説明

男性用尿吸収物品

【課題】簡単かつ迅速に装着でき、男性用尿吸収物品の位置ずれ及び挿入された陰茎の抜けを有効に防止できるとともに、股下部での尿漏れを有効に防止できる男性用尿吸収物品を提供する。
【解決手段】この男性用尿吸収物品1は、少なくとも一部の領域が透液性を有する内装材2と、不透液性を有する外装材3と、それらの間に挟み込まれた吸収部材とを備えており、折り畳み部31にて二つ折りにされ、重ね合わされた短尺部32及び長尺部33における幅方向の両側の縁部同士がサイド接合部34,35により接合され、これによって着用者の陰茎が挿入される略袋状の袋部36が形成されている。長尺部33における袋部36から張り出している部分は、この男性用尿吸収物品1の着用時に着用者の股下部を前側から後側に通される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、男性用尿吸収物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の男性用尿吸収物品としては、特許文献1に記載のものがある。この特許文献1に記載の男性用尿吸収物品では、内装材と外装材との間に吸収部材を挟み込んでなる男性用尿吸収物品をその長手方向の中央部で二つ折りにし、互いに対向する左右両側の縁部を接着テープで接着することにより、略袋状の形態が得られる。着用時には、その袋状の形態の男性用尿吸収物品の内部に開口部から陰茎が挿入され、その男性用尿吸収物品の上からおむつ等が装着される(例えば、図5〜図9参照)。なお、他の従来技術としては、例えば特許文献2,3に記載のものがある。
【特許文献1】実用新案登録第3087750号公報
【特許文献2】特開2007−89778号公報
【特許文献3】特開2007−89779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の男性用尿吸収物品では、着用時に主に着用者の前側に配置される構成であり、例えば、男性用尿吸収物品の一部を着用者の股下部を前側から後側に通すような構成になっていない。このため、使用時に男性用尿吸収物品の位置ずれ、及び、男性用尿吸収物品からの陰茎の抜け等が生じやすい。また、股下部での尿漏れも生じやすい。
【0004】
また、上述の特許文献1では、使用時に介護者が男性用尿吸収物品を2箇所で折り畳んで接着テープで接着して略袋状の形態を作る作業が必要であり、装着作業に手間がかかり、介護者の負担が大きい。
【0005】
そこで、本発明の解決すべき課題は、簡単かつ迅速に装着でき、男性用尿吸収物品の位置ずれ及び挿入された陰茎の抜けを有効に防止できるとともに、股下部での尿漏れを有効に防止できる男性用尿吸収物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明では、少なくとも一部の領域が透液性を有する内装材と、不透液性を有する外装材と、前記内装材と前記外装材との間に挟み込まれた吸収部材とを備えた男性用尿吸収物品であって、前記男性用吸収物品の長手方向の中心から一方側にずれた位置に設けられ、前記男性用尿吸収物品の折り畳み位置を規定する折り畳み部と、前記男性用尿吸収物品の前記折り畳み部から前記長手方向の前記一方側の部分からなり、着用者の肌面側に配置される短尺部と、前記男性用尿吸収物品の前記折り畳み部から前記長手方向の他方側の部分からなり、前記短尺部に対して外面側に配置される長尺部と、重ね合わされた前記短尺部及び前記長尺部における前記長手方向と直交する幅方向の両側の縁部同士を、前記長手方向に沿って接合するサイド接合部とを備え、前記サイド接合部によって前記幅方向の縁部同士が接合された前記短尺部と前記長尺部の前記短尺部と対向する部分とによって、着用者の陰茎が挿入される略袋状の袋部が形成され、前記長尺部における前記袋部から前記長手方向に張り出している部分は、この男性用尿吸収物品の着用時に着用者の股下部を前側から後側に通される。
【0007】
また、請求項2の発明では、請求項1の発明に係る男性用尿吸収物品において、前記内装材は、前記長尺部及び前記短尺部の前記長手方向に沿った全区間のうち、前記長尺部における前記袋部から前記長手方向に張り出している区間の少なくとも一部において、前記幅方向の両側に前記長手方向に沿って設けられ、前記幅方向の内方側が自由端部となっている左右一対の帯状シート材と、前記帯状シート材の前記自由端部又はその近傍に前記長手方向に沿って伸張された状態で付与され、その収縮力により前記帯状シート材の前記自由端部を起立させる弾性部材とを備える。
