画像を有色基材に形成するための熱転写法及びシート
【課題】 画像を有色基材に形成するための熱転写法及びシートを提供すること。
【解決手段】 概括的には、基材上に不透明画像を形成する方法を提供する。本方法は、一般に3種類の紙、即ち、トナー印刷可能シート、被覆転写シート、及び不透明転写シートを使用する。トナー印刷を用いて画像をトナー印刷可能シートに印刷することができ、次にトナーインクを用いて被覆転写シートから溶融性被覆層の一部分を取り除いて中間画像形成被覆転写シートを形成することができる。次に、この中間画像形成被覆転写シート及び不透明転写シートを用いて、基材上の不透明領域によって形成される画像を形成することができる。
【解決手段】 概括的には、基材上に不透明画像を形成する方法を提供する。本方法は、一般に3種類の紙、即ち、トナー印刷可能シート、被覆転写シート、及び不透明転写シートを使用する。トナー印刷を用いて画像をトナー印刷可能シートに印刷することができ、次にトナーインクを用いて被覆転写シートから溶融性被覆層の一部分を取り除いて中間画像形成被覆転写シートを形成することができる。次に、この中間画像形成被覆転写シート及び不透明転写シートを用いて、基材上の不透明領域によって形成される画像を形成することができる。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
近年、顧客が選択した図案、メッセージ、イラストなど(以後、まとめて「画像」と呼ぶ。)を、例えばTシャツ、スエットシャツ、革製品などの物品の上に形成することに関連する重要な産業が発展してきた。これらの画像は、特定の最終用途に合うように調整され、剥離紙又は転写紙上にプリントされた市販の製品の形態であるか、又は顧客が画像を熱転写紙上に作成できるような形態にされる。画像は、加熱及び加圧によって物品に転写され、その後、剥離紙又は転写紙が除去される。
【0002】
基材への画像支持ラミネート(被覆)の転写性を概括的に改善することに多くの努力が向けられてきた。例えば、改善された低温で剥離可能な熱転写材料が特許文献1に記載されており、これは、画像支持ラミネートの転写直後であっても(「高温で剥離可剥な熱転写材料」)、又はその後ある時間が経過してラミネートが冷えたときであっても(「低温で剥離可剥な熱転写材料」)ベースシートの除去が可能なものである。さらに、転写されたラミネートの亀裂抵抗性及び洗濯可能性を改善することに付加的な努力が向けられてきた。転写されたラミネートは、亀裂を起こさずに又は褪色なしに、何回もの洗濯サイクル及び通常の「摩損及び擦り切れ」に耐えられなければならない。
【0003】
熱転写紙は一般に標準プリンタ用紙サイズ、例えば8.5インチ×11インチのサイズで販売されている。グラフィック画像は、熱転写紙の転写可能表面又は被覆の上に、例えばインクジェットプリンタ、レーザカラーコピー機、他のトナーベースのプリンタ及びコピー機など、様々な手段の何れかによって作成される。画像及び転写可能表面は次に、例えば、木綿のTシャツなどの基材に転写される。殆どの場合、用いる紙及び方法の性質のために、画像のない物品領域への転写被覆の転写が必要であるが、このことは、有用でなく、望ましくもない。その理由は、転写被覆は基材を堅くして、該基材の多孔性を低下させ、湿気を吸収しにくくする可能性があるためである。
【0004】
従って、転写可能表面が画像の存在する領域だけに転写され、転写可能被覆で被覆される基材の全面積を減らすことが望ましい。「無用物を除去し得る」紙、即ち、基材への転写の前に、熱転写紙から転写可能な被覆の一部分を除去することができる紙が、幾種類か開発されている。無用物を除去することは、印刷領域の周りを切り取ること及び無関係な非印刷領域から被覆を除去することを伴う。しかし、そのような無用物除去法は、実行することが困難であり、特に複雑なグラフィックデザインの周りでは困難である。暗色の基材の上に不透明材料による画像を形成する場合には、転写紙から無用物を除去するための多くの技術を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,798,179号
【特許文献2】米国特許第5,501,902号
【特許文献3】米国特許出願第11/923,795号
【特許文献4】米国特許第7,364,636号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、当技術分野において、改良された熱転写紙及びその使用方法に対する必要性が依然として存在する。これらの紙及び方法は、優れた画像外観及び永続性をもたらすものであることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
概括的には、不透明画像を基材上に形成する方法を提供する。トナーインクがトナー印刷可能シート上に印刷されて画像領域及び非画像領域を形成する。次に、印刷されたトナー印刷可能シートを用いて、該トナー印刷可能シートと溶融性被覆層を有する被覆転写シートとを組み合せることにより、第1の一時的ラミネートを形成することができる。次いで、第1の一時的ラミネートを分離して、被覆トナー印刷シート及び中間画像形成被覆転写シートを形成し、被覆転写シートの溶融性被覆層が、トナー印刷可能シート上のトナーインクによって定められる画像形成領域に移動して、被覆トナー印刷シートを形成し、中間画像形成被覆転写シート上に残留した溶融性被覆層が、トナー印刷可能シートの非画像形成領域に対応する状態にすることができる。次に、この中間画像形成被覆転写シートを用いて基材上に不透明画像を形成することができる。
【0008】
例えば、中間画像形成被覆転写シートを、不透明被覆層を有する不透明転写シートと組み合せることにより、第2の一時的ラミネートを形成することができる。次に、この第2の一時的ラミネートを分離して、中間溶融被覆不透明転写シートを形成し、中間画像形成被覆転写シート上に残留した溶融性被覆層が不透明転写シートに移動し、溶融性被覆層が不透明被覆層の上に重なるような状態にすることができる。次いで、中間溶融被覆不透明転写シートの不透明被覆層及び溶融性被覆層を基材に移動させて、不透明被覆層が溶融性被覆層の上に重なり、溶融性被覆層が基材の上に重なるような状態にすることができる。
【0009】
代替的に、中間画像形成被覆転写シート上に残留した溶融性被覆層を、初めに基材に移動させることができる。その後に、不透明転写シートからの不透明被覆層を、基材上の溶融性被覆層に移動させ、不透明被覆層が溶融性被覆層の上に重なり、溶融性被覆層が基材の上に重なる状態にすることができる。
【0010】
本発明の他の特徴及び態様を、以下で詳細に論じる。
本発明の完全で実施可能な開示は、当業者に対する本発明の最良の形態を含むものであり、本明細書の残りの部分で添付の図面を参照しながらより具体的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】溶融性被覆層を有する例示的な被覆転写シートを示す。
【図2】その印刷可能表面の上にトナー画像を有する例示的なトナー印刷可能シートを示す。
【図3】第1の一時的ラミネートを形成するための、図1の被覆転写シート及び図2のトナー印刷可能シートの配置を示す。
【図4】図2のトナー印刷可能シート及び図1の被覆転写シートを含む第1の熱転写ステップを示す。
【図5】図4の一時的ラミネートの層の分離から生じる、中間画像形成被覆転写シート及び被覆トナー印刷シートを示す。
【図6】一実施形態による、画像を基材に転写する熱転写ステップを順次的に示す。
【図7】一実施形態による、画像を基材に転写する熱転写ステップを順次的に示す。
【図8】一実施形態による、画像を基材に転写する熱転写ステップを順次的に示す。
【図9】一実施形態による、画像を基材に転写する熱転写ステップを順次的に示す。
【図10】一実施形態による、画像を基材に転写する熱転写ステップを順次的に示す。
【図11】画像を基材に転写する代替的な熱転写ステップを順次的に示す。
【図12】画像を基材に転写する熱転写ステップを順次的に示す。
【図13】画像を基材に転写する熱転写ステップを順次的に示す。
【図14】画像を基材に転写する熱転写ステップを順次的に示す。
【図15】画像を基材に転写する熱転写ステップを順次的に示す。
【図16】不透明被覆層によって画定された画像形成領域を有する例示的な画像形成基材を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書及び図面において参照符号の繰り返しの使用は、本発明の同じ又は類似の形状部分又は要素を示すことを意図するものである。
【0013】
定義
本明細書で用いる「印刷可能な」という用語は、例えば、直接方式及びオフセット方式のグラビアプリンタ、シルクスクリーニング、タイプライタ、レーザプリンタ、レーザコピー機、他のトナーベースのプリンタ及びコピー機、ドットマトリックス・プリンタ、及びインクジェットプリンタなどの何れかの手段によって、材料上に画像を配置できることを含むように意図したものである。
【0014】
「トナーインク」という用語は、本明細書においては、熱によって印刷可能基材に融着するように適合させたインクを記述するのに用いる。
【0015】
「分子量」という用語は、文脈から別の意味が明らかであるか、又はこの用語がポリマーを指さない限り、一般に重量平均分子量を意味する。分子量の単位は原子質量単位であり、時にはダルトンと呼ばれることが、長い間理解され受け入れられてきた。従って、現在の文献においては単位が与えられることはまれである。この慣例により、本明細書では分子量の単位は表示しない。
【0016】
本明細書で用いる「セルロース系不織ウェブ」という用語は、少なくとも50重量パーセントのセルロース系繊維を含む任意のウェブ又はシート状材料を含むことを意図したものである。セルロース系繊維に加えて、ウェブは他の天然繊維、合成繊維、又はそれらの混合物を含む場合がある。セルロース系不織ウェブは、比較的短い繊維を空中堆積又は湿式堆積させてウェブ又はシートを形成することにより調製することができる。従って、この用語は、製紙用完成紙料から調製される不織ウェブを含む。そのような完成紙料は、セロース系繊維のみ、又はセルロース系繊維と他の天然繊維及び/又は合成繊維との混合物を含むものとすることができる。完成紙料はまた、製紙技術分野で周知されているように、添加剤又は他の材料、例えば、充填材、粘土及び二酸化チタン、界面活性剤、消泡剤などを含むことができる。
【0017】
本明細書で用いる「ポリマー」という用語は、一般に、ホモポリマー、例えばブロックコポリマー、グラフトコポリマー、ランダムコポリマー及び交互コポリマーなどのコポリマー、並びにターポリマー、並びにそれらの混合物及び修飾体を含むが、それらに限定されるものではない。さらに、別に特に限定されない限り、用語「ポリマー」は、物質の全ての可能な幾何学的配置を含むものとする。これらの配置は、アイソタクチック、シンジオタクチック、ランダム対称を含むが、これらに限定されない。
【0018】
「熱可塑性ポリマー」という用語は、本明細書においては、加熱した時に軟化して流動性となる任意のポリマー、即ち、ポリマーの分解温度以下で加熱される限り、特性の基本的な変化をなにも受けずに何回も加熱して軟化させることができる任意のポリマーを指すものとして用いる。熱可塑性ポリマーの例には、例証としてのみであるが、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、アクリルエステルポリマー及びコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニルなど、及びそれらのコポリマーが挙げられる。
【0019】
当業者であれば、ここでの説明は、例示的な実施形態のみの説明であり、例示的な構築において具体化される本発明のより広範囲の態様を限定することを意図したものではないことを理解するはずである。
【0020】
一般的に言えば、本発明は、基材がその表面上に無被覆の不透明でない領域に囲まれた不透明領域を有するようにする方法に向けられる。暗色の基材上における不透明領域は、該不透明領域と基材の暗色背景とのコントラストによって、基材上に画像を形成することができる。不透明領域は、画像を有色及び/又は暗色基材上に形成するか又は移すのに特に有用である。具体的には、本開示は画像を基材に熱転写して、その結果、基材の不透明領域のみが被覆を有し、不透明でない領域を実質的に全く被覆がない(例えば、溶融性被覆層が全くない)状態で残すようにする方法に向けられる。従って、本方法は、プロセス内で用いられる熱転写シートを何も切り取る必要なしに、当業者が容易に実施することができる、無用物除去可能な熱転写法を開示する。さらに、画像又は紙の位置合せを行わずに不透明(例えば白色)画像を基材に形成することができる。
【0021】
切取り又は無用物除去が必要ないので、簡単なトナープリンタ及び加熱プレスを有する者であれば、殆ど誰でも、以下の方法を用いて、基材に熱転写するための彼ら自身のカスタマイズした画像を作成することができる。従って、現在のところ、画像を基材に形成するのに熱転写法を利用できない多くのユーザが、今からは、彼ら自身の画像を用いて基材上にカスタマイズした画像を作成することができるようになる。
【0022】
さらに、基材への不透明層の転写の制御により、有色及び/又は暗色基材に、透明被覆を基材の他の非画像形成領域に貼付けずに、画像形成することができる。
【0023】
本発明の方法は、一般に、不透明被覆を基材に形成するための複数回の熱転写を伴う3つの別々のシートに関わる。不透明被覆は、一般に不透明被覆シートによって供給される。しかし、不透明被覆は、実質的に非粘着性(転写層においても)であるので、被覆転写シートを用いて基材と不透明被覆の間の接着層として機能する溶融性被覆層を準備する。最後にトナー印刷可能シートを用いて、トナーインクをトナー印刷可能シートにレーザ印刷することにより画像を形成する。次にトナー印刷可能シート上のトナーインクを利用して、被覆転写シート上の溶融性被覆層を形成できるようにする。
【0024】
本発明の方法の遂行中に、種々の中間転写シートを形成することができる。形成される特定の中間転写シートは、画像を形成するのに選択される方法に依存する。
【0025】
I.被覆転写シート
基材上に被覆された画像を作成するために、被覆転写シートを用いて、基材と不透明被覆層の間の接着剤として機能する溶融性被覆層を形成する。
例示的な被覆転写シート10は、図1において溶融性被覆層12を有するものとして示されている。溶融性被覆層12が剥離層14の上に重なり、剥離層14が基層16の上に重なっている。従って、溶融性被覆層12は、被覆転写シートの外表面18を定める。図1には2つの別々の層として図示されているが、剥離層14を基層16内に含ませて、これらが、外観上、剥離性を有する1つの層を形成するようにすることができる。
【0026】
上記のように、溶融性被覆層12は、基層16及び剥離層14の上に重なる。溶融性被覆層12の坪量は、一般に約2乃至約70g/m2の範囲のいずれかとすることができる。溶融性被覆層12の坪量は、約20乃至約50g/m2の範囲のいずれかとすることが望ましく、約25乃至約45g/m2の範囲のいずれかとすることがより望ましく、約25乃至約45g/m2の範囲のいずれかとすることがさらに望ましい。溶融性被覆層12は、基層及び剥離層の上の、膜形成結合剤及び粉末熱可塑性ポリマーの1つ又はそれ以上の被覆又は層を含む。被覆又は層の組成は、同じでも異なるものでも良い。溶融性被覆層12は、約10重量パーセントを上回る膜形成結合剤と、約90重量パーセント未満の粉末熱可塑性ポリマーとを含むことが望ましい。特定の一実施形態において、溶融性被覆層12は、(乾燥重量に基づいて)約40%乃至約75%の粉末熱可塑性ポリマー及び約20%乃至約50%の膜形成結合剤、例えば、約50%乃至約65%の粉末熱可塑性ポリマー及び約25%乃至約40%の膜形成結合剤を含む。
【0027】
一般に、膜形成結合剤及び粉末熱可塑性ポリマーの各々は、約65℃乃至約180℃の範囲で溶融することができる。例えば、膜形成結合剤及び粉末熱可塑性ポリマーの各々は約80℃乃至約120℃の範囲で溶融することができる。膜形成結合剤又は粉末熱可塑性ポリマーの溶融挙動に関する製造者の公表データは、本明細書で記述する溶融要件と相関する。しかし、材料の性質に応じて真の融点又は軟化点の何れかが与えられている可能性があることに留意されたい。例えば、ポリオレフィン及びワックスなどの材料は、主として直鎖ポリマー分子から成り、融点以下では多少結晶性であるので、一般に比較的狭い温度範囲で溶融する。融点は、製造者によって与えられていない場合には、示差走査熱量測定法のような既知の方法で容易に測定することができる。多くのポリマー、特にコポリマーは、ポリマー鎖内での分岐又は側鎖置換基のために非晶質である。これらの材料は温度が上昇するにつれてよりゆるやかに軟化及び流動し始める。例えばASTM試験法E−28により測定されるこれらの材料の環球法軟化点は、本発明におけるそれらの挙動を予測するのに有用である。
【0028】
