説明

申告書作成支援装置および申告書情報管理システム

【課題】低コストでデータを安全に管理でき、しかも申告書に記載された情報を容易かつ正確にデータ化できる申告書情報管理システムを提供する。
【解決手段】ウエブ画面を介して申告内容を入力させ、入力されたデータに基づいて、サーバコンピュータが申告用帳票の印刷用データを作成・返信し、申告者に申告用帳票を印刷させる。申告用帳票には、入力されたデータを文字で表示する領域Taと、二次元コード4で表示する領域Tbとを設定しておき、申告時にこの帳票の二次元コード4を読み取ってデータ化し、これをデータ管理用装置に記録・保存する。その際、サーバコンピュータにはデータを蓄積させず、データ管理装置は開放されたネットワークに接続せずに用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、申告書作成支援装置および申告書情報管理システムに関し、より詳細には、申告書類に含まれる個人情報を管理するためのコンピュータシステムと、当該システムに使用される申告書類の作成支援を行なう装置に関する。
【背景技術】
【0002】
会社や組合など複数の人で構成される組織においては、その構成員(従業員や組合員など)の社会保険などを管理するために、各構成員の住所、氏名、生年月日、家族構成、さらには当該組織における経歴(たとえば、入社年月日、退社年月日)などを所定の台帳に記録し、この台帳に基づいて各構成員の個人情報の管理を行っている。
【0003】
そして、当該台帳の記載事項に変更(たとえば、転居による住所の変更や婚姻・養子縁組などによる氏名の変更、出生や死亡による家族構成の変更など)が生じた場合には、その変更を当該構成員に申告(届出)させることによって台帳の記載内容を修正・更新するようにしている。
【0004】
ところで、このような個人情報を管理する台帳は、近年、電子化が進められており、それに伴ってこれまで紙の台帳に記載されていた個人情報は、データベースを有するコンピュータシステムからなるデータ管理装置で読み取り可能なデータ(たとえば、磁気データや光データなど)として記録されるようになってきている。
【0005】
【特許文献1】なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このように台帳の電子化が一般的になりつつある現状においても、台帳の記載事項に変更が生じた場合の申告は、依然として紙の書面(申告書)に所定事項を記載させて提出させるやり方が主流である。
【0007】
そのため、情報を管理する側(会社や組合などの組織側)は、申告書を受け付けた後に当該申告書の内容を電子化するための作業(具体的には、キーボードやマウスなどの入力装置を用いて申告書の内容を逐一入力する人的作業)を行なわねばならず作業が煩雑である一方、作業の過程でデータの入力ミスが発生する可能性があり、データの正確性を確保することが難しいという問題があった。
【0008】
ちなみに、これらの問題を解消するための方策として、たとえば、データ管理装置をインターネットなどの開かれたネットワークに接続しておき、当該ネットワークを利用して申告者にデータを直接入力させる方法が考えられるが、その場合、データ管理装置に対する不正なアクセスを排除するための設備やソフトウエア(ファイアーウォール)が必要となり、これらを管理するためのコストが掛かる一方、そのような対策をとってもなお不正アクセスの危険を完全に払拭することができない。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、低コストでデータを安全に管理でき、しかも申告書に記載された情報を容易かつ正確にデータ化できる申告書情報管理システムを提供することを主たる目的とする。そして、当該システムを円滑に運用するための申告書作成支援装置を提供することを従たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る申告書作成支援装置は、開放されたネットワークを介して端末装置のウエブ閲覧画面上に申告事項を入力するための申告事項入力画面を表示させる入力画面表示手段と、この申告事項入力画面に従って入力されたデータに基づいて所定の様式に従った申告用帳票の印刷用データを作成する印刷用データ作成手段と、この印刷用データ作成手段において作成された印刷用データを上記ネットワークを介して上記端末装置に送信する印刷用データ送信手段とを有し、上記印刷用データ作成手段は、上記印刷用データの作成にあたり、当該印刷用データに基づいて印刷される申告用帳票上に、上記入力されたデータを文字で表示する文字情報表示領域と、上記入力されたデータの全部又は一部を所定の二次元コードに変換して表示するコード情報表示領域とを設定することを特徴とする。
