説明

用紙搬送装置

【課題】 用紙搬送ローラの着脱作業の容易性と支持の確実性とを、簡略な装置構成によって良好に実現すること。
【解決手段】 用紙搬送装置は、用紙搬送ローラと、着脱可能軸受と、ローラカバーと、を備えている。ローラカバーの開閉に連動して、着脱可能軸受における本体係合フックの用紙搬送装置本体に対する係合状態が容易に変更される。また、ローラカバーが開放された状態における着脱可能軸受の軸方向に沿ったスライド方向が、用紙搬送装置本体内の空間に対する用紙搬送ローラの取り出し方向と略直交する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の記録媒体を搬送するように構成された、用紙搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、給紙ローラが装置本体に対して着脱可能な構成を有するものが知られている(例えば、特開2000−128368号公報、特開2001−26325号公報、特開2009−280397号公報、等参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のような従来の装置においては、ローラの着脱作業の容易性に指向すればローラの支持が不確実となり(例えば特開2000−128368号公報や特開2001−26325号公報等参照)、逆に、ローラの支持の確実性に指向すればローラの着脱作業の容易性が損なわれたり装置構成が複雑化したりする。本発明は、このような課題に対処するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の用紙搬送装置は、シート状の記録媒体を搬送するように構成されている。具体的には、この用紙搬送装置は、用紙搬送ローラと、着脱可能軸受と、ローラカバーと、を備えている。
【0005】
前記用紙搬送ローラは、前記記録媒体の搬送経路に向けて周面を露出するように、当該用紙搬送装置の本体内の空間に収容されつつ回転可能に支持されている。前記着脱可能軸受は、前記本体に対して前記用紙搬送ローラの軸方向に沿ってスライドすることで脱着可能に装着されていて、前記用紙搬送ローラの前記軸方向における端部と係合することで当該用紙搬送ローラを回転可能に支持するように構成されている。前記ローラカバーは、前記用紙搬送ローラが収容される前記空間を前記軸方向と交差する方向に沿って開閉可能に前記本体に装着されていて、前記用紙搬送ローラを着脱する際に前記空間を外部に向けて露出するように開放される一方で閉状態にて前記空間を覆うように設けられている。具体的には、例えば、前記ローラカバーは、前記用紙搬送ローラを挟んで前記搬送経路と反対側に配置されている。
【0006】
本発明の特徴は、
前記着脱可能軸受が、
前記用紙搬送ローラの軸方向における前記端部と係合する、ローラ枢支部と、
前記本体と係合可能に形成された突起部である、本体係合フックと、
外力が印加されて弾性変形することで前記本体係合フックを前記本体と係合する係合位置から前記本体と係合しない係合解除位置に向けて前記軸方向と交差する方向に沿って揺動させるように当該本体係合フックを端部にて一体的に支持するとともに、当該本体係合フックと前記ローラ枢支部とを一体的に接続するように形成された、揺動支持部と、
を備え、
前記ローラカバーが、
前記閉状態から前記空間を開放するように操作された際に前記着脱可能軸受と当接することで、当該揺動支持部に前記外力を印加するように設けられた、開放作用突起を有する
ことにある。
【0007】
前記ローラカバーは、
前記閉状態にて、前記本体係合フックの前記係合解除位置への揺動を抑制するように、前記係合位置における前記本体係合フックと隣接して設けられた、開放禁止突起
をさらに有していてもよい。
【0008】
また、前記用紙搬送装置は、以下のように構成されていてもよい。
前記揺動支持部は、前記軸方向に沿って前記用紙搬送ローラから離隔する方向に前記本体係合フックから延出するように設けられている。
前記本体係合フックは、
前記係合状態にて前記本体と係合するように前記揺動支持部の延出方向側に設けられた端面であって、前記揺動支持部との接続部から立設された、係合面と、
前記係合面における立設方向側の端部から、前記揺動支持部の前記延出方向とは反対側且つ前記立設方向とは反対方向に延出するように設けられた、前記軸方向に対して傾斜する面である、当接面と、
を有している。
前記当接面は、前記開放作用突起と当接することで、前記着脱可能軸受を前記軸方向における前記用紙搬送ローラから離隔する方向に付勢するように形成されている。
【0009】
前記開放作用突起は、前記軸方向に対して傾斜する面であって前記当接面に沿って設けられたフック付勢面を有していてもよい。
【0010】
前記ローラカバーは、前記開放作用突起の近傍にて前記軸方向と平行に設けられた揺動中心軸を中心として揺動することで開閉されるように、前記本体によって支持されていてもよい。
【0011】
前記用紙搬送装置は、
前記用紙搬送ローラと平行に設けられた、第二用紙搬送ローラと、
前記用紙搬送ローラの前記着脱可能軸受によって支持されている側とは反対側の端部を回転可能に支持するとともに、前記第二用紙搬送ローラの前記軸方向における両端部を回転可能に支持する、ローラユニットケースと、
をさらに備えていて、
前記用紙搬送ローラと前記第二用紙搬送ローラと前記ローラユニットケースとを備えたローラユニットが、前記本体に対して着脱可能に構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
かかる構成を有する本発明の用紙搬送装置において、前記用紙搬送ローラを前記本体から脱着する際には、まず、前記ローラカバーが開放される。このとき、前記ローラカバーに設けられた前記開放作用突起が、前記着脱可能軸受(具体的には例えば前記本体係合フック)と当接することで、前記揺動支持部が弾性変形して、前記着脱可能軸受における前記本体係合フックが前記係合位置から前記係合解除位置に揺動(移動)する。これにより、前記着脱可能軸受を前記軸方向に沿ってスライドすることで前記着脱可能軸受における前記ローラ枢支部と前記用紙搬送ローラの前記軸方向における前記端部との係合状態を解除して、前記着脱可能軸受を前記本体から脱着する動作が、きわめて容易に行われる。その後、前記用紙搬送ローラは、前記本体内の前記空間から、前記軸方向と略直交する方向に沿って取り出される。
