用紙綴じ装置、後処理装置、及び画像形成装置
【課題】本発明は、舌部を切り込みに挿入することによって綴じられる部分に与える影響を抑制しながら用紙束に折り目を形成する。
【解決手段】本発明の用紙綴じ装置は、用紙束にスリット521を形成し、かつ用紙束の一部を予め定めた形状に切ることにより一方の端部が用紙束と連続する部分を残す舌部522を用紙束に形成するとともに、舌部522を折り舌部522の他方の端部をスリット521に挿入し用紙束を綴じる綴じ機構と、綴じ機構によりスリット521に挿入される舌部522と重ならない位置において用紙束に折り線525をつける押しつけ部材507とを有する。
【解決手段】本発明の用紙綴じ装置は、用紙束にスリット521を形成し、かつ用紙束の一部を予め定めた形状に切ることにより一方の端部が用紙束と連続する部分を残す舌部522を用紙束に形成するとともに、舌部522を折り舌部522の他方の端部をスリット521に挿入し用紙束を綴じる綴じ機構と、綴じ機構によりスリット521に挿入される舌部522と重ならない位置において用紙束に折り線525をつける押しつけ部材507とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙綴じ装置、後処理装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成システムとして、シート束に綴じ処理を行う複数の綴じ手段、例えば接着剤塗布手段、半抜き綴じ手段、ステープル綴じ手段、仮綴じ手段等を備えるものが存在する(特許文献1参照)。
また、綴じ機として、重ね合わせた複数枚の用紙をステージと切込刃及び抜き刃とによって切り起こした切起片を用いてそれら複数枚の用紙を相互に接合して綴じ得るものであって、複数枚の用紙を相互に接合させた接合部分を厚み方向に圧縮変形し得る後述する圧縮機構を具備するものが存在する(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3885410号明細書
【特許文献2】特開2010−137551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、舌部を切り込みに挿入することによって綴じられる部分に与える影響を抑制しながら用紙束に折り目を形成する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、用紙束に切り込みを形成し、かつ当該用紙束の一部を予め定めた形状に切ることにより一方の端部が当該用紙束と連続する部分を残す舌部を当該用紙束に形成するとともに、当該舌部を折り当該舌部の他方の端部を当該切り込みに挿入し当該用紙束を綴じる綴じ機構と、前記綴じ機構により前記切り込みに挿入される前記舌部と重ならない位置において前記用紙束に折り目をつける折り機構とを有することを特徴とする用紙綴じ装置である。
請求項2記載の発明は、前記折り機構は、前記切り込みに挿入される前記舌部よりも前記用紙束の用紙における中央側に前記折り目をつけることを特徴とする請求項1記載の用紙綴じ装置である。
請求項3記載の発明は、前記折り機構は、前記舌部を形成することに伴い開口する開口部にかかる位置に前記折り目をつけることを特徴とする請求項1または2記載の用紙綴じ装置である。
請求項4記載の発明は、前記折り機構により形成された前記折り目は、当該折り目に沿って前記用紙束を折り畳んだ際に、前記切り込みに挿入される前記舌部の先端が当該舌部を形成することに伴い開口する開口部に配置される位置であることを特徴とする請求項1記載の用紙綴じ装置である。
請求項5記載の発明は、用紙を供給する用紙供給機構と、前記用紙供給機構から供給された複数枚の用紙を束ねて用紙束を形成する用紙束形成機構と、前記用紙束に切り込みを形成し、かつ当該用紙束の一部を予め定めた形状に切ることにより一方の端部が当該用紙束と連続する部分を残す舌部を当該用紙束に形成するとともに、当該舌部を折り当該舌部の他方の端部を当該切り込みに挿入し当該用紙束を綴じる綴じ機構と、前記綴じ機構により前記切り込みに挿入される前記舌部と重ならない位置において前記用紙束に折り目をつける折り機構とを有することを特徴とする後処理装置である。
請求項6記載の発明は、用紙に画像を形成する画像形成機構と、前記画像形成機構によって画像が形成された複数枚の用紙を束ねて用紙束を形成する用紙束形成機構と、前記用紙束に切り込みを形成し、かつ当該用紙束の一部を予め定めた形状に切ることにより一方の端部が当該用紙束と連続する部分を残す舌部を当該用紙束に形成するとともに、当該舌部を折り当該舌部の他方の端部を当該切り込みに挿入し当該用紙束を綴じる綴じ機構と、前記綴じ機構により前記切り込みに挿入される前記舌部と重ならない位置において前記用紙束に折り目をつける折り機構とを有することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、舌部を切り込みに挿入することによって綴じられる部分に与える影響を抑制しながら用紙束に折り目を形成することができる。
請求項2記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、用紙束の用紙が中央部側から捲られることにともない綴じられた部分が解放されることを抑制することができる。
請求項3記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、より容易に用紙束に折り目を形成することができる。
請求項4記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、折り目に沿って用紙束を折り畳んだ際に、綴じられた部分の厚みを抑制することができる。
請求項5記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、舌部を切り込みに挿入することによって綴じられる部分に与える影響を抑制しながら用紙束に折り目を形成することができる。
請求項6記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、舌部を切り込みに挿入することによって綴じられる部分に与える影響を抑制しながら用紙束に折り目を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施の形態が適用される用紙綴じ装置を示す概略構成図である。
【図2】針無綴じ機構及びその周辺部材を示す概略構成図である。
【図3】針無綴じ機構の用紙束に綴じ処理を施す部分の拡大斜視図である。
【図4】挿入孔周辺の構造を示す概略構成図である。
【図5】針無綴じ機構によって綴じられる部分を示す説明図である。
【図6】綴じ処理が施された用紙束を示す概略図である。
【図7】綴じ処理が施された用紙束の他の例を示す概略図である。
【図8】綴じ部分と折り線との位置関係を示す概略構成図である。
【図9】他の実施態様における針無綴じ機構及びその周辺部材を示す概略構成図である。
【図10】他の実施態様における針無綴じ機構の綴じ動作を示す説明図である。
【図11】他の実施態様により針無綴じ処理が施された用紙束を示す説明図である。
【図12】押しつけ部材の他の実施態様を示す概略構成図である。
【図13】針無綴じ機構を備える画像形成装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<用紙綴じ装置100>
図1は、本実施の形態が適用される用紙綴じ装置100を示す概略構成図である。図1に示す用紙綴じ装置100は、複数枚の用紙Sを束ねてなる用紙束Bを載せるステージ10と、ステージ10に載せられた用紙束Bが挿入される挿入孔20と、ユーザから綴じ処理を実行する指示を受け付けるユーザ・インターフェイス30とを有する。綴じ装置100の各構成部材は、筐体40の内部に収容されている。
【0009】
<針無綴じ機構50の構造>
図2は、針無綴じ機構50及びその周辺部材を示す概略構成図である。図3は、針無綴じ機構50の用紙束Bに綴じ処理を施す部分の拡大斜視図である。図4は、挿入孔20周辺の構造を示す概略構成図である。
図2に示すように、用紙綴じ装置100(図1参照)は、筐体40(図1参照)の内部に、挿入孔20(図1参照)に挿入された用紙束Bの端部に綴じ処理を施す針無綴じ機構50と、用紙綴じ装置100の各構成部材を制御する制御部60と、制御部60に制御され針無綴じ機構50を駆動させる針無綴じモータM1と、制御部60に制御され基台501(後述)の一部を移動させる基台モータM2とを有する。
【0010】
また、図2に示すように、用紙綴じ装置100(図1参照)は、針無綴じモータM1より駆動を受けて回転することで針無綴じ機構50の基部503(後述)に駆動力を伝達する基部側カム70と、この基部側カム70により伝達される駆動力とは反対向きの力を基部503に付与する基部側スプリング80とを有する。
また、図2に示すように、用紙綴じ装置100(図1参照)は、基台モータM2より駆動を受けて回転することで基台501(後述)の一部に駆動力を伝達する基台側カム75と、この基台側カム75により伝達される駆動力とは反対向きの力を基台501の一部に付与する基台側スプリング85とを有する。
【0011】
さらに、用紙綴じ装置100(図1参照)は、用紙束Bにおける綴じ処理を行う位置に応じて針無綴じ機構50を移動させる移動機構(図示せず)と、用紙束Bにおける綴じ処理を行う向き(後述)に応じて針無綴じ機構50を回転させる回転機構(図示せず)とを有する。
【0012】
ここで、針無綴じ機構50は、ステープラ用つづり針(所謂ステープル針)を用いることなく、用紙束Bを構成する用紙Sを変形させることで用紙束Bの端部を綴じる。具体的には、次のように構成されている。
針無綴じ機構50は、対向して配置された基台501と基部503とを有する。図2に示すように基台501に用紙束Bを挟んだ状態で、基部503が基台501に接近(図中F1方向)することにより、用紙束Bを綴じる。
【0013】
図2に示すように、基台501は、固定基台501aと、一端に設けられた回転軸501rを介して固定基台501aと接続される移動基台501bとを有する。
この移動基台501bは、図示の例では基台側カム75と接触して設けられ、基台側カム75が回転することにともない回転軸501rを中心として回転する(図中F4、F5参照)。また、移動基台501bは、回転軸501rを中心として回転した際にも打ち抜き部材505と接触しない寸法で切り欠き501b1が設けられている。
【0014】
また、基台501には、基台501と略平行となるよう配置されている抑え部材502が設けられている。また、図4に示すように、基台501と抑え部材502とは、挿入孔20を挟んで設けられており、挿入孔20に挿入された用紙束Bは、基台501と抑え部材502とに挟まれる。また、図2に示すように、基台501は、基部503に向けて延伸し基台501と一体的に形成された突出部506を有する。
【0015】
図2に示すように、基部503は、用紙束Bに切り込みを入れるブレード504と、用紙束Bを構成する用紙Sに舌部522(後述)を形成し折り曲げ、かつブレード504によって形成された切り込みに舌部522を挿入する打ち抜き部材505と、用紙束Bに押し付けられ折り線525(後述)を形成する押しつけ部材(折り機構)507とを有する。
ブレード504は、基台501と抑え部材502との間に挟まれた用紙束Bに向けて延伸する略長方形の板状部材からなる。具体的には、ブレード504は、略長方形状の面に目穴504aを有し、さらに用紙束Bに接近するに従いその幅が減少する先端部504bを有する。
【0016】
打ち抜き部材505はL字状の屈曲部を有する部材である。打ち抜き部材505の一方の端部は主部505aであり、他方の端部が副部505bである。
