説明

男性用失禁ショーツ

【課題】フィット感を損なうことなく、男性陰茎が収まる膨出部25,25’の止水性(尿漏れ防止性)を高める。
【解決手段】前身頃、脇身頃及び後身頃11から成り、前身頃20が表布21、防水布22、吸水布23及び裏布24が順に重ねられた4層からなる男性用失禁ショーツである。表布21、吸水布23及び裏布24は、それぞれ下縁中央部に上向き三角状の切り欠き21a、23a、24aを形成し、その各布の切り欠きの側縁を縫合して男性陰茎が収まる膨出部25を形成する。防水布22はその下縁全長に亘って均一な小さなギャザーaを入れた縫合により膨出部25に沿う膨出部25’を有する。失禁すると、膨出部25内に位置する陰茎先端から尿が放出され、その放出位置は、通常、防水布下縁の縫合線部aより上位であるため、その放出された尿は、その縫合線部aに至るまでに吸水布23によって吸水され、防水布22によって表布21への滲み出しが有効に防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アンダーパンツ、ブリーフ等の尿吸収性男性用失禁ショーツに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ショーツは、通常、前身頃、脇身頃及び後身頃から成り、男性用として、男性の陰茎を位置決め安定させるために、その陰茎に対応する前身頃の部位を膨出させたものがある(特許文献1、2参照)。その膨出手段は、前身頃生地とは別に膨出用生地を使用したり(特許文献1図5符号5参照)、前身頃生地の下縁中央部に上向き三角状の切り欠きを形成し、その切り欠きの側縁を縫合したりしている(特許文献2各図の符号3、16、25参照)。
【0003】
一方、失禁ショーツは、上記通常のショーツにおいて、その前身頃が表布、防水布、吸水布及び裏布が順に重ねられた4層からなるのが一般的であり、男性用として、上記のように、陰茎に対応する前身頃の部位を膨出させたものがある。
その男性用失禁ショーツにおける上記前身頃の膨出部の一形成手段として、表布及び裏布を左右の片から構成し、その両片を縫合することによって膨出部を形成し(特許文献3段落0020、図7〜図9参照)、防水布はギャザー寄せによって膨出部を形成し(同文献3段落0021、図11参照)、吸水布(パッド)は形状記憶ポリマーのネットを熱プレスにより成型して膨出部を形成している(同文献3段落0010、同0022、図12参照)。
また、他の膨出部形成手段として、吸水布(吸水パット)の下縁中央部に上向き三角状の切り欠きを形成して、その切り欠きの側縁を縫合して膨出部を形成し、その吸収パットを前身頃の表布裏面に縫合された防水布の袋内に収めたものがある(特許文献4段落0018図1〜図4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−200401号公報
【特許文献2】特開平8−100302号公報
【特許文献3】実開平7−314号公報
【特許文献4】特開2009−82288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記膨出部を有する男性用失禁ショーツにおいて、特許文献3記載のものは、吸水布(層)が熱プレスによるハードな膨らみなので、圧迫感があってフィット感に欠ける。
また、特許文献4の失禁ショーツは、吸水パッドのみが膨出しており、外観が良くないものとなっている。
【0006】
この発明は、以上の実状に鑑み、外観を損なうことなく、上記膨出部の止水性(尿漏れ防止性)を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために、この発明は、まず、特許文献2に記載の一般の男性ショーツのように、前身頃生地を成す表布と裏布の両下縁中央部に上向き三角状の切り欠きを形成し、その切り欠きの側縁を縫合して膨出部を形成することとしたのである。
前身頃生地を成す表布と裏布の両者に膨出部が形成されておれば、外観上は、一般的な男性ショーツと変わりないものとなる。
つぎに、吸水布については、表布等と同様に、下縁中央部に上向き三角状の切り欠きを形成し、その切り欠きの側縁を縫合して膨出部を形成したり、その切り欠きを形成することなく型押しなどによって膨出部を形成したり、薄布の場合は、前記切り欠きを形成することなく下縁をギャザー寄せによって膨出部を形成したり、前記切り欠きを形成することなくその全周囲の少なくとも一部を裏布及び防水布に縫合せずに膨出部を得られるようにしたりする。
