説明

男性用トイレシステムおよび男子用便器

【課題】 男性用トイレにおける男性器を清潔に拭くための衛生紙を、その都度、自動的に発給することによって衛生的な衛生紙発給システムを提供することであり、また、使用された衛生紙を廃棄するに際し、小便器の洗浄と同時に流し去ることによって、衛生紙を貯留することによる異臭、悪臭の発生を防止し、衛生的な男性用トイレシステム、さらには、男性用便器を提供すること。
【解決手段】 男子用小便器の近傍に衛生紙の自動発給装置設置し、小便器の給水センサーの感知信号によって前記衛生紙の自動発給装置を作動せしめ、衛生紙を自動発給させる男性用トイレシステムであり、また、男子用小便器の近傍に衛生紙の廃棄ボックスを設置し、該廃棄ボックスの上部に蓋体を開閉自在に設け、下部を小便器の配水管に接続するとともに、洗浄水の給水管に接続された洗浄ノズルを設けた男性用便器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は男性用トイレシステム、特に、男性トイレにおける衛生紙の自動供給システム、および、同システムに好適な構造を有する男子用便器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、男性の排尿終了時において、陰茎の尿道孔を中心に先端部に残存する残存尿を払拭するために陰茎を振ることが行われている。
このため、男子用トイレで小便器下に滴下し、飛散する尿によって床面を汚染することとなるが、これは不可抗力的なものとして諦念の感で受け止められている。床面に飛散した尿は室内の自然乾燥による蒸発により不快な臭気を発散することから非衛生的であり、さらに、床面に滴下した尿は拡散し、利用者の靴底の汚染からトイレ室内の床面タイルまたは、カーペットの汚染にも進み汚損・悪臭の拡散をする。
【0003】
また、陰茎を収納する場合にあっても、前述する残存尿が被服内に収納される陰茎から流出してパンツ等に吸収されることになり、この結果微量ではあってもパンツ等への尿液汚染を生じさせることになり、尿臭の発生による不快感を生じるのみならず、不衛生となるものである。
【0004】
さらに、陰茎にはその先端部を振っただけでは払拭できない尿が残存することがある。年齢と共に尿排出機能の衰えによる結果である場合が多いが、陰茎を収納した直後に流れ出る残尿は、前述のごとく当人にとって不快感と不衛生を増大せしめるものである。
【0005】
このため、特許文献1に示されるものにあっては、男性用少便器に近接してエチケットペーパーの収納具を設置し、排尿行為を終了した段階で、男性使用者は前記ペーパーを収納具から取り出し、残尿の拭き取りを行い、使用後のエチケットペーパーはそのまま小便器内に投棄される。
【0006】
また、特許文献2に示されるものにあっては、紙また、は、合成樹脂の薄片によって、先細りの円管状となった排尿補助具を製作し、男子便所の小便器のすぐそばの手の届く位置に、本補助具を一個ずつ取り出し得る機能を持ったストッカー内に同補助具を複数個収容して備え付けておき、足下には同補助具を回収する回収箱を設置することから構成され、排尿の際に本補助具を一個手に取り、陰茎に覆い包むようにあてがって排尿することにより、尿を漏れなく小便器内に流し込み、使用後は同補助具をその場で回収箱内に廃棄することとしたものである。
【0007】
しかしながら、前述する特許文献にはつぎのような問題点を有するものである。即ち、特許文献1にあっては収納箱より突出しているエチケットペーパーは先行使用者がすでに触った可能性があり不衛生である。また、根本的な問題として、従来における男子用小便器にあっては、かかるエチケットペーパーを流しうる構造とはなっておらず、充分に対応することができないことに加えて、使用後のエチケットペーパーが必ずしも小便器内に落下するとは限らず、床に落ちたり、小便器に付着したりして周囲の汚染を拡大せしめることになる。
【0008】
特許文献2にあっては、陰茎部を支えて排尿しても小便器内に排尿することが不安定である者が、排尿補助具を使って排尿する際に同補助具から陰茎が外れないかという事に神経を使い更に、同補助具の先端から小便器内に尿が流し込めるかという事にも神経を使う為、排尿中に先のいずれかの動作がおろそかになり、結局小便器外に尿がこぼれることとなる。
