説明

田植機の苗植付装置

【課題】簡単な構成の4条型の植付杆を2条型に変更し、植付作業の自在性を高める。
【解決手段】伝動ケース26の後側端部には、左右中央部にスプロケット37aを、左右両側部に左右植付装置取付軸36を軸架して、スプロケット37aから左右植付停止クラッチ46を経由して左右植付装置取付軸36に動力を伝達する。左右植付装置取付軸36の左右両側部には左右内側ロータリケース38aを取り付け、苗植付フレームには左右植付装置取付軸36の左右両側に位置して且つ同一軸心回りに回転する左右外側回転枠体38bを設け、この左右外側回転枠体38bの先端部と左右内側ロータリケース38aの先端部との間に左右植付伝動軸39をそれぞれ設けて、左右内側ロータリケース38aの植付歯車装置38cから動力が伝達される左右植付伝動軸39の左右両側に内側植付杆41a及び外側植付杆41bをそれぞれ設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、田植機の苗植付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
田植機の苗植付装置において、一方向に等速回転するロータリケースに爪ケースを介して植付爪を取り付け、ロータリケースを装設する植付ケースを植付部後方に延設し、その植付ケースの後側端部で左右方向に複数のロータリケースを並設し、各ロータリケースに取り付ける夫れ夫れの植付爪数を増減可能に構成したものは公知である(特許文献1)。
【特許文献1】実開昭62−91926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来技術では、植付ケースの後側端部に左右方向に複数のロータリケースを並設し、植付ケースの伝動軸の左右両端に左右のロータリケースを取り付け、左右のロータリケースを一体的に共に駆動する構成である。
【0004】
従って、左右のロータリケースの何れか一方の伝動を切り、何れか他方のロータリケースのみで植付作業をすることができず、畔際での植付作業に不便であるという不具合があった。そこで、この発明は、このような不具合を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、伝動ケース(26)の端部における左右中央部にスプロケット(37a)を、左右両側部に左右植付装置取付軸(36,36)を設け、前記スプロケット(37a)から左右植付停止クラッチ(46,46)を経由して前記左右植付装置取付軸(36,36)に動力を伝達可能に構成し、前記左右植付装置取付軸(36,36)の左右両側部には左右内側ロータリケース(38a,38a)を取り付け、苗植付フレームには前記左右植付装置取付軸(36,36)の左右両側に位置して同一軸心回りに回転する左右外側回転枠体(38b,38b)を設け、該左右外側回転枠体(38b,38b)の先端部と前記左右内側ロータリケース(38a,38a)の先端部との間には、前記左右内側ロータリケース(38a,38a)の植付歯車装置(38c,38c)から動力が伝達されて回転する左右植付伝動軸(39,39)を設け、該左右植付伝動軸(39,39)に左右の内側植付杆(41a,41a)及び外側植付杆(41b,41b)を設けたことを特徴とする田植機の苗植付装置とする。
【0006】
前記構成によると、伝動ケース(26)の端部における左右中央部のスプロケット(37a)から左右植付停止クラッチ(46,46)を経由して左右植付装置取付軸(36,36)に動力が伝達される。そして、左右植付装置取付軸(36,36)に取り付けられている左右内側ロータリケース(38a,38a)が回転しながら左右植付歯車装置(38c,38c)を経由して左右植付伝動軸(39,39)に動力が伝達され、左右の内側植付杆(41a,41a)及び外側植付杆(41b,41b)は所定の軌跡を描きながら上下回動し4条植で苗が圃場に植え付けられる。
【0007】
また、左右植付停止クラッチ(46,46)の何れかを切りにすることにより、左右植付装置取付軸(36,36)の何れかの駆動を停止し、左右の内側植付杆(41a,41a)、外側植付杆(41b,41b)の何れかを停止し、2条植で苗を植え付けることができる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明は、伝動ケース(26)の単一スプロケット(37a)及び左右植付装置取付軸(36,36)により4条の左右内側外側植付杆(41,…)を駆動することができると共に、左右植付停止クラッチ(46,46)の何れかを切ることにより2条づつ別々に植付停止をすることができ、構成を簡単化しコストの低減を図りながら、植付作業の自在性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下図面に基づき本発明の実施形態について説明する。図1は本発明を具備した4条植え乗用田植機の全体側面図、図2には全体平面図である。
