説明

用紙供給装置

【課題】 帯状用紙の交換やメンテナンスの際に、ダンパ部材のある部位において帯状用紙の通過経路側のスペースを広くできるようにし、帯状用紙の交換やメンテナンスの作業性の向上を図る。
【解決手段】 ラベルを仮着した帯状台紙を支承するとともに帯状台紙側にスプリングの付勢力によって進出するように付勢され帯状台紙に生じる張力変化により進退動するダンパ部材71を有したダンパ機構70を備え、ダンパ部材71をスプリングの付勢力を有効にして帯状台紙Dの支承を行なわせる支承有効位置Ga及びスプリングの付勢力を無効にして帯状台紙Dから離間させる支承無効位置Gbに移動可能にし、ダンパ部材71を信号送出手段からの退避信号に基づいて支承有効位置Gaから支承無効位置Gbに位置させるとともに、復帰信号に基づいて支承無効位置Gbから支承有効位置Gaに位置させるダンパ部材駆動部80を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状に巻回された帯状用紙を供給する用紙供給装置に係り、特に、帯状用紙の交換やメンテナンス等を容易にした用紙供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の用紙供給装置としては、例えば、図7に示すように、機台200と、ラベルLを仮着した帯状台紙D(帯状用紙)のロールDRを保持した供給リール201を有しこの帯状台紙Dを供給リール201から供給する台紙供給部202と、台紙供給部202から供給された帯状台紙Dを折り返して帯状台紙Dに仮着されたラベルLを剥離して供給する剥離部材203と、剥離部材203の上流側に設けられ帯状台紙Dに仮着されたラベルLに印字を行なうサーマル型の印字ヘッド206と、印字ヘッド206が帯状台紙Dを介して圧接され帯状台紙Dを支持するプラテン部材207と、ラベルLが剥離された帯状台紙Dを巻き取る巻取リール208を有した台紙巻取部209とを備えている。印字ヘッド206の上流側には、帯状台紙Dに当接して帯状台紙Dをプラテン部材207側に押圧してガイドするガイドローラ210が設けられている(例えば、特開2006−282221号公報(特許文献1)等参照)。
【0003】
この種の用紙供給装置においては、帯状台紙Dの搬送過程で、帯状台紙Dに張力変化が生じ、そのため、印字位置精度や印字位置停止精度等に影響を与えることから、従来においては、例えば、ガイドローラ210を帯状台紙Dを支承するダンパ部材とし、このダンパ部材としてのガイドローラ210を帯状台紙D側にコイルスプリング211の付勢力によって進出するように付勢し、帯状台紙Dに生じる張力変化によりガイドローラ210を進退動させて、帯状台紙Dの張力変化を極力小さく抑えて、印字位置精度の低下の防止を図っているものがある(例えば、特開2007−126230号公報(特許文献2)等参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−282221号公報
【特許文献2】特開2007−126230号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この従来の用紙供給装置にあっては、ダンパ部材としてのガイドローラ210を帯状台紙D側にコイルスプリング211の付勢力によって進出するように付勢しているので、例えば、帯状台紙を交換する際、帯状台紙のジャムを取り除く場合や、ローラ210の清掃等のメンテナンスを行う際等において、帯状台紙の通過経路側のスペースが狭い場合には、作業しにくくなるという問題があった。
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、帯状用紙の交換やメンテナンスの際に、ダンパ部材のある部位において帯状用紙の通過経路側のスペースを広くできるようにし、帯状用紙の交換やメンテナンスの作業性の向上を図った用紙供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の用紙供給装置は、帯状用紙を供給し、この供給過程で帯状用紙を支承するとともに該帯状用紙側にスプリングの付勢力によって進出するように付勢され該帯状用紙に生じる張力変化により進退動するダンパ部材を有したダンパ機構を備えた用紙供給装置において、