【0013】
一方、前記用紙搬送ローラを前記本体に装着する(当該本体内の前記空間に収容しつつ回転可能に支持する)際には、前記用紙搬送ローラが前記空間内に収容された状態で、前記着脱可能軸受における前記ローラ枢支部が前記用紙搬送ローラの前記軸方向における前記端部と係合するように、前記着脱可能軸受が前記軸方向に沿ってスライドされる。これにより、前記用紙搬送ローラが、前記着脱可能軸受を介して前記本体に回転可能に支持される。そして、前記ローラカバーが閉鎖されることで、前記着脱可能軸受における前記本体係合フックが前記係合解除位置から前記係合位置に揺動(移動)する。これにより、前記着脱可能軸受が、前記本体に確実に係止される。
【0014】
上述のように、本発明の用紙搬送装置においては、前記ローラカバーの開閉に連動して、前記着脱可能軸受における前記本体係合フックの前記本体に対する係合状態が容易に変更される。また、前記ローラカバーが開放された状態における前記着脱可能軸受の前記軸方向に沿ったスライド方向が、前記本体内の前記空間に対する前記用紙搬送ローラの取り出し方向と略直交する。したがって、本発明によれば、前記用紙搬送ローラの着脱作業の容易性と、前記用紙搬送ローラの支持の確実性とが、簡略な装置構成によって良好に実現される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態の適用対象であるレーザープリンタの概略構成を示す側断面図である。
【図2】図1に示されている補助給紙部の平面図である。
【図3】図1に示されている補助給紙部の平面図である。
【図4】図2及び図3に示されている開閉カバーの拡大図である。
【図5】図2及び図3に示されている着脱可能軸受の拡大図である。
【図6】図2及び図3における、着脱可能軸受の周辺を拡大した平面図である。
【図7】図3に示されている補助給紙部の側断面図である。
【図8】図2に示されている補助給紙部の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<レーザープリンタの構成>
図1は、本発明の一実施形態の適用対象であるレーザープリンタ1の概略構成を示す側断面図である。このレーザープリンタ1は、シート状の記録媒体である用紙を用紙搬送経路PP(後述する補助搬送経路PPAを含む)に沿って搬送しつつ、当該用紙上に乾式現像剤であるトナーによる像(以下、「トナー像」と称する。)を形成するように構成されている。
【0017】
以下、本実施形態のレーザープリンタ1の全体構成の概略について、図1を用いて説明する。なお、「上」、「下」、「前」、「後」、「用紙幅方向」の語句の意義は、図1にそれぞれ示されている。すなわち、「用紙幅方向」とは、用紙搬送経路PPと常に直交する方向をいう。また、図1に示されているような側断面視にて用紙搬送経路PP上の任意の位置における接線方向であって、用紙が搬送される方向と同一の方向を、「用紙搬送方向」と称する。
【0018】
レーザープリンタ1は、本体部2と、この本体部2に対して着脱自在なシートカセット3と、を備えている。また、本体部2内には、画像形成ユニット5と、スキャナユニット6と、定着ユニット7と、用紙搬送部8と、補助給紙部9と、が設けられている。
【0019】
<<本体部>>
本体部2は、本体フレーム20を備えている。本体フレーム20は、本体部2内に備えられた各部を支持するように形成された、金属板又は合成樹脂からなるフレームであって、電気的に接地されている。本体部2の外側カバー(筐体)を構成する本体ケーシング21は、合成樹脂製の板材によって形成された箱状の部材であって、本体フレーム20を覆うように設けられている。
【0020】
本体ケーシング21の前側パネルを構成するフロントカバー21aは、その下端部のフロントカバー回動軸21a1を中心として回動することで開閉可能に支持されている。フロントカバー21aの内側には、補助用紙トレイ21a2が設けられている。補助用紙トレイ21a2は、フロントカバー21aを開放して後述する補助給紙部9によって補助搬送経路PPAに沿って給紙する際に、用紙を載置可能に構成されている。
【0021】
本体ケーシング21の上面パネルを構成するトップカバー21bには、排紙トレイ21b1と、排紙口21b2と、が形成されている。排紙トレイ21b1は、本体ケーシング21の前側から後側に向かって斜め下方に向かうように形成された斜面SLを有する凹部によって構成されている。排紙トレイ21b1の下端部から上方に延びるように立設された、本体ケーシング21の壁面には、開口部からなる排紙口21b2が形成されている。すなわち、排紙トレイ21b1は、排紙口21b2から排出された用紙を受け止めるように形成されている。
【0022】
<<シートカセット>>
シートカセット3は、本体部2の下方に設けられていて、本体部2に対して着脱自在に構成されている。すなわち、シートカセット3は、前方に引き出すことで本体部2から脱着されるとともに(図中矢印参照)、後方に押し込まれることで本体部2に装着されるように構成されている。このシートカセット3は、本体部2内に供給するためのシート状の用紙を、積層状態にて保持し得るように構成されている。
【0023】
シートカセット3は、カセットケース31と、用紙押圧板32と、用紙押圧バネ33と、分離パッド34と、分離パッドホルダー35と、分離パッド付勢バネ36と、コロ37と、を備えている。
【0024】
カセットケース31は、シートカセット3のケーシングを構成する箱状部材であって、本体ケーシング21と同じ材質の、合成樹脂製の板材から構成されている。本実施形態においては、シートカセット3は、内側にレターサイズ(215.9mm×279.4mm)及びA4サイズ(210mm×297mm)のシート状の用紙を積層状態にて多数枚収容し得るように構成されている。
【0025】