【0008】
また、請求項3の発明では、請求項1又は請求項2の発明に係る男性用尿吸収物品において、前記サイド接合部にて、前記短尺部及び前記長尺部における前記幅方向の両側の縁部同士が溶着されている。
【0009】
また、請求項4の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る男性用尿吸収物品において、前記吸収部材は、前記幅方向に間隔をあけ、前記長手方向に沿って配置された長尺状の複数の吸収コアを備える。
【0010】
また、請求項5の発明では、請求項1ないし請求項4のいずれかの発明に係る男性用尿吸収物品において、前記内装材と前記吸収部材との間に配置され、尿を吸収する吸収シートをさらに備え、前記吸収シートは、2枚の透液性シート材、及びその2枚の透液性シート材の間に挟み込まれた高分子吸収体を備える。
【0011】
また、請求項6の発明では、請求項1ないし請求項5のいずれかの発明に係る男性用尿吸収物品において、前記短尺部は、前記長手方向について前記折り畳み部と反対側において、前記幅方向に沿って略直線状に連なる縁部を備える。
【0012】
また、請求項7の発明では、請求項1ないし請求項6のいずれかの発明に係る男性用尿吸収物品において、前記外装材は、前記吸収部材に面して配置される樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムの外面に貼り合わされた不織布とを備える。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、男性用尿吸収物品の長尺部における袋部から長手方向に張り出している部分が、男性用尿吸収物品の着用時に着用者の股下部を前側から後側に通されるため、着用状態における男性用尿吸収物品の位置ずれ、及び袋部に挿入された陰茎の抜けを有効に防止できる。
【0014】
また、予めサイド接合部によって男性用尿吸収物品の幅方向の両側の縁部が接合されて袋部が形成されているため、着用時に男性用尿吸収物品の両側の縁部の接合作業を行う必要がなく、簡単かつ迅速に装着できる。
【0015】
また、男性用尿吸収物品の袋部に着用者の陰茎が挿入されるため、着用者が横になっているときに(例えば、上向き又は横向きにで横になっているときに)、尿が腹側から漏れるのを効果的に防止できる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、長尺部及び短尺部の長手方向に沿った全区間のうちの少なくとも長尺部における袋部から長手方向に張り出している区間の少なくとも一部に、左右一対の帯状シート材及び弾性部材により所謂立体サイドギャザーが設けられている。このため、この立体サイドギャザーにより、着用者の尿が股下部等にて男性用尿吸収物品の左右の縁部から漏れるのを有効に防止できる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、男性用尿吸収物品の短尺部及び長尺部における幅方向の両側の縁部同士がサイド接合部にて溶着されているため、短尺部と長尺部とを隙間無く接合でき、袋部からサイド接合部を介して尿がしみ出すのを確実に防止できる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、吸収部材が、幅方向に間隔をあけ、長手方向に沿って配置された長尺状の複数の吸収コアを備えているため、男性用尿吸収物品の肌面側表面から導入された尿を、各吸収コアにその肌面側表面から吸収させるとともに、吸収コア間の隙間部により尿を迅速に拡散させつつ広い範囲の吸収コアを利用して迅速に吸収させることができる。その結果、尿を迅速に吸収して尿漏れが生じるのを有効に防止できる。また、複数の吸収コアが幅方向に間隔をあけて配置されているため、吸収コアが尿を吸収して膨張した場合にも、吸収コア同士が密着して吸収コア間の隙間を介した尿の拡散が阻害されることがない。
【0019】
また、吸収部材が、幅方向に間隔をあけ、長手方向に沿って配置された長尺状の複数の吸収コアにより構成されているため、吸収部材の柔軟性が向上し、これによって、男性用尿吸収物品を着用者の股間に柔軟にフィットさせることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、高分子吸収体を備えた吸収シートが内装材と吸収部材との間に配置されるため、尿の拡散性が向上するとともに、尿の吸収容量を高めることができる。
