説明

用紙送出装置及びこれを用いた原稿送り装置

【課題】用紙の送り出し性能を維持しつつ装置の薄型化を図ることができる用紙送出装置等を提供する。
【解決手段】用紙送出装置は、繰出しロールを回転自在に支持した状態で送出ロールの回転軸に揺動自在に取り付けられ、繰出しロールを収容部に収容される用紙に接触させる接触位置と当該用紙から離した離間位置との間で変位させる支持部材が、送出ロールの回転軸にトルク制限付きの回転伝達部材を介して取り付けられており、収容部から送出ロールに至る手前側の位置において収容部に収容される用紙の繰出し方向先端部の位置を当該先端部との接触により規制する規制部材が、送出ロールの回転軸にトルク制限付きの回転伝達部材を介して取り付けられ、当該回転軸が用紙送り方向又はその逆の方向に回転することにより、用紙の繰出し方向先端部の位置を規制する規制位置と用紙の通過を許容する退避位置のいずれかの位置に変位して停止した状態に保たれるものである

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、用紙送出装置及びこれを用いた原稿送り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、複写機、スキャナ、ファクシミリ等のように原稿を読み取る原稿(画像)読取部を有する機器においては、読み取り情報が記録された文書等の原稿(用紙)を所定の収容部に積み重ねた状態で収容したうえで、原稿をその原稿読取部にむけて1枚ずつ送り出して搬送する用紙送出装置が使用されることがある。
【0003】
このような用紙搬送装置を装備する原稿搬送装置としては、例えば、原稿トレイ上の原稿を繰り込むピックアップローラと、ピックアップローラを原稿トレイ上の原稿に対して接離可能に支持するピックアップアームと、繰り込まれた原稿を搬送路へ送り込む給紙ローラとを本体部に回動可能に設けられたカバーを備えてなる自動原稿搬送装置において、前記給紙ローラの上流側にて前記カバーに自由揺動状態に吊設されたシャッタと、前記ピックアップローラに設けられて、そのピックアップローラが待機状態のときに前記シャッタが原稿トレイに載置される原稿の先端位置を規制するように該シャッタの揺動を制止し、かつ、ピックアップローラが原稿と接触する方向へ作動することにより該シャッタの制止を解除するストッパと、待機状態の前記ピックアップローラを原稿と接触する方向へ移動させるシャッタ解除機構と、を具備する原稿搬送装置が知られている(特許文献1)。
【0004】
また、原稿搬送装置でなく画像形成装置の用紙整合装置ではあるが、画像転写部に近接する位置に配置されたレジストローラと同軸に、用紙の先端部を係止するゲート部材をトルク制限手段を介して設け、前記ゲート部材を、レジストローラを正逆方向に駆動する動作により用紙を係止する位置と用紙搬送路から退避する位置との間で揺動可能に構成した用紙整合装置が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−126202号公報
【特許文献2】特開平5−338865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、用紙の送り出し性能を維持しつつ装置の薄型化を図ることができる用紙送出装置を提供するとともに、その用紙送出装置を適用して原稿の良好な搬送性能を維持しつつ装置の薄型化を図ることができる原稿送り装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明(A1)の用紙送出装置は、用紙が積み重ねられた状態で収容される収容部と、 前記収容部に収容される最上の用紙を繰り出す繰出しロールと、 前記繰出しロールで繰り出される最上の用紙を送り出す送出ロールと、 前記繰出しロールを回転自在に支持した状態で前記送出ロールの回転軸に揺動自在に取り付けられ、前記繰出しロールを前記収容部に収容される用紙に接触させる接触位置と当該用紙から離した離間位置との間で変位させる支持部材と、 前記収容部から前記送出ロールに至る手前側の位置において当該収容部に収容される用紙の繰出し方向先端部の位置を当該先端部との接触により規制する規制部材を有し、
前記規制部材は、前記送出ロールの回転軸にトルク制限付きの回転伝達部材を介して取り付けられ、当該回転軸が用紙送り方向又はその逆の方向に回転することにより、前記用紙の繰出し方向先端部の位置を規制する規制位置と用紙の通過を許容する退避位置のいずれかの位置に変位して停止した状態に保たれるものである。
【0008】
この発明(A2)の用紙送出装置は、上記発明A1の用紙送出装置において、前記繰出しロールを支持した支持部材が、その自重により揺動して前記接触位置まで下降するように取り付けられているものである。
【0009】
この発明(A3)の用紙送出装置は、上記発明A1又はA2の用紙送出装置において、前記トルク制限付きの回転伝達部材が、前記送出ロールの回転軸を用紙送り方向に回転させたときにトルク制限を受けて回転が伝達されなくなる設定の一方向制限型の回転伝達部材であるものである。
【0010】
この発明(A4)の用紙送出装置は、上記発明A1又はA2の用紙送出装置において、少なくとも前記収容部の一部及び前記支持部材をその上方から覆う覆い部材を有し、 前記覆い部材に、前記規制部材が前記退避位置に変位したときに接触して停止させられる停止部材を設けたものである。
【0011】
この発明(A5)の用紙送出装置は、上記発明A1又はA2の用紙送出装置において、 前記支持部材に、前記規制部材が前記退避位置に変位したときに接触して停止させられる停止部材を設けたものである。
