説明

用途に応じて複数のイメージセンサを制御するための装置及び方法

【課題】異なるタイプのイメージセンサに対応可能なカメラシステムを提供する。
【解決手段】イメージセンサを制御するためのコンピュータ実行方法は、複数のイメージセンサに別々に関連した複数のデータセットを有したイメージファイルを読み出す段階と、複数のデータセットのうちの1つに含まれた識別データがイメージセンサにマッチした場合に、イメージセンサを同定する段階と、イメージセンサにマッチしたデータセットに含まれた設定データに従って、イメージセンサを設定する段階とを有する。識別データはイメージセンサの識別情報を表す。設定データはイメージセンサの動作パラメータを表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2008年11月12日に出願された米国特許仮出願第61/198,921号の優先権を主張するものである。本明細書には、引用によって上記出願全体が組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
近年、イメージ取得機能を備えた電子デバイスは、消費者にとって身近な存在となっている。典型的に、パーソナルコンピュータ又は携帯移動電話器などの電子デバイスで利用されるカメラモジュールは、イメージセンサを具備する。イメージセンサは、入射光をキャプチャして、イメージの電子的表現を形成する。すなわち、イメージセンサは、光学的イメージ信号を電気的イメージ信号に変換する半導体デバイスである。さまざまなタイプのイメージセンサは別個の設定を必要とするが、電子デバイスは、必要とされるレベルのイメージセンサプロパティの設定を行わないかもしれない。さらに、通常、カメラモジュールは、イメージセンサの設定データを格納するために、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)を具備する。しかしながら、EEPROMの採用によって、カメラモジュールのコストが増大するおそれがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施態様において、イメージセンサを制御するためのコンピュータ実行方法は、複数のイメージセンサに別々に関連した複数のデータセットを有したイメージファイルを読み出す段階と、複数のデータセットのうちの1つに含まれた識別データがイメージセンサにマッチした場合に、イメージセンサを同定する段階と、イメージセンサにマッチしたデータセットに含まれた設定データに従って、イメージセンサを設定する段階とを有する。識別データはイメージセンサの識別情報を表す。設定データはイメージセンサの動作パラメータを表す。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】本発明の一実施形態によるカメラシステムの構成図である。
【図2】本発明の一実施形態によるドライバモジュールの構成図である。
【図3】本発明の一実施形態によるイメージセンサを制御するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の利点は、本発明の例示的な実施形態の以下の詳細な記載から明らかとなる。上記記載は、添付の図面と併せて参照される。
【0006】
これより、本発明のいくつかの実施形態への参照が詳細になされる。本発明は複数の実施形態と共に説明されるが、当然ながら、発明をそれらの実施形態に限定することを意図していない。逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義された発明の精神及び範囲内に含まれる変形例、修正例、及び均等物を包含することを意図する。
【0007】
以下の詳細な記載のいくつかの部分は、手続き、論理ブロック、処理、及びコンピュータメモリ内のデータビット上のその他の演算符号表現の観点から表される。これらの記載及び表現は、その働きを別の当業者に最も効果的に伝えるために、データ処理分野の当業者によって用いられる手法である。本明細書において、手続き、論理ブロック、プロセスなどは、所望の結果を導く自己矛盾のない一連のステップ又は命令となるように設計されたものである。各ステップは、物理量の物理的操作を命じる。必須ではないが、通常、これらの数量は、コンピュータシステムにおける格納、転送、結合、比較、及びその他の操作を受けることが可能な電気的又は磁気的信号の形をとる。
【0008】
