説明

用紙断裁装置、及び画像形成システム

【課題】高い位置精度で用紙を断裁し、構造及び制御が簡単な用紙断裁装置及び画像形成システムを提供する。
【解決手段】所定位置に搬送される冊子を支持する冊子支持部に冊子を押圧部で押圧することにより、冊子を挟持し、挟持された冊子を断用の裁位置に移動させて断裁を行い、挟持状態で冊子を断裁位置から退避させ、退避位置において挟持状態の冊子を90°回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冊子の縁部を断裁する用紙断裁装置及び該用紙断裁装置を備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
製本された冊子の縁部を切り落として、小口部、天部、地部等の縁部を整える用紙断裁装置が印刷の分野において知られている。
【0003】
用紙に画像を形成する画像形成と、画像形成された複数枚の用紙を綴じる製本と、製本された冊子の縁部を切り落とす断裁とを一貫して行うシステムに適した用紙断裁装置が特許文献1、2に開示されている。
【0004】
特許文献1、2では、用紙断裁装置内の所定位置に搬送された冊子をグリッパユニットで挟持し、挟持状態の冊子を断裁位置に搬送して冊子の一辺を断裁し、挟持状態の冊子を回転させて冊子の他辺を断裁する用紙断裁装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−271087号公報
【特許文献2】特開2006−224255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2に記載された用紙断裁装置では、所定位置まで冊子を搬送する際に冊子支持部材により支持されている冊子をグリッパで挟持して冊子支持部材から離し、さらに冊子を断裁用の位置まで移動させ、また、回転させるために、グリッパの移動、回転駆動機構や制御が複雑になって、高い位置精度で冊子を断裁することが困難であるという問題がある。
【0007】
また、静止した冊子支持部材と間隔をおいて位置している冊子が移動や回転を行うために、静止した冊子支持部材が冊子に接触して冊子の移動や回転の障害になるという問題がある。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑み、構造や制御が簡単であり、高い位置精度の断裁を安定して行う用紙断裁装置及び画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、下記の発明によって達成される。
【0010】
1.冊子を所定位置まで搬送する搬送部と、
前記所定位置まで搬送された冊子を支持する冊子支持部と、
冊子を前記冊子支持部に押圧する押圧部と、
冊子の端部を断裁する断裁部と、
前記冊子支持部と前記押圧部とにより挟持された冊子を前記断裁部から離間した退避位置と、前記断裁部により断裁される断裁用の位置との間で移動させる移動駆動部と、
前記冊子支持部と前記押圧部とにより挟持された冊子を前記冊子支持部の支持面内で回転させる回転駆動部と、
前記移動駆動部と前記回転駆動部と前記断裁部とを制御して、前記退避位置と前記断裁用の位置との間の冊子の移動、冊子の回転及び冊子の断裁を行わせる制御部と、
を有することを特徴とする用紙断裁装置。
【0011】
2.前記冊子支持部が、前記所定位置まで搬送された冊子の一辺を規制する基準部材を有することを特徴とする前記1に記載の用紙断裁装置。
【0012】
3.前記制御部は前記回転駆動部により冊子を90°ずつ2回回転させ、前記断裁部は冊子の小口部と天部と地部とを断裁することを特徴とする前記1又は前記2に記載の用紙断裁装置。
【0013】
4.用紙に画像を形成する画像形成装置と、該画像形成装置により画像が形成された複数枚の用紙で構成された冊子の端部を断裁する前記1〜3のいずれか1項に記載の用紙断裁装置とを備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、所定位置まで搬送される冊子を支持する冊子支持部材に対して押圧部材で冊子を押圧して、冊子を挟持し、挟持した状態で、冊子の移動や回転を行っている。
【0015】
これにより、冊子の移動、回転のための機構や制御が簡単になり、高い位置精度の裁断を行うことが可能となる。また、冊子支持部材が移動、回転するので、冊子の移動、回転円滑に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】冊子の説明図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの全体構成図である。
【図3】画像形成装置と後処理装置との説明図である。
【図4】後処理装置の接着剤塗布部の詳細図である。
【図5】後処理装置の表紙押圧部の詳細図である。
【図6】冊子供給装置と用紙断裁装置との説明図(側面図)である。
【図7】用紙断裁装置の要部の正面断面図である。
【図8】用紙断裁装置の要部の平面図である。
【図9】断裁部1Dの詳細図である。
【図10】用紙断裁装置の作動過程を示す模式図である。