上記ダンパ部材を上記スプリングの付勢力を有効にして上記帯状用紙の支承を行なわせる支承有効位置及び上記スプリングの付勢力を無効にして上記帯状用紙から離間させる支承無効位置に移動可能にし、上記ダンパ部材を信号送出手段からの退避信号に基づいて上記支承有効位置から支承無効位置に位置させるとともに該ダンパ部材を上記信号送出手段からの復帰信号に基づいて上記支承無効位置から支承有効位置に位置させるダンパ部材駆動部を設けた構成としている。
【0007】
これにより、帯状用紙の供給過程で、帯状用紙はダンパ部材に支承される。ダンパ部材は、帯状用紙側にスプリングの付勢力によって進出するように付勢されているので、帯状用紙に生じる張力変化により進退動する。そのため、帯状用紙に生じる張力が適正範囲に保持され、円滑な搬送が行なわれるようになる。
そして、帯状用紙を新規に装着する際は、あるいは、帯状用紙のジャムを取り除く場合や、ダンパ部材の清掃等のメンテナンスを行なう場合等には、信号送出手段から退避信号を送出させる。この退避信号により、ダンパ部材駆動部が駆動され、ダンパ部材が支承有効位置から支承無効位置に移動させられ、帯状用紙の経路から離間するようになる。ダンパ部材が支承有効位置から支承無効位置に移動させられると、ダンパ部材が帯状用紙の経路から離間しているので、スペースが大きくなっており、そのため、帯状用紙を新規に装着する際、帯状用紙を通し易く、装着性が向上させられる。また、帯状用紙のジャムを取り除きが容易になり、あるいは、ダンパ部材の清掃等のメンテナンスを容易に行なうことができるようになる。信号送出手段から復帰信号を送出すると、ダンパ部材は、支承無効位置から支承有効位置に移動させられる。
【0008】
また、必要に応じ、上記ダンパ機構を、機台に取り付けられるベース部材と、該ベース部材に対して上記ダンパ部材の進退動方向と同じ方向に進退動可能に設けられるとともに上記ダンパ部材が取り付けられる移動部材とを備えて構成し、上記スプリングを上記移動部材を介してダンパ部材を付勢するように設け、
上記ダンパ部材駆動部を、上記ベース部材に設けられ上記の信号送出手段からの退避信号に基づいて回転駆動するとともに上記の信号送出手段からの復帰信号に基づいて回転自由になる電動モータと、該電動モータの回転によって回転する円盤と、該円盤の外周の一部に設けられ上記移動部材の進退動を可能にして該移動部材に係合し、上記電動モータの回転駆動時に移動部材を上記スプリングの付勢力に抗して後退側に強制的に移動させ、上記信号送出手段からの復帰信号に基づいて上記電動モータが回転自由になったとき上記スプリングの付勢力によって上記移動部材をその進退動を行なうことができる位置に復帰させる係合部と、上記電動モータの回転駆動時に上記移動部材を上記スプリングの付勢力に抗して後退側に強制的に移動させたとき、該移動部材をその後退位置でロックするロック手段とを備えて構成している。これにより、電動モータの回転とスプリングの付勢力とにより、ダンパ部材を支承有効位置及び支承無効位置に移動させることができるので、機構を比較的簡易に構成することができるとともに、作動を確実に行わせることができる。
【0009】
更に、必要に応じ、上記ベース部材を、矩形状の表面板と、該表面板の上記移動部材の移動方向両端部に内向きに一体形成された一対の側板と、該一対の側板間に架設されて取り付けられる底板とを備えて構成し、上記表面板に上記移動部材の移動方向に沿う長孔を形成し、上記ダンパ部材をその支承面の面方向が上記移動部材の移動方向に直交するように上記ベース部材の表面板の外側に配置し、該ダンパ部材を上記長孔を貫通する取付部材を介して上記移動部材に取り付け、上記ベース部材の側板間に架設され移動部材に挿通されて移動部材をガイドする棒状のガイドレールを設け、上記スプリングをコイルスプリングで形成し、該スプリングを一端が上記移動部材の後退側端面に当接可能且つ他端が上記ベース部材の後退側の側板に当接可能になるように上記ガイドレールに挿通した構成としている。