説明

画像を安定させまた安定させた画像セクションを変位させるための安定化装置

画像取込装置の実際の調整(アライメント)と画像取込装置の目標とする調整との間の調整のズレを決定するためのデバイスを有し、また投影画像セクションに対する前記決定した調整のズレの影響を補償するための補償装置、通信装置、特に光学ディスプレイを有するフィルム・カメラ、写真カメラ、双眼鏡などのようなハンドヘルド画像取込装置の場合の、特に画像安定及び/又は安定化した画像セクション変位に対する安定化装置が、あらかじめ定義することができる調整のズレの値又は値の範囲に関する調整のズレを送るために設置されている。前記情報は、前記画像取込装置の向きを調整することにより、ユーザが前記調整のズレを所定の又は任意の値又は所定の値の範囲内に入れることができるように送られ、それにより特に目標とする画像の調整に影響を与える機能又は他の制御目的のための機能が、所定の値の範囲に割り当てられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが、画像を安定させ、及び/又は画像の運動経路を安定させ、必要に応じて、あらかじめプログラムされた運動経路シーケンスを安定させることができるようにする、例えば、フィルム・カメラ、双眼鏡、写真カメラなどのような画像取込装置又はシステム用の安定化装置を提供する。
【背景技術】
【0002】
複数の画像取込装置の場合には、パニング中に、個々の画像の場合のボケ、及び画像シーケンスの個々のフレームの望ましくない変位、又は画像の運動経路の不均一をできるだけ抑制すると有利である。このことは、特に、例えば、フィルム・カメラ及び双眼鏡のような画像シーケンスを取り込むハンドヘルド画像取込装置について言えることである。
【0003】
これについての従来技術の種々の解決方法は周知のものである。
それ故、とりわけ、フィルム撮影の場合には三脚が使用される。何故なら、今日まで三脚がボケのない画像のためのプロの要件を満たす唯一のものであるからである。三脚の欠点はそのサイズが大きく、重量が重いことである。それ故、すでに多年にわたって、安定化システムが画像取込装置、特に双眼鏡及びビデオ・カメラに内蔵されてきた。
【0004】
それ故、安定化システムが、画像取込装置のレンズに内蔵されるか、又はその上に設置されている。この安定化システムは、制御可能な光学素子により、その内部の画像をシフトし、焦点面内に投影することができる。光軸に対して横方向に移動することができるミラー、可変プリズム又はレンズは、制御可能な光学素子として使用されている。その変位は、画像取込装置の震えによる画像のシフトが補償されるように、運動センサにより制御される。これらのシステムは、化成皮膜上に記録するフィルム・カメラ用にも使用することができるという利点がある。
【0005】
さらに、例えば、ビデオ・カメラのような電子取込センサを備える画像取込装置の場合には、使用する画像セクションを選択することができる画像安定化システムを使用している。この画像セクション及び/又は全取込センサは、画像取込装置の震えによる画像のシフトを、センサ面内でできるだけ正確に追跡するように運動センサによりシフトされる。
【0006】
これらの光学式及び電子安定化システムは、本質的には同じ制御原理により作動する。所望の画像セクション又は画像セクションのシーケンスの所望の目標とする調整(アライメント)又は目標とする調整(アライメント)シーケンスは、画像取込装置の真の特定の実際の調整(アライメント)と比較され、それにより調整(アライメント)のズレが決定される。例えば、加速センサ、ジャイロスコープ・システム、角度測定デバイスなどを使用する非常に種々様々な解決方法は、調整(アライメント)のズレのこのような決定を技術的に行う周知のものである。特定の調整(アライメント)のズレによる所望の画像の詳細からの任意のズレは、上記補償装置のうちの1つにより補償される。
【0007】
光学式安定化システムも電子安定化システムも、この制御装置により、任意の望ましくない高い周波数の調整(アライメント)のズレを非常によく抑制する。しかし、原理の種々の理由から、例えば、ユーザが手でフィルム・カメラ又は双眼鏡を保持している場合にはいつでも、ユーザの不可避なゆっくりした揺れの動作による、特にユーザが起こす低い周波数の調整(アライメント)のズレをうまく抑制することができない。これらの遅い動きは少なくともある限界以上は補償することができない。何故なら、そうしなければ、画像取込装置の意図するパン動作中に、画像セクションの変位を行うことができないからである。従来の安定化システムは、ある限界を超える画像取込装置のゆっくりした動きが望ましくないものか、意図するものかをはっきりと区別する機能を有していない。
【0008】
現在までに周知のシステムのどれも、理想的な安定化システムのすべての要件を満たすことができない。設置場所が安定化している場合には、三脚だけで、完全にボケのない画像の詳細を撮影することができる。一方、完全な均一なパン動作を行うのは非常に難しい。何故なら、実際には、パン速度は、パン・レバー上の圧力の大きさに依存し、一方、操作する人は、もしかして自分が許容最大パン速度を超えているのかどうかについてフィードバックを受けていないからである。周知の光学式及び電子安定化システムは、望ましくない高い周波数の震えは非常によく抑制するが、これらシステムは、完全に動きがなく、ボケもない画像シーケンスを達成できないし、または、例えば水平方向のパンの場合に必要な運動経路の安定を行うことができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それ故、本発明の1つの目的は、とりわけ、例えば、ハンドヘルド画像取込装置によりパン動作を行うことができる場合に、望ましくないジッタ及び揺れ運動がない任意の持続時間内の完全に動きがなく、ボケのない画像シーケンス、及び/又は完全に均一な画像シフト運動を入手することができ、それによりユーザが、画像セクションをシフトすべきかどうか、いつ及びどのように行うべきかを制御することができる安定化装置を生成することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の通信装置を提供することにより、実際の調整(アライメント)と目標とする調整(アライメント)との間の調整(アライメント)のズレを、ユーザが画像取込装置の向きを調整することにより、例えば、調整(アライメント)のズレの値がほぼゼロになるように保持することができる。それ故、安定させた画像による、望ましくない及び気が付かない、さらにゼロからの調整(アライメント)のズレのゆっくりした偏差を避けることができる。従来の安定化装置の場合には、ユーザはこの調整(アライメント)のズレを認識することができず、画像取込装置を調整(アライメント)する際に対応する修正を行うことができなかった。そのため、ある位置のズレを超えた場合、画像がシフトするのを避けることができなかった。何故なら、安定化装置は、このような調整(アライメント)のズレを画像セクションの所望の変位としか解釈できなかったからである。
【0011】
一実施の形態の場合には、このような安定化装置は、(a)画像取込システムの実際の調整(アライメント)と、画像取込システムの目標とする調整(アライメント)との間の調整(アライメント)のズレを決定するコントローラと、投影画像セクション上で調整(アライメント)のズレを補償する補償装置とを含む。この場合、ディスプレイのような通信装置は、画像取込システムの向きを調整することにより、ユーザが調整(アライメント)のズレを所定の値又は所定の値の範囲に入れることができるように、あらかじめ定義することができる調整(アライメント)のズレの値又は値の範囲に対する調整(アライメント)のズレを通知する。
【0012】
さらに、調整(アライメント)のズレの偶発的なゆっくりした変動の振幅を、ユーザへの通信装置を通してのフィードバックにより、フィードバックがない他の場合よりも小さい本発明による値に制限することができる。このようにして、このような従来の安定化装置の効率をかなり改善することができる。さらに、従来の解決方法と比較した場合、安定化範囲が狭い安定化装置も使用することができる。
【0013】
また、例えば、音響のような種々の方法で、所定の値又は値の範囲に対する調整(アライメント)のズレの偏差を通知することができる。しかし、好適には、通信装置は、光学ディスプレイからなることが好ましい。
【0014】
それ故、ゼロ又は調整(アライメント)のズレの範囲の限界からの調整(アライメント)のズレの偏差は、例えば、ビューファインダの側面上に配置されている矢印により通知することができる。例えば、偏差の大きさは、矢印の輝度及び/又は色及び/又は点滅の頻度により表示することができる。このタイプのディスプレイは、特に双眼鏡の場合に望ましいことであるが、ビューファインダの画像を隠さないという利点を有する。
【0015】
都合のよいことに、特にフィルム・カメラの場合には、表示は、ビューファインダの画像上に位置する電子ディスプレイにより視覚的に行われる。視覚的ディスプレイは、ユーザが調整(アライメント)のズレを簡単により正確に制御することができ、本発明のプロのための用途の場合に望ましい、そのあらかじめ定義することができる調整(アライメント)のズレの値又は値の範囲と一緒に、いくつかのタイプの調整(アライメント)のズレをはっきりと表示することができるという利点を有する。より詳細に説明すると、少なくとも1つの機能が、目標とする画像位置に影響を与えるために、又は他の制御の目的のために、ズレの値の少なくとも1つの範囲に割り当てられる。