【0011】
そして、その実施態様として、上記印刷用データは上記端末装置において閲覧可能なデータ形式で作成されることが好ましく、さらに、上記二次元コードとしてはQRコードが好適に用いられる。
【0012】
すなわち、本発明に係る申告書作成支援装置は、インターネットなどの開かれたネットワークに接続されてウエブサーバとして機能するサーバコンピュータで構成される。そして、申告書の作成にあたっては、まず、申告者は、ネットワークに接続可能な端末装置(たとえばパーソナルコンピュータ)を使って上記サーバコンピュータの入力画面表示手段によって表示される申告事項入力画面を閲覧し、同画面の表示に従って申告事項のデータを入力する。
【0013】
申告事項のデータが入力されると、次に、サーバコンピュータは、印刷用データ作成手段によって、この入力されたデータに基づいて所定の様式の申告用帳票を印刷するための印刷用データを作成する。ここで、この印刷用データは、この印刷用データに基づいて印刷される帳票に、入力されたデータを文字で表示する文字情報表示領域と、上記入力されたデータの全部又は一部を所定の二次元コードに変換して表示するコード情報表示領域とが設けられるように作成される。
【0014】
具体的には、文字情報表示領域は、入力されたデータ、つまり、申告事項の内容を目視により確認・把握できるように文字・記号などを用いて表示する領域であり、その具体的な態様(記載する項目の選択、その配置や大きさなどのレイアウト)は予め自由に設定しておくことができる。そのため、この文字情報表示領域としては、たとえば従来の申告書と略同様(ただし、コード情報表示領域を除く)のレイアウトを採用することができる。
【0015】
一方、コード情報表示領域は、入力された申告事項の内容をコード読取装置で読み取り可能な二次元コードで表示する領域である。つまり、このコード情報表示領域に表示された二次元コードをコード読取装置で読み取ることにより、申告事項がコンピュータで読み取り可能な電子データに変換できるようにされている。なお、このときに使用される二次元コードとしては情報量の多いQRコードが適している。
【0016】
このようにして印刷用データが作成されると、次に、サーバコンピュータは印刷用データ送信手段を通じて作成した印刷用データを申告者の端末装置に対して送信(返信)し、サーバコンピュータ側での処理を終了する。すなわち、本発明の申告書作成支援装置においては、申告者(端末装置)から送信されたデータを印刷用データに変換して申告者に返信するだけであり、申告者側から提供されるデータ(申告事項のデータ)はサーバコンピュータには蓄積しない。つまり、本発明の申告書作成支援装置では、サーバコンピュータ側では個人情報が含まれる申告書の情報管理(記録・保存)は行なわずに、データの変換(印刷用データの作成・送信)のみが行なわれる。
【0017】
これに対して申告者は、サーバコンピュータから送信される印刷用データを端末装置の印刷手段(プリンタ)で印刷することにより、申告事項が文字と二次元コードの双方で記述された申告用帳票を入手することとなる。
【0018】
なお、サーバコンピュータから送信される印刷用データは、上記端末装置において閲覧可能(つまり、申告者が端末装置の画面にて目視確認可能)なデータ形式、たとえば、PDFファイル形式などで作成し、印刷前に申告者がその内容を確認できるようにしておくのが好ましい。
【0019】
一方、本発明にかかる申告書情報管理システムは、申告用帳票の作成を支援する手段として上記の申告書作成支援装置を有し、上記申告書作成支援装置によって作成された申告用帳票に印刷された二次元コードを読み取るためのコード読取装置と、このコード読取装置で読み取ったデータを管理するためのデータ管理装置とを備え、上記データ管理装置は、開放されたネットワークには接続されずに単独で又は閉ざされたネットワークを介して接続される他のデータ管理装置とともに申告されたデータを管理するように構成されていることを特徴とする。
【0020】
すなわち、本発明の申告書情報管理システムにおいては、申告者は上述した申告書作成支援装置によって作成した申告用帳票を用いて申告を行なう。つまり、申告事項が文字と二次元コードの双方で記述された申告用帳票(申告書)を提出して申告を行なう。これに対して、申告を受け付ける側(つまり、情報を管理する側)は、申告用帳票の文字情報表示領域の記述を目視で確認・点検する一方で、コード情報表示領域の記述をコード読取装置で読み取ってデータ管理装置を構成するコンピュータに入力する。つまり、本発明の申告書情報管理システムによれば、データ管理装置へのデータの入力はコード読取装置の操作だけで済むので、データ入力作業を省力化できるとともに人為的な入力ミスの発生を少なくすることができる。しかも、申告事項を蓄積・管理するデータ管理装置は、開放されたネットワークには接続されないので、外部からの不正なアクセスがなく情報漏洩のリスクが極めて少ない。