スプリングの付勢力を制御して、ダンパ部材を支承有効位置及び支承無効位置に確実に移動させることができるようになる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の用紙供給装置によれば、ダンパ部材駆動部により、ダンパ部材を支承有効位置から支承無効位置に移動させて、ダンパ部材を帯状用紙の経路から離間させ、スペースを大きくすることができ、そのため、帯状用紙を新規に装着する際は、あるいは、帯状用紙のジャムを取り除く場合や、ダンパ部材の清掃等のメンテナンスを行なう場合等に、その作業性を大幅に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る用紙供給装置について詳細に説明する。尚、本実施の形態では、帯状用紙として、ロール状に巻回され帯状台紙にラベルが仮着された形態の帯状用紙を用いて説明する。
図1には、本発明の実施の形態に係る用紙供給装置を示している。この実施の形態に係る用紙供給装置は、機台1と、ラベルLを仮着した帯状台紙DのロールDRを保持した供給リール2を有しこの帯状台紙Dを供給リール2から台紙搬送経路に供給する台紙供給部3と、機台1に設けられ台紙搬送経路に供給された帯状台紙Dに仮着されたラベルLに印字する印字部4と、機台1の印字部4の下流側に設けられ帯状台紙Dを折り返してこの帯状台紙Dに仮着されたラベルLを剥離するエッジを有した剥離部材5と、機台1に設けられ剥離部材5でラベルLが剥離された帯状台紙Dを巻き取る巻取リール6を備えた台紙巻取部7とを備えている。
【0012】
また、印字部4は、図1に示すように、台紙供給部3から供給された帯状台紙Dに仮着されたラベルLに印字を行なうサーマル型の印字ヘッド10と、印字ヘッド10が帯状台紙Dを介して圧接され帯状台紙Dを支持するローラ状のプラテン部材11とを備えて構成されている。
印字ヘッド10の基端部は機台1に設けたブラケット13に回動可能に支持されるとともに、レバー15が固定されこのレバー15操作により、印字ヘッド10が帯状台紙Dを介してプラテン部材11に圧接しラベルLに印字を行なう印字位置と、印字ヘッド10をプラテン部材から離間し帯状台紙の挿入を可能とする非印字位置の2位置に移動可能となっている。
また、印字ヘッド10の上流側に帯状台紙Dに当接してこの帯状台紙Dをプラテン部材11側に押圧してガイドするガイド部材20が設けられている。
【0013】
本実施の形態においては、図1乃至図6に示すように、機台1の台紙供給部3と剥離部材5との間であって、上記のガイド部材20の上流側に、帯状台紙Dを支承するとともに帯状台紙D側にスプリング74の付勢力によって進出するように付勢され、帯状台紙Dに生じる張力変化により進退動するダンパ部材71を有したダンパ機構70が設けられている。
ダンパ部材71は、表面側に帯状台紙Dが摺接する支承面71aを有した板部材で形成され、その上下側縁部が裏面側に湾曲して折曲形成されている。ダンパ部材71には、その長手方向に沿って移動可能に設けられ、後述のベース部材72の表面板72aとの間に帯状台紙Dを挟んで帯状台紙Dの巾方向の移動を規制する規制部材71bが設けられている。
【0014】
ダンパ機構70は、図2乃至図4,図6に示すように機台1に取り付けられるベース部材72と、ベース部材72に対してダンパ部材71の進退動方向と同じ方向に進退動可能に設けられるとともにダンパ部材71の一端部が取り付けられる移動部材73と、ベース部材72に設けられ移動部材73を進出方向に付勢するスプリング74とを備えて構成されている。移動部材73は平板73a及び一対の立設板73bを有したコの字状に形成されている。
ベース部材72は、裏面側に移動部材73の平板73aが摺接する矩形状の表面板72aと、表面板72aの内向きに一体形成された一対の側板72bと、一対の側板72b間に架設されて取り付けられる底板72cとを備えて構成されている。表面板72aには、移動部材73の移動方向に沿う一対の長孔78が形成されており、ダンパ部材71は、その支承面71aの面方向が移動部材73の移動方向に直交するようにベース部材72の表面板72aの外側に配置され、ダンパ部材71の一端部が一対の長孔78を夫々貫通するピン75を介して移動部材73の平板73aに取り付けられている。