【0021】
また、この吸収シートは水分を一旦吸収すると逃がさないため、吸収シートを吸収部材と内装材との間に配置することにより、吸収部材及び吸収シートにより一旦吸収された尿が内装材を介して男性用尿吸収物品の肌面側に戻るのを防止できる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、袋部の開口部を形成する短尺部の縁部が幅方向に沿って略直線状に連なっているため、男性用尿吸収物品が着用されたときに袋部から着用者の陰茎が抜けにくい。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、外装材の外面側に不織布が配置されているため、男性用尿吸収物品の肌触りがよくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は本発明の一実施形態に係る男性用尿吸収物品の肌面側から見た平面図であり、図2は図1のA−A線に沿った断面図であり、図3は図1の男性用尿吸収物品のサイド接合部での接合が行われる前の状態を示す平面図である。
【0025】
まず本実施形態に係る男性用尿吸収物品1を構成する部材について説明する。図1ないし図3に示すように、この男性用尿吸収物品1は、少なくとも一部の領域が透液性を有する内装材2と、不透液性を有する外装材3と、内装材2と外装材3との間に挟み込まれた吸収部材4と、内装材2と吸収部材4との間に配置され、尿を吸収する吸収シート5を備えている。このような男性用尿吸収物品1は、後述するサイド接合部34,35が接合される前は、シート状の形態を有するとともに、図3に示すように着用者の前後方向に対応する方向に延びた長尺状の形状を有している。なお、吸収シート5については、必須のものではなく、吸収部材4のみで十分な尿の吸収容量が確保できる場合には省略してもよい。
【0026】
内装材2は、トップシート11と、帯状シート材としての左右一対のサイドシート12,13とを備えている。トップシート11は、透液性のシート材料を用いて形成される。そのシート材料としては、例えば、親水性繊維(セルロース、レーヨン、コットン等)を用いた不織布材料、あるいは疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン(商標)等)の表面を界面活性剤により処理して透水性とした不織布材料、あるいは透孔を有するプラスチックフィルムなど、通常使い捨ておむつに使用される透液性のシート材料が用いられる。
【0027】
サイドシート12,13は、所謂立体サイドギャザーを形成するための部材であり、トップシート11の肌面側における幅方向Xの両側に長手方向Yに沿って接合されている。本実施形態では、このサイドシート12,13を男性用尿吸収物品1の長手方向Yに沿った全区間Lにおいて設けるようにしたが、その全区間Lのうち、後述する長尺部33における袋部36から長手方向Yに張り出している区間Laの少なくとも一部に設けてもよい。
【0028】
このようなサイドシート12,13は、その幅方向Xの内方側の部分がトップシート11から離反するように起立可能な自由端部12a,13aとなっている。そのサイドシート12,13の自由端部12a,13a又はその近傍には、長手方向Yに沿って伸張された状態で起立用の弾性部材14〜17が付与されている。そして、この弾性部材14〜17の収縮力により、サイドシート12,13の自由端部12a,13aがトップシート11から離反するように起立する。これによって、着用者の尿が股下部等にて男性用尿吸収物品1の左右の縁部から漏れるのが有効に防止される。
【0029】
サイドシート12,13は、例えば不透液性のシート材料が用いられる。そのシート材料としては、例えば撥水性不織布材料(スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、SMS不織布等)が用いられる。また、弾性部材14〜17には、一般に使い捨ておむつに使用される弾性伸縮材料(ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等)が用いられる。
【0030】