走行車体1の後側部には昇降用リンク装置2により苗植付部3を昇降自在に連結し、走行車体1は駆動輪である左右一対の前輪4,4及び後輪5,5を有する四輪駆動車体とし、全体を乗用田植機に構成している。
【0010】
左右メインフレーム7,7の前側端部にはミッションケース8をボルトにより取り付け、左右メインフレーム7,7の前後方向中間部にはゴムマウントを介してエンジン12を搭載し、ミッションケース8の例えば左側壁面に油圧式無段変速装置(図示省略)をボルトにより一体的に組み付け、エンジン12からの動力を前後進無段変速するように構成している。
【0011】
ミッションケース8の前側部からステアリング軸(図示省略)を上方に向けて突設し、ステアリング軸の上端部にステアリングハンドル10を取り付け、ステアリングハンドル10の下方部位に操作パネル9を設けている。また、左右メインフレーム7,7上方にはフロアとなる合成樹脂製の機体カバー11を取り付け、エンジン12の上方部位に操縦席13を設置し、操縦席13の後方には施肥装置6は配設している。
【0012】
また、ミッションケース8の前側部から左右フロントアクスルケース14,14を左右両側に向けて延出し、左右フロントアクスルケース14,14の端部に縦軸回りに回動可能に左右前輪支持ケース15,15を取り付け、左右前輪支持ケース15,15に左右前輪4,4を支架している。
【0013】
また、左右メインフレーム7,7の後側端部に横フレーム7aを連結し、この横フレーム7aに設けたローリング軸にケース連結フレーム16をローリング自在に支持し、その左右両側部に左右後輪伝動ケース17,17を取り付けている。また、左右メインフレーム7,7の後端部には左右縦フレーム7b,7bを立設し、この左右縦フレーム7b,7bに前記昇降用リンク装置2の前端部を上下回動自在に支持している。
【0014】
エンジン12の回転動力はベルト伝動装置18を介して油圧式無段変速装置(図示省略)の入力軸に伝達され、油圧式無段変速装置(図示省略)により前後進切替及び前後進無段変速され、出力軸を経てミッションケース8に伝達される。ミッションケース8に伝達された動力は、ケース内のギヤ式変速装置、デフ機構を経由してミッションケース8の左右両側部から取り出され、前記左右フロントアクスルケース14,14内の左右前輪駆動軸(図示省略)、伝動ギヤ群を経て左右前輪4,4に伝達される。
【0015】
また、ミッションケース8内のデフ機構を経由した後輪動力は、ケース内の左右後輪サイドクラッチ機構を経由して左右後輪伝動軸19,19に取り出され、左右後輪伝動ケース17,17内の減速機構を経て左右後輪5,5に伝達されている。また、ミッションケース8の前側部右側から作業動力がPTO伝動軸(図示省略)に取り出され、PTO伝動軸(図示省略)からPTO軸(図示省略)を経て苗植付部3に伝達されている。
【0016】
次に、図1乃至図3により苗植付部3について説明する。
PTO軸(図示省略)から動力の伝達される伝動ケース25と、該伝動ケース25から後方に延出しているチエンケース26と、伝動ケース25から左右両側に突設した左右支持枠体27,27とで植付フレームが構成されていて、チエンケース26の後端部両側に左右2組の苗植付装置28,28が設けられている。苗植付装置28,28の上側には、前側が上位となるように傾斜した苗載せ台29が支持枠31とレール32によって左右方向に移動自在に支持されている。苗載せ台29の上面には植付条数分の4個の苗載せ部29a,…に仕切られており、各苗載せ部29a,…毎に苗を下方に送るベルト式の苗送り装置33,…が設けられている。また、苗載せ台29の下端部には、苗植付装置28,…に対応する苗取出口34a,…の形成されている受け板34が左右支持筒体(図示省略)と一体に設けられている。
【0017】
また、伝動ケース25の下部には植付装置駆動軸(図示省略)が設けられていて、この植付装置駆動軸には定位置停止クラッチ(図示省略)が設けられていて、苗植付装置28の駆動を停止すると、所定位置で植付杆41,…の作動が停止するようになっている。また、図3に示すように、チエンケース26の後側端部にには、左右中央部にスプロケット37aを、左右両側部に左右植付装置取付軸36,36をそれぞれ支架し、スプロケット37aから左右植付停止クラッチ46,46を経由して左右植付装置取付軸36,36に動力を伝達するように構成している。