【発明の効果】
【0021】
本発明の申告書作成支援装置によれば、申告者自身が入力したデータに基づいて自動的に申告用帳票の印刷用データが作成されるので、申告用帳票の記述に誤りが生じるおそれが少ない。しかも、申告書作成支援装置側には申告者が入力したデータは蓄積されないので、データ漏洩のおそれがなく、しかも、データを管理するコストが不要であるため申告書作成支援装置を安価に提供することができる。
【0022】
また、本発明の申告書情報管理システムによれば、データを管理するデータ管理装置へのデータの入力はコード読取装置によって行なわれるので、データ入力作業を省力化でき、また、人為的な入力ミスの発生を抑制でき正確なデータを記録・保存することができる。しかも、当該データ管理装置は、開放されたネットワークには接続されないので、外部からの不正なアクセスがなく情報漏洩のリスクが極めて少なく、不正アクセスに対する管理コストも少なく抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る申告書情報管理システムを用いた事務処理手順の一例を示すフローチャートである。具体的には、この図1に示す事務処理手順は、共済組合において組合員の資格審査を行なう手順を示している。
【0024】
はじめに、この資格審査の手順の概要を説明する。資格審査を受ける組合員は、当該組合員が所属する部署の責任者(以下、「所属長」と称する)に対して所定事項が記載された申告書を提出し、同申告書について所属長の確認(たとえば、公印の押印)を受け、その上で当該組合員が所属する共済組合の支部(以下、「支部」と称する)に同申告書(添付書類があるときは添付書類と共に)を提出して、支部による資格審査を受審する。そして、この支部による資格審査において承認が得られると、申告の内容に応じて、新たな組合員カードまたは資格喪失証明書が発行され、所属長経由で組合員に交付される。一方、提出した申告書に不備(記載漏れや書類の添付漏れ)がある場合には、不備の理由とともに申告書が所属長経由で組合員に返却される。
【0025】
このような事務処理手順に対して、本発明に係る申告書情報管理システムでは、上記申告書の作成を図2に示す申告書作成支援装置1により行なわせる。図2は、同申告書作成支援装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【0026】
図に示すように、この申告書作成支援装置1は、たとえばインターネットのように、組合員であれば誰でも利用可能な開放されたネットワークNopに接続されたサーバコンピュータ2によって構成される。具体的には、この申告書作成支援装置1は、上記ネットワークNopに接続される端末コンピュータ(端末装置)3のユーザに対して所定のウエブページを閲覧可能に提供するウエブサーバを構成するものであり、その機能的な構成として、入力画面表示手段21と、印刷用データ作成手段22と、印刷用データ送信手段23とを備えている。
【0027】
より詳細には、上記入力画面表示手段21は、上記端末コンピュータ3のウエブ閲覧画面上に、申告事項を入力するための申告事項入力画面を表示させるための手段である。申告事項入力画面は、申告書において記載が必要な事項を画面上に表示しつつ当該記載事項のデータ入力を求める画面で構成される。たとえば、データ入力が必要なところを空欄で表示し、当該空欄にデータを入力させるように構成される。
【0028】
ところで、組合員による申告には、新たに組合員の資格を取得するための申告や、被扶養者の増減を届け出る申告、さらには住所・氏名の変更を届け出る申告など様々な種類の申告がある。そのため、この入力画面表示手段21には、これら各種の申告についてそれぞれ対応する申告事項入力画面が用意され、端末コンピュータ3の画面の表示に従って申告者が申告事項入力画面を選択するようにされる。
【0029】
上記印刷用データ作成手段22は、上記申告事項入力画面に従って入力されたデータに基づいて申告用帳票の印刷用データを作成するための手段である。ここで、申告用帳票とは、申告者が押印等することによってそのまま申告書として提出可能な様式で印刷された帳票のことであり、印刷用データ作成手段22は、上記申告事項入力画面に従って入力されたデータを申告用帳票の様式に合わせて自動的にレイアウトし、申告用帳票を印刷するためのデータを作成する。
【0030】