用紙押圧板32は、カセットケース31内に配置されている。この用紙押圧板32は、後側の端部を中心に揺動可能に支持されている。用紙押圧板32の自由端部である前側の端部は、用紙押圧バネ33によって上方に付勢されている。
【0026】
分離パッド34は、用紙押圧板32の前側の端部よりも前側(用紙搬送方向における下流側)に設けられている。この分離パッド34は、用紙との摩擦係数が用紙同士の摩擦係数よりも高くなるような材質(例えばゴム等)からなり、分離パッドホルダー35の上面に支持されている。分離パッドホルダー35は、分離パッド付勢バネ36によって、上方に向けて付勢されている。分離パッド34よりもさらに前側には、コロ37が回転自在に支持されている。
【0027】
<<画像形成ユニット>>
画像形成ユニット5は、本体フレーム20に着脱自在に支持されている。この画像形成ユニット5は、所定の転写位置TPにて用紙上にトナー像を形成するように構成されている。
【0028】
画像形成ユニット5のケーシング及びフレームを構成する現像部ケース51は、合成樹脂製の板材からなる。この現像部ケース51の前側には、トナー収容部51aが形成されている。このトナー収容部51aは、現像剤としての非磁性1成分トナーを収容する空間である。現像部ケース51の後側の上部には、スリット状の開口部であるレーザー照射開口51bが設けられている。また、現像部ケース51の後側の下部には、用紙入口開口51c及び用紙出口開口51dが設けられている。これらの開口部についての詳細は後述する。
【0029】
トナー収容部51aの内側には、羽根車状のアジテータ52が配置されている。アジテータ52は、現像部ケース51によって回転可能に支持されている。このアジテータ52は、回転駆動されることで、トナー収容部51a内に収容されているトナーを撹拌するように構成されている。また、このアジテータ52は、回転駆動されることで、供給ローラ53に向けてトナーを少量ずつ送出し得るように構成されている。
【0030】
現像部ケース51の内側であって、トナー収容部51aよりも後側には、供給ローラ53が配置されている。供給ローラ53は、金属製の回転中心軸の外周部にスポンジ層を形成することにより構成されている。この供給ローラ53は、現像部ケース51によって回転可能に支持されている。そして、供給ローラ53は、画像形成時において、図示しない回転駆動力伝達機構を介して、図中矢印で示されている方向(反時計回り)に回転駆動されるようになっている。
【0031】
現像部ケース51の内側であって、供給ローラ53よりも後側には、現像ローラ54が配置されている。現像ローラ54は、金属製の回転中心軸の外周部に、半導電性ゴム層を形成することにより構成されている。この半導電性ゴム層は、カーボンブラックを合成ゴムに混入し均一に分散させることによって形成されている。
【0032】
現像ローラ54は、供給ローラ53と平行に配置されている。また、現像ローラ54と供給ローラ53とが互いに押圧することで、当該供給ローラ53が弾性的に圧縮されるように、現像ローラ54と供給ローラ53との軸間距離が設定されている。また、この現像ローラ54は、現像部ケース51によって回転可能に支持されている。すなわち、この現像ローラ54は、画像形成時において、図示しない回転駆動力伝達機構を介して、図中矢印で示されている方向(反時計回り:供給ローラ53と同じ方向)に回転駆動されることで、周面上に帯電したトナーが担持されるようになっている。
【0033】
現像部ケース51の内側であって、現像ローラ54よりも後側には、感光体ドラム55が設けられている。感光体ドラム55は、その外周部に光導電性物質からなる感光体層が形成された、円筒形状の部材である。感光体ドラム55は、現像ローラ54と平行に配置されている。また、感光体ドラム55の周面と現像ローラ54の周面とが、当該現像ローラ54の周面に担持されたトナーの薄層を介して互いに接触するように、感光体ドラム55と現像ローラ54との軸間距離が設定されている。
【0034】
感光体ドラム55の上方には、帯電器56が配置されている。帯電器56は、現像部ケース51によって支持されている。この帯電器56は、周知のスコロトロン型帯電器からなり、感光体ドラム55の周面を一様に帯電させるように構成されている。また、現像部ケース51の上部であって、帯電器56と現像ローラ54との間の位置に設けられた、レーザー照射開口51bは、帯電器56によって一様に帯電された感光体ドラム55の周面に対して照射される、画像情報に応じて変調されたレーザービームが通過可能に形成されている。
【0035】
現像部ケース51の内側であって、感光体ドラム55の下方には、転写ローラ57が配置されている。転写ローラ57は、用紙搬送経路PPを挟んで感光体ドラム55の周面と対向するように、当該感光体ドラム55と平行に配置されている。転写ローラ57は、現像部ケース51によって、回転可能に支持されている。転写ローラ57は、金属製の回転中心軸の外周部に、半導電性ゴム層を形成することにより構成されている。この回転中心軸には、図示しない高圧電源の高圧側出力端子が接続されている。
【0036】
すなわち、転写ローラ57は、画像形成時に感光体ドラム55の図中矢印で示されている方向(時計回り)の回転と同期して、当該感光体ドラム55と連れ回るように、図中矢印で示されている方向(反時計回り)に回転駆動されるようになっている。そして、当該転写ローラ57は、上述のように回転駆動されつつ、当該感光体ドラム55との間に所定の電圧が印加されることで、感光体ドラム55の周面上に担持されたトナーを、転写位置TPにて用紙に転写させるように構成されている。
【0037】
転写ローラ57と感光体ドラム55とが対向する位置である上述の転写位置TPよりも、用紙搬送方向における上流側には、用紙入口開口51cが形成されている。また、転写位置TPよりも、用紙搬送方向における下流側には、用紙出口開口51dが形成されている。すなわち、画像形成ユニット5に向けて供給されてきた用紙が、用紙入口開口51cを通って当該画像形成ユニット5内に進入し、転写位置TPを通過した後に、用紙出口開口51dを通って当該画像形成ユニット5内から出るように、用紙入口開口51c及び用紙出口開口51dが設けられている。