【0018】
苗植付装置28は、左右植付装置取付軸36,36を中心として一方向に等速回転する左右内側ロータリケース38a,38aと、左右植付装置取付軸36,36と同一軸心回りに回転する左右外側回転枠体38b,38bと、内側ロータリケース38a,38aと外側回転枠体38b,38bの間に軸架されている左右植付伝動軸39,39及び左右植付連結枠体40,40と、前記植付伝動軸39,39に取り付けられている左右の内側植付杆41a,41a、外側植付杆41b,41bと、左右の内側ロータリケース38a,38a内に設けられていて左右植付装置取付軸36,36から左右植付伝動軸39,39に動力を伝達する植付歯車装置38c,38cを備えている。なお、左右の外側回転枠体38b,38bは前記左右支持枠体27,27から延出した左右支持枠体45,45により支持されている。
【0019】
前記構成によると、左右内側ロータリケース38a,38a、左右外側回転枠体38b,38bが所定方向に回転することにより、左右植付装置取付軸36,36から左右ロータリケース38a,38bの植付歯車装置38c,38cを経由して左右植付伝動軸39,39に動力が伝達されながら、左右の内側外側植付杆41,…が所定の軌跡を描きながら上下回動し、苗取出口34a,…から苗を挟持して圃場に植え付けていく。
【0020】
また、チエンケース26の後側端部には中央ボス部26a、左右ボス部26b,26cを設けて、スプロケット37a及び左右植付装置取付軸36,36の内側部を支持し、左右植付装置取入軸36,36に左右植付停止クラッチ46,46を介装し、スプロケット37aから左右植付装置取付軸36,36への動力伝達を別々に入切し、左右の内側外側植付杆41,41を別々に駆動できるように構成している。
【0021】
前記構成によると、単一チエン37、スプロケット37a及び左右植付装置取付軸36,36により、4条の左右内側外側植付杆41,…を駆動することができ、また、左右植付停止クラッチ46,46を作動させることにより、2条づつ別々に植付停止することができ、構成を簡単化しコストの低減を図りながら、畔際での植付作業の自在性を高めることができる。
【0022】
また、左右の内側、外側植付杆41,…の下方には車輪跡を消すセンターフロート30C、左右フロート30L,30Rを設け、前記伝動ケース25の下方にはセンターフロート30Cを昇降調節自在に設けている。このセンターフロート30Cの昇降移動をフロートセンサ(図示省略)により検出し、この検出値により制御弁(図示省略)を作動し前記昇降用リンク2作動用の昇降シリンダ42を伸縮調節し、苗植付部3を所定の植付深さに調節するように構成している。また、センターフロート30Cを左右フロート30L,30Rよりも前後方向に長く構成し、センターフロート30Cの前側端部を左右フロート30L,30Rよりも前方に配設している。
【0023】
また、苗植付部3の前方にロータリ代掻き装置43を昇降調節自在に配設し、右側の後輪伝動ケース17から代掻き動力を分岐し、代掻き伝動装置44を経由してロータリ代掻き装置43に動力を伝達している。
【0024】
次に、図4に基づきチエンケース26の製造方法について説明する。
チエンケース26の後側端部には、中央ボス部26a、左右ボス部26b,26cを構成し、前側端部には前側鍔部26dを設けている。また、ケース主体26hの長手方向(前後方向)に対して、上側鍔部26d及び左右ボス部26b,26cを左右方向に直交状に突出するように延出し、中央ボス部26aを前後方向に沿わせて延出している。また、中央ボス部26aの上下方向中間部に左右方向の支持孔26eを開口して、スプロケット37a及び右植付装置取付軸36,36の軸支部を構成し、左右ボス部26c,26dの下部に左右開口部26f,26gを設けている。
【0025】
そして、前後方向に抜ける前後抜き型51a,51b、及び、左右方向に抜ける左右抜き型51c,51dにより、チエンケース26を製造するように構成している。
前記構成によると、スプロケット37aを支える中央ボス部26aを長手方向に沿わせ、例えば右ボス部26cの内側端部に接続し、上側鍔部26d及び左右ボス部26b,26cをケース主体26hから左右方向に直交状に突出するように延出することにより、4個の前後左右抜き型51a,51b,51c,51dにより製造することができ、抜き型を少なくすることができる。