【0016】
従属請求項が本発明の有利な実施の形態について記述している。
安定化装置の1つの好ましい実施の形態によれば、光軸の目標とする調整(アライメント)及びその目標とする運動などのような目標とする画像セクションを画定しているパラメータを、アルゴリズムにより指定することができる。例えば、パン動作中の画像のフリーズ、等速運動、加速及び減速のような最も重要な安定化機能の場合、このアルゴリズムは、好適には、調整(アライメント)のズレが各機能に割り当てられたあらかじめ定義することができる調整(アライメント)のズレの範囲内に位置する場合には、調整(アライメント)のズレから完全に独立していることが好ましい。
【0017】
本明細書においては、「あらかじめ定義することができる」という用語、及び「あらかじめ設定した」及び「所定の」という用語を使用した場合には、これらの用語の範囲は、「固定状態に設定した」、「変えることができるように設定することができる」、「自動的に設定することができる」及び「ユーザによる」を含むことを意味することに留意されたい。それ故、これらの用語は、また、調整(アライメント)のズレの範囲が、ユーザの選択により、動作中固定状態に維持される可能性、又は自動的に維持される可能性を含んでいて、又は調整(アライメント)のズレの範囲が、この場合も自動的に又はユーザにより、使用中変更又は修正される可能性を含む。
【0018】
例えば、画像取込装置の調整(アライメント)類似の画像セクションをシフトする機能のような調整(アライメント)のズレの値を所定の目標とする調整(アライメント)に入れなければならない、それに割り当てられた機能及び調整(アライメント)のズレの範囲も存在する。
【0019】
さらに、ある機能に割り当てられた調整(アライメント)のズレの範囲を、自身の震え及び揺れによりユーザが起こした調整(アライメント)のズレの変動の振幅又は外乱の値の範囲より大きくあらかじめ設定すると有利であることが分かっている。それ故、「画像フリーズ」機能に割り当てられた調整(アライメント)のズレの範囲は、例えば、画像取込装置の光軸の目標とする調整(アライメント)に対して各方向において±2度であってもよい。この値は、ユーザによる光軸の通常の調整(アライメント)のズレの変動の振幅よりも若干大きい。
【0020】
この時点で、ユーザは、画像取込装置の対応する調整(アライメント)により、調整(アライメント)のズレを「画像フリーズ」機能に割り当てられたこの範囲に入れることにより、またそこに保持することにより、画像セクションを意図的にフリーズすることができる。ユーザはこのことを、通信装置を通してのフィードバック及び画像フリーズに対する調整(アライメント)のズレの範囲の広さにより、任意の持続時間中容易に行うことができる。例えば、光軸の目標とする調整(アライメント)データのような目標とする調整(アライメント)データを、調整(アライメント)のズレが、ユーザの震え又は揺れにより、例えば、±1度変動した場合でも一定に維持することができる。さらに、すでに説明したように、投影画像セクションに対する任意の調整(アライメント)のズレの影響を、補償装置により周波数から独立して完全に補償できるので、技術的に実行することができる場合には、画像フリーズに対する構造上の光軸の望ましくない変動の影響が、例えば、完全に除去される。それ故、安定化装置の最も重要な目的が達成される(図3のフローチャートも参照されたい)。
【0021】
画像セクションをシフトさせなければならない場合には、以下に説明するように、ユーザは、調整(アライメント)のズレの値を「画像フリーズ」のために予約した範囲から、例えば、画像セクションの類似の変位のために供給された調整(アライメント)のズレの範囲内に導く。
【0022】
例えば、プロのフィルム・カメラ用の本発明による安定化装置のもう1つの好ましい実施の形態の場合には、いくつかのタイプの調整(アライメント)のズレが同時に考慮の対象になる。この場合、上記の本発明による原理を使用すれば、任意の方向のすべての偶発的な動きにより全然影響を受けない画像セクションが入手できるので有利である。さらに、コストを最も安くすることができるので、技術的には少し複雑になるが大した問題ではない。
【0023】
この目的のために、目標とする調整(アライメント)に対する構造上の光軸の方向の調整(アライメント)のズレばかりでなく、目標とする位置に対する画像取込装置の基準点の位置のズレも決定されるが、好適には、目標とする水平位置に対する画像取込装置の水平線のズレも決定することが好ましい。画像の水平線を安定させる利点は、フィルム撮影の場合に特に効果がある。位置のズレを考慮に入れることによる利点は、特に、極度に遠い焦点の長さの場合の撮影も安定させることができることである。例えば、取り込んだ画像セクションの幅が20cmであり、画像取込装置が1cmだけ横にズレている場合には、画像セクションは、画像幅の5%だけ気が付かないうちにシフトすることになる。好適には、基準点のズレは、光軸の調整(アライメント)に垂直な面内だけで決定することが好ましい。何故なら、光軸に沿った画像取込装置の望ましくない変位は、取り込んだ画像セクションを極端にクローズアップするだけであるからである。
【0024】
都合のよいことに、補償装置は、周波数から独立して、取り込んだ画像セクション上で決定したいくつかのタイプの調整(アライメント)のズレのうちの任意のものの影響をできるだけ完全に補償することができる。好適には、位置のズレを補償するために、近似解決方法を使用することが好ましい。それにより、補償装置が、2つのタイプの調整(アライメント)のズレを補償しさえすればよいように、決定した方向の調整(アライメント)のズレの値に加算する角度が、基準点のズレの値及びレンズの瞬間的な距離の調整から計算する。この角度は、W=arctan[基準点のズレ/距離]からのものである。もしある場合には、水平線のズレを補償するために、好適には、全電子画像センサが回転するか、画像センサ上で評価した画像セクションを回転するための電子回路を使用することが好ましい。
【0025】
3つの各タイプの調整(アライメント)のズレに対して、補償装置により補償することができるその調整(アライメント)のズレの全値を、好適には、特定の安定化機能を実行するために、又は他の制御目的で、種々の範囲の機能が割り当てられるいくつかの調整(アライメント)のズレの範囲に分割することが好ましい。対応する調整(アライメント)のズレが、対応する調整(アライメント)のズレの範囲内に位置している場合には、これらの範囲機能が実行される。好適には、これは最短保持時間に依存することが好ましい。このことは、例えば、意図しないで、震え又は揺れにより、調整(アライメント)のズレの範囲が短時間だけ放棄された場合に、範囲機能がうっかりして実行及び/又は終了しないという利点がある。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態によると、調整(アライメント)のズレの範囲に関する調整(アライメント)のズレを通知し、また評価する目的で、平均の物理的調整(アライメント)のズレが、例えば、1秒のような所定の時間内でいつでもゼロに戻るか又はゼロに近くなるように計算される物理的調整(アライメント)のズレに、可変オフセット値を加算することができ、及び/又はそれにより物理的調整(アライメント)のズレの値の高い周波数の変動が抑制されると考えられる。所定の時間は、例えば、0.5秒、1秒又は2秒又はもっと長い時間に設定することができる。この測定値を使用して、比較的少ない調整(アライメント)のズレだけで、優れた画像の品質を提供することができる比較的簡単な補償装置を使用することができる。調整(アライメント)のズレがもっと大きい場合には、このような比較的簡単な調整(アライメント)デバイスにより達成することができる画像は、色収差及び歪みのような画像の欠陥を起こす。静止画像又は等速運動をする画像シーケンスの場合には、このような画像の欠陥が特に目立つようになる。
【0027】
さらに、表示の調整(アライメント)のズレの高速ジッタが目で見にくく、及び/又はディスプレイで平滑にされ、そのため本発明を使用している画像取込装置を手に持っているユーザが、調整(アライメント)のズレをもっと容易に制御することができるという利点を有する補償装置に送られた値を除いて、好適には、調整(アライメント)のズレの値の高い周波数の変動が抑制されることが好ましい。
【0028】
例えば、プロのフィルム・カメラのような画像取込装置又はシステムの場合には、好適には、最も重要な安定化機能に対応する下記の調整(アライメント)のズレの範囲が供給され、「離散的」範囲機能を、目標とする画像セクションの調整(アライメント)をあらかじめ定義するために、それに割り当てることが好ましい。その結果、各調整(アライメント)のズレの値が内蔵されず(現在の調整(アライメント)のズレの値がある調整(アライメント)のズレの範囲内に位置していることだけが考慮され)、その結果、画像取込装置の偶発的な変動は、引き続き投影画像セクション上に影響を与えることがない。
− 画像セクション・センターのフリーズ