【0015】
また、図3に示すように、ベース部材72の側板72b間には、移動部材73に挿通されて移動部材73をガイドする棒状の複数(実施の形態では3本)のガイドレール76が架設されている。移動部材73の立設板73b間には、3本のガイドレール76中、左右端にある一対のガイドレール76に夫々挿通される筒状の一対のスライダ77が架設されている。
スプリング74は、一端が移動部材73の後退側端面(後退側の立設板73b)に当接可能且つ他端がベース部材72の後退側の側板72bに当接可能になるように、ガイドレール76に挿通されるコイルスプリングで形成され、ダンパ部材71の後退初期から作動する第1のスプリング74Aと、ダンパ部材71の後退距離が所定距離になったときから作動する第2のスプリング74Bとを用いている。
【0016】
具体的には、所定のバネ定数k1の第1のスプリングとしての第1コイルスプリング74Aと、ダンパ部材71の後退距離が所定距離になったとき作動するように第1コイルスプリング74Aより長さが短く、且つ、所定のバネ定数k2であって、k1≦k2になる第2のスプリングとしての第2コイルスプリング74Bとが用いられる。第1コイルスプリング74Aは、3本のガイドレール76中、中央のガイドレール76に挿通され、第2コイルスプリング74Bは、3本のガイドレール76中、左右端にあるいずれか一方のガイドレール76に挿通されている。
【0017】
この場合、第1コイルスプリング74A及び第2コイルスプリング74Bを、その外径を異ならせて、一本のガイドレール76に挿通して用いることも可能である。しかしながら、その場合には、スプリング同士が絡み合って干渉する等の支障が懸念されるので、本構成では、第1コイルスプリング74A及び第2コイルスプリング74Bを夫々別のガイドレール76に挿通している。これイにより、スプリング同士の干渉が防止され、スプリングの支持が安定し、確実に、伸縮動作が行なわれ、ダンパ部材71の進退動を円滑に行なわせることができる
【0018】
更に、本実施の形態においては、図2乃至図4に示すように、移動部材73は、ダンパ部材71をスプリング74の付勢力を有効にして帯状台紙Dの支承を行なわせる支承有効位置Ga(図2(a)、図3(a)、図4(a))及びスプリング74の付勢力を無効にして帯状台紙Dの経路から離間させる支承無効位置Gb(図2(b)、図3(b)、図4(b))に移動可能にしている。ダンパ機構70には、図4に示すように、後述する制御部100の信号送出手段Sからの退避信号に基づいて、移動部材73を移動させてダンパ部材71を支承有効位置Gaから支承無効位置Gbに位置させるとともに、上記の信号送出手段Sからの復帰信号に基づいてダンパ部材71を支承無効位置Gbから支承有効位置Gaに位置させるダンパ部材駆動部80が設けられている。
【0019】
ダンパ部材駆動部80は、ベース部材72の底板72cの外側に設けられ上記の信号送出手段Sからの退避信号に基づいて180度回転駆動させ励磁状態にするとともに上記の信号送出手段Sからの復帰信号に基づいて励磁状態を解除して回転自由になる電動モータ81と、ベース部材72の底板72cの内側に回転自在に設けられギヤ機構82を介して電動モータ81に連動し電動モータ81の回転によって回転する円盤83と、円盤83の外周の一部に設けられ移動部材73の立設板73b間に臨んでこの移動部材73の進退動を可能にして係合し、電動モータ81の回転駆動時に移動部材73をスプリング74の付勢力に抗して後退側に強制的に移動させ、信号送出手段Sからの復帰信号に基づいて電動モータ81が回転自由になったときスプリング74の付勢力によって移動部材73をその進退動を行なうことができる位置に復帰させる係合部84と、電動モータ81の回転駆動時に移動部材73をスプリング74の付勢力に抗して後退側に強制的に移動させたとき、この移動部材73をその後退位置でロックするロック手段とを備えて構成されている。ロック手段は、例えば、電動モータ81の回転軸の回転を所定位置で停止させる図示外のストッパで構成される。