【0012】
この発明(A6)の用紙送出装置は、上記発明A3の用紙送出装置において、前記規制部材が、前記送出ロールの回転軸を用紙送り方向と反対の方向に所要の角度だけ回転させた後に停止させることで前記規制位置に停止した状態に保たれるものである。
【0013】
この発明(A7)の用紙送出装置は、上記発明A1又はA2の用紙送出装置において、前記繰出しロールが前記送出ロールの回転軸と回転伝達機構を介して接続されており、 前記送出ロールが回転軸に差動クラッチを介して取り付けられており、前記繰出しロールが前記回転伝達機構に差動クラッチを介して連結されているものである。
【0014】
また、この発明(B)の原稿送り装置は、読み取り対象の情報を有する原稿が積み重ねられた状態で収容される収容部と、 前記収容部に収容される最上の原稿を送り出す原稿送出装置と、 前記収容部の下方の位置に設置される原稿の排出部と、 前記収容部から読み取り位置を経由して前記排出部に至る、全体がU字形に回って折り返す形状の原稿搬送路とを有し、 前記原稿送出装置が、上記発明A1からA5までのいずれかの用紙送出装置で構成されているものである。
【発明の効果】
【0015】
上記発明A1の用紙送出装置によれば、その発明の構成を有していない場合に比べて、用紙の送り出し性能を維持しつつ装置の薄型化を図ることができる。
【0016】
上記発明A2の用紙送出装置では、その発明の構成を有していない場合に比べて、装置の小型化をより一層図ることができる。
【0017】
上記発明A3の用紙送出装置では、その発明の構成を有していない場合に比べて、規制部材の駆動機構が大型化することなく簡易化される。
【0018】
上記発明A4の用紙送出装置では、その発明の構成を有していない場合に比べて、停止部材のための新たな設置空間を確保する必要がなく、装置の薄型化に有利となる。
【0019】
上記発明A5の用紙送出装置では、その発明の構成を有していない場合に比べて、用紙の送り出し性能をより良好に維持しつつ装置の薄型化を図ることができる。
【0020】
上記発明A6の用紙送出装置では、その発明の構成を有していない場合に比べて、規制部材を規制位置に停止させるための構成部品を新たに追加する必要もなく、装置の薄型化を図ることができる。
【0021】
上記発明A7の用紙送出装置では、その発明の構成を有していない場合に比べて、送出ロールの回転軸が回転し始めたときに規制部材が繰出しロールの回転し始めるときよりも先に退避位置に変位し始め、用紙の繰り出しが規制部材の存在により阻害されるおそれがない。
【0022】
上記発明Bの原稿送り装置によれば、その発明の構成を有していない場合に比べて、原稿の良好な搬送性能を維持しつつ装置の薄型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態等に係る用紙送出装置を適用した原稿送り装置(原稿読取装置の一部を含む)の全体構成を示す一部断面説明図である。
【図2】図1の原稿送り装置の要部(主に用紙送出装置)を示す断面説明図である。
【図3】図1(図2)の用紙送出装置の要部(規制位置に変位しているシャッタなど)を拡大して示す斜視図である。
【図4】図1(図2)の用紙送出装置の要部とその周辺部を拡大して示す上面図である。
【図5】図3の用紙送出装置の一部であるシャッタを示す斜視図である。
【図6】用紙送出装置における原稿の送出前の状態(シャッタが規制位置に変位し停止している状態など)を一部断面にして示す説明図である。
【図7】用紙送出装置における原稿の送出時の状態(シャッタが退避位置に変位し停止している状態など)を一部断面にして示す説明図である。
【図8】図1(図2)の用紙送出装置の要部(退避位置に変位しているシャッタなど)を拡大して示す斜視図である。
【図9】差動クラッチの切断時の状態を示す断面説明図である。
【図10】差動クラッチの連結時の状態を示す断面説明図である。
【図11】用紙送出装置の他の構成例(シャッタの停止部材、シャッタの規制位置にある状態)を拡大して示す斜視図である。
【図12】図11の用紙送出装置を示す断面説明図である。
【図13】図11の用紙送出装置の状態(シャッタが停止位置にある状態)を拡大して示す斜視図である。
【図14】図13の用紙送出装置を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明を実施するための形態(以下、単に「実施の形態」という)について添付の図面を参照しながら説明する。
【0025】
[実施の形態]
図1〜図3は、実施の形態に係る用紙送出装置を適用した自動原稿送り装置(原稿読取装置の一部を含む)を示すものである。図1はその自動原稿送り装置の全体構成を一部断面で示し、図2はその原稿送り装置の要部(主に用紙送出装置)を示し、図3はその用紙送出装置の要部を拡大して示している。
【0026】
原稿送り装置5は、用紙などのシート状物に読み取り対象の情報が記録されている原稿9を原稿読取装置8の読取部81に搬送するものであり、その全体が原稿読取装置8の上面部背面側(図1の紙面奥側)において蝶番を介して矢印A1,A2で示す方向に開閉操作できるように取り付けられている。
【0027】
原稿送り装置5は、ほぼ板状の基礎フレーム10に対して、原稿9を収容する収容トレイ20と、収容トレイ20から原稿9を送り出す送出部21と、読み取り後の原稿9が排出されて収容される排出部25と、収容トレイ20から原稿読取部(読取位置)81を経由して排出部25に至る原稿搬送路50とを設けている。図1等において符号12は、基礎フレーム10の一端部(図1等に左側端部)に蝶番を介して矢印B1,B2で示す方向に開閉操作できるように取り付けた外装カバーを示す。
