説明

画像サイズ変換装置、方法およびプログラム

【課題】視覚的な違和感、および、画像全域に渡る画質の劣化をもたらすことなく、入力画像の画像サイズを縮小または拡大することができる画像サイズ変換装置、方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】入力画像の水平方向の画素数と所望サイズの水平方向の画素数の大小関係、および、入力画像の垂直方向の画素数と所望サイズの垂直方向の画素数の大小関係を判定する画像サイズ判定手段11と、画像サイズ判定手段11の判定結果に応じて、調整領域の水平および垂直方向の画素数、ならびに、非調整領域の水平および垂直方向の画素数をそれぞれ算出する画素数算出手段12と、入力画像における非調整領域の位置を決定する非調整領域位置決定手段13と、画素数変更率、調整領域の画素数、および、非調整領域の位置に基づいて、入力画像の画像サイズを所望サイズに変換する画像サイズ変換手段14と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像サイズ変換装置、方法およびプログラムに関し、特に、入力画像の画像サイズ変換を行うための画像サイズ変換装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、HDTVの画素数を大幅に超えるスーパーハイビジョンなどの超高精細画像(UHDTV)が開発され、実用化に向けた取り組みがなされている。任意の画像処理装置や画像伝送システムに、UHDTVなどの画素数が非常に多い動画像を入力させる際には、その画像サイズ(以下、原画サイズと記す)が、画像処理装置または画像伝送システムの処理可能な画像サイズ(以下、処理サイズと記す)を上回ることが想定される。この場合には、動画像の画像サイズを予め処理サイズに調整した上で、画像処理装置または画像伝送システムに入力させることが必要となる。
【0003】
動画像の画像サイズの調整方法としては、画像周辺部を単純に切り落とすことによるサイズ縮小や各種フィルタを用いた画像縮小が用いられる。そして、画像処理もしくは画像伝送の後に原画サイズを持つ画像を再生するために、画像周辺部に黒帯を付加することによるサイズ拡大や各種フィルタを用いた画像拡大が行われる。
【0004】
なお、画像全域に渡って画像サイズの拡大または縮小を行う方法および装置として、水平方向、垂直方向に種々に画像サイズを変換する画サイズ変換装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された装置は、水平方向の画像サイズを変換する水平フィルタ、および、垂直方向の画像サイズを変換する垂直フィルタを備えており、画像サイズを拡大する際には各フィルタで補間処理を行い、画像サイズを縮小する際には画像データの間引きを行うものである。
【0005】
また、特許文献2には、デジタル写真サービスにおいて、デジタル画像を、そのデジタル画像とアスペクト比が異なるプリント印画紙上に再生記録する際に、主要被写体を変形することなく、また画像の一部を切り取ることなく、そのデジタル画像のサイズをプリントのサイズに合わせるものが開示されている。
【0006】
特許文献2に開示された方法および装置は、主要被写体が含まれる中心部については縦横同じ一定の倍率で画像サイズの拡大(補間処理)あるいは縮小を行い、それ以外の周辺部については倍率を変化させながら画像サイズの拡大(補間処理)あるいは縮小を行って、デジタル画像のサイズを所望のプリント印画紙のサイズに合わせるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−3481号公報
【特許文献2】特開平11−127344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、画像周辺部を単純に切り落とす縮小方法と、画像周辺部に黒帯を付加する拡大方法とを用いる場合には、画像の絵柄を欠損させてしまうのみならず、黒帯が付加されることによる違和感をも発生させてしまう。
【0009】
また、特許文献1および特許文献2に開示された方法および装置のように、画像全域に渡って画像サイズの縮小または拡大を行う場合には、画像の全領域において画質の劣化を招いてしまう。
【0010】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、視覚的な違和感、および、画像全域に渡る画質の劣化をもたらすことなく、入力画像の画像サイズを縮小または拡大することができる画像サイズ変換装置、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の画像サイズ変換装置は、入力された画像を主領域とその周辺領域とに分割し、所定の変更率で該周辺領域の画素数を変更することで、該入力された画像の画像サイズを所望サイズに変換する画像サイズ変換装置であって、前記入力された画像の水平方向の画素数と前記所望サイズの水平方向の画素数の大小関係、および、前記入力された画像の垂直方向の画素数と前記所望サイズの垂直方向の画素数の大小関係を判定する画像サイズ判定手段と、前記画像サイズ判定手段の判定結果に応じて、前記周辺領域の水平および垂直方向の画素数を算出する画素数算出手段と、前記入力された画像における前記主領域の位置を決定する主領域位置決定手段と、前記変更率、前記周辺領域の画素数、および、前記主領域の位置に基づいて、前記入力された画像の画像サイズを前記所望サイズに変換する画像サイズ変換手段と、を備える構成を有している。
【0012】
この構成により、入力画像の画像サイズを所望の画像サイズに変換する際に、入力画像の周辺領域の画素数を変更することで、注視領域となる画像中心部の画質劣化を発生させないため、視覚的な違和感、および、画像全域に渡る画質の劣化をもたらすことなく、入力画像の画像サイズを縮小または拡大することができる。
【0013】
また、本発明の画像サイズ変換装置は、前記画素数算出手段が、前記画像サイズ判定手段により、前記入力された画像の水平方向の画素数が前記所望サイズの水平方向の画素数よりも大であるか、前記入力された画像の垂直方向の画素数が前記所望サイズの垂直方向の画素数よりも大であると判定された場合に、前記周辺領域の水平および垂直方向の画素数を算出する構成を有していてもよい。
【0014】
また、本発明の画像サイズ変換装置は、前記画素数算出手段が、前記入力された画像の画像サイズと、前記所望サイズと、前記変更率と、を用いて、以下の式(1)に従って、前記周辺領域の画素数を算出する構成を有していてもよい。
【数1】

【0015】
また、本発明の画像サイズ変換装置は、前記画素数算出手段が、前記画像サイズ判定手段により、前記入力された画像の水平方向の画素数が前記所望サイズの水平方向の画素数よりも小であるか、前記入力された画像の垂直方向の画素数が前記所望サイズの垂直方向の画素数よりも小であると判定された場合に、前記周辺領域の水平および垂直方向の画素数を算出する構成を有していてもよい。
【0016】
また、本発明の画像サイズ変換装置は、前記画素数算出手段が、前記入力された画像の画像サイズと、前記所望サイズと、前記変更率と、を用いて、以下の式(2)に従って、前記周辺領域の画素数を算出する構成を有していてもよい。
【数2】