分子量は一般に熱可塑性ポリマーの融点特性に影響するが、熱可塑性ポリマーの実際の分子量は熱可塑性ポリマーの融点特性と共に変化する。一実施形態において、熱可塑性ポリマーは、約1,000乃至約1,000,000の平均分子量を有するものとすることができる。しかし、当業者であれば認識するであろうが、ポリマーの他の性質、例えば、架橋結合の程度、ポリマー骨格から外れる分岐鎖の程度、基層16上を被覆したときのポリマーの結晶構造などが、ポリマーの融点に影響する可能性がある。
【0029】
粉末熱可塑性ポリマーは、本明細書で説明する基準に適合する任意の熱可塑性ポリマーとすることができる。例えば、粉末熱可塑性ポリマーは、ポリアミド、ポリエステル、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリオレフィンなどとすることができる。さらに、粉末熱可塑性ポリマーは、直径約2乃至約50マイクロメートルの粒子から成るものとすることができる。同様に、本明細書で指定する基準に適合する任意の膜形成結合剤を用いることができる。幾つかの実施形態においては、水に分散可能なエチレンアクリル酸コポリマーを用いることができる。
【0030】
溶融性被覆層内には、他の添加剤が存在するようにしても良い。例えば、界面活性剤を添加して、幾つかの成分、特に粉末熱可塑性ポリマーを分散させる補助とすることができる。例えば、界面活性剤が、溶融性被覆層内に約20%まで、例えば約2%乃至約15%存在するようにすることができる。例示的な界面活性剤には、親水性ポリエチレンオキシド基(平均して9.5個のエチレンオキシド単位を有する)及び炭化水素親油性即ち疎水性基(例えば、4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニル)を有する非イオン界面活性剤、例えば市販のTriton(登録商標)X−100)(Rohm&Haas社、フィラデルフィア、ペンシルバニア州)のような非イオン界面活性剤を挙げることができる。特定の一実施形態においては、溶融性被覆層内に少なくとも2つの界面活性剤の組合せが存在する。
【0031】
また、可塑剤を溶融性被覆層内に添加することができる。可塑剤は、一般に、プラスチックのガラス転移温度を低下させる(従ってより柔らかにする)ことにより、最終製品の可撓性を増加させる。一実施形態において、可塑剤は、溶融性被覆相内に約40重量%まで、例えば約10重量%乃至約30重量%の量で存在するようにすることができる。1つの特に好適な可塑剤は1,4−シクロヘキサンジメタノールジベンゼンであり、これは、例えば商品名Benzoflex352(Velsicol Chemical社、シカゴ)で市販されている化合物である。同様に、粘度調整剤を溶融性被覆層内に存在させることができる。粘度調整剤は、塗布するときの被覆のレオロジーを制御するのに有用である。また、インク粘度調整剤は、特許文献2に記載されているように、インクジェット印刷可能熱転写被覆に対して有用である。インクジェット印刷可能被覆に対して特に好適な粘度調整剤は、例えば、Alkox R400(明成化学工業株式会社)の商品名で市販されている化合物のような高分子量ポリエチレンオキシドである。粘度調整剤は、例えば約5重量%まで、例えば約1重量%乃至約4重量%の任意の量を含めることができる。
【0032】
一般に、被覆転写シート10内に剥離層14を含むようにして、(以下でより詳細に説明するように)第1の転写に際して溶融性被覆層12の一部分の剥離を、次いで第2の転写に際して残りの溶融性被覆層12の剥離を促進させるようにする。剥離層14は、可剥性ラベル、マスキングテープなどを製造する技術分野で周知の、種々様々な材料から作成することができる。一実施形態において、剥離層14は、転写温度において基本的に粘着性を有しない。本明細書で用いる語句「転写温度において基本的に粘着性を有しない」は、剥離層14が、上に重なる溶融性被覆層12に、転写の質に悪影響を及ぼす程には付着しないことを意味する。正しく機能させるためには、溶融性被覆層12と剥離層14の間の接着は、転写後に溶融性被覆層12を基層16から取り除くのに、約0.01乃至0.3ポンド毎インチの力が必要となるようにする必要がある。この力が大き過ぎると、溶融性被覆層12又は基層16は、取り除くときに裂けるか、又は伸びて変形することになる。この力が小さ過ぎると、溶融性被覆層12は、処理中に不必要に剥離する可能性がある。剥離力は、例えば圧力感受性テープを溶融性被覆に貼付け、剥離力を測定するための装置(例えばInstronの引張試験機など)を用いて測定することができる。
【0033】
剥離層の層厚は重要ではなく、多くの要因に応じて大幅に変えることができ、これらの要因は、被覆される基層16、及びそれに形成される溶融性被覆層12を含むが、これらに限定されるものではない。典型的には、剥離層の厚さは約2ミル(52ミクロン)より小さい。より望ましくは、剥離層の厚さは約0.1ミル乃至約1.0ミルより小さい。さらに望ましくは、剥離層の厚さは約0.2ミル乃至約0.8ミルより小さいものとする。剥離層の厚さはまた、坪量を用いて記述することができる。剥離被覆層は、約45g/m2より小さい、例えば約2乃至約30g/m2の坪量を有することが望ましい。
【0034】
任意ではあるが、被覆転写シート10は、基層16と剥離層14の間に順応層(図示せず)をさらに含むようにして、溶融性被覆層12と、熱転写中に接触する対向表面との間の接触を容易にすることができる。
【0035】
基層16は、付加的な層の被覆、転写条件、及び溶融性被覆層12と熱転写中に接触する対向表面との分離における取扱いに対して十分な強度を有するものであれば、どのようなシート材料でもよい。例えば、基層16は、膜又はセルロース系不織ウェブとすることができる。基層16は廃棄されるものであるので、基層の正確な組成、厚さ又は重量は重要ではない。可能な基層16の幾つかの例には、セルロース系不織ウェブ及びポリマー膜が含まれる。本発明には、多くの異なる種類の紙が適しており、これらには、普通のリソグラフィラベル用紙、ボンド紙、ラテックス浸透紙が含まれるが、これらに限定されるものではない。一般に、約4ミル厚の裏紙が殆どの用途に適している。例えば、紙は、普通のオフィスプリンタ又はコピー機に使用される種類の、例えばAvon White Classic Crest(登録商標)(Neenah Paper社)の1300平方フィート当たり24ポンドの紙とすることができる。
【0036】
基層16上に塗工して被覆転写シート10を形成する層は、例えばロール、ブレード、マイヤーロッド、及びエアーナイフ被覆方法などの、既知の被覆技術によって所与の層の上に形成することができる。結果として得られる画像転写材料は、次に、例えば、蒸気加熱ドラム、空気衝突、放射加熱、又はそれらのある組合せを用いて乾燥することができる。
【0037】
一実施形態において、画像は、最後に最終基材に転写されることになる被覆画像の鏡像として、被覆転写シート上に印刷することができる。この画像は、“染料昇華”インクを使用することにより、最終画像形成基材の上に重なる不透明層を通して見えるように処理することができる。画像は、被覆転写シート上に印刷し(例えば、インクジェット印刷)、引用により本明細書に組み入れられる特許文献3(2007年10月25日出願)に開示さているような、レーザ印刷可能シート上のトナーインクから形成されたネガ像と位置合わせすることができる。染料昇華インクからの染料は、最終転写ステップにおいて、非粘着性不透明化層を通して拡散又は昇華させることができる。従って、この画像は、最終被覆基材の上で見えるようになる。当業者であれば、そのような鏡像を、多くの市販のソフトウェア画像/設計プログラムの何れか1つを用いて作成し、印刷することができるであろう。これらの印刷方法の多大な可用性のために、殆ど全ての消費者が、独自の画像を容易に作成して基材上に被覆画像を作成することができる。
適切な染料昇華インクの例としては、ChromaBlast(登録商標)(Sawgrass Technologies社、チャールストン、南カロライナ州)の名称で市販されているものがある。
【0038】
これを用いると、溶融性被覆層12上の染料昇華インクから形成された画像は、インクジェットプリンタにより被覆転写シート上にデジタル印刷することができる。デジタルインクジェット印刷は、高品質画像を印刷する周知の方法である。勿論、任意の他の印刷法を用いて画像を印刷可能シート上に印刷することができ、それら印刷法としては、フレキソ印刷、直接的及びオフセット的なグラビアプリンタ、シルクスクリーニング、タイプライタ、トナーベースのプリンタ及びコピー機、ドットマトリックス・プリンタなどがあるが、それらに限定されるものではない。通常、インクの組成は、当技術分野で周知のように、用いる印刷法に応じて変わることになる。
【0039】
II.第1の熱転写
トナー印刷可能シートは、第1の熱転写において被覆転写シート10から溶融性被覆層12の一部分を除去するのに用いられる。トナーインクは、トナー印刷可能シートの非画像形成領域が最終的な画像形成基材上の不透明領域に対応するように、トナー印刷可能シート上に印刷される(以下に論じるように、選択された貼付け技術に応じて、直接に対応するか又は鏡像として間接に対応する)。
【0040】
ネガ像が、レーザプリンタ又はレーザコピー機により、トナー印刷可能シート上に印刷される。例えば、図2を参照すると、トナー印刷可能シート20は、トナーインク22により形成されるネガ像を有するものとして示されている。非画像形成領域24は、トナー印刷可能シート20上にポジ像を形成し、このポジ像は、以下に論じるように、基材に形成される画像に(直接又は間接に)対応する。当業者であれば、幾つかの市販のソフトウェアプログラム又はコピー機の何れか1つを用いてネガ鏡像を作成することができる。
【0041】
トナー印刷可能シートは、市販のレーザプリンタ及びコピー機用のものが容易に入手できる。一般に、トナー印刷可能シートは、セルロース系不織ウェブ(例えば紙)とすることができる。トナー印刷可能シートは、第1の転写ステップの後で廃棄されるので、トナー印刷可能シートの正確な組成、厚さ又は重量は重要ではない。
【0042】
多くの異なる種類の紙がトナー印刷可能シートに適しており、これらには、普通のリソグラフィラベル用紙、ボンド紙、ラテックス浸透紙が含まれるが、これらに限定されるものではない。一般に、約4ミル厚の紙が、殆どの用途に適している。例えば、紙は、普通のオフィスプリンタ又はコピー機に使用される種類の、例えばNeenah Paper社のAvon White Classic Crestの、1300平方フィート当たり24ポンドの紙とすることができる。
【0043】
トナーインク22を使用すると、トナーインク22が高温で粘着性になるため、トナー印刷可能シート20上のトナーインク22が存在する画像形成表面に対して接着特性がもたらされる。しかし、トナーインクを粘着性にするのに必要な温度は、溶融性被覆層12の粉末熱可塑性ポリマーの融点よりも低い。
【0044】
最終基材上の不透明層が存在することになる領域のみに溶融性被覆層12を存在させることが望ましいので、溶融性被覆層12の一部分が、トナー印刷可能シート20上のネガ像によって被覆転写のシート10から除去される。被覆転写シート10からの溶融性被覆層12のこの部分の除去を遂行するためには、被覆転写シート10とトナー印刷可能シート20を位置合せして、図3に示すように溶融性被覆層12の外表面18がトナーインク22とトナー印刷可能シート20の非画像形成領域24とに接触するようにする。
【0045】
溶融性被覆層12の上に画像が形成されると、次いで、この画像がトナー印刷可能シート20上のトナーインク22によって形成されるネガ像と位置合わせされる。本明細書で用いる「位置合わせされる」という用語は、被覆転写シート10の外表面18上のインクにより画定される画像が、トナー印刷可能シート20上の非画像形成領域24と実質的に合わせられることを意味する。例えば、被覆転写シート10とトナー印刷可能シート20は、トナー印刷可能シート20の非画像形成領域24のみが、被覆転写シート10の溶融性被覆層12の上の染料昇華インクと接触するように、向い合せで位置合せされる。同様に、トナー印刷可能シート20上のトナーインク22は被覆転写シート10の溶融性被覆層12の非画像形成領域と接触する。勿論、画像の複雑さに応じてある最小量の重なりが、残りの転写ステップに著しい影響を及ぼさずに起こり得る。さらに、白色の不透明背景又は他の部分画像を基材に転写したい場合には、それらの部分は、トナー印刷可能シート20の非画像形成領域に対応する溶融性被覆層12の非印刷領域を残すことによって得ることができる。
【0046】
ひとたび互いに接触した状態に配置されると、熱H及び圧力Pが加えられて、図4に示すような一時的なラミネートが形成される。熱H及び圧力Pを加えることにより、被覆転写シート10とトナー印刷可能シート20は一時的ラミネートとして共に張り合わされる。熱H及び圧力Pは一時的ラミネート内でトナーインク22を溶融性被覆層12に接着させる。被覆転写シート10をトナー印刷可能シート20から分離する(ばらばらに剥がす)と、図5に示すように、被覆トナー印刷シート26及び中間画像形成被覆転写シート28が作成される。
【0047】
溶融性被覆層12が被覆転写シート10から取り除かれて、溶融性被覆層12に接触しなかった領域のみにトナーインク22が残留した溶融性被覆層12を有する中間画像形成被覆転写シート28が形成される。トナーインク22は、ネガ像としてトナー印刷可能シート20に塗布されているので、中間画像形成被覆転写シート28上の残留溶融性被覆層12が、中間画像形成被覆転写シート28上に画像を形成する(即ち、中間画像形成被覆転写シート28上にポジ像が形成される)。この分離により形成された中間画像形成被覆転写シート28上の残留溶融性被覆層12は、最終製品上の不透明材料と基材の間を接着させる。同様に、トナー印刷可能シート20上のトナーインク22は、ここで被覆転写シート10からの溶融性被覆層12で被覆されて被覆トナー印刷シート26を形成し、そしてトナー印刷可能シート20の非画像形成領域24には被覆が全く存在しない。この被覆トナー印刷シート26は、トナー印刷可能シート20の有用性が終わった(余分な溶融性被覆層12が被覆転写シート10から取り除かれた)ので、廃棄することができる。
【0048】
一時的ラミネートを形成し、被覆転写シート10からの溶融性被覆層12をトナー印刷可能シート20のトナーインクにより形成されるインク塗布領域に付着させるのに必要な温度は、一般的に、溶融性被覆層12中の熱可塑性粒子の融点及び/又は軟化点よりも低い。例えば、転写温度(即ち、H)は約50℃乃至約150℃、例えば約80℃乃至約120℃とすることができる。この温度においてトナーインク22は軟化し溶融して、トナー印刷可能シート20の画像形成領域に接触した溶融性被覆層12に付着するのに十分に粘着性を帯びると考えられる。従って、分離後、トナー印刷可能シート20のインク塗布領域(即ち、トナーインクにより画定されるネガ像)は、被覆転写シート10の溶融性被覆層12に付着し、これらの領域を被覆転写シート10から効果的に除去する。一方、トナー印刷可能シート20の非画像形成領域24に接触した溶融性被覆層12の領域は、トナー印刷可能シート20に付着しない。従って、分離後、溶融性被覆層12の画像形成領域のみが被覆転写シート10上に残留し、中間画像形成被覆転写シート28が形成される。
【0049】
III.基材への不透明領域の熱転写
ここで、中間画像形成被覆転写シート28を用いて、不透明画像と基材の間の付着を行わせることができる。不透明層は、図6及び図13に示すように、不透明被覆層32を有する不透明転写シート30によって供給される。不透明被覆層32は、補強層34及びベースシート36の上に重なる。
【0050】
不透明被覆層32は、不透明化剤(opacifier)を含む。暗色の有色布帛の装飾のために、熱転写材料中に不透明層を用いることは、引用により本明細書に組み入れられるKronzerによる特許文献4に記載されている。不透明化剤は、その界面で光を散乱して転写被覆を相対的に不透明にする粒子状材料である。不透明化剤は、白色で光散乱に好適な粒径及び密度を有するものであることが望ましい。そのような不透明化剤は、グラフィック技術分野の当技術者にはよく知られており、それらとしては、酸化アルミニウム及び二酸化チタンなどの無機物の粒子又はポリスチレンのようなポリマーの粒子がある。それぞれの場合に必要な不透明化剤の量は、所望の不透明度、不透明化剤の効率、及び転写被覆の厚さに依存することになる。例えば、1ミル厚の膜内の約20パーセントの濃度の二酸化チタンは、黒色ファブリック材料の装飾に適当な不透明度をもたらす。二酸化チタンは非常に効率的な不透明化剤であり、他の種類のものは、一般に、同じ結果を達成するのにより多く配合することが必要となる。
【0051】
不透明被覆層32内に粒子状不透明化剤が存在しても、不透明被覆層32は転写温度においては実質的に溶融し、及び/又は流動しない。従って、不透明被覆層32は、不透明被覆層32と基材の間に別個の層(例えば、溶融性被覆層12)を用いない限り、基材に効果的に付着又は接着しないことになる。不透明被覆層32のこの構造は、不透明被覆層32が基材の表面上に残留してその可視性を最大にすることを確実にする。
【0052】