また、打ち抜き部材505は、L字状の屈曲部に設けられた主部回転軸505rを有する。この打ち抜き部材505は、主部回転軸505rを中心に回転可能である。より詳細には、主部505aがブレード504側に傾斜可能である。なお、副部505bと基部503との間には、打ち抜き部材505が回転できるよう間隙を有する。
【0017】
ここで、主部505aは基台501に向けて延伸する。さらに、主部505aは、主部回転軸505rが設けられた側とは反対側、すなわち基台501に対向する側に刃部505cを有する。この刃部505cは、舌部522の形状を打ち抜く刃からなる。なお、刃部505cのうちブレード504と対向する側には刃が形成されておらず、後述する一端部522aによって舌部522と用紙Sとが連続するように構成されている。さらに、主部505aは、主部505aの側部、具体的にはブレード504と対向する側に、ブレード504へ向けて延伸する突起505dを有する。
【0018】
図3に示すように、押しつけ部材507は、基台501と抑え部材502(図2参照)との間に挟まれた用紙束Bに向けて延伸する板状部材からなる。この押しつけ部材507は、用紙束Bを挟んで、基台501の回転軸501rと略平行に設けられる。図示の例においては、押しつけ部材507は、用紙束Bに接近するに従いその厚みが薄くなる先端部507aを有する。詳しくは後述するが、この先端部507aに沿って用紙束Bに折り線525が形成される。また、押しつけ部材507は、スプリング509を介して基部503に接続されている。
【0019】
図4に示すように、用紙綴じ装置100(図1参照)は、挿入孔20の周囲に配置され、用紙束Bが挿入孔20に挿入されていることを検知する用紙束検知センサ201を有する。この用紙束検知センサ201は、図示の例では、挿入された用紙束Bの上面に対向する位置に設けられる。
【0020】
<用紙綴じ装置100の動作>
さて、図1乃至図5を参照しながら、用紙綴じ装置100が綴じ処理を行う動作を説明する。ここで、図5は、針無綴じ機構50によって綴じられる部分を示す説明図である。より詳細には、図5(a)はスリット521、舌部522、及び折り線525の位置関係を示す説明図であり、図5(b)はスリット521及び舌部522が形成されている状態を示す説明図であり、図5(c)は折り線525が形成されている状態を示す説明図であり、図5(d)は形成された綴じ部分51と折り線525とを示す説明図である。なお、図5(b)及び図5(c)では打ち抜き部材505を図示していない。
【0021】
本実施の形態においては、ユーザ・インターフェイス30がユーザによる操作により綴じ処理を実行する指示を受け付ける。また、用紙束検知センサ201が挿入孔20に用紙束Bが挿入されたこと(図1矢印参照)を検知する。そして、制御部60が、ユーザ・インターフェイス30からの指示に関する信号、及び用紙束検知センサ201からの検知に関する信号を受けることにより、綴じ動作が開始される。
【0022】
具体的には、制御部60(図2参照)からの信号を受けて、移動機構(図示せず)と回転機構(図示せず)とが、用紙束Bにおける綴じ処理を施す位置及び向きに針無綴じ機構50を移動させる。
この位置において、図2に示すように、針無綴じモータM1が駆動し、基部側カム70を回転させる。このことにより基部503が基台501に接近し(図中F1方向)、ブレード504の先端部504bと、打ち抜き部材505の刃部505cとが用紙束Bを貫通する。そして、図5(a)に示すように、用紙束Bを構成するそれぞれの用紙Sに、スリット(切り込み)521と、一端部522aを残して用紙Sが打ち抜かれた舌部522とが形成される。
【0023】
そして、図2に示すように、基部側カム70が回転して基部503を更に押下すると、打ち抜き部材505の副部505bが、基台501に一体に形成された突出部506に突き当たり、打ち抜き部材505が、主部回転軸505rを中心に、図2において時計周りに回転する。これにより、主部505aがブレード504側に傾斜し、打ち抜き部材505の突起505dがブレード504に接近する。そして、打ち抜き部材505の突起505dが、図5(b)に示すように、舌部522を折り曲げ、ブレード504の目穴504aに向けて図中F2方向に押し込む。この状態において、針無綴じモータM1が停止する。
【0024】
一方、基部503が基台501に接近する(図中F1方向)ことにともない、押しつけ部材507の先端部507aが、用紙束Bに対して押しつけられる(図5(b)参照)。このことにより、押しつけ部材507が用紙束Bを抑えている状態となる。そして、基台モータM2(図2参照)が駆動し、基台側カム75(図2参照)を回転させる。このことにより、移動基台501bが回転軸501rを中心として回転し(図5(c)F4参照)、押しつけ部材507の先端部507aを支点としながら用紙束Bが折られる。この押しつけ部材507の先端部507aによって抑えられている用紙束Bの部分が、折り線525となる(図5(a)参照)。
【0025】
そして、基台側カム75(図2参照)がさらに回転することに伴い、基台側スプリング85による力を受けながら移動基台501bが逆方向へ回転し(図5(c)F5参照)、用紙束Bが折られた状態から平坦な状態へ戻る。なお、このとき押しつけ部材507は用紙束Bを抑えている状態である。
【0026】
次に、押しつけ部材507が用紙束Bを抑え込みながら、針無綴じモータM1が再び駆動する。図2に示すように、基部側カム70がさらに回転し下死点を通過した後は、基部側スプリング80による力を受けながら基部503が基台501から離れる方向に移動する(図2F3参照)。基部503が図中F3方向に上昇すると、舌部522がブレード504の目穴504aに引っ掛かった状態で上昇する。そして、図5(d)に示すように、スリット521に舌部522が挿入(織り込み)され、用紙束Bが綴じられる。
【0027】
ここで、図5(d)に示すように、綴じ処理を施された用紙束Bには、舌部522が打ち抜かれた箇所に綴じ穴(開口部)523が形成されている。本実施の形態においては、スリット521、舌部522、及び綴じ穴523を綴じ処理が施された部分(綴じ部分)51とする。
なお、図示の例のように押しつけ部材507が用紙束Bを抑え込みながら綴じ処理を施すことにより、綴じ処理に伴い用紙束Bにおける用紙Sの位置がずれることが抑制される。また、舌部522が折り曲げられブレード504の目穴504aに押し込まれた後に、用紙束Bが折られ折り線525が形成されることにより、折り線525が形成されることにともない用紙Sの位置がずれることが抑制される。
【0028】
また、ここでは、舌部522を折り曲げブレード504の目穴504aに向けて押し込み、針無綴じモータM1を一旦停止させた状態で、移動基台501bを回転させて折り線525を形成したが、これに限定されない。
例えば、用紙束Bに、スリット521と舌部522とを形成した後であって舌部522を折り曲げブレード504の目穴504aに向けて押し込む前に折り線525を形成してもよい。あるいは、針無綴じモータM1を一旦停止させることなく移動基台501bを回転させて折り線525を形成してもよい。さらに、スリット521に舌部522が挿入され綴じ部分51が形成された後に折り線525を形成してもよい。
【0029】
<綴じ処理が施された用紙束B>
図6及び図7を参照しながら、綴じ処理が施された用紙束Bについて説明する。ここで、図6は、綴じ処理が施された用紙束Bを示す概略図である。図7は、綴じ処理が施された用紙束Bの他の例を示す概略図である。
用紙綴じ装置100(図1参照)は、ブレード504及び打ち抜き部材505(図2参照)と、押しつけ部材507(図2参照)との位置関係を変更してそれぞれの部材を設けることにより、用紙束Bに形成される綴じ部分51と折り線525との位置関係(角度)が変更される。
【0030】
また、用紙綴じ装置100(図1参照)は、移動機構(図示せず)によって針無綴じ機構50(図2参照)の位置を移動させることにより、用紙束Bにおける綴じ部分51の位置が変更される。さらに、移動機構(図示せず)によって針無綴じ機構50の位置を移動させるとともに綴じ動作を繰り返すことにより、1つの用紙束Bにおける綴じ部分51の数が変更される。さらにまた、回転機構(図示せず)によって針無綴じ機構50の向きを回転させることにより、用紙束Bに対する綴じ部分51及び折り線525の角度が変更される。
【0031】
綴じ部分51及び折り線525が形成された用紙束Bは、例えば次のような態様となる。
すなわち、図6(a)に示すように、用紙束Bの角部において、1つの綴じ部分51を斜めに形成することで綴じ処理を施す態様がある。この綴じ処理が施された用紙束Bの角部において、用紙束Bにおける綴じ部分51と交差する向きに折り線525が形成される。この折り線525は、綴じ穴523のスリット521側端部(舌部522の一端部522a)を通過する位置に形成されている。
また、図6(b)に示すように、図6(a)と同様に用紙束Bの角部に1つの綴じ部分51を斜めに形成する態様であって、折り線525が綴じ穴523のスリット521側とは反対側の端部を通過する位置に形成される態様がある。
【0032】
また、図6(c)に示すように、用紙束Bを構成する用紙Sの長辺に沿って、2つの綴じ部分51を形成することで綴じ処理を施す態様がある。この2つの綴じ部分51は、綴じ部分51の長手方向が、用紙Sの長辺と交差する向きに形成されている。また、この綴じ処理が施された用紙束Bの端部に沿って折り線525が形成される。この折り線525は、綴じ穴523のスリット521側端部(舌部522の一端部522a)を通過する位置に形成されている。
また、図6(d)に示すように、図6(c)と同様に用紙束Bを構成する用紙Sの長辺に沿って2つの綴じ部分51を形成する態様であって、折り線525が綴じ穴523のスリット521側とは反対側の端部を通過する位置に形成される態様がある。
【0033】
また、図7(a)に示すように、用紙の中央線に沿って2つの綴じ部分51を形成することで綴じ処理を施す態様がある。この綴じ処理が施された用紙束Bの中央線に沿ってかつそれぞれの綴じ部分51と交差する向きに折り線525が形成される。この折り線525は、綴じ穴523のスリット521側端部(舌部522の一端部522a)を通過する位置に形成されている。
ここで、図7(a)に示す用紙束B全体を折り線525に沿って折ると、図7(b)に示すように、所謂冊子(ブックレット)状となる。さらに、図7(b)に示す例において、スリット521に挿入された舌部522の先端を冊子の内側とし、舌部522の位置と、綴じ穴523の位置とが重なるよう折ると、冊子状の用紙束Bにおいて綴じ部分51が膨らんだ状態となることが抑制される。
【0034】
また、図7(c)に示すように、用紙束Bを構成する用紙Sの長辺に沿って、2つの綴じ部分51を形成することで綴じ処理を施す態様がある。この2つの綴じ部分51は、綴じ部分51の長手方向が、用紙Sの長辺に沿う向きに形成されている。この綴じ処理が施された用紙束Bの端部に沿って折り線525が形成される。この折り線525は、綴じ穴523の長手方向に沿って形成されている。
【0035】
さて、用紙束Bの用紙Sにおける折り線525が形成されている部分は、用紙Sにおける折り線525以外の部分よりも、より折れやすい状態である。したがって、綴じ処理が施された用紙束Bの用紙Sをユーザが捲った場合、捲られた用紙Sが折り線525に沿って折れるようになる。例えばユーザによって用紙Sが摘まれながら用紙Sが徐々に捲られる(開かれる)が、用紙Sが捲られる側(ユーザに摘まれている部分側、用紙Sの中央部側)からみて折り線525を超えた部分まで用紙Sが捲られることが抑制される。
【0036】