【0038】
すなわち、画像形成ユニット5は、上述のレーザービームが帯電器56によって一様に帯電された感光体ドラム55の周面に照射されることで形成された静電潜像を、現像ローラ54に担持されたトナーによって現像することで感光体ドラム55の周面上にトナー像を形成し、このトナー像を転写位置TPにて用紙に転写することで用紙上にトナーによる画像を形成するように構成されている。
【0039】
現像部ケース51の底部における外側であって、用紙入口開口51cよりも用紙搬送方向における上流側には、対向ローラ58が設けられている。この対向ローラ58は、用紙搬送経路PPに上側から対向するように配置されていて、現像部ケース51によって回転自在に支持されている。
【0040】
<<スキャナユニット>>
スキャナユニット6は、画像形成ユニット5の上方に配置されている。このスキャナユニット6は、画像形成ユニット5におけるトナー像の形成に供される上述のレーザービームを発生するとともに、これを用紙幅方向に沿って走査しつつ、画像形成ユニット5に備えられた感光体ドラム55の周面に向けて照射するように構成されている。
【0041】
<<定着ユニット>>
定着ユニット7は、転写位置TPよりも用紙搬送方向における下流側に配置されていて、画像形成ユニット5によって用紙上に形成されたトナー像を用紙上に定着させるように構成されている。この加熱ローラ71と、ヒータ72と、加圧ローラ73と、を備えている。
【0042】
加熱ローラ71は、表面が離型処理された金属製の薄肉中空円筒状の部材であって、用紙幅方向と平行に配置されている。加熱ローラ71の内側には、ヒータ72が収容されている。加圧ローラ73は、シリコンゴム製のローラであって、加熱ローラ71と平行に配置されている。この加圧ローラ73は、加熱ローラ71に対して、バネ等によって、所定の圧力で押圧されている。
【0043】
この定着ユニット7は、図中矢印で示されている方向に回転する加熱ローラ71と加圧ローラ73との間で用紙を挟持することで、用紙における図中上側の表面上に付着したトナー像を当該表面上に定着させつつ、当該用紙を用紙搬送方向に送出するように構成されている。
【0044】
<<用紙搬送部>>
用紙搬送部8は、シートカセット3内にて積層状態で載置された用紙を、1枚ずつ、用紙搬送経路PPに沿って搬送するように構成されている。具体的には、用紙搬送部8は、ピックアップローラ81と、分離ローラ82と、用紙供給ローラ83と、レジストローラ84と、定着後用紙送出ローラ85と、排紙駆動ローラ86と、排紙従動ローラ87と、を備えている。ピックアップローラ81、分離ローラ82、用紙供給ローラ83、レジストローラ84、定着後用紙送出ローラ85、及び排紙駆動ローラ86は、図示しない回転駆動力伝達機構を介して回転駆動されるように構成されている。
【0045】
本体部2の前側における底部には、用紙押圧板32における自由端部と対向するように、ゴムローラからなるピックアップローラ81が設けられている。ピックアップローラ81は、シートカセット3内にて積層状態で載置された用紙のうちの最上部のものを、分離パッド34に向けて用紙搬送方向(この場合は前側)に送出するように構成されている。
【0046】
ピックアップローラ81と用紙搬送方向に隣接するように、ゴムローラからなる分離ローラ82が、シートカセット3に設けられた分離パッド34と対向するように設けられている。この分離ローラ82は、分離パッド34と協働することで、最上位の用紙のみを分離して用紙供給ローラ83に向けて搬送するように構成されている。
【0047】
分離ローラ82による用紙の送出先には、ゴムローラからなる用紙供給ローラ83が、コロ37と対向するように設けられている。この用紙供給ローラ83は、分離ローラ82及び分離パッド34によって分離された用紙を、コロ37と協働することで、レジスト位置(画像形成ユニット5の下部に設けられた対向ローラ58とレジストローラ84とが対向する位置)に向けて搬送するように構成されている。
【0048】
対向ローラ58の真下には、ゴムローラからなるレジストローラ84が設けられている。本発明の「用紙給送ローラ」を構成するレジストローラ84は、転写位置TPよりも用紙搬送方向における上流側に配置されていて、用紙を転写位置TPに搬送するように、本体フレーム20によって回転可能に支持されている。このレジストローラ84は、回転駆動されることで、当該レジストローラ84と連れ回る回転自在な対向ローラ58と協働して、用紙搬送方向における用紙の先端の傾きを修正するとともに、当該用紙の先端が転写位置TPを通過するタイミングを調整するように構成されている。
【0049】
定着ユニット7における加熱ローラ71及び加圧ローラ73による用紙の送出先には、定着後用紙送出ローラ85が設けられている。この定着後用紙送出ローラ85は、定着ユニット7を経てトナー像が定着された用紙を、排紙口21b2に向けて送出するように構成されている。
【0050】
排紙口21b2には、排紙駆動ローラ86及び排紙従動ローラ87が設けられている。排紙駆動ローラ86は、本体フレーム20に回転可能に支持されている。排紙従動ローラ87は、排紙駆動ローラ86の上方に配置されていて、排紙駆動ローラ86の回転駆動に連れ回るように、トップカバー21bによって回転自在に支持されている。
【0051】
<<補助給紙部の全体構成>>
本発明の用紙搬送装置に相当する補助給紙部9は、いわゆる「手差し給紙部」であって、フロントカバー21aが開放された状態において補助用紙トレイ21a2上に載置された用紙を、レジストローラ84と対向ローラ58とが対向するレジスト位置に向けて、補助搬送経路PPAに沿って給送(搬送)するように構成されている。この補助給紙部9は、補助給紙部トレイ91と、補助給紙部カバー92と、補助用紙搬送ローラユニット93と、を備えている。
【0052】