外装材3は、吸収部材4等で吸収された尿が外側にしみ出すのを防ぐため、撥水性のシート材料又は液不透過性のシート材料を用いて形成される。例えば、通常使い捨ておむつに使用される撥水性不織布材料(スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、SMS不織布等)、あるいはプラスチックフィルム(通気性のものでも、非通気性のものでもよいが、より快適な態様としては通気性プラスチックフィルムが望ましい)、あるいはそれらを貼り合わせたものが用いられる。本実施形態では、外装材3は、通気性プラスチックフィルムと、その通気性プラスチックフィルムの外面側に貼り合わされた不織布(例えば撥水性不織布)によって構成されている。
【0031】
吸収部材4は、幅方向Xに間隔をあけ、長手方向Yに沿って配置された長尺状の複数の吸収コア21,22を備えている。本実施形態では、左右一対の吸収コア21,22が用いられている。各吸収コア21,22は、粉砕したパルプ繊維、セルロース繊維又はそれらの混合物などからなる親水性繊維集合層に、粒状の高分子吸収体を混合してなる塊と、その塊を包む透液性の被覆シート(例えば、ティッシュペーパーなどの紙シート、又は透液性不織布シートなど)を備えて構成されている。
【0032】
吸収シート5は、図4に示すように、2枚の透液性シート材23,24、及びその2枚の透液性シート材23,24の間に挟み込まれた高分子吸収体25を備えて構成され、薄いシート状の形態を有している。2枚のシート材23,24の内面側には、接合用のホットメルト接着剤26,27が付与されている。また、吸収シート5の複数の接合部28では、溶着(加熱溶着又は超音波溶着)による接合が行われている。なお、透液性シート材23,24としては、例えばティッシュペーパー又は透液性不織布(エアスルー不織布又はスパンレース不織布等)が用いられる。
【0033】
次に、完成品であるサイド接合部34,35が接合された男性用尿吸収物品1の構成について説明する。
【0034】
男性用尿吸収物品1は、折り畳み部31と、短尺部32と、長尺部33と、サイド接合部34,35を備えている。折り畳み部31は、この男性用尿吸収物品1の長手方向Yの中心から一方側にずれた位置に設けられ、男性用尿吸収物品の折り畳み位置を規定する。短尺部32は、男性用尿吸収物品1の折り畳み部31から長手方向Yの一方側に位置する部分からなり、折り畳み部31で矢印Bで示すように折り返されて着用者の肌面側に配置される。長尺部33は、男性用尿吸収物品1の折り畳み部31から長手方向Yの他方側に位置する部分からなり、短尺部32に対して外面側に配置される。
【0035】
そして、折り畳み部31にて二つ折りにされて重ね合わされた短尺部32及び長尺部33における幅方向Xの両側の縁部同士が溶着(加熱溶着又は超音波溶着)により接合されている。この接合部をサイド接合部34,35と称する。
【0036】
このようにサイド接合部34,35によって左右両側の縁部同士が接合された短尺部32と、長尺部33の短尺部32と対向する部分(袋形成部33a)とによって、着用者の陰茎が挿入される略袋状の袋部36が形成される。
【0037】
また、長尺部33における袋部36から長手方向Yに張り出している部分(張出部33b)は、この男性用尿吸収物品1の着用時に着用者の股下部を前側から後側に通されるようになっている。このためこの張出部33bの長手方向Yの張出寸法は、張出部33bを着用者の股下部を通すのに十分な値に設定されている。
【0038】
また、短尺部32の長手方向Yについて折り畳み部31と反対側の縁部32aは、幅方向Xに沿って略直線状に連なっている。
【0039】
次に図5及び図6を参照して、この男性用尿吸収物品1の着用者への装着方法について説明する。まず、この男性用尿吸収物品1の袋部36の開口部36aを開き、図5の矢印Cで示すように、着用者の陰茎を袋部36内に上向きに挿入する。続いて、長尺部33の張出部33bを着用者の股下部に前側から後側へ通す。これによって、例えば張出部33bの長手方向Yにおける区間Lcが着用者の左右の脚によって挟み込まれる。続いて、図6に示すように、男性用尿吸収物品1の上から使い捨ておむつ(又はパンツ型の使い捨て吸収物品)41が装着される。
【0040】