したがって、図6(a)乃至図6(d)、図7(c)及び(d)に示すように、用紙Sが捲られる側(用紙Sの中央部側)からみて折り線525を超えた部分に綴じ部分51が配置される場合、言い替えると用紙Sにおいて捲られる側と綴じ部分51とが折り線525を挟んで配置される場合には、次のようになる。すなわち、折り線525が形成されていない場合と比較して、用紙Sが捲られることにともない綴じ部分51の舌部522がスリット521から抜けることや、舌部522やスリット521の周囲がちぎれ(切断され)綴じ部分51が破損することが抑制される。
付言すると、針無綴じ機構50(図2参照)によって折り線525を形成することにより、ユーザが用紙Sを捲る際に自ら用紙束Bに折り目を付けることが不要となる。したがって、ユーザによる折り目を付ける行為自体で、綴じ部分51の舌部522がスリット521から抜けたり、綴じ部分51が破損したりすることが抑制される。
【0037】
なお、図6(c)、図6(d)、図7(c)に示すように、用紙Sの端部に沿って2つの綴じ部分51を形成し、かつ綴じ穴523が外部から視認される態様の場合、綴じ部分51の間隔を調整することで、図7(d)に示すように、綴じ穴523に2孔ファイルの綴じ具530を通し得る。したがって、綴じ処理を施した用紙束Bに別途パンチ孔を形成することなく、用紙束Bをファイル綴じし得る。
【0038】
<綴じ部分51と折り線525との位置関係>
ここで、図4、図6、図7、及び図8を参照しながら、綴じ部分51と折り線525との位置関係についてさらに説明する。ここで、図8は、綴じ部分51と折り線525との位置関係を示す概略構成図である。
まず、図5(d)に示すように、綴じ部分51の舌部522は、折り曲げられスリット521に挿入される。この舌部522が配置されている部分においては、もともと用紙束B(図1参照)を構成する用紙Sが重なっている状態に、さらに用紙Sが重なっている舌部522が配置されるため、用紙Sの枚数が他の部分よりも多くなる。
【0039】
図示の例においては、舌部522が配置されている部分における用紙Sの枚数は、他の部分における用紙Sの枚数の2倍となる。この舌部522が配置され2倍の用紙Sが重なる部分は、他の部分と比較して、折り線525を形成することが困難である。また、仮に舌部522が配置されている部分を折ろうとすると、舌部522に力が加わることにより舌部522がスリット521から抜け得る。したがって、本実施の形態においては、図6及び図7に示すように、舌部522がある部分以外において、折り線525を形成する。
【0040】
ここで、折り線525は、綴じ部分51の近傍に形成される。具体的には、図6(a)乃至図6(d)に示すように、綴じ部分51の長手方向と折り線525とが交差する向きとなる場合には、折り線525は舌部522よりも用紙Sの中央部側に形成される。より具体的には、折り線525は綴じ穴523を通過する位置に形成される。
折り線525が綴じ穴523を通過する態様としては、図8(a)に示すように、折り線525が綴じ穴523のスリット521側端部(舌部522の一端部522a)を通過する位置に形成される態様がある。また、図8(b)に示すように、折り線525が、綴じ穴523のスリット521側端部(舌部522の一端部522a)と綴じ穴523のスリット521側とは反対側の端部との間を通過する位置に形成される態様がある。また、図8(c)に示すように、折り線525が綴じ穴523のスリット521側とは反対側の端部を通過する位置に形成される場合がある。
【0041】
ここで、折り線525が綴じ穴523のスリット521側端部(舌部522の一端部522a)を通過する位置(図8(a)参照)よりも用紙Sの端部Sa側に形成された場合、舌部522が配置されることにより他の部分の2倍の用紙Sが重なる部分を折ることになる。この場合、折り線525を形成することが困難であり、かつ舌部522がスリット521から抜け得る。さらに、そもそも折り線525を形成することによって舌部522等が切断され綴じ部分51が破損することを抑制するのが困難となる。
【0042】
なお、折り線525が綴じ穴523のスリット521から離れた位置に形成されると、綴じられた用紙束Bを捲った際(開いた際)に、用紙Sにおける視認可能な面積が小さくなる。
また、綴じ穴523を通過する位置において折り線525を形成する場合は、用紙Sが切り欠かれている部分を有することから、綴じ穴523が形成されていない部分に折り線525を形成する場合と比較して、より小さな力で折り線525を形成し得る。
【0043】
さて、図6及び図8(a)乃至図8(c)においては、用紙Sの端部Sa側にスリット521に挿入された舌部522が配置され、かつ用紙Sの中央部側に綴じ穴523が配置される構成について説明したがこれに限定されない。
ここで、図8(d)に示すように、用紙Sの端部Sa側に綴じ穴523が配置され、かつ用紙Sの中央部側にスリット521に挿入された舌部522が配置される構成において説明をする。図8(d)に示すように、スリット521に挿入された舌部522よりも用紙Sの中央部側に折り線525が形成される。この位置に折り線525が形成されることにより、用紙Sが中央部側から捲られることにともない舌部522がスリット521から抜けることや、舌部522やスリット521の周囲が切断され綴じ部分51が破損することが抑制される。
【0044】
<他の実施態様1>
ここで、図9を参照しながら、他の実施態様について説明をする。なお、図9は、他の実施態様における針無綴じ機構500及びその周辺部材を示す概略構成図である。より詳細には、図9(a)は針無綴じ機構500及びその周辺部材の正面図であり、図9(b)は針無綴じ機構500及びその周辺部材の底面図である。
【0045】
本実施態様における針無綴じ機構500は、基部503に設けられ用紙束Bを構成する用紙Sに舌部522を形成する打ち抜き部材515を有する。この打ち抜き部材515は、基台501に対向する側に刃部515cを有する。なお、刃部515cのうちブレード504と対向する側には刃が形成されておらず、一端部522a(図5(d)参照)によって舌部522(図5(d)参照)と用紙Sとが連続するように構成されている。
また、打ち抜き部材515の内部に設けられ、舌部522をブレード504の目穴504aに向けて押し込む押し込み機構515dを有する。この押し込み機構515dは、一端に設けられた回転軸515rを有する。押し込み機構515dは、回転軸515rを中心に回転可能である。
【0046】
また、針無綴じ機構500は、打ち抜き部材515の内部に設けられ、押し込み機構515dを押圧する押圧部516を有する。
また、針無綴じ機構500は、打ち抜き部材515のブレード504と対向する側に押しつけ部材517を有する。押しつけ部材517は、用紙束Bに接近するに従いその厚みが薄くなる先端部517aを有する。
【0047】
さらに、本実施態様においては、針無綴じモータM1より駆動を受けて回転することで基部503を移動させる第1基部側カム701が設けられる。また、針無綴じモータM1より駆動を受けて回転することで押圧部516を押し込み機構515dに向けて移動させる第2基部側カム703が設けられる。図示の例においては、第1基部側カム701と第2基部側カム703とが共通のシャフト705に備えられ、このシャフト705が針無綴じモータM1より駆動を受けて回転する。なお、図示のように第2基部側カム703は、第1基部側カム701よりも押し込み量が大きい。
【0048】
次に、図9及び図10を参照しながら、本実施の態様の綴じ動作について説明をする。ここで、図10は、他の実施態様における針無綴じ機構500の綴じ動作を示す説明図である。なお、図10(a)の用紙Sに破線で示されたスリット521と舌部522とは、切り込み予定線である。
図9(a)に示すように、針無綴じモータM1が駆動し、第1基部側カム701及び第2基部側カム703が設けられたシャフト705を回転させる。このことにより第1基部側カム701より駆動を受ける基部503が基台501に接近する(図中F1方向)。そして、ブレード504の先端部504bと、打ち抜き部材515の刃部515cとが用紙束Bを貫通する。そして、図10(a)に示すように、用紙束Bを構成するそれぞれの用紙Sに、スリット(切り込み)521と、一端部522aを残して用紙Sが打ち抜かれた舌部522とが形成される。
【0049】
ブレード504の先端部504bと、打ち抜き部材515の刃部515cとが用紙束Bを貫通した後に、第2基部側カム703がさらに回転し、押圧部516を押し込み機構515dに向けて移動させる(図10(a)中F1方向)。このことにより、押し込み機構515dは押し込み機構515dの一端に設けられた回転軸515rを中心に回転し、押し込み機構515dの他端が、打ち抜かれた舌部522をブレード504の目穴504aに向けて押し込む(図9(a)及び図10(b)中F2方向)。この状態において、針無綴じモータM1が停止する。
【0050】
ここで、基部503が基台501に接近する(図10(a)中F1方向)ことにともない、押しつけ部材517の先端部517aが、用紙束Bに対して押しつけられる(図10(b)参照)。そして、基台モータM2(図9参照)により基台側カム75(図9参照)を回転し、移動基台501bが回転する(図10(b)中F4参照)。このことにより、押しつけ部材517の先端部517aを支点としながら用紙束Bが折られる。また、基台側カム75(図9参照)がさらに回転することに伴い、移動基台501bが逆方向へ回転し、用紙束Bが折られた状態から平坦な状態へ戻る。なお、このとき押しつけ部材517は用紙束Bを抑えている状態である。
【0051】
次に、押しつけ部材517が用紙束Bを抑え込みながら、針無綴じモータM1が再び駆動する。第1基部側カム701及び第2基部側カム703がさらに回転し下死点を通過した後は、基部側スプリング80による力を受けながら基部503が基台501から離れる方向に移動し、スリット521に舌部522が挿入(織り込み)される。
【0052】
<他の実施態様2>
上述の実施態様においては、針無綴じ機構50(及び針無綴じ機構500)がスリット521及び舌部522を形成しながら綴じる構成を説明したが、これに限定されない。ここで、図11を参照しながら針無綴じ機構50は別の態様であってもよいことを説明する。なお、図11は、他の実施態様により針無綴じ処理が施された用紙束Bを示す説明図である。
【0053】
図11に示すように、用紙束Bを構成する用紙Sに矢印形切り込み(舌部)511を形成する。この矢印形切り込み511は、柄側の端部511aが用紙Sと連続するよう残して打ち抜かれている。この矢印形切り込み511を立ち上げ、立ち上げた矢印形切り込み511とその抜き穴とが掛かり合うことによって用紙束Bを綴じるものである。
ここで、図11に示す例においては、立ち上げた矢印形切り込み511を通過しない位置に折り線525が形成される。折り線525を形成することにともない立ち上げた矢印形切り込み511が用紙束Bに押し込まれ、綴じが解放される(用紙Sがばらける)ことが抑制される。具体的には、図11に示す例において、矢印形切り込み511の柄側の端部511aを通過する位置に折り線525が形成される。この実施態様において、折り線525は矢印形切り込み511よりも用紙Sの中央部側に配置される。このことにより、用紙Sが中央部側から捲られる際に、折り線525を超えて用紙Sが捲られることが抑制され、矢印形切り込み511による綴じが解放される(用紙Sがばらける)ことが抑制される。
【0054】
<他の実施態様3>
ここで、図8及び図12を参照しながら、他の実施態様について説明をする。なお、図12は、押しつけ部材507の他の実施態様を示す概略構成図である。
まず、上述の実施態様においては、押し付け部材507は、1つの部材として説明したが、これに限定されない。例えば、図8(b)に示すように、折り線525が、綴じ穴523のスリット521側端部と綴じ穴523のスリット521側とは反対側の端部との間を通過する位置に形成される場合、押し付け部材507は、打ち抜き部材505を挟んで配置される2つの部材から構成されてもよい。例えば、図12(a)のように、第1ブレード514a及び第2ブレード514bが打ち抜き部材505を挟んで配置され、第1ブレード514a及び第2ブレード514bがそれぞれスプリング519a、519bを介して基部503(図2参照)に接続されている。
