生菌数検査装置
【課題】生菌数検査で必要とされる各種作業を自動化して、生菌数検査における労力やコストを低減することが出来る生菌数検査装置の提供。
【解決手段】検体の希釈作業を行なう検体希釈部(18)と、希釈された検体に含まれる生菌を培養容器(SR)に所定量ずつ注入する検体分注部(3)と、
前記培養容器(SR)に培地を注入する培地分注部(4)を備え、前記検体希釈部(18)は、一対の混合装置(Ma、Mb)と、希釈液或いは検体を吸入し或いは注入する希釈ヘッド(180)を備えており、前記混合装置(Ma、Mb)は希釈液と検体とを混合する混合用容器(T)を支持して、回転移動する機能を有しており、前記希釈ヘッド(180)は、前記混合装置(Ma、Mb)に支持された前記混合用容器(T)の直上に配置されている。
【解決手段】検体の希釈作業を行なう検体希釈部(18)と、希釈された検体に含まれる生菌を培養容器(SR)に所定量ずつ注入する検体分注部(3)と、
前記培養容器(SR)に培地を注入する培地分注部(4)を備え、前記検体希釈部(18)は、一対の混合装置(Ma、Mb)と、希釈液或いは検体を吸入し或いは注入する希釈ヘッド(180)を備えており、前記混合装置(Ma、Mb)は希釈液と検体とを混合する混合用容器(T)を支持して、回転移動する機能を有しており、前記希釈ヘッド(180)は、前記混合装置(Ma、Mb)に支持された前記混合用容器(T)の直上に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば乳酸菌、ビフィズス菌等の生菌が、飲料品等の検体中にどの程度含まれているか(どの位の数の生菌が、単位量の検体中に存在するか)を検査するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料品等の検体中に、乳酸菌、ビフィズス菌等の生菌がどの程度含まれているか、すなわち、単位量の検体中に生菌がどの位の数だけ存在するかを検査すること(細菌数(生菌数)検査)は、特に生菌が包含されている飲料品の品質管理において、極めて重要である。
その様な生菌数検査を行なうため、従来技術においては、試験管等の容器により、検体を、例えば106倍〜107倍に希釈し(或いは、10−6〜10−7に希釈し)、希釈された検体を、培地を注入したシャーレ等に、所定量毎に分注していた。ここで、「分注」なる文言は、「液体或いはゾル状の物質の一部を吸引し、吐出する」動作を示している。
【0003】
そして、希釈された生菌を分注したシャーレ等を検査対象である生菌の培養に適した環境下に静置して、当該生菌を培養する。
培養の結果、シャーレ等に生菌のコロニーが形成されるので、当該コロニーの数を勘定する。
ここで、コロニーの数は、シャーレ等に分注された希釈された検体の所定量中に包含されていた生菌数に等しいと推定される。従って、培養後、シャーレ等に形成されたコロニーの数を数え、
コロニーの数×「希釈した倍数:或いは希釈の逆数」
なる式により、検体中の生菌数を求める。
例えば、1mlの検体を106倍に希釈(換言すれば、10−6に希釈)した後、シャーレで培養した後に、200個のコロニーが形成されたのであれば、1mlの検体には、 200×106=2×108 の生菌が含まれていたことになる。
なお、このように検体を希釈するのは、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令において、細菌数(生菌数)の測定法として、コロニー数をカウントするシャーレはシャーレ中のコロニー数が30〜300個までのものと定められていることによる。
【0004】
係る生菌数検査は、従来は、人手により行なわれていた。
しかし、検体を希釈(例えば、106倍〜107倍に希釈)する作業や、培地を所定量だけシャーレ中に注入して、希釈された検体と均一に混合する作業、希釈された検体を所定量ずつシャーレに注入する作業は、高度な技量と集中力とが要求される。
そして、その様な高度な技量と集中力を持つ作業員を養成することは容易ではない(出願人の経験では、少なくとも3ヶ月の訓練期間が必要である。)
また、係る高度な技量と集中力を有する作業員により行なわれる検査には、多大な労力及びコストが必要となってしまう。
そのため、検体の希釈や、培地の注入、その他の生菌数検査に必要な操作を自動処理する技術が要求されているが、必要な精度及び均一性を具現化できたものは、現時点では存在しない。
【0005】
その他にも、従来技術として、例えば、ブロムクレゾールパープルが添加された寒天培地を用いて、乳酸菌以外の細菌数を測定する技術が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、係る従来技術(特許文献1)は、飲食物中に含まれる乳酸菌以外の生菌数を計測することを企図しており、上述した問題を解決するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−187972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、生菌数検査で必要とされる各種作業、例えば、検体の希釈作業や、培地の注入作業、希釈された検体を所定量ずつシャーレに注入する作業等を自動化して、生菌数検査における労力やコストを低減することが出来る生菌数検査装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の生菌数検査装置(100)は、検体の希釈作業を行なう検体希釈部(図1における符号18、或いはミキサMa、Mbを有する箇所)と、
希釈された検体を培養容器(例えば、シャーレ)に所定量ずつ注入する検体分注部(3)と、
前記培養容器(例えば、シャーレ)に培地を注入する培地分注部(4)を備え、
前記検体希釈部(18)は、(例えば一対の)混合装置(ミキサMa、Mb、振とう機)と、希釈液を注入する希釈ヘッド(180)と、検体(希釈された検体を含む)を吸入し注入する検体吸引装置(170)を備えており、
前記混合装置(ミキサMa、Mb)は希釈液と検体とを混合する混合用容器(例えば試験管T)を支持して、回転(例えば、偏芯回転)する機能を有しており、
前記希釈ヘッド(180)は、前記混合装置(ミキサMa、Mb)に支持された前記混合用容器(例えば試験管T)の直上に配置され、
前記検体吸引装置(170)を、検体貯蔵部(検体ラック19)と、前記検体希釈部(18)と、前記検体分注部(3)の間で移動する移動装置(マニピュレータ195)を有していることを特徴としている(図1〜図3参照)。
【0009】
本発明において、前記混合装置(ミキサMa、Mb)は、前記混合用容器(例えば試験管T)の下部(底部)を保持する保持部材(試験管底部を支持する試験管保持部182)と、保持部材(182)を回転駆動する回転駆動装置(モータ183)と、混合用容器(例えば試験管T)の上方の領域(例えば、試験管の長さ方向について、底部から2/3の部分)を支持する支持部材(支持部186)を備え、
回転駆動装置(モータ183)の停止時に混合用容器(例えば試験管T)が垂直な状態を維持する様に、回転駆動装置(モータ183)の回転軸(183a)は、混合用容器(T)の中心軸に対して偏奇しており(試験管Tの半径方向寸法δだけ偏奇しており)、
(モータ183の回転軸183aに対して歳差運動をする)混合用容器(T)の位置を検出する検出装置(例えば、モータ回転軸の回転位置を検出するエンコーダRE)を備え、
回転駆動装置(モータ183)は、当該検出装置(RE)の検出結果に基づいて、混合用容器(T)が垂直な状態を維持する位置で停止する機能と、回転方向が時計方向(CW方向)と反時計方向(CCW)に切り替わる間欠回転を行なう機能を有しているのが好ましい(図4、図6参照)。
【0010】
また本発明において、積層して貯蔵された前記培養容器(例えば、シャーレSR)を取り出す培養容器取り出し機構(120:シャーレ分離、受け渡し機構)を備えており、前記培養容器(SR)は円形断面をしており且つ本体部(シャーレの本体SR1)と蓋部(シャーレの蓋SR2)を有し(図16参照)、
本体部(SR1)の円周方向の複数箇所(例えば4箇所)を同時に押圧して、本体部(SR1)の水平方向位置を調節すると共に、本体部を保持する機能を有する押圧機構(ローラ28)と(図17参照)、
積層して配置された複数の前記培養容器(例えば、シャーレSR)が載置され、且つ、垂直方向に移動可能な載置部材(リフター122)と、
載置部材(122)に複数設けられ、載置部材(122)が上昇した場合に最下層の蓋部(SR2)の周縁部に当接して、当該蓋部(SR2)を水平方向について載置部材(122)に固定するガイド部材(段付きピン123)と、
前記載置部材(リフター122)を(シャーレ本体SR1と蓋SR2の径寸法の差に等しい、或いは、当該径寸法の差よりも大きい)微小距離だけ水平方向に移動する載置部材移動機構(微小距離だけ移動した後は、図1の供給スタッカ1、2から印字部・集塵部5までシャーレSRを搬送する機構)とを含むのが好ましい(図1、図18、図19参照)。
【0011】
さらに本発明において、前記培地分注部(4)は注入用ノズル(22)を備え、注入用ノズル(22)にはノズルカバー(22C)が設けられており、該ノズルカバー(22C)の下方に、ノズルカバー(22C)の下端面と当接する位置まで伸長可能な板状部材(シャッター23:遮蔽板)が設けられているのが好ましい(図10〜図15参照)。
【0012】
それに加えて、本発明において、前記希釈ヘッド(180)近傍には着脱可能なチップ(192)が設けられ、当該チップ(192)内の液面の高さを検出する装置(193)と、チップ(192)内の液面が所定位置よりも低い場合に当該チップを不良品と判定するチップ検査装置(190)を設けているのが好ましい(図31参照)。
【発明の効果】
【0013】
上述する構成を具備する本発明の生菌数検査装置(100)によれば、生菌数検査で必要とされる各種作業、例えば、検体の希釈作業や、培地の注入作業、希釈された検体を所定量ずつ培養容器(例えば、シャーレSR)に注入する作業等を自動化することが出来る。そのため、長期間の訓練を行なった作業員を確保しなくても、容易に検体中の生菌数を決定することが出来る。
また、使用した混合用容器(例えば試験管T)や、培養容器(例えば、シャーレSR)を装置外に排出し、新たに清浄な試験管(T)やシャーレ(SR)を供給箇所(シャーレの供給スタッカ1、2、試験管ラック17)から搬送することが出来るので、使用済みの試験管(T)中の検体や、シャーレ(SR)に残存した培地に存在する生菌が混合して、生菌数の検査が不正確になってしまうことが確実に防止される。
【0014】
本発明における検体の希釈作業を行なうに際しては、検体希釈部(18)における希釈ヘッド(180)によって、一方の混合装置(ミキサMa)にセットした混合用容器(試験管Ta)内に、希釈液を、例えば9mlだけ注入する。そして、当該混合用容器(試験管Ta)内に、検体吸引装置(170:或いは、それに装着されたチップ192)によって、検体を例えば1ml(検体)だけ注入する。そして、当該混合装置(ミキサMa)によって混合することにより、当該混合用容器(Ta)内の検体を10倍に希釈する。
他方の混合装置(ミキサMb)にも混合用容器(試験管Tb)をセットして、希釈ヘッド(180)により、この混合用容器(Tb)に希釈液を、例えば9ml注入する。そして、前記一方の混合装置(Ma)にセットされた混合用容器(Ta)内から、検体吸引装置(170:或いは、それに装着されたチップ192)によって希釈された検体を吸い込み、混合装置(Mb)の混合用容器(Tb)に例えば1ml注入し、混合装置(Mb)により混合する。これにより、混合装置(Mb)の混合用容器(Tb)の検体は、100倍(102倍)に希釈される。
この工程を繰り返すことにより、検体を必要な比率まで希釈することが出来る。
【0015】
上述した希釈に際して、検体(希釈された検体を含む)は、検体吸引装置(170)により混合用容器である混合用容器(T)内に所定量だけ注入される。そして、希釈液は希釈ヘッド(180)により混合用容器(T)内に注入される。注入後、混合装置(ミキサMa、Mb)により均一に混合される。そして、希釈された検体は、検体吸引装置(170)により吸入される。
すなわち、混合用容器(T)内から希釈された検体を吸入して、他の混合用容器に所定量だけ注入する作業、検体(或いは希釈された検体)が注入された混合用容器に所定量の希釈液を注入する作業、混合用容器内の検体と希釈液とを混合する作業が、自動制御されるので、人手では困難であった検体の希釈作業が、容易且つ正確に行われる。
【0016】
また、本発明における培地の注入作業では、培地供給源(培地ボトル24)から培地分注部(4)に培地を供給し、培地分注部(4)に搬送されたシャーレ中に培地を注入する。係る作業も、自動制御により行なうことが出来る。
さらに、検体希釈部(18)において所定の比率まで希釈された検体は、検体分注部3において、所定量ずつシャーレ(SR)に注入される。係る作業も、本発明によれば、自動制御により行なうことが出来る。
【0017】
ここで、従来の生菌数検査では、混合用容器(試験管)内に注入された検体と希釈液を混合するのに、手作業で試験管を振ることにより行なわれていた。
ここで、熟練していない作業者が手作業で試験管を振っても、試験管内の検体と希釈液とは均一に混合されず、且つ、試験管内の液体を試験管外にこぼしてしまう恐れがある。
そのため、検体と希釈液が注入された試験管を動かして(振って)、内部の検体と希釈液を混合する作業を、混合装置で自動操縦することが望まれている。
しかし、従来の混合装置では、停止した際に試験管を支持する位置が一定しておらず、また、試験管を支持した状態で停止している際に、試験管が垂直方向に対して傾斜していた。
そのため、ロボットやマニピュレータで試験管を把持することが困難であり、試験管を混合装置にセットし、混合完了後に移動することが上手く出来なかった。また、検体を吸引する装置(例えば、チップ等)を挿入するに際して、試験管が傾斜していると、当該装置の挿入が困難であった。
【0018】
また、従来の混合装置で、試験管内の検体と希釈液を混合する速度を上昇させると、試験管が上昇して、試験管が混合装置から外れて、内部の検体と希釈液の混合液が流出してしまう恐れがある。
さらに、従来の混合装置で、試験管内の検体と希釈液を混合する速度を上昇すると、騒音が大きくなってしまうという問題があった。
そのため、従来の混合装置では、試験管内の検体と希釈液を混合する速度が比較的遅くなり、その分だけ、試験管内の検体と希釈液が均一に混合されない恐れが存在した。
試験管内の検体と希釈液が均一に混合されないと、希釈された検体の一部を吸入して他の試験管内で希釈液と混合するに際して、同一の比率で正確に希釈することができない。そして、同一の比率で希釈されないと、希釈後の検体を培養してコロニーを形成しても、そのコロニーの数から希釈前の検体に存在する生菌の数を決定することが不正確になってしまう。
コロニーの数×「希釈した倍数:或いは希釈の逆数」 なる式により、検体中の生菌数を求めることが出来るのは、検体が均一に混合され、希釈、混合の度に同一の希釈率が維持されることが前提になっているからである。
【0019】
それに対して、本発明において、混合装置(ミキサMa、Mb)を、回転駆動装置(モータ183)が停止した際に、混合用容器(例えば試験管T)が垂直な状態を維持する様に構成すれば、検出装置(例えば、エンコーダRE)の検出結果に基いて、混合用容器(試験管T)が垂直な状態を維持する位置で停止することが出来る。
その結果、上述した混合機(Ma、Mb)が停止している際には、混合用容器(T)が垂直な状態を維持され、その際に、ロボットやマニピュレータで混合用容器(T)を正確且つ容易に把持することが出来る。そして、混合用容器(T)を適正に保持部材(ホルダ182)に設置することと、検体と希釈液の混合完了後に迅速に移動することも容易に、高速で、確実に行なうことが可能である。
さらに、混合用容器(試験管T)が垂直な状態を維持する位置で停止しているので、当該混合用容器(試験管T)内に、検体吸引装置(170:或いは、それに装着されたチップ192)を挿入して、希釈された検体を吸入することが容易且つ正確に行われる。
【0020】
また、前記混合装置(Ma、Mb)において、保持部材(試験管底部を支持する駆動部182)により混合用容器(例えば試験管T)の下部(底部)を保持し、支持部材(例えばローラ186)により混合用容器(例えば試験管T)の上方の領域(例えば、試験管の長さ方向について、底部から2/3の部分)を支持する様に構成すれば、回転駆動装置(モータ183)及び保持部材(182)の回転速度が上昇しても、保持部材(182)及び支持部材(186)で保持或いは支持されている位置から混合用容器(T)が上昇してしまうことはない。そのため、混合用容器(T)が混合装置(Ma、Mb)から外れて、内部の検体と希釈液の混合液が流出することも防止される。
また、混合用容器(T)内の検体と希釈液の混合液は、回転駆動装置(183)及び保持部材(182)が回転する際に、支持部材(186)により支持されている領域(例えば、試験管の長さ方向について、底部から2/3の部分)よりも上方に移動してしまうことはないので、回転速度が速すぎて、検体と希釈液が混合容器外部に流出してしまうことも防止される。
そして、保持部材(182)及び支持部材(186)で保持或いは支持されている位置から混合用容器(T)が外れてしまうことがないため、回転駆動装置(183)及び保持部材(182)の回転速度が上昇しても、大きな騒音が発生する恐れはない。
【0021】
さらに、前記混合装置(ミキサMa、Mb)において、回転駆動装置(モータ183)の回転方向を、時計方向(CW方向)と反時計方向(CCW)に間欠的に切り替わる様に構成すれば、時計方向(CW方向)或いは反時計方向(CCW)に回転している際には、混合容器(T)内の液体の表面が漏斗状になり、回転が切り替わる際には一時的に液体の表面が平坦になる。そして、液体の表面が漏斗状になった瞬間と、平坦な瞬間とでは、微小面積毎に考えると、液体の表面の垂直方向寸法に差異が生じる。
係る液体表面の垂直方向寸法の差異に起因して、液体が上下方向についても剪断作用をうけるので、混合が効率的に行なわれ、検体と希釈液が均一に混合する。
【0022】
生菌数検査を自動化するに際しては、複数の培養容器(例えば、シャーレSR)が必要となる。そして、生菌数検査を自動化するための生菌数検査装置のスペースを節約するために、未使用の複数の培養容器は積層して、所定領域(供給スタッカ1、2)に貯留している。使用に際しては、積層されたシャーレ(SR)を本体(SR1)と蓋(SR2)を一組ずつ取り出して、生菌培養用の培地を注入し、希釈された検体を注入している。
ここで、培養容器としてシャーレ(SR)を用いた場合には、シャーレ本体(SR1)の径寸法と、シャーレ蓋(SR2)の径寸法とは相当量異なっており(蓋の径寸法の方が、本体の径寸法よりも大きい)、シャーレ本体(SR1)に蓋(SR2)をした状態で積層すると、下方の蓋(SR2)の上面が、上方のシャーレ本体(SR1)の下面に付着してしまうことがある(図27参照)。
係る事態(図27で示す様な事態)が生じると、培養容器であるシャーレ(SR)中に培地を注入することが出来ず、また、希釈された検体を注入することも出来なくなり、生菌数の検査は不可能になってしまう。
