説明

男性用尿パッド

【課題】容易に装着することができるとともに装着感が良く、生産が容易であり、尿を良好に吸収及び保持することが可能な男性用尿パッドを提供する。
【解決手段】吸収体11、この吸収体11の上面を被覆するように配置され、一部が液透過性材料からなるトップシート12、及び、吸収体11の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシート13を有する吸収性本体10aを備え、この吸収性本体10aを吸収体11の長手方向に沿って折り重ねて形成されるものであり、吸収性本体10aが折り重なっている部分の、吸収体11の長手方向の両方の端部を含む領域に、上記折り重なっている部分を固定する固定部20aを有する男性用尿パッド100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、男性用尿パッドに関し、更に詳しくは、容易に装着することができるとともに装着感が良く、生産が容易であり、尿を良好に吸収及び保持することが可能な男性用尿パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乳幼児用、或いは高齢者・障害者等の成人用の尿パッドとして、トップシートと、バックシートと、両シートの間の一部に介装された吸収体とを備えた尿パッドが知られている。
【0003】
この尿パッドは、トップシートの表面を着用者の肌に接するように宛がって使用することにより、着用者の排泄した尿はトップシートを透過して、吸収体によって吸収・保持されるとともに、防漏性に優れたバックシートによって、尿が外部に漏洩してしまうことが防止されている。
【0004】
特に、男性用の尿パッドとしては、男性器を被包して用いるタイプが知られている(例えば、特許文献1参照)。この男性用尿パッドは、男性器を被包した状態で用いるため、使い捨ておむつや、単に衣類やおむつ上に載置して用いる尿パッドと比較して、尿と着用者の肌との接触面積を少なくすることができる。従って、尿と着用者の肌との接触面積が大きいことに起因するスキントラブルを減少させることができるという利点がある。
【0005】
また、男性用尿パッドとしては、例えば、表面シートと裏面シートとの間に配設された吸収体を有し、吸収体の外側(外縁)に、長手方向(左右方向)に沿ってフラップ部が形成され、そのフラップ部の長手方向の略中央部に切り込み部(スリット)が形成されたもの(例えば、特許文献2参照)や、予め袋状に成型されたもの(例えば、特許文献3参照)も提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開平8−280727号公報
【特許文献2】特開2001−129012号公報
【特許文献3】特開平9−299392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2に記載された男性用尿パッドは、男性器から尿パッドがズレたり外れたりし易く、尿漏れを惹起するおそれがあるという問題があった。また、これらの尿パッドは、装着に非常に手間が掛かるという問題もあった。更に、特許文献2に記載された男性用尿パッドは、スリット部分で男性器が不自然な形で押さえつけられるため、快適な装着感が得られないという問題があった。また、特許文献3に記載された男性用尿パッドは、構造が複雑であるために、生産性が極めて低いという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、容易に装着することができるとともに装着感が良く、生産が容易であり、尿を良好に吸収及び保持することが可能な男性用尿パッドを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、以下に示す男性用尿パッドが提供される。
【0010】
[1] 吸収体、前記吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート、及び、前記吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートを有する吸収性本体を備え、前記吸収性本体を前記吸収体の長手方向に沿って折り重ねて形成されるものであり、前記吸収性本体が折り重なっている部分の、少なくとも前記吸収体の長手方向の一方の端部またはその近傍を含む領域に位置し、前記折り重なっている部分を固定する固定部を有する男性用尿パッド。
【0011】
[2] 前記固定部は、少なくとも一部が剥離可能である前記[1]に記載の男性用尿パッド。
【0012】
[3] 前記吸収体の長手方向の少なくとも一方の端部側に、前記吸収体の短手方向に沿って伸縮材が配置されている前記[1]または[2]に記載の男性用尿パッド。
【0013】
[4] 前記吸収体の短手方向の両端部側に、前記吸収体の短手方向の外方に突出する摘み部を有する前記[1]〜[3]のいずれかに記載の男性用尿パッド。
【0014】