具体的には、上記印刷用データ作成手段22は、この印刷用データの作成にあたり、当該印刷用データに基づいて印刷される申告用帳票上に、申告事項入力画面に従って入力されたデータを文字で表示する文字情報表示領域と、申告事項入力画面に従って入力されたデータを所定の二次元コードに変換して表示するコード情報表示領域とを設定する。
【0031】
図3は、この申告用帳票の一例を示す説明図である。具体的には、図3は新たに組合員の資格を取得するための申告用帳票Tを示している。図に示すように、この申告用帳票Tは、文字や記号によって視認・読解可能な態様で申告の内容等が表示される文字情報表示領域Taと、後述するコード読取装置によって読み取り可能な二次元コードが表示されるコード情報表示領域Tbとから構成される。
【0032】
図からも理解できるように、文字情報表示領域Taは従来の申告書と同様の様式に従って作成される。すなわち、申告者である組合員の組合員証番号や氏名、資格取得日、資格取得理由等の所定事項が所定のレイアウトで(申告書としての様式に従って)印刷・表示される。一方、コード情報表示領域Tbは、申告事項入力画面に従って入力されたデータを所定の規則に従ってコード化した二次元コードが印刷・表示される。
【0033】
本実施形態では、このコード情報表示領域Tbに表示される二次元コードとして、申告用帳票Tに記載される情報量が多いのでQRコード4が用いられている。なお、この二次元コードは、後述するデータ管理装置に保存・記録が必要なデータをコード化すればよいので、申告事項入力画面に従って入力されたデータに保存・記録が不要なデータが含まれる場合には、当該不要なデータを除いたデータのみをコード化するように構成することができる。つまり、申告事項入力画面に従って入力されたデータの全てをコード化せずにその一部をコード化するように構成することも可能である。
【0034】
上記印刷用データ送信手段23は、上記印刷用データ作成手段22によって作成された印刷用データを端末コンピュータ3に対して送信する手段で構成される。すなわち、本発明に係る申告書作成支援装置1は、印刷用データ作成手段22によって作成した印刷用データを端末コンピュータ3側で印刷させるように構成していることから、作成された印刷用データはこの印刷用データ送信手段23によって端末コンピュータ3側に送信(返信)される。
【0035】
ここで、端末コンピュータ3側に送信する印刷用データは、端末コンピュータ3側でその内容を確認(視認)できるように、端末コンピュータ3において閲覧可能なデータ形式(たとえば、PDFファイル形式)で作成・送信されることが好ましい。
【0036】
そこで、次に、この申告書作成支援装置1により申告書を作成する手順を説明する。
申告書を作成する場合、組合員は、まず、自宅などにある端末コンピュータ3を上記ネットワークNopに接続し、ウエブページを閲覧するためのブラウザを用いてサーバコンピュータ2が提供する申告事項入力画面のうちから申告する内容に対応した申告事項入力画面を選択して閲覧し、表示された申告事項入力画面に従って必要なデータをキーボードやポインティングデバイスなどの入力手段を用いて入力する。そして、データの入力が完了すると、画面に表示される所定の操作手順に従って(たとえば、入力確定ボタンをクリックするなどして)入力したデータを確定させる。
【0037】
このようにして入力されたデータが確定されると、サーバコンピュータ2は選択された申告事項入力画面の種類と入力されたデータとに基づいて上述した印刷用データを作成して端末コンピュータ3に送信する。このとき、サーバコンピュータ2では、印刷用データの作成・送信が完了すると、入力されたデータをサーバ内に記録・保存することなく消去し、データがサーバコンピュータ2内に蓄積されないようにされている。つまり、本発明の申告書作成支援装置1では、端末コンピュータ3から入力されたデータは印刷用データの作成・送信のために一時的にサーバコンピュータ2内に取り込まれる(記録される)が、印刷用データの作成・送信後は当該データがサーバコンピュータ2内に残らないようにされている。
【0038】
このようにしてサーバコンピュータ2から印刷用データが送信されると、組合員は、受信した印刷用データを端末コンピュータ3の画面上で確認し、入力した事項に誤りがなければ、プリンタ(印刷装置)でこれを印刷することで申告用帳票を入手する。これにより、申告に必要な事項が全て印刷された申告用帳票が出来上がるので、組合員は当該申告用帳票に私印を押印等するだけで、申告書の体裁を容易に整えることができる。また、入力した内容を印刷前に確認することができるので、記載内容に誤りのない申告用帳票を得ることができる。
【0039】
しかして、このように作成された申告書は、上記のとおり所属長の確認(公印の押印)を受けて、申告者である組合員が所属する共済組合の支部に提出される(図1参照)。