しかし、従来の生菌数検査装置では、係る事態の予防、対処を行うことが出来なかった。
【0023】
これに対して、本発明において、積層して貯蔵された前記培養容器(例えば、シャーレSR)を取り出す培養容器取り出し機構(120:以下、「シャーレ取り出し機構」と記載)を備え、
押圧機構(ローラ28)により、本体部(SR1)の円周方向の複数箇所(例えば4箇所)を同時に押圧して本体部(SR1)の水平方向位置を調節し且つ本体部(SR1)を保持し、
載置部材(リフター122)上に複数の培養容器(SR)を載置し、当該載置部材(122)を垂直方向に移動可能に構成すれば(図17〜図19参照)、
下方の前記蓋部(SR2)の上面が、上方の本体部(SR1)の下面に付着したとしても(図27で示す状態になったとしても)、
載置部材に複数設けられたガイド部材(段付きピン123)により下方の培養容器(SR)の蓋部(SR2)を前記載置部材(リフター122)に対して水平方向に固定し、且つ、上方の培養容器(SR)の本体部(SR1)を前記押圧機構(ローラ28)により保持して、
載置部材移動機構(図1の供給スタッカ1、2から印字部・集塵部5までシャーレを搬送する機構)によって、前記載置部材(リフター122)を(シャーレ本体部(SR1)と蓋(SR2)の径寸法の差に等しい、或いは、当該径寸法の差よりも大きい)微小距離だけ水平方向に移動すれば、付着した蓋部(SR2)と本体部(SR1)とは分離する。ここで、載置部材移動機構とは、付着した蓋部(SR2)と本体部(SR1)を分離するために、微小距離だけ動くこともでき、且つ、図1の供給スタッカ1、2から印字部・集塵部5までシャーレを搬送することも出来る機構である。
【0024】
すなわち、ガイド部材(123)により下方の培養容器(SR)の蓋部(SR2)は載置部材(122)に対して固定されており、上方の本体部(SR1)は押圧機構(28)により保持(固定)されているので、載置部材移動機構によって前記載置部材を微小距離だけ水平方向に移動すれば、下方の蓋部(SR2)は載置部材(122)と共に水平方向に移動し、押圧機構(28)により保持(固定)された上方の本体部(SR1)は水平方向に移動しない。
そのため、下方の蓋部(SR2)と上方の本体部(SR1)には水平方向の相対移動が生じ、両者の間に剪断が発生するので、(図27で示すように)付着した下方の蓋部(SR2)と上方の本体部(SR1)は分離する(図28、図29参照)。
【0025】
そして、(図27で示す様に)下方の蓋部(SR2)の上面と、上方の本体部(SR1)の下面とが付着しても、積層された培養容器(SR)を最下層から取り出すたびに、上述した処理が行なわれることにより、下方の蓋部(SR2)と上方の本体部(SR1)の付着が解除される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態を示す平面図である。
【図2】実施形態で用いられる検体希釈機構を説明するブロック図である。
【図3】実施形態で用いられる検体希釈機構の主要部の正面図である。
【図4】実施形態で用いられるミキサの概要を示す説明図である。
【図5】図4のX-X断面矢視図である。
【図6】図4のミキサで攪拌される試験管内部の液体の挙動を示す説明図である。
【図7】実施形態におけるミキサを示す一部透視図を含む正面図である。
【図8】希釈液を作る工程を示したフローチャートである。
【図9】培地注入部における問題を示す説明図である。
【図10】実施形態における培地注入ノズルの乾燥防止機構の作動原理を説明する説明図である。
【図11】乾燥防止機構の構成と当該機構を培地注入部に配置した状態を示す平面図である。
【図12】図11で説明した乾燥防止装置におけるノズル閉鎖時を示す横断面図である。
【図13】図11で説明した乾燥防止装置で、培地を注入する前段階でノズルを上昇させた状態を示す横断面図である。
【図14】シャッターを収容した(開けた)状態を示す横断面図である。
【図15】図14で説明した段階の後、培地を注入する段階を示す横断面図である。
【図16】実施形態で用いられるシャーレを説明する説明図である。
【図17】実施形態で用いられるシャーレ取り出し機構において、シャーレの本体部を把持する把持機構を示す説明図である。
【図18】シャーレ取り出し機構及びシャーレ搬送機構の構成を説明する斜視図である。
【図19】シャーレ取り出し機構の縦断面図である。
【図20】シャーレを供給スタッカから取り出す方法を説明するフローチャートである。
【図21】シャーレ分離機構により、積層されたシャーレの最下層におけるシャーレ本体と蓋とを取り出す作業の初期段階を示す説明図である。
【図22】図21に続く段階を示す説明図である。
【図23】図22のA部詳細図である。
【図24】把持機構により、最下層のシャーレ本体部を把持した状態を示す説明図である。
【図25】図24に続く段階で、最下層から2番目のシャーレ本体部を把持した状態を示す説明図である。
【図26】最下層のシャーレ本体を、段付きピンで保持した状態を示す説明図である。
【図27】リフターを下降させる際の不都合を示す説明図である。
【図28】図25で示す状態で、リフターを下降させる段階を説明する説明図である。
【図29】実施形態で用いられるシャーレ分離機構の作用を説明する説明図である。
【図30】培養容器取り出し機構によって取り出されたシャーレを印字部に搬送する状態を示す説明図である。
【図31】実施形態で用いられるチップ検査装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図示の実施形態に係る生菌数検査装置は、所定量の検体中に、乳酸菌、ビフィズス菌等がどのくらい含まれているかを正確に測定するための装置である。
【0028】
図示の実施形態に係る生菌数検査装置では、検体を採取してから必要な倍率まで希釈し、培地に混合して、生菌の培養が可能な状態となるまでを自動化している。
最初に図1を参照して、本発明の実施形態に係る生菌数検査装置における全体的な構成を説明する。
【0029】
図1において、全体を符号100で示す実施形態に係る生菌数検査装置は、第1の供給スタッカ1、第2の供給スタッカ2、検体分注部3、培地分注部4、集塵機能を備えた印字部5、検体分注用シャーレ蓋開閉部6、培地分注用シャーレ蓋開閉部7、混釈部8、冷却ステージ9を備えている。
【0030】
生菌数検査装置100は、四つの収納スタッカ10、11、12、13、二つの希釈液ボトル14、15、希釈液搬送用ポンプ16、試験管ラック17、検体希釈部18、検体ラック19、廃棄チップラック20、チップラック21、培地吐出ノズル22、ノズルシャッター23および4本の培地ボトル24を備えている。
【0031】
第1の供給スタッカ1及び第2の供給スタッカ2は、図18で示すように、各々が4本のガイド柱29を有しており、ガイド柱29は、シャーレ本体SR1と蓋SR2からなるシャーレSR(図16参照)に均等ピッチで接している。
図示の実施形態では、4本のガイド柱29で囲われた領域に、30個のシャーレSRが収容されている。
図1、図18における符号120は、シャーレ取り出し機構を示している。
【0032】
図1において、検体分注部3は検体分注用シャーレ蓋開閉部6を有しており、シャーレSRの本体SR1に検体(液体)を注入(分注)する機能を有している。印字部5で蓋に必要事項がレーザ印字されたシャーレSRは、検体分注用シャーレ蓋開閉部6で蓋が開けられ、そして、図1において符号3で示す箇所(点線で示す箇所)にシャーレ本体SR1を移動して検体を分注し、検体分注用シャーレ蓋開閉部6の位置まで戻す。
培地分注部4は、培地分注用シャーレ蓋開閉部7を有しており、検体が分注されたシャーレSRに培地を適量注入する機能を有している。培地分注用シャーレ蓋開閉部7でシャーレSRの蓋を開け、そのシャーレSRの本体を、図1において符号4で示す箇所(点線で示す箇所)に移動して、培地ボトル24から搬送された培地を分注し、培地分注用シャーレ蓋開閉部7の位置まで戻す。
【0033】
印字部5は、供給スタッカ1或いは供給スタッカ2から搬送されたシャーレSRに、必要事項(例えば、検体の種類、希釈度、処理日時等)を印字する機能を有している。印字部5については、公知、市販のレーザ印字装置等が適用可能である。
混釈部8は、検体分注部3でシャーレSR内に分注された検体と、培地分注部4でシャーレSR内に分注された培地を、混合(混釈)するための部材である。公知、市販の混合用装置(混釈機)を適用することが出来、混合の方式は特に限定されるものではないが、混合性能の点から、偏心したプーリをモータを用いて回転することにより混合する水平偏心振とう方式が好ましい。
【0034】
検査対象の生菌は嫌気性である場合には、検体及び培地がシャーレSRに注入された後、直ちにシャーレSR内を脱気する必要がある。図示の実施形態に係る生菌数検査装置100は脱気機構を設けていないので、係る場合には、検体及び培地が注入されたシャーレSRを、生菌数検査装置100外に出して、図示しない脱気装置において脱気する必要がある。
そして、生菌数検査装置100外で脱気する以前に、シャーレSR中の培地を固化して、脱気の際に培地が(図示しない)脱気装置に吸入されないようにするのが好適である。ここで、図示の実施形態で使用される培地は、温度が高くなると粘性が低くなる性質があるので、培地を固化するためにも、シャーレSRを冷却することが好ましい。
【0035】
そのため、図1において、培地分注部4で培地が注入されたシャーレSRは、冷却ステージ9において、図示しない冷却手段により、培地が固化される。図示の実施形態では、冷却ステージ9には、シャーレSRの載置部が4箇所設けられている。
冷却ステージ9で冷却されて培地が固化した後、シャーレSRは、生菌数検査装置100外に設けられた図示しない脱気装置で脱気される。
【0036】
図1において、四つの収納スタッカ10、11、12、13が設けられている。係る収納スタッカは、培地及び検体を収容したシャーレSRをストックして、静置している。
図1において点線で示す希釈液ボトル14、15は、2種類の希釈液(検体を希釈するために添加する液体:例えば、生理食塩水やCSL)を貯留しておく容器である。希釈液ボトル14、15内の希釈液は、ラインLqaを介して希釈液搬送用ポンプ16により吸入される。吸入された希釈液は、ラインLqb経由で検体希釈部18の希釈ヘッド180(図3参照)に供給する様に構成されている。
なお、検体希釈部18については、図2、図3を参照して後述する。
【0037】
試験管ラック17には、試験管が1本ずつ分離して配置、収容される。
不良品チップ(使用できないチップ)の廃棄場所は、図1において、検体希釈部18の中心部の下方である(図示せず)。
ここで、「チップ」は樹脂製の中空円錐状部材である(図3、図31の符号192参照)。図1の生菌数検査装置100には、チップの良、不良を判定する機構(チップ良否判定センサ)193が装備されている。当該機構に関しては図31を参照して後述する。
【0038】
図1において、検体ラック19は、検体の入った試験管を冷却しながら一時貯留しておく機能を有している。廃棄チップラック20は、使用済みのチップを貯蔵(図示の実施形態では、最大で90本貯蔵)する装置である。
チップラック21は、未使用のチップを載置(図示の実施形態では、満杯で90本載置)している。
【0039】
図1において、培地分注部4では、培地分注用シャーレ蓋開閉部7から送られて来たシャーレ本体に、吐出ノズル22を介して培地を分注する。吐出ノズル22から分注される培地は、培地ボトル24(図1では4本)に貯蔵されている。
ここで、培地は複数種類使用する場合があり、例えば、複数種類の生菌の生菌数検査を行なう場合には、複数種類の培地を使用する。一方、単一種類の生菌の生菌数を検査する場合には、培地は一種類用いればよい。この様に、単一種類の培地を使用する場合や、複数種類の培地を使用する場合の双方に対応するために、図示の実施形態では、例えば4本の培地ボトル24を用意している。
なお、図示の実施形態に係る生菌数検査装置100では、培地分注部4に培地を供給する構成中に、培地の乾燥を防止するための機構を設けている。当該機構については、図10〜図15を参照して後述する。
【0040】
次に、図2〜図5を参照して、検体希釈部18について説明する。
図2及び図3において、検体希釈部18は、希釈ヘッド180と、検体吸引装置170(図3)と、2つの希釈用ミキサMa、Mbを備えている。
図3で示す検体吸引装置170はチップホルダ194を備えており、チップホルダ194先端のチップ192により検体を吸引し、所定の試験管T内に注入する機能を有している。チップホルダ194はマニピュレータ(或いは、ロボットハンド)195に接続している。
検体吸引装置(170)は、マニピュレータ195により、検体を貯蔵している検体ラック19と、検体希釈部18と、検体分注部3の間を移動する。さらに、マニピュレータ195は、検体希釈部18において、チップ192を、一方の試験管T内の検体(或いは希釈された検体)を吸入する位置から、当該検体(或いは希釈された検体)を他方の試験管T内に注入する位置へ移動する。なお、マニピュレータ195(或いは、ロボットハンド)は、公知の市販品を使用することが出来る。
図2及び図3において、希釈ヘッド180は、2本のラインLqbを介して2連の希釈液供給ポンプ16に接続されている。2連の希釈液供給ポンプ16はポンプ16A、16Bを備えており、2本のラインLqaを介して、希釈液ボトル14、15に接続されている。
【0041】
図3において、希釈ヘッド180の直下には、ミキサMa、Mbが配置されている。図3ではミキサMaのみが示されており、他方のミキサMbはミキサMaの後ろに隠れる様に配置されている。そして、図3、図4に示されているミキサMaの構成は、ミキサMbと共通している。なお、ミキサMa、Mbの配置については、図7でも示されている。
図4において、ミキサMaは、保持部材(以下、「ホルダ」と記載)182、駆動用モータ183、ロータリエンコーダRE、4つの試験管上部支持部材(以下、「ベアリング付きローラ」と記載)186を備えている。
ここで、図7で示すように、ミキサMa、Mbの各々の駆動用モータ183は第1の柱部(図7では下方に延在している柱部)SV−1に支持されており、ベアリング付きローラ186は第2の柱部(図7では上方に延在している柱部)SV−2に支持されている。そして、第1の柱部SV−1と第2の柱部SV−2は、共に、床部SFに固定されている。
そのため、ミキサMa、Mbの各々において、駆動用モータ183と、ベアリング付きローラ186は、相対的な位置関係を保持している。
【0042】
図4において、ホルダ182の凹部(窪み)は、テーパ状の斜面182aと湾曲した底部182bを有しており、斜面182aと底面182bとの境界部分は湾曲面により接続されている。そして、ホルダ182の凹部は、その底部182bで試験管Tの底部を保持しており、当該凹部の内周面全体が、試験管Tの底部と干渉しない形状、換言すれば、試験管Tの底部の移動軌跡と相補的な湾曲面を形成している。
ホルダ182の凹部内周面の底部は、その一部を平坦な面で構成することが可能である。或いは、図7で示すように、試験管Tを保持する窪みが異なった傾斜が連続する2段のテーパとしても良い。
【0043】
図4において、ベアリング付きローラ186によって支持される試験管Tの支持位置を、試験管Tにおける試験管Tの全体の2/3よりも上方の位置となっている。
その様な位置(試験管Tの全体の2/3よりも上方の位置)をローラ186で支持すれば、試験管T内の液体は試験管外に漏出することがない。なお、試験管Tの全体の2/3よりも上方の位置をローラ186で支持した状態が、図5において、平面的に示されている。
【0044】
図4において、駆動用モータ183の回転軸183aは、ホルダ182の下端部で、ホルダ182の中心から水平方向にδだけ偏寄した位置にて、ホルダ182と固着している。
駆動用モータ183を回転させた場合、駆動用モータ183が1回転する毎に、1箇所においては、試験管Tが垂直な状態(直立状態)となる。
【0045】
駆動モータ183の回転方向は、図4及び図6において矢印CWで示す時計方向(CW方向)と、図4及び図6において矢印CCWで示す反時計方向(CCW方向)に、間欠的に切り替わる様に構成されている。
そのため、図示の実施形態において、駆動用モータ183が作動すると、試験管Tは図6に示すような3つの挙動或いは回転状態、(A)、(B)、(C)で示す状態を、断続的に順番に繰り返す。
【0046】
図6(A)では、駆動用モータ183は時計回り(CW方向)に回転している。図6(A)の状態では、試験管T内部の液面Lfは、漏斗状になっている。
図6(A)の状態から、駆動用モータ183を停止して所定時間が経過すれば、図6(B)で示す様に、試験管T内部の液面Lfは水平となる。
その状態から、駆動用モータ183を反時計回り(CCW方向)に回転させれば、試験管T内部の液面Lfは、再び漏斗状を呈する(図6(C)の状態)。
図6(C)の状態で駆動用モータ183を停止すれば図6(B)の状態となり、図6(B)の状態で駆動用モータ183を時計回り(CW方向)に回転すれば図6(A)の状態となる。
【0047】
図6において、(A)から(B)への状態変化、(B)から(C)への状態変化、(C)から(B)の状態変化、(B)から(A)の状態変化をすることにより、試験管T内部の液面は漏斗状と水平面状の間で変化し、上下方向(垂直方向)に移動する。係る上下方向(垂直方向)の移動により、試験管T内の液体に剪断力が作用する。この剪断力は、希釈しようとする液体同士を迅速且つ均一に混合する作用効果を奏するのである。
すなわち、試験管T内の液体表面が垂直方向に移動することに起因して、液体が上下方向についても剪断作用を受けるので、混合が効率的に行なわれ、検体と希釈液とが均一に混合する。
さらに、試験管Tが垂直な状態を維持する位置で停止しているので、試験管T内に、検体吸引装置170(或いはチップ192)を挿入して、希釈された検体を吸入することが容易且つ正確に行われる。
【0048】
図4において、ロータリエンコーダREは、回転ディスク184と角度検知部185とを備えている。回転ディスク184は、(駆動モータ183の回転軸であって、回転軸183aとはモータ183に対して反対側の)回転軸183bに固設されており、回転ディスク184の一部が開口されている(回転ディスク184の開口部は図示せず)。角度検知部185は、前記開口部を検出して、回転角度を計測する。
図4では、回転ディスク184における前記図示しない開口部の位置は、試験管Tが垂直な直立状態となった際に、角度検知部185が前記開口部を検知する様に設定されている。換言すれば、前記回転ディスク184の開口部は、試験管Tの中心線の延長上に存在する様に設定されている。
【0049】
図示の実施形態で用いられている検体希釈部18によれば、希釈しようとする液体同士を迅速且つ均一に混合することが出来て、しかも、試験管T内の液体が試験管の外側に飛散してしまうことが防止される。
そして、ミキサMa、Mbが停止している状態では、試験管Tが垂直な直立状態に保持されるので、試験管TをミキサMa、Mbにセットし、或いは、取り外す作業を、図示しないマニピュレータやロボットハンドにより、容易且つ正確に実施することが可能となる。