[5] 前記固定部を、前記吸収体の長手方向の両方の端部またはその近傍を含む領域に有する前記[1]〜[4]のいずれかに記載の男性用尿パッド。
【0015】
[6] 前記バックシートの前記吸収体とは反対側の面の一部には、接着部が配置されている前記[1]〜[5]のいずれかに記載の男性用尿パッド。
【発明の効果】
【0016】
本発明の男性用尿パッドは、容易に装着することができるとともに装着感が良く、生産が容易であり、尿を良好に吸収及び保持することが可能であるという効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
【0018】
[1]男性用尿パッド:
図1は、本発明の男性用尿パッドの一実施形態を示す平面図であり、バックシート13側から見た図である。また、図2は、図1に示す男性用尿パッド100のX−X’断面を示す模式図である。図2に示すように、男性用尿パッド100は、吸収体11、この吸収体11の上面を被覆するように配置され、一部が液透過性材料からなるトップシート12、及び、吸収体11の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシート13を有する吸収性本体10aを備えている。そして、男性用尿パッド100は、吸収性本体10aを吸収体11の長手方向に沿って折り重ねて形成されるものであり、吸収性本体10aが折り重なっている部分(以下、「襞状部」と記す場合がある。)の、吸収体11の長手方向の両方の端部を含む領域に位置し、折り重なっている部分を固定する固定部20aを有するものである。このような男性用尿パッドは、生産が容易であり、更に、折り重なっている部分を広げると、容易に袋状に形成することができるため装着し易く、装着感が良いことに加えて、尿を良好に吸収及び保持することができる。
【0019】
吸収性本体は、その形状について特に制限はなく、例えば、矩形状、楕円形状、砂時計状、提灯状等を挙げることができる。例えば、図1は、矩形状の吸収性本体10aを吸収体11の長手方向に沿って折り重ねて男性用尿パッド100を形成した例である。このように吸収性本体を矩形状とした場合、製造が容易であるという利点がある。また、図4は、楕円形状の吸収性本体10cを吸収体の長手方向に沿って折り重ねて男性用尿パッド102を形成した例である。このように吸収性本体を楕円形状とした場合、角がないため矩形状の吸収性本体に比べて、男性用尿パッドを装着した際の装着感が向上するという利点がある。なお、図1、図3、図4、図7は、吸収性本体の一部を透明にして、折り重なっている部分の稜線及び固定部が見えるようにして示している。
【0020】
本発明の男性用尿パッドは、シート状の吸収性本体を吸収体の長手方向に沿って折り重ねて形成されるものであり、吸収性本体が折り重なっている部分の、少なくとも吸収体の長手方向の一方の端部またはその近傍を含む領域に位置し、折り重なっている部分を固定する固定部を有するものである。このように吸収性本体の一部を折り重ねるとともに、折り重ねられた部分の少なくとも一部を固定することによって、襞を有するパッドを形成することができる。そして、上記のように襞が形成されていると、男性用尿パッドの中央部を、一方の面側から他方の面側に向かって押し込んだときに、固定部を起点として折り重ねられた部分が広がって袋状になる。例えば、図6は、図1に示す平面状の男性用尿パッド100の折り重ねられた部分を広げて(展開させて)、立体状(袋状)の男性用尿パッド100を形成した状態を示している。
【0021】
吸収性本体は、吸収体の長手方向に沿って折り重ねる限り折り重ねる位置に制限はなく、吸収体を折り曲げないように吸収性本体を折り重ねてもよいし、吸収体を折り曲げつつ吸収性本体を折り重ねてもよい。例えば、図2は、吸収体11の短手方向の両端部よりも外側の部分を折り曲げて、吸収体11を折り曲げないように吸収性本体10aを折り重ねた状態を示す例である。また、図5は、吸収体11を折り曲げつつ吸収性本体を折り重ねた状態を示す例である。
【0022】
吸収性本体が折り重ねられている部分の幅(吸収性本体の短手方向の長さ)の合計長さ、即ち、図1に示す幅L1+幅L2の合計長さは、襞状部の数や襞状部の位置によって適宜設定することができるが、吸収性本体の短手方向の長さに対して、10〜200%であることが好ましく、30〜150%であることが更に好ましく、50〜100%であることが特に好ましい。上記幅の合計長さが10%未満であると、男性用尿パッドの使用時に、折り重ねられた部分を展開しても十分な奥行き(男性器の収納空間)が得られないおそれがある。一方、200%超であると、男性用尿パッドの折り重ねられた部分を展開して形成される空間の奥行きを、男性器の大きさに合わせて調節することが困難になるおそれがある。
【0023】
[1−1]固定部:
本発明の男性用尿パッドが有する固定部は、吸収性本体が折り重なっている部分の、少なくとも吸収体の長手方向の一方の端部またはその近傍を含む領域に位置し、折り重なっている部分を固定するものである。この固定部を有することによって、男性用尿パッドを容易に袋状に形成することが可能になる。そして、固定部は、少なくとも一部が剥離可能であることが好ましい。このように固定部の少なくとも一部を剥離可能に設定することによって、男性用尿パッドを、男性器に最も適した形に形成することができる。即ち、固定部の一部を剥離すると、袋状の男性用尿パッドの開口部分が大きくなり、男性器にフィットさせることができる。
【0024】
本発明の男性用尿パッドは、固定部を、吸収体の長手方向の両方の端部またはその近傍を含む領域に有するものであることが好ましい。このように固定部を有することによって、一方の端部またはその近傍を含む領域にのみ固定部を配置した場合に比べて、男性用尿パッドのフィット性が向上するため、装着感が更に良好になるという利点がある。例えば、図1に示す男性用尿パッド100は、吸収体11の長手方向の両方の端部を含む領域に固定部20aを有するものである。また、図7に示す男性用尿パッド104は、一方の端部を含む領域に固定部20d1を有し、他方の端部の近傍に固定部20d2を有しているものである。
【0025】
また、固定部は、以下のような態様であってもよい。即ち、吸収性本体の長手方向の一方の端部またはその近傍から他方の端部またはその近傍に向って連続的に配置され、吸収性本体の両端部に位置する固定部は剥離不可であり、吸収性本体の中央部に位置する固定部は剥離可能であるように配置されている態様(第一の態様)や、吸収性本体の長手方向の一方の端部またはその近傍から他方の端部またはその近傍に向って断続的に配置され、吸収性本体の両端部に位置する固定部は剥離不可であり、吸収性本体の中央部に位置する固定部は剥離可能であるように配置されている態様(第二の態様)である。
【0026】
例えば、図7は、第二の態様の固定部を示す例であり、吸収性本体の中央部には、剥離可能なドット状の固定部20d3を配置している例である。
【0027】
固定部としては、折り重なっている部分を固定するものである限り特に制限はないが、例えば、粘着テープ、メカニカルファスナー、熱エンボス加工、ヒートシール、ホットメルトなどを挙げることができる。なお、上記固定部として例示したものは、折り重なっている部分を剥離可能に固定することができるものである。また、メカニカルファスナーや粘着テープを固定部として用いると、折り重なっている部分を着脱可能に固定することもできるという利点がある。
【0028】
メカニカルファスナーとは、機械的結合を用いたファスナーである。従って、面状ファスナーとも称されることがある。この面状ファスナーは、例えば、表面に多数の突起(鉤状、きのこ状、錨状等)が形成された凸部材(フック材)と、表面にループ状の繊維が配置された凹部材(ループ材)とを組み合わせたもの等が用いられることが多い。そして、面状ファスナーは、ループ材の表面にフック材を重ね合わせ、フック材の多数の突起をループ材の表面に係合させることにより、両部材を着脱可能な状態に、かつ強固に固着させることができるものである。メカニカルファスナーのループ材としては、織布、不織布、フェルト、パイル等の繊維状の表面を有する素材を用いることができる。
【0029】
なお、熱エンボス加工によって固定部を形成する場合、男性用尿パッドの長手方向に向かって、断続的に固定部を配置することが好ましい。即ち、上述した第二の態様の固定部とすることが好ましい。このように構成することによって、連続的に(全面的に)配置した場合に比べて固定部の長さを容易に調節することができるという利点がある。即ち、断続的に配置された固定部を剥離する数によって、段階的に固定部の長さを決定することができるためである。
【0030】
ここで、「剥離可能」とは、人間の力で容易に剥離可能な程度に、かつ、剥離した際に吸収性本体が破れ、穴開き等の破損が生じない程度の力で、折り重なっている部分を固定していることを意味する。このような剥離力で固定している限り、固定方法は特に限定されないが、例えば、ホットメルト接着剤による接着、熱エンボス加工、超音波溶着等の、極めて弱い溶着または圧着等の方法を挙げることができる。
【0031】
固定部の形状は、図1に示すような矩形状である場合に限らず、例えば、円形状、楕円形状、三角形状、多角形状、ライン状、ドット状などとすることができる。
【0032】
襞の数は、特に制限はなく、襞の幅などによって適宜選択することができる。
【0033】
図1に示す男性用尿パッド100は、形成される襞状部が互いに重ならないように、矩形状の吸収性本体10aを折り重ねて2つの襞を形成したものであり、折り重なっている部分の一部に固定部20aを配置したものである。また、図4に示す男性用尿パッド102は、形成される襞状部が互いに重ならないように、矩形状の吸収性本体10cを折り重ねて4つの襞を形成したものであり、折り重なっている部分の一部に固定部20cを配置したものである。
【0034】
