説明

画像サーバ、画像検索装置、画像検索プログラム、及び画像検索方法

【課題】画像をクエリとしたときに、検索結果のランキングを迅速に得ることができる画像サーバ、画像検索装置、及び画像検索プログラムを提供する。
【解決手段】複数の画像を記憶する画像記憶手段と、複数の画像の特徴を抽出する特徴抽出手段と、特徴抽出手段により抽出された各画像の特徴を記憶する特徴記憶手段と、各画像に類似する画像を、画像記憶手段内から選択してランキングを行い、事前ランキングを作成する事前ランキング手段と、事前ランキングを記憶する事前ランキング記憶手段と、クエリ画像を受け付ける入力手段と、クエリ画像と類似する少なくとも一つの画像を前記複数の画像の中から選択する一次検索手段と、一次検索手段により選択された画像に対応する前記事前ランキングを、事前ランキング記憶手段から抽出するとともに、当該事前ランキングに基づいて、検索結果を作成する検索結果作成手段と、検索結果を出力する出力手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像サーバ、画像検索装置、画像検索プログラム,及び画像検索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インターネットなどを介した検索システムの需要が急速に高まっている。検索システムにおいては、単に検索結果を出力するだけでなく、検索結果の順位付け、すなわちランキングの妥当性が非常に重要になっており、種々の技術が開示されている。例えば、Google社は特許文献1及び非特許文献1に記載のように検索結果のランキングの妥当性を高める技術を開発したことで知られている。また、近年は、テキストを検索するだけでなく、画像の検索を行う検索システムも提案されている。例えば、特許文献2には、テキストをクエリとして画像を検索する画像検索システムが提案されている。また、特許文献3には、画像をクエリとして画像を検索する画像検索システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6285999号明細書
【特許文献2】特開2010−286861号公報
【特許文献3】特開2010−250569号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】S.Brin and L.Page, “Theanatomy of a large-scale hypertextual (Web) searchengine”, Proc. of the 7th Int. WWW Conf., 1998
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、画像の検索は、画像の種類、属性などを一義的に決定できないため、テキストの検索とは大きく異なる。したがって、従来のテキスト検索を簡単に応用することはできない。また、画像データの容量は、テキストよりも遙かに大きいため、膨大な量の画像の中から検索を行う際には、時間を要するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、画像をクエリとしたときに、検索結果のランキングを迅速に得ることができる画像サーバ、画像検索装置、画像検索プログラム,及び画像検索方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明に係る画像サーバは、複数の画像を記憶する画像記憶手段と、前記複数の画像の特徴を抽出する特徴抽出手段と、前記特徴抽出手段により抽出された前記各画像の特徴を記憶する特徴記憶手段と、前記特徴に基づいて、前記各画像に類似する画像を、前記画像記憶手段内から選択してランキングを行い、前記各画像に対する事前ランキングを作成する事前ランキング手段と、前記事前ランキングを記憶する事前ランキング記憶手段と、クエリ画像を受け付ける入力手段と、前記特徴に基づいて、前記クエリ画像と類似する少なくとも一つの画像を前記複数の画像の中から選択する一次検索手段と、前記一次検索手段により選択された画像に対応する前記事前ランキングを、前記事前ランキング記憶手段から抽出するとともに、抽出された前記事前ランキングに基づいて、検索結果を作成する検索結果作成手段と、前記検索結果を出力する出力手段と、を備えている。
【0008】
この構成によれば、ユーザが画像の検索を行う前に、画像記憶手段内にある画像に対して、予め事前ランキングを作成するため、ユーザが画像クエリを入力したときには、事前ランキングに基づいて、検索結果を出力することができる。したがって、画像クエリの入力後にすべての画像に対して検索を行う必要がないため、画像の検索を迅速に行うことができる。なお、本発明における「画像」という文言について、サーバ内では画像データとして存在するものであり、ディスプレイやプリンタなどで出力されることで、画像として顕在化するが、これらを含めて、単に「画像」と称することもある。また、事前ランキングの作成方法としては、種々の方法があるが、例えば、以下の方法がある。