さらに、防水布にあっては、通常、薄布であることから、上記切り欠きを形成することなくその下縁全長に亘って均一な小さなギャザーをいれた立体的な縫合を行なって膨らみを持たせることとしたのである。
防水布に切り欠きがなければ、その縫合線部からの尿漏れの恐れはなく、通常、使用者が失禁すると、膨出部内に位置する陰茎先端から尿が放出され、その放出位置は、防水布下縁の縫合線部より上位であるため、その放出された尿は、その下縁縫合線部に至るまでに吸水布によって吸水され、仮に至っても、均一な小さなギャザーをいれた立体的な縫合のため、その縫合部からの尿漏れも殆ど無く、前記放出された尿は防水布によって表布への滲み出し(尿漏れ)が有効に防止される。
【0008】
以上の考えからなるこの発明の一構成としては、前身頃、脇身頃及び後身頃から成り、前記前身頃が、表布、防水布、吸水布及び裏布が順に重ねられた4層からなる男性用失禁ショーツにおいて、前記表布、吸水布及び裏布は、それぞれ下縁中央部に上向き三角状の切り欠きを形成し、その切り欠きの側縁を縫合して男性陰茎が収まる膨出部を有するとともに、前記防水布は前記切り欠きを形成することなくその下縁全長に亘って均一な小さなギャザーをいれた立体的な縫合がされて前記膨出部に沿う膨出部を有するものとしたのである。
【0009】
この発明の他の構成としては、上記構成の男性用失禁ショーツにおいて、上記吸水布は、上記切り欠きを形成することなく、その全周囲の少なくとも一部を裏布及び防水布に縫合せずに膨出部を得られるようにしたり、その膨出部が型押し等によって前もって形成されたものとしたり、上記防水布と同一形状としてその下縁全長に亘って均一な小さなギャザーをいれた立体的な縫合がされて膨出部を有するものとしたりすることができる。
すなわち、吸水布は、尿を吸収するため、周囲には尿が至らず、必ずしも全周を縫合する必要がない場合があり、一部(全周も含む)が縫合されていないと、他の布の膨出部に沿う形状になり得るからである。このとき、防水布もギャザーをいれずに吸水布に縫合したパッド状とし得る。
また、吸水布は、通常、織り布や編み布ではなく、不織布等のその作成時に膨出形状を作ったり、型押しによって膨出形状を作ったりし得るため、そのような布(材料)を使用する場合には、表布等と同一の膨出部を前もって有するものを採用することができる。
さらに、吸水布が薄い布で形成する場合は、その各吸水布を防水布と同一形状としてその下縁全長に亘って均一な小さなギャザーをいれた立体的な縫合がされて膨出部を有するものとし得る。
【0010】
これらの各構成において、上記表布及び裏布は同一形状とし、上記防水布又は吸水布は、上記縫合前の側縁の長さが表布の側縁の長さと同一とされているとともに、その上下縁中央間の長さが表布の上下縁中央間の長さと同一とされ、さらに、その下縁の長さは前記ギャザーをいれるために表布の下縁の長さより長くしてあるものとすることができる。
このように、縫合前の防水布又は吸水布の下縁を表布下縁より長くすることによって、ギャザーをいれても、表布下縁と同一の長さとすることができ、上下縁中央間の長さが表布の上下縁中央間の長さと同一とされていることから、その両布の周囲を縫合した際、両布が全面に沿った膨出部を得ることができる。すなわち、少なくとも、防水布又は吸水布と表布と裏布は縫合後においては同一形状となって相互にフィットした3層(4層)が形成されたものとなるため、外観上優れたものとなる。
【0011】
上記表布、吸水布又は裏布の切り欠きの側縁縫合は、2本針オーバー縫いとすれば、縫合強度が高く(縫い目が強く)、引張り(ストレッチ)に対して解れ(破断)がないものとなるとともに、縫合介線(図4(b)符号c参照)の隙間が極力小さくなるとともに開きにくくなって尿が漏れ(滲み出し)にくくなる。このとき、その表布、吸水布又は裏布の切り欠きの各側縁の縫合部を、その各布で縫合介線に対し左右に異ならせれば、各縫合介線を介し各布表面を伝って漏れる尿の漏れ距離(沿面距離)も長くなるため、尿漏れしにくくなる。また、その各布の縫合部の厚さ(膨らみ)を抑えることができてフィット感も増す。
【0012】
これらの構成の男性用失禁ショーツは、使用者が失禁すると、膨出部内に位置する陰茎先端から尿が放出され、その放出位置は、通常、防水布下縁の縫合線部より上位であるため、その放出された尿は、その縫合線部に至るまでに吸水布によって吸水される。このため、前記放出された尿は防水布によって表布への滲み出し(尿漏れ)が有効に防止される。