尚、本実施の形態では、電動モータ81により円盤83を回転させ係合部84を介して平板73a及び一対の立設板73bを有したコの字状に形成された移動部材73を移動させ、ダンパ部材71を移動可能として説明したが、これに限定するものではなく、移動部材73をL字状に形成し、信号送出手段Sからの退避信号に基づいて、ソレノイドやシリンダで移動部材73をスプリング74側に移動させ、信号送出手段Sからの復帰信号に基づいて移動部材73を開放するように構成しても良く、適宜変更して構わない。
【0020】
更にまた、ダンパ機構70は、ダンパ部材71の進出方向及び後退方向の向きが正逆変更可能になるように機台1に対して取付け可能に形成されている。詳しくは、ベース部材72の表面板72aの上下であって、点対称位置には、機台1に取り付けるための、ビス87が挿通可能な取付穴88を有した取付部89が形成されており、ベース部材72を180度反転させてビス87で取り付け直すことで、ダンパ部材71の進出方向及び後退方向の向きを正逆変更可能になっている。
【0021】
図1及び図6(a)に示すように、本装置は、帯状台紙のロールDRが、帯状台紙がこれにラベルを内側に位置させて巻かれて形成されている所謂「内巻きロールDRa」になっている場合と、図5及び図6(b)に示すように、帯状台紙DがこれにラベルLを外側に位置させて巻かれて形成されている所謂「外巻きロールDRa」になっている場合との双方ある場合、ラベルLを印字ヘッド10に対して印字できる所要の向きで排出するために、「内巻きロールDRa」と「外巻きロールDRb」とで、供給リール2に対して帯状台紙Dの繰り出し方向が互いに逆になるように装着し、供給リール2の回転方向を逆転させて帯状台紙Dの搬送経路を異ならせて対応できるようにしている。
【0022】
この場合、図1及び図6(a)に示すように、「内巻きロールDRa」の場合は、ダンパ機構70のダンパ部材71が帯状台紙Dの裏側(ラベルLが仮着されていない側)を支承する向きにダンパ機構70を取り付け、図5及び図6(b)に示すように、「外巻きロールDRb」の場合は、ダンパ機構70のダンパ部材71が帯状台紙Dの表側(ラベルLが仮着されている側)を支承する向きにダンパ機構70を取り付ける。
【0023】
また、本実施の形態においては、制御部100が設けられている。制御部100は、CPUなどの機能によって実現され、上記の電動モータ81の駆動部等を制御する。特に、制御部100は、上記の信号送出手段Sを有しており、この信号送出手段Sから送出される退避信号及び復帰信号に基づいて、所定のタイミングで、電動モータ81を制御する。
【0024】
従って、本発明の実施の形態に係る用紙供給装置において、先ず、帯状台紙として「内巻きロールDRa」を用いる際は、図1及び図6(a)に示すように、「内巻きロールDRa」を供給リール2が図1中右回り回転で帯状台紙Dを繰り出し可能になるように、供給リール2に装着する。即ち、予め、ダンパ機構70のダンパ部材71が帯状台紙Dの裏側(ラベルLが仮着されていない側)を支承する向きに、ダンパ機構70を機台1に取り付ける。
一方、本発明の実施の形態に係る用紙供給装置において、帯状台紙Dとして「外巻きロールDRb」を用いる際は、図5及び図6(b)に示すように、「外巻きロールDRb」を供給リール2が図5中左回り回転で帯状台紙Dを繰り出し可能になるように、供給リール2に装着する。即ち、予め、ダンパ機構70のダンパ部材71が帯状台紙Dの表側(ラベルLが仮着されている側)を支承する向きに、ダンパ機構70を機台1に取り付ける。
このように、ダンパ機構70を、取外してダンパ部材71の進出方向及び後退方向の向きを正逆変更し、それから、再び取り付ければ、帯状台紙Dの裏面若しくは表面のいずれかを支承して、帯状台紙Dを繰り出し可能に保持できるようになり、「内巻きロールDRa」、「外巻きロールDRb」の両者に容易に対応できるようになる。