【0028】
図1においては、原稿読取装置8の上面部の一部を示しているが、その筐体フレーム80の上面部の一部には、図示しない固定型の読取手段(照明機器、ライン型の撮像素子などで構成される)の読取面(無色透明板)82が設けられている。また、その筐体フレーム80の上面部の他の部分には、図示しない走査型の読取手段(照明機器、ライン型の撮像素子、光学走査型撮像装置などで構成される)の読取及び原稿載せ用の面(無色透明板)83が設置されている。
【0029】
収容トレイ20は、1枚又は複数枚の原稿9を積み重ねた状態で載せて収容する収容面22が形成された板状の部材で形成されたものである。この収容トレイ20は、支持フレーム10における水平方向に対してトレイ後端部20aが相対的に高い位置となるように傾斜した状態で取り付けられている。また、収容トレイ20の前端部20bが用紙送出装置1の繰出しロール(30)の下面部と対向する位置まで延長された状態で設けられている。
【0030】
排出部25は、収容トレイ20の下方の位置にほぼ平らな面形状で形成される部分であり、基礎フレーム10の上面部の一部領域を利用して形成されている。
【0031】
送出部21は、基礎フレーム10のうち収容トレイ20及び排出部25が配置されている片側領域と反対側の領域(図1中の左側の領域)に配置されており、原稿送出装置としての用紙送出装置1により構成されている。
【0032】
用紙送出装置1は、収容トレイ20に収容されている最上の原稿(最上位にある原稿)9を繰り出すピックアップロール30と、ピックアップロール30で繰り出される最上の原稿9を収容トレイ20から送り出す送出ロール35と、送出ロール35と接触するパッド部材38と、ピックアップロール30を回転自在に支持した状態で送出ロール35の回転軸36に揺動自在に取り付けられた支持フレーム40と、送出ロール35の回転軸36の回転を繰出しロール30に伝達する歯車伝達機構45とを主に有している。
【0033】
このうち送出ロール35は、図3、図4等に示すように、ピックアップロール30よりも原稿繰出し方向Sの下流側に所要の距離をあけた位置において、その原稿繰出し方向Sとほぼ直交する方向にそった状態で設置される回転軸36のほぼ中央部に(回転自在に)取り付けられている。回転軸36は、基礎フレーム10に回転自在に支持されているとともに、図示しないモータ、駆動伝達機構等で構成される回転駆動装置からの動力を得て原稿送り方向及びその逆の方向に回転駆動するように構成されている。
【0034】
パッド部材38は、搬送ロール35に所要の圧力下で接触して接触部を形成し、その接触部の手前においてピックアップロール30で繰り出される原稿9のうち重なった状態で送られた分(重送された分)の原稿(下方側に存在する原稿)を停止させて分離する重送防止用のパッド(分離用パッド)である。
【0035】
支持フレーム40は、その固定側端部40aが送出ロール35の回転軸36に対して揺動するように取り付けられており、回転軸36を支点として、収容トレイの前端部20bの収容面22に対して接近する方向及び離間する方向に相当する矢印C1,C2で示す方向に揺動する。
【0036】
また、支持フレーム40は、ピックアップロール30を支持した状態で、その自重により矢印C1で示す方向に揺動する。これにより、支持フレーム40は、外力を与えないかぎり、その自由端部40bに回転自在に支持したピックアップロール30を収容トレイ20に収容される最上の原稿9の上面(又は収容トレイの前端部20bの収容面22)に接触させる接触位置に変位させることができる。一方、支持フレーム40は、外力を与えることにより、矢印C2で示す方向に揺動し、これにより、その自由端部40bに回転自在に支持したピックアップロール30を上記した最上の原稿9の上面から離した離間位置に変位させることができる。
【0037】
この用紙送出装置1においては、原稿9の送出実行時及びその非送出時のいずれのときでも、支持フレーム40が自重により矢印C1の方向に揺動する状態になっている。これにより、ピックアップロール30が常時その接触位置の方に変位する状態に保たれている(図2、図5等を参照)。
【0038】
さらに、支持フレーム40には、図4に示すように、送出ロール35の回転軸36の回転を繰出しロール30に伝達する歯車伝達機構45が設置されている。その伝達機構45は、回転軸36に固定された第一歯車46と、ピックアップロール30の回転軸31に固定された第二歯車47と、第一歯車46及び第二歯車47の双方に噛み合って回転する中継歯車48とで構成されている。この歯車伝達機構45は、送出ロール35とピックアップロール30が異なる又は同じ速度(周速)で回転するように所要の回転伝達量が設定されている。
【0039】
ピックアップロール30は、上記したように支持フレーム40が自重により矢印C1で示す方向に揺動する状態になっていることで、収容トレイ20の収容面22に収容された最上の原稿9の上面に所要の荷重でもって接触する。また、回転軸36の回転動力が歯車伝達機構45を介して伝達されて原稿送り方向に回転することにより、原稿9を繰り出し先(搬送ロール35とパッド部材38の間の接触部)にむけて繰り出す。
【0040】