【図11】用紙断裁装置の作動過程を示す模式図である。
【図12】冊子の断裁位置を示す図である。
【図13】用紙断裁装置の制御系のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<冊子>
最初に図1を参照して、冊子について説明する。
【0018】
冊子S2は多数枚の用紙Sを接着剤Nで束ね、表紙を接合することにより作成される。表紙H1と裏表紙H2とは1枚の表紙からなり、用紙Sの束を表紙でくるみ、接着剤Nで表紙を用紙Sの束に接着することにより冊子S2が作成される。
【0019】
接着剤Nにより表紙が接着された辺が背部Saであり、背部Saに対向し、見開きされる辺が小口部Sbであり、背部Saと小口部Sbとの間の辺が天部Sc、地部Sdである。
【0020】
<画像形成システム>
図2は本発明の実施の形態に係る画像形成システムZの全体を示す図である。画像形成システムZは画像形成装置Aと後処理装置Bと冊子供給装置Cと用紙断裁装置Dとを有し、これらがその順に配設されている。
【0021】
そして、画像形成装置Aは用紙Sに対して画像形成を行う。後処理装置Bは画像が形成された用紙Sを複数枚束ねて用紙束S1とした後に、用紙束S1の端面に接着剤を塗布して1端部で束ねられた冊子S2を作成する。冊子供給装置Cは冊子S2の接着剤を冷却しながら冊子S2を上昇させ冊子S2を用紙断裁装置Dに供給する。用紙断裁装置Dは冊子S2の端部(天部Sc、小口部Sb、及び地部Sd)を断裁する。
【0022】
用紙断裁装置Dは、天部Scと小口部Sbと地部Sdと(図1参照)を断裁して冊子の縁部を整える。
【0023】
画像形成装置Aは画像形成装置A全体を制御する主制御部100を有し、後処理装置Bは後処理装置B全体を制御する後処理制御部200を有し、冊子供給装置Cは冊子供給装置C全体を制御する冊子供給制御部300を有し、用紙断裁装置Dは用紙断裁装置D全体を制御する断裁制御部400を有している。
【0024】
主制御部100には他の装置と通信を行うシリアル通信部101が接続され、後処理制御部200には他の装置と通信を行うシリアル通信部201が接続され、冊子供給制御部300には他の装置と通信を行うシリアル通信部301が接続され、断裁制御部400には他の装置と通信を行うシリアル通信部401が接続されている。
【0025】
各装置はシリアル通信部101と、シリアル通信部201と、シリアル通信部301と、シリアル通信部401と、によりそれぞれ通信をし合い、画像形成システムZとして連携動作を行っている。
【0026】
図3は、画像形成装置と後処理装置との説明図である。
【0027】
画像形成装置Aは、像担持体1A、帯電部2A、像露光部3A、現像部4A、及び転写除電部5Aを有する画像形成部と、像担持体1A上に残留した残留トナーをクリーニングするクリーニング部6Aと、記録材を収納可能な第1の用紙収納部7Aと第2の用紙収納部7A’とを有する用紙収納部と、記録材を搬送する搬送部8Aと、トナー像を定着する定着部9Aと、原稿画像を読み込む画像読取り部10Aと、ジョブ情報を入力する操作部SAと、を有している。
【0028】
画像形成装置Aの上部には原稿を送り込む自動原稿送り装置DFが取付けられており、自動原稿送り装置DFにより送り込まれた原稿の画像データが画像読取り部10Aにより読み込まれる。
【0029】
画像形成装置Aは、帯電部2Aによって像担持体1Aの表面に一様帯電を行った後に、像露光部3Aのレーザビームによって画像データに基づく露光走査を行って潜像を形成し、該潜像を現像部4Aにより反転現像して像担持体1Aの表面にトナー像を形成する。
【0030】
第1の用紙収納部7Aと第2の用紙収納部7A’とには装置使用者によってジョブに応じた記録材が収納される。
【0031】
以下、第1の用紙収納部7Aには用紙Sが収納され、第2の用紙収納部7A’には表紙S’が収納されているものとして説明する。
【0032】
例えば、冊子端部の断裁幅を10mmとしてA4サイズの冊子(接着剤付けくるみ製本)を作成する場合は、A4サイズの用紙より短辺が10mm程長く、長辺が20mmほど長いA4ワイド紙が装置使用者により用紙Sとして第1の用紙収納部7Aに収納される。
【0033】
また、短辺が前記A4ワイド紙の長辺と略同寸法で、長辺が前記A4ワイド紙の短辺の2倍に、本の厚さを加えた長さの用紙が装置使用者により表紙S’として第2の用紙収納部7A’に収納される。
【0034】
装置使用者により操作部SAで糊付け製本キーが選択されると第1の用紙収納部7Aから用紙Sが供給される。また、装置使用者により操作部SAで糊付けくるみ製本キーが選択設定されると第1の用紙収納部7Aから所定枚数の用紙Sが供給され、各用紙Sに画像を形成後、第2の用紙収納部7A’から表紙S’が供給され表紙S’に画像が形成される。なお、供給される用紙Sの所定枚数は操作部SAの用紙枚数キーで設定された枚数である。
【0035】
第1の用紙収納部7Aから給紙された用紙S、或いは第2の用紙収納部7A’から給紙された表紙S’は転写位置へと送られる。転写位置において転写除電部5Aによりトナー像が用紙S或いは表紙S’上に転写され、転写後に用紙S或いは表紙S’は電荷が消去されて像担持体1Aから分離される。