【0017】
また、本発明の画像サイズ変換装置は、前記主領域位置決定手段が、前記入力された画像における垂直方向のエッジを検出するエッジ検出部を有し、該エッジ検出部により検出された垂直方向のエッジで分断される各領域の水平方向の画素数に応じて、前記主領域と前記周辺領域の垂直方向の境界位置を決定する構成を有している。
【0018】
この構成により、画像全域に渡る垂直エッジを検出した場合には、このエッジを周辺領域と主領域の境界とすることで、各領域間の画質の差を目立たなくすることができる。
【0019】
また、本発明の画像サイズ変換装置は、前記主領域位置決定手段が、前記入力された画像における水平方向のエッジを検出するエッジ検出部を有し、該エッジ検出部により検出された水平方向のエッジで分断される各領域の垂直方向の画素数に応じて、前記主領域と前記周辺領域の水平方向の境界位置を決定する構成を有している。
【0020】
この構成により、画像全域に渡る水平エッジを検出した場合には、このエッジを周辺領域と主領域の境界とすることで、各領域間の画質の差を目立たなくすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、入力画像を所望の画像サイズに変換する際に、入力画像の周辺領域の画素数を変更することにより、視覚的な違和感、および、画像全域に渡る画質の劣化をもたらすことなく、入力画像の画像サイズを縮小または拡大することができる画像サイズ変換装置、方法およびプログラムを提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施形態に係る画像サイズ変換装置の構成を示すブロック図
【図2】第1の実施形態に係る画像サイズ変換装置のハードウエア構成を示すブロック図
【図3】第1の実施形態に係る画像サイズ変換装置のCPUが実行する画像サイズ変換プログラムのフローチャート
【図4】変換前サイズと所望サイズの対応関係を示す説明図
【図5】入力動画像のある時刻における画像フレームの絵柄の例を示す模式図
【図6】第1の実施形態に係る画像サイズ変換装置のCPUが実行する非調整領域位置決定ルーチンのフローチャート
【図7】第1の実施形態に係る画像サイズ変換装置のCPUが実行する水平方向位置決定ルーチンのフローチャート
【図8】垂直方向のエッジの例を示す模式図
【図9】非調整領域の位置の決定方法を示す説明図
【図10】非調整領域の位置の決定方法を示す説明図
【図11】第2の実施形態に係る画像サイズ変換装置のCPUが実行する画像サイズ変換プログラムのフローチャート
【図12】第2の実施形態に係る画像サイズ変換装置のCPUが実行する水平方向位置決定ルーチンのフローチャート
【図13】非調整領域の位置の決定方法を示す説明図
【図14】非調整領域の位置の決定方法を示す説明図
【図15】第3の実施形態に係る画像処理システムの構成を示すブロック図
【図16】第4の実施形態に係る画像サイズ変換装置のCPUが実行する画像サイズ判定および画素数算出ルーチンのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る画像サイズ変換装置の実施形態について図面を用いて説明する。本発明に係る画像サイズ変換装置は、入力画像を主領域とその周辺領域とに分割し、所定の変更率(拡大率または縮小率)で該周辺領域の画素数を変更することにより、入力画像の画像サイズの縮小および拡大の少なくとも一方を行って、画像サイズを所望サイズに変換するものである。なお、以下では周辺領域を調整領域と呼び、主領域を非調整領域と呼ぶ。
【0024】
(第1の実施形態)
本発明に係る画像サイズ変換装置の第1の実施形態を図1〜図10を参照しながら説明する。なお、本実施形態では、周辺領域(調整領域)を縮小することにより入力動画像の各画像フレームの画像サイズの縮小を行う構成を説明する。
【0025】
本実施形態の画像サイズ変換装置1は、図1に示すように、入力動画像Moの画像フレームF(t)の水平方向の画素数Xoと所望サイズの水平方向の画素数Xpの大小関係、および、画像フレームF(t)の垂直方向の画素数Yoと所望サイズの垂直方向の画素数Ypの大小関係を判定する画像サイズ判定手段11と、画像サイズ判定手段11の判定結果に応じて、周辺領域(調整領域)の水平および垂直方向の画素数を算出する画素数算出手段12と、画像フレームF(t)における非調整領域の位置を決定する非調整領域位置決定手段13と、所定の変更率Rx,Ry(以下、画素数変更率と記す)、調整領域の画素数、および、非調整領域の位置に基づいて、入力動画像Moの画像サイズ(以下、変換前サイズと記す)を所望サイズに変換する画像サイズ変換手段14と、を備える。
【0026】
画像サイズ判定手段11は、画像フレームF(t)の水平方向の画素数が所望サイズの水平方向の画素数よりも大であるか否か、および、画像フレームF(t)の垂直方向の画素数が所望サイズの垂直方向の画素数よりも大であるか否かを判定するようになっている。
【0027】
画素数算出手段12は、画像サイズ判定手段11により、画像フレームF(t)の水平方向の画素数が所望サイズの水平方向の画素数よりも大であるか、画像フレームF(t)の垂直方向の画素数が所望サイズの垂直方向の画素数よりも大であると判定された場合に、調整領域の水平および垂直方向の画素数を算出するようになっている。
【0028】
非調整領域位置決定手段13は、画像フレームF(t)におけるエッジを検出するエッジ検出部15を有し、エッジ検出部15の検出結果に基づいて、画像フレームF(t)における非調整領域と調整領域の境界位置を決定するようになっている。あるいは、非調整領域は無条件に画像中央部に配置されるものとしてもよい。
【0029】
画像サイズ変換手段14は、画像サイズ判定手段11の判定結果によって画像サイズ変換を行う必要がある場合には、入力動画像Moの画像サイズを所望サイズに変換した変換動画像Msを出力する。一方、画像サイズ判定手段11の判定結果によって画像サイズ変換を行う必要がない場合には、画像サイズ変換手段14は、入力動画像Moを素通りさせるようになっている。
【0030】
図2は、本実施形態の画像サイズ変換装置1のハードウエア構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態の画像サイズ変換装置1は、表示パネル31、キーボード32、およびマウス33等のインターフェイスと、パーソナルコンピュータ等の演算装置34と、を含む。
【0031】
演算装置34は、入力動画像Moと、入力動画像Moの変換前サイズXo,Yo、所望サイズXp,Yp、および、画素数変更率Rx,Ryが入力される入力インターフェイス(I/F)35、変換動画像Msを出力する出力I/F36、CPU37、メモリ38、入力動画像Moおよび変換動画像Msを必要に応じて記憶するハードディスク(HDD)39、および周辺機器I/F40がバス41を介して相互に結合された構成を有する。表示パネル31、キーボード32、およびマウス33等のインターフェイスは周辺機器I/F40に接続される。
【0032】
なお、画像サイズ判定手段11、画素数算出手段12、非調整領域位置決定手段13、画像サイズ変換手段14、およびエッジ検出部15は、メモリ38にプログラムをインストールすることにより、演算装置34内にソフトウエア的に構成される。
【0033】
図3は、CPU37が実行する画像サイズ変換プログラムのフローチャートである。CPU37は、入力動画像Moの変換前サイズおよび所望サイズをそれぞれ読み込む処理(ステップS100、S101、S106)と、画像サイズ判定手段11に対応する画像サイズ判定処理(ステップS102)と、画素数算出手段12に対応する画素数算出処理(ステップS103)と、非調整領域位置決定手段13に対応する非調整領域位置決定処理(ステップS104)と、画像サイズ変換手段14に対応する画像サイズ変換処理(ステップS105)と、を実行するようになっている。
【0034】
まず、CPU37は、ステップS100において、入力I/F35を介して、入力動画像Moの変換前サイズXo,Yoおよび所望サイズXp,Yp、画素数変更率Rx,Ryを読み込む。ここで、図4に示すように、XoおよびYoはそれぞれ変換前サイズの水平方向および垂直方向の画素数を示し、XpおよびYpはそれぞれ所望サイズの水平方向および垂直方向の画素数を示す。また、水平方向の画素数変更率Rxと垂直方向の画素数変更率Ryは、それぞれ異なる値であってもよい。
【0035】
次に、CPU37は、ステップS101において、例えば図5に示すような入力動画像Moのある時刻tにおける画像フレームF(t)を読み込む。
【0036】
次に、CPU37は、画像サイズ判定処理(ステップS102)において、変換前サイズの水平方向の画素数Xoが所望サイズの水平方向の画素数Xpよりも大である(Xo>Xp)か否か、および、変換前サイズの垂直方向の画素数Yoが所望サイズの垂直方向の画素数Ypよりも大である(Yo>Yp)か否かを判定する。水平方向および垂直方向のいずれについても変換前サイズが所望サイズ以下である場合には、CPU37はプログラムを終了する。
【0037】
一方、「Xo>Xp」および「Yo>Yp」の少なくともいずれか一方が成立する場合には、CPU37は、画素数算出処理(ステップS103)において、サイズ変換前の調整領域の水平および垂直方向の画素数X,Yを次式に従って算出する。ここで、画素数変更率Rx,Ryはいずれも1よりも小さい値である。
【数3】