原稿搬送路50は、その全体がU字形に回って折り返すような形状(いわゆるUターン形状)の搬送路であり、送出部21と読取位置81の間を接続する第一搬送路51と、読取部81と排出部25の間を接続する第二搬送路52とで構成されている。
【0041】
このうち第一搬送路51は、送出部21と読取部81の間でほぼ湾曲(面)形状の通路として形成されており、その通路の空間を形成する(ほぼ上下)一対の通路形成部材53,54と、その通路途上で読取部81から所定の距離だけ手前側となる位置に設置される搬送時期調整ロール対55(駆動ロール55aと従動ロール55b)とで構成されている。読取部81の上面には、原稿9をその読取面に誘導するとともにその読取面に対して軽く押さえつけた状態で通過させる搬送誘導押さえ板84が設置されている。上部側の通路形成部材53は、外装カバー12の内面に取り付けられている。下部側の通路形成部材54と搬送時期調整ロール対55は、基礎フレーム10の側に固定して設置されている。搬送時期調整ロール対55は、第一搬送路51を通して搬送される原稿9を一端停止させた後、読取部81における読み取りタイミングに合わせて読取部81にむけて送り出すように搬送する。ちなみに、ロール対55については、単なる用紙搬送ロールとして構成することも可能である。
【0042】
また、第二搬送路52は、読取部81と排出部25の間でほぼ直線(平面)形状の通路として形成されており、その通路の空間を形成する(上下)一対の通路形成部材56,57と、その終端部の排出口58の位置に設置される排出ロール対59(駆動ロール59aと従動ロール59b)とで構成されている。一対の通路形成部材56,57と排出ロール対59は、基礎フレーム10の側に固定して設置されている。搬送時期調整ロール対55の駆動ロール55aと排出ロール対59の駆動ロール59aは、基礎フレーム10に設置されている図示しない回転駆動装置からの動力を得て原稿送り方向に回転する。
【0043】
そして、この原稿送り装置5における用紙送出装置1においては、収容トレイ20から送出ロール36に至る手前側の位置において収容トレイ20に収容される原稿9の繰出し方向S下流側となる先端部9aの収容位置を規制するシャッタ60を、以下のように取り付けている。
【0044】
まず、シャッタ60は、図2から図4等に示すように、送出ロール35の回転軸36にトルクリミッタ70を介して取り付けられている。また、シャッタ60は、その回転軸36が原稿送り方向又はその逆の方向に回転することにより、回転軸36を支点として矢印D1,D2で示す方向に揺動し、原稿の繰出し方向先端部9aの位置を規制する規制位置と原稿の通過を許容する退避位置のいずれかの位置に変位して停止した状態に保たれるように構成されている。
【0045】
シャッタ60は、図2から図4等に示すように、回転軸36に対して回動自在に取り付けられ取付け孔61aが形成された円筒状の取付け部61と、その取付け部61から突出した状態で形成される板状の規制作用部62とを有する形状になっている。規制作用部62は、規制対象の原稿の先端部9aと接触して制止し得る接触面62aを有する形成であるとともに、その接触面62aが制止位置に存在するときに回転軸36よりも原稿繰出し方向Sの上流側の位置に存在することができる形成に形成されている。
【0046】
また、シャッタ60は、図2等に示すように、回転軸36を支点として揺動するときにその制止作用部62の先端部が描く円軌道(図2等に示す一点鎖線)で囲まれる空間領域を移動することになるため、その移動を可能にする揺動空間Jを有する揺動用凹部65を形成している。揺動用凹部65は、回転軸36の下方に存在する原稿搬送路50の第一搬送路51を構成する下部側の通路形成部材54の一部がシャッタ60の揺動移動の障害になることから、その通路形成部材54の一部に陥没させたような形態の構造物として形成している。揺動用凹部65の繰出し方向Sの上流側の面65aは、例えば、シャッタ60を規制位置で接触させて停止させるための規制側の停止面として形成することも可能である。
【0047】
この実施の形態では、回転軸36を原稿送り方向とは逆の方向に回転させることにより、シャッタ60を制止位置に変位させて停止した状態にするよう設定しており、具体的には、その回転軸36を原稿送り方向と反対の方向に退避位置から所要の角度だけ回転させた後に停止させることで実施している。これは、回転軸36の所要の角度だけ回転させるためには、例えば駆動装置におけるモータの回転駆動時間などを制御する。
【0048】
また、この実施の形態では、回転軸36を原稿送り方向に回転させることにより、シャッタ60を退避位置に変位させて停止した状態にするよう設定しており、具体的には、トルクリミッタ70として後述する一方向制限型のトルクリミッタを使用するとともに、外装カバー12の内面側にシャッタ60の制止作用部62が接触して停止させられる接触停止面部75を設けることで実施している。
【0049】
一方向制限型のトルクリミッタは、回転軸36が原稿送り方向に回転した際、シャッタ60の状態(主に後述する停止部材に接触した停止状態)により回転軸36に対して規定値以上のトルクが発生すると、所望の負荷がかけられた状態で回転軸36の回転の伝達を空転により遮断するタイプのトルクリミッタである。送出ロール35は、回転軸36に対しては回動自在に取り付けられており、後述する差動クラッチを介して回転軸36の動力が伝達されるようになっている。図3、図4等において符号71はコイルスプリング部材、符号72は連結機能部材である。
【0050】