なお、図4に示す男性用尿パッド102は、4つの襞状部のうち、中央に位置する2つの襞状部の一方の端部側に位置する固定部20c1(20c)の、男性用尿パッド102の中央に近い方の固定端の位置が、他方の端部側に位置する固定部20c2(20c)の、男性用尿パッド102の中央に近い方の固定端の位置に比べて、男性用尿パッド102の中央に位置している。このような男性用尿パッドは、袋状に形成した際に、固定部20c2側の方が膨らみが大きくなる。即ち、着用者の股下部側において尿漏れ防止のために形成される凹状の空間の深さが相対的に深くなる。そのため、性器のおさまりが良くなるという利点がある。
【0035】
[1−2]伸縮材:
本発明の男性用尿パッドは、吸収体の長手方向の少なくとも一方の端部側に、吸収体の短手方向に沿って伸縮材が配置されていることが好ましい。このように伸縮材を配置することによって、男性用尿パッドの長手方向の少なくとも一方の端部側を収縮させることができる。そして、この伸縮材によって男性用尿パッドの長手方向の一方の端部側を収縮させると、収縮させた側に更に十分な奥行き(凹状の空間)が得られる。そのため、男性用尿パッドを、収縮させた側が着用者の股下に位置するように着用者に宛がうと、装着感を更に向上させることができる。
【0036】
伸縮材としては、従来の使い捨ておむつなどで使用されてきた伸縮材を好適に用いることができる。具体的には、天然ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性材からなる糸ゴム、平ゴムの他、伸縮性ネット、伸縮性フィルム、伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)等を挙げることができる。
【0037】
伸縮材は、吸収性本体のトップシート側の表面、バックシート側の表面、これらの両方、または、トップシート及びバックシートによって挟み込むように配置されて固定されることが好ましい。これらの中でも、トップシート及びバックシートによって挟み込むように配置されて固定することが好ましい。固定方法は特に制限はないが、例えば、ホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いた接着であってもよいし、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等による溶着であってもよい。
【0038】
伸縮材は、吸収性本体を収縮させた状態に形成するため、固定に際して伸長させておくことが好ましい。例えば、天然ゴムや合成ゴムの伸縮材を用いる場合には、120〜400%の伸長状態で固定することが好ましく、200〜300%の伸長状態で固定することがより好ましい。このような範囲の伸長状態で固定することにより、男性用尿パッドの装着感を向上させることができる。
【0039】
図3は、本発明の男性用尿パッドの別の実施形態を示す平面図であり、男性用尿パッド101の長手方向の一方の端部22側に、吸収体の短手方向に沿って2本の伸縮材25が配置され、この伸縮材25によって一方の端部22が収縮された状態を示している。
【0040】
[1−3]摘み部:
本発明の男性用尿パッドは、吸収体の短手方向の両端部側に、吸収体の短手方向の外方に突出する摘み部を有するものであることが好ましい。このような摘み部を有することによって、折り重ねられた部分を展開させる際に、即ち、男性用尿パッドを袋状に形成する際に、使用者が男性用尿パッドを確実に掴むことができる。また、折り重なっている部分を容易に広げることができるという利点がある。
【0041】
摘み部は、吸収体の短手方向の外方に突出するものである限り特に制限はないが、その形状は、例えば、略台形状、正方形状、長方形状、半円形状などを挙げることができる。また、摘み部の位置は、吸収体の短手方向の端部の中央であっても良いし、長手方向の端部側に偏在していてもよい。例えば、図5に示す男性用尿パッド103は、吸収体11の短手方向の両端部側に、吸収体11の短手方向の外方に突出し、吸収性本体と一体の略台形状の摘み部15を有し、この摘み部15が、吸収体11の短手方向の両端部の中央よりも一方の端部側に偏在しているものを例示している。なお、図5は、バックシート13を透明にして吸収体11を破線で示している。
【0042】
なお、図4に示す男性用尿パッド102のように、4つの襞状部を有し、襞状部の一方の端部側に位置する固定部20c1(20c)の、男性用尿パッド102の中央に近い方の固定端の位置が、他方の端部側に位置する固定部20c2(20c)の、男性用尿パッド102の中央に近い方の固定端の位置に比べて、男性用尿パッド102の中央に位置する固定部20cを有している男性用尿パッドに摘み部を形成する場合には、男性用尿パッド102の中央よりも固定部20c2側に摘み部を偏在させることが好ましい。このような構成によると、平面状の男性用尿パッドを容易に袋状に形成することができるという利点がある。
【0043】
