説明

用紙切断装置及び記録装置

【課題】カッター機構への異物挟まりの誤検出を抑制するとともに、切断を確実に行わせる。
【解決手段】用紙搬送方向と交差する方向の一端をホームポジション(HP)、他端をバックポジション(BP)とし、モータによりHPからBPまで移動する切断機構と、切断機構のBPへの到達を検出するBP側停止位置検出センサ(S)と、用紙の種類及び幅の判定手段と、記憶された切断機構移動速度と用紙の種類及び幅とを用いて、切断機構のHPからの移動開始から切断するまでの用紙切断時間と、切断機構のHPからの移動開始からSに到達するまでのBP到達時間との算出手段と、モータ駆動電流値の検出手段と、モータ駆動電流を制御して用紙切断機構の移動を制御する駆動制御手段とを具備する。駆動制御手段は、用紙切断時間が経過してからBP到達時間が経過するまでの間に駆動電流値に所定の変化が生じた場合、BPに到達する前に切断機構を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙切断装置及び記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、ロール紙に画像を記録する記録装置(例えば、プリンタ)が知られている。ロール紙に対して記録を行なう記録装置の場合、一般に、画像の記録が終わる度にロール紙を自動的に切断するカッター機構がその内部に備わっている。カッター機構は、その構成の違いにより、ある隙間に刃を突き立てるギロチン方式や、2枚の刃を交差させて用紙の端から切断するハサミ方式、等の様々な方式が知られている。なお、いずれの方式であっても、少なくとも1枚以上の刃が移動することによって用紙の切断が行なわれる。
【0003】
カッター機構は、通常動作では問題なく動作していても、用紙のジャムが発生したり、カッター機構に異物が挟まったりした場合、刃を正常に稼動できず、ロック状態となる場合がある。これに対処するため、特許文献1には、ロック状態となった場合に、モータを逆回転させて刃を復帰させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−337876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、装置本体の用紙開口部の端部とカッター機構との間に異物が挟まった場合に、上述したロック状態に陥ることが多い。一方で、用紙の切断中に異物が挟まった場合には、徐々に負荷が大きくなる状態が続くだけで、直ぐにロック状態にならないことが多い。
【0006】
また、ロック状態の検出を電流を用いて行なうようにした場合、用紙切断中には、用紙の種類により負荷が異なるため、電流の変化が大きくなる。そのため、誤検出を起こしてしまう可能性がある。
【0007】
ここで、例えば、用紙切断中にロック状態を検出した場合、記録装置は、モータを逆転させ、カッター機構をホームポジション等に移動させる。この場合、用紙は、途中まで切断された状態になる。このような一部が切断された用紙は、当該用紙の自重により途中まで切断させた切り口から裂けてしまうため、最悪の場合、記録画像部分が破けてしまう。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、カッター機構に異物が挟まっているか否かの検出時の誤検出を抑制するとともに、用紙の切断処理を確実に行なえるようにした技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の一態様による用紙切断装置は、用紙の搬送経路上に設けられ、該用紙の搬送方向と交差する方向に沿った一端をホームポジションとするとともにその他端をバックポジションとして、駆動電流が通電されることにより駆動力を生じるモータの駆動力を受けて前記ホームポジションから前記バックポジションまで移動して前記用紙を切断する用紙切断機構と、前記バックポジションへの前記用紙切断機構の到達を検出するバックポジション側停止位置検出センサと、前記用紙の種類と前記用紙の幅とを判定する判定手段と、予め保持された前記用紙切断機構の移動速度と前記判定手段により判定された用紙の種類及び用紙の幅とを用いて、前記用紙切断機構が前記ホームポジションからの移動を開始した時点から前記用紙を切断するまでの用紙切断時間と、前記用紙切断機構が前