特定の一実施形態において、不透明被覆層32は架橋ポリマー材料を含む。架橋した不透明層は、暗い着色基材上で用いたとき、画像の灰色化及び不透明度の損失を抑制するように設計される。そのような不透明被覆層32は、ポリマー結合剤、架橋剤、及び不透明化材料を含むものとすることができる。架橋剤は、ポリマー結合剤と反応して3次元ポリマー構造体を形成し、この構造体は熱で軟化するが基材中に認め得るほどには流れ込まない。布帛中への流れ込みが生じると、白色画像が明瞭でなくなり又は外観が不鮮明になる。本発明において用いることができる架橋剤には、多官能性アジリジン架橋剤(例えば、ニュージャージ州バーミンガム所在のSybron Chemical社からのXAMA7)、多官能性イソシアネート、エポキシ樹脂、オキサゾリン、及びメラミンホルムアルデヒド樹脂が含まれるが、これらに限定されない。別の例示的な架橋剤は、CR5L(Esprit Chemical社、サロソタ、フロリダ州)の名称で市販されている水溶性エポキシである。一実施形態において、架橋剤の組合せを用いて、架橋層が転写温度において溶融又は流動しないことを確実にするのに十分な程度までポリマー材料の架橋を促進することができる。
【0053】
非付着性被覆内の架橋剤の量は変えることができる。上の好ましい実施形態における量は、被覆を転写温度(例えば、約150℃乃至約250℃)において非粘着性にするのに必要な最小量に近い。しかし、必要以上の架橋剤を使用すると、画像の縁部に「切れ目」を生じる可能性が増えることがある。しかしながら、必要より約5倍も多くの架橋剤も、幾つかの用途では許容できると考えられる。
【0054】
例えば、架橋可能なポリマー結合剤にカルボキシル基を含ませ、架橋剤が、例えばエポキシ樹脂、多官能性アジリジン、カルボジイミド又はオキサゾリン官能性ポリマーなどのカルボキシル基と反応するようにすることができる。必要な架橋剤の量は、ポリマー結合剤、及び架橋剤の効率に依存して変わることになる。例えば、XAMA7(Sybron Chemical社、バーミンガム、ニュージャージ州)のような多官能性アジリジンは僅か数パーセントの濃度で有効である。エポキシ樹脂などの他の架橋剤は、カルボキシル化ポリマーによって、通常約1重量パーセント乃至約20重量パーセントの量が必要になる。他の型の架橋反応には、ヒドロキシル基を有するポリマーと、メラミンホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド又はアミンエピクロロヒドリン架橋剤との間の反応が含まれる。ヒドロキシル官能性ポリマーはまた、多官能性イソシアネートと架橋することができるが、イソシアネートは、水と反応するので無水溶媒を必要とする。
【0055】
カルボキシル基を有する他のポリマー分散液は様々な種類のものが入手可能であり、それにはアクリル樹脂(オハイオ州クリーブランド所在のB.F.Goodrich社からのCarboset樹脂など)、ポリウレタン(ニューハンプシャー州シーブルック所在のK.J.Quinn and Company)及びエチレンアクリル酸コポリマー(オハイオ州シンシナチ所在のMichleman Chemical社によるMichem Primeの名称で販売されているものなど)が含まれる。上記のように、必要な架橋剤の量は、ポリマー及びカルボキシル基含有量に応じて変えることができる。例えば、Michleman Chemical社からのMichem Prime4983は僅か1乃至3パーセントのXAMA−7架橋剤を必要とする。
【0056】
特定の一実施形態において、転写温度で溶融しない比較的大きなポリマー粒子を、不透明被覆層32に含めることができる。これらの粒子は、ポリマー粒子の融点を上昇させるように架橋ポリマーから作成される。例えば、比較的大きなポリマー粒子は、約1ミクロンを上回る、例えば約5ミクロン乃至約30ミクロンの平均粒径を有することができる。例示的なポリマー粒子には、ニューヨークのGSI Exim America社からDaiplacoat RHLの名称で市販されている架橋ポリウレタン粒子(例えば、5乃至8ミクロンの平均粒径を有するDaiplacoat RHL 731、及び12乃至17ミクロンの平均粒径を有するDaiplacoat RHL 530)が含まれる。他の例示的なポリマー粒子には、17ミクロン乃至23ミクロンの粒径及び約217℃の融点を有する、Orgasol 1002D NAT(Arkema社、フィラデルフィア、ペンシルバニア州)の名称で市販されているナイロン6粒子が含まれる。
【0057】
そのような大きなポリマー粒子を用いると、不透明被覆層32が一層明瞭にに分離して基材上に画像を形成することができる。理論に束縛されることを望むものではないが、これらの比較的大きなポリマー粒子を含めることは、特に架橋している場合、基材への転写中に層の分離を容易にすると考えられる。比較的大きなポリマー粒子は、不透明被覆層32内に(例えば、膜内に又は架橋ネットワーク内に)不連続部を生じ、転写プロセス中に不透明被覆層32の分離を容易にする。比較的大きなポリマー粒子は、基材上に形成される画像によりクリーン且つより明確な縁を与えることができる。さらにこれらの比較的大きなポリマー粒子を含めることによって、不透明被覆層32の厚さを増すことが可能になり、これにより不透明度を高めることができる。例えば、不透明被覆層32の厚さは約0.5ミルを上回る、例えば約0.5ミル乃至約3ミル、及び約1ミル乃至約2ミルの厚さにすることができる。
【0058】
比較的大きなポリマー粒子は、不透明被覆層32中に、不透明被覆層の約40重量%まで、例えば約1重量%乃至約25重量%、そして例えば約5重量%乃至約30重量%の量を含めることができる。
【0059】
本出願において、不透明化剤(例えば二酸化チタン)の量は比較的多く、例えば約80重量%までである。例えば、不透明化剤は約20%乃至約75%、例えば、約50%乃至約75%の量で存在することができる。この不透明被覆層32内の亀裂は随意の補強層を用いることによって抑制することができる。他の実施形態においては、適度な量の顔料だけが不透明被覆層32中に必要となる。「適度な」によって、約15重量%乃至約60重量%、例えば約20重量%乃至約40重量%を意味する。この顔料の量は、例えば約0.5乃至約2ミルの膜厚により、ファブリック内への顔料含有層の浸透が架橋によって防止されることを条件として、必要な不透明度を与えるのに十分である。
【0060】
不透明被覆層32の厚さは、約0.4ミル乃至約2ミルとすることができる。架橋されると、不透明被覆層32は、不透明化剤、架橋可能なポリマー結合剤、及び加熱したときに硬化するのが望ましい架橋剤を含むものとなる。他の材料、例えば界面活性剤、分散剤、加工補助剤なども層内に存在するようにすることができる。
【0061】
布帛の装飾に必要な不透明度を与えるために、被覆が布帛の表面上に実質的に残留する必要がある。転写工程において、熱及び圧力が被覆を基材内に実質的に埋め込む状態にすれば、基材の暗色が透けて見えて作品に灰色又は白亜色の外観を与えるようになる。従って、被覆は、望ましい転写温度において流動化温度まで軟化するのに抗する必要がある。基材上の不透明被覆層32を支持している溶融性被覆層12が、転写温度において基材上で溶融し流動する(即ち、溶融流動性)ことを考えると、溶融性被覆層12と不透明被覆層32の間の必要な関係が明らかになる。不透明被覆層32は、溶融性被覆層12軟化点又はそれ以下で流動化してはならない。「流動化」及び「軟化点」という用語は、本明細書では実際的な意味で用いる。流動化という用語は、被覆が基材上で(例えば、布帛の繊維の隙間に)容易に流動することを意味する。「軟化点」という用語は、環球法軟化点など、幾つかの方法で定義することができる。環球法軟化点の測定は、ASTM E28に従って行われる。溶融流動指数は、溶融性ポリマーの流動特性を記述するのに有用である。例えば、溶融性被覆層12に対しては、ASTM法D1238−82による0.5乃至約800の溶融流動指数が望ましい。不透明被覆層32に関しては、溶融流動指数は、溶融性被覆層12よりも少なくとも10倍、望ましくは100倍、最も望ましくは1000倍小さくする必要がある。架橋したとき、不透明被覆層32は、通常、架橋3次元ポリマー構造の形成により、転写温度においては認め得るほどには流動しない、という望ましい特性に適合するものとなる。
【0062】
不透明被覆層32は、水又は溶媒中のポリマーの分散液又は溶液の形態で、分散させた不透明化剤、架橋剤、及び任意の他の材料と共に、ベースシート36に塗布することが望ましい。上記の多くの種類のポリマーは、溶媒中の溶液として又は水中の分散液として入手できる。例えば、アクリルポリマー及びポリウレタンは、溶媒又は水をベースとする多種多様なラテックス形態で入手できる。他の有用な水ベースの種類としては、エチレン酢酸ビニルコポリマー格子、エチレンメタクリル酸コポリマーのイオノマー分散液、及びエチレンアクリル酸コポリマー分散液がある。多くの場合、装飾された布帛の耐洗濯性及び優れた耐水性が必要となる。界面活性剤を含まないポリマー調合液、例えば溶媒中のポリウレタン又は水中のアミン分散ポリマー、例えばポリウレタン及びエチレンアクリル酸分散液などはこれらの要件を満たすことができる。
【0063】
図に示すように、任意に設けられる補強層34を、不透明被覆層32とベースシート36の間に配置してもよい。この付加的な補強層34は、ベースシート36からの不透明被覆層32の分離性を改善することができ、基材に転写される不透明被覆層32の一部分の上に保護被膜を形成することができる。一実施形態において、補強層34は、溶融性被膜層12に関連して上で論じたのと類似の材料を含む。従って、補強層34は、基材への不透明被膜層32の転写温度において軟化し、及び/又は溶融することになる。不透明化材料をまた、補強層34に加えてある程度の不透明さを層に与えることができる。不透明化材料は、例えば、比較的適度な量(例えば、約15重量%乃至約60重量%、例えば約20重量%乃至約40重量%)で存在させることができる。
【0064】
補強層34の軟化及び/又は溶融は、この層が転写に際して分裂(例えば、分離)し、補強層34の一部分がベースシート36上に残り、補強層34の一部分が基材上に移動することを可能にする。この補強層34の分裂は、簡単のために図には描いていないが、当業者であれば、補強層34は、図9−10又は図14−15に示した転写に際して分裂することになり、補強層34の一部分が、ベースシート36と、基材42の上に重なる不透明被覆層32の移動部分との両方の上に残ることを認識するはずである。この補強層34の移動部分は、下層の不透明被膜層32が基材42上で摩滅することを防ぐ。
また、不透明転写シート30のベースシート36と共に、剥離層(図示せず)を設けることができる。
【0065】
上記のように、不透明被覆層32は、不透明被覆層32を基材の表面に付着させるための中間画像形成被覆転写シート28の上の残留溶融性被覆層12を用いて、基材に形成される。不透明被覆層32は、本開示の方法を用いて任意の基材(例えば、多孔性基材)に形成することができる。勿論、溶融性被覆層12及び不透明被覆層32は、装飾するように選択した特定の基材に適合するように設計することができる。例えば、粗く重い材料のために設計された転写には、絹のような非常に軽い材料又は革のような多孔性の低い材料用に設計された被覆よりも重い被覆が必要となる。特定の一実施形態において、基材は、衣類(例えば、シャツ、パンツなど)を作るのに用いられるような布である。布は、織布の製造に用いるのに適した任意の繊維(例えば、綿繊維、絹繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維など)とすることができる。例えば、基材は、綿繊維を含むTシャツとすることができる。
【0066】
不透明被覆層32の形成は、有色(即ち、白色でない)基材の装飾に特に有用である。具体的には、不透明被覆層32の不透明さは、その有色基材、特に暗色の有色(例えば、黒、茶、青、赤、緑、紫など)基材に対するコントラストを与えることができる。
【0067】
最終的な不透明画像は、各々が類似の結果を伴う2つの方法のいずれかによって、基材上に形成することができる。これら2つの方法は、第2の中間転写シート又は基材への二重熱転写のいずれかの使用を含む。
【0068】
A.第2の中間転写シートの使用
基材上に不透明画像を形成するための1つの特に適した方法が、図6−10に順次的に示されており、この方法は、図16に示す最終基材を形成する。この方法は、不透明被覆を基材に転写するための第2の中間転写シートを形成することを含む。溶融性被覆層12は、この方法においては、2回転写される(全部で3回の溶融性被覆層12の転写)ので、トナー印刷可能シート20上のトナーインクで形成されたネガ像は、画像形成基材上で不透明領域によって定められる画像に間接的に対応することになる。即ち、鏡像のネガ像が、トナー印刷可能シート20上にトナーインク22により印刷される。従って、上記の第1の転写によって、中間画像形成被覆転写シート28の上に残留した溶融性被覆層12は、最終画像形成基材上に生じる画像に直接対応する。
【0069】
不透明転写シート30は、中間画像形成被覆転写シート28に隣接して、図6及び図7に示すように、不透明被覆層32の露出表面38が中間画像形成被覆転写シート28上の残留溶融性被覆層12に接触するように配置される。熱H’及び圧力P’を加えて第2の一時的ラミネートを形成する。熱H’は、この第2のラミネートに、残留溶融性被覆層12を軟化及び/又は溶融させるのに十分な温度で加えられ、溶融性被覆層12が不透明転写シート30の不透明被覆層32に付着することを可能にする。一実施形態においては、この第2の転写は、約120℃を上回る、例えば約150℃乃至約200℃の温度で実施することができる。
【0070】
この第2の一時的ラミネートは、次に図8に示すように中間溶融被覆不透明転写シート40から分離することができる。この中間溶融被覆不透明転写シート40は、次に不透明被覆層32を基材に転写するのに用いられる。
【0071】
中間画像形成被覆転写シート28は、今やその溶融性被覆層12をもっておらず、ここで廃棄することができる。何故なら、中間画像形成済み被覆転写シートは、接着剤類似層(即ち、残留溶融性被覆層12)を不透明転写シート30の不透明被覆層32に供給する目的を果たしたからである。
【0072】
中間溶融被覆不透明転写シート40は、不透明被覆層32の露出表面38上の溶融性被覆層12の存在により形成された画像を有する。この画像は基材に貼付けられる画像の鏡像である。溶融性被覆層12はここで不透明被覆層32を、基材42の溶融性被覆層12が存在する領域のみに固着させる接着剤として機能することができる。このようにして、不透明被覆層32を基材42に移して画像を形成することができる。
【0073】
不透明被覆層32の基材42への転写を達成するために、中間溶融被覆不透明転写シート40を、基材42に隣接して、図9に示すように、溶解性被覆層12が基材42に接触するように配置する。熱H’及び圧力P’を加えると、溶融性被覆層12が軟化して基材42に接着又は別の形で付着できるようになる。熱は、溶融性被覆層12が基材42の上で軟化及び/又は溶融するのに十分な温度で加える。一実施形態において、この転写は、約120℃を上回る、例えば約150℃乃至約200℃の温度で行われる。
【0074】
中間溶融被覆不透明転写シート40は、次に、基材42の上に重なる溶融性被覆層12及び溶融性被覆層12の上に重なる不透明被覆層32を残して分離する(例えば、引き剥がす)ことができ、不透明被覆基材44が形成される
【0075】
不透明被覆層32は、転写温度においては軟化及び/又は流動しないので、中間溶融被覆不透明転写シート40上の不透明被覆層32の、溶融性被覆層12が存在しない部分は基材42に転写されない。このように、不透明被覆層32の溶融性被覆層12に接触する部分だけが転写され、不透明被覆層32の転写部分によって画定された画像を有する基材42が生じる。
【0076】
B.基材への2重熱転写
基材への2回熱転写を用いる代替的な方法が、図11−15に順次的に示されており、この方法は、図16に示すものと同じ最終基材を形成する。この方法は、中間画像形成被覆転写シート28の上の残留溶融性被覆層12を、第1の熱転写ステップにおいて基材に形成することを含む。次に、第2の熱転写ステップを用いて不透明被覆層32を、既に基材に転写された溶融性被覆層12に形成する。
【0077】
図11を参照すると、中間画像形成被覆転写シート28は、基材42に隣接して、画像を定める残留溶融性被覆層12が基材に接触するように配置される。中間画像形成被覆転写シート28上の画像を定める残留溶融性被覆層12の第1の基材熱転写は、基材42への第1の転写温度において、熱H’及び圧力P’を中間画像形成被覆転写シート28に加えることによって遂行される。
【0078】
分離(例えば、中間画像形成被覆転写シートを基材42から引き剥がす)後、基材42は、図12に示すように、溶融性被覆層12により形成された画像を有する。基材42の周囲表面領域には、溶融性被覆層12は存在しない。このように、余分な溶融性被覆層12が基材42に移されることはない。この方法(全部で2回の転写に関する)によれば、溶融性被覆層12の1回の付加的な転写だけが必要であるので、トナー印刷可能シート20上の非画像形成領域24によって形成されるネガ像は、最終画像形成基材上に形成される画像に直接対応する。従って、ネガ像は、トナーインクによりトナー印刷可能シート20上に印刷される(ネガの鏡像ではない)。