【0009】
加えて、前述の補助具を回収箱に投棄し、収集する結果、同補助具に付着していた尿が回収箱の底に溜まり、前述するこぼれた尿と同様に悪臭を発することとなり、不潔であるのみならず、周囲に対して不快感を与えることとなる。
【特許文献1】 実用新案登録第3064011号公報 第4図
【特許文献2】 実用新案登録第3079495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前述の諸点に鑑みなされたものであって、男性用トイレにおける用済み後の男性器を清潔に拭くための衛生紙を、その都度、自動的に発給することによって衛生的な男性用トイレシステムを提供することである。
【0011】
また、使用された衛生紙を廃棄するに際し、小便器の洗浄と同時に流し去ることによって、衛生紙を貯留することによる異臭、悪臭の発生を防止し、衛生的な男性用トイレシステム、さらには、男性用便器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の課題を解決するための本発明にかかる男性用トイレシステムの構成は、男子用小便器の近傍に衛生紙の自動発給装置設置し、小便器の給水センサーの感知信号によって前記衛生紙の自動発給装置を作動せしめ、衛生紙を自動発給させる点に存する。
【0013】
また、課題を解決するための本発明にかかる男性用トイレシステムの構成は、請求項1記載の男性用トイレシステムにおいて、衛生紙の自動発給と同時に衛生紙の供給を電光表示すること点に存する。
【0014】
さらに、課題を解決するための本発明にかかる男性用トイレシステムの構成は、請求項1、2記載の男性用トイレシステムにおいて、男子用小便器の近傍に衛生紙の廃棄ボックスを設置し、小便器の給水センサーの感知信号によって廃棄ボックスの蓋を開閉せしめる点に存する。
【0015】
さらにまた、課題を解決するための本発明にかかる男性用トイレシステムの構成は、請求項1、2、3、記載の男性用トイレシステムにおいて、蓋の開いている廃棄ボックスに廃棄された使用済みの衛生紙は小便器の給水センサーの感知信号によって、使用者が退出すると同時に流れる給水装置からの水によって流され処理される点に存する。
【0016】
加えて、男子用小便器の近傍に衛生紙の廃棄ボックスを設置し、該廃棄ボックスの上部に蓋体を開閉自在に設け、下部を小便器の配水管に接続するとともに、洗浄水の給水管に接続された洗浄ノズルを設けた点に存する。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる男性用トイレシステムによれば、排泄後における男性器を衛生紙によって清拭することによって、残尿の漏れから着衣を汚損することが無く、衛生的であり、また、残尿の滴をトイレの床に飛散させることがなくなることから、これらから発生する異臭、悪臭の発生を防止でき、トイレを美麗に保つことができる。また、今日までの男性トイレにおける過去の習慣を一変させることにつながり、男性の精神面の強さを取り戻す効果も期待できる。
【0018】
また、本発明にかかる男性用便器によれば、男性器の清拭に使用した衛生紙を小便器の洗浄と同様に流し去ることによって、衛生紙を貯留することによる異臭、悪臭の発生を防止し、衛生的なトイレ環境を提供することができる。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明にかかる男性トイレにおける衛生紙の自動供給システムの構成は、図1に示すとおりのものであって、即ち、従来公知の男子用便器1で、便器1の上部には便器使用者の有無を感知する非接触型のセンサー2が設置されている。
【0020】
前記便器1の近傍、好ましくは、便器1と一体的に衛生紙の廃棄ボックス3を併設し、廃棄ボックス3の上部には開閉自在の蓋4が設けられる。この蓋4は、図2bにその概略を示すように、従来公知の構造、即ち、蓋4をヒンジ3bにより揺動可に枢支し、蓋4に設けてなる突部4bにソレノイド13によって進退する軸14を連結し、前記非接触型のセンサー2の信号によって開閉せしめるのが望ましい。
【0021】