接触停止面部75は、シャッタ60が退避位置に停止したときに、その制止作用部62が原稿9の通過の障害にならない姿勢に保持できる位置及び形状で形成される。また、接触制止面部75は、外装カバー12の形成材料とは別の材料を使用して形成することも可能であるが、外装カバー12の形成材料と同じ材料を使用して一体的に形成してもよい。
また、用紙搬送装置1においては、図4、図9及び図10に示すように、送出ロール35が回転軸36に第一差動クラッチ80を介して取り付けられており、また、繰出しロール30が歯車伝達機構45に第二差動クラッチ85を介して連結されている。
【0051】
第一差動クラッチ80は、回転軸36に固定されている歯車伝達機構45の第一歯車46の送出ロール35と対向する部分にその周方向の一部に存在する状態で設ける駆動突起81と、送出ロール35の第一歯車46と対向する端部に駆動突起81と接触する状態で周方向の一部に存在する状態で設ける被駆動突起82とで構成されている。この第一差動クラッチ80の介在により、送出ロール35は、その被駆動突起82に第一歯車46の駆動突起81が突き当たった状態になることで回転が伝達されるが、互いに離れている状態では回転が伝達されないようになっている(図9、図10参照)。
【0052】
また、第二差動クラッチ85は、歯車伝達機構45の第二歯車47の繰出しロール30と対向する部分に周方向の一部に存在する状態で設ける駆動突起86と、繰出しロール30の第二歯車47と対向する端部に駆動突起86と接触する状態でその周方向の一部に存在する状態で設ける被駆動突起87とで構成されている。この第二差動クラッチ85を設ける関係で、第二歯車47は繰出しロールの回転軸31に回動自在に取り付けられているのに対し、繰出しロール30は回転軸31に対して固定して取り付けられている。この第二差動クラッチ85の介在により、繰出しロール30は、その被駆動突起87に第二歯車47の駆動突起86が突き当たった状態になることで回転が伝達されるが、互いに離れている状態では回転が伝達されないようになっている(図9、図10参照)。
【0053】
次に、原稿送り装置5の動作について説明する。
【0054】
この原稿送り装置5では、電源が投入されると、その送出部21を構成する用紙送出装置1では、次のシャッタに関する初期動作が実行される。この初期動作は、電源投入後においても原稿の読取動作が終了後の時期などにも行われる。
【0055】
まず、送出ロール35の駆動軸36が原稿送り方向に所定の時間だけ回転駆動した後、所定の時間だけ原稿送り方向とは逆の方向に回転駆動する。
【0056】
これにより、シャッタ60は、最初に図7等に示すように回転軸36の原稿送り方向に回転する動力が一方向制限型のトルクリミッタ70を介して伝達されることで、回転軸36を支点として、矢印D2の方向に揺動して退避位置にむけて変位し、その規制作用部62が接触停止面部75に接触した時点で停止した状態なる。規制作用部62が接触停止面部75に接触したときに、一方向制限型のトルクリミッタ70が空転する。
【0057】
その後、シャッタ60は、回転軸36の原稿送り方向と逆の方向に回転する動力が一方向制限型のトルクリミッタ70を介して伝達されることで、回転軸36を支点として、矢印D1の方向に揺動して規制位置にむけて変位し、その規制作用部62が接触停止面部75との接触で停止した停止位置から所要の角度(例えば120〜170°)だけ回転軸36が回転してから停止することで停止した状態になる。その停止した位置がシャッタ60の規制位置になる(図2、図3等参照)。
【0058】
このような初期動作により、用紙送出装置1におけるシャッタ60がその規制位置で停止した状態にされる。また、この初期動作が終了した時点では、回転軸36及び第二歯車47が原稿送り方向と逆の方向に所要の角度だけ回転した後に停止するため、第一差分クラッチ80及び第二差分クラッチ85はいずれも、図9に示すように、その駆動突起81,86と被駆動突起82,87とが互いに離れた位置関係になってクラッチが切れた状態になっている。
【0059】
続いて、原稿送り装置5の使用に当たっては、収容トレイ20に読み取り対象の複数枚の原稿9を積み重ねた状態で収容する。
【0060】
この際、用紙送出装置1におけるピックアップロール30は、図2等に示すように、支持フレーム40が回転軸36を支点として自重で矢印C1の方向に揺動した状態にある関係上、その接触位置の側に変位する状態にあり、実際には給紙トレイの前端部20bの収容面22に接触した状態になっている。しかし、この用紙送出装置1では、支持フレーム40が回転軸36に対して揺動自在に取り付けられているため、ピックアップロール30が給紙トレイの前端部20bの収容面22に接触した状態において、そのピックアップロール30と収容面22の間に収容すべき原稿9を押し込んで収容するようになっている(図6参照)。
【0061】
このとき、用紙送出装置1におけるシャッタ60は、図6に示すように、前記した初期動作により規制位置に変位して停止した状態に保たれている。詳しくは、シャッタ60の規制作用面部62の接触面62aが、収容トレイ20に収容される原稿9の繰出し方向先端部9aをその収容位置を規制するための位置に存在する状態になっている。
【0062】
そして、ピックアップロール30及びシャッタ60が上記したような状態にあるときに、収容トレイ20に原稿9を収容する。
【0063】
このとき原稿9は、図6に示すように、その繰出し方向先端部9aが、収容トレイ前端部20bの収容面22に接触しているピックアップロール30を支持フレーム40の矢印D2への自由揺動により上方に持ち上げて収容面22から浮かせた状態にしたうえで、ピックアップロール30の下方を通過するように押し込まれる。これにより、原稿9は、その収容面22の上に載せられる。