補助給紙部トレイ91は、その上面にて用紙(搬送直前の用紙先端、あるいは搬送中の用紙)を支持し得るように、補助搬送経路PPAに沿って設けられている。補助給紙部カバー92は、補助給紙部トレイ91及び補助用紙搬送ローラユニット93の上方に設けられた板状部材であって、補助用紙搬送ローラユニット93を挟んで補助給紙部トレイ91と対向配置されている。すなわち、本発明における「用紙搬送装置の本体」に相当する、補助給紙部トレイ91及び補助給紙部カバー92は、その内部の空間に補助用紙搬送ローラユニット93を収容するように構成されている。また、後述するように、補助用紙搬送ローラユニット93は、補助給紙部トレイ91や補助給紙部カバー92からなる補助給紙部9の本体(以下、単に「補助給紙部本体」と称する。)に対して脱着自在に装着されている。
【0053】
補助用紙搬送ローラユニット93は、第一用紙搬送ローラ94と、第二用紙搬送ローラ95と、ローラユニットケース96と、を備えている。第一用紙搬送ローラ94及び第二用紙搬送ローラ95は、用紙幅方向と平行に設けられたローラ状部材であって、周面における下側の部分が下方の補助搬送経路PPAに向けて露出するように設けられている。第一用紙搬送ローラ94は、図示しない分離パッドと対向配置されており、用紙を一枚ずつ分離するためのローラである。
【0054】
第一用紙搬送ローラ94は、第二用紙搬送ローラ95よりも用紙搬送方向における下流側に配置されている。すなわち、第二用紙搬送ローラ95は、補助搬送経路PPAにおける上流側の端部と対向するように設けられている。そして、第一用紙搬送ローラ94は、第二用紙搬送ローラ95によって起動(搬送開始)された用紙先端を、上述のレジスト位置に向けて搬送するように設けられている。ローラユニットケース96は、第二用紙搬送ローラ95の軸方向(用紙幅方向)における両端部を回転可能に支持するとともに、第一用紙搬送ローラ94の軸方向(用紙幅方向)における一端部(後述する着脱可能軸受98によって回転可能に支持されている側とは反対側の端部)を回転可能に支持するように形成されている。
【0055】
図2及び図3は、図1に示されている補助給紙部9の平面図である。図2及び図3を参照すると、補助給紙部9には、開閉カバー97と、着脱可能軸受98と、が備えられている。開閉カバー97は、補助用紙搬送ローラユニット93の上方(すなわち補助用紙搬送ローラユニット93を挟んで補助搬送経路PPAと反対側)に配置されている。着脱可能軸受98は、第一用紙搬送ローラ94の他端部(前記一端部とは反対側の端部)と係合することで第一用紙搬送ローラ94を回転可能に支持するとともに、補助用紙搬送ローラユニット93を上述の補助給紙部本体に対して係止するように構成されている。
【0056】
本発明の「ローラカバー」に相当する開閉カバー97は、補助給紙部カバー92に設けられた開口部921(補助用紙搬送ローラユニット93を上述の補助給紙部本体に対して着脱するための空間を構成する)を開閉可能に、補助給紙部カバー92に装着されている。すなわち、開閉カバー97は、補助用紙搬送ローラユニット93を上述の補助給紙部本体に対して着脱する際に開口部921を外部に向けて露出するように開放される一方で閉状態にて開口部921を覆うように設けられている。具体的には、開閉カバー97は、その用紙搬送方向における下流側の端部(第一用紙搬送ローラ94側の端部)を中心として、用紙幅方向と直交する方向に沿って揺動(回動)することで、開口部921を上方から開閉するように、補助給紙部カバー92によって支持されている。
【0057】
補助給紙部カバー92における第一用紙搬送ローラ94の側方には、軸受着脱凹部922が、上方に向けて開口するように設けられている。軸受着脱凹部922は、着脱可能軸受98を用紙幅方向に沿ってスライドさせることで補助給紙部カバー92及び補助用紙搬送ローラユニット93に対して着脱するために形成された凹部である。すなわち、この軸受着脱凹部922は、着脱可能軸受98を補助給紙部カバー92及び補助用紙搬送ローラユニット93に対して着脱する際に、着脱可能軸受98を用紙幅方向に沿ってスライド可能に収容するように形成されている。
【0058】
開口部921と軸受着脱凹部922との間には、軸受収容部923が設けられている。軸受収容部923は、中心軸線が用紙幅方向と平行となるように配置された中空円筒状の部材である。この軸受収容部923は、補助用紙搬送ローラユニット93が上述の補助給紙部本体に装着された状態における第一用紙搬送ローラ94の中心軸線と同軸となるように設けられている。軸受収容部923の上側であって、用紙幅方向における外側(レーザープリンタ1の中央断面から離隔する側、具体的には、補助用紙搬送ローラユニット93から離隔する側)の端部には、用紙幅方向に沿って、スリット状のリブ係止溝923aが形成されている。
【0059】
軸受着脱凹部922の用紙搬送方向における下流側の端部(図2及び図3における上側の端部)から、軸受収容部923に向かって延出するように、リブ様の板状部材であるフック係止部924が設けられている。すなわち、フック係止部924は、所定間隔のギャップを挟んで軸受収容部923と対向配置されている。
【0060】
<<補助給紙部の要部構成>>
図4は、図2及び図3に示されている開閉カバー97の拡大図である。図4中、(i)は平面図であり、(ii)は斜視図である。図4を参照すると、開閉カバー97は、カバー本体971と、揺動中心軸972と、突起支持部973と、開放禁止突起974と、開放作用突起975と、を備えている。
【0061】
開閉カバー97の主要部をなす板状部材であるカバー本体971の一端部(用紙搬送方向における下流側の端部)には、一対の揺動中心軸972が設けられている。揺動中心軸972は、上述のように、補助給紙部カバー92によって、用紙幅方向と直交する方向に沿って揺動(回動)可能に支持されている。
【0062】
一対の揺動中心軸972における一方と近接する位置には、突起支持部973が、カバー本体971から側方(用紙幅方向)に延出するように設けられている。突起支持部973には、開放禁止突起974と、開放作用突起975と、が形成されている。すなわち、開閉カバー97は、開放禁止突起974及び開放作用突起975の近傍にて揺動中心軸972を中心として揺動することで開閉されるように、補助給紙部本体(補助給紙部カバー92:図2及び図3参照)によって支持されている。