摘み部は、吸収性本体と一体であってもよいし、吸収性本体と別のシートを用いてもよい。吸収性本体と別のシートを用いる場合、別のシートとしては、後述するバックシートと同様の材料のものを用いることができる。また、別のシートを吸収性本体に接合する方法は、特に制限はないが、接着剤を用いる方法、ヒートシール、超音波シール等の熱融着による方法などを挙げることができる。なお、摘み部の大きさ(面積)は、摘み部の形状などによって適宜選択することができる。
【0044】
[1−4]吸収体:
吸収体は、着用者の尿を吸収し、保持するための部材である。吸収体は、着用者の尿を吸収し保持する必要があるため、吸収性材料によって構成される。
【0045】
吸収体を構成する吸収性材料としては、通常の使い捨ておむつや男性用尿パッドに使用されるものを好適に使用することができる。具体的には、フラッフパルプ、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す)、親水性シート等を挙げることができる。フラッフパルプとしては、例えば、木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したものを用いることが好ましい。また、SAPとしては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムを用いることが好ましい。親水性シートとしては、例えば、ティシュ、吸収紙、親水化処理を行った不織布を用いることが好ましい。また、吸収体の型崩れ対策として、熱融着繊維等の合成繊維を含んだものであってもよい。
【0046】
これらの吸収性材料は、通常、単層ないしは複層のマット状として用いられる。この際、上述した吸収性材料のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、フラッフパルプ100質量部に対して、10〜500質量部程度のSAPを併用したものが好ましい。この際、不織布や吸水紙の表面にSAPを固定し、または複数の不織布や吸水紙の層間にSAPを挟持するように固定したシート状にして用いること(いわゆるSAPシートを用いること)ができる。
【0047】
また、吸収体としては、エアレイド法で成形されたパルプマット(マット状のフラッフパルプ)中に、シート化されたSAPを組み込んだシート状のもの(例えば、王子キノクロス社製の商品名「TDS不織布」などを挙げることができる。)、エアレイド法で成形されるパルプマットの中層にSAPを組み込んだシート状のもの(例えば、王子キノクロス社製の商品名「B−SAP」などを挙げることができる。)等を挙げることができる。
【0048】
吸収体は、トップシートとバックシートの間の少なくとも一部に介装されることが好ましい。通常、吸収体は、トップシートとバックシートの間に挟み込まれ、その周縁部が封着されることによって、トップシートとバックシートの間に介装される。従って、吸収体の周縁部にはトップシートとバックシートの間に吸収体が介装されていないフラップ部分が形成されることになる。
【0049】
吸収体は、その全体が親水性シートによって包み込まれていることが好ましい。このような構成は、吸収体からSAPが漏洩することを防止し、吸収体に形状安定性を付与することができるという利点がある。
【0050】
吸収体の形状は、特に制限はなく、通常の使い捨ておむつや男性用尿パッドにおいて使用される形状、例えば、矩形状、砂時計状、ひょうたん状、T字状等を挙げることができる。これらの中でも、砂時計状であることが好ましい。吸収体を砂時計状とすると、本発明の男性用尿パッドを使用するために袋状に形成する場合に、男性用尿パッドの長手方向長さの略中央部分、即ち、砂時計状のくびれ部分で容易に二つ折りにすることができ、男性器を収納するための空間が容易に形成されるという利点がある。
【0051】
なお、吸収体には、その上面側に(例えば、吸収体とトップシートとの間に)、尿を拡散させるためのシート(セカンドシート)を付帯的に配置してもよい。このセカンドシートを付設すると、排尿量が多い場合や複数回の排尿により吸収体に多くの尿が吸収された状態で更に排尿があった場合などでも、尿や体液等の吸収速度が低下し難く、吸収速度の低下による尿や体液等の漏れを防止することが可能となる。
【0052】
セカンドシートを構成する材料としては、親水性で液透過性の材料、例えば、織布、不織布、多孔性プラスチック、フラッフパルプ等を挙げることができる。これらの構成素材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、レーヨン、パルプ、或いはこれらの複合繊維等を挙げることができる。パルプとしては、カーリーセルロースファイバー等のけん縮繊維を好適に用いることができる。
【0053】
[1−5]トップシート:
トップシートは、吸収体の上面、即ち、男性用尿パッドの装着時において着用者の肌側に位置する面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるものである。そして、トップシートの、液透過性材料からなる部分は、吸収体に接触している部分の少なくとも一部(全部または一部)であることが好ましい。このようにトップシートの少なくとも一部(全部または一部)が液透過性材料から構成されることによって、液透過性材料部分から尿を透過させることができ、透過させた尿を吸収体に吸収させることができる。
【0054】
トップシートの形状は、特に制限はなく、例えば、矩形状、楕円形状等を挙げることができる。
【0055】
トップシートを構成する液透過性材料としては、例えば、織布、不織布、多孔性フィルム等を挙げることができる。これらの中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を行ったものを用いることが好ましい。不織布の種類についても特に制限はなく、エアースルー(カード熱風)、カードエンボス、スパンボンド等の各種製法によって製造された従来公知の不織布を好適に用いることができる。
【0056】
また、トップシートは単一のシート材によって構成されていてもよいが、複数のシート材によって構成されていてもよい。複数のシート材によって構成する場合、例えば、男性用尿パッドの中央部(吸収体が配置されている位置)には液透過性材料からなるシート(センターシート)を配置し、男性用尿パッドのサイドフラップ部分には撥水性材料からなるシート(サイドシート)を配置する形態を挙げることができる。
【0057】
[1−6]バックシート:
バックシートは、吸収体の下面、即ち、男性用尿パッドの装着時において着用者の着衣側に位置する面を被覆するように配置されるシートである。バックシートは、着用者の尿が男性用尿パッド外部に漏洩してしまうことを防止するために、液不透過性材料によって構成されるものである。
【0058】
バックシートを構成する液不透過性材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができる。これらの中でも、ムレが改善され、快適な着用感が得られるため、微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムに形成された多数の微細な孔の直径は、0.1〜数μmであることが好ましい。
【0059】
なお、バックシートには、その下面(外表面)側にシート材(カバーシート)を貼り合わせてもよい。このカバーシートを用いると、バックシートが補強され、バックシートの手触り(触感)が良好になるという利点がある。
【0060】
カバーシートを構成する材料としては、例えば、織布、不織布等を挙げることができる。これらの中でも、熱可塑性樹脂からなる不織布を用いることが好ましい。不織布の種類についても特に制限はなく、エアースルー(カード熱風)、カードエンボス、スパンボンド等の各種製法によって製造された従来公知の不織布を好適に用いることができる。
【0061】
また、本発明の男性用尿パッドは、バックシートの吸収体とは反対側の面の一部に、接着部が配置されていることが好ましい。この接着部は、衣類やおむつに男性用尿パッドを着脱可能に接着させて固定するためのものである。このような接着部を配置することによって、装着後、男性用尿パッドの位置がズレてしまうことを防止することができる。接着部としては、粘着テープ、メカニカルファスナー、ホットメルト等を挙げることができる。
【0062】
接着部の大きさや配置する位置については、男性用尿パッドを衣類やおむつ等の内面に固定することができ、男性用尿パッドの位置ズレを防止することができる程度の結合力が得られるものであれば特に制限はなく、例えば、図1に示す本実施形態の男性用尿パッド100は、バックシート13の吸収体11とは反対側の面の、男性用尿パッド100の短手方向の両端部側に、男性用尿パッド100の長手方向に沿うように、粘着テープからなる接着部26を配置している例である。このように接着部を配置することによって、男性用尿パッドの装着時に、男性用尿パッドの位置がズレてしまうことを防止することができ、特に鉛直方向下方に位置がズレることを効果的に防止することができるという利点がある。
【0063】
[2]男性用尿パッドの製造方法:
本発明の男性用尿パッドは、例えば、トップシート、バックシート及び吸収体からなる吸収性本体を製造し、この吸収性本体の所定の位置を折り重ねて互いに重ならないような襞を形成し、その後、折り重ねられた部分の所定の位置に固定部を配置することにより製造することができる。以下、具体的に説明する。
【0064】
まず、親水性シートに包まれた矩形状の吸収体と、この吸収体の面積よりも大きな面積の、中央部が液透過性材料からなるトップシートと、トップシートと同様の面積の液不透過性材料からなるバックシートとを用意する。
【0065】
次に、バックシートの上面に上記吸収体を配置するとともに、バックシートの上面に配置した吸収体の上面を被覆するようにトップシートを配置する。次いで、吸収体の周縁部を封着して吸収性本体を製造する。