しかしながら、これらのすべて及び同様の用語は、適切な物理量に関連付けられたものであって、これらの数量に付けられた便宜上のラベルに過ぎないということに留意されたい。以下の詳解から明らかとなる特定の状態を除いて、例えば、「読み出し(loading)」、「アクセス(accessing)」、「同定(identifying)」、「設定(configuring)」、「更新(updating)」、「判断(determining)」、「取得(acquiring)」、「要求(requesting)」、「呼び出し(invoking)」などの用語を用いた詳解は、コンピュータシステム又は同様の電子演算デバイスの動作及び処理に言及したものであるということを、本明細書を通して認識されたい。ここで、コンピュータシステム又は同様の電子演算デバイスは、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的(電子的)数量として表されたデータを、コンピュータシステムメモリ若しくはレジシタ、又はその他の情報記憶装置、送信装置、若しくは表示装置内の物理量として同様に表される別のデータへと操作及び変換する機能を有する。
【0009】
明細書に記載された実施形態は、1つ以上のコンピュータ又はその他のデバイスによって実行される、例えば、プログラムモジュールのような、何らかの形式のコンピュータ可用媒体上に存在するコンピュータ実行可能命令として説明される。一般に、プログラムモジュールは、複数のルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含み、それらは、特定のタスクを実行するか、又は特定の抽象データ型を実装する。プログラムモジュールの機能は、さまざまな実施形態で望まれるままに組み合わされ又は分割されてよい。
【0010】
例として、かつ限定を目的とせずに、コンピュータ可用媒体には、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体が含まれる。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又はその他のデータなどの情報記憶のための任意の方法又は技術として実装された揮発性及び不揮発性、着脱可能及び着脱不可能な媒体である。コンピュータ記憶媒体は、それらに限定されないが、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ、若しくはその他のメモリ技術、CD−ROM(Compact Disk ROM)、DVD(Digital Versatile Disk)、若しくはその他の光学ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ、若しくはその他の磁気記憶デバイス、又は所望の情報の格納に用いられるその他の任意の媒体である。
【0011】
通信媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又はその他のデータを、搬送波又はその他の送信メカニズムなどの変調データ信号に具体化する任意の情報配信媒体である。用語「変調データ信号(modulated data signal)」は、情報を信号に符号化するといった方法で設定又は変更された1つ以上の特性を有した信号を意味する。例として、かつ限定を目的とせず、通信媒体は、有線ネットワーク又は直接接続などの有線媒体と、音響、無線周波数(RF)、赤外線、及びその他のワイヤレス媒体などの無線媒体とを含む。また、上記のいずれかの組み合わせも、コンピュータ可読媒体の範囲内に包含される。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態によるカメラシステム100の構成図を示す。カメラシステム100は、一実施形態では、コンピュータユニット110と、カメラモジュール130とを具備する。コンピュータユニット110は、カメラモジュール130を制御して、光学イメージをキャプチャする機能と、キャプチャしたイメージを表す電気信号をカメラモジュール130から受信する機能とを有する。コンピュータユニット110は、携帯移動電話器、パーソナルコンピュータ、ワークステーションなどであってよい。
【0013】
一実施形態において、カメラモジュール130は、イメージセンサ131と、レンズ133と、通信媒体135とを具備する。レンズ133は、イメージセンサ131上に入射光の焦点を合わせる機能を有する。イメージセンサ131は、光学イメージ信号をキャプチャする機能と、光学イメージ信号をアナログ電気イメージ信号に変換する機能とを有する。さらに、イメージセンサ131は、一実施形態では、アナログ電気イメージ信号をデジタル未加工イメージ信号(例えば、RAW形式のデジタルイメージ)に変換する機能を有する。イメージセンサ131は、それらに限定されないが、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)アクティブピクセルセンサであってよい。一実施形態において、イメージセンサ131は、レジスタインタフェース137と、光感知領域139と、1つ以上のレジスタ141とを具備する。さまざまなタイプのイメージセンサを互いに区別するために、各タイプのイメージセンサには、一意な識別値が割り当てられている。識別値は、1つ以上のレジスタ141に格納できる。さらに、レジスタ141は、一実施形態では、設定データを格納し、それによって、イメージセンサ131の動作パラメータが決定される。動作パラメータには、それらに限定されないが、イメージセンサ131の解像度、輝度、コントラスト、露光方法、及び露光時間の情報が含まれる。光感知領域139は、入射光を感知して、アナログ電気イメージ信号を生成する。