− 画像セクション・センターの瞬間的な動きの保持
− 必要な画像水平線の保持
− 速度及び/又は加速についてのあらかじめ設定した値及び最大値への運動の制限
【0029】
その結果、フィルム・カメラに対する安定化装置の3つの最も重要な機能を達成することができる。すなわち、(フィルム・カメラのすべての偶発的な運動を含まない)静止画像セクション又は等速運動する画像セクションの撮影、又は確実なスタート、均一な進行及び確実な終了による水平パン動作中の撮影を行うことができる。
【0030】
さらに、画像取込装置の調整(アライメント)に類似している画像セクション変位、及び目標とする画像セクションの調整(アライメント)をあらかじめ決定するためにそれに割り当てられる「類似の」範囲機能に調整(アライメント)のズレの範囲が提供され、その結果、各調整(アライメント)のズレが内蔵され、そのため、画像取込装置の運動及び/又は変動も、投影画像セクションに影響を与える。
− 画像セクション・センターの瞬間的な運動の変化
− 瞬間的画像水平線の変化
− 画像取込装置の位置の基準点の変化
【0031】
運動中の変化は、ほとんど非常に短時間の間だけ発生するので、変動による任意の不安定さは、少しの間目で見ることができるだけなので、画像取込装置の類似の制御調整(アライメント)による速度及び方向での変化を制御する利点が効果的なものになる。
【0032】
調整(アライメント)のズレの範囲に関する3つのタイプの調整(アライメント)のズレを通知するために、光学ディスプレイを使用することが好ましい。光学ディスプレイ上には3つのタイプの調整(アライメント)のズレ及びその成分の両方、及びいくつかの異なる機能に割り当てられた調整(アライメント)のズレの範囲が、好ましくはグラフ形式で表示される。光学ビューファインダを備えるフィルム・カメラの場合には、ディスプレイを、例えば、このビューファインダの画像の上に光学的に置くことができる。ビデオ・カメラの場合には、好適には、現在のビューファインダ画像ディスプレイを使用することが好ましい。
【0033】
図1〜図6を参照しながら、特に、上記離散的及び類似の範囲機能、その調整(アライメント)のズレの範囲及びその表示を示す本発明の好ましい実施の形態について以下に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
上述の特徴及び下記の特徴は、本発明の範囲から逸脱することなしに、それぞれの場合に示す組合せばかりでなく、他の組合せ又は単独でも使用することができることを理解されたい。
【0035】
図2は、図面全体を通して参照番号10で示す、本発明による安定化装置を好適な方法で使用することができるフィルム・カメラを上から見た略図である。フィルム・カメラは、他の構成要素と一緒に本発明による安定化装置が配置されているハウジングを有する。フィルム・カメラ10のレンズを略図で示し、参照番号14で示す。レンズ14は、図2に文字Mで示すフィルム・カメラ10の構造上の光軸を形成する。構造上の光軸Mは、以下に構造上の画像セクション16で示す画像セクションを形成する。都合のよいことに、光軸Mは、この構造上の画像セクションの中心の方向に向いている。下記の構造上の画像セクションは、以下に説明するフィルム・カメラの補償装置により、画像の補償及び/又は安定化が行われない場合に、カメラが取り込む画像セクション、及び/又はカメラのビューファインダ内に位置する画像セクションを意味するものと理解されたい。それ故、構造上の画像セクションも、その中心が構造上の光軸Mにより形成される画像セクションとして理解されたい。「構造上の画像セクション」という用語は、ある程度まで、通常は実際には光学装置10により取り込まれないし、及び/又は観察されない「仮想」画像セクションを指すものと理解されたい。
【0036】
さらに、参照番号18で示す目標とする画像セクションは、ユーザが所望する画像セクションであると仮定する。すなわち、後者は、この目標画像セクション、及び/又は例えばある時間の間及び/又は任意の持続時間中のその変位運動を維持しようとする。下記の説明においても実効光軸と呼ぶカメラの対応する目標とする調整(アライメント)は、文字Zで示す。図2の時点において、フィルム・カメラ10は、目標とする調整(アライメント)Zから差角Rだけ異なる構造上の光軸Mに沿った方向を向いている。この角度の大きさは、カメラの意図する調整(アライメント)によりユーザによる調整(アライメント)のズレに、ユーザの不可避な震え及び揺れによる外乱角度を加えたものによるものである。
【0037】
この調整(アライメント)のズレRは、レンズ14の前に位置する第1の補償装置19により補償することができる。このことは、図2の時点におけるフィルム・カメラの実効光軸はZであるが、構造上の光軸はMであることを意味する。
【0038】
参照番号19で示すこのタイプの補償及び/又は画像シフト・デバイスは、現時点で周知のものであるので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0039】
もう1つの軸Xは、軸Zに垂直に軸M、Zの交点を通って画像シフト・デバイス19内を延びる。面は、目標画像セクション18の目標とする水平線を描く軸X及びZを通って延びる。
【0040】
フィルム・カメラの構造上の水平線は、軸M及びそれに対して垂直に延びる軸Kにより形成されていて、それによりカメラの構造上の水平面はこれら2つの軸を通って延びる。
【0041】
目標とする水平線と構造上の水平線との間の接続は、同様に簡単な例により図示してある。軸M、Z及びXが図2の投影面内を延びている、すなわち水平方向に延びていて、軸Kだけがこの投影面に垂直な成分を有していると仮定した場合、このことは、目標とする水平線も、投影面内を、すなわち水平方向に延びることを意味するが、図1を参照しながら以下に説明するように、構造上の水平線は、これに対して対角線方向に延びる。
【0042】
カメラ10は、以下に文字Hで示す構造上の水平線と目標とする水平線との間の調整(アライメント)のズレを補償するために、参照番号20で示すもう1つの補償装置を有することができる。この場合、補償装置20は、カメラ10の焦点面22内に位置していて、例えば、電子画像センサの対応する回転により、水平線のズレを補償する。
【0043】
図2の調整(アライメント)方向のズレRは、軸M、Zの交点を中心とするフィルム・カメラ10の角運動だけによるものである。実際には、基準点の線形のズレも考慮の対象になる。すなわち、目標画像セクションを形成している軸Zにほぼ垂直になる。以下の説明においては、このようなズレは文字C2で表す。
【0044】
図1は、本発明によるデバイスで使用することができるビューファインダ画像の好ましい実施の形態である。
【0045】
最初に、軸Z及びMは、図1のビューファインダ画像内で認識することができる。この場合、軸Zは、ビューファインダ画像の中心に位置する。ビューファインダ画像内に表示することができる幾何学的図面により、それぞれの場合に、異なる機能に割り当てることができる種々の調整(アライメント)のズレの範囲を定義することができる。
【0046】
方向の調整(アライメント)のズレを示すために、すなわち、軸Z及びMの間のズレを示すために、好適には、例えば、点滅する小さな十字の形をしている方向カーソルC1を表示することが好ましい。瞬間的な方向の調整(アライメント)のズレがゼロに等しい場合には、好適には、このカーソルC1は、ビューファインダ・ディスプレイの中心に位置することが好ましい。
【0047】
離散的範囲機能、「画像セクション・センターのフリーズ」に対する方向のズレの範囲R1は、好適には円の形をしていることが好ましいディスプレイの中心に投影される。この範囲は、例えば、画像セクション・センターの目標とする方向を中心にした1度の方向に対するズレの範囲に対応する。方向カーソルC1が円R1内に入り、そこに保持されるたびにこの範囲機能が実行される。次に、目標とする方向に関する調整(アライメント)が一定に維持されるが、このことは画像セクション・センターのフリーズに対応する。
【0048】
カーソルC1が範囲R1から出ると、好適には類似の範囲機能、「画像セクション・センターの瞬間的な運動の変化」が割り当てられることが好ましい残りの範囲R3内に入る。これは、好適には、例えば、下記のように動作することが好ましい。目標とする方向は、カーソルC1が円R1から離れる方向により決まる。カーソルが最短時間の間R1から出るや否や、ベクトルが決まり、好適には、円の中心から出る矢印Vで表示することが好ましい。この瞬間から、方向のズレの範囲R1が作動しなくなる。しかし、依然として表示されたままになる。矢印Vの長さ及び方向は、目標とする画像セクションの瞬間的な目標とする変位速度の大きさ及び方向の測定値である。この場合、好適には、レンズの瞬間的な画像角度を考慮に入れ、1秒ごとの画像セクションの幅で測定することが好ましい。好適には、矢印の長さは、瞬間的な目標とする速度の対数にほぼ比例することが好ましく、初期速度は非常に遅いか又はゼロに等しく、初期の長さは例えばR1の半径に等しい。
【0049】