【0079】
第1の基材転写は、基材42上で残留溶融性被覆層32を軟化及び/又は溶融するのに十分な温度で実施される。一実施形態において、この第1の基材転写は、約120℃を上回る、例えば約150℃乃至約200℃の温度で行うことができる。
【0080】
次に、不透明転写シート30を用いる第2の基材熱転写により、基材42上に不透明層を形成する。不透明転写シート30は、被覆基材42に隣接して、図13及び図14に示すように、不透明被覆層32が基材42上の溶融性被覆層12に接触するように配置される。熱H”及び圧力P”を不透明転写シート30のベースシート36に加えると、溶融性被覆層12は、不透明被覆層32に付着するのに十分に軟化する。次に、不透明転写シート30を基材42から、基材42上の溶融性被覆層12の上に重なる不透明被覆層32を残すように、分離する(例えば、引き剥がす)ことができる。溶融性被覆層12は、不透明被覆層32を基材42に接着させる接着層として効果的に機能する。
【0081】
第1の基材転写と同様に、第2の基材転写が、基材42上の残留溶融性被覆層12を軟化及び/又は溶融させるのに十分な温度で実行される。一実施形態において、この第2の転写は、約120℃を上回る、例えば約150℃乃至約200℃の温度で行われる。
【0082】
基材42の表面に転写された不透明被覆層32は、図16に示す画像を形成する。
本発明は、以下の実施例を参照することにより、より良く理解することができる。
以下の実施例は基材への不透明画像の例示的な形成を示す。
【実施例】
【0083】
実施例1
実施例1は、図1−5及び図11−16に示す順次的方法にしたがって不透明画像を基材上に形成する過程にほぼ沿ったものである。被覆転写シートは、Classic Crest(登録商標)超平滑紙(Neenah Paper社、アルファレッタ、ジョージア州)の名称で市販されているセルロース系紙シートのベースシートを有するインクジェット印刷可能紙とした。これは、原紙を覆う1ミル厚の低密度ポリエチレンの押出形成された被覆を有するものであった。ポリエチレン被覆の上に、乾燥状態で100部のアクリルラッテクス(Hycar(登録商標)26706(The Lubrizol社、ウィックリフ、オハイオ州)の名称で市販されている)、乾燥状態で5部の多官能性アジリジン架橋剤(XAMA7(The Lubrizol社、ウィックリフ、オハイオ州)の名称で市販されている)、及び乾燥状態で2部の剥離剤(シリコーン界面活性剤190(ダウコーニング社、ミッドランド、ミシガン州)の名称で市販されている)、からなる剥離被膜が1300平方フィート当たり2.5ポンドの量で存在するものであった。溶融性被覆層は、乾燥状態で30部のエチレンアクリル酸分散液(Michem Prime4983(Michleman Chemical社、シンシナチ、オハイオ州)の名称で市販されている)、乾燥状態で100部の粉末ポリアミド(Orgasol3502D Nat(Arkema社、フィラデルフィア、ペンシルバニア州)の名称で市販されている)、乾燥状態で3部のヒドロキシプロピルセルロース(Klucel G(Aqualon Group of Hercules社、ウィルミントン、デラウェア州)の名称で市販されている)、乾燥状態で5部の界面活性剤(Tergitol 15S 40(ダウ化学社、ミッドランド、ミシガン州)の名称で市販されている)、及び乾燥状態で3部の陽イオン性ポリマー(Glascol F207(Ciba Specialty Chemicals、サフォーク、バージニア州)の名称で市販されており、ポリ(塩化ジメチルジアリルアンモニウム)ホモポリマーと考えられる)、からなるものとした。被覆の重量は、1300平方フィート当たり7.5ポンドであった。この被覆を約30%の全固形分において混合した。
【0084】
第2の転写紙は、共押出の溶融性ポリマー被覆を有する超平滑紙Classic Crest(登録商標)(Neenah Paper社)とした。紙に対する第1の共押出層は、1300平方フィート当たり7ポンドのエチレンメタクリル酸コポリマー(Nucrel599(E.I.du Pont de Nemours and Company、ウィルミントン、デラウェア州)の名称で市販されている)とした。第2の共押出層は、1300平方フィート当たり3.5ポンドのエチレンアクリル酸コポリマー(Primacor59811(ダウ化学社、ミッドランド、ミシガン州)の名称で市販されている)とした。非粘着性不透明被覆層は、1300平方フィート当たり6ポンドであり、乾燥状態で100部の二酸化チタン粉末(Ti−Pure(登録商標)RPS Vantage(登録商標)R−900(E.I.du Pont de Nemours and Company、ウィルミントン、デラウェア州)の名称で市販されている)、乾燥状態で0.5部の疎水性分散剤(Tamol731(Rohm and Haas、フィラデルフィア、ペンシルバニア州)の名称で市販されており、無水マレイン酸コポリマーのナトリウム塩と考えられる)、乾燥状態で40部のエチレンアクリル酸分散液(Michem Prime4983(Michleman Chemical社、シンシナチ、オハイオ州)の名称で市販されている)、乾燥状態で0.5部の多官能性アジリジン架橋剤(XAMA7(The Lubrizol社、ウィックリフ、オハイオ州)の名称で市販されている)、乾燥状態で0.5部のエポキシ樹脂(CR5L(Esprix Technologies、サラソタ、フロリダ州)の名称で市販されている)、0.025部のエポキシ硬化剤(lmicure(登録商標)AMI2(Air Products and Chemicals社、アレンタウン、ペンシルバニア州)の名称で市販されており、2−メチルイミダゾールと考えられる)、及び乾燥状態で15部の架橋ポリウレタン(Daiplacoat EHC731(GSI Exim America社、ニューヨーク、ニューヨーク州)の名称で市販されている)からなるものとした。この被膜は約40%の全固形分において混合した。
【0085】
用いたトナー印刷可能紙は、24ポンドのClassic Crest(登録商標)超平滑紙(Neenah Paper社)であった。黒色画像の「ネガ」をLexmark C782プリンタを用いてトナー印刷可能紙に印刷した。この印刷したシートを加熱プレス機内で、250°F(約121℃)において強い圧力で第1の転写紙の被覆面に対して20秒間圧着した。冷却後、第1の転写紙上の被覆が、レーザ印刷の黒色画像領域のみに転写された。次に、第1の転写紙を、黒いTシャツ布に、375°F(約191℃)において25秒間圧着し、冷却し、トナー印刷可能紙の非画像形成領域に対応する被覆を布に転写した。第3のステップにおいて、第2の転写紙を、第1の転写被覆を有する布に、375°F(約191℃)において25秒間圧着し、次いで熱い間に取り除いた。白色の不透明層及び押出層の一部分(紙を取り除いた時点で溶融していた)は、従って第1の転写被覆を支持する領域にのみ転写されて、白色画像を与えた。
【0086】
実施例2
実施例2は、図1−10及び図16に示す順次的方法による、不透明画像を基材上に形成する過程にほぼ沿ったものである。
第1のステップは、第1の実施例におけると同様に繰り返された。第2のステップにおいて、第1のステップ後に残留した被覆を支持する第1の転写紙を、加熱プレス内で第2の転写紙に向かい合わせて、375°F(約191℃)において25秒間加熱圧着した。冷却後、紙を分離すると、被覆が第1の熱転写紙から第2の転写紙に転写された。次に、ここで被覆された第2の転写紙を黒いTシャツの布に375°F(約191℃)において25秒間圧着し、熱いうちに紙を取り除くと黒い布上に白色画像がもたらされた。この方法は、第2のステップ後に中間物を作成する。第2の転写紙の表面の非粘着性不透明被覆と第1の転写紙の溶融性転写被覆との間の付着力は、被覆が基材への転写前に互いに加熱圧着されるので、改善され得る。
【0087】
変形例
上記の配合物(実施例1及び実施例2の両方)に対する変形例は、非粘着性被覆からDaiplacoat RHC731を除去して、許容できる転写をもたらすものであった。しかし、被覆の重量は、1300平方フィート当たり約3ポンドに制限した。より重量のある被覆は、最終転写ステップにおいて、画像縁の被覆重なりの「切れ目」を生じた。これは被覆膜が強すぎてきれいに分離しなかったためと考えられる。
【0088】
別の変形例においては、非粘着性不透明層と溶融性層の間に、上記の二酸化チタンR900を添加した。これは、不透明化溶融性層と不透明化非粘着層を有する第2の転写紙を形成するものであった。これにより、付加的な不透明性を得ることができ、その結果、非粘着性不透明化層の被覆重量を、1300平方フィート当たり約3ポンドまで減らすことが可能になった。従って、非粘着性不透明化層内にDaiplacoat RHC731又は他の非溶融性ポリマー粒子は、必要なくなった。
【0089】
別の変形例は、Daiplacoat RHC731の代わりにOrgasol1002D NAT(ナイロン6の粒子)を用いることである。さらに別の有用な変形例は、Orgasol1002D NAT又はDaiplacoatを溶融性層中に用いることである。基材からの紙の分離は、溶融層が弱まるために最終転写ステップにおいて、より容易になり、また転写の粘着性は、高温で減少するので、衣服が高温で乾燥される場合、転写物が他の材料又は乾燥機に張り付きにくくなる。
【0090】
本発明は、その特定の実施形態に関して詳細に説明したが、当業者であれば、上記のことを理解することにより、これら実施形態の代替例、変形例及び均等例を容易に着想することができる。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びあらゆる均等物の範囲として判断されるべきである。
【背景技術】
【0001】
近年、顧客が選択した図案、メッセージ、イラストなど(以後、まとめて「画像」と呼ぶ。)を、例えばTシャツ、スエットシャツ、革製品などの物品の上に形成することに関連する重要な産業が発展してきた。これらの画像は、特定の最終用途に合うように調整され、剥離紙又は転写紙上にプリントされた市販の製品の形態であるか、又は顧客が画像を熱転写紙上に作成できるような形態にされる。画像は、加熱及び加圧によって物品に転写され、その後、剥離紙又は転写紙が除去される。
【0002】
基材への画像支持ラミネート(被覆)の転写性を概括的に改善することに多くの努力が向けられてきた。例えば、改善された低温で剥離可能な熱転写材料が特許文献1に記載されており、これは、画像支持ラミネートの転写直後であっても(「高温で剥離可剥な熱転写材料」)、又はその後ある時間が経過してラミネートが冷えたときであっても(「低温で剥離可剥な熱転写材料」)ベースシートの除去が可能なものである。さらに、転写されたラミネートの亀裂抵抗性及び洗濯可能性を改善することに付加的な努力が向けられてきた。転写されたラミネートは、亀裂を起こさずに又は褪色なしに、何回もの洗濯サイクル及び通常の「摩損及び擦り切れ」に耐えられなければならない。
【0003】
熱転写紙は一般に標準プリンタ用紙サイズ、例えば8.5インチ×11インチのサイズで販売されている。グラフィック画像は、熱転写紙の転写可能表面又は被覆の上に、例えばインクジェットプリンタ、レーザカラーコピー機、他のトナーベースのプリンタ及びコピー機など、様々な手段の何れかによって作成される。画像及び転写可能表面は次に、例えば、木綿のTシャツなどの基材に転写される。殆どの場合、用いる紙及び方法の性質のために、画像のない物品領域への転写被覆の転写が必要であるが、このことは、有用でなく、望ましくもない。その理由は、転写被覆は基材を堅くして、該基材の多孔性を低下させ、湿気を吸収しにくくする可能性があるためである。
【0004】
従って、転写可能表面が画像の存在する領域だけに転写され、転写可能被覆で被覆される基材の全面積を減らすことが望ましい。「無用物を除去し得る」紙、即ち、基材への転写の前に、熱転写紙から転写可能な被覆の一部分を除去することができる紙が、幾種類か開発されている。無用物を除去することは、印刷領域の周りを切り取ること及び無関係な非印刷領域から被覆を除去することを伴う。しかし、そのような無用物除去法は、実行することが困難であり、特に複雑なグラフィックデザインの周りでは困難である。暗色の基材の上に不透明材料による画像を形成する場合には、転写紙から無用物を除去するための多くの技術を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,798,179号
【特許文献2】米国特許第5,501,902号
【特許文献3】米国特許出願第11/923,795号
【特許文献4】米国特許第7,364,636号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、当技術分野において、改良された熱転写紙及びその使用方法に対する必要性が依然として存在する。これらの紙及び方法は、優れた画像外観及び永続性をもたらすものであることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
概括的には、不透明画像を基材上に形成する方法を提供する。トナーインクがトナー印刷可能シート上に印刷されて画像領域及び非画像領域を形成する。次に、印刷されたトナー印刷可能シートを用いて、該トナー印刷可能シートと溶融性被覆層を有する被覆転写シートとを組み合せることにより、第1の一時的ラミネートを形成することができる。次いで、第1の一時的ラミネートを分離して、被覆トナー印刷シート及び中間画像形成被覆転写シートを形成し、被覆転写シートの溶融性被覆層が、トナー印刷可能シート上のトナーインクによって定められる画像形成領域に移動して、被覆トナー印刷シートを形成し、中間画像形成被覆転写シート上に残留した溶融性被覆層が、トナー印刷可能シートの非画像形成領域に対応する状態にすることができる。次に、この中間画像形成被覆転写シートを用いて基材上に不透明画像を形成することができる。
【0008】
例えば、中間画像形成被覆転写シートを、不透明被覆層を有する不透明転写シートと組み合せることにより、第2の一時的ラミネートを形成することができる。次に、この第2の一時的ラミネートを分離して、中間溶融被覆不透明転写シートを形成し、中間画像形成被覆転写シート上に残留した溶融性被覆層が不透明転写シートに移動し、溶融性被覆層が不透明被覆層の上に重なるような状態にすることができる。次いで、中間溶融被覆不透明転写シートの不透明被覆層及び溶融性被覆層を基材に移動させて、不透明被覆層が溶融性被覆層の上に重なり、溶融性被覆層が基材の上に重なるような状態にすることができる。
【0009】
代替的に、中間画像形成被覆転写シート上に残留した溶融性被覆層を、初めに基材に移動させることができる。その後に、不透明転写シートからの不透明被覆層を、基材上の溶融性被覆層に移動させ、不透明被覆層が溶融性被覆層の上に重なり、溶融性被覆層が基材の上に重なる状態にすることができる。
【0010】
本発明の他の特徴及び態様を、以下で詳細に論じる。
本発明の完全で実施可能な開示は、当業者に対する本発明の最良の形態を含むものであり、本明細書の残りの部分で添付の図面を参照しながらより具体的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】溶融性被覆層を有する例示的な被覆転写シートを示す。
【図2】その印刷可能表面の上にトナー画像を有する例示的なトナー印刷可能シートを示す。
【図3】第1の一時的ラミネートを形成するための、図1の被覆転写シート及び図2のトナー印刷可能シートの配置を示す。
【図4】図2のトナー印刷可能シート及び図1の被覆転写シートを含む第1の熱転写ステップを示す。
【図5】図4の一時的ラミネートの層の分離から生じる、中間画像形成被覆転写シート及び被覆トナー印刷シートを示す。
【図6】一実施形態による、画像を基材に転写する熱転写ステップを順次的に示す。
【図7】一実施形態による、画像を基材に転写する熱転写ステップを順次的に示す。
【図8】一実施形態による、画像を基材に転写する熱転写ステップを順次的に示す。
【図9】一実施形態による、画像を基材に転写する熱転写ステップを順次的に示す。
【図10】一実施形態による、画像を基材に転写する熱転写ステップを順次的に示す。
【図11】画像を基材に転写する代替的な熱転写ステップを順次的に示す。
【図12】画像を基材に転写する熱転写ステップを順次的に示す。
【図13】画像を基材に転写する熱転写ステップを順次的に示す。
【図14】画像を基材に転写する熱転写ステップを順次的に示す。
【図15】画像を基材に転写する熱転写ステップを順次的に示す。
【図16】不透明被覆層によって画定された画像形成領域を有する例示的な画像形成基材を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書及び図面において参照符号の繰り返しの使用は、本発明の同じ又は類似の形状部分又は要素を示すことを意図するものである。