【数4】

【0038】
[数3]の上段は次のように導出できる。ここで、サイズ変換前の調整領域を調整前領域、サイズ変換後の調整領域を調整後領域と呼ぶことにすると、調整前領域の水平方向の画素数と調整後領域の水平方向の画素数は(式a)、(式b)のように表わされる。
調整前領域の水平方向の画素数=変換前サイズの水平方向の画素数Xo−非調整領域の水平方向の画素数Xc・・・(式a)
調整後領域の水平方向の画素数=(Xo−Xc)×Rx・・・(式b)
【0039】
式aの両辺から式bの両辺を引くと(式c)のようになる。
調整前領域の水平方向の画素数−調整後領域の水平方向の画素数=(Xo−Xc)×(1−Rx)・・・(式c)
【0040】
ここで、式cの左辺は、変換前サイズの水平方向の画素数Xoから所望サイズの水平方向の画素数Xpを減じたものに他ならない。また、式cの右辺のXo−Xcは調整前領域の水平方向の画素数Xに他ならない。従って、(式c)は(式d)のように表わすことができる。
o−Xp=X×(1−Rx)・・・(式d)
(式d)の両辺を(1−Rx)で除することによって[数3]の上段が得られる。[数4]についても同様に導出できる。
【0041】
さらに、CPU37は、画素数算出処理(ステップS103)において、次式に示すように、調整前領域の画素数X(=Xo−Xc)、Y(=Yo−Yc)に画素数変更率Rx,Ryをそれぞれ乗ずることにより、調整後領域の画素数を算出する。
【数5】

【0042】
さらに、CPU37は、画素数算出処理(ステップS103)において、次式に示すように、非調整領域の水平および垂直方向の画素数Xc,Ycを算出する。
【数6】

【0043】
次に、CPU37は、非調整領域位置決定処理(ステップS104)において、入力動画像Moの画像フレームF(t)における非調整領域の位置を決定する。なお、この非調整領域位置決定処理(非調整領域位置決定ルーチン)の詳細については後述する。
【0044】
次に、CPU37は、画像サイズ変換処理(ステップS105)において、ステップS103で得られた調整前領域、調整後領域、および非調整領域の画素数、および、ステップS104で得られた非調整領域の位置の情報に基づいて、入力動画像Moの画像フレームF(t)の画像サイズを所望サイズに縮小する処理を行う。調整領域に対する画像縮小の方法としては、単純間引きや、Nearest Neighbor法、Bi linear法、Bi cubic法などを用いることができる。
【0045】
最後に、CPU37は、ステップS106において、最後の画像フレームを読み込んだか否かを判定し、最後の画像フレームを読み込んでいない場合には、ステップS101に戻って次の時刻の画像フレームを読み込む。最後の画像フレームを読み込んだ場合には、CPU37は、出力I/F36を介して変換動画像Msを出力する。さらに、CPU37は、出力I/F36を介して、変換前サイズや非調整領域のサイズなどの情報を出力してもよい。
【0046】
次に、図3の画像サイズ変換プログラムのステップS104で実行される非調整領域位置決定ルーチンについて説明する。
【0047】
図6は、CPU37が実行する非調整領域位置決定ルーチンのフローチャートである。CPU37は、ステップS110において、入力動画像Moの画像フレームF(t)における非調整領域の水平方向の位置を決定する水平方向位置決定ルーチンを実行する。最後に、CPU37は、ステップS111において、入力動画像Moの画像フレームF(t)における非調整領域の垂直方向の位置を決定する垂直方向位置決定ルーチンを実行する。
【0048】
図7は、図6に示した非調整領域位置決定ルーチンのステップS110で実行される水平方向位置決定ルーチンのフローチャートである。
【0049】
まず、CPU37は、ステップS120において、入力動画像Moの画像フレームF(t)における垂直方向のエッジを検出し、画像フレームF(t)に画像全域に渡る垂直エッジが含まれていると見なせる場合にはさらにその個数を判定する。この処理は、エッジ検出部15に対応している。
【0050】
垂直方向のエッジの検出方法としては、Sobelフィルタ、Prewittフィルタなどの一次微分を用いて検出する手法や、Laplacianフィルタ等の2次微分を用いて検出する手法、もしくは画像上でのエッジ部分のパターンを想定したテンプレートと入力画像である画像フレームF(t)との相関を算出して検出する手法などが挙げられる。
【0051】
Sobelフィルタを用いた場合の例を以下に示す。例えば、画像フレームF(t)の右側から左側に向かって垂直エッジ検出を行う場合のSobelフィルタの垂直エッジ検出係数は次式に示す通りである。
【数7】