【0063】
開放禁止突起974は、突起支持部973から下方に延出するように設けられている。開放作用突起975は、開放禁止突起974よりも用紙搬送方向における下流側に設けられている。開放作用突起975の用紙幅方向における外側の端面であるフック付勢面975aは、開閉カバー97の閉状態(図3参照)にて下方に向かうにつれて用紙幅方向について内側(レーザープリンタ1の中央断面に対して近接する側、具体的には、補助用紙搬送ローラユニット93に対して近接する側)に入り込むように、用紙幅方向に対して傾斜する傾斜面として形成されている。
【0064】
後述するように、開放禁止突起974は、開閉カバー97の閉状態(図3参照)にて、上述の補助給紙部本体及び補助用紙搬送ローラユニット93に着脱可能軸受98が装着された(係合した)状態を保持するように設けられている。一方、開放作用突起975は、開閉カバー97が上述の閉状態から開状態(図2参照)に操作されることで、着脱可能軸受98の、上述の補助給紙部本体及び補助用紙搬送ローラユニット93に対する係合の解除を促進するように設けられている。
【0065】
図5は、図2及び図3に示されている着脱可能軸受98の拡大図である。図5中、(i)は斜視図であり、(ii)は平面図である。図6は、図2及び図3における、着脱可能軸受98の周辺を拡大した平面図である。図6中、(i)は図3に対応する図(開閉カバー97の閉状態)であり、(ii)は図2に対応する図(開閉カバー97の開状態)である。
【0066】
図5及び図6を参照すると、着脱可能軸受98は、軸受本体部981と、ローラ枢支部982と、ツマミ部983と、係合リブ(係合片)984と、揺動支持部985と、本体係合フック986と、を備えている。本実施形態においては、着脱可能軸受98は、合成樹脂によって一体に形成されている。
【0067】
軸受本体部981は、円柱状の部材であって、着脱可能軸受98が補助給紙部本体(補助給紙部カバー92)に装着される際に軸受収容部923の内側の空間内に収容されるように設けられている。具体的には、軸受本体部981は、その円柱面状の外周面と、軸受収容部923の内側の円筒面状の内周面と、の関係が、所定の嵌め合い交差の関係となるように形成されている。
【0068】
軸受本体部981の軸方向における一端側には、ローラ枢支部982が、第一用紙搬送ローラ94の軸方向における上述の他端部と係合するように設けられている。軸受本体部981の軸方向における他端側には、平板状の部材であるツマミ部983が、当該軸方向と直交するように設けられている。
【0069】
ツマミ部983からローラ枢支部982に向かって延出する板状部材である係合リブ984は、ツマミ部983及び軸受本体部981と直交するように設けられている。この係合リブ984は、着脱可能軸受98が補助給紙部本体に装着される際に、スリット状のリブ係止溝923aに収容される(当該リブ係止溝923aと係合する)ように形成されている。
【0070】
揺動支持部985は、ツマミ部983と連続するように設けられた弾性変形可能な板状部材であって、平面視にて略U字状に形成されている。揺動支持部985の略U字形状における一方の端部は、ツマミ部983から、係合リブ984の延出方向とは反対方向に延出するように設けられている。揺動支持部985の略U字形状における他方の端部には、本体係合フック986が設けられている。
【0071】
すなわち、揺動支持部985の略U字形状における当該他方の端部は、本体係合フック986における第一用紙搬送ローラ94から離隔する側の端面である係合面986aから、用紙幅方向における外側に向かって(第一用紙搬送ローラ94から離隔する方向に)延出するように設けられている。そして、揺動支持部985は、本体係合フック986を用紙幅方向と交差(略直交)する方向に揺動可能に支持するとともに、本体係合フック986とローラ枢支部982とを一体的に接続するように形成されている。
【0072】
本体係合フック986は、フック係止部924の延出方向における先端と軸受収容部923との間に設けられた上述の所定間隔のギャップを通って挿入されることで補助給紙部本体(補助給紙部カバー92)と係合するように形成された突起部である。本体係合フック986における上述の係合面986aは、揺動支持部985と本体係合フック986との接続部から、用紙搬送方向における下流側に向かって立設されている。
【0073】
本体係合フック986の係合面986aとは反対側の端面である当接面986bは、用紙幅方向に対して傾斜する面であって、係合面986aにおける立設方向側の端部(用紙搬送方向における下流側の端部)から、揺動支持部985の本体係合フック986からの延出方向とは反対側且つ上述の立設方向とは反対方向に延出するように設けられている。具体的には、当接面986bは、開閉カバー97の開状態において、フック付勢面975aと当接し得るように当該フック付勢面975aに沿って設けられている。
【0074】
すなわち、本体係合フック986は、開閉カバー97が閉状態から開状態に操作された際に、開閉カバー97に設けられた開放作用突起975におけるフック付勢面975aと当接して、開放作用突起975から外力を受けることで、フック係止部924と係合する係合位置(図6における(i)参照)からフック係止部924と係合しない係合解除位置(図6における(ii)参照)に向けて、揺動支持部985の弾性変形を伴いつつ揺動するようになっている。また、本体係合フック986は、開閉カバー97が閉状態から開状態に操作された際に、フック付勢面975aと当接面986bとの当接により、第一用紙搬送ローラ94から離隔する方向に付勢されるようになっている。
【0075】
<実施形態の構成による作用・効果>
図7は、図3に示されている補助給紙部9の側断面図である。図7における(i)は、図3におけるD−D断面図であり、(ii)は(i)の要部(円で囲まれた部分)を拡大した図である。図8は、図2に示されている補助給紙部9の側断面図である。図8における(i)は、図2におけるC−C断面図であり、(ii)は(i)の要部(円で囲まれた部分)を拡大した図である。以下、本実施形態の構成による作用・効果について、各図面を参照しつつ説明する。