(フィルム・カメラの対応する方向に対する調整(アライメント)を通して)カーソルC1のカーソル位置を操作することにより、矢印の頭は、現在任意の方向を向いていて、これにより、目標とする画像セクションの運動の方向及び速度が変わる。好適には、矢印の頭はカーソルC1に直接追随しないで、ある時間だけズレて追随することが好ましい。矢印の頭からカーソルC1までの距離が長ければ長いほど、追随する速度が速くなり、そのため矢印とカーソルC1との距離はそれほど遠くならない。好適には、目標とする変位速度があらかじめ定義できる値に達した場合には、例えば、矢印を点滅させることにより、ユーザ/オペレータにフィードバックすることが好ましい。あまり高速でパンすると平滑に動作することができない毎秒24フレームの速度でフィルムを送る場合には、このことは特に重要である。下記の範囲R2が矢印の頭を中心にして作動する場合には、カーソルとR2の範囲の限界との間の距離だけが考慮される。今説明した方法により、目標とする画像セクションを、任意の方向に任意の速度でカメラの調整(アライメント)と同様にシフトすることができ、それにより適用する加速アルゴリズムのために、この変位がある感度で可能になる。しかし、実行中のカメラの揺れは、この類似の範囲機能中に完全に抑制することはできない。何故なら、速度ベクトルの修正に影響を与えるからである。
【0050】
速度が初期値に再度低減され、そのため矢印の長さが再度初期の長さに戻るや否や、矢印は消失し、方向に関するズレの範囲R1が再度能動状態になる。
【0051】
さらに、好適には、方向のズレの範囲R2を提供することが好ましい。R2は、好適には円R2の形であることが好ましい速度ベクトルVの先端のところに表示される。好適には、その半径は、変化することができるものであり、例えば、矢印の長さからR1の半径を差し引いたものに等しいものであることが好ましい。しかし、得策としては、その大きさは所定の最大値を超えるべきではない。
【0052】
範囲R2に割り当てられた離散的範囲機能は、カーソルC1がこの円R2に入るたびに実行される。次に、カーソルがこの円R2内に保持されている場合は、範囲機能は、画像セクションの変位の瞬間的な目標とする速度及び目標とする方向を一定に維持する。
【0053】
好適には、範囲R2の表示を必要に応じて消すことができることが好ましい。そのかわりに、(現在表示されていない)円の縁部に近づいた場合、及び/又はそこを通過した場合に、例えば、カーソルC1の色及び/又は点滅周波数などを変えることができる。
【0054】
その位置で変えることができるこの範囲R2の利点は、画像セクションの運動の加速度を、直感的に終了させることができ、ユーザがカーソルの近くにいつでも位置する範囲R2内にカーソルC1を入れることにより等速運動に変えることができることである。
【0055】
位置カーソルC2は、環境の目標とする位置からの画像取込装置の基準点のズレを反映する。その不可避の変動によるこの距離の影響は、特に極端な望遠撮影の場合には考慮に入れなければならないし、補償装置により補償しなければならない。
【0056】
この目的のために、好適には、カメラ位置の変動及びそれに割り当てられた位置のズレの範囲を安定化するための離散的範囲機能を使用することが好ましい。離散的範囲機能は、例えば、ビューファインダ画像の中心の円P1の形で表示され、そのエリアは、例えば、8cmの直径の位置のズレの値に対応する。P1は、例えば、はっきりさせるために円R1と一致する。範囲機能は、すでに説明したように、補償装置に焦点距離と一緒に、このズレの大きさ及び方向を通知する。この範囲機能は、例えば、小さな正方形で表す位置カーソルC2が、画像取込装置を横方向に及び高さ方向に導かれることにより、範囲P1内に入り、そこに保持されるたびに実行される。フィルム・カメラの場合には、好適には、値のかなり狭い範囲を、撮影中の一時休止の間にP1に割り当てることが好ましい。このことは、C2がいつでもP1の中心付近でフィルム巻き上げのスタートのところに位置するという利点を有する。
【0057】
カーソルC2が、位置のズレの範囲P1の外側である、残りの範囲P2内に位置している場合には、環境の基準点からのズレは、好適には、いつでもアルゴリズムにより範囲の限度P1に戻ることが好ましい。このことは、目標とする位置を特徴づける働きをするカメラによる環境の位置に関する基準点の相関運動に対応する。
【0058】
水平線のズレの範囲、機能及び表示については以下に説明するが、これは単に例示としてのものにすぎない。
【0059】
水平線カーソルC3は、目標とする水平線からのカメラの水平線のズレを反映する。好適には、カーソルC3は、ビューファインダの表示縁部上の2本の短いラインで表示することが好ましい。2本の短いラインは、表示中央を通して延びる想像上のラインの上に位置する。その位置は、カメラの水平線及び目標とする水平線の間の角度に類似していて、そのため好適には、目標とする水平線は、いつでもビューファインダの画像の中心を通って水平に延びることが好ましい。
【0060】
好適には、真の水平線に平行な目標とする水平線の位置に対して離散的範囲機能を提供することが好ましい。その光軸を中心にしてカメラを調整(アライメント)することにより、水平線カーソルC3が、ビューファインダの縁部上の対応する水平線のズレの範囲H1内に入り、そこに保持されるたびに、この機能は実行される。例えば、この範囲は、目標水平線に対して±3度の角度を有する。次に、範囲機能は、目標とする画像の水平線をゼロに設定する。ここで、補償装置は、自動的に、投影水平線を本当の水平線に平行に維持し、それにより以降その位置は、もはやカメラの震えや揺れによる影響を受けない。
【0061】
さらに、好適には、目標とする水平線の位置を変えるための類似の範囲機能を使用することが好ましい。好適には、目標とする水平線の回転及び回転速度は、その光軸を中心とするカメラの回転をほぼ追随することが好ましい。この類似の範囲機能は、その光軸を中心とする画像取込装置の回転により、水平線カーソルC3が、瞬間的な水平線の位置に関連する水平線のズレの範囲から出るたびに実行される。次に、目標とする水平線角度の変化は、すべてカーソルC3が範囲H1及び/又はH2から遠ざかるにつれて速くなる。この類似の範囲機能を実行中、カメラの揺れも、画像の水平線の動きの中に含まれる。
【0062】
さらに、好適には、瞬間的な目標とする水平線の位置を一定に維持する離散的範囲機能を使用することが好ましい。この機能は、その光軸を中心にしてカメラを調整(アライメント)することにより、カーソルC3がビューファインダの縁部上の対応する位置のズレの範囲H2内に入り、そこに保持されるたびに実行される。好適には、この範囲H2は、目標水平線が環境の水平線からずれた場合にだけ表示されることが好ましい。好適には、水平線のズレの範囲H2は、ビューファインダの中心の左及び/又は右に位置していて、例えば、±2度の角度を有することが好ましい。次に、離散的範囲機能は、瞬間的な目標とする水平線の角度を一定に維持する。次に、この場合、投影画像の水平線は、補償装置により、自動的に目標とする水平線に対して平行に維持され、その位置は、画像取込装置の震え及び揺れにより影響を受けない。
【0063】
好適には、方向のズレの範囲及び水平方向又は垂直方向のパンに対するその離散的範囲機能を、フィルム・カメラに対して使用することが好ましい。これらの機能は、以下に説明するように、好適には、メニューからの選択により作動され、それにより、同時に所望の最大パン速度をあらかじめ選択することができることが好ましい。その後で、好適には、パン動作を画像フリーズのためにカーソルC1が中央領域を離れる方向にスタートし、それにより目標とする画像セクションの運動の方向が、水平方向及び/又は垂直方向の運動に制限されることが好ましい。好適には、スタートは、あらかじめ選択したパン速度に達するまで、一定の加速度で行うことが好ましい。カーソルが再度中央領域に入った場合、停止も同じ制動加速度で行われる。停止後に、通常のズレの範囲が再度作動される。
【0064】
離散的範囲機能を使用するだけなので、スタート及び停止を含むパン動作のすべての段階は、望ましくない変動を起こさない。水平線の変動の補償により、三脚を使用した場合よりももっと確実に取り込まれるパン撮影を手で持った状態で撮影することができる。
【0065】
特に請求項1〜5に記載の本発明による原理を適用した場合にだけ可能な他の3つの特種な機能について以下に詳細に説明する。
【0066】
下記の説明において、撮影中のシステム制御のための機能を説明するが、これは単に例示としてのものにすぎない。
【0067】
本発明の好ましい実施の形態の場合、特に請求項9に記載の好ましい実施の形態の場合には、好適には、全ディスプレイ上を延びていて、その範囲機能が、画像セクションの瞬間的な運動を一定に維持する方向のズレの範囲は、キーなどを押すことにより作動及び表示することができる。このようなキーは、例えば、画像取込装置のハウジング上の適当な場所に設置することができる。この範囲の上には記号付きの他の調整(アライメント)のズレの範囲が位置していて、その範囲機能は、例えば、ホワイト・バランス、色つき温度、グレイ・フィルタ、アパーチャ、露出時間、最大パン速度などの選択を含むパン範囲の作動のような画像取込装置のシステム・パラメータを制御する。これらのものは、カーソルC1をその対応する範囲内に導くことにより選択され、例えば、キーを離す場合に実行される。
【0068】