また、廃棄ボックス3の下部は、配管5によって、便器1の排水管6に接続され、さらに、廃棄ボックス3の衛生紙を投入するポケット部7には、廃棄ボックス3に投棄された衛生紙を流出せしめるために、便器1の洗浄のための洗浄水の給水管8から分岐された分岐管9の吐出口10が開設されている。
【0022】
前述の廃棄ボックス3に対する投棄された衛生紙を流送するための洗浄水の給水・停止の作動は、便器1に対する洗浄水の給排、即ち、非接触型のセンサー2による信号を廃棄ボックス3に対する制御信号とすることによって、便器1の洗浄と廃棄ボックス3内の衛生紙の排出を連動せしめるのが構造を簡素化する上で有利であるが、独立して廃棄ボックス3に対する洗浄水の給排を行わせることも可能なものである。
【0023】
また、前記廃棄ボックス3に近接して衛生紙の発給装置11が設置される。この衛生紙の発給装置11としては、その前面に電光表示エリア12が設けられ、使用方法を案内誘導する表示、あるいは、その他の案内、キャラクター等を表示するようにされている。また、電光表示と同時に、あるいは、電光表示に変えて音声ガイドを設けることが有効である。衛生紙の発給機構としての発給装置11の一例を図3に示す。なお、衛生紙の発給機構としてこれに限定されるものではなく、公知の種々の構造・形式のもの、あるいは、これに類する、例えば、ペーパータオル(おしぼり)の発給装置を採用することができるものである。
【0024】
図3に示される衛生紙の発給装置11について説明するに、ロール状に巻き取られた衛生紙15のホルダー16を有し、その前面に衛生紙15を引き出すためのモーター17により駆動されるピンチロール18が設置されている。このピンチロール18の後方側に衛生紙15を排出口21へと案内する先端部に切断された衛生紙15を貯留する溜り部19を形成したスライダー20が設置され、ピンチロール18により繰り出された衛生紙15の落下をガイドする。
【0025】
スライダー20の途中には、衛生紙15を所定の長さに切断するためのモーター22により駆動される回転カッター23を設けてあり、また、回転カッター23の後側に衛生紙15の先端を検出するセンサー24が設置され、ホルダー16から繰り出された衛生紙15の先端を検出するようになっている。
【0026】
また、衛生紙の発給装置11の前面の上部に、発給装置11から供給される衛生紙の使用法に関する案内、あるいは、コマーシャル等を放送するスピーカー25を設けるのが望ましい。また、同様に、電光表示板26を設けて、衛生紙の使用法に関する案内、あるいは、コマーシャル等を表示するようにすることも望ましい実施の形態である。
【0027】
27は衛生紙の発給装置11の各部の作動を制御するコントローラであって、たとえば、男子用の小便器1に付設された非接触式型センサー2の信号を受け、モーター17を作動させピンチロール18を駆動し衛生紙15をホルダー16から巻き戻すように駆動する。ピンチロール18により巻き戻された衛生紙15はスライダー20上を移動するが、その先端部をセンサー24が感知するとコントローラ27に送られて、モーター22を駆動させ、回転カッター23を回転させることによって衛生紙15を切断する。衛生紙15の切断長さは、回転カッター23の駆動タイミングを調整することによって任意に長さを調整することが可能である。切断された衛生紙15はスライダー20上を落下し、溜まり部19にとどまることになる。
【0028】
前述の例においては、衛生紙の発給装置11の制御のスタートを司る制御シグナルを便器1に設置した非接触式型センサー2に基づくものとしたが、発給装置11に非接触式型センサー(図示を省略した。)を設けて、独立して作動するようにすることも可能である。
【0029】
上述のように構成してなる本発明の男性用トイレシステムにおいて、男性用の小便器1を使用する者が便器1の前に屹立すると、従来と同様に便器に取り付けられた非接触式型センサー2が感知して便器1に対して初期の洗浄水を供給すると同時に、便器1への給水管8から分岐された分岐管9を経て、吐出口10から衛生紙の廃棄ボックス3に対しても洗浄水が供給されることとなる。
【0030】
同時に、ソレノイド13に対する作動信号が付与され、ソレノイド13の作動によって軸14が前進し、蓋4の突部4bを突き出すこととなり、蓋4を開放する。また、非接触式型センサー2が感知信号は衛生紙の発給装置11のコントローラ27に対してのトリガー信号を与える。