【0009】
第1の方法として、事前ランキング手段が、画像記憶手段のすべての画像に対してランキングを行い、そのランキングの結果の中の所定の数の上位の画像を事前ランキングとすることができる。
【0010】
第2の方法として、事前ランキング手段が、画像記憶手段のすべての画像に対してランキングを行い、そのランキングの結果の中の所定の数の上位の画像を上位選択画像として抽出する。そして、上位抽出画像のそれぞれの画像に類似する画像を、画像記憶手段のすべての画像の中から選択してランキングを行い、所定の数の上位の画像をプレ事前ランキングとして作成する。続いて、複数のプレ事前ランキングの中から、重複がないように画像の二次選択を行い、さらに、クエリ画像に類似する画像のランキングを二次選択された画像に対して行って事前ランキングとする。この方法では、事前ランキングの作成において、2回のランキングを行っているため、検索の精度を高めることができる。
【0011】
また、第2の方法において、プレ事前ランキングから事前ランキングを作成する方法としては以下の方法もある。すなわち、複数のプレ事前ランキングの中から、選択された数が多い順に画像のランキングを行って事前ランキングとすることができる。ここで、選択された数が同じ画像が複数存在する場合には、例えば、クエリ画像と再度比較して類似する画像のランキングを高くすることができる。
【0012】
第3の方法として、事前ランキング手段が、画像記憶手段のすべての画像に対して所定のクラスタリングを行って、画像を複数のグループに分類する。そして、グループ内の各画像に類似する画像を、そのグループの中から選択してランキングすることで、事前ランキングとすることができる。この方法ではクラスタリングにより同じ範疇に属する画像が同一のグループ内に含まれる可能性が高いため、異種の画像がランキングされる可能性が低くなり、ランキングの精度を高めることができる。
【0013】
以上、代表的な3つの方法を示したが、事前ランキングの方法は、これに限定されるものではなく、種々の方法を適用することができる。
【0014】
ところで、一次検索出段において、クエリ画像と最も類似する画像を画像記憶手段から一つだけ選択する場合には、選択された画像に対応する事前ランキングを抽出し、これを検索結果とすればよいが、一次検索手段において、複数の画像を選択する場合には、次のように処理することができる。例えば、検索結果作成手段が、選択された各画像に対応する複数の事前ランキングの中から、重複がないように画像の二次選択を行う。そして、クエリ画像に類似する画像のランキングを二次選択された画像に対して行って検索結果とする。あるいは、検索結果作成手段が、選択された各画像に対応する複数の事前ランキングの中から、選択された数が多い順に画像のランキングを行って検索結果とすることもできる。ここで、選択された数が同じ画像が複数存在する場合には、例えば、クエリ画像と再度比較して類似する画像のランキングを高くすることができる。
【0015】
第2の本発明は、複数の画像が記憶された画像記憶手段に接続される画像検索装置であって、前記複数の画像の特徴を抽出する特徴抽出手段と、前記特徴抽出手段により抽出された前記各画像の特徴を記憶する特徴記憶手段と、前記特徴に基づいて、前記各画像に類似する画像を、前記画像記憶手段内から選択してランキングを行い、前記各画像に対する事前ランキングを作成する事前ランキング手段と、前記事前ランキングを記憶する事前ランキング記憶手段と、クエリ画像を受け付ける入力手段と、前記特徴に基づいて、前記クエリ画像と類似する少なくとも一つの画像を前記画像記憶手段内の中から選択する一次検索手段と、前記一次検索手段により選択された画像に対応する前記事前ランキングを、前記事前ランキング記憶手段から抽出するとともに、当該事前ランキングに基づいて、検索結果を作成する検索結果作成手段と、前記検索結果を出力する出力手段と、を備えている。
【0016】
第3の本発明に係る画像検索プログラムは、画像記憶手段に記憶される各画像の特徴を抽出するステップと、抽出された前記各画像の特徴を記憶するステップと、前記特徴に基づいて、前記各画像に類似する画像を、前記画像記憶手段内から選択してランキングを行い、前記各画像に対する事前ランキングを作成するステップと、前記事前ランキングを記憶するステップと、クエリ画像を受け付けるステップと、前記特徴に基づいて、前記クエリ画像と類似する少なくとも一つの画像を前記画像記憶手段内の中から選択するステップと、前記選択された画像に対応する前記事前ランキングを抽出するとともに、当該事前ランキングに基づいて、検索結果を作成するステップと、前記検索結果を出力するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0017】