【発明の効果】
【0013】
この発明は、以上のように構成し、表布及び裏布に膨出部を形成したので、一般的な男性ショーツと同じ外観を呈し、防水布には膨出部形成用の縫合線部を無くしたので、その縫合線部を介した表布への尿の滲み出しは無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の一実施形態の斜視図
【図2】(a)は同実施形態の正面図、(b)は同背面図
【図3】同実施形態の前身頃を各構成する各布の正面図であり、(a)は表布、(b)は防水布、(c)は吸水布、(d)は裏布
【図4】(a)は同前身頃の斜視図、(b)は(a)のb−b線部分断面図
【図5】同前身頃の各布を切り離した斜視図
【図6】他の実施形態の各布を切り離した斜視図
【図7】(a)は他の実施形態の各布を切り離した斜視図、(b)は防水布と吸水布を縫合した斜視図
【図8】他の実施形態の吸水布の斜視図
【図9】他の実施形態の斜視図
【図10】(a)は同実施形態の正面図、(b)は同背面図
【図11】同実施形態の前身頃を各構成する各布の正面図であり、(a)は表布、(b)は防水布、(c)は吸水布、(d)は裏布
【図12】他の実施形態の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の一実施形態を図1〜図5に示し、この実施形態の男性用失禁ショーツ10も、従来と同様に、前身頃、脇身頃及び後身頃から成るが、脇身頃は後身頃と同一の布11で形成され、その布11と前身頃20の両者の下縁の間に股布12が縫合されている。脇身頃と後身頃を別々の布としても良い。
【0016】
前身頃20は、図3、図4に示す、表布21、防水布22、吸水布23、裏布(肌側布)24の4層からなる。後身頃の布11、股布12及び表布21は、ポリエステル:90%、ポリウレタン:10%の伸縮性生地からなり、防水布22は、ポリエステル:50%、ポリウレタン:50%の生地からなり、吸水布23は、アクリル製不織布からなり、裏布24は、ポリエステル:100%のパイル生地からなる。これらの各布11、12、21、22、23、24は、前記各生地に特定されず、その用途に応じて適宜に選択し得る。例えば、防水布22は、防水性を担保できれば良く、吸水布23は、特許文献4記載の吸収パット20の構成とし、裏布24は、速乾性(水を通した後、後戻りさせない性質)を担保できれば良い。
【0017】
前身頃20の表布21、吸水布23及び裏布24は、図3(a)、(c)、(d)に示すように、同一形状であって、その下縁中央部に上向き三角状の切り欠き21a、23a、24aを形成し、図4(a)、(b)に示すように、その切り欠き21a、23a、24aの側縁を内側又は外側に折込んでそれぞれ2本針オーバー縫いによって縫合して男性陰茎が収まる膨出部25を形成する。
【0018】
この2本針オーバー縫いによる各布21、23、24の切り欠き側縁縫合は、縫い目が強く、引張りに対して破断し難いものとなるとともに、縫合介線cの隙間が極力小さくなるとともに開きにくくなって尿が漏れ(滲み出し)にくくなる。また、各布21、23、24の縫合部は、図4(b)に示すように、その縫合介線cに対し各布で左右にズレて異なっているため、各縫合介線cを介し各布表面を伝って漏れる尿の漏れ距離も長くなるため、尿も漏れにくくなる。また、その各布の縫合部の厚さ(膨らみ)を抑えることができてフィット感も増すものとなっている。各布の縫合部の左右のズレは、2つが同じでもう一方が異なれば、いずれでも、例えば、図4(b)と異なり、表布21と吸水布23の縫合部が左、裏布24の縫合部が右等とし得る。
図3中、鎖線より外側縁が内側又は外側に折込む縫合部分となる(図4(b)参照)。
【0019】
一方、防水布22は、図3(b)に示すように、太鼓状とされ、その側縁(縫合部分、以下同じ)の長さL22が表布21等の側縁の長さL21と同一とされているとともに、その上下縁中央間の長さL22cが表布21等の上下縁中央間の長さL21cと同一とされ、さらに、その下縁の長さl22は表布21等の下縁の長さ(l21a+l21b等)より長くしてある。このため、膨出部25を形成した吸水布23に防水布22を重ね(合わせ)、防水布22の下縁を吸水布23の下縁にその防水布22下縁をその全長に亘って均一な小さなギャザーaをいれて寄せて縫合すると(しつけすると)、吸水布23と防水布22の周縁が一致して(両布23、22の下縁長さ:l21a+l21b)吸水布23の膨出部25に沿う膨出部25’が防水布22にも形成される。このとき、その膨出程度及び下縁寄せ度合を考慮して防水布22の下縁長さl22を適宜に決定する。例えば、0.75×l22=(l21a+l21b)とする。