【0055】
また、上述の実施態様においては、折り線525は押し付け部材507を押しつけることにより形成されると説明したが、これに限定されない。例えば、図12(b)に示すように、用紙束Bに押しつけられながら回転し折り線525を形成するローラブレード5071を有する構成であってもよい。
この態様において、針無綴じ機構50は、ローラブレード5071を回転可能に保持するホルダ5072と、基台501に挟まれた用紙束Bの面に沿って設けられホルダ5072が取り付けられる送りネジ5073とを有する。
図示しない駆動源から駆動を受け送りネジ5073が回転することにより、ホルダ5072によって保持されたローラブレード5071が用紙束B上を回転しながら移動し、折り線525を形成する。
【0056】
あるいは、例えば、図12(c)に示すように、折り線525ではなく、ミシン目として形成するミシン目カッタ5075を有する構成であってもよい。
この態様において、ミシン目は、上述の折り線525を形成する場合と同様に、その位置において用紙Sを折り易くする。このミシン目カッタ5075は、山形の刃が連続して形成されているとともに、スプリング519cを介して基部503(図2参照)に接続されている。
基部503が基台501(図2参照)に接近することに伴い、用紙束Bに対してミシン目カッタ5075の刃が押しつけられ、ミシン目が形成される。
【0057】
<画像形成装置200>
次に、上述の各実施態様においては、用紙綴じ装置100が針無綴じ機構50(及び針無綴じ機構500)を備える構成として説明したが、これに限定されない。例えば、用紙Sに画像を形成する機構が設けられた画像形成装置が、針無綴じ機構50を備える構成であってもよく、あるいは、原稿の画像を読み取るための機構が設けられた画像読取装置が針無綴じ機構50を備える構成であってもよい。
【0058】
ここでは、図13を参照しながら、針無綴じ機構250を備える画像形成装置200を説明する。なお、図13は、針無綴じ機構250を備える画像形成装置200を示す概略図である。
図13に示す画像形成装置200は、例えば、電子写真方式によって画像を形成するプリンタや複写機等の画像形成部202と、画像形成部202によって例えばトナー像が形成された用紙Sに後処理を施す用紙処理部203とを備えている。
【0059】
画像形成部202は、画像が形成される用紙Sを供給する用紙供給部206と、用紙供給部206から供給された用紙Sに画像を形成する画像形成機構205とを備える。また、画像形成部202は、ユーザから綴じ処理に関する情報を受け付けるユーザ・インターフェイス290を備えている。
用紙処理部203は、画像形成部202から出力された用紙Sを更に下流側に搬送する搬送装置210と、例えば用紙Sを集めて束ねるコンパイル用積載部235や針無綴じ機構250などを含む後処理装置230とを備えている。また、図示の例における用紙処理部203は、画像形成装置200全体を制御する制御部280を備えている。
【0060】
用紙処理部203の後処理装置230は、搬送装置210から搬送される用紙Sをさらに下流側へ搬送する搬送ロール(用紙供給機構)215と、搬送ロール215から搬送される用紙Sを複数枚集めて収容するコンパイル用積載部(用紙束形成機構)235を備えている。このコンパイル用積載部235は、コンパイル用積載部235に沿って落下する用紙Sの進行方向先端を揃えるエンドガイド235bと、後述するようにエンドガイド235bが回転する際の回転の中心となる回転軸235cとを備える。
【0061】
また、後処理装置230は、コンパイル用積載部235に集積された用紙束Bの端部を綴じる針無綴じ機構250を有する。この実施の態様における針無綴じ機構250は、図2に示された針無綴じ機構50と同様に構成されている。
後処理装置230は、順方向または逆方向に回転することにより、綴じられた用紙束Bを搬送するイジェクト(eject)ロール239を備えている。このイジェクトロール239は、順方向に回転しコンパイル用積載部235に沿ってさらに落下する方向に用紙束Bを搬送するか、あるいは逆方向に回転しコンパイル用積載部235に沿って上昇する方向に用紙束Bを搬送する。
後処理装置230は、イジェクトロール239が逆方向に回転することにより搬送された用紙束Bを後処理装置230の外側へ排出するための第1開口部269を備える。そして、第1開口部269から排出された用紙束Bをユーザが取りやすいようにして積み重ねる第1積載部270を備える。
【0062】
また、後処理装置230は、イジェクトロール239が順方向に回転することにより搬送された用紙束Bを折る折り機構275を有する。この折り機構275は、用紙束Bが搬送される搬送経路に突出するように移動する折りナイフ275aを有する。また、後処理装置230は、折りナイフ275aによって折りが開始された用紙束Bを挟み込む折りロール277を有する。
後処理装置230は、折り機構275及び折りロール277によって折られた用紙束Bを後処理装置230の外側へ排出するための第2開口部272を備える。そして、第2開口部272から排出された用紙束Bをユーザが取りやすいようにして積み重ねる第2積載部271を備える。
【0063】
<画像形成装置200の動作>
次に、画像形成装置200の動作を説明する。
まず、画像形成装置200の画像形成機構205によって1番目の用紙Sにトナー像が形成される。トナー像が形成された1番目の用紙Sは、搬送装置210を介して1枚ごとに後処理装置230に供給される。そして、後処理装置230のコンパイル用積載部235に1番目の用紙Sが受け入れられる。この1番目の用紙Sに続く、画像形成機構205によってトナー像が形成された2番目以降の用紙Sが、それぞれ順に後処理装置230に供給される。このようにすることで、予め設定された枚数の用紙Sをコンパイル用積載部235に収容し、各用紙Sの端部を揃えて、用紙束Bを形成する。
【0064】
次に、針無綴じ機構250によって、コンパイル用積載部235に積載された用紙束Bの端部を綴じるとともに、用紙束Bに折り線525(図5(d)参照)を形成する。折り線525が形成された用紙束Bは、イジェクトロール239が逆方向に回転することにより、コンパイル用積載部235から排出される。そして、用紙束Bは第1開口部269を通って、第1積載部270へと排出される。
【0065】
ここで、本実施の態様においては、針無綴じ機構250によって、用紙束Bに折り線525を形成することの代替として次のように動作し得る。すなわち、針無綴じ機構250によって用紙束Bに折り線525を形成せずに、別途用紙束折り機構275及び折りロール277によって用紙束Bに折り線525を形成する。
具体的には、コンパイル用積載部235に各用紙Sの端部を揃えて収容し、用紙束Bを形成する。そして、針無綴じ機構250によって、コンパイル用積載部235に積載された用紙束Bの端部を綴じる。なお、針無綴じ機構250によって綴じ処理が施される際に例えば基台モータM2(図2参照)を駆動させないことなどにより、用紙束Bに折り線525を形成しない。
【0066】
次に、回転軸235cを中心としてエンドガイド235bが用紙束Bから遠ざかる方向(図13中矢印参照)に回転するとともに、イジェクトロール239が順方向し、綴じ処理が施された用紙束Bがコンパイル用積載部235から排出される。そして、下流側へと搬送された用紙束Bは、折り機構275及び折りロール277によって、折り線525が形成される。折り線525が形成された用紙束Bは、第2開口部272を通って、第2積載部271へと排出される。
【0067】
さて、針無綴じ機構250ではなく、用紙束折り機構275及び折りロール277によって用紙束Bに折り線525を形成する場合としては、例えば、図7(a)及び図7(b)に示すように用紙Sの中央部を折る場合がある。用紙Sの中央部を折る場合は、用紙束折り機構275及び折りロール277によって折り線525を形成する場合に回転軸501rを中心として回転する移動基台501bが動くために必要な空間が抑制され、綴じ機構250が小型化、簡略化される。
【0068】
さらに、他の代替例として、針無綴じ機構250ではなく、用紙S一枚ずつに折り線525を形成した後に、コンパイル用積載部235に用紙Sを積載してもよい。具体的には、コンパイル用積載部235よりも上流の用紙搬送経路に、折り線525を形成する折り線形成機構(図示せず)を設けてもよい。折り線形成機構としては、例えば、搬送される用紙Sに押しつけられながら回転することで用紙Sに折り線525を形成するローラブレード(図示せず)を設けてもよい。このことにより針無綴じ機構250の構成が簡略化される。
【0069】
また、用紙S一枚ずつに折り線525を形成する場合、用紙束Bを構成する用紙S全てに折り線525を形成する態様や、用紙束Bを構成する一部の用紙Sにのみ折り線525を形成する態様がある。例えば、用紙束Bを構成する一部の用紙Sにのみ折り線525を形成する態様としては、用紙束Bの表面側の用紙Sにのみ折り線525を形成する。なお、用紙S一枚ずつに形成される折り線525は、ミシン目であってもよい(図12(c)参照)。
【符号の説明】
【0070】
20…挿入孔、50…針無綴じ機構、51…綴じ部分、70…基部側カム、75…基台側カム、100…用紙綴じ装置、501…基台、501b…移動基台、501r…回転軸、503…基部、504…ブレード、505…打ち抜き部材、507…押し付け部材、521…スリット、522…舌部、525…折り線、B…用紙束、S…用紙
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙綴じ装置、後処理装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成システムとして、シート束に綴じ処理を行う複数の綴じ手段、例えば接着剤塗布手段、半抜き綴じ手段、ステープル綴じ手段、仮綴じ手段等を備えるものが存在する(特許文献1参照)。
また、綴じ機として、重ね合わせた複数枚の用紙をステージと切込刃及び抜き刃とによって切り起こした切起片を用いてそれら複数枚の用紙を相互に接合して綴じ得るものであって、複数枚の用紙を相互に接合させた接合部分を厚み方向に圧縮変形し得る後述する圧縮機構を具備するものが存在する(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3885410号明細書
【特許文献2】特開2010−137551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、舌部を切り込みに挿入することによって綴じられる部分に与える影響を抑制しながら用紙束に折り目を形成する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、用紙束に切り込みを形成し、かつ当該用紙束の一部を予め定めた形状に切ることにより一方の端部が当該用紙束と連続する部分を残す舌部を当該用紙束に形成するとともに、当該舌部を折り当該舌部の他方の端部を当該切り込みに挿入し当該用紙束を綴じる綴じ機構と、前記綴じ機構により前記切り込みに挿入される前記舌部と重ならない位置において前記用紙束に折り目をつける折り機構とを有することを特徴とする用紙綴じ装置である。
請求項2記載の発明は、前記折り機構は、前記切り込みに挿入される前記舌部よりも前記用紙束の用紙における中央側に前記折り目をつけることを特徴とする請求項1記載の用紙綴じ装置である。
請求項3記載の発明は、前記折り機構は、前記舌部を形成することに伴い開口する開口部にかかる位置に前記折り目をつけることを特徴とする請求項1または2記載の用紙綴じ装置である。