第4の本発明に係る画像検索方法は、画像記憶手段に記憶される各画像の特徴を抽出するステップと、抽出された前記各画像の特徴を記憶するステップと、前記特徴に基づいて、前記各画像に類似する画像を、前記画像記憶手段内から選択してランキングを行い、前記各画像に対する事前ランキングを作成するステップと、前記事前ランキングを記憶するステップと、クエリ画像を受け付けるステップと、前記特徴に基づいて、前記クエリ画像と類似する少なくとも一つの画像を前記画像記憶手段内の中から選択するステップと、前記選択された画像に対応する前記事前ランキングを抽出するとともに、当該事前ランキングに基づいて、検索結果を作成するステップと、前記検索結果を出力するステップと、を備えている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、精度の高い検索結果のランキングを迅速に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の画像サーバの概略構成を示す図である。
【図2】事前ランキングの第1の手法を示す図である。
【図3】事前ランキングの第2の手法を示す図である。
【図4】事前ランキングの第2の手法の他の例を示す図である。
【図5】事前ランキングの第1の手法を示す図である。
【図6】検索結果の作成の例を示す図である。
【図7】事前ランキングの作成を示すフローチャートである。
【図8】画像検索の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る画像サーバの一実施形態について図面を参照しつつ説明する。ここでは、本発明の画像サーバをインターネットを介して情報端末に接続した場合の実施形態を説明する。図1は画像サーバの構成を示すブロック図である。
【0021】
図1に示すように、この画像サーバ1は、インターネットやイントラネットなどのネットワーク2を介してパーソナルコンピュータ、スマートフォンなどの情報端末3に接続されている。また、画像サーバ1は、バス10によって電気的に接続された制御ユニット20、メモリ30、画像データベース40を備えている。このほか、バス10には入出力インターフェース部50が接続されており、ネットワーク2を介して、パーソナルコンピュータ3などとの間で、通信プロトコルにしたがって検索結果及び検索結果の受送信を行う。なお、入出力のインターフェースは、本実施形態のように一つのパーツとする以外に、入力と出力を分けた2つのパーツで構成することもできる。
【0022】
制御ユニット20は、CPU(Central
Processing Unit)などで構成されており、複数の機能ブロックを備えているが、これらについては後述する。メモリ12は、不揮発性の記憶装置で構成され、制御ユニット11によりアクセスされるプログラムや各種データが記憶されたり、各プログラムの一時的な作業領域として機能する。例えば、後述する画像検索プログラムなどの各種プログラムが保管される。画像データベース40は、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリなどで構成される不揮発性の記憶装置であり、3つの記憶部、つまり画像記憶部41、特徴記憶部42、及び事前ランキング記憶部43により各種データが記憶される。なお、この画像データベース4に上記各種プログラムを保管することもできる。画像記憶部41は、検索対象となる複数の画像データが格納されている。また、特徴記憶部42とは、画像検索に用いるための、各画像データの特徴が格納されている。画像データの特徴は、例えば、マルコフ遷移確率やテキスチャ特徴など、公知の方法を使用して抽出することができるが、これらを用いて算出された特徴パラメータが各画像の特徴として特徴記憶部42に保管される。事前ランキング記憶部43は、画像検索を行う前に、保存されている各画像データに対して行われる事前ランキングの結果が保管される。
【0023】
次に、図1に示す制御ユニット20において、画像検索プログラムを実行することにより実現される各機能ブロックについて説明する。特徴抽出部21は、画像記憶部41内にある画像データの特徴を抽出するものであり、上述したマルコフ遷移確率やテキスチャ特徴などを用いて各画像データごとに特徴パラメータを算出し、これを特徴記憶部42に保管する。なお、マルコフ遷移確率については、例えば、以下の文献などに詳しい。
(1) Thi Thi Zin, Pyke
Tin, Takashi Toriu and Hiromitsu
Hama, “Dominant Color Embedded Markov Chain Model for Object Image Retrieval”, Proc.