【0014】
通信媒体135は、コンピュータユニット110からの制御コマンドを転送して、イメージセンサ131のイメージ取得機能を制御する機能、例えば、イメージセンサ131の動作パラメータを設定及び調整する機能を有する。通信インタフェース135は、USB(Universal Serial Bus)プロトコル又は1394プロトコル等の通信プロトコルに従って、コンピュータユニット110とやりとりを行う機能を有する。さらに、通信媒体135は、IC(Inter-Integrated Circuit)バスプロトコル又はSCCB(Serial Camera Control Bus)プロトコルなどの別の通信プロトコルに従って、イメージセンサ131とやりとりを行う機能を有してよい。換言すれば、イメージセンサ131は、一実施形態では、IC/SCCBプロトコルをサポートする機能を有する。そのようにして、通信媒体135は、USBとIC/SCCBとの間のプロトコル変換も提供する。さらに、通信媒体135は、イメージセンサ131からのデジタルイメージ信号(例えば、デジタル未加工イメージ信号)をコンピュータユニット110に転送する機能を有する。通信媒体135は、SCCB/ICプロトコルに従って、レジスタインタフェース137を介してレジスタ141にアクセスする機能を有する。
【0015】
一実施形態において、コンピュータユニット110は、プロセッサ101(例えば、中央処理ユニット)と、メモリ(記憶デバイス)103と、通信インタフェース105と、バス107とを具備する。オペレーティングシステム、例えば、Windows(登録商標) XP、Windows Vista、及びLinux(登録商標)が、コンピュータユニット110にインストールされている。一実施形態において、プロセッサ101は、メモリ103に格納されたさまざまなプログラムの命令を処理し、対応するハードウェア要素にコマンドを送信する。特定のプログラムを実行するために、プロセッサ101は、メモリ103から関連する命令を読み出し、対応する制御コマンドを関連するハードウェア要素に送信してそのような命令を実行する。また、プロセッサ101は、コマンドを送信して、コンピュータユニット110に接続されたデバイス、例えば、カメラ130を制御する。さらに、メモリ103は、コンピュータ可読媒体であり、プロセッサ101によって処理可能なコンピュータ可読及び/又はコンピュータ実行可能データを格納する機能を有する。通信インタフェース105は、シリアルインタフェース、パラレルインタフェース、及び/又はその他のタイプのインタフェースであってよく、デジタルデータストリームを伝送する電気的、磁気的、又は光学的信号を送受信する機能を有する。例えば、通信インタフェース105は、通信媒体135とやりとりを行って、電気イメージ信号及びイメージ取得管理に関した制御コマンドを転送する。コンピュータユニット110の複数のハードウェア要素間の通信、例えば、プロセッサ101と、メモリ103と、通信インタフェース105との間の通信は、バス107を介して確立される。
【0016】
メモリ103は、一実施形態では、アプリケーションモジュール121と、ドライバモジュール123とを具備する。アプリケーションモジュール121は、フォアグラウンドで実行されてユーザとのやりとりを行うユーザモードプログラムであってよい。ドライバモジュール123は、バックグラウンドで実行されてユーザには不可視のカーネルモードプログラムであってよい。一実施形態において、ドライバモジュール123は、ストリームクラスドライバ125と、カメラドライバ127と、デバイスドライバ129とを具備する。アプリケーションモジュール121及びドライバモジュール123は、プロセッサ101によって実行されてよい。
【0017】
一実施形態において、ストリームクラスドライバ125は、オペレーティングシステムによって提供され、上位層ユーザモードプログラムと下位層カーネルモードプログラムとの橋渡しの機能を果たす。例えば、ユーザがユーザモードプログラムのTV電話機能を開始した場合、ユーザモードプログラムは、イメージ要求を発する。ストリームクラスドライバ125は、イメージ要求を受信し、イメージ要求に応答して、カメラドライバ127を呼び出してカメラモジュール130を起動する。カメラドライバ127は、さまざまなタイプのイメージセンサを駆動するために開発されたものである。たとえカメラモジュール130がイメージセンサ131を異なるタイプのイメージセンサに置き換えたとしても、カメラドライバ127は、一実施形態では、更新を必要とせずに、新たに使用されるイメージセンサを同定及び設定できる。換言すれば、カメラドライバ127は、さまざまなイメージセンサに対する汎用ドライバである。さらに、カメラドライバ127は、デバイスドライバ129を呼び出して、通信インタフェース105と通信媒体135との間の通信を確立する。それによって、コンピュータユニット110とイメージセンサ131とが通信可能となる。例えば、デバイスドライバ129は、プロセッサ101によって実行されて、イメージセンサ131からの信号、例えば、デジタル未加工イメージ信号を検出/認識し、そのような信号をイメージセンサ131から対応するコンピュータ可読データに変換する機能を有する。さらに、デバイスドライバ129は、コンピュータ可読データ、例えば、コンピュータユニット110からのコンピュータコマンドをセンサ可読信号に変換する機能を有する。一実施形態において、デバイスドライバ129、例えば、USBドライバは、オペレーティングシステムによって提供されてもよい。
