一対のフィルムが重ねられた部分)から吊り部を分割可能とする。そして複数の収納袋を束ねつつ、各収納袋の吊り部に棒部材を挿入して壁体から吊下げる。つぎに収納袋(本体)を引っ張りつつ、第二分割部にて吊り部から分割することで、収納袋を個々に取出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−218200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで公知技術では、第一分割部にて、収納袋を上下に分割可能である。このため生花の収納時などに、第一分割部に生花が引っかかるなどして、収納袋が上下に分割されることがあった(取扱性にやや劣る構成であった)。
特に公知技術の構成では、吊り下げ状態の収納袋を引っ張る際に、第一分割部が分断されるなどして、収納袋が上下に分割されることもあった。
もっとも第一分割部を省略すればよいが、そうすると収納袋から生花をスムーズに取出すことができない(取出し性にやや欠ける構成となる)。
本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、生花の取出し性を極力維持しつつ、収納袋に生花を取扱性良く収納することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段として、第1発明の生花の収納袋は、二枚重ねのフィルムの両側部を一体化してなるとともに、頂部側の第一開口部と、頂部側よりも幅狭とされた底部側の第二開口部を有する。
そして第一開口部から生花を挿入しつつ、第二開口部から生花の茎を突出等させるのであるが、この種の構成では、生花の取出し性を極力維持しつつ、収納袋に生花を取扱性良く収納できることが望ましい。
【0008】
そこで本発明では、収納袋の幅方向に延びる線状の分割部を、二枚重ねのフィルムの一方にのみ設けて、一方のフィルムの分割部から頂部までの部分を除去可能とした。
本発明では、第一開口部から生花を挿入しつつ、二枚重ねのフィルムの他方(分割部の非形成箇所)に沿って生花をスムーズに第二開口部に導くことができる。
また一方のフィルムの分割部から頂部までの部分を除去することで、収納袋から生花をスムーズに取出すことができる(生花の取出し性を好適に維持できる)。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る第1発明によれば、生花の取出し性を極力維持しつつ、収納袋に生花を取扱性良く収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)は、収納袋の正面図であり、(b)は、収納袋の裏面図である。
【図2】吊り下げ状態時における収納袋の束の斜視図である。
【図3】生花を取出す際の収納袋の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図3を参照して説明する。各図には、収納袋の上方に符号UP、収納袋の下方に符号DWを適宜付す。なお図3では、便宜上、一つの生花にのみ符号を付す。
【0012】
図1の収納袋10は、略台形状(正面視)の袋体であり、第一開口部11と、第二開口部12を有する。
第一開口部11は、収納袋10の頂部側(上端)に形成されており、第二開口部12は、頂部側よりも幅狭の底部側(下端)に形成される。
本実施例では、例えば第一開口部11から生花2を挿入しつつ、第二開口部12から生花2の茎を突出させる(図3を参照)。この種の収納袋10では、生花2の取出し性を極力維持しつつ、収納袋10に生花2を取扱性良く収納できることが望ましい。
そこで本実施例では、後述の構成により、生花2の取出し性を極力維持しつつ、収納袋10に生花2を取扱性良く収納することとした。以下、各構成について詳述する。
【0013】
収納袋10は、一対のフィルム(表フィルム14f,裏フィルム14s)を重ね合わせたのち、両フィルムの側部(一側部15f、他側部15s)を一体化することで作製できる(図1を参照)。
表フィルム14fと裏フィルム14sは、ともに略台形状(正面視)のシート体であり、透明又は半透明(典型的にポリプロピレン製)であることが好ましい。両フィルムの側部(15f,15s)を一体化する手法は特に限定しないが、典型的には、熱刃を押し当てるなどして、同側部を融着して一体化することができる。
本実施例の収納袋10は、上述の開口部11,12と、複数の分割部(第一分割部16,第二分割部17)と、吊り部18を有する。そして後述するように、第一分割部16にて、表フィルム上部14a(第一分割部16から頂部までの部分)を除去可能とすることで、収納袋10から生花2をスムーズに取出す構成とした(図3を参照)。
【0014】
(第一分割部)
第一分割部16は、収納袋10の幅方向に延びる線状の部位であり、ミシン目、シート幅方向に並列する複数の孔部(貫通孔)、シート幅方向に並列する複数の溝部(フィルムの厚み寸法が薄い部分)を例示できる。
第一分割部16の形状(正面視)は特に限定しないが、直線状(略水平状)、傾斜状、波線状、ジグザグ状、階段状等の各種形状をとることができる。
本実施例では、表フィルム14f(二枚重ねのフィルムの一方)にのみ第一分割部16(直線状)を設ける。このとき第一分割部16を、表フィルム14fの略中央に設けつつ、第一分割部16の側端を、収納袋10の両側部15f,15sにつなげる。