【0052】
画像フレームF(t)に上記のフィルタ処理を施した場合には、画像フレームF(t)中の垂直方向のエッジが検出される。検出された垂直方向のエッジが、画像フレームF(t)の上端から下端まで連続している場合には、画像全域に渡る垂直エッジの候補と見なすことができる。
【0053】
このようにして検出された画像全域に渡る垂直エッジの候補は、図8(a)〜(d)に示す4つの例のように、必ずしも直線ではなく、さらに画像フレームF(t)の上端および下端に対して垂直であるとは限らない。従って、検出された垂直方向のエッジの右端と左端の距離Dvが予め定められた閾値よりも小さい場合には、検出された垂直方向のエッジの右端と左端から等距離(Dv/2)にある垂直線(図8(a)〜(d)中の点線)を画像全域に渡る垂直エッジと決定する。
【0054】
なお、上記のフィルタ処理により検出された垂直方向のエッジが、例えば図8(e)に示す例のように、画像全域に渡るものでない場合もある。この場合は、検出された垂直方向のエッジの右端と左端の距離Dvが予め定められた閾値よりも小さく、かつ、垂直方向の長さLvが予め定められた閾値よりも長ければ、検出された垂直方向のエッジの右端と左端から等距離(Dv/2)にあり、画像フレームF(t)の上端から下端まで連続する垂直線(図8(e)中の点線)を画像全域に渡る垂直エッジと決定する。
【0055】
CPU37は、画像全域に渡る垂直エッジの個数が0である場合には、ステップS121において、非調整領域の位置を画像中央部(即ち、画像フレームF(t)の中心点と非調整領域の中心点とが一致する)と決定する。これは、図9(a)のパターン1に該当する。
【0056】
CPU37は、画像全域に渡る垂直エッジの個数が1である場合には、ステップS122において、この垂直エッジで分断された2つの領域のうち小さい面積を持つ領域(以下、エリアAと記す)の水平方向の画素数が、調整前領域の水平方向の画素数以下であるか否かを判定する。
【0057】
エリアAの水平方向の画素数が調整前領域の水平方向の画素数以下である場合には、CPU37は、ステップS123において、この垂直エッジの位置を調整領域と非調整領域の境界位置と決定する。即ち、エリアAが画像フレームF(t)の左側に存在する場合には、非調整領域の左端がエリアAの右端と一致するように非調整領域が配置されることになる。これは、図9(b)のパターン2に該当する。一方、エリアAが画像フレームF(t)の右側に存在する場合には、非調整領域の右端がエリアAの左端と一致するように非調整領域が配置されることになる。
【0058】
一方、エリアAの水平方向の画素数が調整前領域の水平方向の画素数よりも大きい場合には、CPU37は、ステップS121において、非調整領域の位置を画像中央部と決定する。これは、図9(c)のパターン3に該当する。
【0059】
CPU37は、画像全域に渡る垂直エッジの個数が2以上である場合には、ステップS124において、これら2以上の垂直エッジで分断された3以上の領域のうち、画像フレームF(t)の左端と右端に接する2つの領域(最も外側に位置する領域)のうち大きい面積を持つ領域(以下、エリアBと記す)の水平方向の画素数が、調整前領域の水平方向の画素数以下であるか否かを判定する。
【0060】
エリアBの水平方向の画素数が調整前領域の水平方向の画素数以下である場合には、CPU37は、ステップS125において、エリアBに隣接する垂直エッジの位置を調整領域と非調整領域の境界位置と決定する。即ち、エリアBが画像フレームF(t)の左側に存在する場合には、非調整領域の左端がエリアBの右端と一致するように非調整領域が配置されることになる。これは、図9(d)のパターン4に該当する。一方、エリアBが画像フレームF(t)の右側に存在する場合には、非調整領域の右端がエリアBの左端と一致するように非調整領域が配置されることになる。
【0061】
一方、エリアBの水平方向の画素数が調整前領域の水平方向の画素数よりも大きい場合には、CPU37は、ステップS126において、画像フレームF(t)の左端と右端に接する2つの領域(最も外側に位置する領域)のうち小さい面積を持つ領域(以下、エリアCと記す)の水平方向の画素数が、調整前領域の水平方向の画素数以下であるか否かを判定する。
【0062】
エリアCの水平方向の画素数が調整前領域の水平方向の画素数以下である場合には、CPU37は、ステップS127において、エリアCに隣接する垂直エッジの位置を調整領域と非調整領域の境界位置と決定する。即ち、エリアCが画像フレームF(t)の左側に存在する場合には、非調整領域の左端がエリアCの右端と一致するように非調整領域が配置されることになる。一方、エリアCが画像フレームF(t)の右側に存在する場合には、非調整領域の右端がエリアCの左端と一致するように非調整領域が配置されることになる。これは、図10(e)のパターン5に該当する。
【0063】
一方、エリアC(およびエリアB)の水平方向の画素数が調整前領域の水平方向の画素数よりも大きい場合には、CPU37は、ステップS121において、非調整領域の位置を画像中央部と決定する。これは、図10(f)のパターン6に該当する。
【0064】
既に述べたように、CPU37は、上記の水平方向位置決定ルーチンを実行した後に、入力動画像Moの画像フレームF(t)における非調整領域の垂直方向の位置を決定する垂直方向位置決定ルーチンを実行する。この処理の手順については、上記の水平方向位置決定ルーチンと同様であるので詳細な説明を省略する。
【0065】
なお、Sobelフィルタを用いて、例えば、画像フレームF(t)の下側から上側に向かって水平エッジ検出を行う場合の水平エッジ検出係数は次式に示す通りである。
【数8】