【0025】
次に、帯状台紙Dを新規に装着する際は、あるいは、帯状台紙Dのジャムを取り除く場合や、ダンパ部材71の清掃等のメンテナンスを行なう場合等について説明する。ここでは、帯状台紙Dとしては、「内巻きロールDRa」及び「外巻きロールDRb」で作用,効果が同様なので、「内巻きロールDRa」を用いている場合について示す。
先ず、印字ヘッド10のレバー15を、手動操作により回転させる。これにより、印字ヘッド10はプラテン部材11から離間し、印字ヘッド10とプラテン部材11との間の間隔が大きく開く。
制御部100は、レバー15の操作により印字ヘッド10がプラテン部材11から離間したことにより、制御部100の信号送出手段Sから退避信号が送出される。ダンパ部材71においては、図2(b)及び図4(b)に示すように、信号送出手段Sからの退避信号に基づいて、ダンパ機構70のダンパ部材駆動部80の電動モータ81が駆動され、円盤83が回転させられて係合部84が回転し、係合部84に係合した移動部材73がスプリング74の付勢力に抗して後退側に強制的に移動させられる。これにより、移動部材73と同動するダンパ部材71が支承無効位置Gbに移動させられ、帯状台紙Dの経路から離間するようになる。この場合、レバー15の操作に連動してダンパ部材71が支承無効位置Gbに位置させられることになるので、個別にダンパ部材71の退避操作を行なわなくても良く、それだけ操作性が向上させられる。
【0026】
この状態において、先ず、帯状台紙Dを新規に装着する場合には、帯状台紙DのロールDRを台紙供給部3の供給リール2に装着し、図1に示すように、帯状台紙Dの先端部を引き出して、先ず、ダンパ部材71の支承面71a側に通し、次に、ガイド部材20と支持部材12との間を通し、それから、印字ヘッド10とプラテン部材11との間に通す。この場合、ダンパ部材71が支承無効位置Gbに移動させられ、帯状台紙Dの経路から離間しているので、スペースが大きくなっており、それだけ、帯状台紙Dを通し易く、装着性が向上させられる。そして、帯状台紙Dを剥離部材5のところで折り返し、帯状台紙Dの先端部を、巻取リール6側に装着するようにする。
【0027】
また、帯状台紙のジャムを取り除く場合や、ダンパ部材71の清掃等のメンテナンスを行なう場合等でも、印字ヘッド10はプラテン部材11から離間し、印字ヘッド10とプラテン部材11との間の間隔が大きく開いており、ダンパ部材71も支承無効位置Gbに移動させられ、帯状台紙Dの経路から離間しているので、帯状台紙のジャムを取り除きが容易になり、あるいは、ダンパ部材71の清掃等のメンテナンスを容易に行なうことができるようになる。
【0028】
そして、帯状台紙Dの装着が終わったならば、あるいは、帯状台紙Dのジャムを取り除き終わり、ダンパ部材71の清掃等のメンテナンスが終了した後は、図1に示すように、印字ヘッド10のレバー15を、手動操作により回転させると、制御部100の信号送出手段Sから復帰信号が送出される。この復帰信号により、ダンパ部材71においては、図2(a)及び図4(a)に示すように、ダンパ機構70のダンパ部材駆動部80の電動モータ81が非通電となり、負荷が解除され、電動モータ81が回転自由になる。これにより、スプリング74の付勢力によって移動部材73が進出し、その進退動を行なうことができる位置に復帰する。
【0029】
そして、この状態で、装置を駆動し、ラベルLの供給を行なう。この際には、台紙巻取部7の巻取リール6が回転させられるとともに、帯状台紙Dが台紙供給部3の供給リール2から供給され、台紙巻取部7の巻取リール6に巻き取られていく。この過程では、ガイド部材20において帯状台紙Dがガイドされて印字部4に搬送され、印字部4において、印字ヘッド10によりラベルLに所要の印字が行なわれ、剥離部材5側に搬送される。搬送された帯状台紙Dが剥離部材5で折り返されると、帯状台紙Dに仮着したラベルLが剥離して供給される。
【0030】