さらに、試験管Tが垂直な状態を維持する位置で停止しているので、試験管T内に、検体吸引装置170(或いはチップ192)を挿入して、希釈された検体を吸入することが容易且つ正確に行われる。
そのため、人手によること無く、検体を希釈液により正確に且つ均一に希釈することが出来る。
【0050】
次に、図8のフローチャートを参照して、検体の希釈の手順を説明する。
図8のステップS1において、検体ラック19(図1参照)から、検体の入った試験管(試験管Ta)をミキサMaにセットする。
次のステップS2では、ミキサMaで試験管Taを攪拌して、検体が分離することを防止して、均一な状態にせしめ、後の希釈が正確に行なわれるようにせしめる。ただし、攪拌不要の検体の場合は、ステップS1、ステップS2、ステップS7(後述)は省略可能である。
ステップS3に進み、試験管ラック17から、空の試験管Tbを取り出し、ミキサMbにセットする。
【0051】
ステップS4では、希釈液ヘッド180をミキサMbの上に移動して、希釈液ボトル14或いは希釈液ボトル15から希釈液(例えば生理食塩水)を、例えば9ml、ミキサMbにセットされた空の試験管Tb内に注入する。
ステップS5に進み、チップラック21から取り出した新しいチップ192を検体吸引装置170に装着し、係るチップ192或いは検体吸引装置170により、試験管Taから、例えば1ml+αの検体を吸引して、ミキサMbの試験管Tb内に、例えば検体1mlを注入する。
前記「α」の値は、当該生菌数検査装置100の使用状況や検査対象である生菌の種類によって異なるが、図示の実施形態においては、例えば「0.3ml」である。
【0052】
ここで、試験管Taから吸引する検体の量を「1ml+α」としているのは、吸引する検体の量が、ミキサMbの試験管Tb内に注入するべき検体の量(1ml)と同一であると、チップ192内に吸入された検体を試験管Tb内に注入する際に、チップ192の内壁の状態等に起因して、吸引された検体の全量を注入することが出来ない(注入量が1mlを下回る)ことが予想されるからである。
試験管Tb内に注入する検体を、例えば正確に1mlとするためには、チップ192内に吸入する検体の量は、「1ml+α」にするべきである。
【0053】
ステップS6では、試験管TbをミキサMbによって所定時間攪拌する。所定時間が経過すれば、試験管Tb内の液体は10の1乗、すなわち10倍に均一に希釈されたことになる。
ステップS7に進み、試験管Taを検体ラック19に戻し、代わりに別の試験管TcをミキサMaにセットする(ステップS8)。
ステップS9では、希釈ヘッド180を用いて、ミキサMaにセットした新しい試験管Tcに、希釈液ボトル14或いは希釈液ボトル15から、ステップS4において試験管Tbに注入されたのと同量(例えば、9ml)の希釈液を注入する。
【0054】
次のステップS10では、チップラック21から取り出した新しいチップ192を用いて、(検体吸引装置170により、)試験管Tbから、例えば「1ml+α」の混合液(検体と希釈液との混合液:10倍に希釈された検体)を吸引する。
新しいチップ192(或いは、検体吸引装置170)に吸引された混合液(10倍に希釈された検体)は、既に希釈液が注入された試験管Tc(ミキサMaにセットされている試験管Tc)内に、例えば1mlだけ注入される。
そしてステップS11において、試験管TcをミキサMaによって所定時間攪拌する。これにより、検体は10の2乗、すなわち、100倍に且つ均一に希釈される。
【0055】
ステップS12では、上述した希釈のための工程(S1〜S6:S7〜S11)を繰り返して、必要な倍率だけ(例えば10の7乗まで)、検体を希釈する。
検体が必要な倍率だけ希釈されたならば、希釈後の混合液(希釈された検体)を、シャーレSRに注入(分注)する(ステップS13)。
【0056】
シャーレSRに希釈された検体を分注された後、当該シャーレSRに培地が注入される。
検体と培地が分注されたシャーレSRは、混釈後、冷却ステージ9に搬送され、その後、静置されて、生菌を培養する。
【0057】
生菌培養後、シャーレSRにはコロニーが発生する。発生したコロニーの数は、図8のステップS13でシャーレSRに分注された混合液(希釈された検体:例えば1ml)中に存在した菌の数に等しい。
そこで、シャーレSR中に発生したコロニー数をカウントして(CFU)、検体中の生菌数を、以下の算定式によって決定する。
生菌数=コロニー数(CFU)×(希釈の逆数)
ここで「希釈の逆数」とは、例えば1/100に希釈されているのであれば、「100」である。
例えば、検体を10のマイナス6乗(10−6)に希釈して、コロニー数が200であれば、1mlの検体中に、2億匹の生菌が存在していたことになる。
2×102(コロニーの数)×(1/10−6)=2×108(2億)
【0058】
希釈された検体の分注及び培地の分注が行なわれるシャーレSRは、印字部5において、必要事項が、蓋に対してレーザ印字される。
係るシャーレSRは、検体分注用蓋開閉部6において、その蓋が開かれる。そして検体分注部3に送られ、希釈された検体が分注される。
希釈検体が分注されたシャーレSRは検体分注用蓋開閉部6で蓋が閉められ、培地分注用蓋開閉部7に送られる。
【0059】
培地分注用蓋開閉部7では、再びシャーレSRの蓋が開けられる。
蓋が開けられたシャーレSRは、培地分注部4(図1において蓋開閉部7の前方に配置)に移動される。そして、吐出ノズル22を介して、シャーレSR内に培地が充填(分注)される。
培地が充填されたシャーレSRは、混釈後、冷却ステージ9で培地が固化される。
嫌気性の細菌の生菌数を検査する場合には、培地が固化したシャーレSRは、生菌数検査装置100の外部に設けた脱気装置まで移動され、脱気処理される。
【0060】
このように、図示の実施形態によれば、従来は熟練した作業者でなければ正確に行なうことが出来なかった検体の希釈作業を自動化して、しかも、高精度で行なうことが出来る。
【0061】
次に、図1及び図9〜図15を参照して、培地分注部7(図1)に設けられている培地注入用ノズルの乾燥防止(硬化防止)機構について説明する。
図1において、培地分注部4には、培地を吐出する4連のノズル22が配置されており、ノズル22の詳細が図9で示されている。
図9において、ノズル22の材質がステンレスであると、ステンレスには撥水性がないので、図9(A)で示すように、ノズル先端下方に培地が半球型に垂れ下がる。そして、図9(B)で示すように、ステンレスノズル22の先端部において、培地が残存(M)してしまう。
残存した培地Mが硬化して、硬化した培地が伸長(いわゆる「成長」)すると、ノズル22から培地が適正に吐出されない恐れがある。
【0062】
一方、撥水性のよい合成樹脂(例えばフッ素系樹脂)製チューブを使用した場合でも、図9の(C)から(D)で示すように、培地の表面張力によりノズル22の先端に残存し、残存した培地が成長して垂れ下がった状態になってしまう恐れがある。
図9(A)〜(D)で説明した様に、ノズル先端に残存した培地が成長して、ノズル22から培地が正確に吐出されなくなることを防止するため、図示の実施形態に係る生菌数検査装置100では、培地注入用ノズルの乾燥防止(硬化防止)機構が設けられている。そして、係る乾燥防止(硬化防止)機構の原理が、図10で示されている。
【0063】
図10において、図示の実施形態に係る生菌数検査装置100で採用されている乾燥防止(硬化防止)機構では、ノズル22の先端にノズルカバー22Cを設けている(図10(A)参照)。
ノズルカバー22Cを固設したノズル22の下方には、移動可能(開閉可能)なシャッター23が設けられており(図10(B)参照)、培地をシャーレ(図9〜図15では図示せず)に充填する時以外には、ノズルカバー22Cがシャッター23に押し付けられる様に構成されている(図10(C)参照)。
【0064】
図10(C)で示す様に、ステンレスカバー22Cをシャッター23に押しつけることにより、ステンレスカバー22Cの内壁22Ciと、シャッター23の上面23uによって、閉空間Eが構成される。
ノズルカバー22Cがシャッター23に押し付けられた状態では、培地からの水蒸気が閉空間Eに存在しているので、閉空間E内は飽和水蒸気圧の状態に保持され、空間E内に存在する培地の乾燥を防止する。そして、ステンレスカバー22Cがシャッター23に押し付けられた状態では、閉空間Eは外気から遮断されているので、外気が閉空間Eに流入して培地を乾燥することが防止される。
【0065】
図11、図12において示す培地乾燥防止機構は、4連の培地吐出用ノズル22と、シャッター23と、シャッター駆動シリンダ(例えば、エアシリンダ)230を有している。
4本の培地吐出用ノズル22の各々の先端にはノズルカバー22Cが設けられ、ノズルカバー22Cの先端はノズル22の先端よりも突出している(図12参照)。
培地吐出用ノズル22は、図示しない培地供給ポンプ及び図示しない供給ラインを経由して、培地ボトル24(図1参照)と接続されている。
図示の実施形態では4本のノズル22を有しているので、最大で4種類の培地の注入が可能である。
【0066】
シャッター23は、箱状部材23a、接続部23b、3枚の仕切り部材23cを有している。箱状部材23aは、水平断面が矩形状をしており、上端が開放されている。
接続部23bは、箱状部材23aの一辺と一体に形成されており、水平方向外方(図11〜図15のシャッター駆動シリンダ230側)に延在している。
シャッター駆動シリンダ230のピストンロッド231(図11では平行な2本のロッド)は、シャッター23の接続部23bに接続されている。
図11において、3枚の仕切り部材23cは、箱状部材23aの内側を均等に4分割している。4分割された空間の幅寸法(図11における上下方向寸法)は、ノズルカバー22Cの直径よりも幾分大きく設定されている。
【0067】
図12〜図15を参照して、上述した培地乾燥防止機構を備えた場合において、ノズル22から培地を吐出する態様を、説明する。
図12は、培地供給以前の状態が示されており、シャッター駆動シリンダ230は、生菌数検査装置100のフレーム40の上面に固定されている。シャッター23の底面23eは、フレーム40の上面をスライド可能である。
図12の状態では、シャッター駆動シリンダ230の図示しないピストンにより、ピストンロッド231が伸張している。そして、フレーム40の開口部(ノズル22が通過する貫通孔)41は、シャッター23によって閉鎖されている。
【0068】
図13では、図示しないマニピュレータによって、ノズル22は垂直上方に引き上げられる。
そして図14では、シャッター駆動シリンダ230により、ピストンロッド231は収縮され、シャッター23は図14で右側にスライドして、開口部41は開放される。
図15の状態では、開口部41を開放した状態で、ノズル22は、下方に移動する。そして、開口部41の直下に位置しているシャーレ(希釈された検体が分注されたシャーレ:図9〜図15では図示せず)に培地を分注する。
【0069】
図示の実施形態で用いられる乾燥防止(硬化防止)機構によれば、ノズルカバー22Cがシャッター23に押し付けられることにより、ステンレスカバー22Cとシャッター23によって閉空間Eが構成され、閉空間E内は飽和水蒸気圧の状態に保持され且つ外気から遮断されているので、ノズル22先端の培地を乾燥することが防止される。
その結果、乾燥した培地がノズル22の先端に残存して成長し、垂れ下がった状態になってしまうことがなくなる。そして、ノズル22先端から培地が正確に吐出されることになる。
【0070】
次に、図16〜図29を参照して、積層された複数のシャーレSRから、最下層のシャーレSR1を取り出して、集塵機能を有する印字部5(図1参照)に移動する機構について説明する。
ここで、係る機構は、シャーレ取り出し機構120(図18)と、シャーレ搬送機構150(図18)を有している。
【0071】
スタッカ1、2(図1)において積層されているシャーレSRは、図16(A)で示すように、シャーレ本体SR1と蓋SR2から成る。シャーレ本体SR1と蓋SR2の間には寸法λの「ガタつき」が存在する。
例えば、例えばφ90のシャーレ(直径90mmのシャーレ)であれば、シャーレ本体SR1と蓋SR2の寸法の誤差は、径寸法については5mm、高さ寸法(φ90のシャーレでは18mm)については3mmまで許容されている。ガタつきλは、係る誤差により生じる。
図16(B)において、一点鎖線Lc1は本体S1の中心線、一点鎖線Lc2は蓋SR2の中心線を示している。
【0072】
図17において、供給スタッカ1、2(図1)におけるシャーレ本体SR1を把持するための装置(シャーレ把持装置)HAは、シャーレSRの中心線Lcに対して、左右対称に構成されている(図17(A)参照)。
以下、中心線Lcの右側について説明する。
図17において、シャーレ把持装置HAは、駆動部25、1対のフレーム26、4つのローラ28、4本のローラ支持ロッド27を有している。4つのローラ28は、4本のローラ支持ロッド27の先端(シャーレSR側)に、それぞれ取り付けられている。
【0073】
フレーム26は、第1部材26a、第2部材26b、補強部材26c、駆動部係合部材26dを有している。第1部材26aと第2部材26bは直交して接合されており、直交して接合される箇所は補強部材26cによって補強されている。そして4本のローラ支持ロッド27は、第2部材26bに直交する様に配置されている。
駆動部係合部材26dは、駆動部25に内蔵された移動手段(例えばエアシリンダ等)によってスライド可能に構成されており、左右1対のフレーム26が、相互に近接し、或いは離隔する様に相対移動せしめる。
図17において、符号29は、ガイド部材を示している。4本のガイド部材29は、シャーレSRの蓋SR2の外周部に、等間隔で接触している。
【0074】
図1のスタッカ1、2では、例えば、シャーレSRは30個積層可能であり、図17(A)では、積層されたシャーレにおける最下段のシャーレSRが、シャーレ把持装置HAの4つのローラ28によって把持されている。
シャーレSRは、スタッカ1、2で積層されたシャーレの内、最下段のものから、シャーレ取り出し機構120(図18、図19参照)によって、1個ずつ取り出される。
【0075】
図18、図19を参照して、シャーレ取り出し機構120について説明する。
図18において、シャーレ取り出し機構120は、供給スタッカ1、2(何れもシャーレ把持装置の主要部材が省略して示されている)、スタッカベース121、リフター(リフター本体)122を備えている。
スタッカベース121は断面コ字状の部材であり、供給スタッカ1、2の下方に配置されている。スタッカベース121内部において、リフター(リフター本体)122が矢印Y方向に移動可能である様に構成されている。
リフターは、リフター本体122、板状部分122d、段付きピン123を備えており、段付きピン123は板状部分122d上面に固着されている。
【0076】
図19において、シャーレ取り出し機構120は、垂直方向に延在するボールねじ124、ナット(ボールねじ用ナット)125、電動モータ126、駆動側プーリ127、従動側プーリ128、リニアガイド129を備えている。
電動モータ126が作動すると、その回転は駆動側プーリ127、図示を省略したベルト、従動側プーリ128を介して、ボールねじ124に伝達される。
図19では明示されていないが、ボールねじ124がナット125に螺合しており、ナット125は、シャーレ取り出し機構120のベース部に固定されている。
【0077】
ボールねじ124が回転すると、当該ボールねじ124が上下動する。そして、ボールねじ124の上端に接続されたリフター本体122も上下動する。
ボールねじ124は、リフター本体122に対して、回転自在に連結されている。
図示の実施形態に係る生菌数検査装置100は、制御装置として、例えばコンピュータを搭載しており、図20〜図30を参照して、以下で説明する各種作業を制御している。
【0078】
次に、図20〜図30を参照して、図示の実施形態において、供給スタッカ1、2からシャーレを取り出す態様について説明する。
図20におけるステップS21の「初期セット」では、図21で示す以前の段階で、積層された複数のシャーレSRの一番下(下から1段目)のシャーレ本体SR1が、把持機構の4つのローラ28上に載置された状態である。係る状態から、リフター122をシャーレ本体SR1の底部に当たるまで上昇し、ローラ28をシャーレ本体SR1から離隔して(ローラ28を開く)、シャーレSRがリフター122上に載置された状態にする。そして、ローラ28をシャーレ本体SR1に当接させて、シャーレ本体SR1を4つのローラ28により把持して、リフター122を下降させる。これにより、図21で示す状態になる。
なお、図21〜図29において、図示の簡略化のため、積層された複数のシャーレSRは、3段目まで積層して図示している。
【0079】
図20のステップS22で示す手順では、図22、図23で示す様に、リフター122を1段目のシャーレ本体SR1の底面に当接させて、ローラ28を開く。ここで、「ローラ28を開く」とは、シャーレ本体SR1に当接しているローラ28をシャーレ本体SR1から離隔させて、4つのローラ28を有する把持機構では、シャーレが把持されていない状態にせしめることを意味している。
図22で示す状態では、下から1段目のシャーレ本体SR1は、4つのローラ28を有する把持機構では、把持されていない状態となっている。
【0080】
次のステップS23では、図24で示す様に、リフター122を所定量降下させて、ローラ28を閉じている。ここで、「ローラ28を閉じる」とは、シャーレ本体SR1から離隔していたローラ28を、再びシャーレ本体SR1に当接させて、4つのローラ28を有する把持機構により、シャーレを把持することを意味している。
「ローラ28を閉じる」ことにより、1段目のシャーレ本体SR1はセンタリング(芯合わせ)される。
そしてステップS24に進み、再度ローラ28を開く。そして、ローラ28を2段目のシャーレの位置まで(垂直方向上方へ)移動して、ローラ28を閉じる。図25は、4つのローラ28を有する把持機構により、2段目のシャーレ本体が把持された状態が示されている。
【0081】
ステップS25で示す様に、リフター側の段付きピン123で1段目のシャーレの本体SR1と蓋SR2の芯合わせが行なわれる(図26)。ただし、ステップS25における段付きピン123によるセンタリングは、ステップS24を行なった後に為されるのではなく、ステップS22(図22参照)で、リフター122を1段目のシャーレ本体SR1の底面に当接させた時点で行なわれる。
図20において、ステップS25がステップS24の後(図20では下側)に示されているのは、説明上の便宜である。
【0082】
図26で示す様に、段付きピン123は、小径部分123a、大径部分123b、小径部分123aと大径部分123bとを接続しているテーパ部123c、段付きピン123先端の部分テーパ部123dを有している。
シャーレの本体SR1と蓋SR2のセンタリングが行なわれた状態では、小径部分123aが蓋SR2に接触していれば、大径部分123bはシャーレの本体SR1に接触している。