【0040】
そこで、次にこのような申告書を受け付けた支部側の処理について説明する。図4は、支部における申告書情報管理システムの概略構成を示す説明図である。
【0041】
すなわち、支部側には申告書情報管理システムとして、上記申告書作成支援装置1によって作成された申告用帳票(申告書)に印刷された二次元コードを読み取るためのコード読取装置5と、このコード読取装置5で読み取ったデータを管理するためのデータ管理装置6とが備えられる。
【0042】
コード読取装置5は、申告書に印刷された二次元コードの読み取りと、読み取った二次元コードを上記データ管理装置6に入力可能なデータに変換する機能を備えた公知の構成よりなるコードリーダで構成される。具体的には、上記二次元コードとしてQRコード4が用いられるので、このコード読取装置5には光学式のQRコードリーダが用いられる。
【0043】
一方、データ管理装置6はデータ管理用のデータベースを備えたコンピュータシステムで構成される。すなわち、このデータ管理装置6は、コード読取装置5を介して入力されるデータを記録・保存する記憶装置(たとえば、ハードディスクなどの磁気記憶装置やDVDのような光記憶装置)を備えて構成されており、記憶装置に記録・保存されたデータを管理(データの検索や訂正など)する機能を備えている。
【0044】
そして、本発明では、特にこのデータ管理装置6は、上述したサーバコンピュータ2のように開放されたネットワークには接続されずに、単独で又は閉ざされたネットワークを介して接続される他のデータ管理装置7とともに、申告されたデータを管理するように構成されている。図示例では、このデータ管理装置6は、支部の上位組織に設けられる他のデータ管理装置7(データ管理装置6と同様に、開かれたネットワークには接続されることなく、データ管理用のデータベースを備えたコンピュータシステム)と専用回線で接続され、同データ管理装置7との間で閉ざされた(第三者がアクセスできないようにされた)ネットワークNclが構成されている。
【0045】
そこで、次に支部側の申告書情報管理システムにおける申告書の処理について説明する。
【0046】
上述したように、本発明の申告書作成支援装置1を用いて作成された申告書には、文字や記号によって申告の内容等が表示された文字情報表示領域Taと、二次元コードが表示されるコード情報表示領域Tbとがあることから、申告書を受け付けた支部の窓口では、受付担当者が申告書の文字情報表示領域Taを目視により確認し、申告書に不備(たとえば、記載漏れや添付書類の添付漏れ等)がないかを確認し、不備がなければコード読取装置5を用いてコード情報表示領域Tbに印刷されたバーコードを読み取り、読み取ったデータをデータ管理装置6に記録・保存させる。
【0047】
これにより、申告書に記述されていた申告情報(申告者である組合員が上記申告事項入力画面に従って入力したデータ)がデータ管理装置6に蓄積されるので、支部において資格審査を行なう際や、審査後に新たな組合員カードや資格喪失証明書を発行等する際には、データ管理装置6に蓄積されたデータを利用して審査や書類の発行を行なうことが可能になる(図1参照)。
【0048】
その一方、窓口で申告書に不備が発見された場合には、不備の内容を記載した不備付箋を添付して申告書を申告者に返還する(図1参照)。その際、上記不備付箋に不備の内容を二次元コードで表示・印刷しておけば、申告者が申告書を再提出した際に、窓口で不備付箋に表示された二次元コードをコード読取装置5で読み取ることで不備の内容を速やかに確認でき、窓口での点検作業を迅速に行なうことが可能になる。なお、この場合、窓口にはコード読取装置5で読み取った二次元コードの内容を表示する表示装置が設けられることはもちろんである。
【0049】
このように、本発明の申告書情報管理システムを用いれば、データ管理装置6へのデータの入力はコード読取装置5の操作だけで済むので、データ入力作業を省力化できるとともにタイプミスのような人為的な入力ミスの発生を防止することができる。しかも、申告書の内容を蓄積・管理するデータ管理装置6(及びデータ管理装置7)は、開放されたネットワークには接続されていないので外部からの不正侵入のおそれがなく、セキュリティ対策に掛かるコスト(ファイアーウォール対策やウィルス対策用に掛かる設備・ソフトウエアの購入・維持費等)を抑制することができる。
【0050】
なお、上述した実施形態は本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなくその範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0051】