【0018】
有利には、カメラドライバ127は、さまざまなイメージセンサをサポートする機能を有し、それによって、カメラシステム100をよりフレキシブルかつユーザフレンドリーなものとする。さらに、カメラモジュール130からEEPROMを取り除く。それによって、カメラモジュール100のコストを削減できる。
【0019】
図2は、本発明の一実施形態によるドライバモジュール123の構成図を示す。図1と同一の参照符号が付けられた要素は、同一の機能を有する。図2は、図1と併せて説明がなされる。一実施形態において、カメラドライバモジュール127は、イメージファイル221と、識別コンポーネント223と、設定コンポーネント225と、プロパティコンポーネント227と、イメージ処理コンポーネント229とをさらに具備する。
【0020】
イメージファイル221は、異なる複数のイメージセンサに関する複数のコンピュータ可読データセットを格納する。一実施形態において、複数のデータセットのそれぞれは、対応するイメージセンサに関する識別データ及び設定データを定義したものである。識別データは、対応するイメージセンサのセンサタイプ(又は、識別情報)を表す。例えば、イメージセンサ131の識別データは、図1に関連して先に記載されたような識別値と、1つ以上のアドレス値と、アドレスカウント値とを有してよい。アドレス値は、レジスタ141のアドレスを表す。アドレスカウント値は、識別値を格納するためのレジスタ141の数を表す。例えば、識別値が16ビット長である場合、その識別値は、2つの8ビットレジスタに格納できる。故に、アドレス値には2つの8ビットレジスタのアドレスが含まれ、かつアドレスカウント値は2となる。以降の記載では、イメージファイル221に格納された識別値をローカル識別値と称し、かつレジスタ141に格納された識別値をリモート識別値と称する。また、一実施形態において、イメージセンサ131の識別データは、イメージセンサ131によってサポートされた通信プロトコル(例えば、ICプロトコル及びSCCBプロトコル)を表すプロトコル値を含んでよい。対応する設定データは、解像度、輝度、コントラスト、露光方法、及び露光時間などのイメージセンサ131の動作パラメータを表す。
【0021】
有利には、イメージファイル221は、コンピュータユニット110には未知のイメージセンサに関連する追加的なデータセットを含むように更新されてもよい。例えば、新たなイメージセンサに関連したデータセットがイメージファイル221に書き込まれることによって、そのようなイメージセンサがカメラドライバアプリケーション127によって認識可能となる。そのようにして、さまざまな任意のイメージセンサをサポートするように、カメラドライバアプリケーション127をカスタマイズできる。
【0022】
プロセッサ101によって実行される識別コンポーネント223は、イメージセンサ131中のリモート識別値(例えば、レジスタ141に格納されたリモート識別値)と、イメージファイル221中のデータセットに含まれたローカル識別値とを比較する機能を有する。イメージセンサ131は、複数のデータセットのうちの1つに含まれたローカル識別値がリモート識別値にマッチするか否かを同定する機能を有する。具体的には、識別コンポーネント223は、対応するデータセットに含まれたアドレス値及びアドレスカウント値に従って、(例えば、)イメージセンサ131のリモート識別値を取得するため、かつリモート識別値と対応するデータセットに含まれたローカル識別値との自動的な比較によって、イメージセンサ131を同定するためのコンピュータ実行可能命令コードを有する。設定コンポーネント225は、対応するデータセットに含まれた設定データを読み取るため、かつ対応する設定データに従って、イメージセンサ131の動作パラメータを設定するためのコンピュータ実行可能命令コードを有する。
【0023】
イメージ処理コンポーネント229は、カメラモジュール130からのデジタルイメージ信号にデジタル画像処理を実行するためのコンピュータ実行可能命令コードを有する。具体的には、イメージ処理コンポーネント229は、幾何学的変換、色調処理、イメージ合成、イメージノイズ除去、及びイメージ強調などのさまざまなデジタル処理アルゴリズムによって、デジタルイメージ信号のイメージ属性、例えば、輝度、色調、彩度、及び信号対雑音比を調整する機能を有する。その結果、標準的なイメージファイル形式、例えば、JPEG(Join Photographic Experts Group)規格を用いて、デジタル未加工イメージ信号を色調補正されたイメージに変換できる。