【0031】
このトリガー信号によって、衛生紙の発給装置11は前述する作動を開始する。モーター17を作動させピンチロール18を駆動し衛生紙15をホルダー16から巻き戻すように駆動する。ピンチロール18により巻き戻された衛生紙15はスライダー20上を移動するが、その先端部をセンサー24が感知するとコントローラ27に送られて、モーター22を駆動させ、回転カッター23を回転させることによって衛生紙15を切断する。切断された衛生紙15はスライダー20上を落下し、溜まり部19にとどまることになる。
【0032】
衛生紙の発給装置11の作動は、前述する衛生紙15の発給に止まらない。即ち、電光表示板26、スピーカー25による使用法の案内を流すことになる、この案内表示手段は、案内にとどまらず、コマーシャル、バックグラウンドミュージック等を流すことで、いままで殺風景なトイレに潤いをもたらすこともできる。
【0033】
便器1の使用者は、排泄の終了後に、発給装置11の前面の回動自在に設けられたカバー28を開いて衛生紙15を取り出し、排泄後の陰茎先端を清拭し、使用済みの衛生紙は、廃棄ボックス3へ投棄する。使用者が小便器1を離れると小便器1のセンサー2の感知信号によって便器1、および、廃棄ボックス3に洗浄水が供給され、廃棄ボックス3に投棄された衛生紙15は配管5を経由して小便器の排水管6へと流される。このように本発明における男子用トイレシステムにあっては、使用の初期から最終段階まで機器に一切手を触れることなく処理が進行することから、衛生的に卓越したシステムといえる。
【0034】
なお、図中29は隣接する便器同士を隔絶する、言い換えれば、隣接する使用者の目をさえぎる仕切り版である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明にかかる男性トイレにおける衛生紙の自動供給システム概念を示す説明図。
【図2】図1におけるA−A線断面図。
【図3】衛生紙発給装置の一例を示す概略説明図。
【符号の説明】
【0036】
1:便器
2、24:センサー
3:廃棄ボックス
4:蓋
6:排水管
11:衛生紙の発給装置
16:ホルダー
17、22:モータ
18:ピンチロール
20:スライダー
23:回転カッター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
男子用小便器の近傍に衛生紙の自動発給装置を設置し、小便器の給水センサーの感知信号によって前記衛生紙の自動発給装置を作動せしめ、衛生紙を自動発給させることを特徴とする男性用トイレシステム。
【請求項2】
請求項1記載の男性用トイレシステムにおいて、衛生紙の自動発給と同時に衛生紙の供給を電光表示、および/または、音声案内することを特徴とする男性用トイレシステム。
【請求項3】
請求項1、2記載の男性用トイレシステムにおいて、男子用小便器の近傍に衛生紙の廃棄ボックスを設置し、小便器の給水センサーの感知信号によって廃棄ボックスの蓋を開閉せしめることを特徴とする男性用トイレシステム。
【請求項4】
請求項1、2、3、記載の男性用トイレシステムにおいて、蓋の開いている廃棄ボックスに廃棄された使用済みの衛生紙は小便器の給水センサーの感知信号によって、使用者が退出すると同時に流れる給水装置からの水によって流され処理されることを特徴とする男性用トイレシステム。
【請求項5】
男子用小便器の近傍に衛生紙の廃棄ボックスを設置し、該廃棄ボックスの上部に蓋体を開閉自在に設け、下部を小便器の排水管に接続するとともに、洗浄水の給水管に接続された洗浄ノズルを設けたことを特徴とする男子用便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−57321(P2008−57321A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221746(P2007−221746)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(506295182)
【出願人】(502323874)
【Fターム(参考)】