たとえば、上述した実施形態では、申告用帳票Tのコード情報表示領域Tbに表示する二次元コードとしてQRコードを用いたが、バーコードなどの他の二次元コードを用いることももちろん可能である。
【0052】
また、上述した実施形態では、本発明に係る申告書情報管理システムを、共済組合における組合員情報の管理に用いた場合を示したが、本発明は複数の構成員の情報を管理するものであれば、たとえば会社における従業員の管理など、他の用途に用いることも勿論可能である。さらには、住所・氏名などの個人情報が含まれた帳票に私印の押印や署名などを付加して行う申告、申請、申し込み等の手続(特に、申告等を受け付けた側がその後に情報を管理する手続)、たとえば、引落金融機関の口座印を押印して行うクレジットカード会社の加入申し込み手続などについても本発明は適用可能である。
【0053】
また、上述した実施形態では、申告書情報管理システムのデータ管理装置6が閉ざされたネットワークNclを介して他のデータ管理装置7と接続された場合を示したが、他のデータ管理装置7とは接続せずにデータ管理装置6を単独で用いることも可能である。さらに、他のデータ管理装置7は、データ管理装置6と閉ざされたネットワークNclを介して接続されるのであれば複数用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る申告書情報管理システムを用いた事務処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図2】同申告書情報管理システムにおける申告書作成支援装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図3】同申告書作成支援装置を用いて作成した申告用帳票の一例を示す説明図である
【図4】支部における申告書情報管理システムの概略構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0055】
1 申告書作成支援装置
2 サーバコンピュータ
3 端末コンピュータ(端末装置)
4 QRコード(二次元コード)
5 コード読取装置
6 データ管理装置
21 入力画面表示手段
22 印刷用データ作成手段
23 印刷用データ送信手段
Nop 開放されたネットワーク
Ncl 閉ざされたネットワーク
T 申告用帳票
Ta 文字情報表示領域
Tb コード情報表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放されたネットワークを介して端末装置のウエブ閲覧画面上に申告事項を入力するための申告事項入力画面を表示させる入力画面表示手段と、
この申告事項入力画面に従って入力されたデータに基づいて所定の様式に従った申告用帳票の印刷用データを作成する印刷用データ作成手段と、
この印刷用データ作成手段において作成された印刷用データを前記ネットワークを介して前記端末装置に送信する印刷用データ送信手段とを有し、
前記印刷用データ作成手段は、前記印刷用データの作成にあたり、当該印刷用データに基づいて印刷される申告用帳票上に、前記入力されたデータを文字で表示する文字情報表示領域と、前記入力されたデータの全部又は一部を所定の二次元コードに変換して表示するコード情報表示領域とを設定する
ことを特徴とする申告書作成支援装置。
【請求項2】
前記印刷用データは、前記端末装置において閲覧可能なデータ形式で作成されることを特徴とする請求項1に記載の申告書作成支援装置。
【請求項3】
前記二次元コードとしてQRコードが用いられることを特徴とする請求項1または2に記載の申告書作成支援装置。
【請求項4】
申告用帳票の作成を支援する手段として請求項1から請求項3のいずれかに記載の申告書作成支援装置を有し、
前記申告書作成支援装置によって作成された申告用帳票に印刷された二次元コードを読み取るためのコード読取装置と、このコード読取装置で読み取ったデータを管理するためのデータ管理装置とを備え、
前記データ管理装置は、開放されたネットワークには接続されずに単独で又は閉ざされたネットワークを介して接続される他のデータ管理装置とともに申告されたデータを管理するように構成されていることを特徴とする申告書情報管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−187494(P2009−187494A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29722(P2008−29722)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(508042711)
【Fターム(参考)】