【0024】
一実施形態において、イメージファイル221に格納された複数のデータセットは、デジタルイメージ信号のイメージ属性、例えば、輝度、色調、彩度、及び信号対雑音比を示すプロパティデータをさらに定義する。プロパティコンポーネント227は、デジタルイメージ信号のイメージ属性を調整するためのコンピュータ実行可能命令コードを有する。ユーザモードプログラムがイメージ属性を調整するための要求を発した場合、プロパティコンポーネント227は、イメージファイル227からプロパティデータを読み取り、それに従って、イメージ属性を調整できる。
【0025】
一実施形態において、カメラドライバモジュール127は、判断コンポーネントと、更新コンポーネントを具備する。判断コンポーネントは、イメージセンサ131によってサポートされる通信プロトコルの判断と、イメージセンサ131との通信が正常に確立されたか否かの判断とを行うためのコンピュータ実行可能命令コードを有する。更新コンポーネントは、イメージセンサ131にマッチする識別データが複数のデータセットのいずれにも含まれていない場合に、イメージファイル221を更新するためのコンピュータ実行可能命令コードを有する。
【0026】
図3は、本発明の一実施形態によるイメージセンサを制御するための方法のフローチャート300を示す。図3には特定のステップが記載されているが、そのようなステップは、例示を目的として提示されたものである。すなわち、本発明は、さまざまな他のステップ、又は、図3に列挙されたステップの変形例の実行に適している。図3は、図1及び図2と併せて説明される。一実施形態において、フローチャート300は、コンピュータ可読媒体に格納されたコンピュータ実行可能命令として実現される。
【0027】
ステップ301で、イメージ要求が、ユーザモードプログラム、例えば、ビデオアプリケーションプログラムによって発せられる。イメージ要求に応答して、ストリームクラスドライバ125が、カメラドライバ127を呼び出す。それによって、カメラドライバ127は、イメージファイル221と共にメモリ103から読み出されて、プロセッサ101によって実行される。したがって、カメラドライバ127にプログラムされたタスクが実行される。タスクについては、ステップ303ないしステップ321に関する以下の記載で詳細な説明がなされる。
【0028】
ステップ303で、カメラドライバ127の判断コンポーネントは、イメージセンサ131との通信が正常に確立されているか否かを判断する。例えば、イメージセンサ131によってサポートされる通信プロトコルがICプロトコルであり、かつ通信インタフェース105がUSBプロトコルを使用して通信媒体135とのやりとりを行っていると仮定すると、通信媒体135がUSB−SCCBプロトコル変換を行わない限り、正常な通信は確立できない。この場合、ステップ305で、SCCBプロトコルはICプロトコルに変更され、かつ通信媒体135が、USB−ICプロトコル変換を実行する。ステップ305での通信プロトコル変更に続いて、ステップ303が再び実行され、正常な通信が確立されたか否かが判断される。今度は、イメージセンサ131によってサポートされた通信プロトコルであるとの判断がなされる。
【0029】
あるいは、識別データのプロトコル値は、ステップ303で、通信確立時のデフォルト通信プロトコルとして使用されてもよい。すなわち、プロトコル値は、通信確立の最初の試行時に、カメラドライバ127の判断コンポーネントによって、通信プロトコルとして採用される。デフォルト通信プロトコルとしてプロトコル値を使用することによって、最初の試行時に正常な通信が確立される可能性が高まる。そのようにして、システム効率が向上する。
【0030】
ステップ307で、イメージファイル221に格納された識別データへのアクセスを行う。各データセットの識別データに対して、ステップ309で、カメラドライバ127の同定コンポーネントは、マッチするIDが存在するか否かを判断する。具体的には、まず、カメラドライバ127の取得コンポーネントが、識別データのアドレス値及びアドレスカウント値に従って、レジスタ141からイメージセンサ131のリモート識別値を読み出す。次いで、同定コンポーネントは、イメージセンサ131のリモート識別値と、識別データのローカル識別値と比較して判断を行う。一実施形態では、取得コンポーネントと同定コンポーネントとで識別コンポーネント223を構成する。リモート識別値とローカル識別値が等しい場合、マッチするIDが検出される。この場合、ステップ313で、対応する設定データが読み取られ、かつステップ315で、イメージセンサ131が設定される。リモート識別値とイメージファイル221中のすべてのデータセットの識別値とを比較してもマッチするIDが検出されなかった場合、未知のイメージセンサ131に関連した追加的なデータセットを含むように、ステップ311で、イメージファイル221の更新が行われる。