of the 5th Intl. Conf. on Intelligent Information Hiding and
Multimedia Signal Processing (IIH-MSP-2009), Kyoto, Japan, Digital
Object Identifier 10.1109/IIH-MSP. 2009.281, pp. 186-189, Sep. 2009
(2) Thi Thi
Zin, Pyke Tin, Takashi Toriu and Hiromitsu Hama, “A
Novel Way of Computing Multimedia Information Similarities”, ICIC Express
Letters (Part B: Applications), Vol.1, No.1, pp.27-32, Sep. 2010. (Invited
paper)
【0024】
特徴パラメータの算出は、画像記憶部41に新たな画像が記憶されるなど、画像記憶部41内のデータが更新される度、あるいは定期的または任意の時期に行われ、特徴記憶部42のデータが更新される。
【0025】
次に、事前ランキング部22について説明する。事前ランキング部22は、保存されている各画像のランキングを行い、その結果を事前ランキング記憶部43に保存する。その手法はいくつかあるが、ここでは、3つの方法について説明する。
【0026】
第1の事前ランキングは、特徴パラメータに基づいて、各画像に類似する画像のランキングを行うものである。例えば、図2に示すように、A〜Dの4つの画像データが存在する場合、各画像データに対する、他の画像データの類似度を特徴パラメータに基づいてランキングする。すなわち、画像データAに対しては、画像データB〜Dをランキングする。図2によれば、画像データAに対しては、C,D,Bの順に類似していることになる。こうして、各画像ごとにランキングを決定し、これを事前ランキングとして事前ランキング記憶部43に保管する。なお、事前ランキング部記憶部43においては、各画像に対し、他のすべての画像のランキングを記憶する必要はなく、類似度の高い画像を上位からいくつかだけを記憶することができる。
【0027】
第2の事前ランキングは、以下のように行われる。まず、上記第1の事前ランキングと同様に、画像記憶部41内のすべての画像データに対してランキングを行う。次に、そのランキングの結果の中の所定の数の上位の画像を上位選択画像として抽出する。例えば、図3に示すように、画像データAに対するランキングの上位5位までを抽出する。そして、各上位選択画像に類似する画像データを、画像記憶部41のすべての画像データ(画像データAを除く)の中から選択して上位5位までのランキングを行う。すなわち、上位選択画像B,D,F,G,Hのそれぞれに対し、ランキングを作成し、さらに上位5位までを抽出する。こうして得られたランキングをプレ事前ランキングとする。続いて、プレ事前ランキングに示された画像データを、重複を排除してすべて抽出する(二次選択)。図3の例では、画像データD,F,G,H,I,B,K,X,Rが抽出された。その後、画像データAに対する、抽出された画像データのランキングを行う。この例では、最終的な画像データAに対する事前ランキングは、B,D,F,G,H,I,X,R,Kの順になる。なお、ここでのランキングは、上述した特徴パラメータを用いる。また、上位画像の数、プレ事前ランキングにおけるランキングの数は5に限定されず、それぞれ異なる数にすることもできる。
【0028】
プレ事前ランキングから事前ランキングを作成する方法としては、次のような方法もある。図4に示すように、プレ事前ランキングに抽出された数の順に画像データのランキングを決定する。このとき、抽出された数が同じ場合、画像データAとの類似度よりランキングを決定する。例えば、画像データD,Fは抽出された数が同一であるが、画像データDの方が、画像データAと類似しているので、ランキングが高くなる。こうして、画像データAに対する事前ランキングが作成される。以上のような事前ランキングのための処理が画像データAだけでなく、画像記憶部41内のすべての画像データに対して行われ、各画像データの事前ランキングが作成される。
【0029】
続いて、第3の事前ランキングについて、図5を参照しつつ説明する。まず、画像記憶部41のすべての画像データに対して所定のクラスタリングを行って、画像データを複数のグループに分類する。クラスタリングの手法は、特には限定されず、k−means法などの公知の方法を用いることができる。k−means法については、例えば、以下の文献などに詳しい記載がある。
(1) Y. An, J. Baek, S. Shin, M. Chang, J. Park, “Classification of
Feature Set Using K-means Clustering from Histogram Refinement Method”,
Proc. of 4th Intl. Conf. on Networked Computing and Advanced
Information Management (NCM08), Vol. 2, pp. 320-324, 2008.