請求項4記載の発明は、前記折り機構により形成された前記折り目は、当該折り目に沿って前記用紙束を折り畳んだ際に、前記切り込みに挿入される前記舌部の先端が当該舌部を形成することに伴い開口する開口部に配置される位置であることを特徴とする請求項1記載の用紙綴じ装置である。
請求項5記載の発明は、用紙を供給する用紙供給機構と、前記用紙供給機構から供給された複数枚の用紙を束ねて用紙束を形成する用紙束形成機構と、前記用紙束に切り込みを形成し、かつ当該用紙束の一部を予め定めた形状に切ることにより一方の端部が当該用紙束と連続する部分を残す舌部を当該用紙束に形成するとともに、当該舌部を折り当該舌部の他方の端部を当該切り込みに挿入し当該用紙束を綴じる綴じ機構と、前記綴じ機構により前記切り込みに挿入される前記舌部と重ならない位置において前記用紙束に折り目をつける折り機構とを有することを特徴とする後処理装置である。
請求項6記載の発明は、用紙に画像を形成する画像形成機構と、前記画像形成機構によって画像が形成された複数枚の用紙を束ねて用紙束を形成する用紙束形成機構と、前記用紙束に切り込みを形成し、かつ当該用紙束の一部を予め定めた形状に切ることにより一方の端部が当該用紙束と連続する部分を残す舌部を当該用紙束に形成するとともに、当該舌部を折り当該舌部の他方の端部を当該切り込みに挿入し当該用紙束を綴じる綴じ機構と、前記綴じ機構により前記切り込みに挿入される前記舌部と重ならない位置において前記用紙束に折り目をつける折り機構とを有することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、舌部を切り込みに挿入することによって綴じられる部分に与える影響を抑制しながら用紙束に折り目を形成することができる。
請求項2記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、用紙束の用紙が中央部側から捲られることにともない綴じられた部分が解放されることを抑制することができる。
請求項3記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、より容易に用紙束に折り目を形成することができる。
請求項4記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、折り目に沿って用紙束を折り畳んだ際に、綴じられた部分の厚みを抑制することができる。
請求項5記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、舌部を切り込みに挿入することによって綴じられる部分に与える影響を抑制しながら用紙束に折り目を形成することができる。
請求項6記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、舌部を切り込みに挿入することによって綴じられる部分に与える影響を抑制しながら用紙束に折り目を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施の形態が適用される用紙綴じ装置を示す概略構成図である。
【図2】針無綴じ機構及びその周辺部材を示す概略構成図である。
【図3】針無綴じ機構の用紙束に綴じ処理を施す部分の拡大斜視図である。
【図4】挿入孔周辺の構造を示す概略構成図である。
【図5】針無綴じ機構によって綴じられる部分を示す説明図である。
【図6】綴じ処理が施された用紙束を示す概略図である。
【図7】綴じ処理が施された用紙束の他の例を示す概略図である。
【図8】綴じ部分と折り線との位置関係を示す概略構成図である。
【図9】他の実施態様における針無綴じ機構及びその周辺部材を示す概略構成図である。
【図10】他の実施態様における針無綴じ機構の綴じ動作を示す説明図である。
【図11】他の実施態様により針無綴じ処理が施された用紙束を示す説明図である。
【図12】押しつけ部材の他の実施態様を示す概略構成図である。
【図13】針無綴じ機構を備える画像形成装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<用紙綴じ装置100>
図1は、本実施の形態が適用される用紙綴じ装置100を示す概略構成図である。図1に示す用紙綴じ装置100は、複数枚の用紙Sを束ねてなる用紙束Bを載せるステージ10と、ステージ10に載せられた用紙束Bが挿入される挿入孔20と、ユーザから綴じ処理を実行する指示を受け付けるユーザ・インターフェイス30とを有する。綴じ装置100の各構成部材は、筐体40の内部に収容されている。
【0009】
<針無綴じ機構50の構造>
図2は、針無綴じ機構50及びその周辺部材を示す概略構成図である。図3は、針無綴じ機構50の用紙束Bに綴じ処理を施す部分の拡大斜視図である。図4は、挿入孔20周辺の構造を示す概略構成図である。
図2に示すように、用紙綴じ装置100(図1参照)は、筐体40(図1参照)の内部に、挿入孔20(図1参照)に挿入された用紙束Bの端部に綴じ処理を施す針無綴じ機構50と、用紙綴じ装置100の各構成部材を制御する制御部60と、制御部60に制御され針無綴じ機構50を駆動させる針無綴じモータM1と、制御部60に制御され基台501(後述)の一部を移動させる基台モータM2とを有する。
【0010】
また、図2に示すように、用紙綴じ装置100(図1参照)は、針無綴じモータM1より駆動を受けて回転することで針無綴じ機構50の基部503(後述)に駆動力を伝達する基部側カム70と、この基部側カム70により伝達される駆動力とは反対向きの力を基部503に付与する基部側スプリング80とを有する。
また、図2に示すように、用紙綴じ装置100(図1参照)は、基台モータM2より駆動を受けて回転することで基台501(後述)の一部に駆動力を伝達する基台側カム75と、この基台側カム75により伝達される駆動力とは反対向きの力を基台501の一部に付与する基台側スプリング85とを有する。
【0011】
さらに、用紙綴じ装置100(図1参照)は、用紙束Bにおける綴じ処理を行う位置に応じて針無綴じ機構50を移動させる移動機構(図示せず)と、用紙束Bにおける綴じ処理を行う向き(後述)に応じて針無綴じ機構50を回転させる回転機構(図示せず)とを有する。
【0012】
ここで、針無綴じ機構50は、ステープラ用つづり針(所謂ステープル針)を用いることなく、用紙束Bを構成する用紙Sを変形させることで用紙束Bの端部を綴じる。具体的には、次のように構成されている。
針無綴じ機構50は、対向して配置された基台501と基部503とを有する。図2に示すように基台501に用紙束Bを挟んだ状態で、基部503が基台501に接近(図中F1方向)することにより、用紙束Bを綴じる。
【0013】
図2に示すように、基台501は、固定基台501aと、一端に設けられた回転軸501rを介して固定基台501aと接続される移動基台501bとを有する。
この移動基台501bは、図示の例では基台側カム75と接触して設けられ、基台側カム75が回転することにともない回転軸501rを中心として回転する(図中F4、F5参照)。また、移動基台501bは、回転軸501rを中心として回転した際にも打ち抜き部材505と接触しない寸法で切り欠き501b1が設けられている。
【0014】
また、基台501には、基台501と略平行となるよう配置されている抑え部材502が設けられている。また、図4に示すように、基台501と抑え部材502とは、挿入孔20を挟んで設けられており、挿入孔20に挿入された用紙束Bは、基台501と抑え部材502とに挟まれる。また、図2に示すように、基台501は、基部503に向けて延伸し基台501と一体的に形成された突出部506を有する。
【0015】
図2に示すように、基部503は、用紙束Bに切り込みを入れるブレード504と、用紙束Bを構成する用紙Sに舌部522(後述)を形成し折り曲げ、かつブレード504によって形成された切り込みに舌部522を挿入する打ち抜き部材505と、用紙束Bに押し付けられ折り線525(後述)を形成する押しつけ部材(折り機構)507とを有する。
ブレード504は、基台501と抑え部材502との間に挟まれた用紙束Bに向けて延伸する略長方形の板状部材からなる。具体的には、ブレード504は、略長方形状の面に目穴504aを有し、さらに用紙束Bに接近するに従いその幅が減少する先端部504bを有する。
【0016】
打ち抜き部材505はL字状の屈曲部を有する部材である。打ち抜き部材505の一方の端部は主部505aであり、他方の端部が副部505bである。
また、打ち抜き部材505は、L字状の屈曲部に設けられた主部回転軸505rを有する。この打ち抜き部材505は、主部回転軸505rを中心に回転可能である。より詳細には、主部505aがブレード504側に傾斜可能である。なお、副部505bと基部503との間には、打ち抜き部材505が回転できるよう間隙を有する。
【0017】
ここで、主部505aは基台501に向けて延伸する。さらに、主部505aは、主部回転軸505rが設けられた側とは反対側、すなわち基台501に対向する側に刃部505cを有する。この刃部505cは、舌部522の形状を打ち抜く刃からなる。なお、刃部505cのうちブレード504と対向する側には刃が形成されておらず、後述する一端部522aによって舌部522と用紙Sとが連続するように構成されている。さらに、主部505aは、主部505aの側部、具体的にはブレード504と対向する側に、ブレード504へ向けて延伸する突起505dを有する。
【0018】
図3に示すように、押しつけ部材507は、基台501と抑え部材502(図2参照)との間に挟まれた用紙束Bに向けて延伸する板状部材からなる。この押しつけ部材507は、用紙束Bを挟んで、基台501の回転軸501rと略平行に設けられる。図示の例においては、押しつけ部材507は、用紙束Bに接近するに従いその厚みが薄くなる先端部507aを有する。詳しくは後述するが、この先端部507aに沿って用紙束Bに折り線525が形成される。また、押しつけ部材507は、スプリング509を介して基部503に接続されている。
【0019】
図4に示すように、用紙綴じ装置100(図1参照)は、挿入孔20の周囲に配置され、用紙束Bが挿入孔20に挿入されていることを検知する用紙束検知センサ201を有する。この用紙束検知センサ201は、図示の例では、挿入された用紙束Bの上面に対向する位置に設けられる。
【0020】
<用紙綴じ装置100の動作>
さて、図1乃至図5を参照しながら、用紙綴じ装置100が綴じ処理を行う動作を説明する。ここで、図5は、針無綴じ機構50によって綴じられる部分を示す説明図である。より詳細には、図5(a)はスリット521、舌部522、及び折り線525の位置関係を示す説明図であり、図5(b)はスリット521及び舌部522が形成されている状態を示す説明図であり、図5(c)は折り線525が形成されている状態を示す説明図であり、図5(d)は形成された綴じ部分51と折り線525とを示す説明図である。なお、図5(b)及び図5(c)では打ち抜き部材505を図示していない。
【0021】
本実施の形態においては、ユーザ・インターフェイス30がユーザによる操作により綴じ処理を実行する指示を受け付ける。また、用紙束検知センサ201が挿入孔20に用紙束Bが挿入されたこと(図1矢印参照)を検知する。そして、制御部60が、ユーザ・インターフェイス30からの指示に関する信号、及び用紙束検知センサ201からの検知に関する信号を受けることにより、綴じ動作が開始される。
【0022】
具体的には、制御部60(図2参照)からの信号を受けて、移動機構(図示せず)と回転機構(図示せず)とが、用紙束Bにおける綴じ処理を施す位置及び向きに針無綴じ機構50を移動させる。