【0013】
定義
本明細書で用いる「印刷可能な」という用語は、例えば、直接方式及びオフセット方式のグラビアプリンタ、シルクスクリーニング、タイプライタ、レーザプリンタ、レーザコピー機、他のトナーベースのプリンタ及びコピー機、ドットマトリックス・プリンタ、及びインクジェットプリンタなどの何れかの手段によって、材料上に画像を配置できることを含むように意図したものである。
【0014】
「トナーインク」という用語は、本明細書においては、熱によって印刷可能基材に融着するように適合させたインクを記述するのに用いる。
【0015】
「分子量」という用語は、文脈から別の意味が明らかであるか、又はこの用語がポリマーを指さない限り、一般に重量平均分子量を意味する。分子量の単位は原子質量単位であり、時にはダルトンと呼ばれることが、長い間理解され受け入れられてきた。従って、現在の文献においては単位が与えられることはまれである。この慣例により、本明細書では分子量の単位は表示しない。
【0016】
本明細書で用いる「セルロース系不織ウェブ」という用語は、少なくとも50重量パーセントのセルロース系繊維を含む任意のウェブ又はシート状材料を含むことを意図したものである。セルロース系繊維に加えて、ウェブは他の天然繊維、合成繊維、又はそれらの混合物を含む場合がある。セルロース系不織ウェブは、比較的短い繊維を空中堆積又は湿式堆積させてウェブ又はシートを形成することにより調製することができる。従って、この用語は、製紙用完成紙料から調製される不織ウェブを含む。そのような完成紙料は、セロース系繊維のみ、又はセルロース系繊維と他の天然繊維及び/又は合成繊維との混合物を含むものとすることができる。完成紙料はまた、製紙技術分野で周知されているように、添加剤又は他の材料、例えば、充填材、粘土及び二酸化チタン、界面活性剤、消泡剤などを含むことができる。
【0017】
本明細書で用いる「ポリマー」という用語は、一般に、ホモポリマー、例えばブロックコポリマー、グラフトコポリマー、ランダムコポリマー及び交互コポリマーなどのコポリマー、並びにターポリマー、並びにそれらの混合物及び修飾体を含むが、それらに限定されるものではない。さらに、別に特に限定されない限り、用語「ポリマー」は、物質の全ての可能な幾何学的配置を含むものとする。これらの配置は、アイソタクチック、シンジオタクチック、ランダム対称を含むが、これらに限定されない。
【0018】
「熱可塑性ポリマー」という用語は、本明細書においては、加熱した時に軟化して流動性となる任意のポリマー、即ち、ポリマーの分解温度以下で加熱される限り、特性の基本的な変化をなにも受けずに何回も加熱して軟化させることができる任意のポリマーを指すものとして用いる。熱可塑性ポリマーの例には、例証としてのみであるが、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、アクリルエステルポリマー及びコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニルなど、及びそれらのコポリマーが挙げられる。
【0019】
当業者であれば、ここでの説明は、例示的な実施形態のみの説明であり、例示的な構築において具体化される本発明のより広範囲の態様を限定することを意図したものではないことを理解するはずである。
【0020】
一般的に言えば、本発明は、基材がその表面上に無被覆の不透明でない領域に囲まれた不透明領域を有するようにする方法に向けられる。暗色の基材上における不透明領域は、該不透明領域と基材の暗色背景とのコントラストによって、基材上に画像を形成することができる。不透明領域は、画像を有色及び/又は暗色基材上に形成するか又は移すのに特に有用である。具体的には、本開示は画像を基材に熱転写して、その結果、基材の不透明領域のみが被覆を有し、不透明でない領域を実質的に全く被覆がない(例えば、溶融性被覆層が全くない)状態で残すようにする方法に向けられる。従って、本方法は、プロセス内で用いられる熱転写シートを何も切り取る必要なしに、当業者が容易に実施することができる、無用物除去可能な熱転写法を開示する。さらに、画像又は紙の位置合せを行わずに不透明(例えば白色)画像を基材に形成することができる。
【0021】
切取り又は無用物除去が必要ないので、簡単なトナープリンタ及び加熱プレスを有する者であれば、殆ど誰でも、以下の方法を用いて、基材に熱転写するための彼ら自身のカスタマイズした画像を作成することができる。従って、現在のところ、画像を基材に形成するのに熱転写法を利用できない多くのユーザが、今からは、彼ら自身の画像を用いて基材上にカスタマイズした画像を作成することができるようになる。
【0022】
さらに、基材への不透明層の転写の制御により、有色及び/又は暗色基材に、透明被覆を基材の他の非画像形成領域に貼付けずに、画像形成することができる。
【0023】
本発明の方法は、一般に、不透明被覆を基材に形成するための複数回の熱転写を伴う3つの別々のシートに関わる。不透明被覆は、一般に不透明被覆シートによって供給される。しかし、不透明被覆は、実質的に非粘着性(転写層においても)であるので、被覆転写シートを用いて基材と不透明被覆の間の接着層として機能する溶融性被覆層を準備する。最後にトナー印刷可能シートを用いて、トナーインクをトナー印刷可能シートにレーザ印刷することにより画像を形成する。次にトナー印刷可能シート上のトナーインクを利用して、被覆転写シート上の溶融性被覆層を形成できるようにする。
【0024】
本発明の方法の遂行中に、種々の中間転写シートを形成することができる。形成される特定の中間転写シートは、画像を形成するのに選択される方法に依存する。
【0025】
I.被覆転写シート
基材上に被覆された画像を作成するために、被覆転写シートを用いて、基材と不透明被覆層の間の接着剤として機能する溶融性被覆層を形成する。
例示的な被覆転写シート10は、図1において溶融性被覆層12を有するものとして示されている。溶融性被覆層12が剥離層14の上に重なり、剥離層14が基層16の上に重なっている。従って、溶融性被覆層12は、被覆転写シートの外表面18を定める。図1には2つの別々の層として図示されているが、剥離層14を基層16内に含ませて、これらが、外観上、剥離性を有する1つの層を形成するようにすることができる。
【0026】
上記のように、溶融性被覆層12は、基層16及び剥離層14の上に重なる。溶融性被覆層12の坪量は、一般に約2乃至約70g/m2の範囲のいずれかとすることができる。溶融性被覆層12の坪量は、約20乃至約50g/m2の範囲のいずれかとすることが望ましく、約25乃至約45g/m2の範囲のいずれかとすることがより望ましく、約25乃至約45g/m2の範囲のいずれかとすることがさらに望ましい。溶融性被覆層12は、基層及び剥離層の上の、膜形成結合剤及び粉末熱可塑性ポリマーの1つ又はそれ以上の被覆又は層を含む。被覆又は層の組成は、同じでも異なるものでも良い。溶融性被覆層12は、約10重量パーセントを上回る膜形成結合剤と、約90重量パーセント未満の粉末熱可塑性ポリマーとを含むことが望ましい。特定の一実施形態において、溶融性被覆層12は、(乾燥重量に基づいて)約40%乃至約75%の粉末熱可塑性ポリマー及び約20%乃至約50%の膜形成結合剤、例えば、約50%乃至約65%の粉末熱可塑性ポリマー及び約25%乃至約40%の膜形成結合剤を含む。
【0027】
一般に、膜形成結合剤及び粉末熱可塑性ポリマーの各々は、約65℃乃至約180℃の範囲で溶融することができる。例えば、膜形成結合剤及び粉末熱可塑性ポリマーの各々は約80℃乃至約120℃の範囲で溶融することができる。膜形成結合剤又は粉末熱可塑性ポリマーの溶融挙動に関する製造者の公表データは、本明細書で記述する溶融要件と相関する。しかし、材料の性質に応じて真の融点又は軟化点の何れかが与えられている可能性があることに留意されたい。例えば、ポリオレフィン及びワックスなどの材料は、主として直鎖ポリマー分子から成り、融点以下では多少結晶性であるので、一般に比較的狭い温度範囲で溶融する。融点は、製造者によって与えられていない場合には、示差走査熱量測定法のような既知の方法で容易に測定することができる。多くのポリマー、特にコポリマーは、ポリマー鎖内での分岐又は側鎖置換基のために非晶質である。これらの材料は温度が上昇するにつれてよりゆるやかに軟化及び流動し始める。例えばASTM試験法E−28により測定されるこれらの材料の環球法軟化点は、本発明におけるそれらの挙動を予測するのに有用である。
【0028】
分子量は一般に熱可塑性ポリマーの融点特性に影響するが、熱可塑性ポリマーの実際の分子量は熱可塑性ポリマーの融点特性と共に変化する。一実施形態において、熱可塑性ポリマーは、約1,000乃至約1,000,000の平均分子量を有するものとすることができる。しかし、当業者であれば認識するであろうが、ポリマーの他の性質、例えば、架橋結合の程度、ポリマー骨格から外れる分岐鎖の程度、基層16上を被覆したときのポリマーの結晶構造などが、ポリマーの融点に影響する可能性がある。
【0029】
粉末熱可塑性ポリマーは、本明細書で説明する基準に適合する任意の熱可塑性ポリマーとすることができる。例えば、粉末熱可塑性ポリマーは、ポリアミド、ポリエステル、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリオレフィンなどとすることができる。さらに、粉末熱可塑性ポリマーは、直径約2乃至約50マイクロメートルの粒子から成るものとすることができる。同様に、本明細書で指定する基準に適合する任意の膜形成結合剤を用いることができる。幾つかの実施形態においては、水に分散可能なエチレンアクリル酸コポリマーを用いることができる。
【0030】
溶融性被覆層内には、他の添加剤が存在するようにしても良い。例えば、界面活性剤を添加して、幾つかの成分、特に粉末熱可塑性ポリマーを分散させる補助とすることができる。例えば、界面活性剤が、溶融性被覆層内に約20%まで、例えば約2%乃至約15%存在するようにすることができる。例示的な界面活性剤には、親水性ポリエチレンオキシド基(平均して9.5個のエチレンオキシド単位を有する)及び炭化水素親油性即ち疎水性基(例えば、4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニル)を有する非イオン界面活性剤、例えば市販のTriton(登録商標)X−100)(Rohm&Haas社、フィラデルフィア、ペンシルバニア州)のような非イオン界面活性剤を挙げることができる。特定の一実施形態においては、溶融性被覆層内に少なくとも2つの界面活性剤の組合せが存在する。
【0031】
また、可塑剤を溶融性被覆層内に添加することができる。可塑剤は、一般に、プラスチックのガラス転移温度を低下させる(従ってより柔らかにする)ことにより、最終製品の可撓性を増加させる。一実施形態において、可塑剤は、溶融性被覆相内に約40重量%まで、例えば約10重量%乃至約30重量%の量で存在するようにすることができる。1つの特に好適な可塑剤は1,4−シクロヘキサンジメタノールジベンゼンであり、これは、例えば商品名Benzoflex352(Velsicol Chemical社、シカゴ)で市販されている化合物である。同様に、粘度調整剤を溶融性被覆層内に存在させることができる。粘度調整剤は、塗布するときの被覆のレオロジーを制御するのに有用である。また、インク粘度調整剤は、特許文献2に記載されているように、インクジェット印刷可能熱転写被覆に対して有用である。インクジェット印刷可能被覆に対して特に好適な粘度調整剤は、例えば、Alkox R400(明成化学工業株式会社)の商品名で市販されている化合物のような高分子量ポリエチレンオキシドである。粘度調整剤は、例えば約5重量%まで、例えば約1重量%乃至約4重量%の任意の量を含めることができる。
【0032】
一般に、被覆転写シート10内に剥離層14を含むようにして、(以下でより詳細に説明するように)第1の転写に際して溶融性被覆層12の一部分の剥離を、次いで第2の転写に際して残りの溶融性被覆層12の剥離を促進させるようにする。剥離層14は、可剥性ラベル、マスキングテープなどを製造する技術分野で周知の、種々様々な材料から作成することができる。一実施形態において、剥離層14は、転写温度において基本的に粘着性を有しない。本明細書で用いる語句「転写温度において基本的に粘着性を有しない」は、剥離層14が、上に重なる溶融性被覆層12に、転写の質に悪影響を及ぼす程には付着しないことを意味する。正しく機能させるためには、溶融性被覆層12と剥離層14の間の接着は、転写後に溶融性被覆層12を基層16から取り除くのに、約0.01乃至0.3ポンド毎インチの力が必要となるようにする必要がある。この力が大き過ぎると、溶融性被覆層12又は基層16は、取り除くときに裂けるか、又は伸びて変形することになる。この力が小さ過ぎると、溶融性被覆層12は、処理中に不必要に剥離する可能性がある。剥離力は、例えば圧力感受性テープを溶融性被覆に貼付け、剥離力を測定するための装置(例えばInstronの引張試験機など)を用いて測定することができる。
【0033】
剥離層の層厚は重要ではなく、多くの要因に応じて大幅に変えることができ、これらの要因は、被覆される基層16、及びそれに形成される溶融性被覆層12を含むが、これらに限定されるものではない。典型的には、剥離層の厚さは約2ミル(52ミクロン)より小さい。より望ましくは、剥離層の厚さは約0.1ミル乃至約1.0ミルより小さい。さらに望ましくは、剥離層の厚さは約0.2ミル乃至約0.8ミルより小さいものとする。剥離層の厚さはまた、坪量を用いて記述することができる。剥離被覆層は、約45g/m2より小さい、例えば約2乃至約30g/m2の坪量を有することが望ましい。
【0034】
任意ではあるが、被覆転写シート10は、基層16と剥離層14の間に順応層(図示せず)をさらに含むようにして、溶融性被覆層12と、熱転写中に接触する対向表面との間の接触を容易にすることができる。
【0035】
基層16は、付加的な層の被覆、転写条件、及び溶融性被覆層12と熱転写中に接触する対向表面との分離における取扱いに対して十分な強度を有するものであれば、どのようなシート材料でもよい。例えば、基層16は、膜又はセルロース系不織ウェブとすることができる。基層16は廃棄されるものであるので、基層の正確な組成、厚さ又は重量は重要ではない。可能な基層16の幾つかの例には、セルロース系不織ウェブ及びポリマー膜が含まれる。本発明には、多くの異なる種類の紙が適しており、これらには、普通のリソグラフィラベル用紙、ボンド紙、ラテックス浸透紙が含まれるが、これらに限定されるものではない。一般に、約4ミル厚の裏紙が殆どの用途に適している。例えば、紙は、普通のオフィスプリンタ又はコピー機に使用される種類の、例えばAvon White Classic Crest(登録商標)(Neenah Paper社)の1300平方フィート当たり24ポンドの紙とすることができる。
【0036】
基層16上に塗工して被覆転写シート10を形成する層は、例えばロール、ブレード、マイヤーロッド、及びエアーナイフ被覆方法などの、既知の被覆技術によって所与の層の上に形成することができる。結果として得られる画像転写材料は、次に、例えば、蒸気加熱ドラム、空気衝突、放射加熱、又はそれらのある組合せを用いて乾燥することができる。
【0037】
一実施形態において、画像は、最後に最終基材に転写されることになる被覆画像の鏡像として、被覆転写シート上に印刷することができる。この画像は、“染料昇華”インクを使用することにより、最終画像形成基材の上に重なる不透明層を通して見えるように処理することができる。画像は、被覆転写シート上に印刷し(例えば、インクジェット印刷)、引用により本明細書に組み入れられる特許文献3(2007年10月25日出願)に開示さているような、レーザ印刷可能シート上のトナーインクから形成されたネガ像と位置合わせすることができる。染料昇華インクからの染料は、最終転写ステップにおいて、非粘着性不透明化層を通して拡散又は昇華させることができる。従って、この画像は、最終被覆基材の上で見えるようになる。当業者であれば、そのような鏡像を、多くの市販のソフトウェア画像/設計プログラムの何れか1つを用いて作成し、印刷することができるであろう。これらの印刷方法の多大な可用性のために、殆ど全ての消費者が、独自の画像を容易に作成して基材上に被覆画像を作成することができる。
適切な染料昇華インクの例としては、ChromaBlast(登録商標)(Sawgrass Technologies社、チャールストン、南カロライナ州)の名称で市販されているものがある。
【0038】
これを用いると、溶融性被覆層12上の染料昇華インクから形成された画像は、インクジェットプリンタにより被覆転写シート上にデジタル印刷することができる。デジタルインクジェット印刷は、高品質画像を印刷する周知の方法である。勿論、任意の他の印刷法を用いて画像を印刷可能シート上に印刷することができ、それら印刷法としては、フレキソ印刷、直接的及びオフセット的なグラビアプリンタ、シルクスクリーニング、タイプライタ、トナーベースのプリンタ及びコピー機、ドットマトリックス・プリンタなどがあるが、それらに限定されるものではない。通常、インクの組成は、当技術分野で周知のように、用いる印刷法に応じて変わることになる。