(2) S.Thenmozhi, S. Balasubramanie,
J. Venkatesh, and C. Sureshkumar,
“Content Based Image Retrieval using K-Means Cluster Algorithm”, International
Journal of Research and Reviews in Information Sciences, Vol. 1, No. 1, pp.
23-28, Mar. 2011.
【0030】
次に、各グループ内の各画像に類似する画像を、そのグループの中から選択してランキングすることで、事前ランキングを作成する。図5の例では、画像記憶部41内のデータを複数のグループに分けた後、グループ1を取り出し、このグループに含まれる画像データに対してランキングを行う。ランキングは、このグループに含まれる画像データのみを用いて行う。例えば、グループ1の画像データAに対しては、ランキングされる画像の数は、6個である。こうして、各画像データに対する事前ランキングが作成される。この手法では、同じグループ内でランキングを行うため、種別の異なる画像データを予め排除できるという利点がある。種別とは、例えば、車、建物、動物などの画像に示されている物体の種類とすることができる。
【0031】
以上のような事前ランキングが行われ、その結果は、画像データベース4の事前ランキング記憶部43に保存される。なお、事前ランキングの手法は上記のものに限定されず、種々の方法が可能である。
【0032】
図1に戻って、制御ユニット20の機能ブロックの説明を続ける。一次検索部23は、ユーザを示すクエリ画像に対して、画像記憶部41内の画像データから少なくとも一つの類似する画像データを検索するものである。検索に当たっては、まずクエリ画像の特徴を特徴抽出部21によって抽出して特徴パラメータを作成し、これに基づいて検索を行う。このとき、画像記憶部41の中で最も類似する一つの画像データのみを抽出してもよいし、類似する順に複数の画像データを抽出してもよい。
【0033】
検索結果作成部24は、一次検索部が抽出した画像データに対応する事前ランキングを、事前ランキング記憶部43から読み出し、これを検索結果とするものである。一次検索部23によって抽出された画像データが一つである場合には、事前ランキング記憶部43から対応する事前ランキングのみを読み出せばよい。一方、一次検索部23で複数の画像データを抽出した場合には、例えば、次のように処理をする。すなわち、第2の事前ランキングの手法と同じく、抽出された各画像に対して画像記憶部41内のすべての画像データに対してランキングを行う。次に、そのランキングの結果の中の所定の数の上位の画像を選択画像として抽出する。例えば、図6に示すように、ランキングの上位5位までを抽出する。そして、抽出された画像データから重複を排除し,これを二次選択データとする。その後、二次選択データを、クエリ画像に対してランキングすることで、最終的な検索結果を作成する。
【0034】
また、複数のクエリ画像に対応する事前ランキングをすべて読み出し、その中に含まれる画像データを、数が多い順に画像の並べるランキングを行い、これを検索結果とすることもできる。数が同数の場合には、クエリ画像に類似するものが上位になる。
【0035】
次に、画像サーバの動作について、図7のフローチャートを参照しつつ説明する。はじめに、事前ランキングの作成について説明する。まず、画像記憶部41内に新たな画像が追加されると(S11)、特徴抽出部21は、この画像データの特徴を上述したように抽出し(S12)、抽出した特徴パラメータを画像データベース4の特徴記憶部42に書き込む(S13)。次に、事前ランキング部22が、追加された画像を含めたすべての画像データに対して上述した手法でランキングを行い(S14)、その結果を事前ランキング記憶部43に書き込み、事前ランキングを更新する(S15)。この処理は、画像記憶部41に新たな画像が追加されたり、あるいは定期的に行われ、ユーザによる画像検索に備える。
【0036】