換言すれば、板状部分122dをシャーレ本体SR1に当接させれば、シャーレの本体SR1と蓋SR2は、板状部分122d上に固設された段付きピン123によって自動的に調芯(芯合わせ:センタリング)される。
【0083】
ここで、図27で示すように、1段目のシャーレにおける蓋SR2の上面と、2段目のシャーレ本体(図27では符号SR1で示す)の下面が、種々の原因により付着(癒着)して、分離しなくなる場合が存在する。
1段目の蓋SR2の上面と2段目の本体SR1の下面が癒着してしまうと、図28(A)の状態から、1段目のシャーレ(本体及び蓋)を取り出そうとしても図28(B)で示すように、1段目のシャーレ本体SR1のみがリフター側(122側)に取り出されてしまい、1段目のシャーレ蓋SR2が残存してしまう。
【0084】
これに対して、図示の実施形態におけるシャーレ分離機構では、図29で示す段階で、リフターの段付きピン123により1段目のシャーレSRの本体及び蓋を保持した状態で、リフター122或いは板状部分122dを、水平方向(1段目のシャーレにおける蓋と、2段目のシャーレ本体を剪断する方向)へ僅かに移動(例えば往復動)する。
リフター122を往復動することにより、段付きピン123で保持された1段目のシャーレの蓋が、2段目のシャーレの本体(4つのローラで把持されているシャーレ本体)に対する剪断方向に相対移動されるので、付着していた1段目のシャーレにおける蓋と2段目のシャーレ本体とは分離する。なお、リフター122或いは板状部分122dを往復動作せずに、何れか1方向に移動しても、付着していた1段目のシャーレにおける蓋と2段目のシャーレ本体とは分離することが出来る。
ここで、水平方向(1段目のシャーレにおける蓋と、2段目のシャーレ本体を剪断する方向)とは、図1において、シャーレSRが、供給スタッカ1、2から印字部・集塵部5まで移動する方向である。
【0085】
明確には図示されていないが、図29において、リフター122を水平方向へ僅かに往復運動させる機構は、供給スタッカ1、2(図1参照)から、印字部5(図1参照)まで、シャーレを移動するシャーレ搬送機構150(図18)である。
また、図29において、リフター122を水平方向へ僅かに往復運動する(リフター122の)移動量は、蓋SR2と本体SR1とのガタ(図16の「λ」:径寸法φ90であれば、5mm程度)と同程度、或いは、それよりも少し大きい程度、具体的には「λ+1mm〜3mm」である。
【0086】
ステップS26では、図29を参照して上述した様に、リフター122(板状部分122d)を図29の左右方向に往復動させて(或いは、図29の左右何れか1方向へ移動して)、1段目のシャーレにおける蓋SR2の上面と、2段目のシャーレ本体SR1の下面とを分離させる。
図29において、1段目のシャーレ及び蓋が2段目のシャーレ本体に対して降下した位置に示されているのは、リフター122(板状部分122d)を図29の左右方向に往復動させる(或いは、図29の左右何れか1方向へ移動する)状態を表示し易くするためである。
ステップS27に進み、リフター122を降下させて、1段目のシャーレ本体及び蓋を、4つのローラで把持されている2段目のシャーレの本体から離隔させる。そして、1段目のシャーレ本体及び蓋を、シャーレ搬送機構150によって印字部5(図18)に搬送する。
【0087】
図18において、シャーレ搬送機構150は、ボールねじBS、電動モータM12を備えている。電動モータM12の回転出力が、ボールねじBSに伝達されるように構成されている。もちろん、電動モータM12の回転軸と、ボールねじBSを接続しても良い。
電動モータM12は、例えばパルス列入力またはサーボドライバ制御されており、時計回り及び反時計回りに回転させることが可能である。
【0088】
明確には図示されていないが、リフター122には、ボールねじBS(雄ねじ)と螺合する雌ねじ部が設けられている。
電動モータM12が作動してボールねじBSが回転すると、リフター122における図示しない雌ねじ部の作用により、リフター122はボールねじBSに沿って移動する。
ここで、リフター122の側面は図示しないガイド部材により案内されているので、電動モータM12が回転してもリフター122は回転することになく、ボールねじBSに沿って図18における矢印Y方向に移動する。
【0089】
次の図20のステップS28では、シャーレSRをリフター122に載置された状態のまま、印字部5で必要な処理が為される。
図30は、リフター122に載置されたシャーレSRを、印字部5から、検体分注部3(図1)や培地分注部4(図1)へ、搬送機構K(挟持部材Ka、Kb)により移動される態様を示している。
図30において、シャーレSRがリフター122に載置された状態で、ボールねじBS(図30では図示せず)に沿って、印字部5まで搬送される(図30(A)参照)。
【0090】
印字部5では、印字部5に装備された装置、例えば図示しないレーザマーカによって、シャーレSRの蓋SR2に必要事項が印字される。その後、印字部5に装備された支持部材Fによって、シャーレSRがリフター122のディスク122dから印字部5に支持される(図30(B)参照)。
シャーレSRは、印字部5から検体分注用シャーレ蓋開閉部6(図1参照)に向かって、搬送部材(マニピュレータ)Kの挟持部材Ka、Kbによって挟持されて、搬送される(図30(C)参照)。
シャーレSRを搬送部材Kで搬送された後、図20のステップS29で、リフター122を印字部5から供給スタッカ1の直下まで戻す(図30(C)参照)。
【0091】
図20において、リフター122を供給スタッカ1直下の位置まで戻したならば、上述した取り出し作業を継続するか否かを判断する(ステップS30)。
シャーレSRの取り出し作業を継続するのであれば(ステップS30がYES)、ステップS21まで戻り、再びステップS21以降を繰り返す。
シャーレSRを取り出す作業を終了するのであれば(ステップS30がNO)、制御を終える。制御を終了するに際しては、リフター122を上昇して、積層された複数のシャーレSRをリフター122上に載置して、ローラ28を開く。そして、リフター122を更に上昇して、ローラ28を閉じる。この状態で、リフター122を下降すれば、積層された複数のシャーレSRは、把持機構の4つのローラ28に載置された状態になり、「図21で示す以前の」状態に戻る。
【0092】
図示の実施形態で用いられるシャーレの本体SR1を取り出す機構によれば、1段目のシャーレにおける蓋SR2の上面と2段目のシャーレ本体SR1の下面が癒着(付着)しても、リフター122或いは板状部分122dを、水平方向(1段目のシャーレにおける蓋と、2段目のシャーレ本体を剪断する方向)へ僅かに移動(例えば往復動)することにより、当該付着していた1段目のシャーレにおける蓋と2段目のシャーレ本体とを分離することが出来る。
それにより、1段目のシャーレにおける蓋と2段目のシャーレ本体とが付着したまま、後の工程に搬送されてしまった場合の種々の不都合を防止することが出来る。
【0093】
次に、図31を参照して、チップの異常を検知して、希釈液がチップ内へ均一に吸引されることを維持するためのチップ検査装置(チップ異常検知機構:希釈液量管理機構)について説明する。
図31において、全体を符号190で示すチップ検査装置は、検体吸引装置170の先端に装着されたチップ192の異常を検査する(チップの良不良を判定する)機構である。
前述した様に、チップ192は検体吸引装置170の先端に装着されて、検体(或いは、希釈途中の試験管内の希釈された検体)を所定量だけ吸引して、別の試験管に注入するのに用いられる。
【0094】
チップ192は通常は樹脂製であり、金属製の部材に比較して簡単に損傷する恐れがあり、異常なチップ(不良チップ)が存在する可能性が存在する。そして、不良チップが存在すると、当該不良チップでは希釈された検体の吸入量が不正確となり、希釈が正確に行なわれず、その結果、生菌数が正確に決定出来なくなる。そして、生菌数が正確に決定できないと、最悪の場合には、有益な細菌の培養設備(例えば、培養タンク)全体に異常があると判断され、甚大な損害が発生する可能性がある。
チップ検査装置190は、チップの良不良を検知して、上述した様な事態の発生を防止するために設けられている。
【0095】
図31(A)において、チップ検査装置190では、例えば、光学センサ193を有しており、光学センサ193は、発光部193Aと受光部193Bを備えている。そして、発光部193Aと受光部193Bの間にチップ192が位置する様に構成されている。
図31(A)に示す状態おいて、チップ192が良品の場合には(異常がなければ)、チップ内に吸引される希釈された検体の液面は、チップ先端192tから高さ寸法H1のレベルか或いはそれよりも上方のレベルになるように設定されている。
【0096】
チップ検査装置190によるチップの検査は、チップ192が希釈された検体(検体と希釈液との混合液)を吸入した際に、希釈された検体を所定量以上、図31(A)では高さ寸法H1以上に吸入していないと、「不良」と判定している。
チップが不良な状態、すなわち希釈された検体が所定量未満しか吸入されていない状態、すなわち図31(A)の高さ寸法H1まで吸入されない状態が、図31(B)で示されている。係る状態が光学センサ193(図31(A)参照)によって検出された場合には、当該チップは「不良」と判断されるのである。
係る判定は、生菌数検査装置100が稼動している間は、常時行なわれている。
図31において、符号194はチップホルダを示し、符号195はマニピュレータの一部を示している。また、符号Lqは、液体表面を示している。
【0097】
図示の実施形態で用いられるチップ検査装置190により、例えばチップが損傷して異常なチップ(不良チップ)となってしまった場合に、その旨を検知して、当該不良チップの使用を排除することが可能である。
不良チップの使用を排除することにより、希釈された検体の吸入量が不正確になることが防止され、希釈が正確に行なわれることに寄与することが出来る。そして、生菌数が正確に決定することが出来るため、有益な細菌の培養設備(例えば、培養タンク)が正常に機能しているにも拘らず、異常があると誤判定される恐れが無くなる。
【0098】
図示の実施形態によれば、生菌数検査で必要とされる各種作業、例えば、検体の希釈作業や、培地の注入作業、希釈された検体を所定量ずつシャーレSRに注入する作業等を自動化することが可能である。そのため、長期間の訓練を行なった作業員を確保しなくても、容易に検体中の生菌数を決定することが出来る。
また、使用した試験管Tや、シャーレSRを装置外に排出し、新たに清浄な試験管TやシャーレSRを供給スタッカ1、2や試験管ラック17から搬送することが出来るので、使用済みの試験管T中の検体や、シャーレSRに残存した培地に存在する生菌が混合して、生菌数の検査が不正確になってしまうことが防止出来る。
【0099】
図示の実施形態の生菌数検査装置100を用いて検体を希釈するに際しては、検体希釈部18における希釈ヘッド180及び検体吸引装置170によって、ミキサMaにセットした試験管Ta内に、例えば希釈液9mlと検体1mlを注入して混合することにより、当該試験管Ta内の検体を10倍に希釈する。
他方のミキサMbにも試験管Tbをセットして、希釈ヘッド180により、試験管Tbに希釈液を例えば9ml注入する。そして、ミキサMaにセットされた試験管Ta内から、検体吸引装置170(或いはチップ192)によって希釈された検体を吸入し、ミキサMbにセットされた試験管Tbに例えば1ml注入して、ミキサMbで混合する。これにより、ミキサMbの試験管Tb内の検体は、100倍(102倍)に希釈される。
この工程を繰り返すことにより、検体を必要な比率まで希釈することが出来る。
【0100】
上述した希釈に際して、希釈液は希釈ヘッド180により試験管T内に注入され、検体(希釈された検体を含む)は検体吸引装置170(或いはチップ192)により、試験管T内に注入され、試験管T内から吸入される。
図示の実施形態によれば、希釈ヘッド180、検体吸引装置170(或いはチップ192)により、希釈液或いは検体を試験管T内に注入する作業、試験管T内から吸入する作業が自動制御され、人手では困難であった検体の希釈作業が容易且つ正確に行われる。
【0101】
図示の実施形態の生菌数検査装置100によれば、検体希釈部18において所定の比率まで希釈された検体は、検体分注部3において、所定量ずつシャーレSRに注入される。係る作業も、図示の実施形態によれば、自動制御により行なうことが出来る。
また、培地の注入作業において、図示の実施形態によれば、培地ボトル24から培地分注部4に培地を供給し、培地分注部4に搬送されたシャーレSR中に培地を注入している。そして、係る作業も、自動制御により行なうことが出来る。
【0102】
図示の実施形態によれば、ミキサMa、Mbを、モータ183が停止した際に、試験管Tが垂直な状態を維持するので、ミキサMa、Mbが停止している際に、ロボットやマニピュレータで試験管Tを正確且つ容易に把持することが出来る。さらに、試験管T内に、検体吸引装置170(或いはチップ192)を挿入して、希釈された検体を吸入することが容易且つ正確に行われる。
そして、試験管Tを適正にホルダ182に設置することと、検体と希釈液の混合完了後に迅速に移動することも容易に、高速で、確実に行なうことが可能である。
【0103】
また、ミキサMa、Mbにおいて、ホルダ182により試験管Tの下部(底部)を保持し、ベアリング付きローラ186により試験管Tの上方の領域(例えば、試験管の長さ方向について、底部から2/3の部分)を支持する様に構成している。そのため、モータ183及びホルダ182の回転速度が上昇しても、ホルダ182及びベアリング付きローラ186で保持或いは支持されている位置から試験管Tが上昇してしまうことはない。したがって、試験管TがミキサMa、Mbから外れて、内部の検体と希釈液の混合液が流出することも防止される。
また、試験管T内の検体と希釈液の混合液は、モータ183及びホルダ182が回転する際に、ベアリング付きローラ186により支持されている領域(例えば、試験管の長さ方向について、底部から2/3の部分)よりも上方に移動してしまうことはない。したがって、回転速度が速すぎて、検体と希釈液が試験管T外部に流出してしまうことも防止される。
【0104】
さらにホルダ182及びベアリング付きローラ186で保持或いは支持されている位置から試験管Tが外れてしまうことがないため、モータ183及びホルダ182の回転速度が上昇しても、大きな騒音が発生する恐れはない。
それに加えて、ミキサMa、Mbにおいて、モータ183の回転方向を、時計方向(CW方向)と反時計方向(CCW)に間欠的に切り替わる様に構成してあり、時計方向(CW方向)或いは反時計方向(CCW)に回転している際には、試験管T内の液体の表面が漏斗状になり、回転が切り替わる際に回転が停止すると、液体の表面が平坦になる。そのため、液体の表面が漏斗状になった瞬間と、平坦な瞬間とでは、液面が垂直方向について変位している。
係る液面の垂直方向の変位により、試験管T内の液体が剪断作用をうけ、混合が効率的に行なわれ、検体と希釈液が均一に混合する。
【0105】
図示の実施形態では、積層して貯蔵されたシャーレSRを取り出す培養容器取り出し機構(シャーレ分離、受け渡し機構)120を備え、ローラ28により、本体SR1の円周方向の4箇所を同時に押圧して本体SR1の水平方向位置を調節し、且つ本体SR1を保持し、リフター122上に複数のシャーレSRを載置して、リフター122を垂直方向に移動可能に構成している。
そのため、積層された複数のシャーレにおける下方の蓋SR2の上面が、上方のシャーレ本体SR1の下面に付着しても、リフター122に複数設けられた段付きピン123により下方のシャーレSRの蓋SR2をリフター122に対して水平方向に固定し、且つ、上方のシャーレSRの本体SR1をローラ28により保持して、微小距離だけ水平方向に移動することにより、当該付着した蓋SR2と本体SR1とを分離することが出来る。
【0106】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【符号の説明】
【0107】
1・・・第1の供給スタッカ
2・・・第2の供給スタッカ
3・・・検体分注部
4・・・培地分注部
5・・・集塵機能を備えた印字部
6・・・検体分注用シャーレ蓋開閉部
7・・・培地分注用シャーレ蓋開閉部
8・・・混釈部
9・・・冷却ステージ
10、11、12、13・・・収納スタッカ
14、15・・・希釈ボトル
16・・・希釈液搬送用ポンプ
17・・・試験管ラック
18・・・検体希釈部
19・・・検体ラック
20・・・廃棄チップラック
21・・・チップラック
22・・・培地吐出ノズル
23・・・シャッター
24・・・培地ボトル
170・・・検体吸引装置
180・・・希釈ヘッド
T、Ta、Tb・・・試験管
Ma、Mb・・・ミキサ
SR、SR1、SR2・・・シャーレ(本体或いは蓋)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば乳酸菌、ビフィズス菌等の生菌が、飲料品等の検体中にどの程度含まれているか(どの位の数の生菌が、単位量の検体中に存在するか)を検査するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料品等の検体中に、乳酸菌、ビフィズス菌等の生菌がどの程度含まれているか、すなわち、単位量の検体中に生菌がどの位の数だけ存在するかを検査すること(細菌数(生菌数)検査)は、特に生菌が包含されている飲料品の品質管理において、極めて重要である。
その様な生菌数検査を行なうため、従来技術においては、試験管等の容器により、検体を、例えば106倍〜107倍に希釈し(或いは、10−6〜10−7に希釈し)、希釈された検体を、培地を注入したシャーレ等に、所定量毎に分注していた。ここで、「分注」なる文言は、「液体或いはゾル状の物質の一部を吸引し、吐出する」動作を示している。
【0003】
そして、希釈された生菌を分注したシャーレ等を検査対象である生菌の培養に適した環境下に静置して、当該生菌を培養する。
培養の結果、シャーレ等に生菌のコロニーが形成されるので、当該コロニーの数を勘定する。
ここで、コロニーの数は、シャーレ等に分注された希釈された検体の所定量中に包含されていた生菌数に等しいと推定される。従って、培養後、シャーレ等に形成されたコロニーの数を数え、
コロニーの数×「希釈した倍数:或いは希釈の逆数」
なる式により、検体中の生菌数を求める。
例えば、1mlの検体を106倍に希釈(換言すれば、10−6に希釈)した後、シャーレで培養した後に、200個のコロニーが形成されたのであれば、1mlの検体には、 200×106=2×108 の生菌が含まれていたことになる。
なお、このように検体を希釈するのは、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令において、細菌数(生菌数)の測定法として、コロニー数をカウントするシャーレはシャーレ中のコロニー数が30〜300個までのものと定められていることによる。
【0004】
係る生菌数検査は、従来は、人手により行なわれていた。