【0076】
補助用紙搬送ローラユニット93を補助給紙部本体(補助給紙部カバー92)に装着する際には、補助用紙搬送ローラユニット93が開口部921内に収容された状態で、着脱可能軸受98におけるローラ枢支部982が第一用紙搬送ローラ94の軸方向における上述の他端部と係合するように、着脱可能軸受98が軸方向に沿ってスライドされる。これにより、第一用紙搬送ローラ94が、着脱可能軸受98を介して補助給紙部本体に回転可能に支持される。そして、開閉カバー97が閉鎖されることで、着脱可能軸受98における本体係合フック986が、上述の係合解除位置から係合位置に揺動(移動)する。
【0077】
開閉カバー97の閉状態(図3、図6(i)、及び図7参照)にて、着脱可能軸受98が補助給紙部本体(補助給紙部カバー92)及び補助用紙搬送ローラユニット93に装着されている場合においては、着脱可能軸受98の本体係合フック986における当接面986bは、開閉カバー97の開放作用突起975におけるフック付勢面975aから離隔している。すなわち、この場合、着脱可能軸受98の本体係合フック986における当接面986bは、開閉カバー97の開放作用突起975におけるフック付勢面975aとは当接していない。
【0078】
また、この場合、着脱可能軸受98の本体係合フック986における係合面986aが、補助給紙部本体におけるフック係止部924と当接した状態で、本体係合フック986が補助給紙部カバー92と係合する。さらに、開放禁止突起974が、本体係合フック986の係合解除位置への揺動を抑制するように、係合位置における本体係合フック986と隣接して設けられる。したがって、着脱可能軸受98が、補助給紙部本体に確実に係止される。
【0079】
補助用紙搬送ローラユニット93を補助給紙部本体から脱着する際には、まず、開閉カバー97が開放される。このとき、開閉カバー97に設けられた開放禁止突起974が、着脱可能軸受98における本体係合フック986と当接する。すると、開放禁止突起974によって、本体係合フック986を介して揺動支持部985に外力が印加される。これにより、揺動支持部985の弾性変形を伴いつつ、本体係合フック986が係合位置から係合解除位置に揺動(移動)する。
【0080】
さらに、開閉カバー97の開放作用突起975におけるフック付勢面975aが、用紙幅方向における外側に向かって露出する傾斜面となっている。このため、当該傾斜面と着脱可能軸受98の本体係合フック986における当接面986bとの当接により、本体係合フック986は、第一用紙搬送ローラ94から離隔する方向に付勢される。これにより、着脱可能軸受98全体が、第一用紙搬送ローラ94から離隔する方向(補助給紙部本体及び補助用紙搬送ローラユニット93から脱着される方向)に押し出される。
【0081】
したがって、本実施形態においては、着脱可能軸受98を用紙幅方向における外側に向かってスライドすることで着脱可能軸受98におけるローラ枢支部982と第一用紙搬送ローラ94との係合状態を解除して、着脱可能軸受98を補助給紙部本体から脱着する動作が、きわめて容易に行われる。その後、補助用紙搬送ローラユニット93は、補助給紙部本体内の空間である開口部921から、用紙幅方向と略直交する方向に沿って取り出される。
【0082】
上述のように、本実施形態の構成においては、開閉カバー97の開閉に連動して、着脱可能軸受98における本体係合フック986の補助給紙部本体に対する係合状態が容易に変更される。また、開閉カバー97が開放された状態における着脱可能軸受98の用紙幅方向に沿ったスライド方向が、開口部921に対する補助用紙搬送ローラユニット93の取り出し方向と略直交する。したがって、本実施形態によれば、補助用紙搬送ローラユニット93の着脱作業の容易性と、補助用紙搬送ローラユニット93の支持の確実性とが、簡略な装置構成によって良好に実現される。
【0083】
<変形例の例示列挙>
なお、上述の実施形態は、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態を、単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではない。したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の実施形態に対して種々の変形が施され得ることは、当然である。
【0084】
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されている構成要素と同様の構成及び機能を有するものに対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部材の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が援用され得るものとする。もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたもの限定されるものではない。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0085】
本発明の適用対象は、レーザープリンタに限定されない。すなわち、本発明は、インクジェットプリンタ等の任意の画像形成装置(画像記録装置・印字装置)に対して、良好に適用可能である。また、本発明の適用対象は、画像形成装置における給紙部に限定されない。すなわち、本発明は、画像形成装置における用紙搬送経路の任意の位置(排紙部を含む)に対して、良好に適用可能である。
【0086】
本発明の「軸方向」は、「用紙幅方向」に限定されない。すなわち、例えば、第一用紙搬送ローラ94及び/又は第二用紙搬送ローラ95は、用紙幅方向と交差する軸方向を有するように配置されていてもよい。
【0087】
着脱可能軸受98は、第一用紙搬送ローラ94に代えて、あるいはこれとともに、第二用紙搬送ローラ95に対して適用され得る。あるいは、第二用紙搬送ローラ95は、省略され得る。
【0088】