記ホームポジションからの移動を開始した時点から前記バックポジション側停止位置検出センサに到達するまでのバックポジション到達時間とを含む情報を算出する算出手段と、前記モータの駆動電流の電流値を検出する検出手段と、前記モータへの駆動電流の通電を制御して、前記用紙切断機構による前記ホームポジションと前記バックポジションとの間における移動を制御する駆動制御手段とを具備し、前記駆動制御手段は、前記用紙切断機構により前記用紙を切断する際に、前記ホームポジションから前記用紙切断機構の移動を開始させた後、前記用紙切断時間が経過した時点から前記バックポジション到達時間が経過するまでの間に前記検出手段により検出される前記駆動電流の電流値に所定の変化が生じた場合、前記バックポジションに到達する前に前記用紙切断機構の移動を停止させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カッター機構に異物が挟まっているか否かの検出時の誤検出を抑制するとともに、用紙の切断処理を確実に行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる記録装置10の外観構成の一例を示す図。
【図2】図1に示す記録装置10の制御系の構成の一例を示す図。
【図3】図2に示すカッター機構220の概略構成の一例を示す図。
【図4】図2に示す機構制御回路221の制御系の構成及びCPU215上に実現される機能的な構成の一例を示す図。
【図5】実施形態1に係わる用紙切断処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図6】実施形態2に係わる用紙切断処理の流れの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、この明細書において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、又は媒体の加工を行なう場合も表す。また、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わない。
【0013】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、記録が可能なものも表す。
【0014】
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施の形態に係わる用紙切断装置を適用した記録装置10の外観構成の一例を示す図である。なお、本実施形態においては、記録方式としてインクジェット方式を採用した記録装置を例に挙げて説明するが、インクジェット方式に限られない。例えば、電子写真方式などといった他の形式を採用した記録装置であっても良い。
【0015】
記録装置10は、インクジェット方式に従ってインクを吐出して記録を行なうインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッドと呼ぶ)109をキャリッジ106に搭載し、キャリッジ106を主走査方向(X方向)に往復移動させて記録を行なう。キャリッジ106は、記録装置10が記録動作を行なっていない場合、又は記録ヘッド109の回復動作を行なう場合、図中の点線に示すホームポジションに待機するように制御される。
【0016】
記録装置10は、記録媒体(本実施形態においては、ロール紙であり、以下、用紙と呼ぶ)Pを給紙ローラ105を用いて給紙し、記録位置まで搬送する。そして、その記録位置において各記録ヘッド109から用紙Pにインクを吐出することで記録を行なう。記録ヘッド109による1回の記録走査が終了すると、搬送ローラ103及び補助ローラ104が回転し、用紙Pは、記録ヘッド109の記録幅に対応した量だけ副走査方向(Y方向)に搬送される。このような記録走査と搬送動作とを繰り返すことにより、用紙Pに画像が記録される。
【0017】
記録ヘッド109には、記録素子として、例えば、電気熱変換体が設けられている。すなわち、記録ヘッド109は、熱エネルギを利用してインクを吐出する。電気熱変換体は、各吐出口に対応して設けられ、画像データに応じて対応する電気熱変換体にパルス電圧を印加する。これにより、対応する吐出口からインクが吐出される。なお、本実施形態においては、インクの吐出方式として、ヒータを用いてインクを吐出する場合について説明するが、これに限定されない。例えば、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式など、様々なインクジェット方式を採用しても良い。