この位置において、図2に示すように、針無綴じモータM1が駆動し、基部側カム70を回転させる。このことにより基部503が基台501に接近し(図中F1方向)、ブレード504の先端部504bと、打ち抜き部材505の刃部505cとが用紙束Bを貫通する。そして、図5(a)に示すように、用紙束Bを構成するそれぞれの用紙Sに、スリット(切り込み)521と、一端部522aを残して用紙Sが打ち抜かれた舌部522とが形成される。
【0023】
そして、図2に示すように、基部側カム70が回転して基部503を更に押下すると、打ち抜き部材505の副部505bが、基台501に一体に形成された突出部506に突き当たり、打ち抜き部材505が、主部回転軸505rを中心に、図2において時計周りに回転する。これにより、主部505aがブレード504側に傾斜し、打ち抜き部材505の突起505dがブレード504に接近する。そして、打ち抜き部材505の突起505dが、図5(b)に示すように、舌部522を折り曲げ、ブレード504の目穴504aに向けて図中F2方向に押し込む。この状態において、針無綴じモータM1が停止する。
【0024】
一方、基部503が基台501に接近する(図中F1方向)ことにともない、押しつけ部材507の先端部507aが、用紙束Bに対して押しつけられる(図5(b)参照)。このことにより、押しつけ部材507が用紙束Bを抑えている状態となる。そして、基台モータM2(図2参照)が駆動し、基台側カム75(図2参照)を回転させる。このことにより、移動基台501bが回転軸501rを中心として回転し(図5(c)F4参照)、押しつけ部材507の先端部507aを支点としながら用紙束Bが折られる。この押しつけ部材507の先端部507aによって抑えられている用紙束Bの部分が、折り線525となる(図5(a)参照)。
【0025】
そして、基台側カム75(図2参照)がさらに回転することに伴い、基台側スプリング85による力を受けながら移動基台501bが逆方向へ回転し(図5(c)F5参照)、用紙束Bが折られた状態から平坦な状態へ戻る。なお、このとき押しつけ部材507は用紙束Bを抑えている状態である。
【0026】
次に、押しつけ部材507が用紙束Bを抑え込みながら、針無綴じモータM1が再び駆動する。図2に示すように、基部側カム70がさらに回転し下死点を通過した後は、基部側スプリング80による力を受けながら基部503が基台501から離れる方向に移動する(図2F3参照)。基部503が図中F3方向に上昇すると、舌部522がブレード504の目穴504aに引っ掛かった状態で上昇する。そして、図5(d)に示すように、スリット521に舌部522が挿入(織り込み)され、用紙束Bが綴じられる。
【0027】
ここで、図5(d)に示すように、綴じ処理を施された用紙束Bには、舌部522が打ち抜かれた箇所に綴じ穴(開口部)523が形成されている。本実施の形態においては、スリット521、舌部522、及び綴じ穴523を綴じ処理が施された部分(綴じ部分)51とする。
なお、図示の例のように押しつけ部材507が用紙束Bを抑え込みながら綴じ処理を施すことにより、綴じ処理に伴い用紙束Bにおける用紙Sの位置がずれることが抑制される。また、舌部522が折り曲げられブレード504の目穴504aに押し込まれた後に、用紙束Bが折られ折り線525が形成されることにより、折り線525が形成されることにともない用紙Sの位置がずれることが抑制される。
【0028】
また、ここでは、舌部522を折り曲げブレード504の目穴504aに向けて押し込み、針無綴じモータM1を一旦停止させた状態で、移動基台501bを回転させて折り線525を形成したが、これに限定されない。
例えば、用紙束Bに、スリット521と舌部522とを形成した後であって舌部522を折り曲げブレード504の目穴504aに向けて押し込む前に折り線525を形成してもよい。あるいは、針無綴じモータM1を一旦停止させることなく移動基台501bを回転させて折り線525を形成してもよい。さらに、スリット521に舌部522が挿入され綴じ部分51が形成された後に折り線525を形成してもよい。
【0029】
<綴じ処理が施された用紙束B>
図6及び図7を参照しながら、綴じ処理が施された用紙束Bについて説明する。ここで、図6は、綴じ処理が施された用紙束Bを示す概略図である。図7は、綴じ処理が施された用紙束Bの他の例を示す概略図である。
用紙綴じ装置100(図1参照)は、ブレード504及び打ち抜き部材505(図2参照)と、押しつけ部材507(図2参照)との位置関係を変更してそれぞれの部材を設けることにより、用紙束Bに形成される綴じ部分51と折り線525との位置関係(角度)が変更される。
【0030】
また、用紙綴じ装置100(図1参照)は、移動機構(図示せず)によって針無綴じ機構50(図2参照)の位置を移動させることにより、用紙束Bにおける綴じ部分51の位置が変更される。さらに、移動機構(図示せず)によって針無綴じ機構50の位置を移動させるとともに綴じ動作を繰り返すことにより、1つの用紙束Bにおける綴じ部分51の数が変更される。さらにまた、回転機構(図示せず)によって針無綴じ機構50の向きを回転させることにより、用紙束Bに対する綴じ部分51及び折り線525の角度が変更される。
【0031】
綴じ部分51及び折り線525が形成された用紙束Bは、例えば次のような態様となる。
すなわち、図6(a)に示すように、用紙束Bの角部において、1つの綴じ部分51を斜めに形成することで綴じ処理を施す態様がある。この綴じ処理が施された用紙束Bの角部において、用紙束Bにおける綴じ部分51と交差する向きに折り線525が形成される。この折り線525は、綴じ穴523のスリット521側端部(舌部522の一端部522a)を通過する位置に形成されている。
また、図6(b)に示すように、図6(a)と同様に用紙束Bの角部に1つの綴じ部分51を斜めに形成する態様であって、折り線525が綴じ穴523のスリット521側とは反対側の端部を通過する位置に形成される態様がある。
【0032】
また、図6(c)に示すように、用紙束Bを構成する用紙Sの長辺に沿って、2つの綴じ部分51を形成することで綴じ処理を施す態様がある。この2つの綴じ部分51は、綴じ部分51の長手方向が、用紙Sの長辺と交差する向きに形成されている。また、この綴じ処理が施された用紙束Bの端部に沿って折り線525が形成される。この折り線525は、綴じ穴523のスリット521側端部(舌部522の一端部522a)を通過する位置に形成されている。
また、図6(d)に示すように、図6(c)と同様に用紙束Bを構成する用紙Sの長辺に沿って2つの綴じ部分51を形成する態様であって、折り線525が綴じ穴523のスリット521側とは反対側の端部を通過する位置に形成される態様がある。
【0033】
また、図7(a)に示すように、用紙の中央線に沿って2つの綴じ部分51を形成することで綴じ処理を施す態様がある。この綴じ処理が施された用紙束Bの中央線に沿ってかつそれぞれの綴じ部分51と交差する向きに折り線525が形成される。この折り線525は、綴じ穴523のスリット521側端部(舌部522の一端部522a)を通過する位置に形成されている。
ここで、図7(a)に示す用紙束B全体を折り線525に沿って折ると、図7(b)に示すように、所謂冊子(ブックレット)状となる。さらに、図7(b)に示す例において、スリット521に挿入された舌部522の先端を冊子の内側とし、舌部522の位置と、綴じ穴523の位置とが重なるよう折ると、冊子状の用紙束Bにおいて綴じ部分51が膨らんだ状態となることが抑制される。
【0034】
また、図7(c)に示すように、用紙束Bを構成する用紙Sの長辺に沿って、2つの綴じ部分51を形成することで綴じ処理を施す態様がある。この2つの綴じ部分51は、綴じ部分51の長手方向が、用紙Sの長辺に沿う向きに形成されている。この綴じ処理が施された用紙束Bの端部に沿って折り線525が形成される。この折り線525は、綴じ穴523の長手方向に沿って形成されている。
【0035】
さて、用紙束Bの用紙Sにおける折り線525が形成されている部分は、用紙Sにおける折り線525以外の部分よりも、より折れやすい状態である。したがって、綴じ処理が施された用紙束Bの用紙Sをユーザが捲った場合、捲られた用紙Sが折り線525に沿って折れるようになる。例えばユーザによって用紙Sが摘まれながら用紙Sが徐々に捲られる(開かれる)が、用紙Sが捲られる側(ユーザに摘まれている部分側、用紙Sの中央部側)からみて折り線525を超えた部分まで用紙Sが捲られることが抑制される。
【0036】
したがって、図6(a)乃至図6(d)、図7(c)及び(d)に示すように、用紙Sが捲られる側(用紙Sの中央部側)からみて折り線525を超えた部分に綴じ部分51が配置される場合、言い替えると用紙Sにおいて捲られる側と綴じ部分51とが折り線525を挟んで配置される場合には、次のようになる。すなわち、折り線525が形成されていない場合と比較して、用紙Sが捲られることにともない綴じ部分51の舌部522がスリット521から抜けることや、舌部522やスリット521の周囲がちぎれ(切断され)綴じ部分51が破損することが抑制される。
付言すると、針無綴じ機構50(図2参照)によって折り線525を形成することにより、ユーザが用紙Sを捲る際に自ら用紙束Bに折り目を付けることが不要となる。したがって、ユーザによる折り目を付ける行為自体で、綴じ部分51の舌部522がスリット521から抜けたり、綴じ部分51が破損したりすることが抑制される。
【0037】
なお、図6(c)、図6(d)、図7(c)に示すように、用紙Sの端部に沿って2つの綴じ部分51を形成し、かつ綴じ穴523が外部から視認される態様の場合、綴じ部分51の間隔を調整することで、図7(d)に示すように、綴じ穴523に2孔ファイルの綴じ具530を通し得る。したがって、綴じ処理を施した用紙束Bに別途パンチ孔を形成することなく、用紙束Bをファイル綴じし得る。
【0038】
<綴じ部分51と折り線525との位置関係>
ここで、図4、図6、図7、及び図8を参照しながら、綴じ部分51と折り線525との位置関係についてさらに説明する。ここで、図8は、綴じ部分51と折り線525との位置関係を示す概略構成図である。
まず、図5(d)に示すように、綴じ部分51の舌部522は、折り曲げられスリット521に挿入される。この舌部522が配置されている部分においては、もともと用紙束B(図1参照)を構成する用紙Sが重なっている状態に、さらに用紙Sが重なっている舌部522が配置されるため、用紙Sの枚数が他の部分よりも多くなる。
【0039】
図示の例においては、舌部522が配置されている部分における用紙Sの枚数は、他の部分における用紙Sの枚数の2倍となる。この舌部522が配置され2倍の用紙Sが重なる部分は、他の部分と比較して、折り線525を形成することが困難である。また、仮に舌部522が配置されている部分を折ろうとすると、舌部522に力が加わることにより舌部522がスリット521から抜け得る。したがって、本実施の形態においては、図6及び図7に示すように、舌部522がある部分以外において、折り線525を形成する。
【0040】
ここで、折り線525は、綴じ部分51の近傍に形成される。具体的には、図6(a)乃至図6(d)に示すように、綴じ部分51の長手方向と折り線525とが交差する向きとなる場合には、折り線525は舌部522よりも用紙Sの中央部側に形成される。より具体的には、折り線525は綴じ穴523を通過する位置に形成される。
折り線525が綴じ穴523を通過する態様としては、図8(a)に示すように、折り線525が綴じ穴523のスリット521側端部(舌部522の一端部522a)を通過する位置に形成される態様がある。また、図8(b)に示すように、折り線525が、綴じ穴523のスリット521側端部(舌部522の一端部522a)と綴じ穴523のスリット521側とは反対側の端部との間を通過する位置に形成される態様がある。また、図8(c)に示すように、折り線525が綴じ穴523のスリット521側とは反対側の端部を通過する位置に形成される場合がある。