【0066】
上記のフィルタ処理により検出された水平方向のエッジが、画像フレームF(t)の左端から右端まで連続している場合には、画像全域に渡る水平エッジの候補と見なすことができる。
【0067】
このようにして検出された画像全域に渡る水平エッジの候補は、必ずしも直線ではなく、さらに画像フレームF(t)の左端および右端に対して垂直であるとは限らない。従って、検出された水平方向のエッジの上端と下端の距離DHが予め定められた閾値よりも小さい場合には、検出された水平方向のエッジの上端と下端から等距離(DH/2)にある水平線を画像全域に渡る水平エッジと決定する。
【0068】
なお、上記のフィルタ処理により検出された水平方向のエッジが画像全域に渡るものでない場合は、検出された水平方向のエッジの上端と下端の距離DHが予め定められた閾値よりも小さく、かつ、水平方向の長さLHが予め定められた閾値よりも長ければ、検出された水平方向のエッジの上端と下端から等距離(DH/2)にあり、画像フレームF(t)の左端から右端まで連続する水平線を画像全域に渡る水平エッジと決定する。
【0069】
本実施形態では、調整前領域の画素数を決定した後に、調整前領域の位置および非調整領域の位置を決定したが、逆の手順を踏む場合でも同様の効果が得られる。即ち、先に画像全域に渡る水平エッジおよび垂直エッジの検出を行い、これらのエッジを調整前領域と非調整領域の境界と決定する。これにより、この境界に合致する調整前領域の画素数X,Yが決定され、[数3]および[数4]より画素数変更率Rx,Ryが求まる。
【0070】
以上説明したように、本実施形態の画像サイズ変換装置、方法およびプログラムは、入力動画像の画像フレームを所望の画像サイズに縮小する際に、各画像フレームの周辺領域のみを縮小することで、注視領域となる画像中心部の画質劣化を発生させない。さらに画像全域に渡る水平・垂直エッジを検出した場合には、これらのエッジを調整領域と非調整領域の境界とすることで、各領域間の画質の差を目立たなくすることができる。
【0071】
なお、本実施形態の画像サイズ変換装置、方法およびプログラムは、入力動画像に対してリアルタイム処理を行うものであってもよく、あるいは、予めHDDに記憶されている動画像に対してバッチ処理を行うものであってもよい。
【0072】
また、本実施形態の画像サイズ変換装置、方法およびプログラムは、上述の記載では入力動画像の全ての画像フレームについて非調整領域の位置決定処理を行うものであるとしたが、カットチェンジを検出した時点で該当する画像フレームにおいて非調整領域の位置決定処理を行い、次のカットチェンジを検出するまで非調整領域の位置を固定する構成であってもよい。なお、カットチェンジを検出する処理は、公知の技術で実現可能である。
【0073】
(第2の実施形態)
本発明に係る画像サイズ変換装置の第2の実施形態を図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態では、周辺領域(調整領域)を拡大することにより入力動画像の各画像フレームの画像サイズの拡大を行う構成を説明する。なお、第1の実施形態と同様の事項については適宜説明を省略する。
【0074】
本実施形態の画像サイズ変換装置2の構成は、第1の実施形態で図1、図2に示したものとほぼ同様であるが、画像サイズ判定手段11および画素数算出手段12の構成が異なっている。
【0075】
即ち、画像サイズ変換装置2においては、画像サイズ判定手段11は、入力動画像Moの画像フレームF(t)の垂直方向の画素数が所望サイズの垂直方向の画素数よりも小であるか否か、および、画像フレームF(t)の水平方向の画素数が所望サイズの水平方向の画素数よりも小であるか否かを判定するようになっている。
【0076】
また、画素数算出手段12は、画像サイズ判定手段11により、画像フレームF(t)の垂直方向の画素数が所望サイズの垂直方向の画素数よりも小であるか、画像フレームF(t)の水平方向の画素数が所望サイズの水平方向の画素数よりも小であると判定された場合に、調整領域の水平および垂直方向の画素数を算出するようになっている。
【0077】
図11は、CPU37が実行する画像サイズ変換プログラムのフローチャートである。CPU37は、入力動画像Moの変換前サイズおよび所望サイズをそれぞれ読み込む処理(ステップS100、S101、S106)と、画像サイズ判定手段11に対応する画像サイズ判定処理(ステップS202)と、画素数算出手段12に対応する画素数算出処理(ステップS203)と、非調整領域位置決定手段13に対応する非調整領域位置決定処理(ステップS204)と、画像サイズ変換手段14に対応する画像サイズ変換処理(ステップS105)と、を実行するようになっている。
【0078】
CPU37は、画像サイズ判定処理(ステップS202)において、変換前サイズの水平方向の画素数Xoが所望サイズの水平方向の画素数Xpよりも小である(Xo<Xp)か否か、および、変換前サイズの垂直方向の画素数Yoが所望サイズの垂直方向の画素数Ypよりも小である(Yo<Yp)か否かを判定する。水平方向および垂直方向のいずれについても変換前サイズが所望サイズ以上である場合には、CPU37はプログラムを終了する。
【0079】
一方、「Xo<Xp」および「Yo<Yp」の少なくともいずれか一方が成立する場合には、CPU37は、画素数算出処理(ステップS203)において、調整前領域の水平および垂直方向の画素数X',Y'を次式に従って算出する。ここで、画素数変更率Rx',Ry'はいずれも1よりも大きい値である。
【数9】

【数10】

【0080】
さらに、CPU37は、画素数算出処理(ステップS203)において、次式に示すように、調整前領域の画素数X'、Y'に画素数変更率Rx',Ry'をそれぞれ乗ずることにより、調整後領域の画素数を算出する。
【数11】

【0081】
さらに、CPU37は、画素数算出処理(ステップS203)において、次式に示すように、非調整領域の水平および垂直方向の画素数Xc',Yc'を算出する。
【数12】