しかし、検体を希釈(例えば、106倍〜107倍に希釈)する作業や、培地を所定量だけシャーレ中に注入して、希釈された検体と均一に混合する作業、希釈された検体を所定量ずつシャーレに注入する作業は、高度な技量と集中力とが要求される。
そして、その様な高度な技量と集中力を持つ作業員を養成することは容易ではない(出願人の経験では、少なくとも3ヶ月の訓練期間が必要である。)
また、係る高度な技量と集中力を有する作業員により行なわれる検査には、多大な労力及びコストが必要となってしまう。
そのため、検体の希釈や、培地の注入、その他の生菌数検査に必要な操作を自動処理する技術が要求されているが、必要な精度及び均一性を具現化できたものは、現時点では存在しない。
【0005】
その他にも、従来技術として、例えば、ブロムクレゾールパープルが添加された寒天培地を用いて、乳酸菌以外の細菌数を測定する技術が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、係る従来技術(特許文献1)は、飲食物中に含まれる乳酸菌以外の生菌数を計測することを企図しており、上述した問題を解決するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−187972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、生菌数検査で必要とされる各種作業、例えば、検体の希釈作業や、培地の注入作業、希釈された検体を所定量ずつシャーレに注入する作業等を自動化して、生菌数検査における労力やコストを低減することが出来る生菌数検査装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の生菌数検査装置(100)は、検体の希釈作業を行なう検体希釈部(図1における符号18、或いはミキサMa、Mbを有する箇所)と、
希釈された検体を培養容器(例えば、シャーレ)に所定量ずつ注入する検体分注部(3)と、
前記培養容器(例えば、シャーレ)に培地を注入する培地分注部(4)を備え、
前記検体希釈部(18)は、(例えば一対の)混合装置(ミキサMa、Mb、振とう機)と、希釈液を注入する希釈ヘッド(180)と、検体(希釈された検体を含む)を吸入し注入する検体吸引装置(170)を備えており、
前記混合装置(ミキサMa、Mb)は希釈液と検体とを混合する混合用容器(例えば試験管T)を支持して、回転(例えば、偏芯回転)する機能を有しており、
前記希釈ヘッド(180)は、前記混合装置(ミキサMa、Mb)に支持された前記混合用容器(例えば試験管T)の直上に配置され、
前記検体吸引装置(170)を、検体貯蔵部(検体ラック19)と、前記検体希釈部(18)と、前記検体分注部(3)の間で移動する移動装置(マニピュレータ195)を有していることを特徴としている(図1〜図3参照)。
【0009】
本発明において、前記混合装置(ミキサMa、Mb)は、前記混合用容器(例えば試験管T)の下部(底部)を保持する保持部材(試験管底部を支持する試験管保持部182)と、保持部材(182)を回転駆動する回転駆動装置(モータ183)と、混合用容器(例えば試験管T)の上方の領域(例えば、試験管の長さ方向について、底部から2/3の部分)を支持する支持部材(支持部186)を備え、
回転駆動装置(モータ183)の停止時に混合用容器(例えば試験管T)が垂直な状態を維持する様に、回転駆動装置(モータ183)の回転軸(183a)は、混合用容器(T)の中心軸に対して偏奇しており(試験管Tの半径方向寸法δだけ偏奇しており)、
(モータ183の回転軸183aに対して歳差運動をする)混合用容器(T)の位置を検出する検出装置(例えば、モータ回転軸の回転位置を検出するエンコーダRE)を備え、
回転駆動装置(モータ183)は、当該検出装置(RE)の検出結果に基づいて、混合用容器(T)が垂直な状態を維持する位置で停止する機能と、回転方向が時計方向(CW方向)と反時計方向(CCW)に切り替わる間欠回転を行なう機能を有しているのが好ましい(図4、図6参照)。
【0010】
また本発明において、積層して貯蔵された前記培養容器(例えば、シャーレSR)を取り出す培養容器取り出し機構(120:シャーレ分離、受け渡し機構)を備えており、前記培養容器(SR)は円形断面をしており且つ本体部(シャーレの本体SR1)と蓋部(シャーレの蓋SR2)を有し(図16参照)、
本体部(SR1)の円周方向の複数箇所(例えば4箇所)を同時に押圧して、本体部(SR1)の水平方向位置を調節すると共に、本体部を保持する機能を有する押圧機構(ローラ28)と(図17参照)、
積層して配置された複数の前記培養容器(例えば、シャーレSR)が載置され、且つ、垂直方向に移動可能な載置部材(リフター122)と、
載置部材(122)に複数設けられ、載置部材(122)が上昇した場合に最下層の蓋部(SR2)の周縁部に当接して、当該蓋部(SR2)を水平方向について載置部材(122)に固定するガイド部材(段付きピン123)と、
前記載置部材(リフター122)を(シャーレ本体SR1と蓋SR2の径寸法の差に等しい、或いは、当該径寸法の差よりも大きい)微小距離だけ水平方向に移動する載置部材移動機構(微小距離だけ移動した後は、図1の供給スタッカ1、2から印字部・集塵部5までシャーレSRを搬送する機構)とを含むのが好ましい(図1、図18、図19参照)。
【0011】
さらに本発明において、前記培地分注部(4)は注入用ノズル(22)を備え、注入用ノズル(22)にはノズルカバー(22C)が設けられており、該ノズルカバー(22C)の下方に、ノズルカバー(22C)の下端面と当接する位置まで伸長可能な板状部材(シャッター23:遮蔽板)が設けられているのが好ましい(図10〜図15参照)。
【0012】
それに加えて、本発明において、前記希釈ヘッド(180)近傍には着脱可能なチップ(192)が設けられ、当該チップ(192)内の液面の高さを検出する装置(193)と、チップ(192)内の液面が所定位置よりも低い場合に当該チップを不良品と判定するチップ検査装置(190)を設けているのが好ましい(図31参照)。
【発明の効果】
【0013】
上述する構成を具備する本発明の生菌数検査装置(100)によれば、生菌数検査で必要とされる各種作業、例えば、検体の希釈作業や、培地の注入作業、希釈された検体を所定量ずつ培養容器(例えば、シャーレSR)に注入する作業等を自動化することが出来る。そのため、長期間の訓練を行なった作業員を確保しなくても、容易に検体中の生菌数を決定することが出来る。
また、使用した混合用容器(例えば試験管T)や、培養容器(例えば、シャーレSR)を装置外に排出し、新たに清浄な試験管(T)やシャーレ(SR)を供給箇所(シャーレの供給スタッカ1、2、試験管ラック17)から搬送することが出来るので、使用済みの試験管(T)中の検体や、シャーレ(SR)に残存した培地に存在する生菌が混合して、生菌数の検査が不正確になってしまうことが確実に防止される。
【0014】
本発明における検体の希釈作業を行なうに際しては、検体希釈部(18)における希釈ヘッド(180)によって、一方の混合装置(ミキサMa)にセットした混合用容器(試験管Ta)内に、希釈液を、例えば9mlだけ注入する。そして、当該混合用容器(試験管Ta)内に、検体吸引装置(170:或いは、それに装着されたチップ192)によって、検体を例えば1ml(検体)だけ注入する。そして、当該混合装置(ミキサMa)によって混合することにより、当該混合用容器(Ta)内の検体を10倍に希釈する。
他方の混合装置(ミキサMb)にも混合用容器(試験管Tb)をセットして、希釈ヘッド(180)により、この混合用容器(Tb)に希釈液を、例えば9ml注入する。そして、前記一方の混合装置(Ma)にセットされた混合用容器(Ta)内から、検体吸引装置(170:或いは、それに装着されたチップ192)によって希釈された検体を吸い込み、混合装置(Mb)の混合用容器(Tb)に例えば1ml注入し、混合装置(Mb)により混合する。これにより、混合装置(Mb)の混合用容器(Tb)の検体は、100倍(102倍)に希釈される。
この工程を繰り返すことにより、検体を必要な比率まで希釈することが出来る。
【0015】
上述した希釈に際して、検体(希釈された検体を含む)は、検体吸引装置(170)により混合用容器である混合用容器(T)内に所定量だけ注入される。そして、希釈液は希釈ヘッド(180)により混合用容器(T)内に注入される。注入後、混合装置(ミキサMa、Mb)により均一に混合される。そして、希釈された検体は、検体吸引装置(170)により吸入される。
すなわち、混合用容器(T)内から希釈された検体を吸入して、他の混合用容器に所定量だけ注入する作業、検体(或いは希釈された検体)が注入された混合用容器に所定量の希釈液を注入する作業、混合用容器内の検体と希釈液とを混合する作業が、自動制御されるので、人手では困難であった検体の希釈作業が、容易且つ正確に行われる。
【0016】
また、本発明における培地の注入作業では、培地供給源(培地ボトル24)から培地分注部(4)に培地を供給し、培地分注部(4)に搬送されたシャーレ中に培地を注入する。係る作業も、自動制御により行なうことが出来る。
さらに、検体希釈部(18)において所定の比率まで希釈された検体は、検体分注部3において、所定量ずつシャーレ(SR)に注入される。係る作業も、本発明によれば、自動制御により行なうことが出来る。
【0017】
ここで、従来の生菌数検査では、混合用容器(試験管)内に注入された検体と希釈液を混合するのに、手作業で試験管を振ることにより行なわれていた。
ここで、熟練していない作業者が手作業で試験管を振っても、試験管内の検体と希釈液とは均一に混合されず、且つ、試験管内の液体を試験管外にこぼしてしまう恐れがある。
そのため、検体と希釈液が注入された試験管を動かして(振って)、内部の検体と希釈液を混合する作業を、混合装置で自動操縦することが望まれている。
しかし、従来の混合装置では、停止した際に試験管を支持する位置が一定しておらず、また、試験管を支持した状態で停止している際に、試験管が垂直方向に対して傾斜していた。
そのため、ロボットやマニピュレータで試験管を把持することが困難であり、試験管を混合装置にセットし、混合完了後に移動することが上手く出来なかった。また、検体を吸引する装置(例えば、チップ等)を挿入するに際して、試験管が傾斜していると、当該装置の挿入が困難であった。
【0018】
また、従来の混合装置で、試験管内の検体と希釈液を混合する速度を上昇させると、試験管が上昇して、試験管が混合装置から外れて、内部の検体と希釈液の混合液が流出してしまう恐れがある。
さらに、従来の混合装置で、試験管内の検体と希釈液を混合する速度を上昇すると、騒音が大きくなってしまうという問題があった。
そのため、従来の混合装置では、試験管内の検体と希釈液を混合する速度が比較的遅くなり、その分だけ、試験管内の検体と希釈液が均一に混合されない恐れが存在した。
試験管内の検体と希釈液が均一に混合されないと、希釈された検体の一部を吸入して他の試験管内で希釈液と混合するに際して、同一の比率で正確に希釈することができない。そして、同一の比率で希釈されないと、希釈後の検体を培養してコロニーを形成しても、そのコロニーの数から希釈前の検体に存在する生菌の数を決定することが不正確になってしまう。
コロニーの数×「希釈した倍数:或いは希釈の逆数」 なる式により、検体中の生菌数を求めることが出来るのは、検体が均一に混合され、希釈、混合の度に同一の希釈率が維持されることが前提になっているからである。
【0019】
それに対して、本発明において、混合装置(ミキサMa、Mb)を、回転駆動装置(モータ183)が停止した際に、混合用容器(例えば試験管T)が垂直な状態を維持する様に構成すれば、検出装置(例えば、エンコーダRE)の検出結果に基いて、混合用容器(試験管T)が垂直な状態を維持する位置で停止することが出来る。
その結果、上述した混合機(Ma、Mb)が停止している際には、混合用容器(T)が垂直な状態を維持され、その際に、ロボットやマニピュレータで混合用容器(T)を正確且つ容易に把持することが出来る。そして、混合用容器(T)を適正に保持部材(ホルダ182)に設置することと、検体と希釈液の混合完了後に迅速に移動することも容易に、高速で、確実に行なうことが可能である。
さらに、混合用容器(試験管T)が垂直な状態を維持する位置で停止しているので、当該混合用容器(試験管T)内に、検体吸引装置(170:或いは、それに装着されたチップ192)を挿入して、希釈された検体を吸入することが容易且つ正確に行われる。
【0020】
また、前記混合装置(Ma、Mb)において、保持部材(試験管底部を支持する駆動部182)により混合用容器(例えば試験管T)の下部(底部)を保持し、支持部材(例えばローラ186)により混合用容器(例えば試験管T)の上方の領域(例えば、試験管の長さ方向について、底部から2/3の部分)を支持する様に構成すれば、回転駆動装置(モータ183)及び保持部材(182)の回転速度が上昇しても、保持部材(182)及び支持部材(186)で保持或いは支持されている位置から混合用容器(T)が上昇してしまうことはない。そのため、混合用容器(T)が混合装置(Ma、Mb)から外れて、内部の検体と希釈液の混合液が流出することも防止される。
また、混合用容器(T)内の検体と希釈液の混合液は、回転駆動装置(183)及び保持部材(182)が回転する際に、支持部材(186)により支持されている領域(例えば、試験管の長さ方向について、底部から2/3の部分)よりも上方に移動してしまうことはないので、回転速度が速すぎて、検体と希釈液が混合容器外部に流出してしまうことも防止される。
そして、保持部材(182)及び支持部材(186)で保持或いは支持されている位置から混合用容器(T)が外れてしまうことがないため、回転駆動装置(183)及び保持部材(182)の回転速度が上昇しても、大きな騒音が発生する恐れはない。
【0021】
さらに、前記混合装置(ミキサMa、Mb)において、回転駆動装置(モータ183)の回転方向を、時計方向(CW方向)と反時計方向(CCW)に間欠的に切り替わる様に構成すれば、時計方向(CW方向)或いは反時計方向(CCW)に回転している際には、混合容器(T)内の液体の表面が漏斗状になり、回転が切り替わる際には一時的に液体の表面が平坦になる。そして、液体の表面が漏斗状になった瞬間と、平坦な瞬間とでは、微小面積毎に考えると、液体の表面の垂直方向寸法に差異が生じる。
係る液体表面の垂直方向寸法の差異に起因して、液体が上下方向についても剪断作用をうけるので、混合が効率的に行なわれ、検体と希釈液が均一に混合する。
【0022】
生菌数検査を自動化するに際しては、複数の培養容器(例えば、シャーレSR)が必要となる。そして、生菌数検査を自動化するための生菌数検査装置のスペースを節約するために、未使用の複数の培養容器は積層して、所定領域(供給スタッカ1、2)に貯留している。使用に際しては、積層されたシャーレ(SR)を本体(SR1)と蓋(SR2)を一組ずつ取り出して、生菌培養用の培地を注入し、希釈された検体を注入している。
ここで、培養容器としてシャーレ(SR)を用いた場合には、シャーレ本体(SR1)の径寸法と、シャーレ蓋(SR2)の径寸法とは相当量異なっており(蓋の径寸法の方が、本体の径寸法よりも大きい)、シャーレ本体(SR1)に蓋(SR2)をした状態で積層すると、下方の蓋(SR2)の上面が、上方のシャーレ本体(SR1)の下面に付着してしまうことがある(図27参照)。
係る事態(図27で示す様な事態)が生じると、培養容器であるシャーレ(SR)中に培地を注入することが出来ず、また、希釈された検体を注入することも出来なくなり、生菌数の検査は不可能になってしまう。
しかし、従来の生菌数検査装置では、係る事態の予防、対処を行うことが出来なかった。
【0023】
これに対して、本発明において、積層して貯蔵された前記培養容器(例えば、シャーレSR)を取り出す培養容器取り出し機構(120:以下、「シャーレ取り出し機構」と記載)を備え、
押圧機構(ローラ28)により、本体部(SR1)の円周方向の複数箇所(例えば4箇所)を同時に押圧して本体部(SR1)の水平方向位置を調節し且つ本体部(SR1)を保持し、
載置部材(リフター122)上に複数の培養容器(SR)を載置し、当該載置部材(122)を垂直方向に移動可能に構成すれば(図17〜図19参照)、
下方の前記蓋部(SR2)の上面が、上方の本体部(SR1)の下面に付着したとしても(図27で示す状態になったとしても)、
載置部材に複数設けられたガイド部材(段付きピン123)により下方の培養容器(SR)の蓋部(SR2)を前記載置部材(リフター122)に対して水平方向に固定し、且つ、上方の培養容器(SR)の本体部(SR1)を前記押圧機構(ローラ28)により保持して、
載置部材移動機構(図1の供給スタッカ1、2から印字部・集塵部5までシャーレを搬送する機構)によって、前記載置部材(リフター122)を(シャーレ本体部(SR1)と蓋(SR2)の径寸法の差に等しい、或いは、当該径寸法の差よりも大きい)微小距離だけ水平方向に移動すれば、付着した蓋部(SR2)と本体部(SR1)とは分離する。ここで、載置部材移動機構とは、付着した蓋部(SR2)と本体部(SR1)を分離するために、微小距離だけ動くこともでき、且つ、図1の供給スタッカ1、2から印字部・集塵部5までシャーレを搬送することも出来る機構である。
【0024】
すなわち、ガイド部材(123)により下方の培養容器(SR)の蓋部(SR2)は載置部材(122)に対して固定されており、上方の本体部(SR1)は押圧機構(28)により保持(固定)されているので、載置部材移動機構によって前記載置部材を微小距離だけ水平方向に移動すれば、下方の蓋部(SR2)は載置部材(122)と共に水平方向に移動し、押圧機構(28)により保持(固定)された上方の本体部(SR1)は水平方向に移動しない。
そのため、下方の蓋部(SR2)と上方の本体部(SR1)には水平方向の相対移動が生じ、両者の間に剪断が発生するので、(図27で示すように)付着した下方の蓋部(SR2)と上方の本体部(SR1)は分離する(図28、図29参照)。
【0025】
そして、(図27で示す様に)下方の蓋部(SR2)の上面と、上方の本体部(SR1)の下面とが付着しても、積層された培養容器(SR)を最下層から取り出すたびに、上述した処理が行なわれることにより、下方の蓋部(SR2)と上方の本体部(SR1)の付着が解除される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態を示す平面図である。
【図2】実施形態で用いられる検体希釈機構を説明するブロック図である。
【図3】実施形態で用いられる検体希釈機構の主要部の正面図である。
【図4】実施形態で用いられるミキサの概要を示す説明図である。
【図5】図4のX-X断面矢視図である。
【図6】図4のミキサで攪拌される試験管内部の液体の挙動を示す説明図である。
【図7】実施形態におけるミキサを示す一部透視図を含む正面図である。
【図8】希釈液を作る工程を示したフローチャートである。
【図9】培地注入部における問題を示す説明図である。
【図10】実施形態における培地注入ノズルの乾燥防止機構の作動原理を説明する説明図である。
【図11】乾燥防止機構の構成と当該機構を培地注入部に配置した状態を示す平面図である。