【0036】
分離後、用紙S或いは表紙S’は定着部9Aにより加熱定着され、排紙ローラ8A1により装置外部に排出され、後処理装置Bに送り込まれる。
【0037】
又、転写されずに像担持体1A上に残留した残留トナーはクリーニング部6Aにより除去され、次の画像形成に備えられる。
【0038】
装置使用者により操作部SAで両面印刷キーが選択されると、定着部9Aにより加熱定着された用紙Sを、搬送路切換部8A2により通常の排紙通路から分岐し、反転搬送部8A3においてスイッチバックして表裏反転した後、転写除電部5Aで用紙Sの裏面に画像を形成し、定着部9Aを経て、排紙ローラ8A1により後処理装置Bに送り込まれる。
【0039】
操作部SAは各種の操作スイッチとタッチパネルとを有し、主制御部100によりタッチパネルにジョブに係る操作キーが表示され、装置使用者によって行われたキー操作情報(ジョブ情報)が主制御部100に読み込まれる。そして、読み込まれたジョブ情報等が主制御部100によりシリアル通信部101とシリアル通信部201とシリアル通信部301とシリアル通信部401とを介して各装置に送信される。
【0040】
ジョブ情報としては、排紙キーによる単純排紙情報、糊付け製本キーによる糊付け製本情報、糊付けくるみ製本キーによる糊付けくるみ製本情報、両面印刷キーによる両面印刷情報、用紙枚数キーによる用紙枚数情報、用紙収納部を選択する第1の用紙収納カセットキーと第2の用紙収納カセットキーによる用紙収納カセット選択情報、冊子の断裁寸法キーによる断裁寸法情報、搬送された記録材が用紙であることを示す用紙情報、搬送された記録材が表紙であることを示す表紙情報、等が挙げられる。
【0041】
後処理装置Bは、用紙受入れ部1B、排紙部2B、用紙反転部3B、用紙束収容部4B、接着剤塗布部5B、表紙押圧部6B等を有している。
【0042】
後処理装置Bに送り込まれ、用紙受入れ部1Bに導入された用紙S或いは表紙S’は、搬送路切換部1B1により搬送ローラ1B2側の搬送路と搬送ローラ1B3側の搬送路の何れかに分岐される。
【0043】
用紙Sは用紙情報により搬送ローラ1B2側の搬送路に搬送され、搬送路切換部1B4によって排紙部2B側と用紙反転部3B側の何れかに更に分岐される。
【0044】
用紙Sは、単純排紙情報が送信されていると排紙部2Bに排紙され、糊付け製本情報又は糊付けくるみ製本情報が送信されていると用紙反転部3Bに向けて搬送される。
【0045】
表紙S’は、表紙情報により、糊付けくるみ製本情報が送信されていると搬送ローラ1B3側の搬送路に搬送され、表紙押圧部6Bで用紙束の背部に接着される。
【0046】
用紙反転部3Bは、複数の用紙Sを積載する用紙載置台3B1、用紙端部の位置を規制する用紙端位置決め部材3B2、搬送ローラ3B3等を有し、斜めに位置した用紙載置台3B1上に複数の用紙Sからなる用紙束S1が形成される。
【0047】
用紙受入れ部1Bに順次導入された用紙Sは傾斜した用紙載置台3B1上をスイッチバック搬送され、用紙端が用紙端位置決め部材3B2に突き当たることにより複数の用紙が整合された状態で用紙載置台3B1上に集積され複数枚の用紙Sから成る用紙束S1が形成される。
【0048】
搬送ローラ3B3に挟持されていた用紙束S1は用紙端位置決め部材3B2の開放により、下部の開口から排出され、斜め下方に位置する用紙束収容部4Bに向けて落下する。
【0049】
用紙束収容部4Bは、落下した用紙束S1を支持し、傾斜状態(破線)と直立状態(実線)との間を揺動(図示a方向)可能な支持部材4B1と、落下した用紙束S1の先端が当接する不図示の当接板と、当接した用紙束S1を厚さ方向に付勢して押さえる押圧板4B2とを有している。
【0050】
用紙反転部3Bから落下した用紙束S1は、傾斜状態(破線)で停止した支持部材4B1上を滑落し、用紙Sの先端部が前記当接板に当接して停止され、用紙束S1は支持部材4B1に傾斜状態で保持される。
【0051】
支持部材4B1と押圧板4B2とは用紙束S1を押圧保持した状態で、不図示の駆動手段によって用紙束収容部4Bの軸4B3を中心にして旋回し、用紙束S1を傾斜状態から直立状態にする。
【0052】
なおこの時点では、接着剤塗布部5Bの接着剤塗布ローラ5B1が下方に退避(初期位置)して、用紙束S1の下面(背部Sa)が接着剤塗布ローラ5B1から離間している。
【0053】
図4は、後処理装置の接着剤塗布部の詳細図である。
【0054】
接着剤塗布部5Bは、接着剤塗布ローラ5B1と、接着剤(接着剤)Nを収容する接着剤容器5B2と、接着剤塗布ローラ5B1を回転駆動する回転駆動部5B3と、用紙束S1の下面(背部Sa)に対して接着剤塗布ローラ5B1を接離可能に上下移動させる上下移動部5B4と、接着剤容器5B2内に収容された接着剤Nを加熱溶融させる加熱ヒータ5B5と、接着剤塗布ローラ5B1を用紙束S1の下面(背部Sa)に沿って天部Sc(図示紙面表側)から地部Sd(図示紙面裏側)の間を往復移動させる往復移動部5B6と、を有している。
【0055】
接着剤塗布ローラ5B1は接着剤の塗布時以外は実線で示したように、用紙束S1の背部Saに対して離間している。