【0082】
次に、CPU37は、非調整領域位置決定処理(ステップS204)において、入力動画像Moの画像フレームF(t)における非調整領域の位置を決定する。なお、この非調整領域位置決定処理(非調整領域位置決定ルーチン)の詳細については後述する。
【0083】
また、CPU37は、画像サイズ変換処理(ステップS105)において、ステップS203で得られた調整前領域、調整後領域、および非調整領域の画素数、および、ステップS204で得られた非調整領域の位置の情報に基づいて、入力動画像Moの画像フレームF(t)の画像サイズを所望サイズに拡大する処理を行う。調整領域に対する画像拡大の方法としては、単純内挿や、Nearest Neighbor法、Bi linear法、Bi cubic法などを用いることができる。
【0084】
次に、図11の画像サイズ変換プログラムのステップS204で実行される非調整領域位置決定ルーチンについて説明する。
【0085】
既に示した図6のフローチャートにあるように、CPU37は、ステップS110において、入力動画像Moの画像フレームF(t)における非調整領域の水平方向の位置を決定する水平方向位置決定ルーチンを実行する。最後に、CPU37は、ステップS111において、入力動画像Moの画像フレームF(t)における非調整領域の垂直方向の位置を決定する垂直方向位置決定ルーチンを実行する。
【0086】
図12は、図6に示した非調整領域位置決定ルーチンのステップS110で実行される水平方向位置決定ルーチンのフローチャートである。
【0087】
まず、CPU37は、ステップS220において、入力動画像Moの画像フレームF(t)における垂直方向のエッジを検出し、画像フレームF(t)に画像全域に渡る垂直エッジが含まれていると見なせる場合にはさらにその個数を判定する。この処理は、エッジ検出部15に対応している。
【0088】
CPU37は、画像全域に渡る垂直エッジの個数が0である場合には、ステップS221において、非調整領域の位置を画像中央部と決定する。これは、図13(a)のパターン1に該当する。
【0089】
CPU37は、画像全域に渡る垂直エッジの個数が1である場合には、ステップS222において、この垂直エッジで分断された2つの領域のうち小さい面積を持つ領域(以下、エリアA'と記す)の水平方向の画素数が、調整前領域の水平方向の画素数以下であるか否かを判定する。
【0090】
エリアA'の水平方向の画素数が調整前領域の水平方向の画素数以下である場合には、CPU37は、ステップS223において、この垂直エッジの位置を調整領域と非調整領域の境界位置と決定する。即ち、エリアA'が画像フレームF(t)の左側に存在する場合には、非調整領域の左端がエリアA'の右端と一致するように非調整領域が配置されることになる。これは、図13(b)のパターン2に該当する。一方、エリアA'が画像フレームF(t)の右側に存在する場合には、非調整領域の右端がエリアA'の左端と一致するように非調整領域が配置されることになる。
【0091】
一方、エリアA'の水平方向の画素数が調整前領域の水平方向の画素数よりも大きい場合には、CPU37は、ステップS221において、非調整領域の位置を画像中央部と決定する。これは図13(c)のパターン3に該当する。
【0092】
CPU37は、画像全域に渡る垂直エッジの個数が2以上である場合には、ステップS224において、これら2以上の垂直エッジで分断された3以上の領域のうち、画像フレームF(t)の左端と右端に接する2つの領域(最も外側に位置する領域)のうち大きい面積を持つ領域(以下、エリアB'と記す)の水平方向の画素数が、調整前領域の水平方向の画素数以下であるか否かを判定する。
【0093】
エリアB'の水平方向の画素数が調整前領域の水平方向の画素数以下である場合には、CPU37は、ステップS225において、エリアBに隣接する垂直エッジの位置を調整領域と非調整領域の境界位置と決定する。即ち、エリアB'が画像フレームF(t)の左側に存在する場合には、非調整領域の左端がエリアB'の右端と一致するように非調整領域が配置されることになる。これは、図13(d)のパターン4に該当する。一方、エリアB'が画像フレームF(t)の右側に存在する場合には、非調整領域の右端がエリアB'の左端と一致するように非調整領域が配置されることになる。
【0094】
一方、エリアB'の水平方向の画素数が調整前領域の水平方向の画素数よりも大きい場合には、CPU37は、ステップS226において、画像フレームF(t)の左端と右端に接する2つの領域(最も外側に位置する領域)のうち小さい面積を持つ領域(以下、エリアC'と記す)の水平方向の画素数が、調整前領域の水平方向の画素数以下であるか否かを判定する。
【0095】
エリアC'の水平方向の画素数が調整前領域の水平方向の画素数以下である場合には、CPU37は、ステップS227において、エリアCに隣接する垂直エッジの位置を調整領域と非調整領域の境界位置と決定する。即ち、エリアC'が画像フレームF(t)の左側に存在する場合には、非調整領域の左端がエリアC'の右端と一致するように非調整領域が配置されることになる。一方、エリアC'が画像フレームF(t)の右側に存在する場合には、非調整領域の右端がエリアC'の左端と一致するように非調整領域が配置されることになる。これは、図14(e)のパターン5に該当する。
【0096】
一方、エリアC'(およびエリアB')の水平方向の画素数が調整前領域の水平方向の画素数よりも大きい場合には、CPU37は、ステップS221において、非調整領域の位置を画像中央部と決定する。これは、図14(f)のパターン6に該当する。
【0097】
既に述べたように、CPU37は、上記の水平方向位置決定ルーチンを実行した後に、入力動画像Moの画像フレームF(t)における非調整領域の垂直方向の位置を決定する垂直方向位置決定ルーチンを実行する。この処理の手順については、上記の水平方向位置決定ルーチンと同様であるので詳細な説明を省略する。
【0098】
以上説明したように、本実施形態の画像サイズ変換装置、方法およびプログラムは、入力動画像の画像フレームを所望の画像サイズに拡大する際に、各画像フレームの周辺領域のみを拡大することで、黒帯の付加を不要とするとともに、注視領域となる画像中心部の画質劣化を発生させない。さらに画像全域に渡る水平・垂直エッジを検出した場合には、これらのエッジを調整領域と非調整領域の境界とすることで、各領域間の画質の差を目立たなくすることができる。
【0099】
(第3の実施形態)
本発明に係る画像サイズ変換装置の第3の実施形態を図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態では、入力動画像に対して任意の画像処理を施す画像処理装置を備えた画像処理システムにおいて、入力動画像の各画像フレームの画像サイズ(以下、原画サイズと記す)が、画像処理装置の処理サイズを上回る場合を想定している。
【0100】
このような画像処理システムは、図15に示すように、入力動画像Moの原画サイズXo,Yoを処理サイズXp,Ypに縮小する第1の実施形態の画像サイズ変換装置1と、画像サイズ変換装置1によって処理サイズXp,Ypに縮小された変換動画像Msに対して任意の画像処理を施す画像処理装置30と、画像処理装置30によって画像処理された動画像(以下、処理動画像と記す)Ms'の画像サイズを元の原画サイズXo,Yoに拡大する第2の実施形態の画像サイズ変換装置2と、を備える。
【0101】
画像サイズ変換装置1には、入力動画像Mo、原画サイズXo,Yo、処理サイズXp,Yp、画素数変更率Rx,Ryが入力される。画像処理装置30には、変換動画像Msが入力される。画像サイズ変換装置2には、処理動画像Ms'、原画サイズXo,Yo、処理サイズXp,Yp、画素数変更率Rx',Ry'が入力される。
【0102】
なお、画像サイズ変換装置1において、原画サイズXo,Yoを有する入力動画像Moの画像フレームF(t)(図4参照)における調整前領域の画素数X,Yは、所定の画素数変更率Rx,Ryおよび処理サイズXp,Ypに基づいて、既に示した[数3]および[数4]より求められる。ここで、Rx,Ryはいずれも1よりも小さい値である。さらに、[数5]より調整後領域の画素数が、[数6]より非調整領域の画素数Xc,Ycが求められる。
【0103】
画像サイズ変換装置2においては、処理サイズXp,Ypを有する処理動画像Ms'における調整前領域の画素数X',Y'は、所定の画素数変更率Rx',Ry'および原画サイズXo ,Yoに基づいて、次式に従って求められる。ここで、Rx',Ry'はいずれも1よりも大きい値である。
【数13】