【0064】
また、このときの原稿の繰出し方向先端部9aは、図6に示すように、送出ロール35の手前側の位置に停止して存在するシャッタ60の規制作用面部62に接触して停止させられる。これにより、収容された原稿9は、その繰出し方向先端部9aがその収容位置で正確に規制されることとなる。
【0065】
次いで、収容トレイ20に原稿9が収容されると、図示しない検知センサにより、その存在が確認される。これにより、原稿送り装置5の原稿搬送と原稿読取装置8の原稿読取が可能な状態になる。この状態になった後に、図示しない制御装置から原稿9の読取開始の指示命令を受信すると、用紙送出装置1における送出ロール35の回転軸36が原稿送り方向に回転し始めて、原稿9の送り出しを開始する。
【0066】
このとき、シャッタ60は、回転軸36が原稿送り方向に回転し始めると、図7や図8に示すように、その回転の動力が一方向制限型のトルクリミッタ70を介して伝達されることで、回転軸36を支点として、矢印D2の方向に揺動して退避位置にむけて変位し、その規制作用部62が接触停止面部75に接触した時点で停止した状態なる。この実施の形態におけるシャッタ60は、退避位置に変位したときに、その規制作用部62が送出ロール35とパッド部材38の接触部よりも原稿搬送方向下流側に空間に存在するように設定されている(図7参照)。
【0067】
このシャッタ60の矢印D2方向への揺動による退避位置への変位は、第一及び第二の差分クラッチ80,85の介在により送出ロール35及び繰出しロール30の原稿送り方向への回転開始に先立って行われる。
【0068】
つまり、第一及び第二の差分クラッチ80,85は、前述した初期動作の終了時点でクラッチが切れた状態になっているため(図9参照)、回転軸36が原稿送り方向に回転始動した時点では、その回転動力がトルクリミッタ70を介してシャッタ60にのみ伝達されるが、送出ロール35及び繰出しロール30には伝達されないためである。具体的には、図10に示すように、各差分クラッチ80,85の駆動突起81,86がその被駆動突起82,87と接触する位置に移動するまでの間は、シャッタ60のみが揺動し、その駆動突起81,86がその被駆動突起82,87と接触した以降に送出ロール35及び繰出しロール30が原稿送り方向に遅延して回転し始める。
【0069】
これにより、シャッタ60が退避位置に変位する前又はその途中の時期に、繰出しロール30による原稿9の繰り出しや送出ロール35による原稿の送り出しが開始されてしまい、この結果、例えば、その繰り出された原稿や送り出された原稿がシャッタ60(の規制作用部62)に接触して紙詰まりが発生したり、あるいは原稿に折れ目が発生する等の不具合が発生することが防止される。
【0070】
続いて、第一及び第二の差分クラッチ80,85がつながった状態になると(図10)、回転軸36の原稿送り方向の回転の動力が各差分クラッチ80,85及び歯車伝達機構45を介して送出ロール35と繰出しロール30にそれぞれ伝達される結果、送出ロール35と繰出しロー30の双方が原稿送り方向に回転し始める(図7参照)。
【0071】
これにより、収容トレイ20においてその最上位にある原稿9が回転する繰出しロール30により繰出し方向Sに繰り出される。用紙送出装置1では、支持フレーム40に支持されているピックアップロール30が所要の荷重で最上の原稿9に接触している(乗っている)状態となり、最上の原稿9との間に所要の摩擦抵抗が生じるようになっている。この結果、繰出しロール30の回転による搬送力(繰出し力)が原稿9に対して伝わる。
【0072】
ピックアップロール30により繰り出された原稿9は、送出ロール35とパッド部材38の間の接触部にむけて送られる。この際、繰り出される原稿9は、最上位の1枚でなく複数枚が重なり合った状態(重送状態)である場合には、送出ロール35とパッド部材38の間において、重送されて下方に位置する原稿9がパッド部材38により接触部の手前位置で停止させられて最上位の原稿と分離される。これにより、最上の原稿9のみが送出ロール35の搬送力を受けて接触部を通過するように送られるとともに、原稿搬送路50の第一搬送路51にむけて送り出される(図7参照)。
【0073】
第一搬送路51に送り出された原稿9は、搬送時期調整ロール対55により読取タイミングに合わせて読取部81に送られる(図7参照)。読取部81では、原稿9に記録されている情報の読み取りが行われる。また、原稿9は、読取部81を通過するように搬送される。この読取部81を通過するときの原稿9は、搬送時期調整ロール対55と排出ロール対59の少なくとも一方の接触部に挟まれて保持された状態となり、これにより搬送力を受けて搬送される。
【0074】
読み取りが終了した原稿9は、搬送時期調整ロール対55の搬送力を受けて読取部81から原稿搬送路50の第二搬送路52を通して排出部25にむけて搬送される。第二搬送路52に搬送された原稿9は、最終的に排出ロール対59の搬送力により排出口36から排出され、最後に排出部25に積み重ねられる状態で収容される。
【0075】
収容トレイ20に収容されたすべての原稿9の搬送と読取が正常に終了すると、送出部21の用紙送出装置1においては、給紙トレイ20上に送出される原稿9がなくなるので、ピックアップロール30が給紙トレイ20の収容面22に接触した状態になる(図2等参照)。またこの際、給紙トレイ20に原稿9がない状態が図示しない検知センサで検知される。