【0056】
上下移動部5B4の作動により接着剤塗布ローラ5B1と接着剤容器5B2とが上昇して用紙束S1の背部Saに接する位置まで移動し、次いで往復移動部5B6の作動により接着剤塗布ローラ5B1が用紙束S1の下面(背部Sa)に沿って天部Sc側(図示紙面表側)と地部Sd側(図示紙面裏側)との間を往復移動する。
【0057】
なお、接着剤塗布ローラ5B1は回転駆動部5B3の作動により常時回転しており、前記往復移動により用紙束S1の背部Saに接着剤Nが均一に塗布される。
【0058】
接着剤Nの塗布後に上下移動部5B4の逆作動により接着剤塗布ローラ5B1が用紙束S1の背部Saから離間する。そして後述する表紙押圧部6Bによる表紙の貼り付けの準備のため接着剤塗布部5Bは図示紙面裏側に移動して退避する。
【0059】
図5は、後処理装置の表紙押圧部の詳細図である。
【0060】
図は、接着剤塗布部5Bが図示紙面裏側に移動して退避し、上昇した表紙押圧部6Bにより、用紙束S1に接着された表紙S’を用紙束S1の両側面に向けて折り曲げている様子を示している。
【0061】
表紙押圧部6Bは、接着剤Nが塗布された用紙束S1の背部に表紙S’を当接させて貼着け、表紙S’を折り曲げて表表紙と裏表紙と背部とを形成する部分である。
【0062】
表紙押圧部6Bは、表紙S’を受容して搬送する表紙搬送部6B1と、表紙S’を用紙束S1の接着剤塗布面に圧接させる加圧部6B2と、用紙束S1に接着された表紙S’を用紙束S1の側面に向けて折り曲げる表紙折曲部6B3と、表紙搬送部6B1と加圧部6B2と表紙折曲部6B3とを有する表紙押圧部本体6B4と、表紙押圧部本体6B4を上下方向に移動させる移動部6B5と、を有している。
【0063】
表紙S’はその搬送方向中央部が、用紙束収容部4Bに保持された直立状態の用紙束S1の真下に来るように表紙搬送部6B1により搬送されて停止する。この時、接着剤塗布部5Bは表紙押圧部6Bの上下方向の移動エリアの外部例えば図示紙面裏側に向けて退避している。
【0064】
移動部6B5の作動により表紙押圧部本体6B4が上昇する。そして、直立状態の用紙束S1の背部Sa(図示下側)に表紙S’が当接し、背部Sa(図示下側)に塗布された接着剤により表紙S’が接着される。
【0065】
次いで、表紙押圧部本体6B4に設けられた表紙折曲部6B3が用紙束S1の側面に沿って進み、表紙S’背部の角を折り曲げ、用紙束S1に表表紙と裏表紙とを形成する。
【0066】
表紙S’の折り曲げ終了後、移動部6B5(昇降ベルト6B51)の逆作動によって表紙押圧部本体6B4が下降して停止する。
【0067】
図3に戻り、その後、用紙束収容部4Bの押圧板4B2による冊子S2の挟持が解除されると、表紙が接着された冊子S2は不図示のガイドに沿って背部Saが画像形成装置A側に向くように落下し、落下した冊子S2は表紙搬送部6B1の逆作動によって左方に移動し装置外部に排出される。
【0068】
以上説明した動作は画像形成装置Aからシリアル通信部101とシリアル通信部201とを介して送信されたジョブ情報、例えば単純排紙情報、糊付け製本情報、糊付けくるみ製本情報等に基づいて、後処理制御部200により実行される。
【0069】
図6は、冊子供給装置と用紙断裁装置との説明図(側面図)である。
【0070】
用紙断裁装置Dでは冊子一冊当たり3箇所(小口部、天部、地部)の断裁を行うため多量の切り屑が発生する。断裁された多量の切り屑を収納するためには切り屑収納箱を大容量にする必要があり、設置床面積を上げずに大容量とするためには切り屑収納箱の高さ寸法を大きく取る必要がある。
【0071】
このため、用紙断裁装置では断裁部1Dを上部に配設し、空いた下部に高さ寸法が大きな大容量の切り屑収納箱2Dを設け、上部に配設された断裁部1Dに合わせて冊子を供給するため、冊子供給装置Cはその下部に供給された冊子S2を冊子供給装置C内で上昇させて上部から排出している。
【0072】
冊子供給装置Cは、冊子S2を裁置し搬送する搬送ベルト部1Cと、搬送ベルト部1Cを上下方向に移動するベルト上下移動部2Cと、冊子S2の背部Saに風を吹き付けて接着剤を冷却させるファン3Cとを有している。
【0073】
搬送ベルト部1Cは冊子S2を裁置し搬送する搬送ベルト1C1と、搬送ベルト1C1を回転可能に懸架するローラ1C2と、ローラ1C2を回転駆動させるローラ駆動部1C3とを有している。そして、ローラ駆動部1C3のモータ(不図示)の作動により搬送ベルト1C1上の冊子S2を用紙断裁装置Dに向けて搬送可能となっている。
【0074】
ベルト上下移動部2Cは、搬送ベルト部1Cを上下方向に移動する移動ベルト2C1と、移動ベルト2C1を支持するローラ2C2と、ローラ2C2を回転駆動させるローラ駆動部2C3とを有している。そして、ローラ駆動部2C3のモータ(不図示)の作動により搬送ベルト1C1が上下方向に移動可能となっている。
【0075】
搬送ベルト1C1はベルト上下移動部2Cにより通常下端に位置して後処理装置Bから冊子S2を受け取り可能となっている。
【0076】