【0039】
II.第1の熱転写
トナー印刷可能シートは、第1の熱転写において被覆転写シート10から溶融性被覆層12の一部分を除去するのに用いられる。トナーインクは、トナー印刷可能シートの非画像形成領域が最終的な画像形成基材上の不透明領域に対応するように、トナー印刷可能シート上に印刷される(以下に論じるように、選択された貼付け技術に応じて、直接に対応するか又は鏡像として間接に対応する)。
【0040】
ネガ像が、レーザプリンタ又はレーザコピー機により、トナー印刷可能シート上に印刷される。例えば、図2を参照すると、トナー印刷可能シート20は、トナーインク22により形成されるネガ像を有するものとして示されている。非画像形成領域24は、トナー印刷可能シート20上にポジ像を形成し、このポジ像は、以下に論じるように、基材に形成される画像に(直接又は間接に)対応する。当業者であれば、幾つかの市販のソフトウェアプログラム又はコピー機の何れか1つを用いてネガ鏡像を作成することができる。
【0041】
トナー印刷可能シートは、市販のレーザプリンタ及びコピー機用のものが容易に入手できる。一般に、トナー印刷可能シートは、セルロース系不織ウェブ(例えば紙)とすることができる。トナー印刷可能シートは、第1の転写ステップの後で廃棄されるので、トナー印刷可能シートの正確な組成、厚さ又は重量は重要ではない。
【0042】
多くの異なる種類の紙がトナー印刷可能シートに適しており、これらには、普通のリソグラフィラベル用紙、ボンド紙、ラテックス浸透紙が含まれるが、これらに限定されるものではない。一般に、約4ミル厚の紙が、殆どの用途に適している。例えば、紙は、普通のオフィスプリンタ又はコピー機に使用される種類の、例えばNeenah Paper社のAvon White Classic Crestの、1300平方フィート当たり24ポンドの紙とすることができる。
【0043】
トナーインク22を使用すると、トナーインク22が高温で粘着性になるため、トナー印刷可能シート20上のトナーインク22が存在する画像形成表面に対して接着特性がもたらされる。しかし、トナーインクを粘着性にするのに必要な温度は、溶融性被覆層12の粉末熱可塑性ポリマーの融点よりも低い。
【0044】
最終基材上の不透明層が存在することになる領域のみに溶融性被覆層12を存在させることが望ましいので、溶融性被覆層12の一部分が、トナー印刷可能シート20上のネガ像によって被覆転写のシート10から除去される。被覆転写シート10からの溶融性被覆層12のこの部分の除去を遂行するためには、被覆転写シート10とトナー印刷可能シート20を位置合せして、図3に示すように溶融性被覆層12の外表面18がトナーインク22とトナー印刷可能シート20の非画像形成領域24とに接触するようにする。
【0045】
溶融性被覆層12の上に画像が形成されると、次いで、この画像がトナー印刷可能シート20上のトナーインク22によって形成されるネガ像と位置合わせされる。本明細書で用いる「位置合わせされる」という用語は、被覆転写シート10の外表面18上のインクにより画定される画像が、トナー印刷可能シート20上の非画像形成領域24と実質的に合わせられることを意味する。例えば、被覆転写シート10とトナー印刷可能シート20は、トナー印刷可能シート20の非画像形成領域24のみが、被覆転写シート10の溶融性被覆層12の上の染料昇華インクと接触するように、向い合せで位置合せされる。同様に、トナー印刷可能シート20上のトナーインク22は被覆転写シート10の溶融性被覆層12の非画像形成領域と接触する。勿論、画像の複雑さに応じてある最小量の重なりが、残りの転写ステップに著しい影響を及ぼさずに起こり得る。さらに、白色の不透明背景又は他の部分画像を基材に転写したい場合には、それらの部分は、トナー印刷可能シート20の非画像形成領域に対応する溶融性被覆層12の非印刷領域を残すことによって得ることができる。
【0046】
ひとたび互いに接触した状態に配置されると、熱H及び圧力Pが加えられて、図4に示すような一時的なラミネートが形成される。熱H及び圧力Pを加えることにより、被覆転写シート10とトナー印刷可能シート20は一時的ラミネートとして共に張り合わされる。熱H及び圧力Pは一時的ラミネート内でトナーインク22を溶融性被覆層12に接着させる。被覆転写シート10をトナー印刷可能シート20から分離する(ばらばらに剥がす)と、図5に示すように、被覆トナー印刷シート26及び中間画像形成被覆転写シート28が作成される。
【0047】
溶融性被覆層12が被覆転写シート10から取り除かれて、溶融性被覆層12に接触しなかった領域のみにトナーインク22が残留した溶融性被覆層12を有する中間画像形成被覆転写シート28が形成される。トナーインク22は、ネガ像としてトナー印刷可能シート20に塗布されているので、中間画像形成被覆転写シート28上の残留溶融性被覆層12が、中間画像形成被覆転写シート28上に画像を形成する(即ち、中間画像形成被覆転写シート28上にポジ像が形成される)。この分離により形成された中間画像形成被覆転写シート28上の残留溶融性被覆層12は、最終製品上の不透明材料と基材の間を接着させる。同様に、トナー印刷可能シート20上のトナーインク22は、ここで被覆転写シート10からの溶融性被覆層12で被覆されて被覆トナー印刷シート26を形成し、そしてトナー印刷可能シート20の非画像形成領域24には被覆が全く存在しない。この被覆トナー印刷シート26は、トナー印刷可能シート20の有用性が終わった(余分な溶融性被覆層12が被覆転写シート10から取り除かれた)ので、廃棄することができる。
【0048】
一時的ラミネートを形成し、被覆転写シート10からの溶融性被覆層12をトナー印刷可能シート20のトナーインクにより形成されるインク塗布領域に付着させるのに必要な温度は、一般的に、溶融性被覆層12中の熱可塑性粒子の融点及び/又は軟化点よりも低い。例えば、転写温度(即ち、H)は約50℃乃至約150℃、例えば約80℃乃至約120℃とすることができる。この温度においてトナーインク22は軟化し溶融して、トナー印刷可能シート20の画像形成領域に接触した溶融性被覆層12に付着するのに十分に粘着性を帯びると考えられる。従って、分離後、トナー印刷可能シート20のインク塗布領域(即ち、トナーインクにより画定されるネガ像)は、被覆転写シート10の溶融性被覆層12に付着し、これらの領域を被覆転写シート10から効果的に除去する。一方、トナー印刷可能シート20の非画像形成領域24に接触した溶融性被覆層12の領域は、トナー印刷可能シート20に付着しない。従って、分離後、溶融性被覆層12の画像形成領域のみが被覆転写シート10上に残留し、中間画像形成被覆転写シート28が形成される。
【0049】
III.基材への不透明領域の熱転写
ここで、中間画像形成被覆転写シート28を用いて、不透明画像と基材の間の付着を行わせることができる。不透明層は、図6及び図13に示すように、不透明被覆層32を有する不透明転写シート30によって供給される。不透明被覆層32は、補強層34及びベースシート36の上に重なる。
【0050】
不透明被覆層32は、不透明化剤(opacifier)を含む。暗色の有色布帛の装飾のために、熱転写材料中に不透明層を用いることは、引用により本明細書に組み入れられるKronzerによる特許文献4に記載されている。不透明化剤は、その界面で光を散乱して転写被覆を相対的に不透明にする粒子状材料である。不透明化剤は、白色で光散乱に好適な粒径及び密度を有するものであることが望ましい。そのような不透明化剤は、グラフィック技術分野の当技術者にはよく知られており、それらとしては、酸化アルミニウム及び二酸化チタンなどの無機物の粒子又はポリスチレンのようなポリマーの粒子がある。それぞれの場合に必要な不透明化剤の量は、所望の不透明度、不透明化剤の効率、及び転写被覆の厚さに依存することになる。例えば、1ミル厚の膜内の約20パーセントの濃度の二酸化チタンは、黒色ファブリック材料の装飾に適当な不透明度をもたらす。二酸化チタンは非常に効率的な不透明化剤であり、他の種類のものは、一般に、同じ結果を達成するのにより多く配合することが必要となる。
【0051】
不透明被覆層32内に粒子状不透明化剤が存在しても、不透明被覆層32は転写温度においては実質的に溶融し、及び/又は流動しない。従って、不透明被覆層32は、不透明被覆層32と基材の間に別個の層(例えば、溶融性被覆層12)を用いない限り、基材に効果的に付着又は接着しないことになる。不透明被覆層32のこの構造は、不透明被覆層32が基材の表面上に残留してその可視性を最大にすることを確実にする。
【0052】
特定の一実施形態において、不透明被覆層32は架橋ポリマー材料を含む。架橋した不透明層は、暗い着色基材上で用いたとき、画像の灰色化及び不透明度の損失を抑制するように設計される。そのような不透明被覆層32は、ポリマー結合剤、架橋剤、及び不透明化材料を含むものとすることができる。架橋剤は、ポリマー結合剤と反応して3次元ポリマー構造体を形成し、この構造体は熱で軟化するが基材中に認め得るほどには流れ込まない。布帛中への流れ込みが生じると、白色画像が明瞭でなくなり又は外観が不鮮明になる。本発明において用いることができる架橋剤には、多官能性アジリジン架橋剤(例えば、ニュージャージ州バーミンガム所在のSybron Chemical社からのXAMA7)、多官能性イソシアネート、エポキシ樹脂、オキサゾリン、及びメラミンホルムアルデヒド樹脂が含まれるが、これらに限定されない。別の例示的な架橋剤は、CR5L(Esprit Chemical社、サロソタ、フロリダ州)の名称で市販されている水溶性エポキシである。一実施形態において、架橋剤の組合せを用いて、架橋層が転写温度において溶融又は流動しないことを確実にするのに十分な程度までポリマー材料の架橋を促進することができる。
【0053】
非付着性被覆内の架橋剤の量は変えることができる。上の好ましい実施形態における量は、被覆を転写温度(例えば、約150℃乃至約250℃)において非粘着性にするのに必要な最小量に近い。しかし、必要以上の架橋剤を使用すると、画像の縁部に「切れ目」を生じる可能性が増えることがある。しかしながら、必要より約5倍も多くの架橋剤も、幾つかの用途では許容できると考えられる。
【0054】
例えば、架橋可能なポリマー結合剤にカルボキシル基を含ませ、架橋剤が、例えばエポキシ樹脂、多官能性アジリジン、カルボジイミド又はオキサゾリン官能性ポリマーなどのカルボキシル基と反応するようにすることができる。必要な架橋剤の量は、ポリマー結合剤、及び架橋剤の効率に依存して変わることになる。例えば、XAMA7(Sybron Chemical社、バーミンガム、ニュージャージ州)のような多官能性アジリジンは僅か数パーセントの濃度で有効である。エポキシ樹脂などの他の架橋剤は、カルボキシル化ポリマーによって、通常約1重量パーセント乃至約20重量パーセントの量が必要になる。他の型の架橋反応には、ヒドロキシル基を有するポリマーと、メラミンホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド又はアミンエピクロロヒドリン架橋剤との間の反応が含まれる。ヒドロキシル官能性ポリマーはまた、多官能性イソシアネートと架橋することができるが、イソシアネートは、水と反応するので無水溶媒を必要とする。
【0055】
カルボキシル基を有する他のポリマー分散液は様々な種類のものが入手可能であり、それにはアクリル樹脂(オハイオ州クリーブランド所在のB.F.Goodrich社からのCarboset樹脂など)、ポリウレタン(ニューハンプシャー州シーブルック所在のK.J.Quinn and Company)及びエチレンアクリル酸コポリマー(オハイオ州シンシナチ所在のMichleman Chemical社によるMichem Primeの名称で販売されているものなど)が含まれる。上記のように、必要な架橋剤の量は、ポリマー及びカルボキシル基含有量に応じて変えることができる。例えば、Michleman Chemical社からのMichem Prime4983は僅か1乃至3パーセントのXAMA−7架橋剤を必要とする。
【0056】
特定の一実施形態において、転写温度で溶融しない比較的大きなポリマー粒子を、不透明被覆層32に含めることができる。これらの粒子は、ポリマー粒子の融点を上昇させるように架橋ポリマーから作成される。例えば、比較的大きなポリマー粒子は、約1ミクロンを上回る、例えば約5ミクロン乃至約30ミクロンの平均粒径を有することができる。例示的なポリマー粒子には、ニューヨークのGSI Exim America社からDaiplacoat RHLの名称で市販されている架橋ポリウレタン粒子(例えば、5乃至8ミクロンの平均粒径を有するDaiplacoat RHL 731、及び12乃至17ミクロンの平均粒径を有するDaiplacoat RHL 530)が含まれる。他の例示的なポリマー粒子には、17ミクロン乃至23ミクロンの粒径及び約217℃の融点を有する、Orgasol 1002D NAT(Arkema社、フィラデルフィア、ペンシルバニア州)の名称で市販されているナイロン6粒子が含まれる。
【0057】
そのような大きなポリマー粒子を用いると、不透明被覆層32が一層明瞭にに分離して基材上に画像を形成することができる。理論に束縛されることを望むものではないが、これらの比較的大きなポリマー粒子を含めることは、特に架橋している場合、基材への転写中に層の分離を容易にすると考えられる。比較的大きなポリマー粒子は、不透明被覆層32内に(例えば、膜内に又は架橋ネットワーク内に)不連続部を生じ、転写プロセス中に不透明被覆層32の分離を容易にする。比較的大きなポリマー粒子は、基材上に形成される画像によりクリーン且つより明確な縁を与えることができる。さらにこれらの比較的大きなポリマー粒子を含めることによって、不透明被覆層32の厚さを増すことが可能になり、これにより不透明度を高めることができる。例えば、不透明被覆層32の厚さは約0.5ミルを上回る、例えば約0.5ミル乃至約3ミル、及び約1ミル乃至約2ミルの厚さにすることができる。
【0058】
比較的大きなポリマー粒子は、不透明被覆層32中に、不透明被覆層の約40重量%まで、例えば約1重量%乃至約25重量%、そして例えば約5重量%乃至約30重量%の量を含めることができる。
【0059】
本出願において、不透明化剤(例えば二酸化チタン)の量は比較的多く、例えば約80重量%までである。例えば、不透明化剤は約20%乃至約75%、例えば、約50%乃至約75%の量で存在することができる。この不透明被覆層32内の亀裂は随意の補強層を用いることによって抑制することができる。他の実施形態においては、適度な量の顔料だけが不透明被覆層32中に必要となる。「適度な」によって、約15重量%乃至約60重量%、例えば約20重量%乃至約40重量%を意味する。この顔料の量は、例えば約0.5乃至約2ミルの膜厚により、ファブリック内への顔料含有層の浸透が架橋によって防止されることを条件として、必要な不透明度を与えるのに十分である。
【0060】
不透明被覆層32の厚さは、約0.4ミル乃至約2ミルとすることができる。架橋されると、不透明被覆層32は、不透明化剤、架橋可能なポリマー結合剤、及び加熱したときに硬化するのが望ましい架橋剤を含むものとなる。他の材料、例えば界面活性剤、分散剤、加工補助剤なども層内に存在するようにすることができる。
【0061】
布帛の装飾に必要な不透明度を与えるために、被覆が布帛の表面上に実質的に残留する必要がある。転写工程において、熱及び圧力が被覆を基材内に実質的に埋め込む状態にすれば、基材の暗色が透けて見えて作品に灰色又は白亜色の外観を与えるようになる。従って、被覆は、望ましい転写温度において流動化温度まで軟化するのに抗する必要がある。基材上の不透明被覆層32を支持している溶融性被覆層12が、転写温度において基材上で溶融し流動する(即ち、溶融流動性)ことを考えると、溶融性被覆層12と不透明被覆層32の間の必要な関係が明らかになる。不透明被覆層32は、溶融性被覆層12軟化点又はそれ以下で流動化してはならない。「流動化」及び「軟化点」という用語は、本明細書では実際的な意味で用いる。流動化という用語は、被覆が基材上で(例えば、布帛の繊維の隙間に)容易に流動することを意味する。「軟化点」という用語は、環球法軟化点など、幾つかの方法で定義することができる。環球法軟化点の測定は、ASTM E28に従って行われる。溶融流動指数は、溶融性ポリマーの流動特性を記述するのに有用である。例えば、溶融性被覆層12に対しては、ASTM法D1238−82による0.5乃至約800の溶融流動指数が望ましい。不透明被覆層32に関しては、溶融流動指数は、溶融性被覆層12よりも少なくとも10倍、望ましくは100倍、最も望ましくは1000倍小さくする必要がある。架橋したとき、不透明被覆層32は、通常、架橋3次元ポリマー構造の形成により、転写温度においては認め得るほどには流動しない、という望ましい特性に適合するものとなる。
【0062】