【0026】
また、図5に示すように構成してもよい。チエンケース26の後側端部にスプロケット37a及び左右植付装置取付軸36,36を軸架し、左右植付装置取付軸36,36に左右植付停止クラッチ46,46をそれぞれ設け、左右植付装置取付軸36,36の左右両側部に伝動装置の内装されていない左右内側回転体38c,38cを取り付ける。また、前記伝動ケース25から延出している左右ケース45a、45aに伝動装置を内装し、左右ケース45a,45aの下部に軸架した伝動軸53,53に左右ロータリケース38d,38dを取り付けて、植付歯車装置38d1に動力を伝達するように構成している。また、左右内側回転体38c,38cと左右ロータリケース38d,38dの間を、植付伝動軸39及び植付連結枠体40により連結し、植付伝動軸39に内側、外側植付杆41,41を取り付け、左右植付停止クラッチ46,46を入切することにより、左右の内側、外側植付杆41,41への動力伝達を別々に入切できるように構成している。
【0027】
前記構成によると、チエンケース26の左右両側に伝動装置の内装されていない左右内側回転体38c,38cと設けることにより、チエンケース26下部のスプロケット37a及び左右植付装置取付軸36,36の支持幅を広くすることができ、左右植付装置取付軸36,36に植付停止クラッチ46,46を容易に配設することができる。
【0028】
また図6に示すように構成してもよい。チエンケース26の後側端部にスプロケット37a及び左右植付装置取付軸36,36を軸架し、左右植付装置取付軸36,36に左右植付停止クラッチ46,46を設け、左右植付装置取付軸36,36の左右両側部に伝動装置の内装されていない左右内側回転体38c,38cを取り付ける。そして、左右内側回転体38c,38cの一端を内側に屈折させてケース側壁に接近する屈折部38c1,38c1を構成し、この屈折部38c1,38c1に植付伝動軸39を取り付けるように構成する。
【0029】
前記構成によると、チエンケース26の左右両側に伝動装置の内装しない左右内側回転体38c,38cとし、且つ、左右内側回転体38c,38cの一端を内側に屈折させる屈折部38c1,38c1を構成することにより、チエンケース26下部のスプロケット37a及び左右植付装置取付軸36,36の支持幅を更に広くすることができ、苗植付条間を適正に設定しながら、左右植付装置取付軸36,36に植付停止クラッチ46,46を容易に配設することができる。
【0030】
また、図6に示すように構成してもよい。左右植付停止クラッチ46,46操作用の左右操作アーム57,57の基部側をケース内側に軸支し、先端側を左右外側に位置するように構成し、クラッチワイヤ58,58をチエンケース26の上部あるいは下部の案内部58aで交差状に支持しながら左右操作アーム57,57の先端部に連結している。
【0031】
前記構成によると、左右内側回転体38c,38cの内側に屈折した屈折部38c1,38c1と、クラッチワイヤ58,58との干渉を回避し、クラッチの入切操作を円滑にすることができる。
【0032】
また、図7に示すように構成してもよい。チエンケース26の後側端部にスプロケット37a及び左右植付装置取付軸36,36を軸架し、左右植付装置取付軸36,36に左右植付停止クラッチ46,46を設け、クラッチギヤ46aにクラッチギヤ46bをバネ55により押圧し、左右植付装置取付軸36,36に負荷がかかると、クラッチが自動的に切れるようにして安全クラッチの機能を持たせている。前記構成によると、内側外側植付杆41,41に負荷がかかると、自動的に停止し破損を防止することができる。
【0033】
また、図8に示すように構成してもよい。伝動ケース25から中央フレーム26a、左側フレーム26b及び右側伝動ケース26cを後方に向けて延出し、これらの中央フレーム26a,左側フレーム26b及び右側伝動ケース26cの後側端部に左右主伝動軸61a,61bを軸架し、右側伝動ケース26c内の伝動軸66から右主伝動軸61bに歯車を介して動力を伝達し、右主伝動軸61bから植付停止クラッチ(図示省略)を経由して左主伝動軸61aに動力を伝達する。
【0034】