【0020】
この後、その防水布22の表面に表布21、吸水布23の裏面に裏布24をあてがい、図4に示すように、各布21、22、23、24の周縁を本縫いにより縫合することによって4層の前身頃20が形成される。このとき、防水布23の左右縁は撥水テープ(図示せず)によってその縁を包むように挟んで平2本針(片面飾り)で縫合する。
なお、防水布22は表布21に先に縫合することもできる。但し、防水布21を吸水布23に先に縫合することは、吸水布23は不織布からできて厚みがあって腰があるため、防水布22を沿わせ易い利点がある。
また、各布21、22、23、24は、重なって膨出しその各層両端(例えばl22cとl21c)の長さが異なるため、上記及び下記「同一」はその長さズレも含んだ同一とする。
【0021】
このようにして前身頃20を形成し、表布21と同一素材の後身頃布11及び股布12をそれらの側縁で縫合し、さらにウエストバンド14を縫合して、この実施形態の男性用失禁ショーツ10を得る。このとき、上記前身頃20の下縁を除く各布周縁の縫合は後身頃布11及び股布12の周縁との縫合を兼ねることもできる。
【0022】
この失禁ショーツ10は、従来と同様にして使用し、その使用者が失禁すると、膨出部25、25’内に位置する陰茎先端から尿が放出され、その放出位置は、通常、防水布22下縁の縫合線部a(図2(a)参照)より上位であるため、その放出された尿は、その縫合線部aに至るまでに吸水布23によって吸水される。このため、前記放出された尿は防水布22によって表布21への滲み出しが有効に防止される。
【0023】
この実施形態において、吸水布23が薄い物であれば、切り欠き23aを入れずに、防水布22と同様に、下縁全長に亘って均一な小さなギャザーをいれた立体的な縫合がされて膨出部25を有するものとし得る。このため、例えば、図6に示すように、吸水布23をその下縁にギャザーを入れて裏布24に縫合し、防水布22はその下縁にギャザーを入れて表布21に縫合したりする等して膨出部25’を形成することができる。この実施形態では、表布21を2枚21、21として、下層の防水布22等が透けて見えるのを防止等している。
【0024】
また、特許文献2に記載のように、防水布22と吸水布23を縫合等によって一体したものを吸水パッドとし、その吸水パッドを表布21と裏布24の間に介在した構成とすることができる。例えば、図7に示すように、同一形状の防水布22と吸水布23(23、23)を同図(b)のように縫合して吸水パッド23pとし、この吸水パッド23pを表布21又は裏布24に縫合したものとし得る。このとき、表布21等の膨出部25に吸水パッド23pが沿い易いように、その全周囲の一部、例えば、下縁や側縁等の一部を表布21及び裏布24に縫合しないようにすることができる。吸水布23の枚数(防水布23、23・・の枚数)は1枚、3枚、4枚等と任意である。
この実施形態において、防水布22は、図3(b)に示す形状としてその下縁をギャザーaにより寄せて表布21と同一形状とし、吸水布23(23、23)のみを上記その一部を裏布24等に縫合しないようにするものとし得る。
【0025】
さらに、吸水布23は、通常、織り布や編み布ではなく、不織布等のその作成時に膨出形状を作ったり、型押しによって膨出形状を作ったりし得るため、そのような布(材料)を使用する場合には、表布21、裏布24の膨出部25と同一の膨出部25を前もって有する、図8に示す吸水布23とすることができる。
【0026】
この発明は、ブリーフであっても採用でき、その実施形態を図9〜図11に示す。この実施形態の男性用失禁ショーツ10も、上記男性用失禁ショーツ10と同様に、前身頃、脇身頃及び後身頃から成って、脇身頃は後身頃と同一の布11で形成されているが、股布12はなく、前身頃の下縁と後身頃の下縁が直接に縫合されている。
【0027】
前身頃20は、図11に示す、表布21、防水布22吸水布23、裏布(肌側布)24の4層からなって、その生地も上記と同じである。また、同様に、その表布21、吸水布23及び裏布24は、同図(a)、(c)、(d)に示すように、同一形状であって、その下縁中央部に上向き三角状の切り欠き21a、22a、23aを形成し、その切り欠き21a、22a、23aの側縁をそれぞれ縫合して男性陰茎が収まる膨出部25を形成する。