こうすることで表フィルム14fが、第一分割部16にて、表フィルム上部14a(第一分割部16から頂部までの部分)と、表フィルム下部14b(第一分割部16から底部までの部分)に分割可能となる。
そして本実施例では、裏フィルム14sが第一分割部16を有さない。このため裏フィルム14sの内面(第一分割部16の非形成箇所)が、平滑な状態で維持されることとなる。
【0015】
(吊り部)
吊り部18は、被吊下部位W(壁体など)に収納袋10を吊り下げるための部位であり、裏フィルム14sの上部に設けることができる(図2を参照)。
ここで被吊下部位W(壁体など)には、一対の棒部材19が並列して突設されており、それぞれ水平方向に延びる。
本実施例の吊り部18は、横長な略長方形状の部位(正面視)であり、裏フィルム14sの頂部側を、表フィルム14fよりも長くすることで形成できる。吊り部18には、複数の貫通孔Hが形成されており、それぞれ棒部材19を挿入可能である。
【0016】
(第二分割部)
第二分割部17は、収納袋10の幅方向に延びる線状の部位であり、ミシン目、複数の孔部、複数の溝部を例示できる。
第二分割部17の形状(正面視)は特に限定しないが、直線状(略水平状)、傾斜状、波線状、ジグザグ状、階段状等の各種形状をとることができる。
本実施例では、裏フィルム14sの上部に第二分割部17を形成して、収納袋10本体(表フィルム14fと裏フィルム14sの重なる部分)と吊り部18を分割可能とする。
【0017】
[生花の収納及び取出し作業]
図2を参照して、複数の収納袋10を束ねつつ、一対の棒部材19に各吊り部18を挿入して、被吊下部位Wから吊り下げる。
そして収納袋10(本体)を引っ張りつつ、第二分割部17にて吊り部18を分割することで、収納袋10(本体)を個々に取出す。このとき本実施例では、第一分割部16が表フィルム14fにのみ形成されるため、収納袋10が上下に分割されることを防止又は低減できる。
つぎに第一開口部11から生花2を挿入しつつ、第二開口部12から生花2の茎を突出させる。このとき本実施例では、裏フィルム14sの内面(第一分割部16の非形成箇所)に沿って生花2を収納袋10内に挿入する。これにより生花2を、第一分割部16に引っ掛けることなく、スムーズに第二開口部12に導くことができる(取扱性に優れる構成である)。
【0018】
そして図3を参照して、表フィルム14fの上部(第一分割部16から頂部までの部分)を除去して、収納袋10から生花2を取出す。
本実施例では、第一分割部16を横方向に分断しつつ、両側部15f,15sの上部を破断する。これにより表フィルム上部14aを裏フィルム14sから分離して、生花2の上部側を収納袋10から露出させることができる。このとき表フィルム下部14bを、裏フィルム14s側に残すことにより、収納袋10からの生花2の脱落を防止又は低減することができる。
そして生花2の上部側を収納袋10から露出させることにより、生花2を極力傷めることなく、収納袋10からスムーズに取出すことができる。
このため本実施例によれば、生花2の取出し性を極力維持しつつ、収納袋10に生花2を取扱性良く収納することができる。
【0019】
本実施形態の生花の収納袋は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。
(1)本実施形態では、単数の第一分割部16を表フィルム14fに設ける例を説明したが、第一分割部の形成数を限定する趣旨ではない。例えば複数の第一分割部を、表フィルムの上下に並列して形成することもできる。
(2)また本実施形態では、第一分割部16を表フィルム14fのみに設ける例を説明したが、裏フィルム14sにのみ設けることもできる。
(3)また本実施形態では、吊り部18と第二分割部17を設ける例を説明したが、これら両部を省略することもできる。
(4)また本実施形態では、表フィルム14fを連続的に横断する第一分割部16を例示した。これとは異なり、表フィルムを分断可能であるかぎり、第一分割部を断続的に形成することもできる。
【符号の説明】
【0020】
2 生花
10 収納袋
11 第一開口部
12 第二開口部
14f 表フィルム
14s 裏フィルム
16 第一分割部
17 第二分割部
18 吊り部
19 棒部材
W 被吊下部位


【特許請求の範囲】
【請求項1】
二枚重ねのフィルムの両側部を一体化してなるとともに、頂部側の第一開口部と、前記頂部側よりも幅狭とされた底部側の第二開口部を有する生花の収納袋であって、
前記収納袋の幅方向に延びる線状の分割部を、前記二枚重ねのフィルムの一方にのみ設けて、前記一方のフィルムの前記分割部から前記頂部までの部分を除去可能とした生花の収納袋。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−23275(P2013−23275A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163025(P2011−163025)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(592118918)株式会社ナカヤマ (3)
【Fターム(参考)】