この範囲機能の利点は、ビューファインダから目を離さないで、また画像セクション及びその等速運動に悪影響を与えないで、連続撮影中に、画像取込装置の対応する調整(アライメント)により任意の制御機能を意図的に実行することができることである。
【0069】
以下の説明においては、撮影中に焦点を調整するための機能について説明するが、これは単に例示としてのものにすぎない。
【0070】
さらに、好適には、キーなどをこのように押している間、その限界がその大部分をカバーしているビューファインダ画像上に光学的に位置していて、その範囲機能が、一方では、画像セクションの瞬間的運動を一定に維持していて、他方では、カーソル位置からの画像セクション内の対応する点を決め、これを画像セクションのこの点上に焦点を結ぶための自動焦点デバイスに連続的に又はキーを作動した場合に送る、方向に関するズレの範囲を作動できることが好ましい。残りの調整(アライメント)のズレの範囲は、好適には、画像セクションの瞬間的運動を変えるための類似の範囲機能に割り当てることが好ましい。
【0071】
この範囲機能の利点は、連続撮影中であっても、画像取込装置の対応する調整(アライメント)により、画像の任意の点上に自動的に意図的に焦点を結ぶことができることである。そのため、意図的な焦点のシフト及び画像セクション内を移動する対象物上への連続的な焦点合わせの両方を、同時に画像の運動経路を完全に安定させながら行うことができる。
【0072】
もっと大きな物理的な調整(アライメント)のズレにより画像品質を低減させる恐れがあり、例えば、色収差又は歪みアーティファクトなどを導入する恐れがある簡単な補償装置の場合には、例えば、長いパン撮影中、システム・パラメータを設定し、焦点を合わせる画像セクションの一部を選択するなどして、少なくとも永続的な大きな物理的な調整(アライメント)のズレを除去すると有利である。このことは請求項5に記載の原理を適用することにより達成することができる。長いパン撮影の場合には、オフセット値が、同様に、ベクトルVの長さに対応する場合がある。
【0073】
フィルム・カメラのための画像セクション・シーケンスの予備プログラミング及びプログラム制御実行のための機能について以下に説明する。
【0074】
このことは、また、非常に簡単な方法で、また技術的に有意に複雑にしなくても現在のデバイスにより達成することができる。このようなシーケンスは、例えば、下記のように実施される。
− カメラマンが、開始画像にカメラを調整(アライメント)する。
− カメラマンが、開始画像キーを押し、画像のシフトをスタートする。
− システム制御が、画像セクションの各瞬間的位置、レンズの各画像角度、及び各距離調整を一定の時間的間隔でメモリに記憶する。
− 所望の最終画像に達し、表示した時間の長さが十分である場合に、カメラマンが終了キーを押す。
− システム制御が、数学的アルゴリズムにより、記憶した運動シーケンスのバラツキを平滑にする。
− 画像位置コントローラは、画像セクションをゆっくりと開始画像に戻し、例えば、ディスプレイ内の中央の円R1を点滅させることにより、カメラマンに、カメラが最初の位置に戻る間に、点滅する円内に又は少なくとも近くに方向カーソルC1を保持するように指示する。最初の位置に達した場合、中央の円は点滅を停止する。
− カメラマンは、撮影をスタートし、その結果、画像位置コントローラが、記憶している目標運動シーケンスをスタートし、中央の円R1を点滅させることにより、カメラマンに点滅円内又は少なくとも付近に、方向カーソルC1を保持するように指示する。この場合、カメラマンは、補償装置がその技術的に制限された範囲の限界を超えないようにカメラを調整(アライメント)しなければならないという指示を受ける。この時点で、所望の画像セクション・シーケンスが正確に記録され、技術的に可能な場合には、レンズの画像角度及び距離も連続的に修正される。
【0075】
それ故、本明細書、特に請求項7及び10で使用する場合には、「指示」という用語は、ユーザが補償することができる調整(アライメント)のズレに関連する任意の1つの指示、任意の組合せ又はすべての可能な指示に関連する指示を含むことを意味する。
【0076】
安定させた双眼鏡の例をベースにした場合、いつ及びどれだけ長い間、画像をフリーズすべきか、及び/又はいつ画像セクションをシフトすべきかについてのユーザによる同時制御により、静止画像セクションが、双眼鏡の偶発的な動きの影響をほとんど受けない本発明の簡単な変形例について以下に説明する。
【0077】
内蔵ジャイロスコープにより、例えば、構造上の光軸の運動が、周知の方法で登録され、例えば、メモリ内に記憶している目標とする方向の調整(アライメント)に対する方向のズレが連続的に決定される。投影画像セクションに対するこの方向に関するズレの影響は、方向のズレの全周波数について、光学補償装置により絶えず完全に補償される。このことは、目標とする調整(アライメント)が変わらず、方向のズレが補償装置が補償することができる値を超えない場合には、投影した画像セクションが完全にフリーズしたことを意味する。
【0078】
請求項2によれば、第1の方向に関するズレの範囲は、光軸の目標とする調整(アライメント)を中心とする例えば2度の角度を有する円錐の形をしている本発明による安定化装置によりあらかじめ決定され、「画像セクション・フリーズ」機能がこの範囲に割り当てられる。方向に関するズレがこの範囲内に位置する場合には、目標位置データは同じままである。
【0079】
さらに、補償装置により補償することができるすべての残りの方向のズレからなる第2の方向のズレの範囲が画定され、「画像セクションの変位」機能がこの範囲に割り当てられる。方向のズレがこの第2の範囲内に位置する場合には、目標とする方向のデータは、第1の方向のズレの範囲に対する瞬間的な方向のズレのすべての方向及び距離を含んでいるアルゴリズムにより変化する。範囲の限界からの距離が長ければ長いほど、目標画像のシフトの速度は速くなる。好適には、このことは指数相関で起こることが好ましい。目標とする方向に対する方向のズレが例えば2、3、4及び/又は5度である場合には、目標方向の速度は、例えば、毎秒0、1、10及び/又は100度に設定される。例えば、目標とする画像センターの3度右の方向のズレの場合には、目標とする方向に関するデータの水平方向の成分は1度/秒だけ連続的に増大する。
【0080】
請求項1によれば、方向のズレは、例えば、この場合は下記のように通知される。8つの矢印が、例えば、ビューファインダ画像の周囲に位置する。これらの矢印は、その色及び/又は輝度及び/又は点滅周波数により変調することができ、それにより、表示のタイプに従って、方向に関するズレと調整(アライメント)のズレの範囲間の相関は、例えば、下記のようにユーザが知覚することができるものになる。方向に関するズレの値が中央の第1の方向のズレの範囲A内に位置している場合には、矢印は点滅しないでグリーンに点灯する。その輝度は瞬間的な方向のズレの大きさ及び方向を反映する。方向のズレがゼロである場合には、すべての矢印は、同じ輝度で点灯する。例えば、右に1度方向がズレている場合には、右の矢印がより明るく点灯し、他の矢印は低い輝度で点灯する。方向のズレが2度の範囲の限界に近づくと、対応する矢印が黄色に点灯し、さらに、必要な場合には点滅する。方向に関するズレが範囲の限界を超えると、対応する矢印が赤に点灯する。
【0081】
これにより、ユーザは、双眼鏡の対応する調整(アライメント)により、矢印をグリーンの範囲内に保持することにより、全く意図的に画像のフリーズを行うことができる。ユーザは、このフリーズを大した苦労をしないで行うことができる。何故なら、請求項3によれば、光軸の目標とする位置を中心とする2度の「画像フリーズ」機能に対する中央の方向に関するズレの範囲は、ここでユーザの震え及び揺れによる外乱値の振幅より大きくなるように選択されるからである。
【0082】
本発明の他の実施の形態の場合には、ユーザは、光軸の目標とする位置を中心にして例えば2〜4度キーを押すことにより画像をフリーズさせるために、中央の方向のズレの範囲1を増大することができる。その結果、ボートのような揺れる土台の上に立っている場合でも、ユーザは、容易に矢印をグリーン又は黄色の範囲内に保持することができ、そのためボケがなく、変動のない画像セクションを達成することができる。
【0083】
それ故、従来の解決方法とは異なり、画像セクションが変動するのを防止することができ、又は双眼鏡の調整(アライメント)がゆっくりと所望の目標とする位置からずれて、画像セクションが気が付かないうちにシフトするのを防止することができる。
【0084】
ユーザは、また、画像セクションをいつシフトするのかを決定することができる。そうするために、ユーザは、右の矢印が赤になり、その後で画像セクションが右に移動し始めるまで、例えば右に双眼鏡を調整(アライメント)する。双眼鏡が右に移動するに従ってこの移動はますます速くなる。本発明のこの簡単な変形例を使用した場合、ゼロより速い速度に対する画像セクションの変位の速度は、いつでも方向のズレの瞬間的な量に依存するので、画像セクションの変位運動の最適な安定化を達成できないが、しかし、双眼鏡の場合には、このことはあまり重要なことではない。双眼鏡の対応する調整(アライメント)により、矢印が再度グリーン及び/又は黄色に点灯するや否や、直接ボケのない静止画像が入手される。
【0085】
本発明のこの簡単な変形例は、もちろん、化成皮膜上に記録するフィルム・カメラ又はアマチュアのビデオ・カメラ用に使用することができる。