【0028】
防水布22は、同様に、同図(b)に示すように、その凹条側縁22bが他の布21の凹条側縁21bに対し曲率が緩やかになっており、その側縁21bの長さが表布21等の側縁21bの長さと同一とされるとともに、上下縁中央間の長さが表布21等の上下縁中央間の長さと同一とされ、さらに、その下縁の長さが表布21等の下縁の長さより長くしてある。このため、吸水布23の下縁にこの防水布22の下縁をいせ込み等によって縫合することによって吸水布23等の膨出部25に沿う膨出部25’が防水布22にも形成される。
【0029】
この後、その防水布22の表面に表布21、吸水布23の裏面に裏布24をあてがい、各布21、22、23、24の周縁を縫合することによって4層の前身頃20が形成される。
このようにして前身頃20を形成し、表布21と同一素材の後身頃布11をそれらの側縁で縫合し、さらにウエストバンド14を縫合して、この実施形態の男性用失禁ショーツ10を得る。このとき、上記と同様に、上記前身頃20の下縁を除く各布周縁の縫合は後身頃布11の周縁との縫合を兼ねることもできる。
【0030】
この失禁ショーツ10は、従来と同様にして使用し、同様に、その使用者が失禁すると、膨出部25内に位置する陰茎先端から尿が放出され、その放出位置は、通常、防水布下縁の縫合線部aより上位であるため、その放出された尿は、その縫合線部aに至るまでに吸水布23によって吸水される。このため、前記放出された尿は防水布22によって表布21への滲み出しが有効に防止される.
【0031】
上記各失禁ショーツ10、10は、男性陰茎の取り出し口のないものであったが、この発明は、図12に示す、その取り出し口30を形成したショーツ10においても採用することができる。この場合、上記前身頃20の4層構造は、肌に接する裏布部31に形成したり、表布部32に形成したりすることができる。このとき、男性陰茎が収まる膨出部25はその表布部32及び裏布部31の両者に設けることは勿論である。また、その表布部32及び裏布部31の両者で上記前身頃20の4層構造とすることもできる。
【0032】
これらの図9、図12に示す失禁ショーツ10、10においても、図6〜図8に示す防水布22、吸水布23の構成を採用できることは勿論である。
【0033】
なお、この発明の失禁ショーツは、図1、図9、図12において、前身頃20が特徴であり、他の形状(後身頃など)は任意である。
このように、この発明の範囲は、上記実施の形態に限定されず、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0034】
10、10、10 男性用失禁ショーツ
11 後身頃布
12 股布
14 ウエストバンド
20 前身頃
21 前身頃の表布
22 同防水布
23、23、23 同吸水布
24 同裏布(肌側布)
21a、23a、24a 切り欠き
25、25’ 膨出部
a ギャザー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃、脇身頃及び後身頃から成り、前記前身頃(20)が、表布(21)、防水布(22)、吸水布(23)及び裏布(24)が順に重ねられた4層からなる男性用失禁ショーツであって、
上記表布(21)、吸水布(23)及び裏布(24)は、それぞれ下縁中央部に上向き三角状の切り欠き(21a、23a、24a)を形成し、その各布(21、23、24)の切り欠き(21a、23a、24a)の側縁を縫合して男性陰茎が収まる膨出部(25)を有するとともに、上記防水布(22)は前記切り欠きを形成することなくその下縁全長に亘って均一な小さなギャザー(a)をいれた立体的な縫合がされて前記膨出部(25)に沿う膨出部(25’)を有するものとしたことを特徴とする男性用失禁ショーツ。
【請求項2】
前身頃、脇身頃及び後身頃から成り、前記前身頃(20)が、表布(21、21、21)、防水布(22)、吸水布(23)及び裏布(24)が順に重ねられた4層からなる男性用失禁ショーツであって、
上記表布(21、21、21)及び裏布(24)は、それぞれ下縁中央部に上向き三角状の切り欠き(21a、24a)を形成し、その表布(21、21、21)及び裏布(24)の切り欠き(21a、24a)の側縁を縫合して男性陰茎が収まる膨出部(25)を有するとともに、上記防水布(22)及び吸水布(23)は前記切り欠きを形成することなくその下縁全長に亘って均一な小さなギャザー(a)をいれた立体的な縫合がされて前記膨出部(25)に沿う膨出部(25’)を有するものとしたことを特徴とする男性用失禁ショーツ。