後処理装置Bから冊子S2が搬送されて来るとローラ駆動部1C3のモータ(不図示)の作動により搬送ベルト1C1が作動して冊子S2を引き込み、搬送ベルト1C1の略中央まで冊子S2を搬送後停止する。
【0077】
そして、搬送ベルト1C1が停止するとローラ駆動部2C3が作動して移動ベルト2C1を駆動し搬送ベルト部1Cを上昇させる。搬送ベルト1C1上の冊子S2を用紙断裁装置Dへ移送可能な上端(破線)に達すると、移動ベルト駆動部1C3の停止により移動ベルト2C1が停止する。
【0078】
移動ベルト2C1の停止により、ローラ駆動部1C3が作動して搬送ベルト1C1が作動し、冊子S2を用紙断裁装置Dに向けて排出する。
【0079】
排出後、ローラ駆動部2C3の逆作動により搬送ベルト部1Cを下降させ、後処理装置Bからの冊子S2受け取りを可能とする。
【0080】
ファン3Cは冊子供給装置Cの筐体上面の後処理装置B側に配置されており、搬送ベルト1C1の上昇中及び最上部での停止中(破線)にファン3Cを作動させ外気を取り込み、ファン3Cによる風が冊子S2の背部Saに吹き付けて接着剤を冷却させる。
【0081】
以上説明した動作は冊子供給制御部300により実行される。
【0082】
以上、冊子供給装置Cで冊子を上昇させる形態について説明したが、同様な構成を用紙断裁装置内部の後処理装置側に設け、用紙断裁装置内部で冊子を上昇させるようにしても良いことは言うまでもない。
【0083】
<用紙断裁装置>
図7は、用紙断裁装置の要部を正面から見た断面図、図8は用紙断裁装置の要部の平面図である。
【0084】
用紙断裁装置Dは、冊子の端部を断裁する断裁部1Dと、冊子S2を冊子供給装置Cから受け取り、所定値まで搬送し、更に、集積部9Dに排出する搬送部3Dと、冊子S2を断裁位置と退避位置とに位置させる移動駆動部4Dと、冊子S2を支持する冊子支持部5Dと冊子S2を回転させる回転駆動部6Dと、冊子S2を冊子支持部5Dに対して押圧する押圧部7Dとを有する。
【0085】
搬送部3Dは、ローラとベルトからなり、冊子供給装置Cから供給された冊子S2を受け取り搬送するベルトユニット3D5と、冊子S2を所定位置まで搬送するベルト3D11、3D12を有する。冊子S2はベルトユニット3D5からベルト3D11、3D12へと受け渡される。ベルト3D11には搬送部材3D21が固定され、ベルト3D12には搬送部材3D22が固定される。ベルト3D11、3D12上の冊子S2は搬送部材3D21、3D22によりその後端(右端)を押されて図7、8の左方へと搬送される。搬送の過程で、用紙断裁装置Dの枠体8D1に設けられた傾斜したガイド8D3と、冊子支持部材5D1に設けられた傾斜したガイド5D1aによりガイドされて上昇し冊子支持部材5D1上に載り冊子支持部材5D1により支持される。
【0086】
冊子支持部材5D1上に支持された冊子S2は冊子支持部材5D1を構成する板を曲げることにより形成された基準板5D2に突き当たり停止する。ベルト3D11、3D12は冊子S2を基準板5D2に突き当てた後に、移動方向を逆転し、搬送部材3D21、3D22は退避する。ベルト3D11はプーリ3D31とプーリ3D33とに張架され、ベルト3D12はプーリ3D32とプーリ3D34とに張架されており、プーリ3D31〜3D34はモータ3D4により回転駆動される。
【0087】
移動駆動部4Dはベルト4D11、4D12を有する。ベルト4D11はプーリ4D21とプーリ4D22とに張架され、ベルト4D12はプーリ4D23とプーリ4D24とに張架される。プーリ4D21〜4D24はモータ4D3により回転駆動される。
【0088】
冊子支持部5Dは冊子S2を支持する板状の冊子支持部材5D1と冊子S2の一辺である搬送方向(搬送部3Dによる搬送時の搬送方向)の先端の位置を決めする基準部材としての基準板5D2を有する。支持部材5D31、5D32は用紙断裁装置Dの枠体8D1に固定されたガイド棒821、822によりガイドされて図8の上下に移動する。
【0089】
回転駆動部6Dは、冊子支持部5Dを90°ずつ回転させるものであり、回転駆動部6Dの軸6D1に冊子支持部材5D1が固定されている。回転駆動部6Dは軸6D1、ベルト6D2、プーリ6D3、6D4及びモータ6D5を有する。モータ6D5の回転によりプーリ6D3が回転し、プーリ6D3の回転がベルト6D2、プーリ6D4を介して軸6D1に伝達され、軸6D1の回転で、冊子支持部材5D1が回転する。軸6D1とプーリ6D4を含む回転駆動部6Dの部分は、ユニット6D6として構成されている。
【0090】
回転駆動部6Dは支持部材5D31、5D32により支持されており、支持部材5D31、5D32はガイド棒8D21、8D22によりガイドされて図8における上下に移動する。即ち、回転駆動部6Dと回転駆動部の軸6D1により支持されている冊子支持部5Dとは図8における上下方向に移動する。なお、ガイド棒8D21、8D22は枠体8D1に固定されている。
【0091】
押圧部7Dは、冊子S2を押圧する押圧部材としての押圧コロ7D11、7D12、7D13、支持腕7D21、7D22、バネ7D31、7D32、カム7D4、及びモータ7D5を有する。
【0092】