左主伝動軸61aの左右中間部にロータリケース62の中間部を取り付け、左主伝動軸61aの左右両側部に内側外側回転フレーム63a,63bの中間部を回転自在に支持し、ロータリケース62、内側外側回転フレーム63a,63bの先端部に、第2伝動軸64、第3伝動軸65を軸架している。これら第2伝動軸64及び第3伝動軸65の左右両側部に、内側植付杆41,…、外側植付杆41,…をそれぞれ取り付け、左側主伝動軸61aからロータリケース62、第2伝動軸64及び第3伝動軸65を経由して内側植付杆41,…、外側植付杆41,…に動力を伝達している。
【0035】
また、右主伝動軸61bの左右中間部にロータリケース38の中間部を取り付け、ロータリケース38の両端部から左側に突出するように第2伝動軸64、第3伝動軸65を取り付け、第2伝動軸64、第3伝動軸65にの左側端部に内側植付杆41,…をそれぞれ取り付け、右側主伝動軸61bからロータリケース38、第2伝動軸64、第3伝動軸65を経由して、内側外側植付杆41,…に動力を伝達している。
【0036】
前記構成によると、左右主伝動軸61a,61bを強固に支持しながら、3条用の苗植付装置を提供することができ、また、左右主伝動軸61a,61bの接続部に設けた植付停止クラッチ(図示省略)を操作することにより、3条植付及び1条植付をすることができる。
【0037】
また、図9に示すように構成してもよい。
伝動ケース25から中央フレーム26a、左側フレーム26b及び右側伝動ケース26cを後方に向けて延出し、これらの中央フレーム26a,左側フレーム26b及び右側伝動ケース26cの後側端部に、左右主伝動軸61a,61bを軸架し、右側伝動ケース26c内の伝動軸66から右主伝動軸61bに歯車を介して動力を伝達し、右主伝動軸61bから植付停止クラッチ(図示省略)を経由して左主伝動軸61aに動力を伝達している。
【0038】
左主伝動軸61aの内側部にロータリケース62の中間部を取り付け、左主伝動軸61aの外側部に外側回転フレーム63bの中間部を回転自在に支持し、ロータリケース62及び外側回転フレーム63bの先端部間に、第2伝動軸64及び第3伝動軸65を軸架する。これら第2伝動軸64及び第3伝動軸65の左右両側部に内側植付杆41,…、外側植付杆41,…をそれぞれ取り付け、左側主伝動軸61aからロータリケース62内の歯車伝動装置、第2伝動軸64及び第3伝動軸65を経由して内側植付杆41,…及び外側植付杆41,…に動力を伝達する。
【0039】
また、右主伝動軸61bの右側部にロータリケース38の中間部を取り付け、右主伝動軸61bの左側部に内側回転フレーム63cの中間部を取り付け、ロータリケース38及び内側回転フレーム63cの両端部に、第2伝動軸64及び第3伝動軸65を軸架する。これら第2伝動軸64及び第3伝動軸65の左右両側部に内側植付杆41,…、外側植付杆41,…をそれぞれ取り付け、右主伝動軸61bからロータリケース38内の歯車伝動装置、第2伝動軸64及び第3伝動軸65を経由して、内側植付杆41,…、外側植付杆41,…に動力を伝達している。
【0040】
前記構成によると、左右主伝動軸61a,61bを強固に支持しながら、4条用の苗植付装置を提供することができ、また、左右主伝動軸61a,61bの接続部に設けた植付停止クラッチ(図示省略)を入切することにより、4条植付及び2条植付をすることができる。
【0041】
次に、図10に基づき線引きマーカ装置70について説明する。
線引きマーカ装置70は、次行程の走行経路の指標となる位置に跡を付けていく回転式の線引きマーカ(爪車)71と、基端側が苗載せ台フレーム72に軸支されていて、且つ、回動支点軸72a回りに起立倒伏自在のマーカアーム74により構成されている。この線引きマーカ(爪車)71は、マーカアーム74の先端に軸支され、外周部に突起爪を有しする回転体によって構成され、圃場面に接地して回転し泥掻きしながら跡を付けていく構成である。
【0042】
また、前記昇降リンク2の昇降に関連して押し引きされるマーカワイヤ73によりマーカアーム74が昇降回動し、線引きマーカ(爪車)71が苗載せ台29の側部に位置する上昇起立姿勢と、圃場面に接地する下降倒伏姿勢とに切り替えられる構成である。
【0043】
また、このマーカアーム74の基部には、軸支部74cの回動方向の前後にピン75,75を設け、苗載せ台フレーム72側には板バネ76を設けている。マーカアーム74が上昇回動しながら最上昇位置に近づくと、一方のピン75が板バネ76の傾斜面76aに圧接されてマーカアーム74の上昇速度が減速される。また、マーカアーム74が下降回動しながら最下降位置に移動すると、他方のピン75が板バネ76の係止部76bに圧接支持されて、マーカアーム74の下降回動が規制され、線引きマーカ(爪車)71の圃場接触位置を規制するように構成している。