【0018】
記録装置10のキャリッジ106には、記録ヘッド109の他、例えば、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)のインクをそれぞれ収容する4つのインクカートリッジが搭載される。インクカートリッジは、記録ヘッド109各々に対して供給するインクを貯留する。これら4つのインクカートリッジは、それぞれ独立して着脱できる。
【0019】
図2は、図1に示す記録装置10の制御系の構成の一例を示す図である。
【0020】
CPU(Central Processing Unit)215は、記録装置10における各部の動作を統括制御する。ROM(Read Only Memory)222は、CPU215により実行されるプログラムを記憶する。なお、ROM222は、書き込み可能に構成されていても良い。
【0021】
RAM(Random Access Memory)223は、各種データが一時的に格納される。例えば、CPU215により各種処理が実施される際には、ワーク領域として利用される。不揮発性メモリ224は、例えば、EEPROM等で実現され、電源オフ時にもその記憶内容を保持する。不揮発性メモリ224には、例えば、カッター機構220の移動速度等が保持される。
【0022】
操作・表示部225は、ユーザインターフェースとして機能し、例えば、電源投入や、ホスト装置Hとのオンライン/オフラインの設定等、ユーザが所要の操作を行なうためのスイッチや、装置状態をユーザに提示するための表示器とを具備して構成される。
【0023】
ホスト装置Hは、記録装置10に対して画像データを供給する供給源として機能し、記録処理に係わる画像等のデータ作成や処理等を行なうコンピュータで実現される。なお、ホスト装置Hは、画像取り込み用のリーダ部、又はデジタルカメラ等として実現されても良い。
【0024】
I/F(インターフェース)226は、ホスト装置H等と通信を行なう通信インターフェースとして機能する。例えば、画像データ、各種コマンドやステータス信号等は、このI/F226を介して送受信される。
【0025】
記録ヘッド制御回路212は、記録ヘッド109を統括制御する。より具体的には、記録ヘッド109を電気的に制御し、画像データに応じてインクを吐出させる。
【0026】
用紙判定用センサ228は、用紙を判定する機能を有し、例えば、キャリッジ106に搭載され、用紙Pの種類や用紙幅をアナログ値で検出する。当該検出されたアナログ値は、ADコンバータ229によってデジタル値に変換された後、CPU215に入力される。すなわち、CPU215においては、ADコンバータ229を介して受信したデジタル値に基づいて用紙の種類や用紙幅の判定を行なう。なお、用紙幅とは、用紙の搬送方向に直交する方向(直交方向)に関する用紙の幅を示す。
【0027】
記録装置10には、複数のモータ216〜218及び227が設けられる。主走査モータ216は、図1に示すX方向(主走査方向)に記録ヘッド109を走査させるための駆動源である。副走査モータ217は、図1に示すY方向(副走査方向)に用紙Pを搬送するための駆動源である。回復動作モータ218は、回復処理ユニットを動作させるための駆動源である。カッターモータ227は、用紙Pを切断するためのカッター機構220を動作させるための駆動源である。
【0028】
機構制御回路221は、各種モータやアクチュエータ、各種センサ等を統括制御する。カッター機構220は、用紙切断機構としての機能を有し、用紙を切断する。タイマー219は、各種時間を計時する。以上が、記録装置10における制御系の構成の一例についての説明である。
【0029】
次に、図3を用いて、図2に示すカッター機構220の概略構成の一例について説明する。カッター機構220は、図3に示すように、用紙107の搬送方向と交差する方向に移動する。
【0030】