【0041】
ここで、折り線525が綴じ穴523のスリット521側端部(舌部522の一端部522a)を通過する位置(図8(a)参照)よりも用紙Sの端部Sa側に形成された場合、舌部522が配置されることにより他の部分の2倍の用紙Sが重なる部分を折ることになる。この場合、折り線525を形成することが困難であり、かつ舌部522がスリット521から抜け得る。さらに、そもそも折り線525を形成することによって舌部522等が切断され綴じ部分51が破損することを抑制するのが困難となる。
【0042】
なお、折り線525が綴じ穴523のスリット521から離れた位置に形成されると、綴じられた用紙束Bを捲った際(開いた際)に、用紙Sにおける視認可能な面積が小さくなる。
また、綴じ穴523を通過する位置において折り線525を形成する場合は、用紙Sが切り欠かれている部分を有することから、綴じ穴523が形成されていない部分に折り線525を形成する場合と比較して、より小さな力で折り線525を形成し得る。
【0043】
さて、図6及び図8(a)乃至図8(c)においては、用紙Sの端部Sa側にスリット521に挿入された舌部522が配置され、かつ用紙Sの中央部側に綴じ穴523が配置される構成について説明したがこれに限定されない。
ここで、図8(d)に示すように、用紙Sの端部Sa側に綴じ穴523が配置され、かつ用紙Sの中央部側にスリット521に挿入された舌部522が配置される構成において説明をする。図8(d)に示すように、スリット521に挿入された舌部522よりも用紙Sの中央部側に折り線525が形成される。この位置に折り線525が形成されることにより、用紙Sが中央部側から捲られることにともない舌部522がスリット521から抜けることや、舌部522やスリット521の周囲が切断され綴じ部分51が破損することが抑制される。
【0044】
<他の実施態様1>
ここで、図9を参照しながら、他の実施態様について説明をする。なお、図9は、他の実施態様における針無綴じ機構500及びその周辺部材を示す概略構成図である。より詳細には、図9(a)は針無綴じ機構500及びその周辺部材の正面図であり、図9(b)は針無綴じ機構500及びその周辺部材の底面図である。
【0045】
本実施態様における針無綴じ機構500は、基部503に設けられ用紙束Bを構成する用紙Sに舌部522を形成する打ち抜き部材515を有する。この打ち抜き部材515は、基台501に対向する側に刃部515cを有する。なお、刃部515cのうちブレード504と対向する側には刃が形成されておらず、一端部522a(図5(d)参照)によって舌部522(図5(d)参照)と用紙Sとが連続するように構成されている。
また、打ち抜き部材515の内部に設けられ、舌部522をブレード504の目穴504aに向けて押し込む押し込み機構515dを有する。この押し込み機構515dは、一端に設けられた回転軸515rを有する。押し込み機構515dは、回転軸515rを中心に回転可能である。
【0046】
また、針無綴じ機構500は、打ち抜き部材515の内部に設けられ、押し込み機構515dを押圧する押圧部516を有する。
また、針無綴じ機構500は、打ち抜き部材515のブレード504と対向する側に押しつけ部材517を有する。押しつけ部材517は、用紙束Bに接近するに従いその厚みが薄くなる先端部517aを有する。
【0047】
さらに、本実施態様においては、針無綴じモータM1より駆動を受けて回転することで基部503を移動させる第1基部側カム701が設けられる。また、針無綴じモータM1より駆動を受けて回転することで押圧部516を押し込み機構515dに向けて移動させる第2基部側カム703が設けられる。図示の例においては、第1基部側カム701と第2基部側カム703とが共通のシャフト705に備えられ、このシャフト705が針無綴じモータM1より駆動を受けて回転する。なお、図示のように第2基部側カム703は、第1基部側カム701よりも押し込み量が大きい。
【0048】
次に、図9及び図10を参照しながら、本実施の態様の綴じ動作について説明をする。ここで、図10は、他の実施態様における針無綴じ機構500の綴じ動作を示す説明図である。なお、図10(a)の用紙Sに破線で示されたスリット521と舌部522とは、切り込み予定線である。
図9(a)に示すように、針無綴じモータM1が駆動し、第1基部側カム701及び第2基部側カム703が設けられたシャフト705を回転させる。このことにより第1基部側カム701より駆動を受ける基部503が基台501に接近する(図中F1方向)。そして、ブレード504の先端部504bと、打ち抜き部材515の刃部515cとが用紙束Bを貫通する。そして、図10(a)に示すように、用紙束Bを構成するそれぞれの用紙Sに、スリット(切り込み)521と、一端部522aを残して用紙Sが打ち抜かれた舌部522とが形成される。
【0049】
ブレード504の先端部504bと、打ち抜き部材515の刃部515cとが用紙束Bを貫通した後に、第2基部側カム703がさらに回転し、押圧部516を押し込み機構515dに向けて移動させる(図10(a)中F1方向)。このことにより、押し込み機構515dは押し込み機構515dの一端に設けられた回転軸515rを中心に回転し、押し込み機構515dの他端が、打ち抜かれた舌部522をブレード504の目穴504aに向けて押し込む(図9(a)及び図10(b)中F2方向)。この状態において、針無綴じモータM1が停止する。
【0050】
ここで、基部503が基台501に接近する(図10(a)中F1方向)ことにともない、押しつけ部材517の先端部517aが、用紙束Bに対して押しつけられる(図10(b)参照)。そして、基台モータM2(図9参照)により基台側カム75(図9参照)を回転し、移動基台501bが回転する(図10(b)中F4参照)。このことにより、押しつけ部材517の先端部517aを支点としながら用紙束Bが折られる。また、基台側カム75(図9参照)がさらに回転することに伴い、移動基台501bが逆方向へ回転し、用紙束Bが折られた状態から平坦な状態へ戻る。なお、このとき押しつけ部材517は用紙束Bを抑えている状態である。
【0051】
次に、押しつけ部材517が用紙束Bを抑え込みながら、針無綴じモータM1が再び駆動する。第1基部側カム701及び第2基部側カム703がさらに回転し下死点を通過した後は、基部側スプリング80による力を受けながら基部503が基台501から離れる方向に移動し、スリット521に舌部522が挿入(織り込み)される。
【0052】
<他の実施態様2>
上述の実施態様においては、針無綴じ機構50(及び針無綴じ機構500)がスリット521及び舌部522を形成しながら綴じる構成を説明したが、これに限定されない。ここで、図11を参照しながら針無綴じ機構50は別の態様であってもよいことを説明する。なお、図11は、他の実施態様により針無綴じ処理が施された用紙束Bを示す説明図である。
【0053】
図11に示すように、用紙束Bを構成する用紙Sに矢印形切り込み(舌部)511を形成する。この矢印形切り込み511は、柄側の端部511aが用紙Sと連続するよう残して打ち抜かれている。この矢印形切り込み511を立ち上げ、立ち上げた矢印形切り込み511とその抜き穴とが掛かり合うことによって用紙束Bを綴じるものである。
ここで、図11に示す例においては、立ち上げた矢印形切り込み511を通過しない位置に折り線525が形成される。折り線525を形成することにともない立ち上げた矢印形切り込み511が用紙束Bに押し込まれ、綴じが解放される(用紙Sがばらける)ことが抑制される。具体的には、図11に示す例において、矢印形切り込み511の柄側の端部511aを通過する位置に折り線525が形成される。この実施態様において、折り線525は矢印形切り込み511よりも用紙Sの中央部側に配置される。このことにより、用紙Sが中央部側から捲られる際に、折り線525を超えて用紙Sが捲られることが抑制され、矢印形切り込み511による綴じが解放される(用紙Sがばらける)ことが抑制される。
【0054】
<他の実施態様3>
ここで、図8及び図12を参照しながら、他の実施態様について説明をする。なお、図12は、押しつけ部材507の他の実施態様を示す概略構成図である。
まず、上述の実施態様においては、押し付け部材507は、1つの部材として説明したが、これに限定されない。例えば、図8(b)に示すように、折り線525が、綴じ穴523のスリット521側端部と綴じ穴523のスリット521側とは反対側の端部との間を通過する位置に形成される場合、押し付け部材507は、打ち抜き部材505を挟んで配置される2つの部材から構成されてもよい。例えば、図12(a)のように、第1ブレード514a及び第2ブレード514bが打ち抜き部材505を挟んで配置され、第1ブレード514a及び第2ブレード514bがそれぞれスプリング519a、519bを介して基部503(図2参照)に接続されている。
【0055】
また、上述の実施態様においては、折り線525は押し付け部材507を押しつけることにより形成されると説明したが、これに限定されない。例えば、図12(b)に示すように、用紙束Bに押しつけられながら回転し折り線525を形成するローラブレード5071を有する構成であってもよい。
この態様において、針無綴じ機構50は、ローラブレード5071を回転可能に保持するホルダ5072と、基台501に挟まれた用紙束Bの面に沿って設けられホルダ5072が取り付けられる送りネジ5073とを有する。
図示しない駆動源から駆動を受け送りネジ5073が回転することにより、ホルダ5072によって保持されたローラブレード5071が用紙束B上を回転しながら移動し、折り線525を形成する。
【0056】
あるいは、例えば、図12(c)に示すように、折り線525ではなく、ミシン目として形成するミシン目カッタ5075を有する構成であってもよい。
この態様において、ミシン目は、上述の折り線525を形成する場合と同様に、その位置において用紙Sを折り易くする。このミシン目カッタ5075は、山形の刃が連続して形成されているとともに、スプリング519cを介して基部503(図2参照)に接続されている。
基部503が基台501(図2参照)に接近することに伴い、用紙束Bに対してミシン目カッタ5075の刃が押しつけられ、ミシン目が形成される。
【0057】
<画像形成装置200>
次に、上述の各実施態様においては、用紙綴じ装置100が針無綴じ機構50(及び針無綴じ機構500)を備える構成として説明したが、これに限定されない。例えば、用紙Sに画像を形成する機構が設けられた画像形成装置が、針無綴じ機構50を備える構成であってもよく、あるいは、原稿の画像を読み取るための機構が設けられた画像読取装置が針無綴じ機構50を備える構成であってもよい。
【0058】
ここでは、図13を参照しながら、針無綴じ機構250を備える画像形成装置200を説明する。なお、図13は、針無綴じ機構250を備える画像形成装置200を示す概略図である。
図13に示す画像形成装置200は、例えば、電子写真方式によって画像を形成するプリンタや複写機等の画像形成部202と、画像形成部202によって例えばトナー像が形成された用紙Sに後処理を施す用紙処理部203とを備えている。
【0059】
画像形成部202は、画像が形成される用紙Sを供給する用紙供給部206と、用紙供給部206から供給された用紙Sに画像を形成する画像形成機構205とを備える。また、画像形成部202は、ユーザから綴じ処理に関する情報を受け付けるユーザ・インターフェイス290を備えている。
用紙処理部203は、画像形成部202から出力された用紙Sを更に下流側に搬送する搬送装置210と、例えば用紙Sを集めて束ねるコンパイル用積載部235や針無綴じ機構250などを含む後処理装置230とを備えている。また、図示の例における用紙処理部203は、画像形成装置200全体を制御する制御部280を備えている。
【0060】