その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。さらに、本明細書にて引用した他の出願や公報の内容(明細書及び図面を含む)は、本明細書の一部を構成するものとして、必要に応じて且つ技術的に矛盾しない範囲内において援用され得る。
【符号の説明】
【0089】
9 補助給紙部
91 補助給紙部トレイ
92 補助給紙部カバー
93 補助用紙搬送ローラユニット
94 第一用紙搬送ローラ
95 第二用紙搬送ローラ
96 ローラユニットケース
97 開閉カバー
98 着脱可能軸受
921 開口部
922 軸受着脱凹部
923 軸受収容部
923a リブ係止溝
924 フック係止部
971 カバー本体
972 揺動中心軸
973 突起支持部
974 開放禁止突起
975 開放作用突起
975a フック付勢面
981 軸受本体部
982 ローラ枢支部
983 ツマミ部
984 係合リブ
985 揺動支持部
986 本体係合フック
986a 係合面
986b 当接面
PP 用紙搬送経路
PPA 補助搬送経路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0090】
【特許文献1】特開2000−128368号公報
【特許文献2】特開2001−26325号公報
【特許文献3】特開2009−280397号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の記録媒体を搬送するように構成された、用紙搬送装置において、
前記記録媒体の搬送経路に向けて周面を露出するように、当該用紙搬送装置の本体内の空間に収容されつつ回転可能に支持された、用紙搬送ローラと、
前記本体に対して前記用紙搬送ローラの軸方向に沿ってスライドすることで脱着可能に装着されていて、前記用紙搬送ローラの前記軸方向における端部と係合することで当該用紙搬送ローラを回転可能に支持するように構成された、着脱可能軸受と、
前記用紙搬送ローラが収容される前記空間を前記軸方向と交差する方向に沿って開閉可能に前記本体に装着されていて、前記用紙搬送ローラを着脱する際に前記空間を外部に向けて露出するように開放される一方で閉状態にて前記空間を覆うように設けられた、ローラカバーと、
を備え、
前記着脱可能軸受は、
前記用紙搬送ローラの軸方向における前記端部と係合する、ローラ枢支部と、
前記本体と係合可能に形成された突起部である、本体係合フックと、
外力が印加されて弾性変形することで前記本体係合フックを前記本体と係合する係合位置から前記本体と係合しない係合解除位置に向けて前記軸方向と交差する方向に沿って揺動させるように当該本体係合フックを端部にて一体的に支持するとともに、当該本体係合フックと前記ローラ枢支部とを一体的に接続するように形成された、揺動支持部と、
を備え、
前記ローラカバーは、
前記閉状態から前記空間を開放するように操作された際に前記着脱可能軸受と当接することで、当該揺動支持部に前記外力を印加するように設けられた、開放作用突起を有することを特徴とする、用紙搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の、用紙搬送装置であって、
前記ローラカバーは、
前記閉状態にて、前記本体係合フックの前記係合解除位置への揺動を抑制するように、前記係合位置における前記本体係合フックと隣接して設けられた、開放禁止突起をさらに有することを特徴とする、用紙搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の、用紙搬送装置であって、
前記揺動支持部は、前記軸方向に沿って前記用紙搬送ローラから離隔する方向に前記本体係合フックから延出するように設けられ、
前記本体係合フックは、
前記係合状態にて前記本体と係合するように前記揺動支持部の延出方向側に設けられた端面であって、前記揺動支持部との接続部から立設された、係合面と、
前記係合面における立設方向側の端部から前記揺動支持部の前記延出方向とは反対側且つ前記立設方向とは反対方向に延出するように設けられた、前記軸方向に対して傾斜する面である、当接面と、
を有し、
前記当接面は、前記開放作用突起と当接することで、前記着脱可能軸受を前記軸方向における前記用紙搬送ローラから離隔する方向に付勢するように形成されたことを特徴とする、用紙搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載の、用紙搬送装置であって、
前記開放作用突起は、前記軸方向に対して傾斜する面であって前記当接面に沿って設けられたフック付勢面を有することを特徴とする、用紙搬送装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載の、用紙搬送装置であって、
前記ローラカバーは、前記開放作用突起の近傍にて前記軸方向と平行に設けられた揺動中心軸を中心として揺動することで開閉されるように、前記本体によって支持されていることを特徴とする、用紙搬送装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のうちのいずれか1項に記載の、用紙搬送装置において、
前記用紙搬送ローラと平行に設けられた、第二用紙搬送ローラと、
前記用紙搬送ローラの前記着脱可能軸受によって支持されている側とは反対側の端部を回転可能に支持するとともに、前記第二用紙搬送ローラの前記軸方向における両端部を回転可能に支持する、ローラユニットケースと、
をさらに備え、
前記用紙搬送ローラと前記第二用紙搬送ローラと前記ローラユニットケースとを備えたローラユニットが、前記本体に対して着脱可能に構成されたことを特徴とする、用紙搬送装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−60293(P2013−60293A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201359(P2011−201359)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】