カッター機構220には、上刃402と下刃403とが設けられる。上刃402及び下刃403は、用紙107(図1に示す用紙Pに対応する)の基準側に設置され、ループ状のワイヤ408に固定されている。ワイヤ408は、カッターモータ227に設けられる駆動プーリ404と、ホームポジション(HP)側にある徒動プーリ405とにより移動可能に支持される。なお、ここでは、用紙107の搬送方向の直交方向に沿った一端(用紙切断開始時のカッター機構220の停止位置側)をHPとするとともに、その他端をBPとする。
【0031】
駆動プーリ404が回転駆動されると、ワイヤ408が移動する。このワイヤ408の移動によりカッター機構220は、レール409に沿って左右に移動する。そして、このカッター機構220の移動によって用紙107が所定の長さに切断される。用紙107の切断後、カッター機構220は更に移動してバックポジション(BP)側に到達する。
【0032】
BP側にカッター機構220が到達すると、BP側の停止位置検出センサ(バックポジション側停止位置検出センサ)407がオンされる。すると、この検出信号を受けてCPU215は、カッターモータ227の回転を一瞬逆回転させ、カッター機構220にブレーキをかけて停止させる。このとき、カッター機構220は、慣性によって瞬時に停止せず移動してしまうが、BP側のBPストッパ412に接触し停止する。切断された用紙は、図示しない搬送ローラにより所定の方向へ搬送され、開口部410から排紙される。
【0033】
切断された用紙は、搬送ローラによりその先端部が引き戻される。また、カッターモータ227は、逆回転し、カッター機構220をHP側へ移動させる。カッター機構220がHP側に到達すると、HP側の停止位置検出センサ(ホームポジション側停止位置検出センサ)406がオンされる。すると、この検出信号を受けたCPU215は、カッターモータ227の回転を一瞬逆回転させ、カッター機構220にブレーキをかけて停止させる。カッター機構220は、HP側のHPストッパ411に接触し停止する。また、キャリッジ106に設けられた用紙判定用センサ228においては、用紙107の種類及び用紙幅の判定が行なわれる。
【0034】
次に、図4を用いて、図2に示す機構制御回路221の制御系の構成及びCPU215上に実現される機能的な構成の一例について説明する。ここでは、特に、カッターモータ227の駆動電流の電流値を検出する機構の構成について説明する。
【0035】
機構制御回路221は、CPU215に接続されている。そのため、CPU215は、機構制御回路221を介してカッターモータ227の制御を行なう。カッターモータ227は、カッターモータ+相304とカッターモータ−相305とに接続されている。
【0036】
機構制御回路221は、CPU215からの命令に基づいて、カッターモータ227の駆動制御を行なう。ここで、機構制御回路221内部には、モータドライバ制御回路301と、モータドライバ回路302と、電流検出部303とが設けられる。モータドライバ回路302は、カッターモータ227を駆動させ、モータドライバ回路302は、モータドライバ回路302を制御する。また、電流検出部303は、カッターモータ227の駆動時に発生する電流を検出する。これにより、電流検出部303は、カッターモータ227における駆動電流の電流値を検出できる。
【0037】
ここで、CPU215上に実現される機能的な構成の一例について説明する。CPU215上には、機能的な構成として、用紙判定部311と、算出部312と、駆動制御部313とが実現される。なお、CPU215上に実現される機能構成は、例えば、CPU215が、ROM222等に格納された各種制御プログラムを実行することにより実現される。
【0038】
用紙判定部311は、用紙判定用センサ228からの出力値に基づいて用紙の種類や用紙幅の判定を行なう。
【0039】
算出部312は、用紙判定部311により判定された用紙の種類及び用紙幅の値と、(予め保持された)カッター機構220の移動速度とに基づいて、用紙の切断に係わる各種情報を算出する。具体的には、用紙切断時間と、用紙切断時センサ到達時間と、用紙未切断時センサ到達時間と、加速時間とを算出する。
【0040】
ここで、これら用紙の切断に係わる情報について図3を参照して説明する。
【0041】
用紙切断時間421は、カッター機構220がHPから用紙幅(主走査方向への用紙の長さを示す)を通過するまでの時間であり、カッター機構220がHPからの移動を開始した時点から搬送経路上を搬送される用紙を切断するまでの時間を示す。