【0086】
非常に簡単な角加速度センサを備えていて、画像セクションの絶対変位速度を決定することができず、それ故、すべての静止画像セクションを認識することができないジャイロスコープを備えていない双眼鏡又はビデオ・カメラの場合には、画像セクションの「等速運動」機能を、第1の方向のズレの範囲に割り当てることができ、画像セクションの「瞬間的運動の変化」機能を第2の方向のズレの範囲に割り当てることができる。その結果、双眼鏡の対応する調整(アライメント)により瞬間的運動を最初スローダウンし、次に方向のズレを第1の範囲内に維持することにより、ユーザは、画像をフリーズさせ維持することができる。
【0087】
角加速センサの欠点を克服するために、投影画像シーケンスの運動分析が、例えば、速度ゼロに対して最も容易な信頼できる速度の値を検出するたびに、未知の角速度を既知の値と同期することができる。
【0088】
本発明のこの簡単な変形例は、光軸の目標とする調整(アライメント)に対する方向のズレだけを考慮の対象にするので、大きな倍率及び短い焦点距離で、絶対に安定していてボケのない画像セクションを入手することはできない。しかし、この不安定は、技術的にほんのわずか複雑になるだけの位置のズレを考慮にいれることにより抑制することができる。一方では、双眼鏡の場合には、水平線の位置が安定していないということはあまり重要なことではない。
【0089】
図2Aは、それにより本発明、特に本発明による方法を実行することができる安定化装置50の基本的な要素である。装置50は、コントローラ52、調整センサ54、ディスプレイ56、バッテリー58、及び補償装置59を備える。安定化装置50は、また、それにより、例えば、コントローラをプログラムすることができる追加のユーザ・インタフェースを備えることができる(例えば、範囲、範囲機能など)。本明細書全体を通して詳細に説明するように、範囲機能を制御するためのカーソルの位置決めもユーザ・インタフェースを構成している。デバイス50を備える画像取込システムは、本発明による画像の安定又は安定させた画像セクション変位を行うのに適している。例えば、補償装置59は、焦点面アレイ22内で補償を行うことができるように、図2の画像シフト・デバイス19及び/又は補償装置20として動作する。それ故、例えば、方向の調整(アライメント)のズレ又は水平線のズレのような調整(アライメント)のズレを補償することができる。
【0090】
ここで、装置50の基本的な動作について説明する。図3〜図6を参照しながら以下に種々の動作モードについてより詳細に説明するが、図3の実施の形態を一例として説明することにする。
【0091】
それ故、図の動作の場合、装置50は、目標とする画像調整(アライメント)データ(図3の機能ブロック301)を、実際の調整(アライメント)画像データ(図3の機能ブロック302)と比較し、調整(アライメント)のズレを決定する(図3の機能ブロック303)。一実施の形態の場合には、機能ブロック301及び303は、コントローラ52により実施され、機能ブロック302は、例えば、ジャイロスコープ又は加速度計を備えることができる調整センサ54により実施される。機能ブロック301は、例えば、コントローラ52の内部メモリ内のデータ記憶装置により提供することができ、機能ブロック303は、コントローラ52の処理機能(例えば、ソフトウェア)により提供することができる。
【0092】
コントローラ52が決定した調整(アライメント)のズレのデータは、補償装置59及びディスプレイ56に送られる。図3の場合には、機能ブロック304は補償装置59に対応し、機能ブロック313はディスプレイ56に対応する。それ故、補償装置59及びディスプレイ56の両方は、これらの調整(アライメント)のズレのデータの提供を受ける。これにより、本発明による画像を安定させる画像取込システム(例えば、図1のシステム10)のユーザは、以下に詳細に説明するように、安定させた画像を効果的に形成することができる。特に、ディスプレイ56を通してユーザに提供される調整(アライメント)のズレに関する情報により、補償装置59を効率的に機能させることができる。何故なら、この場合、ユーザは、空間内で画像取込システムをある方向に向けることにより、調整(アライメント)のズレを所望の又は所定の範囲内に維持することができるからである。例えば、安定化情報を、図1のビューファインダ画像のような方法でディスプレイ54によりユーザに表示することができる。
【0093】
さらに、これらの調整(アライメント)のズレのデータを補償装置59及びディスプレイ56に供給することにより、これらのデータが、調整(アライメント)のズレの範囲及び/又はこれら範囲に関連する機能により処理/分析される。これらの範囲及び機能は、コントローラ52内に記憶される。それ故、図3の場合には、(調整(アライメント)のズレのデータを特定の調整(アライメント)のズレの範囲と比較する)機能ブロック311、及び(特定の範囲機能を指定し、実施する)機能ブロック314〜315は、コントローラ52の処理及び記憶装置メモリにより実施され/動作する。さらに、システム制御(図3の機能ブロック312内に指定する)は、コントローラ52により実施される。
【0094】
図に例としてディスプレイ54及びバッテリー56を示す。これらの要素は、類似の機能を提供するために、デバイス50から独立して設置することができることを理解されたい。例えば、ディスプレイ56は、画像取込システムと一体になっているディスプレイであってもよく、バッテリー58は、図に示すように、ディスプレイ56及びコントローラ52の両方に電力を供給するハンドヘルド画像取込システムの主電力パックであってもよい。
【0095】
すでに説明したように、コントローラ52は、以下に説明する図3〜図6の実施の形態により実施する(例えば、プログラムする)ことができるソフトウェア及び/又はファームウェアを含む。
【0096】
ここで図3〜図6を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について説明する。これらの図面は、それぞれ2つの主ブロック、すなわち、300及び310、400及び410、500及び510、600及び610を示す。これらの主ブロック内のすべてのブロックは、以下の説明においては機能ブロックと呼ばれる。多数のこれらの機能ブロックは、特定の機能又は特定の構成要素と呼ぶことができる。300、400、500及び600(必要に応じて、他の構成要素を含む)内の機能ブロックは、例えば、基本的安定化装置機能を構成し、一方、310、410、510及び610内の機能ブロックは、調整(アライメント)範囲、範囲機能、表示及びシステム制御のためのものである。
【0097】
図3は、本発明による画像安定化装置の簡単な実施の形態の機能図である。以下の説明においては、光軸の調整(アライメント)だけを考慮の対象にするが、アマチュアの双眼鏡又はアマチュアのビデオ・カメラの場合にはこれで十分であろう。何故なら、光軸の望ましくない動きは、画像の安定性に対してはるかに大きな影響があるからである。画像取込装置の位置及び水平線の位置は、それに応じて考慮の対象にすることができる。すなわち、各ケースの場合、同じ機能図を使用することができる。
【0098】
301において、例えば、メモリ内に対応する方向に関するデータを記憶することにより、光軸の目標とする調整(アライメント)があらかじめ定められる。その初期値は、例えば、任意の30度東、水平線下10度であってもよい。
【0099】
実際の位置検出装置302が、構造上の光軸の真の方向を決定する。この目的のために、例えば、ジャイロスコープを使用することができる。水平線の位置及び天頂に対する調整(アライメント)が決定されない場合には、例えば、水平線下0度のような光軸の調整(アライメント)に対する仮の初期値を仮定することができ、それにより画像取込装置の垂直軸を中心にする回転が、空の方向に関する調整(アライメント)の値を変え、画像取込装置の横軸を中心にする回転が、水平線に対する傾斜の値を変える。
【0100】
303において、実際の方向と目標とする方向との間の方向のズレが決定され、この値が、例えば、画像取込装置の縦軸及び横軸を中心として補償される2つの角度のような補償装置により補償することができる2つの成分に変換される。
【0101】
次に、補償装置304は、すでに説明したように、変化する調整(アライメント)のズレのすべての周波数に対する調整(アライメント)のズレを完全に補償する。
【0102】
機能ブロック301〜304に対応するすべての技術的実施の形態は、種々の形で周知のものであり、従来の安定化装置の構成要素であるので詳細には説明しない。
【0103】
本発明の中核をなすものは、機能ブロック311〜315である。この場合、2つの方向に関するズレの範囲311、すなわち画像セクション・センターの目標とする方向を中心とする2度の中央の範囲ADR−1及び画像セクション・センターの目標とする方向を中心とする2度〜5度の残りの範囲ADR−2は、システム制御312によりあらかじめ決定される。この時点で、システム制御は、構造上の光軸の瞬間的な調整(アライメント)のズレがどの範囲に入るのかを絶えず監視する。同時に、範囲の限界に関する方向のズレが、通信装置313を介してユーザに送られ、その結果、ユーザは、画像取込装置の対応する調整(アライメント)により方向のズレを意図的に範囲内の1つに入れ、そこに保持することができる。本明細書において、ADRは「調整(アライメント)のズレの範囲」の略語である。