【請求項3】
上記表布(21、21、21)及び裏布(24)は同一形状であって、上記防水布(22)又はその防水布(22)及び吸水布(23)は、上記縫合前の側縁の長さ(L22)が表布(21、21、21)の側縁の長さ(L21)と同一とされているとともに、その上下縁中央間の長さ(L22c)が表布(21、21、21)の上下縁中央間の長さ(L21c)と同一とされ、さらに、その下縁の長さ(l22)は前記ギャザー(a)をいれるために表布(21、21、21)の下縁の長さ(l21a+l21b)より長くしてあることを特徴とする請求項1又は2記載の男性用失禁ショーツ。
【請求項4】
前身頃、脇身頃及び後身頃から成り、前記前身頃(20)が、表布(21)、防水布(22)、吸水布(23)及び裏布(24)が順に重ねられた4層からなる男性用失禁ショーツであって、
上記表布(21)及び裏布(24)は、それぞれ下縁中央部に上向き三角状の切り欠き(21a、24a)を形成し、その表布(21)及び裏布(24)の切り欠き(21a、24a)の側縁を縫合して男性陰茎が収まる膨出部(25)を有するとともに、上記防水布(22)は前記切り欠きを形成することなくその下縁全長に亘って均一な小さなギャザー(a)をいれた立体的な縫合がされて前記膨出部(25)に沿う膨出部(25’)を有するものであり、上記吸水布(23)は、上記切り欠き(23a)を形成することなく、その全周囲の少なくとも一部を裏布(24)及び防水布(22)に縫合せずに膨出部を得られるようにしたことを特徴とする男性用失禁ショーツ。
【請求項5】
前身頃、脇身頃及び後身頃から成り、前記前身頃(20)が、表布(21)、防水布(22)、吸水布(23)及び裏布(24)が順に重ねられた4層からなる男性用失禁ショーツであって、
上記表布(21)及び裏布(24)は、それぞれ下縁中央部に上向き三角状の切り欠き(21a、24a)を形成し、その表布(21)及び裏布(24)の切り欠き(21a、24a)の側縁を縫合して男性陰茎が収まる膨出部(25)を有するとともに、上記防水布(22)は前記切り欠きを形成することなくその下縁全長に亘って均一な小さなギャザー(a)をいれた立体的な縫合がされて前記膨出部(25)に沿う膨出部(25’)を有するものとし、上記吸水布(23)は、上記切り欠きを形成することなく上記膨出部(25)が前もって形成されたものとしたことを特徴とする男性用失禁ショーツ。
【請求項6】
上記表布(21)及び裏布(24)は同一形状であって、上記防水布(22)は、上記縫合前の側縁の長さ(L22)が表布(21)の側縁の長さ(L21)と同一とされているとともに、その上下縁中央間の長さ(L22c)が表布21の上下縁中央間の長さ(L21c)と同一とされ、さらに、その下縁の長さ(l22)は前記ギャザー(a)をいれるために表布(21)の下縁の長さ(l21a+l21b)より長くしてあることを特徴とする請求項4又は5記載の男性用失禁ショーツ。
【請求項7】
上記表布(21、21、21)、吸水布(23)又は裏布(24)の切り欠き(21a、23a、24a)のそれぞれ側縁の縫合を2本針オーバー縫いとしたことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1つに記載の男性用失禁ショーツ。
【請求項8】
上記表布(21、21、21)、吸水布(23)又は裏布(24)の切り欠き(21a、23a、24a)のそれぞれ側縁の縫合部を、前記上記表布(21、21、21)、吸水布(23)又は裏布(24)で縫合介線(c)に対し左右に異ならせたことを特徴とする請求項7に記載の男性用失禁ショーツ。
【請求項9】
上記防水布(23)の左右縁は撥水テープによってその縁を包むように挟んで縫合されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1つに記載の男性用失禁ショーツ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−44061(P2013−44061A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181586(P2011−181586)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000105154)株式会社GSIクレオス (31)
【Fターム(参考)】