【図12】図11で説明した乾燥防止装置におけるノズル閉鎖時を示す横断面図である。
【図13】図11で説明した乾燥防止装置で、培地を注入する前段階でノズルを上昇させた状態を示す横断面図である。
【図14】シャッターを収容した(開けた)状態を示す横断面図である。
【図15】図14で説明した段階の後、培地を注入する段階を示す横断面図である。
【図16】実施形態で用いられるシャーレを説明する説明図である。
【図17】実施形態で用いられるシャーレ取り出し機構において、シャーレの本体部を把持する把持機構を示す説明図である。
【図18】シャーレ取り出し機構及びシャーレ搬送機構の構成を説明する斜視図である。
【図19】シャーレ取り出し機構の縦断面図である。
【図20】シャーレを供給スタッカから取り出す方法を説明するフローチャートである。
【図21】シャーレ分離機構により、積層されたシャーレの最下層におけるシャーレ本体と蓋とを取り出す作業の初期段階を示す説明図である。
【図22】図21に続く段階を示す説明図である。
【図23】図22のA部詳細図である。
【図24】把持機構により、最下層のシャーレ本体部を把持した状態を示す説明図である。
【図25】図24に続く段階で、最下層から2番目のシャーレ本体部を把持した状態を示す説明図である。
【図26】最下層のシャーレ本体を、段付きピンで保持した状態を示す説明図である。
【図27】リフターを下降させる際の不都合を示す説明図である。
【図28】図25で示す状態で、リフターを下降させる段階を説明する説明図である。
【図29】実施形態で用いられるシャーレ分離機構の作用を説明する説明図である。
【図30】培養容器取り出し機構によって取り出されたシャーレを印字部に搬送する状態を示す説明図である。
【図31】実施形態で用いられるチップ検査装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図示の実施形態に係る生菌数検査装置は、所定量の検体中に、乳酸菌、ビフィズス菌等がどのくらい含まれているかを正確に測定するための装置である。
【0028】
図示の実施形態に係る生菌数検査装置では、検体を採取してから必要な倍率まで希釈し、培地に混合して、生菌の培養が可能な状態となるまでを自動化している。
最初に図1を参照して、本発明の実施形態に係る生菌数検査装置における全体的な構成を説明する。
【0029】
図1において、全体を符号100で示す実施形態に係る生菌数検査装置は、第1の供給スタッカ1、第2の供給スタッカ2、検体分注部3、培地分注部4、集塵機能を備えた印字部5、検体分注用シャーレ蓋開閉部6、培地分注用シャーレ蓋開閉部7、混釈部8、冷却ステージ9を備えている。
【0030】
生菌数検査装置100は、四つの収納スタッカ10、11、12、13、二つの希釈液ボトル14、15、希釈液搬送用ポンプ16、試験管ラック17、検体希釈部18、検体ラック19、廃棄チップラック20、チップラック21、培地吐出ノズル22、ノズルシャッター23および4本の培地ボトル24を備えている。
【0031】
第1の供給スタッカ1及び第2の供給スタッカ2は、図18で示すように、各々が4本のガイド柱29を有しており、ガイド柱29は、シャーレ本体SR1と蓋SR2からなるシャーレSR(図16参照)に均等ピッチで接している。
図示の実施形態では、4本のガイド柱29で囲われた領域に、30個のシャーレSRが収容されている。
図1、図18における符号120は、シャーレ取り出し機構を示している。
【0032】
図1において、検体分注部3は検体分注用シャーレ蓋開閉部6を有しており、シャーレSRの本体SR1に検体(液体)を注入(分注)する機能を有している。印字部5で蓋に必要事項がレーザ印字されたシャーレSRは、検体分注用シャーレ蓋開閉部6で蓋が開けられ、そして、図1において符号3で示す箇所(点線で示す箇所)にシャーレ本体SR1を移動して検体を分注し、検体分注用シャーレ蓋開閉部6の位置まで戻す。
培地分注部4は、培地分注用シャーレ蓋開閉部7を有しており、検体が分注されたシャーレSRに培地を適量注入する機能を有している。培地分注用シャーレ蓋開閉部7でシャーレSRの蓋を開け、そのシャーレSRの本体を、図1において符号4で示す箇所(点線で示す箇所)に移動して、培地ボトル24から搬送された培地を分注し、培地分注用シャーレ蓋開閉部7の位置まで戻す。
【0033】
印字部5は、供給スタッカ1或いは供給スタッカ2から搬送されたシャーレSRに、必要事項(例えば、検体の種類、希釈度、処理日時等)を印字する機能を有している。印字部5については、公知、市販のレーザ印字装置等が適用可能である。
混釈部8は、検体分注部3でシャーレSR内に分注された検体と、培地分注部4でシャーレSR内に分注された培地を、混合(混釈)するための部材である。公知、市販の混合用装置(混釈機)を適用することが出来、混合の方式は特に限定されるものではないが、混合性能の点から、偏心したプーリをモータを用いて回転することにより混合する水平偏心振とう方式が好ましい。
【0034】
検査対象の生菌は嫌気性である場合には、検体及び培地がシャーレSRに注入された後、直ちにシャーレSR内を脱気する必要がある。図示の実施形態に係る生菌数検査装置100は脱気機構を設けていないので、係る場合には、検体及び培地が注入されたシャーレSRを、生菌数検査装置100外に出して、図示しない脱気装置において脱気する必要がある。
そして、生菌数検査装置100外で脱気する以前に、シャーレSR中の培地を固化して、脱気の際に培地が(図示しない)脱気装置に吸入されないようにするのが好適である。ここで、図示の実施形態で使用される培地は、温度が高くなると粘性が低くなる性質があるので、培地を固化するためにも、シャーレSRを冷却することが好ましい。
【0035】
そのため、図1において、培地分注部4で培地が注入されたシャーレSRは、冷却ステージ9において、図示しない冷却手段により、培地が固化される。図示の実施形態では、冷却ステージ9には、シャーレSRの載置部が4箇所設けられている。
冷却ステージ9で冷却されて培地が固化した後、シャーレSRは、生菌数検査装置100外に設けられた図示しない脱気装置で脱気される。
【0036】
図1において、四つの収納スタッカ10、11、12、13が設けられている。係る収納スタッカは、培地及び検体を収容したシャーレSRをストックして、静置している。
図1において点線で示す希釈液ボトル14、15は、2種類の希釈液(検体を希釈するために添加する液体:例えば、生理食塩水やCSL)を貯留しておく容器である。希釈液ボトル14、15内の希釈液は、ラインLqaを介して希釈液搬送用ポンプ16により吸入される。吸入された希釈液は、ラインLqb経由で検体希釈部18の希釈ヘッド180(図3参照)に供給する様に構成されている。
なお、検体希釈部18については、図2、図3を参照して後述する。
【0037】
試験管ラック17には、試験管が1本ずつ分離して配置、収容される。
不良品チップ(使用できないチップ)の廃棄場所は、図1において、検体希釈部18の中心部の下方である(図示せず)。
ここで、「チップ」は樹脂製の中空円錐状部材である(図3、図31の符号192参照)。図1の生菌数検査装置100には、チップの良、不良を判定する機構(チップ良否判定センサ)193が装備されている。当該機構に関しては図31を参照して後述する。
【0038】
図1において、検体ラック19は、検体の入った試験管を冷却しながら一時貯留しておく機能を有している。廃棄チップラック20は、使用済みのチップを貯蔵(図示の実施形態では、最大で90本貯蔵)する装置である。
チップラック21は、未使用のチップを載置(図示の実施形態では、満杯で90本載置)している。
【0039】
図1において、培地分注部4では、培地分注用シャーレ蓋開閉部7から送られて来たシャーレ本体に、吐出ノズル22を介して培地を分注する。吐出ノズル22から分注される培地は、培地ボトル24(図1では4本)に貯蔵されている。
ここで、培地は複数種類使用する場合があり、例えば、複数種類の生菌の生菌数検査を行なう場合には、複数種類の培地を使用する。一方、単一種類の生菌の生菌数を検査する場合には、培地は一種類用いればよい。この様に、単一種類の培地を使用する場合や、複数種類の培地を使用する場合の双方に対応するために、図示の実施形態では、例えば4本の培地ボトル24を用意している。
なお、図示の実施形態に係る生菌数検査装置100では、培地分注部4に培地を供給する構成中に、培地の乾燥を防止するための機構を設けている。当該機構については、図10〜図15を参照して後述する。
【0040】
次に、図2〜図5を参照して、検体希釈部18について説明する。
図2及び図3において、検体希釈部18は、希釈ヘッド180と、検体吸引装置170(図3)と、2つの希釈用ミキサMa、Mbを備えている。
図3で示す検体吸引装置170はチップホルダ194を備えており、チップホルダ194先端のチップ192により検体を吸引し、所定の試験管T内に注入する機能を有している。チップホルダ194はマニピュレータ(或いは、ロボットハンド)195に接続している。
検体吸引装置(170)は、マニピュレータ195により、検体を貯蔵している検体ラック19と、検体希釈部18と、検体分注部3の間を移動する。さらに、マニピュレータ195は、検体希釈部18において、チップ192を、一方の試験管T内の検体(或いは希釈された検体)を吸入する位置から、当該検体(或いは希釈された検体)を他方の試験管T内に注入する位置へ移動する。なお、マニピュレータ195(或いは、ロボットハンド)は、公知の市販品を使用することが出来る。
図2及び図3において、希釈ヘッド180は、2本のラインLqbを介して2連の希釈液供給ポンプ16に接続されている。2連の希釈液供給ポンプ16はポンプ16A、16Bを備えており、2本のラインLqaを介して、希釈液ボトル14、15に接続されている。
【0041】
図3において、希釈ヘッド180の直下には、ミキサMa、Mbが配置されている。図3ではミキサMaのみが示されており、他方のミキサMbはミキサMaの後ろに隠れる様に配置されている。そして、図3、図4に示されているミキサMaの構成は、ミキサMbと共通している。なお、ミキサMa、Mbの配置については、図7でも示されている。
図4において、ミキサMaは、保持部材(以下、「ホルダ」と記載)182、駆動用モータ183、ロータリエンコーダRE、4つの試験管上部支持部材(以下、「ベアリング付きローラ」と記載)186を備えている。
ここで、図7で示すように、ミキサMa、Mbの各々の駆動用モータ183は第1の柱部(図7では下方に延在している柱部)SV−1に支持されており、ベアリング付きローラ186は第2の柱部(図7では上方に延在している柱部)SV−2に支持されている。そして、第1の柱部SV−1と第2の柱部SV−2は、共に、床部SFに固定されている。
そのため、ミキサMa、Mbの各々において、駆動用モータ183と、ベアリング付きローラ186は、相対的な位置関係を保持している。
【0042】
図4において、ホルダ182の凹部(窪み)は、テーパ状の斜面182aと湾曲した底部182bを有しており、斜面182aと底面182bとの境界部分は湾曲面により接続されている。そして、ホルダ182の凹部は、その底部182bで試験管Tの底部を保持しており、当該凹部の内周面全体が、試験管Tの底部と干渉しない形状、換言すれば、試験管Tの底部の移動軌跡と相補的な湾曲面を形成している。
ホルダ182の凹部内周面の底部は、その一部を平坦な面で構成することが可能である。或いは、図7で示すように、試験管Tを保持する窪みが異なった傾斜が連続する2段のテーパとしても良い。
【0043】
図4において、ベアリング付きローラ186によって支持される試験管Tの支持位置を、試験管Tにおける試験管Tの全体の2/3よりも上方の位置となっている。
その様な位置(試験管Tの全体の2/3よりも上方の位置)をローラ186で支持すれば、試験管T内の液体は試験管外に漏出することがない。なお、試験管Tの全体の2/3よりも上方の位置をローラ186で支持した状態が、図5において、平面的に示されている。
【0044】
図4において、駆動用モータ183の回転軸183aは、ホルダ182の下端部で、ホルダ182の中心から水平方向にδだけ偏寄した位置にて、ホルダ182と固着している。
駆動用モータ183を回転させた場合、駆動用モータ183が1回転する毎に、1箇所においては、試験管Tが垂直な状態(直立状態)となる。
【0045】
駆動モータ183の回転方向は、図4及び図6において矢印CWで示す時計方向(CW方向)と、図4及び図6において矢印CCWで示す反時計方向(CCW方向)に、間欠的に切り替わる様に構成されている。
そのため、図示の実施形態において、駆動用モータ183が作動すると、試験管Tは図6に示すような3つの挙動或いは回転状態、(A)、(B)、(C)で示す状態を、断続的に順番に繰り返す。
【0046】
図6(A)では、駆動用モータ183は時計回り(CW方向)に回転している。図6(A)の状態では、試験管T内部の液面Lfは、漏斗状になっている。
図6(A)の状態から、駆動用モータ183を停止して所定時間が経過すれば、図6(B)で示す様に、試験管T内部の液面Lfは水平となる。
その状態から、駆動用モータ183を反時計回り(CCW方向)に回転させれば、試験管T内部の液面Lfは、再び漏斗状を呈する(図6(C)の状態)。
図6(C)の状態で駆動用モータ183を停止すれば図6(B)の状態となり、図6(B)の状態で駆動用モータ183を時計回り(CW方向)に回転すれば図6(A)の状態となる。
【0047】
図6において、(A)から(B)への状態変化、(B)から(C)への状態変化、(C)から(B)の状態変化、(B)から(A)の状態変化をすることにより、試験管T内部の液面は漏斗状と水平面状の間で変化し、上下方向(垂直方向)に移動する。係る上下方向(垂直方向)の移動により、試験管T内の液体に剪断力が作用する。この剪断力は、希釈しようとする液体同士を迅速且つ均一に混合する作用効果を奏するのである。
すなわち、試験管T内の液体表面が垂直方向に移動することに起因して、液体が上下方向についても剪断作用を受けるので、混合が効率的に行なわれ、検体と希釈液とが均一に混合する。
さらに、試験管Tが垂直な状態を維持する位置で停止しているので、試験管T内に、検体吸引装置170(或いはチップ192)を挿入して、希釈された検体を吸入することが容易且つ正確に行われる。
【0048】
図4において、ロータリエンコーダREは、回転ディスク184と角度検知部185とを備えている。回転ディスク184は、(駆動モータ183の回転軸であって、回転軸183aとはモータ183に対して反対側の)回転軸183bに固設されており、回転ディスク184の一部が開口されている(回転ディスク184の開口部は図示せず)。角度検知部185は、前記開口部を検出して、回転角度を計測する。
図4では、回転ディスク184における前記図示しない開口部の位置は、試験管Tが垂直な直立状態となった際に、角度検知部185が前記開口部を検知する様に設定されている。換言すれば、前記回転ディスク184の開口部は、試験管Tの中心線の延長上に存在する様に設定されている。
【0049】
図示の実施形態で用いられている検体希釈部18によれば、希釈しようとする液体同士を迅速且つ均一に混合することが出来て、しかも、試験管T内の液体が試験管の外側に飛散してしまうことが防止される。
そして、ミキサMa、Mbが停止している状態では、試験管Tが垂直な直立状態に保持されるので、試験管TをミキサMa、Mbにセットし、或いは、取り外す作業を、図示しないマニピュレータやロボットハンドにより、容易且つ正確に実施することが可能となる。
さらに、試験管Tが垂直な状態を維持する位置で停止しているので、試験管T内に、検体吸引装置170(或いはチップ192)を挿入して、希釈された検体を吸入することが容易且つ正確に行われる。
そのため、人手によること無く、検体を希釈液により正確に且つ均一に希釈することが出来る。
【0050】
次に、図8のフローチャートを参照して、検体の希釈の手順を説明する。
図8のステップS1において、検体ラック19(図1参照)から、検体の入った試験管(試験管Ta)をミキサMaにセットする。
次のステップS2では、ミキサMaで試験管Taを攪拌して、検体が分離することを防止して、均一な状態にせしめ、後の希釈が正確に行なわれるようにせしめる。ただし、攪拌不要の検体の場合は、ステップS1、ステップS2、ステップS7(後述)は省略可能である。
ステップS3に進み、試験管ラック17から、空の試験管Tbを取り出し、ミキサMbにセットする。
【0051】
ステップS4では、希釈液ヘッド180をミキサMbの上に移動して、希釈液ボトル14或いは希釈液ボトル15から希釈液(例えば生理食塩水)を、例えば9ml、ミキサMbにセットされた空の試験管Tb内に注入する。
ステップS5に進み、チップラック21から取り出した新しいチップ192を検体吸引装置170に装着し、係るチップ192或いは検体吸引装置170により、試験管Taから、例えば1ml+αの検体を吸引して、ミキサMbの試験管Tb内に、例えば検体1mlを注入する。
前記「α」の値は、当該生菌数検査装置100の使用状況や検査対象である生菌の種類によって異なるが、図示の実施形態においては、例えば「0.3ml」である。
【0052】
ここで、試験管Taから吸引する検体の量を「1ml+α」としているのは、吸引する検体の量が、ミキサMbの試験管Tb内に注入するべき検体の量(1ml)と同一であると、チップ192内に吸入された検体を試験管Tb内に注入する際に、チップ192の内壁の状態等に起因して、吸引された検体の全量を注入することが出来ない(注入量が1mlを下回る)ことが予想されるからである。
試験管Tb内に注入する検体を、例えば正確に1mlとするためには、チップ192内に吸入する検体の量は、「1ml+α」にするべきである。
【0053】
ステップS6では、試験管TbをミキサMbによって所定時間攪拌する。所定時間が経過すれば、試験管Tb内の液体は10の1乗、すなわち10倍に均一に希釈されたことになる。
ステップS7に進み、試験管Taを検体ラック19に戻し、代わりに別の試験管TcをミキサMaにセットする(ステップS8)。
ステップS9では、希釈ヘッド180を用いて、ミキサMaにセットした新しい試験管Tcに、希釈液ボトル14或いは希釈液ボトル15から、ステップS4において試験管Tbに注入されたのと同量(例えば、9ml)の希釈液を注入する。
【0054】
次のステップS10では、チップラック21から取り出した新しいチップ192を用いて、(検体吸引装置170により、)試験管Tbから、例えば「1ml+α」の混合液(検体と希釈液との混合液:10倍に希釈された検体)を吸引する。
新しいチップ192(或いは、検体吸引装置170)に吸引された混合液(10倍に希釈された検体)は、既に希釈液が注入された試験管Tc(ミキサMaにセットされている試験管Tc)内に、例えば1mlだけ注入される。
そしてステップS11において、試験管TcをミキサMaによって所定時間攪拌する。これにより、検体は10の2乗、すなわち、100倍に且つ均一に希釈される。
【0055】
ステップS12では、上述した希釈のための工程(S1〜S6:S7〜S11)を繰り返して、必要な倍率だけ(例えば10の7乗まで)、検体を希釈する。