押圧コロ7D11〜7D13を支持する支持腕7D21、7D22は軸7D6に回転自在に支持され、押圧コロ7D11〜7D13はバネ7D31、7D32の付勢で冊子S2を冊子支持部材5D1に押圧する。カム7D4はモータ7D5の駆動で回転し、押圧コロ7D11〜7D13を点線の位置に退避させるか又は実線の押圧位置に位置させる。
【0093】
回転駆動部6Dは、支持部材5D31、5D32により支持されており、冊子支持部5Dは軸6D1を介して回転駆動部6Dに連結されている。
【0094】
押圧部7Dは、基準板5D2を延長した支持板に固定されており、冊子支持部5Dと一体に形成される。
【0095】
冊子支持部5Dと、回転駆動部6Dと、押圧部7Dとは移動駆動部4Dのモータ4D3の駆動により、ガイド棒821、822によりガイドされて図8の上下に移動する。また、冊子支持部5Dと押圧部7Dとはモータ6D5の駆動で90°ずつ回転する。
【0096】
モータ3D4、4D3、6D5、7D5はそれぞれステッピングモータからなる。
【0097】
集積部9Dは、冊子支持部5Dから送られた冊子S2を搬送し落下させる搬送落下部9D1と、搬送落下部9D1から落下した冊子S2を集積する裁置集積部9D2とを有している。
【0098】
搬送落下部9D1は、冊子S2を裁置し搬送する1対の搬送ベルト9D11と搬送ベルト9D11を回転駆動するベルト駆動部9D12と、1対の搬送ベルト9D11がそれぞれ離間する方向(図示紙面表裏方向)に移動させる不図示のベルト移動部と、を有している。
【0099】
また、裁置集積部9D2は、冊子S2を裁置する裁置板9D21と、裁置板6D21を上下方向に移動する移動ベルト9D22と、移動ベルト9D22を駆動する移動ベルト駆動部9D23とを有し、移動ベルト駆動部9D23のパルスモータ9D24の作動によりプーリ9D25と移動ベルト9D22を介して裁置板9D21が上下方向に平行移動可能となっている。
【0100】
冊子支持部5Dから送り出された冊子S2は、ベルト駆動部9D12により回転する1対の搬送ベルト9D11の略中央部まで搬送され停止する。
【0101】
1対の搬送ベルト9D11が停止すると、不図示のベルト移動部により1対の搬送ベルト9D11が互いに離間する方向(図示紙面表裏方向)に移動し、裁置されていたS2はこの移動により支持を失い、裁置集積部9D2の裁置板9D21に向けて落下する。
【0102】
冊子S2が落下すると、冊子S2の集積が1冊増す毎に、裁置板9D21は移動ベルト駆動部9D23によって冊子S2の厚さ分下降する。
【0103】
冊子S2の厚さ分の下降について説明する。
【0104】
冊子S2の厚さは画像形成装置Aの主制御部100により、操作部SAの用紙枚数キーに離設定された用紙枚数情報に基づいて演算され、シリアル通信部101、201、301、401を介して断裁制御部400に冊子S2の厚さ情報が送信される。
【0105】
そして断裁制御部400は、冊子S2の厚さ情報に相当するパルスモータ駆動パルス数を演算し、パルスモータ9D24を前記パルスモータ駆動パルス数分駆動することにより冊子S2の厚さ分の下降を可能としている。
【0106】
図9は、断裁部1Dの詳細図であり、図9(a)は断裁部1Dの待機状態を示す正面図、図9(b)はその側面図である。
【0107】
断裁部1Dは、図示上端が刃先となるように取り付けられた断裁刃1D1と、断裁刃1D1を移動させる断裁刃駆動部1D2と、断裁刃1D1の受けとなる受け部材1D3と、受け部材1D3を移動させる受け部駆動部1D4とを有している。
【0108】
そして、断裁刃駆動部1D2と受け部駆動部1D4とは、断裁刃1D1と受け部材1D3とがそれぞれ当接或いは離間する方向に駆動する。
【0109】
受け部駆動部1D4は、受け部材1D3を取り付ける取付け板1D41と、受け部駆動部1D4を駆動するモータ1D42と、モータ1D42の出力軸に連結された長さ方向中央部でネジの向きが逆に切ってある一対のネジ1D43と、ネジ1D43に螺合する1対の雌ネジ部1D44と、取付け板1D41と雌ネジ部1D44とに掛け渡された一対のリンク1D45と、を有している。
【0110】
そして、モータ1D42の正転により、ネジ1D43と雌ネジ部1D44とリンク1D45と取付け板1D41とを介して受け部材1D3を断裁刃1D1に向けて付勢し、冊子S2を断裁刃1D1に押圧可能となっている。
【0111】
断裁刃駆動部1D2は、断裁刃1D1が固定された断裁刃固定部材1D21と、断裁刃固定部材1D21を移動可能に支持する支持部材1D22と、断裁刃固定部材1D21を矢印J方向に移動させる断裁刃駆動機構1D23と、を有している。
【0112】
断裁刃固定部材1D21には複数のコロ1D24が設けられ、コロ1D24は支持部材1D22に図示右下がりに傾斜するように穿たれた複数のガイド穴1D25にそれぞれガイドされ、断裁刃固定部材1D21をJ方向に移動可能としている。
【0113】
不図示のモータとラック・ピニオン等で構成された断裁刃駆動機構1D23は、断裁刃固定部材1D21を図示左側に向けて付勢し、断裁刃固定部材1D21のコロ1D24がガイド穴1D25に沿って移動することにより、断裁刃固定部材1D21に固定された断裁刃1D1を斜め上方(図示左上がり)に向かって移動させ、受け部材1D3により押圧された冊子S2を断裁可能となっている。