【0076】
またこのとき、用紙送出装置1においては、送出ロール35の回転軸36が、原稿送り方向への回転を停止した後に、初期動作時の場合と同様に原稿送り方向と逆の方向に所要の角度だけ回転した後に完全に停止する。これにより、シャッタ60が退避位置から規制位置に変位させられた後にその規制位置で停止した状態にされる。
【0077】
この用紙送出装置1を適用した原稿送り装置5においては、用紙送出装置1における支持フレーム40が、自重で揺動するものである。また、用紙送出装置1におけるシャッタ60が、変位せずに一定の位置に存在する状態にある送出ロール35の回転軸36に取り付けられており、その回転軸36の回転動力を利用して揺動させるようにしている。
【0078】
このため、支持フレーム40を揺動させるための駆動機構が不要であり、しかも、シャッタ60を揺動させるための特別な駆動機構が不要である。この結果、支持フレーム40のピックアップロール30を支持する自由端部40bと外装カバー12との間の空間(間隙)に支持フレーム40やシャッタ60の駆動機構を配置する必要がなく、シャッタ60の取付け構造物を配置する必要もない。また、ピックアップロール30の下方側であって給紙トレイの前端部20bの下方側の空間にも、シャッタ60の駆動機構を配置する必要がなく、シャッタ60そのものを配置する必要もない。
【0079】
したがって、支持フレーム40のピックアップロール30を支持する自由端部40bと外装カバー12との間の空間と、ピックアップロール30の下方側であって給紙トレイの前端部20bの下方側の空間については、必要最低限の高さ空間を確保すれば済むため、特に用紙送出装置1における高さ方向の寸法を可及的に小さくして装置の薄型化を図ること(具体的には、図1、図6及び図9に示す部分の高さHの寸法を小さくすること)が可能になる。その必要最低限の高さ空間とは、例えば、支持フレーム40の矢印C2方向に最大限揺動させるための移動空間分や、原稿搬送路50の第二搬送路52を配置するための設置空間分などである。
【0080】
また、この用紙送出装置1の薄型化が可能になる分、その用紙送出装置1を適用する原稿送り装置5の薄型化も可能になる。特に原稿搬送路50がU字形に回って折り返す形状の搬送路であるので(図1参照)、シャッタ60の揺動する移動空間を確保するために形成する揺動用凹部65を、その搬送路50の湾曲状に折り返す部分の広い空間を確保しなければならない部分に設置することが可能となり、この観点からも装置の薄型化に有利になる。
【0081】
また、この用紙送出装置1では、シャッタ60がトルクミッタ70を介して回転軸36に取り付けられているため、その規制作用部62に対して原稿の先端部9aを強く突き当てても位置ずれが発生しにくい。また、シャッタ60による原稿の繰出し方向先端部の収容位置と搬送ロール35との離間距離の把握や設定が行いやすい。このため、収容される原稿9をその先端部9aが正しい収容位置に整然と規制された状態で収容することができ、原稿が斜めの状態で送り出される等の搬送上の不具合が発生するおそれが少なくなる。
【0082】
この他、支持フレーム40の強制的な揺動動作がされないので、原稿送り出しにおける動作音が比較的静かになる。
【0083】
[他の実施の形態]
図11から図14は、用紙送出装置1の他の構成例を示すものであり、主に、前記実施の形態における接触停止面部75とは異なる停止突起としての停止突起76の例を示している。
【0084】
この構成例における停止突起76は、支持フレーム40の回転軸36への取付け側端部40aに固定した状態で形成されている。この停止突起76は、送出ロール35から原稿送り方向下流側(送出ロール35を挟んで繰出しロール30が存在する位置とは反対の側)に位置するとともに、シャッタ60の回転軸36を支点として揺動する際の軌道上(移動領域内)であって原稿9の搬送に支障のない所望の位置(退避停止位置)に存在する状態で設けられる。停止突起76は、支持フレーム40が矢印C2で示す方向に揺動して退避位置に変位した際に、搬送路形成部材54の面に衝突することがない状態で設けられる。また、停止突起76は、退避位置に揺動して変位するシャッタ60の制止作用部62が接触して所望の位置に停止させられる接触停止面76aが形成されている。
【0085】
この停止突起76は、支持フレーム40と一体に成形して形成される形態のものであっても、あるいは、支持フレーム40とは別体であって後から支持フレーム40に取り付ける形態のものであってもよい。また、この停止突起76を設けるに際して、その専用の設置空間を確保する必要は特にない。
【0086】
そして、この停止突起76を有する用紙送出装置1にあっては、原稿送り出し時にシャッタ60が前述したように回転軸36を支点として矢印D2で示す方向に揺動して退避位置にむけて変位すると、図13や図14に示すように、シャッタ60の制止作用部62が停止突起76の接触停止面76aに接触する。これにより、シャッタ60は、それ以上の揺動が阻止され、退避位置に停止させられた状態に保たれる。
【0087】
またこのとき、シャッタ60は、回転軸36の動力をトルクリミッタ70を介して受け続けているため、停止突起76を押し続ける状態となり、停止突起76が支持フレーム40を矢印C1で示す方向に揺動させるように作用することになる。これにより、原稿送出時にある繰出しロール30は、支持フレーム40の自重によって原稿8に押されることに加えて、停止突起76の支持フレーム40を揺動させる作用を受けて更に原稿9に押された状態になるので、最上の原稿9面との接触圧が上がり、この結果、安定した原稿の送出が可能になる。