【数14】

【0104】
さらに、次式より非調整領域の画素数Xc',Yc'が求められる。
【数15】

【0105】
なお、図15には、2つの画像サイズ変換装置1、2を備える構成を示したが、1つの画像サイズ変換装置で上述の処理を実現してもよい。この場合は、例えば、入力動画像Mo、原画サイズXo,Yo、処理サイズXp,Yp、画素数変更率Rx,Ryが1つの画像サイズ変換装置に入力されるとともに、画素数変更率Rx',Ry'および画像処理装置30から出力される処理動画像Ms'が該1つの画像サイズ変換装置に入力される構成となる。
【0106】
また、図15には、画像処理装置30を備える構成を示したが、画像処理装置30を画像伝送システムに替えた構成としてもよい。この場合は、例えば、入力動画像Moの送信元と出力される出力動画像Mo'の受信先に画像サイズ変換装置1、2がそれぞれ設置されることになる。
【0107】
以上説明したように、本実施形態の画像サイズ変換装置、方法およびプログラムは、入力動画像の画像フレームを画像処理装置の処理サイズに縮小する際に、各画像フレームの周辺領域のみを縮小することで、注視領域となる画像中心部の画質劣化を発生させない。さらに画像全域に渡る水平・垂直エッジを検出した場合には、これらのエッジを調整領域と非調整領域の境界とすることで、各領域間の画質の差を目立たなくすることができる。
【0108】
また、本実施形態の画像サイズ変換装置、方法およびプログラムは、画像処理された処理サイズの動画像を原画サイズに拡大する(戻す)際に、各画像フレームの周辺領域のみを拡大することで、黒帯の付加を不要とするとともに、注視領域となる画像中心部の画質劣化を発生させない。さらに画像全域に渡る水平・垂直エッジを検出した場合には、これらのエッジを調整領域と非調整領域の境界とすることで、各領域間の画質の差を目立たなくすることができる。
【0109】
これにより、本実施形態の画像サイズ変換装置、方法およびプログラムは、元の入力動画像の各画像フレームの絵柄の欠損を避けることができるとともに、各画像フレームの絵柄の歪をなくすことができる。
【0110】
(第4の実施形態)
上述の第1および第2の実施形態では、入力動画像の画像フレームの画像サイズの縮小または拡大のどちらか一方のみを行う画像サイズ変換装置を示した。本発明に係る画像サイズ変換装置の第4の実施形態では、入力動画像の画像サイズを所望サイズに合わせるように、画像サイズの縮小および拡大を行う構成を説明する。なお、第1または第2の実施形態と同様の事項については適宜説明を省略する。
【0111】
本実施形態の画像サイズ変換装置4の構成は、第1の実施形態で図1、図2に示したものとほぼ同様であるが、画像サイズ判定手段11および画素数算出手段12の構成が異なっている。
【0112】
図16は、CPU37が実行する画像サイズ判定および画素数算出ルーチンのフローチャートである。この処理は、図3に示した画像サイズ変換プログラムのフローチャートの画像サイズ判定処理(ステップS102)と画素数算出処理(ステップS103)、および、図11に示した画像サイズ変換プログラムのフローチャートの画像サイズ判定処理(ステップS202)と画素数算出処理(ステップS203)の処理に相当するものである。
【0113】
まず、CPU37は、ステップS300において、変換前サイズの水平方向の画素数Xoが所望サイズの水平方向の画素数Xpよりも大である(Xo>Xp)か否かを判定する。
【0114】
変換前サイズの水平方向の画素数Xoが所望サイズの水平方向の画素数Xpよりも大である場合には、CPU37は、ステップS301において、変換前サイズの垂直方向の画素数Yoが所望サイズの垂直方向の画素数Ypよりも大である(Yo>Yp)か否かを判定する。
【0115】
変換前サイズの垂直方向の画素数Yoが所望サイズの垂直方向の画素数Ypよりも大である場合には、CPU37は、ステップS302において、調整前領域の水平および垂直方向の画素数X,Yを既に示した[数3]および[数4]に従って算出する。即ち、ステップS302は、水平および垂直方向に縮小される調整前領域の画素数を算出する第1の実施形態の画素数算出処理(ステップS103)と同様の処理である。
【0116】
一方、変換前サイズの垂直方向の画素数Yoが所望サイズの垂直方向の画素数Ypよりも大でない場合には、CPU37は、ステップS303において、調整前領域の水平方向の画素数X、および、調整前領域の垂直方向の画素数Y'を既に示した[数3]および[数10]に従って算出する。即ち、ステップS303は、水平方向に縮小され、垂直方向に拡大される調整前領域の画素数を算出する処理である。
【0117】
また、CPU37は、ステップS300において、変換前サイズの水平方向の画素数Xoが所望サイズの水平方向の画素数Xpよりも大でないと判定した場合には、変換前サイズの垂直方向の画素数Yoが所望サイズの垂直方向の画素数Ypよりも大である(Yo>Yp)か否かを判定する(ステップS304)。
【0118】
変換前サイズの垂直方向の画素数Yoが所望サイズの垂直方向の画素数Ypよりも大である場合には、CPU37は、ステップS305において、調整前領域の水平方向の画素数X'、および、調整前領域の垂直方向の画素数Yを既に示した[数9]および[数4]に従って算出する。即ち、ステップS305は、水平方向に拡大され、垂直方向に縮小される調整前領域の画素数を算出する処理である。
【0119】
一方、変換前サイズの垂直方向の画素数Yoが所望サイズの垂直方向の画素数Ypよりも大でない場合には、CPU37は、ステップS306において、調整前領域の水平および垂直方向の画素数X',Y'を既に示した[数9]および[数10]に従って算出する。即ち、ステップS306は、水平および垂直方向に拡大される調整前領域の画素数を算出する第2の実施形態の画素数算出処理(ステップS203)と同様の処理である。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明に係る画像サイズ変換装置、方法およびプログラムは、画像処理装置を備えた画像処理システムや、画像伝送システムに適用可能な画像サイズ変換装置、方法およびプログラムとして有用である。
【符号の説明】
【0121】
1、2、4 画像サイズ変換装置
11 画像サイズ判定手段
12 画素数算出手段
13 非調整領域位置決定手段
14 画像サイズ変換手段
15 エッジ検出部
30 画像処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像を主領域とその周辺領域とに分割し、所定の変更率で該周辺領域の画素数を変更することで、該入力された画像の画像サイズを所望サイズに変換する画像サイズ変換装置であって、
前記入力された画像の水平方向の画素数と前記所望サイズの水平方向の画素数の大小関係、および、前記入力された画像の垂直方向の画素数と前記所望サイズの垂直方向の画素数の大小関係を判定する画像サイズ判定手段と、
前記画像サイズ判定手段の判定結果に応じて、前記周辺領域の水平および垂直方向の画素数を算出する画素数算出手段と、
前記入力された画像における前記主領域の位置を決定する主領域位置決定手段と、
前記変更率、前記周辺領域の画素数、および、前記主領域の位置に基づいて、前記入力された画像の画像サイズを前記所望サイズに変換する画像サイズ変換手段と、を備えることを特徴とする画像サイズ変換装置。
【請求項2】
前記画素数算出手段が、前記画像サイズ判定手段により、前記入力された画像の水平方向の画素数が前記所望サイズの水平方向の画素数よりも大であるか、前記入力された画像の垂直方向の画素数が前記所望サイズの垂直方向の画素数よりも大であると判定された場合に、前記周辺領域の水平および垂直方向の画素数を算出する請求項1に記載の画像サイズ変換装置。
【請求項3】
前記画素数算出手段が、前記入力された画像の画像サイズと、前記所望サイズと、前記変更率と、を用いて、以下の式(1)に従って、前記周辺領域の画素数を算出する請求項2に記載の画像サイズ変換装置。
【数16】