【0114】
断裁部1Dの作動について説明すると、冊子S2はガイド部1D5に案内されて前述の移動駆動部4Dにより、例えば、小口部Sbを先頭にして断裁予定位置が刃先位置に来るまで移動する。
【0115】
次いで、モータ1D42の正転により、ネジ1D43と雌ネジ部1D44とリンク1D45と取付け板1D41とを介して受け部材1D3を断裁刃1D1に向けて移動させる。
【0116】
この移動により受け部材1D3が冊子S2を押圧して冊子S2を構成する用紙S同士のズレが防止される。
【0117】
受け部材1D3の下降により、断裁刃駆動機構1D23のモータが正転し、正転により断裁刃固定部材1D21を介して断裁刃1D1が斜め上方に向かって移動し冊子S2を断裁する。
【0118】
冊子S2の断裁後は、モータ1D42と断裁刃駆動機構1D23のモータとが逆転して、断裁刃1D1と受け部材1D3とを離間させ、初期位置に戻す。
【0119】
以上説明したように、冊子S2を押圧後、断裁刃1D1を斜め上方に向かって平行移動させて冊子S2を断裁するため、用紙がずれることなく且つ少ない力で冊子S2を切断可能となっている。
【0120】
また、用紙断裁装置Dは切り屑収納箱2Dの配設位置近傍に切り屑収納箱2Dを装置外部に取り出すための扉(不図示)を有し、装置使用者は該扉を開くことにより切り屑収納箱2Dを用紙断裁装置Dから取り出して内部の切り屑を廃棄可能となっている。
【0121】
図7、8に加えて図10〜13を参照して用紙断裁装置Dの動作を説明する。図10、11は、用紙断裁装置Dの作動過程を示す模式図である。図12は冊子S2の断裁位置を示す図である。図13は用紙断裁装置Dの制御系を示す図である。なお、図10、11において、押圧コロ7D11〜7D13は、1個の部材である押圧コロ7D14として示されている。
【0122】
冊子S2が冊子支持部材5D1上に導入される段階では、カム7D4は図7の点線の位置にあり、押圧コロ7D14は点線で示す上方位置に退避している。
【0123】
冊子S2は背部Sa(図1参照)を先頭にして冊子供給装置Cから排出される。冊子供給装置Cから排出された冊子S2を搬送部材3D21、3D22により搬送して、冊子S2の背部Saを基準板5D2に突き当てる。図10(a)は冊子S2の背部Saが基準板5D2に突き当たり、冊子支持部材5D1により支持されて所定位置で停止した状態を示す。制御部としての断裁制御部401は、主制御部101から取得した冊子S2を構成する用紙のサイズ情報に基づいて、この停止制御を行う。
【0124】
即ち、主制御部101からの用紙サイズ情報により、冊子S2を所定位置まで搬送するための搬送部材3D21、3D22の作動距離(搬送部材3D21、2D22のホームポジションから冊子S2の背部を基準板5D2に突き当てる位置までの距離)を与えるモータ3D4の駆動バルス数を断裁制御部401が決定し、モータ3D4を作動させて冊子S2を搬送し、基準板5D2に突き当てる。図10、11を用いて以下に説明する制御は、断裁制御部401がモータ4D3、6D5を駆動パルスのパスル数で制御することにより行われる。
【0125】
図10(a)の状態では、冊子S2はその天部Scと断裁部1Dとの間に所定の距離があるように位置している。天部Scと断裁部1Dの下端間の距離は、冊子S2が断裁部1Dに接触することなく軸6D1を中心に回転可能なように設定されている。図10(a)の状態で、モータ7D5の駆動でカム7D4が時計方向に回転して実線で示す状態となる。押圧コロ7D14がバネ7D31、7D32の付勢で、冊子S2を冊子支持部材5D1に押圧し、冊子S2は冊子支持部材5D1と押圧コロ7D14との挟持により保持される。なお、以下に説明する図10(b)〜図11(c)の状態を通じて、冊子S2は冊子支持部材5D1と押圧コロ7D14との挟持により保持される。
【0126】
次に、モータ4D3の駆動による冊子支持部材5D1の移動で冊子S2が図の上方に移動して、冊子S2は断裁用の位置に設定される。図10(b)に示す冊子S2の断裁用の位置は、図12に拡大して示すように、断裁線CULが冊子S2の端縁Seの内側に位置するように設定される。冊子S2を断裁用の位置に移動させる制御は、モータ4D3を設定された所定数の駆動パルスで駆動することにより行われる。図10(b)の状態で、断裁部1Dが作動して、冊子S2を断裁し、天部Scが整えられる。冊子S2の断裁は断裁制御部401がモータ1D23を作動させることにより行われる。
【0127】
次に、モータ4D3の駆動による冊子支持部材5D1の移動で冊子S2が図の下方に移動するとともに、モータ6D5の駆動による冊子支持部材5D1の回転で冊子S2が反時計方向に90°回転し、冊子S2は図10(c)の状態になる。図10(b)から図10(c)への冊子S2の移動では、図10(b)の位置から図下方に移動して、冊子S2の回転が可能となった段階で、冊子S2の回転を開始し、冊子S2の下方への移動と回転とが同時進行するような移動制御が行われる。冊子支持部材5D1の90°回転は、冊子S2を冊子支持部材5D1の支持面内における回転であり、モータ6D5を設定された所定数の駆動パルスで駆動することにより行われる。また、冊子支持部材5D1の下方への移動は、モータ4D3を設定された所定数の駆動パルスで駆動することにより行われる。