不透明被覆層32は、水又は溶媒中のポリマーの分散液又は溶液の形態で、分散させた不透明化剤、架橋剤、及び任意の他の材料と共に、ベースシート36に塗布することが望ましい。上記の多くの種類のポリマーは、溶媒中の溶液として又は水中の分散液として入手できる。例えば、アクリルポリマー及びポリウレタンは、溶媒又は水をベースとする多種多様なラテックス形態で入手できる。他の有用な水ベースの種類としては、エチレン酢酸ビニルコポリマー格子、エチレンメタクリル酸コポリマーのイオノマー分散液、及びエチレンアクリル酸コポリマー分散液がある。多くの場合、装飾された布帛の耐洗濯性及び優れた耐水性が必要となる。界面活性剤を含まないポリマー調合液、例えば溶媒中のポリウレタン又は水中のアミン分散ポリマー、例えばポリウレタン及びエチレンアクリル酸分散液などはこれらの要件を満たすことができる。
【0063】
図に示すように、任意に設けられる補強層34を、不透明被覆層32とベースシート36の間に配置してもよい。この付加的な補強層34は、ベースシート36からの不透明被覆層32の分離性を改善することができ、基材に転写される不透明被覆層32の一部分の上に保護被膜を形成することができる。一実施形態において、補強層34は、溶融性被膜層12に関連して上で論じたのと類似の材料を含む。従って、補強層34は、基材への不透明被膜層32の転写温度において軟化し、及び/又は溶融することになる。不透明化材料をまた、補強層34に加えてある程度の不透明さを層に与えることができる。不透明化材料は、例えば、比較的適度な量(例えば、約15重量%乃至約60重量%、例えば約20重量%乃至約40重量%)で存在させることができる。
【0064】
補強層34の軟化及び/又は溶融は、この層が転写に際して分裂(例えば、分離)し、補強層34の一部分がベースシート36上に残り、補強層34の一部分が基材上に移動することを可能にする。この補強層34の分裂は、簡単のために図には描いていないが、当業者であれば、補強層34は、図9−10又は図14−15に示した転写に際して分裂することになり、補強層34の一部分が、ベースシート36と、基材42の上に重なる不透明被覆層32の移動部分との両方の上に残ることを認識するはずである。この補強層34の移動部分は、下層の不透明被膜層32が基材42上で摩滅することを防ぐ。
また、不透明転写シート30のベースシート36と共に、剥離層(図示せず)を設けることができる。
【0065】
上記のように、不透明被覆層32は、不透明被覆層32を基材の表面に付着させるための中間画像形成被覆転写シート28の上の残留溶融性被覆層12を用いて、基材に形成される。不透明被覆層32は、本開示の方法を用いて任意の基材(例えば、多孔性基材)に形成することができる。勿論、溶融性被覆層12及び不透明被覆層32は、装飾するように選択した特定の基材に適合するように設計することができる。例えば、粗く重い材料のために設計された転写には、絹のような非常に軽い材料又は革のような多孔性の低い材料用に設計された被覆よりも重い被覆が必要となる。特定の一実施形態において、基材は、衣類(例えば、シャツ、パンツなど)を作るのに用いられるような布である。布は、織布の製造に用いるのに適した任意の繊維(例えば、綿繊維、絹繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維など)とすることができる。例えば、基材は、綿繊維を含むTシャツとすることができる。
【0066】
不透明被覆層32の形成は、有色(即ち、白色でない)基材の装飾に特に有用である。具体的には、不透明被覆層32の不透明さは、その有色基材、特に暗色の有色(例えば、黒、茶、青、赤、緑、紫など)基材に対するコントラストを与えることができる。
【0067】
最終的な不透明画像は、各々が類似の結果を伴う2つの方法のいずれかによって、基材上に形成することができる。これら2つの方法は、第2の中間転写シート又は基材への二重熱転写のいずれかの使用を含む。
【0068】
A.第2の中間転写シートの使用
基材上に不透明画像を形成するための1つの特に適した方法が、図6−10に順次的に示されており、この方法は、図16に示す最終基材を形成する。この方法は、不透明被覆を基材に転写するための第2の中間転写シートを形成することを含む。溶融性被覆層12は、この方法においては、2回転写される(全部で3回の溶融性被覆層12の転写)ので、トナー印刷可能シート20上のトナーインクで形成されたネガ像は、画像形成基材上で不透明領域によって定められる画像に間接的に対応することになる。即ち、鏡像のネガ像が、トナー印刷可能シート20上にトナーインク22により印刷される。従って、上記の第1の転写によって、中間画像形成被覆転写シート28の上に残留した溶融性被覆層12は、最終画像形成基材上に生じる画像に直接対応する。
【0069】
不透明転写シート30は、中間画像形成被覆転写シート28に隣接して、図6及び図7に示すように、不透明被覆層32の露出表面38が中間画像形成被覆転写シート28上の残留溶融性被覆層12に接触するように配置される。熱H’及び圧力P’を加えて第2の一時的ラミネートを形成する。熱H’は、この第2のラミネートに、残留溶融性被覆層12を軟化及び/又は溶融させるのに十分な温度で加えられ、溶融性被覆層12が不透明転写シート30の不透明被覆層32に付着することを可能にする。一実施形態においては、この第2の転写は、約120℃を上回る、例えば約150℃乃至約200℃の温度で実施することができる。
【0070】
この第2の一時的ラミネートは、次に図8に示すように中間溶融被覆不透明転写シート40から分離することができる。この中間溶融被覆不透明転写シート40は、次に不透明被覆層32を基材に転写するのに用いられる。
【0071】
中間画像形成被覆転写シート28は、今やその溶融性被覆層12をもっておらず、ここで廃棄することができる。何故なら、中間画像形成済み被覆転写シートは、接着剤類似層(即ち、残留溶融性被覆層12)を不透明転写シート30の不透明被覆層32に供給する目的を果たしたからである。
【0072】
中間溶融被覆不透明転写シート40は、不透明被覆層32の露出表面38上の溶融性被覆層12の存在により形成された画像を有する。この画像は基材に貼付けられる画像の鏡像である。溶融性被覆層12はここで不透明被覆層32を、基材42の溶融性被覆層12が存在する領域のみに固着させる接着剤として機能することができる。このようにして、不透明被覆層32を基材42に移して画像を形成することができる。
【0073】
不透明被覆層32の基材42への転写を達成するために、中間溶融被覆不透明転写シート40を、基材42に隣接して、図9に示すように、溶解性被覆層12が基材42に接触するように配置する。熱H’及び圧力P’を加えると、溶融性被覆層12が軟化して基材42に接着又は別の形で付着できるようになる。熱は、溶融性被覆層12が基材42の上で軟化及び/又は溶融するのに十分な温度で加える。一実施形態において、この転写は、約120℃を上回る、例えば約150℃乃至約200℃の温度で行われる。
【0074】
中間溶融被覆不透明転写シート40は、次に、基材42の上に重なる溶融性被覆層12及び溶融性被覆層12の上に重なる不透明被覆層32を残して分離する(例えば、引き剥がす)ことができ、不透明被覆基材44が形成される
【0075】
不透明被覆層32は、転写温度においては軟化及び/又は流動しないので、中間溶融被覆不透明転写シート40上の不透明被覆層32の、溶融性被覆層12が存在しない部分は基材42に転写されない。このように、不透明被覆層32の溶融性被覆層12に接触する部分だけが転写され、不透明被覆層32の転写部分によって画定された画像を有する基材42が生じる。
【0076】
B.基材への2重熱転写
基材への2回熱転写を用いる代替的な方法が、図11−15に順次的に示されており、この方法は、図16に示すものと同じ最終基材を形成する。この方法は、中間画像形成被覆転写シート28の上の残留溶融性被覆層12を、第1の熱転写ステップにおいて基材に形成することを含む。次に、第2の熱転写ステップを用いて不透明被覆層32を、既に基材に転写された溶融性被覆層12に形成する。
【0077】
図11を参照すると、中間画像形成被覆転写シート28は、基材42に隣接して、画像を定める残留溶融性被覆層12が基材に接触するように配置される。中間画像形成被覆転写シート28上の画像を定める残留溶融性被覆層12の第1の基材熱転写は、基材42への第1の転写温度において、熱H’及び圧力P’を中間画像形成被覆転写シート28に加えることによって遂行される。
【0078】
分離(例えば、中間画像形成被覆転写シートを基材42から引き剥がす)後、基材42は、図12に示すように、溶融性被覆層12により形成された画像を有する。基材42の周囲表面領域には、溶融性被覆層12は存在しない。このように、余分な溶融性被覆層12が基材42に移されることはない。この方法(全部で2回の転写に関する)によれば、溶融性被覆層12の1回の付加的な転写だけが必要であるので、トナー印刷可能シート20上の非画像形成領域24によって形成されるネガ像は、最終画像形成基材上に形成される画像に直接対応する。従って、ネガ像は、トナーインクによりトナー印刷可能シート20上に印刷される(ネガの鏡像ではない)。
【0079】
第1の基材転写は、基材42上で残留溶融性被覆層32を軟化及び/又は溶融するのに十分な温度で実施される。一実施形態において、この第1の基材転写は、約120℃を上回る、例えば約150℃乃至約200℃の温度で行うことができる。
【0080】
次に、不透明転写シート30を用いる第2の基材熱転写により、基材42上に不透明層を形成する。不透明転写シート30は、被覆基材42に隣接して、図13及び図14に示すように、不透明被覆層32が基材42上の溶融性被覆層12に接触するように配置される。熱H”及び圧力P”を不透明転写シート30のベースシート36に加えると、溶融性被覆層12は、不透明被覆層32に付着するのに十分に軟化する。次に、不透明転写シート30を基材42から、基材42上の溶融性被覆層12の上に重なる不透明被覆層32を残すように、分離する(例えば、引き剥がす)ことができる。溶融性被覆層12は、不透明被覆層32を基材42に接着させる接着層として効果的に機能する。
【0081】
第1の基材転写と同様に、第2の基材転写が、基材42上の残留溶融性被覆層12を軟化及び/又は溶融させるのに十分な温度で実行される。一実施形態において、この第2の転写は、約120℃を上回る、例えば約150℃乃至約200℃の温度で行われる。
【0082】
基材42の表面に転写された不透明被覆層32は、図16に示す画像を形成する。
本発明は、以下の実施例を参照することにより、より良く理解することができる。
以下の実施例は基材への不透明画像の例示的な形成を示す。
【実施例】
【0083】
実施例1
実施例1は、図1−5及び図11−16に示す順次的方法にしたがって不透明画像を基材上に形成する過程にほぼ沿ったものである。被覆転写シートは、Classic Crest(登録商標)超平滑紙(Neenah Paper社、アルファレッタ、ジョージア州)の名称で市販されているセルロース系紙シートのベースシートを有するインクジェット印刷可能紙とした。これは、原紙を覆う1ミル厚の低密度ポリエチレンの押出形成された被覆を有するものであった。ポリエチレン被覆の上に、乾燥状態で100部のアクリルラッテクス(Hycar(登録商標)26706(The Lubrizol社、ウィックリフ、オハイオ州)の名称で市販されている)、乾燥状態で5部の多官能性アジリジン架橋剤(XAMA7(The Lubrizol社、ウィックリフ、オハイオ州)の名称で市販されている)、及び乾燥状態で2部の剥離剤(シリコーン界面活性剤190(ダウコーニング社、ミッドランド、ミシガン州)の名称で市販されている)、からなる剥離被膜が1300平方フィート当たり2.5ポンドの量で存在するものであった。溶融性被覆層は、乾燥状態で30部のエチレンアクリル酸分散液(Michem Prime4983(Michleman Chemical社、シンシナチ、オハイオ州)の名称で市販されている)、乾燥状態で100部の粉末ポリアミド(Orgasol3502D Nat(Arkema社、フィラデルフィア、ペンシルバニア州)の名称で市販されている)、乾燥状態で3部のヒドロキシプロピルセルロース(Klucel G(Aqualon Group of Hercules社、ウィルミントン、デラウェア州)の名称で市販されている)、乾燥状態で5部の界面活性剤(Tergitol 15S 40(ダウ化学社、ミッドランド、ミシガン州)の名称で市販されている)、及び乾燥状態で3部の陽イオン性ポリマー(Glascol F207(Ciba Specialty Chemicals、サフォーク、バージニア州)の名称で市販されており、ポリ(塩化ジメチルジアリルアンモニウム)ホモポリマーと考えられる)、からなるものとした。被覆の重量は、1300平方フィート当たり7.5ポンドであった。この被覆を約30%の全固形分において混合した。
【0084】
第2の転写紙は、共押出の溶融性ポリマー被覆を有する超平滑紙Classic Crest(登録商標)(Neenah Paper社)とした。紙に対する第1の共押出層は、1300平方フィート当たり7ポンドのエチレンメタクリル酸コポリマー(Nucrel599(E.I.du Pont de Nemours and Company、ウィルミントン、デラウェア州)の名称で市販されている)とした。第2の共押出層は、1300平方フィート当たり3.5ポンドのエチレンアクリル酸コポリマー(Primacor59811(ダウ化学社、ミッドランド、ミシガン州)の名称で市販されている)とした。非粘着性不透明被覆層は、1300平方フィート当たり6ポンドであり、乾燥状態で100部の二酸化チタン粉末(Ti−Pure(登録商標)RPS Vantage(登録商標)R−900(E.I.du Pont de Nemours and Company、ウィルミントン、デラウェア州)の名称で市販されている)、乾燥状態で0.5部の疎水性分散剤(Tamol731(Rohm and Haas、フィラデルフィア、ペンシルバニア州)の名称で市販されており、無水マレイン酸コポリマーのナトリウム塩と考えられる)、乾燥状態で40部のエチレンアクリル酸分散液(Michem Prime4983(Michleman Chemical社、シンシナチ、オハイオ州)の名称で市販されている)、乾燥状態で0.5部の多官能性アジリジン架橋剤(XAMA7(The Lubrizol社、ウィックリフ、オハイオ州)の名称で市販されている)、乾燥状態で0.5部のエポキシ樹脂(CR5L(Esprix Technologies、サラソタ、フロリダ州)の名称で市販されている)、0.025部のエポキシ硬化剤(lmicure(登録商標)AMI2(Air Products and Chemicals社、アレンタウン、ペンシルバニア州)の名称で市販されており、2−メチルイミダゾールと考えられる)、及び乾燥状態で15部の架橋ポリウレタン(Daiplacoat EHC731(GSI Exim America社、ニューヨーク、ニューヨーク州)の名称で市販されている)からなるものとした。この被膜は約40%の全固形分において混合した。
【0085】
用いたトナー印刷可能紙は、24ポンドのClassic Crest(登録商標)超平滑紙(Neenah Paper社)であった。黒色画像の「ネガ」をLexmark C782プリンタを用いてトナー印刷可能紙に印刷した。この印刷したシートを加熱プレス機内で、250°F(約121℃)において強い圧力で第1の転写紙の被覆面に対して20秒間圧着した。冷却後、第1の転写紙上の被覆が、レーザ印刷の黒色画像領域のみに転写された。次に、第1の転写紙を、黒いTシャツ布に、375°F(約191℃)において25秒間圧着し、冷却し、トナー印刷可能紙の非画像形成領域に対応する被覆を布に転写した。第3のステップにおいて、第2の転写紙を、第1の転写被覆を有する布に、375°F(約191℃)において25秒間圧着し、次いで熱い間に取り除いた。白色の不透明層及び押出層の一部分(紙を取り除いた時点で溶融していた)は、従って第1の転写被覆を支持する領域にのみ転写されて、白色画像を与えた。
【0086】
実施例2
実施例2は、図1−10及び図16に示す順次的方法による、不透明画像を基材上に形成する過程にほぼ沿ったものである。
第1のステップは、第1の実施例におけると同様に繰り返された。第2のステップにおいて、第1のステップ後に残留した被覆を支持する第1の転写紙を、加熱プレス内で第2の転写紙に向かい合わせて、375°F(約191℃)において25秒間加熱圧着した。冷却後、紙を分離すると、被覆が第1の熱転写紙から第2の転写紙に転写された。次に、ここで被覆された第2の転写紙を黒いTシャツの布に375°F(約191℃)において25秒間圧着し、熱いうちに紙を取り除くと黒い布上に白色画像がもたらされた。この方法は、第2のステップ後に中間物を作成する。第2の転写紙の表面の非粘着性不透明被覆と第1の転写紙の溶融性転写被覆との間の付着力は、被覆が基材への転写前に互いに加熱圧着されるので、改善され得る。
【0087】
変形例
上記の配合物(実施例1及び実施例2の両方)に対する変形例は、非粘着性被覆からDaiplacoat RHC731を除去して、許容できる転写をもたらすものであった。しかし、被覆の重量は、1300平方フィート当たり約3ポンドに制限した。より重量のある被覆は、最終転写ステップにおいて、画像縁の被覆重なりの「切れ目」を生じた。これは被覆膜が強すぎてきれいに分離しなかったためと考えられる。