【0042】
用紙切断時センサ到達時間(バックポジション到達時間)422は、カッター機構220がHPからの移動を開始した時点からBP側の停止位置検出センサ407に到達するまでの時間を示す。すなわち、用紙切断時センサ到達時間422は、用紙の切断時にカッター機構220がHPとBPとの間の移動に要する時間を示す。
【0043】
用紙未切断時センサ到達時間(ホームポジション到達時間)424は、カッター機構220がBPからの移動を開始した時点からHP側の停止位置検出センサ406に到達するまでの時間を示す。すなわち、用紙未切断時センサ到達時間424は、用紙の未切断時にカッター機構220がHPとBPとの間の移動に要する時間を示す。
【0044】
加速時間(加速制御期間)423は、カッター機構220がBP側からHP側に加速される時間(期間)である。加速時間423は、カッターモータ227に通電される駆動電流が増加する期間である。この加速時間423の後、カッター機構220は、当該加速時間423中にカッターモータ227により与えられた駆動力に従ってHP側に移動することになる。図3の場合、加速時間423は、BP側の用紙端413に到達する前に終わっているが、これに限られず、加速時間423は、カッター機構220の走査範囲等に従って、決めれば良い。
【0045】
駆動制御部313は、カッターモータ227への駆動電流の通電を制御して、カッター機構220によるHPとBPとの間における移動を制御する。また、駆動制御部313は、電流検出部303により検出される駆動電流の電流値の変化や、HP側及びBP側の停止位置検出センサ406及び407の出力値に基づいてカッター機構220の移動(駆動)の停止を制御する。
【0046】
次に、図5を用いて、図1に示す記録装置10における用紙切断処理の流れの一例について説明する。
【0047】
記録装置10において、用紙上への画像の記録が終了すると、この処理は開始する。この処理が開始すると、記録装置10は、まず、算出部312において、用紙判定部311により判定された用紙の種類及び用紙幅の値と、カッター機構220の移動速度とに基づいて、用紙の切断に係わる各種情報を取得する(S501)。具体的には、用紙切断時間と、用紙切断時センサ到達時間と、用紙未切断時センサ到達時間と、加速時間とを算出する。
【0048】
次に、記録装置10は、駆動制御部313において、カッターモータ227の駆動を開始させ、カッター機構220をBP側に向けて移動させる。すなわち、カッター機構220による用紙の切断動作を開始させる。また、タイマー219の計時も開始させる(S502)。
【0049】
ここで、記録装置10は、用紙切断時間が経過するまで待機する(S503でNO)。そして、当該時間が経過すると(S503でYES)、記録装置10は、駆動制御部313において、各種情報に基づいてカッター機構220の移動(駆動)の停止を制御する。具体的には、用紙切断時センサ到達時間が経過したか否か、駆動電流の電流値が監視閾値を越えたか否か、BP側の停止位置検出センサ407がオンになったか否かに基づいてカッター機構220の駆動を制御する。このように本実施形態においては、駆動電流の電流値の監視は、用紙切断時間が経過した時点から用紙切断時センサ到達時間が経過するまでの間に行なわれる。
【0050】
ここで、用紙切断時センサ到達時間が経過した場合(S504でYES)、記録装置10は、駆動制御部313において、カッター機構220の移動を停止させる(S507)。一方、用紙切断時センサ到達時間が経過する前に、駆動電流の電流値が監視閾値を越えていれば(S505でYES)、記録装置10は、駆動制御部313において、カッター機構220の移動を停止させる(S507)。なお、ここでは、駆動電流の電流値が監視閾値(第1の閾値)を越えているか否かを判定しているが、所定時間あたりにおける駆動電流の電流値の増加が所定の閾値(第2の閾値)を越えているか否かを判定するようにしても良い。
【0051】
また、用紙切断時センサ到達時間が経過する前に、BP側の停止位置検出センサ407がオンになれば(S506でYES)、記録装置10は、駆動制御部313において、カッター機構220の移動を停止させる(S507)。
【0052】