【0104】
方向のズレが範囲ADR−1内に最短時間保持されると、離散的範囲機能314「画像フリーズ」がシステム制御により呼び出されて、実行され、これにより、この範囲機能が能動状態である限りは、光軸の目標とする調整(アライメント)の瞬間的な目標座標は変化しない。画像取込装置の震え及び揺れにより、方向のズレの値が目標調整(アライメント)を中心にして±2度の範囲内で不規則に変化しても、静止固定画像シーケンスが取り込まれる。何故なら、目標とする調整(アライメント)が変化していないし、補償装置304がいつでも方向のズレのすべての値及び周波数を完全に補償するからである。ユーザが、通信装置により方向のズレを任意の時間ADR−1内に保持することができるので、ユーザは、この方法により、従来の解決方法の原理によっては実行することができなかった任意の持続時間中、安定した、静止固定状態でボケのない画像シーケンスを入手することができる。
【0105】
この時点で、ユーザが方向のズレを範囲ADR−2内に導くと、光軸の目標とする調整(アライメント)の類似の範囲機能315「変位/運動」が、システム制御により呼び出され実行される。このシステム制御は、光軸の瞬間的な目標調整(アライメント)をすべてより高速でより遠くに変化させ、方向に関するズレは、範囲ADR−1の限界から遠くなり、変化の方向が方向のズレの方向からADR−1の中心の方向を向く。この場合、目標とする方向は、画像取込装置の調整(アライメント)に追随する。しかし、方向のズレの偶発的変動は、従来の解決方法のように、変位速度に含まれる。さらに、画像取込装置をオンにした場合、任意の方向の初期値もこの範囲機能により方向のズレの値と同期する。この方向のズレの値は補償することができない。何故なら、任意の大きな方向のズレは、高速で目標位置を追跡し、そのため方向のズレは、最短時間中に補償することができる値に自動的に低減されるからである。
【0106】
図4は、例えば、プロのフィルム・カメラ用の本発明による画像安定化装置の更に複雑な実施の形態の機能図である。以下の説明においては、図3の実施の形態との違いだけを説明する。
【0107】
主な違いは、3つ以上の方向のズレの範囲が存在し、それにより、ある範囲は、目標とする画像の方向の範囲機能「等速運動」に対する方向のズレの範囲ADR−4のようなその位置及び大きさの点で変化することができるということである。この範囲は、方向のズレが、「画像フリーズ」のために中央の範囲ADR−2を離れた場合、システム制御415によってだけ活性化されることができる。その位置、すなわち、その値の範囲は、すでに説明したように、目標画像の方向の瞬間的変位速度の速度及び方向の関数であることが好ましい。ユーザにより、方向のズレがこの範囲ADR−4内に保持された場合には、範囲機能422がシステム制御415により実行され、このシステム制御は、422を呼び出す前の目標変位速度に対応して、目標画像の目標方向座標を均一にまた絶えず変える。目標とする画像セクションのこの等速運動は、任意の望ましくない方向のズレの変動を全然含んでいない。当然、取り込んだ画像セクションのすべての方向に関するズレがいつでも完全に補償されるので、このことが適用される。
【0108】
ユーザによる方向のズレの意図的な制御のために、方向のズレの範囲ADR1、2、3、4...の視覚的表示を含むカーソルの形をしている方向に関するズレの視覚的記号及び視覚的表示の形をしている視覚的ディスプレイ418がここで使用される(図1及び図2の説明を参照されたい)。
【0109】
図5は、本発明の利点を使用するために、再構成しないで行う従来の安定化装置の修正方法を示す本発明による画像安定化装置の機能図である。以下の説明においては、図3の実施の形態との違いだけを説明する。
【0110】
図では、従来の安定化装置は、グループ500の501〜505を含む。図3との主な違いは、本発明の中核の範囲510が、従来の安定化装置の現在の低域フィルタの対数505内に介在することだけである。最も簡単な場合、これは、この機能の実行中、方向のズレの範囲ADR−1に割り当てられた「画像フリーズ」のための範囲機能514によって簡単に作動を止め、そのため、それはもはや目標とする画像の方向を変えない。次に、画像セクションがフリーズされ、方向調整(アライメント)の変動の影響を受けなくなる。
【0111】
ユーザが方向のズレを範囲ADR−2内に導き、対応する範囲機能515が実行されると、それによりフィルタ・アルゴリズムが再スタートし、画像セクション変位/運動の機能に関する画像取込装置が、従来の安定化装置のように行動する。
【0112】
図6は、本発明の利点を使用するために、再構成しないで行う従来の安定化装置のもう1つの変形された実施の形態の修正方法を示す、本発明による画像安定化装置の機能図である。以下の説明においては、図3の実施の形態との違いだけを説明する。
【0113】
図では、従来の安定化装置は、グループ600の603〜605を含む。図3との主な違いは、本発明の中核の範囲610が、従来の安定化装置の現在の高域フィルタ・アルゴリズム605内に介在することだけである。最も簡単な場合、方向のズレの範囲ADR−1に割り当てられた「等速運動」のためのこの範囲機能615は、この機能の実行中、高域フィルタを「短絡」し、そのため、任意の周波数のすべての検出した実際の調整(アライメント)変動は、補償装置604により補償される。次に、画像セクションが調整(アライメント)変動により影響を受けないその運動を維持する。
【0114】
ユーザが方向のズレを範囲ADR−2内に導き、対応する範囲機能614が実行されると、それによりフィルタ・アルゴリズムが再スタートし、画像セクション運動の変化の機能に関する画像取込装置が、従来の安定化装置のように行動する。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明により実施することができる、特にフィルム・カメラのビューファインダの画像の好ましい実施の形態を示す。
【図2】本発明による安定化装置を使用することができる画像取込装置、特にフィルム・カメラ又は双眼鏡を上から見た略図である。
【図2A】本発明による方法を実施するために使用することができる一実施の形態による安定化装置である。
【図3】本発明による簡単な画像安定化及び/又は制御デバイスの第1の好ましい実施の形態を示すためのブロック図タイプの機能図である。
【図4】本発明による複雑な画像安定化及び/又は制御デバイスの第2の好ましい実施の形態である。
【図5】本発明による画像安定化装置のより好ましい実施の形態を示す。この図は、本発明のいくつかの利点を利用するために、再構成を行わないで、従来の安定化装置を修正するための方法を示す。
【図6】本発明による画像安定化装置のより好ましい実施の形態を示す。この図は、本発明のいくつかの利点を利用するために、再構成を行わないで、従来の安定化装置を修正するための方法を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像取込装置の実際の調整(アライメント)と、画像取込装置の目標とする調整(アライメント)との間の調整(アライメント)のズレを決定するためのデバイスを有し、また投影画像セクション上で前記決定した調整(アライメント)のズレの影響を補償するための補償装置を有するフィルム・カメラ、写真カメラ、双眼鏡などのようなハンドヘルド画像取込装置用の安定化装置、特に画像安定及び/又は安定化した画像セクション変位用の安定化装置であって、あらかじめ定義することができる調整(アライメント)のズレの値又は値の範囲に対する前記調整(アライメント)のズレを通知するための通信装置、特にディスプレイ、及びこの情報が、前記画像取込装置の向きを調整することにより、ユーザが前記調整(アライメント)のズレを所定の値又は所定の値の範囲内に導くことができるように送られることを特徴とする安定化装置。
【請求項2】
位置、調整(アライメント)及び/又は運動のような前記目標画像セクションを画定するパラメータが、特にユーザにより意図的に制御されるこの値が、特定の機能に割り当てられた固定又は可変のあらかじめ定義することができる調整(アライメント)のズレの範囲内に位置している限りは、例えば、「フリーズ」又は「前記画像セクションの等速運動」機能が、前記調整(アライメント)のズレの実際の値により少ししか影響を受けないか、好適には全然影響を受けないアルゴリズムによりあらかじめ決定することができることを特徴とする請求項1に記載の安定化装置。
【請求項3】
前記投影した画像セクションに対する任意の調整(アライメント)のズレの影響を、特に前記補償装置により周波数から独立して完全に補償することができる請求項1又は2に記載の安定化装置。
【請求項4】
特定の機能に割り当てられた調整(アライメント)のズレの値の範囲を、特に自身の震え及び揺れによりユーザが起こした外乱の値の範囲より大きくあらかじめ決定することができることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の安定化装置。
【請求項5】