以上のように、本実施形態によれば、男性用尿吸収物品1の長尺部33における袋部36から長手方向Yに張り出している張出部33bが、男性用尿吸収物品1の着用時に着用者の股下部を前側から後側に通されて股下部に挟み込まれる。このため、着用状態における男性用尿吸収物品1の位置ずれ、及び袋部36に挿入された陰茎の抜けを有効に防止できる。
【0041】
また、予めサイド接合部34,35によって男性用尿吸収物品1の幅方向Xの両側の縁部が接合されて袋部36が形成されているため、着用時に男性用尿吸収物品1の両側の縁部の接合作業を行う必要がなく、簡単かつ迅速に装着できる。
【0042】
また、男性用尿吸収物品1の袋部36に着用者の陰茎が挿入されるため、着用者が横になっているときに(例えば、上向き又は横向きにで横になっているときに)、尿が腹側から漏れるのを効果的に防止できる。
【0043】
また、長尺部33及び短尺部32の長手方向Yに沿った全区間Lのうちの少なくとも長尺部33における袋部36から長手方向Yに張り出している区間La(張出部33b)の少なくとも一部(本実施形態では張出部33bのほぼ全長)に、サイドシート12,13及び弾性部材14〜17により立体サイドギャザーが設けられている。このため、この立体サイドギャザーにより、着用者の尿が股下部等にて男性用尿吸収物品1の左右の縁部から漏れるのを有効に防止できる。さらに、本実施形態では、袋部36を構成する短尺部32及び長尺部33の袋形成部33aにも立体サイドギャザーが設けられているため、より高い尿漏れ防止機能が得られている。
【0044】
また、男性用尿吸収物品1の短尺部32及び長尺部33における幅方向Xの両側の縁部同士がサイド接合部34,35にて溶着(加熱溶着又は超音波溶着)されているため、短尺部32と長尺部33とを隙間無く接合でき、袋部36からサイド接合部34,35を介して尿がしみ出すのを確実に防止できる。
【0045】
また、吸収部材4として、幅方向Xに間隔をあけて配置された複数(例えば、2つ)の吸収コア21,22を備えているため、男性用尿吸収物品1のトップシート11を介して導入された尿を、各吸収コア21,22にその肌面側表面から吸収させるとともに、吸収コア21,22間の隙間部20により尿を長手方向Yに迅速に拡散させつつ広い範囲の吸収コア21,22を利用して迅速に吸収させることができる。その結果、尿を迅速に吸収して尿漏れが生じるのを有効に防止できる。また、吸収コア21,22が幅方向Xに間隔をあけて配置されているため、吸収コア21,22が尿を吸収して膨張した場合にも、吸収コア21,22同士が密着して吸収コア21,22間の隙間部20を介した尿の拡散が阻害されることがない。
【0046】
また、吸収部材4が、幅方向Xに間隔をあけ、長手方向Yに沿って配置された長尺状の複数の吸収コア21,22により構成されているため、吸収部材4の柔軟性が向上し、これによって、男性用尿吸収物品1を着用者の股間に柔軟にフィットさせることができる。
【0047】
また、高分子吸収体25を備えた吸収シート5が内装材2と吸収部材4との間に配置されるため、尿の拡散性が向上するとともに、尿の吸収容量を高めることができる。
【0048】
また、この吸収シート5は水分を一旦吸収すると逃がさないため、吸収シート5を吸収部材4と内装材2との間に配置することにより、吸収部材4及び吸収シート5により一旦吸収された尿が内装材2を介して男性用尿吸収物品1の肌面側に戻るのを防止できる。
【0049】
また、袋部36の開口部36aを形成する短尺部32の縁部32aが幅方向Xに沿って略直線状に連なっているため、男性用尿吸収物品1が着用されたときに袋部36から着用者の陰茎が抜けにくい。
【0050】
また、外装材3がプラスチックフィルムと不織布とが貼り合わされて構成され、不織布が外面側に配置されているため、男性用尿吸収物品1の肌触りがよくなる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態に係る男性用尿吸収物品の肌面側から見た平面図である。
【図2】図1のA−A線に沿った断面図である。
【図3】図1の男性用尿吸収物品のサイド接合部での接合が行われる前の状態を示す平面図である。
【図4】図1の男性用尿吸収物品に用いられる吸収シートの断面図である。
【図5】図1の男性用尿吸収物品を着用者に装着するときの状態を示す斜視図である。
【図6】図1の男性用尿吸収物品の使用形態を説明するための図である。
【符号の説明】
【0052】