上述したS501〜S507の処理により用紙を切断したカッター機構220はBPに停止した状態となる。ここで、記録装置10は、駆動制御部313において、カッター機構220を元の位置に戻すため(HP側に移動させるため)、カッターモータ227を逆転駆動し、カッター機構220をHP側に向けて移動させる。また、タイマー219をリセットした後、再度、タイマー219の計時を開始させる(S508)。
【0053】
ここで、記録装置10は、加速時間(加速制御期間)が経過するまで待機する(S509でNO)。すなわち、加速時間(加速制御期)中には、カッターモータ227に通電される駆動電流が急激に増加しているため、この期間中には、駆動電流の監視は行なわない。これにより、本実施形態においては、加速時間中に駆動電流が増加したことに伴って、異物が挟まっていると誤検出してしまうことを抑制する。
【0054】
加速時間が経過(加速制御期間が終了)すると(S509でYES)、記録装置10は、駆動制御部313において、各種情報に基づいてカッター機構220の移動(駆動)の停止を制御する。具体的には、用紙未切断時センサ到達時間が経過したか否か、駆動電流の電流値が監視閾値を越えたか否か、HP側の停止位置検出センサ406がオンになったか否かに基づいてカッター機構220の駆動を制御する。このように本実施形態においては、駆動電流の電流値の監視は、加速時間が経過した時点から用紙未切断時センサ到達時間が経過するまでの間に行なわれる。
【0055】
ここで、用紙未切断時センサ到達時間が経過した場合(S510でYES)、記録装置10は、駆動制御部313において、カッター機構220の移動を停止させる(S513)。一方、用紙未切断時センサ到達時間が経過する前に、駆動電流の電流値が監視閾値を越えていれば(S511でYES)、記録装置10は、駆動制御部313において、カッター機構220の移動を停止させる(S513)。なお、ここでは、駆動電流の電流値が監視閾値(第1の閾値)を越えているか否かを判定しているが、上記同様に、所定時間あたりにおける駆動電流の電流値の増加が所定の閾値(第2の閾値)を越えているか否かを判定するようにしても良い。
【0056】
また、用紙未切断時センサ到達時間が経過する前に、HP側の停止位置検出センサ406がオンになれば(S512でYES)、記録装置10は、駆動制御部313において、カッター機構220の移動を停止させる(S513)。このS508〜S513の処理によりカッター機構220は、HPに停止した状態となり、元のポジションに復帰する。
【0057】
以上説明したように実施形態1によれば、用紙の切断に際しては、カッター機構220による用紙の切断が完了した時点からBPに到達するまでの間、カッターモータ227の駆動電流の電流値を監視する。
【0058】
また、カッター機構220の位置をBPからHPに復帰させる際には(用紙未切断時)、カッター機構220の加速時間が経過した後、当該カッター機構220がHPに到達するまでの間、カッターモータ227の駆動電流の電流値を監視する。
【0059】
これにより、カッターモータ227の駆動電流が安定している状態時に、カッター機構220に異物が挟まっているか否かの検出を行なうことができるため、当該異物検出時の誤検出を抑制できる。
【0060】
また、異物が挟まったことを検出した場合であっても、カッター機構220を直ぐに停止させず、用紙の切断後に停止させる。そのため、用紙の自重による切断を避けることができるので、記録画像部分が破けてしまうといったことも起こらない。
【0061】
(実施形態2)
次に、実施形態2について説明する。なお、実施形態2に係わる記録装置10の構成は、実施形態1を説明した図1〜図4と同様となるため、その説明については省略し、ここでは、実施形態1と相違する点について重点的に説明する。まず、構成上の相違点としては、実施形態2においては、BP側の停止位置検出センサ407を省略できる。
【0062】
ここで、図6を用いて、実施形態2に係わる用紙切断処理の流れの一例について説明する。
【0063】
記録装置10において、用紙上への画像の記録が終了すると、この処理は開始する。この処理が開始すると、記録装置10は、まず、算出部312において、用紙判定部311により判定された用紙の種類及び用紙幅の値と、カッター機構220の移動速度とに基づいて、用紙の切断に係わる各種情報を取得する(S601)。具体的には、用紙切断時間と、用紙未切断時センサ到達時間と、加速時間とを算出する。すなわち、実施形態2においては、用紙切断時センサ到達時間の算出は行なわない。なお、実施形態2における用紙未切断時センサ到達時間は、カッター機構220が、用紙の切断の完了位置からの移動を開始した時点からHP側の停止位置検出センサ406に到達するまでの時間を示す。