続いて、画像の検索について説明する。まず、ユーザが情報端末3において、検索したい画像を入力する(S21)。入力された画像は、クエリ画像としてネットワーク2を介して画像サーバ1に送られる(S22)。例えば、情報端末3に保存されている画像データのファイルを指定してもよいし、カメラやスキャナで取得した画像データを画像サーバへ直接送信することもできる。クエリ画像を受け取った画像サーバ1では、特徴抽出部21によりクエリ画像の特徴が抽出される(S23)。そして、抽出された特徴パラメータに基づいて、このクエリ画像から一次検索を行う(S24)。すなわち、画像記憶部41の中からクエリ画像に最も類似する一の画像データを抽出する。次に、この画像データに対応する事前ランキングを、検索結果作成部24が事前ランキング記憶部43から読み出し(S25)、これを検索結果とする(S26)。例えば、図2に示す第1の事前ランキングが作成されているとき、一次検索で画像データAが最も類似する画像として選択された場合には、図2に示す事前ランキングの一行目が採用され、A,C,D,Bの順にランキングされた検索結果が作成される。最後に、この検索結果をネットワーク2を介して情報端末3に送信する(S27)。各情報端末3では、入力した画像に対する検索結果を,表示画面で表示する。なお、一次検索において、複数の画像データを選択することもでき、その場合の処理は上述したとおりである。
【0037】
以上のように、本実施形態によれば、ユーザが画像の検索を行う前に、画像記憶部41内にある画像に対して、予め事前ランキングを作成するため、ユーザがクエリ画像を入力したときには、事前ランキングに基づいて、検索結果を出力することができる。したがって、クエリ画像の入力後にすべての画像に対して検索を行う必要がないため、画像の検索を迅速に行うことができる。また、上述した事前ランキングにより、ランキングの精度を大きく向上することができる。
【0038】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、ネットワークに接続されている画像サーバについて説明したが、これをパーソナルコンピュータなどのスタンドアローンの機器として使用することできる。また、多数の画像が保存された画像記憶装置に対して、上述する機能を有する画像検索装置を接続することもできる。すなわち、上記画像サーバから画像記憶部を除いた構成の装置である。
【符号の説明】
【0039】
1 画像サーバ
21 特徴抽出部(特徴抽出手段)
22 事前ランキング部(事前ランキング手段)
23 一次検索部(一次検索手段)
24 検索結果作成部(検索結果作成手段)
41 画像記憶部(画像記憶手段)
42 特徴記憶部(特徴記憶手段)
43 事前ランキング記憶部(事前ランキング記憶手段)
50 入出力インターフェース部(入力手段、出力手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像を記憶する画像記憶手段と、
前記複数の画像の特徴を抽出する特徴抽出手段と、
前記特徴抽出手段により抽出された前記各画像の特徴を記憶する特徴記憶手段と、
前記特徴に基づいて、前記各画像に類似する画像を、前記画像記憶手段内から選択してランキングを行い、前記各画像に対する事前ランキングを作成する事前ランキング手段と、
前記事前ランキングを記憶する事前ランキング記憶手段と、
クエリ画像を受け付ける入力手段と、
前記特徴に基づいて、前記クエリ画像と類似する少なくとも一つの画像を前記複数の画像の中から選択する一次検索手段と、
前記一次検索手段により選択された画像に対応する前記事前ランキングを、前記事前ランキング記憶手段から抽出するとともに、当該事前ランキングに基づいて、検索結果を作成する検索結果作成手段と、
前記検索結果を出力する出力手段と、
を備えている、画像サーバ。
【請求項2】
前記事前ランキング手段は、
前記画像記憶手段のすべての画像に対してランキングを行い、当該ランキングの結果の中の所定の数の上位の画像を前記事前ランキングとする、請求項1に記載の画像サーバ。
【請求項3】
前記事前ランキング手段は、
前記画像記憶手段のすべての画像に対してランキングを行い、
当該ランキングの結果の中の所定の数の上位の画像を上位選択画像として抽出し、
当該上位抽出画像のそれぞれの画像に類似する画像を、前記画像記憶手段のすべての画像の中から選択してランキングを行い、所定の数の上位の画像をプレ事前ランキングとして作成し、
複数の前記プレ事前ランキングの中から、重複がないように画像の二次選択を行い、さらに、前記クエリ画像に類似する画像のランキングを前記二次選択された画像に対して行って前記事前ランキングとする、請求項1に記載の画像サーバ。