【0031】
ステップ317で、イメージセンサ131は、光学イメージをキャプチャするとともに、設定した動作パラメータに従って、デジタルイメージ信号を生成する。ステップ319で、デジタルイメージ信号は、色調補正されたイメージを生成するために処理される。ステップ321で、色調補正済みイメージは、表示を行うために、ストリームクラスドライバ125を介してユーザモードプログラムに送信される。
【0032】
要約すると、以上の開示に関連したいくつかの実施形態は、さまざまなイメージセンサをサポート可能な汎用カメラドライバを提供し、それによって、よりフレキシブルかつユーザフレンドリーなカメラシステムを作り出す。さらに、1つ以上の構成部材(例えば、EEPROM)が省略でき、それによって、カメラシステムのコストを削減できる。さらに、汎用カメラドライバに添付されたイメージファイルは、未知のイメージセンサに関連した識別情報及び設定情報を含むように更新できる。そのようにして、任意のイメージセンサをサポートするように汎用カメラドライバをカスタマイズできる。
【0033】
明細書中で使用された用語及び表現は、説明のための言葉として用いられたのであって、限定を意図しない。そのような用語及び表現の使用によって示され、かつ説明された(又は、その一部分が示され、かつ説明された)いかなる均等物の除外も意図しない。さまざまな修正例が特許請求の範囲内に存在し得ることは明らかである。また、その他の修正例、変形例、及び置換例が存在し得る。したがって、本特許請求の範囲は、そのような均等物のすべてを包含することを意図したものである。
【符号の説明】
【0034】
100 カメラシステム
101 プロセッサ
103 メモリ
105 通信インタフェース
107 バス
110 コンピュータユニット
121 アプリケーションモジュール
123 ドライバモジュール
125 ストリームクラスドライバ
127 カメラドライバ
129 デバイスドライバ
130 カメラモジュール
131 イメージセンサ
133 レンズ
135 通信媒体
137 レジスタインタフェース
139 光感知領域
141 レジスタ
221 イメージファイル
223 識別コンポーネント
225 設定コンポーネント
227 プロパティコンポーネント
229 イメージ処理コンポーネント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージセンサを制御するためのコンピュータ実行方法であって、
複数のイメージセンサに別々に関連した複数のデータセットを有したイメージファイルを読み出す段階であって、前記複数のデータセットのそれぞれには、前記複数のイメージセンサのうちの1つイメージセンサの識別情報を表す識別データと、前記複数のイメージセンサのうちの前記1つのイメージセンサの動作パラメータを表す設定データとが含まれている段階と、
前記識別データが前記イメージセンサにマッチした場合に、前記イメージセンサを同定する段階と、
前記設定データに従って、前記イメージセンサを設定する段階と
を有することを特徴とするコンピュータ実行方法。
【請求項2】
前記イメージセンサにマッチする前記設定データが前記複数のデータセットのいずれにも含まれていない場合に、前記イメージファイルを更新する段階をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ実行方法。
【請求項3】
前記イメージセンサによってサポートされた通信プロトコルを判断する段階をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ実行方法。
【請求項4】
前記通信プロトコルが、SCCBプロトコル及びICバスプロトコルから成るグループから選択されることを特徴とする請求項3に記載のコンピュータ実行方法。
【請求項5】
前記同定段階が、
前記識別データに含まれたアドレス値に従って、前記イメージセンサ内のレジスタにアクセスする段階と、
前記レジスタから前記イメージセンサのリモート識別値を取得する段階と、
前記リモート識別値が前記識別データに含まれたローカル識別値にマッチした場合に、前記イメージセンサを同定する段階と
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ実行方法。
【請求項6】
ユーザモードプログラムによってイメージ要求が発せられる段階と、
前記イメージ要求に応答して、前記イメージファイル中の前記複数のデータセットにアクセスする段階と
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ実行方法。
【請求項7】
前記イメージセンサと通信を行うために、カーネルモードインタフェースドライバを呼び出す段階をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ実行方法。
【請求項8】
前記カーネルモードインタフェースドライバが、USBドライバを含むことを特徴とする請求項7に記載のコンピュータ実行方法。