各タイプの調整(アライメント)のズレ、特に方向に関するズレ、位置のズレ及び水平線のズレに対して、前記補償装置が補償することができる前記各調整(アライメント)のズレの全値範囲が、重なることができるいくつかのズレの範囲に分割され、その値の範囲及び作動が、もう1つの永久的、可変又はユーザによるパラメータに依存することと、例えば、前記目標画像セクションの調整(アライメント)を修正するため又は他の制御目的のために、特定のタスクが特定の時点で前記各ズレの範囲に割り当てられ、その解決のために特定の「範囲機能」が割り当てられ、最少のあらかじめ定義することができる時間からの前記瞬間的調整(アライメント)のズレを含む特定の調整(アライメント)のズレに対応する前記ズレの範囲が決定され、次に、このズレの範囲に割り当てられた範囲機能が実行され、前記実行も、例えば、キーを押すなどの他のパラメータに依存することを特徴とする請求項1〜4に記載の安定化装置。
【請求項6】
調整(アライメント)のズレの範囲に対する前記調整(アライメント)のズレを送り、評価するために、所定の時間内に平均的物理的な調整(アライメント)のズレがいつでもゼロ又はゼロに近い値に戻るように計算する物理的な調整(アライメント)のズレに可変オフセット値を加算することができ、及び/又は前記物理的調整(アライメント)のズレの値の高い周波数の変動が抑制されることを特徴とする請求項1〜5に記載の安定化装置。
【請求項7】
その結果に前記調整(アライメント)のズレの値が影響を与えないズレの範囲及びその「離散的」範囲機能が、例えば、
− 前記画像セクション・センターのフリーズ
− 前記画像セクション・センターの瞬間的な動きの保持
− 所望の画像水平線の保持
− 速度及び/又は加速度についてあらかじめ設定された値及び最大値への運動の制限
− ユーザに対する指示情報によるあらかじめプログラムされた運動シーケンスの実行
のような1つ又はいくつかの安定化機能に対する目標とする画像セクションの調整(アライメント)をあらかじめ決定するために提供され、
及び/又は前記目標とする画像セクションの調整(アライメント)をあらかじめ決定するために、その結果に前記調整(アライメント)のズレの値が含まれるズレの範囲及びその「類似の」範囲機能が提供され、前記目標とする画像セクションの変位が、例えば、
− 前記画像セクション・センターの瞬間的な運動の変化
− 瞬間的画像水平線の変化
− 前記画像取込装置の位置の基準点の変化
のような前記画像取込装置の調整(アライメント)に類似していることを特徴とする請求項1〜6に記載の安定化装置。
【請求項8】
ベクトルVが、前記瞬間的な目標とする画像セクションの運動の方向及び大きさの測定値として決定され、また必要に応じて視覚的に表示され、それにより、必要に応じて速度をあらかじめ定義することができる値に達した場合に、例えば、ベクトルVを点滅することによりメッセージが与えられ、その場合、前記ベクトルの先端が、前記離散的範囲機能「画像セクションの瞬間的な運動の保持」に対する調整(アライメント)のズレの範囲の中央としての働きをすることができ、それによりこの範囲の大きさを変化させることができ、またそれにより特にこの範囲に関する前記調整(アライメント)のズレが表示されることを特徴とする請求項1〜7に記載の安定化装置。
【請求項9】
前記目標とする画像セクションの瞬間的な変位運動をゼロに設定するか、又は一定に維持する範囲機能を有する調整(アライメント)のズレの範囲の上に1つ又はいくつかの他の調整(アライメント)のズレの範囲が位置し、前記調整(アライメント)のズレがその範囲内に入るか、又は前記調整(アライメント)のズレがその範囲内に入り、例えば、キーなどを押した場合に、いくつかの他の条件が満たされた場合に、その前記範囲機能がさらに実行されることを特徴とする請求項1〜8に記載の安定化装置。
【請求項10】
画像セクションの調整(アライメント)、その運動経路及び年代順の動作シーケンス、及び必要に応じて、視野角度及び焦点距離のような光学パラメータをメモリに記憶することができ、自動実行のために、特に前記運動経路を数学的に平滑にした後で、そこから再度読み出すことができ、それにより、自動シーケンス中、ユーザに前記調整(アライメント)のズレをあらかじめ定め、送った調整(アライメント)のズレの範囲内に保持するようにとの指示が与えられることを特徴とする請求項1〜9に記載の安定化装置。
【請求項11】
フィルム・カメラ、写真カメラ、双眼鏡などのようなハンドヘルド画像取込装置の場合、画像の安定化及び/又は安定させた画像セクションの変位を実行するための方法であって、前記画像取込装置の実際の調整(アライメント)と前記画像取込装置の目標とする調整(アライメント)との間の調整(アライメント)のズレが決定され、投影した画像セクションに対し決定された調整(アライメント)のズレの値の影響が補償され、あらかじめ定義することができる調整(アライメント)のズレ又は値の範囲に関する前記調整(アライメント)のズレが、前記画像取込装置のユーザに送られ、この情報が、ユーザが、前記画像取込装置の向きを調整することにより、前記調整(アライメント)のズレを所定の又は任意の値又は所定の値の範囲内に入れることができるように送られることを特徴とする方法。
【請求項12】
ハンドヘルド画像取込システム用の安定化装置であって、
前記画像取込システムの実際の調整(アライメント)と前記画像取込システムの目標とする調整(アライメント)との間の調整(アライメント)のズレを決定するためのコントローラと、
投影画像セクション上で前記決定された調整(アライメント)のズレを補償するための補償装置とを備え、前記コントローラが、ユーザが、前記画像取込システムの向きを調整することにより、前記調整(アライメント)のズレを1つ又は複数の値又は値の範囲内に入れることができるように、前記コントローラが記憶している1つ又は複数の調整(アライメント)の値又は値の範囲についての前記調整(アライメント)のズレをディスプレイに送る安定化装置。
【請求項13】
前記画像取込システムに内蔵されている前記ディスプレイをさらに備える請求項12に記載の安定化装置。
【請求項14】
前記コントローラが、前記画像取込システムの「フリーズ」又は「前記画像セクションの等速運動」機能が、ユーザが制御している前記実際の値が、固定調整(アライメント)のズレの範囲又は可変のあらかじめ定義することができる調整(アライメント)のズレの範囲内に位置している限りは、前記調整(アライメント)のズレの実際の値によりほとんど影響を受けないように、アルゴリズムにより目標とする画像セクションを画定しているパラメータを記憶する請求項12又は13に記載の安定化装置。
【請求項15】
前記投影画像セクションに対する調整(アライメント)のズレの影響を、周波数とは無関係に前記補償装置により補償することができる請求項12〜14に記載の安定化装置。
【請求項16】
特定の機能に割り当てられた前記調整(アライメント)のズレの範囲が、ユーザの動きによる外乱の値の範囲より広くなるようにあらかじめ定められる請求項12〜15に記載の安定化装置。
【請求項17】
前記パラメータが、位置、調整(アライメント)及び運動のうちの1つ又は複数を含む請求項12〜16に記載の安定化装置。
【請求項18】
前記コントローラが、前記補償装置の全範囲を通して、複数の各ズレの範囲に対するタスクを実施する請求項12〜17に記載の安定化装置。
【請求項19】
ハンドヘルド画像取込システムが生成した画像を安定化するための方法であって、
前記画像取込システムの実際の調整(アライメント)と前記画像取込システムの目標とする調整(アライメント)との間の調整(アライメント)のズレを決定するステップと、
1つ又は複数の調整(アライメント)の値又は値の範囲に対する前記調整(アライメント)のズレを表示するステップと、
前記調整(アライメント)のズレを前記1つ又は複数の値又は値の範囲内に入れるために、前記画像取込システムのユーザの向きに応じて、前記画像取込システムの実際の調整(アライメント)を補償するステップとを含む方法。
【請求項20】
コンピュータ又はコンピュータ・システム上で実行した場合、請求項11又は19に記載の方法を実行するのに適しているプログラム・コードを含むコンピュータ・プログラム。
【請求項21】
コンピュータ又はコンピュータ・システム上で実行した場合、請求項11又は19に記載の方法を実行するために、コンピュータ読み取り可能媒体上に記憶されているプログラム・コードを含むコンピュータ・プログラム製品。
【請求項22】
プログラム・コードを含むコンピュータ・プログラムを記憶し、コンピュータ又はコンピュータ・システム上で実行した場合、請求項11又は19に記載の方法を実行するのに適している記憶手段を備えるコンピュータ・システム。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−513373(P2007−513373A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541913(P2006−541913)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013798
【国際公開番号】WO2005/055589
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(506191529)
【Fターム(参考)】