検体が必要な倍率だけ希釈されたならば、希釈後の混合液(希釈された検体)を、シャーレSRに注入(分注)する(ステップS13)。
【0056】
シャーレSRに希釈された検体を分注された後、当該シャーレSRに培地が注入される。
検体と培地が分注されたシャーレSRは、混釈後、冷却ステージ9に搬送され、その後、静置されて、生菌を培養する。
【0057】
生菌培養後、シャーレSRにはコロニーが発生する。発生したコロニーの数は、図8のステップS13でシャーレSRに分注された混合液(希釈された検体:例えば1ml)中に存在した菌の数に等しい。
そこで、シャーレSR中に発生したコロニー数をカウントして(CFU)、検体中の生菌数を、以下の算定式によって決定する。
生菌数=コロニー数(CFU)×(希釈の逆数)
ここで「希釈の逆数」とは、例えば1/100に希釈されているのであれば、「100」である。
例えば、検体を10のマイナス6乗(10−6)に希釈して、コロニー数が200であれば、1mlの検体中に、2億匹の生菌が存在していたことになる。
2×102(コロニーの数)×(1/10−6)=2×108(2億)
【0058】
希釈された検体の分注及び培地の分注が行なわれるシャーレSRは、印字部5において、必要事項が、蓋に対してレーザ印字される。
係るシャーレSRは、検体分注用蓋開閉部6において、その蓋が開かれる。そして検体分注部3に送られ、希釈された検体が分注される。
希釈検体が分注されたシャーレSRは検体分注用蓋開閉部6で蓋が閉められ、培地分注用蓋開閉部7に送られる。
【0059】
培地分注用蓋開閉部7では、再びシャーレSRの蓋が開けられる。
蓋が開けられたシャーレSRは、培地分注部4(図1において蓋開閉部7の前方に配置)に移動される。そして、吐出ノズル22を介して、シャーレSR内に培地が充填(分注)される。
培地が充填されたシャーレSRは、混釈後、冷却ステージ9で培地が固化される。
嫌気性の細菌の生菌数を検査する場合には、培地が固化したシャーレSRは、生菌数検査装置100の外部に設けた脱気装置まで移動され、脱気処理される。
【0060】
このように、図示の実施形態によれば、従来は熟練した作業者でなければ正確に行なうことが出来なかった検体の希釈作業を自動化して、しかも、高精度で行なうことが出来る。
【0061】
次に、図1及び図9〜図15を参照して、培地分注部7(図1)に設けられている培地注入用ノズルの乾燥防止(硬化防止)機構について説明する。
図1において、培地分注部4には、培地を吐出する4連のノズル22が配置されており、ノズル22の詳細が図9で示されている。
図9において、ノズル22の材質がステンレスであると、ステンレスには撥水性がないので、図9(A)で示すように、ノズル先端下方に培地が半球型に垂れ下がる。そして、図9(B)で示すように、ステンレスノズル22の先端部において、培地が残存(M)してしまう。
残存した培地Mが硬化して、硬化した培地が伸長(いわゆる「成長」)すると、ノズル22から培地が適正に吐出されない恐れがある。
【0062】
一方、撥水性のよい合成樹脂(例えばフッ素系樹脂)製チューブを使用した場合でも、図9の(C)から(D)で示すように、培地の表面張力によりノズル22の先端に残存し、残存した培地が成長して垂れ下がった状態になってしまう恐れがある。
図9(A)〜(D)で説明した様に、ノズル先端に残存した培地が成長して、ノズル22から培地が正確に吐出されなくなることを防止するため、図示の実施形態に係る生菌数検査装置100では、培地注入用ノズルの乾燥防止(硬化防止)機構が設けられている。そして、係る乾燥防止(硬化防止)機構の原理が、図10で示されている。
【0063】
図10において、図示の実施形態に係る生菌数検査装置100で採用されている乾燥防止(硬化防止)機構では、ノズル22の先端にノズルカバー22Cを設けている(図10(A)参照)。
ノズルカバー22Cを固設したノズル22の下方には、移動可能(開閉可能)なシャッター23が設けられており(図10(B)参照)、培地をシャーレ(図9〜図15では図示せず)に充填する時以外には、ノズルカバー22Cがシャッター23に押し付けられる様に構成されている(図10(C)参照)。
【0064】
図10(C)で示す様に、ステンレスカバー22Cをシャッター23に押しつけることにより、ステンレスカバー22Cの内壁22Ciと、シャッター23の上面23uによって、閉空間Eが構成される。
ノズルカバー22Cがシャッター23に押し付けられた状態では、培地からの水蒸気が閉空間Eに存在しているので、閉空間E内は飽和水蒸気圧の状態に保持され、空間E内に存在する培地の乾燥を防止する。そして、ステンレスカバー22Cがシャッター23に押し付けられた状態では、閉空間Eは外気から遮断されているので、外気が閉空間Eに流入して培地を乾燥することが防止される。
【0065】
図11、図12において示す培地乾燥防止機構は、4連の培地吐出用ノズル22と、シャッター23と、シャッター駆動シリンダ(例えば、エアシリンダ)230を有している。
4本の培地吐出用ノズル22の各々の先端にはノズルカバー22Cが設けられ、ノズルカバー22Cの先端はノズル22の先端よりも突出している(図12参照)。
培地吐出用ノズル22は、図示しない培地供給ポンプ及び図示しない供給ラインを経由して、培地ボトル24(図1参照)と接続されている。
図示の実施形態では4本のノズル22を有しているので、最大で4種類の培地の注入が可能である。
【0066】
シャッター23は、箱状部材23a、接続部23b、3枚の仕切り部材23cを有している。箱状部材23aは、水平断面が矩形状をしており、上端が開放されている。
接続部23bは、箱状部材23aの一辺と一体に形成されており、水平方向外方(図11〜図15のシャッター駆動シリンダ230側)に延在している。
シャッター駆動シリンダ230のピストンロッド231(図11では平行な2本のロッド)は、シャッター23の接続部23bに接続されている。
図11において、3枚の仕切り部材23cは、箱状部材23aの内側を均等に4分割している。4分割された空間の幅寸法(図11における上下方向寸法)は、ノズルカバー22Cの直径よりも幾分大きく設定されている。
【0067】
図12〜図15を参照して、上述した培地乾燥防止機構を備えた場合において、ノズル22から培地を吐出する態様を、説明する。
図12は、培地供給以前の状態が示されており、シャッター駆動シリンダ230は、生菌数検査装置100のフレーム40の上面に固定されている。シャッター23の底面23eは、フレーム40の上面をスライド可能である。
図12の状態では、シャッター駆動シリンダ230の図示しないピストンにより、ピストンロッド231が伸張している。そして、フレーム40の開口部(ノズル22が通過する貫通孔)41は、シャッター23によって閉鎖されている。
【0068】
図13では、図示しないマニピュレータによって、ノズル22は垂直上方に引き上げられる。
そして図14では、シャッター駆動シリンダ230により、ピストンロッド231は収縮され、シャッター23は図14で右側にスライドして、開口部41は開放される。
図15の状態では、開口部41を開放した状態で、ノズル22は、下方に移動する。そして、開口部41の直下に位置しているシャーレ(希釈された検体が分注されたシャーレ:図9〜図15では図示せず)に培地を分注する。
【0069】
図示の実施形態で用いられる乾燥防止(硬化防止)機構によれば、ノズルカバー22Cがシャッター23に押し付けられることにより、ステンレスカバー22Cとシャッター23によって閉空間Eが構成され、閉空間E内は飽和水蒸気圧の状態に保持され且つ外気から遮断されているので、ノズル22先端の培地を乾燥することが防止される。
その結果、乾燥した培地がノズル22の先端に残存して成長し、垂れ下がった状態になってしまうことがなくなる。そして、ノズル22先端から培地が正確に吐出されることになる。
【0070】
次に、図16〜図29を参照して、積層された複数のシャーレSRから、最下層のシャーレSR1を取り出して、集塵機能を有する印字部5(図1参照)に移動する機構について説明する。
ここで、係る機構は、シャーレ取り出し機構120(図18)と、シャーレ搬送機構150(図18)を有している。
【0071】
スタッカ1、2(図1)において積層されているシャーレSRは、図16(A)で示すように、シャーレ本体SR1と蓋SR2から成る。シャーレ本体SR1と蓋SR2の間には寸法λの「ガタつき」が存在する。
例えば、例えばφ90のシャーレ(直径90mmのシャーレ)であれば、シャーレ本体SR1と蓋SR2の寸法の誤差は、径寸法については5mm、高さ寸法(φ90のシャーレでは18mm)については3mmまで許容されている。ガタつきλは、係る誤差により生じる。
図16(B)において、一点鎖線Lc1は本体S1の中心線、一点鎖線Lc2は蓋SR2の中心線を示している。
【0072】
図17において、供給スタッカ1、2(図1)におけるシャーレ本体SR1を把持するための装置(シャーレ把持装置)HAは、シャーレSRの中心線Lcに対して、左右対称に構成されている(図17(A)参照)。
以下、中心線Lcの右側について説明する。
図17において、シャーレ把持装置HAは、駆動部25、1対のフレーム26、4つのローラ28、4本のローラ支持ロッド27を有している。4つのローラ28は、4本のローラ支持ロッド27の先端(シャーレSR側)に、それぞれ取り付けられている。
【0073】
フレーム26は、第1部材26a、第2部材26b、補強部材26c、駆動部係合部材26dを有している。第1部材26aと第2部材26bは直交して接合されており、直交して接合される箇所は補強部材26cによって補強されている。そして4本のローラ支持ロッド27は、第2部材26bに直交する様に配置されている。
駆動部係合部材26dは、駆動部25に内蔵された移動手段(例えばエアシリンダ等)によってスライド可能に構成されており、左右1対のフレーム26が、相互に近接し、或いは離隔する様に相対移動せしめる。
図17において、符号29は、ガイド部材を示している。4本のガイド部材29は、シャーレSRの蓋SR2の外周部に、等間隔で接触している。
【0074】
図1のスタッカ1、2では、例えば、シャーレSRは30個積層可能であり、図17(A)では、積層されたシャーレにおける最下段のシャーレSRが、シャーレ把持装置HAの4つのローラ28によって把持されている。
シャーレSRは、スタッカ1、2で積層されたシャーレの内、最下段のものから、シャーレ取り出し機構120(図18、図19参照)によって、1個ずつ取り出される。
【0075】
図18、図19を参照して、シャーレ取り出し機構120について説明する。
図18において、シャーレ取り出し機構120は、供給スタッカ1、2(何れもシャーレ把持装置の主要部材が省略して示されている)、スタッカベース121、リフター(リフター本体)122を備えている。
スタッカベース121は断面コ字状の部材であり、供給スタッカ1、2の下方に配置されている。スタッカベース121内部において、リフター(リフター本体)122が矢印Y方向に移動可能である様に構成されている。
リフターは、リフター本体122、板状部分122d、段付きピン123を備えており、段付きピン123は板状部分122d上面に固着されている。
【0076】
図19において、シャーレ取り出し機構120は、垂直方向に延在するボールねじ124、ナット(ボールねじ用ナット)125、電動モータ126、駆動側プーリ127、従動側プーリ128、リニアガイド129を備えている。
電動モータ126が作動すると、その回転は駆動側プーリ127、図示を省略したベルト、従動側プーリ128を介して、ボールねじ124に伝達される。
図19では明示されていないが、ボールねじ124がナット125に螺合しており、ナット125は、シャーレ取り出し機構120のベース部に固定されている。
【0077】
ボールねじ124が回転すると、当該ボールねじ124が上下動する。そして、ボールねじ124の上端に接続されたリフター本体122も上下動する。
ボールねじ124は、リフター本体122に対して、回転自在に連結されている。
図示の実施形態に係る生菌数検査装置100は、制御装置として、例えばコンピュータを搭載しており、図20〜図30を参照して、以下で説明する各種作業を制御している。
【0078】
次に、図20〜図30を参照して、図示の実施形態において、供給スタッカ1、2からシャーレを取り出す態様について説明する。
図20におけるステップS21の「初期セット」では、図21で示す以前の段階で、積層された複数のシャーレSRの一番下(下から1段目)のシャーレ本体SR1が、把持機構の4つのローラ28上に載置された状態である。係る状態から、リフター122をシャーレ本体SR1の底部に当たるまで上昇し、ローラ28をシャーレ本体SR1から離隔して(ローラ28を開く)、シャーレSRがリフター122上に載置された状態にする。そして、ローラ28をシャーレ本体SR1に当接させて、シャーレ本体SR1を4つのローラ28により把持して、リフター122を下降させる。これにより、図21で示す状態になる。
なお、図21〜図29において、図示の簡略化のため、積層された複数のシャーレSRは、3段目まで積層して図示している。
【0079】
図20のステップS22で示す手順では、図22、図23で示す様に、リフター122を1段目のシャーレ本体SR1の底面に当接させて、ローラ28を開く。ここで、「ローラ28を開く」とは、シャーレ本体SR1に当接しているローラ28をシャーレ本体SR1から離隔させて、4つのローラ28を有する把持機構では、シャーレが把持されていない状態にせしめることを意味している。
図22で示す状態では、下から1段目のシャーレ本体SR1は、4つのローラ28を有する把持機構では、把持されていない状態となっている。
【0080】
次のステップS23では、図24で示す様に、リフター122を所定量降下させて、ローラ28を閉じている。ここで、「ローラ28を閉じる」とは、シャーレ本体SR1から離隔していたローラ28を、再びシャーレ本体SR1に当接させて、4つのローラ28を有する把持機構により、シャーレを把持することを意味している。
「ローラ28を閉じる」ことにより、1段目のシャーレ本体SR1はセンタリング(芯合わせ)される。
そしてステップS24に進み、再度ローラ28を開く。そして、ローラ28を2段目のシャーレの位置まで(垂直方向上方へ)移動して、ローラ28を閉じる。図25は、4つのローラ28を有する把持機構により、2段目のシャーレ本体が把持された状態が示されている。
【0081】
ステップS25で示す様に、リフター側の段付きピン123で1段目のシャーレの本体SR1と蓋SR2の芯合わせが行なわれる(図26)。ただし、ステップS25における段付きピン123によるセンタリングは、ステップS24を行なった後に為されるのではなく、ステップS22(図22参照)で、リフター122を1段目のシャーレ本体SR1の底面に当接させた時点で行なわれる。
図20において、ステップS25がステップS24の後(図20では下側)に示されているのは、説明上の便宜である。
【0082】
図26で示す様に、段付きピン123は、小径部分123a、大径部分123b、小径部分123aと大径部分123bとを接続しているテーパ部123c、段付きピン123先端の部分テーパ部123dを有している。
シャーレの本体SR1と蓋SR2のセンタリングが行なわれた状態では、小径部分123aが蓋SR2に接触していれば、大径部分123bはシャーレの本体SR1に接触している。
換言すれば、板状部分122dをシャーレ本体SR1に当接させれば、シャーレの本体SR1と蓋SR2は、板状部分122d上に固設された段付きピン123によって自動的に調芯(芯合わせ:センタリング)される。
【0083】
ここで、図27で示すように、1段目のシャーレにおける蓋SR2の上面と、2段目のシャーレ本体(図27では符号SR1で示す)の下面が、種々の原因により付着(癒着)して、分離しなくなる場合が存在する。
1段目の蓋SR2の上面と2段目の本体SR1の下面が癒着してしまうと、図28(A)の状態から、1段目のシャーレ(本体及び蓋)を取り出そうとしても図28(B)で示すように、1段目のシャーレ本体SR1のみがリフター側(122側)に取り出されてしまい、1段目のシャーレ蓋SR2が残存してしまう。
【0084】
これに対して、図示の実施形態におけるシャーレ分離機構では、図29で示す段階で、リフターの段付きピン123により1段目のシャーレSRの本体及び蓋を保持した状態で、リフター122或いは板状部分122dを、水平方向(1段目のシャーレにおける蓋と、2段目のシャーレ本体を剪断する方向)へ僅かに移動(例えば往復動)する。
リフター122を往復動することにより、段付きピン123で保持された1段目のシャーレの蓋が、2段目のシャーレの本体(4つのローラで把持されているシャーレ本体)に対する剪断方向に相対移動されるので、付着していた1段目のシャーレにおける蓋と2段目のシャーレ本体とは分離する。なお、リフター122或いは板状部分122dを往復動作せずに、何れか1方向に移動しても、付着していた1段目のシャーレにおける蓋と2段目のシャーレ本体とは分離することが出来る。
ここで、水平方向(1段目のシャーレにおける蓋と、2段目のシャーレ本体を剪断する方向)とは、図1において、シャーレSRが、供給スタッカ1、2から印字部・集塵部5まで移動する方向である。
【0085】
明確には図示されていないが、図29において、リフター122を水平方向へ僅かに往復運動させる機構は、供給スタッカ1、2(図1参照)から、印字部5(図1参照)まで、シャーレを移動するシャーレ搬送機構150(図18)である。
また、図29において、リフター122を水平方向へ僅かに往復運動する(リフター122の)移動量は、蓋SR2と本体SR1とのガタ(図16の「λ」:径寸法φ90であれば、5mm程度)と同程度、或いは、それよりも少し大きい程度、具体的には「λ+1mm〜3mm」である。
【0086】
ステップS26では、図29を参照して上述した様に、リフター122(板状部分122d)を図29の左右方向に往復動させて(或いは、図29の左右何れか1方向へ移動して)、1段目のシャーレにおける蓋SR2の上面と、2段目のシャーレ本体SR1の下面とを分離させる。
図29において、1段目のシャーレ及び蓋が2段目のシャーレ本体に対して降下した位置に示されているのは、リフター122(板状部分122d)を図29の左右方向に往復動させる(或いは、図29の左右何れか1方向へ移動する)状態を表示し易くするためである。
ステップS27に進み、リフター122を降下させて、1段目のシャーレ本体及び蓋を、4つのローラで把持されている2段目のシャーレの本体から離隔させる。そして、1段目のシャーレ本体及び蓋を、シャーレ搬送機構150によって印字部5(図18)に搬送する。
【0087】
図18において、シャーレ搬送機構150は、ボールねじBS、電動モータM12を備えている。電動モータM12の回転出力が、ボールねじBSに伝達されるように構成されている。もちろん、電動モータM12の回転軸と、ボールねじBSを接続しても良い。
電動モータM12は、例えばパルス列入力またはサーボドライバ制御されており、時計回り及び反時計回りに回転させることが可能である。