このラベルLの貼付において、帯状台紙Dは、台紙供給部3の供給リール2から供給されて、印字部4に到るが、印字部4の上流側においては、ダンパ部材71に支承される。ダンパ部材71は、図3及び図6(a)に示すように、帯状台紙D側にスプリング74の付勢力によって進出するように付勢されているので、帯状台紙Dに生じる張力変化により進退動する。そのため、帯状台紙Dに生じる張力が適正範囲に保持され、円滑な搬送が行なわれるようになる。この場合、図3に示すように、スプリング74として、ダンパ部材71の後退初期から作動する所定のバネ定数k1の第1コイルスプリング74Aと、ダンパ部材71の後退距離が所定距離になったとき作動するように第1コイルスプリング74Aより長さが短く、且つ、所定のバネ定数k2であって、k1≦k2になる第2コイルスプリング74Bとが用いられるので、即ち、図3(a)に示すように、ダンパ部材71の後退前半においては、比較的バネ力の弱い第1コイルスプリング74Aが受け持ち、図3(b)に示すように、ダンパ部材71の後退後半においては、比較的バネ力の強い第2コイルスプリング74Bが第1コイルスプリング74Aに加担するようになる。そのため、ラベルLの巾(帯状台紙dの巾)が小さいときなど、比較的帯状台紙Dに生じる張力が弱いときには、第1コイルスプリング74Aが帯状台紙Dの荷重を受け持つことができるので、一種類のスプリングで支承することができ、このため、張力変化に対する応答性を良好に保持することができる。また、ラベルLの巾(帯状台紙Dの巾)が大きいときなど、比較的帯状台紙Dに生じる張力が強くなるときには、第2コイルスプリング74Bが共働して帯状台紙Dの荷重を受け持つことができるようになる。そのため、帯状台紙Dに生じる張力が比較的大きくなってもその荷重に対応できるようになる。即ち、スプリング力が一種のものに比較して、帯状台紙Dの張力変化を極力小さく抑えることができ、帯状台紙Dの張力制御の安定化を図ることができる。その結果、印字位置精度や印字停止位置精度が向上させられ、印字縮みなどの品質低下が防止される。
【0031】
尚、上記実施の形態において、第1コイルスプリング74A及び第2コイルスプリング74Bは、夫々、1本ずつガイドレール76に装着したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、ガイドレール76の数を増すなどして、複数本設けても良く、適宜変更して差支えない。また、信号送出手段Sは、レバー15の操作により、信号を送出するように構成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、押釦により信号を送出するように構成し、あるいは、本装置の他の機構部の操作に連動して信号を送出させるようにするなど、どのように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態に係る用紙供給装置を「内巻きロール」を装着した状態で示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る用紙供給装置においてダンパ機構の構成を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る用紙供給装置においてダンパ機構の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る用紙供給装置においてダンパ部材駆動部の動作状態を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る用紙供給装置を「外巻きロール」を装着した状態で示す正面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る用紙供給装置のダンパ機構を示し、(a)は「内巻きロール」を装着した状態を示す斜視図、(b)は「外巻きロール」を装着した状態を示す斜視図である。
【図7】従来の用紙供給装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
D 帯状台紙
DR ロール
DRa 内巻きロール