【請求項4】
前記画素数算出手段が、前記画像サイズ判定手段により、前記入力された画像の水平方向の画素数が前記所望サイズの水平方向の画素数よりも小であるか、前記入力された画像の垂直方向の画素数が前記所望サイズの垂直方向の画素数よりも小であると判定された場合に、前記周辺領域の水平および垂直方向の画素数を算出する請求項1に記載の画像サイズ変換装置。
【請求項5】
前記画素数算出手段が、前記入力された画像の画像サイズと、前記所望サイズと、前記変更率と、を用いて、以下の式(2)に従って、前記周辺領域の画素数を算出する請求項4に記載の画像サイズ変換装置。
【数17】

【請求項6】
前記主領域位置決定手段が、前記入力された画像における垂直方向のエッジを検出するエッジ検出部を有し、該エッジ検出部により検出された垂直方向のエッジで分断される各領域の水平方向の画素数に応じて、前記主領域と前記周辺領域の垂直方向の境界位置を決定する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の画像サイズ変換装置。
【請求項7】
前記主領域位置決定手段が、前記入力された画像における水平方向のエッジを検出するエッジ検出部を有し、該エッジ検出部により検出された水平方向のエッジで分断される各領域の垂直方向の画素数に応じて、前記主領域と前記周辺領域の水平方向の境界位置を決定する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の画像サイズ変換装置。
【請求項8】
入力された画像を主領域とその周辺領域とに分割し、所定の変更率で該周辺領域の画素数を変更することで、該入力された画像の画像サイズを所望サイズに変換する画像サイズ変換方法であって、
前記入力された画像の水平方向の画素数と前記所望サイズの水平方向の画素数の大小関係、および、前記入力された画像の垂直方向の画素数と前記所望サイズの垂直方向の画素数の大小関係を判定する画像サイズ判定ステップと、
前記画像サイズ判定ステップの判定結果に応じて、前記周辺領域の水平および垂直方向の画素数を算出する画素数算出ステップと、
前記入力された画像における前記主領域の位置を決定する主領域位置決定ステップと、
前記変更率、前記周辺領域の画素数、および、前記主領域の位置に基づいて、前記入力された画像の画像サイズを前記所望サイズに変換する画像サイズ変換ステップと、を有することを特徴とする画像サイズ変換方法。
【請求項9】
入力された画像を主領域とその周辺領域とに分割し、所定の変更率で該周辺領域の画素数を変更することで、該入力された画像の画像サイズを所望サイズに変換する画像サイズ変換装置としてコンピュータを機能させるための画像サイズ変換プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記入力された画像の水平方向の画素数と前記所望サイズの水平方向の画素数の大小関係、および、前記入力された画像の垂直方向の画素数と前記所望サイズの垂直方向の画素数の大小関係を判定する画像サイズ判定手段と、
前記画像サイズ判定手段の判定結果に応じて、前記周辺領域の水平および垂直方向の画素数を算出する画素数算出手段と、
前記入力された画像における前記主領域の位置を決定する主領域位置決定手段と、
前記変更率、前記周辺領域の画素数、および、前記主領域の位置に基づいて、前記入力された画像の画像サイズを前記所望サイズに変換する画像サイズ変換手段として機能させることを特徴とする画像サイズ変換プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−142898(P2012−142898A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1272(P2011−1272)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】