【0088】
別の変形例においては、非粘着性不透明層と溶融性層の間に、上記の二酸化チタンR900を添加した。これは、不透明化溶融性層と不透明化非粘着層を有する第2の転写紙を形成するものであった。これにより、付加的な不透明性を得ることができ、その結果、非粘着性不透明化層の被覆重量を、1300平方フィート当たり約3ポンドまで減らすことが可能になった。従って、非粘着性不透明化層内にDaiplacoat RHC731又は他の非溶融性ポリマー粒子は、必要なくなった。
【0089】
別の変形例は、Daiplacoat RHC731の代わりにOrgasol1002D NAT(ナイロン6の粒子)を用いることである。さらに別の有用な変形例は、Orgasol1002D NAT又はDaiplacoatを溶融性層中に用いることである。基材からの紙の分離は、溶融層が弱まるために最終転写ステップにおいて、より容易になり、また転写の粘着性は、高温で減少するので、衣服が高温で乾燥される場合、転写物が他の材料又は乾燥機に張り付きにくくなる。
【0090】
本発明は、その特定の実施形態に関して詳細に説明したが、当業者であれば、上記のことを理解することにより、これら実施形態の代替例、変形例及び均等例を容易に着想することができる。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びあらゆる均等物の範囲として判断されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に不透明画像を形成する方法であって、
トナーインクをトナー印刷可能シート上に印刷して画像形成領域及び非画像形成領域を形成し、
前記トナー印刷可能シートと、溶融性被覆層を含む被覆転写シートとを組み合せて第1の一時的ラミネートを形成し、
前記第1の一時的ラミネートを分離し、被覆トナー印刷シート及び中間画像形成被覆転写シートを形成して、前記被覆転写シートの前記溶融性被覆層が前記トナー印刷可能シート上の前記トナーインクによって形成された前記画像形成領域に転写され、前記中間画像形成被覆転写シート上に残留した前記溶融性被覆層が前記トナー印刷可能シートの前記非画像形成領域に対応するようにし、
前記中間画像形成被覆転写シートと、不透明被覆層を含む不透明転写シートとを組み合せて第2の一時的ラミネートを形成し、
前記第2の一時的ラミネートを分離して中間溶融被覆不透明転写シートを形成し、前記中間画像形成被覆転写シート上に残留した前記溶融性被覆層が前記不透明転写シートに転写されて前記溶融性被覆層が前記不透明被覆層の上に重なるようにし、
前記中間溶融被覆不透明転写シートの前記不透明被覆層及び溶融性被覆層を前記基材に転写して、前記不透明被覆層が前記溶融性被覆層の上に重なり、前記溶融性被覆層が前記基材の上に重なるようにする、
段階を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の一時的ラミネートは、約150℃より低い第1の転写温度にさらされることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の一時的ラミネートは、約150℃より高い第2の転写温度にさらされることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記中間画像形成被覆転写シートの前記不透明被覆層及び前記溶融性被覆層を前記基材に前記転写する前記段階は、前記中間画像形成被覆転写シートを約150℃より高い温度にさらす段階を含むことを特徴とする、前記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項5】
前記不透明被覆層は架橋ポリマー材料及び不透明化剤を含むことを特徴とする、前記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項6】
前記不透明被覆層は、補強層及びベースシートの上に重なって前記不透明転写シートを形成し、前記補強層は、基材への転写の際に分裂し、前記補強層の一部分は、前記中間溶融被覆不透明転写シートの前記不透明被覆層及び前記溶融性被覆層と共に前記基材に転写され、前記補強層が前記不透明被覆層の上に重なり、前記不透明被覆層が前記溶融性被覆層の上に重なり、前記溶融性被覆層が前記基材の上に重なることを特徴とする、前記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項7】
基材上に不透明画像を形成する方法であって、
トナーインクをトナー印刷可能シート上に印刷して画像形成領域及び非画像形成領域を形成し、
前記トナー印刷可能シートと、溶融性被覆層を含む被覆転写シートとを組み合せて一時的ラミネートを形成し、
前記一時的ラミネートを分離し、被覆トナー印刷シート及び中間画像形成被覆転写シートを形成して、前記被覆転写シートの前記溶融性被覆層が前記トナー印刷可能シート上の前記トナーインクによって形成された画像形成領域に転写されて前記被覆トナー印刷シートを形成し、前記中間画像形成被覆転写シート上に残留した前記溶融性被覆層が前記トナー印刷可能シートの前記非画像形成領域に対応するようにし、
前記中間画像形成被覆転写シート上に残留した前記溶融性被覆層を前記基材に転写し、
その後、不透明転写シートからの不透明被覆層を、前記基材上の前記溶融性被覆層に転写して、前記不透明被覆層が前記溶融性被覆層の上に重なり、前記溶融性被覆層が前記基材の上に重なるようにする、
段階を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記一時的ラミネートは、約150℃より低い第1の転写温度にさらされることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記中間画像形成被覆転写シート上に残留した前記溶融性被覆層を前記基材に前記転写する前記段階は、前記中間画像形成被覆転写シートを約150℃より高い温度にさらす段階を含むことを特徴とする、請求項7又は請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記被覆転写シートの前記不透明被覆層を前記基材上の前記溶融性被覆層に転写する前記段階は、前記不透明転写シート及び前記溶融性被覆層を約150℃より高い温度にさらす段階を含むことを特徴とする、請求項7から請求項9までの何れかに記載の方法。
【請求項11】
前記不透明被覆層は架橋ポリマー材料及び不透明化剤を含むことを特徴とする、請求項7から請求項10までの何れかに記載の方法。
【請求項12】
前記不透明被覆層は補強層及びベースシートの上に重なって前記不透明転写シートを形成し、前記補強層は基材への転写の際に分裂し、前記補強層の一部分は、前記中間溶融被覆不透明転写シートの前記不透明被覆層及び前記溶融性被覆層と共に前記基材に転写されて前記補強層が前記不透明被覆層の上に重なり、前記不透明被覆層が前記溶融性被覆層の上に重なり、前記溶融性被覆層が前記基材の上に重なることを特徴とする、請求項7から請求項11までの何れかに記載の方法。
【請求項13】
ベースシートと、
前記ベースシートの上に重なっており、ポリマー材料及び不透明化剤を含む不透明被覆層と、
前記不透明被覆層の一部分の上に重なっており、前記不透明被覆層上の画像を形成する溶融性被覆層と、
を含むことを特徴とする中間溶融被覆不透明転写シート。
【請求項14】
前記不透明被覆層の前記ポリマー材料が3次元架橋ネットワークを形成することを特徴とする、請求項13に記載の中間溶融被覆不透明転写シート。
【請求項15】
前記不透明被覆層は、約250℃までの温度にさらされても溶融しないことを特徴とする、請求項13又は請求項14に記載の中間溶融被覆不透明転写シート。
【請求項16】
前記溶融性被覆層は、約150℃乃至約250℃の温度で軟化し溶融することを特徴とする、請求項13から請求項15までの何れかに記載の中間溶融被覆不透明転写シート。
【請求項17】
前記溶融性被覆層は、粉末熱可塑性ポリマー及び膜形成結合剤を含むことを特徴とする、請求項13から請求項16までの何れかに記載の中間溶融被覆不透明転写シート。
【請求項18】
前記ベースシートと前記不透明被覆層の間に配置された補強層をさらに含むことを特徴とする、請求項13から請求項17までの何れかに記載の中間溶融被覆不透明転写シート。
【請求項19】
前記補強層は、約150℃乃至約250℃の温度で軟化し溶融することを特徴とする、請求項18に記載の中間溶融被覆不透明転写シート。
【請求項20】
前記不透明被覆層は、約1ミクロン乃至約50ミクロンの平均サイズを有するポリマー粒子をさらに含むことを特徴とする、請求項13から請求項19までの何れかに記載の中間溶融被覆不透明転写シート。
【請求項1】
基材上に不透明画像を形成する方法であって、
トナーインクをトナー印刷可能シート上に印刷して画像形成領域及び非画像形成領域を形成し、
前記トナー印刷可能シートと、溶融性被覆層を含む被覆転写シートとを組み合せて第1の一時的ラミネートを形成し、
前記第1の一時的ラミネートを分離し、被覆トナー印刷シート及び中間画像形成被覆転写シートを形成して、前記被覆転写シートの前記溶融性被覆層が前記トナー印刷可能シート上の前記トナーインクによって形成された前記画像形成領域に転写され、前記中間画像形成被覆転写シート上に残留した前記溶融性被覆層が前記トナー印刷可能シートの前記非画像形成領域に対応するようにし、
前記中間画像形成被覆転写シートと、不透明被覆層を含む不透明転写シートとを組み合せて第2の一時的ラミネートを形成し、
前記第2の一時的ラミネートを分離して中間溶融被覆不透明転写シートを形成し、前記中間画像形成被覆転写シート上に残留した前記溶融性被覆層が前記不透明転写シートに転写されて前記溶融性被覆層が前記不透明被覆層の上に重なるようにし、
前記中間溶融被覆不透明転写シートの前記不透明被覆層及び溶融性被覆層を前記基材に転写して、前記不透明被覆層が前記溶融性被覆層の上に重なり、前記溶融性被覆層が前記基材の上に重なるようにする、
段階を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の一時的ラミネートは、約150℃より低い第1の転写温度にさらされることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の一時的ラミネートは、約150℃より高い第2の転写温度にさらされることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記中間画像形成被覆転写シートの前記不透明被覆層及び前記溶融性被覆層を前記基材に前記転写する前記段階は、前記中間画像形成被覆転写シートを約150℃より高い温度にさらす段階を含むことを特徴とする、前記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項5】
前記不透明被覆層は架橋ポリマー材料及び不透明化剤を含むことを特徴とする、前記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項6】
前記不透明被覆層は、補強層及びベースシートの上に重なって前記不透明転写シートを形成し、前記補強層は、基材への転写の際に分裂し、前記補強層の一部分は、前記中間溶融被覆不透明転写シートの前記不透明被覆層及び前記溶融性被覆層と共に前記基材に転写され、前記補強層が前記不透明被覆層の上に重なり、前記不透明被覆層が前記溶融性被覆層の上に重なり、前記溶融性被覆層が前記基材の上に重なることを特徴とする、前記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項7】
基材上に不透明画像を形成する方法であって、
トナーインクをトナー印刷可能シート上に印刷して画像形成領域及び非画像形成領域を形成し、
前記トナー印刷可能シートと、溶融性被覆層を含む被覆転写シートとを組み合せて一時的ラミネートを形成し、
前記一時的ラミネートを分離し、被覆トナー印刷シート及び中間画像形成被覆転写シートを形成して、前記被覆転写シートの前記溶融性被覆層が前記トナー印刷可能シート上の前記トナーインクによって形成された画像形成領域に転写されて前記被覆トナー印刷シートを形成し、前記中間画像形成被覆転写シート上に残留した前記溶融性被覆層が前記トナー印刷可能シートの前記非画像形成領域に対応するようにし、
前記中間画像形成被覆転写シート上に残留した前記溶融性被覆層を前記基材に転写し、
その後、不透明転写シートからの不透明被覆層を、前記基材上の前記溶融性被覆層に転写して、前記不透明被覆層が前記溶融性被覆層の上に重なり、前記溶融性被覆層が前記基材の上に重なるようにする、
段階を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記一時的ラミネートは、約150℃より低い第1の転写温度にさらされることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記中間画像形成被覆転写シート上に残留した前記溶融性被覆層を前記基材に前記転写する前記段階は、前記中間画像形成被覆転写シートを約150℃より高い温度にさらす段階を含むことを特徴とする、請求項7又は請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記被覆転写シートの前記不透明被覆層を前記基材上の前記溶融性被覆層に転写する前記段階は、前記不透明転写シート及び前記溶融性被覆層を約150℃より高い温度にさらす段階を含むことを特徴とする、請求項7から請求項9までの何れかに記載の方法。
【請求項11】
前記不透明被覆層は架橋ポリマー材料及び不透明化剤を含むことを特徴とする、請求項7から請求項10までの何れかに記載の方法。
【請求項12】
前記不透明被覆層は補強層及びベースシートの上に重なって前記不透明転写シートを形成し、前記補強層は基材への転写の際に分裂し、前記補強層の一部分は、前記中間溶融被覆不透明転写シートの前記不透明被覆層及び前記溶融性被覆層と共に前記基材に転写されて前記補強層が前記不透明被覆層の上に重なり、前記不透明被覆層が前記溶融性被覆層の上に重なり、前記溶融性被覆層が前記基材の上に重なることを特徴とする、請求項7から請求項11までの何れかに記載の方法。
【請求項13】
ベースシートと、
前記ベースシートの上に重なっており、ポリマー材料及び不透明化剤を含む不透明被覆層と、
前記不透明被覆層の一部分の上に重なっており、前記不透明被覆層上の画像を形成する溶融性被覆層と、
を含むことを特徴とする中間溶融被覆不透明転写シート。
【請求項14】
前記不透明被覆層の前記ポリマー材料が3次元架橋ネットワークを形成することを特徴とする、請求項13に記載の中間溶融被覆不透明転写シート。
【請求項15】
前記不透明被覆層は、約250℃までの温度にさらされても溶融しないことを特徴とする、請求項13又は請求項14に記載の中間溶融被覆不透明転写シート。
【請求項16】
前記溶融性被覆層は、約150℃乃至約250℃の温度で軟化し溶融することを特徴とする、請求項13から請求項15までの何れかに記載の中間溶融被覆不透明転写シート。
【請求項17】
前記溶融性被覆層は、粉末熱可塑性ポリマー及び膜形成結合剤を含むことを特徴とする、請求項13から請求項16までの何れかに記載の中間溶融被覆不透明転写シート。
【請求項18】
前記ベースシートと前記不透明被覆層の間に配置された補強層をさらに含むことを特徴とする、請求項13から請求項17までの何れかに記載の中間溶融被覆不透明転写シート。
【請求項19】
前記補強層は、約150℃乃至約250℃の温度で軟化し溶融することを特徴とする、請求項18に記載の中間溶融被覆不透明転写シート。
【請求項20】
前記不透明被覆層は、約1ミクロン乃至約50ミクロンの平均サイズを有するポリマー粒子をさらに含むことを特徴とする、請求項13から請求項19までの何れかに記載の中間溶融被覆不透明転写シート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2012−505781(P2012−505781A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532143(P2011−532143)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/059195
【国際公開番号】WO2010/045034
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(505029713)ニーナ ペイパー インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/059195
【国際公開番号】WO2010/045034
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(505029713)ニーナ ペイパー インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
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