用紙処理部203の後処理装置230は、搬送装置210から搬送される用紙Sをさらに下流側へ搬送する搬送ロール(用紙供給機構)215と、搬送ロール215から搬送される用紙Sを複数枚集めて収容するコンパイル用積載部(用紙束形成機構)235を備えている。このコンパイル用積載部235は、コンパイル用積載部235に沿って落下する用紙Sの進行方向先端を揃えるエンドガイド235bと、後述するようにエンドガイド235bが回転する際の回転の中心となる回転軸235cとを備える。
【0061】
また、後処理装置230は、コンパイル用積載部235に集積された用紙束Bの端部を綴じる針無綴じ機構250を有する。この実施の態様における針無綴じ機構250は、図2に示された針無綴じ機構50と同様に構成されている。
後処理装置230は、順方向または逆方向に回転することにより、綴じられた用紙束Bを搬送するイジェクト(eject)ロール239を備えている。このイジェクトロール239は、順方向に回転しコンパイル用積載部235に沿ってさらに落下する方向に用紙束Bを搬送するか、あるいは逆方向に回転しコンパイル用積載部235に沿って上昇する方向に用紙束Bを搬送する。
後処理装置230は、イジェクトロール239が逆方向に回転することにより搬送された用紙束Bを後処理装置230の外側へ排出するための第1開口部269を備える。そして、第1開口部269から排出された用紙束Bをユーザが取りやすいようにして積み重ねる第1積載部270を備える。
【0062】
また、後処理装置230は、イジェクトロール239が順方向に回転することにより搬送された用紙束Bを折る折り機構275を有する。この折り機構275は、用紙束Bが搬送される搬送経路に突出するように移動する折りナイフ275aを有する。また、後処理装置230は、折りナイフ275aによって折りが開始された用紙束Bを挟み込む折りロール277を有する。
後処理装置230は、折り機構275及び折りロール277によって折られた用紙束Bを後処理装置230の外側へ排出するための第2開口部272を備える。そして、第2開口部272から排出された用紙束Bをユーザが取りやすいようにして積み重ねる第2積載部271を備える。
【0063】
<画像形成装置200の動作>
次に、画像形成装置200の動作を説明する。
まず、画像形成装置200の画像形成機構205によって1番目の用紙Sにトナー像が形成される。トナー像が形成された1番目の用紙Sは、搬送装置210を介して1枚ごとに後処理装置230に供給される。そして、後処理装置230のコンパイル用積載部235に1番目の用紙Sが受け入れられる。この1番目の用紙Sに続く、画像形成機構205によってトナー像が形成された2番目以降の用紙Sが、それぞれ順に後処理装置230に供給される。このようにすることで、予め設定された枚数の用紙Sをコンパイル用積載部235に収容し、各用紙Sの端部を揃えて、用紙束Bを形成する。
【0064】
次に、針無綴じ機構250によって、コンパイル用積載部235に積載された用紙束Bの端部を綴じるとともに、用紙束Bに折り線525(図5(d)参照)を形成する。折り線525が形成された用紙束Bは、イジェクトロール239が逆方向に回転することにより、コンパイル用積載部235から排出される。そして、用紙束Bは第1開口部269を通って、第1積載部270へと排出される。
【0065】
ここで、本実施の態様においては、針無綴じ機構250によって、用紙束Bに折り線525を形成することの代替として次のように動作し得る。すなわち、針無綴じ機構250によって用紙束Bに折り線525を形成せずに、別途用紙束折り機構275及び折りロール277によって用紙束Bに折り線525を形成する。
具体的には、コンパイル用積載部235に各用紙Sの端部を揃えて収容し、用紙束Bを形成する。そして、針無綴じ機構250によって、コンパイル用積載部235に積載された用紙束Bの端部を綴じる。なお、針無綴じ機構250によって綴じ処理が施される際に例えば基台モータM2(図2参照)を駆動させないことなどにより、用紙束Bに折り線525を形成しない。
【0066】
次に、回転軸235cを中心としてエンドガイド235bが用紙束Bから遠ざかる方向(図13中矢印参照)に回転するとともに、イジェクトロール239が順方向し、綴じ処理が施された用紙束Bがコンパイル用積載部235から排出される。そして、下流側へと搬送された用紙束Bは、折り機構275及び折りロール277によって、折り線525が形成される。折り線525が形成された用紙束Bは、第2開口部272を通って、第2積載部271へと排出される。
【0067】
さて、針無綴じ機構250ではなく、用紙束折り機構275及び折りロール277によって用紙束Bに折り線525を形成する場合としては、例えば、図7(a)及び図7(b)に示すように用紙Sの中央部を折る場合がある。用紙Sの中央部を折る場合は、用紙束折り機構275及び折りロール277によって折り線525を形成する場合に回転軸501rを中心として回転する移動基台501bが動くために必要な空間が抑制され、綴じ機構250が小型化、簡略化される。
【0068】
さらに、他の代替例として、針無綴じ機構250ではなく、用紙S一枚ずつに折り線525を形成した後に、コンパイル用積載部235に用紙Sを積載してもよい。具体的には、コンパイル用積載部235よりも上流の用紙搬送経路に、折り線525を形成する折り線形成機構(図示せず)を設けてもよい。折り線形成機構としては、例えば、搬送される用紙Sに押しつけられながら回転することで用紙Sに折り線525を形成するローラブレード(図示せず)を設けてもよい。このことにより針無綴じ機構250の構成が簡略化される。
【0069】
また、用紙S一枚ずつに折り線525を形成する場合、用紙束Bを構成する用紙S全てに折り線525を形成する態様や、用紙束Bを構成する一部の用紙Sにのみ折り線525を形成する態様がある。例えば、用紙束Bを構成する一部の用紙Sにのみ折り線525を形成する態様としては、用紙束Bの表面側の用紙Sにのみ折り線525を形成する。なお、用紙S一枚ずつに形成される折り線525は、ミシン目であってもよい(図12(c)参照)。
【符号の説明】
【0070】
20…挿入孔、50…針無綴じ機構、51…綴じ部分、70…基部側カム、75…基台側カム、100…用紙綴じ装置、501…基台、501b…移動基台、501r…回転軸、503…基部、504…ブレード、505…打ち抜き部材、507…押し付け部材、521…スリット、522…舌部、525…折り線、B…用紙束、S…用紙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙束に切り込みを形成し、かつ当該用紙束の一部を予め定めた形状に切ることにより一方の端部が当該用紙束と連続する部分を残す舌部を当該用紙束に形成するとともに、当該舌部を折り当該舌部の他方の端部を当該切り込みに挿入し当該用紙束を綴じる綴じ機構と、
前記綴じ機構により前記切り込みに挿入される前記舌部と重ならない位置において前記用紙束に折り目をつける折り機構と
を有することを特徴とする用紙綴じ装置。
【請求項2】
前記折り機構は、前記切り込みに挿入される前記舌部よりも前記用紙束の用紙における中央側に前記折り目をつけることを特徴とする請求項1記載の用紙綴じ装置。
【請求項3】
前記折り機構は、前記舌部を形成することに伴い開口する開口部にかかる位置に前記折り目をつけることを特徴とする請求項1または2記載の用紙綴じ装置。
【請求項4】
前記折り機構により形成された前記折り目は、当該折り目に沿って前記用紙束を折り畳んだ際に、前記切り込みに挿入される前記舌部の先端が当該舌部を形成することに伴い開口する開口部に配置される位置であることを特徴とする請求項1記載の用紙綴じ装置。
【請求項5】
用紙を供給する用紙供給機構と、
前記用紙供給機構から供給された複数枚の用紙を束ねて用紙束を形成する用紙束形成機構と、
前記用紙束に切り込みを形成し、かつ当該用紙束の一部を予め定めた形状に切ることにより一方の端部が当該用紙束と連続する部分を残す舌部を当該用紙束に形成するとともに、当該舌部を折り当該舌部の他方の端部を当該切り込みに挿入し当該用紙束を綴じる綴じ機構と、
前記綴じ機構により前記切り込みに挿入される前記舌部と重ならない位置において前記用紙束に折り目をつける折り機構と
を有することを特徴とする後処理装置。
【請求項6】
用紙に画像を形成する画像形成機構と、
前記画像形成機構によって画像が形成された複数枚の用紙を束ねて用紙束を形成する用紙束形成機構と、
前記用紙束に切り込みを形成し、かつ当該用紙束の一部を予め定めた形状に切ることにより一方の端部が当該用紙束と連続する部分を残す舌部を当該用紙束に形成するとともに、当該舌部を折り当該舌部の他方の端部を当該切り込みに挿入し当該用紙束を綴じる綴じ機構と、
前記綴じ機構により前記切り込みに挿入される前記舌部と重ならない位置において前記用紙束に折り目をつける折り機構と
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
用紙束に切り込みを形成し、かつ当該用紙束の一部を予め定めた形状に切ることにより一方の端部が当該用紙束と連続する部分を残す舌部を当該用紙束に形成するとともに、当該舌部を折り当該舌部の他方の端部を当該切り込みに挿入し当該用紙束を綴じる綴じ機構と、
前記綴じ機構により前記切り込みに挿入される前記舌部と重ならない位置において前記用紙束に折り目をつける折り機構と
を有することを特徴とする用紙綴じ装置。
【請求項2】
前記折り機構は、前記切り込みに挿入される前記舌部よりも前記用紙束の用紙における中央側に前記折り目をつけることを特徴とする請求項1記載の用紙綴じ装置。
【請求項3】
前記折り機構は、前記舌部を形成することに伴い開口する開口部にかかる位置に前記折り目をつけることを特徴とする請求項1または2記載の用紙綴じ装置。
【請求項4】
前記折り機構により形成された前記折り目は、当該折り目に沿って前記用紙束を折り畳んだ際に、前記切り込みに挿入される前記舌部の先端が当該舌部を形成することに伴い開口する開口部に配置される位置であることを特徴とする請求項1記載の用紙綴じ装置。
【請求項5】
用紙を供給する用紙供給機構と、
前記用紙供給機構から供給された複数枚の用紙を束ねて用紙束を形成する用紙束形成機構と、
前記用紙束に切り込みを形成し、かつ当該用紙束の一部を予め定めた形状に切ることにより一方の端部が当該用紙束と連続する部分を残す舌部を当該用紙束に形成するとともに、当該舌部を折り当該舌部の他方の端部を当該切り込みに挿入し当該用紙束を綴じる綴じ機構と、
前記綴じ機構により前記切り込みに挿入される前記舌部と重ならない位置において前記用紙束に折り目をつける折り機構と
を有することを特徴とする後処理装置。
【請求項6】
用紙に画像を形成する画像形成機構と、
前記画像形成機構によって画像が形成された複数枚の用紙を束ねて用紙束を形成する用紙束形成機構と、
前記用紙束に切り込みを形成し、かつ当該用紙束の一部を予め定めた形状に切ることにより一方の端部が当該用紙束と連続する部分を残す舌部を当該用紙束に形成するとともに、当該舌部を折り当該舌部の他方の端部を当該切り込みに挿入し当該用紙束を綴じる綴じ機構と、
前記綴じ機構により前記切り込みに挿入される前記舌部と重ならない位置において前記用紙束に折り目をつける折り機構と
を有することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−39755(P2013−39755A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178642(P2011−178642)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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