【請求項4】
前記事前ランキング手段は、
前記画像記憶手段のすべての画像に対してランキングを行い、
当該ランキングの結果の中の所定の数の上位の画像を上位選択画像として抽出し、
当該上位抽出画像のそれぞれの画像に類似する画像を、前記画像記憶手段のすべての画像の中から選択してランキングを行い、所定の数の上位の画像をプレ事前ランキングとして作成し、
複数の前記プレ事前ランキングの中から、選択された数が多い順に画像のランキングを行って前記事前ランキングとする、請求項1に記載の画像サーバ。
【請求項5】
前記事前ランキング手段は、
前記画像記憶手段のすべての画像に対して所定のクラスタリングを行って、前記画像を複数のグループに分類し、
前記グループ内の各画像に類似する画像を、当該グループの中から選択してランキングすることで、前記事前ランキングとする、請求項1に記載の画像サーバ。
【請求項6】
前記一次検索手段において、複数の画像を選択する場合、
前記検索結果作成手段は、選択された各画像に対応する複数の事前ランキングの中から、重複がないように画像の二次選択を行い、さらに、前記クエリ画像に類似する画像のランキングを前記二次選択された画像に対して行って検索結果とする、請求項1から5のいずれかに記載の画像サーバ。
【請求項7】
前記一次検索結果において、複数の画像を選択する場合、
前記検索結果作成手段は、選択された各画像に対応する複数の事前ランキングの中から、選択された数が多い順に画像のランキングを行って検索結果とする、請求項1から5のいずれかに記載の画像サーバ。
【請求項8】
複数の画像が記憶された画像記憶手段に接続される画像検索装置であって、
前記複数の画像の特徴を抽出する特徴抽出手段と、
前記特徴抽出手段により抽出された前記各画像の特徴を記憶する特徴記憶手段と、
前記特徴に基づいて、前記各画像に類似する画像を、前記画像記憶手段内から選択してランキングを行い、前記各画像に対する事前ランキングを作成する事前ランキング手段と、
前記事前ランキングを記憶する事前ランキング記憶手段と、
クエリ画像を受け付ける入力手段と、
前記特徴に基づいて、前記クエリ画像と類似する少なくとも一つの画像を前記画像記憶手段内の中から選択する一次検索手段と、
前記一次検索手段により選択された画像に対応する前記事前ランキングを、前記事前ランキング記憶手段から抽出するとともに、当該事前ランキングに基づいて、検索結果を作成する検索結果作成手段と、
前記検索結果を出力する出力手段と、
を備えている、画像検索装置。
【請求項9】
画像記憶手段に記憶される各画像の特徴を抽出するステップと、
抽出された前記各画像の特徴を記憶するステップと、
前記特徴に基づいて、前記各画像に類似する画像を、前記画像記憶手段内から選択してランキングを行い、前記各画像に対する事前ランキングを作成するステップと、
前記事前ランキングを記憶するステップと、
クエリ画像を受け付けるステップと、
前記特徴に基づいて、前記クエリ画像と類似する少なくとも一つの画像を前記画像記憶手段内の中から選択するステップと、
前記選択された画像に対応する前記事前ランキングを抽出するとともに、当該事前ランキングに基づいて、検索結果を作成するステップと、
前記検索結果を出力するステップと、
をコンピュータに実行させる、画像検索プログラム。
【請求項10】
画像記憶手段に記憶される各画像の特徴を抽出するステップと、
抽出された前記各画像の特徴を記憶するステップと、
前記特徴に基づいて、前記各画像に類似する画像を、前記画像記憶手段内から選択してランキングを行い、前記各画像に対する事前ランキングを作成するステップと、
前記事前ランキングを記憶するステップと、
クエリ画像を受け付けるステップと、
前記特徴に基づいて、前記クエリ画像と類似する少なくとも一つの画像を前記画像記憶手段内の中から選択するステップと、
前記選択された画像に対応する前記事前ランキングを抽出するとともに、当該事前ランキングに基づいて、検索結果を作成するステップと、
前記検索結果を出力するステップと、
を備えている、画像検索方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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