1 男性用尿吸収物品、2 内装材、3 外装材、4 吸収部材、5 吸収シート、11 トップシート、12,13 サイドシート、14〜17 弾性部材、20 隙間部、21,22 吸収コア、23,24 透液性シート材、25 高分子吸収体、26,27 ホットメルト接着剤、28 接合部、31 折り畳み部、32 短尺部、32a 縁部、33 長尺部、33a 袋形成部、33b 張出部、34,35 サイド接合部、36 袋部、36a 開口部、41 使い捨ておむつ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部の領域が透液性を有する内装材と、不透液性を有する外装材と、前記内装材と前記外装材との間に挟み込まれた吸収部材とを備えた男性用尿吸収物品であって、
前記男性用吸収物品の長手方向の中心から一方側にずれた位置に設けられ、前記男性用尿吸収物品の折り畳み位置を規定する折り畳み部と、
前記男性用尿吸収物品の前記折り畳み部から前記長手方向の前記一方側の部分からなり、着用者の肌面側に配置される短尺部と、
前記男性用尿吸収物品の前記折り畳み部から前記長手方向の他方側の部分からなり、前記短尺部に対して外面側に配置される長尺部と、
重ね合わされた前記短尺部及び前記長尺部における前記長手方向と直交する幅方向の両側の縁部同士を、前記長手方向に沿って接合するサイド接合部と、
を備え、
前記サイド接合部によって前記幅方向の縁部同士が接合された前記短尺部と前記長尺部の前記短尺部と対向する部分とによって、着用者の陰茎が挿入される略袋状の袋部が形成され、
前記長尺部における前記袋部から前記長手方向に張り出している部分は、この男性用尿吸収物品の着用時に着用者の股下部を前側から後側に通されることを特徴とする男性用尿吸収物品。
【請求項2】
請求項1に記載の男性用尿吸収物品において、
前記内装材は、
前記長尺部及び前記短尺部の前記長手方向に沿った全区間のうち、前記長尺部における前記袋部から前記長手方向に張り出している区間の少なくとも一部において、前記幅方向の両側に前記長手方向に沿って設けられ、前記幅方向の内方側が自由端部となっている左右一対の帯状シート材と、
前記帯状シート材の前記自由端部又はその近傍に前記長手方向に沿って伸張された状態で付与され、その収縮力により前記帯状シート材の前記自由端部を起立させる弾性部材と、
を備えることを特徴とする男性用尿吸収物品。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の男性用尿吸収物品において、
前記サイド接合部にて、前記短尺部及び前記長尺部における前記幅方向の両側の縁部同士が溶着されていることを特徴とする男性用尿吸収物品。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の男性用尿吸収物品において、
前記吸収部材は、
前記幅方向に間隔をあけ、前記長手方向に沿って配置された長尺状の複数の吸収コアを備えることを特徴とする男性用尿吸収物品。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の男性用尿吸収物品において、
前記内装材と前記吸収部材との間に配置され、尿を吸収する吸収シートをさらに備え、
前記吸収シートは、2枚の透液性シート材、及びその2枚の透液性シート材の間に挟み込まれた高分子吸収体を備えることを特徴とする男性用尿吸収物品。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の男性用尿吸収物品において、
前記短尺部は、前記長手方向について前記折り畳み部と反対側において、前記幅方向に沿って略直線状に連なる縁部を備えることを特徴とする男性用尿吸収物品。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の男性用尿吸収物品において、
前記外装材は、
前記吸収部材に面して配置される樹脂フィルムと、
前記樹脂フィルムの外面に貼り合わされた不織布と、
を備えることを特徴とする男性用尿吸収物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−6019(P2009−6019A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−171566(P2007−171566)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】