【0064】
次に、記録装置10は、駆動制御部313において、カッターモータ227の駆動を開始させ、カッター機構220をBP側に向けて移動させる。すなわち、カッター機構220による用紙の切断動作を開始させる。また、タイマー219の計時も開始させる(S602)。
【0065】
ここで、記録装置10は、用紙切断時間が経過するまで待機する(S603でNO)。そして、当該時間が経過すると(S603でYES)、記録装置10は、駆動制御部313において、カッター機構220の移動(駆動)を停止させる(S604)。
【0066】
上述したS601〜S604の処理により用紙を切断したカッター機構220は、用紙の切断が完了した位置に停止した状態となる。ここで、記録装置10は、カッター機構220を元の位置に戻すため(HP側に移動させるため)、実施形態1を説明した図5のS508〜S513と同様の処理を実施する(S605〜S610)。これにより、カッター機構220は、HPに停止した状態となり、元のポジションに復帰する。
【0067】
以上説明したように実施形態2によれば、カッター機構220により用紙が切断されると、その切断の完了位置からカッター機構220をHPに戻す。なお、カッター機構220の位置をHPに復帰させる際には、実施形態1同様に、カッター機構220の加速時間が経過した後、当該カッター機構220がHPに到達するまでの間、カッターモータ227の駆動電流の電流値を監視する。
【0068】
これにより、上述した実施形態1と同様の効果が得られるのに加えて、用紙切断処理に要する時間を短縮させられる。また、BP側の停止位置検出センサ407を省略できるため、その分、コストの抑制も図れる。
【0069】
以上が本発明の代表的な実施形態の一例であるが、本発明は、上記及び図面に示す実施形態に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0070】
例えば、上述した説明では、用紙判定部311において、用紙判定用センサ228からの出力値に基づいて用紙の種類や用紙幅の判定を行なっていたが、これに限られない。例えば、用紙判定部311において、ユーザからの手動入力された用紙の種類やサイズ等に基づいて用紙の判定を行なうように構成しても良い。
【0071】
また、上述した記録装置10の代わりに、ファックス装置や、スキャナ部及びプリンタ部等の機能を備えた装置(複写機などと称される)、その構成にファックス部等の機能を加えた装置(複合機などと称される)等に上述した用紙切断装置を適用しても良い。
【0072】
また、上述した説明では、用紙としてロール紙を切断する場合を例に挙げて説明したが、カット紙に対して上述した切断処理を行なうようにしても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙の搬送経路上に設けられ、該用紙の搬送方向と交差する方向に沿った一端をホームポジションとするとともにその他端をバックポジションとして、駆動電流が通電されることにより駆動力を生じるモータの駆動力を受けて前記ホームポジションから前記バックポジションまで移動して前記用紙を切断する用紙切断機構と、
前記バックポジションへの前記用紙切断機構の到達を検出するバックポジション側停止位置検出センサと、
前記用紙の種類と前記用紙の幅とを判定する判定手段と、
予め保持された前記用紙切断機構の移動速度と前記判定手段により判定された用紙の種類及び用紙の幅とを用いて、前記用紙切断機構が前記ホームポジションからの移動を開始した時点から前記用紙を切断するまでの用紙切断時間と、前記用紙切断機構が前記ホームポジションからの移動を開始した時点から前記バックポジション側停止位置検出センサに到達するまでのバックポジション到達時間とを含む情報を算出する算出手段と、
前記モータの駆動電流の電流値を検出する検出手段と、
前記モータへの駆動電流の通電を制御して、前記用紙切断機構による前記ホームポジションと前記バックポジションとの間における移動を制御する駆動制御手段と