【0088】
ちなみに、この停止突起76では、前記実施の形態における接触停止面部75のようにシャッタ60の矢印D2の方向への揺動作用により外装カバー12に外力(持ち上げてカバーを開く方向B1の力)を及ぼすことがない。このため、例えば、閉じたときの外装カバー12と本体10との結合(係合)力を強くする必要がなくなる(弱めにすることも可能になる)。
【0089】
前記実施の形態では、シャッタ60を1つ設けた場合を例示したが、回転軸36に対して複数のシャッタを、トルクリミッタを介してそれぞれ設けることもできる。
【0090】
また、トルクリミッタ70としては、回転軸36を原稿送り方向とは逆の方向に回転させた際にもシャッタ60を停止部材(前述した揺動用凹部65の一面65a:図2参照)等に接触させて停止させるように構成する場合には、そのときのシャッタの状態により所望の負荷をかけた状態で回転の伝達を空転により遮断する、いわゆる双方向制限型のトルクリミッタを使用することも可能である。
【0091】
この他、前記実施の形態では、用紙送出装置1を原稿送り装置5の原稿送出装置として構成した場合を示したが、この用紙送出装置1は、他の装置にも適用することが可能であり、例えば、画像形成に使用する用紙を収容トレイに積み重ねる状態で収容してから1枚ずつ送り出して給紙する装置(給紙装置)における用紙送出装置として適用することもできる。
【符号の説明】
【0092】
1 …用紙送出装置
5 …原稿送り装置
9 …原稿(用紙)
9a…繰出し方向先端部
12…外装カバー(覆い部材)
20…収容トレイ(収容部)
22…収容面
30…ピックアップロール(繰出しロール)
35…送出ロール
36…回転軸(送出ロールの回転軸)
40…支持フレーム(支持部材)
50…原稿搬送路
60…シャッタ(規制部材)
70…一方向制限型のトルクリミッタ(一方向制限型の回転伝達部材)
75…接触停止面部(停止部材)
76…停止突起(停止部材)
80,85…差分クラッチ
S …繰出し方向
C1,C2…支持フレームの揺動する方向
D1,D2…シャッタの揺動する方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙が積み重ねられた状態で収容される収容部と、
前記収容部に収容される最上の用紙を繰り出す繰出しロールと、
前記繰出しロールで繰り出される最上の用紙を送り出す送出ロールと、
前記繰出しロールを回転自在に支持した状態で前記送出ロールの回転軸に揺動自在に取り付けられ、前記繰出しロールを前記収容部に収容される用紙に接触させる接触位置と当該用紙から離した離間位置との間で変位させる支持部材と、
前記収容部から前記送出ロールに至る手前側の位置において当該収容部に収容される用紙の繰出し方向先端部の位置を当該先端部との接触により規制する規制部材を有し、
前記規制部材は、前記搬送ロールの回転軸にトルク制限付きの回転伝達部材を介して取り付けられ、当該回転軸が用紙送り方向又はその逆の方向に回転することにより、前記用紙の繰出し方向先端部の位置を規制する規制位置と用紙の通過を許容する退避位置のいずれかの位置に変位して停止した状態に保たれることを特徴とする用紙送出装置。
【請求項2】
前記繰出しロールを支持した支持部材は、その自重により揺動して前記接触位置まで下降するように取り付けられている請求項1に記載の用紙送出装置。
【請求項3】
前記トルク制限付きの回転伝達部材が、前記送出ロールの回転軸を用紙送り方向に回転させたときにトルク制限を受けて回転が伝達されなくなる設定の一方向制限型の回転伝達部材である請求項1又は2に記載の用紙送出装置。
【請求項4】
少なくとも前記収容部の一部及び前記支持部材をその上方から覆う覆い部材を有し、
前記覆い部材に、前記規制部材が前記退避位置に変位したときに接触して停止させられる停止部材を設けた請求項1又は2に記載の用紙送出装置。
【請求項5】
前記支持部材に、前記規制部材が前記退避位置に変位したときに接触して停止させられる停止部材を設けた請求項1又は2に記載の用紙送出装置。
【請求項6】
前記規制部材が、前記送出ロールの回転軸を用紙送り方向と反対の方向に所要の角度だけ回転させた後に停止させることで前記規制位置に停止した状態に保たれる請求項3に記載の用紙送出装置。
【請求項7】
前記繰出しロールが前記送出ロールの回転軸と回転伝達機構を介して接続されており、
前記送出ロールが回転軸に差動クラッチを介して取り付けられており、前記繰出しロールが前記回転伝達機構に差動クラッチを介して連結されている請求項1又は2に記載の用紙送出装置。
【請求項8】
読み取り対象の情報を有する原稿が積み重ねられた状態で収容される収容部と、
前記収容部に収容される最上の原稿を送り出す原稿送出装置と、
前記収容部の下方の位置に設置される原稿の排出部と、
前記収容部から読み取り位置を経由して前記排出部に至る、全体がU字形に回って折り返す形状の原稿搬送路とを有し、
前記原稿送出装置が、請求項1乃至7のいずれかに記載の用紙送出装置で構成されていることを特徴とする原稿送り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−228848(P2010−228848A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77077(P2009−77077)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】