【請求項9】
前記イメージセンサが、CCDイメージセンサ及びCMOSアクティブピクセルセンサから成るグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ実行方法。
【請求項10】
イメージセンサを制御するためのコンピュータ実行可能コンポーネントを格納したコンピュータ可読媒体であって、
前記コンピュータ実行可能コンポーネントは、
複数のイメージセンサに関連した複数のデータセットを格納するイメージファイルであって、前記複数のデータセットのそれぞれには、前記複数のイメージセンサのうちの1つのイメージセンサの識別情報を表す識別データと、前記複数のイメージセンサのうちの前記1つのイメージセンサの動作パラメータを表す設定データとが含まれているイメージファイルと、
前記複数のデータセットにアクセスし、前記識別データが前記イメージセンサにマッチした場合に、前記イメージセンサを同定する識別コンポーネントと、
前記設定データに従って、前記イメージセンサを設定する設定コンポーネントと
から成ることを特徴とするコンピュータ可読媒体。
【請求項11】
前記イメージセンサにマッチする前記識別データが前記複数のデータセットのいずれにも含まれていない場合に、前記イメージファイルを更新する更新コンポーネントをさらに有することを特徴とする請求項10に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記イメージセンサによってサポートされる通信プロトコルを判断する判断コンポーネントをさらに有することを特徴とする請求項10に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記識別コンポーネントが、
前記識別データに含まれたアドレス値に従って、前記イメージセンサのリモート識別値を取得する取得コンポーネントと、
前記リモート識別値が前記識別データに含まれたローカル識別値にマッチした場合に、前記イメージセンサを同定する同定コンポーネントと
をさらに有することを特徴とする請求項10に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項14】
イメージ要求を発するユーザモードプログラムをさらに有し、
前記識別コンポーネントが、前記イメージ要求に応答して、前記複数のデータセットにアクセスすることを特徴とする請求項10に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記イメージセンサとの通信のために呼び出されるカーネルモードデバイスドライバをさらに有することを特徴とする請求項10に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項16】
複数のイメージセンサを制御するための装置であって、
プロセッサと、
前記プロセッサに接続されたメモリと、
前記プロセッサに接続された通信インタフェースと
を具備し、
前記プロセッサは、コンピュータ実行可能コンポーネントを実行する機能と、複数の制御コマンドを生成する機能とを有し、
前記メモリは、前記コンピュータ実行可能コンポーネントを格納する機能を有し、
前記コンピュータ実行可能コンポーネントは、複数のセンサタイプを有した前記複数のイメージセンサを同定する機能と、同定した各センサタイプに従って、前記複数のイメージセンサの動作パラメータを設定する機能とを有した汎用カメラドライバを含み、
前記通信インタフェースは、前記複数の制御コマンドを前記複数のイメージセンサに転送する機能を有することを特徴とする装置。
【請求項17】
前記メモリが、前記複数のイメージセンサに別々に関連した複数のデータセットから成るイメージファイルを格納し、
前記複数のデータセットのそれぞれには、対応するイメージセンサのセンサタイプを表す識別データと、前記対応するイメージセンサの前記動作パラメータを表す設定データとが含まれていることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記汎用カメラドライバでは同定できないセンサタイプを有した追加的なイメージセンサに関連した追加的なデータセットを含むように、前記イメージファイルが更新されることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記汎用カメラドライバが、前記複数のイメージセンサによって個々にサポートされた通信プロトコルを判断することを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記複数のイメージセンサが、CCDイメージセンサ及びCMOSアクティブピクセルセンサから成ることを特徴とする請求項16に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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