を具備し、
前記駆動制御手段は、
前記用紙切断機構により前記用紙を切断する際に、前記ホームポジションから前記用紙切断機構の移動を開始させた後、前記用紙切断時間が経過した時点から前記バックポジション到達時間が経過するまでの間に前記検出手段により検出される前記駆動電流の電流値に所定の変化が生じた場合、前記バックポジションに到達する前に前記用紙切断機構の移動を停止させる
ことを特徴とする用紙切断装置。
【請求項2】
前記ホームポジションへの前記用紙切断機構の到達を検出するホームポジション側停止位置検出センサ
を更に具備し、
前記算出手段は、
予め保持された前記用紙切断機構の移動速度と前記判定手段により判定された用紙の種類及び用紙の幅とを用いて、前記バックポジションから前記ホームポジションに前記用紙切断機構を移動させる際に前記駆動電流を増加させて前記用紙切断機構を加速させる加速時間と、前記用紙切断機構が前記バックポジションからの移動を開始した時点から前記ホームポジション側停止位置検出センサに到達するまでのホームポジション到達時間とを含む情報を算出し、
前記駆動制御手段は、
前記用紙切断機構の位置を前記ホームポジションに復帰させる際に、前記バックポジションから前記用紙切断機構の移動を開始させた後、前記加速時間が経過した時点から前記バックポジション到達時間が経過するまでの間に前記検出手段により検出される前記駆動電流の電流値に所定の変化が生じた場合、前記ホームポジションに到達する前に前記用紙切断機構の移動を停止させる
ことを特徴とする請求項1記載の用紙切断装置。
【請求項3】
用紙の搬送経路上に設けられ、該用紙の搬送方向と交差する方向に沿った一端をホームポジションとするとともにその他端をバックポジションとして、駆動電流が通電されることにより駆動力を生じるモータの駆動力を受けて前記ホームポジションから前記バックポジション側に移動して前記用紙を切断する用紙切断機構と、
前記ホームポジションへの前記用紙切断機構の到達を検出するホームポジション側停止位置検出センサと、
前記用紙の種類と前記用紙の幅とを判定する判定手段と、
予め保持された前記用紙切断機構の移動速度と前記判定手段により判定された用紙の種類及び用紙の幅とを用いて、前記用紙切断機構が前記ホームポジションからの移動を開始した時点から前記用紙を切断するまでの用紙切断時間と、前記バックポジション側から前記ホームポジションに前記用紙切断機構を移動させる際に前記駆動電流を増加させて前記用紙切断機構を加速させる加速時間と、前記用紙切断機構が前記用紙の切断の完了位置からの移動を開始した時点から前記ホームポジション側停止位置検出センサに到達するまでのホームポジション到達時間とを含む情報を算出する算出手段と、
前記モータの駆動電流の電流値を検出する検出手段と、
前記モータへの駆動電流の通電を制御して、前記用紙切断機構による前記ホームポジションと前記バックポジションとの間における移動を制御する駆動制御手段と
を具備し、
前記駆動制御手段は、
前記用紙切断機構により前記用紙を切断する際に、前記ホームポジションから前記用紙切断機構の移動を開始させた後、前記用紙切断時間が経過すると、前記用紙切断機構を当該用紙の切断の完了位置から前記ホームポジション側に移動させ、当該ホームポジション側への移動を開始させた時点から前記加速時間が経過した後、前記ホームポジション到達時間が経過するまでの間に前記検出手段により検出される前記駆動電流の電流値に所定の変化が生じた場合、前記ホームポジションに到達する前に前記用紙切断機構の移動を停止させる
ことを特徴とする用紙切断装置。
【請求項4】
前記駆動制御手段は、
前記駆動電流の電流値が第1の閾値を越えるか、前記駆動電流の電流値の所定時間あたりの増加が第2の閾値を越えるかの少なくともいずれかが生じた場合に、前記用紙切断機構の移動を停止させる
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の用紙切断装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の用紙切断装置を備えたことを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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