【0128】
次に、モータ4D3の駆動による冊子支持部材5D1の移動で冊子S2は図10(c)の状態から図の上方に移動して、冊子S2は図10(d)の断裁用の位置に設定される。図10(d)に示す断裁用の位置も図12に示すように断裁線CULが冊子S2の端縁Seの内側となる冊子S2の位置である。図10(d)の位置で断裁部1Dによる断裁が行われ、冊子S2の小口部Sbが整えられる。
【0129】
次に、モータ4D3の駆動による冊子支持部材5D1の移動で冊子S2が図の下方に移動するとともに、モータ6D5の駆動による冊子支持部材5D1の回転で冊子S2が反時計方向に90°回転し、冊子S2は図11(a)の状態になる。図10(d)から図11(a)への冊子S2の移動では、図10(d)の位置から図下方に移動して、冊子S2の回転が可能となった段階で、冊子S2の回転を開始し、冊子S2の下方への移動と回転とが同時進行するような移動制御が行われる。
【0130】
次に、モータ4D3の駆動による冊子支持部材5D1の移動で冊子S2は図11(a)の位置から図の上方に移動して、冊子S2は図11(b)の断裁用の位置に設定される。図11(b)に示す断裁用の位置も図12に示すように断裁線CULが冊子S2の端縁Seの内側となる冊子S2の位置である。図11(b)の状態で断裁部1Dによる断裁が行われ、冊子S2の地部Sdが整えられる。
【0131】
次に、モータ4D3の駆動による冊子支持部材5D1の移動で冊子S2は図11(b)の位置から図の下方に移動して、冊子S2は図11(c)の位置に移動する。
【0132】
図11(c)の状態で、まず、モータ7D5の駆動で、カム7D4が回転し、押圧コロ7D14が上昇して、押圧を解除する。次に、モータ3D4が作動して搬送部材3D21、3D22が図7、8の左方に移動して冊子S2を集積部9Dに送り込む。
【0133】
図10、11に示すように、冊子S2が断裁部1Dから離れた退避位置から、冊子S2の断裁辺が断裁部1Dに近接する断裁用の位置に又は断裁用の位置から退避位置に移動する移動時と、冊子S2が90°回転する回転運動時を通じて、冊子S2を押圧し、冊子支持部材5D1上に固定する押圧コロ7D14と冊子S2の背部Saを規制して位置決する基準板5D2とは一体で移動し回転する。即ち、直線移動と、回転運動と、断裁とは冊子S2を、押圧コロ7D14により上下方向に固定するとともに、側方を基準板5D2で固定した状態で行われる。これにより、冊子S2の移動と回転と断裁を通じて冊子S2の位置ずれや変形がなく、高い精度で三方断裁が行われる。
【符号の説明】
【0134】
A 画像形成装置
B 後処理装置
C 冊子供給装置
D 用紙断裁装置
S 用紙
S’ 表紙
S1 用紙束
S2 冊子
Sa 背部
Sb 小口部
Sc 天部
Sd 地部
Z 画像形成システム
1C 搬送ベルト部
2C ベルト上下移動部
1D 断裁部
2D 切り屑収納箱
3D 搬送部
4D 移動駆動部
5D 冊子支持部
6D 回転駆動部
7D 押圧部
9D 集積部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冊子を所定位置まで搬送する搬送部と、
前記所定位置まで搬送された冊子を支持する冊子支持部と、
冊子を前記冊子支持部に押圧する押圧部と、
冊子の端部を断裁する断裁部と、
前記冊子支持部と前記押圧部とにより挟持された冊子を前記断裁部から離間した退避位置と、前記断裁部により断裁される断裁用の位置との間で移動させる移動駆動部と、
前記冊子支持部と前記押圧部とにより挟持された冊子を前記冊子支持部の支持面内で回転させる回転駆動部と、
前記移動駆動部と前記回転駆動部と前記断裁部とを制御して、前記退避位置と前記断裁用の位置との間の冊子の移動、冊子の回転及び冊子の断裁を行わせる制御部と、
を有することを特徴とする用紙断裁装置。
【請求項2】
前記冊子支持部が、前記所定位置まで搬送された冊子の一辺を規制する基準部材を有することを特徴とする請求項1に記載の用紙断裁装置。
【請求項3】
前記制御部は前記回転駆動部により冊子を90°ずつ2回回転させ、前記断裁部は冊子の小口部と天部と地部とを断裁することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の用紙断裁装置。
【請求項4】
用紙に画像を形成する画像形成装置と、該画像形成装置により画像が形成された複数枚の用紙で構成された冊子の端部を断裁する請求項1〜3のいずれか1項に記載の用紙断裁装置とを備えることを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−56019(P2012−56019A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201669(P2010−201669)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】