DRb 外巻きロール
L ラベル
1 機台
2 供給リール
3 台紙供給部
4 印字部
5 剥離部材
6 巻取リール
7 台紙巻取部
10 印字ヘッド
11 プラテン部材
12 支持部材
15 レバー
70 ダンパ機構
71 ダンパ部材
72 ベース部材
73 移動部材
74 スプリング
74A 第1コイルスプリング(第1のスプリング)
74B 第2コイルスプリング(第2のスプリング)
75 ピン
76 ガイドレール
77 長孔
Ga 支承有効位置
Gb 支承無効位置
80 ダンパ部材駆動部
81 電動モータ
84 係合部
87 ビス
88 取付穴
89 取付部
100 制御部
S 信号送出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻回された帯状用紙を供給し、この供給過程で帯状用紙を支承するとともに該帯状用紙側にスプリングの付勢力によって進出するように付勢され該帯状用紙に生じる張力変化により進退動するダンパ部材を有したダンパ機構を備えた用紙供給装置において、
上記ダンパ部材を上記スプリングの付勢力を有効にして上記帯状用紙の支承を行なわせる支承有効位置及び上記スプリングの付勢力を無効にして上記帯状用紙から離間させる支承無効位置に移動可能にし、上記ダンパ部材を信号送出手段からの退避信号に基づいて上記支承有効位置から支承無効位置に位置させるとともに該ダンパ部材を上記信号送出手段からの復帰信号に基づいて上記支承無効位置から支承有効位置に位置させるダンパ部材駆動部を設けたことを特徴とする用紙供給装置。
【請求項2】
上記ダンパ機構を、機台に取り付けられるベース部材と、該ベース部材に対して上記ダンパ部材の進退動方向と同じ方向に進退動可能に設けられるとともに上記ダンパ部材が取り付けられる移動部材とを備えて構成し、上記スプリングを上記移動部材を介してダンパ部材を付勢するように設け、
上記ダンパ部材駆動部を、上記ベース部材に設けられ上記の信号送出手段からの退避信号に基づいて回転駆動するとともに上記の信号送出手段からの復帰信号に基づいて回転自由になる電動モータと、該電動モータの回転によって回転する円盤と、該円盤の外周の一部に設けられ上記移動部材の進退動を可能にして該移動部材に係合し、上記電動モータの回転駆動時に移動部材を上記スプリングの付勢力に抗して後退側に強制的に移動させ、上記信号送出手段からの復帰信号に基づいて上記電動モータが回転自由になったとき上記スプリングの付勢力によって上記移動部材をその進退動を行なうことができる位置に復帰させる係合部と、上記電動モータの回転駆動時に上記移動部材を上記スプリングの付勢力に抗して後退側に強制的に移動させたとき、該移動部材をその後退位置でロックするロック手段とを備えて構成したことを特徴とする請求項1記載の用紙供給装置。
【請求項3】
上記ベース部材を、矩形状の表面板と、該表面板の上記移動部材の移動方向両端部に内向きに一体形成された一対の側板と、該一対の側板間に架設されて取り付けられる底板とを備えて構成し、上記表面板に上記移動部材の移動方向に沿う長孔を形成し、上記ダンパ部材をその支承面の面方向が上記移動部材の移動方向に直交するように上記ベース部材の表面板の外側に配置し、該ダンパ部材を上記長孔を貫通する取付部材を介して上記移動部材に取り付け、上記ベース部材の側板間に架設され移動部材に挿通されて移動部材をガイドする棒状のガイドレールを設け、上記スプリングをコイルスプリングで形成し、該スプリングを一端が上記移動部材の後退側端面に当接可能且つ他端が上記ベース部材の後退側の側板に当接可能になるように上記ガイドレールに挿通したことを特徴とする請求項2記載の用紙供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−76852(P2010−76852A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244302(P2008−244302)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】