【0088】
明確には図示されていないが、リフター122には、ボールねじBS(雄ねじ)と螺合する雌ねじ部が設けられている。
電動モータM12が作動してボールねじBSが回転すると、リフター122における図示しない雌ねじ部の作用により、リフター122はボールねじBSに沿って移動する。
ここで、リフター122の側面は図示しないガイド部材により案内されているので、電動モータM12が回転してもリフター122は回転することになく、ボールねじBSに沿って図18における矢印Y方向に移動する。
【0089】
次の図20のステップS28では、シャーレSRをリフター122に載置された状態のまま、印字部5で必要な処理が為される。
図30は、リフター122に載置されたシャーレSRを、印字部5から、検体分注部3(図1)や培地分注部4(図1)へ、搬送機構K(挟持部材Ka、Kb)により移動される態様を示している。
図30において、シャーレSRがリフター122に載置された状態で、ボールねじBS(図30では図示せず)に沿って、印字部5まで搬送される(図30(A)参照)。
【0090】
印字部5では、印字部5に装備された装置、例えば図示しないレーザマーカによって、シャーレSRの蓋SR2に必要事項が印字される。その後、印字部5に装備された支持部材Fによって、シャーレSRがリフター122のディスク122dから印字部5に支持される(図30(B)参照)。
シャーレSRは、印字部5から検体分注用シャーレ蓋開閉部6(図1参照)に向かって、搬送部材(マニピュレータ)Kの挟持部材Ka、Kbによって挟持されて、搬送される(図30(C)参照)。
シャーレSRを搬送部材Kで搬送された後、図20のステップS29で、リフター122を印字部5から供給スタッカ1の直下まで戻す(図30(C)参照)。
【0091】
図20において、リフター122を供給スタッカ1直下の位置まで戻したならば、上述した取り出し作業を継続するか否かを判断する(ステップS30)。
シャーレSRの取り出し作業を継続するのであれば(ステップS30がYES)、ステップS21まで戻り、再びステップS21以降を繰り返す。
シャーレSRを取り出す作業を終了するのであれば(ステップS30がNO)、制御を終える。制御を終了するに際しては、リフター122を上昇して、積層された複数のシャーレSRをリフター122上に載置して、ローラ28を開く。そして、リフター122を更に上昇して、ローラ28を閉じる。この状態で、リフター122を下降すれば、積層された複数のシャーレSRは、把持機構の4つのローラ28に載置された状態になり、「図21で示す以前の」状態に戻る。
【0092】
図示の実施形態で用いられるシャーレの本体SR1を取り出す機構によれば、1段目のシャーレにおける蓋SR2の上面と2段目のシャーレ本体SR1の下面が癒着(付着)しても、リフター122或いは板状部分122dを、水平方向(1段目のシャーレにおける蓋と、2段目のシャーレ本体を剪断する方向)へ僅かに移動(例えば往復動)することにより、当該付着していた1段目のシャーレにおける蓋と2段目のシャーレ本体とを分離することが出来る。
それにより、1段目のシャーレにおける蓋と2段目のシャーレ本体とが付着したまま、後の工程に搬送されてしまった場合の種々の不都合を防止することが出来る。
【0093】
次に、図31を参照して、チップの異常を検知して、希釈液がチップ内へ均一に吸引されることを維持するためのチップ検査装置(チップ異常検知機構:希釈液量管理機構)について説明する。
図31において、全体を符号190で示すチップ検査装置は、検体吸引装置170の先端に装着されたチップ192の異常を検査する(チップの良不良を判定する)機構である。
前述した様に、チップ192は検体吸引装置170の先端に装着されて、検体(或いは、希釈途中の試験管内の希釈された検体)を所定量だけ吸引して、別の試験管に注入するのに用いられる。
【0094】
チップ192は通常は樹脂製であり、金属製の部材に比較して簡単に損傷する恐れがあり、異常なチップ(不良チップ)が存在する可能性が存在する。そして、不良チップが存在すると、当該不良チップでは希釈された検体の吸入量が不正確となり、希釈が正確に行なわれず、その結果、生菌数が正確に決定出来なくなる。そして、生菌数が正確に決定できないと、最悪の場合には、有益な細菌の培養設備(例えば、培養タンク)全体に異常があると判断され、甚大な損害が発生する可能性がある。
チップ検査装置190は、チップの良不良を検知して、上述した様な事態の発生を防止するために設けられている。
【0095】
図31(A)において、チップ検査装置190では、例えば、光学センサ193を有しており、光学センサ193は、発光部193Aと受光部193Bを備えている。そして、発光部193Aと受光部193Bの間にチップ192が位置する様に構成されている。
図31(A)に示す状態おいて、チップ192が良品の場合には(異常がなければ)、チップ内に吸引される希釈された検体の液面は、チップ先端192tから高さ寸法H1のレベルか或いはそれよりも上方のレベルになるように設定されている。
【0096】
チップ検査装置190によるチップの検査は、チップ192が希釈された検体(検体と希釈液との混合液)を吸入した際に、希釈された検体を所定量以上、図31(A)では高さ寸法H1以上に吸入していないと、「不良」と判定している。
チップが不良な状態、すなわち希釈された検体が所定量未満しか吸入されていない状態、すなわち図31(A)の高さ寸法H1まで吸入されない状態が、図31(B)で示されている。係る状態が光学センサ193(図31(A)参照)によって検出された場合には、当該チップは「不良」と判断されるのである。
係る判定は、生菌数検査装置100が稼動している間は、常時行なわれている。
図31において、符号194はチップホルダを示し、符号195はマニピュレータの一部を示している。また、符号Lqは、液体表面を示している。
【0097】
図示の実施形態で用いられるチップ検査装置190により、例えばチップが損傷して異常なチップ(不良チップ)となってしまった場合に、その旨を検知して、当該不良チップの使用を排除することが可能である。
不良チップの使用を排除することにより、希釈された検体の吸入量が不正確になることが防止され、希釈が正確に行なわれることに寄与することが出来る。そして、生菌数が正確に決定することが出来るため、有益な細菌の培養設備(例えば、培養タンク)が正常に機能しているにも拘らず、異常があると誤判定される恐れが無くなる。
【0098】
図示の実施形態によれば、生菌数検査で必要とされる各種作業、例えば、検体の希釈作業や、培地の注入作業、希釈された検体を所定量ずつシャーレSRに注入する作業等を自動化することが可能である。そのため、長期間の訓練を行なった作業員を確保しなくても、容易に検体中の生菌数を決定することが出来る。
また、使用した試験管Tや、シャーレSRを装置外に排出し、新たに清浄な試験管TやシャーレSRを供給スタッカ1、2や試験管ラック17から搬送することが出来るので、使用済みの試験管T中の検体や、シャーレSRに残存した培地に存在する生菌が混合して、生菌数の検査が不正確になってしまうことが防止出来る。
【0099】
図示の実施形態の生菌数検査装置100を用いて検体を希釈するに際しては、検体希釈部18における希釈ヘッド180及び検体吸引装置170によって、ミキサMaにセットした試験管Ta内に、例えば希釈液9mlと検体1mlを注入して混合することにより、当該試験管Ta内の検体を10倍に希釈する。
他方のミキサMbにも試験管Tbをセットして、希釈ヘッド180により、試験管Tbに希釈液を例えば9ml注入する。そして、ミキサMaにセットされた試験管Ta内から、検体吸引装置170(或いはチップ192)によって希釈された検体を吸入し、ミキサMbにセットされた試験管Tbに例えば1ml注入して、ミキサMbで混合する。これにより、ミキサMbの試験管Tb内の検体は、100倍(102倍)に希釈される。
この工程を繰り返すことにより、検体を必要な比率まで希釈することが出来る。
【0100】
上述した希釈に際して、希釈液は希釈ヘッド180により試験管T内に注入され、検体(希釈された検体を含む)は検体吸引装置170(或いはチップ192)により、試験管T内に注入され、試験管T内から吸入される。
図示の実施形態によれば、希釈ヘッド180、検体吸引装置170(或いはチップ192)により、希釈液或いは検体を試験管T内に注入する作業、試験管T内から吸入する作業が自動制御され、人手では困難であった検体の希釈作業が容易且つ正確に行われる。
【0101】
図示の実施形態の生菌数検査装置100によれば、検体希釈部18において所定の比率まで希釈された検体は、検体分注部3において、所定量ずつシャーレSRに注入される。係る作業も、図示の実施形態によれば、自動制御により行なうことが出来る。
また、培地の注入作業において、図示の実施形態によれば、培地ボトル24から培地分注部4に培地を供給し、培地分注部4に搬送されたシャーレSR中に培地を注入している。そして、係る作業も、自動制御により行なうことが出来る。
【0102】
図示の実施形態によれば、ミキサMa、Mbを、モータ183が停止した際に、試験管Tが垂直な状態を維持するので、ミキサMa、Mbが停止している際に、ロボットやマニピュレータで試験管Tを正確且つ容易に把持することが出来る。さらに、試験管T内に、検体吸引装置170(或いはチップ192)を挿入して、希釈された検体を吸入することが容易且つ正確に行われる。
そして、試験管Tを適正にホルダ182に設置することと、検体と希釈液の混合完了後に迅速に移動することも容易に、高速で、確実に行なうことが可能である。
【0103】
また、ミキサMa、Mbにおいて、ホルダ182により試験管Tの下部(底部)を保持し、ベアリング付きローラ186により試験管Tの上方の領域(例えば、試験管の長さ方向について、底部から2/3の部分)を支持する様に構成している。そのため、モータ183及びホルダ182の回転速度が上昇しても、ホルダ182及びベアリング付きローラ186で保持或いは支持されている位置から試験管Tが上昇してしまうことはない。したがって、試験管TがミキサMa、Mbから外れて、内部の検体と希釈液の混合液が流出することも防止される。
また、試験管T内の検体と希釈液の混合液は、モータ183及びホルダ182が回転する際に、ベアリング付きローラ186により支持されている領域(例えば、試験管の長さ方向について、底部から2/3の部分)よりも上方に移動してしまうことはない。したがって、回転速度が速すぎて、検体と希釈液が試験管T外部に流出してしまうことも防止される。
【0104】
さらにホルダ182及びベアリング付きローラ186で保持或いは支持されている位置から試験管Tが外れてしまうことがないため、モータ183及びホルダ182の回転速度が上昇しても、大きな騒音が発生する恐れはない。
それに加えて、ミキサMa、Mbにおいて、モータ183の回転方向を、時計方向(CW方向)と反時計方向(CCW)に間欠的に切り替わる様に構成してあり、時計方向(CW方向)或いは反時計方向(CCW)に回転している際には、試験管T内の液体の表面が漏斗状になり、回転が切り替わる際に回転が停止すると、液体の表面が平坦になる。そのため、液体の表面が漏斗状になった瞬間と、平坦な瞬間とでは、液面が垂直方向について変位している。
係る液面の垂直方向の変位により、試験管T内の液体が剪断作用をうけ、混合が効率的に行なわれ、検体と希釈液が均一に混合する。
【0105】
図示の実施形態では、積層して貯蔵されたシャーレSRを取り出す培養容器取り出し機構(シャーレ分離、受け渡し機構)120を備え、ローラ28により、本体SR1の円周方向の4箇所を同時に押圧して本体SR1の水平方向位置を調節し、且つ本体SR1を保持し、リフター122上に複数のシャーレSRを載置して、リフター122を垂直方向に移動可能に構成している。
そのため、積層された複数のシャーレにおける下方の蓋SR2の上面が、上方のシャーレ本体SR1の下面に付着しても、リフター122に複数設けられた段付きピン123により下方のシャーレSRの蓋SR2をリフター122に対して水平方向に固定し、且つ、上方のシャーレSRの本体SR1をローラ28により保持して、微小距離だけ水平方向に移動することにより、当該付着した蓋SR2と本体SR1とを分離することが出来る。
【0106】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【符号の説明】
【0107】
1・・・第1の供給スタッカ
2・・・第2の供給スタッカ
3・・・検体分注部
4・・・培地分注部
5・・・集塵機能を備えた印字部
6・・・検体分注用シャーレ蓋開閉部
7・・・培地分注用シャーレ蓋開閉部
8・・・混釈部
9・・・冷却ステージ
10、11、12、13・・・収納スタッカ
14、15・・・希釈ボトル
16・・・希釈液搬送用ポンプ
17・・・試験管ラック
18・・・検体希釈部
19・・・検体ラック
20・・・廃棄チップラック
21・・・チップラック
22・・・培地吐出ノズル
23・・・シャッター
24・・・培地ボトル
170・・・検体吸引装置
180・・・希釈ヘッド
T、Ta、Tb・・・試験管
Ma、Mb・・・ミキサ
SR、SR1、SR2・・・シャーレ(本体或いは蓋)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体の希釈作業を行なう検体希釈部と、希釈された検体を培養容器に所定量ずつ注入する検体分注部と、前記培養容器に培地を注入する培地分注部を備え、
前記検体希釈部は、混合装置と、希釈液を注入する希釈ヘッドと、検体を吸入し注入する検体吸引装置を備えており、
前記混合装置は希釈液と検体とを混合する混合用容器を支持して、回転する機能を有しており、
前記希釈ヘッドは、前記混合装置に支持された前記混合用容器の直上に配置され、
前記検体吸引装置を、検体貯蔵部と前記検体希釈部と前記検体分注部の間で移動する移動装置を有していることを特徴とする生菌数検査装置。
【請求項2】
前記混合装置は、前記混合用容器の下部を保持する保持部材と、第1の保持部材を回転駆動する回転駆動装置と、混合用容器の上方の領域を支持する支持部材を備え、
回転駆動装置の停止時に混合用容器が垂直な状態を維持する様に、回転駆動装置の回転軸は、混合用容器の中心軸に対して偏奇しており、
混合用容器の位置を検出する検出装置を備え、
回転駆動装置は、当該検出装置の検出結果に基いて、混合用容器が垂直な状態を維持する位置で停止する機能と、回転方向が時計方向と反時計方向に切り替わる間欠回転を行なう機能を有している請求項1記載の生菌数検査装置。
【請求項3】
積層して貯蔵された前記培養容器を取り出す培養容器取り出し機構を備えており、前記培養容器は円形断面をしており且つ本体部と蓋部を有し、
本体部の円周方向の複数箇所を同時に押圧して、本体部の水平方向位置を調節すると共に、本体部を保持する機能を有する押圧機構と、
積層して配置された複数の前記培養容器が載置され、且つ、垂直方向に移動可能な載置部材と、
載置部材に複数設けられ、載置部材が上昇した場合に最下層の蓋部の周縁部に当接して、当該蓋部を水平方向について載置部材に固定するガイド部材と、
前記載置部材を微小距離だけ水平方向に移動する載置部材移動機構を含む請求項1、2の何れか1項記載の生菌数検査装置。
【請求項4】
前記培地分注部は注入用ノズルを備え、注入用ノズルにはノズルカバーが設けられており、該ノズルカバーの下方に、ノズルカバーの下端面と当接する位置まで伸長可能な板状部材が設けられている請求項1〜3の何れか1項記載の生菌数検査装置。
【請求項5】
前記希釈ヘッドには着脱可能なチップが設けられ、当該チップ内の液面の高さを検出する装置と、チップ内の液面が所定位置よりも低い場合に当該チップを不良品と判定するチップ検査装置を設けている請求項1〜4の何れか1項記載の生菌数検査装置。
【請求項1】
検体の希釈作業を行なう検体希釈部と、希釈された検体を培養容器に所定量ずつ注入する検体分注部と、前記培養容器に培地を注入する培地分注部を備え、
前記検体希釈部は、混合装置と、希釈液を注入する希釈ヘッドと、検体を吸入し注入する検体吸引装置を備えており、
前記混合装置は希釈液と検体とを混合する混合用容器を支持して、回転する機能を有しており、
前記希釈ヘッドは、前記混合装置に支持された前記混合用容器の直上に配置され、
前記検体吸引装置を、検体貯蔵部と前記検体希釈部と前記検体分注部の間で移動する移動装置を有していることを特徴とする生菌数検査装置。
【請求項2】
前記混合装置は、前記混合用容器の下部を保持する保持部材と、第1の保持部材を回転駆動する回転駆動装置と、混合用容器の上方の領域を支持する支持部材を備え、
回転駆動装置の停止時に混合用容器が垂直な状態を維持する様に、回転駆動装置の回転軸は、混合用容器の中心軸に対して偏奇しており、
混合用容器の位置を検出する検出装置を備え、
回転駆動装置は、当該検出装置の検出結果に基いて、混合用容器が垂直な状態を維持する位置で停止する機能と、回転方向が時計方向と反時計方向に切り替わる間欠回転を行なう機能を有している請求項1記載の生菌数検査装置。
【請求項3】
積層して貯蔵された前記培養容器を取り出す培養容器取り出し機構を備えており、前記培養容器は円形断面をしており且つ本体部と蓋部を有し、
本体部の円周方向の複数箇所を同時に押圧して、本体部の水平方向位置を調節すると共に、本体部を保持する機能を有する押圧機構と、
積層して配置された複数の前記培養容器が載置され、且つ、垂直方向に移動可能な載置部材と、
載置部材に複数設けられ、載置部材が上昇した場合に最下層の蓋部の周縁部に当接して、当該蓋部を水平方向について載置部材に固定するガイド部材と、
前記載置部材を微小距離だけ水平方向に移動する載置部材移動機構を含む請求項1、2の何れか1項記載の生菌数検査装置。
【請求項4】
前記培地分注部は注入用ノズルを備え、注入用ノズルにはノズルカバーが設けられており、該ノズルカバーの下方に、ノズルカバーの下端面と当接する位置まで伸長可能な板状部材が設けられている請求項1〜3の何れか1項記載の生菌数検査装置。
【請求項5】
前記希釈ヘッドには着脱可能なチップが設けられ、当該チップ内の液面の高さを検出する装置と、チップ内の液面が所定位置よりも低い場合に当該チップを不良品と判定するチップ検査装置を設けている請求項1〜4の何れか1項記載の生菌数検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2012−135293(P2012−135293A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291729(P2010−291729)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000006884)株式会社ヤクルト本社 (132)
【出願人】(300090846)株式会社ライフテック (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000006884)株式会社ヤクルト本社 (132)
【出願人】(300090846)株式会社ライフテック (13)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]