【0066】
次に、吸収性本体のうち、吸収体の短手方向の両端部よりも外側の部分を、吸収体の長手方向に沿って折り曲げて襞を形成する。その後、折り重ねられた部分の所望の位置に、例えば、粘着テープからなる固定部を配設する。このようにして男性用尿パッドを製造することができる。なお、粘着テープやメカニカルファスナーなどの固定部は、折り重ねられた部分となる位置に予め配設しておくこともできる。
【0067】
この一連の工程は、機械的な手段によって連続的に行うことが可能である。機械的な手段によって連続的に行うと、生産性を向上させることができる。
【0068】
[3]男性用尿パッドの使用方法:
本発明の男性用尿パッドを装着する場合には、まず、平面状の男性用尿パッドの中央部をトップシート側からバックシート側に押し込み、男性用尿パッドの折り重ねられた部分を展開させて図6に示すような立体状(袋状)にする。このとき、折り重ねられた部分に配置された固定部によって、折り重ねられた部分の一部が展開されなくなるため、男性用尿パッドを容易に袋状に形成することができる。次に、袋状に形成した男性用尿パッドの内側の空間に男性器を納める。その後、男性器の大きさ、位置に合わせて固定部の一部を剥離して、男性用尿パッドを男性器に適した形に調節する。なお、図6は、図1に示す男性用尿パッド100の使用時の状態を示す斜視図である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の男性用尿パッドは、乳幼児や、高齢者・障害者等の成人男性用の尿パッドとして好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の男性用尿パッドの一の実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示す男性用尿パッドのX−X’断面を示す模式図である。
【図3】本発明の男性用尿パッドの別の実施形態を示す平面図である。
【図4】本発明の男性用尿パッドの別の実施形態を示す平面図である。
【図5】本発明の男性用尿パッドの別の実施形態を示す斜視図である。
【図6】図1に示す男性用尿パッドの使用時の状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の男性用尿パッドの別の実施形態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0071】
10a,10b,10c:吸収性本体、11:吸収体、12:トップシート、13:バックシート、15:摘み部、20a,20b,20c,20c1,20c2,20d1,20d2,20d3,20e:固定部、22:一方の端部、25:伸縮材、26:接着部、100,101,102,103,104:男性用尿パッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収体、前記吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート、及び、前記吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートを有する吸収性本体を備え、
前記吸収性本体を前記吸収体の長手方向に沿って折り重ねて形成されるものであり、
前記吸収性本体が折り重なっている部分の、少なくとも前記吸収体の長手方向の一方の端部またはその近傍を含む領域に位置し、前記折り重なっている部分を固定する固定部を有する男性用尿パッド。
【請求項2】
前記固定部は、少なくとも一部が剥離可能である請求項1に記載の男性用尿パッド。
【請求項3】
前記吸収体の長手方向の少なくとも一方の端部側に、前記吸収体の短手方向に沿って伸縮材が配置されている請求項1または2に記載の男性用尿パッド。
【請求項4】
前記吸収体の短手方向の両端部側に、前記吸収体の短手方向の外方に突出する摘み部を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の男性用尿パッド。
【請求項5】
前記固定部を、前記吸収体の長手方向の両方の端部またはその近傍を含む領域に有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の男性用尿パッド。
【請求項6】
前記バックシートの前記吸収体とは反対側の面の一部には、接着部が配置されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の男性用尿パッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−22776(P2010−22776A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191307(P2008−191307)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】