【0044】
前記構成によると、線引きマーカ(爪車)71の最上昇位置への移動速度を減速することができ、線引きマーカ(爪車)71からのオペレータへの泥跳ねを防止することができる。
【0045】
次に、図11に基づき左右後輪5,5の支架装置の他の実施形態について説明する。
メインフレーム7の後部に左右リヤーアクスルケース81,81を軸81a回りに左右独立してローリング回動自在に支持し、左右リヤーアクスルケース81,81の左右外側部に後輪5,5を取り付け、左右リヤーアクスルケース81,81の内側部にはカム部81b,81bを設け、カム部81b,81bにはケース81,81が上方に回動するに従って順次突出するカム面を形成している。メインフレーム7の後側端部には、左右カム部81b,81bの中間に位置するようにサスペンション装置82を設けている。
【0046】
このサスペンション装置82は、図11(C)に示すように、調節ボルト82aと、該調節ボルト82aに介装している単一のスプリング82bと、スプリング82aの左右両端を支持する左右支持板82c,82cと、調節ボルト82aの両端部にねじ嵌合する左右ナット82d,82dと、左右支持板82c,82cから左右両側に突出するように設けた左右ローラ82e,82eと、スプリング82aを覆うスプリングケース82fにより構成されている。
【0047】
そして、このスプリングケース82fをメインフレーム7の後側端部に支持し、スプリングケース82fから左右に突出した左右ローラ82e,82eを、左右リヤーアクスルケース81,81側の左右カム部81b,81bに当接連係している。
【0048】
前記構成によると、左右後輪5,5のローリング機能を保持しながら、簡単な構成のサスペンション装置82により衝撃を和らげることができる。
また、前記昇降リンク2の後側端部にポジションセンサ(図示省略)を設け、ポジションセンサの検出情報をコントローラ(図示省略)に入力し、昇降リンク2の作業機連結部が苗植付部3の連結適正高さになると、例えば音声報知装置(図示省略)により報知したり、あるいは、昇降リンク2の昇降移動を停止するように構成してもよい。このように構成することにより、昇降リンク2に苗植付部3を楽に連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】乗用田植機の全体側面図
【図2】乗用田植機の全体平面図
【図3】苗植付装置の切断平面図
【図4】苗植付装置の切断平面図
【図5】苗植付装置の一部切断した平面図
【図6】苗植付装置の平面図
【図7】苗植付装置の切断平面図
【図8】苗植付装置の一部切断した平面図
【図9】苗植付装置の一部切断した平面図
【図10】線引きマーカの斜視図、側面図
【図11】(A)乗用田植機の後部の平面図 (B)乗用田植機の後部の背面図 (C)サスペンション装置の側面図
【符号の説明】
【0050】
26 伝動ケース
36 左右植付装置取付軸
37a スプロケット
38a 左右内側ロータリケース
38b 左右外側回転枠体
38c 植付歯車装置
39 左右植付伝動軸
41a 左右内側植付杆
41b 左右外側植付杆
46 左右植付停止クラッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝動ケース(26)の端部における左右中央部にスプロケット(37a)を、左右両側部に左右植付装置取付軸(36,36)を設け、前記スプロケット(37a)から左右植付停止クラッチ(46,46)を経由して前記左右植付装置取付軸(36,36)に動力を伝達可能に構成し、前記左右植付装置取付軸(36,36)の左右両側部には左右内側ロータリケース(38a,38a)を取り付け、苗植付フレームには前記左右植付装置取付軸(36,36)の左右両側に位置して同一軸心回りに回転する左右外側回転枠体(38b,38b)を設け、該左右外側回転枠体(38b,38b)の先端部と前記左右内側ロータリケース(38a,38a)の先端部との間には、前記左右内側ロータリケース(38a,38a)の植付歯車装置(38c,38c)から動力が伝達されて回転する左右植付伝動軸(39,39)を設け、該左右植付伝動軸(39,39)に左右の内側植付杆(41a,41a)及び外側植付杆(41b,41b)を設けたことを特徴とする田植機の苗植付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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